IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイフクの特許一覧

<>
  • 特許-物品搬送設備 図1
  • 特許-物品搬送設備 図2
  • 特許-物品搬送設備 図3
  • 特許-物品搬送設備 図4
  • 特許-物品搬送設備 図5
  • 特許-物品搬送設備 図6
  • 特許-物品搬送設備 図7
  • 特許-物品搬送設備 図8
  • 特許-物品搬送設備 図9
  • 特許-物品搬送設備 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20221213BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B65G1/00 511J
B65G1/04 505Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019202649
(22)【出願日】2019-11-07
(65)【公開番号】P2021075356
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】夫馬 貴史
(72)【発明者】
【氏名】冨永 清洋
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-053611(JP,A)
【文献】特開2001-187609(JP,A)
【文献】実開昭50-081593(JP,U)
【文献】特開2011-020778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を保管する保管部を上下方向に並ぶ状態で複数備えた保管棚と、
物品を搬送する搬送装置と、を備えた物品搬送設備であって、
前記上下方向に沿う上下方向視で前記保管棚と前記搬送装置とが並ぶ方向を第1方向とし、前記上下方向視で前記第1方向に対して直交する方向を第2方向とし、前記第1方向における前記搬送装置に対して前記保管棚が存在する側を第1方向第1側とし、
前記搬送装置は、前記上下方向に沿って昇降する昇降体と、前記昇降体に支持されると共に自己と前記保管部との間で物品を移載する移載装置と、前記昇降体に着脱可能で且つ作業者が搭乗可能なステージと、を備え、
前記昇降体は、前記移載装置に対して前記第2方向の少なくとも一方側に、前記ステージを装着可能な装着部を備え、
前記ステージは、前記装着部上に載置される載置部と、前記昇降体の前記第1方向第1側の端部よりも前記第1方向第1側に突出する突出部と、を備え、
前記載置部は、前記ステージを前記装着部に固定するための複数の固定部を備えている、物品搬送設備。
【請求項2】
前記ステージは、前記昇降体に連結される支柱部を備え、
前記支柱部は、前記突出部に連結される第1連結部と、前記昇降体の下部に連結される第2連結部と、を備えている、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記第1方向における前記第1方向第1側とは反対側を第1方向第2側とし、
前記ステージは、前記載置部に連結された挟持部を更に備え、
前記挟持部は、前記昇降体に対して前記第1方向第2側において前記上下方向に延在するように配置されていると共に、前記昇降体を上下方向両側から挟持するように構成されている、請求項1又は2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
複数の前記固定部は、前記昇降体に予め形成された挿入孔に対応する位置に設けられ、
前記固定部のそれぞれは、前記挿入孔に挿入された締結部材を用いて前記装着部に固定される、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記ステージは、前記突出部の前記第2方向の少なくとも一方側の端部、又は、前記突出部に対して前記第2方向の少なくとも一方側に、前記突出部上の作業者の移動を規制する柵を備えている、請求項1から4のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項6】
前記突出部は、作業者が載る面である搭乗面と、当該搭乗面における前記第2方向の両端部に設けられ、前記搭乗面から上方側に向けて立ち上がると共に前記第1方向に沿って連続的に延在するように形成された立ち上がり部を備えている、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を保管する保管部を上下方向に並ぶ状態で複数備えた保管棚と、物品を搬送する搬送装置と、を備えた物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品搬送設備として、例えば、特開2018-091657号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。以下、背景技術の説明において、かっこ書きの符号又は名称は、先行技術文献における符号又は名称とする。この特許文献1に記載の物品搬送設備では、搬送装置(スタッカークレーン3)が、上下方向に沿って昇降する昇降体(昇降台13)と、昇降体に支持されると共に自己と保管部(収納部4)との間で物品を移載する移載装置14と、を備えている。
【0003】
このような物品搬送設備では、保管棚(収納棚2)のメンテナンス作業が必要な場合がある。そこで、搬送装置の昇降体を、作業者が搭乗できるような構成として、保管棚のメンテナンス作業を行う場合に搬送装置を用いることがある。具体的には、保管棚のメンテナンス作業を行う場合に、保管棚におけるメンテナンス作業を行う箇所に対応する高さに昇降体を昇降させた状態で作業者が昇降体に搭乗し、作業者が昇降体上で又は作業者が昇降体から保管棚に乗り移って、保管棚に対してメンテナンス作業を行う場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-091657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、物品搬送設備の各部の寸法等によっては、昇降体と保管棚との距離が大きい場合がある。このような場合には、昇降体に搭乗した状態での保管棚に対するメンテナンス作業が行い難く、また、昇降体から保管棚に乗り移る場合にも、そのような乗り移りを行い難い。
【0006】
そこで、昇降体と保管棚との距離が大きい場合に、搬送装置を利用した保管棚のメンテナンス作業を行い易くすることができる物品搬送設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた、物品搬送設備の特徴構成は、物品を保管する保管部を上下方向に並ぶ状態で複数備えた保管棚と、物品を搬送する搬送装置と、を備え、前記上下方向に沿う上下方向視で前記保管棚と前記搬送装置とが並ぶ方向を第1方向とし、前記上下方向視で前記第1方向に対して直交する方向を第2方向とし、前記第1方向における前記搬送装置に対して前記保管棚が存在する側を第1方向第1側とし、前記搬送装置は、前記上下方向に沿って昇降する昇降体と、前記昇降体に支持されると共に自己と前記保管部との間で物品を移載する移載装置と、前記昇降体に着脱可能で且つ作業者が搭乗可能なステージと、を備え、前記昇降体は、前記移載装置に対して前記第2方向の少なくとも一方側に、前記ステージを装着可能な装着部を備え、前記ステージは、前記装着部上に載置される載置部と、前記昇降体の前記第1方向第1側の端部よりも前記第1方向第1側に突出する突出部と、を備え、前記載置部は、前記ステージを前記装着部に固定するための複数の固定部を備えている点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、ステージが昇降体に対して着脱自在に構成されているため、保管棚のメンテナンス作業を行う場合は、昇降体にステージを装着することで、作業者がステージに搭乗して保管棚のメンテナンス作業を容易に行うことができる。一方、搬送装置によって物品を搬送する場合は、昇降体からステージを離脱させることで、移載装置によって物品を移載する場合に、移載装置や物品がステージに干渉することを回避することができる。従って、ステージを備えることによる、搬送装置及び移載装置の構成上或いは動作上の制約を軽減することができる。
【0009】
そして、ステージは、昇降体の第1方向第1側の端部から第1方向第1側に突出する突出部を備えているため、作業者は、ステージの突出部に搭乗することで、昇降体に搭乗する場合に比べて、保管棚に近づくことが容易となる。そのため、作業者がステージに搭乗した状態での保管棚に対するメンテナンス作業が行い易くなると共に、作業者がメンテナンス作業のためにステージから保管棚に乗り移ることも行い易くなる。このように、本構成によれば、昇降体と保管棚との距離が大きい場合に、搬送装置を利用した保管棚のメンテナンス作業を行い易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】物品搬送設備の側面図
図2】物品搬送設備の平面図
図3】昇降体及び移載装置の斜視図
図4】ステージの斜視図
図5】ステージを装着した状態の昇降体の平面図
図6】支柱部の側面図
図7】支柱部の正面図
図8】挟持部の側面図
図9】挟持部の正面図
図10】メンテナンス作業をしている物品搬送設備の側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.実施形態
物品搬送設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、物品搬送設備は、物品Wを保管する保管部1を複数備えた保管棚2と、物品Wを搬送するスタッカークレーン3と、保管棚2やスタッカークレーン3が設置される領域の周囲を覆う壁体4と、を備えている。保管棚2は、保管部1を上下方向Z及び第2方向Yの夫々に複数並ぶ状態で備えている。また、保管棚2は、互いに対向する状態で一対備えられており、一対の保管棚2の間にスタッカークレーン3が設置されている。尚、本実施形態では、物品Wを、フォトマスクを保持するためのマスクフレームとしている。また、スタッカークレーン3が、搬送装置に相当する。
【0012】
物品搬送設備の天井部には、第1ファンフィルタユニット6が設置されている。第1ファンフィルタユニット6は、保管棚2やスタッカークレーン3より上方側Z1に設置されている。第1ファンフィルタユニット6は、上方側Z1から空気を吸入して下方側Z2に向けて清浄した空気である清浄空気を排出する。これにより、壁体4の内部には、上方側Z1から下方側Z2に向けて清浄空気が下向きに流動するダウンフローが形成されている。
【0013】
以下、保管棚2及びスタッカークレーン3について説明を加える。保管棚2及びスタッカークレーン3を説明するにあたり、図1及び図2に示すように、上下方向Zに沿う上下方向視で第2方向Yに対して直交する方向を第1方向Xとする。また、第2方向Yにおける一方側を第2方向第1側Y1と称し、その反対側を第2方向第2側Y2と称する。
【0014】
〔保管棚〕
図1及び図2に示すように、物品搬送設備には、第1保管棚2Aと第2保管棚2Bとの一対の保管棚2が対向する状態で設置されている。一対の保管棚2の夫々は、保管部1に保管した物品Wを支持する支持体8と、保管棚2に対してメンテナンス作業を行う場合にメンテナンス作業を行う作業者Mが搭乗する搭乗体9と、保管部1に清浄空気を供給する第2ファンフィルタユニット10と、を備えている。
【0015】
一対の保管棚2の夫々には、第1方向Xにおけるスタッカークレーン3が存在する側(手前側)とは反対側(奥側)の端部に第2方向Y及び上下方向Zに並ぶ状態で複数の第2ファンフィルタユニット10が設置されている。これら複数の第2ファンフィルタユニット10は、保管部1に対して奥側に設置されている。第2ファンフィルタユニット10は、奥側から空気を吸引して手前側に向けて清浄空気を排出する。これにより、保管部1内に奥側から手前側に流れる清浄空気の流れが形成されている。上下方向Zに並ぶ複数の保管部1に対して1つの第2ファンフィルタユニット10が設置されており、1つの第2ファンフィルタユニット10から排出された清浄空気は、上下方向Zに並ぶ複数の保管部1を流れる。
【0016】
搭乗体9は、第1方向X及び第2方向Yに延びる板状に形成されている。搭乗体9は、上下方向Zにおいて、保管部1の間であって第2ファンフィルタユニット10が存在しない領域に設置されている。
【0017】
〔スタッカークレーン〕
図1及び図2に示すように、スタッカークレーン3は、第2方向Yに沿って走行する走行台車12と、走行台車12に上下方向Zに沿う姿勢で立設されたマスト13と、マスト13に沿って昇降する昇降体14と、昇降体14に支持された移載装置15と、作業者Mが昇り降りする梯子16と、を備えている。
【0018】
図3に示すように、移載装置15は、昇降体14に屈伸自在に連結されたリンク機構18と、リンク機構18の先端部に連結された搬送支持部19と、を備えている。移載装置15は、リンク機構18を屈伸させることにより、昇降体14から第1方向Xの一方側に突出させた突出位置(図1及び図2において仮想線で示す位置)と、第1方向Xにおいて昇降体14が存在する側に引退させた引退位置(図1から図3おいて実線で示す位置)と、に搬送支持部19を出退移動させる。移載装置15は、搬送支持部19の出退移動と昇降体14の昇降移動とによって、自己と保管部1との間で物品Wを移載する。また、移載装置15は、旋回装置20に支持されており、旋回装置20よって移載装置15の全体が180度旋回することで、移載装置15によって一対の保管棚2の何れの保管部1との間でも物品Wを移載可能となっている。
【0019】
図3に示すように、昇降体14は、移載装置15を支持する本体部22と、本体部22の第2方向Yの両側の端部に立設された一対のアップライト部23と、を備えている。一対のアップライト部23の夫々には、ベルト24が接続されていると共に、マスト13に案内されるガイドブロック25が備えられている。ベルト24がその長手方向に沿って移動することで、昇降体14は、ガイドブロック25によってマスト13に案内されながら上下方向Zに沿って昇降する。
【0020】
昇降体14の本体部22は、本体部22における第1方向Xの両端部に備えられた縁部28と、第1方向Xにおいて縁部28の間に位置して縁部28に連結された中間部29と、を備えている。一対の縁部28にアップライト部23が連結されており、中間部29に移載装置15が支持されている。縁部28は、縁部28の上方側Z1の端部に、第1方向Xの両側に突出する上側鍔部28Aを備え、縁部28の下方側Z2の端部に、第1方向Xの両側に突出する下側鍔部28Bを備えており、断面形状がI字状に形成されている。
【0021】
図4及び図5に示すように、スタッカークレーン3は、昇降体14に着脱可能で且つ作業者Mが搭乗可能なステージ31を備えている。昇降体14は、移載装置15に対して第2方向Yの少なくとも一方側に、ステージ31を装着可能な装着部26を備えている。本実施形態では、昇降体14における移載装置15に対して第2方向第1側Y1において移載装置15とアップライト部23との間に、ステージ31を装着可能な第1装着部26A(装着部26)を備えている。また、昇降体14における移載装置15に対して第2方向第2側Y2において移載装置15とアップライト部23との間に、ステージ31を装着可能な第2装着部26B(装着部26)を備えている。このように、本実施形態では、昇降体14は、移載装置15に対して第2方向Yの両側に、装着部26を備えている。
【0022】
本実施形態では、昇降体14には、ステージ31の固定とは別の目的のために挿入孔30が形成されており、ステージ31は、この別の目的のために形成されている挿入孔30を利用して昇降体14に固定される。他の目的の挿入孔30としては、例えば、スタッカークレーン3の製造や設置場所での組み立てに用いる孔が含まれる。例えば、スタッカークレーン3を組み立てる場合に、その組み立てる場所まで、スタッカークレーン3とは別のクレーンを用いて昇降体14を搬送する場合があり、この場合に、昇降体14をクレーンに接続するための孔が設けられている。本例では、挿入孔30は、本体部22の縁部28に形成されている。
【0023】
次に、ステージ31について説明する。ステージ31は、図5に実線で示すように、ステージ31を第1姿勢で第1装着部26Aに装着することや、図5に仮想線で示すように、ステージ31の姿勢を第1姿勢から上下方向Zに沿う軸心周りに180°回転させた第2姿勢で第2装着部26Bに装着することが可能となっている。尚、ステージ31を説明するにあたり、ステージ31を第1姿勢で第1装着部26Aに装着した状態に基づいて方向を定義して説明する。また、図5において、移載装置15が突出する側に存在する保管棚2を、メンテナンス作業対象の保管棚2として、上下方向視でメンテナンス作業対象の保管棚2とスタッカークレーン3とが並ぶ方向が第1方向Xであり、第1方向Xにおけるスタッカークレーン3に対してメンテナンス作業対象の保管棚2が存在する側を第1方向第1側X1とし、その反対側を第1方向第2側X2としている。
【0024】
ステージ31は、作業者Mが搭乗可能に構成されている。すなわち、ステージ31は、作業者Mが搭乗する搭乗部33と、昇降体14に連結される支柱部34と、搭乗部33に連結された挟持部35と、搭乗部33上の作業者Mの移動を規制する柵36と、を備えている。後述するように、本実施形態では、搭乗部33は、突出部46と載置部47とを有している。
【0025】
搭乗部33は、第1方向Xに沿う姿勢で設置された第1長尺部材41と、第1長尺部材41に対して第2方向第2側Y2に設置されると共に第1方向Xに沿って設置された第2長尺部材42と、第2長尺部材42に対して第2方向第2側Y2に配置されると共に第1方向Xに沿って設置された第3長尺部材43と、第2方向Yにおいて第1長尺部材41と第2長尺部材42との間をつなぐように配置された板状部材44と、を備えて構成されている。第3長尺部材43は、第2長尺部材42に連結され、板状部材44は、第1長尺部材41及び第2長尺部材42に連結されている。
【0026】
図7及び図9に示すように、第1長尺部材41と第2長尺部材42との夫々は、断面形状が四角筒状に形成されており、第3長尺部材43は、断面形状が下方側Z2に向けて開口する角ばったU字状に形成されている。図4及び図5に示すように、第1長尺部材41と第2長尺部材42と第3長尺部材43とは、第2長尺部材42、第1長尺部材41、第3長尺部材43の順に第1方向Xの長さが短くなっている。そして、第1長尺部材41及び第2長尺部材42は、これらの第1方向Xの長さが板状部材44の第1方向Xの長さより長い。一方、第3長尺部材43は、その第1方向Xの長さが板状部材44の第1方向Xの長さと同じになっている。そして、第1長尺部材41と第2長尺部材42と第3長尺部材43と板状部材44との夫々は、第1方向第1側X1の端部の位置が第1方向Xにおいて同じ位置となるように配置されている。第1長尺部材41と第2長尺部材42と第3長尺部材43とは、これらの第2方向Yの幅が板状部材44の第2方向Yの幅より小さく、第1長尺部材41と第2長尺部材42と第3長尺部材43とは、これらの第2方向Yの幅が互いに同じ幅になっている。
【0027】
図5に示すように、第1長尺部材41と第2長尺部材42との夫々は、上下方向視で昇降体14の装着部26と重なる部分を有しており、第1長尺部材41の一部、及び第2長尺部材42の一部が、装着部26の第1方向第1側X1の端部(昇降体14の第1方向第1側X1の端部)より第1方向第1側X1に突出するように配置されている。また、第3長尺部材43の全体、及び板状部材44の全体が、装着部26の第1方向第1側X1の端部より第1方向第1側X1に突出するように配置されている。第1長尺部材41における装着部26の第1方向第1側X1の端部より第1方向第1側X1に位置している部分と、第2長尺部材42における装着部26の第1方向第1側X1の端部より第1方向第1側X1に位置している部分と、第3長尺部材43の全体と、板状部材44の全体とにより、突出部46が構成されている。すなわち、搭乗部33における、昇降体14の第1方向第1側X1の端部より第1方向第1側X1に突出する部分により、突出部46が構成されている。そして、第1長尺部材41における昇降体14の第1方向第1側X1の端部より第1方向第2側X2の部分と、第2長尺部材42における昇降体14の第1方向第1側X1の端部より第1方向第2側X2の部分と、により、載置部47が構成されている。すなわち、搭乗部33における、昇降体14の第1方向第1側X1の端部より第1方向第2側X2の部分により、載置部47が構成されている。図5から明らかなように、載置部47は、ほとんどの部分が昇降体14の装着部26の上に載置されるように配置されている。このように、ステージ31は、装着部26上に載置される載置部47と、昇降体14の第1方向第1側X1の端部よりも第1方向第1側X1に突出する突出部46と、を備えている。
【0028】
図4に示すように、突出部46は、作業者Mが載る面である搭乗面68を備えている。本実施形態では、第1長尺部材41の上面、第2長尺部材42の上面、第3長尺部材43の上面、及び板状部材44の上面によって形成されている。つまり、本実施形態では、搭乗面68は、突出部46の上面によって構成されていると共に、載置部47の上面によっても構成あれている。尚、昇降体14における装着部26は、作業者Mが搭乗可能に構成されている。
【0029】
載置部47は、ステージ31を装着部26に固定するための複数の固定部51を備えている。本実施形態では、複数の固定部51として、第1長尺部材41から第2方向Yに突出する状態で第1長尺部材41に固定された複数の第1固定板52と、第2長尺部材42から第2方向Yに突出する状態で第2長尺部材42に固定された複数の第2固定板53と、を備えている。第1固定板52と第2固定板53との夫々には、上下方向Zに貫通する貫通孔が形成されている。図7及び図9に示すように、複数の固定部51(複数の第1固定板52や複数の第2固定板53)は、昇降体14に予め形成された挿入孔30に対応する位置に設けられている。より詳しくは、複数の固定部51は、各固定部51に形成された貫通孔の位置が昇降体14に形成された挿入孔30の位置と合致するように設けられている。本例では、複数の固定部51のそれぞれは、昇降体14における縁部28の上側鍔部28Aに予め形成された複数の挿入孔30のそれぞれに対応する位置に設けられている。
【0030】
そして、複数の固定部51の夫々は、挿入孔30に挿入された締結部材54を用いて装着部26に固定される。本実施形態では、第1締結部材54Aを、第1固定板52の貫通孔に対して上方側Z1から貫通させ、その第1締結部材54Aを上側鍔部28Aの挿入孔30に螺合させることで、第1固定板52を装着部26に固定している。また、第2締結部材54Bを、第2固定板53の貫通孔に対して上方側Z1から貫通させ、その第2締結部材54Bを上側鍔部28Aの挿入孔30に螺合させることで、第2固定板53を装着部26に固定している。図3図7及び図9に示すように、本実施形態では、第1固定板52に対応する挿入孔30と、第2固定板53に対応する挿入孔30とは、いずれも雌ねじが形成された孔となっていると共に、これらの孔の大きさは互いに異なっている。そのため、図4図7及び図9に示すように、第1固定板52を固定する締結部材54である第1締結部材54Aと、第2固定板53を固定する締結部材54である第2締結部材54Bとは、雄ネジ部の径が異なっている。
【0031】
図6及び図7に示すように、支柱部34は、突出部46に連結される第1連結部56と、昇降体14の下部に連結される第2連結部57と、第1柱本体部58と、を備えている。第2連結部57は、昇降体14における第1方向第1側X1の縁部28の下側鍔部28Bに予め形成された挿入孔30に対応する位置に設けられている。より詳しくは、第2連結部57は、当該第2連結部57に形成された貫通孔の位置が下側鍔部28Bに形成された挿入孔30の位置と合致するように設けられている。そして、第3締結部材59を、第2連結部57の貫通孔及び下側鍔部28Bの挿入孔30に対して下方側Z2から貫通させ、その締結部材54を第1タッププレート60に螺合させることで、第2連結部57を昇降体14の下部に連結している。ここで、第1タッププレート60は、下側鍔部28Bの挿入孔30に対応する位置に形成された雌ねじ部を備えた板状部材であり、下側鍔部28Bを挟んで第2連結部57とは反対側に配置される。第1連結部56は、第2連結部57より第1方向第1側X1において突出部46の下面に連結されている。第1柱本体部58は、上方側Z1の端部が第1連結部56に連結され、下方側Z2の端部が第2連結部57に連結されており、下方側Z2に向かうに従って第1方向第2側X2に位置するように傾斜した姿勢で配置されている。これにより、突出部46の下面と昇降体14の下側鍔部28Bとの間に支柱部34を介在させ、突出部46を下方から支持する構成としている。
【0032】
図8及び図9に示すように、挟持部35は、昇降体14に対して第1方向第2側X2において上下方向Zに延在するように配置されていると共に、昇降体14を上下方向Zから挟持するように構成されている。挟持部35は、第2長尺部材42の第1方向第2側X2の端部42Aと、第3連結部63と、第2柱本体部64と、を備えている。第3連結部63は、昇降体14における第1方向第2側X2の縁部28の下側鍔部28Bに予め形成された挿入孔30に対応する位置に設けられている。より詳しくは、第3連結部63は、当該第3連結部63に形成された貫通孔の位置が下側鍔部28Bに形成された挿入孔30の位置と合致するように設けられている。そして、第4締結部材65を、第3連結部63の挿入孔30及び下側鍔部28Bの挿入孔30に対して下方側Z2から貫通させ、その締結部材54を第2タッププレート66に螺合させることで、第3連結部63を昇降体14の下部に連結している。ここで、第2タッププレート66は、下側鍔部28Bの挿入孔30に対応する位置に形成された雌ねじ部を備えた板状部材であり、下側鍔部28Bを挟んで第3連結部63とは反対側に配置される。ここで、第2長尺部材42の第1方向第2側X2の端部42Aは、昇降体14の縁部28(ここでは上側鍔部28A)に対して上方側Z1から接触し、第3連結部63は、昇降体14の縁部28(ここでは下側鍔部28B)に対して下方から接触している。そして、第3連結部63を昇降体14の下部に連結することで、挟持部35によって昇降体14を上下方向Zに挟持するように構成されている。第2柱本体部64は、上方側Z1の端部が第2長尺部材42の第1方向第2側X2の端部42Aに連結され、下方側Z2の端部が第3連結部63に連結されている。この第2柱本体部64は、昇降体14に対して第1方向第2側X2に上下方向Zに沿って配置されている。
【0033】
図4及び図5に示すように、柵36は、搭乗部33の第2方向Yの少なくとも一方側の端部に備えられている。本実施形態では、柵36は、搭乗部33の第2方向第1側Y1の端部に設けられ、搭乗部33の第2方向第2側Y2の端部には設けられていない。具体的には、柵36は、第1長尺部材41における昇降体14の第1方向第1側X1の端部より第1方向第1側X1の部分に設けられている。換言すれば、柵36は、搭乗部33の第2方向Yにおける移載装置15が存在する側とは反対側の端部にのみ設けられている。柵36は、上下方向Zに沿う姿勢の枠材と第1方向Xに沿う姿勢の枠材とを組み合せて格子状に形成されている。本実施形態では、柵36は、その上端の高さが、搭乗面68に搭乗している作業者Mの腰の高さより高い位置となるように形成されている。具体的には、搭乗面68から柵36の上端までの高さは、100cmから120cmの間に設定されている。
【0034】
また、突出部46は、搭乗面68における第2方向Yの両端部に設けられた立ち上がり部69を備えている。立ち上がり部69は、搭乗面68から上方側Z1に向けて立ち上がると共に第1方向Xに沿って連続的に延在するように形成されている。本実施形態では、立ち上がり部69は、上下方向Z及び第1方向Xに沿う姿勢の板状の部材によって構成されている。より詳しくは、立ち上がり部69は、上下方向Zに一定の幅を有し、第1方向Xに突出部46と同じ長さを有する矩形板状に形成されている。立ち上がり部69は、その上端の高さが、柵36の上端の高さより低くなるように形成されている。ここでは、立ち上がり部69は、その上端の高さが、搭乗面68に搭乗している作業者Mの足首の高さ程度となるように形成されている。具体的には、搭乗面68から立ち上がり部69の上端までの高さは、10cmから15cmの間に設定されている。
【0035】
物品搬送設備では、次のようにして保管棚2のメンテナンス作業を行う。つまり、図5に示すように、スタッカークレーン3における昇降体14の装着部26にステージ31を装着する。そして、図10に示すように、作業者Mが搭乗しようとする搭乗体9に対してステージ31が隣接して位置するように、スタッカークレーン3を動作させる。このように搭乗体9とステージ31とが隣接する状態で、作業者Mは、梯子16を利用してステージ31に搭乗し、ステージ31から保管棚2のメンテナンス作業を行う、又は、ステージ31から搭乗体9に乗り移って、保管棚2の第2ファンフィルタユニット10のメンテナンス作業等を行う。
【0036】
2.その他の実施形態
次に、物品搬送設備のその他の実施形態について説明する。
【0037】
(1)上記の実施形態では、ステージ31を、固定部51と支柱部34と挟持部35とによって昇降体14に固定する例を説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、ステージ31を、固定部51と、支柱部34と、挟持部35との内の何れか1つ又は2つによって、昇降体14に固定してもよい。また、挟持部35に代えて、上側鍔部28Aに対して第1方向第2側X2から嵌合する嵌合部を備える等、ステージ31を昇降体14に固定するための構成は適宜変更してもよい。
【0038】
(2)上記の実施形態では、昇降体14に予め形成された挿入孔30を利用してステージ31を昇降体14に固定する構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、昇降体14にステージ31を固定するための専用の孔を形成し、昇降体14に形成した当該専用の孔を利用してステージ31を昇降体14に固定する構成としてもよい。
【0039】
(3)上記の実施形態では、突出部46の第2方向Yの少なくとも一方側の端部に柵36を備える構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、突出部46の第2方向Yの両端部に柵36を備える構成としてもよく、また、突出部46に加えて、載置部47の第2方向Yの少なくとも一方側の端部又は両端部に柵36を備える構成としてもよい。また、突出部46に対して第2方向Yの一方側又は両方側に、突出部46から間隔を少し空けた位置にオフセットさせて柵36を備える構成としてもよい。
【0040】
(4)上記の実施形態では、突出部46の搭乗面68における第2方向Yの両端部に立ち上がり部69を備える構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、突出部46の搭乗面68における第2方向Yの一方側にのみ立ち上がり部69を備える構成としてもよく、また、載置部47が搭乗面68を備えている場合に、その載置部47の搭乗面68における第2方向Yの一方側(例えば、第2方向Yにおける移載装置15が存在する側とは反対側)の端部に立ち上がり部69を備える構成としてもよい。このように、第2方向Yの一方側にのみ立ち上がり部69を設ける場合であって、柵36が突出部46の第2方向Yの一方側の端部にのみ設けられている場合には、立ち上がり部69を、第2方向Yにおける柵36が設けられている側とは反対側のみに設けるようにしても好適である。或いは、ステージ31が立ち上がり部69を備えない構成としてもよい。
【0041】
(5)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0042】
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した物品搬送設備の概要について説明する。
【0043】
物品搬送設備は、物品を保管する保管部を上下方向に並ぶ状態で複数備えた保管棚と、物品を搬送する搬送装置と、を備え、前記上下方向に沿う上下方向視で前記保管棚と前記搬送装置とが並ぶ方向を第1方向とし、前記上下方向視で前記第1方向に対して直交する方向を第2方向とし、前記第1方向における前記搬送装置に対して前記保管棚が存在する側を第1方向第1側とし、前記搬送装置は、前記上下方向に沿って昇降する昇降体と、前記昇降体に支持されると共に自己と前記保管部との間で物品を移載する移載装置と、前記昇降体に着脱可能で且つ作業者が搭乗可能なステージと、を備え、前記昇降体は、前記移載装置に対して前記第2方向の少なくとも一方側に、前記ステージを装着可能な装着部を備え、前記ステージは、前記装着部上に載置される載置部と、前記昇降体の前記第1方向第1側の端部よりも前記第1方向第1側に突出する突出部と、を備え、前記載置部は、前記ステージを前記装着部に固定するための複数の固定部を備えている。
【0044】
本構成によれば、ステージが昇降体に対して着脱自在に構成されているため、保管棚のメンテナンス作業を行う場合は、昇降体にステージを装着することで、作業者がステージに搭乗して保管棚のメンテナンス作業を容易に行うことができる。一方、搬送装置によって物品を搬送する場合は、昇降体からステージを離脱させることで、移載装置によって物品を移載する場合に、移載装置や物品がステージに干渉することを回避することができる。従って、ステージを備えることによる、搬送装置及び移載装置の構成上或いは動作上の制約を軽減することができる。
【0045】
そして、ステージは、昇降体の第1方向第1側の端部から第1方向第1側に突出する突出部を備えているため、作業者は、ステージの突出部に搭乗することで、昇降体に搭乗する場合に比べて、保管棚に近づくことが容易となる。そのため、作業者がステージに搭乗した状態での保管棚に対するメンテナンス作業が行い易くなると共に、作業者がメンテナンス作業のためにステージから保管棚に乗り移ることも行い易くなる。このように、本構成によれば、昇降体と保管棚との距離が大きい場合に、搬送装置を利用した保管棚のメンテナンス作業を行い易くすることができる。
【0046】
ここで、前記ステージは、前記昇降体に連結される支柱部を備え、前記支柱部は、前記突出部に連結される第1連結部と、前記昇降体の下部に連結される第2連結部と、を備えていると好適である。
【0047】
本構成によれば、第1連結部をステージの突出部に連結し、第2連結部を昇降体の下部に連結することで、突出部と昇降体の下部との間に支柱部を介在させ、この支柱部によって突出部を下方から支持することができる。そのため、突出部に作業者が搭乗した場合にステージの突出部が下方に撓むことを抑制できる。
【0048】
また、前記第1方向における前記第1方向第1側とは反対側を第1方向第2側とし、前記ステージは、前記載置部に連結された挟持部を更に備え、前記挟持部は、前記昇降体に対して前記第1方向第2側において前記上下方向に延在するように配置されていると共に、前記昇降体を上下方向両側から挟持するように構成されていると好適である。
【0049】
本構成によれば、昇降体に対して第1方向第2側において、挟持部によって昇降体を上下方向両側から挟持して、昇降体に対してステージを固定することができる。従って、ステージの突出部に作業者が搭乗した場合に、ステージの第1方向第2側の端部が昇降体に対して上方に移動しないようにすることができる。
【0050】
また、複数の前記固定部は、前記昇降体に予め形成された挿入孔に対応する位置に設けられ、前記固定部のそれぞれは、前記挿入孔に挿入された締結部材を用いて前記装着部に固定されると好適である。
【0051】
本構成によれば、ステージの装着部への固定を締結固定によって行うことで、昇降体に対するステージの着脱を容易に行うことができる。また、ステージの装着部への固定を、昇降体に予め形成された挿入部を利用して行うことで、ステージを固定するために新たな挿入孔等を昇降体に形成する必要性を低くすることができる。
【0052】
また、前記ステージは、前記突出部の前記第2方向の少なくとも一方側の端部、又は、前記突出部に対して前記第2方向の少なくとも一方側に、前記突出部上の作業者の移動を規制する柵を備えていると好適である。
【0053】
本構成によれば、突出部の第2方向の一方側の端部から第2方向の一方側への作業者の移動を柵によって規制することができる。また、本構成によれば、突出部上の作業者が柵によって体を支えることが可能となる。そのため、突出部から作業者が転落することを適切に防止することができる。
【0054】
また、前記突出部は、作業者が載る面である搭乗面と、当該搭乗面における前記第2方向の両端部に設けられ、前記搭乗面から上方側に向けて立ち上がると共に前記第1方向に沿って連続的に延在するように形成された立ち上がり部を備えていると好適である。
【0055】
本構成によれば、搭乗面に搭乗している作業者の足の移動や搭乗面上に置かれている物の移動が立ち上がり部によって規制されるため、作業者が搭乗面から足を踏み外すことや、搭乗面に置かれている物が搭乗面から落下することを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本開示に係る技術は、物品を保管する保管部を上下方向に並ぶ状態で複数備えた保管棚と、物品を搬送する搬送装置と、を備えた物品搬送設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1:保管部
2:保管棚
3:スタッカークレーン(搬送装置)
14:昇降体
15:移載装置
26:装着部
30:挿入孔
34:支柱部
35:挟持部
36:柵
46:突出部
47:載置部
51:固定部
54:締結部材
56:第1連結部
57:第2連結部
68:搭乗面
69:立ち上がり部
M:作業者
W:物品
X:第1方向
X1:第1方向第1側
X2:第1方向第2側
Y:第2方向
Z:上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10