(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】部材の製造方法、自動車用部材の製造方法、及び金型
(51)【国際特許分類】
B21D 51/10 20060101AFI20221213BHJP
B21D 53/88 20060101ALI20221213BHJP
B21D 22/00 20060101ALI20221213BHJP
B21D 5/01 20060101ALI20221213BHJP
B21C 37/08 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B21D51/10
B21D53/88 Z
B21D22/00
B21D5/01 R
B21D5/01 Z
B21C37/08 E
(21)【出願番号】P 2021512078
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2020014336
(87)【国際公開番号】W WO2020203899
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-07-06
(31)【優先権主張番号】P 2019066238
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019066239
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 亨
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-169486(JP,A)
【文献】国際公開第2014/033933(WO,A1)
【文献】特開2018-167283(JP,A)
【文献】特開2001-252722(JP,A)
【文献】特開2004-261845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 51/10
B21D 53/88
B21D 22/00
B21D 5/01
B21C 37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料板を加工して、筒状部の断面形状が図心線に沿って変化する断面形状変化部と、前記筒状部の周長が図心線に沿って変化するとともに前記周長の変化率が変化する周長変化率変化部と、前記筒状部の図心線が曲率を有する湾曲部と、のうち、少なくともいずれか一つを含む特定三次元筒状部を備えた部材を製造する部材の製造方法であって、
U成形パンチを含むU成形金型を用いて前記金属材料板をU成形することで、断面視凹形状のU成形品を製造するU成形工程と、
前記U成形品の側端部同士をO成形金型により当接することで当接部を形成するO成形工程と、を含み、
前記U成形パンチの前記特定三次元筒状部に対応する部位のパンチ幅Duと、前記O成形金型の前記特定三次元筒状部に対応する部位の凹部幅Doとの比からなる成形条件比a=Du/Doが、0.85以上0.95以下に設定され
、
前記U成形工程に先立って1または複数のサイクルで行われる成形条件比設定工程をさらに含み、
前記成形条件比設定工程は、
前サイクルの前記成形条件比設定工程で設定された前記成形条件比aまたは前記成形条件比aの初期値と、前記部材の材料特性と、前記金属材料板の形状及び板厚と、前記U成形工程における成形条件と、前記O成形工程における成形条件と、を含む条件を考慮した有限要素解析を行うことで、前記U成形工程によって生じる前記特定三次元筒状部の図心線に沿った方向の歪量と、前記O成形工程によって生じる前記特定三次元筒状部の図心線に沿った方向の歪量及び前記側端部同士の相対位置と、を含む形状パラメータを推定し、
前記形状パラメータが所望の条件を満たすまで、前記成形条件比設定工程を繰り返し行うことを特徴とする部材の製造方法。
【請求項2】
前記U成形金型は、前記U成形パンチであるプレス成形パンチと、前記プレス成形パンチと対応するプレス成形凹部が形成されたプレス成形凹型とを有し、
前記U成形工程は、前記プレス成形パンチを、前記プレス成形凹型に近接する方向に相対的に移動させることで、前記金属材料板を、断面視凹形状部と、前記断面視凹形状部の両側端部から外部に延出した延出部とを有するプレス成形品に成形するプレス成形工程と、
前記プレス成形品から前記延出部を除去することで、前記U成形品を製造するフランジレス化工程と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の部材の製造方法。
【請求項3】
前記U成形金型は、前記U成形パンチである曲げ成形パンチと、前記曲げ成形パンチと対応する曲げ成形凹部が形成された曲げ成形凹型とを有し、
前記U成形工程は、前記曲げ成形パンチを、前記曲げ成形凹型に近接する方向に相対的に移動させることで、前記U成形品を製造することを特徴とする、請求項1に記載の部材の製造方法。
【請求項4】
前記成形条件比aは、前記特定三次元筒状部の図心線に沿って変化することを特徴とする、請求項1~
3の何れか1項に記載の部材の製造方法。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の部材の製造方法を適用することを特徴とする自動車用部材の製造方法。
【請求項6】
請求項1~
4の何れか1項に記載の部材の製造方法に用いられる金型であって、
前記U成形金型と、前記O成形金型とを備え、
前記成形条件比aが、0.85以上0.95以下に設定され
、
前記成形条件比aは、1または複数のサイクルで行われる成形条件比設定工程により設定された値であり、
前記成形条件比設定工程は、
前サイクルの前記成形条件比設定工程で設定された前記成形条件比aまたは前記成形条件比aの初期値と、前記部材の材料特性と、前記金属材料板の形状及び板厚と、前記U成形工程における成形条件と、前記O成形工程における成形条件と、を含む条件を考慮した有限要素解析を行うことで、前記U成形工程によって生じる前記特定三次元筒状部の図心線に沿った方向の歪量と、前記O成形工程によって生じる前記特定三次元筒状部の図心線に沿った方向の歪量及び前記側端部同士の相対位置と、を含む形状パラメータを推定し、
前記形状パラメータが所望の条件を満たすまで、前記成形条件比設定工程が繰り返し行われることを特徴とする金型。
【請求項7】
前記U成形金型は、前記U成形パンチであるプレス成形パンチと、前記プレス成形パンチと対応するプレス成形凹部が形成されたプレス成形凹型とを有することを特徴とする、請求項
6に記載の金型。
【請求項8】
前記U成形金型は、前記U成形パンチである曲げ成形パンチと、前記曲げ成形パンチと対応する曲げ成形凹部が形成された曲げ成形凹型とを有することを特徴とする、請求項
6に記載の金型。
【請求項9】
前記成形条件比aは、前記特定三次元筒状部の図心線に沿って変化することを特徴とする、請求項
6~8の何れか1項に記載の金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属材料板から筒状部を形成する部材の製造方法、自動車用部材の製造方法及び金型に関する。
本願は、2019年3月29日に、日本に出願された特願2019-066238号及び特願2019-066239号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、自動車産業においては、用途に応じて種々の車両用サスペンションが実用化されている。
例えば、トーションビーム式サスペンション装置は、左右の車輪をアームにより回転自在に支持するとともに左右端近傍にスプリングの一端を配置可能とされたトーションビームAssyと、トーションビームと車体とを連結するスプリングと、アブソーバとを備えた構成とされている。
【0003】
トーションビームAssyは、例えば、左右の車輪を回転自在に支持する左右一対のトレーリングアームがトーションビームにより連結され、さらにトーションビームの左右端近傍には一対のスプリング受部が形成されている。
そして、トーションビームAssyは、車体の左右側から中央に向かって伸びるピボット軸を介して車体と接続されることで、左右の車輪が車体に対して揺動するようになっている。
【0004】
また、スプリング受部には、スプリングの一端側が配置されていて、車輪、トレーリングアーム及びスプリングを介して路面から受けた荷重を車両に伝達するようになっている。そのため、例えば、トレーリングアームには、大きな荷重が付加されることとなり、大きな強度が要求されている。
【0005】
このようにトレーリングアームをはじめとする自動車用部材(例えば、リンク部材等)は、大きな強度が必要とされる一方で、軽量化も必要とされること多い。このような理由から筒状の複雑な形状が求められている。例えば、自動車用部材は、周長(図心線に直交する断面の周長)の図心線に沿った変化率が変化する周長変化率変化部と、図心線に直交する断面の形状が図心線に沿って変化する断面形状変化部と、図心線が曲率を有する湾曲部との少なくともいずれか一つが形成された特定三次元筒状部を有している場合がある。従来は、筒状の自動車用部材を金属材料板から製造する場合には、中途でのトリミングを含む多工程のプレス加工により成形してから接合部を溶接することが多く、コスト削減が容易であるとは言いにくい(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0006】
一方、ラインパイプをはじめとする厚肉のストレート丸管の製造において、鋼板(金属材料板)を断面U字形U成形(例えばプレス成形または曲げ成形)して、次いで断面円形の丸管(筒状体)にO成形するUO成形方法が利用されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0007】
また、ストレート丸管を対象とした当接部形成工程後における真円度やシーム部の密着性に関しては、U成形パンチの幅DuとO成形金型(当接部形成型)の凹部幅Doに基づく比a(=Du/Do、以下、成形条件比aという。)の影響について解析、実験の両面から充分な検討がなされており技術的に確立されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0008】
ところで、近年、上述したUO成形方法において、上述した特定三次元筒状部を備えた部材(自動車用部材)を、効率的に製造するための技術が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】日本国特許第3114918号公報
【文献】日本国特開2012-115905号公報
【文献】日本国特開2004-141936号公報
【非特許文献】
【0010】
【文献】「成形品の形状に関する解析(川田勝巳、戸澤康壽)」(塑性と加工、vol.21 no.230(1980)P234~P240
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、例えば、特許文献3に記載の技術は、厚肉のストレート丸管(API X60以上、肉厚/外形比が4%以上)を対象として、真円度を向上するためにプレス成形パンチの幅DuとO成形金型の凹部幅Doに基づく成形条件比a(=Du/Do)を、0.7以下(望ましくは0.65 以下)に設定してUO成形することが開示されているものの、例えば、上述した特定三次元筒状部の当接予定部を高精度に当接する技術としては適していない。
【0012】
さらに、上述した特定三次元筒状部を有する自動車用部材をはじめとする三次元形状を含んだ部材を、例えば、超高張力鋼を用いて製造することは不可能であるといえる。
【0013】
また、自動車用部材をはじめとする薄肉の筒状部(肉厚/外径比10%以下)においては、上述した成形条件比a(=Du/Do)が小さ過ぎると、当接部形成工程後における閉断面が縦長の卵形になり真円度が低下することから、薄肉の部材への適用が困難であるという問題がある。
【0014】
また、非特許文献1に記載の研究成果も、ストレートな丸管を対象とするものであり、円形閉断面がストレートに連続する丸管以外の三次元形状を含んだ筒状部、例えば上述した特定三次元筒状部に適用することは困難である。
【0015】
また、UO成形を適用して上述した特定三次元筒状部を有する部材を製造する場合、スプリングバックに起因して当接部(接合予定部)同士の間に隙間が生じる場合がある。このため、当接部を接合する際には、当接部を拘束して当接部に生じた隙間を最小限にしたうえで接合を行う必要がある。しかし、この場合、接合時に当接部を拘束することが必要となり、管を拘束する冶具が複雑化するなど、作業性が悪化して生産性が低下するという問題が生じる。
【0016】
特に、自動車用部材への適用が望まれる高強度、薄肉の鋼板は、スプリングバックが大きく当接部に大きな隙間が生じることから、筒状部の三次元形状を冶具などによって密着させることは非常に困難である。このため、三次元形状や異形断面を有する筒状部、特に上述した特定三次元筒状部の当接予定部を高精度に密着させ、上記部材を効率的に製造することが可能な技術が要望されている。
【0017】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、金属材料板を加工して、上述した特定三次元筒状部を備えた部材を効率的に形成(製造)することが可能な部材の製造方法、自動車用部材の製造方法及び金型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明のある観点によれば、金属材料板を加工して、筒状部の断面形状が図心線に沿って変化する断面形状変化部と、前記筒状部の周長が図心線に沿って変化するとともに前記周長の変化率が変化する周長変化率変化部と、前記筒状部の図心線が曲率を有する湾曲部と、のうち、少なくともいずれか一つを含む特定三次元筒状部を備えた部材を製造する部材の製造方法であって、U成形パンチを含むU成形金型を用いて前記金属材料板をU成形することで、断面視凹形状のU成形品を製造するU成形工程と、前記U成形品の側端部同士をO成形金型により当接することで当接部を形成するO成形工程と、を含み、前記U成形パンチの前記特定三次元筒状部に対応する部位のパンチ幅Duと、前記O成形金型の前記特定三次元筒状部に対応する部位の凹部幅Doとの比からなる成形条件比a=Du/Doが、0.85以上0.95以下に設定されることを特徴とする部材の製造方法が提供される。
【0019】
本発明の他の観点によれば、上記部材の製造方法を適用することを特徴とする自動車用部材の製造方法が提供される。
【0020】
本発明の他の観点によれば、上記部材の製造方法に用いられる金型であって、前記U成形金型と、前記O成形金型とを備え、前記成形条件比aが、0.85以上0.95以下に設定されることを特徴とする金型が提供される。
【0021】
本発明の上記観点に係る部材の製造方法、自動車用部材の製造方法及び金型によれば、U成形工程において金属材料板からU成形品を成形する際に用いるプレス成形パンチの幅Duと、U成形品の側端部同士を当接させるO成形工程において用いるO成形金型の凹部幅(当接部形成凹部の幅)Doの比からなる成形条件比a=Du/Doが0.85以上0.95以下に設定されているので、スプリングバックを適切に抑制することが可能となり、O成形工程において形成する特定三次元筒状部の側端部同士を正確かつ効率的に密着させ、又は狙いの位置に近接させることができる。ここで、成形条件比aが0.85未満となる場合、特定三次元筒状部のスプリングバックが過大となり、特定三次元筒状部の閉断面(長手方向に直交する断面)が狙いの形状から大きく外れる。例えば、狙いの形状が真円となる場合、閉断面が縦長の卵形になり真円度が低下する。成形条件比aが0.95を超える場合、O成形工程において形成する特定三次元筒状部の側端部同士が十分に密着しない。
【0022】
また、O成形工程後に、当接予定部の端部同士を密着させ、又は狙いの状態に近接して配置することにより、治具等を複雑化することなく効率的に接合することができる。
また、成形条件比aが1.0未満に設定されているので、U成形品をO成形金型内に容易に配置することができる。
その結果、特定三次元筒状部からなる筒状部及び少なくとも一部が特定三次元筒状部とされた筒状部を効率的に形成することができ、ひいては、部材及び自動車用部材を容易に軽量化するとともに製造コストを削減することができる。
【0023】
ここで、前記U成形金型は、前記U成形パンチであるプレス成形パンチと、前記プレス成形パンチと対応するプレス成形凹部が形成されたプレス成形凹型とを有し、前記U成形工程は、前記プレス成形パンチを、前記プレス成形凹型に近接する方向に相対的に移動させることで、前記金属材料板を、断面視凹形状部と、前記断面視凹形状部の両側端部から外部に延出した延出部とを有するプレス成形品に成形するプレス成形工程と、前記プレス成形品から前記延出部を除去することで、前記U成形品を製造するフランジレス化工程と、を含んでいてもよい。
【0024】
この明細書において、プレス成形とは、プレス成形パンチと、プレス成形凹部が形成されたプレス成形凹型によりプレス成形品を成形することをいう。より具体的には、金属材料押え工具(例えば、ブランクホルダ等)によって、プレス成型凹部の外方(側方部)で金属材料板を押さえ、プレス成形パンチをプレス成形凹型に近接する方向に相対的に移動(前進)させて、プレス成形凹部の端部から外方に延出する延出部を押さえながら、金属材料板に断面視凹形状部を成形することをいう。
【0025】
また、フランジレス化工程とは、前記延出部の無いプレス成形品(=フランジレスプレス成形品)を形成することをいい、例えば、プレス成形後に断面視凹形状の両側端部から外方に延出したフランジ状の延出部をトリミング等により除去する工程のほか、プレス成形する際に一旦形成された延出部を、プレス成形凹部内に押し込むことで、断面視凹形状部の一部とする工程、一旦形成された延出部を曲げ成形して断面視凹形状部の一部とする工程等を含むものとする。なお、フランジレスプレス成形品は、プレス成形品の一形態であり、単にプレス成形品という場合がある。
【0026】
また、この明細書において当接予定部を当接するとは、フランジレスプレス成形品の対応する側端部同士を密着させることのほか、例えば、溶接等によって接合可能な程度の隙間(狙いの間隔)を形成すること、密着した側端部の一部に隙間が形成されていること、側端部の全長にわたって所定の隙間をあけて近接配置することを含むものとする。
また、隙間が形成されている場合に、隙間の間隔は、隙間が形成された区間の一部が他の部分と異なって形成されていてもよい。すなわち、全区間にわたって一定である必要はないものとする。
【0027】
また、前記U成形金型は、前記U成形パンチである曲げ成形パンチと、前記曲げ成形パンチと対応する曲げ成形凹部が形成された曲げ成形凹型とを有し、前記U成形工程は、前記曲げ成形パンチを、前記曲げ成形凹型に近接する方向に相対的に移動させることで、前記U成形品を製造してもよい。
【0028】
この明細書において、曲げ成形とは、曲げ成形パンチと曲げ成形凹型によって、U成形部を成形することをいい、より具体的には、曲げ成形パンチにより金属材料板を押圧する際に、ブランクホルダ等によって金属材料板を押圧することなく成形することをいう。すなわち、曲げ成形の趣旨は、断面視凹形状とされた金属材料板の両側端部から外部に延出した延出部(フランジ部)や絞り抜きによる余肉を形成しないことである。
【0029】
また、この明細書において長手方向とは、長尺な部材(例えば特定三次元筒状部を有する部材)が延在する方向である。また、図心線とは、筒状部の各部位において断面積が最小となる最小断面(すなわち、長手方向に直交する断面)の図心を長手方向に接続した線をいう。
なお、プレス成形工程におけるプレス成形パンチの進退方向及びO成形工程における第1凹型及び第2凹型(O成形金型を構成する金型)の相対移動方向は、図心線と直交する方向である必要がないことはいうまでもない。
【0030】
また、筒状部の断面形状は、筒状部の図心線(長手方向)に直交する断面の形状である。周長変化部とは、筒状部において図心線と直交して定義される周長(すなわち、図心線(長手方向)に直交する断面の外周円の長さ)が図心線に沿って変化する部分をいい、図心線に沿った任意の二点で周長が変化していることで特定することができる。
また、周長変化部において、図心線に沿って設定した任意の二点における周長の差を、この二点間の図心線に沿った長さで除した数値(の百分率)を周長変化率という。
また、周長変化率変化部とは、周長変化率が図心線に沿って変化する部分をいう。
【0031】
ここで、前記フランジレス化工程は、前記プレス成形工程において前記断面視凹形状部および前記延出部を形成した後に、前記プレス成形パンチをさらに前進させて行うようにしてもよい。
【0032】
この観点によれば、フランジレス化工程は、プレス成形工程において断面視凹形状部および前記延出部を形成した後に、プレス成形パンチをさらに前進させて行うので、プレス成形品をU成形金型から取り出すことなく、金属材料板を押さえるために必要とされた延出部を、フランジレスプレス成形品に成形することができる。
その結果、金属材料板を押さえるために必要とされた延出部をトリミングする工程を設ける必要がなく、フランジレス成形品を効率的に形成することが可能となり、生産性を向上することができる。
【0033】
また、前記プレス成形凹型が有するカウンタを、前記プレス成形凹部に対して、前記プレス成形パンチの進退方向に沿って進退させるようにしてもよい。
【0034】
ここで、前記プレス成形凹型に前記カウンタを備えさせるようにしてもよい。
【0035】
この観点によれば、プレス成形凹型が有するカウンタとプレス成形パンチとによって、プレス成形品を挟圧することが可能であるので、プレス成形品を効率的に製造することができる。
【0036】
また、前記断面形状変化部は、前記断面形状(筒状部の図心線に直交する断面の形状)の前記図心線と前記当接部を含む方向における長さ(すなわち、当該断面の図心と当接部とを通り、かつ当該断面の外周と交差する線分の長さ)の前記図心線に沿う変化が10%以上50%以下であってもよい。
【0037】
ここで、前記断面形状変化部が上述した特性を有するように、前記金型を設計してもよい。
【0038】
この観点によれば、断面形状変化部は、前記断面形状の図心線と当接部を含む方向(=プレス成形方向)における長さの前記図心線に沿う変化が10%以上50%以下の断面形状変化部であり、成形しにくい断面形状変化部を備えた部材を効率的に製造することができる。
【0039】
ここで、断面形状変化部とは、図心線に沿って、図心線と直交する断面形状が変化する部分をいう。
また、断面形状変化部における断面形状の変化は、図心線に沿って設定した任意の二点における前記断面形状の図心線と当接部を含む方向における長さの差を、この二点間の図心線に沿った長さで除した数値(の百分率)として示される。
【0040】
また、前記周長変化率変化部の第1端部と第2端部との周長変化率の変化が0.035mm-1以上0.35mm-1以下であってもよい。
【0041】
ここで、前記周長変化率変化部が上述した特性を有するように、前記金型を設計してもよい。
【0042】
この観点によれば、周長変化率変化部の第1端部と第2端部との周長変化率の変化が0.035mm-1以上0.35mm-1以下とされていて、成形しにくい部材を効率的に製造することができる。
【0043】
ここで、周長変化率変化部とは、筒部の周長変化率が図心線に沿って変化する部分であり、数学的には、図心線に沿った周長変化量を微分して得られる周長変化率が、図心線に沿って変化する部分をいう。
また、周長変化率変化部の第1端部と第2端部の間における周長変化率の変化(数値)とは、周長変化率変化部の第1端部(始点)、第2端部(終点)のそれぞれの周長変化率の差を、第1端部と第2端部との図心線に沿った間隔(長さ、寸法)で除した値(絶対値)によって定義するものとする。
周長変化率は、例えば、形状測定器により測定した曲面形状や、他の測定方法で測定したデータに基づいて算出することが可能である。なお、本発明の形状に関する他のパラメータも同様の方法で測定することが可能である。
【0044】
また、前記湾曲部における図心線の曲率が0.002mm-1以上0.02mm-1以下の範囲であってもよい。
【0045】
ここで、前記湾曲部が上述した特性を有するように、前記金型を設計してもよい。
【0046】
この観点によれば、筒状部における図心線の曲率が0.002mm-1以上0.02mm-1以下の範囲の部分を含んでいて、成形しにくい湾曲部を備えた部材を効率的に製造することができる。
【0047】
また、前記成形条件比aが、前記特定三次元筒状部の図心線に沿って変化してもよい。
【0048】
ここで、前記成形条件比aが上述した特性を有するように、前記金型を設計してもよい。
【0049】
この観点によれば、成形条件比aが、特定三次元筒状部の図心線に沿って変化するので、特定三次元筒状部の当接部の全長にわたって側端部を正確かつ効率的に密着させ、又は狙いの位置に近接させることができる。
【0050】
本観点に係る部材の製造方法は、前記U成形工程に先立って1または複数のサイクルで行われる成形条件比設定工程をさらに含み、前記成形条件比設定工程は、前サイクルの前記成形条件比設定工程で設定された前記成形条件比aまたは前記成形条件比aの初期値と、前記部材の材料特性と、前記金属材料板の形状及び板厚と、前記U成形工程における成形条件と、前記O成形工程における成形条件と、を含む条件を考慮した有限要素解析を行うことで、前記U成形工程によって生じる前記特定三次元筒状部の図心線に沿った方向の歪量と、前記O成形工程によって生じる前記特定三次元筒状部の図心線に沿った方向の歪量及び前記側端部同士の相対位置と、を含む形状パラメータを推定し、前記形状パラメータが所望の条件を満たすまで、前記成形条件比設定工程を繰り返し行うようにしてもよい。
【0051】
ここで、前記金型は、上記の成形条件比設定工程により設計された成形条件比aに基づいて設計されてもよい。
【0052】
この観点によれば、成形条件比aと、部材の材料特性と、金属材料板の形状及び板厚と、U成形工程における成形条件と、O成形工程における成形条件と、を含む条件を考慮した有限要素解析を行うことで、U成形工程によって生じる前記特定三次元筒状部の図心線に沿った方向の歪量と、O成形工程によって生じる前記特定三次元筒状部の図心線に沿った方向の歪量及び前記側端部同士の相対位置と、を含む形状パラメータを推定する。そして、成形条件比aは、この形状パラメータに基づいて設定されるので、成形条件比aの精度をより高めることができ、ひいては、特定三次元筒状部をより効率的かつ安定して形成することができる。
【0053】
この明細書において、部材の材料特性とは、部材を構成する材料のヤング率、降伏強度(耐力)、引張試験における応力と歪の関係(応力-歪曲線等)等をいう。
また、金属材料板の形状及び板厚とは、部材及び特定三次元筒状部に対応して形成された金属材料板の形状及び金属材料板の板厚をいう。
また、U成形工程における成形条件とは、例えば、U成形パンチ(例えばプレス成形パンチ、曲げ成形パンチ)の幅Du、成形凹型(例えばプレス成形凹型、曲げ成形凹型)の形状、U成形工程における成形荷重、あるいは、U成形工程における、成形凹型に対するU成形パンチの変位(成形凹型とU成形パンチとの相対的位置)等をいう。
また、O成形工程における成形条件とは、O成形金型の当接部形成凹部の形状(凹部幅Doを含む)、O成形工程における成形荷重、あるいはO成形金型における第1凹型に対する第2凹型の変位(O成形金型の第1凹型と第2凹型の相対的位置)をいう。
なお、上記パラメータに代用可能なパラメータを使用してもよいし、上記パラメータ以外のパラメータを含めてもよい。
【発明の効果】
【0054】
本発明の上記観点に係る部材の製造方法、自動車用部材の製造方法、及び金型によれば、筒状部に断面形状変化部と周長変化率変化部と湾曲部のうち、少なくともいずれか一つを含む特定三次元筒状部を備えた部材を効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1A】本発明に係る第1の知見を説明する図であり、第1の知見に係る第1のモデルの一例を示す図である。
【
図1B】本発明に係る第1の知見を説明する図であり、第1のモデルに係る金属材料板の一例を示す図である。
【
図1C】本発明に係る第1の知見を説明する図であり、第1のモデルに係るプレス成形工程の一例を示す図である。
【
図1D】本発明に係る第1の知見を説明する図であり、第1のモデルに係るプレス成形工程において成形中の延出部を有するプレス成形品の一例を示す概念図である。
【
図1E】本発明に係る第1の知見を説明する図であり、第1のモデルに係るプレス成形工程の一例を示す図心線を含む断面の図である。
【
図1F】本発明に係る第1の知見を説明する図であり、第1のモデルに係る当接部形成工程の一例を示す図である。
【
図1G】本発明に係る第1の知見を説明する図であり、第1のモデルに係る当接部形成品の一例を示す図心線を含む断面の図である。
【
図2】本発明に係るプレス成形工程、当接部形成工程の概略、及び成形条件比aを構成するプレス成形パンチ幅DuとO成形金型(当接部形成型)の凹部幅Doを概念的に説明する図である。
【
図3A】本発明に係る第2の知見を説明する図であり、第2の知見に係る第2のモデルの一例を示す図である。
【
図3B】本発明に係る第2の知見を説明する図であり、第2のモデルに係る金属材料板の一例を示す図である。
【
図3C】本発明に係る第2の知見を説明する図であり、第2のモデルに係るプレス成形工程の一例を示す図である。
【
図3D】本発明に係る第2の知見を説明する図であり、第2のモデルに係るプレス成形工程の一例を示す図心線を含む断面の図である。
【
図3E】本発明に係る第2の知見を説明する図であり、第2のモデルに係る当接部形成工程の一例を示す図である。
【
図3F】本発明に係る第2の知見を説明する図であり、第2のモデルに係る当接部形成品の一例を示す図心線を含む断面の図である。
【
図4A】本発明に係る第3の知見を説明する図であり、第3の知見に係る第3のモデルの一例を示す図である。
【
図4B】本発明に係る第3の知見を説明する図であり、第3のモデルに係る金属材料板の一例を示す図である。
【
図4C】本発明に係る第3の知見を説明する図であり、第3のモデルに係るプレス成形工程の一例を示す図である。
【
図4D】本発明に係る第3の知見を説明する図であり、第3のモデルに係るプレス成形工程の一例を示す図心線を含む断面の図である。
【
図4E】本発明に係る第3の知見を説明する図であり、第3のモデルに係る当接部形成工程の一例を示す図である。
【
図4F】本発明に係る第3の知見を説明する図であり、第3のモデルに係る当接部形成品の一例を示す図心線を含む断面の図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るトーションビームAssyの一例を説明する図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係るトレーリングアームを説明する図であり、レーリングアーム本体を示す斜視図である。
【
図7A】第1実施形態に係るトレーリングアーム本体を説明する図であり、トレーリングアーム本体をプレス成形方向のパンチ側から見た図である。
【
図7B】第1実施形態に係るトレーリングアーム本体を説明する図であり、トレーリングアーム本体をプレス成形方向と直交する側方から見た図である。
【
図7C】第1実施形態に係るトレーリングアーム本体を説明する図であり、
図7Bにおいて矢視VIIC-VIICで示したトレーリングアーム本体100のフロント側閉断面である。
【
図7D】第1実施形態に係るトレーリングアーム本体を説明する図であり、
図7Bにおいて矢視VIID-VIIDで示したトレーリングアーム本体100のリア側閉断面である。
【
図8】本発明に係る部材の製造工程の概略の一例を説明するフローチャートである。
【
図9】本発明の第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造工程を説明するフローチャートである。
【
図10】本発明の第1実施形態に係るトレーリングアーム本体を製造するための材料鋼板の概略構成を説明する図である。
【
図11A】第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造におけるプレス成形工程を説明する図であり、プレス成形型の概略構成を示す斜視図である。
【
図11B】第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造におけるプレス成形工程を説明する図であり、プレス成形工程で成形された余肉付きプレス成形品をプレス成形方向におけるプレス成形パンチの反対側から見た図である。
【
図11C】第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造におけるプレス成形工程を説明する図であり、プレス成形工程で成形された余肉付きプレス成形品をプレス成形方向と直交する側方から見た図である。
【
図12A】第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造におけるトリミング工程の概略を説明する図であり、トリミング型の概略構成を示す斜視図である。
【
図12B】第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造におけるトリミング工程の概略を説明する図であり、フランジレスプレス成形品をプレス成形方向におけるプレス成形パンチの反対側から見た図である。
【
図12C】第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造におけるトリミング工程の概略を説明する図であり、フランジレスプレス成形品をプレス成形方向と直交する側方から見た図である。
【
図13A】第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造における当接部形成工程の概略を説明する図であり、O成形金型の概略構成を示す斜視図である。
【
図13B】第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造における当接部形成工程の概略を説明する図であり、当接部形成品を当接部側から見た図である。
【
図13C】第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造における当接部形成工程の概略を説明する図であり、当接部形成品を当接部形成における成形方向と直交する側方から見た図である。
【
図14】本発明の第1実施形態に係る金型における成形条件比a(=Du/Do)の概略を説明する図である。
【
図15A】本発明の第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、材料鋼板をプレス成形型に載置した状態をトレーリングアーム本体におけるフロント側から見た図である。
【
図15B】本発明の第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、プレス成形パンチが材料鋼板をプレス成形凹型に押圧してプレス成形する状態及び余肉付きプレス成形品を、トレーリングアーム本体におけるフロント側から見た図である。
【
図15C】本発明の第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、余肉付きプレス成形品をトリミングする状態及びトリミング後のフランジレスプレス成形品を、トレーリングアーム本体におけるフロント側から見た図である。
【
図15D】本発明の第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、フランジレスプレス成形品図である。
【
図15E】本発明の第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、フランジレスプレス成形品をO成形金型によって当接部形成品に成形する状態を、トレーリングアーム本体におけるフロント側から見た図である。
【
図15F】本発明の第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、O成形金型によって当接部形成品が成形された状態及び成形された当接部形成品を、トレーリングアーム本体におけるフロント側から見た図である。
【
図15G】本発明の第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、当接部形成品をトレーリングアーム本体におけるフロント側から見た図である。
【
図16A】本発明の第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、材料鋼板をプレス成形型に載置した状態をトレーリングアーム本体におけるリア側から見た図である。
【
図16B】本発明の第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、材料鋼板をプレス成形パンチがプレス成形凹型に押圧してプレス成形する状態及び余肉付きプレス成形品を、トレーリングアーム本体におけるリア側から見た図である。
【
図16C】本発明の第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、余肉付きプレス成形品をトリミングする状態及びトリミング後のフランジレスプレス成形品を、トレーリングアーム本体におけるリア側から見た図である。
【
図16D】本発明の第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、フランジレスプレス成形品をO成形金型に配置した状態を、トレーリングアーム本体におけるリア側から見た図である。
【
図16E】本発明の第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、フランジレスプレス成形品をO成形金型によって当接部形成品に成形する状態を、トレーリングアーム本体におけるリア側から見た図である。
【
図16F】本発明の第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、O成形金型によって当接部形成品が成形された状態及び成形された当接部形成品を、トレーリングアーム本体におけるリア側から見た図である。
【
図16G】本発明の第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、当接部形成品をトレーリングアーム本体におけるリア側から見た図である。
【
図17A】本発明の第2実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、プレス成形型において材料鋼板を鋼板押え部材によって押圧した状態を、トレーリングアーム本体におけるリア側から見た図である。
【
図17B】本発明の第2実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、プレス成形型において材料鋼板をプレス成形パンチとカウンタが協働してプレス成形凹型に押圧してプレス成形する状態を、トレーリングアーム本体におけるリア側から見た図である。
【
図17C】本発明の第2実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、プレス成形が完了することによりフランジレスプレス成形品が成形された状態を、トレーリングアーム本体におけるリア側から見た図である。
【
図18A】本発明に係る第1の知見を説明する図であり、第1の知見に係る第1のモデルの一例を示す図である。
【
図18B】本発明に係る第1の知見を説明する図であり、第1のモデルに係る金属材料板の一例を示す図である。
【
図18C】本発明に係る第1の知見を説明する図であり、第1のモデルに係る曲げ成形工程の一例を示す図である。
【
図18D】本発明に係る第1の知見を説明する図であり、第1のモデルに係る曲げ成形品の一例を示す図心線を含む断面の図である。
【
図18E】本発明に係る第1の知見を説明する図であり、第1のモデルに係る当接部形成工程の一例を示す図である。
【
図18F】本発明に係る第1の知見を説明する図であり、第1のモデルに係る当接部形成品の一例を示す図心線を含む断面の図である。
【
図19】本発明に係る曲げ成形工程、当接部形成工程の概略、及び成形条件比aを構成する曲げ成形パンチ幅DuとO成形金型の凹部幅Doを概念的に説明する図である。
【
図20A】本発明に係る第2の知見を説明する図であり、第2の知見に係る第2のモデルの一例を示す図である。
【
図20B】本発明に係る第2の知見を説明する図であり、第2のモデルに係る金属材料板の一例を示す図である。
【
図20C】本発明に係る第2の知見を説明する図であり、第2のモデルに係る曲げ成形工程の一例を示す図である。
【
図20D】本発明に係る第2の知見を説明する図であり、第2のモデルに係る曲げ成形品の一例を示す図心線を含む断面の図である。
【
図20E】本発明に係る第2の知見を説明する図であり、第2のモデルに係る当接部形成工程の一例を示す図である。
【
図20F】本発明に係る第2の知見を説明する図であり、第2のモデルに係る当接部形成品の一例を示す図心線を含む断面の図である。
【
図21A】本発明に係る第3の知見を説明する図であり、第3の知見に係る第3のモデルの一例を示す図である。
【
図21B】本発明に係る第3の知見を説明する図であり、第3のモデルに係る金属材料板の一例を示す図である。
【
図21C】本発明に係る第3の知見を説明する図であり、第3のモデルに係る曲げ成形工程の一例を示す図である。
【
図21D】本発明に係る第3の知見を説明する図であり、第3のモデルに係る曲げ成形品の一例を示す図心線を含む断面の図である。
【
図21E】本発明に係る第3の知見を説明する図であり、第3のモデルに係る当接部形成工程の一例を示す図である。
【
図21F】本発明に係る第3の知見を説明する図であり、第3のモデルに係る当接部形成品の一例を示す図心線を含む断面の図である。
【
図22】本発明に係る部材の製造工程の概略の一例を説明するフローチャートである。
【
図23】本発明の一実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造工程を説明するフローチャートである。
【
図24】本発明の一実施形態に係るトレーリングアーム本体を製造するための材料鋼板の概略構成を説明する図である。
【
図25A】一実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造における曲げ成形工程を説明する図であり、曲げ成形型の概略構成を示す斜視図である。
【
図25B】一実施形態に係る曲げ成形工程で成形された曲げ成形品の概略を説明する図であり、曲げ成形品を曲げ成形方向における曲げ成形パンチの反対側から見た図である。
【
図25C】一実施形態に係る曲げ成形工程で成形された曲げ成形品の概略を説明する図であり、曲げ成形品を曲げ成形方向と直交する側方から見た図である。
【
図26A】一実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造における当接部形成工程の概略を説明する図であり、O成形金型の概略構成を示す斜視図である。
【
図26B】一実施形態に係る当接部形成工程で連結された当接部形成品の概略を説明する図であり、当接部形成品を当接部側から見た図である。
【
図26C】一実施形態に係る当接部形成工程で当接された当接部形成品の概略を説明する図であり、当接部形成品を当接部形成における成形方向と直交する側方から見た図である。
【
図27】本発明の一実施形態に係る金型における成形条件比a(=Du/Do)の概略を説明する図である。
【
図28A】本発明の一実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、材料鋼板を曲げ成形型に載置した状態をトレーリングアーム本体におけるフロント側から見た図である。
【
図28B】本発明の一実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、材料鋼板を曲げ成形パンチが曲げ成形凹型に押圧して曲げ成形する状態及び曲げ成形品を、トレーリングアーム本体におけるフロント側から見た図である。
【
図28C】本発明の一実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、曲げ成形品をO成形金型に配置した状態を、トレーリングアーム本体におけるフロント側から見た図である。
【
図28D】本発明の一実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、曲げ成形品をO成形金型によって閉断面にして当接部形成品を成形する状態を、トレーリングアーム本体におけるフロント側から見た図である。
【
図28E】本発明の一実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、O成形金型によって当接部形成品が成形された状態及び成形された当接部形成品を、トレーリングアーム本体におけるフロント側から見た図である。
【
図28F】本発明の一実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、当接部形成品の当接部を接合して形成されたトレーリングアーム本体をフロント側から見た図である。
【
図29A】本発明の一実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、材料鋼板を曲げ成形型に載置した状態をトレーリングアーム本体におけるリア側から見た図である。
【
図29B】本発明の一実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、材料鋼板を曲げ成形パンチが曲げ成形凹型に押圧して曲げ成形する状態及び曲げ成形品を、トレーリングアーム本体におけるリア側から見た図である。
【
図29C】本発明の一実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、曲げ成形品をO成形金型に配置した状態を、トレーリングアーム本体におけるリア側から見た図である。
【
図29D】本発明の一実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、曲げ成形品をO成形金型によって閉断面にして当接部形成品を成形する状態を、トレーリングアーム本体におけるリア側から見た図である。
【
図29E】本発明の一実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、O成形金型によって当接部形成品が成形された状態及び成形された当接部形成品を、トレーリングアーム本体におけるリア側から見た図である。
【
図29F】本発明の一実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、当接部形成品の当接部を接合して形成されたトレーリングアーム本体をリア側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明の発明者は、金属材料板から筒状部を形成する筒状部形成方法を適用して、以下(1)~(3)に示すような筒状部を有する自動車用部材等に適用可能な部材を効率的に製造する技術について鋭意研究した。(1)図心線と直交する断面(長手方向に直交する断面)の周長が図心線に沿って変化する周長変化部において、周長の変化率が変化する周長変化率変化部(2)図心線と直交する断面の形状が図心線に沿って変化する断面形状変化部(3)図心線が曲率を有する湾曲部
その結果、次に示すような第1~第6の知見を得た。なお、本実施形態において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0057】
〔第1の知見〕
第1の知見は、周長変化率変化部に関する知見である。
以下、
図1A~
図1F、及び
図2を参照して、本発明の第1の知見について説明する。
図1A~
図1F、及び
図2は、本発明に係る第1の知見を説明する図である。また、
図1D、
図1E、
図1Gにおいて、互いに向かい合う矢印は圧縮の歪を示し、互いに反対側を向く矢印は引張の歪を示している。
第1の知見は、例えば、
図1Aに示すように、軸線(図心線)方向から見たときに円形とされた閉断面を有し、この閉断面の周長が図心線に沿って一定の変化率で漸次変化する円錐状形状部M101と、円錐状形状部M101の小径側に接続された断面円形のストレート部M102と、円錐状形状部M101とストレート部M102との接続部に形成され周長変化率が変化する周長変化率変化部M103とを備えた部材モデル(以下、第1のモデルという)M100の例である。
【0058】
第1のモデルM100は、
図1Bに示すような金属材料板W100を、プレス成形工程、フランジレス化工程及びO成形工程(当接部形成工程)の順に成形することにより形成されている。なお、O成形工程では、例えば、プレス成形工程で側端部が形成されたフランジレスプレス成形品(U成形品)を用いる。なお、ここでは第1のモデルM100がプレス成形加工(絞り加工)により成形される例について説明するが、曲げ成形加工によって第1のモデルM100が成形される場合にも同様の知見が成り立つ。曲げ成形加工については後述する。
金属材料板W100は、円錐状形状部M101と対応する扇形状部W101と、ストレート部M102と対応する矩形部W102と、周長変化率変化部M103と対応する接続部W103とを備えている。
【0059】
プレス成形工程では、
図1Cに示すように、プレス成形凹型D111と、プレス成形パンチD112と、金属材料板押え工具D113と、を備えたプレス成形型(U成形金型)D110を用いて、プレス成形品を成形する。なお、
図1Cの左図は、プレス成形型D110及びプレス成形型D110内にセットされた金属材料板W100の側面図であり、右図はこれらの部材の右側側面図(左図の構造を右側面から見た図)である。
【0060】
プレス成形凹型D111は、第1のモデルM100の図心線方向から見たときに、第1のモデルM100の図心線に対して概ね180°の範囲(下側半分)の最終形状と対応する下側成形形状部とその下側成形形状部に接続され下側成形形状部の上端を上方に延在して形成された上側成形形状部とを有するプレス成形凹部D111Aが形成されている。
また、プレス成形パンチD112は、プレス成形凹部D111Aとの間に所定の間隔を以ってプレス成形品の内周面と対応するように構成されたプレス成形凸部D112Aが形成されている。
【0061】
そして、金属材料板押え工具D113は、プレス成形する際に、プレス成形凹部D111Aを跨いで配置した金属材料板W100を、金属材料板押え工具D113によりプレス成形凹部D111Aの両側の外方でプレス成形凹型D111に押さえる。
【0062】
次に、プレス成形パンチD112が前進(下降)して、プレス成形凹型D111内に金属材料板W100を挿入する。このとき、金属材料板W100は、金属材料板押え工具D113で押さえられた部分は、成形される部分に引張力を付与する。
【0063】
その結果、
図1Dに示すように、プレス成形パンチD112側が開口されプレス成形凹型D111側にくぼむ凹形状部(断面視凹形状部)が形成されるとともに、プレス成形凹部D111Aから外部に延出する延出部M110Bを有する部材(プレス成形品の中間品)M110Aがプレス成形凹型D111内に形成される。なお、
図1Dの左図は部材M110Aの側面図であり、右図は部材M110Aの右側側面図(左図の構造を右側面から見た図)である。
【0064】
次いで、プレス成形パンチD112がさらに前進(下降)(フランジレス化工程)して、プレス成形凹型D111内に延出部M110Bを挿入することにより、
図1Eに示すような、延出部の無いフランジレスプレス成形品M110が形成される。フランジレスプレス成形品M110は、円錐状形状部M101と対応する部位M111と、ストレート部M102と対応する部位M112と、周長変化率変化部M103と対応する部位M113とを有する。この例では、フランジレス化工程は、プレス成形工程の一部とされている。
プレス成形工程では、
図1D、
図1Eに示すように、周長変化率変化部M103と対応する部位M113に圧縮の歪が発生する。なお、フランジレス化工程は、上述したプレス成形凹型内に延出部を挿入するものであってもよいし、後述する第1実施形態に示されるように、延出部をトリミングするものであってもよい。
【0065】
O成形工程では、
図1Fに示すように、O成形金型D120を用いてO成形工程を行う。具体的には、下型凹部D121Aが形成された下型(第1凹型)D121と、当接予定部の側端部M110Eを沿わせる上型凹部D122Aが形成された上型(第2凹型)D122により、フランジレスプレス成形品M110の当接予定部のそれぞれの側端部M110E同士を互いに当接させて当接部M100Cを形成することにより第1のモデルM100が形成される。なお、
図1Fの左図は、下型D121、上型D122、及びこれらの間に配置されたフランジレスプレス成形品M110の側面図であり、右図はこれらの部材の右側側面図(左図の構造を右側面から見た図)である。
当接部形成工程では、
図1Gに示すように、周長変化率変化部M103の当接部M100Cに引張の歪が発生する。
【0066】
ここで、周長変化率変化部M103の第1端部と第2端部との周長変化率の変化が0.035以上0.35以下であってもよい。ここで、第1端部は、前記周長変化率変化部M103の長手方向の一方の端部であってもよく、第2端部は他方の端部であってもよい。周長変化率変化部M103の第1端部と第2端部の間における周長変化率の変化(数値)とは、周長変化率変化部の第1端部(始点)、第2端部(終点)のそれぞれの周長変化率の差を、第1端部と第2端部との図心線に沿った間隔(長さ、寸法)で除した値(絶対値)によって定義するものとする。周長変化率は、例えば、形状測定器により測定した曲面形状や、他の測定方法で測定したデータに基づいて算出することが可能である。
【0067】
次に、
図2を参照して、成形条件比aの概念、及び成形条件比aの算出方法について説明する。
図2は、本発明に係るプレス成形工程の概略、O成形工程の概略、及び成形条件比aを構成するプレス成形パンチ幅DuとO成形金型の凹部幅(当接部形成凹部の幅)Doを概念的に示す図である。
【0068】
本知見に係る筒状部の形成は、
図2に示すように、プレス成形工程において、金属材料押さえ工具により金属材料板をプレス成形凹型に押さえ、プレス成形パンチによりプレス成形品(プレス成形部)をプレス成形する。その後、プレス成形品をトリミングしてフランジレスプレス成形品にする。ついで、O成形工程において、フランジレスプレス成形品の側端部をO成形金型(第1凹型及び第2凹型)の凹部に沿うように成形することで、フランジレスプレス成形品(側端部形成プレス成形部)の側端部(断面における両側の端部。すなわち、当接予定部。)が当接される。
【0069】
成形条件比aは、
図2に示すように、プレス成形工程においてプレス成形するプレス成形型のうち、プレス成形凹型に金属材料を押圧するプレス成形パンチのプレス成形凸部の幅Duと、O成形工程において使用するO成形金型(第1凹型及び第2凹型)の当接部形成凹部の凹部幅Doの比(Du/Do)によって定義される数値である。
【0070】
この場合、成形条件比aは、0.85以上0.95以下とされる(第4の知見)。成形条件比aをこのような範囲内の値に設定することで、O成形工程時に周長変化率変化部M103の当接予定部を高精度に密着させることができ、ひいては、周長変化率変化部M103を有する第1のモデルM100を効率的に製造することができる。なお、少なくとも特定三次元筒状部(ここでは周長変化率変化部M103)に対応する金型の成形条件比aが0.85以上0.95以下であればよい。金型の全域で成形条件比aが0.85以上0.95以下であってもよい。後述する他の知見や実施形態においても同様である。
【0071】
成形条件比aが0.85より小さい場合、プレス成形工程およびO成形工程で発生する歪が過大になり、また、周長変化率変化部M103のスプリングバックが過大となる。このため、周長変化率変化部M103の閉断面(長手方向に直交する断面)が狙いの形状(ここでは真円)から大きく外れた縦長の卵形になり真円度が低下する。成形条件比aが0.95を超える場合、O成形工程において形成する周長変化率変化部M103の側端部同士が十分に密着または近接しない。
【0072】
なお、周長変化率変化部M103を含む第1のモデルM100は様々な形状をとりうる。このため、第1のモデルM100の形状によっては、成形条件比aの好適な範囲が0.85以上0.95以下の範囲内で存在する可能性がある。このような好適な成形条件比aを探るために、U成形工程(ここではプレス成形工程)に先立って以下の処理を行ってもよい。
【0073】
すなわち、U成形工程に先立って、成形条件比設定工程を1または複数のサイクルで行い、好適な成形条件比aを設定する。ここで、成形条件比設定工程は、前サイクルの成形条件比設定工程で設定された成形条件比a(1サイクル目の場合には予め設定された成形条件比aの初期値)と、部材の材料特性と、金属材料板の形状及び板厚と、U成形工程における成形条件と、O成形工程における成形条件と、を含む条件を考慮した有限要素解析を行う。これにより、U成形工程によって生じる特定三次元筒状部(ここでは周長変化率変化部M103)の図心線に沿った方向の歪量と、O成形工程によって生じる特定三次元筒状部(ここでは周長変化率変化部M103)の図心線に沿った方向の歪量及び側端部(当接予定部)同士の相対位置と、を含む形状パラメータを推定する。
【0074】
ここで、部材の材料特性とは、部材を構成する材料のヤング率、降伏強度(耐力)、引張試験における応力と歪の関係(応力-歪曲線等)等をいう。
また、金属材料板の形状及び板厚とは、部材及び特定三次元筒状部(ここでは周長変化率変化部M103)に対応して形成された金属材料板の形状及び金属材料板の板厚をいう。
また、U成形工程(ここではプレス成形工程)における成形条件とは、例えば、U成形パンチ(ここではプレス成形パンチ)の幅Du、成形凹型(ここではプレス成形凹型)の形状、U成形工程における成形荷重、あるいは、U成形工程における、成形凹型に対するU成形パンチの変位(プレス成形凹型とプレス成形パンチとの相対的位置)等をいう。
また、O成形工程における成形条件とは、O成形金型の当接部形成凹部の形状(凹部幅Doを含む)、O成形工程における成形荷重、あるいはO成形金型における第1凹型に対する第2凹型の変位(O成形金型の第1凹型と第2凹型の相対的位置)をいう。もちろん、これら以外のパラメータを考慮してもよい。
【0075】
ついで、上記で推定された形状パラメータが所望の条件を満たすまで、成形条件比設定工程を繰り返し行う。ここで、所望の条件は、特定三次元筒状部に求められる特性(強度や寸法精度等)に応じて様々に設定されうる。いずれにしても、特定三次元筒状部を有する部材を製造する場合、成形条件比aを0.85以上0.95以下の範囲内で設定することで、特定三次元筒状部の当接予定部を高精度に密着させることができ、ひいては、特定三次元筒状部を有する部材を効率的に製造することができる。
【0076】
第1の知見は、曲げ成形加工にも適用される。以下、
図18A~
図18F、及び
図19を参照して、本発明の第1の知見を曲げ成形加工に適用した例について説明する。
図18A~
図18F、及び
図19は、本発明に係る第1の知見を曲げ成形加工に適用した例を説明する図である。また、
図18D、
図18Fにおいて、互いに向かい合う矢印は圧縮の歪を示し、互いに反対側を向く矢印は引張の歪を示している。
第1の知見は、例えば、
図18Aに示すように、軸線(図心線)方向から見たときに円形とされた閉断面を有し、この閉断面の周長が図心線に沿って一定の変化率で漸次変化する円錐状形状部M101’と、円錐状形状部M101’の小径側に接続された断面円形のストレート部M102’と、円錐状形状部M101’とストレート部M102’との接続部に形成され周長変化率が変化する周長変化率変化部M103’とを備えた部材モデル(以下、第1のモデルという)M100’の例である。
【0077】
第1のモデルM100’は、
図18Bに示すような金属材料板W100を、曲げ成形工程、及びO成形工程(当接部形成工程)の順に成形することにより形成されている。
金属材料板W100’は、円錐状形状部M101’と対応する扇形状部W101’と、ストレート部M102’と対応する矩形部W102’と、周長変化率変化部M103’と対応する接続部W103’とを備えている。
【0078】
曲げ成形工程では、
図18Cに示すように、曲げ成形凹型D111’と、曲げ成形パンチD112’とを備えた曲げ成形型(U成形金型)D110’を用いて、曲げ成形品M110’を成形する。なお、
図18Cの左図は、曲げ成形型D110’及び曲げ成形型D110’内にセットされた金属材料板W100’の側面図であり、右図はこれらの部材の右側側面図(左図の構造を右側面から見た図)である。
【0079】
曲げ成形凹型D111’は、第1のモデルM100’の図心線方向から見たときに、第1のモデルM100’の図心線に対して概ね180°の範囲(下側半分)の最終形状と対応する下側成形形状部とその下側成形形状部に接続され下側成形形状部の上端を上方に延在して形成された上側成形形状部とを有する曲げ成形凹部D111A’が形成されている。
また、曲げ成形パンチD112’は、曲げ成形凹部D111A’との間に所定の間隔を以って曲げ成形品M110’の内周面と対応するように構成された曲げ成形凸部D112A’が形成されている。
【0080】
次に、曲げ成形パンチD112’が前進(下降)して、曲げ成形凹部D111A’に載置された金属材料板W100’を曲げ成形凹型D111’内に挿入する。
その結果、
図18Dに示すように、曲げ成形パンチD112’側が開口され曲げ成形凹型D111’側にくぼむ凹形状部が形成される部材(曲げ成形品)M110’が形成される。
曲げ成形工程では、周長変化率変化部M103’と対応する部位M113’の凹形状部側に、
図18Dに示すような圧縮の歪が発生する。曲げ成形品M110’は、円錐状形状部M101’と対応する部位M111’と、ストレート部M102’と対応する部位M112’と、周長変化率変化部M103’と対応する部位M113’とを有する。
【0081】
O成形工程では、
図18Eに示すように、O成形金型D120’を用いてO成形工程を行う。具体的には、下型凹部D121A’が形成された下型(第1凹型)D121’と、当接予定部の側端部M110E’を沿わせる上型凹部D122A’が形成された上型(第2凹型)D122’により、曲げ成形品M110’の当接予定部のそれぞれの側端部M110E’同士を互いに当接させて当接部M100C’を形成することにより第1のモデルM100’が形成される。なお、
図18Eの左図は、下型D121’、上型D122’、及びこれらの間に配置された曲げ成形品M110’の側面図であり、右図はこれらの部材の右側側面図(左図の構造を右側面から見た図)である。
O成形工程では、周長変化率変化部M103の当接部M100Cに、
図18Fに示すような引張の歪が発生する。
【0082】
次に、
図19Aを参照して、成形条件比aの概念、及び成形条件比aの算出方法について説明する。
図19は、本発明に係る曲げ成形工程、O成形工程の概略、及び成形条件比aを構成する曲げ成形パンチ幅DuとO成形金型の凹部幅(当接部形成凹部の幅)Doを概念的に示す図である。
【0083】
本知見に係る筒状部の形成は、
図19に示すように、曲げ成形工程で曲げ成形した曲げ成形品(曲げ成形部)を、O成形工程において、O成形金型(第1凹型及び第2凹型)の凹部に沿うように成形する。これにより、曲げ成形品(曲げ成形部)の側端部(断面における両側の端部)が当接される。
成形条件比aは、
図19に示すように、曲げ成形工程において曲げ成形する曲げ成形型のうち、曲げ成形凹型に金属材料を押圧する曲げ成形パンチの曲げ成形凸部の幅Duと、O成形工程において使用するO成形金型(第1凹型及び第2凹型)の当接部形成凹部の幅Doの比(Du/Do)によって定義される数値である。
【0084】
プレス成形の場合と同様に、成形条件比aは、0.85以上0.95以下とされる(第4の知見)。成形条件比aをこのような範囲内の値に設定することで、O成形工程時に周長変化率変化部M103’の当接予定部を高精度に密着させることができ、ひいては、周長変化率変化部M103’を有する第1のモデルM100’を効率的に製造することができる。なお、少なくとも特定三次元筒状部(ここでは周長変化率変化部M103’)の全長又は一部に対応する金型の成形条件比aが0.85以上0.95以下であればよい。金型の全域で成形条件比aが0.85以上0.95以下であってもよい。
【0085】
成形条件比aが0.85より小さい場合、曲げ成形工程およびO成形工程で発生する歪が過大になり、また、周長変化率変化部M103’のスプリングバックが過大となる。このため、周長変化率変化部M103’の閉断面(長手方向に直交する断面)が狙いの形状(ここでは真円)から大きく外れた縦長の卵形になり真円度が低下する。成形条件比aが0.95を超える場合、O成形工程において形成する周長変化率変化部M103’の側端部同士が十分に密着または近接しない。
【0086】
なお、周長変化率変化部M103’を含む第1のモデルM100’は様々な形状をとりうる。このため、第1のモデルM100’の形状によっては、成形条件比aの好適な範囲が0.85以上0.95以下の範囲内で存在する可能性がある。そこで、上述したように有限要素解析により好適な成形条件比aを探ってもよい。具体的な処理方法は上述した通りである。
【0087】
ここで、考慮すべきパラメータは、例えば、部材の材料特性、金属材料板の形状及び板厚、曲げ成形工程における成形条件、及びO成形工程における成形条件等が挙げられる。これらのうち、部材の材料特性、金属材料板の形状及び板厚、及びO成形工程における成形条件は上述した通りである。曲げ成形工程における成形条件は、例えば曲げ成形パンチの幅Du、曲げ成形凹型の形状、曲げ成形工程における成形荷重、あるいは、曲げ成形工程における、曲げ成形凹型に対する曲げ成形パンチの変位(曲げ成形凹型と曲げ成形パンチとの相対的位置)等をいう。
【0088】
〔第2の知見〕
第2の知見は、断面形状変化部に関する知見である。
以下、
図3A~
図3Dを参照して、本発明の第2の知見について説明する。
図3A~
図3Dは、本発明に係る第2の知見を説明する図である。また、
図3D、
図3Fにおいて、互いに向かい合う矢印は圧縮の歪を示し、互いに反対側を向く矢印は引張の歪を示している。
第2の知見は、例えば、
図3Aに示すように、軸線(図心線)方向から見たときに矩形とされた矩形閉断面M201と、円形とされた円形閉断面M202と、円形閉断面と矩形閉断面との間に形成され図心線に沿って漸次形状変化する断面形状変化部M203とを備えた部材モデル(以下、第2のモデルという)M200の例である。
【0089】
第2のモデルM200は、
図3Bに示すような矩形の金属材料板W200を、プレス成形工程、フランジレス化工程及びO成形工程(当接部形成工程)の順に成形することにより形成されている。なお、ここでは第2のモデルM200がプレス成形加工により成形される例について説明するが、曲げ成形加工によって第2のモデルM200が成形される場合にも同様の知見が成り立つ。曲げ成形加工については後述する。
【0090】
プレス成形工程では、
図3Cに示すように、プレス成形凹型D211と、プレス成形パンチD212と、金属材料板押え工具D213と、を備えたプレス成形型(U成形金型)D210を用いて、プレス成形品を成形する。なお、
図3Cの左図は、プレス成形型D210及びプレス成形型D210内にセットされた金属材料板W200の側面図であり、右図はこれらの部材の右側側面図(左図の構造を右側面から見た図)である。
【0091】
プレス成形凹型D211は、第2のモデルM200の図心線方向から見たときに、第2のモデルM200の図心線に対して概ね180°の範囲(下側半分)の最終形状と対応する下側成形形状部とその下側成形形状部に接続され下側成形形状部の上端を上方に延在して形成された上側成形形状部とを有するプレス成形凹部D211Aが形成されている。また、プレス成形用パンチD212は、プレス成形凹部D211Aとの間に所定の間隔を以ってプレス成形品の内周面と対応するように構成されたプレス成形凸部D212Aが形成されている。
【0092】
また、金属材料板押え工具D213は、プレス成形する際に、プレス成形凹部D211Aを跨いで両側で金属材料板W200をプレス成形凹型D211に押さえるようになっている。
【0093】
そして、金属材料板W200をプレス成形パンチD212とプレス成形凹型D211によりプレス成形することにより、プレス成形パンチD212側が開口されプレス成形凹型D211側が凹形状部とされたプレス成形品が形成される。
プレス成形工程では、断面形状変化部M203と対応する部位M213の凹形状部側に、
図3Dに示すような圧縮及び引張の歪が発生する。なお、符号M210は、フランジレスプレス成形品を示している。フランジレスプレス成形品M210は、矩形閉断面M201と対応する部位M211と、円形閉断面M202と対応する部位M212と、断面形状変化部M203と対応する部位M213とを有する。
【0094】
O成形工程では、
図3Eに示すように、O成形金型D220を用いてO成形工程を行う。具体的には、下型凹部D221Aが形成された下型(第1凹型)D221と、当接予定部の側端部M210Eを沿わせる上型凹部D222Aが形成された上型(第2凹型)D222により、フランジレスプレス成形品M210の当接予定部のそれぞれの側端部M210E同士を互いに当接させて当接部M200Cを形成することにより第2のモデルM200が形成される。なお、
図3Eの左図は、下型D221、上型D222、及びこれらの間に配置されたフランジレスプレス成形品M210の側面図であり、右図はこれらの部材の右側側面図(左図の構造を右側面から見た図)である。
O成形工程では、断面形状変化部M203の当接部M200C側に、
図3Fに示すような圧縮及び引張の歪が発生する。
【0095】
ここで、断面形状変化部M203の断面形状(断面形状変化部M203の図心線に直交する断面の形状)の図心線と当接部M200Cを含む方向における長さ(すなわち、当該断面の図心と当接部M200Cとを通り、かつ当該断面の外周と交差する線分の長さ)の図心線に沿う変化が10%以上50%以下であってもよい。断面形状変化部M203における断面形状の変化は、図心線に沿って設定した任意の二点における断面形状の図心線と当接部M200Cを含む方向における長さの差を、この二点間の図心線に沿った長さで除した数値(の百分率)として示される。
【0096】
このようなプレス成形においても、成形条件比aは、0.85以上0.95以下とされる(第4の知見)。成形条件比aをこのような範囲内の値に設定することで、O成形工程時に断面形状変化部M203の当接予定部を高精度に密着させることができ、ひいては、断面形状変化部M203を有する第2のモデルM200を効率的に製造することができる。上述した成形条件比設定工程を1または複数のサイクルで行うことで、成形条件比aの好ましい範囲を探ってもよい。
【0097】
第2の知見は、曲げ成形加工にも適用される。以下、
図20A~
図20Dを参照して、本発明の第2の知見を曲げ成形加工に適用した例について説明する。
図20A~
図20Dは、本発明に係る第2の知見を曲げ成形加工に適用した例を説明する図である。また、
図20D、
図20Fにおいて、互いに向かい合う矢印は圧縮の歪を示し、互いに反対側を向く矢印は引張の歪を示している。
第2の知見は、例えば、
図20Aに示すように、軸線(図心線)方向から見たときに矩形とされた矩形閉断面M201’と、円形とされた円形閉断面M202’と、円形閉断面と矩形閉断面との間に形成され図心線に沿って漸次形状変化する断面形状変化部M203’とを備えた部材モデル(以下、第2のモデルという)M200’の例である。
【0098】
第2のモデルM200’は、
図20Bに示すような矩形の金属材料板W200’を、曲げ成形工程、及びO成形工程(当接部形成工程)の順に成形することにより形成されている。
【0099】
曲げ成形工程では、
図20Cに示すように、曲げ成形凹型D211’と、曲げ成形パンチD212’とを備えた曲げ成形型(U成形金型)D210’を用いて、曲げ成形品M210’を成形する。なお、
図20Cの左図は、曲げ成形型D210’及び曲げ成形型D210’内にセットされた金属材料板W200’の側面図であり、右図はこれらの部材の右側側面図(左図の構造を右側面から見た図)である。
【0100】
曲げ成形凹型D211’は、第2のモデルM200’の図心線方向から見たときに、第2のモデルM200’の図心線に対して概ね180°の範囲(下側半分)の最終形状と対応する下側成形形状部とその下側成形形状部に接続され下側成形形状部の上端を上方に延在して形成された上側成形形状部とを有する曲げ成形凹部D211A’が形成されている。また、曲げ成形用パンチD212’は、曲げ成形凹部D211A’との間に所定の間隔を以って曲げ成形品M210’の内周面と対応するように構成された曲げ成形凸部D212A’が形成されている。
【0101】
そして、金属材料板W200’を曲げ成形パンチD212’と曲げ成形凹型D211’により曲げ成形することにより、曲げ成形パンチD212’側が開口され曲げ成形凹型D211’側が凹形状部とされた曲げ成形品M210’が形成される。
曲げ成形工程では、断面形状変化部M203’と対応する部位M213’の凹形状部側に、
図20Dに示すような圧縮及び引張の歪が発生する。フランジレスプレス成形品M210’は、矩形閉断面M201’と対応する部位M211’と、円形閉断面M202’と対応する部位M212’と、断面形状変化部M203’と対応する部位M213’とを有する。
【0102】
O成形工程では、
図20Eに示すように、O成形金型D220’を用いてO成形工程を行う。具体的には、下型凹部D221A’が形成された下型(第1凹型)D221と、当接予定部の側端部M210E’を沿わせる上型凹部D222A’が形成された上型(第2凹型)D222’により、曲げ成形品M210’の当接予定部のそれぞれの側端部M210E’同士を互いに当接させて当接部M200C’を形成することにより第2のモデルM200’が形成される。なお、
図20Eの左図は、下型D221’、上型D222’、及びこれらの間に配置された曲げ成形品M210’の側面図であり、右図はこれらの部材の右側側面図(左図の構造を右側面から見た図)である。
O成形工程では、断面形状変化部M203’の当接部M200C’側に、
図20Fに示すような圧縮及び引張の歪が発生する。
【0103】
ここで、断面形状変化部M203’の断面形状(断面形状変化部M203’の図心線に直交する断面の形状)の図心線と当接部M200C’を含む方向における長さ(すなわち、当該断面の図心と当接部M200C’とを通り、かつ当該断面の外周と交差する線分の長さ)の図心線に沿う変化が10%以上50%以下であってもよい。断面形状変化部M203’における断面形状の変化は、図心線に沿って設定した任意の二点における断面形状の図心線と当接部M200C’を含む方向における長さの差を、この二点間の図心線に沿った長さで除した数値(の百分率)として示される。
【0104】
このような曲げ成形においても、成形条件比aは、0.85以上0.95以下とされる(第4の知見)。成形条件比aをこのような範囲内の値に設定することで、O成形工程時に断面形状変化部M203’の当接予定部を高精度に密着させることができ、ひいては、断面形状変化部M203’を有する第2のモデルM200’を効率的に製造することができる。上述した成形条件比設定工程を1または複数のサイクルで行うことで、成形条件比aの好ましい範囲を探ってもよい。
【0105】
〔第3の知見〕
第3の知見は、湾曲部に関する知見である。
以下、
図4A~
図4Dを参照して、本発明の第3の知見について説明する。
図4A~
図4Dは、本発明に係る第3の知見を説明する図である。また、
図4D、
図4Fにおいて、互いに向かい合う矢印は圧縮の歪を示し、互いに反対側を向く矢印は引張の歪を示している。
第3の知見は、例えば、
図4Aに示すように、例えば、円形閉断面が成形方向に湾曲状に曲がった湾曲部を備えた部材モデル(以下、第3のモデルという)M300の例である。
【0106】
第3のモデルM300は、
図4Bに示すような矩形の金属材料板W300を、プレス成形工程、フランジレス化工程及びO成形工程(当接部形成工程)の順に成形することにより形成されている。なお、ここでは第3のモデルM300がプレス成形加工により成形される例について説明するが、曲げ成形加工によって第3のモデルM300が成形される場合にも同様の知見が成り立つ。曲げ成形加工については後述する。
【0107】
プレス成形工程では、
図4Cに示すように、プレス成形凹型D311と、プレス成形パンチD312と、金属材料板押え工具D313と、を備えたプレス成形型D(U成形金型)310を用いて、プレス成形品を成形する。なお、
図4Cの左図は、プレス成形型D310及びプレス成形型D310内にセットされた金属材料板W300の側面図であり、右図はこれらの部材の長手方向に垂直な断面図である。
【0108】
プレス成形凹型D311は、第3のモデルM300の図心線方向から見たときに、第3のモデルM300の図心線に対して概ね180°の範囲(下側半分)の最終形状と対応する下側成形形状部とその下側成形形状部に接続され下側成形形状部の上端を上方に延在して形成された上側成形形状部とを有するプレス成形凹部D311Aが形成されている。また、プレス成形パンチD312は、プレス成形凹部D311Aとの間に所定の間隔を以ってプレス成形品の内周面と対応するように構成されたプレス成形凸部D312Aが形成されている。
【0109】
また、金属材料板押え工具D313は、プレス成形する際に、プレス成形凹部D311Aを跨いで両側で金属材料板W300をプレス成形凹型D311に押さえるようになっている。
【0110】
そして、金属材料板W300をプレス成形パンチD312とプレス成形凹型D311によりプレス成形することにより、プレス成形パンチD312側が開口されプレス成形凹型D311側が凹形状部とされたプレス成形品が形成される。
プレス成形工程では、プレス成形品M310の凹形状部側に、
図4Dに示すような圧縮の歪が発生する。なお、符号M310は、フランジレスプレス成形品を示している。
【0111】
O成形工程では、
図4Eに示すように、O成形金型D320を用いてO成形工程を行う。具体的には、下型凹部D321Aが形成された下型(第1凹型)D321と、当接予定部の側端部M310Eを沿わせる上型凹部D322Aが形成された上型(第2凹型)D322により、フランジレスプレス成形品M310の当接予定部のそれぞれの側端部M310E同士を互いに当接させて当接部M300Cを形成することにより第3のモデルM300が形成される。なお、
図4Eの左図は、下型D321、上型D322、及びこれらの間に配置されたフランジレスプレス成形品M310の側面図であり、右図はこれらの部材の長手方向に垂直な断面図である。
O成形工程では、当接部M300C側に、
図4Fに示すような圧縮の歪が発生する。
【0112】
ここで、湾曲部における図心線の曲率が0.002mm-1以上0.02mm-1以下の範囲であってもよい。
【0113】
このようなプレス成形においても、成形条件比aは、0.85以上0.95以下とされる(第4の知見)。成形条件比aをこのような範囲内の値に設定することで、O成形工程時に湾曲部の当接予定部を高精度に密着させることができ、ひいては、湾曲部を有する第3のモデルM300を効率的に製造することができる。上述した成形条件比設定工程を1または複数のサイクルで行うことで、成形条件比aの好ましい範囲を探ってもよい。
【0114】
第3の知見は、曲げ成形加工にも適用される。以下、
図21A~
図21Dを参照して、本発明の第3の知見を曲げ成形加工に適用した例について説明する。
図21A~
図21Dは、本発明に係る第3の知見を曲げ成形加工に適用した例を説明する図である。また、
図21D、
図21Fにおいて、互いに向かい合う矢印は圧縮の歪を示し、互いに反対側を向く矢印は引張の歪を示している。
第3の知見は、例えば、
図21Aに示すように、例えば、円形閉断面が成形方向に湾曲状に曲がった湾曲部を備えた部材モデル(以下、第3のモデルという)M300’の例である。
【0115】
第3のモデルM300’は、
図21Bに示すような矩形の金属材料板W300’を、曲げ成形工程、及びO成形工程(当接部形成工程)の順に成形することにより形成されている。
【0116】
曲げ成形工程では、
図21Cに示すように、曲げ成形凹型D311’と、曲げ成形パンチD312’とを備えた曲げ成形型(U成形金型)D310’を用いて、曲げ成形品M310’を成形する。なお、
図21Cの左図は、曲げ成形型D310’及び曲げ成形型D310’内にセットされた金属材料板W300’の側面図であり、右図はこれらの部材の長手方向に垂直な断面図である。
【0117】
曲げ成形凹型D311’は、第3のモデルM300’の図心線方向から見たときに、第3のモデルM300’の図心線に対して概ね180°の範囲(下側半分)の最終形状と対応する下側成形形状部とその下側成形形状部に接続され下側成形形状部の上端を上方に延在して形成された上側成形形状部とを有する曲げ成形凹部D311A’が形成されている。また、曲げ成形パンチD312’は、曲げ成形凹部D311A’との間に所定の間隔を以って曲げ成形品M310’の内周面と対応するように構成された曲げ成形凸部D312A’が形成されている。
【0118】
そして、金属材料板W300’を曲げ成形パンチD312’と曲げ成形凹型D311’により曲げ成形することにより、曲げ成形パンチD312’側が開口され曲げ成形凹型D311’側が凹形状部とされた曲げ成形品M310’が形成される。
曲げ成形工程では、曲げ成形品M310’の凹形状部側に、
図21Dに示すような圧縮の歪が発生する。
【0119】
O成形工程では、
図21Eに示すように、O成形金型D320’を用いてO成形工程を行う。具体的には、下型凹部D321A’が形成された下型(第1凹型)D321’と、当接予定部の側端部M310E’を沿わせる上型凹部D322A’が形成された上型(第2凹型)D322’により、曲げ成形品M310’の当接予定部のそれぞれの側端部M310E’同士を互いに当接させて当接部M300C’を形成することにより第3のモデルM300’が形成される。なお、
図21Eの左図は、下型D321’、上型D322’、及びこれらの間に配置された曲げ成形品M310’の側面図であり、右図はこれらの部材の長手方向に垂直な断面図である。
O成形工程では、当接部M300C’側に、
図21Fに示すような引張及び圧縮の歪が発生する。
【0120】
ここで、湾曲部における図心線の曲率が0.002mm-1以上0.02mm-1以下の範囲であってもよい。
【0121】
このような曲げ成形においても、成形条件比aは、0.85以上0.95以下とされる(第4の知見)。成形条件比aをこのような範囲内の値に設定することで、O成形工程時に湾曲部の当接予定部を高精度に密着させることができ、ひいては、湾曲部を有する第3のモデルM300’を効率的に製造することができる。上述した成形条件比設定工程を1または複数のサイクルで行うことで、成形条件比aの好ましい範囲を探ってもよい。
【0122】
〔第5の知見〕
上述した各知見(及び後述する各実施形態)が適用可能な金属材料(金属板)は特に制限されないが、例えば鋼板であってもよい。鋼板としては、例えば薄肉材(板厚/相当径(筒状部の長手方向に垂直な断面の直径)が10%以下)やハイテン材(引張強さ(TS)が300MPa以上、より好ましくは400MPa以上)等が挙げられる。これらの鋼板を使用する場合にはスプリングバックが大きくなるが、成形条件比aを0.85~0.95と設定することによりスプリングバックを適切に抑制可能とすることができる。他の種類の金属板としては、例えばAl板等が挙げられる。金属板の厚さも特に制限されないが、例えば1.0~2.9mmであってもよい。
【0123】
〔第6の知見〕
当接予定部の歪量の評価には、幾何学的な関係に基づく計算が有効であり、例えば、有限要素法を用いた解析が特に有効である。
【0124】
以上の知見及び後述する実施例から明らかな通り、例えば引張強さ300~600MPa、板厚1.5~3.0mmの鋼板を特定三次元筒状部にUO成形するに際して、以下の条件がすべて満たされる場合に、特定三次元筒状部(を有する部材)を効率的に形成(製造)することが可能となる。
・断面形状変化部の断面形状の図心線と当接部を含む方向における長さの図心線に沿う変化Rhが10~50%、周長変化率変化部の周長変化率の変化Rcが0.035mm-1~0.35mm-1、湾曲部の曲率Rlが0.002mm-1~0.02mm-1となるという条件のうち、少なくとも1つ以上が満たされる。
・成形条件比aが0.85~0.95となる。
【0125】
<第1実施形態>
以下、
図5から
図16Gを参照して、本発明の第1実施形態に係るトレーリングアーム本体について説明する。
図5は、本発明の第1実施形態に係るトーションビーム式リアサスペンション装置(トーションビーム式サスペンション装置)に用いられるトーションビームAssyの概略構成を説明する斜視図である。
【0126】
図5において、符号1はトーションビームAssyを、符号10はトレーリングアームを、符号11はトーションビームを示している。なお、図に示した符号Fは車両の前方を、符号Rは後方を示している。
【0127】
トーションビームAssy1は、
図5に示すように、左右の車輪を回転自在に支持する左右一対のトレーリングアーム10と、左右のトレーリングアーム10を連結するトーションビーム11と、スプリング(不図示)を支持する左右一対のスプリング受部12とを備えている。
また、トーションビームAssy1の図示しない緩衝受部には、緩衝装置であるアブソーバの一端側が連結されるようになっている。
【0128】
トレーリングアーム10は、
図5に示すように、例えば、トレーリングアーム本体100と、トレーリングアーム本体100のフロント側端に接続されピボット軸Jを介して車体に支持されるピボット取付部材10Fと、リア側端に連結され車輪を支持するための車輪取付部材10Rとを備えている。
【0129】
以下、
図6、
図7A~
図7Dを参照して、第1実施形態に係るトレーリングアーム本体100について説明する。
図6は、トレーリングアーム本体100を説明する斜視図である。また、
図7Aは、トレーリングアーム本体100の成形方向のプレス成形パンチ側からトレーリングアーム本体100を見た図であり、
図7Bは図心線を含んで成形方向に形成される面と直交する方向(すなわち側面)からトレーリングアーム本体100を見た図であり、
図7Cは、
図7Bにおいて矢視VIIC-VIICで示したトレーリングアーム本体100のフロント側閉断面100Fを示す図であり、
図7Dは、
図7Bにおいて矢視VIID-VIIDで示したトレーリングアーム本体100のリア側閉断面100Rを示す図である。
【0130】
トレーリングアーム本体100は、例えば、
図6、
図7A、
図7Bに示すように、フロント側閉断面100Fからリア側閉断面100Rに向かって、図心線に沿って順次形成された矩形閉断面のストレート形状部101と、断面形状変化部(特定三次元形状部)102と、周長変化部103と、周長変化部103に形成された湾曲部(特定三次元形状部)104と、周長変化率変化部(特定三次元形状部)105と、溶接により接合されたシーム部(接合部)100Sとを備えた筒状体(特定三次元筒状部)を備えた自動車用部材(部材)とされている。
【0131】
また、トレーリングアーム本体100は、例えば、
図6、
図7Cに示すように、フロント側閉断面100Fが矩形閉断面とされ、フロント側閉断面100Fにはピボット取付部材10Fが溶接により取付けられている。
また、リア側閉断面100Rは、
図6、
図7Dに示すように、円形閉断面とされていて、リア側閉断面100Rには車輪取付部材10R側が溶接により取付けられている。
なお、この実施形態において、シーム部100Sは、例えば、トーションビームAssy1における車体内方側に配置されるようになっている。
【0132】
ストレート形状部101は、
図6、
図7A~
図7Bに示すように、フロント側閉断面100Fと同じ矩形閉断面が、フロント側閉断面100F側からリア側閉断面100R側に向かって直線的に所定の範囲に形成されている。
【0133】
断面形状変化部102は、ストレート形状部101のリア側閉断面100R側に接続され、ストレート形状部101の矩形閉断面が、図心線に沿ってリア側閉断面100R側に向かうにしたがって、漸次円形閉断面に移行するように形成されている。
【0134】
この実施形態では、断面形状変化部102は、断面形状の図心線と当接部を含む方向における長さの変化が10%以上50%以下の範囲(例えば、40%)である。ここで、図心線に沿って設定した二点は、例えば、断面形状変化部102のR側端部とF側端部とされている。
【0135】
周長変化部103は、断面形状変化部102のリア側に接続された円形閉断面により構成されていて、図心線に沿ってフロント側に向かうにしたがって、円形閉断面の周長が漸次長くなる(拡径される)部位である。
また、この実施形態では、例えば、周長変化部103に湾曲部104が形成され、湾曲部104に周長変化率変化部105が形成されている。
【0136】
この実施形態において、湾曲部104は、例えば、周長変化部103の途中からリア側閉断面100Rに至るまで形成されていて、側面視して図心線が湾曲状に形成された部位である。
この実施形態において、湾曲部104は、図心線(不図示)の曲率が0.002mm-1以上0.02mm-1以下の範囲で構成されている。
【0137】
周長変化率変化部105は、この実施形態において、例えば、周長変化部103の途中に形成されていて、周長変化部103において、図心線に沿ってフロント側に向かうにしたがって所定比率で漸次長くなる円形閉断面の周長変化率が変化して、周長変化部103に凹部や凸部が形成されている。
この実施形態において、周長変化率変化部105は、例えば、周長変化率の変化が0.035mm-1以上0.35mm-1以下の範囲となるように構成されている。
なお、この実施形態では、例えば、周長変化率変化部105において周長変化部103の拡径状態は維持されるが、縮径部やストレート形状に移行する筒状部に周長変化率変化部105が構成されてもよい。
【0138】
次に、
図8を参照して、本発明に係る筒状部形成方法を適用したトレーリングアーム本体100の製造方法の概略について説明する。
図8は、本発明に係る部材の製造方法の概略を説明するフローチャートの一例である。本実施形態では、プレス成形加工によりトレーリングアーム本体100を製造する。
【0139】
トレーリングアーム本体100の製造工程は、
図8に示すように、例えば、材料鋼板(金属材料板)準備工程(S01)と、プレス成形工程(S02)と、トリミング工程(フランジレス化工程)(S03)と、O成形工程(当接部形成工程)(S04)と、接合工程(S05)とを備えている。
【0140】
また、第1実施形態において、トレーリングアーム本体100の製造工程で使用する金型は、例えば、プレス成形工程で使用するプレス成形型と、トリミング工程(フランジレス化工程)で使用するトリミング型と、O成形工程(当接部形成工程)で使用するO成形金型とを備えている。
【0141】
〔材料鋼板(金属材料板)準備工程〕
(1)材料鋼板準備工程は、プレス成形工程で成形する材料鋼板(金属材料板)を準備する工程である(S01)。
材料鋼板準備工程では、例えば、当接部形成工程で当接するフランジレスプレス成形品を展開し、その外形に余肉が付加された材料鋼板を準備する。なお、後述するトリミング工程を設定する必要がない場合には、フランジレスプレス成形品を展開した外形のままでもよい。また、例えば、トリミング工程で形状を調整することを前提に矩形の材料鋼板を準備することも可能である。
【0142】
〔プレス成形工程〕
(2)プレス成形工程は、材料鋼板(金属材料板)を、プレス成形型によってプレス成形することにより、Z軸方向におけるプレス成形パンチ側が開口されたプレス成形部を成形する工程である(S02)。
プレス成形工程では、材料鋼板(金属材料板)を、プレス成形金型(プレス成形型)によってプレス成形(プレス成形)して断面視凹形状を有するプレス成形品(プレス成形部)を成形する。
【0143】
〔トリミング工程(フランジレス化工程)〕
(3)トリミング工程(フランジレス化工程)は、第1実施形態では、プレス成形工程において形成された延出部(プレス成形品の断面視凹形状部の両側端部から外部に延出して形成された余肉)をトリミング型により除去して、両側が側端部とされたフランジレスプレス成形品を形成する工程である(S03)。
なお、プレス成形工程において、余肉がないフランジレスプレス成形品を成形可能である場合にはプレス成形型内でフランジレス化工程が完了する構成としてもよい。
【0144】
〔O成形工程〕
(4)O成形工程(当接部形成工程)は、フランジレスプレス成形品の側端部(当接予定部)を、O成形金型により当接させる工程である(S04)。
【0145】
〔接合工程〕
(5)接合工程は、当接部形成品(O成形品)の両側端部同士を互いに接合して接合部を形成する工程である(S05)。
接合工程では、当接部形成品の当接部の両側端部同士を、溶接等により互いに接合してシーム部(接合部)を形成する。
シーム部(接合部)の接合に際しては、アーク溶接のほか、レーザ溶接等を適用することができる。
【0146】
次に、
図9、
図10、
図11A~
図11C、
図12A~
図12C、
図13A~
図13C、
図15A~
図15G、
図16A~
図16Gを参照して、第1実施形態に係るトレーリングアーム本体100の製造手順の詳細を説明する。
図9は、トレーリングアーム本体100の製造工程の詳細な手順の一例を示すフローチャートであり、S101は鋼板準備工程を、S102~S104はプレス成形工程を、SS105~S107はトリミング工程(フランジレス化工程)を、S108~S111はO成形工程(当接部形成工程)を、S112は接合工程を示している。なお、S113は、トレーリングアーム本体100にピボット取付部材10F及び車輪取付部材10Rを溶接により取付けて、トレーリングアーム10を形成する工程を示している。
【0147】
【0148】
〔材料鋼板準備工程〕
まず、
図9に示す材料鋼板準備工程(S101)について説明する。
この実施形態では、トレーリングアーム本体100のフランジレスプレス成形品を展開したものに、余肉を付加した材料鋼板(金属材料板)を準備する。
以下、
図10を参照して、材料鋼板W0について説明する。
図10は、第1実施形態に係るトレーリングアーム本体100を製造するための材料鋼板の概略構成の一例を説明する図である。
【0149】
材料鋼板W0は、
図10に示すように、例えば、トレーリングアーム本体100のフランジレスプレス成形品の展開図(二点鎖線で示す部分)の側端部W10Eに、トリミング工程で除去される余肉WHを付加した構成とされている。
また、材料鋼板W0は、トレーリングアーム本体100のフロント側の矩形閉断面と対応するフロント側端部WFからリア側の円形閉断面と対応するリア側端部WRに向かって、ストレート形状部101と対応するストレート対応部W101と、断面形状変化部102と対応する断面形状変化対応部W102と、周長変化部103と対応する周長変化対応部W103と、湾曲部104と対応する湾曲対応部W104と、周長変化率変化部105と対応する周長変化率変化対応部W105とを備え、それぞれの部位に応じて形成された当接予定部である側端部W10Eの外方に余肉を含んだ側部WEが形成されている。
【0150】
材料鋼板W0のうち、ストレート対応部W101は矩形に形成され、断面形状変化対応部W102、湾曲対応部W103は、フロント側端部WFからリア側端部WRに向かって漸次拡幅し周長変化率変化部105近傍において、拡幅の程度が緩やかになる扇形に形成された外形を有している。
【0151】
この実施形態では、例えば、引張強さ400MPa、板厚1.2mmの材料鋼板が適用されている。
なお、鋼板材料の材質、厚さを限定する必要はないが、引張強さ300MPa以上、より好ましくは400MPa以上、厚さ1.0~2.9mm程度の材料鋼板(例えば、薄板鋼板)に対して第1実施形態に係るプレス成形方法を適用することが、スプリングバックの影響を抑制することが可能な点で好適である。
【0152】
〔プレス成形工程〕
プレス成形工程では、
図9のS102~S104に示すように、材料鋼板をプレス成形金型(プレス成形型)に配置し、プレス成形パンチにより押圧してプレス成形して、形成した余肉付きプレス成形品を取り出す。
【0153】
【0154】
この実施の形態において、プレス成形型D10は、例えば、
図11A、
図15A、
図15B、
図16A、
図16Bに示すように、固定型とされるプレス成形下型(プレス成形凹型)D11と、プレス成形下型D11の上方に配置されてプレス成形下型D11に対して上下方向(Z軸方向)に進退可能とされるプレス成形パンチD12と、プレス成形時にプレス成形パンチD12の両側でプレス成形下型D11に材料鋼板W0を押さえる鋼板押え工具D13とを備えている。
【0155】
プレス成形下型D11は、
図11Aに示すように、余肉付きプレス成形品110におけるフロント側閉断面110F(
図15B参照)と対応する部位を形成するフロント側形状部D11Fからリア側閉断面110R(
図16B参照)と対応する部位を形成するリア側形状部D11Rにわたって、プレス成形凹部D11Aを有している。
【0156】
プレス成形凹部D11Aは、余肉付きプレス成形品110におけるトレーリングアーム本体100の矩形閉断面のストレート形状部101、断面形状変化部(特定三次元形状部)102、周長変化部103、湾曲部(特定三次元形状部)104、周長変化率変化部(特定三次元形状部)105と対応する成形形状部が形成されている。
【0157】
プレス成形パンチ(U成形パンチ)D12は、トレーリングアーム本体100を製造する際に、プレス成形下型D11と協働して、材料鋼板W0をプレス成形して余肉付きプレス成形品110を成形する型である。
【0158】
プレス成形パンチD12は、
図11Aに示すように、余肉付きプレス成形品110のフロント側閉断面110F(
図15B参照)と対応するフロント側成形凸部D12Fから余肉付きプレス成形品110のリア側閉断面110R(
図16B参照)と対応するリア側成形凸部D12Rにわたってプレス成形凸部D12Aが形成されている。なお、
図11Aに示したプレス成形パンチD12の幅Duは、余肉付きプレス成形品110をトリミングしてフランジレスプレス成形品120を形成した際の当接予定部と対応する部位の幅(当該部位の内周面間の距離)を示している。
【0159】
プレス成形凸部D12Aは、余肉付きプレス成形品110におけるトレーリングアーム本体100の矩形閉断面のストレート形状部101、断面形状変化部(特定三次元形状部)102、周長変化部103、湾曲部(特定三次元形状部)104、周長変化率変化部(特定三次元形状部)105と対応する成形形状部を有している。
【0160】
また、プレス成形下型D11のプレス成形凹部D11Aの両側には、プレス成形凹部D11Aと対応する鋼板押え形状部D11Sが形成されていて、例えば、鋼板押え形状部D11Sに載置された材料鋼板W0がプレス成形凹部D11Aに引き込まれてプレス成形されるまで押圧可能とされている。
【0161】
鋼板押え工具D13は、例えば、プレス成形下型D11のプレス成形凹部D11Aを跨いでプレス成形下型D11の上方に配置され、プレス成形下型D11に対して上下(Z軸方向)に進退可能とされている。
また、鋼板押え工具D13は、下面に鋼板押え形状部D11Sと対応する鋼板押え形状部D13Sが形成されていて、プレス成形時にプレス成形パンチD12の両側で材料鋼板W0をプレス成形下型D11に押圧するようになっている。
【0162】
この実施形態に係るプレス成形工程で成形される余肉付きプレス成形品110は、
図11B、
図11Cに示すように、トレーリングアーム本体100のストレート形状部101と、断面形状変化部102と、周長変化部103と、周長変化部103内に形成された湾曲部(特定三次元形状部)104及び周長変化率変化部105とのそれぞれに対応するストレート形状凹成形部111と、断面形状変化凹成形部112と、周長変化凹成形部113と、湾曲凹成形部114と、周長変化率変化凹成形部115とを備えて構成されている。
【0163】
なお、
図11Bは、余肉付きプレス成形品110を下側(プレス成形パンチD12と反対側)から見た図であり、
図11Cは、プレス成形品110を図心線を含み成形方向に形成される面と直交する方向(すなわち側面)から見た図である。
【0164】
以下、プレス成形工程における手順を説明する。
(1)まず、材料鋼板W0をプレス成形型D10に配置する(S102)。
材料鋼板W0をプレス成形型D10に配置するときは、
図15A、
図16Aに示すように、材料鋼板W0をプレス成形凹型D11に載置して、鋼板押え工具D13を下降させて鋼板押え形状部D13Sと鋼板押え形状部D11Sによって材料鋼板W0を挟持する。
また、材料鋼板W0の上方にプレス成形パンチD12を位置させる。
【0165】
(2)プレス成形パンチD12により材料鋼板W0を押圧する(S103)。
プレス成形パンチD12により材料鋼板W0を押圧する際には、
図15B、
図16Bに示すように、プレス成形パンチD12をZ軸方向に下降させて、鋼板押え部材D13によって材料鋼板W0を挟持した状態で、プレス成形凸部D12Aによって材料鋼板W0を押圧する。
プレス成形下型D11に載置された材料鋼板W0は、プレス成形凹部D11A内においてプレス成形されるまで、鋼板押え部材D13によって鋼板押え形状部D11Sと鋼板押え形状部D13Sの間に挟まれ、プレス成形凸部D12A及びプレス成形凹部D11Aが共同して材料鋼板W0を絞り成形する。
その結果、余肉付きプレス成形品(プレス成形品)110が形成される。また、材料鋼板W0が、鋼板押え部材D13によって押圧されているので、材料鋼板W0を安定して絞り成形することができる。
なお、プレス成型に際して、部分的に絞り成形されていない箇所があってもよい。
【0166】
図15A、
図16A、
図15B、
図16Bにおいて、符号D11F、符号D11Rは、プレス成形凹部D11Aのフロント側形状部及びリア側形状部を、符号D12F、符号D12Rは、プレス成形凸部D12Aのフロント側形状部及びリア側形状部を示している。
【0167】
(3)余肉付きプレス成形品(プレス成形品)110をプレス成形下型D11から取り出す(S104)。
余肉付きプレス成形品(プレス成形品)110は、
図15B、
図16Bの右図に示すように、凹形状部を有するとともに、長手方向の一端側がトレーリングアーム100のフロント側閉断面100F(
図7B参照)と対応するフロント側断面110Fとされ、他端側がリア側閉断面100R(
図7B参照)と対応するリア側断面110Rとされている。
【0168】
また、余肉付きプレス成形品110の断面視凹形状部の両側端部には、当該両側端部から外部に延出するフランジ状の余肉(延出部)110Hが形成されている。
【0169】
〔トリミング工程(フランジレス化工程)〕
第1実施形態において、トリミング工程(フランジレス化工程)では、
図9のS105~S107に示すように、余肉付きプレス成形品110をトリミング型に配置して、トリミング型においてプレス成形品の余肉を除去してフランジレスプレス成形品を形成し、トリミング型からフランジレスプレス成形品を取り出す。
この実施形態では、
図15B、
図16Bに示した余肉付きプレス成形品(プレス成形品)110の両端部に、当該両側端部から外部に延出するフランジ状の余肉(延出部)110Hが形成され、この余肉110Hをトリミング工程において除去する場合の例を示している。なお、トリミング工程を設けるかどうかは、必要に応じて、任意に設定可能である。例えば、延出部が存在しなければトリミング工程を省略してもよい。
【0170】
以下、
図12A、
図15C、
図16Cを参照して、トリミング型D20の概略構成について説明する。
図12Aは、第1実施形態に係るトリミング型D20の概略構成を説明する斜視図である。
【0171】
トリミング型D20は、例えば、
図11A、
図15C、
図16Cに示すように、トリミング下型D21と、トリミング下型D21の上方に配置された一対のトリム刃D22と、下降することでトリム刃D22をY軸方向に離間するくさび機構D24とを備える。トリミング下型D21には、余肉付きプレス成形品(プレス成形品)110を、フロント側形状部110Fからリア側形状部110Rにわたって余肉110H、110Hを除去可能に状態に配置する凹部D21Aが形成されている。
【0172】
また、トリム刃D22及びくさび機構D24は、トリミング下型D21に対してZ軸方向に進退可能に構成され、余肉付きプレス成形品(プレス成形品)110に対してトリム刃D22が所定位置に配置された状態で、くさび機構D24が下降することによってトリム刃D22をY軸方向外方に移動させてトリミング下型D21と協働して余肉110H、110Hを除去するように構成されている。
【0173】
トリミング後のフランジレスプレス成形品120は、
図12B、
図12Cに示すように、ストレート形状凹成形部121と、形状変化凹成形部122と、周長変化凹成形部123と、曲線形状凹成形部124と、周長変化率変動凹成形部125とを備えている。
【0174】
ストレート形状凹成形部121、形状変化凹成形部122、周長変化凹成形部123、曲線形状凹成形部124、周長変化率変動凹成形部125は、それぞれ余肉付きプレス成形品110のストレート形状凹成形部111、断面形状変化凹成形部112、周長変化凹成形部113、湾曲凹成形部114、周長変化率変化凹成形部115から余肉110H、110Hを除去した構成とされている。
【0175】
なお、
図12Bは、トリミング後のフランジレスプレス成形品120を下側(プレス成形工程におけるプレス成形パンチD12と反対側)から見た図であり、
図12Cは、図心線を含み成形方向に形成される面と直交する方向(すなわち側面)からフランジレスプレス成形品120を見た図である。
【0176】
以下、トリミング工程(フランジレス化工程)における手順を説明する。
(1)余肉付きプレス成形品(プレス成形品)110をトリミング金型D20に配置する(S105)。
具体的には、
図15C、
図16Cに示すように、余肉付きプレス成形品110をトリミング下型D21の凹部D21Aに配置して、上部のトリム刃D22及びくさび機構D24を下降させて、左右のトリム刃D22を余肉付きプレス成形品110の両側端部に形成された余肉110H、110Hの間に位置させる。
そして、くさび機構D24を駆動(くさび機構D24をさらに下降)して、左右のトリム刃D22をY軸方向に余肉110H、110Hより外方まで移動させてフランジ状の余肉110H、110Hをせん断、除去する。
【0177】
(2)トリミング金型D20により両側のフランジ状の余肉110H、110Hをトリミングすることで、側端部(当接予定部)120E、120Eが形成されたフランジレスプレス成形品120を形成する(S106)。
【0178】
(3)形成されたフランジレスプレス成形品120をトリミング金型D20から取り出す(S107)。
その結果、
図15C、
図16Cに示すように、プレス成形品110の余肉110H、110Hが除去されて、側端部120E、120Eが正確に形成されたトリミング後のプレス成形品(フランジレスプレス成形品)120が形成される。
【0179】
〔O成形工程〕
O成形工程(当接部形成工程)では、
図9のS108~S111に示すように、フランジレスプレス成形品をO成形金型(当接部形成型)に配置し、O成形金型においてフランジレスプレス成形品を押圧し、フランジレスプレス成形品の当接予定部(側端部)を当接させて、当接部形成品を取り出す。
以下、
図13A、
図15D~
図15F、
図16D~
図16Fを参照して、O成形金型D30の概略構成について説明する。
図13Aは、第1実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造におけるO成形金型D30を説明する斜視図である。
【0180】
O成形金型D30は、例えば、
図13A、
図15D~
図15F、
図16D~
図16Fに示すように、固定型とされる下型(第1凹型)D31と、下型D31の上方に配置され下型D31に対してZ軸方向に進退可能とされる上型(第2凹型)D32とを備えている。
【0181】
そして、下型D31には、
図13Aに示すように、フランジレスプレス成形品120を配置する下型凹部D31Aが、フランジレスプレス成形品120のフロント側形状部120Fからリア側形状部120Rにわたって形成されている。
【0182】
また、上型D32には、下型凹部D31Aと協働して、フランジレスプレス成形品120の両側の側端部120Eを沿わせることにより、フロント側形状部120Fからリア側形状部120Rにわたって側端部120Eを近接させ、さらには当接させて当接部形成品130を形成する上型凹部D32Aが形成されている。
【0183】
当接部形成品130は、
図13B、
図13Cに示すように、ストレート形状部131と、断面形状変化部132と、周長変化部133と、湾曲部134と、周長変化率変化部135とを備えている。
ストレート形状部131、断面形状変化部132、周長変化部133、湾曲部134、周長変化率変化部135は、それぞれトレーリングアーム本体100のストレート形状部101、断面形状変化部102、周長変化部103、湾曲部104、周長変化率変化部105と対応した構成とされている。
なお、
図13Aに示す符号Doは、下型(第1凹型)D31の下型凹部D31Aの幅を示している。
なお、
図13Bは、当接部形成品130を上型D32側から見た図であり、
図13Cは、成形方向に形成され図心線を含む面と直交する方向(すなわち側面)から当接部形成品130を見た図である。
【0184】
ここで、
図14を参照して、トレーリングアーム本体100を製造する際の成形条件比aと、
図11Aに示したプレス成形型D10のプレス成形パンチの幅Duと、
図13Aに示した下型(第1凹型)D31の下型凹部D31Aの幅Doについて説明する。
図14は、第1実施形態に係る金型(プレス成形型D10及び当接部形成型D30)における成形条件比a(=Du/Do)の概略を説明する図である。
【0185】
トレーリングアーム本体100を製造する際の成形条件比a(=Du/Do)は、
図14に示すように、トレーリングアーム本体100の長手方向(図心線)に沿って変化するように構成されている。
図14に示す成形条件比a
1、a
2、a
3、a
4、a
5は、それぞれトレーリングアーム本体100のストレート形状部101、断面形状変化部102、周長変化部103、湾曲部104、周長変化率変化部105と対応して、トレーリングアーム本体100の図心線に沿って変化するように構成されている。また、成形条件比a
1、a
2、a
3、a
4、a
5は、0.85以上0.95以下に適宜設定されている。これらの値は、上述した成形条件比設定工程を1または複数のサイクルで行うことで設定されてもよい。
【0186】
なお、
図14において、成形条件比a
4、成形条件比a
5は、成形条件比a
3に含まれているが、このような場合は、いずれか又は双方に適した成形条件比aを適宜使用することが可能である。
【0187】
また、成形条件比a
1、a
2、a
3、a
4、a
5は、
図14に記載した成形条件比a
iに示す数式により定義されており、プレス成形パンチD12の幅Duは、
図11Aにおいてプレス成形型D10のプレス成形パンチD12に示した符号Duと対応している。また、当接部形成型D30の下型凹部(当接部形成凹部)D31Aの幅Doは、
図13Aにおいて下型(第1凹型)D31の下型凹部(当接部形成凹部)D31Aに示した符号Doと対応している。
【0188】
また、
図11Aに示すプレス成形パンチD12の幅Du、及び
図13Aに示すO成形金型D30の下型凹部D31Aの幅Doは、プレス成形パンチD12及び下型凹部(当接部形成凹部)D31Aの長手方向(X軸方向)の互いに対応する位置で対応するようになっている。
【0189】
なお、プレス成形パンチD12の幅Du、O成形金型D30の下型凹部D31Aの幅Doは、それぞれ
図14に示すトレーリングアーム本体100における各部位に対応する値である。例えば、成形条件比a
2に対応するプレス成形パンチD12の幅Du及びO成形金型D30の下型凹部D31Aの幅Doは、断面形状変化部132を成形する部分の幅Du及び幅Doとなる。したがって、成形条件比aが図心線に沿って変化していても、プレス成形工程におけるプレス成形パンチや、O成形工程における第1凹型及び第2凹型が、図心線と直交する方向に相対移動する必要はない。
【0190】
以下、当接部形成工程における工程手順を説明する。
(1)フランジレスプレス成形品120を、O成形金型D30に配置する(S108)。
フランジレスプレス成形品120をO成形金型D30に配置する際には、
図15D、
図16Dに示すように、フランジレスプレス成形品120を下型凹部D31Aが形成された下型D31に配置し、上方に上型凹部D32Aが形成された上型D32を位置させる。
【0191】
(2)O成形金型D30によりフランジレスプレス成形品120を押圧する(S109)。
O成形金型D30によりフランジレスプレス成形品120を押圧する際には、
図15D、
図16Dに示すように、フランジレスプレス成形品120を下型D31に配置し、上型D32を下降させて、フランジレスプレス成形品120の両側の側端部(当接予定部)120Eを上型凹部D32Aに沿わせて変形させる。
【0192】
(3)フランジレスプレス成形品120の当接予定部を当接する(S110)。
図15E、
図16Eに示すように、上型凹部D32Aによってフランジレスプレス成形品120を押圧することにより、フランジレスプレス成形品120は上型凹部D32A及び下型凹部D31Aに沿って成形される。
その結果、フランジレスプレス成形品120の両側の側端部120Eが当接される。
図15F、
図16Fにおいて、符号D31F、符号D31Rは、下型凹部(当接部形成凹部)D31Aのフロント側形状部及びリア側形状部を、符号D32F、符号D32Rは、上型凹部(当接部形成凹部)D32Aのフロント側形状部及びリア側形状部を示している。
【0193】
(4)当接部形成品130をO成形金型D30から取り出す(S111)。
当接部形成品130は、
図15F、
図16Fの右図に示すように、フランジレスプレス成形品120の両側の側端部120Eが当接されて当接部130Cが形成される。
また、当接部形成品130は、一端側がトレーリングアーム本体100のフロント側閉断面100Fと対応するフロント側断面130Fとされ、他端側がリア側閉断面100Rと対応するリア側断面130Rとされている。
【0194】
〔接合工程〕
この実施形態において、接合工程では、当接部形成品130の当接部130Cの両側端部130E同士を溶接により接合してシーム部(接合部)100Sを形成する(S112)。
当接部形成品130の当接部130Cを溶接により接合すると、
図15G、
図16Gに示すように、シーム部100Sが形成される。その結果、トレーリングアーム本体100が形成される。
シーム部(接合部)100Sの接合に際しては、アーク溶接のほか、レーザ溶接等を適用することができる。
【0195】
〔部材取付工程〕
この実施形態において、部材取付工程では、レーリングアーム本体100にピボット取付部材10F及び車輪取付部材10Rを溶接により接合する(S113)。
トレーリングアーム本体100に、ピボット取付部材10F及び車輪取付部材10Rを接合(溶接)して取り付ける。
その結果、
図6、
図7A~
図7Dに示すようなトレーリングアーム10が形成される。
【0196】
第1実施形態に係るトレーリングアーム本体100(自動車用部材)の製造方法によれば、断面形状変化部102、湾曲部104及び周長変化率変化部105を備えたトレーリングアーム本体100を効率的に製造することができる。
【0197】
第1実施形態に係るトレーリングアーム本体100、及びトレーリングアーム本体100の製造方法によれば、プレス成形工程において金属材料板W0からプレス成形部を成形する際に用いるプレス成形パンチの幅Duと、O成形金型D30の凹部の幅Do(より詳細には、下型D31の下型凹部(当接部形成凹部)D31A及び上型D32の上型凹部(当接部形成凹部)D32Aの幅Do)の比からなる成形条件比aが、0.85以上0.95以下に設定されているので、スプリングバックを適切に抑制可能となり、両側の側端部120E同士を正確かつ効率的に密着させ、又は狙いの位置に近接させることができる。
【0198】
また、O成形工程後に、当接部130Cをなす両側の側端部120E同士が近接して配置されることにより、複雑な治具等を用いることなく側端部120Eを効率的に接合することができる。
【0199】
また、成形条件比a(=Du/Do)が1.0未満に設定されているので、プレス成形品120をO成形金型D30の下型凹部D31A、上型凹部D32A内に容易に配置することができる。
その結果、トレーリングアーム本体100を効率的に製造することができ、ひいては、部材及び自動車用部材を容易に軽量化するとともに製造コストを削減することができる。
【0200】
第1実施形態に係るトレーリングアーム本体100の製造方法によれば、プレス成形型D30により成形方向に沿った面内において曲げられた湾曲部104を形成するので、湾曲部104を備えたトレーリングアーム本体100を効率的に形成することができる。
【0201】
第1実施形態に係るトレーリングアーム本体100、及びトレーリングアーム本体100の製造方法によれば、成形条件比aがトレーリングアーム本体100の図心線に沿った位置に応じて調整して設定されているので、当接部形成品130の当接部130Cを正確に当接(あるいは、接合可能な位置まで近接)させることができる。
その結果、トレーリングアーム本体100を効率的に製造することができる。
【0202】
<第2実施形態>
以下、
図17Aから
図17Cを参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図17A~
図17Cは、本発明の第2実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造方法の概略を説明する図であり、
図17Aは、プレス成形型において材料鋼板を鋼板押え工具によって押圧した状態を、
図17Bは、プレス成形型において材料鋼板をプレス成形パンチとカウンタが協働してプレス成形凹型に押圧してプレス成形する状態を、
図17Cは、プレス成形が完了することによりフランジレスプレス成形品(プレス成形品)が成形された状態を示す図である。なお、第2実施形態では、それぞれトレーリングアーム本体におけるリア側から見た図を用いて説明する。
【0203】
第2実施形態では、トレーリングアーム10の製造工程で使用する金型は、例えば、プレス成形工程で使用するプレス成形型と、O成形工程で使用するO成形金型とを備えている。
【0204】
第2実施形態が第1実施形態と異なるのは、プレス成形工程においてプレス成形する際に、上述した余肉のない材料鋼板を使用し、プレス成形型内で対応する側端部を形成するフランジレス化工程が完了する点にある。このため、
図8のS03、
図9のS105~S107で示すプレス成形型から余肉付きプレス成形品を取り出して、トリミング型による余肉除去を行わなくてよい。その他は第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0205】
第2実施形態に係る材料鋼板W0は、例えば、第1実施形態で示した
図9において二点鎖線で示した部分が外形形状に相当する構成とされている。なお、必要に応じて、プレス成形型でフランジレス化工程を完了させるための形状調整を実施してもよい。
【0206】
以下、
図17A~
図17Cを参照して、第2実施形態に係るプレス成形工程及びフランジレス化工程について説明する。
プレス成形型D10Aは、例えば、
図17A~
図17Cに示すように、固定型とされるプレス成形下型(プレス成形凹型)D11Bと、プレス成形下型D11Bの上方に配置されてプレス成形下型D11Bに対して上下方向(Z軸方向)に進退可能とされるプレス成形パンチD12と、プレス成形時にプレス成形パンチD12の両側でプレス成形下型D11Bに材料鋼板W0を押圧する鋼板押え工具D13と、カウンタD11Cとを備えている。
【0207】
プレス成形下型D11Bは、
図11Aに示すプレス成形下型D11と同様に、フランジレスプレス成形品120におけるフロント側閉断面と対応する部位を形成するフロント側形状部からフランジレスプレス成形品120におけるリア側閉断面120Rと対応する部位を形成するリア側形状部D11Rにわたって、プレス成形凹部D11Aを有している。
【0208】
プレス成形凹部D11Aは、フランジレスプレス成形品120におけるトレーリングアーム本体100の矩形閉断面のストレート形状部101と、断面形状変化部(特定三次元形状部)102と、周長変化部103と、周長変化部103に形成された湾曲部(特定三次元形状部)104と、周長変化率変化部(特定三次元形状部)105と対応する成形形状部が形成されている。
また、この実施形態では、プレス成形凹部D11Aの底部にカウンタD11Cが収納される孔D11Hが形成されている。
【0209】
カウンタD11Cは、例えば、上面にプレス成形凹部D11Aと対応する形状部が形成されるとともに、下方に連接された支持ロッドD11Lに支持されている。
また、プレス成形凹部D11Aの底部に形成された孔D11Hに収納可能とされ、プレス成形凹部D11A内に進退可能とされている。
また、カウンタD11Cは、プレス成形パンチD12と材料鋼板W0を挟持してプレス成形凹部D11Aに押圧することで、プレス成形パンチD12と協働してプレス成形するようになっている。
【0210】
プレス成形パンチD12、プレス成形凸部D12A、鋼板押え部材D13については、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0211】
以下、プレス成形工程における手順を説明する。
(1)まず、
図17Aに示すように、材料鋼板W0をプレス成形凹型D11Bに配置する。
プレス成形凹型D11Bに材料鋼板W0を配置するときは、
図17Aに示すように、鋼板押え工具D13を下降させて鋼板押え形状部D13Sと鋼板押え形状部D11Sによって材料鋼板W0を保持する。
また、材料鋼板W0の上方にプレス成形パンチD12を位置させるとともに、カウンタD11Cを材料鋼板W0の近傍まで上昇させる。
【0212】
(2)次に、
図17Bに示すように、プレス成形パンチD12を下降させて、プレス成形パンチD12とカウンタD11Cにより材料鋼板W0を挟んで、材料鋼板W0をプレス成形凹部D11A内に押圧する。その結果、材料鋼板W0は、プレス成形凹部D11Aに沿ってフランジレスプレス成形品120に成形される。
プレス成形パンチD12を下降させてプレス成形する際には、材料鋼板W0の両側は、鋼板押え工具D13によって押圧されている。
【0213】
(3)次いで、
図17Cに示すように、プレス成形パンチD12が下降端まで加工するとともにカウンタD11Cが孔D11H内に収納される。
材料鋼板W0は、全体にわたってプレス成形凹部D11Aに沿って成形されるとともに、材料鋼板W0の両端部WE10が鋼板押え工具D13から離れてプレス成形凹部D11Aに引き込まれてプレス成形パンチD12とプレス成形凹部D11Aの間で側端部120Eが形成される。なお、プレス成型に際して、部分的に絞り成形されない箇所があってもよい。
【0214】
その結果、プレス成形型D10Aによって側端部形成が完了することになり、トリミング型によるトリミング工程(フランジレス化工程)を設ける必要がなくなる。
【0215】
第2実施形態に係る部材の製造方法によれば、材料鋼板W0を用いて、側端部120Eが形成されたフランジレスプレス成形品120をプレス成形凹型D11A内で成形することができる。
その結果、トリミング型によるフランジレス化工程を設ける必要がなく、フランジレスプレス成形品120を効率的に形成することができ、生産性を向上することができる。
【0216】
第2実施形態に係る部材の製造方法によれば、プレス成形パンチD12とカウンタD11Cが協働してプレス成形するので、両端部WE10が鋼板押え工具D13から離れてプレス成形凹部D11Aに引き込まれる際に、側端部120Eと対応する部分が安定してプレス成形されルので、側端部を安定して形成することができる。
その結果、フランジレスプレス成形品120を安定かつ高品質に成形することができる。
【0217】
<第3実施形態>
以下、第3実施形態を説明する。第3実施形態は、上述したトレーリングアーム本体100を曲げ成形加工により製造する例である。トレーリングアーム本体100、トレーリングアーム10及びトーションビームAssy1の構造は第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0218】
まず、
図22を参照して、第3実施形態に係る部材の製造方法を適用したトレーリングアーム本体100の製造方法の概略について説明する。
図22は、第3実施形態に係る部材の製造方法の概略を説明するフローチャートの一例である。
【0219】
トレーリングアーム本体100の製造工程は、
図22に示すように、例えば、材料鋼板(金属材料板)準備工程(S01’)と、曲げ成形工程(S02’)と、当接部形成工程(S03’)と、接合工程(S04’)とを備えている。
また、この実施形態において、トレーリングアーム本体100の製造工程で使用する金型は、曲げ成形工程で使用する曲げ成形型と、O成形工程(当接部形成工程)で使用するO成形金型(当接部形成型)とを備えている。
【0220】
〔材料鋼板(金属材料板)準備工程〕
(1)材料鋼板準備工程は、曲げ成形工程で成形する材料鋼板(金属材料板)を準備する工程である(S01’)。
材料鋼板準備工程では、例えば、曲げ成形品(曲げ成形部)を展開した外形を有する材料鋼板を準備する。
なお、必要に応じて曲げ成形品(曲げ成形部)を展開した外形に、曲げ成形工程が完了した状態で曲げ成形凹型よりも外方に残る余肉が形成されていてもよい。この場合、曲げ成形した後に、トリミングによって余肉を除去してもよい。
【0221】
〔曲げ成形工程〕
(2)曲げ成形工程は、材料鋼板(金属材料板)を、曲げ成形型によって曲げ成形することにより、Z軸方向における曲げ成形パンチ側が開口された曲げ成形部を成形する工程である(S02’)。
曲げ成形工程では、材料鋼板(金属材料板)を、曲げ成形型によって曲げ成形して曲げ成形品(曲げ成形部)を成形する。
【0222】
〔O成形工程〕
(3)O成形工程(当接部形成工程)は、曲げ成形品120’(
図25B参照)の両端部(当接予定部)を、O成形金型(当接部形成型)により当接させる工程である(S03’)。
この実施形態では、曲げ成形品120’の両側端部(当接予定部)をO成形金型D30’によって当接する工程である。
なお、曲げ成形工程において、曲げ成形品120’の外周と対応していない材料鋼板W0’から曲げ成形品を形成する場合には、曲げ成形品の外周に形成された余肉をトリミングにより除去した後に当接部形成工程に移行する構成としてもよい。
【0223】
〔接合工程〕
(4)接合工程は、当接部形成品(O成形品)の両側端部同士を互いに接合して接合部を形成する工程である(S04’)。
接合工程では、当接部形成品の当接部の両側端部同士を、溶接等により互いに接合してシーム部(接合部)を形成する。
シーム部(接合部)の接合に際しては、アーク溶接のほか、レーザ溶接等を適用することができる。
【0224】
【0225】
図23は、トレーリングアーム本体100の製造工程の詳細な手順の一例を示すフローチャートであり、S101’は鋼板準備工程を、S102’~S104’は曲げ成形工程を、S105’~S108’はO成形工程(当接部形成工程)を、S109’は接合工程を示している。なお、S110’は、トレーリングアーム本体100にピボット取付部材10F及び車輪取付部材10Rを溶接により取付けて、トレーリングアーム10を形成する工程を示している。
【0226】
【0227】
〔材料鋼板準備工程〕
まず、
図23に示す材料鋼板準備工程(S101’)について説明する。
この実施形態では、トレーリングアーム本体100を展開した形状に形成した材料鋼板(金属材料板)W0’を準備する。
以下、
図24を参照して、材料鋼板W0’について説明する。
図24は、第3実施形態に係るトレーリングアーム本体100を製造するための材料鋼板の概略構成の一例を説明する図である。
【0228】
材料鋼板W0は、
図24に示すように、例えば、トレーリングアーム本体100のフロント側の矩形閉断面と対応するフロント側端部WF’からリア側の円形閉断面と対応するリア側端部WR’に向かって、ストレート形状部101と対応するストレート対応部W101’と、断面形状変化部102と対応する断面形状変化対応部W102’と、周長変化部103と対応する周長変化対応部W103’と、湾曲部104と対応する湾曲対応部W104’と、周長変化率変化部105と対応する周長変化率変化対応部W105’とを備え、それぞれの部位に応じて形成された側端部WE’が当接予定部とされている。
【0229】
材料鋼板W0’のうち、ストレート対応部W101’は矩形に形成され、断面形状変化対応部W102’、湾曲対応部W103’は、フロント側端部WF’からリア側端部WR’に向かって漸次拡幅し周長変化率変化部105’近傍において、拡幅の程度が緩やかになる扇形に形成された外形を有している。
【0230】
この実施形態では、例えば、引張強さ400MPa、板厚1.2mmの材料鋼板が適用されている。
なお、鋼板材料の材質、厚さを限定する必要はないが、引張強さ300MPa以上、より好ましくは400MPa以上、厚さ1.0~2.9mm程度の材料鋼板(例えば、薄板鋼板)に対して第3実施形態に係る曲げ成形方法を適用することが、スプリングバックの影響を抑制することが可能な点で好適である。
【0231】
〔曲げ成形工程〕
曲げ成形工程では、
図23のS102’~S104’に示すように、材料鋼板を曲げ成形型に配置し、曲げ成形パンチにより押圧して曲げ成形して、形成した曲げ成形品(曲げ成形部)を取り出す。
以下、
図25A、
図28A、
図28B、
図29A、
図29Bを参照して、曲げ成形型D10’の概略構成について説明する。
図11Aは、第3実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造における曲げ成形型を説明する斜視図である。
【0232】
この実施形態において、曲げ成形型D10’は、例えば、
図25A、
図28A、
図28B、
図29A、
図29Bに示すように、固定型とされる曲げ成形凹型D11’と、曲げ成形凹型D11’の上方に配置されて曲げ成形凹型D11’に対して上下方向(Z軸方向)に進退可能とされる曲げ成形パンチD12’と、を備えている。
【0233】
曲げ成形凹型D11’は、
図25Aに示すように、
図25Bに示す曲げ成形品120’におけるフロント側閉断面120F’と対応する部位を形成するフロント側形状部D11F’からリア側閉断面120R’と対応する部位を形成するリア側形状部D11R’にわたって、曲げ成形凹部D11A’を有している。
【0234】
曲げ成形凹部D11A’は、曲げ成形品120’におけるトレーリングアーム本体100の矩形閉断面のストレート形状部101、断面形状変化部102、周長変化部103、湾曲部104、周長変化率変化部105と対応する成形形状部が形成されている。
【0235】
曲げ成形パンチ(U成形パンチ)D12’は、トレーリングアーム本体100を製造する際に、曲げ成形凹型D11’と協働して、材料鋼板W0’を曲げ成形して曲げ成形品120’を成形する型である。
【0236】
曲げ成形パンチD12’には、曲げ成形品120’のフロント側閉断面120F’(
図25B参照)と対応するフロント側成形凸部D12F’から曲げ成形品120’のリア側閉断面120R’(
図25B参照)と対応するリア側成形凸部D11R’にわたって曲げ成形凸部D12A’が形成されている。
【0237】
曲げ成形凸部D12A’は、曲げ成形品120’におけるトレーリングアーム本体100の矩形閉断面のストレート形状部101、断面形状変化部102、周長変化部103、湾曲部104、周長変化率変化部105と対応する成形形状部を有している。
なお、
図25Aに示す符号Duは、曲げ成形パンチD12’の曲げ成形凸部D12A’の幅を示している。
【0238】
この実施形態に係る曲げ成形工程で成形される曲げ成形品120’は、
図25B、
図25Cに示すように、トレーリングアーム本体100のストレート形状部101と、断面形状変化部102と、周長変化部103と、周長変化部103に形成された湾曲部(特定三次元形状部)104及び周長変化率変化部105と対応するストレート形状曲げ部121’と、断面形状変化曲げ部122’と、周長変化曲げ部123’と、湾曲曲げ部124’及び周長変化率変化曲げ部125’とを備えて構成されている。
なお、
図25Bは、曲げ成形品120’を上側(曲げ成形パンチD12’側)から見た図であり、
図25Cは、成形方向に形成され図心線を含む面と直交する方向(すなわち側面)から曲げ成形品120’を見た図である。
【0239】
曲げ成形品120’は、
図25B、
図25Cに示すように、ストレート形状曲げ部121’と、断面形状変化曲げ部122’と、周長変化曲げ部123’と、曲線形状曲げ部124’と、周長変化率変化曲げ部125’とを備えている。
【0240】
以下、曲げ成形工程における工程手順を説明する。
(1)まず、材料鋼板W0’を曲げ成形型D10’に配置する(S102’)。
材料鋼板W0’を曲げ成形型D10’に配置するときは、
図28A、
図29Aに示すように、材料鋼板W0’を曲げ成形凹型D11’に載置し、上方に曲げ成形パンチD12’の曲げ成形凸部D12A’を位置させる。
【0241】
(2)曲げ成形パンチD12’により材料鋼板W0’を押圧する(S103’)。
曲げ成形パンチD12’により材料鋼板W0’を押圧する際には、
図28B、
図29Bに示すように、曲げ成形パンチD12’をZ軸方向に下降させて、曲げ成形凸部D12A’によって材料鋼板W0’を押圧し、曲げ成形パンチD12’と曲げ成形凹型D11’とが協働して、材料鋼板W0’を曲げ成形凸部D12A’及び曲げ成形凹部D11A’に沿わせて曲げ成形する。
【0242】
図28A、
図29A、
図28B、
図29Bにおいて、符号D11F’、符号D11R’は、曲げ成形凹部D11A’のフロント側形状部及びリア側形状部を、符号D12F’、符号D12R’は、曲げ成形凸部D12A’のフロント側形状部及びリア側形状部を示している。
【0243】
(3)曲げ成形品120’を曲げ成形凹型D11’から取り出す(S104’)。
曲げ成形品120’は、
図28B、
図29Bの右図に示すように、凹形状部を有するとともに、一端側がトレーリングアーム100のフロント側閉断面100F(
図7B参照)と対応するフロント側断面120F’とされ、他端側がリア側閉断面100R(
図7B参照)と対応するリア側断面120R’とされている。
【0244】
〔O成形工程〕
O成形工程(当接部形成工程)では、
図23のS105’~S108’に示すように、曲げ成形品(曲げ成形部)をO成形金型(当接部形成型)に配置し、O成形金型において曲げ成形品(曲げ成形部)を押圧し、曲げ成形品(曲げ成形部)の当接予定部を当接させて、当接部形成品を取り出す。
以下、
図26A、
図28C~
図28F、
図29C~
図29Fを参照して、当接部形成型D30’の概略構成について説明する。
図26Aは、第3実施形態に係るトレーリングアーム本体の製造におけるO成形金型D30’を説明する斜視図である。
【0245】
O成形金型D30’は、例えば、
図26A、
図28C~
図28F、
図29C~
図29Fに示すように、固定型とされる当接部形成凹部が形成された下型(第1凹型)D31’と、下型D31’の上方に配置され下型D31’に対してZ軸方向に進退可能とされ当接部形成凹部が形成された上型(第2凹型)D32’とを備えている。
【0246】
そして、下型D31’には、
図26Aに示すように、曲げ成形品120’を配置する下型凹部D31A’が、曲げ成形品120’のフロント側形状部120F’からリア側形状部120R’にわたって形成されている。
【0247】
また、上型D32’には、下型凹部D31A’と協働して、曲げ成形品120’の両側の側端部120E’を沿わせることにより、フロント側形状部120F’からリア側形状部120R’にわたって側端部120E’を近接させ、さらには当接させて当接部形成品130’を形成する上型凹部D32A’が形成されている。
【0248】
当接部形成品130’は、
図26B、
図26Cに示すように、ストレート形状部131’と、断面形状変化部132’と、周長変化部133’と、湾曲部134’と、周長変化率変化部135’とを備えている。
ストレート形状部131’、断面形状変化部132’、周長変化部133’、湾曲部134’、周長変化率変化部135’は、それぞれトレーリングアーム本体100のストレート形状部101、断面形状変化部102、周長変化部103、湾曲部104、周長変化率変化部105と対応した構成とされている。
なお、
図26Aに示す符号Doは、下型(第1凹型)D31’の下型凹部D31A’の幅を示している。
なお、
図26Bは、当接部形成品130’を上型D32側から見た図であり、
図26Cは、成形方向に形成され図心線を含む面と直交する方向(すなわち側面)から当接部形成品130’を見た図である。
【0249】
ここで、
図27を参照して、トレーリングアーム本体100を製造する際の成形条件比aと、
図25Aに示した曲げ成形型D10’の曲げ成形パンチの幅Duと、
図26Aに示す下型(第1凹型)D31’の下型凹部D31A’の幅Doについて説明する。
図27は、第3実施形態に係る金型(曲げ成形型D10’及びO成形金型D30’)における成形条件比a(=Du/Do)の概略を説明する図である。
【0250】
トレーリングアーム本体100を製造する際の成形条件比a(=Du/Do)は、
図27に示すように、トレーリングアーム本体100の長手方向(図心線)に沿って変化するように構成されている。
図27に示す成形条件比a
1、a
2、a
3、a
4、a
5は、それぞれトレーリングアーム本体100のストレート形状部101、断面形状変化部102、周長変化部103、湾曲部104、周長変化率変化部105と対応して、トレーリングアーム本体100の図心線に沿って変化するように構成されている。また、成形条件比a
1、a
2、a
3、a
4、a
5は、例えば、0.85以上0.95以下に適宜設定されている。これらの値は、上述した成形条件比設定工程を1または複数のサイクルで行うことで設定されてもよい。
【0251】
なお、
図27において、成形条件比a
4、成形条件比a
5は、成形条件比a
3に含まれているが、このような場合は、いずれか又は双方に適した成形条件比aを適宜使用することが可能である。
【0252】
また、成形条件比a
1、a
2、a
3、a
4、a
5は、
図27に記載した成形条件比a
iに示す数式により定義されており、曲げ成形パンチD12’の幅Duは、
図25Aにおいて曲げ成形型D10’の曲げ成形パンチに示した符号Duと対応しており、O成形金型D30’の下型凹部D31A’の幅Doは、
図26Aにおいて下型(第1凹型)D31’の下型凹部(当接部形成凹部)D31A’に示した符号Doと対応している。
【0253】
また、
図25Aに示す曲げ成形パンチD12’の幅Du、及び
図26Aに示すO成形金型D30’の下型凹部D31A’の幅Doは、曲げ成形パンチD12’及び下型凹部D31A’の長手方向(X軸方向)の互いに対応する位置において対応するようになっている。
【0254】
なお、曲げ成形パンチD12’の幅Du、O成形金型D30’の下型凹部D31A’の幅Doは、それぞれ
図27に示すトレーリングアーム本体100における各部位に対応する値である。例えば、成形条件比a
2に対応するプレス成形パンチD12’の幅Du及びO成形金型D30’の下型凹部D31A’の幅Doは、断面形状変化部132’を成形する部分の幅Du及び幅Doとなる。したがって、成形条件比aが図心線に沿って変化していても、曲げ成形工程における曲げ成形パンチや、O成形工程における第1凹型及び第2凹型が、図心線と直交する方向に相対移動する必要はない。
【0255】
以下、当接部形成工程における工程手順を説明する。
(1)曲げ成形品120’を、O成形金型D30’に配置する(S105’)。
曲げ成形品120’をO成形金型D30’に配置する際には、
図28C、
図29Cに示すように、曲げ成形品120’を下型凹部D31A’が形成された下型D31’に配置し、上方に上型凹部D32A’が形成された上型D32’を位置させる。
【0256】
(2)O成形金型D30’により曲げ成形品120’を押圧する(S106’)。
O成形金型D30’により曲げ成形品120’を押圧する際には、
図28C、
図29Cに示すように、曲げ成形品120’を下型D31’に配置し、上型D32’を下降させて、曲げ成形品120’の両側の側端部(当接予定部)120E’を上型凹部D32A’に沿わせて変形させる。
【0257】
(3)曲げ成形品120’の当接予定部を当接する(S107)。
図28D、
図29Dに示すように、上型凹部D32A’によって曲げ成形品120’を押圧することにより、曲げ成形品120’は上型凹部D32A’ 及び下型凹部D31A’に沿って成形される。
その結果、曲げ成形品120’の両側の側端部120E’が当接される。
図28E、
図29Eにおいて、符号D31F’、符号D31R’は、下型凹部(当接部形成凹部)D31A’のフロント側形状部及びリア側形状部を、符号D32F’、符号D32R’は、上型凹部(当接部形成凹部)D32A’のフロント側形状部及びリア側形状部を示している。
【0258】
(4)当接部形成品130’をO成形金型D30’から取り出す(S108’)。
当接部形成品130’は、
図28E、
図29Eの右図に示すように、曲げ成形品120’の両側の側端部120E’が当接されて当接部130C’が形成される。
また、当接部形成品130’は、一端側がトレーリングアーム本体100のフロント側閉断面100Fと対応するフロント側断面130F’とされ、他端側がリア側閉断面100Rと対応するリア側断面130R’とされている。
【0259】
〔接合工程〕
この実施形態において、接合工程では、当接部形成品130’の当接部130C’の両側端部130E’同士を溶接により接合してシーム部(接合部)100S’を形成する(S109’)。
当接部形成品130’の当接部130C’を溶接により接合すると、
図28F、
図29Fに示すように、シーム部100S’が形成される。その結果、トレーリングアーム本体100が形成される。
シーム部(接合部)100S’の接合に際しては、アーク溶接のほか、レーザ溶接等を適用することができる。
【0260】
〔部材取付工程〕
この実施形態において、部材取付工程では、レーリングアーム本体100にピボット取付部材10F及び車輪取付部材10Rを溶接により接合する(S110’)。
トレーリングアーム本体100に、ピボット取付部材10F及び車輪取付部材10Rを接合(溶接)して取り付ける。
その結果、
図6、
図7A~
図7Dに示すようなトレーリングアーム10が形成される。
【0261】
第3実施形態に係るトレーリングアーム本体100(自動車用部材)の製造方法によれば、断面形状変化部102及び周長変化率変化部105を備えたトレーリングアーム本体100を効率的に製造することができる。
【0262】
第3実施形態に係るトレーリングアーム本体100の製造方法によれば、曲げ成形工程において金属材料板W0’から曲げ成形部を成形する際に用いる曲げ成形パンチの幅Duと、O成形金型の幅Do(より詳細には、下型D31’の下型凹部(当接部形成凹部)D31A’及び上型D32’の上型凹部(当接部形成凹部)D32A’の幅Do)の比からなる成形条件比aが、0.85以上0.95以下に設定されているので、スプリングバックを適切に抑制可能となり、両側の側端部120E’同士を正確かつ効率的に密着させ、又は狙いの位置に近接させることができる。
【0263】
また、当接部形成工程後に、当接部130C’をなす両側の側端部120E’同士が近接して配置されることにより、複雑な治具等を用いることなく効率的に接合することができる。
【0264】
また、成形条件比aが1.0未満に設定されているので、プレス成形品120をO成形金型D30’の下型凹部D31A’、上型凹部D32A’内に容易に配置することができる。
その結果、トレーリングアーム本体100を効率的に製造することができ、ひいては、部材及び自動車用部材を容易に軽量化するとともに製造コストを削減することができる。
【0265】
また、第3実施形態に係るトレーリングアーム本体100の製造方法によれば、プレス成形型D30’により成形方向に沿った面内において曲げられた湾曲部104を形成するので、湾曲部104を備えたトレーリングアーム本体100を効率的に形成することができる。
【0266】
第3実施形態に係るトレーリングアーム本体100及びトレーリングアーム本体100の製造方法によれば、成形条件比aがトレーリングアーム本体100の図心線に沿った位置に応じて調整して設定されているので、当接部形成品130’の当接部130C’を正確に当接(あるいは、接合可能な位置まで近接)させることができる。
その結果、トレーリングアーム本体100を効率的に製造することができる。
【0267】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、部材がトレーリングアーム本体100(トレーリングアーム10)である場合について説明したが、トレーリングアーム本体100に代えて、他の自動車用部材に適用してもよい。
また、自動車用部材に代えて、建築構造物や機械構造物を構成する部材に適用してもよい。
また、例えば、本発明に係る部材の製造方法を、一部又は全長にわたって周長変化率変化部、断面形状変化部や湾曲部が形成されたラインパイプ等の製造に適用してもよい。
【0268】
また、上記実施の形態においては、トレーリングアーム本体100を形成する当接部形成品130の全長にわたって成形条件比aを0.85以上0.95以下に設定し、それぞれの部位における成形条件比aが図心線に沿って変化する場合について説明したが、例えば、特定三次元筒状部の全長又は一部を対象に成形条件比aを0.85以上0.95以下に設定して、それ以外の部位では成形条件比aを0.85以上0.95以下の範囲外の範囲としてもよいし、又は全長にわたり成形条件比aを一定値に設定してもよい。
また、断面形状変化部、湾曲部、及び周長変化率変化部以外の筒状部について、成形条件比aを0.85以上0.95以下に設定してもよい。
【0269】
上記実施の形態においては、成形条件比aを、有限要素法を利用して決定する場合について説明したが、例えば、有限要素法以外の算出方法や実験によって成形条件比aを設定してもよい。
【0270】
また、上記実施の形態においては、トレーリングアーム本体(自動車用部材、部材)100)が全長にわたって筒状部とされる場合について説明したが、例えば、部材の一部に筒状部以外の羽根状の構成(例えば、取付用リブやステー)や、チャネル状の構成(例えば、連結アーム部等)が形成された部材に適用してもよい。
【0271】
また、上記実施形態においては、プレス成形品120及び曲げ成形品120’の両側の側端部120E、120E’同士が、全長にわたって略密着されて、その後接合される場合について説明したが、例えば、両側の側端部120E、120E’同士が溶接等によって接合可能な程度の隙間を当接(対向配置)されてもよいし、密着した側端部の一部に隙間が形成されていてもよいし、両側の側端部同士が全長にわたって所定の隙間をあけて近接配置されていてもよい。
また、隙間が形成されている場合に、隙間の間隔が、隙間に沿った位置に応じて異なる間隔に形成されていてもよい。
また、当接部を溶接等によって接合するかどうかは任意に設定可能であり、また一部が接合された構成としてもよい。
【0272】
上記実施の形態においては、円形閉断面と矩形閉断面とを有するトレーリングアーム本体(自動車用部材)100に適用する場合について説明したが、円形閉断面、矩形閉断面に代えて、多角形(正多角形、正多角形以外を含む)閉断面を有する部材に適用してもよいことはいうまでもない。
【0273】
上記実施の形態においては、トレーリングアーム本体100が、断面形状の図心線と当接部を含む方向における長さの変化が10%以上50%以下の断面形状変化部102と、曲率が0.002mm-1以上0.02mm-1以下の湾曲部104と、第1端部(始点)と第2端部(終点)との周長変化率の変化が0.035mm-1以上0.35mm-1以下である周長変化率変化部105とを備える場合について説明したが、断面形状変化部102、湾曲部104、周長変化率変化部105の少なくともいずれかを備えていればよい。また、断面形状変化部102、湾曲部104、周長変化率変化部105の数値については、上記範囲に限定されることなく適宜設定することができる。
【0274】
上記実施の形態においては、平板状の材料鋼板W0、W0’をプレス成形または曲げ成形する場合について説明したが、例えば、
図15A、
図16A、
図28A、
図29Aに示すプレス成形または曲げ成形を実施する前に、材料鋼板W0、W0’の幅方向両側の側端部WE、WE’に、縁部に沿って曲率を付与する工程を伴う構成としてもよい。また、プレス成形工程(または曲げ成形工程)やO成形工程の前後に、穿孔や局部的な凹凸の付与、あるいはリストライクを行う工程を伴う構成としてもよい。当接部形成工程においては、筒状部の一部あるいは全部に中子を挿入し成形を行ってもよい。
【0275】
上記実施の形態においては、成形条件比a、部材の材料特性、金属材料板の形状及び板厚、曲げ成形工程における成形条件、当接部形成工程における成形条件を設定に基づいて評価して好適化された成形条件比aを適用する場合について説明したが、上記以外のパラメータで代用してもよいし、上記以外のパラメータを含めて成形条件比aを評価してもよい。
【0276】
また、上記第1実施の形態においては、フランジ状の余肉付きプレス成形品(プレス成形品)110をトリミングした後のプレス成形品120を当接部形成工程で当接する場合について説明したが、トリミング工程を設けるかどうかは任意に設定することができ、断面視凹形状とされた壁部に沿って延出する余肉(延出部)を形成してもよい。
【0277】
上記実施の形態においては、プレス成形工程(または曲げ成形加工)及びO成形工程において、トレーリングアーム本体100を一体として形成する場合について説明したが、例えば、プレス成形工程(または曲げ成形工程)及び当接部形成工程において円形閉断面や多角形等の閉断面を形成して、それをリストライク成形することによって、トレーリングアーム本体100を形成してもよい。
【0278】
上記実施の形態においては、金属材料板が、例えば、引張強さ400MPaの材料鋼板に適用する場合について説明したが、スプリングバックが生じやすい引張強さが400MPaより大きい材料鋼板のほか、引張強さが400MPaより低い材料鋼板やスプリングバックが生じる鋼板以外の金属材料板に適用してもよいことはいうまでもない。
【実施例】
【0279】
つぎに、本実施形態の実施例について説明する。本実施例では、上述した各実施形態の効果を確認するために、以下の実験を行った。
【0280】
<1.実験例1>
実験例1では、上述した第2のモデルM200をプレス成形加工により製造した(第2の知見)。金属材料板W200としては、引張強さ600MPa、厚さ2.0mmの鋼板を使用した。そして、成形条件比a、断面形状変化部M203の断面形状の図心線と当接部M200Cを含む方向における長さの図心線に沿う変化Rhを様々に変更して第2のモデルM200を製造し、これらの第2のモデルM200の品質を評価した。なお、Rhは、断面形状変化部M203の長手方向の両端部及び中心部でそれぞれ測定した値の中央値とした。また、円形閉断面M202の外径は40mmで共通とした。評価項目は「スプリングバック後の当接部間の隙間」、「スプリングバック後の形状精度」とした。評価方法の詳細は以下の通りである。
【0281】
(スプリングバック後の当接部間の隙間)
第2のモデルM200をO成形金型D220から取り出した後(すなわち、第2のモデルM200がスプリングバックした後)、当接部M200C間の距離を測定した。そして、以下の評価基準でスプリングバック後の当接部間の隙間を評価した。A~Cを合格レベルとした。結果を表1にまとめて示す。
A:当接部間が密着
B:当接部間の距離が0.5mm以下
C:当接部間の距離が2.0mm未満
D:当接部間の距離が2.0mm以上
【0282】
(スプリングバック後の形状精度)
第2のモデルM200をO成形金型D220から取り出した後(すなわち、第2のモデルM200がスプリングバックした後)、第2のモデルM200の高さ(当接部における外周面部分から当接部に対向する外周面部分までの距離(すなわち外径))を測定した。さらに、上型D222と下型D221とを完全に突き合せた状態で上型凹部D222Aの上端から下型凹部D221Aの下端までの距離(O成形金型D220の成形面高さ)を測定した。そして、第2のモデルM200の高さをO成形金型D220の成形面高さで除算し、得られた評価値と以下の評価基準に基づいて、スプリングバック後の形状精度を評価した。a~cを合格レベルとした。結果を表1にまとめて示す。
a:評価値が1.00以上1.01未満
b:評価値が1.01以上1.03未満
c:評価値が1.03以上1.05未満
d:評価値が1.05以上
【0283】
【0284】
<2.実験例2>
実験例2では、上述した第1のモデルM100’を曲げ成形加工により製造した(第1の知見)。金属材料板W100’としては、引張強さ600MPa、厚さ1.6mmの鋼板を使用した。そして、成形条件比a、周長変化率変化部M103’の周長変化率Rcを様々に変更して第1のモデルM100’の品質を評価した。周長変化率Rcは、周長変化率変化部M103’の両端で測定した周長変化率の差を、これら両端の図心線に沿った間隔(長さ、寸法)で除した値とした。評価項目は「スプリングバック後の当接部間の隙間」、「スプリングバック後の形状精度」とした。評価項目の測定、評価は実験例1に倣って行った。結果を表2にまとめて示す。
【0285】
【0286】
<3.実験例3>
実験例3では、上述した第3のモデルM300’を曲げ成形加工により製造した(第3の知見)。金属材料板W300’としては、引張強さ600MPa、厚さ2.8mmの鋼板を使用した。そして、成形条件比a、第3のモデルM300’の曲率Rlを様々に変更して第3のモデルM300’の品質を評価した。なお、曲率Rlは、第3のモデルM300’の両端部及び中心部でそれぞれ測定した値の中央値とした。評価項目は「スプリングバック後の当接部間の隙間」、「スプリングバック後の形状精度」とした。評価項目の測定、評価は実験例1に倣って行った。結果を表3にまとめて示す。
【0287】
【0288】
表1~表3から明らかな通り、成形条件比aが0.85以上0.95以下である場合に、良好な結果が得られている。これらの条件に加え、さらにRhが10~50%、Rcが0.035mm-1~0.35mm-1、Rlが0.002mm-1~0.02mm-1となる場合に、さらに良好な結果が得られる。したがって、上述した各知見及び実施形態により良好な結果が得られることがわかった。
【0289】
なお、上記の例では鋼板について実験したが、Al板について実験例1~3と同様の実験を行ったところ、実験例1~3と同様の結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0290】
この発明に係る部材の製造方法、自動車用部材の製造方法、及び金型によれば、特定三次元筒状部を備えた自動車用部材をはじめとする部材を効率的に製造することができるので、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0291】
W0 材料鋼板(金属材料板)
10 トレーリングアーム(部材、自動車用部材)
D10、D10A プレス成形型
D11 プレス成形凹型
D11A プレス成形凹部
D11B プレス成形凹部
D11C カウンタ
D12 プレス成形パンチ
D12A プレス成形凸部
D13 鋼板押え部材(金属材料押え部材)
D30 O成形金型
D31 下型(第1凹型)
D31A 下型凹部(第1凹部)
D32 上型(第2凹型)
D32A 上型凹部(第2凹部)
100 トレーリングアーム本体(筒状部、部材、自動車用部材)
101 ストレート形状部
102 断面形状変化部
103 周長変化部
104 湾曲部
105 周長変化率変化部
110 余肉付きプレス成形品(プレス成形品)
110F フロント側断面(余肉付きプレス成形品)
110R リア側断面(余肉付きプレス成形品)
120 フランジレスプレス成形品(トリミングプレス成形品)
120F フロント側断面(側フランジレスプレス成形品)
120R リア側断面(フランジレスプレス成形品品)
130 当接部形成品
130C 当接部
130F フロント側断面(当接部形成品)
130R リア側断面(当接部形成品)