(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】ベーステープおよび電子部品連
(51)【国際特許分類】
B65D 85/86 20060101AFI20221213BHJP
B65D 73/02 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B65D85/86 300
B65D73/02 K
(21)【出願番号】P 2019184234
(22)【出願日】2019-10-07
【審査請求日】2021-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】清水 保弘
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-024473(JP,A)
【文献】特開2012-081997(JP,A)
【文献】特開2016-146469(JP,A)
【文献】特開2019-147610(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2000-0033873(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/86
B65D 73/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品を収納するためのベーステープであって、
前記ベーステープの長手方向を長さ方向とし、短手方向を幅方向としたとき、
互いに対向し前記長さ方向に延在する一方主面を有し、前記長さ方向に互いに離間して形成され、前記電子部品の収納領域となる複数の部品収納部を含むテープ本体を備え、
前記部品収納部は、
前記テープ本体の前記一方主面において、矩形状の開口部を有する収納凹部と、
前記開口部の4辺において、前記幅方向に対向する辺の一方側には、その他方側の辺よりも前記一方主面から前記収納凹部の内部方向に向かって高さが低くなる第1傾斜部と、
前記長さ方向に対向する辺の一方側には、その他方側の辺よりも前記一方主面から前記収納凹部の内部方向に向かって高さが低くなる第2傾斜部と、
を有し、
前記長さ方向と前記幅方向とそれぞれ直交する方向を高さ方向としたとき、
前記高さ方向における、前記収納凹部の深さD、前記第1傾斜部の深さをD
1、前記第2傾斜部の深さをD
2としたとき、
2×D
1≦D、かつ、2×D
2≦Dであ
り、
前記第2傾斜部は、前記収納凹部の前記長さ方向のうち、前記ベーステープの送り方向の正方向側に配置される、
ベーステープ。
【請求項2】
D
1
≦D
2
である、請求項1に記載のベーステープ。
【請求項3】
前記第1傾斜部の勾配θ
1
の大きさは、前記第2傾斜部の勾配θ
2
の大きさ以下である、
請求項1または請求項2に記載のベーステープ。
【請求項4】
前記第1傾斜部および前記第2傾斜部は、それぞれ曲面形状である、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のベーステープ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のベーステープと、
前記収納凹部内に収納された電子部品と、
前記電子部品が収納された前記収納凹部の前記開口部を塞ぐように前記テープ本体の前記一方主面の一部を覆うカバーテープと、
を備える、電子部品連。
【請求項6】
前記長さ方向における、前記電子部品の寸法をW寸法とし、前記幅方向における、前記電子部品の寸法をL寸法とし、前記高さ方向における、前記電子部品の寸法をT寸法としたとき、
W≦T、かつ、T≦Lである、請求項
5に記載の電子部品連。
【請求項7】
前記電子部品は、積層セラミックコンデンサである、請求項5または請求項6に記載の電子部品連。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ベーステープおよび電子部品連に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品連のベーステープは、帯状のテープ本体に略直方体状の複数の収納凹部が長さ方向に等間隔に設けられており、かつ、略円状の多数の送り孔が長さ方向に等間隔で設けられた構造である(たとえば、特許文献1を参照)。
このようなベーステープの収納凹部に、上から電子部品を挿入する場合、収納凹部と挿入前の電子部品の2次元位置を上からみて整合させる必要があった。
【0003】
そこで、近年では、挿入時の相互位置の管理を簡便化するため、ベーステープの収納凹部に対して、横方向(長さ方向に直交する方向)から電子部品を挿入する方法が検討されている。このような横方向から電子部品を挿入する方法として、特許文献2に開示されるようなベーステープが提案されている。
【0004】
特許文献2に開示されるベーステープは、ベーステープが、帯状のテープ本体と、電子部品の収納可能な長さ、幅および深さを有し、かつ、テープ本体に長さ方向に等間隔で設けられた収納凹部とを有しており、テープ本体における収納凹部の幅方向一側には、テープ本体の上面から収納凹部の幅方向一側面に向かって深さが増加し、かつ、収納凹部と連続する形態の案内凹部が設けられるような構造が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-240851号公報
【文献】特開2018-024473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2において開示されるベーステープでは、収納凹部の部品挿入側の一辺のみに傾斜をする案内凹部が設けられているため、その収納凹部に対するクリアランスの小さい電子部品を挿入する際には、電子部品がその傾斜部以外の辺の角部にひっかかる、あるいは引っかかった後に、ベーステープの上面に乗り上げてしまう虞があった。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、ベーステープに形成される収納凹部に対して横方向から電子部品を挿入する際に、安定して挿入しうるベーステープと、そのベーステープを備える電子部品連を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明にかかるベーステープは、複数の電子部品を収納するためのベーステープであって、前記ベーステープの長手方向を長さ方向とし、短手方向を幅方向としたとき、互いに対向し前記長さ方向に延在する一方主面を有し、前記長さ方向に互いに離間して形成され、前記電子部品の収納領域となる複数の部品収納部を含むテープ本体を備え、前記部品収納部は、前記テープ本体の前記一方主面において、矩形状の開口部を有する収納凹部と、前記開口部の4辺において、前記幅方向に対向する辺の一方側には、その他方側の辺よりも前記一方主面から前記収納凹部の内部方向に向かって高さが低くなる第1傾斜部と、前記長さ方向に対向する辺の一方側には、その他方側の辺よりも前記一方主面から前記収納凹部の内部方向に向かって高さが低くなる第2傾斜部と、を有し、前記長さ方向と前記幅方向とそれぞれ直交する方向を高さ方向としたとき、前記高さ方向における、前記収納凹部の深さD、前記第1傾斜部の深さをD1、前記第2傾斜部の深さをD2としたとき、2×D1≦D、かつ、2×D2≦Dであり、第2傾斜部は、収納凹部の長さ方向のうち、ベーステープの送り方向の正方向側に配置される、ベーステープである。
【0009】
また、この発明にかかる電子部品連は、本発明にかかるベーステープと、収納凹部内に収納された電子部品と、電子部品が収納された収納凹部の開口部を塞ぐようにテープ本体の一方主面の一部を覆うカバーテープと、を備える、電子部品連である。
【0010】
この発明にかかるベーステープでは、部品収納部が、テープ本体の一方主面において、矩形状の開口部を有する収納凹部と、開口部の4辺において、幅方向に対向する辺の一方側には、一方主面よりも収納凹部の内部方向に向かって高さが低くなる第1傾斜部と、長さ方向に対向する辺の一方側には、一方主面よりも収納凹部の内部方向に向かって高さが低くなる第2傾斜部と、を有するので、電子部品を部品収納部が有する収納凹部に対して、電子部品の回転を抑制しつつ、テープ本体の一方主面上に乗り上げることを抑制して、安定して、電子部品を挿入することができる。また、そのようなベーステープを備えた電子部品連を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
それゆえに、この発明の主たる目的は、ベーステープに形成される収納凹部に対して横方向から電子部品を挿入する際に、安定して挿入しうるベーステープと、そのベーステープを備える電子部品連を得ることである。
【0012】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明の第1の実施の形態に係る電子部品連に収納される電子部品の一例を示す外観斜視図である。
【
図2】この発明の第1の実施の形態に係る電子部品連をリールに巻き回された状態を示す斜視図である。
【
図3】この発明の第1の実施の形態にかかる電子部品連の外観を示す外観斜視図である。
【
図4】この発明の第1の実施の形態にかかる電子部品連の外観を示す正面図である。
【
図6】この発明の第1の実施の形態にかかるベーステープの外観を示す外観斜視図である。
【
図7】(a)は、この発明の第1の実施の形態にかかるベーステープの上面図であり、(b)は、a部の部分拡大図である。
【
図8】
図7(b)の線VIII-VIIIにおける断面図である。
【
図9】
図7(b)の線IX-IXにおける断面図である。
【
図10】(a)ないし(c)は、
図6に示したベーステープの部品収納部に横方向から電子部品を挿入する方法の一例を示す図である。
【
図11】リールから電子部品連を送り出す状態を示す図であり、(a)はその上面図であり、(b)はその側面図である。
【
図12】
図11(a)の線XII-XIIにおける断面図である。
【
図13】この発明の第1の実施の形態の変形例に係るベーステープの
図8の対応図である。
【
図14】この発明の第1の実施の形態の変形例に係るベーステープの
図9の対応図である。
【
図15】この発明の第2の実施の形態にかかる電子部品連におけるベーステープの外観を示す外観斜視図である。
【
図16】(a)は、この発明の第2の実施の形態にかかる電子部品連におけるベーステープの上面図であり、(b)は、b部の部分拡大図である。
【
図17】
図16の線XVII-XVIIにおける断面図である。
【
図18】
図16の線XVIII-XVIIIにおける断面図である。
【
図19】この発明の他の実施の形態の変形例に係るベーステープの
図8の対応図である。
【
図20】この発明の他の実施の形態の変形例に係るベーステープの
図9の対応図である。
【
図21】この発明の他の実施の形態の変形例に係るベーステープの
図13の対応図である。
【
図22】この発明の他の実施の形態の変形例に係るベーステープの
図14の対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.第1の実施の形態
(a)電子部品連
図1は、この発明の第1の実施の形態に係る電子部品連に収納される電子部品の一例を示す外観斜視図である。
図2は、この発明の第1の実施の形態に係る電子部品連をリールに巻き回された状態を示す斜視図である。
図3は、この発明の第1の実施の形態にかかる電子部品連の外観を示す外観斜視図である。
図4は、この発明の第1の実施の形態にかかる電子部品連の外観を示す正面図である。
図5は、
図3の線V-Vにおける断面図である。
【0015】
第1の実施形態の電子部品連10は、
図3に示すように、電子部品包装体12と、電子部品14と、を含む。そして、電子部品連10は、
図2に示すように、リールRに巻き回されている。
【0016】
(b)電子部品
電子部品14は、例えば、抵抗器、コンデンサ、インダクタ等である。
まず、このような電子部品14の一例として積層セラミック電子部品(積層セラミックコンデンサ)について説明する。
図1は、電子部品14の外観を示す斜視図である。
図1においては、素体の長手方向をL、素体の幅方向をW、素体の厚さ方向をTで示している。
【0017】
図1に示すように、電子部品14は、直方体状の外形を有する素体16と、素体16の両端に設けられた外部電極18とを備える。素体16は複数のセラミック層を含み、素体16の内部には図示しない複数の内部電極層が埋設されている。
【0018】
素体16は、略直方体形状に形成され、高さ方向xに相対する第1の主面16aおよび第2の主面16bと、高さ方向xに直交する幅方向yに相対する第1の側面16cおよび第2の側面16dと、高さ方向xおよび幅方向yに直交する長さ方向zに相対する第1の端面16eおよび第2の端面16fとを有する。
【0019】
素体16の第1の端面16e側および第2の端面16f側には、外部電極18が配置される。外部電極18は、第1の外部電極18aおよび第2の外部電極18bを有する。
第1の外部電極18aは、素体12の第1の端面16e側の表面に配置される。
第2の外部電極18bは、素体12の第2の端面16f側の表面に配置される。
【0020】
電子部品14は、長さ方向zの寸法をL寸法とすると、L寸法は0.2mm以上1.6mm以下であることが好ましい。電子部品14は、幅方向yの寸法をW寸法し、高さ方向xの寸法をT寸法とすると、たとえば、L寸法が1.6mmのとき、W寸法は0.8mm、T寸法は0.8mm以上1.6mm以下であることが好ましく、たとえば、L寸法が0.2mmのときは、W寸法は0.125mm、T寸法は0.125mm以上0.2mm以下であることが好ましい。電子部品14のT寸法は、W寸法以上の大きさであり、かつ、L寸法とT寸法の大きさが近い関係性を有する。すなわち、電子部品14は、それぞれの寸法が、W≦T、かつ、T≦Lで表され、比較的、高背である電子部品であるといえる。
【0021】
(c)電子部品包装体
図6は、この発明の第1の実施の形態にかかるベーステープの外観を示す外観斜視図である。
図7(a)は、この発明の第1の実施の形態にかかるベーステープの上面図であり、
図7(b)は、a部の部分拡大図である。
図8は、
図7(b)の線VIII-VIIIにおける断面図である。
図9は、
図7(b)の線IX-IXにおける断面図である。
【0022】
図3および
図4に示すように、電子部品包装体12は、電子部品14を内部に充填するベーステープ20と、ベーステープ20の上面の少なくとも大部分と接着するカバーテープ22と、を備える。
【0023】
(d)ベーステープ
ここで、ベーステープ20の長尺状に延びる方向(長手方向)を長さ方向Zとし、短手方向を幅方向Yとする。また、長さ方向Zおよび幅方向Yに直交する方向を上下方向Xとする。そして、長さ方向Zにおいて、ベーステープ20のテープ送り方向である矢印Fで示される方向を正方向とする。
【0024】
第1の実施の形態に係るベーステープ20は、複数の電子部品14を収納するためのものである。ベーステープ20は、帯状のテープ本体30を含む。
テープ本体30は、互いに対向し、長さ方向に延在する一対の主面30a,30bを有する。テープ本体30は、表面層、裏面層および表面層と裏面層との間に位置する中間層の3層以上の層による多層構造である。各層は、木材パルプを主原料とする多層板紙である。
【0025】
テープ本体30の厚みt1は、1.1mm以下である。
【0026】
テープ本体30には、長さ方向Zにおいて、互いに離間して形成され、電子部品14の収納領域となる複数の部品収納部32を含む。部品収納部32は、テープ本体30の長さ方向Zにおいて、所定の間隔を置いて、一列に並ぶように設けられている。部品収納部32は、テープ本体30の幅方向Yにおいて一方側に偏って配置されている。
【0027】
また、テープ本体30には、その長さ方向において、互いに離間して、一列に並ぶように送り孔34が設けられている。送り孔34は、テープ本体30の幅方向Yにおいて他方側に偏って配置されている。送り孔34は、電子部品連10をリールRから引き出すスプロケット(図示せず)の歯と係合する。
【0028】
部品収納部32は、収納凹部40と、収納凹部40の幅方向Yに対向する辺の一方側に設けられる第1傾斜部42と、収納凹部40の長さ方向Zに対向する辺の一方側に設けられる第2傾斜部44とによって構成されている。
【0029】
収納凹部40は、一方主面30aに矩形状の開口部40aを有する。収納凹部40は、テープ本体30の一方主面30aから他方主面30bに向かって凹部を有し、略直方体状をなしている。収納凹部40は、電子部品14を収納可能な大きさを有する。
より詳細には、収納凹部40は、底面40bと、4つの側面40c1,40c2,40c3,40c4とによって構成されている。側面40c1および側面40c2は、幅方向Yに互いに対向する側面である。また、側面40c3および側面40c4は、長さ方向Zに互いに対向する側面である。
【0030】
収納凹部40の深さDは、テープ本体30の一方主面30aから収納凹部40の底面40bまでの距離である。
収納凹部40の深さDは、電子部品14の高さ方向の寸法Tよりも僅かに大きい。
収納凹部40のうちの幅方向Yの一方側に位置する側面40c1の高さは、収納凹部40の深さDから第1傾斜部42の深さD1の最大値を減じた値に相当する。一方、収納凹部40のうちの幅方向Yの他方側に位置する側面40c2の高さは、収納凹部40の深さDと略同一である。
収納凹部40の内の長さ方向Zの一方側に位置する側面40c3の高さは、収納凹部40の深さDから第2傾斜部44の深さD2の最大値を減じた値に相当する。一方、収納凹部40の内の長さ方向Zの他方側に位置する側面40c4の高さは、収納凹部40の深さDと略同一である。
【0031】
第1傾斜部42は、電子部品14を収納凹部40に案内する部分である。第1傾斜部42は、第1傾斜面42aと、2つの側面42b1,42b2とによって構成される。側面42b1および側面42b2は、長さ方向Zに互いに対向する側面である。
【0032】
第1傾斜部42は、収納凹部40の開口部40aの4辺における幅方向Yに対向する辺の一方側の側面40c1に向かって、かつ、テープ本体30の一方主面30aから収納凹部40の内部方向(底面40b方向)に向かって高さが低くなるように構成される。すなわち、第1傾斜部42は、収納凹部40の開口部40aの4辺における幅方向Yの一方側の側面40c1に向かって深さD1が増加し、かつ、収納凹部40の側面40c1と連続する形態を有する。
この第1傾斜部42の勾配は、θ1で表される。第1傾斜部42の勾配θ1は、第1傾斜面42aとテープ本体30の一方主面30aとのなす角度である。第1傾斜部42の勾配θ1は、5度以上70度以下であることが好ましい。
【0033】
第2傾斜部44は、電子部品14が第1傾斜部42に案内されて収納凹部40に挿入されてきたときに、より安定して収納凹部40に向けて電子部品14を案内する部分である。第2傾斜部44は、第2傾斜面44aと、2つの側面44b1,44b2とによって構成される。側面44b1および側面44b2は、幅方向Yに互いに対向する側面である。
【0034】
第2傾斜部44は、収納凹部40の開口部40aの4辺における長さ方向Zに対向する一方側の側面40c3に向かって、かつ、テープ本体30の一方主面30aから収納凹部40の内部方向(底面40b方向)に向かって高さが低くなるように構成される。すなわち、第2傾斜部44は、収納凹部40の開口部40aの4辺における長さ方向Zの一方側の側面40c3に向かって深さD2が増加し、かつ、収納凹部40の側面40c3と連続する形態を有する。
この第2傾斜部44の勾配は、θ2で表される。第2傾斜部44の勾配θ2は、第2傾斜面44aとテープ本体30の一方主面30aとのなす角度である。第2傾斜部44の勾配θ2は、5度以上70度以下であることが好ましい。
【0035】
第1傾斜部42の深さD1の最大値は、2×D1≦Dの条件を満たすことが好ましい。また、第2傾斜部44の深さD2の最大値は、2×D2≦Dの条件を満たすことが好ましい。電子部品14の重心は一般的にD/2以下であるため、このように各傾斜部42,44の深さを収納凹部40の深さDに比べて半分以下の値に設定することで、電子部品14の挿入時には間口を広げつつ、電子部品14が収納凹部40に収納された後に、収納凹部40の内部において、電子部品14が回転することを抑制することができる。
【0036】
第1傾斜部42の深さD1と第2傾斜部44の深さD2との間では、D1≦D2の条件を満たすことが好ましい。また、第1傾斜部42の勾配θ1と第2傾斜部44の勾配θ2との間では、θ1≦θ2の条件を満たすことが好ましい。
第1傾斜部42は、エアー挿入方式など、電子部品14を収納凹部40の内部に向かった押し込む力が働くため、傾斜角度が小さくてもよいが、第2傾斜部44は、エアーによる力が働かないため、電子部品にかかる重力のみでも十分に、電子部品が収納凹部40に収まるような角度であることが好ましい。
【0037】
(e)カバーテープ
カバーテープ22は、ベーステープ16の各部品収納部32における収納凹部40に電子部品14を収納した後に、複数の部品収納部32における収納凹部40の開口部40aを含む上端開口を覆うようにベーステープ20のテープ本体30の一方主面30a上に貼り付けられる。カバーテープ22は、送り孔34を塞がないように、テープ本体30の幅方向Yにおいて一方側に偏って配置されている。
【0038】
カバーテープ22は、電子部品14の収納状態が外から確認できるように、好ましくは透明または半透明である。また、カバーテープ22は、感熱タイプと感圧タイプのいずれであってもよい。
【0039】
本実施の形態においてカバーテープ22は帯状であるが、ベーステープ20とカバーテープ22との接着面積を増やすために、カバーテープ22が平面視において送り孔34に沿って凹みつつ互いに隣接する送り孔34同士の間に入り込むように突出した波形形状を有していてもよい。
【0040】
(f)電子部品の挿入方法
次に、ベーステープ20の部品収納部32に対して、電子部品14を横方向(ベーステープ20の幅方向Yの一方側から他方側へ向かう方向)から挿入する方法の一例を示す。なお、この挿入方法は、一例であって、ベーステープ20の部品収納部32に対して、電子部品14を横方向から挿入する方法を制限するものではない。
【0041】
図10(a)ないし
図10(c)は、
図6に示したベーステープの部品収納部に横方向から電子部品を挿入する方法の一例を示す図である。
【0042】
まず、
図10(a)に示すように、挿入ガイドIGの下面は、ベーステープ20の長さ方向の間欠移動を妨げないように、ベーステープ20の上方向に配置される。そして、層挿入ガイドIGの下面は、ベーステープ20の上下方向Xの変位を抑止できる程度のクリアランスを有し、ベーステープ20の上面と対向している。より詳細には、挿入ガイドIGの下面は、第1傾斜部42の第1傾斜面42aと対向するように配置される。そして、挿入ガイドIGの下面と第1傾斜部42の第1傾斜面42aとの間の空間が、部品通路GWである。
【0043】
また、
図10(a)に示すように、ベーステープ20の収納凹部40に横方向から電子部品14を挿入するときは、ボールフィーダ(図示せず)によって整列された電子部品14を、リニアフィーダ(図示せず)を介して、部品通路GWに送り込まれる。
【0044】
続いて、
図10(b)に示すように、部品通路GWに送り込まれた電子部品14は、第1傾斜部42の第1傾斜面42aの傾きに従って滑り、収納凹部40に送り込まれる。このとき、部品収納部32は、第2傾斜部44が設けられていることから、部品収納32の開口が広く開口されていることにより、スムーズに収納凹部40に電子部品14を送り込むことができる。
【0045】
そして、
図10(c)に示すように、収納凹部40に送り込まれた電子部品14は、その先端が収納凹部40の側面40c2に接したところで、電子部品14の第2主面16bが、収納凹部40の底面40bに接するように傾くことで、電子部品14が収納凹部40に挿入される。このとき、第1傾斜部42の深さD
1の最大値は、2×D
1≦Dの条件を満たし、かつ、第2傾斜部44の深さD
2の最大値は、2×D
2≦Dの条件を満たすと、電子部品14の挿入時には間口を広げつつ、電子部品14が収納凹部40に収納された後に、収納凹部40の内部において、電子部品14が回転することを抑制することができる。
【0046】
次に、リールRから電子部品連10を送り出す状態について説明する。
図11は、リールRから電子部品連を送り出す状態を示す図であり、(a)はその上面図であり、(b)はその側面図である。
図12は、
図11(a)の線XII-XIIにおける断面図である。
【0047】
静止時は、
図4に示すように、電子部品14は、収納凹部40の内部において、長さ方向の中間部分に配置されている。しかしながら、電子部品連10がテープの送り方向である矢印Fで示される方向に電子部品連10が引き出されると、
図12に示すように、収納凹部40の内部に配置される電子部品14に対して慣性力が働き、電子部品14は、側面40c4に押し付けられる。具体的には、例えば、実装機のテープフィーダに、本実施の形態に係る電子部品連10が巻き回されたリールRを装填する際に、カバーテープ22を剥がすときに、電子部品14に対して、上述したような慣性力が働くことで、電子部品14は、側面40c4に押し付けられる。しかしながら、本実施の形態にかかるベーステープ20の収納凹部40における側面40c4側には、傾斜部が設けられていないので、電子部品14は安定して収納凹部40の内部に配置することができる。
【0048】
図6に示すベーステープ20によれば、部品収納部32が、テープ本体30の一方主面30aにおいて、矩形状の開口部40aを有する収納凹部40と、開口部40aの4辺において、幅方向Yに対向する辺の一方側には、その他方側の辺よりも一方主面30aから収納凹部40の内部方向に向かって高さが低くなる第1傾斜部42と、長さ方向Zに対向する辺の一方側には、その他方側の辺よりも一方主面30aから収納凹部40の内部方向に向かって高さが低くなる第2傾斜部44と、を有するので、部品収納部32が有する収納凹部40に対して、電子部品14の回転を抑制しつつ、テープ本体30の一方主面30a上に乗り上げることを抑制して、安定して、電子部品14を挿入することができる。
【0049】
(g)ベーステープの変形例
次に、この発明の第1の実施の形態のベーステープ20の部品収納部32の変形例について説明する。
図13は、この発明の第1の実施の形態の変形例に係るベーステープの
図8の対応図である。
図14は、この発明の第1の実施の形態の変形例に係るベーステープの
図9の対応図である。
【0050】
第1の実施の形態の変形例に係る部品収納部32Aは、収納凹部40と、収納凹部40の幅方向Yに対向する辺の一方側に設けられる第1傾斜部42Aと、収納凹部40の長さ方向Zに対向する辺の一方側にもうけられる第2傾斜部44Aとによって構成されている。
【0051】
第1傾斜部42Aは、電子部品14を収納凹部40に案内する部分である。第1傾斜部42Aは、第1傾斜面42aと、2つの側面とによって構成される。各側面同士は、長さ方向Zに互いに対向する側面である。
【0052】
第1傾斜部42Aは、
図13に示すように、収納凹部40の開口部40aの4辺においける幅方向Yに対向する辺の一方側の側面40c1に向かって、かつ、テープ本体30の一方主面30aから収納凹部40の内部方向(底面40b方向)に向かって高さが低くなるように構成される。すなわち、第1傾斜部42Aは、収納凹部40の開口部40aの4辺における幅方向Yの一方側の側面40c1に向かって深さD
1が増加し、かつ、収納凹部40の側面40c1と連続する形態を有する。
第1傾斜部42Aの第1傾斜面42aは、曲率半径R
1の曲面に形成されている。
【0053】
第2傾斜部44Aは、
図14に示すように、電子部品14が第1傾斜部42Aに案内されて収納凹部40に挿入されてきたときに、より安定して収納凹部40に向けて電子部品14を案内する部分である。第2傾斜部44Aは、第2傾斜面44aと、2つの側面とによって構成される。各側面同士は、幅方向Yに互いに対向する側面である。
【0054】
第2傾斜部44Aは、収納凹部40の開口部40aの4辺における長さ方向Zに対向する一方側の側面40c3に向かって、かつ、テープ本体30の一方主面30aから収納凹部40の内部方向(底面40b方向)に向かって高さが低くなるように構成される。すなわち、第2傾斜部44Aは、収納凹部40の開口部40aの4辺における長さ方向Zの一方側の側面40c3に向かって深さD2が増加し、かつ、収納凹部40の側面40c3と連続する形態を有する。
第2傾斜部44Aの第2傾斜面44aは、曲率半径R2の曲面形状に形成されている。
【0055】
ここで、第1傾斜面142aの曲率半径R1と第2傾斜面144aの曲率半径R2との関係は、R2≦R1の条件を満たすことが好ましい。
また、第1傾斜面142aの曲率半径R1、第2傾斜面144aの曲率半径R2および収納凹部40の深さDとの関係は、2×R2≦2×R1≦Dの条件を満たすことが好ましい。
【0056】
図13および
図14に示す第1の実施の形態の変形例に係る部品収納部32Aを備えるベーステープ20では、第1の実施の形態に係る部品収納部32を備えるベーステープ20と同一の効果を奏する。
【0057】
2.第2の実施の形態
次に、第2の実施の形態に係る電子部品連について説明する。
第2の実施の形態の電子部品連110は、ベーステープ120におけるテープ本体130の部品収納部132の構成が、第1の実施の形態の電子部品連10のベーステープ20におけるテープ本体30の部品収納部32の構成と異なる点を除いて、電子部品連10の構成と同様のものである。従って、電子部品連10と同一の部分には、同一の符号付してその説明は省略する。
【0058】
図15は、この発明の第2の実施の形態にかかる電子部品連におけるベーステープの外観を示す外観斜視図である。
図16(a)は、この発明の第1の実施の形態にかかる電子部品連におけるベーステープの上面図であり、
図16(b)は、b部の部分拡大図である。
図17は、
図16の線XVII-XVIIにおける断面図である。
図18は、
図16の線XVIII-XVIIIにおける断面図である。
【0059】
ベーステープ120は、複数の電子部品14を収納するためのものである。ベーステープ120は、帯状のテープ本体130を含む。
テープ本体130は、互いに対向し、長さ方向に延在する一対の主面130a,130bを有する。テープ本体130は、表面層、裏面層および表面層と裏面層との間に位置する中間層の3層以上の層による多層構造である。各層は、木材パルプを主原料とする多層板紙である。
【0060】
テープ本体130には、長さ方向Zにおいて、互いに離間して形成され、電子部品14の収納領域となる複数の部品収納部132を含む。部品収納部132は、テープ本体130の長さ方向Zにおいて、所定の間隔を置いて、一列に並ぶように設けられている。部品収納部32は、テープ本体30の幅方向Yにおいて一方側に偏って配置されている。
【0061】
また、テープ本体130には、その長さ方向において、互いに離間して、一列に並ぶように送り孔134が設けられている。送り孔134は、テープ本体30の幅方向Yにおいて他方側に偏って配置されている。送り孔134は、電子部品連10をリールRから引き出すスプロケット(図示せず)の歯と係合する。
【0062】
部品収納部132は、収納凹部140と、収納凹部140の幅方向Yに対向する辺の一方側に設けられる第1傾斜部142と、収納凹部140の長さ方向Zに対向する辺の一方側に設けられる第2傾斜部144とによって構成されている。
【0063】
収納凹部140は、一方主面130aに矩形状の開口部140aを有する。収納凹部140は、テープ本体130の一方主面130aから他方主面130bに向かって凹部を有し、略直方体状をなしている。収納凹部140は、電子部品14を収納可能な大きさを有する。
より詳細には、収納凹部140は、底面140bと、4つの側面140c1,140c2,140c3,140c4とによって構成されている。側面140c1および側面140c2は、幅方向Yに互いに対向する側面である。また、側面140c3および側面140c4は、長さ方向Zに互いに対向する側面である。
【0064】
収納凹部140の深さDは、テープ本体130の一方主面130aから収納凹部140の底面140bまでの距離である。
収納凹部140の深さDは、電子部品14の高さ方向の寸法Tよりも僅かに大きい。
収納凹部140のうちの幅方向Yの一方側に位置する側面140c1の高さは、収納凹部140の深さDから第1傾斜部142の深さD1の最大値を減じた値に相当する。一方、収納凹部140のうちの幅方向Yの他方側に位置する側面140c2の高さは、収納凹部140の深さDと略同一である。
収納凹部140の内の長さ方向Zの一方側に位置する側面140c3の高さは、収納凹部140の深さDから第2傾斜部44の深さD2の最大値を減じた値に相当する。一方、収納凹部140の内の長さ方向Zの他方側に位置する側面140c4の高さは、収納凹部140の深さDと略同一である。
【0065】
第1傾斜部142は、電子部品14を収納凹部140に案内する部分である。第1傾斜部142は、第1傾斜面142aと、側面142b1とによって構成される。
【0066】
第1傾斜部142は、収納凹部140の開口部140aの4辺における幅方向Yに対向する辺の一方側の側面140c1に向かって、かつ、テープ本体130の一方主面130aから収納凹部140の内部方向(底面140b方向)に向かって高さが低くなるように構成される。すなわち、第1傾斜部142は、収納凹部140の開口部140aの4辺における幅方向Yの一方側の側面140c1に向かって深さD1が増加し、かつ、収納凹部140の側面140c1と連続する形態を有する。
この第1傾斜部142の勾配は、θ1で表される。第1傾斜部142の勾配θ1は、第1傾斜面142aとテープ本体130の一方主面130aとのなす角度である。第1傾斜部142の勾配θ1は、5度以上70度以下であることが好ましい。
そして、第1傾斜部142の第1傾斜面142aは、後述する第2傾斜部144の第2傾斜面144aと直接、接するように設けられている。このとき、第1傾斜面142aは、略台形形状である。
【0067】
第2傾斜部144は、電子部品14が第1傾斜部142に案内されて収納凹部140に挿入されてきたときに、より安定して収納凹部140に向けて電子部品14を案内する部分である。第2傾斜部144は、第2傾斜面144aと、側面144b1とによって構成される。
【0068】
第2傾斜部144は、収納凹部140の開口部140aの4辺における長さ方向Zに対向する一方側の側面140c3に向かって、かつ、テープ本体130の一方主面130aから収納凹部140の内部方向(底面40b方向)に向かって高さが低くなるように構成される。すなわち、第2傾斜部144は、収納凹部140の開口部140aの4辺における長さ方向Zの一方側の側面140c3に向かって深さD2が増加し、かつ、収納凹部140の側面140c3と連続する形態を有する。
この第2傾斜部144の勾配は、θ2で表される。第2傾斜部144の勾配θ2は、第2傾斜面144aとテープ本体130の一方主面130aとのなす角度である。第2傾斜部144の勾配θ2は、5度以上70度以下であることが好ましい。
そして、第2傾斜部144の第2傾斜面144aは、第1傾斜部142の第1傾斜面142aと直接、接するように設けられている。この時、第2傾斜面144aは、略台形形状である。
【0069】
第1傾斜部142の深さD1の最大値は、2×D1≦Dの条件を満たすことが好ましい。また、第2傾斜部144の深さD2の最大値は、2×D2≦Dの条件を満たすことが好ましい。
【0070】
第1傾斜部142の深さD1と第2傾斜部144の深さD2との間では、D1≦D2の条件を満たすことが好ましい。また、第1傾斜部142の勾配θ1と第2傾斜部144の勾配θ2との間では、θ1≦θ2の条件を満たすことが好ましい。
【0071】
第2の実施の形態にかかるベーステープ110は、第1の実施の形態にかかるベーステープ10と同様の効果を奏するとともに以下の効果を奏する。
すなわち、第1傾斜部142と第2傾斜部144の角に部品が当接することなく、よりスムーズに電子部品14を収納凹部140の内部に挿入することができる。
【0072】
3.他の実施の形態
なお、第1の実施の形態にかかるベーステープ20のテープ本体30や第2の実施の形態にかかるベーステープ120のテープ本体130は、3層以上の層による多層構造であり、各層は、木材パルプを主原料とする多層板紙による構成であるが、エンボス加工により形成されてもよい。
以下、エンボス加工により形成されるベーステープ520について説明する。
【0073】
図19は、この発明の他の実施の形態の変形例に係るベーステープの
図8の対応図である。
図20は、この発明の他の実施の形態の変形例に係るベーステープの
図9の対応図である。
【0074】
ベーステープ520のテープ本体530は、エンボス加工により形成される構成が、第1の実施の形態にかかるベーステープ20のテープ本体30の3層以上の層による多層構造であり、各層は、木材パルプを主原料とする多層板紙による構成と異なる点を除いて、ベーステープ20の構造と同様のものである。従って、ベーステープ20と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0075】
ベーステープ520は、複数の電子部品14を収納するためのものである。ベーステープ520は、帯状のテープ本体530を含む。
テープ本体530は、互いに対向し、長さ方向に延在する一方主面530aを有する。テープ本体530の材料は、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等である。エンボス加工の方式には、特に制限はなく、例えば、圧空成形、プレス成形、真空ロータリー成形(真空ドラム成形)等が適宜採用される。このような材料で形成されることにより、収納凹部540の成型が容易であり、かつ、クリーンルームでの作業が可能となる。
【0076】
テープ本体530の厚みt2は、0.2mm以上0.3mm以下である。
【0077】
部品収納部532は、収納凹部540と、収納凹部540の幅方向Yに対向する辺の一方側に設けられる第1傾斜部542と、収納凹部540の長さ方向Zに対向する辺の一方側に設けられる第2傾斜部544とによって構成されている。
【0078】
収納凹部540は、一方主面530aに矩形状の開口部540aを有する。収納凹部40は、テープ本体530の一方主面530aから高さ方向Xの正方向に向かって凹部を有し、略直方体状をなしている。収納凹部540は、電子部品14を収納可能な大きさを有する。
より詳細には、収納凹部540は、底面540bと、4つの側面540c1,540c2,540c3,540c4とによって構成されている。側面540c1および側面540c2は、幅方向Yに互いに対向する側面である。また、側面540c3および側面540c4は、長さ方向Zに互いに対向する側面である。
【0079】
収納凹部540の深さDは、テープ本体530の一方主面530aから収納凹部540の底面540bまでの距離である。
収納凹部540の深さDは、電子部品14の高さ方向の寸法Tよりも僅かに大きい。
収納凹部540のうちの幅方向Yの一方側に位置する側面540c1の高さは、収納凹部540の深さDから第1傾斜部542の深さD1の最大値を減じた値に相当する。一方、収納凹部540のうちの幅方向Yの他方側に位置する側面540c2の高さは、収納凹部540の深さDと略同一である。
収納凹部540の内の長さ方向Zの一方側に位置する側面540c3の高さは、収納凹部540の深さDから第2傾斜部544の深さD2の最大値を減じた値に相当する。一方、収納凹部540の内の長さ方向Zの他方側に位置する側面40c4の高さは、収納凹部540の深さDと略同一である。
【0080】
第1傾斜部542は、電子部品14を収納凹部540に案内する部分である。第1傾斜部542は、第1傾斜面542aと、2つの側面とによって構成される。各側面同士は、長さ方向Zに互いに対向する側面である。
【0081】
第1傾斜部542は、
図19に示すように、収納凹部540の開口部540aの4辺における幅方向Yに対向する辺の一方側の側面540c1に向かって、かつ、テープ本体530の一方主面530aから収納凹部540の内部方向(底面540b方向)に向かって高さが低くなるように構成される。すなわち、第1傾斜部542は、収納凹部540の開口部540aの4辺における幅方向Yの一方側の側面540c1に向かって深さD
1が増加し、かつ、収納凹部540の側面540c1と連続する形態を有する。
この第1傾斜部542の勾配は、θ
1で表される。第1傾斜部542の勾配θ
1は、第1傾斜面542aとテープ本体530の一方主面530aとのなす角度である。第1傾斜部542の勾配θ
1は、
図8に示した第1傾斜部42の勾配θ
1の条件と同様にしている。
【0082】
第2傾斜部544は、第2傾斜面544aと、2つの側面とによって構成される。各側面同士は、幅方向Yに互いに対向する側面である。
【0083】
第2傾斜部544は、
図20に示すように、収納凹部540の開口部540aの4辺における長さ方向Zに対向する一方側の側面540c3に向かって、かつ、テープ本体530の一方主面530aから収納凹部540の内部方向(底面540b方向)に向かって高さが低くなるように構成される。すなわち、第2傾斜部544は、収納凹部540の開口部540aの4辺における長さ方向Zの一方側の側面540c3に向かって深さD
2が増加し、かつ、収納凹部540の側面540c3と連続する形態を有する。
この第2傾斜部544の勾配は、θ
2で表される。第2傾斜部544の勾配θ
2は、第2傾斜面544aとテープ本体530の一方主面530aとのなす角度である。第2傾斜部544の勾配θ
2は、
図9に示した第2傾斜部44の勾配θ
2の条件と同様にしている。
【0084】
第1傾斜部542の深さD1の最大値は、2×D1≦Dの条件を満たすことが好ましい。また、第2傾斜部544の深さD2の最大値は、2×D2≦Dの条件を満たすことが好ましい。
【0085】
第1傾斜部542の深さD1と第2傾斜部544の深さD2との間では、D1≦D2の条件を満たすことが好ましい。また、第1傾斜部542の勾配θ1と第2傾斜部544の勾配θ2との間では、θ1≦θ2の条件を満たすことが好ましい。
【0086】
次に、上述したエンボス加工によるベーステープ520の部品収納部532の変形例について、説明する。
図21は、この発明の他の実施の形態の変形例に係るベーステープの
図13の対応図である。
図22は、この発明の他の実施の形態の変形例に係るベーステープの
図14の対応図である。
【0087】
すなわち、他の実施の形態の変形例に係る部品収納部532Aは、収納凹部540と、収納凹部540の幅方向Yに対向する辺の一方側に設けられる第1傾斜部542Aと、収納凹部540の長さ方向Zに対向する辺の一方側にもうけられる第2傾斜部544Aとによって構成されている。
【0088】
第1傾斜部542Aは、電子部品14を収納凹部540に案内する部分である。第1傾斜部542Aは、第1傾斜面542aと、2つの側面とによって構成される。各側面同士は、長さ方向Zに互いに対向する側面である。
【0089】
第1傾斜部542Aは、
図21に示すように、収納凹部540の開口部540aの4辺における幅方向Yに対向する辺の一方側の側面540c1に向かって、かつ、テープ本体530の一方主面530aから収納凹部540の内部方向(底面40b方向)に向かって高さが低くなるように構成される。すなわち、第1傾斜部542Aは、収納凹部540の開口部540aの4辺における幅方向Yの一方側の側面540c1に向かって深さD
1が増加し、かつ、収納凹部540の側面540c1と連続する形態を有する。
第1傾斜部542Aの第1傾斜面542aは、曲率半径R
1の曲面形状に形成されている。
【0090】
第2傾斜部544Aは、第2傾斜面544aと、2つの側面とによって構成される。各側面同士は、幅方向Yに互いに対向する側面である。
【0091】
第2傾斜部544Aは、収納凹部540の開口部540aの4辺における長さ方向Zに対向する一方側の側面540c3に向かって、テープ本体530の一方主面530aから収納凹部540の内部方向(底面40b方向)に向かって高さが低くなるように構成される。すなわち、第2傾斜部544Aは、収納凹部540の開口部540aの4辺における長さ方向Zの一方側の側面540c3に向かって深さD2が増加し、かつ、収納凹部540の側面540c3と連続する形態を有する。
第2傾斜部544Aの第2傾斜面544aは、曲率半径R2の曲面形状に形成されている。
【0092】
ここで、第1傾斜面542aの曲率半径R1と第2傾斜面544aの曲率半径R2との関係は、R2≦R1の条件を満たすことが好ましい。
また、第1傾斜面542aの曲率半径R1、第2傾斜面544aの曲率半径R2および収納凹部540の深さDとの関係は、2×R2≦2×R1≦Dの条件を満たすことが好ましい。
【0093】
なお、本実施の形態にかかるエンボス加工により形成されるベーステープ520におけるテープ本体530の部品収納532の構造は、第2の実施の形態にかかる部品収納132の構造のように、第1傾斜部542と第2傾斜部544とが連続となるように設けられてもよい。すなわち、第1傾斜部542の第1傾斜面542aと第2傾斜部544の第2傾斜面544aとが直接、接するように設けられてもよい。
【0094】
以上のように、本発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0095】
10 電子部品連
12 電子部品包装体
14 電子部品
16 素体
18 外部電極
20、120、520 ベーステープ
22 カバーテープ
30、130、530 テープ本体
30a、130a、530a 一方主面
30b、130b 他方主面
32、32A、132、532、532A 部品収納部
34、134 送り孔
40、140、540 収納凹部
40a、140a、540a 開口部
40b 底面
40c1~40c4、140c1~140c4、540c1~540c4 側面
42、42A、142、542、542A 第1傾斜部
42a、142a、542a 第1傾斜面
42b1、42b2、142b1、542b1、542b2 側面
44、44A、144、544、544A 第2傾斜部
44a 第2傾斜面
44b1、44b2、144b1、544b1、544b2 側面
R リール
D 収納凹部の深さ
D1 第1傾斜部の深さ
D2 第2傾斜部の深さ
θ1 第1傾斜部の勾配
θ2 第2傾斜部の勾配
IG 挿入ガイド
GW 部品通路
X 高さ方向
Y 幅方向
Z 長さ方向
F テープ送り方向