(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】虹彩認証装置、虹彩認証方法、虹彩認証プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20221213BHJP
A61B 5/1171 20160101ALI20221213BHJP
【FI】
G06T7/00 510D
G06T7/00 660A
G06T7/00 350B
G06T7/00 300F
A61B5/1171 300
(21)【出願番号】P 2020551622
(86)(22)【出願日】2018-10-16
(86)【国際出願番号】 JP2018038396
(87)【国際公開番号】W WO2020079741
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】柴田 剛志
(72)【発明者】
【氏名】谷内田 尚司
(72)【発明者】
【氏名】舟山 知里
(72)【発明者】
【氏名】塚田 正人
(72)【発明者】
【氏名】荻野 有加
(72)【発明者】
【氏名】蝶野 慶一
(72)【発明者】
【氏名】北川 恵美
(72)【発明者】
【氏名】吉田 康彦
(72)【発明者】
【氏名】森 祐輔
【審査官】▲広▼島 明芳
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-227933(JP,A)
【文献】特開2006-212185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 - 7/90
G06V 40/18 - 40/19
A61B 5/1171
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定方向に移動する認証の対象を撮影した第1画像を入力する第1画像入力手段と、
前記対象の右眼または左眼を撮影した第2画像を少なくとも片眼分入力する第2画像入力手段と、
前記第1画像を含む情報を基に、前記第2画像が前記対象の左眼のものか右眼のものかを判定し、判定結果を左右情報として前記第2画像に紐付けて出力する判定手段と、
前記第2画像を含む領域と、前記第1画像中の所定の領域との重なりを検出する検出手段と、
一人以上の認証される対象にかかる右眼および左眼の虹彩の特徴情報を格納する記憶手段と、
前記左右情報に紐付けされた前記第2画像から算出される虹彩の特徴情報と当該左右情報に対応する前記記憶手段に格納される1つ以上の特徴情報とを比較して照合スコアを算出し、算出された当該照合スコアに前記検出の結果を重み付けした第1重み照合スコアを算出するスコア算出手段と、
算出された前記第1重み照合スコアを基に、前記第2画像に撮影された対象を認証し、認証結果を出力する認証手段
とを備える虹彩認証装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記認証される対象にかかる右眼および左眼の信頼度スコアを格納し、
前記スコア算出手段は、前記照合スコアを基に前記対象を特定し、前記記憶手段から前記対象に対応する前記信頼度スコアを取得し、前記照合スコアに前記信頼度スコアを重み付けした第2重み照合スコアを算出する
請求項1に記載の虹彩認証装置。
【請求項3】
前記スコア算出手段は、前記信頼度スコアを示す値が高い方の眼を優先して、前記第2重み照合スコアを算出する
請求項2に記載の虹彩認証装置。
【請求項4】
一人以上の認証される対象の身体画像から算出された特徴情報を格納する第2記憶手段と、
前記第1画像入力手段から取得した前記第1画像に含まれる前記対象の身体画像から特徴情報を算出し、算出された特徴情報と前記第2記憶手段に格納される特徴情報とを比較して、比較結果を第2照合スコアとして出力する第2スコア算出手段と、
前記スコア算出手段が出力する前記第1重み照合スコアまたは前記第2重み照合スコアに、前記第2スコア算出手段が出力する前記第2照合スコアを反映させた統合スコアを算出するスコア統合手段
とを更に備え、
前記認証手段は、前記第1重み照合スコア、前記第2重み照合スコアまたは前記統合スコアを基に、前記第2画像に撮影された対象を認証し、認証結果を出力する請求項2又は請求項3に記載の虹彩認証装置。
【請求項5】
前記第1画像は前記対象の全身を撮影した静画像または動画像であり、前記第2スコア算出手段は、前記静画像を用いた人型認証または前記動画像を用いた歩容認証を実行して、前記身体画像の特徴情報を算出する
請求項4に記載の虹彩認証装置。
【請求項6】
前記第1画像は前記対象の顔を撮影した画像であり、前記第2スコア算出手段は、当該第1画像を用いた顔認証を実行して、前記身体画像の特徴情報を算出する請求項4に記載の虹彩認証装置。
【請求項7】
前記判定手段は、前記第1画像における前記対象の顔の領域に所定のテンプレートを適
用して、前記第2画像が前記対象の左眼または右眼のいずれに対応するかを判定する
請求項1に記載の虹彩認証装置。
【請求項8】
前記判定手段は、前記第1画像における前記対象の右眼および左眼の領域の画素と、前記第2画像における前記対象の右眼または左眼の領域の画素とを比較して、前記第2画像が前記対象の左眼または右眼のいずれに対応するかを判定する
請求項1に記載の虹彩認証装置。
【請求項9】
前記所定の領域は、複数の領域に分割された前記第1画像の中の1つの領域であり、
前記認証結果のデータを格納する認証結果記憶手段と、
前記認証結果記憶手段から抽出された前記認証結果のデータを基に、前記第1画像内のどの前記領域に左眼および右眼を示す画素が含まれているかを学習し、学習された左眼の領域および右眼の領域の各々を前記所定の領域とする学習手段
とを更に備える請求項1に記載の虹彩認証装置。
【請求項10】
前記学習手段は、前記認証結果記憶手段から抽出された前記認証結果のデータを基に、前記第1画像および前記第2画像に含まれる光の特徴を学習し、特定の期間においては、前記対象の左眼または右眼のいずれを前記左右情報として前記第2画像に紐付けすべきか決定する
請求項9に記載の虹彩認証装置。
【請求項11】
前記光の特徴とは、前記第1画像および前記第2画像における、前記対象を示す画素の輝度値の変化を含む
請求項10に記載の虹彩認証装置。
【請求項12】
前記輝度値の変化は、特定位置の季節、時刻の遷移に沿った太陽光の変化、並びに、室内における光源の種類および当該光源の配置の変化を含む
請求項11に記載の虹彩認証装置。
【請求項13】
虹彩認証装置が、
特定方向に移動する認証の対象を撮影した第1画像を入力し、
前記対象の右眼または左眼を撮影した第2画像を少なくとも片眼分入力し、
前記第1画像を含む情報を基に、前記第2画像が前記対象の左眼のものか右眼のものかを判定し、判定結果を左右情報として前記第2画像に紐付けて出力し、
前記第2画像を含む領域と、前記第1画像中の所定の領域との重なりを検出し、
一人以上の認証される対象にかかる右眼および左眼の虹彩の特徴情報を格納する記憶手段から取得する、前記左右情報に対応する1つ以上の特徴情報と、前記左右情報に紐付けされた前記第2画像から算出される虹彩の特徴情報とを、比較して照合スコアを算出し、算出された当該照合スコアに前記検出の結果を重み付けした第1重み照合スコアを算出し、
算出された前記第1重み照合スコアを基に、前記第2画像に撮影された対象を認証し、認証結果を出力する
ことを
特徴とする虹彩認証方法。
【請求項14】
特定方向に移動する認証の対象を撮影した第1画像を入力し、
前記対象の右眼または左眼を撮影した第2画像を少なくとも片眼分入力し、
前記第1画像を含む情報を基に、前記第2画像が前記対象の左眼のものか右眼のものかを判定し、判定結果を左右情報として前記第2画像に紐付けて出力し、
前記第2画像を含む領域と、前記第1画像中の所定の領域との重なりを検出し、
一人以上の認証される対象にかかる右眼および左眼の虹彩の特徴情報を格納する記憶手段から取得する、前記左右情報に対応する1つ以上の特徴情報と、前記左右情報に紐付けされた前記第2画像から算出される虹彩の特徴情報とを、比較して照合スコアを算出し、算出された当該照合スコアに前記検出の結果を重み付けした第1重み照合スコアを算出し、
算出された前記第1重み照合スコアを基に、前記第2画像に撮影された対象を認証し、認証結果を出力する
ことをコンピュータに実現させる虹彩認証プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載の虹彩認証プログラムが記録された記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象を認証するための虹彩認証装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
生体の個人差に基づいた個人認証(Biometrics-based authentication)は、ユーザが作成するパスワード等に比べ漏えいや盗難の危険性が低い。この為、個人を特定し権利を確認する目的や、セキュリティ保護の目的で生体の個人差に基づいた個人認証を導入する例が増えている。生体の個人差に基づいた個人認証技術には、生体情報として、指紋(Fingerprint)、静脈(Vein)、顔(Face)、虹彩(Iris)、音声(Voice)などを用いるものが知られている。
【0003】
この中でも、虹彩認証の認証精度は高い。この理由は、虹彩の模様は指紋以上に複雑なパターンをしていて、人毎に確実に異なるためである。また、虹彩の模様は一度完成すると、その後は変化したり劣化したりすることがない。また、指紋と異なり非接触で認識が可能で、偽造が困難である。更に、同一人物であっても、右眼と左眼とでは虹彩の模様は異なる。
【0004】
しかしながら、虹彩認証を行う際には、上述のように右眼と左眼とでは虹彩の模様は異なるため、左右眼の識別が必要となる。この識別のために、例えば、虹彩の近くの目頭の形状を用いて左右眼を識別する技術がある(特許文献1参照)。この他、特許文献2は、虹彩認証装置に関連する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-227933号公報
【文献】国際公開第2009/016846号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、顔の一部である目頭を基に、常に左右眼が識別できるわけではない。例えば、認証対象であるユーザの顔の撮影時に、顔に濃い影ができる、顔に強い光が照射される、顔の表情で目頭の形状が変わる、髪や眼鏡で目頭が隠れる等の場合には、目頭を精度よく撮影することができないことがある。また、遠方から目頭を詳細に撮影するには、高倍率の望遠カメラや精度の高い画像解析装置が必要となり、コストが高くなる。
【0007】
本開示は上記の問題に鑑みてなされたものであり、左右眼を確実に識別して精度の高い虹彩認証を行う虹彩認証装置等を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を鑑みて、本開示の第1の観点である虹彩認証装置は、
特定方向に移動する認証の対象を撮影した第1画像を入力する第1画像入力手段と、
前記対象の右眼または左眼を撮影した第2画像を少なくとも片眼分入力する第2画像入力手段と、
前記第1画像を含む情報を基に、前記第2画像が前記対象の左眼のものか右眼のものかを判定し、判定結果を左右情報として前記第2画像に紐付けて出力する判定手段と、
前記第2画像を含む領域と、前記第1画像中の所定の領域との重なりを検出する検出手段と、
一人以上の認証される対象にかかる右眼および左眼の虹彩の特徴情報を格納する記憶手段と、
前記左右情報に紐付けされた前記第2画像から算出される虹彩の特徴情報と当該左右情報に対応する前記記憶手段に格納される1つ以上の特徴情報とを比較して照合スコアを算出し、算出された当該照合スコアに前記検出の結果を重み付けした第1重み照合スコアを算出するスコア算出手段と、
算出された前記第1重み照合スコアを基に、前記第2画像に撮影された対象を認証し、認証結果を出力する認証手段
とを備える。
【0009】
本開示の第2の観点である虹彩認証方法は、
特定方向に移動する認証の対象を撮影した第1画像を入力し、
前記対象の右眼または左眼を撮影した第2画像を少なくとも片眼分入力し、
前記第1画像を含む情報を基に、前記第2画像が前記対象の左眼のものか右眼のものかを判定し、判定結果を左右情報として前記第2画像に紐付けて出力し、
前記第2画像を含む領域と、前記第1画像中の所定の領域との重なりを検出し、
一人以上の認証される対象にかかる右眼および左眼の虹彩の特徴情報を格納する記憶手段から取得する、前記左右情報に対応する1つ以上の特徴情報と、前記左右情報に紐付けされた前記第2画像から算出される虹彩の特徴情報とを、比較して照合スコアを算出し、算出された当該照合スコアに前記検出の結果を重み付けした第1重み照合スコアを算出し、
算出された前記第1重み照合スコアを基に、前記第2画像に撮影された対象を認証し、認証結果を出力する。
【0010】
本開示の第3の観点である虹彩認証プログラムは、
特定方向に移動する認証の対象を撮影した第1画像を入力し、
前記対象の右眼または左眼を撮影した第2画像を少なくとも片眼分入力し、
前記第1画像を含む情報を基に、前記第2画像が前記対象の左眼のものか右眼のものかを判定し、判定結果を左右情報として前記第2画像に紐付けて出力し、
前記第2画像を含む領域と、前記第1画像中の所定の領域との重なりを検出し、
一人以上の認証される対象にかかる右眼および左眼の虹彩の特徴情報を格納する記憶手段から取得する、前記左右情報に対応する1つ以上の特徴情報と、前記左右情報に紐付けされた前記第2画像から算出される虹彩の特徴情報とを、比較して照合スコアを算出し、算出された当該照合スコアに前記検出の結果を重み付けした第1重み照合スコアを算出し、
算出された前記第1重み照合スコアを基に、前記第2画像に撮影された対象を認証し、認証結果を出力する
ことをコンピュータに実現させる。
【0011】
尚、虹彩認証プログラムは記録媒体に格納されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、左右眼を確実に識別して精度の高い虹彩認証を行う虹彩認証装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る虹彩認証装置構成の例図である。
【
図2】特定方向へ移動する対象ユーザの画像の例図である。
【
図3】対象ユーザの画像から取得される第1画像および第2画像の例図である。
【
図4】左右情報が紐付けられた第2画像の例図である。
【
図5】対象ユーザに適用する顔テンプレートの例図である。
【
図6】複数の矩形領域に分割された第1画像領域を示す例図である。
【
図7】顔テンプレートと第1画像領域の重なり具合を示す例図である。
【
図8】顔テンプレートと第1画像領域の重なり具合を示す例図である。
【
図9】顔テンプレートと第1画像領域の重なり具合を示す例図である。
【
図10】本開示の第1実施形態に係る虹彩認証装置の動作を示すフローチャートである。
【
図11】本開示の第2実施形態に係る虹彩認証装置の構成例を示す図である。
【
図12】記憶部に格納されるデータの構成例を示す図である。
【
図13】本開示の第2実施形態に係る虹彩認証装置の動作を示すフローチャートである。
【
図14】本開示の第3実施形態に係る虹彩認証装置の構成例を示す図である。
【
図15】本開示の第3実施形態に係る虹彩認証装置の動作を示すフローチャートである。
【
図16】本開示の第4実施形態に係る虹彩認証装置の構成例を示す図である。
【
図17】認証結果記憶部に格納されるデータ構成例を示す図である。
【
図18】第1画像における光の変化の例を示す図である。
【
図19】本開示の第4実施形態に係る虹彩認証装置の動作を示すフローチャートである。
【
図20】第1乃至第4実施形態にて使用可能な情報処理装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は本発明の実施形態における構成を概略的に表している。更に以下に記載される本発明の実施形態は一例であり、その本質を同一とする範囲において適宜変更可能である。
【0015】
<第1実施形態>
生体認証のための情報としては、超音波グラフ、生体の画像、又は、音声データなど、複数の情報がある。以下の説明では、一例として、主に画像(具体的には、虹彩画像)を用いて説明するが、これは、各実施形態の限定を意図するものではない。
【0016】
各実施形態において、認証の対象は、主に生体であり、人(ユーザ)、動物等を含む。認証の対象として、生体以外のもの、例えば、マネキンを含めてもよい。虹彩認証を行う際には、当該対象の左右眼(なりすましを目的とした義眼も含む)を認証する。以下の各実施形態の説明において、認証の対象は、「対象ユーザ」とも称呼される。
【0017】
(虹彩認証装置)
虹彩認証装置100は、
図1に示すように、第1画像入力部11、第2画像入力部12、判定部13、検出部14、記憶部15、スコア算出部16および認証部17を備える。
【0018】
第1画像入力部11および第2画像入力部12は、カメラ10に接続されている。カメラ10は認証の対象であるユーザを撮影するためのカメラである。カメラ10は1つであっても複数存在しても良い。カメラ10は、特定方向に移動するユーザを撮影する。特定方向への移動とは、例えばウォークスルー認証(認証の対象ユーザが、立ち止まることなく、移動しながら生体認証を行うことを指す)の場合に、ユーザが認証実行エリアの入口ゲートから出口ゲートまで歩行することを意味する。特定方向に移動するユーザは、例えば
図2に示すような画像としてカメラ10に撮影される。尚、
図2では全身の画像が撮影されているが、これは顔の画像などでもよい。カメラ10は
図2に示すような画像を撮影できる位置(壁、ゲート等)に固定されている。カメラ10が撮影した画像のうち、ユーザの全身を含む領域の画像データが第1画像として第1画像入力部11に入力され、ユーザの左右眼周辺を含む領域の画像データが第2画像として第2画像入力部12に入力される。この画像領域の選択の処理は、カメラ10から画像を受け取った第1画像入力部11および第2画像入力部12で行われても良い。尚、同処理をカメラ10が行ってから、選択された画像領域の画像を第1画像入力部11および第2画像入力部12が入力しても良い。
【0019】
第1画像入力部11は、カメラ10から、特定方向に移動するユーザの全身を含む領域を特定位置にて撮影した第1画像(
図3参照)を入力する。尚、第1画像は、ユーザの顔画像であってもよい。
【0020】
第2画像入力部12は、カメラ10から、特定方向に移動するユーザの右眼および左眼の少なくとも片方を撮影した第2画像(
図3参照)を入力する。第2画像入力部12は、両眼分の画像を入力することが好ましい。しかし、カメラ10が片眼の画像を取得できない(例えば、前髪がかかって撮影できない、眼鏡の反射で撮影できない等)場合、撮影可能なもう片方の眼の画像を撮影するようにする。
図3では、一例として、カメラ10は、撮影対象のユーザの全身画像(第1画像)内の左右眼の領域を第2画像としているが、左右眼の領域は望遠レンズで拡大されて撮影されても良い。
【0021】
判定部13は、第1画像を含む情報を基に、第2画像がユーザの左眼のものか右眼のものかを判定し、判定結果を示す左右情報を第2画像に紐付けて出力する(
図4参照)。後述するように、判定部13は、
図4に示すような虹彩の部分の画像を出力する。本実施形態では、左右眼の判定の例として、以下の2つの手法のいずれかを用いる。第1の手法として、判定部13は、第1画像におけるユーザの顔の領域に、顔の輪郭および両眼等の位置関係を検出するための所定のテンプレートを適用してマッチング処理を行って対象ユーザの左眼および右眼を含む領域を特定し、第2画像がユーザの左眼または右眼のいずれのものであるかを判定する。両眼の位置関係を検出するには、ユーザの顔はカメラ10に対して正面を向いていることが必要となるが、所定の進行方向に向かって移動中のユーザを撮影可能な位置にカメラ10を設定しておくことにより、必然的にカメラ10に対して正面を向いているユーザを判定の対象とすることができる。第2の手法として、判定部13は、第1画像におけるユーザの右眼および左眼の領域の画素と、第2画像におけるユーザの右眼または左眼の領域の画素とを比較して、第2画像がユーザの左眼または右眼のいずれに対応するかを判定する。この場合、判定部13は、
図3に示すように、全身の画像である第1画像内のユーザの右眼および左眼のそれぞれの領域の画素を抽出し、抽出された画素を第2画像に撮影された眼の領域の画素と比較して、比較された画素に類似度に応じて第2画像に撮影された眼が左右いずれのものであるか判定する。画素の比較には、チェインコードを用いた輪郭追跡アルゴリズム、主成分分析法、三次元位相限定相関法等を用いても良い。尚、左右眼の判定の手法は上記のものに限定されない。
【0022】
尚、第1画像と第2画像は、2つのカメラ10を用いて同じタイミングで撮影されても良い。このとき、第2画像を撮影するカメラを高倍率撮影可能な望遠カメラとしてもよい。更に、第1画像と第2画像は、同じカメラ10を用いて異なるタイミングで撮影されても良い。このときカメラ10は被写体の第1画像および第2画像を撮影するための望遠機能の倍率の切り替えを素早く実行できるものが好ましい。
【0023】
検出部14は、第2画像を含む領域と、第1画像中の所定の領域との重なりを検出する。例えば、ある場所に固定されるカメラ10がユーザの画像を撮影する。ここで、判定部13が、ユーザの顔の輪郭等から左右眼の位置を定めるための顔のテンプレートを第1画像に適用し、当該第1画像に含まれる対象ユーザの左眼および右眼を含む領域(第2画像を含む領域)を特定する。
図5に示される例では、第1画像中の顔テンプレートのうち、特定された対象ユーザの右眼を含む領域はa、対象ユーザの左眼を含む領域はbである。第1画像は、設計者等により予め
図6に示すような矩形領域に分けられているとする。このとき、所定位置のカメラ10が移動中の対象ユーザを撮影すれば、右眼は矩形領域B2に、左眼は矩形領域B3に含まれるであろうと推測し、予め当該領域を設定しておく(これらの矩形領域を第1画像中の所定の領域とする)。これは、例えば、機械学習エンジンに、ある位置における対象ユーザの複数の画像を教師データとし、予め学習させることで実現できる。本例では、
図6に示すように、学習の結果、第1画像に映る対象ユーザの右眼の領域は矩形領域B2に、左眼の領域は矩形領域B3に含まれていると推測されたとする。この場合、検出部14は、
図7に示すように、顔テンプレートと分割された第1画像とを重ね、顔テンプレート中の右眼の領域aと第1画像中にて右眼があるべき矩形領域B2とが重なっているか、同様に顔テンプレート中の左眼の領域bと第1画像中にて左眼があるべき矩形領域B3とが重なっているかを検出する。検出部14は、検出結果として、左右眼が適切な位置にて重なっていることをスコア算出部16に出力する。尚、重なりが検出されない場合、例えば、顔テンプレートの左右眼が第1画像中の左右眼があるべき矩形領域(B2、B3)と一部しか重なっていない場合(
図8参照)や、対象ユーザの映像が小さく、顔テンプレートと矩形領域(B2、B3)とが全く重なっていない場合(
図9参照)には、検出部14は、検出結果として、左右眼が適切な位置にて重なっていないことをスコア算出部16に出力する。
【0024】
記憶部15は、複数のユーザの右眼の虹彩の特徴情報、および、左眼の虹彩の特徴情報を格納する。尚、虹彩の特徴情報とは、例えば、ドーグマンアルゴリズムを基に生成される虹彩コード(
図12の特徴情報参照)である。
【0025】
スコア算出部16は、左右情報に紐付けされた第2画像(
図4参照)から虹彩の特徴情報を算出し、算出された当該照合スコアに検出の結果を重み付けした第1重み照合スコアを算出する。虹彩の特徴情報として、一例として虹彩コードを使用する場合について説明する。スコア算出部16は、判定部13から受け取る虹彩の画像から虹彩の境界線を特定して虹彩部分を抽出する。更にスコア算出部16は、抽出された虹彩部分の情報に、2次元ガボールフィルタを適用して虹彩模様を符号化し、虹彩コードを生成する。虹彩コードは、例えば2048ビットのデジタル符号化コードである。
【0026】
ここで、左右情報に紐付けされた第2画像とは、判定部13に右眼と判断された「右眼」とタグ付けされた虹彩画像、または、判定部13に左眼と判断された「左眼」とタグ付けされた虹彩画像のことを指す(
図4参照)。尚、左右眼のいずれかがタグ付けされた虹彩コードであってもよい。
【0027】
スコア算出部16は、算出された特徴情報と記憶部15に格納される左右情報に関連する複数のユーザの特徴情報とを比較する。具体的に、スコア算出部16は、右眼とタグ付けされた虹彩画像の場合は、記憶部15に格納される右眼のみの特徴情報と比較し、左眼とタグ付けされた虹彩画像の場合は、記憶部15に格納される左眼のみの特徴情報と比較する。スコア算出部16は、比較の結果、照合スコアを得る。照合スコアとは、対象ユーザの虹彩コードと記憶部15に登録済みの虹彩コードとにおいて異なるビットの数を算出(ハミング距離の算出)した結果の値である。スコア算出部16は、照合スコアに検出部14による検出結果を重み付けし、第1重み照合スコアを算出する。例えば、検出部14がテンプレートで特定された左眼を含む領域および右眼を含む領域と、分割された第1画像内の左眼および右眼の領域が重なっている(左右眼が適切な位置にて重なっている)と検出した場合、照合スコアの値を高くするために、例えば照合スコアに所定値を乗算、加算したり、所定の数式に代入して算出結果を得る。この他、スコア算出部16は、左右眼が適切な位置にて重なっていないとの検出結果を受けた場合、照合スコアを減じるように重み付けしてもよい。
【0028】
認証部17は、スコア算出部16から第1重み照合スコアを受け取り、例えば、この第1重み照合スコアが所定の閾値と等しい又はそれ以上であれば、第1画像および第2画像に撮影されたユーザは登録済みのユーザ(正当ユーザ)であると認証し、第1重み照合スコアが所定の閾値以下であれば、第1画像および第2画像に撮影されたユーザは登録済みのユーザではないと認証する。認証部17は、認証結果を外部の表示部20に出力する。表示部20は液晶ディスプレイなどであり、対象ユーザや認証実行エリアの管理者が認証結果を閲覧可能に表示できるものとする。この他、スピーカやブザーによる音声通知、ランプ点灯等により、認証結果を周知させても良い。
【0029】
(虹彩認証装置の動作)
第1実施形態に係る虹彩認証装置100の動作について
図10のフローチャートを参照して説明する。尚、記憶部15には、認証対象となりえる複数のユーザにかかる右眼および左眼の虹彩の特徴情報が予め格納されているものとする。
【0030】
ステップS101において、第1画像入力部11は、特定方向に移動する認証の対象ユーザを撮影した第1画像を入力する。第2画像入力部12は、対象ユーザの右眼または左眼を撮影した第2画像を少なくとも片眼分入力する。
【0031】
ステップS102において、判定部13は、第1画像を含む情報を基に、第2画像が前記対象ユーザの左眼のものか右眼のものかを判定し、判定結果を示す左右情報を第2画像に紐付けて出力する。
【0032】
ステップS103において、検出部14は、第2画像を含む領域と、第1画像中の所定の領域との重なりを検出する。
【0033】
ステップS104において、スコア算出部16は、左右情報に紐付けされた第2画像から算出される虹彩の特徴情報と、当該左右情報に対応する記憶部15に格納される1つ以上の特徴情報とを比較して得られる照合スコアを算出する。スコア算出部16は、照合スコアに検出の結果を重み付けして、第1重み照合スコアを算出する。
【0034】
ステップS105において、認証部17は、算出された第1重み照合スコアを基に、第1画像および第2画像に撮影されたユーザを認証し、認証結果を出力する。
【0035】
以上で、虹彩認証装置100の動作を終了する。
【0036】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態によると、左右眼を確実に識別して虹彩認証を行うことができる。この理由は、判定部13が、第1画像を含む情報を基に、第2画像がユーザの左眼のものか右眼のものかを判定し、判定結果を左右情報として第2画像に紐付けて出力するからである。更に、検出部14が、顔テンプレートの領域における左右眼を含む領域と、第1画像内の左右眼の領域との重なりを検出し、当該検出結果を基に、照合スコアを重み付けするからである。
【0037】
<第2実施形態>
第1実施形態においては、左右眼の認証の重みは同じだが、同一人物でも左右の虹彩の特徴は異なるため、識別し易い眼と識別しづらい眼がある。識別し易い眼は認証処理に要する時間も短く識別精度も高いため、左右でも識別し易い眼を用いて認証処理を行う方が、短時間でより高精度の認証を行うことができる。第2の実施形態においては、識別し易い眼に重み付けして認証処理を行う虹彩認証装置等について説明する。
【0038】
(虹彩認証装置)
虹彩認証装置200は、
図11に示すように、第1画像入力部11、第2画像入力部12、判定部13、検出部14、記憶部15a、スコア算出部16aおよび認証部17を備える。尚、第1画像入力部11および第2画像入力部12は外部のカメラ10に接続されている。認証部17は外部の表示部20に接続されている。
【0039】
記憶部15aは、
図12に示すように、認証の対象となるユーザに紐付けられた識別可能なID(IDentifier)毎に、各ユーザの右眼の特徴情報および信頼度スコアと、左眼の特徴情報および信頼度スコアを格納する。信頼度とは、対象ユーザと他のユーザとの識別しやすさを表わす値であり、信頼度スコアとはこの値を0-100%で表わしたものである。信頼度スコアの算出方法の一例について述べる。第2記憶部22に格納される登録済みユーザのIDの各々をi(i={1,2,3,…,N};Nは登録済みユーザの総数)、各登録済みユーザの右眼の虹彩画像の特徴情報(特徴ベクトル)をX
right(i)、現在の対象ユーザ(照合したい人)の右眼の虹彩画像の特徴情報(特徴ベクトル)をY
rightとし、X
right (i)とY
rightとの相関(例えば、正規化相互相関)を全ての登録済みユーザiについて算出する。算出後、最も大きかった相関値(すなわち、本人同士(対象ユーザが登録済みユーザとしてヒットした場合)の相関値)と二番目の相関値(本人と最も相関値が高い他人である登録済みユーザとの相関値)との比率(=一番高い相関値/二番目の相関値)を算出し、算出された値を信頼度S
rightとする。同様に、左眼についても同様の処理を行い、算出された値を信頼度をS
leftとする。これらの信頼度S
right、S
leftを正規化し、0%~100%の値に変換することで、信頼度スコア(例えば、左眼20%、右眼80%)を得る。信頼度の正規化には様々な手法があるが、例えば、信頼度スコア(%)=100×(S-1)/(M-1)(このとき、1≦S≦M;SはS
right、S
leftのいずれかを、Mは信頼度の最大値を表わす。最大値は予め設計者等により設定されるものとし、M<Sの場合の信頼度は100とする。)と算出する。尚、信頼度スコアの算出方法は上記に限定されない。信頼度スコアの値が高いほど、対象ユーザの特徴情報は他のユーザの特徴情報と比して識別し易い(レアな虹彩コードである)。例えば、ユーザID「1」の場合、右眼の信頼度スコア80%、左眼の信頼度スコア20%であるため、このユーザの右眼の虹彩は特徴的であり、似た特徴情報を有するユーザが比較的存在しないことを示す。逆にこのユーザの左眼の虹彩はあまり特徴が無く、似た特徴情報を有するユーザが多く存在することを示す。このような場合、認証処理には右眼を用いた方が効率的であるため、両眼の第2画像が撮影できた場合であっても、右眼の第2画像を用いて認証処理を行うことが望ましいといえる。逆に、何らかの事情により左眼の第2画像のみしか撮影できなかった場合、認証の照合スコアが低いとしても、それは左眼の信頼度スコアが低いためでないかとの推測が可能であり、この場合虹彩認証装置200は、当該ユーザに虹彩画像の取り直しを依頼することもできる。具体的には、虹彩認証装置200は、表示部20等を介して、当該ユーザに再度認証のための入口ゲートから出口ゲートまでの移動を依頼する。信頼度スコアが高い方の眼が髪の毛等で隠れている場合、認証部17は、表示部20に、当該信頼度スコアが高い方の眼が明確にカメラ10で撮影できるようにユーザに協力を依頼する文面等を提示しても良い。
【0040】
スコア算出部16aは、
図1のスコア算出部16の動作に付け加えて、照合スコアに信頼度スコアを加味した第2重み照合スコアを用いて認証をおこなう。スコア算出部16aは、左右情報に紐付けされた第2画像から算出される虹彩の特徴情報と当該左右情報に対応する記憶部15aに格納される1つ以上の特徴情報とを比較して得られる照合スコアを算出する。更にスコア算出部16aは、照合スコアを基に対象ユーザを特定し、記憶部15aから対象ユーザに対応する信頼度スコアを取得し、算出した照合スコアに信頼度スコアを反映させた第2重み参照スコアを算出する。例えば、
図12中のIDが「1」のユーザだとすると、右眼の信頼度スコア80%、左眼の信頼度スコア20%である。このため、スコア算出部16aは、両眼の第2画像の照合スコアが算出されている場合、右眼の照合スコアを右眼の信頼度スコアで、左眼の照合スコアを左眼の信頼度スコアで重み付けする。このときスコア算出部16aは、より信頼度が高い眼の優先度を高くし、右眼の照合スコアのみを右眼の信頼度スコアで重み付けしてもよい。これにより、更に高い信頼度のスコアを得ることができる。重み付けとは、例えば双方のスコアを乗算、加算したり、所定の数式に代入して算出結果を得ることを指す。スコア算出部16aは、重み付けされた算出結果を第2重み照合スコアとして、認証部17に引き渡す。
【0041】
他の部の動作は第1実施形態と同様である。
【0042】
(虹彩認証装置の動作)
第2実施形態に係る虹彩認証装置200の動作について
図13のフローチャートを参照して説明する。尚、記憶部15aには、認証対象となりえる複数のユーザにかかる右眼および左眼の虹彩の特徴情報および信頼度スコア(
図12参照)が予め格納されているものとする。
【0043】
ステップS201~S204は
図10のステップS101~S104と同様である。
【0044】
ステップS205において、スコア算出部16aは、ステップS204にて算出された照合スコアを基に記憶部15aから対象ユーザを特定し、記憶部15aから対象ユーザに対応する信頼度スコアを取得し、算出した照合スコアを信頼度スコアで重み付けする。このときスコア算出部16aは、より信頼度が高い眼を優先して、当該優先度の高い眼の照合スコアを、当該眼の信頼度スコアで重み付けしてもよい。スコア算出部16aは、信頼度スコアで重み付けされた第2照合スコアを認証部17に引き渡す。
【0045】
ステップS206は
図10のステップS105と同様である。
【0046】
以上で、虹彩認証装置200の動作を終了する。
【0047】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態によると、第1実施形態の効果に加え、より高い精度の認証処理を行うことができる。この理由は、スコア算出部16aが、算出した照合スコアを基に記憶部15aから対象ユーザを特定し、記憶部15aから対象ユーザに対応する信頼度スコアを取得し、算出した照合スコアを信頼度スコアで重み付けするからである。更に、スコア算出部16aは、より信頼度が高い眼を優先して、当該優先度の高い眼の照合スコアを、当該眼の信頼度スコアで重み付けするからである。
【0048】
<第3実施形態>
第1~2実施形態においては、第2画像を用いた虹彩認証のみを行ったが、第1画像を用いて他の生体認証(人型認証、歩容認証、顔認証等)を行い、2つの認証の結果を組み合わせるマルチモーダル認証を行っても良い。これにより認証の精度を更に上げることができる。第3の実施形態においては、他の生体認証を組み合わせた虹彩認証装置等について説明する。尚、人型認証とは、認証の対象者の身体の特徴(例えば、身長、体の幅、手足の長さ、顔の輪郭など、またはこれらの組み合わせ)を基に行う認証を指す。
【0049】
(虹彩認証装置)
虹彩認証装置300は、
図14に示すように、第1画像入力部11、第2画像入力部12、判定部13、検出部14、記憶部15a、スコア算出部16a、認証部17a、第2スコア算出部21、第2記憶部22およびスコア統合部23を備える。尚、第1画像入力部11および第2画像入力部12は外部のカメラ10に接続されている。認証部17aは外部の表示部20に接続されている。
【0050】
第2記憶部22は、第1画像を用いた他の生体認証(人型認証、歩容認証、顔認証等)の認証に用いる情報(人型、歩容、顔等の特徴情報)を格納する。
【0051】
第2スコア算出部21は、他の生体認証のために第1画像から認証の対象となるユーザの特徴情報を第2照合スコアとして算出する。
【0052】
第2スコア算出部21がどの生体認証を用いるかは、初期設定されていても良いし、ユーザが設定可能であってもよい。例えば、第1画像がユーザの全身を撮影した静画像または動画像である場合、第2スコア算出部21は、静画像を用いた人型認証または動画像を用いた歩容認証を行い、第2照合スコアを算出する。第1画像がユーザの顔を撮影した画像である場合、第2スコア算出部21は、第1画像を用いた顔認証を行い、第2照合スコアを算出する。
【0053】
スコア統合部23は、スコア算出部16aが出力する第2重み照合スコアに、第2スコア算出部21が出力する第2照合スコアを統合し、統合スコアとして認証部17aに出力する。尚、統合の処理においては、重み照合スコアおよび第2照合スコアを乗算、加算したり、所定の数式に代入したりして統合スコアを算出する。尚、
図1に記載のスコア算出部16が出力する第1重み照合スコアに第2照合スコアを統合しても良い。
【0054】
認証部17aは、統合スコアを用いて、認証処理を行う。
【0055】
他の部の動作は第1~2実施形態と同様である。
【0056】
(虹彩認証装置の動作)
第3実施形態に係る虹彩認証装置300の動作について
図15のフローチャートを参照して説明する。尚、記憶部15aには、認証対象となりえる複数のユーザにかかる右眼および左眼の虹彩の特徴情報が予め格納されている。更に信頼度スコア(
図12参照)が格納されていてもよい。第2記憶部22には、認証対象となりえる複数のユーザにかかる身体の特徴情報が予め格納されている。
【0057】
ステップS301~S305は
図13のステップS201~S205と同様である。
【0058】
ステップS306において、第2スコア算出部21は、ユーザの身体画像が撮影された第1画像を用いて虹彩認証以外の生体認証(人型認証、歩容認証、顔認証等)を行い、第1画像に含まれるユーザの身体の特徴情報を算出し、算出された特徴情報と第2記憶部22に格納される特徴情報とを比較して、比較結果を第2照合スコアとしてスコア統合部23に出力する。
【0059】
ステップS307において、スコア統合部23は、スコア算出部16aが出力する第2重み照合スコアに、第2スコア算出部21が出力する第2照合スコアを加味させた統合スコアを算出する。スコア統合部23は、算出された統合スコアを認証部17aに出力する。
【0060】
ステップS308において、認証部17aは、算出された統合スコアを基に、第1画像および第2画像に撮影されたユーザを認証し、認証結果を出力する。具体的に、認証部17aは、例えば、統合スコアが所定の閾値と等しい又はそれ以上であれば、第1画像および第2画像に撮影されたユーザは登録済みのユーザ(正当ユーザ)であると認証し、統合スコアが所定の閾値以下であれば、第1画像および第2画像に撮影されたユーザは登録済みのユーザではないと認証し、認証結果を外部の表示部20に出力する。
【0061】
以上で、虹彩認証装置300の動作を終了する。
【0062】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態によると、第1~第2実施形態に記載の虹彩認証装置よりも、さらに認証精度の高い虹彩認証装置300を提供することができる。この理由は、第2スコア算出部21が第1画像に含まれる認証の対象ユーザの身体画像から特徴情報を算出して第2照合スコアを出力し、スコア統合部23が、第2重み照合スコアに、第2照合スコアを反映させた統合スコアを算出し、この統合スコアを基に認証部17aが認証処理を行うからである。尚、スコア統合部23が、第1重み照合スコアに第2照合スコアを反映させて、統合スコアを算出するように設計してもよい。
【0063】
<第4実施形態>
検出部14の検出においては、所定位置のカメラ10から移動中の対象ユーザを撮影する際に、第1画像中のどの矩形領域に左右眼が含まれるかを、虹彩認証装置の運用前に教師データを基に機械学習エンジンに学習させ、学習結果を基に設計者等がカメラ10の位置を設定する。しかし虹彩認証装置の運用後に履歴データを使用して認証用の機械学習エンジンに学習させ、改良すべき点は虹彩認証装置の各部にフィードバックさせることが望ましい。
【0064】
例えば、運用後に、固定されたカメラ10が撮影する画面内のどこに何がどのように映るかを機械学習エンジンが学習し、学習結果を基にカメラ10の位置、角度等を調整させることができる。これは、主に認証が成功した場合の認証結果データの履歴を基に、機械学習エンジンに学習させ、調整することができる。
【0065】
固定されたカメラ10によって撮影された画像でも、季節や時間により認証精度が異なる場合がある。例えば、午前中は認証精度が高いが午後は認証精度が落ちる、又は、日中は認証精度が高いが夜間は認証精度が落ちることがある。この原因の多くは、カメラ10が画像を撮影中に、対象ユーザを照射する光が変化したことに起因する。この他、機械学習エンジンの学習に用いた教師データの種類が偏っていた(例えば、午前中に撮影された画像のみを学習した)ことも原因となりえる。これは、主に認証が失敗した場合の認証結果データの履歴を基に、機械学習エンジンに学習させ、調整することができる。
【0066】
カメラ10による撮影時の対象ユーザに対する光の当たり具合により、第1画像における当該ユーザの全身または顔の領域の画素の輝度値、および、第2画像における当該ユーザの左右眼の領域の画素の輝度値は変化する。光には、室外光(太陽光)、室内光(照明光)、これらの混合がある。地表へ到達する太陽光は、撮影する季節や撮影する時刻の経過に応じて変化する。室内光は、照明の照度、向き、種類、更には照明の追加又は削減により変化する。太陽光および室内光の混合エリアで認証する場合、両者を配慮すべきである。第4実施形態においては、上記のように、運用後に認証結果データの履歴を基に、フィードバック調整を行う虹彩認証装置等について説明する。
【0067】
(虹彩認証装置)
虹彩認証装置400は、
図16に示すように、第1画像入力部11、第2画像入力部12、判定部13、検出部14、記憶部15a、スコア算出部16a、認証部17、認証結果記憶部31、学習部32およびフィードバック部33を備える。尚、第1画像入力部11および第2画像入力部12は外部のカメラ10に接続されている。認証部17は外部の表示部20に接続されている。
【0068】
認証結果記憶部31は、認証部17による認証結果のデータを格納する(
図17参照)。認証結果のデータは、例えば項目として、認証ID、認証時刻、認証結果および認証画像データを備えている。認証IDは、各認証結果を識別するためのIDである。認証時刻は、認証結果が算出された時刻である。認証結果は、認証の結果を表わす符号、値等である。認証結果は
図17に示すように、正当ユーザであれば「○」、正当ユーザでなければ「×」と示される。これらはいずれも認証成功データとなる。尚、認証は失敗したが正当ユーザであった場合には、正当ユーザのID(例えば
図17では認証ID「1」では正当ユーザのID「1234」、認証ID「5」では正当ユーザのID「5678」)が格納されている。正当ユーザのIDは、ユーザや管理者により、タッチパネルやスキャナ等(不図示)から読み込みされるものとする。認証は失敗したが正当ユーザであった場合のデータは認証失敗データとなる。尚、認証失敗データの特定方法は上記に限られない。例えば、カメラ10が撮影する画像内に監視員が映っている場合は、認証処理に何らかのトラブルが発生したとみなし、認証失敗データとしてもよい。監視員が映っているか否かは、監視員の顔認証により、または、監視員の服(背中部、腕部等)に付してある監視員を示すマークを認証することで判断する。この他、虹彩認証装置400よりも高精度の虹彩認証装置を同一位置に設置しておき、2つの認証結果データを比較することで、認証失敗データを抽出することもできる。
【0069】
学習部32は、認証結果記憶部31から抽出された認証結果のデータを基に、第1画像内のいずれの矩形領域に左眼および右眼を示す画素が含まれているかを学習する。これは検出部14に第1画像中のどの矩形領域に左眼および右眼が多く含まれているかをフィードバックするためである。
【0070】
さらに学習部32は、第1画像および第2画像に含まれる光の特徴を学習し、特定の期間においては、対象ユーザの左眼または右眼のいずれを左右情報として第2画像に紐付けすべきか決定する。光の特徴は、第1画像および第2画像における、対象ユーザを示す画素の輝度値の変化を含む。輝度値の変化には、特定位置の季節、時刻の遷移に沿った太陽光の変化、並びに、室内における光源の種類および当該光源の配置の変化を含む。学習部32は、これらの光の特徴が、対象ユーザを示す画素の輝度値にどのように影響を与えるかを学習し、学習結果を基に、日時毎に、認証に使用すべきカメラ10や、認証に使用すべき左右眼を決定する。
【0071】
学習部32は、認証結果記憶部31に格納される認証結果のデータを基に学習する機械学習エンジンなどから構成される。学習部32は、外部の機械学習エンジンと接続し、学習の結果を受け取るように設計しても良い。
【0072】
例えば、カメラ10の位置や角度の調整についてのフィードバックを得る場合、学習部32は、主に認証成功データの履歴を基に学習し、対象ユーザの顔の領域を第1又は第2画像内に納めるためのカメラ位置や角度についての情報を出力する。複数の固定されたカメラ10がある場合に、季節や時刻に応じてどのカメラ10を使用するべきかについてのフィードバックを得る場合、学習部32は、主に認証失敗データの履歴を基に学習し、どのカメラ10が撮影する映像が現在の認証エリアの光の状態からしてふさわしいかを判断するための情報を出力する。固定されたカメラ10が撮影する画像を基に虹彩認証する場合であっても、太陽光の変化で午前と午後では左右眼の認証の精度が変わることがある。このような場合、学習部32は、
図18に示すように、午前は対象ユーザの右眼を基に認証し、午後は対象ユーザの左眼を基に認証すべきという情報を出力する(対象ユーザは北向きに移動中とする)。また学習部32は、使用する機械学習エンジンの教師データの偏りにより夜間は認証精度が落ちる傾向にあることを学習すると、追加して学習すべき教師データの種類などの情報を出力する。学習部32は、学習結果をフィードバック部33に引き渡し、さらに、表示部20に表示する。
【0073】
フィードバック部33は、学習結果を基に、カメラ10、第1画像入力部11、第2画像入力部12、判定部13、検出部14、スコア算出部16a、および認証部17の動作を調整する。尚、表示部20に表示された学習結果を基に、管理者等が手動で各部を調整してもよい。
【0074】
他の部の動作は第1~2実施形態と同様である。
【0075】
(虹彩認証装置の動作)
第4実施形態に係る虹彩認証装置400の動作について
図19のフローチャートを参照して説明する。尚、記憶部15aには、認証対象となりえる複数のユーザにかかる右眼および左眼の虹彩の特徴情報および信頼度スコア(
図12参照)が予め格納されているものとする。
【0076】
ステップS401~S406は
図13のステップS201~S206と同様である。
【0077】
ステップS407において、学習部32は、認証結果記憶部31から抽出された認証結果のデータを基に、第1画像内のいずれの矩形領域に左眼および右眼を示す画素が含まれているかを学習する。さらに学習部32は、第1画像に含まれる光の特徴を学習し、特定の期間においては、対象ユーザの左眼または右眼のいずれを左右情報として第2画像に紐付けすべきか決定する。この学習は、認証結果のデータが所定量まで蓄積されてから行っても良い。
【0078】
ステップS408において、学習部32は、学習結果を表示部20に提示すべきか、虹彩認証装置400の各部にフィードバックすべきか判断する。どのようなトリガやタイミングでフィードバックすべきかは、設計者が予め定めていてもよいし、学習部32が判断してもよい。フィードバックすべきと判断されると処理はステップS409へ進められ、未だフィードバックすべきでないと判断されると処理はステップS401へ戻される。
【0079】
ステップS408において、フィードバック部33は学習部32から学習結果を受け取ると、虹彩認証装置400の各部にフィードバックし、適宜調整を促す。
【0080】
以上で、虹彩認証装置400の動作を終了する。
【0081】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態によると、第1~2実施形態の効果に加え、より高い精度の認証処理を行うことができる。この理由は、認証結果データの履歴を基に、学習部32が第1画像内のどの矩形領域に左眼および右眼を示す画素が含まれているかを学習し、さらに、第1~2画像に含まれる光の特徴を学習するからである。また、学習結果は虹彩認証装置400の各部にフィードバックされる。これにより、虹彩認証装置の運用に伴い、より精度の高い認証を行うことができる。
【0082】
なお、各実施形態は、組み合わせて用いられてもよい。
【0083】
(情報処理装置)
上述した本発明の各実施形態において、
図1、11、14、16等に示す虹彩認証装置における各構成要素の一部又は全部は、例えば
図20に示すような情報処理装置500とプログラムとの任意の組み合わせを用いて実現することも可能である。情報処理装置500は、一例として、以下のような構成を含む。
【0084】
・CPU(Central Processing Unit)501
・ROM(Read Only Memory)502
・RAM(Random Access Memory)503
・プログラム504および他のデータを格納する記憶装置505
・記録媒体506の読み書きを行うドライブ装置507
・通信ネットワーク509と接続する通信インターフェース508
・データの入出力を行う入出力インターフェース510
・各構成要素を接続するバス511
本願の各実施形態における虹彩認証装置の各構成要素は、これらの機能を実現するプログラム504をCPU501が取得して実行することで実現される。虹彩認証装置の各構成要素の機能を実現するプログラム504は、例えば、予め記憶装置505やRAM503に格納されており、必要に応じてCPU501が読み出す。なお、プログラム504は、通信ネットワーク509を介してCPU501に供給されてもよいし、予め記録媒体506に格納されており、ドライブ装置507が当該プログラムを読み出してCPU501に供給してもよい。
【0085】
各装置の実現方法には、様々な変形例がある。例えば、虹彩認証装置は、構成要素毎にそれぞれ別個の情報処理装置とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。また、虹彩認証装置が備える複数の構成要素が、一つの情報処理装置500とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
【0086】
また、虹彩認証装置の各構成要素の一部又は全部は、その他の汎用または専用の回路、プロセッサ等やこれらの組み合わせによって実現される。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。
【0087】
虹彩認証装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0088】
虹彩認証装置の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントアンドサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
【0089】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
[付記1]
特定方向に移動する認証の対象を撮影した第1画像を入力する第1画像入力手段と、
前記対象の右眼または左眼を撮影した第2画像を少なくとも片眼分入力する第2画像入力手段と、
前記第1画像を含む情報を基に、前記第2画像が前記対象の左眼のものか右眼のものかを判定し、判定結果を左右情報として前記第2画像に紐付けて出力する判定手段と、
前記第2画像を含む領域と、前記第1画像中の所定の領域との重なりを検出する検出手段と、
一人以上の認証される対象にかかる右眼および左眼の虹彩の特徴情報を格納する記憶手段と、
前記左右情報に紐付けされた前記第2画像から算出される虹彩の特徴情報と当該左右情報に対応する前記記憶手段に格納される1つ以上の特徴情報とを比較して照合スコアを算出し、算出された当該照合スコアに前記検出の結果を重み付けした第1重み照合スコアを算出するスコア算出手段と、
算出された前記第1重み照合スコアを基に、前記第2画像に撮影された対象を認証し、認証結果を出力する認証手段
とを備える虹彩認証装置。
[付記2]
前記記憶手段は、前記認証される対象にかかる右眼および左眼の信頼度スコアを格納し、
前記スコア算出手段は、前記照合スコアを基に前記対象を特定し、前記記憶手段から前記対象に対応する前記信頼度スコアを取得し、前記照合スコアに前記信頼度スコアを重み付けした第2重み照合スコアを算出する
付記1に記載の虹彩認証装置。
[付記3]
前記スコア算出手段は、前記信頼度スコアを示す値が高い方の眼を優先して、前記第2重み照合スコアを算出する
付記1又は付記2に記載の虹彩認証装置。
[付記4]
一人以上の認証される対象の身体画像から算出された特徴情報を格納する第2記憶手段と、
前記第1画像入力手段から取得した前記第1画像に含まれる前記対象の身体画像から特徴情報を算出し、算出された特徴情報と前記第2記憶手段に格納される特徴情報とを比較して、比較結果を第2照合スコアとして出力する第2スコア算出手段と、
前記スコア算出手段が出力する前記第1重み照合スコアまたは前記第2重み照合スコアに、前記第2スコア算出手段が出力する前記第2照合スコアを反映させた統合スコアを算出するスコア統合手段
とを更に備え、
前記認証手段は、前記第1重み照合スコア、前記第2重み照合スコアまたは前記統合スコアを基に、前記第2画像に撮影された対象を認証し、認証結果を出力する
付記1乃至付記3のいずれかに記載の虹彩認証装置。
[付記5]
前記第1画像は前記対象の全身を撮影した静画像または動画像であり、前記第2スコア算出手段は、前記静画像を用いた人型認証または前記動画像を用いた歩容認証を実行して、前記身体画像の特徴情報を算出する
付記4に記載の虹彩認証装置。
[付記6]
前記第1画像は前記対象の顔を撮影した画像であり、前記第2スコア算出手段は、当該第1画像を用いた顔認証を実行して、前記身体画像の特徴情報を算出する
付記4に記載の虹彩認証装置。
[付記7]
前記判定手段は、前記第1画像における前記対象の顔の領域に所定のテンプレートを適用して、前記2画像が前記対象の左眼または右眼のいずれに対応するかを判定する
付記1に記載の虹彩認証装置。
[付記8]
前記判定手段は、前記第1画像における前記対象の右眼および左眼の領域の画素と、前記第2画像における前記対象の右眼または左眼の領域の画素とを比較して、前記2画像が前記対象の左眼または右眼のいずれに対応するかを判定する
付記1に記載の虹彩認証装置。
[付記9]
前記所定の領域は、複数の領域に分割された前記第1画像の中の1つの領域であり、
前記認証結果のデータを格納する認証結果記憶手段と、
前記認証結果記憶手段から抽出された前記認証結果のデータを基に、前記第1画像内のどの前記領域に左眼および右眼を示す画素が含まれているかを学習し、学習された左眼の領域および右眼の領域の各々を前記所定の領域とする学習手段
とを更に備える付記1に記載の虹彩認証装置。
[付記10]
前記学習手段は、前記認証結果記憶手段から抽出された前記認証結果のデータを基に、前記第1画像および前記第2画像に含まれる光の特徴を学習し、特定の期間においては、前記対象の左眼または右眼のいずれを前記左右情報として前記第2画像に紐付けすべきか決定する
付記9に記載の虹彩認証装置。
[付記11]
前記光の特徴とは、前記第1画像および前記第2画像における、前記対象ユーザを示す画素の輝度値の変化を含む
付記10に記載の虹彩認証装置。
[付記12]
前記輝度値の変化は、前記特定位置の季節、時刻の遷移に沿った太陽光の変化、並びに、室内における光源の種類および当該光源の配置の変化を含む
付記11に記載の虹彩認証装置。
[付記13]
特定方向に移動する認証の対象を撮影した第1画像を入力し、
前記対象の右眼または左眼を撮影した第2画像を少なくとも片眼分入力し、
前記第1画像を含む情報を基に、前記第2画像が前記対象の左眼のものか右眼のものかを判定し、判定結果を左右情報として前記第2画像に紐付けて出力し、
前記第2画像を含む領域と、前記第1画像中の所定の領域との重なりを検出し、
一人以上の認証される対象にかかる右眼および左眼の虹彩の特徴情報を格納する記憶手段から取得する、前記左右情報に対応する1つ以上の特徴情報と、前記左右情報に紐付けされた前記第2画像から算出される虹彩の特徴情報とを、比較して照合スコアを算出し、算出された当該照合スコアに前記検出の結果を重み付けした第1重み照合スコアを算出し、
算出された前記第1重み照合スコアを基に、前記第2画像に撮影された対象を認証し、認証結果を出力する
ことを備える虹彩認証方法。
[付記14]
前記記憶手段は、前記認証される対象にかかる右眼および左眼の信頼度スコアを格納し、
前記第1重み照合スコアを算出することにおいては、前記照合スコアを基に前記対象を特定し、前記記憶手段から前記対象に対応する前記信頼度スコアを取得し、前記照合スコアに前記信頼度スコアを重み付けした第2重み照合スコアを算出する
付記13に記載の虹彩認証方法。
[付記15]
前記第1重み照合スコアを算出することにおいては、前記信頼度スコアを示す値が高い方の眼を優先して、前記第2重み照合スコアを算出する
付記13又は付記14に記載の虹彩認証方法。
[付記16]
取得した前記第1画像に含まれる前記対象の身体画像から特徴情報を算出し、算出された特徴情報と、一人以上の認証される対象の身体画像から算出された特徴情報を格納する第2記憶手段に格納される特徴情報とを比較して、比較結果を第2照合スコアとして出力し、
前記第1重み照合スコアを算出することにおいて、前記第1重み照合スコアまたは前記第2重み照合スコアに、前記第2照合スコアを反映させた統合スコアを算出する
ことを更に備え、
前記対象を認証して認証結果を出力することは、前記第1重み照合スコア、前記第2重み照合スコアまたは前記統合スコアを基に、前記第2画像に撮影された対象を認証し、認証結果を出力することを含む
付記13乃至付記15のいずれかに記載の虹彩認証方法。
[付記17]
前記第1画像は前記対象の全身を撮影した静画像または動画像であり、前記比較結果を第2照合スコアとして出力することは、前記静画像を用いた人型認証または前記動画像を用いた歩容認証を実行して、前記身体画像の特徴情報を算出することを含む
付記16に記載の虹彩認証方法。
[付記18]
前記第1画像は前記対象の顔を撮影した画像であり、前記比較結果を第2照合スコアとして出力することは、当該第1画像を用いた顔認証を実行して、前記身体画像の特徴情報を算出することを含む
付記16に記載の虹彩認証方法。
[付記19]
前記判定結果を左右情報として前記第2画像に紐付けて出力することは、前記第1画像における前記対象の顔の領域に所定のテンプレートを適用して、前記2画像が前記対象の左眼または右眼のいずれに対応するかを判定する
付記13に記載の虹彩認証方法。
[付記20]
前記判定結果を左右情報として前記第2画像に紐付けて出力することは、前記第1画像における前記対象の右眼および左眼の領域の画素と、前記第2画像における前記対象の右眼または左眼の領域の画素とを比較して、前記2画像が前記対象の左眼または右眼のいずれに対応するかを判定する
付記13に記載の虹彩認証方法。
[付記21]
前記所定の領域は、複数の領域に分割された前記第1画像の中の1つの領域であり、
前記認証結果のデータを格納する認証結果記憶手段から抽出された前記認証結果のデータを基に、前記第1画像内のどの前記領域に左眼および右眼を示す画素が含まれているかを学習し、学習された左眼の領域および右眼の領域の各々を前記所定の領域とする
ことを更に備える付記13に記載の虹彩認証方法。
[付記22]
前記学習することは、前記認証結果記憶手段から抽出された前記認証結果のデータを基に、前記第1画像および前記第2画像に含まれる光の特徴を学習し、特定の期間においては、前記対象の左眼または右眼のいずれを前記左右情報として前記第2画像に紐付けすべきか決定することを含む
付記21に記載の虹彩認証方法。
[付記23]
前記光の特徴とは、前記第1画像および前記第2画像における、前記対象ユーザを示す画素の輝度値の変化を含む
付記22に記載の虹彩認証方法。
[付記24]
前記輝度値の変化は、前記特定位置の季節、時刻の遷移に沿った太陽光の変化、並びに、室内における光源の種類および当該光源の配置の変化を含む
付記23に記載の虹彩認証方法。
[付記25]
特定方向に移動する認証の対象を撮影した第1画像を入力し、
前記対象の右眼または左眼を撮影した第2画像を少なくとも片眼分入力し、
前記第1画像を含む情報を基に、前記第2画像が前記対象の左眼のものか右眼のものかを判定し、判定結果を左右情報として前記第2画像に紐付けて出力し、
前記第2画像を含む領域と、前記第1画像中の所定の領域との重なりを検出し、
一人以上の認証される対象にかかる右眼および左眼の虹彩の特徴情報を格納する記憶手段から取得する、前記左右情報に対応する1つ以上の特徴情報と、前記左右情報に紐付けされた前記第2画像から算出される虹彩の特徴情報とを、比較して照合スコアを算出し、算出された当該照合スコアに前記検出の結果を重み付けした第1重み照合スコアを算出し、
算出された前記第1重み照合スコアを基に、前記第2画像に撮影された対象を認証し、認証結果を出力する
ことをコンピュータに実現させる虹彩認証プログラムを格納する記録媒体。
[付記26]
前記記憶手段は、前記認証される対象にかかる右眼および左眼の信頼度スコアを格納し、
前記第1重み照合スコアを算出することにおいては、前記照合スコアを基に前記対象を特定し、前記記憶手段から前記対象に対応する前記信頼度スコアを取得し、前記照合スコアに前記信頼度スコアを重み付けした第2重み照合スコアを算出する
付記25に記載の記録媒体。
[付記27]
前記第1重み照合スコアを算出することにおいては、前記信頼度スコアを示す値が高い方の眼を優先して、前記第2重み照合スコアを算出する
付記25又は付記26に記載の記録媒体。
[付記28]
前記第1画像入力手段から取得した前記第1画像に含まれる前記対象の身体画像から特徴情報を算出し、算出された特徴情報と、一人以上の認証される対象の身体画像から算出された特徴情報を格納する第2記憶手段に格納される特徴情報とを比較して、比較結果を第2照合スコアとして出力し、
前記第1重み照合スコアを算出することにおいて、前記第1重み照合スコアまたは前記第2重み照合スコアに、前記第2照合スコアを反映させた統合スコアを算出する
ことを更に備え、
前記対象を認証して認証結果を出力することは、前記第1重み照合スコア、前記第2重み照合スコアまたは前記統合スコアを基に、前記第2画像に撮影された対象を認証し、認証結果を出力することを含む
付記25乃至付記27のいずれかに記載の記録媒体。
[付記29]
前記第1画像は前記対象の全身を撮影した静画像または動画像であり、前記比較結果を第2照合スコアとして出力することは、前記静画像を用いた人型認証または前記動画像を用いた歩容認証を実行して、前記身体画像の特徴情報を算出することを含む
付記28に記載の記録媒体。
[付記30]
前記第1画像は前記対象の顔を撮影した画像であり、前記比較結果を第2照合スコアとして出力することは、当該第1画像を用いた顔認証を実行して、前記身体画像の特徴情報を算出することを含む
付記28に記載の記録媒体。
[付記31]
前記判定結果を左右情報として前記第2画像に紐付けて出力することは、前記第1画像における前記対象の顔の領域に所定のテンプレートを適用して、前記2画像が前記対象の左眼または右眼のいずれに対応するかを判定する
付記25に記載の記録媒体。
[付記32]
前記判定結果を左右情報として前記第2画像に紐付けて出力することは、前記第1画像における前記対象の右眼および左眼の領域の画素と、前記第2画像における前記対象の右眼または左眼の領域の画素とを比較して、前記2画像が前記対象の左眼または右眼のいずれに対応するかを判定する
付記25に記載の記録媒体。
[付記33]
前記所定の領域は、複数の領域に分割された前記第1画像の中の1つの領域であり、
前記認証結果のデータを格納する認証結果記憶手段から抽出された前記認証結果のデータを基に、前記第1画像内のどの前記領域に左眼および右眼を示す画素が含まれているかを学習し、学習された左眼の領域および右眼の領域の各々を前記所定の領域とする
ことを更に備える付記25に記載の記録媒体。
[付記34]
前記学習することは、前記認証結果記憶手段から抽出された前記認証結果のデータを基に、前記第1画像および前記第2画像に含まれる光の特徴を学習し、特定の期間においては、前記対象の左眼または右眼のいずれを前記左右情報として前記第2画像に紐付けすべきか決定することを含む
付記33に記載の記録媒体。
[付記35]
前記光の特徴とは、前記第1画像および前記第2画像における、前記対象ユーザを示す画素の輝度値の変化を含む
付記34に記載の記録媒体。
[付記36]
前記輝度値の変化は、前記特定位置の季節、時刻の遷移に沿った太陽光の変化、並びに、室内における光源の種類および当該光源の配置の変化を含む
付記35に記載の記録媒体。
【0090】
以上、本実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0091】
10 カメラ
11 第1画像入力部
12 第2画像入力部
13 判定部
14 検出部
15 記憶部
15a 記憶部
16 スコア算出部
16a スコア算出部
17 認証部
17a 認証部
20 表示部
21 第2スコア算出部
22 第2記憶部
23 スコア統合部
31 認証結果記憶部
32 学習部
33 フィードバック部
100 虹彩認証装置
200 虹彩認証装置
300 虹彩認証装置
400 虹彩認証装置
500 情報処理装置
501 CPU
503 RAM
504 プログラム
505 記憶装置
506 記録媒体
507 ドライブ装置
508 通信インターフェース
509 通信ネットワーク
510 入出力インターフェース
511 バス
507 ドライブ装置
508 通信インターフェース
509 通信ネットワーク
510 入出力インターフェース
511 バス