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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】血液浄化装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20221213BHJP
   A61M 1/30 20060101ALI20221213BHJP
   A61M 1/34 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
A61M1/16 100
A61M1/30
A61M1/34 100
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019525718
(86)(22)【出願日】2018-06-22
(86)【国際出願番号】 JP2018023907
(87)【国際公開番号】W WO2018235963
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2017122209
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 満隆
(72)【発明者】
【氏名】斎尾 英俊
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0228516(US,A1)
【文献】特開昭58-121956(JP,A)
【文献】特表平3-502061(JP,A)
【文献】特開昭62-60562(JP,A)
【文献】米国特許第5358482(US,A)
【文献】特表2016-515446(JP,A)
【文献】特開2007-20990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16 - 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が半透膜によって第1部および第2部に分割されている血液浄化器と、
前記血液浄化器と接続され、前記第1部と連通している血管アクセス流路と、
前記血液浄化器に接続され、前記第1部と連通している清浄液流路と、
前記血液浄化器に接続され、前記第2部と連通している排液流路とを備え、
前記清浄液流路には、双方向に送液可能な血液ポンプが設けられており、
前記血管アクセス流路および前記排液流路の各々に、開閉弁が設けられており、
前記清浄液流路の血液浄化器側とは反対側の端部は、清浄液を貯液した清浄液貯液部と接続されており、
前記第2部から前記排液流路に流入した排液は、前記清浄液流路および前記清浄液貯液部の各々には流入しない、血液浄化装置。
【請求項2】
前記清浄液流路から分岐して前記血液浄化器と接続され、前記清浄液流路と前記第2部とを連通させる分岐流路をさらに備え、
前記分岐流路に開閉弁が設けられている、請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項3】
前記清浄液流路から分岐して前記血液浄化器と接続され、前記清浄液流路と前記第2部とを連通させる分岐流路をさらに備え、
前記清浄液流路における、前記清浄液流路と前記分岐流路との分岐部と前記血液浄化器との間の部分に、開閉弁が設けられている、請求項1に記載の血液浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静脈側穿刺針の逸脱を検知可能な血液浄化装置の構成を開示した先行文献として、特開2007-20990号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された血液透析装置は、透析器と、血液回路と、血液ポンプと、透析液回路と、超音波式血流計とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-20990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された血液透析装置の血液回路は、一般的な血液浄化装置の構成と同様に、透析器より上流側の動脈側血液回路と、透析器より下流側の静脈側血液回路とからなり、ループが形成されている。
【0005】
一般的に、血液浄化装置は、透析室よりも狭い病室などに配置されており、装置構成の簡易化が求められている。上記のようなループが形成されている血液浄化装置においては、動脈および静脈の各々に穿刺しなければならないため、患者および医療従事者の負担が大きい。また、穿刺針の逸脱による失血量が多くなる可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、装置構成を簡易にしつつ穿刺針の逸脱が発生した場合の失血量を抑制できる、血液浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に基づく血液浄化装置は、血液浄化器と、血管アクセス流路と、清浄液流路と、排液流路とを備える。血液浄化器は、内部が半透膜によって第1部および第2部に分割されている。血管アクセス流路は、血液浄化器と接続され、上記第1部と連通している。清浄液流路は、血液浄化器に接続され、上記第1部と連通している。排液流路は、血液浄化器に接続され、上記第2部と連通している。清浄液流路には、双方向に送液可能な血液ポンプが設けられている。血管アクセス流路および排液流路の各々に、開閉弁が設けられている。
【0008】
本発明の一形態においては、血液浄化装置は、分岐流路をさらに備える。分岐流路は、清浄液流路から分岐して血液浄化器と接続され、清浄液流路と第2部とを連通させる。分岐流路には、開閉弁が設けられている。
【0009】
本発明の一形態においては、血液浄化装置は、分岐流路をさらに備える。分岐流路は、清浄液流路から分岐して血液浄化器と接続され、清浄液流路と第2部とを連通させる。清浄液流路における、清浄液流路と分岐流路との分岐部と血液浄化器との間の部分に、開閉弁が設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、血液浄化装置の構成を簡易にしつつ、穿刺針の逸脱が発生した場合の失血量を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の構成を示す回路図である。
図2】本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の脱血行程を示す回路図である。
図3】本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の除水行程を示す回路図である。
図4】本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の返血行程を示す回路図である。
図5】本発明の実施形態2に係る血液浄化装置の構成を示す回路図である。
図6】本発明の実施形態2に係る血液浄化装置の脱血行程を示す回路図である。
図7】本発明の実施形態2に係る血液浄化装置の透析行程を示す回路図である。
図8】本発明の実施形態2に係る血液浄化装置の除水行程を示す回路図である。
図9】本発明の実施形態2に係る血液浄化装置の返血行程を示す回路図である。
図10】本発明の実施形態3に係る血液浄化装置の構成を示す回路図である。
図11】本発明の実施形態3に係る血液浄化装置の脱血行程を示す回路図である。
図12】本発明の実施形態3に係る血液浄化装置の除水行程を示す回路図である。
図13】本発明の実施形態3に係る血液浄化装置の返血行程を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態に係る血液浄化装置について図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0013】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の構成を示す回路図である。図1に示すように、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置100は、血液浄化器110と、血管アクセス流路120と、清浄液流路130と、排液流路150とを備える。
【0014】
血液浄化器110の内部は、たとえば中空糸膜などの半透膜111によって第1部10および第2部11に分割されている。本実施形態においては、半透膜111に囲まれた内側の空間が第1部10であり、半透膜111の外側の空間が第2部11である。
【0015】
血管アクセス流路120は、血液浄化器110と接続され、第1部10と連通している。血管アクセス流路120の血液浄化器110側とは反対側の端部に、穿刺針が設けられている。血管アクセス流路120に、血管アクセス流路120を開閉する第1開閉弁180が設けられている。
【0016】
清浄液流路130は、血液浄化器110に接続され、第1部10と連通している。清浄液流路130の血液浄化器110側とは反対側の端部は、たとえば生理食塩水または透析液からなる清浄液141を貯液した清浄液貯液部140と接続されている。清浄液流路130には、双方向に送液可能な血液ポンプ170が設けられている。
【0017】
排液流路150は、血液浄化器110に接続され、第2部11と連通している。排液流路150の血液浄化器110側とは反対側の端部は、排液161を貯液する排液貯液部160と接続されている。排液流路150に、排液流路150を開閉する第2開閉弁190が設けられている。
【0018】
以下、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置100の動作について説明する。
血液浄化装置100の透析開始前に、血液浄化器110、血管アクセス流路120、清浄液流路130および排液流路150の各々は、清浄液141を用いてプライミングされている。
【0019】
図2は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の脱血行程を示す回路図である。図2に示すように、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置100の脱血行程においては、第1開閉弁180が開き、第2開閉弁190が閉じた状態で、血液ポンプ170が矢印2で示す吸入方向に送液する。その結果、血液が矢印1で示すように血管アクセス流路120から血液浄化器110の第1部10に流入する。血液浄化器110の第1部10を通過した血液は、清浄液流路130に流入する。清浄液流路130に流入した血液の量に応じて、清浄液流路130内の清浄液141が清浄液貯液部140に流入する。
【0020】
図3は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の除水行程を示す回路図である。図3に示すように、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置100の除水行程においては、第1開閉弁180が閉じ、第2開閉弁190が開いた状態で、血液ポンプ170が矢印3で示す排出方向に送液する。
【0021】
その結果、清浄液流路130内の血液が血液浄化器110の第1部10に流入する。血液浄化器110の第1部10に流入した血液は、血液ポンプ170からの加圧によって半透膜111にて濾過される。半透膜111を通過して第2部11に到達した排液161は、排液流路150に流入し、排液貯液部160に貯液される。排液貯液部160に貯液された排液161の量が除水量となる。
【0022】
図4は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の返血行程を示す回路図である。図4に示すように、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置100の返血行程においては、第1開閉弁180が開き、第2開閉弁190が閉じた状態で、血液ポンプ170が排出方向に送液する。その結果、血液浄化器110において除水された血液が、矢印5で示すように血管アクセス流路120に流入し、患者に返血される。
【0023】
なお、除水行程において、意図的に除水量を多くした場合には、返血工程において、浄化された血液とともに除水量を多くした分に相当する量の清浄液141を患者に補充してもよい。
【0024】
本発明の実施形態1に係る血液浄化装置100においては、血液回路のループが形成されていない簡易な構成を有しつつ、脱血行程と返血工程とが交互に行なわれるため、仮に、穿刺針の逸脱が発生した場合においても、失血量を抑制できる。具体的には、失血量を、脱血行程において血液浄化装置100内に流入した血液の量以下にすることができる。また、穿刺針を静脈にのみ穿刺することにより、患者の負担を軽減しつつ長時間に亘って血液浄化を行なうことができる。
【0025】
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置について図を参照して説明する。本発明の実施形態2に係る血液浄化装置は、分岐流路をさらに備える点が主に、実施形態1に係る血液浄化装置100と異なるため、血液浄化装置100と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0026】
図5は、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置の構成を示す回路図である。図5に示すように、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置200は、分岐流路230をさらに備える。分岐流路230は、清浄液流路130から分岐して血液浄化器110と接続され、清浄液流路130と第2部11とを連通させる。分岐流路230には、第3開閉弁290が設けられている。清浄液流路130と分岐流路230との分岐部231は、血液浄化器110と血液ポンプ170との間の位置に設けられている。
【0027】
以下、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置200の動作について説明する。
血液浄化装置200の透析開始前に、血液浄化器110、血管アクセス流路120、清浄液流路130、排液流路150および分岐流路230の各々は、清浄液141を用いてプライミングされている。
【0028】
図6は、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置の脱血行程を示す回路図である。図6に示すように、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置200の脱血行程においては、第1開閉弁180が開き、第2開閉弁190が閉じ、第3開閉弁290が閉じた状態で、血液ポンプ170が吸入方向に送液する。
【0029】
その結果、血液が矢印1で示すように血管アクセス流路120から血液浄化器110の第1部10に流入する。血液浄化器110の第1部10を通過した血液は、清浄液流路130に流入する。なお、血液が分岐部231に到達する前に、脱血行程を終了する。すなわち、脱血行程において、血液が分岐流路230に流入しないようにする。
【0030】
図7は、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置の透析行程を示す回路図である。図7に示すように、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置200の透析行程においては、第1開閉弁180が閉じ、第2開閉弁190が開き、第3開閉弁290が開いた状態で、血液ポンプ170が排出方向に送液する。
【0031】
その結果、清浄液流路130内の血液は、血液浄化器110の第1部10に流入する。清浄液流路130内の清浄液141の一部は、分岐流路230を矢印3aで示すように通過して第2部11に流入する。
【0032】
血液浄化器110の第1部10に流入した血液は、半透膜111を隔てて第2部11の清浄液141と接触し、拡散の原理により血液中の老廃物が第2部11に移動することによって浄化される。分岐流路230から第2部11に流入した清浄液141は、半透膜111を通過して第2部11に到達した血液中の老廃物とともに排液流路150に流入し、排液貯液部160に貯液される。
【0033】
図8は、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置の除水行程を示す回路図である。図8に示すように、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置200の除水行程においては、第1開閉弁180が閉じ、第2開閉弁190が開き、第3開閉弁290が閉じた状態で、血液ポンプ170が排出方向に送液する。
【0034】
その結果、清浄液流路130内の血液は、血液浄化器110の第1部10に流入する。血液浄化器110の第1部10に流入した血液は、血液ポンプ170からの加圧によって半透膜111にて濾過される。半透膜111を通過して第2部11に到達した排液161は、排液流路150に流入し、排液貯液部160に貯液される。
【0035】
図9は、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置の返血行程を示す回路図である。図9に示すように、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置200の返血行程においては、第1開閉弁180が開き、第2開閉弁190が閉じ、第3開閉弁290が閉じた状態で、血液ポンプ170が排出方向に送液する。その結果、血液浄化器110において浄化された血液が、矢印5で示すように血管アクセス流路120に流入し、患者に返血される。
【0036】
本発明の実施形態2に係る血液浄化装置200においても、血液回路のループが形成されていない簡易な構成を有しつつ、脱血行程と返血工程とが交互に行なわれるため、仮に、穿刺針の逸脱が発生した場合においても、失血量を抑制できる。具体的には、失血量を、脱血行程において血液浄化装置200内に流入した血液の量以下にすることができる。
【0037】
なお、返血工程において、第1開閉弁180が開き、第2開閉弁190が閉じ、第3開閉弁290が開いた状態で、血液ポンプ170が排出方向に送液するようにしてもよい。この場合、第2部11に位置する溶液が血液ポンプ170からの加圧によって半透膜111にて逆濾過される。
【0038】
(実施形態3)
以下、本発明の実施形態3に係る血液浄化装置について図を参照して説明する。本発明の実施形態3に係る血液浄化装置は、開閉弁が設けられる位置が主に、実施形態2に係る血液浄化装置200と異なるため、血液浄化装置200と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0039】
図10は、本発明の実施形態3に係る血液浄化装置の構成を示す回路図である。図10に示すように、本発明の実施形態3に係る血液浄化装置300においては、第3開閉弁290の代わりに、第4開閉弁390が設けられている。第4開閉弁390は、清浄液流路130における、清浄液流路130と分岐流路230との分岐部231と血液浄化器110との間の部分に設けられている。なお、第3開閉弁290および第4開閉弁390の両方が設けられていてもよい。
【0040】
以下、本発明の実施形態3に係る血液浄化装置300の動作について説明する。
血液浄化装置300の透析開始前に、血液浄化器110、血管アクセス流路120、清浄液流路130、排液流路150および分岐流路230の各々は、清浄液141を用いてプライミングされている。
【0041】
図11は、本発明の実施形態3に係る血液浄化装置の脱血行程を示す回路図である。図11に示すように、本発明の実施形態3に係る血液浄化装置300の脱血行程においては、第1開閉弁180が開き、第2開閉弁190が閉じ、第4開閉弁390が開いた状態で、血液ポンプ170が吸入方向に送液する。
【0042】
その結果、血液が矢印1で示すように血管アクセス流路120から血液浄化器110の第1部10に流入する。血液浄化器110の第1部10を通過した血液は、清浄液流路130に流入する。なお、血液が分岐部231に到達する前に、脱血行程を終了する。すなわち、脱血行程において、血液が分岐流路230に流入しないようにする。
【0043】
図12は、本発明の実施形態3に係る血液浄化装置の除水行程を示す回路図である。図12に示すように、本発明の実施形態3に係る血液浄化装置300の除水行程においては、第1開閉弁180が閉じ、第2開閉弁190が開き、第4開閉弁390が開いた状態で、血液ポンプ170が排出方向に送液する。
【0044】
その結果、清浄液流路130内の血液は、血液浄化器110の第1部10に流入する。血液浄化器110の第1部10に流入した血液は、血液ポンプ170からの加圧によって半透膜111にて濾過される。半透膜111を通過して第2部11に到達した排液161は、排液流路150に流入し、排液貯液部160に貯液される。
【0045】
図13は、本発明の実施形態3に係る血液浄化装置の返血行程を示す回路図である。図13に示すように、本発明の実施形態3に係る血液浄化装置300の返血行程においては、第1開閉弁180が開き、第2開閉弁190が閉じ、第4開閉弁390が閉じた状態で、血液ポンプ170が排出方向に送液する。その結果、第2部11に位置する溶液が血液ポンプ170からの加圧によって半透膜111にて逆濾過されるとともに、血液浄化器110において浄化された血液が、矢印5で示すように血管アクセス流路120に流入し、患者に返血される。
【0046】
本発明の実施形態3に係る血液浄化装置300においても、血液回路のループが形成されていない簡易な構成を有しつつ、脱血行程と返血工程とが交互に行なわれるため、仮に、穿刺針の逸脱が発生した場合においても、失血量を抑制できる。具体的には、失血量を、脱血行程において血液浄化装置300内に流入した血液の量以下にすることができる。
【0047】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0048】
10 第1部、11 第2部、100,200,300 血液浄化装置、110 血液浄化器、111 半透膜、120 血管アクセス流路、130 清浄液流路、140 清浄液貯液部、141 清浄液、150 排液流路、160 排液貯液部、161 排液、170 血液ポンプ、180 第1開閉弁、190 第2開閉弁、230 分岐流路、231 分岐部、290 第3開閉弁、390 第4開閉弁。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13