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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】画像表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20221213BHJP
   B29C 65/48 20060101ALI20221213BHJP
   B29C 65/70 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G09F9/00 342
B29C65/48
B29C65/70
G09F9/00 313
G09F9/00 366A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021081598
(22)【出願日】2021-05-13
(62)【分割の表示】P 2017034749の分割
【原出願日】2017-02-27
(65)【公開番号】P2021131567
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000224
【氏名又は名称】弁理士法人田治米国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 孝夫
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-026887(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105045348(CN,A)
【文献】国際公開第2013/057958(WO,A1)
【文献】特開2015-085317(JP,A)
【文献】特開2015-200724(JP,A)
【文献】特開2014-134789(JP,A)
【文献】特開2016-194670(JP,A)
【文献】国際公開第2014/021192(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0002973(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0146390(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
C09J1/00-5/10
9/00-201/10
G02F1/133-1/1335
1/13363
1/1339-1/1341
1/1347
G09F9/00-9/46
H01L27/32
51/50
H05B33/00-33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示部材と湾曲した光透過性カバー部材とが光硬化樹脂層を介して積層されている画像表示装置の当該光透過性カバー部材の凹部面側の幅が画像表示部材の幅より大きく、画像表示装置を断面視したときに、該光硬化樹脂層の最大厚みが、該光透過性カバー部材の凹部面底部から該光透過性カバー部材の凹部面側両端角を結んだ直線までの距離に相当する厚さよりも厚くなっている画像表示装置の製造方法において、
以下の工程(A)~(F):
<工程(A)>
湾曲した光透過性カバー部材の凹部面に光硬化性樹脂組成物を充填する工程;
<工程(B)>
工程(A)で充填された光硬化性樹脂組成物に対し紫外線を照射して仮硬化させて第1仮硬化樹脂層を形成する工程;
<工程(C)>
画像表示部材の片面に、所定厚の光硬化性樹脂組成物を塗布する工程;
<工程(D)>
工程(C)で塗布された光硬化性樹脂組成物に対し紫外線を照射して仮硬化させて第2仮硬化樹脂層を形成する工程;
<工程(E)>
第1仮硬化樹脂層と第2仮硬化樹脂層とが向き合うように、湾曲した光透過性カバー部材と画像表示部材とを積層する工程;
<工程(F)>
第1仮硬化樹脂層及び第2仮硬化樹脂層に対し紫外線を照射して本硬化させてそれぞれ第1光硬化樹脂層及び第2光硬化樹脂層とすることにより、それらが積層された光硬化樹脂層を形成する工程;
を有する製造方法。
【請求項2】
工程(A)において、湾曲した光透過性カバー部材の凹部面に、該凹部面の底部から画像表示部材が光透過性カバー部材に接触すると想定される2点を結んだ基準線まで光硬化性樹脂組成物を充填し、工程(C)において、画像表示部材の片面に、該基準線から該光透過性カバー部材の凹部面側両端角を結んだ直線までの距離に相当する厚さよりも厚くなるように光硬化性樹脂組成物を塗布する、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
工程(B)の第1仮硬化樹脂層及び工程(D)の第2仮硬化樹脂層の硬化率が、それぞれ10%以上90%以下であり、工程(F)の光硬化樹脂層の硬化率が90%より大きく100%以下である請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
工程(A)の充填に先立ち、湾曲した光透過性カバー部材の凹部面側の基準線まで光硬化性樹脂組成物を充填可能とするダム部材を、当該凹部面に設ける請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
工程(E)と工程(F)との間で、加圧脱泡処理を行う請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
画像表示部材が、液晶表示パネル、有機EL表示パネル、プラズマ表示パネル又はタッチパネルである請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
光硬化性樹脂組成物が、エラストマー及びアクリレート系オリゴマーの少なくとも一方と、アクリル系モノマーと、光重合開始剤とを含有する液状の樹脂組成物であって、
エラストマーが、アクリル共重合体、ポリブテン及びポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも一種であり、
アクリレート系オリゴマーが、ポリウレタン系(メタ)アクリレート、ポリブタジエン系(メタ)アクリレート及びポリイソプレン系(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも一種である請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネル等の画像表示部材と、その表面側に配される湾曲した透明保護シート等の光透過性カバー部材とが、光透過性の光硬化樹脂層を介して積層されている画像表示装置、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーションなどの車載用情報端末に用いられている画像表示装置は、フラットな光透過性カバー部材に光硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線照射により仮硬化させて仮硬化樹脂層を形成した後、仮硬化樹脂層に液晶表示パネルや有機ELパネル等のフラットな画像表示部材を積層し、続いて仮硬化樹脂層に対し紫外線照射を再度行うことにより本硬化させて光硬化樹脂層とすることにより製造されている(特許文献1)。
【0003】
ところで、車載用情報端末用の画像表示装置の意匠性やタッチ感を向上させるために、一方向に湾曲した形状の光透過性カバー部材を用いることが求められるようになっている。このため、このような画像表示装置を特許文献1に記載の製造方法に準じて製造することが試みられている。例えば、湾曲した光透過性カバー部材100の凹部側表面100aに光硬化性樹脂組成物101を塗布し(図4A)、紫外線を照射して仮硬化樹脂層102を形成し(図4B)、その仮硬化樹脂層102に平坦な画像表示部材103を積層することにより製造することが試みられているが(図4C)、多くの場合、画像表示部材103の角103aが光透過性カバー部材100の凹部面100aに線接触するように積層されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-119520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、光硬化性樹脂組成物を紫外線照射により光硬化させると硬化収縮が生じるが、フラットな光透過性カバー部材にフラットな画像表示部材を積層する特許文献1の製造方法の場合には、面方向の光硬化性樹脂組成物の塗布厚が約150μm程度と薄くしかも均一であるため、光硬化樹脂層が硬化収縮してもボイドが発生し難く、画像品質に対する光硬化樹脂層の残留応力の影響を無視できるものであった。
【0006】
一方、一方向に湾曲した形状の光透過性カバー部材の凹部面に光硬化性樹脂組成物を塗布した場合、湾曲していない辺近傍の光硬化性樹脂組成物の塗布厚は0~500μm程度になるが、凹部面の中央部の光硬化性樹脂組成物の塗布厚は湾曲していない辺近傍の塗布厚より非常に厚くなり、場合により数mm厚程度にまで厚くなる。このため、凹部面の中央部では、光硬化性樹脂組成物の硬化収縮が著しく大きなものとなり、結果的に中央部には凹みが形成され、組み上げた画像表示装置の表示面に空隙が生じ、また、空隙が生じないまでも、光硬化樹脂層の残留応力により表示に色ムラが生ずるということが懸念されている。
【0007】
本発明の目的は、以上の従来の技術の問題点を解決することであり、画像表示部材とその表面側に配される湾曲した光透過性カバー部材とを光硬化性樹脂組成物の光硬化樹脂層を介して積層して画像表示装置を製造する際に、組み上げた画像表示装置の表示面に空隙が生じないようにし、また、空隙が生じないまでも、光硬化樹脂層の残留応力により表示に色ムラが生じないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、画像表示部材と、湾曲した光透過性カバー部材とが、光硬化樹脂層を介して積層されている画像表示装置において、透過性カバー部材の凹部面側の幅を画像表示部材の幅より大きくし、且つそれらを積層している光硬化樹脂層の最大厚みを、画像表示部材が光透過性カバー部材に接触しない厚さとすることにより、画像表示装置の表示面に空隙が生じないようにでき、また、光硬化樹脂層の残留応力を低減させて表示の色ムラが生じないようにできることを見出した。
【0009】
更に本発明者は、そのような画像表示装置を製造する場合に、画像表示部材が光透過性カバー部材に接触しない厚さになるように光硬化樹脂層の最大厚みをコントロールするためには、(イ)湾曲した光透過性カバー部材については、その凹部面に、画像表示装置を断面視したときに光透過性カバー部材の凹部面側の幅よりも狭い幅の画像表示部材が光透過性カバー部材に接触すると想定される2つの接触点を結んだ基準線まで光硬化性樹脂組成物を充填し、紫外線照射してベース厚を有する第1の仮硬化樹脂層を形成し、(ロ)他方、画像表示部材については、意図した光硬化樹脂層の最大厚みから、光透過性カバー部材側の仮硬化樹脂層の基準線までの最大厚みを減じて得られる厚みに相当する厚みで、光硬化性樹脂組成物を平坦な画像表示部材に塗布し、紫外線照射して第2の仮硬化樹脂層を形成し、(ハ)それらの仮硬化樹脂層を貼り合わせ、更に紫外線照射して本硬化させることにより、基準線までの最大厚みを超える所定の最大厚さにコントロールされた光硬化樹脂層を形成できることを見出し、本発明の製造方法を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本発明は、画像表示部材と、湾曲した光透過性カバー部材とが、光硬化樹脂層を介して積層されている画像表示装置であって、
光透過性カバー部材の凹部面側の幅が、画像表示部材の幅より大きく、
光硬化樹脂層の最大厚みが、画像表示部材が光透過性カバー部材に接触しない厚さである画像表示装置を提供する。
【0011】
また、本発明は、上述の画像表示装置の製造方法において、
以下の工程(A)~(F):
<工程(A)>
湾曲した光透過性カバー部材の凹部面に、画像表示装置を断面視したときに光透過性カバー部材の凹部面側の幅よりも狭い幅の画像表示部材が光透過性カバー部材に接触すると想定される2つの接触点を結んだ基準線まで光硬化性樹脂組成物を充填する工程;
<工程(B)>
工程(A)で充填された光硬化性樹脂組成物に対し紫外線を照射して仮硬化させて第1仮硬化樹脂層を形成する工程;
<工程(C)>
画像表示部材の片面に、所定厚の光硬化性樹脂組成物を塗布する工程;
<工程(D)>
工程(C)で塗布された光硬化性樹脂組成物に対し紫外線を照射して仮硬化させて第2仮硬化樹脂層を形成する工程;
<工程(E)>
第1仮硬化樹脂層と第2仮硬化樹脂層とが向き合うように、湾曲した光透過性カバー部材と画像表示部材とを積層する工程;
<工程(F)>
第1仮硬化樹脂層及び第2仮硬化樹脂層に対し紫外線を照射して本硬化させてそれぞれ第1光硬化樹脂層及び第2光硬化樹脂層とすることにより、それらが積層された光硬化樹脂層を形成する工程;
を有する製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像表示装置は、画像表示部材と、湾曲した光透過性カバー部材とが、光硬化樹脂層を介して積層されており、透過性カバー部材の凹部面側の幅が画像表示部材の幅より大きく、且つそれらを積層している光硬化樹脂層の最大厚みが、画像表示部材が光透過性カバー部材に接触しない厚さとなっている。このため、画像表示装置の表示面に空隙が生じないようにでき、また、光硬化樹脂層の残留応力を低減させて表示の色ムラが生じないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の画像表示装置の断面図である。
図2A図2Aは、光透過性カバー部材の説明図である。
図2B図2Bは、光透過性カバー部材の説明図である。
図2C図2Cは、光透過性カバー部材の説明図である。
図2D図2Dは、光透過性カバー部材の説明図である。
図2E図2Eは、光透過性カバー部材の説明図である。
図2F図2Fは、光透過性カバー部材の説明図である。
図3A図3Aは、本発明の製造方法の工程(A)の説明図である。
図3B図3Bは、本発明の製造方法の工程(B)の説明図である。
図3C図3Cは、本発明の製造方法の工程(C)の説明図である。
図3D図3Dは、本発明の製造方法の工程(D)の説明図である。
図3E図3Eは、本発明の製造方法の工程(E)の説明図である。
図3F図3Fは、本発明の製造方法の工程(F)の説明図である。
図4A図4Aは、従来の画像表示装置の製造方法の説明図である。
図4B図4Bは、従来の画像表示装置の製造方法の説明図である。
図4C図4Cは、従来の画像表示装置の製造方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の画像表示装置とその製造方法について、図面を参照しつつ詳細に説明する。まず画像表示装置から説明する。
【0015】
図1に示す、本発明の画像表示装置10は、画像表示部材1と、湾曲した光透過性カバー部材2とが、光硬化樹脂層3を介して積層されている構造を有している。光透過性カバー部材2の湾曲の程度は、画像表示装置10の使用目的などに応じて適宜設定することができる。この画像表示装置10においては、光透過性カバー部材の凹部面側の幅Y(例えば、50~150mm、より一般的には85~100mm)が、画像表示部材1の幅Xより大きくなっており(例えば、5~30mm、より一般的には10~25mm程度大きくなっており)、光硬化樹脂層3の最大厚みhm(例えば、0.5~4.0mm、より現実的には1.6~3.5mm)が、画像表示部材1が光透過性カバー部材2に接触しない厚さとなっている。具体的には、図1に示すように、画像表示装置10を断面視したときに、光透過性カバー部材2の凹部面底部Bから、光硬化樹脂層3が存在しない場合に画像表示部材1が光透過性カバー部材2に接触すると想定される2つの接触点P1及びP2を結んだ基準線L0までの距離h0(例えば、0.3~3.5mm、より現実的には1.5~3.4mm)よりも、光硬化樹脂層3の最大厚みhmが厚くなっている。このような構造とすることにより、光硬化樹脂層3が硬化収縮しても、画像表示部材1が光透過性カバー部材2に接触していないので、光硬化樹脂層3自体で応力を緩和でき、しかも画像表示部材1の変形・移動が過度に制限されないため、画像表示装置10の表示面の空隙の発生と、表示の色ムラの発生とを抑制することができる。
【0016】
光硬化樹脂層3の形成に関し、光硬化性樹脂組成物を、光透過性カバー部材2の凹部面に一度で必要な厚みで過不足なく塗布することは不可能ではないが、非常に困難である。特に、光硬化樹脂層3の最大厚みhmが、光透過性カバー部材2の凹部面底部Bから光透過性カバー部材2の凹部面側の角P3とP4とを結んだ直線L1までの距離h1(例えば3.0~4.2mm)よりも大きい場合には困難性が顕著となる。これは、塗布すべき光硬化性樹脂組成物が流動性を有するからである。
【0017】
従って、本発明の画像表示装置10においては、後述の製造方法に依存する構成ではあるが、光硬化樹脂層3を、光透過性カバー部材2側の第1光硬化樹脂層3aと画像表示部材1側の第2光硬化樹脂層3bとの2層構造とすることが好ましい。ここで、第1光硬化樹脂層3aの最大厚さh0は、光透過性カバー部材2の凹部面底部Bから、画像表示部材1が光透過性カバー部材2に接触すると想定される2点P1、P2を結んだ基準線L0までの距離に相当する。このような2層構成とすれば、平坦な画像表示部材1上にhmからh0を減じた厚さに対応する厚さ(例えば、0.03~1.5mm)の第2光硬化樹脂層3bを形成することが容易となる。
【0018】
(画像表示部材1)
本発明の画像表示装置10を構成する画像表示部材1としては、液晶表示パネル、有機EL表示パネル、プラズマ表示パネル、タッチパネル等を挙げることができる。ここで、タッチパネルとは、液晶表示パネルのような表示素子とタッチパッドのような位置入力装置を組み合わせた画像表示・入力パネルを意味する。
【0019】
(光透過性カバー部材2)
湾曲した光透過性カバー部材2の具体的な形状としては、一方向に湾曲した形状(例えば、円柱パイプをその中心軸に平行な平面で切断して得られる劣弧側の形状(以下、横樋形状と称する))(図2A)や、X方向とY方向に湾曲した形状(図2B)、360°方向に湾曲した形状(例えば、球をその中心点を含まない平面で切断して得られる劣弧側の形状)(図2C)などが挙げられる。これらの形状の中央部に平坦部2bが形成されていてもよい(例えば、図2D)。
【0020】
光透過性カバー部材2が横樋形状である場合(図2A)、その両端部2xと2yの内側に、光硬化性樹脂組成物の塗布領域を画する内側ダム材20(図2E)、もしくはその両端部2xと2yの外側に光硬化性樹脂組成物の塗布領域を画する外側ダム材21(図2F)を設けることが好ましい。内側ダム材20及び外側ダム材21としては、塗布された光硬化性樹脂組成物を、それと相溶することなく堰き止めることができ、光硬化性樹脂組成物の仮硬化後に、簡便に除去可能な公知の材料から形成することができる。例えば、内側ダム材20としては、微粘着層を備えた公知の熱可塑性エラストマーテープなどを光透過性カバー部材2の端部内側に土手状に貼りつけたものが挙げられる。外側ダム材21としては、シリコーンシート、フッ素樹脂シート等を挙げることができる。
【0021】
なお、光透過性カバー部材2が図2B図2Cの態様である場合、ダム材は無くてもよい。また、図2Aの態様の場合であっても、内側ダム材20に対応する光透過性カバー部材2の表面に、光硬化性樹脂組成物の流れを防止するための表面処理(例えば、光硬化性樹脂組成物の特性に応じて粗面化処理、親水化処理、あるいは撥水化処理等)を施してもよい。
【0022】
光透過性カバー部材2の材料としては、画像表示部材に形成された画像が視認可能となるような光透過性があればよく、ガラス、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート等の樹脂材料が挙げられる。これらの材料には、片面又は両面ハードコート処理、反射防止処理などを施すことができる。光透過性カバー部材1の湾曲の形状や厚さなどの寸法的な特性、弾性などの物性は、使用目的に応じて適宜決定することができる。
【0023】
(光硬化樹脂層3)
画像表示部材1と光透過性カバー部材2とを接合する光硬化樹脂層3は、光硬化性樹脂組成物の層状の光硬化物であり、画像表示部材1が表示する画像を視認可能とする光透過性を有する。光硬化樹脂層3を構成する光硬化性樹脂組成物は、その性状が好ましくは液状である。液状のものを使用すると、光透過性カバー部材2の凹部に光硬化性樹脂組成物を組成物表面が平坦となるように充填することができる。ここで、液状とは、コーンプレート型粘度計で0.01~100Pa・s(25℃)の粘度を示すものである。
【0024】
このような光硬化性樹脂組成物は、ベース成分(成分(イ))、アクリレート系モノマー成分(成分(ロ))、及び光重合開始剤(成分(ハ))を含有するものを好ましく例示することができる。更に可塑剤成分(成分(ニ))を含有することができる。また、光硬化性樹脂組成物の最終的な硬化収縮率は、好ましくは3%以上のものである。5%以上であってもよい。
【0025】
ここで、“最終的な硬化収縮率”とは、光硬化性樹脂組成物を未硬化の状態から完全に硬化させた状態との間で生じた硬化収縮率を意味する。ここで、完全に硬化とは、後述するように硬化率が少なくとも90%となるように硬化した状態を意味する。以下、最終的な硬化収縮率を全硬化収縮率と称する。また、硬化性樹脂組成物を未硬化の状態から仮硬化させた状態との間で生じた硬化収縮率を仮硬化収縮率と称する。更に、本硬化工程において、仮硬化の状態から完全に硬化させた状態との間で生じた硬化収縮率は、本硬化収縮率と称する。
【0026】
光硬化性樹脂組成物の全硬化収縮率は、未硬化(換言すれば、硬化前)の組成物と完全硬化後の固体の完全硬化物の比重を電子比重計(アルファーミラージュ(株)製SD-120L)を用いて測定し、両者の比重差から次式により算出することができる。また、光硬化性樹脂組成物の仮硬化樹脂の仮硬化収縮率は、未硬化(換言すれば、硬化前)の組成物と仮硬化後の固体の仮硬化物の比重を電子比重計(アルファーミラージュ(株)製SD-120L)を用いて測定し、両者の比重差から次式により算出することができる。本硬化収縮率は、全硬化収縮率から仮硬化収縮率を減じることにより算出することができる。
【0027】
【数1】
【0028】
成分(イ)のベース成分は、光硬化樹脂層の膜形成成分であり、エラストマー及びアクリレート系オリゴマーの少なくともいずれか一方を含有する成分である。両者を成分(イ)として併用してもよい。
【0029】
エラストマーとしては、好ましくはアクリル酸エステルの共重合体からなるアクリル共重合体、ポリブテン、ポリオレフィン等を好ましく挙げることができる。なお、このアクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は、好ましくは5000~500000であり、ポリブテンの繰り返し数nは好ましくは10~10000である。
【0030】
他方、アクリレート系オリゴマーとしては、好ましくは、ポリイソプレン、ポリウレタン、ポリブタジエン等を骨格に持つ(メタ)アクリレート系オリゴマーを挙げることができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレートとメタクリレートとを包含する。
【0031】
ポリイソプレン骨格の(メタ)アクリレートオリゴマーの好ましい具体例としては、ポリイソプレン重合体の無水マレイン酸付加物と2-ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物(UC102(ポリスチレン換算分子量約17000)、(株)クラレ;UC203(ポリスチレン換算分子量約35000)、(株)クラレ;UC-1(ポリスチレン換算分子量約25000)、(株)クラレ)等を挙げることができる。
【0032】
また、ポリウレタン骨格を持つ(メタ)アクリレート系オリゴマーの好ましい具体例としては、脂肪族ウレタンアクリレート(EBECRYL230(分子量5000)、ダイセル・オルネクス(株);UA-1、ライトケミカル工業(株))等を挙げることができる。
【0033】
ポリブタジエン骨格の(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、公知のものを採用することができる。
【0034】
成分(ロ)のアクリレート系モノマー成分は、画像表示装置の製造工程において、光硬化性樹脂組成物に十分な反応性及び塗布性等を付与するために反応性希釈剤として使用されている。このようなアクリレート系モノマーとしては、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベンジルアクリレート、テトラヒドロフリフリルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ラウリルメタクリレート等を挙げることができる。
【0035】
成分(ハ)の光重合開始剤としては、公知の光ラジカル重合開始剤を使用することができ、例えば、1-ヒドロキシ-シクロへキシルフェニルケトン(イルガキュア184、BASFジャパン(株))、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2一ヒドロキシ-2-メチル-プロピロニル)ベンジル]フェニル}-2-メチル-1-プロパン-1-オン(イルガキュア127、BASFジャパン(株))、ベンゾフェノン、アセトフェノン等を挙げることができる。
【0036】
このような光重合開始剤は、ベース成分(イ)中のアクリレート系オリゴマー及びモノマー(成分(ロ))の合計100質量部に対し、少なすぎると紫外線照射時に硬化不足となり、多すぎると開裂によるアウトガスが増え発泡不具合の傾向があるので、好ましくは0.1~5質量部、より好ましくは0.2~3質量部である。
【0037】
また、光硬化性樹脂組成物は、分子量の調整のために連鎖移動剤を含有することができる。例えば、2-メルカプトエタノール、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、チオグリコール酸2-エチルヘキシル、2,3-ジメチルカプト-1-プロパノール、α-メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。
【0038】
成分(ニ)の可塑剤成分は、光硬化樹脂層に緩衝性を付与するとともに、光硬化性樹脂組成物の硬化収縮率を低減させるために使用され、紫外線の照射では成分(イ)のベース成分及び成分(ロ)のアクリレート系モノマー成分と反応しないものである。このような可塑剤成分は、固体の粘着付与剤(1)と液状オイル成分(2)とを含有する。
【0039】
固体の粘着付与剤(1)としては、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂等のテルペン系樹脂、天然ロジン、重合ロジン、ロジンエステル、水素添加ロジン等のロジン樹脂、テルペン系水素添加樹脂を挙げることができる。また、前述のアクリレート系モノマーを予め低分子ポリマー化した非反応性のオリゴマーも使用することができ、具体的には、ブチルアクリレートと2-ヘキシルアクリレートおよびアクリル酸の共重合体やシクロヘキシルアクリレートとメタクリル酸の共重合体等を挙げることができる。
【0040】
液状オイル成分(2)としては、ポリプタジエン系オイル、又はポリイソプレン系オイル等を含有することができる。
【0041】
また、光硬化性樹脂組成物は、更に、必要に応じて、シランカップリング剤等の接着改善剤、酸化防止剤等の一般的な添加剤を含有することができる。
【0042】
光硬化性樹脂組成物は、硬化収縮率が好ましくは3%未満に抑制されているので、基本的には可塑剤成分を含有することは必須ではないが、光硬化樹脂層3に緩衝性を付与する等のために、本発明の効果を損なわない範囲で可塑剤成分(成分(ニ))を含有することができる。従って、光硬化性樹脂組成物中に成分(イ)のベース成分と成分(ロ)のアクリレート系モノマー成分との合計含有量は好ましくは25~85質量%であるが、成分(ニ)の可塑剤成分の含有量は0~65質量%の範囲である。
【0043】
本発明の画像表示装置は、以下の工程(A)~(F)を有する製造方法により製造することができる。以下、図面を参照しながら工程毎に詳細に説明する。
【0044】
<工程(A):充填工程>
まず、図3Aに示ように、湾曲した光透過性カバー部材2の凹部面に、画像表示装置を断面視したときに光透過性カバー部材2の凹部面側の幅よりも狭い幅の画像表示部材が光透過性カバー部材に接触すると想定される2つの接触点P1及びP2を結んだ基準線L0までディスペンサーD等により光硬化性樹脂組成物30を充填する。
【0045】
<工程(B):第1仮硬化樹脂層形成工程>
次に、図3Bに示すように、工程(A)で充填された光硬化性樹脂組成物30に対し紫外線UVを照射して仮硬化させて第1仮硬化樹脂層30aを形成する。ここで、仮硬化させるのは、光硬化性樹脂組成物30を流動しない状態にして取り扱い性を向上させるためである。このような仮硬化のレベルは、第1仮硬化樹脂層30aの硬化率(ゲル分率)が好ましくは10%以上90%以下、より好ましくは40%以上90%以下、特に60%以上90%以下となるようなレベルである。また、硬化率(ゲル分率)とは、紫外線照射前の光硬化性樹脂組成物30中の(メタ)アクリロイル基の存在量に対する紫外線照射後の(メタ)アクリロイル基の存在量の割合(消費量割合)と定義される数値であり、この数値が大きい程、硬化が進行していることを示す。
【0046】
なお、硬化率(ゲル分率)は、紫外線照射前の樹脂組成物層のFT-IR測定チャートにおけるベースラインからの1640~1620cm-1の吸収ピーク高さ(hx)と、紫外線照射後の樹脂組成物層のFT-IR測定チャートにおけるベースラインからの1640~1620cm-1の吸収ピーク高さ(hy)とを、以下の数式に代入することにより算出することができる。
【0047】
【数2】
【0048】
紫外線の照射に関し、硬化率(ゲル分率)が好ましくは10~80%となるように仮硬化させることができる限り、光源の種類、出力、累積光量などは特に制限はなく、公知の紫外線照射による(メタ)アクリレートの光ラジカル重合プロセス条件を採用することができる。
【0049】
また、紫外線照射条件に関し、上述の硬化率の範囲内において、後述する工程(E)の積層工程における貼り合わせ操作の際、第1仮硬化樹脂層30aや第2仮硬化樹脂層31bの液だれや変形が生じないような条件を選択することが好ましい。そのような液だれや変形が生じないような条件を粘度で表現すると、20Pa・S以上(コーンプレートレオメーター、25℃、コーン及びプレートC35/2、回転数10rpm)となる。
【0050】
仮硬化における硬化のレベルは、後述する本硬化工程(F)において第1仮硬化樹脂層30a及び第2仮硬化樹脂層31bからそれぞれ第1光硬化樹脂層3a及び第2光硬化樹脂層3bへの間で生ずる硬化収縮率が3%未満となるように、硬化させるものである。即ち、全硬化収縮率が5%である光硬化性樹脂組成物30、31の場合には、仮硬化の際に少なくとも2%ほど仮硬化収縮させておくことになる。
【0051】
なお、工程(A)の充填に先立ち、内側ダム材20(図2E参照)や外側ダム材21(図2F参照)を設けた場合、工程(B)の後、工程(F)の前で、内側ダム材20又は外側ダム材21を除去することが好ましい。既に光硬化性樹脂組成物が仮硬化しており、樹脂流動が生じないからである。
【0052】
<工程(C):塗布工程>
次に、図3Cに示すように、画像表示部材1の片面に、所定厚の光硬化性樹脂組成物31をディスペンサー等を用いて塗布する。光硬化性樹脂組成物31は、工程(A)で説明したものと同じものを使用することが好ましい。光硬化性樹脂組成物31の塗布は、図1に示すように、光硬化樹脂層3の最大厚みhmを、画像表示部材1が光透過性カバー部材2に接触しない厚さにするように行う。
【0053】
<工程(D):第2仮硬化樹脂層形成工程>
次に、図3Dに示すように、工程(C)で塗布された光硬化性樹脂組成物31に対し、工程(B)と同様の操作・条件で紫外線UVを照射して仮硬化させて第2仮硬化樹脂層31bを形成する。
【0054】
<工程(E):積層工程>
続いて、第1仮硬化樹脂層30aと第2仮硬化樹脂層31bとが向き合うように、湾曲した光透過性カバー部材2と画像表示部材1とを積層する(図3E)。積層は、公知の圧着装置を用いて、10℃~80℃で加圧することにより行うことができるが、第1仮硬化樹脂層30a、第2仮硬化樹脂層31b、画像表示部材1、光透過性カバー部材2とのそれぞれの界面に気泡が入らないようにするために、いわゆる真空貼合法で積層を行うことが好ましい。
【0055】
なお、工程(E)と工程(F)との間で、積層物に公知の加圧脱泡処理(処理条件例:0.2~0.8MPa、25~60℃、5~20min)を行うことが好ましい。
【0056】
<工程(F):本硬化工程>
続いて、図3Fに示すように、画像表示部材1と光透過性カバー部材2との間に挟持されている第1仮硬化樹脂層30a及び第2仮硬化樹脂層31bに対し紫外線UVを照射して本硬化させてそれぞれ第1光硬化樹脂層3a及び第2光硬化樹脂層3bとすることにより、それらが積層された光硬化樹脂層3を形成する。これにより図1に示す画像表示装置が得られる。なお、本工程において本硬化させるのは、第1仮硬化樹脂層30a及び第2仮硬化樹脂層31bを十分に硬化させて、画像表示部材1と光透過性カバー部材2とを接着し積層するためである。このような本硬化のレベルは、光透過性の光硬化樹脂層3の硬化率(ゲル分率)が好ましくは90%より大、より好ましくは95%以上100%以下となるようなレベルである。
【0057】
なお、光硬化樹脂層3の光透過性のレベルは、画像表示部材1に形成された画像が視認可能となるような光透過性であればよい。
【実施例
【0058】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、以下の実施例において、光硬化性樹脂組成物の全硬化収縮率、仮硬化収縮率、本硬化収縮率は、光硬化性樹脂組成物の比重、仮硬化物、完全硬化物のそれぞれの比重を電子比重計(アルファーミラージュ(株)製SD-120L)を用いて測定し、それらの測定結果を次式に当て嵌めて算出した。
【0059】
【数3】
【0060】
実施例1
(工程(A):充填工程)
まず、45(w)×80(l)×3(t)mmのサイズの透明樹脂板(ポリエチレンテレフタレート板)を用意し、幅方向に曲率半径が300mm(r)となるように公知の手法で湾曲させ、湾曲した横樋形状の光透過性カバー部材として樹脂カバー(図2A)を得た。
【0061】
別途、ポリブタジエンの骨格を持つアクリレート系オリゴマー(TE-2000、日本曹達(株))50質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート20質量部、光重合開始剤10質量部(イルガキュア184、BASFジャパン(株)製を3重量部、SpeedCure TPO、DKSHジャパン(株)製を7質量部)を均一に混合して光硬化性樹脂組成物を調製した。この光硬化性樹脂組成物は、硬化率0%から90%までの間で、5.6%の全硬化収縮率を示すものであった。
【0062】
次に、横樋形状の樹脂カバーの両端を、外側ダム材としてシリコーンラバーシート2枚で挟み込んだ(図2F)。この樹脂カバーの凹部に、調製した光硬化性樹脂組成物を、樹脂用ディスペンサーを用いて、中央部での厚さが670μm厚、幅が40mmとなるように吐出し光硬化性樹脂組成物膜を形成した。
【0063】
(工程(B):第1仮硬化樹脂層形成工程)
次に、工程(A)で作成した光硬化性樹脂組成物膜に対して、紫外線照射装置(LC-8、浜松ホトニクス(株)製)を使って、積算光量が1200mJ/cm2となるように、200mW/cm2強度の紫外線を6秒照射することにより光硬化性樹脂組成物膜を仮硬化させて第1仮硬化樹脂層を形成し、更に外側ダム材を除去した。なお、第1仮硬化樹脂層の仮硬化収縮率は3.8%であった。
【0064】
なお、第1仮硬化樹脂層の硬化率は、FT-IR測定チャートにおけるベースラインからの1640~1620cm-1の吸収ピーク高さを指標として求めたところ、約70%であった。
【0065】
(工程(C):塗布工程)
次に、40(W)×80(L)mmのサイズのフラットな液晶表示素子の偏光板が積層された面に、工程(A)で使用した光硬化性樹脂組成物を、先端をスリット状にしたディスペンサーにより膜厚が100μmとなるように塗布した。
【0066】
(工程(D):第2仮硬化樹脂層形成工程)
次に、工程(C)で作成した光硬化性樹脂組成物膜に対して、紫外線照射装置(LC-8、浜松ホトニクス製)を使って、積算光量が1200mJ/cm2となるように、200mW/cm2強度の紫外線を6秒照射することにより光硬化性樹脂組成物膜を仮硬化させて第2仮硬化樹脂層を形成した。第2仮硬化樹脂層の仮硬化収縮率は3.8%であり、硬化率は約70%であった。
【0067】
(工程(E):積層工程)
次に、工程(B)の第1仮硬化樹脂層が形成された樹脂カバーに、工程(D)の第2仮硬化樹脂層が形成された液晶表示素子を、第1仮硬化樹脂層と第2仮硬化樹脂層とが対向するように載置し、樹脂カバー側から真空貼合機(真空度50Pa、貼合圧0.07MPa、貼合時間3秒、常温)で貼り付けた。
【0068】
(工程(F):本硬化工程)
次に、この液晶表示素子に対し、樹脂カバー側から、紫外線照射装置(ECS-03601EG、アイグラフィックス(株))を使って紫外線(200mW/cm2)を3000mJ/cm2で照射することにより仮硬化樹脂層を完全に硬化させ、光透過性の光硬化樹脂層を形成した。この光硬化樹脂層の硬化率は98%であった。これにより、液晶表示素子に、光透過性カバー部材として湾曲した樹脂カバーが光硬化樹脂層を介して積層された液晶表示装置が得られた。また、本硬化収縮率は1.8%であった。
【0069】
得られた液晶表示装置について、空隙の発生の有無をガラス樹脂カバー側から目視観察したところ、ガラス樹脂カバーと光硬化樹脂層との界面には空隙は、観察されなかった。また、表示操作を行ったところ、ガラス樹脂カバーの中央の表示に色ムラは観察されなかった。なお、仮硬化収縮率は3.8%であり、本硬化収縮率は1.8%であった。
【0070】
比較例1
工程(C)と工程(D)を行わずに、工程(B)の第1仮硬化樹脂層が形成された樹脂カバーに、第2仮硬化樹脂層が形成されていない液晶表示素子を載置し、樹脂カバー側から真空貼合機(真空度50Pa、貼合圧0.07MPa、貼合時間3秒、常温)で貼り付けた以外、実施例1と同様の操作を行い、画像表示装置を得た。得られた液晶表示装置は、空隙の発生の有無を樹脂カバー側から目視観察したところ、光硬化樹脂層と液晶表示素子との界面の略中央部に気泡状の空隙が生じていた。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の画像表示装置は、画像表示部材と、湾曲した光透過性カバー部材とが、光硬化樹脂層を介して積層されており、透過性カバー部材の凹部面側の幅が画像表示部材の幅より大きく、且つそれらを積層している光硬化樹脂層の最大厚みが、画像表示部材が光透過性カバー部材に接触しない厚さとなっている。このため、画像表示装置の表示面に空隙が生じないようにでき、また、光硬化樹脂層の残留応力を低減させて表示の色ムラが生じないようにできる。従って、本発明の画像表示装置は、例えば、タッチパネルを備えた車載用情報端末の工業的製造に有用である。
【符号の説明】
【0072】
1 画像表示部材
2 光透過性カバー部材
2b 平坦部
2x、2y 光透過性カバー部材の両端部
3 光硬化樹脂層
3a 第1光硬化樹脂層
3b 第2光硬化樹脂層
10 画像表示装置
20 内側ダム材
21 外側ダム材
30、31 光硬化性樹脂組成物
30a 第1仮硬化樹脂層
31b 第2仮硬化樹脂層
B 光透過性カバー部材の凹部面側底部
D ディスペンサー
hm 光硬化樹脂層の最大厚み
h0 第1光硬化樹脂層の最大厚さ
h1 底部Bから直線L1までの距離
L0 接触点を結んだ基準線
L1 光透過性カバー部材の凹部面側の角を結んだ直線
P1、P2 画像表示部材と光透過性カバー部材との接触点
P3、P4 光透過性カバー部材の凹部面側の角
X 画像表示部材の幅
Y 光透過性カバー部材の凹部面側の幅
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C