(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20221213BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20221213BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20221213BHJP
B65G 49/07 20060101ALN20221213BHJP
【FI】
B65G1/04 539Z
H01L21/68 A
H01L21/68 G
B65G49/07
(21)【出願番号】P 2019166398
(22)【出願日】2019-09-12
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】安部 健史
(72)【発明者】
【氏名】吉嵜 豪
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 功路
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-083593(JP,A)
【文献】特開2018-039665(JP,A)
【文献】特開2018-065686(JP,A)
【文献】特開2010-064850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
H01L 21/68
B65G 49/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向及び左右方向に並ぶ状態で複数の収容部を備えた物品収容棚と、
前記収容部に物品を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置を制御する制御部と、を備え、
複数の前記収容部の夫々は、収容した物品を支持する収容支持体を備え、
前記搬送装置は、物品を支持する搬送支持部と、前記搬送支持部が前記収容部に対応する対応位置にある状態で前記搬送支持部から前記収容部に物品を移載する移載部と、前記搬送支持部が前記対応位置にある状態で前記収容支持体に備えられた被検出部を検出する検出部と、を備え、
前記制御部は、
複数の前記収容部の夫々について、物品の収容を許可する許可収容部及び物品の収容を禁止する禁止収容部のいずれであるかを設定する設定制御と、
複数の前記収容部のうちの前記許可収容部に設定されている前記収容部の1つを、選択収容部として選択する選択制御と、
前記搬送支持部を前記選択収容部に対応する前記対応位置に移動させるように前記搬送装置を制御する移動制御と、
前記移動制御の後に前記検出部によって前記被検出部が検出されたか否かを判定する判定制御と、
前記判定制御において前記被検出部が検出されたと判定した場合に、前記搬送支持部から、前記選択収容部が備える前記収容支持体に物品を移載するように前記搬送装置を制御する移載制御と、
前記判定制御において前記被検出部が検出されなかったと判定した場合に、前記選択収容部と、当該選択収容部に対して予め設定された位置関係にある前記収容部である関連収容部と、を前記禁止収容部に設定する更新設定制御と、を実行すると共に、
前記更新設定制御の後に、前記選択制御を再び実行して、複数の前記収容部のうちの前記許可収容部に設定されている前記収容部の1つを、新たな前記選択収容部として選択し、新たに選択された前記選択収容部に対応する前記対応位置に前記搬送支持部を移動させるように前記移動制御を実行する、物品搬送設備。
【請求項2】
前記収容支持体は、物品の底面を下方から支持するように構成され、
前記関連収容部は、前記判定制御において前記被検出部が検出されなかったと判定した前記選択収容部に対して、下方向側、右方向側、及び左方向側に隣接する前記収容部である、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記制御部は、前記更新設定制御を実行する場合において前記関連収容部に既に物品が収容されている場合には、前記搬送装置の作動を停止させる非常停止制御を実行する、請求項1又は2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記制御部は、前記更新設定制御の直後に実行した前記選択制御及び前記移動制御に続く前記判定制御において、前記被検出部が検出されなかったと判定した場合には、前記搬送装置の作動を停止させる非常停止制御を実行する、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記判定制御では、前記搬送支持部が前記対応位置にある状態で前記検出部によって前記被検出部が検出されなかった場合、前記検出部の位置を規定範囲で移動させる走査制御を実行し、前記走査制御を実行しても前記検出部によって前記被検出部が検出されなかった場合に、前記被検出部が検出されなかったと判定する、請求項1から4のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下方向及び左右方向に並ぶ状態で複数の収容部を備えた物品収容棚と、前記収容部に物品を搬送する搬送装置と、前記搬送装置を制御する制御部と、を備えた物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品搬送設備として、例えば、特開2010-083593号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。以下、背景技術の説明において、かっこ書きの符号又は名称は、先行技術文献における符号又は名称とする。この特許文献1に記載の物品搬送設備の制御部は、複数の収容部のうちの1つを選択収容部として選択し、搬送支持部(物品支持具18)を選択収容部に対応する対応位置に移動させるように搬送装置(物品移載装置12及び移動操作手段4)を制御する。また、制御部は、このように搬送支持部が対応位置にある状態で、検出部(光電センサ25)によって被検出部(反射板26)が検出されているか否かを判定する。そして、制御部は、検出部によって被検出部が検出されたと判定した場合は、搬送支持部から収容支持体(物品載置台6)に物品を移載するように搬送装置を制御し、検出部によって被検出部が検出されなかったと判定した場合は、物品を移載せずに搬送装置を非常停止させる。
【0003】
上述のような物品搬送設備において、例えば、選択収容部の収容支持体が変形し、収容支持体に設けられた被検出部の位置がずれたことにより、搬送支持部が選択収容部に対応する対応位置にある状態でも、検出部によって被検出部が検出されない場合がある。このような場合において、収容支持体に物品を収容しようとすると、物品が収容支持体に接触して物品が破損する場合や、物品が収容支持体によって適切に支持することができずに落下する場合等、物品を収容する際に不具合が生じる可能性がある。そのため、上述の物品搬送設備では、搬送支持部が対応位置にある状態で、検出部によって被検出部が検出されなかったと判定した場合は、搬送装置を非常停止させることで、このような不具合を回避している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の物品搬送設備では、搬送支持部が選択収容部に対応する対応位置にある状態で、検出部によって被検出部が検出されない場合には、搬送装置が非常停止される。そのため、搬送装置による物品の搬送が中断することになり、物品搬送設備における物品の搬送効率が低下する。
【0006】
そこで、物品を収容する際に不具合が生じることを回避しつつ、物品の搬送を継続することができる物品搬送設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた、物品搬送設備の特徴構成は、上下方向及び左右方向に並ぶ状態で複数の収容部を備えた物品収容棚と、前記収容部に物品を搬送する搬送装置と、前記搬送装置を制御する制御部と、を備え、複数の前記収容部の夫々は、収容した物品を支持する収容支持体を備え、前記搬送装置は、物品を支持する搬送支持部と、前記搬送支持部が前記収容部に対応する対応位置にある状態で前記搬送支持部から前記収容部に物品を移載する移載部と、前記搬送支持部が前記対応位置にある状態で前記収容支持体に備えられた被検出部を検出する検出部と、を備え、前記制御部は、複数の前記収容部の夫々について、物品の収容を許可する許可収容部及び物品の収容を禁止する禁止収容部のいずれであるかを設定する設定制御と、複数の前記収容部のうちの前記許可収容部に設定されている前記収容部の1つを、選択収容部として選択する選択制御と、前記搬送支持部を前記選択収容部に対応する前記対応位置に移動させるように前記搬送装置を制御する移動制御と、前記移動制御の後に前記検出部によって前記被検出部が検出されたか否かを判定する判定制御と、前記判定制御において前記被検出部が検出されたと判定した場合に、前記搬送支持部から、前記選択収容部が備える前記収容支持体に物品を移載するように前記搬送装置を制御する移載制御と、前記判定制御において前記被検出部が検出されなかったと判定した場合に、前記選択収容部と、当該選択収容部に対して予め設定された位置関係にある前記収容部である関連収容部と、を前記禁止収容部に設定する更新設定制御と、を実行すると共に、前記更新設定制御の後に、前記選択制御を再び実行して、複数の前記収容部のうちの前記許可収容部に設定されている前記収容部の1つを、新たな前記選択収容部として選択し、新たに選択された前記選択収容部に対応する前記対応位置に前記搬送支持部を移動させるように前記移動制御を実行する点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、制御部は、選択制御によって選択収容部を選択し、移動制御によって搬送支持部を選択収容部に対応する対応位置に移動させる。このように、搬送支持部を選択収容部に対応する対応位置に移動させた状態で、制御部は、検出部によって被検出部が検出されなかったと判断した場合は、選択収容部と関連収容部とを禁止収容部に設定する更新設定制御を実行する。
【0009】
搬送支持部が選択収容部に対応する対応位置ある状態で、検出部によって被検出部が検出されない原因として、選択収容部の収容支持体が変形したために収容支持体に設けられた被検出部の位置がずれていることが考えられる。収容支持体が変形していると、当該収容支持体を備えた収容部に物品を収容する場合に、物品が収容支持体に接触して物品が破損する場合や物品が搬送支持部から落下する場合等、不具合が生じる可能性がある。また、変形した収容支持体を備えた収容部の周囲にある別の収容部に物品を収容する場合にも、当該変形した収容支持体に物品が接触して物品が破損する場合や物品が落下する場合等、不具合が生じる可能性がある。しかし、本構成によれば、このような場合に、更新設定制御によって、選択収容部と関連収容部とが禁止収容部として設定され、次回以降の選択制御では選択収容部として選択されなくなるため、これらの収容部に物品を収容することによる不具合が生じることを回避することができる。そして、このように、更新設定制御を実行した後、更新後の許可収容部を対象として選択制御と移動制御とを実行することで、物品の搬送を継続して行うことができる。従って、物品を収容する際に不具合が生じることを回避しつつ、物品の搬送を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】搬送支持部が第1対応位置にある状態を示す移載装置の側面図
【
図5】搬送支持部が第2対応位置にある状態を示す移載装置の側面図
【
図14】走査制御における第1検出装置の動きを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.実施形態
以下、本発明にかかる物品搬送設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1及び
図2に示すように、物品搬送設備は、物品Wを収容する収容部1Aを複数備えた物品収容棚1と、物品Wを搬送するスタッカークレーン2と、を備えている。また、
図1に示すように、物品搬送設備は、物品収容棚1やスタッカークレーン2が設置される領域の周囲を覆う壁体Kと、壁体Kを貫通する状態で設置されて物品Wを搬送する搬送コンベヤ4と、を備えている。尚、本実施形態では、物品Wを、半導体基板(ウェハ)を収容したFOUP(Front Opening Unified Pod)としている。
【0012】
搬送コンベヤ4は、壁体Kの外側に位置する外側箇所4Aと壁体Kの内側に位置する内側箇所4Bとの間で物品Wを搬送するように構成されている。物品搬送設備では、天井搬送車6によって搬送コンベヤ4の外側箇所4Aに物品Wが載せられると、当該物品Wは、搬送コンベヤ4によって外側箇所4Aから内側箇所4Bに搬送された後、スタッカークレーン2により搬送コンベヤ4の内側箇所4Bから物品収容棚1の収容部1Aに搬送される。また、物品搬送設備では、スタッカークレーン2により物品Wが物品収容棚1の収容部1Aから搬送コンベヤ4の内側箇所4Bに搬送されると、当該物品Wは、搬送コンベヤ4によって内側箇所4Bから外側箇所4Aに搬送された後、天井搬送車6により外側箇所4Aから搬送される。尚、スタッカークレーン2が、物品Wを収容部1Aに搬送する搬送装置に相当する。
【0013】
以下、物品搬送設備の各構成について説明するが、
図2に示すように、上下方向Z視で物品収容棚1が沿う方向を左右方向Yとし、上下方向Z視で左右方向Yに対して直交する方向を前後方向Xとしている。また、前後方向Xにおいて、物品収容棚1に対してスタッカークレーン2が存在する方向を前方向側X1とし、その反対側を後方向側X2として説明する。また、左右方向Yの一方側を右方向側Y1とし、その反対側を左方向側Y2として説明する。尚、スタッカークレーン2から物品収容棚1を見る方向を基準として、右方向側Y1及び左方向側Y2を定義している。また、物品Wについては、物品Wを収容部1Aに収容した状態に基づいて前後方向X及び左右方向Yを定義して説明する。
【0014】
〔物品〕
図4及び
図5に示すように、物品Wは、半導体基板を収容する本体部12と、物品Wの上端部に備えられているフランジ部13と、本体部12の前面に形成された開口(図示せず)を閉じる着脱自在な蓋体(図示せず)と、を備えている。物品Wの底面16には、上方に窪む3つの溝状の被係合部17が形成されている。
【0015】
〔物品収容棚〕
図1及び
図2に示すように、物品収容棚1は、上下方向Z及び左右方向Yに並ぶ状態で複数の収容部1Aを備えている。複数の収容部1Aの夫々は、収容した物品Wを支持する収容支持体21を備えている。収容支持体21は、物品Wの底面16を下方から支持するように構成されている。説明を加えると、
図4及び
図5に示すように、収容支持体21は、物品Wの被係合部17に下方から係合する3つの収容突起部21Aを備えている。そして、収容支持体21は、3つの収容突起部21Aが物品Wの被係合部17に下方から係合した状態で、物品Wの底面16を下方から支持するように構成されている。
【0016】
図1及び
図2に示すように、物品収容棚1は、枠組み22を備えている。枠組み22は、物品収容棚1における後方向側X2の端部に設置されている。
図2、
図4及び
図5に示すように、枠組み22は、上下方向Zに沿う姿勢で設置された複数の縦枠体22Aと、左右方向Yに沿う姿勢で設置された横枠体22Bと、を組み合わせて格子状に形成されている。収容支持体21は、前後方向X及び左右方向Yに沿う姿勢の板状の部材によって構成されている。そして、収容支持体21は、その後方向側X2の端部が横枠体22Bに連結されている。つまり、収容支持体21は、枠組み22から前方向側X1に突出する片持ち状の姿勢で枠組み22に支持されている。
【0017】
図3に示すように、収容支持体21は、被検出部23を備えている。本実施形態では、被検出部23は、再帰性反射(入射光を光源方向に向けて反射)する反射板としている。被検出部23は、収容支持体21における前方向側X1の端部に設置されている。
図4に示すように、移載装置34が収容部1Aに対応する第1対応位置P1にあり且つ収容支持体21が適正な状態である場合に、スタッカークレーン2に備えられている第1検出装置35Aからの光が被検出部23に入射する。また、
図5に示すように、移載装置34が収容部1Aに対応する第2対応位置P2にあり且つ収容支持体21が適正な状態である場合に、スタッカークレーン2に備えられている第2検出装置35Bからの光が被検出部23に入射する。尚、収容支持体21が適正な状態とは、枠組み22に対して予め設定された位置に収容支持体21が固定されていると共に、収容支持体21が規定形状から変形していない状態である。尚、図示は省略するが、収容支持体21と同様に、搬送コンベヤ4にも被検出部23を備えている。
【0018】
〔スタッカークレーン〕
図1及び
図2に示すように、スタッカークレーン2は、左右方向Yに沿って走行する走行台車31と、走行台車31に立設されたマスト32と、マスト32に沿って昇降する昇降体33と、昇降体33に支持された移載装置34と、被検出部23を検出する検出部35と、を備えている。
【0019】
図3から
図5に示すように、移載装置34は、昇降体33に屈伸自在に連結されたリンク機構36と、リンク機構36の先端部にリンク機構36の屈伸に連動して上下方向Zに沿う軸芯周りに回転するように連動連結された搬送支持部37と、を備えている。移載装置34は、出退用モータ38(
図6参照)によってリンク機構36を屈伸動作させることにより、搬送支持部37の姿勢を維持させた状態で搬送支持部37を前後方向Xに沿って出退移動させるように構成されている。移載装置34は、搬送支持部37の出退移動と昇降体33の昇降移動とによって、移載対象箇所(収容部1Aや搬送コンベヤ4の内側箇所4B)と自己との間で物品Wを移載するように構成されている。尚、移載装置34が、搬送支持部37が収容部1Aに対応する対応位置にある状態で搬送支持部37から収容部1Aに物品Wを移載する移載部に相当する。
【0020】
図4に示すように、搬送支持部37は、物品Wの底面16を下方から支持するように構成されている。説明を加えると、搬送支持部37は、物品Wの被係合部17に下方から係合する3つの搬送突起部37Aを備えており、搬送支持部37は、3つの搬送突起部37Aが物品Wの被係合部17に下方から係合した状態で、物品Wの底面16を下方から支持するように構成されている。
【0021】
図3から
図5に示すように、検出部35は、移載装置34に支持されている。本実施形態では、検出部35は、移載装置34における搬送支持部37に支持されている。そして、
図4に示すように、搬送支持部37が第1対応位置P1にある状態で被検出部23に向けて光を投光し且つ被検出部23からの反射光を受光する第1検出装置35Aと、
図5に示すように、搬送支持部37が第2対応位置P2にある状態で被検出部23に向けて光を投光し且つ被検出部23からの反射光を受光する第2検出装置35Bと、を有している。このように、検出部35は、搬送支持部37が対応位置(第1対応位置P1又は第2対応位置P2)にある状態で被検出部23を検出する。
【0022】
図4及び
図5に示すように、第1対応位置P1は、第2対応位置P2に対して予め設定された設定値だけ
上方向側Z
1に設定されている。そして、物品Wを収容部1Aに収容する場合は、物品Wを支持した搬送支持部37が第1対応位置P1にある状態から、搬送支持部37を後方向側X2に突出させるように移載装置34を動作させ、昇降体33を設定値だけ下方向側Z2に移動させてこの移動途中において搬送支持部37に支持されている物品Wを収容支持体21に支持させた後、搬送支持部37を前方向側X1に引退させて第2対応位置P2に位置するように移載装置34を動作させる。このようにして、搬送支持部37から収容支持体21に物品Wを移載して、物品Wを収容部1Aに収容する。物品Wを収容部1Aから取り出す場合は、物品Wを支持していない搬送支持部37が第2対応位置P2にある状態から、物品Wを収容部1Aに収容する場合の逆の動きによって、収容支持体21から搬送支持部37に物品Wを移載して、物品Wを収容部1Aから取り出す。
【0023】
図6に示すように、スタッカークレーン2は、走行台車31を走行移動させる走行用モータ41と、走行台車31の走行位置を検出するための走行用位置検出装置42と、昇降体33を昇降移動させる昇降用モータ43と、昇降体33の昇降位置を検出するための昇降用位置検出装置44と、を備えている。本実施形態では、スタッカークレーン2は、走行用位置検出装置42として、左右方向Yの基準位置から走行台車31までの距離を計測するレーザー距離計を備えており、昇降用位置検出装置44として、上下方向Zの基準位置から昇降体33までの距離を計測するレーザー距離計を備えている。
【0024】
〔制御部〕
物品搬送設備は、スタッカークレーン2及び表示部46を制御する制御部Hを備えている。制御部Hは、搬送コンベヤ4の内側箇所4Bと物品収容棚1の収容部1Aとの間で物品Wを搬送するように、スタッカークレーン2を制御する。また、制御部Hは、複数の収容部1Aの夫々について、物品Wの収容を許可する許可収容部51及び物品Wの収容を禁止する禁止収容部52のいずれであるか、を管理している。更に、制御部Hは、1つ又は複数の許可収容部51の夫々について、物品Wを収容していない空収容部53及び物品Wを収容している実収容部54のいずれであるか、を管理している。制御部Hは、複数の収容部1Aの夫々について許可収容部51及び禁止収容部52の何れであるかを示す情報である許可/禁止設定情報58と、1つ又は複数の許可収容部51の夫々について空収容部53及び実収容部54の何れかであるかを示す情報である空/実設定情報59と、を記憶部60に記憶している。
【0025】
また、制御部Hによる収容部1Aの管理状態を変更するための入力部47が備えられている。本実施形態では、表示部46がタッチパネルを備えており、作業者がタッチパネルに触れて表示部46を操作することで、収容部1Aの管理状態の変更を入力することが可能となっている。つまり、表示部46が入力部47の機能を備えている。そして、作業者が、収容部1Aの管理状態の変更を表示部46に入力することで、収容部1Aの管理状態を変更するための設定変更指令が制御部Hに送信される。
【0026】
制御部Hは、複数の収容部1Aの夫々についての状態を表示するように、表示部46を制御する。詳しくは、制御部Hは、複数の収容部1Aの夫々について、許可収容部51及び禁止収容部52のいずれであるか、並びに、収容部1Aが空収容部53及び実収容部54のいずれであるかを示すように、表示部46を制御する。
図12及び
図13は、表示部46の表示状態の一例を示している。本実施形態では、表示部46は、複数の収容部1Aのうちの指定した一部の収容部1Aの状態を表示する。尚、
図12は、
図11に示す複数の収容部1Aのいずれもが許可収容部51に設定されている状態を表示した表示部46を示している。また、
図13は、
図11に示す複数の収容部1Aの一部が禁止収容部52に設定されている状態を表示した表示部46を示している。
【0027】
図12及び
図13に示すように、表示部46には、空収容部53を示すシンボルである空シンボルS3と実収容部54を示すシンボルである実シンボルS4とを異なる態様で表示する。本実施形態では、空シンボルS3は矩形状のシンボルで表示しており、実シンボルS4は、矩形の中に物品W(本例ではFOUP)の図形を付したシンボルで表示している。また、
図13に示すように、表示部46には、許可収容部51を示すシンボルである許可シンボルS1と禁止収容部52を示すシンボルである禁止シンボルS2とを異なる態様で表示する。本実施形態では、禁止シンボルS2は矩形の中にハッチングを付したシンボルで表示しており、許可シンボルS1は矩形の中にハッチングを付さないシンボルで表示している。そのため、表示部46を見た作業者は、複数の収容部1Aの夫々について、許可収容部51及び禁止収容部52のいずれであるか、また、1つ又は複数の許可収容部51の夫々について、空収容部53及び実収容部54のいずれであるか、が認識できるようになっている。
【0028】
制御部Hは、設定制御と、第1選択制御と、第1移動制御と、第1判定制御と、第1移載制御と、第1更新設定制御と、第2選択制御と、第2移動制御と、第2判定制御と、第2移載制御と、第2更新設定制御と、走査制御と、を実行する。
【0029】
設定制御では、制御部Hは、複数の収容部1Aの夫々について、物品Wの収容を許可する許可収容部51及び物品Wの収容を禁止する禁止収容部52のいずれであるかを設定する。また、本実施形態では、設定制御では、制御部Hは、許可収容部51の夫々について、物品Wを収容していない空収容部53及び物品Wを収容している実収容部54のいずれであるかを設定する。そして、設定制御では、制御部Hは、作業者の操作による表示部46からの設定変更指令を受信した場合に、この設定変更指令に基づいて、複数の収容部1Aの夫々について、物品Wの収容を許可する許可収容部51及び物品Wの収容を禁止する禁止収容部52のいずれであるか、の収容部1Aの管理状態を設定変更する。
【0030】
第1選択制御は、搬送コンベヤ4が複数設置されている場合に複数の搬送コンベヤ4のいずれか1つの内側箇所4Bを搬送元として選択し、複数の収容部1Aのうち、許可収容部51に設定されていると共に空収容部53に設定されているもののうちの1つを、搬送先として選択する制御である。第2選択制御は、複数の収容部1Aのうち、許可収容部51に設定されていると共に実収容部54に設定されているもののうちの1つを、搬送元として選択し、搬送コンベヤ4が複数設置されている場合に複数の搬送コンベヤ4のいずれか1つの内側箇所4Bを搬送先に選択する制御である。第1選択制御及び第2選択制御によって選択された収容部1Aを、選択収容部55とする。尚、第1選択制御と、後述する第1再選択制御及び第2再選択制御とが、複数の収容部1Aのうちの許可収容部51に設定されている収容部1Aの1つを、選択収容部55として選択する選択制御に相当する。
【0031】
第1移動制御は、搬送先に対応する第1対応位置P1に搬送支持部37が位置するように、スタッカークレーン2を動作させる制御である。第1判定制御は、第1移動制御の後に第1検出装置35Aによって被検出部23が検出されたか否かを判定する制御である。第1移載制御は、搬送支持部37から搬送先に物品Wを移載するように、スタッカークレーン2を動作させる制御である。第2移動制御は、搬送元に対応する第2対応位置P2に搬送支持部37が位置するように、スタッカークレーン2を動作させる制御である。第2判定制御は、第2移動制御の後に第2検出装置35Bによって被検出部23が検出されたか否かを判定する制御である。第2移載制御は、搬送元から搬送支持部37に物品Wを移載するように、スタッカークレーン2を動作させる制御である。尚、搬送先が選択収容部55である場合の第1移動制御が、搬送支持部37を選択収容部55に対応する対応位置に移動させるように搬送装置を制御する移動制御に相当する。また、本実施形態では、移動制御の後に検出部35によって被検出部23が検出されたか否かを判定する判定制御は、搬送先が選択収容部55である場合の第1判定制御と後述する走査制御とを含んでいる。また、搬送先が選択収容部55である場合の第1移載制御が、判定制御において被検出部23が検出されたと判定した場合に、搬送支持部37から、選択収容部55が備える収容支持体21に物品Wを移載するように搬送装置を制御する移載制御に相当する。
【0032】
第1更新設定制御は、判定制御(第1判定制御及び走査制御)において被検出部23が検出されなかったと判定した場合に、選択収容部55と、当該選択収容部55に対して予め設定された位置関係にある収容部1Aである関連収容部56と、を禁止収容部52に設定する制御である。本実施形態では、判定制御において被検出部23が検出されなかったと判定した選択収容部55に対して、下方向側Z2、右方向側Y1、及び左方向側Y2に隣接する収容部1Aを、関連収容部56としている。尚、第1更新設定制御が、更新設定制御に相当する。第2更新設定制御は、第1移載制御を実行した後に選択収容部55を実収容部54に設定し、第2移載制御を実行した後に選択収容部55を空収容部53に設定する制御である。
【0033】
走査制御は、検出部35の位置を規定範囲で移動させる制御である。
図14に示すように、本実施形態では、走査制御は、スタッカークレーン2を左右方向Yに往復走行させて、第1検出装置35Aと第2検出装置35Bとを一体的に左右方向Yに沿って第1規定幅L1で往復移動させると共に、昇降体33を上下方向Zに往復移動させて、第1検出装置35Aと第2検出装置35Bとを一体的に第2規定幅L2で往復移動させる。本実施形態では、規定範囲は、左右方向Yの範囲が第1規定幅L1、上下方向Zの範囲が第2規定幅L2に設定されている。第1規定幅L1は、左右方向Yに隣接する収容支持体21同士の間隔より狭い幅に設定されており、第2規定幅L2は、収容部1Aに収容されている物品Wと当該収容部1Aに対して上方向側Z1に隣接する収容部1Aの収容支持体21との間隔より狭い幅に設定されている。
【0034】
本実施形態では、
図6に示すように、制御部Hは、スタッカークレーン2に搭載された第
2制御装置H
2と、床面上に設置されて表示部46を制御する第
1制御装置H
1と、を備えている。第1制御装置H1と第2制御装置H2とは互いに情報を送受信可能に構成されている。第1制御装置H1は、収容部1A及びスタッカークレーン2を管理する制御装置であり、管理制御を実行する。第2制御装置H2は、第1制御装置H1からの情報に基づいてスタッカークレーン2を制御する制御装置であり、搬送元から搬送先に物品Wを搬送する搬送制御を実行し、この搬送制御において、搬送元から搬送支持部37に物品Wを移載する(搬送元の物品Wを掬う)ための第2搬送制御と、搬送支持部37から搬送先に物品Wを移載する(搬送先に物品Wを降ろす)ための第1搬送制御とを実行する。
【0035】
次に、
図7に示す管理制御のフローチャート、
図8に示す搬送制御のフローチャート、
図9に示す第2搬送制御のフローチャート、及び
図10に示す第1搬送制御のフローチャートに基づいて、管理制御、搬送制御、第1搬送制御、及び第2搬送制御について説明する。
【0036】
図7の管理制御のフローチャートに示すように、管理制御では、第1制御装置H1は、入力部47から設定変更指令が入力される(S1:Yes)と、この設定変更指令に基づいて収容部1Aの管理状態を設定変更する設定制御を実行する(S2)。そして、第1制御装置H1は、上位のコントローラ(図示せず)からの搬入指令及び搬出指令を受信するまで待機(S3:No,S6:No)する。搬入指令を受信する(S3:Yes)と、搬送元として内側箇所4Bを選択すると共に搬送先として収容部1Aを選択する第1選択制御を実行(S4)した後、搬送元と搬送先とを示す情報を含む搬送指令情報を第2制御装置H2に送信(S5)する。一方、第1制御装置H1は、搬出指令を受信する(S6:Yes)と、搬送元として収容部1Aを選択すると共に搬送先として内側箇所4Bを選択する第2選択制御を実行(S7)した後、搬送元と搬送先とを示す情報を含む搬送指令情報を第2制御装置H2に送信する(S5)。このような搬送指令情報を受け取った第2制御装置H2により、搬送制御が実行される。
【0037】
すなわち、
図8の搬送制御のフローチャートに示すように、搬送制御では、第2制御装置H2は、第1制御装置H1からの搬送指令情報を受信する(S21)と、第2搬送制御(S22)を実行して搬送元の物品Wを掬った後、第1搬送制御(S23)を実行して搬送先に物品Wを降ろし、物品Wの搬送元から搬送先への搬送が完了すると、搬送が完了したことを示す搬送完了情報を第1制御装置H1に送信する(S24)。
【0038】
図7に示すように、管理制御では、第1制御装置H1は、第2制御装置H2に搬送指令情報を送信(S5)した後、第2制御装置H2から搬送完了情報を受信した場合(S15:Yes)は、選択収容部55を搬送先としている場合はその選択収容部55を実収容部54とし、選択収容部55を搬送元としている場合はその選択収容部55を空収容部53とする第2更新設定制御を実行する(S16)。
【0039】
図9の第2搬送制御のフローチャートに示すように、第2制御装置H2では、第2搬送制御は、第2移動制御を実行(S31)して搬送元に対応する第2対応位置P2に搬送支持部37が位置させた後、第2判定制御を実行(S32)して第2検出装置35Bによって被検出部23が検出されたか否かを判定する。第2制御装置H2は、第2判定制御において、被検出部23が検出された場合(S33:Yes)は、第2移載制御を実行(S34)して、搬送支持部37によって搬送元の物品Wを掬い、第2搬送制御を終了する。
【0040】
第2制御装置H2が第2搬送制御の実行を開始する場合は、第2フラグF2の値を「0」に設定している。第2フラグF2の値は、第2搬送制御において被検出部23が検出されなかった回数を示しており、第2搬送制御において被検出部23が検出されない毎に1加えられる。第2制御装置H2は、第2判定制御において被検出部23が検出されなかった場合(S33:No)は、第2フラグF2の値を「1」とし、検出部35を移動させる走査制御を実行(S36)する。第2制御装置H2は、走査制御において被検出部23が検出された場合(S37:Yes)は、第2移載制御を実行(S34)する。一方、走査制御においても被検出部23が検出されなかった場合(S37:No)は、第2制御装置H2は、第2フラグF2の値を「2」とし、搬送元の再設定を要求する再設定指令を第1制御装置H1に送信する。
【0041】
図7に示すように、管理制御では、第1制御装置H1は、第2制御装置H2に搬送指令情報を送信(S5)した後、第2制御装置H2からの再設定指令を受信した場合(S8:Yes)は、第1更新設定制御を実行(S9)して選択収容部55と関連収容部56とを禁止収容部52に設定する。第1制御装置H1は、禁止収容部52に設定した収容部1Aに物品Wが収容されておらず(S10:Yes)、再設定指令が第2搬送制御の実行中に送信された指令(S11:No)であれば第2再選択制御(S13)を実行し、この第2再選択制御によって選択した収容部1Aを示す再設定情報を第2制御装置H2に送信する(S14)。第2再選択制御は、第1選択制御又は第2選択制御によって搬送元として選択された収容部1Aとは別の収容部1Aであって許可収容部51に設定され且つ実収容部54に設定されている収容部1Aを、搬送元として新たに選択する制御である。このように、選択制御を再び実行(第2選択制御の後に第2再選択制御を実行)して、複数の収容部1Aのうちの許可収容部51に設定されている収容部1Aの1つを、新たな選択収容部55として選択する。尚、第2再選択制御を実行する場合において、搬送元として内側箇所4Bが設定されている場合は、スタッカークレーン2の停止誤差により被検出部23を検出できないと判断して、スタッカークレーン2を非常停止させる非常停止指令を第2制御装置H2に送信する。また、第1制御装置H1は、禁止収容部52に設定した収容部1Aに物品Wが収容されている場合(S10:No)は、収容部1Aから取り出せない物品Wが発生したと判断して、スタッカークレーン2を非常停止させる非常停止指令を第2制御装置H2に送信する(S17)。第2制御装置H2は、第1制御装置H1からの非常停止指令を受信した場合は、スタッカークレーン2を非常停止させる。このように、制御部Hは、更新設定制御を実行する場合において関連収容部56に既に物品Wが収容されている場合には、スタッカークレーン2の作動を停止させる非常停止制御を実行する。
【0042】
図9に示すように、第2搬送制御では、第2制御装置H2は、再設定指令(S38)に応じて第1制御装置H1から送信された再設定情報に基づいて、第2移動制御(S31)及び第2判定制御(S32)を実行する。このように、第2制御装置H2は、新たに選択された選択収容部55に対応する対応位置に搬送支持部37を移動させるように第2移動制御を実行する。そして、第2制御装置H2は、この第2移動制御の直後に実行する第2判定制御において、被検出部23が検出された場合(S33:Yes)は、第2移載制御を実行(S34)し、被検出部23が検出されなかった場合(S33:No)は、第2フラグF2の値を「3」とし、検出部35を移動させる走査制御を実行(S36)する。そして、第2制御装置H2は、この走査制御において被検出部23が検出された場合(S37:Yes)は、第2移載制御を実行(S34)する。一方、走査制御においても被検出部23が検出されなかった場合(S37:No)は、第2制御装置H2は、第2フラグF2の値を「4」とし、スタッカークレーン2の走行や昇降の基準となる基準位置がずれる等によって第2対応位置P2に対応する位置に搬送支持部37を適切に位置させることがでない、又は、多数の収容支持体21が変形していると判断して、スタッカークレーン2を非常停止させる非常停止制御を実行する(S39)。
【0043】
図10の第1搬送制御のフローチャートに示すように、第1搬送制御では、第2制御装置H2は、第1移動制御を実行(S41)して搬送先に対応する第1対応位置P1に搬送支持部37が位置させた後、第1判定制御を実行(S42)して第1検出装置35Aによって被検出部23が検出されたか否かを判定する。第2制御装置H2は、第1判定制御において、被検出部23が検出された場合(S43:Yes)は、第1移載制御を実行(S44)して、搬送支持部37から搬送先に物品Wを降し、第1搬送制御を終了する。
【0044】
第2制御装置H2が第1搬送制御の実行を開始する場合は、第1フラグF1の値を「0」に設定している。第1フラグF1の値は、第1搬送制御において被検出部23が検出されなかった回数を示しており、第1搬送制御において被検出部23が検出されない毎に1加えられる。第2制御装置H2は、第1判定制御において被検出部23が検出されなかった場合(S43:No)は、第1フラグF1の値をが「1」とし、検出部35を移動させる走査制御を実行(S46)する。第2制御装置H2は、走査制御において被検出部23が検出された場合(S47:Yes)は、第1移載制御を実行(S44)する。一方、走査制御においても被検出部23が検出されなかった場合(S47:No)は、第2制御装置H2は、第1フラグF1の値を「2」とし、搬送先の再設定を要求する再設定指令を第1制御装置H1に送信する。
【0045】
図7に示すように、管理制御では、第1制御装置H1は、第2制御装置H2に搬送指令情報を送信(S5)した後、第2制御装置H2からの再設定指令を受信した場合(S8:Yes)は、第1更新設定制御を実行(S9)して選択収容部55と関連収容部56とを禁止収容部52に設定する。第1制御装置H1は、禁止収容部52に設定した収容部1Aに物品Wが収容されておらず(S10:Yes)、再設定指令が第1搬送制御の実行中に送信された指令(S11:Yes)であれば第1再選択制御(S12)を実行し、この第
1再選択制御によって選択した収容部1Aを示す再設定情報を第2制御装置H2に送信する(S14)。第1再選択制御は、第1選択制御又は第2選択制御によって搬送先として選択された収容部1Aとは別の収容部1Aであって許可収容部51に設定され且つ
空収容部5
3に設定されている収容部1Aを、搬送先として新たに選択する制御である。このように、選択制御を再び実行(第1選択制御の後に第1再選択制御を実行)して、複数の収容部1Aのうちの許可収容部51に設定されている収容部1Aの1つを、新たな選択収容部55として選択する。尚、第1再選択制御を実行する場合において、搬送先として内側箇所4Bが設定されている場合は、スタッカークレーン2の停止誤差により被検出部23を検出できないと判断して、スタッカークレーン2を非常停止させる非常停止指令を第2制御装置H2に送信する。
【0046】
図10に示すように、第1搬送制御では、第2制御装置H2は、再設定指令(S48)に応じて第1制御装置H1から送信された再設定情報に基づいて、第1移動制御(S41)及び第1判定制御(S42)を実行する。このように、第2制御装置H2は、新たに選択された選択収容部55に対応する対応位置に搬送支持部37を移動させるように第1移動制御を実行する。そして、第2制御装置H2は、この第1移動制御の直後に実行する第1判定制御において、被検出部23が検出された場合(S43:Yes)は、第1移載制御を実行(S44)し、被検出部23が検出されなかった場合(S43:No)は、第1フラグF1の値を「3」とし、検出部35を移動させる走査制御を実行(S46)する。そして、第2制御装置H2は、この走査制御において被検出部23が検出された場合(S47:Yes)は、第1移載制御を実行(S44)する。一方、走査制御においても被検出部23が検出されなかった場合(S47:No)は、第2制御装置H2は、第1フラグF1の値を「4」とし、スタッカークレーン2の走行や昇降の基準となる基準位置がずれる等によって第
1対応位置P
1に対応する位置に搬送支持部37を適切に位置させることがで
きない、又は、多数の収容支持体21が変形していると判断して、スタッカークレーン2を非常停止させる非常停止制御を実行する(S49)。
【0047】
第2制御装置H2は、第1搬送制御及び第2搬送制御において、搬送支持部37が対応位置にある状態で検出部35によって被検出部23が検出されなかった場合に、検出部35の位置を規定範囲で移動させる走査制御を実行し、走査制御を実行しても検出部35によって被検出部23が検出されなかった場合に、被検出部23が検出されなかったと判定する。つまり、本実施形態では、第1搬送制御における判定制御は、第1判定制御と走査制御とを含む制御であり、第2搬送制御における判定制御は、第2判定制御と走査制御とを含む制御である。
【0048】
2.その他の実施形態
次に、物品搬送設備のその他の実施形態について説明する。
【0049】
(1)上記の実施形態では、制御部Hが、更新設定制御の直後に実行した選択制御及び移動制御に続く判定制御において、被検出部23が検出されなかったと判定した場合に、スタッカークレーン2の作動を停止させる非常停止制御を実行する構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、制御部Hが、更新設定制御の直後に実行した選択制御及び移動制御に続く判定制御において、被検出部23が検出されなかったと判定した場合に、更に更新設定制御を実行し、その後、選択制御及び移動制御を実行するように構成してもよい。
【0050】
(2)上記の実施形態では、判定制御において、走査制御を実行しても検出部35によって被検出部23が検出されなかった場合に、被検出部23が検出されなかったと判定する構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、判定制御において、搬送支持部37が対応位置にある状態で検出部35によって被検出部23が検出されなかった場合に、被検出部23が検出されなかったと判定する構成として、走査制御を実行しないようにしてもよい。
【0051】
(3)上記の実施形態では、収容支持体21を、物品Wの底面16を下方から支持する構成とする例を説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、収容支持体21を、物品Wの上端部を支持する構成とする等、収容支持体21の物品Wを支持する形態は適宜変更してもよい。
【0052】
(4)上記の実施形態では、関連収容部56を、選択収容部55に対して、下方向側Z2、右方向側Y1、及び左方向側Y2に隣接する収容部1Aとする構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、選択収容部55に対して、上方向側Z1、下方向側Z2、右方向側Y1、及び左方向側Y2の4方向に隣接する収容部1Aの中から選択される1つ以上の任意の収容部1Aを関連収容部56にすることができる。更には、選択収容部55に対して斜め上方に隣接する2つの収容部1Aと斜め下方に隣接する2つの収容部1Aとの中から選択される1つ以上の任意の収容部1Aを関連収容部56にすることもできる。このように、関連収容部56とする収容部1Aは適宜設定可能である。
【0053】
(5)上記実施形態では、搬送装置をスタッカークレーン2とする構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、搬送装置が、左右方向Yに走行する搬送台車を上下方向Zに複数並べて構成されたものでもよい。或いは、搬送装置がレールに沿って昇降する昇降体33を備えて構成されたものであってもよい。この場合において、複数の収容部1Aを上下方向Z視で円弧状に配置して、昇降体33に対して移載装置34が旋回することで、円弧状に左右方向Yに並ぶ複数の収容部1Aに対して物品Wを収容可能な構成としても好適である。
【0054】
(6)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0055】
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した物品搬送設備の概要について説明する。
【0056】
物品搬送設備は、上下方向及び左右方向に並ぶ状態で複数の収容部を備えた物品収容棚と、前記収容部に物品を搬送する搬送装置と、前記搬送装置を制御する制御部と、を備え、複数の前記収容部の夫々は、収容した物品を支持する収容支持体を備え、前記搬送装置は、物品を支持する搬送支持部と、前記搬送支持部が前記収容部に対応する対応位置にある状態で前記搬送支持部から前記収容部に物品を移載する移載部と、前記搬送支持部が前記対応位置にある状態で前記収容支持体に備えられた被検出部を検出する検出部と、を備え、前記制御部は、複数の前記収容部の夫々について、物品の収容を許可する許可収容部及び物品の収容を禁止する禁止収容部のいずれであるかを設定する設定制御と、複数の前記収容部のうちの前記許可収容部に設定されている前記収容部の1つを、選択収容部として選択する選択制御と、前記搬送支持部を前記選択収容部に対応する前記対応位置に移動させるように前記搬送装置を制御する移動制御と、前記移動制御の後に前記検出部によって前記被検出部が検出されたか否かを判定する判定制御と、前記判定制御において前記被検出部が検出されたと判定した場合に、前記搬送支持部から、前記選択収容部が備える前記収容支持体に物品を移載するように前記搬送装置を制御する移載制御と、前記判定制御において前記被検出部が検出されなかったと判定した場合に、前記選択収容部と、当該選択収容部に対して予め設定された位置関係にある前記収容部である関連収容部と、を前記禁止収容部に設定する更新設定制御と、を実行すると共に、前記更新設定制御の後に、前記選択制御を再び実行して、複数の前記収容部のうちの前記許可収容部に設定されている前記収容部の1つを、新たな前記選択収容部として選択し、新たに選択された前記選択収容部に対応する前記対応位置に前記搬送支持部を移動させるように前記移動制御を実行する。
【0057】
本構成によれば、制御部は、選択制御によって選択収容部を選択し、移動制御によって搬送支持部を選択収容部に対応する対応位置に移動させる。このように、搬送支持部を選択収容部に対応する対応位置に移動させた状態で、制御部は、検出部によって被検出部が検出されなかったと判断した場合は、選択収容部と関連収容部とを禁止収容部に設定する更新設定制御を実行する。
【0058】
搬送支持部が選択収容部に対応する対応位置ある状態で、検出部によって被検出部が検出されない原因として、選択収容部の収容支持体が変形したために収容支持体に設けられた被検出部の位置がずれていることが考えられる。収容支持体が変形していると、当該収容支持体を備えた収容部に物品を収容する場合に、物品が収容支持体に接触して物品が破損する場合や物品が搬送支持部から落下する場合等、不具合が生じる可能性がある。また、変形した収容支持体を備えた収容部の周囲にある別の収容部に物品を収容する場合にも、当該変形した収容支持体に物品が接触して物品が破損する場合や物品が落下する場合等、不具合が生じる可能性がある。しかし、本構成によれば、このような場合に、更新設定制御によって、選択収容部と関連収容部とが禁止収容部として設定され、次回以降の選択制御では選択収容部として選択されなくなるため、これらの収容部に物品を収容することによる不具合が生じることを回避することができる。そして、このように、更新設定制御を実行した後、更新後の許可収容部を対象として選択制御と移動制御とを実行することで、物品の搬送を継続して行うことができる。従って、物品を収容する際に不具合が生じることを回避しつつ、物品の搬送を継続することができる。
【0059】
ここで、前記収容支持体は、物品の底面を下方から支持するように構成され、前記関連収容部は、前記判定制御において前記被検出部が検出されなかったと判定した前記選択収容部に対して、下方向側、右方向側、及び左方向側に隣接する前記収容部であると好適である。
【0060】
本構成によれば、収容支持体は、収容部に収容されている物品の下方に位置している。そのため、選択収容部の収容支持体が下方向側に変形している場合は、選択収容部の下方向側に隣接する収容部に物品を収容する場合に、当該物品が変形した収容支持体に接触する可能性がある。また、選択収容部の収容支持体が右方向側や左方向側に変形している場合は、選択収容部の右方向側や左方向側に隣接する収容部に物品を収容する場合に、当該物品が変形した収容支持体に接触する可能性がある。これに対して、選択収容部の収容支持体が上方向側に変形したとしても、当該収容支持体を備えた収容部の上方向側に隣接する収容部に物品を収容する場合に、当該物品が変形した収容支持体に接触する可能性はほとんどない。
【0061】
本構成によれば、選択収容部に対して、下方向側、右方向側、及び左方向側に隣接する収容部を関連収容部として、更新設定制御において禁止収容部に設定することで、これらの収容部に物品を収容することによる不具合が生じることを回避できる。一方、選択収容部に対して上方向側に隣接する収容部を関連収容部とせずに、更新設定制御において禁止収容部に設定しないことで、上方向側に隣接する収容部には物品を収容することができる状態が維持される。そのため、当該上方側に隣接する収容部を関連収容部として設定する場合に比べて、物品収容棚の収容効率の低下の程度を小さく抑えることができる。
【0062】
また、前記制御部は、前記更新設定制御を実行する場合において前記関連収容部に既に物品が収容されている場合には、前記搬送装置の作動を停止させる非常停止制御を実行すると好適である。
【0063】
本構成によれば、関連収容部から物品を取り出すことができなくなることにより、必要な物品を物品収容棚から取り出すことができない状態となることを回避できる。
【0064】
また、前記制御部は、前記更新設定制御の直後に実行した前記選択制御及び前記移動制御に続く前記判定制御において、前記被検出部が検出されなかったと判定した場合には、前記搬送装置の作動を停止させる非常停止制御を実行すると好適である。
【0065】
搬送支持部が選択収容部に対応する対応位置ある状態で、検出部によって被検出部が検出されない原因として、上述した収容支持体の変形の他に、移動制御による搬送支持部の停止位置に誤差が生じて搬送支持部の停止位置が選択収容部の対応位置からずれていることが考えられる。このような場合には、他の収容部を選択収容部として選択して当該選択収容部の対応位置に搬送支持部を移動させたとしても、検出部によって被検出部が検出されない可能性が高い。本実施形態では、このような場合に、搬送装置の作動を停止させる非常停止制御を実行するため、搬送支持部の停止位置に誤差が生じている場合にも、早急な対応が可能となる。
【0066】
また、前記判定制御では、前記搬送支持部が前記対応位置にある状態で前記検出部によって前記被検出部が検出されなかった場合、前記検出部の位置を規定範囲で移動させる走査制御を実行し、前記走査制御を実行しても前記検出部によって前記被検出部が検出されなかった場合に、前記被検出部が検出されなかったと判定すると好適である。
【0067】
搬送支持部が対応位置にある状態で検出部によって被検出部が検出されなかった場合でも、収容支持体の変形や搬送支持部の停止位置のずれが軽微であって物品の収容に影響がほとんどない場合がある。本構成によれば、搬送支持部が対応位置にある状態で検出部によって被検出部が検出されなかった場合でも、制御部が走査制御を実行して検出部によって被検出部が検出された場合は、搬送支持部の変形や搬送支持部の停止位置のずれが軽微であり、物品の収容に影響がないとして、移載制御を実行することができる。また、制御部が走査制御を実行して検出部によって被検出部が検出されなかった場合は、搬送支持部の変形や搬送支持部の停止位置のずれが軽微ではなく、物品の収容に影響があるとして、当該選択収容部に物品を収容しないようにするため、物品を収容する際に不具合が生じることを回避できる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本開示に係る技術は、収容部に物品を搬送する搬送装置と、搬送装置を制御する制御部と、を備えた物品搬送設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1:物品収容棚
1A:収容部
2:スタッカークレーン(搬送装置)
16:底面
21:収容支持体
23:被検出部
34:移載装置(移載部)
35:検出部
37:搬送支持部
51:許可収容部
52:禁止収容部
55:選択収容部
H:制御部
W:物品
Y:左右方向
Y1:右方向側
Y2:左方向側
Z:上下方向
Z2:下方向側