(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】線路監視システム、線路監視装置、線路監視方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B61L 25/02 20060101AFI20221213BHJP
B61L 23/04 20060101ALI20221213BHJP
G01D 5/26 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B61L25/02 G
B61L23/04
G01D5/26 D
(21)【出願番号】P 2020559764
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(86)【国際出願番号】 JP2019040698
(87)【国際公開番号】W WO2020116031
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2018226683
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】依田 幸英
(72)【発明者】
【氏名】青野 義明
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/211237(WO,A1)
【文献】特表2007-530352(JP,A)
【文献】特開2018-114792(JP,A)
【文献】国際公開第2012/152575(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108875684(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 25/02
B61L 23/04
G01D 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線路に敷設された通信用光ファイバを含むケーブルと、
前記ケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、光信号を受信する受信部と、
前記光信号に基づいて、前記線路の状態に応じた振動パターンを検出し、検出された前記線路の状態に応じた振動パターンに基づいて、前記線路の異常状態を検出する
と共に、前記光信号に基づいて、前記線路における列車の走行状態に応じた振動パターンを検出し、検出された前記線路における列車の走行状態に応じた振動パターンに基づいて、前記線路における列車の走行状態を検出する検出部と、
を備え
、
前記線路における列車の走行状態は、前記列車の走行方向及び加減速を含む、
線路監視システム。
【請求項2】
前記受信部は、
前記光信号に基づいて、前記光信号が発生した前記線路の位置を特定し、
前記検出部は、
前記検出された前記線路の状態に応じた振動パターンに基づいて、前記特定された前記線路の位置の異常状態を検出する、
請求項1に記載の線路監視システム。
【請求項3】
前記検出部は、
前記光信号に基づいて、前記線路における列車の状態に応じた振動パターンを検出し、検出された前記線路における列車の状態に応じた振動パターンに基づいて、前記線路における列車の異常状態を検出する、
請求項
1に記載の線路監視システム。
【請求項4】
線路に敷設されたケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、光信号を受信する受信部と、
前記光信号に基づいて、前記線路の状態に応じた振動パターンを検出し、検出された前記線路の状態に応じた振動パターンに基づいて、前記線路の異常状態を検出する
と共に、前記光信号に基づいて、前記線路における列車の走行状態に応じた振動パターンを検出し、検出された前記線路における列車の走行状態に応じた振動パターンに基づいて、前記線路における列車の走行状態を検出する検出部と、
を備え
、
前記線路における列車の走行状態は、前記列車の走行方向及び加減速を含む、
線路監視装置。
【請求項5】
前記受信部は、
前記光信号に基づいて、前記光信号が発生した前記線路の位置を特定し、
前記検出部は、
前記検出された前記線路の状態に応じた振動パターンに基づいて、前記特定された前記線路の位置の異常状態を検出する、
請求項
4に記載の線路監視装置。
【請求項6】
前記検出部は、
前記光信号に基づいて、前記線路における列車の状態に応じた振動パターンを検出し、検出された前記線路における列車の状態に応じた振動パターンに基づいて、前記線路における列車の異常状態を検出する、
請求項
4に記載の線路監視装置。
【請求項7】
線路監視装置による線路監視方法であって、
線路に敷設されたケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、光信号を受信
することと、
前記光信号に基づいて、前記線路の状態に応じた振動パターンを検出し、検出された前記線路の状態に応じた振動パターンに基づいて、前記線路の異常状態を検出する
と共に、前記光信号に基づいて、前記線路における列車の走行状態に応じた振動パターンを検出し、検出された前記線路における列車の走行状態に応じた振動パターンに基づいて、前記線路における列車の走行状態を検出することと、
を含み、
前記線路における列車の走行状態は、前記列車の走行方向及び加減速を含む、
線路監視方法。
【請求項8】
コンピュータに、
線路に敷設されたケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、光信号を受信する手順と、
前記光信号に基づいて、前記線路の状態に応じた振動パターンを検出し、検出された前記線路の状態に応じた振動パターンに基づいて、前記線路の異常状態を検出する
と共に、前記光信号に基づいて、前記線路における列車の走行状態に応じた振動パターンを検出し、検出された前記線路における列車の走行状態に応じた振動パターンに基づいて、前記線路における列車の走行状態を検出する手順と、
を実行させるためのプログラム
であって、
前記線路における列車の走行状態は、前記列車の走行方向及び加減速を含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、線路監視システム、線路監視装置、線路監視方法、及び非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、線路の異常検出は、人の手によって行われていることが多く、例えば、作業員が目視で、土砂崩れの発生、高速線路等への動物や人間等の侵入等を監視していた。しかし、人の手によって線路の異常検出を行う場合、コスト・時間が多大にかかり、異常の発見や対処が遅れてしまうことがある。
また、従来、線路における列車の走行状態は、線路に敷設された車軸カウンタで行っていた。しかし、車軸カウンタは、停電や音信不通等の影響によってリセットされてしまうという問題があった。
そのため、最近は、線路の異常や、線路における列車の走行状態を、光ファイバを用いて監視するシステムが提案されている(例えば、特許文献1~3)。
【0003】
特許文献1,2に記載の技術においては、線路に沿って光ファイバを敷設し、光ファイバ内の散乱光を周波数解析することで、線路における列車を検出している。このとき、特に列車を検出したい領域では、その領域を囲むように多重ループを形成し、光ファイバによる検出感度を向上させている。
【0004】
特許文献3に記載の技術においては、線路に沿って光ファイバを敷設し、光ファイバ内に誘起される音響信号を通じて、線路の異常(例えば、落石、地滑り等)、線路における列車の走行状態を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-114790号公報
【文献】特開2018-114792号公報
【文献】特表2018-504603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1,2に記載の技術は、線路における列車を検出するため、列車を検出したい領域を囲むように多重ループを形成することで、光ファイバによる検出感度を向上させた技術に過ぎない。
【0007】
また、特許文献3に記載の技術においては、光ファイバに強い応力がかかった場合の音響信号を監視することで線路の異常検出を行っている。
したがって、線路への落石、地滑り等の極端な状態は検出することができるものの、光ファイバへの応力にほとんど影響しないような状態の検出は困難であるという課題がある。
【0008】
一方、近年、IoT(Internet of Things)等の発展に伴い、線路の様々な環境変化等も検出する需要が高まっている。しかし、線路の環境変化等は、光ファイバへの応力への顕著な変化に現れない可能性が高い。
【0009】
また、特許文献3に記載の技術においては、音響信号を監視することで線路における列車の走行状態の検出を行っている。そのため、列車が走行しておらず、列車が停車している状態の検出は困難であるという課題がある。
【0010】
そこで本開示の目的は、上述した課題のいずれかを解決し、線路の異常状態又は線路における列車の走行状態のいずれかを高精度に検出することができる線路監視システム、線路監視装置、線路監視方法、及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様による線路監視システムは、
線路に敷設された通信用光ファイバを含むケーブルと、
前記ケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、光信号を受信する受信部と、
前記光信号に基づいて、前記線路の状態に応じたパターンを検出し、検出された前記線路の状態に応じたパターンに基づいて、前記線路の異常状態を検出する検出部と、
を備える。
【0012】
一態様による線路監視装置は、
線路に敷設されたケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、光信号を受信する受信部と、
前記光信号に基づいて、前記線路の状態に応じたパターンを検出し、検出された前記線路の状態に応じたパターンに基づいて、前記線路の異常状態を検出する検出部と、
を備える。
【0013】
一態様による線路監視方法は、
線路監視装置による線路監視方法であって、
線路に敷設されたケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、光信号を受信し、
前記光信号に基づいて、前記線路の状態に応じたパターンを検出し、検出された前記線路の状態に応じたパターンに基づいて、前記線路の異常状態を検出する。
【0014】
一態様による非一時的なコンピュータ可読媒体は、
コンピュータに、
線路に敷設されたケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、光信号を受信する手順と、
前記光信号に基づいて、前記線路の状態に応じたパターンを検出し、検出された前記線路の状態に応じたパターンに基づいて、前記線路の異常状態を検出する手順と、
を実行させるためのプログラムを格納した非一時的なコンピュータ可読媒体である。
【発明の効果】
【0015】
上述の態様によれば、線路の異常状態を高精度に検出することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態に係る線路監視システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】実施の形態に係る線路監視システムの構成の一例を示す図である。
【
図3】実施の形態に係る線路監視システムにおける方法A1で用いる、線路の状態に応じたパターンの一例を示す図である。
【
図4】実施の形態に係る線路監視システムにおける方法A1で用いる、線路の状態に応じたパターンの一例を示す図である。
【
図5】実施の形態に係る線路監視システムにおける方法A3による機械学習の一例を示す図である。
【
図6】実施の形態に係る異常レベル情報の一例を示す図である。
【
図7】実施の形態に係る線路監視システムにおける方法B1で用いる、線路における列車の走行状態に応じたパターンの一例を示す図である。
【
図8】実施の形態に係る線路監視システムにおける方法B1で用いる、線路における列車の走行状態に応じたパターンの一例を示す図である。
【
図9】実施の形態に係る線路監視システムにおける方法B1で用いる、線路における列車の走行状態に応じたパターンの一例を示す図である。
【
図10】実施の形態に係る線路監視システムにおける方法B1で用いる、線路における列車の走行状態に応じたパターンの一例を示す図である。
【
図11】実施の形態に係る線路監視システムにおける方法B1で用いる、線路における列車の走行状態に応じたパターンの一例を示す図である。
【
図12】実施の形態に係る線路監視システムにおける方法B3による機械学習の一例を示す図である。
【
図13】実施の形態に係る線路監視システムにおける方法C1で用いる、線路における列車の状態に応じたパターンの一例を示す図である。
【
図14】実施の形態に係る線路監視システムにおける方法C1で用いる、線路における列車の状態に応じたパターンの一例を示す図である。
【
図15】実施の形態に係る線路監視システムにおける方法C2で用いる、線路における列車の状態に応じたパターンの一例を示す図である。
【
図16】実施の形態に係る列車情報の一例を示す図である。
【
図17】実施の形態に係る検出部により検出された線路及び列車の異常状態に基づき実現可能なアプリケーションの一例を示す図である。
【
図18】実施の形態に係る線路監視装置を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図19】実施の形態に係る線路監視システムの動作フローの一例を示すフロー図である。
【
図20】他の実施の形態に係る線路監視システムの一例を示す図である。
【
図21】他の実施の形態に係る線路監視システムの他の例を示す図である。
【
図22】他の実施の形態に係る線路監視システムにおけるファイバセンシング部の配置の一例を示す図である。
【
図23】他の実施の形態に係る線路監視システムにおけるファイバセンシング部の配置の他の例を示す図である。
【
図24】他の実施の形態に係る線路監視システムにおけるファイバセンシング部の配置のさらに他の例を示す図である。
【
図25】他の実施の形態に係る線路監視システムにおけるファイバセンシング部の配置のさらに別の例を示す図である。
【
図26】
図22の線路監視システムにおける光ファイバケーブルの断線時のファイバセンシング部の動作の一例を示す図である。
【
図27】
図23の線路監視システムにおける光ファイバケーブルの断線時のファイバセンシング部の動作の一例を示す図である。
【
図28】
図25の線路監視システムにおける光ファイバケーブルの断線時のファイバセンシング部の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。
<実施の形態>
<実施の形態の構成>
まず、
図1及び
図2を参照して、本実施の形態に係る線路監視システムの構成について説明する。
【0018】
図1に示されるように、本実施の形態に係る線路監視システムは、線路10の異常状態を検出するものであり、光ファイバケーブル20及び線路監視装置33を備えている。また、
図2に示されるように、本実施の形態に係る線路監視システムは、線路10における列車の走行状態を検出することも行う。
【0019】
光ファイバケーブル20は、線路10に沿って敷設されている。
図1では、光ファイバケーブル20は、線路10の下に敷設されているが、これには限定されず、線路10の脇等に敷設されても良い。また、このとき、線路10の特に状態を検出したい位置については、例えば、光ファイバケーブル20をループを形成しながら敷設する等して、光ファイバケーブル20を密に設置しても良い。これにより、線路10の異常の検知率の向上を図れると共に、線路10における列車の走行状態の検出精度の向上を図れる。
光ファイバケーブル20は、1以上の通信用光ファイバを被覆して構成されるケーブルであり、一端は通信キャリア局舎30の内部に引き回されている。
【0020】
本実施の形態に係る線路監視システムは、光ファイバをセンサとして用いる光ファイバセンシング技術を利用して、線路10の異常状態及び線路10における列車の走行状態を検出する。
具体的には、通信キャリア局舎30の内部では、光ファイバケーブル20に含まれる通信用光ファイバにパルス光を入射する。すると、パルス光が線路10の方向に通信用光ファイバを伝送されることに伴い、伝送距離毎に後方散乱光が発生する。この後方散乱光は、同じ通信用光ファイバを経由して通信キャリア局舎30の内部に戻ってくる。
【0021】
ここで、線路10は、列車が走行したり、土砂崩れ等が発生したりすると振動し、線路10の振動は、通信用光ファイバに伝達される。また、線路10は、火災等が発生すると温度が上昇し、線路10の温度変化も、通信用光ファイバに伝達される。また、線路10は、線路10の異常等が発生すると異音が発生し、音の変化も、通信用光ファイバに伝達される。そのため、通信用光ファイバにおいて、線路10の振動、温度、及び音が伝達されるパターンは、線路10の状態(例えば、土砂崩れや落石の発生の有無、動物や人間等の侵入の有無、火災の発生の有無、地震の発生の有無、線路10や列車の破損の有無、異音の発生の有無、強風(例えば、台風や竜巻を含む)の発生の有無、水害の発生の有無等)や、線路10における列車の走行状態(例えば、種類、位置、速度、加減速等)や、線路10における列車の異常状態(例えば、破損、劣化等)に応じて異なっている。
【0022】
そのため、通信キャリア局舎30の内部に戻ってくる後方散乱光には、線路10の状態に応じたパターンや、線路10における列車の走行状態に応じたパターンや、線路10における列車の状態に応じたパターンが含まれる。
図1の例では、通信キャリア局舎30の内部に戻ってくる後方散乱光には、線路10の様々な位置の状態に応じたパターンや、線路10における列車の走行状態に応じたパターンや、線路10における列車の状態に応じたパターンが含まれることになる。
【0023】
本実施の形態に係る線路監視システムは、通信キャリア局舎30の内部に戻ってくる後方散乱光に、線路10の状態に応じたパターンが含まれることを利用して、その線路10の異常状態(例えば、土砂崩れや落石の発生、動物や人間等の侵入、火災の発生、地震の発生、線路10や列車の破損、異音の発生、強風の発生、水害の発生等)を検出するものである。
さらに、本実施の形態に係る線路監視システムは、通信キャリア局舎30の内部に戻ってくる後方散乱光に、線路10における列車の走行状態に応じたパターンが含まれることを利用して、その線路10における列車の走行状態(例えば、種類、位置、速度、加減速等)を検出するものである。
さらに、本実施の形態に係る線路監視システムは、通信キャリア局舎30の内部に戻ってくる後方散乱光に、線路10における列車の状態に応じたパターンが含まれることを利用して、線路10における列車の異常状態(例えば、破損、劣化等)を検出するものである。
【0024】
ここで、通信キャリア局舎30の内部においては、上述した線路監視装置33が設けられている。線路監視装置33は、本実施の形態の実現のために新規に設置された設備である。
【0025】
線路監視装置33は、光ファイバセンシング機器としての機能を備える他、線路10の状態を検出する機能を備える装置である。具体的には、線路監視装置33は、ファイバセンシング部331及び検出部332を備えている。ファイバセンシング部331は、受信部の一例である。
【0026】
ファイバセンシング部331は、光ファイバケーブル20に含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバにパルス光を入射する。このパルス光は、線路10の方向に伝送される。また、ファイバセンシング部331は、パルス光を入射した通信用光ファイバと同じ通信用光ファイバから、パルス光に対する後方散乱光を受信する。この後方散乱光は、線路10の方向から受信される。
【0027】
このとき、上述のように、ファイバセンシング部331により受信された後方散乱光は、線路10の状態に応じたパターンや、線路10における列車の走行状態に応じたパターンや、線路10における列車の状態に応じたパターンを含んでいる。また、
図1の例では、ファイバセンシング部331は、線路10の様々な位置にて発生した後方散乱光を時系列的に受信する。
【0028】
そのため、ファイバセンシング部331は、後方散乱光を受信すると、まず、その後方散乱光が発生した線路10の位置を特定する。さらに、ファイバセンシング部331は、特定された位置での振動の状態、温度の状態、音の状態等を検出する。
その上で、検出部332は、ファイバセンシング部331による後方散乱光の処理結果に基づいて、線路10の特定された位置の状態に応じたパターンを検出し、検出されたパターンに基づいて、線路10の特定された位置の異常状態を検出する。さらに、検出部332は、ファイバセンシング部331による後方散乱光の処理結果に基づいて、線路10における列車の走行状態に応じたパターンを検出し、検出されたパターンに基づいて、線路10における列車の走行状態を検出する。さらに、検出部332は、ファイバセンシング部331による後方散乱光の処理結果に基づいて、線路10における列車の状態に応じたパターンを検出し、検出されたパターンに基づいて、線路10における列車の異常状態を検出する。
【0029】
そこで以下では、まず、ファイバセンシング部331において、後方散乱光を受信した場合に、その後方散乱光が発生した位置を特定する方法について説明する。
【0030】
本実施の形態においては、ファイバセンシング部331は、通信用光ファイバにパルス光を入射した時刻と、同じ通信用光ファイバから後方散乱光を受信した時刻と、の時間差に基づいて、その後方散乱光が発生した発生位置を特定する。このとき、ファイバセンシング部331は、上述の時間差が小さいほど、ファイバセンシング部331から近くなるように、発生位置を特定する。
【0031】
続いて以下では、検出部332において、線路10の異常状態を検出する方法について説明する。
(A1)方法A1
まず、
図3及び
図4を参照して、線路10の異常状態を検出する方法A1について説明する。
図3及び
図4は、線路10の特定の位置を列車が通った際の線路10の振動データ(横軸が時間、縦軸が振動強度)を示している。また、
図3は、正常な線路10の振動データを示し、
図4は、時間が経過し劣化等の異常が発生している線路10の振動データを示している。
【0032】
ファイバセンシング部331は、通信用光ファイバから受信された後方散乱光が発生した線路10の位置を特定する処理を行う。さらに、ファイバセンシング部331は、その後方散乱光を分散型音響センサ(Distributed Acoustic Sensor)、分散型振動センサ(Distributed Vibration Sensor)、及び分散型温度センサ(Distributed Temperature Sensor)等にて検出することで、線路10の特定された位置での振動の状態、温度の状態、音の状態等を検出する処理を行う。
【0033】
そのため、検出部332は、ファイバセンシング部331による後方散乱光の処理結果に基づいて、線路10の状態に応じたパターンを検出する。このとき、検出部332は、例えば、線路10に発生する振動の強弱、振動位置、振動数の変動の推移等を検出することによって、この振動の動的な変動パターンを検出することが可能となる。また、検出部332は、線路10に発生する音や温度の動的な変動パターンも共に検出することによって、線路10の複合的な固有パターンを検出し、さらに高精度に劣化状態を検出することが可能となる。ここでは、具体的には、
図3及び
図4に示されるような、線路10の振動データを検出する。
図3及び
図4に示されるように、線路10の振動データは、線路10の異常状態に応じて異なるという動的な振動パターンとなる。具体的には、異常が発生している線路10の振動データ(
図4)は、正常な線路10の振動データ(
図3)と比較して、振動強度の振幅が大きくなる。
【0034】
そのため、検出部332は、線路10の異常状態を検出する場合、まず、線路10の振動データ(例えば、
図3及び
図4)を検出する。続いて、検出部332は、線路10の振動データにおいて、振動強度の振幅に基づいて、線路10の異常状態を検出する。
【0035】
(A2)方法A2
続いて、線路10の異常状態を検出する方法A2について説明する。
本方法A2では、検出部332は、線路10の状態に応じたパターンと、線路10の状態と、を対応付けた対応テーブルを保持している。そのため、検出部332は、線路10の異常状態を検出する場合、まず、線路10の状態に応じたパターンを検出する。続いて、検出部332は、上述の対応テーブルを用いて、上記で検出された線路10の状態に応じたパターンに対応する、線路10の状態を特定することにより、線路10が異常状態であるか否かを判定する。
【0036】
(A3)方法A3
続いて、線路10の異常状態を検出する方法A3について説明する。
本方法A3では、検出部332は、線路10の状態に応じたパターンを機械学習(例えば、深層学習等)し、機械学習の学習結果(初期学習モデル)を用いて、線路10の異常状態を検出する。
【0037】
まず、
図5を参照して、本方法A3における機械学習の方法について説明する。ここでは、線路10において、ファイバセンシング部331からの距離がxx[km]、yy[km]、zz[km]の3箇所のパターンを教師データとして学習する方法について説明する。
図5に示されるように、検出部332は、線路10の3箇所の異常度合いを示す異常レベル情報である教師データと、3箇所の状態に応じたパターンと、を入力する(ステップS1,S2)。
図6に、教師データとなる異常レベル情報の一例を示す。なお、
図6において、異常レベルは、数値が大きいほど、異常度合いが進行していることを示している。また、異常レベル情報は、検出部332が保持する。
【0038】
続いて、検出部332は、両者のマッチング及び分類を行って(ステップS3)、教師あり学習を行う(ステップS4)。これにより、初期学習モデルが得られる(ステップS5)。この初期学習モデルは、線路10の状態に応じたパターンを入力すると、線路10の状態が出力されるモデルとなる。
【0039】
続いて、本方法A3における線路10の異常状態を検出する方法について説明する。
検出部332は、線路10の異常状態を検出する場合、まず、線路10の状態に応じたパターンを検出する。続いて、検出部332は、そのパターンを初期学習モデルに入力する。これにより、検出部332は、初期学習モデルの出力結果として、線路10の状態が得られるため、線路10が異常状態であるか否かを判定する。
【0040】
続いて以下では、検出部332において、線路10における列車の走行状態を検出する方法について説明する。
(B1)方法B1
まず、
図7~
図11を参照して、線路10における列車の走行状態を検出する方法B1について説明する。
図7~
図11は、線路10における列車の走行状態に応じたパターンの一例を示す図である。
検出部332は、ファイバセンシング部331による処理結果に基づいて、線路10における列車の走行状態に応じたパターンを検出する。具体的には、
図7~
図11に示されるような、線路10における列車の走行状態に応じたパターンを検出する。
【0041】
以下、
図7~
図11に示される、線路10における列車の走行状態に応じたパターンについて詳細に説明する。なお、
図7~
図11は、パターン自体は同様である。
図7~
図11において、横軸は、ファイバセンシング部331からの距離、縦軸は、時間経過を示している。列車が走行し、列車の振動をファイバセンシング部331で検出すると、列車が走行していることがグラフ上に線で表される。例えば、列車が時間経過に従って走行していることは、グラフ上では斜めに1本の線で表される。以下、この線を「検出情報の線」と称す。検出情報の線に基づいて、列車の走行方向、走行速度、加減速、走行台数、走行間隔等を検出することができる。
【0042】
例えば、
図7に示されるように、検出情報の線の向きに基づいて、列車の走行方向を検出することができる。
図7の例では、領域Aにある列車と領域Bにある列車とで、走行方向が異なっている。
また、
図8に示されるように、円で囲んだ領域の検出情報の線の数に基づいて、列車の走行数を検出することができる。
また、
図9に示されるように、円で囲んだ領域の検出情報の線の傾きに基づいて、列車の走行速度を検出することができる。
また、
図10に示されるように、斜めに表された複数の検出情報の線の間隔に基づいて、列車の走行間隔を検出することができる。
また、
図11に示されるように、円で囲んだ領域の検出情報の線の傾きに基づいて、列車の加減速を検出することができる。
このように、
図7~
図11に示されるパターンは、線路10における列車の走行状態に応じた動的なパターンとなる。
【0043】
そのため、検出部332は、線路10における列車の走行状態を検出する場合、まず、
図7~
図11に示されるような、線路10における列車の走行状態に応じたパターンを検出する。続いて、検出部332は、
図7~
図11にて説明した方法で、線路10における列車の走行状態を検出する。また、検出部332は、
図7~
図11にて説明した方法で、線路10における複数の列車の走行状態を検出しても良い。
【0044】
(B2)方法B2
続いて、線路10における列車の走行状態を検出する方法B2について説明する。
本方法B2では、検出部332は、線路10における列車の走行状態に応じたパターンと、線路10における列車の走行状態と、を対応付けた対応テーブルを保持している。そのため、検出部332は、線路10における列車の走行状態を検出する場合、まず、線路10における列車の走行状態に応じたパターンを検出する。続いて、検出部332は、上述の対応テーブルを用いて、上記で取得した線路10における列車の走行状態に応じたパターンに対応する、線路10における列車の走行状態を特定する。
【0045】
(B3)方法B3
続いて、線路10における列車の走行状態を検出する方法B3について説明する。
本方法B3では、検出部332は、線路10における列車の走行状態に応じたパターンを機械学習(例えば、深層学習等)し、機械学習の学習結果(初期学習モデル)を用いて、線路10における列車の走行状態を検出する。
【0046】
まず、
図12を参照して、本方法B3における機械学習の方法について説明する。
図12に示されるように、検出部332は、線路10における列車の走行状態を示す教師データと、その線路10における列車の走行状態に応じたパターンと、を入力する(ステップS11,S12)。
【0047】
続いて、検出部332は、両者のマッチング及び分類を行って(ステップS13)、教師あり学習を行う(ステップS14)。これにより、初期学習モデルが得られる(ステップS15)。この初期学習モデルは、線路10における列車の走行状態に応じたパターンを入力すると、列車の走行状態が出力されるモデルとなる。
【0048】
続いて、本方法B3における、線路10における列車の走行状態を検出する方法について説明する。
検出部332は、線路10における列車の走行状態を検出する場合、まず、線路10における列車の走行状態に応じたパターンを検出する。続いて、検出部332は、そのパターンを初期学習モデルに入力する。これにより、検出部332は、初期学習モデルの出力結果として、列車の走行状態を得る。
【0049】
続いて以下では、検出部332において、線路10における列車の異常状態を検出する方法について説明する。
(C1)方法C1
まず、
図13及び
図14を参照して、線路10における列車の異常状態を検出する方法C1について説明する。
図13及び
図14は、線路10の特定の位置を列車が通った際の線路10の振動データ(横軸が時間、縦軸が振動強度)を示している。また、
図13は、正常な列車が通った際の線路10の振動データを示し、
図14は、時間が経過し劣化等の異常が発生している列車が通った際の線路10の振動データを示している。なお、
図13及び
図14は、列車が5両編成で、各車両に列車の進行方向に沿って2つの車輪が配置されている場合の振動データを示している。
【0050】
線路10において、通常、振動のパターンは、列車の車両の車輪(車軸)毎に発生する。この車輪から発生する振動のパターンが、正常な列車と異常が発生している列車とで異なるという動的なパターンとなる。
図13に示されるように、列車は5両編成であるため、車両毎の振動パターンが5つ発生する(
図13の5つの振動パターンのうち、一番左が1両目の車両の振動パターンとなり、一番右が5両目の車両の振動パターンとなる)。また、各車両において、車輪毎の振動が2つ発生する。
ここで、
図13と
図14とを対比すると、2両目の車両の振動のピークパターンが互いに異なり、
図14の方が、振動のピークが大きくなっている。そのため、
図14に示される2両目の車両の振動のピークパターンを異常パターンとして検出する。
【0051】
そのため、検出部332は、線路10における列車の異常状態を検出する場合、まず、その列車が通った際の線路10の振動データ(例えば、
図13及び
図14)を検出する。続いて、検出部332は、線路10の振動データにおいて、振動のピークパターンに基づいて、線路10における列車の異常状態を検出する。
【0052】
(C2)方法C2
続いて、
図15及び
図16を参照して、線路10における列車の異常状態を検出する方法C2について説明する。
図15は、線路10の特定の位置を列車が通った際の線路10の振動データ(横軸が時間、縦軸が振動強度)を示し、
図16は、線路10を通る列車の列車情報を示している。
【0053】
振動は、列車の車両の車種や重量によって異なるケースがある。すなわち、車両の車輪から発生する振動のパターンが、その車両の車種や重量に応じて異なる動的なパターンとなるケースがある。
そのため、検出部332は、列車毎に、その列車の列車情報(
図16)を予め保持すると共に、その列車が線路10の特定の位置の列車が通った際の振動データ(
図15)を予め保持しておく。なお、列車情報は、列車の車両毎の車種及び重量の情報を含む。また、重量は、車両自体の重量だけでなく、乗客数を加味した重量とするのが良い。
【0054】
そのため、検出部332は、線路10における列車の異常状態を検出する場合、まず、その列車が通った際の線路10の振動データ(例えば、
図15)を検出する。続いて、検出部332は、検出された振動データを、その列車について期待される、予め保持された振動データと比較し、予め保持された振動データから外れた車両があるか否かに基づいて、線路10における列車の異常状態を検出する。なお、検出部332は、後述のように、列車について期待される振動データを機械学習し、機械学習の学習結果(初期学習モデル)を用いて、線路10における列車の異常状態を検出しても良い。
【0055】
(C3)方法C3
続いて、線路10における列車の異常状態を検出する方法C3について説明する。
本方法C3では、検出部332は、線路10における列車の状態に応じたパターンと、線路10における列車の状態と、を対応付けた対応テーブルを保持している。そのため、検出部332は、線路10における列車の異常状態を検出する場合、まず、線路10における列車の状態に応じたパターンを検出する。続いて、検出部332は、上述の対応テーブルを用いて、上記で取得した線路10における列車の状態に応じたパターンに対応する、線路10における列車の異常状態を特定する。
【0056】
(C4)方法C4
続いて、線路10における列車の異常状態を検出する方法C4について説明する。
本方法C4では、検出部332は、線路10における列車の状態に応じたパターンを機械学習(例えば、深層学習等)し、機械学習の学習結果(初期学習モデル)を用いて、線路10における列車の異常状態を検出する。
【0057】
検出部332は、線路10における列車の状態に応じたパターンを機械学習し、機械学習の学習結果として初期学習モデルを予め得ておく。
検出部332は、線路10における列車の異常状態を検出する場合、まず、線路10における列車の状態に応じたパターンを検出する。続いて、検出部332は、そのパターンを初期学習モデルに入力する。これにより、検出部332は、初期学習モデルの出力結果として、線路10における列車の状態が得られるため、列車が異常状態であるか否かを判定する。
【0058】
なお、上述の方法A3,B3,C4では、線路10の状態に応じたパターンや列車の走行状態に応じたパターンや列車の状態に応じたパターンを機械学習し、機械学習の学習結果を用いて、線路10の異常状態や列車の走行状態や列車の異常状態を検出する。
データから線路10の異常状態や列車の走行状態や列車の異常状態を検出するための特徴を抽出することが、人間による解析では困難な場合がある。本方法A3,B3,C4では、大量のパターンから学習モデルを構築することにより、人間での解析では困難であった場合でも、線路10の異常状態や列車の走行状態や列車の異常状態を高精度に検出することができる。
【0059】
また、上述の方法A3,B3,C4における機械学習においては、初期状態では、2つ以上の教師データに基づいて、学習モデルを生成すれば良い。また、この学習モデルには、新たに検出されたパターンを、新たに学習させても良い。その際、新たな学習モデルから、線路10の異常状態や列車の走行状態や列車の異常状態を検出する詳細条件を調整しても良い。
【0060】
続いて以下では、
図17を参照して、検出部332により検出された線路10の異常状態及び線路10における列車の異常状態に基づいて実現可能なアプリケーションについて説明する。
検出部332により検出された線路10の異常状態に基づいて、例えば、以下の(a)~(g)のアプリケーションを実現することが可能である。以下、各アプリケーションについて説明する。
【0061】
(a)土砂崩れ、落石検知、動物や人間の侵入検知
課題及び効果:
土砂崩れ、落石の発生及び動物や人間等の侵入をリモートからリアルタイムで検知することにより、運転者への適切な通知、危険区域への対処を迅速に行うことが可能となる。
また、動物や人間等の侵入を検知した場合、動物や人間等が辿った経路を検知することも可能となる。
動作概要:
土砂崩れ、落石、動物や人間等の侵入等で発生する振動を、線路10の下に敷設された光ファイバケーブル20を介してモニタし、振動のパターンにより異常を判定する。
また、フェンスや山の斜面へ光ファイバケーブル20を敷設する形態でも良い。
【0062】
(b)線路内や沿線沿いの火災発生
課題及び効果:
火災が発生した状況をリモートからリアルタイムでモニタすることにより、迅速な消化活動及び危険区域へ進行しないようにすることが可能となる。
動作概要:
線路10の表面温度を、線路10沿いに敷設された光ファイバケーブル20を介してモニタし、特定温度以上であった場合を火災として検知する。
【0063】
(c)地震検知
課題及び効果:
広域の振動状況をモニタすることにより、地震の発生位置及び地震の伝搬を把握することが可能となる。地震の速報や迅速な状況把握をすることが可能となる。
動作概要:
線路10に埋設された光ファイバケーブル20の振動をモニタし、振動のパターンで地震の判定を行う。
【0064】
(d)線路10や列車の異常
課題及び効果:
線路10や列車の破損等の異常をリモートから検知することにより、人の手による検査の工数を軽減することが可能となる。
動作概要:
線路10を列車が通る際の振動を光ファイバケーブル20を介してモニタし、振動のパターンで線路10や列車の破損等の異常の判定を行う。
【0065】
(e)異音検知
課題及び効果:
線路10、列車、周辺構造物、及び線路周辺環境の異常をリモートから検知することにより、人の手による検査の工数を軽減することが可能となる。
動作概要:
線路10内外の音を光ファイバケーブル20を介してモニタし、特定のパターンを異音と判定する。
【0066】
(f)強風(台風や竜巻含む)の発生
課題及び効果:
線路10の沿線全体の風速をリモートから検知することにより、危険区域への列車の進行を回避することが可能となる。
動作概要:
線路10上の架線に沿って敷設された光ファイバケーブル20の振動から風速をモニタし、閾値を超えた風速を強風と判定する。
【0067】
(g)水害
課題及び効果:
線路10の沿線の水害状況をリモートから検知することにより、危険区域への列車の進行を回避することが可能となる。
動作概要:
線路10の沿線全体の温度状況から温度の変化が顕著に変化している位置を特定し、特定された位置に水害が発生していると判定する。
【0068】
続いて以下では、
図18を参照して、線路監視装置33を実現するコンピュータ40のハードウェア構成について説明する。
図18に示されるように、コンピュータ40は、プロセッサ401、メモリ402、ストレージ403、入出力インタフェース(入出力I/F)404、及び通信インタフェース(通信I/F)405などを備える。プロセッサ401、メモリ402、ストレージ403、入出力インタフェース404、及び通信インタフェース405は、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路で接続されている。
【0069】
プロセッサ401は、例えばCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ402は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。ストレージ403は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、またはメモリカードなどの記憶装置である。また、ストレージ403は、RAMやROM等のメモリであっても良い。
【0070】
ストレージ403は、線路監視装置33が備えるファイバセンシング部331及び検出部332の機能を実現するプログラムを記憶している。プロセッサ401は、これら各プログラムを実行することで、ファイバセンシング部331及び検出部332の機能をそれぞれ実現する。ここで、プロセッサ401は、上記各プログラムを実行する際、これらのプログラムをメモリ402上に読み出してから実行しても良いし、メモリ402上に読み出さずに実行しても良い。また、メモリ402やストレージ403は、ファイバセンシング部331及び検出部332が保持する情報やデータを記憶する役割も果たす。
【0071】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータ(コンピュータ40を含む)に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、CD-R(CD-Recordable)、CD-R/W(CD-ReWritable)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0072】
入出力インタフェース404は、表示装置4041や入力装置4042などと接続される。表示装置4041は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイのような、プロセッサ401により処理された描画データに対応する画面を表示する装置である。入力装置4042は、オペレータの操作入力を受け付ける装置であり、例えば、キーボード、マウス、及びタッチセンサなどである。表示装置4041及び入力装置4042は一体化され、タッチパネルとして実現されていても良い。なお、コンピュータ40は、分散型音響センサ、分散型振動センサ、及び分散型温度センサを含む不図示のセンサなども備え、このセンサを入出力インタフェース404に接続した構成であっても良い。
【0073】
通信インタフェース405は、外部の装置との間でデータを送受信する。例えば、通信インタフェース405は、有線通信路または無線通信路を介して外部装置と通信する。
【0074】
<実施の形態の動作>
以下、本実施の形態に係る線路監視システムの動作について説明する。ここでは、
図19を参照して、本実施の形態に係る線路監視システムの動作フローについて説明する。
【0075】
図19に示されるように、まず、ファイバセンシング部331は、光ファイバケーブル20に含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバにパルス光を入射する(ステップS21)。
続いて、ファイバセンシング部331は、パルス光を入射した通信用光ファイバと同じ通信用光ファイバから後方散乱光を受信する(ステップS22)。
【0076】
続いて、ファイバセンシング部331は、ステップS22で受信された後方散乱光を発生した線路10の位置を特定する(ステップS23)。このとき、ファイバセンシング部331は、上述した時間差に基づく方法を用いて、後方散乱光を発生した位置を特定すれば良い。さらに、ファイバセンシング部331は、線路10の特定された位置での振動の状態、温度の状態、音の状態等を検出する。
【0077】
続いて、検出部332は、ステップS22で受信された後方散乱光に基づいて、線路10における列車の走行状態に応じたパターンを検出する。より詳細には、そのパターンは、ファイバセンシング部331による後方散乱光の処理結果に基づいて検出する。その上で、検出部332は、検出されたパターンに基づいて、線路10における列車の走行状態を検出する(ステップS24)。このとき、検出部332は、上述した方法B1~B3のいずれかの方法を用いて、線路10における列車の走行状態を検出すれば良い。
【0078】
続いて、検出部332は、ステップS22で受信された後方散乱光に基づいて、ステップS23で特定された線路10の位置の状態に応じたパターンを検出する。より詳細には、そのパターンは、ファイバセンシング部331による後方散乱光の処理結果に基づいて検出する。その上で、検出部332は、検出されたパターンに基づいて、ステップS23で特定された線路10の位置の異常状態を検出する(ステップS25)。このとき、検出部332は、上述した方法A1~A3のいずれかの方法を用いて、異常状態を検出すれば良い。
【0079】
その後、検出部332は、ステップS22で受信された後方散乱光に基づいて、ステップS23で特定された線路10の位置を通過した列車の状態に応じたパターンを検出する。より詳細には、そのパターンは、ファイバセンシング部331による後方散乱光の処理結果に基づいて検出する。その上で、検出部332は、検出されたパターンに基づいて、ステップS23で特定された線路10の位置を通過した列車の異常状態を検出する(ステップS26)。このとき、検出部332は、上述した方法C1~C4のいずれかの方法を用いて、異常状態を検出すれば良い。
【0080】
なお、
図19においては、ステップS22において、後方散乱光を受信する度に、ステップS23~S26の処理を行っても良い。又は、ステップS22において、後方散乱光を複数受信した後、後方散乱光毎に、ステップS23~S26の処理を行っても良い。又は、ステップS22,S23において、後方散乱光を複数受信し、各々の発生位置を特定した後、ステップS24,S26の処理を行っても良い。
【0081】
<実施の形態の効果>
上述したように本実施の形態によれば、光ファイバケーブル20に含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから後方散乱光(光信号)を受信し、受信された後方散乱光に基づいて、線路10の状態に応じたパターンを検出し、検出されたパターンに基づいて、線路10の異常状態を検出する。このように、本実施の形態によれば、例えば、線路10に発生する振動の変化を動的に(例えば、振動の強弱の変化の推移等)パターン分析することで、線路10の異常状態を検出する。そのため、線路10の異常状態を高精度に検出することができる。
【0082】
また、本実施の形態によれば、受信された後方散乱光に基づいて、線路10における列車の走行状態に応じたパターンを検出し、検出されたパターンに基づいて、線路10における列車の走行状態を検出する。このように、本実施の形態によれば、線路10の異常状態の検出と同様に、例えば、線路10に発生する振動の変化を動的にパターン分析することで、線路10における列車の走行状態を検出する。そのため、線路10における列車の走行状態を高精度に検出することができる。
【0083】
また、本実施の形態によれば、受信された後方散乱光に基づいて、線路10における列車の状態に応じたパターンを検出し、検出されたパターンに基づいて、線路10における列車の異常状態を検出する。このように、本実施の形態によれば、線路10の異常状態の検出と同様に、例えば、線路10に発生する振動の変化を動的にパターン分析することで、線路10における列車の異常状態を検出する。そのため、線路10における列車の異常状態を高精度に検出することができる。
【0084】
また、本実施の形態によれば、線路10の異常状態や列車の走行状態を検出するには、既存の通信用光ファイバがあれば良い。したがって、線路10の異常状態や列車の走行状態を検出するための専用構造を必要としないため、線路監視システムを安価に構築することができる。
【0085】
また、本実施の形態によれば、既存の通信用光ファイバを用いて、一斉かつリモートで複数の線路10の異常状態を検出することができるため、線路10の状態把握が容易となると共に、線路10の状態把握のためのコストも低減することができる。
【0086】
また、本実施の形態によれば、光ファイバをセンサとして用いる光ファイバセンシング技術を利用する。そのため、電磁ノイズの影響を受けない、センサへの給電が不要になる、環境耐性に優れる、メンテナンスが容易になる等の利点が得られる。
【0087】
<他の実施の形態>
なお、検出部332は、線路10の位置毎に、上記で検出された線路10の異常状態を保持することとし、定期的に(例えば、1年毎)、その位置の異常状態を検出することで、その位置の異常状態の経時的な状態変化を検出しても良い。
【0088】
また、検出部332は、線路10の位置の異常状態の経時的な状態変化に基づいて、その位置の異常又は破損の予兆を検出しても良い。
【0089】
また、検出部332により異常と検出された線路10の位置の部分を、分析者が実際に分解して、実際の異常レベルを判定しても良い。このとき、検出部332が検出した異常レベルと、分析者が判定した異常レベルと、に差分があれば、その差分を検出部332にフィードバックしても良い。この場合、検出部332は、以降、実際の異常レベルに近づくように、線路10の異常状態を検出するため、検出精度の向上が図れる。
【0090】
また、検出部332は、線路10における列車の走行状態として、各列車の位置、走行速度、加減速の度合い等に基づいて、列車同士の衝突を予見しても良い。
【0091】
また、検出部332において、上述の方法A3により、線路10の状態に応じたパターンを機械学習する場合、地域によっても線路10の状態は異なると考えられる。例えば、温暖地と寒冷地とで状態は異なると考えられる。上述の方法B3により、線路10における列車の走行状態に応じたパターンを機械学習する場合、地域によっても列車の走行状態は異なると考えられる。そのため、検出部332は、地域毎に、その地域に応じた教師データを用いて、機械学習しても良い。
【0092】
また、上述の実施の形態では、既存の光ファイバケーブル20を用いることを想定したが、
図20に示されるように、光ファイバケーブル20を新設し、新設した光ファイバケーブル20にデータ収集部34を接続しても良い。データ収集部34も、線路10のパターン(例えば、音、温度、振動等)のデータを収集し、収集したデータを検出部332に送信する。このとき、データ収集部34から検出部332へデータの送信は、光ファイバケーブル20を介して行っても良いし、別に設けた無線機を介して行っても良い。検出部332は、データ収集部34及びファイバセンシング部331が収集したデータに基づいて、線路10の異常状態及び列車の走行状態を検出する。そのため、検出精度の向上を図ることができる。
【0093】
また、
図21に示されるように、線路監視装置33による検出結果に基づいて、線路10における列車の運行を管理する列車運行システム50を設けても良い。列車運行システム50は、送信部の一例である。列車運行システム50は、線路10や列車の異常状態や、線路10における列車の走行状態に基づいて、列車の走行を制御する列車用制御信号を、列車の運転者に対し、ハイウェイラジオ、その線路10上の情報盤、インターネット、アプリケーション等を介して、送信しても良い。例えば、列車運行システム50は、線路10や列車の異常状態が検出された場合や、列車同士の衝突が予見された場合、該当する列車の運転者に対し、列車の緊急停止を指示する列車用制御信号を送信することが考えられる。また、列車運行システム50は、システム管理者等に対し、線路10や列車の異常状態、線路10や列車の異常状態の経時的な状態変化、線路10や列車の異常又は破損の予兆等を提示しても良い。また、列車運行システム50は、線路監視装置33による検出結果に基づいて、線路10の補修時期や列車の修理時期を算出し、システム管理者等に対し、線路10の補修時期を提示しても良い。また、列車運行システム50は、通信キャリア局舎30の外部に設けているが、機能の一部(例えば、送信部の機能等)を通信キャリア局舎30の内部に設けても良い。また、列車運行システム50を通信キャリア局舎30の外部に設ける場合、複数の通信キャリア局舎30の各々に光ファイバケーブル20により接続されている線路10を、1つの列車運行システム50で集中的に監視しても良い。
【0094】
また、線路監視装置33のファイバセンシング部331及び検出部332を互いに分離して設けても良い。例えば、通信キャリア局舎30の内部には、ファイバセンシング部331のみを設け、検出部332を含む線路監視装置33を、通信キャリア局舎30の外部に設けても良い。
【0095】
また、上述の実施の形態では、ファイバセンシング部331は、1つのみ設けられ、また、光ファイバケーブル20を占有しているが、これには限定されない。ここで、
図22~
図25を参照して、他の実施の形態に係る線路監視システムにおけるファイバセンシング部331の配置について説明する。なお、
図22~
図25においては、検出部332の図示は省略されている。
【0096】
図22の例では、ファイバセンシング部331は、既存の通信設備31と光ファイバケーブル20を共有している。また、ファイバセンシング部331及び既存の通信設備31で光ファイバケーブル20を共有するため、信号分離のためのフィルタ32が設けられている。
【0097】
図23の例では、複数の通信キャリア局舎30(
図23では、2つの通信キャリア局舎30A,30Z)の各々に、ファイバセンシング部331が1つずつ設けられている。具体的には、通信キャリア局舎30A,30Zの内部にファイバセンシング部331A,331Zがそれぞれ設けられている。なお、
図23の例では、通信キャリア局舎30Aには、線路10Aが光ファイバケーブル20により接続され、通信キャリア局舎30Zには、線路10Bが光ファイバケーブル20により接続され、線路10A,10Bが光ファイバケーブル20により接続されている。通信設備31A,31Zは通信設備31に対応し、フィルタ32A,32Zはフィルタ32に対応する。
図23の例では、ファイバセンシング部331A,331Zが共に、線路10A,10Bをモニタする。
【0098】
図24の例では、
図23と比較して、線路10Aの付近にデータ収集部34が設けられている。ここでは、線路10A,10Bに対して、データ収集部34が1個のみ設けられているが、データ収集部34は、所定数の線路10に対して1個、又は、線路10の所定線路長に対して1個設けることとし、1個以上設ければ良い。
【0099】
図24の例では、各データ収集部34は、対応する線路10のパターン(例えば、音、温度、振動等)のデータを収集し、検出部332は、各データ収集部34が収集したデータを集約する。このとき、各データ収集部34から検出部332へデータの送信は、光ファイバケーブル20を介して行っても良いし、別に設けた無線機を介して行っても良い。検出部332は、データ収集部34がデータを収集した線路10については、そのデータに基づいて異常状態や列車の走行状態を検出する。
【0100】
そのため、1つのファイバセンシング部331のモニタ区間が短くなり、モニタ対象の線路10の数や線路長が減少する。ファイバセンシング部331のモニタ区間が短いことにより、パルス光及び後方散乱光の伝送距離が短くなるため、ファイバ損失が小さくなる。これにより、受信する後方散乱光のS/N比(signal-to-noise ratio)が改善し、モニタ精度の向上を図ることができる。また、ファイバセンシング部331のモニタ対象の線路10の数や線路長が減少することにより、モニタ周期の向上を図ることができる。
【0101】
図25の例では、1つの通信キャリア局舎30AZに、複数のファイバセンシング部331(
図25では、2つのファイバセンシング部331A,331Z)が設けられている。なお、
図25の例では、ファイバセンシング部331Aには、線路10Aが光ファイバケーブル20により接続され、ファイバセンシング部331Zには、線路10Bが光ファイバケーブル20により接続され、線路10A,10Bが光ファイバケーブル20により接続されている。通信設備31A,31Zは通信設備31に対応し、フィルタ32A,32Zはフィルタ32に対応する。
【0102】
図25の例では、ファイバセンシング部331A,331Zが共に、線路10A,10Bをモニタする。ただし、ファイバセンシング部331Aは、時計回りの方向にパルス光を入射して、これら線路10をモニタし、ファイバセンシング部331Zは、反時計回りの方向にパルス光を入射して、これら線路10をモニタする。
【0103】
なお、
図23~
図25のように、複数のファイバセンシング部331を設ける場合、複数のファイバセンシング部331に対して、検出部332を含む線路監視装置33を1つ設けても良い。そして、複数のファイバセンシング部331の各々に光ファイバケーブル20により接続されている線路10の状態を、1つの線路監視装置33で集中的に検出しても良い。この場合、線路監視装置33は、通信キャリア局舎30のいずれかの内部に設けても良いし、通信キャリア局舎30の外部に設けても良い。
【0104】
また、線路10に敷設されている光ファイバケーブル20は、断線する可能性がある。そこで、
図26~
図28を参照して、他の実施の形態に係る線路監視システムにおける光ファイバケーブル20の断線時のファイバセンシング部331の動作について説明する。なお、
図26~
図28においては、検出部332の図示は省略されている。
【0105】
図26の例は、
図22の構成において、線路10の光ファイバケーブル20が断線した例である。ファイバセンシング部331は、光ファイバケーブル20が断線した場合でも、パルス光を光ファイバケーブル20に入射し続ける。これにより、通信キャリア局舎30は、断線された位置までの区間において、継続してモニタをすることが可能である。
【0106】
図27の例は、
図23の構成において、線路10Aの光ファイバケーブル20が断線した例である。ファイバセンシング部331A,331Zは、光ファイバケーブル20が断線した場合でも、パルス光を光ファイバケーブル20に入射し続ける。このとき、線路10は必ず2つ以上の通信キャリア局舎30(
図27では、2つの通信キャリア局舎30A,30Z)と接続されている。そのため、通信キャリア局舎30A,30Zが双方向からモニタを行うことにより、1重障害においては、全区間を継続してモニタすることができる冗長構成を構築可能である。
【0107】
図28の例は、
図25の構成において、線路10Aの光ファイバケーブル20が断線した例である。ファイバセンシング部331A,331Zは、光ファイバケーブル20が断線した場合でも、パルス光を光ファイバケーブル20に入射し続ける。このとき、
図28の例では、光ファイバケーブル20をリング状に接続したリング構成が構築されている。そのため、1つの通信キャリア局舎30AZからリングの双方向にモニタを行うことにより、1重障害においては、全区間を継続してモニタすることができる冗長構成を構築可能である。
【0108】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0109】
また、上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
線路に敷設された通信用光ファイバを含むケーブルと、
前記ケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、光信号を受信する受信部と、
前記光信号に基づいて、前記線路の状態に応じたパターンを検出し、検出された前記線路の状態に応じたパターンに基づいて、前記線路の異常状態を検出する検出部と、
を備える線路監視システム。
(付記2)
前記受信部は、
前記光信号に基づいて、前記光信号が発生した前記線路の位置を特定し、
前記検出部は、
前記検出された前記線路の状態に応じたパターンに基づいて、前記特定された前記線路の位置の異常状態を検出する、
付記1に記載の線路監視システム。
(付記3)
前記検出部は、
前記光信号に基づいて、前記線路における列車の走行状態に応じたパターンを検出し、検出された前記線路における列車の走行状態に応じたパターンに基づいて、前記線路における列車の走行状態を検出する、
付記1又は2に記載の線路監視システム。
(付記4)
前記検出部は、
前記光信号に基づいて、前記線路における列車の状態に応じたパターンを検出し、検出された前記線路における列車の状態に応じたパターンに基づいて、前記線路における列車の異常状態を検出する、
付記3に記載の線路監視システム。
(付記5)
前記検出された前記線路の異常状態、前記線路における列車の走行状態、及び前記線路における列車の異常状態に基づいて、列車の運転者に対し、列車の走行を制御する列車用制御信号を送信する送信部をさらに備える、
付記4に記載の線路監視システム。
(付記6)
前記送信部は、
前記線路もしくは列車の異常状態が検出された場合、又は、前記線路における列車の走行状態として、列車同士の衝突が予見された場合、該当する列車の運転者に対し、列車の緊急停止を指示する前記列車用制御信号を送信する、
付記5に記載の線路監視システム。
(付記7)
線路に敷設されたケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、光信号を受信する受信部と、
前記光信号に基づいて、前記線路の状態に応じたパターンを検出し、検出された前記線路の状態に応じたパターンに基づいて、前記線路の異常状態を検出する検出部と、
を備える線路監視装置。
(付記8)
前記受信部は、
前記光信号に基づいて、前記光信号が発生した前記線路の位置を特定し、
前記検出部は、
前記検出された前記線路の状態に応じたパターンに基づいて、前記特定された前記線路の位置の異常状態を検出する、
付記7に記載の線路監視装置。
(付記9)
前記検出部は、
前記光信号に基づいて、前記線路における列車の走行状態に応じたパターンを検出し、検出された前記線路における列車の走行状態に応じたパターンに基づいて、前記線路における列車の走行状態を検出する、
付記7又は8に記載の線路監視装置。
(付記10)
前記検出部は、
前記光信号に基づいて、前記線路における列車の状態に応じたパターンを検出し、検出された前記線路における列車の状態に応じたパターンに基づいて、前記線路における列車の異常状態を検出する、
付記9に記載の線路監視装置。
(付記11)
線路監視装置による線路監視方法であって、
線路に敷設されたケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、光信号を受信し、
前記光信号に基づいて、前記線路の状態に応じたパターンを検出し、検出された前記線路の状態に応じたパターンに基づいて、前記線路の異常状態を検出する、
線路監視方法。
(付記12)
コンピュータに、
線路に敷設されたケーブルに含まれる少なくとも1つの通信用光ファイバから、光信号を受信する手順と、
前記光信号に基づいて、前記線路の状態に応じたパターンを検出し、検出された前記線路の状態に応じたパターンに基づいて、前記線路の異常状態を検出する手順と、
を実行させるためのプログラムを格納した非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0110】
この出願は、2018年12月3日に出願された日本出願特願2018-226683を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0111】
10,10A,10B 線路
20 光ファイバケーブル
30,30A,30Z,30AZ 通信キャリア局舎
31,31A,31Z 通信設備
32,32A,32Z フィルタ
33 線路監視装置
331,331A,331Z ファイバセンシング部
332 検出部
34 データ収集部
40 コンピュータ
401 プロセッサ
402 メモリ
403 ストレージ
404 入出力インタフェース
4041 表示装置
4042 入力装置
405 通信インタフェース
50 列車運行システム