(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
B65G1/137 E
(21)【出願番号】P 2019159678
(22)【出願日】2019-09-02
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】宮本 雅哉
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-039181(JP,A)
【文献】特開2004-001933(JP,A)
【文献】特開2006-321595(JP,A)
【文献】特開平10-314679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
倉庫から作業部に対象物品を搬送する搬送部と、
オーダー情報に基づいて前記搬送部を制御する制御部と、を備え、
前記オーダー情報には、前記対象物品の属性を示す属性情報と、前記対象物品の数を示す個数情報と、前記対象物品の出荷先を示す出荷先情報と、が含まれている物品搬送設備であって、
前記対象物品の属性を第1条件に基づいて複数のグループに分けてなるグループ群を第1グループ群とし、前記対象物品の属性を第2条件に基づいて複数のグループに分けてなるグループ群を第2グループ群として、
前記制御部は、複数の前記オーダー情報に係る前記対象物品を、前記出荷先ごとに並べると共に夫々の前記出荷先において前記第1グループ群を構成する複数のグループを予め設定された順序に並べて前記作業部に搬送する第1搬送モードと、複数の前記出荷先をまとめると共に前記第2グループ群を構成する複数のグループを予め設定された順序に並べて前記作業部に搬送する第2搬送モードと、を選択的に実行可能であり、設定時間内に前記作業部に搬送する必要がある前記対象物品である予定物品の数が設定数以下の場合は前記第1搬送モードを実行し、前記予定物品の数が前記設定数を超える場合は前記第2搬送モードを実行する、物品搬送設備。
【請求項2】
前記制御部は、前記予定物品の数に対する、前記第1グループ群を構成するグループの数が多くなるに従って前記設定数が小さくなるように、前記設定数を可変設定する、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記作業部を複数備え、
前記制御部は、複数の前記作業部の夫々に対して独立に、前記第1搬送モードと前記第2搬送モードとを選択的に実行可能である、請求項1又は2に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倉庫から作業部に対象物品を搬送する搬送部と、オーダー情報に基づいて前記搬送部を制御する制御部と、を備えている物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品搬送設備として、例えば、特開2015-199562号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。以下、背景技術の説明において、かっこ書きの符号又は名称は、先行技術文献における符号又は名称とする。この特許文献1に記載の物品搬送設備では、オーダー情報(ピッキングオーダー)に基づいて搬送部(出庫用搬送部分31a)が倉庫(保管用自動倉庫R1)から作業部(ピッキングステーションST)に対象物品を搬送し、作業部において搬送部から対象物品を取り出す作業を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようなオーダー情報に基づいて倉庫から作業部に対象物品を搬送する物品搬送設備において、1つの作業部に複数のオーダー情報を同時期に設定して、複数の出荷先に出荷する対象物品を1つの作業部に搬送することが考えられる。そして、このように対象物品を1つの作業部に搬送する場合に、対象物品の属性に基づいて複数のグループに分け、複数のグループを予め設定した順序に並べて搬送することが考えられる。例えば、搬送部から対象物品を載置体に載せる場合に、重い対象物品を載置体に積んだ後に軽い対象物品をその上に積むということを行い易くするために、対象物品の重量に関する属性に基づいて、重量が重い対象物品のグループが先に搬送されるように、対象物品のグループの搬送順を設定することが考えられる。
【0005】
しかし、対象物品のグループの搬送順に応じて、対象物品を作業部に搬送するのに要する時間や作業部における作業者の負担は異なる。一方、物品搬送設備の側でも、当該物品搬送設備の状況に応じて、搬送する必要がある対象物品の数と物品搬送設備の搬送能力との関係が異なり、また、作業者の人数等に応じて、作業者にどの程度の作業負担が許容されるかが異なる。そのため、物品搬送設備の状況に応じて、搬送効率や作業者の作業負担が適切になるような順序で対象物品が搬送されることが求められる。
【0006】
そこで、物品搬送設備の状況に応じて適切な順序で対象物品の搬送を行うことができる物品搬送設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた、物品搬送設備の特徴構成は、倉庫から作業部に対象物品を搬送する搬送部と、オーダー情報に基づいて前記搬送部を制御する制御部と、を備え、前記オーダー情報には、前記対象物品の属性を示す属性情報と、前記対象物品の数を示す個数情報と、前記対象物品の出荷先を示す出荷先情報と、が含まれ、
前記対象物品の属性を第1条件に基づいて複数のグループに分けてなるグループ群を第1グループ群とし、前記対象物品の属性を第2条件に基づいて複数のグループに分けてなるグループ群を第2グループ群として、前記制御部は、複数の前記オーダー情報に係る前記対象物品を、前記出荷先ごとに並べると共に夫々の前記出荷先において前記第1グループ群を構成する複数のグループを予め設定された順序に並べて前記作業部に搬送する第1搬送モードと、複数の前記出荷先をまとめると共に前記第2グループ群を構成する複数のグループを予め設定された順序に並べて前記作業部に搬送する第2搬送モードと、を選択的に実行可能であり、設定時間内に前記作業部に搬送する必要がある前記対象物品である予定物品の数が設定数以下の場合は前記第1搬送モードを実行し、前記予定物品の数が前記設定数を超える場合は前記第2搬送モードを実行する点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、第1搬送モードでは、出荷先ごとに対象物品を搬送するため、第1グループ群を構成する複数のグループの夫々に属する対象物品の数が少なくなり易い。そのため、予定物品の全てを作業部に搬送するまでに要する時間が比較的長くなり易いが、搬送先ごとに対象物品が作業部に搬送されるため、作業部において対象物品を出荷先ごとに振り分ける作業が必要なく、作業者は1つの出荷先の対象物品に集中して作業することができるため、作業者の作業負担を小さくし易い。
一方、第2搬送モードでは、複数の出荷先の対象物品をまとめて搬送するため、作業部において複数の出荷先の夫々に対象物品を振り分ける作業が必要となる等、作業者の作業負担が大きくなり易い。しかし、第2グループ群を構成する複数のグループの夫々に属する対象物品の数が多くなり易く、各グループ内での対象物品の搬送順序の自由度が高くなり易い。そのため、作業部に対象物品を搬送する効率を高め易く、全ての予定物品を作業部に搬送するまでに要する時間を比較的短くし易い。
【0009】
そして、本構成によれば、予定物品の数が設定数以下の場合は、第1搬送モードを実行する。つまり、予定物品の数が比較的少なく、予定物品を作業部に搬送する場合の搬送効率が比較的低くても設定時間内に全ての予定物品を作業部に搬送することができる場合には、第1搬送モードで対象物品を搬送することで、作業者の作業負担を小さくすることができる。一方、予定物品の数が設定数を超える場合は、第2搬送モードを実行する。つまり、予定物品の数が比較的多く、予定物品を作業部に搬送する場合の搬送効率を高くする必要がある場合には、第2搬送モードで対象物品を搬送することで、設定時間内に全ての予定物品を搬送し易くすることができる。このように、本構成によれば、物品搬送設備の状況に応じて適切な順序で対象物品の搬送を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.実施形態
物品搬送設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、物品搬送設備は、複数の作業部2と、物品1を収納する複数の自動倉庫3と、物品1を搬送する搬送装置4と、を備えている。搬送装置4は、複数の自動倉庫3から出庫された物品1を複数の作業部2の何れかに搬送する。
【0012】
図2に示すように、複数の自動倉庫3の夫々は、上下方向に並ぶ状態で設置された複数段の収納棚11と、収納棚11の長手方向に沿って走行する複数の搬送台車12と、を備えている。収納棚11は、複数段の夫々において、上下方向視で長手方向に対し直交する方向に間隔を空けて並ぶ状態で一対備えられている。搬送台車12は、複数段の夫々において、一対の収納棚11の間に1台備えられている。また、複数の自動倉庫3の夫々は、複数段の収納棚11の夫々に対応して設置された第1中継部13及び第2中継部14と、昇降自在な第1昇降部15及び第2昇降部16と、を備えている。
【0013】
複数の自動倉庫3の夫々は、第2コンベヤ22によって第1昇降部15に入庫された物品1を収納棚11に収納する場合、物品1を収納する収納棚11に対応する高さに第1昇降部15を昇降させた後、当該収納棚11に対応する第1中継部13と搬送台車12とによって、物品1が収納棚11に搬送される。また、複数の自動倉庫3の夫々は、収納棚11に収納されている物品1を出庫する場合は、物品1が収納されている収納棚11に対応する搬送台車12と第2中継部14とによって物品1を第2昇降部16に搬送した後、第2昇降部16を第1コンベヤ21に対応する高さに昇降させて物品1を第2昇降部16から第1コンベヤ21に出庫される。
【0014】
搬送装置4は、複数の自動倉庫3から出庫した物品1を作業部2に向けて搬送する第1コンベヤ21と、複数の自動倉庫3に入庫する物品1を自動倉庫3に向けて搬送する第2コンベヤ22と、作業部2から物品1を搬送する第3コンベヤ23と、を備えている。
【0015】
第1コンベヤ21は、複数の自動倉庫3の夫々に対応して設置された複数の上流搬送部21A、複数の作業部2の夫々に対応して設置された複数の下流搬送部21C、第1コンベヤ21の搬送経路において上流搬送部21Aと下流搬送部21Cとの間に設置された1つの中流搬送部21Bと、作業部以外の箇所に物品1を搬送する搬出搬送部21Dと、を備えている。
【0016】
複数の上流搬送部21Aの夫々は、対応する自動倉庫3から出庫された物品1を一列に並ぶ状態で搬送し、その物品1を中流搬送部21Bに合流させるように搬送する搬送部である。複数の下流搬送部21Cの夫々は、作業部2に搬送するために中流搬送部21Bから分岐した物品1を一列に並ぶ状態で作業部2に搬送する搬送部である。搬出搬送部21Dは、中流搬送部21Bから分岐した物品1であって、作業部2に搬送する以外の目的のために自動倉庫3から出庫した物品1を、1列に並ぶ状態で搬送する搬送部である。
【0017】
中流搬送部21Bには、複数の上流搬送部21Aと複数の下流搬送部21Cと1つの搬出搬送部21Dとが接続されている。複数の上流搬送部21Aは、複数の下流搬送部21Cや1つの搬出搬送部21Dが中流搬送部21Bに接続される位置よりも上流側において中流搬送部21Bに接続されている。つまり、第1コンベヤ21において、複数の上流搬送部21Aに出庫された物品1は、いずれも1つの中流搬送部21Bに合流してこの1つの中流搬送部21Bによって搬送された後、複数の下流搬送部21Cの何れか又は搬出搬送部21Dに搬送される。以下、作業部2に搬送する物品1を対象物品1Tと称する。尚、自動倉庫3が、倉庫に相当し、第1コンベヤ21が、倉庫から作業部2に対象物品1Tを搬送する搬送部に相当する。
【0018】
図1に示すように、複数の作業部2の夫々は、第1作業部2A又は第2作業部2Bである。第1作業部2Aには、複数の載置体、本例ではカゴ車26が設置されている。
図3に示すように、第1作業部2Aは、下流搬送部21Cによって当該第1作業部2Aに搬送された対象物品1Tをカゴ車26に載せる積み込み作業を行う作業部2である。説明を加えると、第1作業部2Aには、作業の内容を表示する表示部27が設置されており、第1作業部2Aの作業者Mは、表示部27に表示されている作業の内容に応じて、第1コンベヤ21によって第1作業部2Aに搬送された対象物品1Tを、表示部27に指定されているカゴ車26に載せる作業を行う。
図3に示す例では、第1作業部2Aには、10台のカゴ車26が設置されており、これら10台のカゴ車26の夫々に対して、オーダー情報が割り当てられている。
図3に示す例では、10台のカゴ車26に対して、第1オーダー情報D1から第10オーダー情報D10が割り当てられている状態を示している。また、
図3に示す例では、第1オーダー情報D1から第10オーダー情報D10により、1つの作業部2に割り当てられた割当オーダー情報群DAが構成されている。なお、カゴ車26は第1作業部2Aに設置された載置体の一例であり、第1作業部2Aにおいて対象物品1Tを載せる載置体としては、この他にも、各種の搬送用台車や、例えばコンテナ等の容器やパレット等を用いることができる。
【0019】
また、
図1に示すように、第2作業部2Bには、搬出用車両、本例ではトラック28が停止している。第2作業部2Bは、下流搬送部21Cによって第2作業部2Bに搬送された対象物品1Tをトラック28に載せる積み込み作業を行う作業部2である。説明を加えると、第2作業部2Bには、第1作業部2Aと同様に表示部27(
図1では図示省略)が設置されており、第2作業部2Bの作業者Mは、表示部27に表示されている作業の内容に応じて、第1コンベヤ21によって第2作業部2Bに搬送された対象物品1Tをトラック28に載せる作業を行う。なお、トラック28は第1作業部2Aに設置された載置体の一例であり、第1作業部2Aにおいて対象物品1Tを載せる載置体としては、この他にも、各種の搬送用台車や、例えばコンテナ等の容器やパレット等を用いることができる。
【0020】
図4に示すように、物品搬送設備は、オーダー情報に基づいて、自動倉庫3、搬送装置4、及び表示部27を制御する制御装置Hを備えている。制御装置Hは、例えばCPUと記憶装置を備えたコンピュータにて構成されている。制御装置Hには、オーダー情報を管理する管理装置Kが接続されている。管理装置Kは、出荷先からの注文に基づいて、集品すべき物品1の属性とその数量とを定める態様で出荷先に対応付けて作成されたオーダー情報を管理するデータベース等を備えて構成されている。そして、オーダー情報には、対象物品1Tの属性を示す属性情報と、対象物品1Tの数を示す数情報と、対象物品1Tの出荷先を示す出荷先情報と、が含まれている。尚、制御装置Hが、オーダー情報に基づいて搬送部を制御する制御部に相当する。
【0021】
対象物品1Tの属性は、この物品搬送設備において取り扱う対象となり得る各種の物品1を、予め定めた基準に従って分けた分類のことである。すなわち、属性は、物品搬送設備で行われる積み込み作業での効率や利便性等を考慮して適宜設定されるとよい。このような属性としては、例えばJANコードやEANコード等によって分けられた、物品1の識別名称や識別符号等に基づく小分類、例えば植木鉢、肥料、洗車用品、エンジンオイル、菓子、惣菜等のような、物品1の一般名称や用途や種類等に基づく中分類、園芸用品(植木鉢、肥料等を含む)、自動車用品(洗車用品、エンジンオイル等を含む)、食料品(菓子、惣菜等を含む)等のような、物品1の包括名称等に基づく大分類、物品1の重量を数百グラム単位や数キログラム単位等の区画単位によって分けられた重量分類、のいずれか1つ、或いはこれらのうちの複数を組み合わせた分類を用いることができる。本実施形態では、オーダー情報には、属性情報として、小分類を示す情報が示されている。また、制御装置Hのデータベースには、小分類と中分類と大分類と物品1の重量の関係を示す分類関係情報が記憶されているとともに、物品1の重量と重量分類との関係を示す重量関係情報が記憶されている。つまり、制御装置Hは、データベースを参照することで、オーダー情報に示されている小分類から、当該オーダー情報に示される対象物品1Tが属する中分類、大分類、重量、及び、重量分類の情報を取得することが可能となっている。
【0022】
制御装置Hは、第1搬送モードと第2搬送モードとを選択的に実行可能に構成されている。第1搬送モードは、複数のオーダー情報に係る対象物品1Tを、出荷先ごとに並べると共に夫々の出荷先において第1グループ群を構成する複数のグループを予め設定された順序に並べて作業部2に搬送する搬送モードである。第2搬送モードは、複数の出荷先をまとめると共に第2グループ群を構成する複数のグループを予め設定された順序に並べて作業部2に搬送する搬送モードである。本実施形態では、対象物品1Tの属性を第1条件に基づいて複数のグループに分けてなるグループ群を第1グループ群とし、対象物品1Tの属性を第2条件に基づいて複数のグループに分けてなるグループ群を第2グループ群としている。また、本実施形態では、第1条件と第2条件とを同じ条件としている。具体的には、本例では、第1条件及び第2条件は、上述した中分類に従って対象物品1Tを複数のグループにグループ分けする条件となっている。
【0023】
制御装置Hは、設定時間内に作業部2に搬送する必要がある対象物品1Tである予定物品の数が設定数以下の場合は第1搬送モードを実行し、予定物品の数が設定数を超える場合は第2搬送モードを実行する。本実施形態では、後述する1つのシフトに割当られた複数のオーダー情報の対象物品1Tの数を予定物品の数としている。詳しくは、本実施形態では、1つのシフトにおいて1つの作業部2に対して割り当てられた割当オーダー情報群DAの対象物品1Tの数を予定物品の数としている。そして、予定物品の数が設定数以下の作業部2に対しては第1搬送モードで対象物品1Tを搬送し、予定物品の数が設定数を超える作業部2に対しては第2搬送モードで対象物品1Tを搬送する。つまり、制御装置Hは、複数の作業部2の夫々に対して独立に、第1搬送モードと第2搬送モードとを選択的に実行可能である。
【0024】
制御装置Hは、設定数設定制御とモード設定制御と搬送制御とを実行する。
図5の積み込み制御のフローチャートに示すように、制御装置Hは、まず、設定数設定制御を実行して各作業部2に対する設定数を設定し(S1)、次に、設定数設定制御によって設定した設定数に基づいてモード設定制御を実行して各作業部2に対して実行する搬送モードを設定し(S2)、作業部2に対して設定された搬送モード及び割当オーダー情報群DAに基づいて自動倉庫3及び搬送装置4を制御する搬送制御を実行する(S3)。次に、設定数設定制御とモード設定制御と搬送制御との各制御について説明する。
【0025】
本実施形態では、物品搬送設備において作業を行う時間帯が複数の作業時間帯、すなわちシフトに分けられている。設定数設定処理は、管理装置Kから取得した複数のオーダー情報の夫々を複数のシフトの何れかに割り当てると共に、各シフトに割り当てられた複数のオーダー情報に基づいて設定数を設定する処理である。本実施形態では、設定数設定処理では、1つのシフトに割り当てられた複数のオーダー情報を、複数の作業部2に分割して割り当てる。ここでは、1つの作業部2で同時期に並行して積み込み作業を行う複数のオーダー情報を割当オーダー情報群DAとして、当該割当オーダー情報群DAに含まれる複数のオーダー情報を、複数の作業部2の夫々に対して割り当てる。
図1に示す例では、4つの第1作業部2Aの夫々に対して割当オーダー情報群DAとして夫々10個のオーダー情報が割り当てられており、1つの第2作業部2Bに対して割当オーダー情報群DAとして複数のオーダー情報が割り当てられている。
【0026】
また本実施形態では、設定数設定処理において、予定物品の数に対する、第1グループ群を構成するグループの数が多くなるに従って設定数が小さくなるように、設定数を可変設定する。具体的には、1つの作業部2に割り当てられた割当オーダー情報群DA(例えば、10個のオーダー情報)に含まれるグループの数の合計を総グループ数として、制御装置Hは、総グループ数に応じた設定数を、複数の作業部2の夫々に設定する。例えば、第1閾値を、第2閾値より低い値とし、第1設定数を第2設定数より小さい値とし、第2設定数を第3設定数より小さい値として、総グループ数が第1閾値未満の作業部2に対しては、設定数として第3設定数を設定し、総グループ数が第1閾値以上であって第2閾値未満の作業部2は、設定数として第2設定数を設定し、総グループ数が第2閾値以上の作業部2は、設定数として第1設定数を設定するというように、複数の作業部2の夫々に対して設定数を設定する。例えば、第1閾値を10、第2閾値を20、第1設定数を80、第2設定数を100、第3設定数を120に設定する。
【0027】
モード設定処理では、作業部2に割り当てられた割当オーダー情報群DAの対象物品1Tの数と、設定数設定処理によって設定された設定数と、に基づいて、作業部2に対して実行する搬送モードを設定する。具体的には、1つの作業部2に割り当てられた割当オーダー情報群DAに含まれる対象物品1Tの数(すなわち予定物品の数)の合計を総物品数として、制御装置Hは、作業部2の総物品数と、上述した設定数設定処理において当該作業部2に設定された設定数と比較して、総物品数が設定数以下の作業部2については第1搬送モードを設定し、総物品数が設定数を超える作業部2については第2搬送モードを設定する。
【0028】
搬送制御では、第1搬送モードが設定されている作業部2に対しては、第1搬送モードで対象物品1Tを作業部2に搬送し、第2搬送モードが設定されている作業部2に対しては、第2搬送モードで対象物品1Tを作業部2に搬送するように、自動倉庫3及び搬送装置4を制御する。
【0029】
第1搬送モードでは、中流搬送部21Bにおいて複数の対象物品1Tが第1規定順序となるように、夫々の対象物品1Tを複数の自動倉庫3から出庫させると共に、それらの対象物品1Tを複数の上流搬送部21Aから中流搬送部21Bに合流させる。ここで、第1規定順序は、対象物品1Tを出荷先ごとに並べると共に夫々の出荷先において第1グループ群を構成する複数のグループを予め設定された順序に並べた順序である。また、第2搬送モードでは、中流搬送部21Bにおいて複数の対象物品1Tが第2規定順序となるように、夫々の対象物品1Tを複数の自動倉庫3から出庫させると共に、それらの対象物品1Tを複数の上流搬送部21Aから中流搬送部21Bに合流させる。ここで、第2規定順序は、複数の出荷先の対象物品1Tをまとめると共に第2グループ群を構成する複数のグループを予め設定された順序に並べた順序である。尚、上流搬送部21Aと中流搬送部21Bと下流搬送部21Cはいずれも、物品1を一列に並ぶ状態で搬送する為、中流搬送部21Bにおいて作業部2の夫々に対して第1規定順序で搬送された対象物品1Tは、そのまま第1規定順序で作業部2の夫々に搬送され、中流搬送部21Bにおいて作業部2の夫々に対して第2規定順序で搬送された対象物品1Tは、そのまま第2規定順序で作業部2の夫々に搬送される。
【0030】
次に、第1規定順序及び第2規定順序について説明を加える。尚、これらの順序について説明するにあたり、
図6に示すように、第1グループ群に属するグループを、下流側から順に第1グループG1~第7グループG7と称し、
図7に示すように、第2グループ群に属するグループを、第8グループG8、第9グループG9と称する。また、
図6及び
図7に示すように、先に作業部2に搬送する必要がある属性から順に属性A~属性Dと称する。
【0031】
図6に示す第1規定順序では、下流側(
図6における右側)から順に、第1オーダー情報D1の属性Aの対象物品1Tで形成される第1グループG1、第1オーダー情報D1の属性Bの対象物品1Tで形成される第2グループG2、第1オーダー情報D1の属性Cの対象物品1Tで形成される第3グループG3、第1オーダー情報D1の属性Dの対象物品1Tで形成される第4グループG4、の順に搬送される。そして、このように、第1オーダー情報D1の対象物品1Tが全て並んだ後に、第2オーダー情報D2の属性Aの対象物品1Tで形成される第5グループG5、第2オーダー情報D2の属性Bの対象物品1Tで形成される第6グループG6、第2オーダー情報D2の属性Dの対象物品1Tで形成される第7グループG7が搬送される。このように、第1規定順序は、1つのオーダー情報(出荷先)の対象物品1Tが全て並んだ後に、別のオーダー情報の対象物品1Tの全てが並ぶというように、対象物品1Tがオーダー単位で並ぶと共に、1つのオーダー情報の複数の対象物品1Tが、属性ごとに予め設定された順序で並んでいる。
【0032】
上記のとおり、オーダー情報のそれぞれは出荷先に対応付けて作成されている。従って、第1規定順序で対象物品1Tを作業部2に搬送した場合には、搬送先ごとに対象物品1Tが搬送されることになる。よって、作業部2において対象物品1Tを出荷先ごと(複数のカゴ車26)に振り分ける作業が必要なく、作業者Mは1つの出荷先(1つのカゴ車26)の対象物品1Tに集中して作業を行うことができるため、作業者Mの作業負担を軽減させ易い。
【0033】
一方、
図7に示す第2規定順序では、下流側(
図7における右側)から順に、第1オーダー情報D1から第10オーダー情報D10の属性Aの対象物品1Tで形成される第8グループG8の後に、第1オーダー情報D1から第10オーダー情報D10の属性Bの対象物品1Tで形成される第9グループG9が搬送される。このように、第2規定順序は、割当オーダー情報群DAの1つの属性の対象物品1Tが全て並んだ後に、割当オーダー情報群DAの別の属性の対象物品1Tが全て並ぶというように、各作業部2に割り当てられた複数のオーダー情報の全てに係る対象物品1Tがまとめられた上で、それらの対象物品1Tが属性ごとに予め設定された順序で並んでいる。
【0034】
このように第2規定順序で対象物品1Tを作業部2に搬送した場合には、1つのグループに属する対象物品1Tの数が多くなり、グループ内での対象物品1Tの搬送順序の自由度が高くなり易くなる。これにより、自動倉庫3から対象物品1Tを出庫するタイミングや上流搬送部21Aから中流搬送部21Bに合流するタイミングの自由度を高めることができるため、予定物品の全てを作業部2に搬送するまでに要する時間が比較的短くなり易い。
【0035】
2.その他の実施形態
次に、物品搬送設備のその他の実施形態について説明する。
【0036】
(1)上記の実施形態では、物品搬送設備が複数の作業部2を備えた構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、物品搬送設備が1つの作業部2のみを備えた構成であってもよい。また、上記の実施形態では、複数の作業部2の中に、第1作業部2Aと第2作業部2Bという2種類の作業部2が含まれる例について説明したが、これには限定されず、物品搬送設備が1種類の作業部2のみを備える構成であってもよい。
【0037】
(2)上記の実施形態では、制御装置Hが、複数の作業部2の夫々に対して独立に、第1搬送モードと第2搬送モードとを選択的に実行可能な構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、制御装置Hが、複数の作業部2の全てに対して同じ搬送モードを選択するように構成されていてもよい。
【0038】
(3)上記の実施形態では、第1条件と第2条件とを同じ条件とする構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されず、第1条件と第2条件とを互いに異なる上限としてもよい。例えば、第1条件を重量分類に基づく条件とし、第2条件を中分類に基づく条件とする等、第1条件と第2条件とのそれぞれを互いに異なる基準の条件としてもよい。
【0039】
(4)上記の実施形態では、制御装置Hが、第1グループ群を構成するグループの数に応じて設定数を可変設定する構成を例として説明したが、これには限定されない。第1搬送モードと第2搬送モードとを選択する基準となる設定数が固定の値とされていてもよい。
【0040】
(5)上記の実施形態では、倉庫を、複数段の夫々に対して設置されて収納棚11の長手方向に沿って走行する複数の搬送台車12を備えた自動倉庫とする構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、倉庫を、スタッカークレーンを備えた自動倉庫や、昇降する昇降体上を長手方向に沿って走行して物品1を搬送する台車を備えた自動倉庫とする等、自動倉庫における物品1の搬送する形態は適宜変更してもよい。
【0041】
(6)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0042】
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した物品搬送設備の概要について説明する。
【0043】
物品搬送設備は、倉庫から作業部に対象物品を搬送する搬送部と、オーダー情報に基づいて前記搬送部を制御する制御部と、を備え、前記オーダー情報には、前記対象物品の属性を示す属性情報と、前記対象物品の数を示す個数情報と、前記対象物品の出荷先を示す出荷先情報と、が含まれ、
前記対象物品の属性を第1条件に基づいて複数のグループに分けてなるグループ群を第1グループ群とし、前記対象物品の属性を第2条件に基づいて複数のグループに分けてなるグループ群を第2グループ群として、前記制御部は、複数の前記オーダー情報に係る前記対象物品を、前記出荷先ごとに並べると共に夫々の前記出荷先において前記第1グループ群を構成する複数のグループを予め設定された順序に並べて前記作業部に搬送する第1搬送モードと、複数の前記出荷先をまとめると共に前記第2グループ群を構成する複数のグループを予め設定された順序に並べて前記作業部に搬送する第2搬送モードと、を選択的に実行可能であり、設定時間内に前記作業部に搬送する必要がある前記対象物品である予定物品の数が設定数以下の場合は前記第1搬送モードを実行し、前記予定物品の数が前記設定数を超える場合は前記第2搬送モードを実行する。
【0044】
本構成によれば、第1搬送モードでは、出荷先ごとに対象物品を搬送するため、第1グループ群を構成する複数のグループの夫々に属する対象物品の数が少なくなり易い。そのため、予定物品の全てを作業部に搬送するまでに要する時間が比較的長くなり易いが、搬送先ごとに対象物品が作業部に搬送されるため、作業部において対象物品を出荷先ごとに振り分ける作業が必要なく、作業者は1つの出荷先の対象物品に集中して作業することができるため、作業者の作業負担を小さくし易い。
一方、第2搬送モードでは、複数の出荷先の対象物品をまとめて搬送するため、作業部において複数の出荷先の夫々に対象物品を振り分ける作業が必要となる等、作業者の作業負担が大きくなり易い。しかし、第2グループ群を構成する複数のグループの夫々に属する対象物品の数が多くなり易く、各グループ内での対象物品の搬送順序の自由度が高くなり易い。そのため、作業部に対象物品を搬送する効率を高め易く、全ての予定物品を作業部に搬送するまでに要する時間を比較的短くし易い。
【0045】
そして、本構成によれば、予定物品の数が設定数以下の場合は、第1搬送モードを実行する。つまり、予定物品の数が比較的少なく、予定物品を作業部に搬送する場合の搬送効率が比較的低くても設定時間内に全ての予定物品を作業部に搬送することができる場合には、第1搬送モードで対象物品を搬送することで、作業者の作業負担を小さくすることができる。一方、予定物品の数が設定数を超える場合は、第2搬送モードを実行する。つまり、予定物品の数が比較的多く、予定物品を作業部に搬送する場合の搬送効率を高くする必要がある場合には、第2搬送モードで対象物品を搬送することで、設定時間内に全ての予定物品を搬送し易くすることができる。このように、本構成によれば、物品搬送設備の状況に応じて適切な順序で対象物品の搬送を行うことができる。
【0046】
ここで、前記制御部は、前記予定物品の数に対する、前記第1グループ群を構成するグループの数が多くなるに従って前記設定数が小さくなるように、前記設定数を可変設定すると好適である。
【0047】
例えば、予定物品の数が同じ場合では、第1グループ群を構成するグループ数が多くなるに従って、第1グループ群を構成する複数のグループの夫々に属する予定物品の数が少なくなる。本構成によれば、第1グループ群を構成するグループ数が多くなるに従って設定数を小さくする。これにより、複数のグループの夫々に属する予定物品の数が少なくなり、予定物品を作業部に搬送する場合の搬送効率が低くなり易い場合に、第2搬送モードが選択され易くなり、逆に、複数のグループの夫々に属する予定物品の数が多くなり、予定物品を作業部に搬送する場合の搬送効率が高くなり易い場合に、第1搬送モードが選択され易くなるようにできる。従って、本構成によれば、物品搬送設備の状況に応じて適切な順序で対象物品の搬送を行うことができる。
【0048】
また、前記作業部を複数備え、前記制御部は、複数の前記作業部の夫々に対して独立に、前記第1搬送モードと前記第2搬送モードとを選択的に実行可能であると好適である。
【0049】
本構成によれば、作業部ごとの予定物品の数や作業者の数等に応じて、夫々に適切な順序で対象物品の搬送を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本開示に係る技術は、倉庫から作業部に対象物品を搬送する搬送部と、オーダー情報に基づいて前記搬送部を制御する制御部と、を備えた物品搬送設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1:物品
2:作業部
3:自動倉庫(倉庫)
21:第1コンベヤ(搬送部)
H:制御装置(制御部)