IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社村田製作所の特許一覧

<>
  • 特許-有機物分解用触媒および有機物分解装置 図1
  • 特許-有機物分解用触媒および有機物分解装置 図2
  • 特許-有機物分解用触媒および有機物分解装置 図3
  • 特許-有機物分解用触媒および有機物分解装置 図4
  • 特許-有機物分解用触媒および有機物分解装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】有機物分解用触媒および有機物分解装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/889 20060101AFI20221213BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20221213BHJP
   C01G 51/00 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B01J23/889 M ZAB
B01D53/86 150
B01D53/86 280
C01G51/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021527403
(86)(22)【出願日】2020-04-13
(86)【国際出願番号】 JP2020016244
(87)【国際公開番号】W WO2020261715
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2021-11-05
(31)【優先権主張番号】P 2019118862
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092071
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 均
(74)【代理人】
【識別番号】100130638
【弁理士】
【氏名又は名称】野末 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】菅原 成雄
(72)【発明者】
【氏名】石原 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】竹内 昭広
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀人
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-117395(JP,A)
【文献】特許第6303834(JP,B2)
【文献】GALLUCCI, Katia, et al.,Catalytic combustion of methane on BaZr(1-x)MexO3 perovskites synthesised by a modified citrate method,Catalysis Today,2012年,vol.197,pp.236-242
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
B01D 53/86-53/90,53/94-53/96
C01G 51/00
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物を分解するために用いられる有機物分解用触媒であって、
一般式Axyzwで表されるペロブスカイト型複合酸化物を含み、Aは、Baを含み、Bは、Zrを含み、Mは、MnおよびCoであり、
MnとCoの組成比をMn:Co=z1:z2とすると、前記x、前記y、前記z、前記z1、および、前記z2は、
z=z1+z2、
y+z=1.000、
0.100≦z1+z2≦0.200、
0.00<z1/(z1+z2)<0.75
の関係を満たし、
前記wは、電気的中性を満足する正の値であり、
前記有機物分解用触媒の比表面積は、7.2m 2 /g以上であり、かつ、X線回折測定における前記有機物分解用触媒の(222)面のピーク強度の積分幅は、0.622°以上であることを特徴とする有機物分解用触媒。
【請求項2】
前記比表面積は、12.1m 2 /g以下であり、かつ、前記積分幅は、1.003°以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機物分解用触媒。
【請求項3】
前記x、前記y、および、前記zは、
1.000≦x/(y+z)≦1.050
の関係を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の有機物分解用触媒。
【請求項4】
前記z1および前記z2は、
0.25≦z1/(z1+z2)≦0.50
の関係を満たすことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の有機物分解用触媒。
【請求項5】
請求項1~のいずれかに記載の有機物分解用触媒を備えることを特徴とする有機物分解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物を分解するために用いられる有機物分解用触媒、および、有機物分解用触媒を備えた有機物分解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機物を分解するために用いられる有機物分解用触媒が知られている。
【0003】
特許文献1には、一般式ABO3で表され、AサイトがBaを含み、BサイトがZrを含み、かつ、Zrの一部がMn、Co、およびNiの少なくとも1種により置換されたペロブスカイト型複合酸化物を含む有機物分解用触媒が記載されている。この有機物分解用触媒は、高価な貴金属を用いておらず、高活性で耐熱性に優れているとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6303834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の有機物分解用触媒は高活性であるが、活性をさらに向上させるためにはまだ改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、活性をさらに向上させた有機物分解用触媒、および、そのような有機物分解用触媒を備えた有機物分解装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の有機物分解用触媒は、
有機物を分解するために用いられる有機物分解用触媒であって、
一般式Axyzwで表されるペロブスカイト型複合酸化物を含み、Aは、Baを含み、Bは、Zrを含み、Mは、MnおよびCoであり、
MnとCoの組成比をMn:Co=z1:z2とすると、前記x、前記y、前記z、前記z1、および、前記z2は、
z=z1+z2、
y+z=1.000、
0.100≦z1+z2≦0.200、
0.00<z1/(z1+z2)<0.75
の関係を満たし、
前記wは、電気的中性を満足する正の値であり、
前記有機物分解用触媒の比表面積は、7.2m 2 /g以上であり、かつ、X線回折測定における前記有機物分解用触媒の(222)面のピーク強度の積分幅は、0.622°以上であることを特徴とする。
【0008】
前記比表面積は、12.1m 2 /g以下であり、かつ、前記積分幅は、1.003°以下であってもよい。
前記x、前記y、および、前記zは、
1.000≦x/(y+z)≦1.050、
の関係を満たしていてもよい。
【0009】
前記z1および前記z2は、
0.25≦z1/(z1+z2)≦0.50
の関係を満たしていてもよい。
【0010】
本発明の有機物分解装置は、上述した有機物分解用触媒を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の有機物分解用触媒によれば、活性をさらに向上させることができる。
【0012】
また、本発明の有機物分解装置は、活性をさらに向上させることができる有機物分解用触媒を備えているので、より高い分解率で有機物を分解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】有機物分解用触媒の有機物分解性能を評価するための試験に用いた試験装置の概略構成を示す図である。
図2】試料番号1~7の有機物分解用触媒に含まれるMnの量と、比表面積および積分幅との関係を示す図である。
図3】zを0.1、0.2、および0.3とした3種類の有機物分解用触媒のX線回折測定により得られるX線回折パターンを示す図である。
図4】z=0.1およびz=0.2である有機物分解用触媒のz1とトルエン分解率との関係を示す図である。
図5】焼成温度が1100℃と1000℃の2種類の有機物分解用触媒のz1とトルエン分解率との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴を具体的に説明する。
【0015】
本発明による有機物分解用触媒は、有機物を分解するために用いられる有機物分解用触媒であって、一般式Axyzwで表されるペロブスカイト型複合酸化物を含み、Aは、Baを含み、Bは、Zrを含み、Mは、MnおよびCoであり、MnとCoの組成比をMn:Co=z1:z2とすると、x、y、z、z1、および、z2は、
z=z1+z2、
y+z=1.000、
0.100≦z1+z2≦0.200、
0.00<z1/(z1+z2)<0.75
の関係を満たし、wは、電気的中性を満足する正の値であるという要件(以下、本発明の要件と呼ぶ)を満たす。なお、一般式AxyzwにおけるBとMは、結晶学的に等価な位置を占有するものであり、Ax(Byz)Owと表すことができる。
【0016】
本発明の要件を満たす有機物分解用触媒は、後述するように、従来の有機物分解用触媒と比べて高活性で、有機物の分解率をさらに向上させることができる。この有機物分解用触媒は、工場や自動車からの排ガスの浄化など、有機物を分解するための種々の用途に用いることができる。その場合、本発明の要件を満たす有機物分解用触媒を備えた有機物分解装置として構成することができる。
(実施例)
【0017】
高純度のBaCO3、ZrO2、MnCO3、および、Co34の粉末を、表1の組成となるように秤量し、純水を加えて、ZrO2製の玉石とともに湿式混合し、スラリーを得た。このスラリーを乾燥機にて120℃で乾燥させた後、得られた生混粉を1100℃~1150℃の所定温度で2時間、熱処理を行うことにより、目的のペロブスカイト型複合酸化物を得た。
【0018】
続いて、ペロブスカイト型複合酸化物に、有機バインダおよび純水を加え、ZrO2製の玉石とともに湿式混合し、スラリーを得た。このスラリーを乾燥機にて120℃で乾燥させ、粉砕して粉末状とした後、直径8.5mm、厚さ8mmの円柱状のペレットとなるように、プレス成型機で成形した。得られた成形体を1000℃~1100℃の所定温度で2時間、焼成した後、焼成物を乳鉢で粉砕、分級することによって、表1の試料番号1~26の有機物分解用触媒を得た。この有機物分解用触媒はいずれも、直径が0.5mm~0.6mmの粒子状の形状を有する。
【0019】
【表1】
【0020】
表1において、試料番号に*が付されていない試料は、上述した本発明の要件を満たす試料である。一方、試料番号に*が付されている試料は、上述した本発明の要件を満たしていない試料である。
【0021】
ここで、表1の試料番号5の有機物分解用触媒を乳鉢で細かく粉砕し、得られた粉末に対して蛍光X線分析(XRF分析)による組成分析を行った。ここでは、ファンダメンタルパラメータ法を用いて定量分析を行った。定量分析では、試料番号5の有機物分解用触媒を作製するためにペロブスカイト型複合酸化物を作製する上記工程において得られる粉、すなわち、スラリーを乾燥機で乾燥させることによって得られる粉を標準試料として用いた。組成分析結果を表2に示す。
【表2】
【0022】
表2より、所望の組成を有する有機物分解用触媒が得られていることが分かる。
【0023】
<活性評価方法>
(1)試験装置
図1は、有機物分解用触媒の有機物分解性能を評価するための試験に用いた試験装置10の概略構成を示す図である。この試験装置10は、有機物が流通する反応管11と、反応管11を流通する有機物を加熱するための加熱部12と、加熱部12を制御する制御部13とを備える。
【0024】
反応管11の内部の中央部であって、加熱部12によって加熱される領域には、上述した方法により作製された試料(有機物分解用触媒)が配置される。制御部13は、加熱部12によって加熱される領域の温度が制御可能なように構成されている。
【0025】
反応管11の上流側には、ガス供給管14が接続されている。ガス供給管14には、トルエン(有機物)を供給するためのトルエン供給ライン16と、窒素(N2)を供給するための窒素供給ライン17と、酸素(O2)を供給するための酸素供給ライン18が接続されている。すなわち、反応管11には、ガス供給管14を介して、トルエン、窒素、および酸素を含む被処理ガスが供給される。
【0026】
反応管11の下流側には、有機物が分解された後の処理済みガスを系外に排出するためのガス排出管15が接続されている。ガス排出管15には、処理済みガスをサンプリングするためのサンプリングライン19が接続されており、処理済みガス中のトルエンの濃度をガスクロマトグラフにより分析することができるように構成されている。
【0027】
(2)試験方法
上述した試験装置10を用いて、トルエンと窒素と酸素とを含む被処理ガスを反応管11に連続的に供給し、トルエンを分解させる試験を行った。被処理ガスの組成は、体積濃度で、トルエン(C78):50ppm、窒素(N2):80%、酸素(O2):20%とし、測定時の空間速度SVは150000/h、触媒温度は300℃とした。
【0028】
サンプリングライン19の出口で処理済みガスをサンプリングし、トルエン濃度をガスクロマトグラフによる分析により定量した。そして、求めたトルエン濃度を用いて次式(1)より、トルエン分解率を求めた。なお、式(1)中の「50」は、処理前の被処理ガスに含まれるトルエンの濃度である。
トルエン分解率(%)=100-100×(トルエン濃度/50) …(1)
【0029】
<比表面積の測定>
株式会社マウンテック製の比表面積測定装置「Macsorb model-1201」を用いて、作製した有機物分解用触媒の比表面積(SSA)を測定した。比表面積の測定に際し、脱気条件は、400℃、20分とした。
【0030】
<X線回折による積分幅の測定>
作製した有機物分解用触媒を乳鉢で細かく粉砕した後、BRUKER社のX線回折装置「D8 ADVANCE」を用いて、X線回折測定を行い、有機物分解用触媒の(222)面のピーク強度の積分幅を測定した。
【0031】
表1のデータを、トルエン分解率の高い方から順に並べ替えたものを表3として示す。
【0032】
【表3】
【0033】
表1および表3では、触媒の組成、z1/(z1+z2)、x/(y+z)、焼成温度、トルエン分解率、比表面積、および、積分幅をそれぞれ示している。なお、積分幅の値が小さいほど、結晶性が良いことを意味する。
【0034】
試料番号1~7の有機物分解用触媒は、焼成温度が1100℃、z(=z1+z2)=0.100で、z1およびz2の値がそれぞれ異なる試料である。試料番号8~12の有機物分解用触媒は、焼成温度が1100℃、z(=z1+z2)=0.200で、z1およびz2の値がそれぞれ異なる試料である。試料番号13~17の有機物分解用触媒は、焼成温度が1000℃、z(=z1+z2)=0.100で、z1およびz2の値がそれぞれ異なる試料である。試料番号18~22の有機物分解用触媒は、焼成温度が1000℃、z(=z1+z2)=0.200で、z1およびz2の値がそれぞれ異なる試料である。
【0035】
試料番号23の有機物分解用触媒は、焼成温度が1000℃で、モル比(x/(y+z))が1.00より小さく、z1が0.000、z2が0.100の試料である。試料番号24および25の有機物分解用触媒は、焼成温度が1100℃で、モル比(x/(y+z))が1より大きく、かつ、1.05以下であり、z1およびz2の値がそれぞれ0.050の試料である。試料番号26の有機物分解用触媒は、焼成温度が1100℃で、モル比(x/(y+z))が1より大きく、z1が0.075、z2が0.025である試料である。
【0036】
表1および表3に示すように、本発明の要件を満たす有機物分解用触媒のトルエン分解率は、99.5%以上となった。これに対して、本発明の要件を満たさない従来の有機物分解用触媒のトルエン分解率は、99.4%以下となった。
【0037】
すなわち、本発明の要件を満たす有機物分解用触媒は、従来の有機物分解用触媒と比べて、活性が高く、有機物の分解率を向上させることができる。有機物分解用触媒は、使用環境によっては、高い有機物分解率が要求されることがある。本発明の要件を満たす有機物分解用触媒は、99.5%以上の有機物分解率が要求される環境下でも使用することができる。
【0038】
なお、表1および表3では、z1+z2が0.100と0.200のデータしかないが、0.100≦z1+z2≦0.200の範囲内であれば、同様に有機物分解用触媒の活性は高い。
【0039】
表1および表3に示すように、本発明の要件を満たす有機物分解用触媒は、1.000≦x/(y+z)≦1.050の関係を満たしている。したがって、x、yおよびzは、1.000≦x/(y+z)≦1.050の関係を満たすことが好ましい。
【0040】
また、本発明の要件を満たす有機物分解用触媒のうち、z1/(z1+z2)が0.25≦z1/(z1+z2)≦0.50の関係を満たす試料番号4、5、10、11、15、16、20、21、24、および25の有機物分解用触媒のトルエン分解率は、99.7%以上とさらに高い数値になった。したがって、本発明の要件を満たす有機物分解用触媒は、0.25≦z1/(z1+z2)≦0.50の関係を満たすことが好ましい。
【0041】
ここで、試料番号1と7、8と12、13と17、18と22の有機物分解用触媒のトルエン分解率をそれぞれ比較して分かるように、一般式Axyzwで表されるペロブスカイト型複合酸化物において、MがMnである構成と比べると、MがCoである構成の方がトルエン分解率が高く、高活性である。しかしながら、Coの含有量が多くなると、積分幅が小さくなり、また、比表面積も小さくなって、焼結が促進されやすくなる。
【0042】
図2は、試料番号1~7の有機物分解用触媒に含まれるMnの量と、比表面積および積分幅との関係を示す図である。上述したように、試料番号1~7の有機物分解用触媒は、z(=z1+z2)=0.100であり、z1の値(Mnの含有量)が異なる試料である。図2に示すように、z1が小さく、Mnの量が少ないほど、すなわち、Coの量が多いほど、積分幅が小さく、かつ、比表面積が小さくなる。
【0043】
すなわち、Coの含有量増加に伴う活性点の増加効果と、Coの含有量増加に伴う焼結促進による活性低下とがトレードオフの関係にある。本発明の有機物分解用触媒は、MnとCoの組成比(Mn:Co=z1:z2)を適切な範囲、具体的には、0.00<z1/(z1+z2)<0.75の関係を満たす範囲とすることにより、高活性を実現することができる。
【0044】
図3は、上記z(=z1+z2)を0.1、0.2、および0.3とした3種類の有機物分解用触媒のX線回折測定により得られるX線回折パターンを示す図である。図3に示すように、z=0.3とした場合には、BaMnO3なる低活性な別結晶相が生成されていることが確認された。
【0045】
図4は、z=0.1およびz=0.2である有機物分解用触媒のz1とトルエン分解率との関係を示す図である。z=0.1の有機物分解用触媒は、Ba(Zr0.9Mnz1Co0.1-z1)で表され、z=0.2の有機物分解用触媒は、Ba(Zr0.8Mn2z1Co0.2-2z1)で表される。図4に示すように、z=0.1である場合と、z=0.2である場合とにおいて、トルエン分解率が大きく相違することはない。
【0046】
図5は、焼成温度が1100℃と1000℃の2種類の有機物分解用触媒のz1とトルエン分解率との関係を示す図である。上述したように、有機物分解用触媒を作製する際の仮焼温度は、1100℃~1150℃の範囲に設定したため、これ以上の温度で焼成した場合には、比表面積の低下に伴って活性が低下することは明らかである。したがって、焼成温度を1100℃と1000℃で変えて、トルエン分解率の相違を確認した。図5に示すように、焼成温度の違いによって、トルエン分解率が大きく相違することはない。
【0047】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0048】
上述した説明では、本発明の有機物分解用触媒を用いて、トルエンを分解する例を挙げたが、有機物がトルエンに限定されることはない。
【符号の説明】
【0049】
10 試験装置
11 反応管
12 加熱部
13 制御部
14 ガス供給管
15 ガス排出管
16 トルエン供給ライン
17 窒素供給ライン
18 酸素供給ライン
19 サンプリングライン
図1
図2
図3
図4
図5