(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】液体クロマトグラフ
(51)【国際特許分類】
G01N 30/86 20060101AFI20221213BHJP
G01N 30/02 20060101ALI20221213BHJP
G01N 30/26 20060101ALI20221213BHJP
G01N 30/34 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G01N30/86 V
G01N30/86 T
G01N30/02 Z
G01N30/26 Z
G01N30/34 Z
(21)【出願番号】P 2021521695
(86)(22)【出願日】2019-05-30
(86)【国際出願番号】 JP2019021564
(87)【国際公開番号】W WO2020240780
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 悦輔
(72)【発明者】
【氏名】吉野 早紀
(72)【発明者】
【氏名】岡本 冬樹
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-298122(JP,A)
【文献】特開2007-171034(JP,A)
【文献】特開2002-277451(JP,A)
【文献】特開2007-040811(JP,A)
【文献】特開2011-117815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 -30/96
B01J 20/281-20/292
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動相を収容する複数の容器と、
移動相が通流する分析流路と、
前記分析流路に試料を導入するオートサンプラと、
前記分析流路に導入された試料を分離するカラムと、
前記カラムで分離された試料を検出する検出器と、
前記分析流路に移動相を送るための複数のポンプを含み、前記複数の容器のうちの少なくとも2つの容器から、前記複数のポンプおよび前記オートサンプラの少なくとも1つに移動相を送るように構成される送液部と、
前記複数の容器の各々について、試料の分析に必要な移動相の液量を演算する演算部と、
前記複数の容器の少なくとも1つの容器において、収容されている移動相の液量が試料の分析に必要な移動相の液量より少ない場合、警告を出力するように構成される通知部と
、
各前記複数の容器に収容されている移動相の液量を計測する計量部とを備え、
前記通知部は、前記複数の容器のうちの少なくとも1つの容器において、前記計量部による移動相の液量の計測値が試料の分析に必要な移動相の液量より少ない場合、警告を出力し、
前記計量部は、移動相の種類ごとの検量線を記憶し、前記検量線に基づいて前記複数の容器に収容されている移動相の液量を計測する、液体クロマトグラフ。
【請求項2】
前記送液部は、前記複数の容器のうちの1つの容器から、前記複数のポンプおよび前記オートサンプラのうちの少なくとも2つに移動相を送るように構成され、
前記演算部は、各前記複数の容器と前記複数のポンプおよび前記オートサンプラとの接続状態と、前記複数のポンプおよび前記オートサンプラの各々にて分析に必要な移動相の液量とに基づいて、前記複数の容器の各々について試料の分析に必要な移動相の液量を演算する、請求項1に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項3】
前記演算部は、前記少なくとも1つの容器について、試料の分析に必要な移動相の液量に対する移動相の不足量を演算し、前記通知部は、移動相の不足量を通知する、請求項
1または2に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項4】
前記液体クロマトグラフは、複数の試料を一括して分析するバッチ分析を実行可能に構成され、
前記演算部は、前記バッチ分析における各試料の分析条件を指定したデータに基づいて、前記複数の容器の各々について、前記バッチ分析に必要な移動相の液量を演算し、
前記通知部は、前記複数の容器のうちの少なくとも1つの容器において、収容されている移動相の液量が前記バッチ分析に必要な移動相の液量より少ない場合、警告を出力する、請求項1~
3のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項5】
前記演算部は、前記複数の容器の各々に収容されている移動相の液量に基づいて、前記バッチ分析で実行可能な分析を
算出し、
前記通知部は、前記
演算部で算出された実行可能な分析を通知する、請求項
4に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項6】
前記演算部は、前記分析において、前記複数のポンプおよび前記オートサンプラの各々で必要な移動相の液量、および、前記複数のポンプおよび前記オートサンプラの各々で必要な移動相の液量のうち各前記複数の容器から供給される移動相の占める割合に基づいて、各前記複数の容器について前記分析に必要な移動相の液量を演算する、請求項1~
5のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項7】
前記送液部は、前記複数の容器と前記複数のポンプおよび前記オートサンプラとの間に配置される流路切換用のバルブを含み、
前記バルブは、
前記複数の容器のうちの少なくとも2つの容器の移動相を混合して前記複数のポンプおよび前記オートサンプラのうちの少なくとも1つに送るように構成され、前記バルブにおける移動相の混合比は変更可能に構成され、
前記演算部は、各前記複数の容器と前記複数のポンプおよび前記オートサンプラとの接続状態、前記複数のポンプおよび前記オートサンプラの各々にて必要な移動相の液量、および前記バルブにおける移動相の混合比率に基づいて、前記複数の容器の各々について試料の分析に必要な移動相の液量を演算する、請求項1~
6のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項8】
前記演算部は、前記複数の容器の各々に収容されている移動相の液量に基づいて、前記バッチ分析において何番目の分析まで実行可能であるかを特定する、請求項
5に記載の液体クロマトグラフ。
【請求項9】
液体クロマトグラフであって、
移動相を収容する複数の容器と、
移動相が通流する分析流路と、
前記分析流路に試料を導入するオートサンプラと、
前記分析流路に導入された試料を分離するカラムと、
前記カラムで分離された試料を検出する検出器と、
前記分析流路に移動相を送るための複数のポンプを含み、前記複数の容器のうちの少なくとも2つの容器から、前記複数のポンプおよび前記オートサンプラの少なくとも1つに移動相を送るように構成される送液部と、
前記複数の容器の各々について、試料の分析に必要な移動相の液量を演算する演算部と、
前記複数の容器の少なくとも1つの容器において、収容されている移動相の液量が試料の分析に必要な移動相の液量より少ない場合、警告を出力するように構成される通知部とを備え、
前記液体クロマトグラフは、複数の試料を一括して分析するバッチ分析を実行可能に構成され、
前記演算部は、前記バッチ分析における各試料の分析条件を指定したデータに基づいて、前記複数の容器の各々について、前記バッチ分析に必要な移動相の液量を演算し、
前記通知部は、前記複数の容器のうちの少なくとも1つの容器において、収容されている移動相の液量が前記バッチ分析に必要な移動相の液量より少ない場合、警告を出力し、
前記演算部は、前記複数の容器の各々に収容されている移動相の液量に基づいて、前記バッチ分析において何番目の分析まで実行可能であるかを算出する、液体クロマトグラフ。
【請求項10】
前記通知部は、前記演算部で算出された実行可能な分析を通知する、請求項9に記載の液体クロマトグラフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフに関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフは、ポンプ、オートサンプラ、カラムオーブンおよび検出器等の複数の分析ユニットから構成されている。近年、液体クロマトグラフにおいて、各分析ユニットを統括的に制御し、採取されたデータを統括的に処理するために、パーソナルコンピュータに所定の制御/処理プログラムをインストールした制御装置が広く利用されている。こうした制御装置では、複数の試料の分析について、その実行順序と、各分析の分析条件を記述したバッチテーブルを予め作成しておき、制御装置が該バッチテーブルに従って各分析ユニットを制御することにより、複数の試料を一括して分析するバッチ分析が可能となっている。
【0003】
従来、移動相の残量を自動的に算出して分析担当者(オペレータ)に通知する機能を備えた液体クロマトグラフがある(例えば、特許文献1(特開2015-194434号公報)を参照)。このような液体クロマトグラフでは、バッチ分析の実行中に、ポンプの送液流量などに基づいて移動相毎の総送液量を計算し、移動相毎の総送液量をオペレータによって予め設定された移動相総量から差し引くことによって、各移動相の残量が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような構成の液体クロマトグラフでは、分析中または分析後に実際に使用した移動相の液量は確認できるが、分析に必要な移動相の液量は計算していない。ゆえに、分析中に移動相の液量の不足が生じ、分析を中断せざるを得ない場合が起こり得る。
【0006】
この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、移動相の容器に、分析に必要な液量の移動相が収容されているか否かを確認することが可能な液体クロマトグラフを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、液体クロマトグラフであって、複数の容器と、分析流路と、オートサンプラと、カラムと、検出器と、送液部と、演算部と、通知部とを備える。複数の容器は、移動相を収容する。分析流路は、移動相が通流する。オートサンプラは、分析流路に試料を導入する。カラムは、分析流路に導入された試料を分離する。検出器は、カラムで分離された試料を検出する。送液部は、分析流路に移動相を送るための複数のポンプを含み、複数の容器のうちの少なくとも2つの容器から、複数のポンプおよびオートサンプラの少なくとも1つに移動相を送るように構成される。演算部は、複数の容器の各々について、試料の分析に必要な移動相の液量を演算する。通知部は、複数の容器の少なくとも1つの容器において、収容されている移動相の液量が試料の分析に必要な移動相の液量より少ない場合、警告を出力するように構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、移動相の容器に、分析に必要な液量の移動相が収容されているか否かを確認することが可能な液体クロマトグラフを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係る液体クロマトグラフの構成を示す概略図である。
【
図2】制御部およびPCの構成を概略的に示す図である。
【
図5】メソッドファイルにおける各ユニットの設定を説明する図である。
【
図6】メソッドファイルにおける各バルブの設定を説明する図である。
【
図7】各ユニットの移動相の使用量の計算式を説明する図表である。
【
図8】ポンプ2aで使用される各容器の移動相の割合の定義を説明する図表である。
【
図9】各容器の移動相の使用量の計算式を説明する図表である。
【
図10】各分析での移動相の使用量の演算結果の一例を示す図である。
【
図11】容器の移動相の収容量が、バッチ分析における移動相の使用量に足りなかった場合の報知の一例を示す図である。
【
図12】容器の移動相の使用量の演算が指令された場合の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】分析開始が指令された場合の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一の符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0011】
(装置構成)
図1は、本実施の形態に係る液体クロマトグラフ100の構成を示すブロック図である。
図1を参照して、液体クロマトグラフ100は、複数の容器20a~20dと、送液部4と、分析流路6と、オートサンプラ8と、カラムオーブン12と、液量計5と、検出器14と、制御部28と、ディスプレイ29とを備える。以下、液体クロマトグラフ100の概要を説明する。
【0012】
液体クロマトグラフ100において、送液部4の下流に分析流路6が接続されている。送液部4は、移動相を収容する容器20a~20d中の移動相を吸引する送液用のポンプ2a~2cを含む。以下、ポンプ2a~2cをポンプ2とも総称する。このような構成により、複数のポンプを利用して1つのカラムに移動相を注入することが可能となる。
【0013】
分析流路6には移動相の流れの上流から下流に向かって、オートサンプラ8、カラム10、および検出器14が配置されている。オートサンプラ8は、分析流路6の移動相に試料を導入する。カラム10は、オートサンプラ8に導入された試料を分離する。検出器14は、カラム10で分離された試料成分を検出する。ここで、検出器14としては、例えば、質量分析計または吸光度検出器等を用いることができる。また、カラム10はカラムオーブン12に収容されている。以下、液体クロマトグラフ100において、ポンプ2、オートサンプラ8、カラム10、検出器14等の、試料の分析に使用される各々の装置を「ユニット」とも称する。以下、液体クロマトグラフ100の各部について詳細に説明する。
【0014】
本実施の形態では、容器20a~20dには例えば、純水、エタノール、アセトニトリル等、互いに種類が異なる複数の移動相がそれぞれ収容されている。しかし容器20a~20dに収容されている移動相の種類は、これに限定されず、たとえば容器20a~20dの少なくとも2つに同じ種類の移動相を収容するように構成しても良い。
【0015】
送液部4は、複数の容器20a~20dと分析流路6との間に設けられる。容器20a~20cとポンプ2a~2cとの間には、流路切換用のバルブ26a~26cが設けられる。容器20dとオートサンプラ8との間には、流路切換用のバルブ26dが設けられる。以下、バルブ26a~26dをバルブ26とも総称する。バルブ26a~26dは、複数の種類の移動相を制御部28からの指令に従って、混合または切換えて分析流路6に送液できるように構成される。
【0016】
バルブ26aは、容器20a~20dの各々に収容される移動相を必要に応じて混合または切換えてポンプ2aに送液するために設けられる。バルブ26bは、容器20a~20d各々に含まれる移動相を混合または切換えてポンプ2bに送液するために設けられる。バルブ26cは、容器20a~20dの各々に含まれる移動相を混合または切換えてポンプ2cに送液するために設けられる。バルブ26cは、容器20a~20dの各々に含まれる移動相を混合または切換えてポンプ2cに送液するために設けられる。バルブ26dは、容器20a~20dの各々に含まれる移動相を混合または切換えてオートサンプラ8に送液するために設けられる。このようにバルブ26は、複数の試料のうちの少なくとも2つの容器の移動相を混合して複数のポンプおよびオートサンプラのうちの少なくとも1つに送るように構成される。
【0017】
図1では、バルブ26aは、容器20a~20dとポンプ2aとの間に接続される。よって、バルブ26aは、容器20a~20dに収容される移動相の混合液をポンプ2aに送液するように構成される。
【0018】
バルブ26bは、容器20bとポンプ2bとの間に接続される。よって、バルブ26aは、容器20b内の移動相をポンプ2bに送液するように構成される。
【0019】
バルブ26cは、容器20cとポンプ2cとの間に接続される。よって、バルブ26aは、容器20c内の移動相をポンプ2cに送液するように構成される。
【0020】
バルブ26dは、容器20aとオートサンプラ8と直接的に接続される。よって、バルブ26dは、容器20a内の移動相をオートサンプラ8に送液するように構成される。
【0021】
なお、オートサンプラ8に送液される移動相は、オートサンプラ8のパージおよび洗浄に使用される。
図1に示したように、このような目的に使用される移動相も、分析用の移動相と同じ容器から送液することができる。そのため、本実施の形態では、「移動相」の語は、分析用の移動相に限定されず、洗浄等の目的で使用される液体も包含する用語として使用される。
【0022】
このように、本実施の形態に従う液体クロマトグラフ100では、送液部4は、複数の容器20のうちの少なくとも2つの容器から、複数のポンプ2およびオートサンプラ8の少なくとも1つに移動相を送るように構成される。また、送液部4は、複数の容器20のうちの1つの容器から、複数のポンプ2およびオートサンプラ8のうちの少なくとも2つに移動相を送るように構成される。
【0023】
ポンプ2a~2cおよびオートサンプラ8の間には、流路切換用のバルブ27が設けられる。バルブ27は、ポンプ2a~2cから供給される複数の移動相を混合または切換えて分析流路6に送液するために設けられる。すなわち、ポンプ2a~2cから送液された移動相は、バルブ27を介して分析流路6に送液される。以下、バルブ26,27を単にバルブとも総称する。バルブにおける流路の切換および移動相の混合比の変更は、後述する制御部28により制御される。
【0024】
液体クロマトグラフ100は、各ユニットおよびバルブの動作を制御するための、制御部28を備えている。具体的には、制御部28は、分析時の液体クロマトグラフの各部の動作を制御するための分析プログラムを記憶しており、分析プログラムに従って各ユニットおよびバルブを制御することによって、所定の分析を実行することができる。当該分析プログラムには、送液部4においてポンプ2および各バルブを制御することで、送液する移動相の選択と、選択された移動相のポンプ2a~2cによる単位時間当たりの送液量とを制御するプログラムも含むことができる。また当該プログラムには、検出器14の検出信号を処理してクロマトグラムを作成する処理、および、検量線データを保持して分析成分を定量する処理を行なうためのプログラムも含むことができる。上記の制御部28の機能は、後述するパーソナルコンピュータ3(以下、PC3とも称する)により実現することもできる。
【0025】
さらに、液体クロマトグラフ100は、複数の容器20a~20dの各々に収容されている移動相の液量(以下、「収容量」とも称する)を計測するための液量計5を備える。液量計5は、液体クロマトグラフと一体的に設けられる構成でもよいし、液体クロマトグラフに外付けされる構成でもよい。例えば、液量計5は、送液部4に対して着脱可能に取り付けられている。制御部28は、液量計5からの移動相の収容量情報を受信可能に構成されている。
【0026】
液量計5は、ロードセル(重量センサ)21a~21dと、計測部51と、記憶部52と、演算部53とを備えている。液量計5は、「計量部」の一実施例に対応する。
【0027】
ロードセル(重量センサ)21a~21dは、ボトルホルダ22にセットした複数の容器20a~20dの底面側にそれぞれ設けられる。ロードセル21a~21dは、容器20a~20dの各々の重量に基づいた値を計測部51に出力する。
【0028】
計測部51は、各々のロードセル21a~21dから得られた出力値から容器20a~20dの各々の重量を求め、演算部53に出力する。本実施の形態では、重量センサとしてロードセルを用ているが、容器の重量を計測することができればロードセル以外の他の重量センサでもよい。ここで、容器の重量とは、容器に収容された移動相の重量を含む重量である。そのため、移動相の収容量が0(ゼロ)の場合、容器の重量は、容器のみの重量となる。
【0029】
また、ロードセル21a~21dは、容器に収容されている移動相の液量を計測する別のセンサに代替されても良い。例えば、ロードセル21a~21dは、超音波、レーザ等を利用した液面検知センサ等、別のセンサに代替されても良い。この場合、液量計5の後述する各部の機能も適宜変更される。
【0030】
記憶部52は、計測部51で計測した計測値と容器20a~20dの移動相の収容量との関係を示す検量線を、移動相の種類ごとに記憶している。移動相の種類によって比重が異なるため、移動相の種類によって容器の重量と移動相の収容量との関係を示す検量線が異なってくる。液体クロマトグラフ100では、液体クロマトグラフ100で使用される移動相の種類に応じて、複数の検量線が予め記憶部52に記憶されている。
【0031】
演算部53は、容器に収容されている移動相の種類に対応する検量線を記憶部52から読み出し、読み出した検量線に基づいて計測部51で計測した計測値から移動相の収容量を算出する。移動相の種類の指定は、たとえば、分析者が容器をセットした際に、後述するPC3に接続される入力機器31で行なうことができる。記憶部52に指定する移動相の種類に対応する検量線がなければ、新たに検量線を求めて記憶部52に記憶させる必要がある。液体クロマトグラフ100は、算出した移動相の収容量を分析者に報知することができる。これによると、分析者による移動相の収容量の把握が容易になる。よって、本実施の形態では、移動相の収容量はディスプレイ32および/またはディスプレイ29に表示されるものとする。
【0032】
液量計5を含む液体クロマトグラフの設定または変更は、後述するPC3に接続されるディスプレイ32に設定用画面を表示し、その設定用画面上で行なうことが可能に構成できる。また、当該液量計5を含む液体クロマトグラフの設定または変更は、後述する制御部28のディスプレイ29に設定用画面を表示し、その設定用画面上で行なうようにしてもよい。
【0033】
制御部28は典型的にはコンピュータであり、専用のコンピュータまたは汎用のパーソナルコンピュータにより実現することができる。専用のコンピュータの例はシステムコントローラである。システムコントローラとして実現した場合には、液体クロマトグラフ100をネットワークを介して外部のパーソナルコンピュータ(PC)3に接続することができる。PC3は少なくとも一台の液体クロマトグラフ100と通信接続され、少なくとも一台の液体クロマトグラフ100を統括制御する。PC3は例えば、汎用のPCである。PC3には、液体クロマトグラフ100に限定されず、ネットワークを介してこの液体クロマトグラフ100を含む複数の分析装置またはその他の装置に接続することができる。
【0034】
図2は、制御部28およびPC3の構成を概略的に示す図である。
(制御部28の説明)
制御部28は、CPU23と、メモリ24と、表示コントローラ25と、通信インターフェイス(以下、通信I/Fとも称する)30とを備える。制御部28は、メモリ24に格納されるプログラムに従って動作するように構成される。メモリ24は、図示しないROM、RAMおよびHDDを含む。制御部28の各機器は、共通のシステムバスにより接続されており、当該システムバスを介して互いに信号の授受が可能に構成されている。
【0035】
制御部28は、メモリ24に格納されるプログラムに従って動作するように構成される。メモリ24は、図示しないROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびHDD(Hard Disk Drive)を含む。
【0036】
ROMは、CPU23にて実行されるプログラムを格納することができる。プログラムには、液体クロマトグラフ100の制御、および液体クロマトグラフ100により得られたデータの演算処理に関するプログラムが含まれる。RAMは、CPU23におけるプログラムの実行中に利用されるデータを一時的に格納するとともに、作業領域として利用される一時的なデータメモリとして機能することができる。HDDは、不揮発性の記憶装置であり、PC3、各ユニットおよび各バルブから受信したデータおよび演算処理したデータ等を格納することができる。HDDに加えて、あるいは、HDDに代えて、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を採用してもよい。
【0037】
CPU23は、メモリ24のROMに格納されているプログラムをRAM等に展開して実行する。CPU23は「演算部」の一実施例に対応する。
【0038】
表示コントローラ25は、ディスプレイ29と有線または無線で接続される。表示コントローラ25は、CPU23からの指令に従って、表示内容を示す信号をディスプレイ29に出力する。ディスプレイ29がタッチパネルを備える場合、表示コントローラ25はディスプレイ29から、分析者のタッチ操作を示す信号を受信する。ディスプレイ29は、液体クロマトグラフ100の制御に関する情報、および、液体クロマトグラフ100による分析の結果等を分析者に提供する。
【0039】
通信I/F30は、PC3の通信I/F37、および、各ユニットおよびバルブの各々の通信I/Fに接続される。通信I/F30は、制御部28がPC3、各ユニットおよびバルブの各々と通信するためのインターフェイスであり、PC3、各ユニットおよびバルブとの間で各種信号の授受を行なう。
【0040】
(PC3の説明)
図2を参照して、PC3は、CPU33と、メモリ34と、入力I/F35と、表示コントローラ36と、通信I/F37とを備える。PC3の各機器は、共通のシステムバスにより接続されており、当該システムバスを介して互いに信号の授受が可能に構成されている。
【0041】
PC3は、メモリ34に格納されるプログラムに従って動作するように構成される。メモリ34は、図示しないROM、RAMおよびHDDを含む。
【0042】
ROMは、CPU33にて実行されるプログラムを格納することができる。プログラムには、後述する液体クロマトグラフ100の各部の接続の設定、分析条件の設定等、分析者による設定の受付に関するプログラムが含まれる。RAMは、CPU33におけるプログラムの実行中に利用されるデータを一時的に格納するとともに、作業領域として利用される一時的なデータメモリとして機能することができる。HDDは、不揮発性の記憶装置であり、制御部28から受信したデータおよび演算処理したデータ等を格納することができる。HDDに加えて、あるいは、HDDに代えて、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を採用してもよい。
【0043】
CPU33は、メモリ34のROMに格納されているプログラムをRAM等に展開して実行する。
【0044】
入力I/F35は、入力機器31に有線または無線で接続される。入力I/F35は、PC3が入力機器31と通信するためのインターフェイスであり、入力機器31から各種信号を受信する。
【0045】
入力機器31は、PC3から液体クロマトグラフ100を遠隔で操作するための操作機器であり、たとえばキーボード、マウス等のポインティングデバイスである。典型的には、ディスプレイ32に表示される操作画面上のボタンを入力機器31を用いて選択することで、PC3に対して各種指令を入力することができる。後述するディスプレイ32がタッチパネルである場合、ディスプレイ32と入力機器31とは一体化されている。入力機器31は、後述する液体クロマトグラフ100の各部の接続の設定、分析条件の設定等、分析者による設定の入力が可能なように構成される。
【0046】
表示コントローラ36は、ディスプレイ32と有線または無線で接続される。表示コントローラ36は、CPU33からの指令に従って、表示内容を示す信号をディスプレイ32に出力する。ディスプレイ32がタッチパネルである場合、入力I/F35はタッチパネルから分析者のタッチ操作を示す信号を受信する。ディスプレイ32は、液体クロマトグラフ100の制御に関する情報、および、液体クロマトグラフ100による分析の結果等を分析者に提供する。
【0047】
通信I/F37は、制御部28の通信I/F30に接続される。通信I/F37は、PC3が制御部28と通信するためのインターフェイスであり、制御部28との間で各種信号を入出力する。
【0048】
(バッチテーブルの説明)
このように制御される液体クロマトグラフ100においては、分析者は、複数の分析について、その実行順序と、各分析の分析条件とを記述したバッチテーブルを予め作成し、PC3に登録する。PC3はバッチテーブルを制御部28に送信する。制御部28は、バッチテーブルに従って各ユニットを制御することにより、複数の試料の分析を連続的に行なう。このように、複数の試料の一括した分析をバッチ分析と称する。
【0049】
図3は、バッチテーブルの一例を示す図である。バッチテーブルとは、換言すると、バッチ分析の対象となる複数の試料の各々の分析に関する情報を一覧に表した図である。バッチテーブルは例えばディスプレイ32に表示され、分析者が各分析の実行順序および分析条件を入力機器31を用いて設定できるように構成される。当該バッチテーブルの内容はPC3から制御部28に送信され、制御部28がバルブおよび各ユニットを当該バッチテーブルの内容に従って制御する。バッチテーブルはディスプレイ29に表示されても良い。このように構成すると、分析者はディスプレイ29においてもバッチテーブルの内容を確認できる。
【0050】
図3を参照して、分析者はバッチ分析の各分析における試料に関する情報として、たとえば、試料が収容されるバイアル番号、試料の名称であるサンプル名、試料のIDであるサンプルID等を設定する。また、分析者は当該分析における分析条件を規定するメソッドファイル(詳しくは後述)を設定する。さらに、分析者は分析結果を格納するデータファイルを設定する。
【0051】
このようなバッチ分析においては、移動相を多量に使用するため、分析途中で移動相が不足する可能性がある。万一バッチ分析の途中で移動相が不足すると、分析を中断せざるを得なくなるため、分析者においては、バッチ分析中に移動相が無くならないか常時監視する必要が生じる。そして、移動相が無くなった場合にすぐに移動相を補充する必要が生じる。
【0052】
よって、本実施の形態に係る液体クロマトグラフ100の制御部28は、分析を開始する前に、後述する容器20とユニットとの接続状態、バッチテーブルおよび各分析のメソッドファイルを基に、各分析に必要な移動相の液量(以下、「必要量」とも称する)を演算するように構成される。さらに、制御部28は、バッチ分析を開始する前に、液量計5から容器毎の移動相の収容量を取得する。さらに、制御部28は、バッチテーブルに指定されている全ての分析を行なう上で移動相の収容量が不足するか否かを確認する。移動相の収容量が不足することが確認される場合、バッチ分析を開始する前に、何番目の分析まで実行可能であるか、および/または、全てのバッチ分析を行なうためにはどの容器にどれだけの移動相を注ぎ足す必要があるかを判断し、判断結果を報知する。よって、分析者は、バッチ分析を開始する前に、必要な移動相を補うことができる。またはバッチテーブルから、優先度の低い分析を削除することができる。これにより、バッチ分析中に移動相が不足する状態を回避できる。よって、分析者においては、分析中における容器内の移動相の監視および移動相の補充の負担を低減できる。すなわち、本実施の形態では、移動相の容器に、分析に使用される移動相の液量が収容されているか否かを容易に確認することが可能な液体クロマトグラフ100を提供することができる。
【0053】
(接続状態の設定の説明)
バッチ分析を行なうために、分析者は、まず、各容器20とポンプ2およびオートサンプラ8との接続状態を設定する。当該接続状態の設定は、例えば、各容器20a~20d、バルブ26a~26d,27およびポンプ2、オートサンプラ8がチューブ等の配管を用いて物理的に接続された後、接続状態を設定する操作画面上で行なわれる。
【0054】
図4は、接続状態の設定を説明する図である。
図4を参照して、操作画面には、各容器20a~20dに接続するユニット名およびそのために使用するバルブとポートが表示されている。接続状態の設定の参考として、各容器20a~20dの移動相の収容量も表示されている。
【0055】
図4の例では、容器20aが接続されるユニットとして、ポンプ2aとオートサンプラ8とが選択される。容器20aと当該ユニットとを接続するために使用されるバルブおよびそのポートも設定されている。たとえば、容器20aとポンプ2aとの接続は、バルブ26aのポート1を用いた接続が設定されている。このようにして分析者は、容器、バルブおよびユニット間の物理的な接続関係に基づいて、接続状態を設定する。このように設定された接続状態は、典型的にはバッチ分析の一連の分析で共通して使われることが多いので、当該接続状態の設定は、通常バッチ分析開始前に一度行なわれる。このようにして、接続状態の設定が行なわれた後、分析者はバッチ分析の各分析のメソッドファイルを設定する。
【0056】
(メソッドファイルの設定の説明)
図5は、メソッドファイルにおける各ユニットの設定を説明する図である。メソッドファイルは、分析時の各ユニットの動作条件である分析条件を設定するためのデータファイルである。
図5に示したメソッドファイルの内容は例えば、ディスプレイ32に表示され、分析者が入力機器31を用いて設定できる。設定されたメソッドファイルは、メモリ34に記憶されると共に、制御部28に送信される。制御部28は受信したメソッドファイルを基に、各ユニットおよびバルブ26,27を制御する。
【0057】
分析条件には、ユニット毎に分析に使用/不使用の設定が含まれる。
図5の例では、ポンプ2およびオートサンプラ8が「使用」に設定されている。ここで、制御部28に他のユニット(たとえば、2台目のオートサンプラ)が接続されており、当該ユニットが分析に使用されない場合には、当該他のユニットは「不使用」に設定される。
【0058】
また、他の分析条件の例として、メソッドファイルにおいて、各ユニットの設定条件を設定することも可能である。たとえば、
図5の例では、ポンプ2aの流量および運転時間、オートサンプラ8の洗浄およびオートーパージの流量、時間、回数が設定されている。
【0059】
図6は、メソッドファイルにおける各バルブの設定を説明する図である。
図6に示したメソッドファイルの内容は例えばディスプレイ32に表示される。分析者は、入力機器31を用いてメソッドファイルの内容を設定できる。
【0060】
メソッドファイルは、各バルブの分析条件を設定するために用いられる。分析条件には、バルブ毎に、分析に使用/不使用の設定および各バルブの設定条件が含まれる。
図6の例では、バルブ26aおよびバルブ27が「使用」に設定されている。また、
図6の例では各容器20a~20dからバルブ26aに供給される移動相の割合、および、各ポンプ2a~2dからバルブ27に供給される移動相の割合が設定されている。
【0061】
各バルブ26において、容器20a~20dから供給される移動相の割合は、分析中固定でもよいし(ブレンドモード)、分析中に変更するように設定してもよい(グラジエントモード)。例えば、バルブ26aにおいて、容器20aからの移動相の割合を運転開始時は20%、終了時は30%とし、その間の割合を段階的に変化するように設定しても良い。このとき、他の容器20からの移動相の割合が、運転中に10%減少するように構成される。このように構成すると、たとえば容器20aと当該他の容器との間で移動相の種類が異なる場合(例えば純水とエタノール)、分析中に、移動相がカラム10を通過する速度を変化させることができる。同様にして、バルブ27において、各ポンプ2a~2dから供給される移動相の割合を分析中に変更するように設定しても良い。
【0062】
図5~
図6に例示されるメソッドファイルの内容は例えば、ディスプレイ29に表示されるように構成してもよい。こうすれば分析者はディスプレイ29においてもメソッドファイルの内容を確認できる。
【0063】
(移動相の使用量の計算)
上記のように、メソッドファイルが設定されると、PC3は当該メソッドファイルを制御部28に送信する。制御部28は、メソッドファイルに基づいて、バッチ分析の各分析に必要な移動相の液量(必要量)を計算し、分析毎に算出される必要量を加算することにより、バッチ分析全体における移動相の必要量を計算する。
【0064】
図7は、各ユニットの移動相の必要量の計算式を説明する図表である。本実施の形態では、制御部28は、メソッドファイルに入力された分析条件を基に、ポンプ2a~2cおよびオートサンプラ8の移動相の必要量M1a~M1cおよびM1dを演算する。具体的には、ポンプ2aの移動相の必要量M1aは、ポンプ2aの単位時間あたりの流量およびポンプ2aの運転時間の積で表される。ポンプ2b,2cの移動相の必要量M1b,M1cも同様に演算できる。
【0065】
オートサンプラ8の移動相の必要量M1dは、単位時間あたりの洗浄流量、洗浄時間および洗浄回数の積と、オートパージ流量およびオートパージ時間の積との和として計算できる。
【0066】
図8は、ポンプ2aで必要とされる各容器の移動相の割合の定義を説明する図表である。本実施の形態では、ポンプ2aにおける容器20b~20dの移動相の割合をそれぞれRa~Rdと定義する。ポンプ2aにはバルブ27から容器20b~20dの移動相の混合液が送液されるので、割合Ra~Rdはメソッドファイルに入力されたバルブ27における容器20b~20dの移動相の混合比率に相当する。
【0067】
図9は、各容器の移動相の必要量の計算式を説明する図表である。液体クロマトグラフ100は、
図4に示した接続状態、
図7に示した各ユニットの移動相の必要量M1a~M1dおよび
図8に示した割合Ra~Rdを基に、各容器20a~20dにおける移動相の必要量を演算する。
【0068】
例えば、
図1を参照して、容器20aの移動相は、ポンプ2aおよびオートサンプラ8に送られる。ポンプ2aにおける容器20aの移動相の必要量は、上述のように、ポンプ2aの全体の移動相の必要量M1aと割合Raとの積で表される。一方、オートサンプラ8の移動相の必要量はM1dである。従って、容器20aの移動相の必要量M2aは、M1a×RaとM1dとの和で表される。同様にして、容器20b~20dにおける移動相の必要量M2b~M2dは、
図4に示した接続状態、
図7に示した各ユニットの移動相の必要量M1a~M1dおよび
図8に示した割合Ra~Rdを基に、
図9に示したような計算式で演算できる。
【0069】
以上のように、メソッドファイルに基づいて、制御部28は、複数のポンプ2およびオートサンプラ8の各々で必要な移動相の液量、および、複数のポンプ2およびオートサンプラ8の各々における各容器から供給される移動相の占める割合に基づいて、各容器について分析に必要な移動相の液量を演算できるように構成される。
【0070】
次に、バッチ分析全体における各容器20a~20dの移動相の必要量の計算方法を説明する。全体でm回の分析を含むバッチ分析において、n回目(1≦n≦m)の分析における容器20aの移動相の必要量を、M2a(n)と表すとする。m回の分析を全て実行するための容器20aの移動相の必要量をM3aと表すとすると、M3aは以下の(1)式で表される。なお、n,mは自然数である。
【0071】
M3a=M2a(1)+M2a(2)+・・・+M2a(m) (1)
よって、容器20aの移動相の収容量をM4aとすると、容器20aの移動相の収容量M4aがバッチ分析の全ての分析を実行する上で充分であるためには、下記の(2)式で表される関係を満たすことが必要である。
【0072】
M4a≧M3a (2)
言い換えれば、上記(2)式が成り立たない場合、容器20aの移動相の収容量は、バッチ分析のm回の分析を全て行なうには不足していることになる。このような場合、制御部28は、当該容器20aの移動相の収容量で、何回目の分析までが実行可能かを演算する。
【0073】
具体的には、制御部28は、下記の(3)式を満たす最大の自然数pを演算する。
M4a≧M2a(1)+M2a(2)+・・・+M2a(p) (3)
(3)式により得られたpは、実行が可能な分析の回数を示す。
【0074】
また、制御部28は、容器20aにどれだけ移動相を補充すれば、バッチ分析の全ての分析を実行できるようになるかを演算する。バッチ分析の全ての分析を実行するために不足している容器20aの移動相の液量(以下、「不足量」とも称する)M5aは、以下の(4)式で表される。
【0075】
M5a=M3a-M4a (4)
このようにして、制御部28は、容器20aと複数のポンプ2およびオートサンプラ8との接続状態と、複数のポンプ2およびオートサンプラ8の各々にて分析に必要な移動相の液量と、複数のポンプ2およびオートサンプラ8の各々における容器20aの移動相の割合とに基づいて、容器20aにおける移動相の必要量を演算する。そして制御部28は、容器20aにおける移動相の必要量と容器20aの移動相の収容量とを比較することにより、容器20aの移動相の収容量で全ての分析を実行することが可能か否かを判定することができる。また、全ての分析を実行できない場合、制御部28は、何回目の分析まで実行可能か、および、全ての分析を実行するために補充が必要な移動相の液量(すなわち、不足量)を演算できる。容器20b~容器20dの移動相の収容量についても、同様の演算が可能である。
【0076】
制御部28は、容器20a~20dの各々について、実行可能な分析の回数が算出されると、算出された回数のうちの最小値を算出する。制御部28は、当該最小値を容器20a~20d全体での実行可能分析の回数p0に決定する。
【0077】
液体クロマトグラフ100において、制御部28は、容器20a~20dの移動相の収容量で実行可能な分析の回数を報知することが可能に構成される。また、制御部28は、容器20a~20dの各々について、全ての分析を実行するために補充が必要な移動相の液量を報知することが可能となる。
【0078】
図10は、各分析での移動相の必要量の演算結果の一例を示す図である。
図10では、分析1~分析4の4回の分析を含むバッチ分析を例示している。例えば、分析者により移動相の必要量の演算が指令されたときに、ディスプレイ32および/またはディスプレイ29に表示する。
【0079】
図10を参照して、容器20a~容器20dの移動相の収容量M4は、液量計5で測定された値が表示される。各分析における各容器20a~20dの移動相の必要量M2は、
図9に示した計算式の各変数に、各分析に対応するメソッドファイルの設定条件を代入することで求められる。全ての分析における移動相の必要量である全分析の必要量M3は各分析における移動相の必要量M2の総和である。全分析を行なう場合の移動相の不足量M5は収容量M4と全分析の必要量M3を比較することで求められる。実行可能な分析回数pは、収容量M4と各分析の必要量M2を比較することで求められる。なお、メソッドファイルは、「バッチ分析における各試料の分析条件を指定したデータ」に対応する。
【0080】
このように構成することによって、分析者はM2、M3、M5、p等の数値を分析開始前に確認し、容器20に不足する移動相を事前に補充することができる。また、分析者は移動相が不足する場合に、優先度が低い分析をバッチテーブルから除く(すなわち分析をとりやめる)等の対策も講じることができる。よって、分析者においては、分析中に移動相の収容量の監視および移動相の補充が不要になるという利点がある。
【0081】
図11は、容器の移動相の収容量が、バッチ分析における移動相の必要量に足りなかった場合の警告の一例を示す図である。より詳細には、
図11の警告は、例えば、分析者によりバッチ分析開始が指令されたときに、各容器20a~20dの移動相の収容量が、移動相の必要量に足りない場合に、ディスプレイ29および/またはディスプレイ32に表示される。ディスプレイ29は「通知部」の一実施例に対応する。
【0082】
図11の例では、制御部28は、容器の移動相の収容量がバッチ分析の全ての分析を行なうための移動相の必要量に不足する場合、その旨を警告する。さらに、制御部28は、バッチ分析における実行可能な分析の回数p0、すなわち、バッチテーブルの何番目の分析までが実行できるかを報知する。また、制御部28は、バッチテーブルの全ての分析を行なうために移動相が不足する容器における、移動相の不足量(すなわち補充が必要な移動相の液量)を報知する。好ましくは、制御部28は当該警告と共に
図10の表を表示する。これにより、分析者に対して、移動相の補充、優先度が低い分析の中止等の対策をとるための判断材料を提供できる。なお、警告および報知の内容は、
図11の例に限定されず、容器の移動相の収容量が全ての分析を行なうための移動相の必要量に不足すること、または、当該不足によりバッチ分析の全ての分析が実行不可能であることに関連する内容を含めば良い。
【0083】
さらに、制御部28は、ディスプレイ29および/または当該警告と共に
図10の表を表示する際に、
図10の表を計算するように構成してもよい。このように構成すると、確実に分析開始時の設定に基づく結果が表示されるので好ましい。
【0084】
図12は、容器の移動相の必要量の演算が指令された場合の処理の一例を示すフローチャートである。
図12のフローチャートは容器の移動相の必要量の演算が指令された場合に、制御部28のCPU23により実行される。
【0085】
図12を参照して、ステップS01において、CPU23は、容器の移動相の必要量の演算の指令を受信したか否かを判定する。容器の移動相の必要量の演算の指令を受信していない場合(ステップS01においてNO)、CPU23は、ステップS01を繰り返す。
【0086】
容器の移動相の必要量の演算の指令を受信した場合(ステップS01においてYES)、ステップS02において、CPU23は、各容器20a~20d、バルブ26a~26d,27および各ユニット等の接続状態の設定をPC3から受信する。次に、ステップS03において、CPU23は、バッチテーブルをPC3から受信する。ステップS04において、CPU23は、バッチテーブルの各分析における各容器の移動相の必要量M2および全ての分析の各容器の必要量M3を演算する。
【0087】
ステップS05において、CPU23は、各容器の移動相の収容量M4を液量計5から受信する。ステップS06において、CPU23は、各容器の移動相の収容量M4で、実行可能な分析回数pおよびその最小値p0を演算する。ステップS07において、CPU23は、バッチテーブルの全ての分析を実行するためには、どの容器にどれだけ移動相を補充すれば良いかを演算する。すなわち、全ての分析を実行する上での各容器の移動相の不足量M5を演算する。
【0088】
ステップS08において、CPU23は、上記ステップS04~S07で演算または受信した、各分析の各容器の移動相の必要量M2、全ての分析の各容器の必要量M3、各容器の移動相の収容量M4、各容器の移動相の収容量M4で実行可能な分析回数pおよびその最小値p0、ならびに、全ての分析を実行する為に必要な各容器の移動相の不足量M5をディスプレイ29および/またはディスプレイ32により報知する。
【0089】
図13は、分析開始が指令された場合の処理の一例を示すフローチャートである。
図13のフローチャートは分析開始が指令された場合に、制御部28のCPU23により実行される。本実施の形態に係る液体クロマトグラフ100では、分析開始が指令された場合、容器の移動相の必要量が再計算され、当該計算結果に基づいて分析が開始されるか否かが決定されるように構成される。
【0090】
図13を参照して、ステップS21において、CPU23は、分析開始の指令を受信したか否かを判定する。分析開始の指令を受信していない場合(ステップS21においてNO)、CPU23は、ステップS21を繰り返す。
【0091】
容器の移動相の必要量の演算の指令を受信した場合(ステップS21においてYES)、ステップS22において、CPU23は、各容器20a~20d、バルブ26a~26d,27および各ユニット等の接続状態の設定をPC3から受信する。次に、ステップS23において、CPU23は、バッチテーブルをPC3から受信する。ステップS24において、CPU23は、バッチテーブルの各分析における各容器の移動相の必要量M3および全ての分析における各容器の必要量M3を演算する。ステップS25において、CPU23は各容器の移動相の収容量M4を液量計5から受信する。
【0092】
ステップS26において、CPU23は、各容器の移動相の収容量M4で、バッチテーブルの全ての分析が実行可能か否かを判定する。各容器の移動相の収容量M4で、バッチテーブルの全ての分析が実行可能な場合(ステップS26においてYES)、ステップS27において、CPU23は、バッチテーブルの全ての分析が実行可能であることをディスプレイ32により報知する。ステップS28において、CPU23は、分析を開始する。具体的には、例えばCPU23は、各ユニットおよびバルブ26a~26d,27に分析の各々に対して動作を制御するための指令を出力する。
【0093】
各容器の移動相の収容量M4で、バッチテーブルの全ての分析が実行不可能な場合(ステップS26においてYES)、ステップS29において、CPU23は、各容器の移動相の収容量M4で、実行可能な分析回数pおよびその最小値p0を演算する。ステップS30において、CPU23は、バッチテーブルの全ての分析を実行するために補充が必要な容器と補充が必要な移動相の液量を演算する。すなわち、全ての分析を実行する上での各容器の移動相の不足量M5を演算する。
【0094】
ステップS31において、CPU23は、容器の移動相の収容量がバッチ分析の全ての分析を行なうための移動相の必要量に不足する旨を警告する。また、CPU23は、上記ステップで演算した、全ての容器の移動相の収容量を鑑みて演算された実行可能な分析回数p0および全ての分析を実行する上で各容器の移動相の不足量M5をディスプレイ29および/またはディスプレイ32により報知させる。また、CPU23は、各分析における各容器の移動相の必要量M2、全ての分析における各容器の必要量M3、各容器の移動相の収容量M4、各容器の移動相の収容量M4で実行可能な分析回数p(すなわち
図10に表した表の内容)もディスプレイ29および/またはディスプレイ32により報知させる。これにより、分析者に各容器への移動相の補充、バッチテーブルの分析の削除等の対策を促すことができる。
【0095】
ステップS32において、CPU23は、分析者が容器に移動相を補充した等の理由により、各容器の移動相の収容量M4が変化したか否かを判定する。各容器の移動相の収容量M4が変化した場合(ステップS32においてYES)、CPU23は、ステップS26に処理を戻し、変化した各容器の移動相の収容量M4で全ての分析が実行可能かを判定する。
【0096】
各容器の移動相の収容量M4が変化しない場合(ステップS32においてNO)、ステップS13において、CPU23は、所定の分析における移動相の必要量M2の変更、または、優先度の低い分析の削除等の理由で、バッチテーブルおよびバッチテーブルで指定されたメソッドファイルが変更されたか否かを判定する。バッチテーブルおよびメソッドファイルが変更された場合(ステップS33においてYES)、CPU23は、ステップS24に処理を戻す。
【0097】
バッチテーブルおよびメソッドファイルが変更されていない場合(ステップS33においてNO)、ステップS34により、CPU23は、分析者からバッチ分析中止の指令を受信したか否かを判定する。分析者からバッチ分析中止の指令を受信した場合(ステップS34においてYES)、CPU23は処理を終了する。分析者からバッチ分析中止の指令を受信しない場合(ステップS34においてNO)、CPU23はステップS32に処理を戻す。
【0098】
以上のような処理に従って制御を行なうことによって、本実施の形態に係る液体クロマトグラフ100では、複数の容器から複数のポンプおよびオートサンプラの少なくとも1つに移動相を送るような構成であっても、各容器について、接続状態、バッチテーブルおよびメソッドファイルに基づいて、バッチ分析のための移動相の必要量を演算できる。さらに、液体クロマトグラフ100は、各容器について当該必要量と移動相の収容量とを比較し、収容量が必要量に満たない場合、実行可能な分析回数および移動相の不足量を報知できる。
【0099】
従って、液体クロマトグラフ100では、移動相の容器に、分析に必要な液量の移動相が収容されているか否かを確認することができる。よって、分析者は分析を開始する前に、移動相を補充する、分析の内容を変更する等の手立てを講じることができるので、分析中に移動相が不足し、分析が停止する可能性を低減できる。
【0100】
なお、本実施の形態では、液体クロマトグラフ100のユニットの種類および構成は、
図1の例に限定されず、分析を実行する上で適宜変更されて良い。たとえば、
図1では、ポンプ2が3つ、その他のユニット(オートサンプラ8、カラムオーブン12、検出器14)が各々1つずつ図示されているが、これに限定されない。たとえば、カラムオーブン12が2つ設けられる場合には、1つのカラムオーブン12を分析に使用する間に、もう1つのカラムオーブン12を温めておき次の分析に備えることができる。さらに、
図1に図示していない他の種類のユニットを使うことも可能である。このように複数の種類のユニットの各々について、1つまたは複数のユニットを制御部28に接続しておくことで、状況に応じて適宜使い分けることができるので利便性が高い。
【0101】
特に、送液部4におけるポンプ2の数、バルブの数、および、ポンプ2とバルブの構成は
図1の例に限定されない。例えば、ポンプ2b,2c、オートサンプラ8にそれぞれ接続されるバルブ26b~26dも各々複数の容器20につながる移動相流路に接続され、複数の移動相を混合、または切換えるように構成しても良い。さらに、各バルブの少なくとも1つを、接続されるユニットの一部としてもよい。すなわち例えば、ポンプ2a~2c、オートサンプラ8内に、バルブ26a~26dがそれぞれ含まれる構成としても良い。
【0102】
また上述した制御部28のCPU23による各種演算をPC3のCPU33が行なうように構成してもよい。この場合、制御部28は、液量計5から得られた容器20における移動相の収容量を、PC3に送信するように構成される。
【0103】
このように、液体クロマトグラフ100は、その各ユニット、および/または、送液部4の構成が変化しても、分析者が当該構成に基づいて、各容器20a~20d、バルブ26,27および各ユニット等の接続状態を設定し直せるように構成される。さらに、制御部28は、移動相の収容量M4を受信することができる。さらに、分析者が、当該接続状態、バッチテーブルおよびメソッドファイルの設定を行なうと、制御部28は、移動相の使用量M2、M3、不足量M5および実行可能な分析回数p等を自動で演算し、これらの数値を分析者に報知することができる。よって、本実施の形態に従う液体クロマトグラフ100は、装置構成を変更しても、各容器の移動相の収容量M4でバッチ分析を実行できるか否かを判定し、実行できない場合は、実行可能な分析回数および不足量M5等を分析者に報知することが容易である。
【0104】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0105】
[態様]
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0106】
(第1項)一態様に係る液体クロマトグラフは、
移動相を収容する複数の容器と、
移動相が通流する分析流路と、
前記分析流路に試料を導入するオートサンプラと、
前記分析流路に導入された試料を分離するカラムと、
前記カラムで分離された試料を検出する検出器と、
前記分析流路に移動相を送るための複数のポンプを含み、前記複数の容器のうちの少なくとも2つの容器から、前記複数のポンプおよび前記オートサンプラの少なくとも1つに移動相を送るように構成される送液部と、
前記複数の容器の各々について、試料の分析に必要な移動相の液量を演算する演算部と、
前記複数の容器の少なくとも1つの容器において、収容されている移動相の液量が試料の分析に必要な移動相の液量より少ない場合、警告を出力するように構成される通知部とを備えてよい。
【0107】
第1項に記載の液体クロマトグラフによれば、移動相の容器に、分析に必要な移動相の液量が収容されているか否かを確認することが可能である。
【0108】
(第2項)第1項に記載の液体クロマトグラフにおいて、前記送液部は、前記複数の容器のうちの1つの容器から、前記複数のポンプおよび前記オートサンプラのうちの少なくとも2つに移動相を送るように構成され、
前記演算部は、各前記複数の容器と前記複数のポンプおよび前記オートサンプラとの接続状態と、前記複数のポンプおよび前記オートサンプラの各々にて分析に必要な移動相の液量とに基づいて、前記複数の容器の各々について試料の分析に必要な移動相の液量を演算してよい。
【0109】
第2項に記載の液体クロマトグラフによれば、複数の容器のうちの1つの容器から、複数のポンプおよびオートサンプラのうちの少なくとも2つに移動相を送るように構成されている液体クロマトグラフにおいても、分析に必要な液量の移動相が収容されているか否かを確認することが可能である。
【0110】
(第3項)第1項または第2項に記載の液体クロマトグラフにおいて、各前記複数の容器に収容されている移動相の液量を計測する計量部をさらに備え、
前記通知部は、前記複数の容器のうちの少なくとも1つの容器において、前記計量部による移動相の液量の計測値が試料の分析に必要な移動相の液量より少ない場合、警告を出力するように構成してよい。
【0111】
第3項に記載の液体クロマトグラフによれば、複数の容器に収容される移動相の液量を正確に把握することができ、また、当該正確な移動相の液量に基づいて、分析に必要な液量が収容されているか否かを判定できる。
【0112】
(第4項)第3項に記載の液体クロマトグラフにおいて、前記演算部は、前記少なくとも1つの容器について、試料の分析に必要な移動相の液量に対する移動相の不足量を演算し、前記通知部は、移動相の不足量を通知してよい。
【0113】
第4項に記載の液体クロマトグラフによれば、試料の分析に必要な移動相が不足するとき、分析者は容易に移動相の不足量を知ることができる。
【0114】
(第5項)第1項~第4項のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフにおいて、成され、
前記演算部は、前記バッチ分析における各試料の分析条件を指定したデータに基づいて、前記複数の容器の各々について、前記バッチ分析に必要な移動相の液量を演算し、
前記通知部は、前記複数の容器のうちの少なくとも1つの容器において、収容されている移動相の液量が前記バッチ分析に必要な移動相の液量より少ない場合、警告を出力してよい。
【0115】
第5項に記載の液体クロマトグラフによれば、バッチ分析において、分析者は、収容されている移動相の液量が前記バッチ分析に必要な移動相の液量より少ない場合、当該事実を容易に知ることができる。
【0116】
(第6項)第1項~第5項のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフにおいて、前記演算部は、前記複数の容器の各々に収容されている移動相の液量に基づいて、前記バッチ分析で実行可能な分析を特定し、
前記通知部は、前記算出された実行可能な分析を通知してよい。
【0117】
第6項に記載の液体クロマトグラフによれば、分析者は、複数の容器の各々に収容されている移動相の液量に基づいて、バッチ分析で実行可能な分析を容易に知ることができる。
【0118】
(第7項)第1項~第6項のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフにおいて、前記演算部は、前記分析において、前記複数のポンプおよび前記オートサンプラの各々で必要な移動相の液量、および、前記複数のポンプおよび前記オートサンプラの各々で必要な移動相の液量のうち各前記複数の容器から供給される移動相の占める割合に基づいて、各前記複数の容器について前記分析に必要な移動相の液量を演算してよい。
【0119】
第7項に記載の液体クロマトグラフによれば、分析者は、ポンプおよび前記オートサンプラの条件に基づいて自動で計算された、複数の容器について分析に必要な移動相の液量を把握できる。
【0120】
(第8項)第1項~第7項のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフにおいて、前記送液部は、前記複数の容器と前記複数のポンプおよび前記オートサンプラとの間に配置され、複数の試料のうちの少なくとも2つの容器の移動相を混合して前記複数のポンプおよび前記オートサンプラのうちの少なくとも1つに送るように構成される流路切換用のバルブを含み、前記バルブにおける移動相の混合比は変更可能に構成され、
前記演算部は、各前記複数の容器と前記複数のポンプおよび前記オートサンプラとの接続状態、前記複数のポンプおよび前記オートサンプラの各々にて必要な移動相の液量、および前記バルブにおける移動相の混合比率に基づいて、前記複数の容器の各々について試料の分析に必要な移動相の液量を演算してよい。
【0121】
第8項に記載の液体クロマトグラフによれば、分析者は、流路切換用のバルブの条件に基づいて自動で計算された、複数の容器について分析に必要な移動相の液量を把握できる。
【符号の説明】
【0122】
2,2a~2d ポンプ、3 パーソナルコンピュータ(PC)、4,4b,4c 送液部、5 液量計、6 分析流路、8 オートサンプラ、10 カラム、12 カラムオーブン、14 検出器、20,20a~20d 容器、21a~21d ロードセル、22 ボトルホルダ、24,34 メモリ、26,26a~26h,27 バルブ、28 制御部、29,32 ディスプレイ、31 入力機器、36,25 表示コントローラ、51 計測部、52 記憶部、53 演算部、100 液体クロマトグラフ、35 入力インターフェイス(入力I/F)、30,37 通信インターフェイス(通信I/F)。