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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】穿孔工具
(51)【国際特許分類】
   B25D 16/00 20060101AFI20221213BHJP
   B28D 1/14 20060101ALI20221213BHJP
   B27C 3/08 20060101ALI20221213BHJP
   B23B 45/00 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B25D16/00
B28D1/14
B27C3/08
B23B45/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020521134
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(86)【国際出願番号】 JP2019017901
(87)【国際公開番号】W WO2019225295
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】P 2018101085
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094983
【弁理士】
【氏名又は名称】北澤 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095946
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192337
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100206092
【弁理士】
【氏名又は名称】金 佳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100208535
【弁理士】
【氏名又は名称】松坂 光邦
(72)【発明者】
【氏名】橋本 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】益子 弘識
(72)【発明者】
【氏名】野口 裕太
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-131366(JP,A)
【文献】特開2008-126532(JP,A)
【文献】特開2016-087703(JP,A)
【文献】特開2010-173053(JP,A)
【文献】特開2007-007852(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0184904(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25D 16/00
B28D 1/14
B27C 3/08
B23B 45/00
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力を発生させる駆動源と、
先端ビットを装着可能なビット装着部と、
前記駆動力を受け前記ビット装着部に装着された前記先端ビットに動力を付与可能な動力伝達部と、
前記駆動源を停止させる停止条件を設定するための設定操作を受け付ける設定操作受付部と、
手動操作によってオン状態とオフ状態とに切換可能な被操作部と、
前記駆動源を制御可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記設定操作受付部が受け付けた前記設定操作に基づいて前記停止条件を設定する設定処理と、
前記駆動源の駆動を開始する駆動開始処理と、
前記駆動源を停止させる駆動停止処理と、を実行可能であり、
前記被操作部は、前記設定操作受付部を兼ねており、
前記制御部は、
前記被操作部を前記オフ状態から前記オン状態に切換える第1切換操作に応じて、前記駆動開始処理を実行し、
前記被操作部を前記オン状態から前記オフ状態に切換える第2切換操作に応じて、前記駆動停止処理を実行し、
前記設定操作は、前記第1切換操作から前記第2切換操作までの一連の操作のうちの設定操作条件を満たした前記一連の操作であり、
前記制御部は、
前記設定操作に基づいて停止条件情報を取得する取得処理をさらに実行し、
前記設定処理において、前記取得処理で取得した前記停止条件情報を用いて前記停止条件を設定し、
前記停止条件が設定された状態においては、前記停止条件が前記駆動源の駆動中に満たされたことに応じて、前記被操作部がオン状態であったとしても前記駆動停止処理を実行し、
前記取得処理において、前記設定操作における前記第1切換操作から前記設定操作における前記第2切換操作までの期間である設定操作期間を前記停止条件情報として取得し、
前記停止条件を、前記第1切換操作から前記設定操作期間が経過したこと、に設定することを特徴とする穿孔工具。
【請求項2】
駆動力を発生させる駆動源と、
先端ビットを装着可能なビット装着部と、
前記駆動力を受け前記ビット装着部に装着された前記先端ビットに動力を付与可能な動力伝達部と、
前記駆動源を停止させる停止条件を設定するための設定操作を受け付ける設定操作受付部と、
手動操作によってオン状態とオフ状態とに切換可能な被操作部と、
前記駆動源を制御可能な制御部と、
前記駆動源に流れる電流を検出する電流検出部と、を備え、
前記制御部は、
前記設定操作受付部が受け付けた前記設定操作に基づいて前記停止条件を設定する設定処理と、
前記駆動源の駆動を開始する駆動開始処理と、
前記駆動源を停止させる駆動停止処理と、を実行可能であり、
前記被操作部は、前記設定操作受付部を兼ねており、
前記制御部は、
前記被操作部を前記オフ状態から前記オン状態に切換える第1切換操作に応じて、前記駆動開始処理を実行し、
前記被操作部を前記オン状態から前記オフ状態に切換える第2切換操作に応じて、前記駆動停止処理を実行し、
前記設定操作は、前記第1切換操作から前記第2切換操作までの一連の操作のうちの設定操作条件を満たした前記一連の操作であり、
前記制御部は、
前記設定操作に基づいて停止条件情報を取得する取得処理をさらに実行し、
前記設定処理において、前記取得処理で取得した前記停止条件情報を用いて前記停止条件を設定し、
前記停止条件が設定された状態においては、前記停止条件が前記駆動源の駆動中に満たされたことに応じて、前記被操作部がオン状態であったとしても前記駆動停止処理を実行し、
前記設定操作条件は、前記一連の操作の間に前記電流が電流閾値に達した場合に満たされ、
前記制御部は、
前記取得処理において、前記設定操作における前記電流が前記電流閾値に達した時点から前記設定操作における前記第2切換操作までの期間である第2設定操作期間を前記停止条件情報として取得し、
前記停止条件を、前記第1切換操作の後に前記電流が前記電流閾値に達した時点から前記第2設定操作期間が経過したこと、に設定することを特徴とする穿孔工具。
【請求項3】
駆動力を発生させる駆動源と、
先端ビットを装着可能なビット装着部と、
前記駆動力を受け前記ビット装着部に装着された前記先端ビットに動力を付与可能な動力伝達部と、
前記駆動源を停止させる停止条件を設定するための設定操作を受け付ける設定操作受付部と、
手動操作によってオン状態とオフ状態とに切換可能な被操作部と、
前記駆動源を制御可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記設定操作受付部が受け付けた前記設定操作に基づいて前記停止条件を設定する設定処理と、
前記駆動源の駆動を開始する駆動開始処理と、
前記駆動源を停止させる駆動停止処理と、を実行可能であり、
前記被操作部は、前記設定操作受付部を兼ねており、
前記制御部は、
前記被操作部を前記オフ状態から前記オン状態に切換える第1切換操作に応じて、前記駆動開始処理を実行し、
前記被操作部を前記オン状態から前記オフ状態に切換える第2切換操作に応じて、前記駆動停止処理を実行し、
前記設定操作は、前記第1切換操作から前記第2切換操作までの一連の操作のうちの設定操作条件を満たした前記一連の操作であり、
前記制御部は、
前記設定操作に基づいて停止条件情報を取得する取得処理をさらに実行し、
前記設定処理において、前記取得処理で取得した前記停止条件情報を用いて前記停止条件を設定し、
前記停止条件が設定された状態においては、前記停止条件が前記駆動源の駆動中に満たされたことに応じて、前記被操作部がオン状態であったとしても前記駆動停止処理を実行し、
前記設定操作条件は、前記一連の操作の間に前記被操作部の操作量が操作量閾値以上となった場合に満たされ、
前記制御部は、
前記取得処理において、前記設定操作における前記操作量が前記操作量閾値以上となった時点から前記設定操作における前記第2切換操作までの期間である第2設定操作期間を前記停止条件情報として取得し、
前記設定処理において、前記停止条件を、前記操作量が前記操作量閾値以上となった時点から前記第2設定操作期間が経過したこと、に設定することを特徴とする穿孔工具。
【請求項4】
前記動力伝達部は、前記先端ビットに前記動力として打撃力及び回転力を付与可能であり、
前記動力伝達部の動力伝達状態を、
前記ビット装着部に装着された前記先端ビットに前記回転力のみを伝達可能な回転力伝達状態と、
前記ビット装着部に装着された前記先端ビットに前記打撃力のみを伝達可能な打撃力伝達状態と、
前記ビット装着部に装着された前記先端ビットに前記回転力及び前記打撃力を伝達可能な回転打撃力伝達状態と、の間で切換可能な切換部をさらに有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の穿孔工具。
【請求項5】
駆動力を発生させる駆動源と、
先端ビットを装着可能なビット装着部と、
前記駆動力を受け前記ビット装着部に装着された前記先端ビットに動力を付与可能な動力伝達部と、
前記駆動源を停止させる停止条件を設定するための設定操作を受け付ける設定操作受付部と、
手動操作によってオン状態とオフ状態とに切換可能な被操作部と、
前記駆動源を制御可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記設定操作受付部が受け付けた前記設定操作に基づいて前記停止条件を設定する設定処理と、
前記駆動源の駆動を開始する駆動開始処理と、
前記駆動源を停止させる駆動停止処理と、を実行可能であり、
前記被操作部は、前記設定操作受付部を兼ねており、
前記制御部は、
前記被操作部を前記オフ状態から前記オン状態に切換える第1切換操作に応じて、前記駆動開始処理を実行し、
前記被操作部を前記オン状態から前記オフ状態に切換える第2切換操作に応じて、前記駆動停止処理を実行し、
前記設定操作は、前記第1切換操作から前記第2切換操作までの一連の操作のうちの設定操作条件を満たした前記一連の操作であり、
前記制御部は、
前記設定操作に基づいて停止条件情報を取得する取得処理をさらに実行し、
前記設定処理において、前記取得処理で取得した前記停止条件情報を用いて前記停止条件を設定し、
前記停止条件が設定された状態においては、前記停止条件が前記駆動源の駆動中に満たされたことに応じて、前記被操作部がオン状態であったとしても前記駆動停止処理を実行し、
前記取得処理において、前記設定操作における前記第1切換操作から前記設定操作における前記第2切換操作までの前記駆動源の回転量である設定回転量を前記停止条件情報として取得し、
前記停止条件を、前記第1切換操作からの前記駆動源の回転量が前記設定回転量に達したこと、に設定することを特徴とする穿孔工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穿孔工具に関する。
【背景技術】
【0002】
被作業材(例えば、コンクリート、鉄鋼、木材等)に穿孔穴を形成する穿孔作業や被作業材を破砕する破砕作業等を行う穿孔工具が知られている。このような穿孔工具における穿孔作業では、被作業材に複数の穿孔穴を形成し当該複数の穿孔穴の深さを均一にすることが求められる場合がある。しかしながら、従来の穿孔工具における穿孔作業においては、所望の深さの穿孔穴を形成することは容易ではなく、被作業材に均一の深さの複数の穿孔穴を形成することが求められる穿孔作業においては作業性が低下していた。
【0003】
特許文献1には、上記課題を解決するための穿孔工具が提案されている。特許文献1に記載の穿孔工具は、駆動源であるモータと、モータの制御を行う制御部と、距離センサとを有している。この穿孔工具における制御部は、距離センサによって測定された穿孔工具本体と被作業材との離間距離に基づいて穿孔深さを算出し、当該穿孔深さがユーザによって予め設定された設定深さとなった場合にモータを停止させる。これにより、ユーザは、当該設定深さを所望の深さに予め設定することで、当該所望の深さの穿孔穴を形成することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-76178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、穿孔工具による穿孔作業においては穿孔工具本体に加わる振動が大きく且つ被作業材から粉塵が多く発生する。このため、距離センサによる測定結果に基づいて穿孔深さを算出する特許文献1に記載の穿孔工具においては、当該振動及び粉塵に起因して距離センサによる測定が不正確となり、穿孔深さを正確に算出できない場合があった。このため、特許文献1に記載の穿孔工具を用いて被作業材に複数の穿孔穴を形成した場合、当該被作業材に形成された当該複数の穿孔穴の深さにバラつきが生じ易く、それらの深さを均一にすることが困難であった。また、特許文献1に記載の電動工具においては、制御部と距離センサとを接続する配線等を必要とするため、構成が複雑化してしまっていた。さらに、距離センサを設けるためのコストが別途かかってしまうため、生産コストが高価なものとなってしまっていた。
【0006】
そこで、本発明は、簡易な構成且つ低コストで複数の穿孔穴を均一の深さで容易に形成可能な穿孔工具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、駆動力を発生させる駆動源と、先端ビットを装着可能なビット装着部と、前記駆動力を受け前記ビット装着部に装着された前記先端ビットに打撃力及び回転力を付与可能な動力伝達部と、前記駆動源を停止させる停止条件を設定するための設定操作を受け付ける設定操作受付部と、手動操作によってオン状態とオフ状態とに切換可能な被操作部と、前記駆動源を制御可能な制御部と、を備え、前記制御部は、前記設定操作受付部が受け付けた前記設定操作に基づいて前記停止条件を設定する設定処理と、前記駆動源の駆動を開始する駆動開始処理と、前記駆動源を停止させる駆動停止処理と、を実行可能であり、前記制御部は、前記被操作部を前記オフ状態から前記オン状態に切換える第1切換操作に応じて、前記駆動開始処理を実行し、前記被操作部を前記オン状態から前記オフ状態に切換える第2切換操作に応じて、前記駆動停止処理を実行し、前記停止条件が設定された状態においては、前記停止条件が前記駆動源の駆動中に満たされたことに応じて、前記被操作部がオン状態であったとしても前記駆動停止処理を実行することを特徴とする穿孔工具を提供している。
【0008】
上記構成によれば、設定操作を行って停止条件を設定した状態において、被操作部をオフ状態からオン状態に切換えて当該オン状態を維持する操作を行うと、駆動源が駆動した後、停止条件を満たした時点で自動的に停止する。すなわち、停止条件を設定した状態においては、作業環境(被作業材や作業内容)が大幅に変化しない限り、上記操作によって1度行った穿孔作業が上記操作を行うことで再現される。このため、上記操作で穿孔作業を行うことで、被作業材に形成された穿孔穴の深さを均一にすることができる。また、上記制御は、特別なセンサや複雑な配線等を必要とせず、制御部の機能によって実現されている。これらにより、簡易な構成且つ低コストで複数の穿孔穴を均一の深さで容易に形成することができる。
【0009】
上記構成において、前記制御部は、前記駆動源を制御する制御モードとして、複数のモードを有し、前記制御モードとして前記複数のモードのうちから一のモードを選択的に設定するモード設定処理をさらに実行可能であり、前記複数のモードは、少なくとも第1モードと第2モードとを含み、前記制御部は、前記第1モードにおいて、前記設定操作受付部が前記設定操作を受け付けたことに応じて、前記設定処理を実行し、前記第2モードにおいては、前記設定処理を実行しないことが好ましい。
【0010】
このような構成によると、前記設定操作受付部が前記設定操作を受け付けたことに応じて設定処理を行う第1モードを有しつつ、設定処理を行わない第2モードも有している。このため、ユーザは、複数の穿孔穴を均一な深さで形成する作業と、複数の穿孔穴をそれぞれ異なった所望な深さで形成する作業とを選択することができる。これにより、作業の自由度を向上させることができる。
【0011】
また、上記構成において、前記被操作部は、前記設定操作受付部を兼ねており、前記設定操作は、前記被操作部に対する操作であり、前記制御部は、前記第1モードにおいて、前記設定操作に基づいて停止条件情報を取得する取得処理をさらに実行し、前記設定処理において、前記取得処理で取得した前記停止条件情報を用いて前記停止条件を設定することが好ましい。
【0012】
このような構成によると、被操作部と設定操作受付部とが同一の部材であるため、ユーザによって操作される部材を少なくすることができる。このため、ユーザによる操作が複雑とならず、作業性をより向上させることができる。また、部品点数を少なくすることができ、より簡易な構成且つ低コストで穿孔工具を製造することができる。
【0013】
また、上記構成において、前記設定操作は、前記第1モードにおける最初の前記第1切換操作から前記第2切換操作までの一連の操作であり、前記制御部は、前記取得処理において、前記設定操作における前記第1切換操作から前記設定操作における前記第2切換操作までの期間である設定操作期間を前記停止条件情報として取得し、前記設定処理において、前記停止条件を、前記第1切換操作から前記設定操作期間が経過したこと、に設定することが好ましい。
【0014】
このような構成によると、停止条件を設定操作期間を用いて設定しているため、距離センサ等を用いる場合と比較して、設定操作の際に行った穿孔作業を正確に再現でき、かつ、ユーザが直感的に操作することできる。
【0015】
また、上記構成において、前記設定操作は、前記第1モードにおける最初の前記第1切換操作から前記第2切換操作までの一連の操作であり、前記制御部は、前記取得処理において、前記設定操作における前記第1切換操作から前記設定操作における前記第2切換操作までの期間における前記駆動源の駆動に関する駆動情報を前記停止条件情報として取得し、前記設定処理において、前記取得処理で取得した前記駆動情報を用いて前記停止条件を設定することが好ましい。
【0016】
このような構成によると、駆動情報を用いて停止条件を設定するため、距離センサ等を用いる場合と比較して、設定操作の際に行った穿孔作業を正確に再現できる。
【0017】
また、上記構成において、前記設定操作は、前記第1切換操作から前記第2切換操作までの一連の操作のうちの設定操作条件を満たした前記一連の操作であり、前記制御部は、前記取得処理において、前記設定操作における前記第1切換操作から前記設定操作における前記第2切換操作までの期間である設定操作期間を前記停止条件情報として取得し、前記停止条件を、前記第1切換操作から前記設定操作期間が経過したこと、に設定することが好ましい。
【0018】
このような構成によると、取得処理において、設定操作条件を満たした操作のみに基づいて停止条件が設定される。このため、停止条件を設定することを意図しない作業(先端ビットの位置合わせ等)に基づいた停止条件が設定されることを防止することができる。これにより、作業性をさらに向上させることができる。
【0019】
また、上記構成において、前記設定操作条件は、前記一連の操作における前記第1切換操作から前記一連の操作における前記第2切換操作までの期間が下限期間よりも長い場合に満たされることが好ましい。
【0020】
また、上記構成において、前記駆動源に流れる電流を検出する電流検出部をさらに備え、前記設定操作は、前記第1切換操作から前記第2切換操作までの一連の操作の間に前記電流が電流閾値に達した場合の前記一連の操作であり、前記制御部は、前記取得処理において、前記設定操作における前記電流が前記電流閾値に達した時点から前記設定操作における前記第2切換操作までの期間である第2設定操作期間を前記停止条件情報として取得し、前記停止条件を、前記第1切換操作の後に前記電流が前記電流閾値に達した時点から前記第2設定操作期間が経過したこと、に設定することが好ましい。
【0021】
また、上記構成において、前記設定操作は、前記第1切換操作から前記第2切換操作までの一連の操作の間に前記被操作部の操作量が操作量閾値以上となった場合の前記一連の操作であり、前記制御部は、前記取得処理において、前記設定操作における前記操作量が前記操作量閾値以上となった時点から前記設定操作における前記第2切換操作までの期間である第2設定操作期間を前記停止条件情報として取得し、前記設定処理において、前記停止条件を、前記操作量が前記操作量閾値以上となった時点から前記第2設定操作期間が経過したこと、に設定することが好ましい。
【0022】
また、上記構成において、前記制御部は、前記駆動源の駆動速度として複数の速度のうちから一の速度を選択的に設定する速度設定処理をさらに実行可能であることが好ましい。
【0023】
また、上記構成において、前記制御部は、前記速度設定処理において設定された速度で前記駆動源を駆動する設定速度駆動制御と、前記駆動源の駆動開始後から所定期間をかけて前記駆動源の前記駆動速度を前記速度設定処理において設定された速度まで上昇させ、前記駆動速度が前記設定された速度に達した後は前記駆動源を前記設定された速度で駆動する、ソフトスタート制御と、をさらに実行可能であることが好ましい。
【0024】
また、上記構成において、前記駆動速度の切換及び前記制御モードの切換を行うための手動操作可能な切換スイッチを有し、前記制御部は、前記切換スイッチが短押操作を受け付けたことに応じて、前記駆動速度を前記複数の速度の間で切換えて切換先の速度を前記駆動速度として設定する速度切換処理を実行し、前記切換スイッチが長押操作を受け付けたことに応じて、前記モード設定処理を実行し前記制御モードを前記複数のモードの間で切換えて切換先のモードを前記制御モードとして設定することが好ましい。
【0025】
このような構成によると、駆動速度の切換を行う操作部と制御モードの切換を行う操作部とを共通にすることができる。これにより、穿孔工具の構成を簡単にでき、ユーザによる操作性をも向上させることができる。
【0026】
また、上記構成において、前記制御モードとして設定されているモードを表示する表示部をさらに備えていることが好ましい。
【0027】
また、上記構成において、前記モード設定処理において前記制御モードとして設定したモードを記憶するための不揮発性の記憶媒体と、前記制御部に電源供給が可能な電源回路と、をさらに備え、前記制御部は、前記電源回路からの前記電源供給が開始されると起動し、前記電源回路からの前記電源供給が途絶えると停止し、前記電源供給が途絶えた後に再び前記電源供給が開始されたことに応じて、前記モード設定処理を実行して前記記憶媒体に前記制御モードとして記憶されているモードを前記制御モードとして設定することが好ましい。
【0028】
このような構成によると、制御部への電源供給が途絶えた後に当該電源供給が再開された場合、制御モードが当該電源供給が途絶える前のモードに自動的に設定される。このため、所望の一の制御モードを多用するユーザは、穿孔工具の電源のオンオフ毎に当該所望の制御モードに再設定する必要がない。また、停電等によって穿孔工具の電源がオフされてしまい、その後の復電によって穿孔工具の電源がオンされた場合には、停電前に設定されていた制御モードが自動的に設定されるため、ユーザは停電前に設定されていた制御モードに再設定する必要がない。これにより、利便性及び作業性をより向上させることができる。
【0029】
また、上記構成において、前記動力伝達部の動力伝達状態を、前記ビット装着部に装着された前記先端ビットに前記回転力のみを伝達可能な回転力伝達状態と、前記ビット装着部に装着された前記先端ビットに前記打撃力のみを伝達可能な打撃力伝達状態と、前記ビット装着部に装着された前記先端ビットに前記回転力及び前記打撃力を伝達可能な回転打撃力伝達状態と、の間で切換可能な切換部をさらに有することが好ましい。
上記課題を解決するために、本発明はさらに、駆動力を発生させる駆動源と、先端ビットを装着可能なビット装着部と、前記駆動力を受け前記ビット装着部に装着された前記先端ビットに動力を付与可能な動力伝達部と、前記駆動源を停止させる停止条件を設定するための設定操作を受け付ける設定操作受付部と、手動操作によってオン状態とオフ状態とに切換可能な被操作部と、前記駆動源を制御可能な制御部と、を備え、前記制御部は、前記設定操作受付部が受け付けた前記設定操作に基づいて前記停止条件を設定する設定処理と、前記駆動源の駆動を開始する駆動開始処理と、前記駆動源を停止させる駆動停止処理と、を実行可能であり、前記被操作部は、前記設定操作受付部を兼ねており、前記制御部は、前記被操作部を前記オフ状態から前記オン状態に切換える第1切換操作に応じて、前記駆動開始処理を実行し、前記被操作部を前記オン状態から前記オフ状態に切換える第2切換操作に応じて、前記駆動停止処理を実行し、前記設定操作は、前記第1切換操作から前記第2切換操作までの一連の操作のうちの設定操作条件を満たした前記一連の操作であり、前記制御部は、前記設定操作に基づいて停止条件情報を取得する取得処理をさらに実行し、前記設定処理において、前記取得処理で取得した前記停止条件情報を用いて前記停止条件を設定し、前記停止条件が設定された状態においては、前記停止条件が前記駆動源の駆動中に満たされたことに応じて、前記被操作部がオン状態であったとしても前記駆動停止処理を実行し、前記取得処理において、前記設定操作における前記第1切換操作から前記設定操作における前記第2切換操作までの期間である設定操作期間を前記停止条件情報として取得し、前記停止条件を、前記第1切換操作から前記設定操作期間が経過したこと、に設定することを特徴とする穿孔工具を提供する。
上記課題を解決するために、本発明はさらに、駆動力を発生させる駆動源と、先端ビットを装着可能なビット装着部と、前記駆動力を受け前記ビット装着部に装着された前記先端ビットに動力を付与可能な動力伝達部と、前記駆動源を停止させる停止条件を設定するための設定操作を受け付ける設定操作受付部と、手動操作によってオン状態とオフ状態とに切換可能な被操作部と、前記駆動源を制御可能な制御部と、前記駆動源に流れる電流を検出する電流検出部と、を備え、前記制御部は、前記設定操作受付部が受け付けた前記設定操作に基づいて前記停止条件を設定する設定処理と、前記駆動源の駆動を開始する駆動開始処理と、前記駆動源を停止させる駆動停止処理と、を実行可能であり、前記被操作部は、前記設定操作受付部を兼ねており、前記制御部は、前記被操作部を前記オフ状態から前記オン状態に切換える第1切換操作に応じて、前記駆動開始処理を実行し、前記被操作部を前記オン状態から前記オフ状態に切換える第2切換操作に応じて、前記駆動停止処理を実行し、前記設定操作は、前記第1切換操作から前記第2切換操作までの一連の操作のうちの設定操作条件を満たした前記一連の操作であり、前記制御部は、前記設定操作に基づいて停止条件情報を取得する取得処理をさらに実行し、前記設定処理において、前記取得処理で取得した前記停止条件情報を用いて前記停止条件を設定し、前記停止条件が設定された状態においては、前記停止条件が前記駆動源の駆動中に満たされたことに応じて、前記被操作部がオン状態であったとしても前記駆動停止処理を実行し、前記設定操作条件は、前記一連の操作の間に前記電流が電流閾値に達した場合に満たされ、前記制御部は、前記取得処理において、前記設定操作における前記電流が前記電流閾値に達した時点から前記設定操作における前記第2切換操作までの期間である第2設定操作期間を前記停止条件情報として取得し、前記停止条件を、前記第1切換操作の後に前記電流が前記電流閾値に達した時点から前記第2設定操作期間が経過したこと、に設定することを特徴とする穿孔工具を提供する。
上記課題を解決するために、本発明はさらに、駆動力を発生させる駆動源と、先端ビットを装着可能なビット装着部と、前記駆動力を受け前記ビット装着部に装着された前記先端ビットに動力を付与可能な動力伝達部と、前記駆動源を停止させる停止条件を設定するための設定操作を受け付ける設定操作受付部と、手動操作によってオン状態とオフ状態とに切換可能な被操作部と、前記駆動源を制御可能な制御部と、を備え、前記制御部は、前記設定操作受付部が受け付けた前記設定操作に基づいて前記停止条件を設定する設定処理と、前記駆動源の駆動を開始する駆動開始処理と、前記駆動源を停止させる駆動停止処理と、を実行可能であり、前記被操作部は、前記設定操作受付部を兼ねており、前記制御部は、前記被操作部を前記オフ状態から前記オン状態に切換える第1切換操作に応じて、前記駆動開始処理を実行し、前記被操作部を前記オン状態から前記オフ状態に切換える第2切換操作に応じて、前記駆動停止処理を実行し、前記設定操作は、前記第1切換操作から前記第2切換操作までの一連の操作のうちの設定操作条件を満たした前記一連の操作であり、前記制御部は、前記設定操作に基づいて停止条件情報を取得する取得処理をさらに実行し、前記設定処理において、前記取得処理で取得した前記停止条件情報を用いて前記停止条件を設定し、前記停止条件が設定された状態においては、前記停止条件が前記駆動源の駆動中に満たされたことに応じて、前記被操作部がオン状態であったとしても前記駆動停止処理を実行し、前記設定操作条件は、前記一連の操作の間に前記被操作部の操作量が操作量閾値以上となった場合に満たされ、前記制御部は、前記取得処理において、前記設定操作における前記操作量が前記操作量閾値以上となった時点から前記設定操作における前記第2切換操作までの期間である第2設定操作期間を前記停止条件情報として取得し、前記設定処理において、前記停止条件を、前記操作量が前記操作量閾値以上となった時点から前記第2設定操作期間が経過したこと、に設定することを特徴とする穿孔工具を提供する。
上記構成において、前記動力伝達部は、前記先端ビットに前記動力として打撃力及び回転力を付与可能であり、前記動力伝達部の動力伝達状態を、前記ビット装着部に装着された前記先端ビットに前記回転力のみを伝達可能な回転力伝達状態と、前記ビット装着部に装着された前記先端ビットに前記打撃力のみを伝達可能な打撃力伝達状態と、前記ビット装着部に装着された前記先端ビットに前記回転力及び前記打撃力を伝達可能な回転打撃力伝達状態と、の間で切換可能な切換部をさらに有することが好ましい。
上記課題を解決するために、本発明はさらに、駆動力を発生させる駆動源と、先端ビットを装着可能なビット装着部と、前記駆動力を受け前記ビット装着部に装着された前記先端ビットに動力を付与可能な動力伝達部と、前記駆動源を停止させる停止条件を設定するための設定操作を受け付ける設定操作受付部と、手動操作によってオン状態とオフ状態とに切換可能な被操作部と、前記駆動源を制御可能な制御部と、を備え、前記制御部は、前記設定操作受付部が受け付けた前記設定操作に基づいて前記停止条件を設定する設定処理と、前記駆動源の駆動を開始する駆動開始処理と、前記駆動源を停止させる駆動停止処理と、を実行可能であり、前記被操作部は、前記設定操作受付部を兼ねており、前記制御部は、前記被操作部を前記オフ状態から前記オン状態に切換える第1切換操作に応じて、前記駆動開始処理を実行し、前記被操作部を前記オン状態から前記オフ状態に切換える第2切換操作に応じて、前記駆動停止処理を実行し、前記設定操作は、前記第1切換操作から前記第2切換操作までの一連の操作のうちの設定操作条件を満たした前記一連の操作であり、前記制御部は、前記設定操作に基づいて停止条件情報を取得する取得処理をさらに実行し、前記設定処理において、前記取得処理で取得した前記停止条件情報を用いて前記停止条件を設定し、前記停止条件が設定された状態においては、前記停止条件が前記駆動源の駆動中に満たされたことに応じて、前記被操作部がオン状態であったとしても前記駆動停止処理を実行し、前記取得処理において、前記設定操作における前記第1切換操作から前記設定操作における前記第2切換操作までの前記駆動源の回転量である設定回転量を前記停止条件情報として取得し、前記停止条件を、前記第1切換操作からの前記駆動源の回転量が前記設定回転量に達したこと、に設定することを特徴とする穿孔工具を提供する。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、簡易な構成且つ低コストで複数の穿孔穴を均一の深さで容易に形成可能な穿孔工具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るハンマドリルの内部構造を示す縦断面図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係るハンマドリルの外観を示す斜視図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係るハンマドリルの第1表示設定部を示す平面図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係るハンマドリルの第2表示設定部を示す平面図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係るハンマドリルの電気的構成を示すブロック図である。
図6】本発明の第1の実施の形態に係るハンマドリルにおける制御モード設定表示処理を示すフローチャートである。
図7】本発明の第1の実施の形態に係るハンマドリルにおいて実行される制御モード設定表示処理で使用される点灯パターンテーブルを示す図である。
図8】本発明の第1の実施の形態に係るハンマドリルにおいて実行される制御モード設定表示処理で使用される第1設定テーブルを示す図である。
図9】本発明の第1の実施の形態に係るハンマドリルにおいて実行される制御モード設定表示処理で使用される第2設定テーブルを示す図である。
図10】本発明の第1の実施の形態に係るハンマドリルにおける第1通常速度モードでのブラシレスモータの駆動制御を示すフローチャートである。
図11】本発明の第1の実施の形態に係るハンマドリルにおける第2通常速度モードでのブラシレスモータの駆動制御を示すフローチャートである。
図12】本発明の第1の実施の形態に係るハンマドリルにおける第3通常速度モードでのブラシレスモータの駆動制御を示すフローチャートの一部である。
図13】本発明の第1の実施の形態に係るハンマドリルにおける第3通常速度モードでのブラシレスモータの駆動制御を示すフローチャートの一部である。
図14】本発明の第1の実施の形態に係るハンマドリルにおける第4通常速度モードでのブラシレスモータの駆動制御を示すフローチャートの一部である。
図15】本発明の第1の実施の形態に係るハンマドリルにおける第4通常速度モードでのブラシレスモータの駆動制御を示すフローチャートの一部である。
図16】本発明の第1の実施の形態の第1変形例に係るハンマドリルにおける第5通常速度モードでのブラシレスモータの駆動制御を示すフローチャートである。
図17】本発明の第1の実施の形態の第2変形例に係るハンマドリルにおける第6通常速度モードでのブラシレスモータの駆動制御を示すフローチャートの一部である。
図18】本発明の第1の実施の形態の第2変形例に係るハンマドリルにおける第6通常速度モードでのブラシレスモータの駆動制御を示すフローチャートの一部である。
図19】本発明の第1の実施の形態の第2変形例に係るハンマドリルにおける第6通常速度モードでのブラシレスモータの駆動制御を示すフローチャートの一部である。
図20】本発明の第1の実施の形態の第2変形例に係るハンマドリルにおける第6通常速度モードでのブラシレスモータの駆動制御を示すフローチャートの一部である。
図21】本発明の第1の実施の形態の第3変形例に係るハンマドリルにおける第7通常速度モードでのブラシレスモータの駆動制御を示すフローチャートの一部である。
図22】本発明の第1の実施の形態の第3変形例に係るハンマドリルにおける第7通常速度モードでのブラシレスモータの駆動制御を示すフローチャートの一部である。
図23】本発明の第1の実施の形態の第4変形例に係るハンマドリルにおける第8通常速度モードでのブラシレスモータの駆動制御を示すフローチャートの一部である。
図24】本発明の第1の実施の形態の第4変形例に係るハンマドリルにおける第8通常速度モードでのブラシレスモータの駆動制御を示すフローチャートの一部である。
図25】本発明の第1の実施の形態の第4変形例に係るハンマドリルにおける第8通常速度モードでのブラシレスモータの駆動制御を示すフローチャートの一部である。
図26】本発明の第1の実施の形態の第4変形例に係るハンマドリルにおける第8通常速度モードでのブラシレスモータの駆動制御を示すフローチャートの一部である。
図27】本発明の第2の実施の形態に係るハンマドリルの外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の第1の実施の形態による穿孔工具の一例であるハンマドリル1について、図1図15を参照しながら説明する。以下、ハンマドリル1に関する方向について、図1に示されている「上」を上方向、「下」を下方向、「前」を前方向、「後」を後方向と定義する。また、ハンマドリル1を後から見た場合の「右」を右方向、「左」を左方向と定義する。
【0033】
図1に示されているハンマドリル1は、被加工材(例えば、コンクリート、鉄鋼、木材等)に穿孔穴を形成する作業(穿孔作業)や被加工材を破砕する作業(破砕作業)等を行うための電動式の穿孔工具である。本実施形態におけるハンマドリル1は、動力伝達モードとして3つのモード、制御モードとして8つのモードを備えている。動力伝達モード及び制御モードの詳細については後述する。
【0034】
図1に示されているように、ハンマドリル1は、ハウジング2と、ブラシレスモータ3と、コントローラ46(図5)が実装された制御基板4と、インバータ回路基板5と、整流平滑回路基板部6と、フィルタ回路基板部7と、動力伝達部8と、ビット装着部9とを備えている。
【0035】
ハウジング2は、ハンマドリル1の外郭をなす部分であり、モータハウジング21と、ギヤハウジング22と、ハンドルハウジング23と、を有している。
【0036】
モータハウジング21は、樹脂製の前後方向に延びる筒形状をなす部分であり、ブラシレスモータ3と、制御基板4と、インバータ回路基板5と、整流平滑回路基板部6とを収容している。また、図2に示されているように、モータハウジング21の上部には、制御モードの切換(設定)及び制御モードとして設定されているモードの報知(表示)を行うための第1表示設定部211が設けられている。
【0037】
図3に示されているように、第1表示設定部211は、切換スイッチ211A及び表示部211Bを有している。
【0038】
切換スイッチ211Aは、制御モードを切換える(設定する)ためのタクタイルスイッチであり、コントローラ46に接続されている。切換スイッチ211Aは、ユーザによって押圧操作されている間、切換スイッチ211Aが押圧操作されていることを示す押圧信号をコントローラ46に出力し続け、当該押圧操作が解除されると当該押圧信号の出力を停止する。
【0039】
表示部211Bは、第1LED211C、第2LED211D、及び第3LED211Eを有しており、これら3つのLEDの点灯パターンによって設定されている制御モードを示すように構成されている。第1LED211C、第2LED211D、及び第3LED211Eのそれぞれは、コントローラ46に接続されており、コントローラ46によって点灯、点滅、及び消灯のいずれかに制御される。ユーザは、第1表示設定部211を操作することで、8つのモードのうちから所望の一のモードを制御モードとして設定可能(選択可能)である。第1表示設定部211による制御モードの切換等については後述する。
【0040】
図1に示されているように、ギヤハウジング22は、モータハウジング21の前部に接続されており、ギヤケース22Aと、ケースカバー22Bとを有している。
【0041】
ギヤケース22Aは、モータハウジング21の前部から前方に延びる筒形状をなす金属製のケースであり、動力伝達部8を収容している。ケースカバー22Bは、樹脂製のカバーであり、ギヤケース22Aの外表面を覆っている。図4に示されているように、ケースカバー22Bの左側面には、動力伝達モードの切換(言い換えれば、動力伝達モードの設定)及び動力伝達モードとして設定されているモードの報知(表示)を行うための第2表示設定部221が設けられている。ユーザは、第2表示設定部221を操作することで、動力伝達モードとして3つのモードのうちから所望の一を選択可能である。
【0042】
第2表示設定部221は、ギヤハウジング22の左側面において、ギヤハウジング22の前下部に位置している。第2表示設定部221は、円盤部221Aと、つまみ部221Bと、マグネット221Cと、図示せぬ切換ピンとを有している。第2表示設定部221は、本発明における「切換部」の一例である。
【0043】
円盤部221Aは、左側面視において略円形状の板状部材であり、ギヤハウジング22に対して回転可能に設けられている。
【0044】
つまみ部221Bは、ユーザが動力伝達モードを設定(選択)する場合に操作する部分である。つまみ部221Bは、図4の状態において前後方向に延びる略直方体状に形成されており、円盤部221Aと一体に回転可能に構成されている。
【0045】
また、つまみ部221Bの一端部には、ユーザによって視認可能な矢印221Eが形成されており、ギヤハウジング22の左側面には動力伝達モードとして設定可能な3つのモードにそれぞれ対応した第1マーク22C、第2マーク22D、及び第3マーク22Eが形成されている。
【0046】
マグネット221Cは、動力伝達モードとして選択されているモードを検出するための検出用マグネットであり、つまみ部221Bの一端部の内部に配置されている。また、ギヤハウジング22の左側面には、マグネット221Cの磁場を検出する3つのホール素子22Fが円盤部221Aの周方向に略90°間隔で並んで配置されている。マグネット221Cが3つのホール素子22Fのいずれかと対向した状態となると、マグネット221Cと対向しているホール素子22Fからコントローラ46に信号が出力される。
【0047】
切換ピンは、第2表示設定部221の右部から右方へ突出する部分であり、動力伝達部8の第1クラッチ部材82C(後述)及び第2クラッチ部材83E(後述)に当接している。切換ピンは、円盤部221A及びつまみ部221Bが回転することによって、動力伝達部8の第1クラッチ部材82C(後述)及び第2クラッチ部材83E(後述)を中間軸81A(後述)に対して前後方向に相対移動させるように構成されている。この切換ピンによる第1クラッチ部材82C及び第2クラッチ部材83Eの移動によって、動力伝達モードが切換る。
【0048】
ユーザは、第1マーク22C、第2マーク22D、及び第3マーク22Eを確認し、矢印221Eが所望の動力伝達モードに対応するマークを指示するようにつまみ部221Bを回転させることで、動力伝達モードを3つのモードのうちから所望の一のモードに設定可能である。また、コントローラ46は、3つのホール素子22Fのうちのマグネット221Cと対向しているホール素子22Fから出力される信号によってユーザが設定した動力伝達モードを検出(判別)することが可能である。
【0049】
ハンドルハウジング23は、樹脂製であり、モータハウジング21の後下部から下方に延びる略円筒形状をなしている。ハンドルハウジング23は、作業時にユーザによって把持される部分である。ハンドルハウジング23には、トリガスイッチ23A及び操作検出部23Bが設けられている。また、ハンドルハウジング23の下端部からは電源コード23Cが延びており、ハンドルハウジング23の内部には、フィルタ回路基板部7が収容されている。
【0050】
トリガスイッチ23Aは、手動操作によりオン状態とオフ状態とに切換可能に構成されたスイッチである。トリガスイッチ23Aは、付勢部材によって前方に付勢されており、図1の状態(ユーザによって操作されていない状態)から最大で所定量L1(所定長L1)後方に移動可能に構成されている。所定量L1は、トリガスイッチ23Aに対する最大操作量(最大操作長)である。トリガスイッチ23Aは、本発明における「設定操作受付部」の一例であるとともに「被操作部」の一例でもある。
【0051】
本実施の形態のトリガスイッチ23Aにおいて、図1に示されている状態はオフ状態であり、ユーザによる引操作等によって図1に示されている状態から所定量L2(所定長L2)以上後方に移動した状態がオン状態である。すなわち、ユーザによるトリガスイッチ23Aに対する図1の状態からの操作量(以下、単に、操作量と呼ぶ)が所定量L2未満である場合には、トリガスイッチ23Aはオフ状態であり、操作量が所定量L2以上である場合には、オン状態である。なお、本実施の形態において、所定長L1(すなわち、最大操作長)は10mmであり、所定長L2は3mmである。なお、本実施の形態においては、所定長L2は3mmであるが、これに限られず、0mmであってもよい。すなわち、トリガスイッチ23Aが図1に示されている状態から僅かでも後方に移動したらオン状態となる構成であってもよい。
【0052】
操作検出部23Bは、ハンドルハウジング23の内部においてトリガスイッチ23Aの後方に設けられており、トリガスイッチ23Aの操作状態(オン状態であるかオフ状態であるか)及び操作量を検出可能に構成されている。
【0053】
操作検出部23Bは、コントローラ46に接続されており、トリガスイッチ23Aの操作状態を示す信号をコントローラ46に出力する。具体的には、操作検出部23Bは、トリガスイッチ23Aがオン状態である間、トリガスイッチ23Aがオン状態であること及び操作量を示すオン状態信号をコントローラ46に出力し続ける。一方、操作検出部23Bは、トリガスイッチ23Aがオフ状態である間、トリガスイッチ23Aがオフ状態であることを示すオフ状態信号をコントローラ46に出力し続ける。なお、本実施の形態において、オン状態信号は、操作量に対応した電圧値を有し且つ所定電圧値以上の電圧信号であり、オフ状態信号は、所定電圧値未満の電圧信号(0Vの電圧信号を含む)である。
【0054】
電源コード23Cは、その延出端に、外部電源P(例えば、家庭用コンセントや携帯用発電機等)に接続可能なプラグ部を有している。外部電源Pは、ブラシレスモータ3やコントローラ46等の電源である。電源コード23Cのプラグ部と外部電源Pとが接続された状態において、外部電源Pはフィルタ回路基板部7に接続される。なお、本実施の形態において、外部電源Pは、実効値100Vの商用交流電源である。
【0055】
ブラシレスモータ3は、モータハウジング21内に収容されており、回転軸31と、ロータ32と、ステータ33とを有している。ブラシレスモータ3は、3相ブラシレスDCモータであり、ビット装着部9に装着された先端ビットEを駆動するための駆動源(すなわち、ハンマドリル1の駆動源)である。ブラシレスモータ3は、本発明における「駆動源」の一例である。
【0056】
回転軸31は、前後方向に延びており、モータハウジング21に回転可能に支承されている。回転軸31には、ピニオン31A及びファン31Bが設けられている。ピニオン31Aは、回転軸31の前端部に回転軸31と一体回転するように設けられており、動力伝達部8に噛合している。ファン31Bは、回転軸31の前部に回転軸31と一体回転するように設けられており、ピニオン31Aの後方に位置している。また、ファン31Bの後部には、回転軸31(ロータ32)の回転数検出及び回転位置検出に用いられる複数のセンサマグネット31Cが取付けられている。
【0057】
ロータ32は、複数の永久磁石を有する回転子であり、回転軸31と同軸一体回転するように回転軸31に同軸固定されている。ステータ33は、前後方向に延びる略円筒形状をなしており、ロータ32の周面を囲むように設けられている。ステータ33は、スター型接続された3相のステータコイルU、V、W(図5)を有している。
【0058】
制御基板4は、正面視において略円環形状をなす基板であり、回転軸31を挿通させた状態でファン31Bの後方に設けられている。制御基板4の前面下部には3つのホールIC41(図5)が実装されており、制御基板4の前面上部にはコントローラ46が実装されている。また、図5に示されているように、制御基板4には、3つのホールIC41及びコントローラ46以外に、電流検出回路42、降圧回路43、ホールIC信号検出回路44、及び駆動信号出力回路45等が実装されている。これらの回路の詳細については後述する。
【0059】
3つのホールIC41は、制御基板4の前面において、ファン31Bに取付けられた複数のセンサマグネット31Cに対向するように、回転軸31の周方向に略60°間隔で並んで配置されている。3つのホールIC41のそれぞれは、対向するセンサマグネット31Cの磁極に応じた信号をホールIC信号検出回路44に出力する。本実施の形態においては、3つのホールIC41のそれぞれは、対向するセンサマグネット31Cの磁極がS極の場合にはハイ信号を出力し、N極の場合にはロー信号を出力する。3つのホールIC41のそれぞれが出力する信号は、ロータ32の回転位置の検出(特定)に用いられる。
【0060】
図1に示されているように、インバータ回路基板5は、正面視において略円環形状をなす基板であり、回転軸31を挿通させた状態で、制御基板4の後方且つブラシレスモータ3のステータ33の前方に設けられている。インバータ回路基板5の前面には、6個のスイッチング素子Q1~Q6を有するインバータ回路51及びシャント抵抗52(図5)が実装されている。6個のスイッチング素子Q1~Q6は、インバータ回路基板5の前面において、回転軸31の周方向に略60°間隔で配置されている。
【0061】
整流平滑回路基板部6は、モータハウジング21内部の後上部に収容されており、図示せぬ基板と、当該基板に実装された整流回路61、パワーラインスイッチ62と、制御電圧供給回路63(図5)と、当該基板に接続された平滑コンデンサ64とを有している。
【0062】
フィルタ回路基板部7は、ハンドルハウジング23内部の下部に収容されており、図示せぬ基板と、当該基板に実装されたコンデンサ71及びチョークコイル72とを有している。
【0063】
動力伝達部8は、ブラシレスモータ3が発生させる駆動力(回転力)を受けて、ビット装着部9に装着された先端ビットEに打撃力及び回転力のうちの少なくとも一を付与可能(伝達可能)に構成されており、中間軸部81と、回転力伝達部82と、打撃力伝達部83とを有している。
【0064】
本実施の形態においては、動力伝達部8によって、上述の動力伝達モードの切換が実現される。具体的には、動力伝達部8によって、ビット装着部9に装着された先端ビットEに回転力のみを伝達可能な動力伝達状態である回転モード、当該先端ビットEに打撃力のみを伝達可能な動力伝達状態である打撃モード、及び当該先端ビットEに回転力及び打撃力を伝達可能な動力伝達状態である回転打撃モードの3つのモード間での設定(切換)が可能である。
【0065】
中間軸部81は、ブラシレスモータ3の回転軸31の回転力を受ける部分であり、中間軸81Aと、ギヤ部81Bと、ピニオンスリーブ81Cとを有している。
【0066】
中間軸81Aは、前後方向に延びる軸であり、ギヤハウジング22内部の下部においてギヤハウジング22に回転可能に支承されている。
【0067】
ギヤ部81Bは、中間軸81Aの後部に中間軸81Aと一体回転するように設けられており、回転軸31のピニオン31Aと噛合している。
【0068】
ピニオンスリーブ81Cは、前後方向に延びるとともに後方に開口する略有底円筒形状をなしており、中間軸81Aの前端部に中間軸81Aと同軸一体回転するように設けられている。ピニオンスリーブ81Cの後部の内周部には、ギヤ部が形成されている。なお、ピニオンスリーブ81Cには中間軸81Aの前端部が圧入によって固定されており、中間軸81Aの前端部は、ピニオンスリーブ81Cを介してギヤハウジング22の前下部に設けられたボールベアリングに支承されている。
【0069】
回転力伝達部82は、中間軸部81(中間軸81A)の回転力を受けてビット装着部9に装着された先端ビットEに回転力を付与可能(伝達可能)に構成されており、シリンダ82Aと、円環部82Bと、第1クラッチ部材82Cとを有している。
【0070】
シリンダ82Aは、前後方向に延びる略円筒形状をなしており、ギヤハウジング22の内部の上部において、図1に示されている軸Aを中心に回転可能に支持されている。また、シリンダ82Aの外周部の前後方向略中央には、シリンダ82Aの半径方向外方に突出するとともに円環部82Bと係合可能な係合部が形成されている。
【0071】
円環部82Bは、シリンダ82Aの外周面の全周を囲む正面視略円環形状をなしており、シリンダ82Aに対して前後方向に移動可能且つ相対回転可能に構成されている。円環部82Bの外周面全域には、ギヤ部が形成されており、円環部82Bの内周部の前部には、シリンダ82Aの係合部と係合可能な被係合部が形成されている。
【0072】
また、円環部82Bは、スプリングによって前方に付勢されており、円環部82Bの被係合部とシリンダ82Aの係合部とが当該スプリングの付勢力によって係合した状態で、シリンダ82Aとが一体に回転するように構成されている。なお、円環部82Bの回転トルクが所定値以上となった場合には、円環部82Bが当該スプリングの付勢力に抗して後方に退避し、円環部82Bの被係合部とシリンダ82Aの係合部との係合が解除され、円環部82Bがシリンダ82Aに対して相対回転(空転)するように構成されている。
【0073】
第1クラッチ部材82Cは、前後方向に延びる略円筒形状をなしており、中間軸81A上に設けられている。第1クラッチ部材82Cは、中間軸81Aに対して前後方向に一定量移動可能且つ中間軸81Aに対して相対回転可能に構成されている。また、第1クラッチ部材82Cの周方向全域にはギヤ部が形成されており、当該ギヤ部は円環部82Bのギヤ部と噛合している。また、第1クラッチ部材82Cは、ユーザによる第2表示設定部221に対する操作によって、前位置と後位置との間で前後方向に移動するように構成されている。
【0074】
第1クラッチ部材82Cが前位置に位置している状態においては、第1クラッチ部材82Cのギヤ部の前部がピニオンスリーブ81Cの内周部に形成されたギヤ部と噛合している状態となる。この状態で、中間軸81Aが回転した場合、中間軸81Aの回転力がピニオンスリーブ81Cを介して第1クラッチ部材82Cに伝達され、第1クラッチ部材82Cと中間軸81Aとが一体に回転する。その結果、第1クラッチ部材82Cのギヤ部と噛合している円環部82B及び円環部82Bと係合しているシリンダ82Aが一体に回転し、ビット装着部9に装着された先端ビットEに回転力が付与(伝達)される。
【0075】
一方、第1クラッチ部材82Cが後位置に位置している状態においては、第1クラッチ部材82Cのギヤ部とピニオンスリーブ81Cのギヤ部との噛合が解除された状態となる。この状態で、中間軸81Aが回転した場合には、中間軸81Aの回転力は第1クラッチ部材82Cには伝達されず、第1クラッチ部材82Cは中間軸81Aと一体に回転しない。その結果、円環部82B及びシリンダ82Aには中間軸81Aの回転力は伝達されず、ビット装着部9に装着された先端ビットEに回転力は付与(伝達)されない。
【0076】
打撃力伝達部83は、中間軸部81(中間軸81A)の回転力を受けてビット装着部9に装着された先端ビットEに打撃力を付与可能(伝達可能)に構成されており、ピストン83Aと、打撃子83Bと、中間子83Cと、運動変換機構83Dと、第2クラッチ部材83Eとを有している。
【0077】
ピストン83Aは、前後方向に延びるとともに前方に開口する略有底円筒形状をなしており、シリンダ82A内に前後方向に摺動可能に設けられている。
【0078】
打撃子83Bは、ピストン83A内に摺動可能に設けられており、打撃子83Bの後方には空気室83aが画成されている。中間子83Cは、シリンダ82Aにおいて打撃子83Bの前方において前後方向に摺動可能に設けられている。打撃子83Bの前端は、中間子83Cの後端に当接可能であり、中間子83Cの前端は、ビット装着部9に装着された先端ビットEの後端に対して当接可能である。
【0079】
運動変換機構83Dは、中間軸81Aの回転運動を往復動に変換する機構であり、カムボール部材83F及びアーム部材83Gを有している。
【0080】
カムボール部材83Fは、中間軸81A上に中間軸81Aと相対回転可能に設けられており、カムボール部及び筒部を有している。カムボール部は、略球形状をなしており、その球面部には全周に亘って溝が形成されている。筒部は、前後方向に延びる筒形状をなしており、カムボール部の前部から前方に延出している。筒部の前部には、第2クラッチ部材83Eと係合可能な係合部が形成されている。
【0081】
アーム部材83Gは、リング部及びアーム部を有している。リング部は、カムボール部を取り囲む円環形状をなしており、カムボール部に形成された溝に配置された2つのボールを介してカムボール部に係合している。アーム部は、リング部から上方に延びており、その延出端はピストン83Aの後端部に接続されている。
【0082】
運動変換機構83Dにおいては、カムボール部材83Fが中間軸81Aで回転することにより、アーム部材83G前後に揺動し、アーム部材83Gの上端部が前後方向に往復動を行う。これにより、中間軸81Aの回転運動が往復動に変換される。
【0083】
第2クラッチ部材83Eは、前後方向に延びる略円筒形状をなしており、中間軸81A上に設けられている。第2クラッチ部材83Eは、内周面には前後方向に延びるスプライン溝が形成されており、中間軸81Aに対して前後方向に一定量移動可能に且つ相対回転不能に構成されている。第2クラッチ部材83Eの後部には、カムボール部材83Fの筒部に形成された係合部と係合可能な被係合部が形成されている。また、第2クラッチ部材83Eは、ユーザによる第2表示設定部221に対する操作によって、前位置と後位置との間で前後方向に移動するように構成されている。
【0084】
第2クラッチ部材83Eが後位置に位置している状態においては、第2クラッチ部材83Eの被係合部がカムボール部材83Fの筒部に形成された係合部と係合して第2クラッチ部材83Eとカムボール部材83Fとが一体に回転可能な状態となる。この状態で、中間軸81Aが回転した場合、中間軸81Aと第2クラッチ部材83Eとカムボール部材83Fとが一体に回転し、アーム部材83Gが前後に揺動してピストン83Aを前後方向に往復動させる。このピストン83Aの往復動により、空気室83aが圧縮膨張されて空気バネとして作用し、打撃子83Bが前後方向に往復動を行って中間子83Cの後端を間欠的に打撃する。これにより、中間子83Cを介して、ビット装着部9に装着された先端ビットEに打撃力が付与(伝達)される。
【0085】
一方、第2クラッチ部材83Eが前位置に位置している状態においては、第2クラッチ部材83Eの被係合部とカムボール部材83Fの係合部との係合が解除された状態となる。この状態で、中間軸81Aが回転した場合には、中間軸81Aの回転力はカムボール部材83Fには伝達されず、カムボール部材83Fは中間軸81Aと一体に回転しない。その結果、ピストン83Aは往復動を行わず、ビット装着部9に装着された先端ビットEに打撃力は付与(伝達)されない。
【0086】
ここで、ユーザによる動力伝達モードの設定について説明する。ユーザが第2表示設定部221のつまみ部221Bを操作して、矢印221Eが第1マーク22Cを指示する状態(図4の状態)とすると、第2表示設定部221の切換ピンによって第1クラッチ部材82C及び第2クラッチ部材83Eがそれらの前位置に位置する状態とされ、動力伝達モードとして回転モードが設定される。すなわち、ビット装着部9に装着された先端ビットEに回転力のみが付与(伝達)される動力伝達状態となる。
【0087】
また、回転モードに設定されている状態(図4の状態)からつまみ部221Bを時計回りに略90°回転させて、矢印221Eが第2マーク22Dを指示する状態とすると、切換ピンによって第1クラッチ部材82Cが前位置に位置し且つ第2クラッチ部材83Eが後位置に位置する状態とされ、動力伝達モードとして回転打撃モードが設定される。すなわち、ビット装着部9に装着された先端ビットEに回転力及び打撃力が付与(伝達)される動力伝達状態となる。
【0088】
さらに、回転打撃モードに設定されている状態からつまみ部221Bを時計回りに略90°回転させて、矢印221Eが第3マーク22Eを指し示す状態とすると、切換ピンによって第1クラッチ部材82C及び第2クラッチ部材83Eがそれらの後位置に位置する状態とされ、動力伝達モードとして打撃モードが設定される。すなわち、ビット装着部9に装着された先端ビットEに打撃力のみが付与(伝達)される動力伝達状態となる。
【0089】
ビット装着部9は、ギヤハウジング22の前端部に設けられ、先端ビットEを着脱可能に保持する先端ビット保持部91及びボール部材92を有している。
【0090】
先端ビット保持部91は、シリンダ82Aの前端から前方に延びる円筒形状をなしており、シリンダ82Aと一体に形成されている。先端ビット保持部91には、先端ビット保持部91を上下方向に貫通するとともに前後方向に延びる長孔が形成されている。
【0091】
ボール部材92は、その一部が先端ビット保持部91の長孔を介して先端ビット保持部91の内周面によって画成された空間に突出した突出状態と当該空間から退避した退避状態との間で移動可能に設けられている。
【0092】
先端ビットEを先端ビット保持部91内に挿入すると、ボール部材92が突出状態となり、先端ビットEに形成された溝にボール部材92の一部が収容される。これにより、先端ビット保持部91に先端ビットEが保持される。すなわち、先端ビットEがビット装着部9に装着される。一方、ビット装着部9に対してユーザが所定の操作を行うことで、ボール部材92が退避状態となり、ビット装着部9から先端ビットEを脱抜可能な状態となる。これにより、先端ビットEをビット装着部9から抜くことが可能となる。
【0093】
なお、シリンダ82Aが回転することにより、先端ビット保持部91及びボール部材92がシリンダ82Aと一体に回転し、ビット装着部9に装着された先端ビットEに回転力が付与(伝達)される。また、ユーザがビット装着部9に装着された先端ビットEを被作業材(被穿孔材、又は被破砕材)に押し付けて先端ビットEの後端を中間子83Cに当接させた状態で、ピストン83Aが往復動を行うことで、打撃子83Bによる間欠的な打撃力が中間子83Cを介して先端ビットEに付与(伝達)される。
【0094】
次に、図5を参照しながらハンマドリル1の電気的構成について説明する。上述したように、ハンマドリル1は、フィルタ回路基板部7、整流平滑回路基板部6、インバータ回路基板5、及び制御基板4を有している。
【0095】
図5に示されているように、フィルタ回路基板部7は、第1端子7Aと、第2端子7Bと、コンデンサ71と、チョークコイル72とを有している。
【0096】
第1端子7A及び第2端子7Bは、電源コード23Cのプラグ部と外部電源Pとが接続された状態において、外部電源Pの交流電圧が印加される端子である。コンデンサ71及びチョークコイル72は、ノイズを低減するためのフィルタ素子である。
【0097】
整流平滑回路基板部6は、整流回路61と、パワーラインスイッチ62と、制御電圧供給回路63と、平滑コンデンサ64とを有している。
【0098】
整流回路61は、4つのダイオードを有するダイオードブリッジ回路であり、外部電源Pからフィルタ回路基板部7を介して出力される交流電圧を全波整流する。整流回路61の出力側プラス端子には、第1プラスライン1Aが接続されており、出力側マイナス端子には、第1マイナスライン1Bが接続されている。
【0099】
パワーラインスイッチ62は、トリガスイッチ23Aの操作状態に機械的に連動して開状態と閉状態との間で切換わるスイッチであり、パワーラインスイッチ62の一端は第1プラスライン1Aに接続されており、パワーラインスイッチ62の他端には第2プラスライン1Cが接続されている。トリガスイッチ23Aがオン状態の場合、パワーラインスイッチ62は閉状態であり、第1プラスライン1Aと第2プラスライン1Cとを導通させている。この状態において、ブラシレスモータ3への電力供給が可能である。一方、トリガスイッチ23Aがオフ状態の場合、パワーラインスイッチ62は閉状態であり、第1プラスライン1Aと第2プラスライン1Cとを非導通としている。この状態において、ブラシレスモータ3への電力供給は不能である。
【0100】
制御電圧供給回路63は、第1プラスライン1Aに印可されている電圧(ブラシレスモータ3の駆動用電圧)を降圧及び安定化して出力する定電圧出力回路であり、第1プラスライン1Aに接続されている。制御電圧供給回路63は、降圧及び安定化した電圧を降圧回路43及び駆動信号出力回路45に出力する。なお、本実施の形態においては、制御電圧供給回路63が出力する電圧は、略15Vである。
【0101】
平滑コンデンサ64は、整流回路61から出力される全波整流電圧(変動する直流電圧)を平滑する有極性の電解コンデンサであり、第2プラスライン1Cと第1マイナスライン1Bとの間に接続されている。
【0102】
インバータ回路基板5には、インバータ回路51及びシャント抵抗52が実装されている。シャント抵抗52は、ブラシレスモータ3に流れる電流を検出するために用いられる抵抗である。シャント抵抗52の一端は、第1マイナスライン1Bに接続されており、他端は、第2マイナスライン1Dに接続されている。
【0103】
インバータ回路51は、外部電源Pの電力をブラシレスモータ3に供給する回路であり、6つのスイッチング素子Q1~Q6を有している。インバータ回路51の入力側プラス端子には、第2プラスライン1Cが接続されており、インバータ回路51の入力側マイナス端子には、第2マイナスライン1Dが接続されている。すなわち、インバータ回路51の入力側プラス端子は、第1プラスライン1A及び第2プラスライン1Cを介して整流回路61の出力側プラス端子に接続されており、インバータ回路51の入力側マイナス端子は、第1マイナスライン1B及び第2マイナスライン1Dを介して、整流回路61の出力側マイナス端子に接続されている。
【0104】
インバータ回路51の6個のスイッチング素子Q1~Q6は、MOSFET(Metal
Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。6個のスイッチング素子Q1~Q6は、3相ブリッジ形式に接続されており、各ゲートは駆動信号出力回路45に接続され、各ドレイン又は各ソースは、ブラシレスモータ3のステータコイルU、V、Wに接続されている。スイッチング素子Q1~Q6は、駆動信号出力回路45から出力される駆動信号に基づいて、ロータ32を所定の回転方向に回転させるためのスイッチング動作を行う。なお、本実施の形態においては、6個のスイッチング素子Q1~Q6は、MOSFETであったが、これに限定されず、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のスイッチング素子であってもよい。
【0105】
制御基板4には、電流検出回路42、降圧回路43、ホールIC信号検出回路44、駆動信号出力回路45、コントローラ46、及び3つのホールIC41が実装されている。
【0106】
電流検出回路42は、ブラシレスモータ3に流れる電流を検出する回路であり、シャント抵抗52の両端に接続されている。電流検出回路42は、シャント抵抗52の電圧降下値を取り込むことで、ブラシレスモータ3に流れる電流の電流値を算出し、当該算出した電流値を示す電流値信号をコントローラ46に出力する。電流検出回路42は、本発明における「電流検出部」の一例である。
【0107】
降圧回路43は、制御電圧供給回路63の出力する電圧をコントローラ46の駆動用電圧(本実施の形態においては、略5V)まで降圧して、コントローラ46に出力する回路である。降圧回路43は、本発明における「電源回路」の一例である。
【0108】
ホールIC信号検出回路44は、3つのホールIC41のそれぞれから出力される信号を受信し、当該受信した信号に基づいてロータ32の回転位置を特定し、当該特定した回転位置を示す回転位置信号をコントローラ46に出力する回路である。回転位置信号は、コントローラ46によるロータ32の回転数の算出やロータ32の回転回数の算出等に用いられる。
【0109】
駆動信号出力回路45は、コントローラ46から出力された制御信号に基づいて6個の6個のスイッチング素子Q1~Q6の各ゲートに駆動信号を出力する回路である。なお、駆動信号出力回路45は、制御電圧供給回路63から出力された電圧を駆動信号として6個のスイッチング素子Q1~Q6の各ゲートに出力する。
【0110】
コントローラ46は、ハンマドリル1の動作全体を制御する部分であり、第1記憶部46Aと、第2記憶部46Bと、第3記憶部46Cと、計時部46Dと、演算処理部46Eとを有している。本実施の形態において、コントローラ46はマイコンである。コントローラ46は、本発明における「制御部」の一例である。
【0111】
第1記憶部46Aは、不揮発性の記憶媒体(ROM)である。第1記憶部46Aには、ハンマドリル1の動作全体を制御するための処理プログラムや当該制御に用いられる各種データ及び各種閾値等が記憶されている。第2記憶部46Bは、当該制御に用いられる各種データを一時記憶するための揮発性の記憶媒体(RAM)である。第3記憶部46Cは、当該制御に用いられる各種データを記憶するための不揮発性の記憶媒体(EEPROMやフラッシュメモリー等)であり、制御モードとして設定されているモードを示す制御モード設定情報及び後述の停止条件を設定するために用いられる停止条件情報が記憶されている。計時部46Dは、時間(期間)のカウントや計測を行うタイマである。第3記憶部46Cは、本発明における「記憶媒体」の一例である。
【0112】
演算処理部46Eは、第1記憶部46Aに記憶された上記の処理プログラムに従って演算処理を行う中央処理装置(CPU)である。演算処理部46Eが当該処理プログラムに従って演算処理を行うことにより、コントローラ46によってハンマドリル1の動作全体が制御される。言い換えれば、コントローラ46が当該処理プログラムを実行することによって、ハンマドリル1の動作全体が制御される。
【0113】
コントローラ46は、ハンマドリル1の動作全体の制御として、回転駆動制御、定回転数制御(定速度制御)、ソフトスタート制御、オートストップ制御、制御モード設定表示処理、制御モードとして設定されたモードに応じたブラシレスモータ3の駆動制御、及び停止情報消去処理を実行可能である。なお、コントローラ46は、制御モードとして、第1通常速度モード、第2通常速度モード、第3通常速度モード、第4通常速度モード、第1低速度モード、第2低速度モード、第3低速度モード、及び第4低速度モードの8つのモードでブラシレスモータ3の駆動制御を行うことが可能である。
【0114】
回転駆動制御は、ブラシレスモータ3のロータ32を所定の回転方向に回転駆動させる基本的な制御であり、駆動信号出力回路45に制御信号を出力することによって行う。詳細には、コントローラ46は、ホールIC信号検出回路44から出力された回転位置信号に基づいて、6個のスイッチング素子Q1~Q6のうちの導通させる(オン状態とする)スイッチング素子を交互に切換えるための制御信号を形成し、当該制御信号を駆動信号出力回路45に出力する。これにより、ステータコイルU、V、Wのうちの所定のコイルが交互に通電し、ロータ32が所定の回転方向に回転駆動する。なお、回転駆動制御において、コントローラ46は、第2マイナスライン1Dに接続されているスイッチング素子Q4~Q6を駆動する(オン状態とする)ための制御信号をパルス幅変調信号(PWM信号)として出力する。
【0115】
定回転数制御(定速度制御)は、回転駆動制御を行いながら、目標回転数[rpm]でロータ32を回転させる回転数制御である。コントローラ46は、ロータ32の回転数が目標回転数となるようにPWM信号(制御信号)のデューティ比を変更するフィードバック制御を実行することで、定回転数制御を行う。定回転数制御は、本発明における「設定速度駆動制御」の一例である。
【0116】
定回転数制御においては、トリガスイッチ23Aの操作量(すなわち、操作検出部23Bから出力されるオン状態信号の電圧値)に応じて目標回転数が動的に設定される。このため、定回転数制御が実行中に、ユーザによって操作量が変更されると目標回転数が変更され、当該目標回転数の変化に追従してロータ32の回転数も変更される。また、目標回転数は、操作量が大きくなるに従ってより大きな値に設定され、操作量が最大となると最大の値に設定される。なお、操作量が最大の場合に設定される目標回転数は、制御モードに応じて設定される。以下、操作量が最大の場合に設定される目標回転数を、「最大目標回転数」と呼ぶ。
【0117】
ソフトスタート制御は、回転駆動制御を行いながら、ブラシレスモータ3の駆動開始時から所定期間T1をかけてロータ32の回転数を初期回転数から最終回転数まで上昇させる制御である。コントローラ46は、目標回転数を初期回転数から最終回転数まで所定の上昇率[rpm/s]で上昇させながら、ロータ32の回転数が目標回転数となるようにフィードバック制御を行うことで、ソフトスタート制御を行う。なお、ソフトスタート制御における初期回転数及び最終回転数は、制御モードに応じて設定される。また、本実施形態において所定期間T1は5秒であるが、これに限られず、2~10秒の間であればソフトスタート制御としての効果を発揮可能である。
【0118】
オートストップ制御は、ブラシレスモータ3の駆動を停止させるための停止条件を設定し、ブラシレスモータ3の駆動中に設定された停止条件が満たされた場合に、トリガスイッチ23Aがオン状態であったとしてもブラシレスモータ3を停止させる制御である。停止条件は、トリガスイッチ23Aが特定の操作を受け付けたことに応じて設定される。また、停止条件には、当該特定の操作に基づいて取得される停止条件情報が用いられる。なお、停止条件を設定するための上記の特定の操作は、制御モードによって異なる。以下、停止条件を設定するための上記の特定の操作を「設定操作」と呼ぶ。
【0119】
制御モード設定処理は、ユーザの切換スイッチ211Aに対する操作に応じて上述の8つのモードのうちから一のモードを設定し、表示部211Bの点灯パターンを制御モードとして設定された当該一のモードに対応する点灯パターンとする制御である。
【0120】
ここで、制御モード設定表示処理の詳細について、図6のフローチャートを参照しながら説明する。コントローラ46は、起動直後から制御モード設定表示処理を開始し、起動停止されるまで制御モード設定表示処理を継続する。なお、コントローラ46は、電源コード23Cのプラグ部と外部電源Pとが接続されて降圧回路43から駆動用電圧が印加されると起動し、当該駆動用電圧の印可が停止すると起動停止する。すなわち、コントローラ46は、降圧回路43からの電源供給が開始されると起動し、降圧回路43からの電源供給が途絶えると起動停止する。
【0121】
図6に示されているように、制御モード設定表示処理が開始されると、コントローラ46は、S201において、その時点で(S201の実行の時点で)制御モードとして設定されているモードを特定する。コントローラ46は、第3記憶部46Cに記憶された制御モード設定情報によって示されるモードを、S201の実行の時点で制御モードとして設定されているモードであると特定する。
【0122】
なお、第3記憶部46Cには、ハンマドリル1の出荷時に第1通常速度モードを示す情報が制御モード設定情報として記憶され(ハンマドリル1の出荷時においては、制御モードとして第1通常速度モードが設定されている)、且つ制御モード設定表示処理における後述のS209において上述の8つのモードのいずれか一を示す情報が制御モード設定情報として記憶される。このため、ハンマドリル1の出荷後においては、第3記憶部46Cに当該8つのモードのいずれか一を示す情報が制御モード設定情報として記憶されている。
【0123】
S201において制御モードとして設定されているモードを特定した後、S202において、コントローラ46は、表示部211Bの点灯パターンをS201で特定したモード(すなわち、S201の実行時に制御モードとして既に設定されているモード)に対応した点灯パターンとする。詳細には、コントローラ46は、図7に示されている点灯パターンテーブルを用いて、S201で特定したモードに対応した点灯パターンを特定し、当該特定した点灯パターンに従って、第1LED211C、第2LED211D、及び第3LED211Eのそれぞれの状態を点灯、消灯、点滅のいずれか一の状態とする。例えば、S201で特定したモードが第2低速度モードである場合、コントローラ46は、第1LED211C及び第2LED211Dを消灯状態とし且つ第3LED211Eを点滅状態とする。また、例えば、S201で特定したモードが第4通常速度モードである場合、コントローラ46は、第1LED211Cを点灯状態、第2LED211Dを点滅状態、第3LED211Eを消灯状態とする。なお、上記3つのLEDの点灯、点滅、及び消灯は、コントローラ46が所定の電圧信号を上記3つのLEDのそれぞれに個別に出力することで行われる。
【0124】
S202で表示部211Bの点灯パターンをS201で特定したモードに対応した点灯パターンとした後、S203において、コントローラ46は、トリガスイッチ23Aがオフ状態であるか否かを判断する。当該判断は、トリガスイッチ23Aから入力されている信号がオフ状態信号であるかオン状態信号であるかを判断することで行い、オフ状態信号が入力されている場合にはトリガスイッチ23Aがオフ状態であると判断し、オン状態信号が入力されている場合にはトリガスイッチ23Aがオフ状態ではない(すなわち、オン状態である)と判断する。
【0125】
S203において、トリガスイッチ23Aがオフ状態でないと判断した場合(S203:No)、コントローラ46はS203の判断を再び行う。すなわち、コントローラ46は、S203の判断を繰り返しながら、トリガスイッチ23Aがオフ状態となるまで待機する。
【0126】
一方、S203で、トリガスイッチ23Aがオフ状態であると判断した場合(S203:Yes)、コントローラ46は、S204において、切換スイッチ211Aがユーザによって押圧操作されたか否かを判断する。当該判断は、切換スイッチ211Aから押圧信号が入力されたか否かで行い、押圧信号が入力された場合には切換スイッチ211Aが押圧操作されたと判断し、押圧信号の入力がない場合には押圧操作されていないと判断する。
【0127】
S204において、切換スイッチ211Aが押圧操作されていないと判断した場合(S204:No)、コントローラ46はS203に戻る。すなわち、コントローラ46は、トリガスイッチ23Aがオフ状態で且つ切換スイッチ211Aが押圧操作されていない場合、S203及びS204の判断を繰り返すことによって、切換スイッチ211Aに対する押圧操作の有無を監視している。
【0128】
一方、S204で切換スイッチ211Aが押圧操作されたと判断した場合(S204:Yes)、コントローラ46は、S205において、S204で検出した押圧操作が長押し(長押操作)であったか否かを判断する。当該判断は、切換スイッチ211Aから出力される押圧信号に基づいて当該押圧操作の継続期間が所定期間T2以上であったか否かを判断することで行い、当該継続期間が所定期間T2以上であった場合には当該押圧操作が長押しであったと判断し、当該継続期間が所定期間T2未満であった場合には当該押圧操作が長押しでなかった(すなわち、短押し(短押操作)であった)と判断する。なお、当該継続期間の測定は、計時部46Dを用いて行われる。
【0129】
S205において、S204で検出した押圧操作が長押しでなかったと判断した場合(S205:No)、コントローラ46は、S206において図8に示されている第1設定テーブルを参照し、S201で特定したモードに対応した変更先のモードを特定する。例えば、S201で特定したモードが第2低速度モードである場合、コントローラ46は、第1通常速度モードを変更先のモードとして特定する。また、例えば、S201で特定したモードが第4通常速度モードである場合、コントローラ46は、第4低速度モードを変更先のモードとして特定する。
【0130】
一方、S205において、S204で検出した押圧操作が長押しであったと判断した場合(S205:Yes)、コントローラ46は、S207において図9に示されている第2設定テーブルを参照し、S201で特定したモードに対応した変更先のモードを特定する。例えば、S201で特定したモードが第3通常速度モードである場合、コントローラ46は、第1通常速度モードを変更先のモードとして特定する。また、例えば、S201で特定したモードが第2低速度モードである場合、コントローラ46は、第4低速度モードを変更先のモードとして特定する。
【0131】
S206又はS207において変更先のモードを特定した後、S208において、コントローラ46は、S206又はS207で変更先として特定したモードを制御モードとして設定する。例えば、S207において、変更先として特定したモードが第2通常速度モードである場合、第2通常速度モードを制御モードとして設定する。
【0132】
S208で、S206又はS207で変更先として特定したモードを制御モードとして設定した後、S209において、コントローラ46は第3記憶部46Cに記憶されている制御モード設定情報を更新する。
【0133】
制御モード設定情報の更新は、S209の実行開始の時点で第3記憶部46Cに制御モード設定情報として記憶されている情報(すなわち、S201の実行の時点で制御モードとして設定されていたモードを示す情報)をS208で制御モードとして設定したモード(すなわち、S209の実行開始の時点で制御モードとして設定されているモード)を示す情報に書き換える(上書きする)ことで行われる。言い換えれば、コントローラ46は、S209の実行開始の時点で制御モード設定情報として第3記憶部46Cに記憶されている情報を消去し、S208で制御モードとして設定したモードを示す情報を制御モード設定情報として第3記憶部46Cに記憶する。
【0134】
例えば、S201の実行の時点で制御モードとして設定されていたモードが第1通常速度モードであり且つS207で変更先として特定したモードが第3通常速度モードである場合、S209の実行開始の時点で制御モード設定情報として記憶されている情報は、第1通常速度モードを示す情報である。この場合、コントローラ46は、S209において、第3記憶部46Cに制御モード設定情報として記憶されている第1通常速度モードを示す情報を第3通常速度モードを示す情報に書き換える。言い換えれば、コントローラ46は、S209において、第3記憶部46Cに制御モード設定情報として記憶されている第1通常速度モードを示す情報を消去し、第3通常速度モードを示す情報を制御モード設定情報として第3記憶部46Cに記憶する。
【0135】
S209において、第3記憶部46Cに記憶されている制御モード設定情報を更新した後、S210において、コントローラ46は、表示部211Bの点灯パターンをS208で制御モードとして設定したモード(すなわち、S210の実行時に制御モードとして既に設定されているモード)に対応した点灯パターンとする。その後、S203に戻り、再びトリガスイッチ23Aがオフ状態であるか否かを判断し、S203~210を繰り返す。
【0136】
上述した制御モード設定表示処理が実行されるハンマドリル1においては、ユーザはトリガスイッチ23Aがオフ状態であれば、制御モードを切換えることが可能である。また、ユーザによって切換スイッチ211Aが短押しされる毎に、第1通常速度モード、第1低速度モード、第2通常速度モード、第2低速度モードの順、又は第3通常速度モード、第3低速度モード、第4通常速度モード、第4低速度モードの順で制御モードが繰り返し切換わる。さらに、ユーザによって切換スイッチ211Aが長押しされる毎に、第1通常速度モードと第3通常速度モードとの間、第1低速度モードと第3低速度モードとの間、第2通常速度モードと第4通常速度モードとの間、又は第2低速度モードと第4低速度モードとの間で制御モードが繰り返し切換わる。
【0137】
次に、図10図16を参照しながら、制御モードとして設定可能な上述の8つのモードについて説明する。
【0138】
最初に、第1通常速度モード及び第1低速度モードについて説明する。第1通常速度モード及び第1低速度モードは、定回転数制御でブラシレスモータ3を駆動するモードである。第1通常速度モードにおいて実行される定回転数制御の最大目標回転数は、回転数N1であり、第1低速度モードにおいて実行される定回転数制御の最大目標回転数は、回転数N1よりも小さい回転数N2である。なお、本実施の形態においては、回転数N1は23000rpm、回転数N2は15000rpmである。第1通常速度モード及び第1低速度モードのそれぞれは、本発明における「第2モード」の一例である。
【0139】
ここで、コントローラ46による第1通常速度モードでのブラシレスモータ3の駆動制御について、図10のフローチャートを参照しながら説明する。なお、第1低速度モードにおける駆動制御と第1通常速度モードにおける駆動制御とは、最大目標回転数が異なるのみであり、他の制御内容は同一である。このため、第1低速度モードにおける駆動制御の詳細な説明は省略する。
【0140】
以下の説明においては、トリガスイッチ23Aをオフ状態からオン状態に切換える切換操作を「トリガオン操作」と呼び、トリガスイッチ23Aをオン状態からオフ状態に切換える切換操作を「トリガオフ操作」と呼ぶ。また、トリガスイッチ23Aをオフ状態からオン状態に切換えた後に当該オン状態からオフ状態に切換える一連の操作、すなわち、トリガオン操作から当該トリガオン操作に続くトリガオフ操作までの一連の操作を「トリガオンオフ操作」と呼ぶ。トリガオン操作は、本発明における「第1切換操作」の一例である。トリガオフ操作は、本発明における「第2切換操作」の一例である。トリガオンオフ操作は、本発明における「一連の操作」の一例である。
【0141】
制御モード設定表示処理において、制御モードとして第1通常速度モードが設定されると、コントローラ46は、第1通常速度モードでブラシレスモータ3の駆動制御を開始する。第1通常速度モードで駆動制御を開始すると、コントローラ46は、S301において、トリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かを判断する。当該判断は、操作検出部23Bから出力される信号に基づいて行われる。具体的には、コントローラ46は、操作検出部23Bからオン状態信号が出力されている場合、トリガスイッチ23Aがオン状態であると判断し、操作検出部23Bからオフ状態信号が出力されている場合には、トリガスイッチ23Aがオフ状態であると判断する。
【0142】
S301で、トリガスイッチ23Aがオン状態でないと判断した場合(S301:No)、S301に戻り、トリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かの判断を再び行う。すなわち、コントローラ46は、トリガオン操作が行われるまで、S301の判断を繰り返しながら待機する。
【0143】
一方、S301で、トリガスイッチ23Aがオン状態であると判断した場合、すなわち、トリガオン操作を検出した場合(S301:Yes)、コントローラ46は、S302で、定回転数制御を開始してブラシレスモータ3の駆動を開始する。
【0144】
S302でブラシレスモータ3の駆動を開始した後、コントローラ46は、S303において、トリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かを判断する。S303で、トリガスイッチ23Aがオン状態であると判断した場合(S303:Yes)、当該判断を再び行う。すなわち、コントローラ46は、ブラシレスモータ3の駆動を開始した後、トリガオフ操作が行われるまで、S303の判断を繰り返しながら、定回転数制御でブラシレスモータ3の駆動を継続させる。
【0145】
なお、第1通常速度モードにおける定回転数制御の最大目標回転数は回転数N1である。このため、トリガスイッチ23Aに対する操作量が最大である場合(最大操作量の場合)、ロータ32は回転数N1で回転駆動され、操作量が最大操作量以外の場合には、ロータ32は当該操作量に応じた回転数で回転駆動される。
【0146】
S303において、トリガスイッチ23Aがオン状態でないと判断した場合、すなわちトリガオフ操作を検出した場合(S303:No)、定回転数制御を終了してブラシレスモータ3の駆動を停止させる。その後、S301に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0147】
なお、コントローラ46は、制御モードが第1通常速度モードから他のモードに変更された場合、第1通常速度モードでの駆動制御を終了し、変更先のモードでの駆動制御を開始する。
【0148】
次に、第2通常速度モード及び第2低速度モードについて説明する。第2通常速度モード及び第2低速度モードは、ソフトスタート制御でブラシレスモータ3を駆動するモードである。第2通常速度モードにおいて実行されるソフトスタート制御の最終回転数は、回転数N1であり、第2低速度モードにおいて実行されるソフトスタート制御の最終回転数は、回転数N2である。また、第2通常速度モードにおいて実行されるソフトスタート制御の初期回転数は、回転数N1よりも小さい回転数N3であり、第2低速度モードにおいて実行されるソフトスタート制御の初期回転数は、回転数N2及び回転数N3よりも小さい回転数N4である。また、なお、本実施の形態においては、回転数N3は200rpm、回転数N4は100rpmである。第2通常速度モード及び第2低速度モードのそれぞれは、本発明における「第2モード」の一例である。
【0149】
ここで、第2通常速度モードでのブラシレスモータ3の駆動制御について、図11のフローチャートを参照しながら説明する。なお、第2低速度モードでの駆動制御と第2通常速度モードでの駆動制御とは、初期回転数及び最終回転数が異なるのみであり、他の制御内容は同一である。このため、第2低速度モードでの駆動制御の詳細な説明は省略する。
【0150】
制御モード設定表示処理において、制御モードとして第2通常速度モードが設定されると、コントローラ46は、第2通常速度モードでブラシレスモータ3の駆動制御を開始する。第2通常速度モードで駆動制御を開始すると、コントローラ46は、S401において、トリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かを判断する。
【0151】
S401で、トリガスイッチ23Aがオン状態でないと判断した場合(S401:No)の処理は、S301においてトリガスイッチ23Aがオン状態でないと判断した場合(S301:No)の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0152】
S401で、トリガスイッチ23Aがオン状態であると判断した場合、すなわち、トリガオン操作を検出した場合(S401:Yes)、コントローラ46は、S402において、ソフトスタート制御を開始してブラシレスモータ3の駆動を開始する。ブラシレスモータ3の駆動開始時の目標回転数は、回転数N3(すなわち、第2通常速度モードにおけるソフトスタート制御の初期回転数)である。
【0153】
S402でブラシレスモータ3の駆動を開始した後、コントローラ46は、S403において、ロータ32の回転数が回転数N1(最終回転数)未満であるか否かを判断する。当該判断は、回転位置信号に基づいてロータ32の回転数を算出し、当該算出したロータ32の回転数と回転数N1とを比較することで行われる。
【0154】
S403で、ロータ32の回転数が回転数N1未満であると判断した場合(S303:Yes)、コントローラ46は、S404において目標回転数を増加させた後、S405において、トリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かを判断する。
【0155】
S405で、トリガスイッチ23Aがオン状態であると判断した場合(S405:Yes)、S403に戻り、トリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かの判断を再び行う。すなわち、コントローラ46は、ブラシレスモータ3の駆動開始後にトリガスイッチ23Aがオン状態且つロータ32の回転数が回転数N1未満であれば、S403、S404、及びS405を繰返しながら、ブラシレスモータ3の駆動を継続させるとともに目標回転数を回転数N3(初期回転数)から回転数N1(最終回転数)に向けて所定の上昇率[rpm/s]で上昇させる。
【0156】
一方、S403において、ロータ32の回転数が回転数N1未満ではないと判断した場合、すなわち、ロータ32の回転数が最終回転数に達したと判断した場合(S403:No)、コントローラ46は、S406において、トリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かを判断する。
【0157】
S406で、トリガスイッチ23Aがオン状態であると判断した場合(S406:Yes)、S406の判断を再び行う。すなわち、コントローラ46は、ロータ32の回転数が回転数N1に達した後は、トリガオフ操作が行われるまで、S406の判断を繰返しながら目標回転数を回転数N1(最終回転数)に固定した状態でブラシレスモータ3の駆動を継続させる。
【0158】
S405又はS406において、トリガスイッチ23Aがオン状態でないと判断した場合、すなわちトリガオフ操作を検出した場合(S405:No、又は、S406:No)、コントローラ46は、S407において、ソフトスタート制御を終了してブラシレスモータ3の駆動を停止させる。その後、コントローラ46は、S401に戻って上述した処理を繰り返す。なお、コントローラ46は、制御モードが第2通常速度モードから他のモードに変更された場合、第2通常速度モードにおける駆動制御を終了し、変更先のモードでの駆動制御を開始する。
【0159】
次に、第3通常速度モード及び第3低速度モードについて説明する。第3通常速度モード及び第3低速度モードは、定回転数制御でブラシレスモータ3を駆動しながらオートストップ制御を実行するモードである。第3通常速度モードにおいて実行される定回転数制御の最大目標回転数は、回転数N1であり、第3低速度モードにおいて実行される定回転数制御の最大目標回転数は回転数N2である。なお、第3通常速度モードでの駆動制御と第3低速度モードでの駆動制御とは、最大目標回転数が異なるのみであり、他の制御内容は同一である。このため、以降において、第3低速度モードにおける駆動制御の詳細な説明は省略する。第3通常速度モード及び第3低速度モードのそれぞれは、本発明における「第1モード」の一例である。
【0160】
第3通常速度モードにおいて実行されるオートストップ制御では、第1設定操作条件を満たしたトリガオンオフ操作のみを設定操作として扱い、設定操作が行われたことに応じて停止条件を設定する。
【0161】
第1設定操作条件は、第3通常速度モードにおいて行われたトリガオンオフ操作が第3通常速度モードにおいて最初に行われたトリガオンオフ操作である場合に満たされる。すなわち、第3通常速度モードにおいては、第3通常速度モードにおける最初のトリガオンオフ操作のみを設定操作として扱い、第3通常速度モードにおける2回目以降のトリガオンオフ操作は設定操作として扱わない。
【0162】
また、第3通常速度モードで実行されるオートストップ制御においては、設定操作(すなわち、最初のトリガオンオフ操作)におけるトリガオン操作からトリガオフ操作までの期間を停止条件情報として取得し、取得した当該期間(すなわち、停止条件情報)を用いて停止条件を設定する。以下、設定操作におけるトリガオン操作からトリガオフ操作までの期間を「設定操作期間」と呼ぶ。
【0163】
ここで、第3通常速度モードでのブラシレスモータ3の駆動制御について、図12及び図13のフローチャートを参照しながら説明する。
【0164】
制御モード設定表示処理において、制御モードとして第3通常速度モードが設定されると、コントローラ46は、第3通常速度モードでブラシレスモータ3の駆動制御を開始する。第3通常速度モードで駆動制御を開始すると、図12に示されているように、コントローラ46は、S501でトリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かを判断する。S501でトリガスイッチ23Aがオン状態でないと判断した場合(S501:No)の処理は、S301においてトリガスイッチ23Aがオン状態でないと判断した場合(S301:No)の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0165】
S501において、トリガスイッチ23Aがオン状態であると判断した場合、すなわち、トリガオン操作を検出した場合(S501:Yes)、コントローラ46は、トリガオン操作が行われた時点からの経過期間を測定するために、S502で期間のカウントを開始する。なお、コントローラ46は、計時部46Dを用いて当該期間のカウントを行い、当該カウントの開始直前に計時部46Dのカウント値を0にリセットする。
【0166】
S502における期間のカウントの開始と同時に、コントローラ46は、S503で定回転数制御を開始してブラシレスモータ3の駆動を開始する。なお、説明の便宜上、図12においては、S502の処理とS503の処理とを分けて記載しているが、上述のようにS502の処理とS503の処理は同時に行われる。
【0167】
S503でブラシレスモータ3の駆動を開始した後、コントローラ46は、S504において、トリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かを判断する。S504で、トリガスイッチ23Aがオン状態であると判断した場合(S504:Yes)、S504に戻り、トリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かの判断を再び行う。すなわち、コントローラ46は、ブラシレスモータ3の駆動を開始した後、トリガオフ操作が行われるまで、S504の判断を繰り返しながら、定回転数制御によるブラシレスモータ3の駆動とS502で開始した期間のカウントを継続させる。
【0168】
S504でトリガスイッチ23Aがオン状態でないと判断した場合、すなわち、トリガオフ操作を検出した場合(S504:No)、コントローラ46は、S505において期間のカウントを停止し、当該カウントを停止した時点での計時部46Dのカウント値を停止条件情報として取得する。
【0169】
ここで、S501で検出したトリガオン操作からS504で検出したトリガオフ操作までのトリガオンオフ操作、及び、S505においてカウントを停止した時点での計時部46Dのカウント値について説明する。
【0170】
S501で検出したトリガオン操作からS504で検出したトリガオフ操作までのトリガオンオフ操作は、第3通常速度モードにおいて最初に行われている。このため、当該トリガオンオフ操作は、第1設定操作条件を満たしており、第3通常速度モードにおける設定操作である。
【0171】
また、S505におけるカウント停止時点での計時部46Dのカウント値によって示される期間(カウントした期間)は、S501で検出したトリガオン操作からS504で検出したトリガオフ操作までの期間、すなわち、設定操作におけるトリガオン操作からトリガオフ操作までの期間である。このため、当該カウント値によって示される期間は、第3通常速度モードにおける設定操作期間である。すなわち、コントローラ46は、S501で検出したトリガオン操作からS504で検出したトリガオフ操作までの設定操作に基づいて、S505において設定操作期間(すなわち、当該設定操作期間を示す情報)を停止条件情報として取得している。
【0172】
また、コントローラ46は、S505におけるカウントの停止と同時に、S506において定回転数制御を終了してブラシレスモータ3の駆動を停止させる。なお、説明の便宜上、図12においては、S505の処理とS506の処理とを分けて記載しているが、上述のようにS505の処理とS506の処理とは同時に行われる。
【0173】
S506でブラシレスモータ3の駆動を停止した後、コントローラ46は、S507において、S505で取得した設定操作期間(カウントした期間)を停止条件情報として第3記憶部46Cに記憶する。
【0174】
S507で設定操作期間(カウントした期間)を第3記憶部46Cに記憶した後、コントローラ46は、S508で停止条件を設定する。当該停止条件は、第3記憶部46Cに停止条件情報として記憶されている設定操作期間を用いて設定される。具体的には、当該停止条件は、「トリガオン操作が行われた時点から設定操作期間が経過したこと」に設定される。
【0175】
S508で停止条件を設定した後、図13に示されているように、コントローラ46は、S509でトリガオン操作が行われたか否か、すなわち、トリガスイッチ23Aがオン状態からオフ状態に切換えられたか否かを判断する。当該判断は、操作検出部23Bからの信号がオフ状態信号からオン状態信号に切換わったか否かで判断する。
【0176】
S509においてトリガオン操作が行われていないと判断した場合(S509:No)、S509に戻る。すなわち、コントローラ46は、S509の判断を繰り返しながらトリガオン操作が行われるまで待機する。
【0177】
S509で、トリガオン操作が行われたと判断した場合、すなわち、トリガオン操作を検出した場合(S509:Yes)、コントローラ46は、トリガオン操作が行われた時点からの経過期間を測定するために、S510で計時部46Dのカウント値を0にリセットして期間のカウントを開始する。
【0178】
また、コントローラ46は、S510における期間のカウントの開始と同時に、S511において、定回転数制御を開始してブラシレスモータ3の駆動を開始する。なお、説明の便宜上、図13においては、S510の処理とS511の処理とを分けて記載しているが、上述のようにS510の処理とS511の処理は同時に行われる。
【0179】
S511でブラシレスモータ3の駆動を開始した後、コントローラ46は、S512において、直近のトリガオン操作の時点から設定操作期間が経過したか否かを判断する。すなわち、コントローラ46は、S512において、S508で設定した停止条件が満たされたか否かを判断する。当該判断は、S512の実行の時点における計時部46Dのカウンタ値を取得し、当該取得したカウンタ値によって示される期間と第3記憶部46Cに記憶されている設定操作期間とを比較することで行われる。
【0180】
S512において、直近のトリガオン操作の時点から設定操作期間が経過していないと判断した場合、すなわち、停止条件が満たされていないと判断した場合(S512:No)、S513において、トリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かを判断する。
【0181】
S513で、トリガスイッチ23Aがオン状態であると判断した場合(S513:Yes)、S512に戻る。すなわち、コントローラ46は、直近のトリガオン操作の時点から設定操作期間が経過するまで(すなわち、停止条件が満たされるまで)、又は、トリガオフ操作が行われるまで、S512及びS513の判断を繰り返しながら、定回転数制御によるブラシレスモータ3の駆動を継続させる。
【0182】
S512の説明に戻る。S512において、直近のトリガオン操作の時点から設定操作期間が経過したと判断した場合、すなわち、S508で設定した停止条件が満たされたと判断した場合(S512:Yes)、S514において、コントローラ46は、トリガスイッチ23Aがオン状態であっても(すなわち、トリガオフ操作が行われていなくとも)、定回転数制御を終了してブラシレスモータ3の駆動を停止させる。
【0183】
また、S513においてトリガスイッチ23Aがオン状態でない、すなわち、トリガオフ操作を検出した場合(S513:No)には、直近のトリガオン操作の時点から設定操作期間が経過していなくとも、コントローラ46は、S514でブラシレスモータ3の駆動を停止させる。なお、S509で検出したトリガオン操作からS513で検出したトリガオフ操作までのトリガオンオフ操作は、第3通常速度モードにおいて最初に行われたトリガオンオフ操作ではないため(第1設定操作条件を満たしていないため)、第3通常速度モードにおける設定操作ではない。このため、S509で検出したトリガオン操作からS513で検出したトリガオフ操作までのトリガオンオフ操作に基づいて、停止条件が設定されることはない。
【0184】
S514でブラシレスモータ3の駆動を停止した後、コントローラ46は、S509に戻り、再び、トリガオン操作が行われるまで待機する。なお、制御モードが第3通常速度モードから他のモードに変更された場合、コントローラ46は、第3通常速度モードでのブラシレスモータ3の駆動制御を終了し、第3記憶部46Cに停止条件情報として記憶されている設定操作期間を消去するとともに停止条件を未設定の状態に戻す。
【0185】
上述の第3通常速度モードでの駆動制御においては、最初のトリガオンオフ操作(設定操作)におけるトリガオン操作からトリガオフ操作までの期間がt1[秒]であり、且つ当該トリガオン操作と同時に穿孔作業を開始し当該トリガオフ操作と同時に当該穿孔作業を終了した場合、その後に、トリガオン操作を行ってブラシレスモータ3を駆動して穿孔作業を開始すると、トリガスイッチ23Aをオン状態に維持しままであっても、当該トリガオン操作(駆動開始)からt1[秒]経過した時点でブラシレスモータ3の駆動が自動的に停止され、当該穿孔作業も終了される。
【0186】
このように、第3通常速度モードによる駆動制御においては、設定操作(最初のトリガオンオフ操作)によって駆動開始されたブラシレスモータ3の駆動期間が2回目以降のトリガオン操作によるブラシレスモータ3の駆動において再現される。すなわち、設定操作の際に行われたハンマドリル1による穿孔作業が設定操作後のトリガオン操作によって再現される。このため、第3通常速度モードにおいては、設定操作(最初のトリガオンオフ操作)の際に行われた穿孔作業によって被作業材に形成された穿孔穴の深さと、その後のトリガオン操作の際に行われた穿孔作業によって被作業材に形成された穿孔穴の深さとが、略同一となる。これにより、複数の穿孔穴を形成する作業において、当該複数の穿孔穴を略同一の深さで形成することができる。このため、当該複数の穿孔穴の深さを均一にすることができ、作業性を向上させることができる。
【0187】
次に、第4通常速度モード及び第4低速度モードについて説明する。第4通常速度モード及び第4低速度モードは、ソフトスタート制御でブラシレスモータ3を駆動しながらオートストップ制御を実行するモードである。第4通常速度モードで実行されるソフトスタート制御の最終回転数は回転数N1であり、第4低速度モードで実行されるソフトスタート制御の最終回転数は回転数N2である。また、第4通常速度モードで実行されるソフトスタート制御の初期回転数は回転数N3であり、第4低速度モードで実行されるソフトスタート制御の初期回転数は回転数N4である。なお、第4通常速度モードでの駆動制御と第4低速度モードでの駆動制御とは、最終回転数及び初期回転数が異なるのみであり、他の制御内容は同一である。このため、以降において、第4低速度モードにおける駆動制御の詳細な説明は省略する。第4通常速度モード及び第4低速度モードのそれぞれは、本発明における「第1モード」の一例である。
【0188】
第4通常速度モードにおいて実行されるオートストップ制御では、第2設定操作条件を満たしたトリガオンオフ操作のみを設定操作として扱い、設定操作が行われたことに応じて停止条件を設定する。
【0189】
第2設定操作条件は、トリガオンオフ操作におけるトリガオン操作によって駆動開始したブラシレスモータ3(ロータ32)の回転数が最終回転数に達した後に当該トリガオンオフ操作におけるトリガオフ操作が行われた場合に満たされる。すなわち、第4通常速度モードにおいては、トリガオンオフ操作におけるトリガオン操作からトリガオフ操作までの間にブラシレスモータ3の回転数が最終回転数に達した場合、当該トリガオンオフ操作は設定操作として扱う。一方、トリガオンオフ操作におけるトリガオン操作からトリガオフ操作までの間にブラシレスモータ3の回転数が最終回転数に達しなかった場合、当該トリガオンオフ操作は設定操作として扱わない。なお、停止条件が既に設定されている状態においては、第2設定操作条件を満たすトリガオンオフ操作であっても、設定操作として扱わない。
【0190】
また、第4通常速度モードにおけるオートストップ制御においても、第3通常速度モードにおけるオートストップ制御と同様に、設定操作におけるトリガオン操作からトリガオフ操作までの期間、すなわち、設定操作期間を停止条件情報として取得し、取得した当該設定操作期間(すなわち、停止条件情報)を用いて停止条件を設定する。
【0191】
ここで、第4通常速度モードにおけるブラシレスモータ3の駆動制御について、図14及び図15のフローチャートを参照しながら説明する。
【0192】
制御モード設定表示処理において、制御モードとして第4通常速度モードが設定されると、コントローラ46は、第4通常速度モードでブラシレスモータ3の駆動制御を開始する。第4通常速度モードで駆動制御を開始すると、コントローラ46は、図14に示されているように、S601においてトリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かを判断する。S601でトリガスイッチ23Aがオン状態でないと判断した場合(S601:No)の処理は、S301においてトリガスイッチ23Aがオン状態でないと判断した場合(S301:No)の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0193】
S601で、トリガスイッチ23Aがオン状態であると判断した場合、すなわち、トリガオン操作を検出した場合(S601:Yes)、コントローラ46は、トリガスイッチ23Aがトリガオン操作が行われた時点からの経過期間を測定するために、S602において、期間のカウントを開始する。
【0194】
S602における期間のカウントの開始と同時に、コントローラ46は、S603において、ソフトスタート制御を開始してブラシレスモータ3の駆動を開始する。ブラシレスモータ3の駆動開始時の目標回転数は、回転数N3(すなわち、第4通常速度モードにおけるソフトスタート制御の初期回転数)である。なお、説明の便宜上、図14においては、S602の処理とS603の処理とを分けて記載しているが、上述のようにS602の処理とS603の処理は同時に行われる。
【0195】
S603でブラシレスモータ3の駆動を開始した後、コントローラ46は、S604において、ロータ32の回転数が回転数N1(最終回転数)未満であるか否かを判断する。S604で、ロータ32の回転数が回転数N1未満であると判断した場合(S604:Yes)、コントローラ46は、S605において目標回転数を増加させた後、S606において、トリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かを判断する。
【0196】
S606で、トリガスイッチ23Aがオン状態であると判断した場合(S606:Yes)、S604に戻り、トリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かの判断を再び行う。すなわち、コントローラ46は、ブラシレスモータ3の駆動開始後にトリガオフ操作が行われず且つロータ32の回転数が回転数N1未満であれば、S604、S605、及びS606を繰返しながら、ブラシレスモータ3の駆動及びS602で開始したカウントを継続させるとともに目標回転数を回転数N3(初期回転数)から回転数N1(最終回転数)に向けて所定の上昇率[rpm/s]で上昇させる。
【0197】
一方、S606でトリガスイッチ23Aがオン状態でないと判断した場合、すなわち、トリガオフ操作を検出した場合(S606:No)、コントローラ46は、S607においてソフトスタート制御を終了してブラシレスモータ3の駆動を停止させた後、S601に戻って、トリガオン操作が行われるまで待機する。なお、S606で検出したトリガオフ操作は、ブラシレスモータ3の回転数が最終回転数(回転数N1)に達する前に行われている。このため、S601で検出したトリガオン操作からS606で検出したトリガオフ操作までのトリガオンオフ操作は、第2設定操作条件を満たしておらず、第4通常速度モードにおける設定操作ではない。従って、当該トリガオンオフ操作に基づいた停止条件は設定されない。
【0198】
S604の説明に戻る。S604において、ロータ32の回転数が回転数N1未満ではないと判断した場合、すなわち、ロータ32の回転数が最終回転数に達したと判断した場合(S604:No)、コントローラ46は、S608において、トリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かを判断する。
【0199】
S608で、トリガスイッチ23Aがオン状態であると判断した場合(S608:Yes)、S608の判断を再び行う。すなわち、コントローラ46は、ロータ32の回転数が回転数N1に達した後は、トリガオフ操作が行われるまでS608の判断を繰返しながら、目標回転数を回転数N1(最終回転数)に固定した状態でブラシレスモータ3の駆動とS602で開始したカウントを継続させる。
【0200】
S608でトリガスイッチ23Aがオン状態でないと判断した場合、すなわち、トリガオフ操作を検出した場合(S608:No)、コントローラ46は、S609において期間のカウントを停止し、当該カウントを停止した時点での計時部46Dのカウント値を停止条件情報として取得する。
【0201】
ここで、S601で検出したトリガオン操作からS608で検出したトリガオフ操作までのトリガオンオフ操作、及び、S609においてカウントを停止した時点での計時部46Dのカウント値について説明する。
【0202】
S608で検出したトリガオフ操作は、ブラシレスモータ3の回転数が最終回転数(回転数N1)に達した後に行われている。このため、S601で検出したトリガオン操作からS608で検出したトリガオフ操作までのトリガオンオフ操作は、第2設定操作条件を満たしており、第4通常速度モードにおける設定操作である。
【0203】
また、S609におけるカウント停止時点での計時部46Dのカウント値によって示される期間(カウントした期間)は、S601で検出したトリガオン操作からS608で検出したトリガオフ操作までの期間、すなわち、設定操作におけるトリガオン操作からトリガオフ操作までの期間である。このため、当該カウント値によって示される期間は、第4通常速度モードにおける設定操作期間である。すなわち、コントローラ46は、S601で検出したトリガオン操作からS608で検出したトリガオフ操作までの設定操作に基づいて、S609において設定操作期間(すなわち、当該設定操作期間を示す情報)を停止条件情報として取得している。
【0204】
また、コントローラ46は、S609におけるカウントの停止と同時に、S610においてソフトスタート制御を終了してブラシレスモータ3の駆動を停止させる。なお、説明の便宜上、図14においては、S609の処理とS610の処理とを分けて記載しているが、上述のようにS609の処理とS610の処理とは同時に行われる。
【0205】
S610でブラシレスモータ3の駆動を停止した後、コントローラ46は、S611において、S609で取得した設定操作期間(カウントした期間)を停止条件情報として第3記憶部46Cに記憶する。
【0206】
S611で設定操作期間を第3記憶部46Cに記憶した後、コントローラ46は、S612で停止条件を設定する。当該停止条件は、第3記憶部46Cに停止条件情報として記憶されている設定操作期間を用いて設定される。具体的には、当該停止条件は、「トリガオン操作が行われた時点から設定操作期間が経過したこと」に設定される。
【0207】
S612で停止条件を設定した後、図15に示されているように、コントローラ46は、S613でトリガオン操作が行われたか否か、すなわち、トリガスイッチ23Aがオン状態からオフ状態に切換えられたか否かを判断する。
【0208】
S613においてトリガオン操作が行われていないと判断した場合(S613:No)の処理は、S509においてトリガオン操作が行われていないと判断した場合(S509:No)の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0209】
S613で、トリガオン操作が行われたと判断した場合、すなわち、トリガオン操作を検出した場合(S613:Yes)、コントローラ46は、トリガオン操作が行われた時点からの経過期間を測定するために、S614で計時部46Dのカウント値を0にリセットして期間のカウントを開始する。
【0210】
また、コントローラ46は、S614における期間のカウントの開始と同時に、S615において、ソフトスタート制御を開始してブラシレスモータ3の駆動を開始する。なお、説明の便宜上、図15においては、S614の処理とS615の処理とを分けて記載しているが、上述のようにS614の処理とS615の処理は同時に行われる。
【0211】
S615でブラシレスモータ3の駆動を開始した後、トリガオフ操作が行われず且つロータ32の回転数が回転数N1未満であれば、S616、S617、及びS618を繰返しながら、ブラシレスモータ3の駆動及びS614で開始したカウントを継続させるとともに目標回転数を回転数N3(初期回転数)から回転数N1(最終回転数)に向けて所定の上昇率[rpm/s]で上昇させる。
【0212】
一方、S618でトリガスイッチ23Aがオン状態でないと判断した場合、すなわち、トリガオフ操作が行われたと判断した場合(S618:No)、コントローラ46は、S619においてソフトスタート制御を終了してブラシレスモータ3の駆動を停止させた後、S613に戻って、再びトリガオン操作が行われるまで待機する。
【0213】
S616の説明に戻る。S616において、ロータ32の回転数が回転数N1未満ではないと判断した場合、すなわち、ロータ32の回転数が最終回転数に達したと判断した場合(S616:No)、コントローラ46は、S620において、直近のトリガオン操作が行われた時点から設定操作期間しているか否かを判断する。言い換えれば、コントローラ46は、S620において、S612で設定した停止条件が満たされたか否かを判断する。
【0214】
S620において、直近のトリガオン操作の時点から設定操作期間が経過していないと判断した場合、すなわち、停止条件が満たされていないと判断した場合(S620:No)、S621において、トリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かを判断する。
【0215】
S621で、トリガスイッチ23Aがオン状態であると判断した場合(S621:Yes)、S620に戻ってS620の判断を再び行う。すなわち、コントローラ46は、直近のトリガオン操作の時点から設定操作期間が経過するまで(すなわち、停止条件が満たされるまで)又はトリガオフ操作が行われるまで、S620及びS621の判断を繰り返しながら、ソフトスタート制御によるブラシレスモータ3の駆動を継続させる。
【0216】
S620で直近のトリガオン操作の時点から設定操作期間が経過したと判断した場合、すなわち、S612で設定された停止条件が満たされたと判断した場合(S620:Yes)、コントローラ46は、S619において、トリガスイッチ23Aがオン状態であっても(すなわち、トリガオフ操作が行われていなくとも)、ソフトスタート制御を終了してブラシレスモータ3の駆動を停止させる。
【0217】
また、S621においてトリガスイッチ23Aがオン状態でない、すなわち、トリガオフ操作を検出した場合(S621:No)には、直近のトリガオン操作の時点から設定操作期間が経過していない場合であっても、コントローラ46は、S619においてブラシレスモータ3の駆動を停止させる。
【0218】
S619でブラシレスモータ3の駆動を停止した後、コントローラ46は、S613に戻り、再び、トリガオン操作が行われるまで待機する。なお、制御モードが第4通常速度モードから他のモードに変更された場合、コントローラ46は、第4通常速度モードでのブラシレスモータ3の駆動制御を終了し、第3記憶部46Cに停止条件情報として記憶されている設定操作期間を消去するとともに停止条件を未設定の状態に戻す。
【0219】
上述のコントローラ46による第4通常速度モードでの駆動制御においても、設定操作の際に行われたハンマドリル1による穿孔作業が当該設定操作後のトリガオン操作によって再現される。このため、第4通常速度モードにおいても、複数の穿孔穴を形成する作業において当該複数の穿孔穴の深さを略均一にすることができる。
【0220】
また、第4通常速度モードでの駆動制御においては、ブラシレスモータ3の回転数が最終回転数に達する前にトリガオンオフ操作におけるトリガオフ操作が行われた場合(すなわち、トリガオンオフ操作が第2設定操作条件を満たさなかった場合)、当該トリガオンオフ操作を設定操作として扱わず、当該トリガオンオフ操作に基づいた停止条件の設定は行わない。これにより、適切に行われた穿孔作業のみを再現することができ、作業性を向上させることができる。
【0221】
詳細には、ブラシレスモータ3の回転数が最終回転数に達する前にトリガオンオフ操作におけるトリガオフ操作が行われた場合、ユーザが当該トリガオンオフ操作におけるトリガオン操作でブラシレスモータ3を駆動した後に何らかの理由により穿孔作業を途中で取りやめたと考えられる。一方、ブラシレスモータ3の回転数が最終回転数に達した後にトリガオンオフ操作におけるトリガオフ操作が行われた場合、すなわち、設定操作(第2設定操作条件を満たすトリガオンオフ操作)が行われた場合、ユーザによって穿孔作業が適切に行われたと考えられる。上記を考慮し、第4通常速度モードでの駆動制御においては、ユーザによって行われるトリガオンオフ操作のうち、穿孔作業が適切に行われたと考えられる第2設定操作条件を満たすトリガオンオフ操作のみを設定操作として扱い、当該設定操作に基づいた停止条件を設定している。これにより、適切に行われた穿孔作業のみを再現することができ、作業性をより向上させることができる。
【0222】
このように、上述したハンマドリル1は、駆動力を発生させるブラシレスモータ3と、先端ビットEを装着可能なビット装着部9と、当該駆動力を受けビット装着部9に装着された先端ビットEに打撃力及び回転力を付与可能な動力伝達部8と、ブラシレスモータ3を停止させる停止条件を設定するための設定操作を受け付けるとともに手動操作によってオン状態とオフ状態とに切換可能なトリガスイッチ23Aと、ブラシレスモータ3を制御可能なコントローラ46と、を備えている。また、コントローラ46は、トリガスイッチ23Aが受け付けた当該設定操作に基づいて当該停止条件を設定する処理と、ブラシレスモータ3の駆動を開始する処理と、ブラシレスモータ3を停止させる処理と、を実行可能である。さらに、コントローラ46は、トリガオン操作に応じてブラシレスモータ3の駆動を開始する処理を実行し、トリガオフ操作に応じてブラシレスモータ3の駆動を開始する処理を実行し、当該停止条件が設定された状態において当該停止条件がブラシレスモータ3の駆動中に満たされたことに応じてトリガスイッチ23Aがオン状態であったとしても当該ブラシレスモータ3の駆動を開始する処理を実行する。
【0223】
上記構成によれば、設定操作を行って停止条件を設定した状態において、トリガスイッチ23Aをオフ状態からオン状態に切換えて当該オン状態を維持する操作を行うと、ブラシレスモータ3が駆動した後、停止条件を満たした時点で自動的に停止する。すなわち、停止条件を設定した状態においては、作業環境(被作業材や作業内容)が大幅に変化しない限り、上記操作によって1度行った穿孔作業が上記操作を行う毎に再現される。このため、上記操作による穿孔作業を繰り返し行って複数の穿孔穴を形成することで、当該形成された複数の穿孔穴の深さを均一にすることができる。また、上記制御は、特別なセンサや複雑な配線等を必要とせず、コントローラ46の機能によって実現されている。これらにより、簡易な構成且つ低コストで複数の穿孔穴を均一の深さで容易に形成することができる。
【0224】
また、第1の実施の形態によるハンマドリル1におけるコントローラ46は、ブラシレスモータ3を制御する制御モードとして8つのモードを有しており、制御モードとして当該8つのモードのうちから一のモードを選択的に設定する処理をさらに実行可能である。また、当該8つのモードは、少なくとも第3通常速度モードと第1通常速度モードとを含んでおり、コントローラ46は、第3通常速度モードにおいて、トリガスイッチ23Aが設定操作を受け付けたことに応じて当該設定操作に基づいて停止条件を設定する処理を実行し、第1通常速度モードにおいては、停止条件を設定する処理を実行しない。
【0225】
このような構成によると、トリガスイッチ23Aが設定操作を受け付けたことに応じて当該設定操作に基づいて停止条件を設定する処理を行う第3通常速度モードを有しつつ、停止条件を設定する処理を行わない第1通常速度モードも有している。このため、ユーザは、複数の穿孔穴を均一な深さで形成する作業と、複数の穿孔穴をそれぞれ異なった所望な深さで形成する作業とを選択することができる。これにより、作業の自由度を向上させることができる。
【0226】
また、本実施の形態におけるトリガスイッチ23Aは、ブラシレスモータ3を停止させる停止条件を設定するための設定操作を受け付けるとともに手動操作によってオン状態とオフ状態とに切換可能である。また、コントローラ46は、第3通常速度モードにおいて、トリガスイッチ23Aが設定操作を受け付けたことに応じて設定操作に基づいて停止条件情報を取得する処理を実行する。さらに、コントローラ46は、設定操作に基づいて停止条件を設定する処理において、取得した当該停止条件情報を用いて当該停止条件を設定する。
【0227】
このような構成によると、ブラシレスモータ3の駆動開始を制御する部材と設定操作を受け付ける部材とが同一の部材であるため、ユーザによって操作される部材を少なくすることができる。このため、ユーザによる操作が複雑とならず、作業性をより向上させることができる。また、部品点数を少なくすることができ、より簡易な構成且つ低コストでハンマドリル1を製造することができる。
【0228】
また、ハンマドリル1における設定操作は、第3通常速度モードにおける最初のトリガオンオフ操作である。さらに、コントローラ46は、設定操作に基づいて停止条件情報を取得する処理において、当該設定操作におけるトリガオン操作からトリガオフ操作までの期間である設定操作期間を当該停止条件情報として取得し、停止条件を設定する処理において、停止条件を「トリガオン操作から当該設定操作期間が経過したこと」に設定する。
【0229】
このような構成によると、停止条件を設定操作期間を用いて設定しているため、距離センサ等を用いる場合と比較して、設定操作の際に行った穿孔作業を正確に再現でき、かつ、ユーザが直感的に操作することできる。
【0230】
また、本実施の形態によるハンマドリル1においては、切換スイッチ211Aを操作することで、ブラシレスモータ3の駆動速度の切換及びオートストップ制御の有無の切換を行うことができる。すなわち、駆動速度の切換を行う操作部と制御モードの切換を行う操作部とを共通にすることができる。これにより、ハンマドリル1の構成を簡単にでき、ユーザによる操作性をも向上させることができる。
【0231】
また、本実施の形態におけるハンマドリル1は、制御モードとして設定したモードを記憶するための不揮発性の記憶媒体である第3記憶部46Cと、コントローラ46に電源供給が可能な降圧回路43とを備えている。また、コントローラ46は、降圧回路43からの電源供給が開始されると起動し、降圧回路43からの当該電源供給が途絶えると停止する。さらに、コントローラ46は、当該電源供給が途絶えた後に再び当該電源供給が開始されたことに応じて、制御モードを設定する処理を実行して第3記憶部46Cに制御モードとして記憶されているモードを制御モードとして設定することが好ましい。
【0232】
このような構成によると、コントローラ46への電源供給が途絶えた後に当該電源供給が再開された場合、制御モードが当該電源供給が途絶える前のモードに自動的に設定される。このため、所望の一の制御モードを多用するユーザは、ハンマドリル1の電源のオンオフ毎に当該所望の制御モードに再設定する必要がない。また、停電等によってハンマドリル1への電力供給が遮断されてしまい、その後の復電によって穿孔工具の電源供給が再開された場合には、停電前に設定されていた制御モードが自動的に設定されるため、ユーザは停電前に設定されていた制御モードに再設定する必要がない。これにより、利便性及び作業性をより向上させることができる。
【0233】
次に、本発明の第1の実施形態の第1変形例によるハンマドリルについて説明する。第1変形例によるハンマドリルは、ハンマドリル1における第3通常速度モードに替えて、第5通常速度モードでブラシレスモータ3の駆動制御を実行可能である。なお、第1変形例によるハンマドリルは、第3通常速度モードに替えて第5通常速度モードで駆動制御を実行可能な点のみがハンマドリル1と異なり、基本的構成及び他の制御内容はハンマドリル1と同一である。また、第1変形例によるハンマドリルにおけるハンマドリル1と同一の構成及び同一の制御は、ハンマドリル1におけるそれらが奏する効果と同一の効果を奏する。
【0234】
第5通常速度モードは、定回転数制御でブラシレスモータ3を駆動しながらオートストップ制御を実行するモードであり、第5通常速度モードで実行される定回転数制御の最大目標回転数は回転数N1である。第5通常速度モードは、本発明における「第1モード」の一例である。
【0235】
第5通常速度モードにおいて実行されるオートストップ制御では、第3設定操作条件を満たしたトリガオンオフ操作のみを設定操作として扱い、設定操作が行われたことに応じて停止条件を設定する。
【0236】
第3設定操作条件は、第5通常速度モードにおいて行われたトリガオンオフ操作におけるトリガオン操作から当該トリガオンオフ操作におけるトリガオフ操作までの期間(以下、「トリガオンオフ操作の操作期間」と呼ぶ)が、下限期間Dp以上且つ上限期間Up未満である場合に満たされる。すなわち、第5通常速度モードにおいては、トリガオンオフ操作の操作期間が下限期間Dp未満の場合や上限期間Up以上の場合、当該トリガオンオフ操作は設定操作として扱わない。なお、停止条件が既に設定されている状態においては、第3設定操作条件を満たすトリガオンオフ操作であっても、設定操作として扱わない。
【0237】
また、第5通常速度モードにおけるオートストップ制御においても、第3通常速度モード及び第4通常モードにおけるオートストップ制御と同様に、設定操作におけるトリガオン操作からトリガオフ操作までの期間、すなわち、設定操作期間を停止条件情報として取得し、取得した当該設定操作期間(すなわち、停止条件情報)を用いて停止条件を設定する。
【0238】
ここで、第5通常速度モードにおけるブラシレスモータ3の駆動制御について、図16のフローチャートを参照しながら説明する。
【0239】
本変形例におけるコントローラ46は、第5通常速度モードにおける駆動制御を開始すると、図16に示されているように、S701~S703の処理を行う。これらの処理はハンマドリル1のコントローラ46による第3通常速度モードでの駆動制御のS501~S503と同様の処理であるため、説明を省略する。
【0240】
S703における期間のカウントの開始及びS703におけるブラシレスモータ3の駆動を開始した後、コントローラ46は、S704において直近のトリガオン操作の時点から下限期間Dpが経過したか否かを判断する。
【0241】
S704において、直近のトリガオン操作の時点から下限期間Dpが経過していないと判断した場合(S704:No)、コントローラ46は、S705でトリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かを判断する。S705において、トリガスイッチ23Aがオン状態であると判断した場合(S705:Yes)、コントローラ46は、S704に戻って再びS704の判断を行う。すなわち、コントローラ46は、直近のトリガオン操作の時点から下限期間Dpが経過するまでは、S704及びS705を繰返しながら、ブラシレスモータ3の駆動及びS702で開始したカウントを継続する。
【0242】
一方、S705において、トリガスイッチ23Aがオン状態でないと判断した場合、すなわち、トリガオフ操作を検出した場合(S705:No)、コントローラ46は、S706において定回転数制御を終了してブラシレスモータ3の駆動を停止させ、S701に戻って再びトリガオン操作が行われるまで待機する。なお、S701で検出したトリガオン操作からS706で検出したトリガオフ操作までのトリガオンオフ操作の操作期間は、下限期間Dp未満である。このため、トリガオンオフ操作は、第3設定操作条件を満たしておらず、第5通常速度モードにおける設定操作ではない。従って、当該トリガオンオフ操作に基づいた停止条件は設定されない。
【0243】
S704の説明に戻る。S704で直近のトリガオン操作の時点から下限期間Dpが経過したと判断した場合(S704:Yes)、コントローラ46は、S707において直近のオン操作の時点から上限期間Upが経過したか否かを判断する。
【0244】
S707において、直近のトリガオン操作の時点から上限期間Upが経過していないと判断した場合、コントローラ46は、S708でトリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かを判断する。S708でトリガスイッチ23Aがオン状態であると判断した場合(S708:Yes)、コントローラ46は、S707に戻る。すなわち、コントローラ46は、直近のトリガオン操作の時点から下限期間Dpが経過した後且つ上限期間Upが経過するまでは、S707及びS708を繰返しながら、ブラシレスモータ3の駆動及びS702で開始したカウントを継続する。
【0245】
一方、S708でトリガスイッチ23Aがオン状態ではないと判断した場合、すなわち、トリガオフ操作を検出した場合(S708:No)、コントローラ46は、S709において、ブラシレスモータ3の駆動を停止させるとともに期間のカウントを停止し、カウントを停止した時点での計時部46Dのカウント値を取得する。
【0246】
ここで、S701で検出したトリガオン操作からS708で検出したトリガオフ操作までのトリガオンオフ操作、及び、S709においてカウントを停止した時点での計時部46Dのカウント値について説明する。
【0247】
S708で検出したトリガオフ操作は、直近のトリガオン操作の時点から下限期間Dpが経過した後且つ上限期間Upが経過する前に行われている。このため、S701で検出したトリガオン操作からS708で検出したトリガオフ操作までのトリガオンオフ操作の操作期間は、下限期間Dp以上且つ上限期間Up未満である。このため、当該トリガオンオフ操作は、第3設定操作条件を満たしており、第5通常速度モードにおける設定操作である。
【0248】
また、S709におけるカウント停止時点での計時部46Dのカウント値によって示される期間は、S701で検出したトリガオン操作からS708で検出したトリガオフ操作までのトリガオンオフ操作の操作期間、すなわち、設定操作におけるトリガオン操作からトリガオフ操作までの期間である。このため、当該カウント値によって示される期間は、第5通常速度モードにおける設定操作期間である。すなわち、コントローラ46は、S701で検出したトリガオン操作からS708で検出したトリガオフ操作までの設定操作に基づいて、S709において設定操作期間(すなわち、当該設定操作期間を示す情報)を停止条件情報として取得している。
【0249】
S709において設定操作期間を取得した後、コントローラ46は、S710において取得した当該設定操作期間を停止条件情報として第3記憶部46Cに記憶する。
【0250】
S710で設定操作期間を第3記憶部46Cに記憶した後、コントローラ46は、S711で停止条件を設定する。当該停止条件は、第3記憶部46Cに停止条件情報として記憶されている設定操作期間を用いて設定される。具体的には、当該停止条件は、「トリガオン操作が行われた時点から設定操作期間が経過したこと」に設定される。
【0251】
S711で停止条件を設定した後の処理は、第3通常速度モードにおける駆動制御のS509~S514の処理と同様である。
【0252】
S707の説明に戻る。S707において直近のオン操作の時点から上限期間Upが経過したと判断した場合(S707:Yes)、コントローラ46は、S712でトリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かを判断する。S712において、トリガスイッチ23Aがオン状態であると判断した場合(S712:Yes)、コントローラ46は、S707の判断を再び行う。すなわち、コントローラ46は、直近のトリガオン操作の時点から上限期間Upが経過した後は、S707及びS712を繰返しながら、ブラシレスモータ3の駆動及びS702で開始したカウントを継続する。
【0253】
一方、S712において、トリガスイッチ23Aがオン状態でないと判断した場合、すなわち、トリガオフ操作を検出した場合(S712:No)、コントローラ46は、S706においてブラシレスモータ3の駆動を停止させた後、S701に戻って再びトリガオン操作が行われるまで待機する。なお、S701で検出したトリガオン操作からS712で検出したトリガオフ操作までのトリガオンオフ操作の操作期間は、上限期間Up以上である。このため、トリガオンオフ操作は、第3設定操作条件を満たしておらず、第5通常速度モードにおける設定操作ではない。従って、当該トリガオンオフ操作に基づいた停止条件は設定されない。
【0254】
第1変形例によるハンマドリルのコントローラ46は、制御モードが第5通常速度モードから他のモードに変更された場合、第5通常速度モードでのブラシレスモータ3の駆動制御を終了し、第3記憶部46Cに停止条件情報として記憶されている設定操作期間を消去するとともに停止条件を未設定の状態に戻す。
【0255】
上述の第1変形例における第5通常速度モードでの駆動制御においても、設定操作の際に行われたハンマドリル1による穿孔作業が当該設定操作後のトリガオン操作によって再現される。このため、第5通常速度モードにおいても、複数の穿孔穴を形成する作業において当該複数の穿孔穴の深さを略均一にすることができる。
【0256】
また、第5通常速度モードでの駆動制御においては、トリガオンオフ操作の操作期間が下限期間Dp未満の場合や上限期間Up以上の場合、当該トリガオンオフ操作を設定操作として扱わず、当該トリガオンオフ操作に基づいた停止条件の設定は行わない。これにより、適切に行われた穿孔作業のみを再現することができ、作業性を向上させることができる。
【0257】
詳細には、トリガオンオフ操作の操作期間が下限期間Dp未満の場合、ユーザが当該トリガオンオフ操作におけるトリガオン操作でブラシレスモータ3を駆動した後に何らかの理由により穿孔作業を途中で取りやめたと考えられる。また、トリガオンオフ操作の操作期間が上限期間Up以上の場合には、ユーザが当該トリガオンオフ操作におけるトリガオン操作でブラシレスモータ3を駆動した後に何らかの理由により穿孔作業の開始が遅れたものと考えられる。これに対し、トリガオンオフ操作の操作期間が下限期間Dp以上且つ上限期間Up未満の場合、すなわち、第3設定操作条件を満たすオンオフ操作が行われた場合、ユーザによって穿孔作業が適切に行われたと考えられる。上記を考慮し、第5通常速度モードでの駆動制御においては、穿孔作業が適切に行われたと考えられる第3設定操作条件を満たすトリガオンオフ操作のみを設定操作として扱い、当該設定操作に基づいた停止条件を設定している。これにより、適切に行われた穿孔作業のみを再現することができ、作業性をより向上させることができる。
【0258】
次に、本発明の第1の実施形態のの第2変形例によるハンマドリルについて説明する。第2変形例によるハンマドリルは、ハンマドリル1における第3通常速度モードに替えて、第6通常速度モードでブラシレスモータ3の駆動制御を実行可能である。なお、第2変形例によるハンマドリルは、第3通常速度モードに替えて第6通常速度モードで駆動制御を実行可能な点のみがハンマドリル1と異なり、基本的構成及び他の制御内容はハンマドリル1と同一である。また、第2変形例によるハンマドリルにおけるハンマドリル1と同一の構成及び同一の制御は、ハンマドリル1におけるそれらが奏する効果と同一の効果を奏する。
【0259】
第6通常速度モードは、定回転数制御でブラシレスモータ3を駆動しながらオートストップ制御を実行するモードであり、第6通常速度モードで実行される定回転数制御の最大目標回転数は回転数N1である。第6通常速度モードは、本発明における「第1モード」の一例である。
【0260】
第6通常速度モードにおいて実行されるオートストップ制御では、第4設定操作条件を満たしたトリガオンオフ操作のみを設定操作として扱い、設定操作が行われたことに応じて停止条件を設定する。
【0261】
第4設定操作条件は、第6通常速度モードにおいて行われたトリガオンオフ操作の操作期間中にトリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上となったことで満たされる。すなわち、トリガオンオフ操作の操作期間中にトリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3に達しなかった場合、当該トリガオンオフ操作は設定操作として扱わない。なお、操作量閾値L3は、上述の最大操作量すなわち所定量L1よりも小さく且つ所定量L2よりも大きい値である。なお、停止条件が既に設定されている状態においては、第4設定操作条件を満たすトリガオンオフ操作であっても、設定操作として扱わない。
【0262】
また、第6通常速度モードにおけるオートストップ制御においては、設定操作におけるトリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上となった時点から当該設定操作におけるトリガオフ操作までの期間(以下、「第2設定操作期間」と呼ぶ)を停止条件情報として取得し、取得した当該第2設定操作期間(すなわち、停止条件情報)を用いて停止条件を設定する。なお、停止条件は、「トリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上になった時点から第2設定操作期間が経過したこと」に設定される。
【0263】
ここで、第6通常速度モードにおけるブラシレスモータ3の駆動制御について、図17図20のフローチャートを参照しながら説明する。
【0264】
本変形例におけるコントローラ46は、第6通常速度モードにおける駆動制御を開始すると、図17に示されているように、S815において、トリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かを判断する。S815においてトリガスイッチ23Aがオン状態でないと判断した場合(S815:No)の処理は、S301においてトリガスイッチ23Aがオン状態でないと判断した場合の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0265】
S815でトリガスイッチ23Aがオン状態であると判断した場合、すなわち、トリガオン操作を検出した場合(S815:Yes)、コントローラ46は、S816において、定回転数制御を開始してブラシレスモータ3の駆動を開始する。
【0266】
S816でブラシレスモータ3の駆動を開始した後、コントローラ46は、S817において、トリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3未満であるか否かを判断する。S817でトリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3未満であると判断した場合(S817:Yes)、コントローラ46は、S818でトリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かを判断する。
【0267】
S818でトリガスイッチ23Aがオン状態であると判断した場合(S818:Yes)、コントローラ46は、S817の判断を再び行う。すなわち、S816でブラシレスモータ3の駆動を開始した後、トリガスイッチ23Aがオン状態且つトリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3未満である場合、S817及びS818を繰返しながら、ブラシレスモータ3の駆動を継続する。
【0268】
一方、S818でトリガスイッチ23Aがオン状態でないと判断した場合、すなわち、トリガオフ操作を検出した場合(S818:No)、コントローラ46は、S819において定回転数制御を終了してブラシレスモータ3の駆動を停止した後、S815に戻り、再びトリガオン操作が行われるまで待機する。なお、S818で検出したトリガオフ操作は、トリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上になる前に行われている。すなわち、S815で検出したトリガオン操作からS818で検出したトリガオフ操作までのトリガオンオフ操作の操作期間中に、トリガスイッチ23Aの操作量は操作量閾値L3に達していない。このため、当該トリガオンオフ操作は、第4設定操作条件を満たしておらず、第6通常速度モードにおける設定操作ではない。従って、当該トリガオンオフ操作に基づいた停止条件は設定されない。
【0269】
S817でトリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3未満ではない(操作量閾値L3以上である)と判断した場合(S817:No)、図18に示されているように、コントローラ46は、S820において、トリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上となった時点からの経過期間を測定するために、期間のカウントを開始する。すなわち、ブラシレスモータ3の駆動後、トリガオフ操作が行われず且つトリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上となった場合に、カウントを開始する。なお、トリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上となった時点は、第4設定操作条件を満たした時点である。
【0270】
S820でカウントを開始した後、コントローラ46は、S804において、トリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かを判断する。S804で、トリガスイッチ23Aがオン状態であると判断した場合(S804:Yes)、S804に戻る。すなわち、コントローラ46は、トリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3に達した後は、トリガオフ操作が行われるまで、S804の判断を繰り返しながら、定回転数制御によるブラシレスモータ3の駆動とS820で開始したカウントを継続する。
【0271】
S804でトリガスイッチ23Aがオン状態でないと判断した場合、すなわち、トリガオフ操作を検出した場合(S804:No)、コントローラ46は、S805において期間のカウントを停止し、カウントを停止した時点での計時部46Dのカウント値を取得する。
【0272】
ここで、S815で検出したトリガオン操作からS804で検出したトリガオフ操作までのトリガオンオフ操作、及び、S805においてカウントを停止した時点での計時部46Dのカウント値について説明する。
【0273】
S804で検出したトリガオフ操作は、トリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3に達した後に行われている。すなわち、S815で検出したトリガオン操作からS804で検出したトリガオフ操作までのトリガオンオフ操作の操作期間中にトリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上になっている。このため、当該トリガオンオフ操作は、第4設定操作条件を満たしており、第6通常速度モードにおける設定操作である。
【0274】
また、S805におけるカウント停止時点での計時部46Dのカウント値によって示される期間は、設定操作におけるトリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3に達した時点からS804で検出した設定操作におけるトリガオフ操作までの期間である。このため、当該カウント値によって示される期間は、第6通常速度モードにおける第2設定操作期間である。すなわち、コントローラ46は、S815で検出したトリガオン操作からS804で検出したトリガオフ操作までの設定操作に基づいて、S805において第2設定操作期間(すなわち、当該設定操作期間を示す情報)を停止条件情報として取得している。
【0275】
また、S805におけるカウントの停止と同時に、コントローラ46は、S806において定回転数制御を終了してブラシレスモータ3の駆動を停止させる。なお、説明の便宜上、図18においては、S805の処理とS806の処理とを分けて記載しているが、上述のようにS805の処理とS806の処理とは同時に行われる。
【0276】
S806においてブラシレスモータ3の駆動を停止させた後、コントローラ46は、S807において、S805で取得した第2設定操作期間を停止条件情報として第3記憶部46Cに記憶する。
【0277】
S807で第2設定操作期間を第3記憶部46Cに記憶した後、コントローラ46は、S808で停止条件を設定する。停止条件は、第3記憶部46Cに停止条件情報として記憶されている第2設定操作期間を用いて設定される。具体的には、停止条件は、「トリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上になった時点から第2設定操作期間が経過したこと」に設定される。
【0278】
S808で停止条件を設定した後、図19に示されているように、コントローラ46は、S821において、トリガオン操作が行われたか否かを判断する。S821で、トリガオン操作が行われたと判断した場合(S821:Yes)、S822~S825の処理を行うが、これらの処理はS816~S819と同様の処理であるため、説明を省略する。
【0279】
S823でトリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3未満ではない(操作量閾値L3以上である)と判断した場合(S823:No)、図20に示されているように、S826において、コントローラ46は、トリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上となった時点からの経過期間を測定するために、期間のカウントを開始する。すなわち、停止条件が設定された後のトリガオン操作によるブラシレスモータ3の駆動においても、トリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上となった場合に、カウントを開始する。
【0280】
S826でカウントを開始した後、S812において、コントローラ46は、直近のトリガオン操作後におけるトリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上になった時点(すなわち、S826におけるカウント開始時)から第2設定操作期間が経過したか否かを判断する。言い換えれば、コントローラ46は、S812において、S808で設定した停止条件が満たされたか否かを判断する。
【0281】
S812において、直近のトリガオン操作後におけるトリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上になった時点(すなわち、S826におけるカウント開始時)から第2設定操作期間が経過していないと判断した場合、すなわち、停止条件が満たされていないと判断した場合(S812:No)、S813において、トリガスイッチ23Aがオン状態であるか否かを判断する。
【0282】
S813で、トリガスイッチ23Aがオン状態であると判断した場合(S813:Yes)、S812に戻る。すなわち、コントローラ46は、直近のトリガオン操作後におけるトリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上になった時点から第2設定操作期間が経過するまで(すなわち、停止条件が満たされるまで)、又は、トリガオフ操作が行われるまで、S812及びS813の判断を繰り返しながら、定回転数制御によるブラシレスモータ3の駆動を継続させる。
【0283】
S812で直近のトリガオン操作後におけるトリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上になった時点から第2設定操作期間が経過したと判断した場合、すなわち、S808で設定された停止条件が満たされた場合(S812:Yes)、コントローラ46は、S814において、トリガスイッチ23Aがオン状態であっても(すなわち、トリガオフ操作が行われなくとも)、定回転数制御を終了してブラシレスモータ3の駆動を停止させる。
【0284】
また、S813においてトリガスイッチ23Aがオン状態でないと判断した場合、すなわち、トリガオフ操作が行われたと判断した場合(S813:No)には、コントローラ46は、直近のトリガオン操作後におけるトリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上になった時点から第2設定操作期間が経過していなくとも、S814においてブラシレスモータ3の駆動を停止させる。
【0285】
S814でブラシレスモータ3の駆動を停止した後、コントローラ46は、S821に戻り、再びトリガオン操作が行われるまで待機する。なお、第2変形例によるハンマドリルのコントローラ46は、制御モードが第6通常速度モードから他のモードに変更された場合、第6通常速度モードでのブラシレスモータ3の駆動制御を終了し、第3記憶部46Cに停止条件情報として記憶されている第2設定操作期間を消去するとともに停止条件を未設定の状態に戻す。
【0286】
上述の第2変形例における第6通常速度モードでの駆動制御においても、設定操作の際に行われたハンマドリル1による穿孔作業が当該設定操作後のトリガオン操作によって再現される。このため、第6通常速度モードにおいても、複数の穿孔穴を形成する作業において当該複数の穿孔穴の深さを略均一にすることができる。
【0287】
また、第6通常速度モードでの駆動制御においては、トリガオンオフ操作におけるトリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上になる前に当該トリガオンオフ操作におけるトリガオフ操作が行われた場合、当該トリガオンオフ操作を設定操作として取り扱わず、当該トリガオンオフ操作に基づいた停止条件の設定は行わない。これにより、適切に行われた穿孔作業のみを再現することができ、作業性を向上させることができる。
【0288】
詳細には、トリガオンオフ操作におけるトリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上になる前に当該トリガオンオフ操作におけるトリガオフ操作が行われた場合、ユーザがトリガスイッチ23Aをいわゆる半押しした状態で先端ビットEを被作業箇所(穿孔穴を形成すべき箇所)に対して位置合わせしている途中で何らかの理由により穿孔作業を中止したものと考えられる。上記を考慮し、第6通常速度モードでの駆動制御においては、穿孔作業が適切に行われたと考えられる第4設定操作条件を満たしたトリガオンオフ操作のみを設定操作として扱い、当該設定操作に基づいた停止条件を設定している。これにより、適切に行われた穿孔作業のみを再現することができ、作業性をより向上させることができる。
【0289】
また、第6通常速度モードでの駆動制御においては、設定操作におけるトリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上になった時点から当該設定操作におけるトリガオフ操作までの期間(すなわち、第2設定操作期間)を停止条件情報として用いて停止条件が設定され、当該停止条件は「トリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上になった時点から第2設定操作期間が経過したこと」に設定される。これにより、設定操作の際に行われた穿孔作業のうちの実際の穿孔期間を忠実に再現することができ、作業性をより向上させることができる。
【0290】
詳細には、設定操作におけるトリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上になった時点に対応する実際の作業状況は、ユーザが被作業箇所に対する先端ビットEの位置合わせを完了させてトリガスイッチ23Aの操作量をいわゆる半押し状態から増大させるとともに被作業箇所の穿孔を開始した時点であると考えられる。このため、設定操作におけるトリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上になった時点から該設定操作におけるトリガオフ操作までの期間、すなわち、第2設定操作期間は、設定操作の際に行われた穿孔作業のうちの実際の穿孔期間であると考えられる。
【0291】
上記を考慮し、第6通常速度モードでの駆動制御においては、ユーザによって行われるトリガオンオフ操作の操作期間のうち、実際の穿孔期間であると考えられる第2設定操作期間を停止条件に用いている。これにより、設定操作の際に行われた穿孔作業のうちの実際の穿孔期間を忠実に再現することができ、作業性をより向上させることができる。なお、本変形例における操作量閾値L3は、6mmであるが、これに限られず、ユーザが実際に先端ビットEで穿孔を開始するであろう操作量に対応する値であればよい。また、操作量閾値L3の値は、ユーザのハンマドリルの使用態様の調査や実験等を通じて決定することが望ましい。
【0292】
次に、本発明の第1の実施形態の第3変形例によるハンマドリルについて説明する。第3変形例によるハンマドリルは、ハンマドリル1における第3通常速度モードに替えて、第7通常速度モードでブラシレスモータ3の駆動制御を実行可能である。なお、第2変形例によるハンマドリルは、第3通常速度モードに替えて第7通常速度モードで駆動制御を実行可能な点のみがハンマドリル1と異なり、基本的構成及び他の制御内容はハンマドリル1と同一である。また、第3変形例によるハンマドリルにおけるハンマドリル1と同一の構成及び同一の制御は、ハンマドリル1におけるそれらが奏する効果と同一の効果を奏する。
【0293】
第7通常速度モードは、定回転数制御でブラシレスモータ3を駆動しながらオートストップ制御を実行するモードであり、第7通常速度モードで実行される定回転数制御の最大目標回転数は回転数N1である。第7通常速度モードは、本発明における「第1モード」の一例である。
【0294】
第7通常速度モードにおいて実行されるオートストップ制御では、第3通常速度モードと同様に、第1設定操作条件を満たしたトリガオンオフ操作のみを設定操作として扱い、設定操作が行われたことに応じて停止条件を設定する。
【0295】
また、第7通常速度モードで実行されるオートストップ制御においては、設定操作におけるトリガオン操作からトリガオフ操作までの期間におけるブラシレスモータ3の駆動に関する駆動情報を停止条件情報として取得し、取得した当該駆動情報を用いて停止条件を設定する。
【0296】
より詳細には、第7通常速度モードにおいては、ブラシレスモータ3の駆動に関する駆動情報としてブラシレスモータ3の回転量(回転回数)を停止条件情報として取得し、取得した当該回転量(すなわち、停止条件情報)を用いて停止条件を設定する。以下、設定操作におけるトリガオン操作からトリガオフ操作までの期間における回転量を「設定回転量」と呼ぶ。
【0297】
ここで、第7通常速度モードでのブラシレスモータ3の駆動制御について、図21及び図22のフローチャートを参照しながら説明する。なお、ハンマドリル1における第3通常速度モードと同一の処理には、同一の符号を付して説明を省略し、異なる処理についてのみ説明する。
【0298】
図21及び図22に示されているように、本変形例のハンマドリルにおける第7通常速度モードにおいては、第3通常速度モードにおけるS502、S505、S507、S508、S510、及びS512に替えて、S902、S905、S907、S908、S910、及びS912をそれぞれ行う。
【0299】
S902において、本変形例によるハンマドリルのコントローラ46は、S501で検出したトリガオン操作の時点からのブラシレスモータ3の回転量を測定するために、当該回転量の計測を開始する。なお、コントローラ46は、ホールIC信号検出回路44から出力された回転位置信号に基づいてブラシレスモータ3の回転量を計測を行う。
【0300】
S905において、コントローラ46は、S902で開始した回転量の計測を停止し、当該計測を停止した時点での回転量を停止条件情報として取得する。なお、当該計測を停止した時点での回転量は、設定回転量である。
【0301】
S907において、コントローラ46は、S905で取得した設定回転量(カウントした回転量)を第3記憶部46Cに記憶した後、S908で停止条件を設定する。当該停止条件は、第3記憶部46Cに停止条件情報として記憶されている設定回転量を用いて設定される。具体的には、当該停止条件は、「トリガオン操作が行われた時点からのブラシレスモータ3の回転量が設定回転量に達した事」に設定される。
【0302】
S910において、コントローラ46は、直近のトリガオン操作が行われた時点からのブラシレスモータ3の回転量を測定するために、当該回転量の測定を開始する。
【0303】
S912において、コントローラ46は、直近のトリガオン操作の時点からのブラシレスモータ3の回転量が設定回転量に達したか否か、すなわち、S908で設定した停止条件が満たされたか否かを判断する。当該判断は、S912の実行の時点における回転量の計測結果と第3記憶部46Cに記憶されている設定回転量とを比較することで行われる。
【0304】
このように、第7通常速度モードによる駆動制御においては、設定操作(最初のトリガオンオフ操作)によって駆動開始されたブラシレスモータ3の回転量が2回目以降のトリガオン操作によるブラシレスモータ3の駆動において再現される。すなわち、第7通常速度モードでの駆動制御においても、設定操作の際に行われた穿孔作業が設定操作後のトリガオン操作によって再現される。これにより、当該複数の穿孔穴の深さを均一にすることができ、作業性を向上させることができる。なお、第7通常速度モードで実行されるオートストップ制御においては、ブラシレスモータ3の駆動に関する駆動情報として、ブラシレスモータ3の回転量を用いた。しかしながら、これに限られず、設定操作に基づいて取得可能な情報(例えば、ブラシレスモータ3の駆動期間やブラシレスモータ3の消費電力等)であれば、オートストップ制御における駆動情報として用いることができる。
【0305】
このように、第7通常速度モードにおける設定操作は、第7通常速度モードにおける最初のトリガオンオフ操作である。また、本実施形態の第4変形例によるハンマドリルのコントローラ46は、設定操作に基づいて停止条件情報を取得する処理において、当該設定操作におけるトリガオン操作からトリガオフ操作までの期間におけるブラシレスモータ3の駆動に関する駆動情報(回転量)を停止条件情報として取得し、取得した当該駆動情報を用いて当該停止条件を設定する。
【0306】
このような構成によると、駆動情報(回転量)を用いて停止条件を設定するため、距離センサ等を用いる場合と比較して、設定操作の際に行った穿孔作業を正確に再現できる。
【0307】
次に、本実施形態の第4変形例によるハンマドリルについて説明する。第4変形例によるハンマドリルは、ハンマドリル1における第3通常速度モードに替えて、第8通常速度モードでブラシレスモータ3の駆動制御を実行可能である。なお、第4変形例によるハンマドリルは、第3通常速度モードに替えて第8通常速度モードで駆動制御を実行可能な点のみがハンマドリル1と異なり、基本的構成及び他の制御内容はハンマドリル1と同一である。また、第4変形例によるハンマドリルにおけるハンマドリル1と同一の構成及び同一の制御は、ハンマドリル1におけるそれらが奏する効果と同一の効果を奏する。
【0308】
第8通常速度モードは、定回転数制御でブラシレスモータ3を駆動しながらオートストップ制御を実行するモードであり、第8通常速度モードで実行される定回転数制御の最大目標回転数は回転数N1である。第8通常速度モードは、本発明における「第1モード」の一例である。
【0309】
第8通常速度モードにおいて実行されるオートストップ制御では、第5設定操作条件を満たしたトリガオンオフ操作のみを設定操作として扱い、設定操作が行われたことに応じて停止条件を設定する。
【0310】
第5設定操作条件は、第8通常速度モードにおいて行われたトリガオンオフ操作の操作期間中にブラシレスモータ3に流れる電流が電流閾値I以上となったことで満たされる。すなわち、トリガオンオフ操作の操作期間中にブラシレスモータ3に流れる電流が電流閾値Iに達しなかった場合、当該トリガオンオフ操作は設定操作として扱わない。なお、停止条件が既に設定されている状態においては、第5設定操作条件を満たすトリガオンオフ操作であっても、設定操作として扱わない。
【0311】
また、第8通常速度モードにおけるオートストップ制御においては、設定操作におけるブラシレスモータ3に流れる電流が電流閾値I以上となった時点から当該設定操作におけるトリガオフ操作までの期間(以下、「第3設定操作期間」と呼ぶ)を停止条件情報として取得し、取得した当該第3設定操作期間(すなわち、停止条件情報)を用いて停止条件を設定する。なお、停止条件は、「ブラシレスモータ3に流れる電流が電流閾値I以上になった時点から第3設定操作期間が経過したこと」に設定される。
【0312】
ここで、第8通常速度モードにおけるブラシレスモータ3の駆動制御について、図23図26のフローチャートを参照しながら説明する。なお、第1実施形態の第2変形例によるハンマドリルにおける第6通常速度モードと同一の処理には、同一の符号を付して説明を省略し、異なる処理についてのみ説明する。
【0313】
図23図26に示されているように、本変形例のハンマドリルにおける第8通常速度モードにおいては、第6通常速度モードにおけるS817、S820、S805、S807、S808、S823、S826、及びS812に替えて、S1017、S1020、S1005、S1007、S1008、S1023、S1026、及びS1012をそれぞれ行う。
【0314】
S1017において、本変形例によるハンマドリルのコントローラ46は、ブラシレスモータ3に流れる電流が電流閾値I未満であるか否かを判断する。S1017でブラシレスモータ3に流れる電流が電流閾値I未満であると判断した場合(S1017:Yes)、コントローラ46は、当該電流が電流閾値I以上となるまで、又は、トリガオフ操作が行われるまで、S1017及びS818を繰り返す。なお、ブラシレスモータ3に流れる電流の検出は、電流検出回路42から出力される電流値信号に基づいて行う。
【0315】
S1020において、コントローラ46は、ブラシレスモータ3に流れる電流が電流閾値I以上となった時点からの経過期間を測定するために、期間のカウントを開始する。すなわち、ブラシレスモータ3の駆動後、トリガオフ操作が行われず且つブラシレスモータ3に流れる電流が電流閾値I以上となった場合に、カウントを開始する。なお、ブラシレスモータ3に流れる電流が電流閾値I以上となった時点は、第5設定操作条件を満たした時点である。
【0316】
S1005において、コントローラ46は期間のカウントを停止し、カウントを停止した時点での計時部46Dのカウント値を取得する。S815で検出したトリガオン操作からS804で検出したトリガオフ操作までのトリガオンオフ操作の操作期間中にブラシレスモータ3に流れる電流が電流閾値I以上になっている。このため、当該トリガオンオフ操作は、第5設定操作条件を満たしており、第8通常速度モードにおける設定操作である。また、S1005におけるカウント停止時点での計時部46Dのカウント値によって示される期間は、第8通常速度モードにおける第3設定操作期間である。すなわち、コントローラ46は、S815で検出したトリガオン操作からS804で検出したトリガオフ操作までの設定操作に基づいて、S1005において第3設定操作期間(すなわち、当該設定操作期間を示す情報)を停止条件情報として取得している。
【0317】
S1007において、コントローラ46は、S1005で取得した第3設定操作期間を停止条件情報として第3記憶部46Cに記憶する。その後、コントローラ46は、S1008で停止条件を設定する。停止条件は、第3記憶部46Cに停止条件情報として記憶されている第3設定操作期間を用いて設定される。具体的には、停止条件は、「ブラシレスモータ3に流れる電流が電流閾値I以上になった時点から第3設定操作期間が経過したこと」に設定される。
【0318】
S1023において、コントローラ46は、S1017と同様の処理を行う。S1023において、ブラシレスモータ3に流れる電流が電流閾値I未満ではない(電流閾値I以上である)と判断した場合(S1023:No)、図26に示されているように、S1026において、コントローラ46は、ブラシレスモータ3に流れる電流が電流閾値I以上となった時点からの経過期間を測定するために、期間のカウントを開始する。すなわち、停止条件が設定された後のトリガオン操作によるブラシレスモータ3の駆動においても、ブラシレスモータ3に流れる電流が電流閾値I以上となった場合に、カウントを開始する。
【0319】
S1026でカウントを開始した後、S1012において、コントローラ46は、直近のトリガオン操作後におけるブラシレスモータ3に流れる電流が電流閾値I以上になった時点(すなわち、S1026におけるカウント開始時)から第3設定操作期間が経過したか否かを判断する。言い換えれば、コントローラ46は、S1012において、S1008で設定した停止条件が満たされたか否かを判断する。
【0320】
上述の第4変形例における第8通常速度モードでの駆動制御においても、設定操作の際に行われたハンマドリル1による穿孔作業が当該設定操作後のトリガオン操作によって再現される。このため、第8通常速度モードにおいても、複数の穿孔穴を形成する作業において当該複数の穿孔穴の深さを略均一にすることができる。
【0321】
また、第8通常速度モードでの駆動制御においては、ブラシレスモータ3に流れる電流が電流閾値I以上になる前にトリガオンオフ操作におけるトリガオフ操作が行われた場合、当該トリガオンオフ操作を設定操作として取り扱わず、当該トリガオンオフ操作に基づいた停止条件の設定は行わない。これは、第6通常速度モードにおいて、第4設定操作条件を満たさないトリガオンオフ操作を設定操作として扱わない理由と同様の理由からである。これにより、適切に行われた穿孔作業のみを再現することができ、作業性を向上させることができる。
【0322】
また、第8通常速度モードでの駆動制御においては、設定操作におけるブラシレスモータ3に流れる電流が電流閾値I以上になった時点から当該設定操作におけるトリガオフ操作までの期間(すなわち、第3設定操作期間)を停止条件情報として用いて停止条件が設定され、当該停止条件は「ブラシレスモータ3に流れる電流が電流閾値I以上になった時点から第3設定操作期間が経過したこと」に設定される。これは、第6通常速度モードにおいて、停止条件を「トリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上になった時点から第2設定操作期間が経過したこと」に設定される理由と同様の理由からである。これにより、設定操作の際に行われた穿孔作業のうちの実際の穿孔期間を忠実に再現することができ、作業性をより向上させることができる。なお、電流閾値Iの値は、ユーザのハンマドリルの使用態様の調査や実験等を通じて決定することが望ましい。
【0323】
このように、第1の実施形態及びその変形例における設定操作は、トリガオンオフ操作のうちの所定の条件を満たしたトリガオンオフ操作であるため、当該所定の条件を満たした操作のみに基づいて停止条件が設定される。このため、停止条件を設定することを意図しない作業(先端ビットEの位置合わせ等)に基づいた停止条件が設定されることを防止することができる。これにより、作業性をさらに向上させることができる。
【0324】
次に、図27を参照しながら、本発明の第2の実施形態による穿孔工具の一例であるハンマドリル401について説明する。ハンマドリル401は、停止条件を設定するための停止条件設定部402を有している点でハンマドリル1と異なるが、その他の点においては同一である。また、第2の実施形態によるハンマドリル401におけるハンマドリル1と同一の構成及び同一の制御は、ハンマドリル1におけるそれらが奏する効果と同一の効果を奏する。
【0325】
停止条件設定部402は、モータハウジング21の上面において第1表示設定部211の後方に設けられており、複数の停止条件を設定可能に構成されている。具体的には、ユーザは、停止条件設定部402を操作することでブラシレスモータ3の回転回数に関する閾値である第1回転回数閾値、第2回転回数閾値、及び第3回転回数閾値から一の閾値を選択的に設定可能である。停止条件として、当該3つの閾値から一を設定した状態で、ブラシレスモータ3を駆動させるとブラシレスモータ3の回転数が設定された閾値を超えた場合に、トリガスイッチ23Aがオン状態であったとしてもブラシレスモータ3が停止される。
【0326】
このように、本発明の第2の実施形態におけるハンマドリル401は、駆動力を発生させるブラシレスモータ3と、先端ビットEを装着可能なビット装着部9と、当該駆動力を受けビット装着部9に装着された先端ビットEに打撃力及び回転力を付与可能な動力伝達部8と、ブラシレスモータ3を停止させる停止条件を設定するための設定操作(3つの閾値から一を設定する操作)を受け付ける停止条件設定部402と、手動操作によってオン状態とオフ状態とに切換可能なトリガスイッチ23Aと、ブラシレスモータ3を制御可能なコントローラ46と、を備えている。また、コントローラ46は、トリガスイッチ23Aが受け付けた当該設定操作に基づいて当該停止条件を設定する処理と、ブラシレスモータ3の駆動を開始する処理と、ブラシレスモータ3を停止させる処理と、を実行可能である。さらに、コントローラ46は、トリガオン操作に応じてブラシレスモータ3の駆動を開始する処理を実行し、トリガオフ操作に応じてブラシレスモータ3の駆動を開始する処理を実行し、当該停止条件が設定された状態において当該停止条件がブラシレスモータ3の駆動中に満たされたことに応じてトリガスイッチ23Aがオン状態であったとしても当該ブラシレスモータ3の駆動を開始する処理を実行する。なお、第1の実施形態における第1表示設定部211が、切換スイッチ211A及び表示部211Bに加えて、停止条件設定部402の機能をも備える構成としてもよい。
【0327】
上記構成によれば、設定操作(3つの閾値から一を設定する操作)を行って停止条件を設定した状態において、トリガスイッチ23Aをオフ状態からオン状態に切換えて当該オン状態を維持する操作を行うと、ブラシレスモータ3が駆動した後、停止条件を満たした時点で自動的に停止する。これにより、ハンマドリル401においても、本発明の第1の実施形態におけるハンマドリル1と同一の効果を奏する。
【0328】
以上、本発明の第1の実施形態及びその変形例、並びに本発明の第2の実施形態について説明したが、本発明による穿孔工具は、上述した実施の形態や変形例に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【0329】
例えば、ハンマドリル1において、設定操作として受け付けたトリガオンオフ操作中の平均電流を記憶し、停止条件を設定した後のトリガオン操作によるブラシレスモータ3の駆動中に当該平均電流の±20%の範囲に入らない電流が流れた場合には、トリガスイッチ23Aがオン状態であってもブラシレスモータ3の駆動を停止する制御をさらに行ってもよい。
【0330】
上記構成によると、設定操作の際の作業内容と当該設定操作のトリガオン操作による作業内容とが大きく異なっている場合に、ブラシレスモータ3が自動的に停止される。例えば、設定操作の際にはコンクリート等のような硬い被作業材に対して穿孔作業を行っていたが、当該設定操作の後のトリガオン操作の際に木材等のような比較的柔らかい被作業材に対して穿孔作業を行った場合等に、ブラシレスモータ3の駆動が停止される。このように被作業材の材質が異なる場合には、同等の条件でブラシレスモータ3を駆動した場合にも穿孔深さが大きく変化してしまい、オートストップ制御を行ったとしても均一な穿孔深さを得ることが困難である。このため、オートストップ制御を行うことによる効果が低減してしまう。しかしながら、上記の構成によれば、オートストップ制御を行うことによる効果が低減してしまうような場合には、オートストップ制御を行わない。これにより、ユーザのモード切換等の手間を無くし作業性を向上させることができる。
【0331】
また、例えば、本発明の第1の実施形態の第2変形例における第6通常速度モードにおいては、トリガオンオフ操作の操作期間中にトリガスイッチ23Aの操作量が操作量閾値L3以上となった場合の当該トリガオンオフ操作は設定操作であったが、これに替え、トリガオンオフ操作の操作期間中にトリガスイッチ23Aの操作量が最大操作量となった場合の当該トリガオンオフ操作を設定操作としてもよい。この構成によると、トリガオンオフ操作においてトリガスイッチ23Aの操作量が最大操作量未満で増減した場合、当該トリガオンオフ操作を設定操作として扱わないこととなる。このため、被作業材に対する先端ビットの位置合わせなどの作業を設定操作から除外でき、より正確に穿孔深さを均一化できる。
【0332】
また、本発明の第1の実施形態においては、ブラシレスモータ3をハンマドリル1の駆動源として採用していた。しかしながら、これに限られず、ハンマドリル1の駆動源としては、ユニバーサルモータ、エアモータ、内燃エンジン等の種々を駆動源を用いることができる。
【0333】
また、上記においては、複数の動力伝達モードを有する穿孔工具に本発明を適用した例として第1の実施形態、その変形例、及び第2の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、複数の動力伝達モードを有する穿孔工具だけでなく、種々の穿孔工具に広く適用することができる。
【0334】
また、上述した各制御又は処理は、本明細書及び添付の図面において説明した組合せに限定されるものではなく、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0335】
1,401…ハンマドリル、3…ブラシレスモータ、8…動力伝達部、9…ビット装着部
23A…トリガスイッチ、46…コントローラ
図1
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