(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20221213BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20221213BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20221213BHJP
H01L 29/868 20060101ALI20221213BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20221213BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20221213BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20221213BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
H01L29/78 657D
H01L29/78 655F
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652M
H01L29/78 653C
H01L29/91 C
H01L29/78 652D
H01L29/78 658H
H01L29/91 J
H01L29/91 F
H01L29/78 652T
H01L27/06 102A
H01L29/78 301D
(21)【出願番号】P 2021511799
(86)(22)【出願日】2019-04-01
(86)【国際出願番号】 JP2019014449
(87)【国際公開番号】W WO2020202430
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-08-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 光太
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-033897(JP,A)
【文献】特開2013-026534(JP,A)
【文献】特開2017-224685(JP,A)
【文献】特開2018-186111(JP,A)
【文献】特開平09-270512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/739
H01L 21/336
H01L 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに反対側の第1主面と第2主面を有する半導体基板と、
前記半導体基板に設けられたIGBT、ダイオード、及びウェル領域とを備え、
前記IGBTは、前記半導体基板の前記第1主面に設けられたトレンチゲートを有し、
前記ダイオードは、前記半導体基板の前記第1主面に設けられたp型アノード層を有し、
前記ウェル領域は、前記半導体基板の前記第1主面に設けられ、前記p型アノード層よりも濃度が濃く、前記トレンチゲートよりも深さが深いp型ウェル層を有し、
前記トレンチゲートの終端は前記ウェル領域に設けられ、前記p型ウェル層で囲まれ、
前記ダイオードは前記IGBTよりも前記半導体基板の外側に設けられ、
前記ウェル領域は、前記ダイオードより前記半導体基板の外側に設けられ
、
ゲート配線が前記ウェル領域に設けられ、
前記トレンチゲートの終端は、前記ウェル領域で前記ゲート配線に接続され、前記トレンチゲートの他の部分よりも深さが浅い引き上げ部を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記ダイオードは前記ウェル領域に接していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ウェル領域は、前記半導体基板の前記第2主面に設けられたp型層を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ダイオードにおいて前記トレンチゲートのサイドにn型エミッタ層が設けられていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ダイオードは、前記半導体基板の前記第2主面に設けられたn型カソード層を有し、
前記第2主面側の前記n型カソード層と前記p型層の境界は、前記第1主面側の前記p型アノード層と前記p型ウェル層の境界よりも前記半導体基板の中心側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ダイオードの前記p型アノード層と前記ウェル領域の前記p型ウェル層の下方にライフタイムコントロール層が設けられていることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体基板はワイドバンドギャップ半導体によって形成されていることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同じ半導体基板にIGBTとダイオードを設けた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力用半導体素子であるパワーデバイスは、家電製品、電気自動車、鉄道といった分野から、再生可能エネルギーとして注目が高まっている太陽光発電又は風力発電の分野まで幅広く用いられている。パワーデバイスでインバータ回路を構築し、誘導モータなどの誘導性負荷を駆動する場合が多い。この場合、誘導性負荷の逆起電力により生じる電流を還流させるための還流ダイオード(以下、ダイオードと表記)が必要であり、通常のインバータ回路は複数の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(以下、IGBTと表記)と複数のダイオードを有する。しかし、インバータ装置の小型軽量化と低コスト化が強く望まれており、複数の半導体装置を搭載することは望ましくない。その解決方法の一つとして、IGBTとダイオードを一体化した逆導通型IGBT(以下、RC-IGBTと表記)の開発が進められている。RC-IGBTのチップ面積を低減させるためにIGBTの外側にダイオードを配置した装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の装置では、トレンチゲートの終端が設けられたウェル領域がIGBTとダイオードの間に配置されていた。従って、ダイオードは、濃いp+型層が形成されたウェル領域と終端領域に挟まれる。このため、ダイオード動作時の電流集中によりリカバリ電流が増大し、半導体装置が破壊される可能性があった。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的はリカバリ破壊を防ぐことができる半導体装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半導体装置は、互いに反対側の第1主面と第2主面を有する半導体基板と、前記半導体基板に設けられたIGBT、ダイオード、及びウェル領域とを備え、前記IGBTは、前記半導体基板の前記第1主面に設けられたトレンチゲートを有し、前記ダイオードは、前記半導体基板の前記第1主面に設けられたp型アノード層を有し、前記ウェル領域は、前記半導体基板の前記第1主面に設けられ、前記p型アノード層よりも濃度が濃く、前記トレンチゲートよりも深さが深いp型ウェル層を有し、前記トレンチゲートの終端は前記ウェル領域に設けられ、前記p型ウェル層で囲まれ、前記ダイオードは前記IGBTよりも前記半導体基板の外側に設けられ、前記ウェル領域は、前記ダイオードより前記半導体基板の外側に設けられ、ゲート配線が前記ウェル領域に設けられ、前記トレンチゲートの終端は、前記ウェル領域で前記ゲート配線に接続され、前記トレンチゲートの他の部分よりも深さが浅い引き上げ部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、ウェル領域がダイオードより半導体基板の外側に設けられている。従って、ダイオードはウェル領域のp型ウェル層の影響のみを受け、終端領域の濃いp+型層の影響を受けないため、リカバリ破壊を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る半導体装置を示す上面図である。
【
図3】
図2のI-IIに沿ったIGBTの断面図である。
【
図4】
図2のIII-IVに沿ったダイオードの断面図である。
【
図9】熱解析シミュレーションしたRC-IGBTの温度分布を示す図である。
【
図10】熱解析シミュレーションした単体のIGBTの温度分布を示す図である。
【
図11】実施の形態2に係る半導体装置のダイオードを示す断面図である。
【
図12】実施の形態3に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図13】実施の形態4に係る半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態に係る半導体装置について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る半導体装置を示す上面図である。この半導体装置は、同じ半導体基板1にIGBT2、ダイオード3、ウェル領域4、及び終端領域5が設けられたRC-IGBTである。IGBT2がチップ中央付近に設けられ、ダイオード3はIGBT2よりも半導体基板1の外側に設けられている。ウェル領域4は、ダイオード3より半導体基板1の外側に設けられている。ウェル領域4の更に外側に終端領域5が設けられている。
【0011】
図2は、
図1の領域Aを拡大した上面図である。ポリシリコンからなる複数のトレンチゲート6が平行に並べられてIGBT2とダイオード3を横断し、全てのトレンチゲート6の終端がウェル領域4に設けられている。Al又はAlSiからなるゲート配線7が複数のトレンチゲート6に接続されウェル領域4に設けられている。なお、
図2ではゲート配線7以外の基板上の電極と絶縁膜は省略している。
【0012】
図3は、
図2のI-IIに沿ったIGBTの断面図である。半導体基板1は互いに反対側の第1主面と第2主面を有する。半導体基板1のn
-型ドリフト層8の第1主面側にp型ベース層9が設けられている。p型ベース層9の表面にn
+型エミッタ層10とp
+型コンタクト層11が設けられている。p型ベース層9とn
+型エミッタ層10を貫通するトレンチ内にゲート絶縁膜12を介してトレンチゲート6が設けられている。SiO
2からなる層間膜13がトレンチゲート6の上に設けられている。Al又はAlSiからなるエミッタ電極14が、Tiからなるバリアメタル15を介してn
+型エミッタ層10とp
+型コンタクト層11に接続されている。このようにIGBT2の第1主面にはMOSFET構造が設けられている。n
-型ドリフト層8の第2主面側にn型バッファ層16とp
+型コレクタ層17が順に設けられている。Al又はAlSiからなるコレクタ電極18がp
+型コレクタ層17に接続されている。
【0013】
図4は、
図2のIII-IVに沿ったダイオードの断面図である。半導体基板1のn
-型ドリフト層8の第1主面側にp型アノード層19が設けられている。このようにダイオード3の第1主面にはアノード構造が設けられている。p型アノード層19はIGBT2のp型ベース層9と同時に形成され、不純物濃度と深さが同じである。ダイオード3にもトレンチゲート6が形成されている。第2主面にはIGBT2のp
+型コンタクト層11の代わりにn
+型カソード層20が設けられている。
【0014】
図5は、
図2のV-VIに沿った断面図である。ウェル領域4において半導体基板1の第1主面にp
+型ウェル層21が設けられている。p
+型ウェル層21は、p型アノード層19よりも不純物濃度が濃く、トレンチゲート6よりも深さが深い。トレンチゲート6の終端はp
+型ウェル層21で囲まれている。トレンチゲート6の引き上げ部22は、ウェル領域4でゲート配線7に接続される。ウェル領域4において半導体基板1の第2主面にp
+型層23が設けられている。p
+型層23の不純物濃度は、IGBT2のp
+型コレクタ層17と同等又はそれに近い濃度である。なお、第2主面のp
+型コレクタ層17とn
+型カソード層20の境界はIGBT2とダイオード3の境界と同じとなるが、これに限らず境界が一致しなくてもよい。
【0015】
図6は、
図1のI-IIに沿った断面図である。
図1のIGBT2の上下2辺では、トレンチゲート6に対して平行にダイオード3とウェル領域4が設けられている。従って、ダイオード3とウェル領域4にはトレンチゲート6が設けられておらず、ウェル領域4にゲート配線7が設けられていない。
【0016】
なお、本実施形態ではダイオード3がIGBT2の四方を囲むように配置されているが、これに限らず、IGBT2よりも外側でウェル領域4に接するようにダイオード3が配置されていればよい。例えば、ダイオード3をIGBT2の1辺、2辺又は3辺のみに配置してもよいし、連続ではなく、間隔をあけて配置してもよい。また、IGBT2のp型ベース層9とダイオード3のp型アノード層19の直下にn型キャリアストア領域を設けてもよい。
【0017】
IGBTとダイオードが別々の素子である場合、素子自体の熱抵抗はチップ面積と厚みによってのみ決定される。
図7はチップ面積と熱抵抗の関係を示す図である。熱抵抗改善のためにはチップ面積を大きくする必要があり、インバータ装置の小型軽量化と低コスト化の足枷となっている。これに対して、本実施の形態に係る半導体装置はIGBT2とダイオード3が同じ半導体基板1に形成されたRC-IGBTである。このため、IGBT2が動作している時はダイオード3が、ダイオードが動作している時はIGBT2がそれぞれ放熱に寄与する。従って、IGBT2とダイオード3が別々の素子である場合よりも熱抵抗を改善することができる。
【0018】
IGBT2とダイオード3の配置の仕方によっても熱抵抗をコントロールできる。
図8は、セル分割数と熱抵抗の相間を示す図である。本実施の形態のようにIGBT2とダイオード3が交互に配置されるストライプ構造の場合、分割数を増やすことで熱抵抗を改善させることができる。
【0019】
図9は熱解析シミュレーションしたRC-IGBTの温度分布を示す図である。
図10は熱解析シミュレーションした単体のIGBTの温度分布を示す図である。RC-IGBTは単体のIGBTに比べて熱の分散が確認できる。しかし、隣り合う領域との熱干渉により、単体のIGBT又はダイオードと同様に、RC-IGBTでもチップ中央が最も高温になっていることが分かる。通電時の最高到達温度T
jmaxによってモジュール構造が決定されることが多く、チップ中央に熱が集中することはチップ設計においては望ましくない。
【0020】
RC-IGBT全体の損失を減少するようにレイアウト設計を行った場合、ダイオード3の有効面積よりもIGBT2の有効面積の方が大きくなることが多い。ダイオード3の有効面積が減少することにより、チップ中に熱が広がりにくくなり、ダイオード3の熱抵抗が想定よりも悪化する。そこで、熱負荷の高いダイオード3をIGBT2よりも外側に設け、温度の高くなるチップ中心部から遠ざけている。
【0021】
ここで、ダイオード3にトレンチゲート6を作らず、IGBT2とダイオード3の境界、又はIGBT2内にトレンチゲート6の終端を設けた方が、ゲート容量は少なく、スイッチング特性に有利に働く。しかし、トレンチゲート6の終端が、不純物濃度の低いダイオード3のp型アノード層19又はIGBT2のp型ベース層9に設けられていると、耐圧が著しく低下する。そこで、本実施の形態では、トレンチゲート6がIGBT2とダイオード3を横断し、トレンチゲート6の終端がウェル領域4に設けられている。ウェル領域4にトレンチゲート6よりも深く、ダイオード3のp型アノード層19よりも不純物濃度が濃いp+型ウェル層21を設けてトレンチゲート6の終端を囲むことで、耐圧の低下を防ぐことができる。この構造は、チップの4辺のうち、IGBT2とダイオード3の境界面とトレンチゲート6の方向が垂直になっている辺においてのみ設けられている。両者が並行な辺ではダイオード3とウェル領域4にトレンチゲート6を設けなくてもよい。
【0022】
従来はダイオードが濃いp+型層が形成されたウェル領域と終端領域に挟まれていたため、ダイオード動作時の電流集中によりリカバリ破壊が生ずるという問題があった。これに対して、本実施の形態では、ウェル領域4がダイオード3より半導体基板1の外側に設けられている。従って、ダイオード3はウェル領域4のp+型ウェル層21の影響のみを受け、終端領域の影響を受けないため、リカバリ破壊を防ぐことができる。
【0023】
また、ダイオード3は、通電時に発熱しないウェル領域4に接している。これにより、ダイオード3の放熱に寄与する面積が広がり、面積が小さく熱負荷の高いダイオード3の熱抵抗を下げることができる。従って、通電時にチップ中央に集中していた熱を外側に分散させることができる。
【0024】
ウェル領域4のp+型ウェル層21がダイオードとして動作してしまうと、リカバリ時の電流が増大し、損失の悪化とリカバリ破壊につながる。そこで、ウェル領域4において半導体基板1の第2主面にp+型層23を設ける。これにより、ウェル領域4のダイオード動作を抑制することができる。
【0025】
実施の形態2.
図11は、実施の形態2に係る半導体装置のダイオードを示す断面図である。ダイオード3のトレンチゲート6のサイドにn
+型エミッタ層10が設けられている。なお、ウェル領域4のトレンチゲート6のサイドにもn
+型エミッタ層10を設けてもよい。
【0026】
ダイオード3のリカバリ動作時にトレンチゲート6に電圧を印加することにより、p型アノード層19内にn反転層を形成させることができる。これにより、p型アノード層19から注入されるホールが抑制され、リカバリ電流を減少させることができる。p+型ウェル層21はp型アノード層19よりも濃度が濃く、リカバリ電流が大きくなってしまうため、本実施の形態は特に有効である。その他の構成及び効果は実施の形態1と同様である。
【0027】
実施の形態3.
図12は、実施の形態3に係る半導体装置を示す断面図である。断面箇所は実施の形態1の
図6と同じである。半導体基板1の第2主面側のn
+型カソード層20とp
+型層23の境界は、第1主面側のp型アノード層19とp
+型ウェル層21の境界よりも半導体基板1の中心側に配置されている。
【0028】
実施の形態1では、ウェル領域4において半導体基板1の第2主面側にp+型層23を設けることで、ウェル領域4のダイオード動作を防いでいる。しかし、ダイオード3とウェル領域4の境界部分では第1主面側のウェル領域4の濃いp+型層23の影響でリカバリ電流が大きくなり、損失が悪化する。これに対して、本実施の形態では、第2主面側のn+型カソード層20とp+型層23の境界を半導体基板1の中心側にずらすことで、ダイオード3の第2主面側からの電子がウェル領域4に流入しなくなり、リカバリ電流を低減することができる。その他の構成及び効果は実施の形態1と同様である。
【0029】
実施の形態4.
図13は、実施の形態4に係る半導体装置を示す断面図である。断面箇所は実施の形態1の
図6と同じである。ダイオード3のp型アノード層19とウェル領域4のp
+型ウェル層21の下方に、ヘリウム又はプロトン等の粒子線照射により結晶欠陥を局在させたライフタイムコントロール層24が設けられている。
【0030】
上記のように実施の形態1ではダイオード3とウェル領域4の境界部分では第1主面側のウェル領域4の濃いp+型ウェル層21の影響でリカバリ電流が大きくなり、損失が悪化する。これに対して、本実施の形態では、ダイオード3のp型アノード層19とウェル領域4のp+型ウェル層21の下方に、キャリアのライフタイムの短いライフタイムコントロール層24を形成することで、リカバリ電流を低減することができる。その他の構成及び効果は実施の形態1と同様である。なお、実施の形態2-4の構成を互いに組み合わせてもよい。
【0031】
なお、半導体基板1は、珪素によって形成されたものに限らず、珪素に比べてバンドギャップが大きいワイドバンドギャップ半導体によって形成されたものでもよい。ワイドバンドギャップ半導体は、例えば、炭化珪素、窒化ガリウム系材料、又はダイヤモンドである。このようなワイドバンドギャップ半導体によって形成された半導体装置は、耐電圧性と許容電流密度が高いため、小型化できる。この小型化された半導体装置を用いることで、この半導体装置を組み込んだ半導体モジュールも小型化できる。また、半導体装置の耐熱性が高いため、ヒートシンクの放熱フィンを小型化でき、水冷部を空冷化できるので、半導体モジュールを更に小型化できる。また、半導体装置の電力損失が低く高効率であるため、半導体モジュールを高効率化できる。
【符号の説明】
【0032】
1 半導体基板、2 IGBT、3 ダイオード、4 ウェル領域、6 トレンチゲート、10 n+型エミッタ層、19 p型アノード層、20 n+型カソード層、21 p型ウェル層、23 p+型層、24 ライフタイムコントロール層