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  • 特許-可変容量型過給機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】可変容量型過給機
(51)【国際特許分類】
   F02B 39/00 20060101AFI20221213BHJP
   F02B 37/24 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
F02B39/00 S
F02B37/24
F02B39/00 B
F02B39/00 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020559701
(86)(22)【出願日】2019-07-23
(86)【国際出願番号】 JP2019028899
(87)【国際公開番号】W WO2020115941
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2018227091
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】林 克憲
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-124649(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015217668(DE,A1)
【文献】実開平02-092032(JP,U)
【文献】特開昭63-143326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 39/00
F02B 37/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンのノズル流路内でノズルベーンを回動させる可変ノズルユニットと、
前記タービンのタービン翼車の回転軸の軸受を有する軸受ハウジングと、
前記タービン翼車と前記軸受ハウジングとの間に位置し、前記回転軸を周方向に囲む円環状の遮熱板と、
前記軸受ハウジングに形成され冷却水を流通させる水室と、を備え、
前記遮熱板は、
皿バネと共に前記可変ノズルユニットと前記軸受ハウジングとで軸方向に挟まれ、前記皿バネによって前記可変ノズルユニットに前記軸方向に押し当てられて固定されており、前記周方向に延びる嵌合部で前記軸受ハウジングに嵌め込まれて径方向に位置決めされており、
前記遮熱板は、
前記嵌合部に形成され前記軸受ハウジングに嵌込まれる嵌込み面と、前記嵌込み面よりも径方向内側に張り出し前記軸受ハウジングとの間に前記軸方向の隙間を空けて位置する内周側遮熱部と、を有し、
前記水室の少なくとも一部分が前記嵌合部と同じ径方向位置に存在し、
前記軸受ハウジングは、前記遮熱板の前記嵌込み面に対面する遮熱板受面と、前記皿バネが設置される皿バネ設置面と、を有し、
前記皿バネ設置面は、前記遮熱板受面と面一に形成され、
前記皿バネは、前記皿バネ設置面を周方向に囲むように設置され、
前記内周側遮熱部は、
前記軸受ハウジングのうち前記嵌合部よりも径方向内側の部分である軸受ハウジング内周部との間に前記軸方向の隙間を空けて位置するとともに、前記タービンの排気ガスが存在する排気ガス空間から見て前記軸受ハウジング内周部に覆い被さるように前記嵌込み面から前記回転軸の外周面近傍まで延び、内周縁面を前記回転軸の前記外周面に対面させている、可変容量型過給機。
【請求項2】
前記嵌合部が、前記タービン翼車の外周縁よりも径方向内側に位置する、請求項1に記載の可変容量型過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可変容量型過給機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の可変容量型過給機として下記特許文献1に記載のものが知られている。この過給機は円環状の遮熱板を備えている。当該遮熱板はタービンの熱を遮り軸受ハウジングの温度上昇を防ぐ。軸受ハウジングの内周部には取付部位が存在している。当該取付部位は、円筒状をなし、タービン翼車の回転軸の周りでタービン側に立ち上がっている。この円筒状の取付部位に遮熱板の中央孔が挿入されて、遮熱板の径方向の位置決めがされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-42588号公報
【文献】特開2011-252439号公報
【文献】特開2012-057592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような遮熱板の位置決め構造によれば、上記の取付部位が遮熱板に覆われずにタービン側に露出することになる。このため、タービン側の放射熱が取付部位を通じて軸受ハウジングに入りやすい。また、嵌め込み部分を通じて遮熱板の熱が取付部位に伝導しやすい。その結果、軸受ハウジングの内周部において、軸受ハウジングの温度上昇の抑制が十分に図られない。軸受ハウジングの内周部にはタービン翼車の回転軸と関連する重要な部品等も存在する。そして、この種の重要な部品等が過剰に温度上昇すれば機能が損なわれる虞がある。そこで本開示は、軸受ハウジングの内周部の部品の温度上昇の抑制を図る可変容量型過給機を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る可変容量型過給機は、タービンのノズル流路内でノズルベーンを回動させる可変ノズルユニットと、前記タービンのタービン翼車の回転軸の軸受を有する軸受ハウジングと、前記タービン翼車と前記軸受ハウジングとの間に位置し、前記回転軸を周方向に囲む円環状の遮熱板と、前記軸受ハウジングに形成され冷却水を流通させる水室と、を備え、前記遮熱板は、皿バネと共に前記可変ノズルユニットと前記軸受ハウジングとで軸方向に挟まれ、前記皿バネによって前記可変ノズルユニットに前記軸方向に押し当てられて固定されており、前記周方向に延びる嵌合部で前記軸受ハウジングに嵌め込まれて径方向に位置決めされており、前記遮熱板は、前記嵌合部に形成され前記軸受ハウジングに嵌込まれる嵌込み面と、前記嵌込み面よりも径方向内側に張り出し前記軸受ハウジングとの間に前記軸方向の隙間を空けて位置する内周側遮熱部と、を有し、前記水室の少なくとも一部分が前記嵌合部と同じ径方向位置に存在する、可変容量型過給機である。
【発明の効果】
【0006】
本開示の可変容量型過給機によれば、軸受ハウジングの内周部の部品の温度上昇の抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の可変容量型過給機の断面図である。
図2図1の過給機の遮熱板近傍を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の一態様に係る可変容量型過給機は、タービンのノズル流路内でノズルベーンを回動させる可変ノズルユニットと、前記タービンのタービン翼車の回転軸の軸受を有する軸受ハウジングと、前記タービン翼車と前記軸受ハウジングとの間に位置し、前記回転軸を周方向に囲む円環状の遮熱板と、前記軸受ハウジングに形成され冷却水を流通させる水室と、を備え、前記遮熱板は、皿バネと共に前記可変ノズルユニットと前記軸受ハウジングとで軸方向に挟まれ、前記皿バネによって前記可変ノズルユニットに前記軸方向に押し当てられて固定されており、前記周方向に延びる嵌合部で前記軸受ハウジングに嵌め込まれて径方向に位置決めされており、前記遮熱板は、前記嵌合部に形成され前記軸受ハウジングに嵌込まれる嵌込み面と、前記嵌込み面よりも径方向内側に張り出し前記軸受ハウジングとの間に前記軸方向の隙間を空けて位置する内周側遮熱部と、を有し、前記水室の少なくとも一部分が前記嵌合部と同じ径方向位置に存在する、可変容量型過給機である。
【0009】
前記嵌合部が、前記タービン翼車の外周縁よりも径方向内側に位置するようにしてもよい。
【0010】
前記軸受ハウジングは、前記遮熱板の前記嵌込み面に対面する遮熱板受面と、前記皿バネが設置される皿バネ設置面と、を有し、前記皿バネ設置面は、前記遮熱板受面と面一に形成されていることとしてもよい。
【0011】
以下、図面を参照しつつ本開示の実施形態について詳細に説明する。図1は、可変容量型過給機1の回転軸線Hを含む断面を取った断面図である。過給機1は、例えば、船舶や車両の内燃機関に適用されるものである。
【0012】
図1に示されるように、過給機1は、タービン2とコンプレッサ3とを備えている。タービン2は、タービンハウジング4と、タービンハウジング4に収納されたタービン翼車6と、を備えている。タービンハウジング4は、タービン翼車6の周囲において周方向に延びるスクロール流路16を有している。コンプレッサ3は、コンプレッサハウジング5と、コンプレッサハウジング5に収納されたコンプレッサ翼車7と、を備えている。コンプレッサハウジング5は、コンプレッサ翼車7の周囲において周方向に延びるスクロール流路17を有している。
【0013】
タービン翼車6は回転軸14の一端に設けられており、コンプレッサ翼車7は回転軸14の他端に設けられている。タービンハウジング4とコンプレッサハウジング5との間には、軸受ハウジング13が設けられている。回転軸14は、軸受15を介して軸受ハウジング13に回転可能に支持されており、回転軸14、タービン翼車6及びコンプレッサ翼車7が一体の回転体12として回転軸線H周りに回転する。
【0014】
タービンハウジング4には、排気ガス流入口(図示せず)及び排気ガス流出口10が設けられている。内燃機関(図示せず)から排出された排気ガスが、排気ガス流入口を通じてタービンハウジング4内に流入し、スクロール流路16を通じてタービン翼車6に流入し、タービン翼車6を回転させる。その後、排気ガスは、排気ガス流出口10を通じてタービンハウジング4外に流出する。
【0015】
コンプレッサハウジング5には、吸入口9及び吐出口(図示せず)が設けられている。上記のようにタービン翼車6が回転すると、回転軸14を介してコンプレッサ翼車7が回転する。回転するコンプレッサ翼車7は、吸入口9を通じて外部の空気を吸入する。この空気が、コンプレッサ翼車7及びスクロール流路17を通過して圧縮され吐出口から吐出される。吐出口から吐出された圧縮空気は、前述の内燃機関に供給される。
【0016】
過給機1のタービン2について、更に説明する。以下の説明において、単に「軸方向」、「径方向」、「周方向」というときには、タービン翼車6の回転軸方向(回転軸線H方向)、回転径方向、及び回転周方向をそれぞれ意味するものとする。
【0017】
過給機1のタービン2には、スクロール流路16とタービン翼車6とを接続するノズル流路19が設けられている。ノズル流路19には、可動の複数のノズルベーン21が設けられている。複数のノズルベーン21は、回転軸線Hを中心とする円周上に等間隔に配置されている。各々のノズルベーン21は、同期して、回転軸線Hに平行な軸線周りに回動する。複数のノズルベーン21が上記のように回動することで、隣接するノズルベーン21同士の隙間が拡縮しノズル流路19の開度が調整される。
【0018】
ノズルベーン21を上記のように駆動するために、タービン2は可変ノズルユニット20を備えている。可変ノズルユニット20は、タービンハウジング4の内側に嵌め込まれている。可変ノズルユニット20は、上記の複数のノズルベーン21と、ノズルベーン21を軸線方向に挟む2つのノズルリング23,27を有している。ノズルリング23,27は、それぞれ回転軸線Hを中心とするリング状を成しており、タービン翼車6を周方向に囲むように配置されている。2つのノズルリング23,27で軸方向に挟まれた領域が、前述のノズル流路19を構成する。可変ノズルユニット20は、ノズルベーン21を駆動するための駆動機構部29を有している。駆動機構部29は、ノズルリング23と軸受ハウジング13との間のスペースに収容されており、外部のアクチュエータ(図示せず)からの駆動力をノズルベーン21に伝達する。
【0019】
図2は、過給機1のタービン翼車6近傍を拡大して示す断面図である。軸受ハウジング13には、軸受15に潤滑油を供給する油室49が形成されている。回転軸14の外周にはシールリング51が取付けられている。シールリング51は、上記の油室49と、ノズル流路19からタービン翼車6へ送られた排気ガスが存在する空間(以下「排気ガス空間50」という)と、を仕切る。回転軸14には周方向に延びる溝52が形成されている。シールリング51は、上記の溝52に嵌め込まれて軸方向への移動が規制されている。また、シールリング51の外周面は全周に亘って軸受ハウジング13に接触している。シールリング51は、回転軸14と軸受ハウジング13との径方向の隙間を塞ぐことで、油室49を排気ガス空間50から仕切っている。そして、シールリング51によって、油室49に存在する潤滑油が排気ガス空間50に移動することが妨げられる。なお、図2の例では、シールリング51は軸方向に2つ並行して設けられている。
【0020】
タービン翼車6と軸受ハウジング13との間には、遮熱板31が設けられている。遮熱板31は、高温の排気ガス空間50からの放射熱を遮蔽して、軸受ハウジング13の温度上昇を抑える。遮熱板31は、回転軸14を周方向に囲む円環状をなしている。遮熱板31は、軸受ハウジング13に嵌め込まれている。遮熱板31と軸受ハウジング13との嵌合部33は、遮熱板31の径方向幅の中央付近で周方向に延びる。
【0021】
嵌合部33では、軸受ハウジング13に、遮熱板31を嵌込むための遮熱板受面35が設けられている。遮熱板受面35は、回転軸線Hを軸とする円柱外側面をなす。これに対して、遮熱板31には、遮熱板受面35に対面する嵌込み面37が設けられている。嵌込み面37は、回転軸線Hを軸とする円柱内側面をなす。嵌合部33は、タービン翼車6の外周縁6aよりも径方向内側に位置している。
【0022】
遮熱板31が上記のように軸受ハウジング13に嵌め込まれることにより、遮熱板31の径方向の位置決めがされている、なお、遮熱板31と軸受ハウジング13との嵌合状態はすきま嵌めである。遮熱板受面35と嵌込み面37とは摺接してもよく、遮熱板受面35と嵌込み面37との間に僅かに隙間があってもよい。
【0023】
更に、遮熱板31のコンプレッサ3側に隣接する位置に、皿バネ39が設置されている。皿バネ39は、回転軸線Hを中心とする円環状をなす。
軸受ハウジング13には、皿バネ39を設置するための皿バネ設置面36が形成されている。皿バネ設置面36は、回転軸線Hを軸とする円柱外側面をなしている。皿バネ39は、その中央孔が皿バネ設置面36を周方向に囲むよう設置されることで、径方向に位置決めされる。皿バネ設置面36は、遮熱板受面35のコンプレッサ3側に連続するように形成されている。また、皿バネ設置面36は、遮熱板受面35とは面一に形成されている。
【0024】
また、皿バネ39は、遮熱板31と軸受ハウジング13との間に軸方向に挟み込まれている。そして、皿バネ39の付勢力により、遮熱板31がタービン翼車6側に向けて押され、遮熱板31はノズルリング23の端面23aに対して軸方向に押し付けられている。このような構造により、遮熱板31は、皿バネ39と共に、可変ノズルユニット20と軸受ハウジング13とで軸方向に挟まれて固定されている。
【0025】
遮熱板31は、嵌込み面37よりも径方向内側に張り出す内周側遮熱部41を有している。タービン2側から見て、内周側遮熱部41は、軸受ハウジング13のうち嵌合部33よりも内周側の部分に覆い被さっている。以下、軸受ハウジング13のうち嵌合部33よりも内周側の部分を「軸受ハウジング内周部」と呼び、「43」の符号を付す。また、前述したように、皿バネ39によって遮熱板31がタービン2側に押されているので、内周側遮熱部41と軸受ハウジング内周部43との間には軸方向の隙間45が形成されている。
【0026】
軸受ハウジング13には冷却水を流通させる水室47が形成されている。上記冷却水によって当該軸受ハウジング13が冷却される。水室47は、軸受ハウジング13の空洞として形成されており、周方向に延在している。水室47と嵌合部33との位置関係に関しては、水室47の少なくとも一部分が嵌合部33と同じ径方向位置に存在している。例えば、図2に示される断面では、一点鎖線Bで示されるように、嵌合部33と水室47の内周側の部位とが同じ径方向位置に存在している。このような断面が、軸受ハウジング13には少なくとも一つ存在している。周方向全体において、水室47と嵌合部33の一部とが同じ径方向位置に存在していてもよい。
【0027】
以上の構成の過給機1による作用効果について説明する。例えば、シールリング51の温度上昇を抑えて正常なシール機能を確保するためには、軸受ハウジング内周部43の温度上昇を抑えることが重要である。過給機1においては、遮熱板31の内周側遮熱部41が、嵌込み面37よりも径方向内側に張り出している。そして、内周側遮熱部41は、排気ガス空間50から見て軸受ハウジング内周部43に覆い被さっている。このような内周側遮熱部41によって、排気ガス空間50から軸受ハウジング内周部43への放射熱が遮蔽される。また、内周側遮熱部41と軸受ハウジング内周部43との間には隙間45が形成されているので、内周側遮熱部41から軸受ハウジング内周部43への伝導熱も抑えられる。
【0028】
一方、遮熱板31から軸受ハウジング内周部43への伝導熱としては、嵌合部33を経由して伝わる伝導熱が考えられる。しかしながら、嵌合部33が遮熱板31の径方向幅の中央付近に位置することから、嵌合部33からシールリング51まではある程度離れている。また、水室47の少なくとも一部分が嵌合部33と同じ径方向位置に存在している。この位置関係により、嵌合部33は水室47の冷却水によって冷却され易く、嵌合部33を経由する伝導熱も除去され易い。従って、遮熱板31から、嵌合部33を経由して軸受ハウジング内周部43へ入る伝導熱も抑えられる。
【0029】
また、遮熱板31から皿バネ39を経由して軸受ハウジング13に伝わる伝導熱も、上記と同様にして、水室47の冷却水によって冷却され易く、軸受ハウジング内周部43に伝わり難い。
【0030】
以上により、排気ガス空間50の熱に起因する軸受ハウジング内周部43の温度上昇が抑えられる。その結果、シールリング51の温度上昇が抑えられ、シールリング51の正常なシール機能が確保される。
【0031】
また、嵌合部33が、タービン翼車6の外周縁6aよりも径方向内側に位置している。ここで、嵌合部33においては、遮熱板31と軸受ハウジング内周部43との間に、両者の熱膨張の差異に起因する隙間が発生するが、嵌合部33の位置が径方向外側に寄りすぎると上記の隙間が大きくなる。そうすると、上記隙間に起因する遮熱板31の心ずれも大きくなる。このため、上記の心ずれに起因する遮熱板31の最内周部31aと回転軸14との干渉を回避すべく、最内周部31aと回転軸14との隙間を大きく設計せざるを得ない。そうすると、当該隙間を通じて排気ガス空間50の排気ガスがシールリング51まで到達し易くなり、シールリング51の温度上昇の原因になり得る。この知見に鑑み、過給機1においては、嵌合部33をタービン翼車6の外周縁6aよりも径方向内側に位置するようにし、嵌合部33が径方向外側に寄りすぎないようにして、上記の問題が回避される。
【0032】
また、皿バネ設置面36が、遮熱板受面35に対して面一に連続するように形成されている。この構造により、皿バネ39を設置し位置決めするための部位を遮熱板受面35とは別に形成する必要がない。その結果、軸受ハウジング13及び遮熱板31の加工を簡易にすることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 可変容量型過給機
2 タービン
6 タービン翼車
6a 外周縁
13 軸受ハウジング
14 回転軸
15 軸受
19 ノズル流路
20 可変ノズルユニット
21 ノズルベーン
31 遮熱板
33 嵌合部
35 遮熱板受面
36 皿バネ設置面
37 嵌込み面
39 皿バネ
41 内周側遮熱部
45 隙間
47 水室
図1
図2