(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】チップ状電子部品用治具
(51)【国際特許分類】
H01G 13/00 20130101AFI20221213BHJP
【FI】
H01G13/00 351A
(21)【出願番号】P 2021542033
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 JP2020023938
(87)【国際公開番号】W WO2021039047
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2019152873
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄太
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-177188(JP,A)
【文献】特開2018-193287(JP,A)
【文献】特開2003-77776(JP,A)
【文献】特開2012-144433(JP,A)
【文献】特開2006-310763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 13/00
H01C 17/00
H01F 41/04
B65D 85/86
F27D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の線状部材が互いに平行に延在することで構成された層が複数積層された複数の層で構成されている、チップ状電子部品用治具であって、
等間隔に並んで延在する複数の第1線状部材を含む第1層と、
前記第1層より上側に位置し、前記複数の層の積層方向から見たときに、前記第1線状部材と互い違いとなるように等間隔で並んで延在する複数の第2線状部材で構成された第2層と、
前記第1層より上側に位置し、前記積層方向から見たときに、等間隔に並んで前記第2線状部材と交差する向きに延在する複数の第3線状部材で構成された第3層と、
前記第1層より上側に位置し、前記積層方向から見たときに、前記複数の第3線状部材と重なるように延在する2本以上かつ前記複数の第3線状部材の数未満の複数の第4線状部材で構成された第4層、および、前記第1層より上側に位置し、前記積層方向から見たときに、前記複数の第2線状部材と重なるように延在する2本以上かつ前記複数の第2線状部材の数未満の複数の第5線状部材で構成された第5層のうち、少なくとも1層とを備えている、チップ状電子部品用治具。
【請求項2】
前記第2層および前記第3層のうちの一方の層が、前記複数の層のうち最も上側に位置し、前記第2層および前記第3層のうちの他方の層が、前記一方の層の直下に位置している、請求項1に記載のチップ状電子部品用治具。
【請求項3】
前記積層方向から見たときに、前記複数の第1線状部材の各々が、前記複数の第2線状部材のうち互いに隣り合う複数の第2線状部材同士の中央に位置している、請求項1または請求項2に記載のチップ状電子部品用治具。
【請求項4】
前記第4層および前記第5層の両方を備えている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のチップ状電子部品用治具。
【請求項5】
前記第1層は、前記積層方向から見たときに、前記複数の第2線状部材と重なるように延在する複数の追加線状部材をさらに含んでいる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のチップ状電子部品用治具。
【請求項6】
前記第1層の下側に位置し、前記積層方向から見たときに、前記複数の第3線状部材と互い違いとなるように等間隔で並んで延在する複数の第6線状部材で構成された第6層をさらに備えている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のチップ状電子部品用治具。
【請求項7】
前記複数の層は、前記積層方向から見たときに、前記第1層より上側かつ前記第2層より下側において、前記複数の第2線状部材の各々と重なるように延在する複数の線状部材、および、前記第1層より上側かつ前記第3層より下側において、前記複数の第3線状部材の各々と重なるように延在する複数の線状部材の、少なくとも一方を備えている、請求項2に記載のチップ状電子部品用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ状電子部品用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
チップ状電子部品用治具の構成を開示した文献として、特開2008-177188号公報(特許文献1)、特許第6259943号(特許文献2)、特開2018-193287号公報(特許文献3)がある。
【0003】
特許文献1に記載のチップ状電子部品用治具は、チップ状電子部品の処理に用いられる冶具であり、支持部材と、受け部材とを含んでいる。支持部材は、金属材料で構成されている。支持部材は、全体として平面状であり、その面内に多数の貫通するチップ挿入孔を有している。受け部材は、金属経線と金属緯線とを織り込んだ網状体である。受け部材は、支持部材の一面に接合され、チップ挿入孔の開口面内に、少なくとも1つの交差部が存在している。
【0004】
特許文献2に記載のチップ状電子部品用治具は、セラミックス格子体である。セラミックス格子体は、一方向に向けて延びるセラミックス製の複数の第1の線条部と、当該第1の線条部と交差する方向に向けて延びるセラミックス製の複数の第2の線条部とを有している。第1の線条部と第2の線条部との交差部は、いずれの該交差部においても、第1の線条部上に第2の線条部が配されている。交差部において、第1の線条部は、その断面が、直線部と、当該直線部の両端部を端部とする凸形の曲線部とから構成される形状を有している。交差部において、第2の線条部は、その断面が、円形又は楕円形の形状を有している。交差部の縦断面視において、第1の線条部と第2の線条部とは、第1の線条部における凸形の曲線部の頂部と、第2の線条部における円形又は楕円形における下向きに凸の頂部のみが接触している。
【0005】
特許文献3に記載のチップ状電子部品用治具は、セラミックス格子体である。セラミックス格子体は、一方向に向けて延びるセラミックス製の複数の第1の線条部と、該第1の線条部と交差する方向に向けて延びるセラミックス製の複数の第2の線条部とを有している。第1の線条部と第2の線条部との交差部は、いずれの該交差部においても、第1の線条部上に第2の線条部が配されている。第1の線条部における直線部を載置面として平面上に載置したとき、第2の線条部が、隣り合う2つの前記交差部の間において該平面から離間する形状を有している。セラミックス格子体は、第1の線条部の延びる方向と同方向に向けて延びるセラミックス製の複数の第3の線条部を更に有している。第3の線条部は、第2の線条部と交差している。第3の線条部と第2の線条部との交差部は、いずれの該交差部においても、第2の線条部上に第3の線条部が配されている。第3の線条部は、第1の線条部の配置のピッチと半ピッチずれて配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-177188号公報
【文献】特許第6259943号公報
【文献】特開2018-193287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のチップ状電子部品用治具を用いて複数のチップ状電子部品を反応ガスで処理する際には、チップ状電子部品用治具に形成された複数のチップ挿入孔の各々に複数のチップ状電子部品を挿入する。このとき、チップ状電子部品とチップ挿入孔の周壁部との離間距離が長くなるにしたがって、反応ガスが、チップ状電子部品の周辺に流れ込みやすく、チップ状電子部品の反応効率が高くなる。しかしながら、上記離間距離が長くなるにしたがって、1つのチップ状電子部品用治具に配置可能なチップ状電子部品の数が減少する。これにより、上記処理工程におけるチップ状電子部品の生産性が低下する場合がある。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、チップ状電子部品を配置可能な数を維持しつつ、チップ状電子部品の反応効率を向上できる、チップ状電子部品用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に基づくチップ状電子部品用治具は、複数の線状部材が互いに平行に延在することで構成された層が複数積層された複数の層で構成されている、チップ状電子部品用治具は、第1層と、第2層と、第3層とを備えており、かつ、第4層および第5層のうち少なくとも1層を備えている。第1層は、等間隔に並んで延在する複数の第1線状部材を含んでいる。第2層は、第1層より上側に位置している。第2層は、複数の層の積層方向から見たときに、第1線状部材と互い違いとなるように等間隔で並んで延在する複数の第2線状部材で構成されている。第3層は、第1層より上側に位置している。第3層は、積層方向から見たときに、等間隔に並んで第2線状部材と交差する向きに延在する複数の第3線状部材で構成されている。第4層は、第1層より上側に位置している。第4層は、積層方向から見たときに、複数の第3線状部材と重なるように延在する2本以上かつ複数の第3線状部材の数未満の複数の第4線状部材で構成されている。第5層は、第1層より上側に位置している。第5層は、積層方向から見たときに、複数の第2線状部材と重なるように延在する2本以上かつ複数の第2線状部材の数未満の複数の第5線状部材で構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、チップ状電子部品を配置可能な数を維持しつつ、チップ状電子部品の反応効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態1に係るチップ状電子部品用治具の構成を示す平面図である。
【
図2】
図1のチップ状電子部品用治具を矢印II方向から見た正面図である。
【
図3】
図1のチップ状電子部品用治具を矢印III方向から見た側面図である。
【
図4】比較例に係るチップ状電子部品の構成を示す正面図である。
【
図5】比較例に係るチップ状電子部品の構成を示す側面図である。
【
図6】本発明の実施形態2に係るチップ状電子部品用治具の構成を示す正面図である。
【
図7】本発明の実施形態2に係るチップ状電子部品用治具の構成を示す側面図である。
【
図8】本発明の実施形態3に係るチップ状電子部品用治具の構成を示す正面図である。
【
図9】本発明の実施形態3に係るチップ状電子部品用治具の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態に係るチップ状電子部品用治具について説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0013】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るチップ状電子部品用治具の構成を示す平面図である。
図2は、
図1のチップ状電子部品用治具を矢印II方向から見た正面図である。
図3は、
図1のチップ状電子部品用治具を矢印III方向から見た側面図である。
【0014】
図1から
図3に示すように、本発明の実施形態1に係るチップ状電子部品用治具10は、複数の層で構成されており、当該複数の層においては、複数の線状部材が互いに平行に延在することで構成された層が複数積層されている。チップ状電子部品用治具10は、第1層11と、第2層12と、第3層13と、第4層14と、第5層15と、第6層16と、第7層17とを備えている。
【0015】
図1に示すように、本発明の実施形態1に係るチップ状電子部品用治具10は、上記複数の層の積層方向から見たときに、全体として略矩形状の外形を有している。チップ状電子部品用治具10は、上記複数の層の積層方向から見たときに、三角形、五角形、または、六角形などの他の多角形状の外形を有していてもよい。積層方向から見て、本実施形態に係るチップ状電子部品用治具の全体としての外形は、後述する複数の線状部材の延在方向に平行な辺を有している。なお、積層方向から見て、上記外形は、複数の線状部材の延在方向に対して45度傾いた辺を有していてもよい。
【0016】
図1から
図3に示すように、第1層11は、等間隔に並んで延在する複数の第1線状部材11Lを含んでいる。隣り合う第1線状部材11Lが離間している距離は、たとえば0.1mm以上5.0mm以下である。第1層11は、積層方向から見たときに、複数の第1線状部材11Lのさらに外側に他の線状部材を含んでいてもよい。第1線状部材11Lおよび後述するその他の線状部材は、板状部材を一方向に切断して長細く加工したものであってもよい。
【0017】
図2および
図3に示すように、第2層12は、第1層11より上側に位置している。
図1および
図3に示すように、第2層12は、複数の第2線状部材12Lで構成されている。複数の第2線状部材12Lは、上記複数の層の積層方向から見たときに、第1線状部材11Lと互い違いとなるように等間隔で並んで延在している。なお、本発明の実施形態1に係るチップ状電子部品用治具10においては、後述する挿入孔の入口がある側が上側となる。
【0018】
本実施形態において、上記積層方向から見たときに、複数の第2線状部材12Lのうち最も外側に配置された2つの第2線状部材12Lは、複数の第1線状部材11Lより外側に位置している。積層方向から見たときに、複数の第1線状部材11Lの各々は、複数の第2線状部材12Lのうち互いに隣り合う複数の第2線状部材12L同士の中央に位置している。複数の第1線状部材11Lの各々は、積層方向から見て、互いに隣り合う複数の第2線状部材12L同士の中央からずれた場所に位置していてもよいが、積層方向から見たときに、複数の第1線状部材11Lの各々が上記中央に位置していることで、後述の通り、複数のチップ挿入口の各々に挿入された複数のチップ状電子部品1を安定的に保持することができる。なお、第1層11は、積層方向から見たときに、複数の第2線状部材12Lより外側に位置する他の線状部材を含んでいてもよい。
【0019】
図2および
図3に示すように、第3層13は、第1層11より上側に位置している。
図1および
図2に示すように、第3層13は、複数の第3線状部材13Lで構成されている。複数の第3線状部材13Lは、積層方向から見たときに、等間隔に並んで第2線状部材12Lと交差する向きに延在している。本実施形態において、互いに隣り合う複数の第3線状部材13L同士の離間距離は、互いに隣り合う複数の第2線状部材12L同士の離間距離と同一である。本実施形態においては、複数の第3線状部材13Lは、積層方向から見たときに、等間隔に並んで第2線状部材12Lと直交する向きに延在している。
【0020】
第2層12および第3層13は、第1層11より上側に位置する。本実施形態においては、第2層12および第3層13のうちの一方の層が、上記複数の層のうち最も上側に位置し、第2層12および第3層13のうちの他方の層が、一方の層の直下に位置している。具体的には、第3層13が、上記複数の層のうち最も上側に位置している。第2層12および第3層13は、互いに隣接するように積層されている。なお、第2層12および第3層13の間に、後述する第4層などが位置していてもよい。
【0021】
図1から
図3に示すように、本発明の実施形態1に係るチップ状電子部品用治具10は、チップ状電子部品1を挿入可能な複数の挿入孔を備えている。具体的には、
図1に示すように、積層方向から見たときに、互いに隣接する2つの第2線状部材12Lと、互いに隣接する2つの第3線状部材13Lとで囲まれた複数の領域の各々を挿入孔として、当該複数の挿入孔の各々にチップ状電子部品1が挿入可能となるように、本実施形態に係るチップ状電子部品用治具10が構成されている。言い換えると、互いに隣り合う2つの挿入孔は、1本の第2線状部材12Lあるいは1本の第3線状部材13Lによって区切られている。また、第4層14、第5層および第7層17においては、各層に位置する後述の複数の線状部材の各々が、互いに隣り合う2つの挿入孔を区切っているが、第4層14、第5層15および第7層17においては、互いに隣り合う挿入孔が、線状部材によって区切られていない場合もある。また、
図2に示すように、挿入孔に挿入されたチップ状電子部品1は、複数の第1線状部材11Lで構成された第1層11によって保持される。
【0022】
図1から
図3に示すように、チップ状電子部品1は、たとえば直方体の外形を有している。本実施形態に係るチップ状電子部品用治具10は、厚さ方向の寸法Tと、厚さ方向に直交する幅方向の寸法Wと、厚さ方向および幅方向の両方に直交する長さ方向の寸法Lとが、互いにW=T<Lの関係を有する直方体状のチップ状電子部品1を、挿入孔に挿入可能に構成されている。本実施形態においては、複数の挿入孔が、上記直方体状のチップ状電子部品1を長さ方向と平行な方向に挿入可能に構成されている。チップ状電子部品1は、たとえば積層セラミックコンデンサ、積層セラミックインダクタ、積層セラミック圧電素子、または、積層セラミックモジュール基板などに用いることができる。なお、実際に上記挿入孔に挿入可能なチップ状電子部品1の寸法Wと寸法Tとは、互いに厳密に同一ではなく、ある程度の範囲内で差があってもよい。たとえば、互いに同一となるように設計された寸法Wおよび寸法Tの各々が、設計時の値に対してプラスマイナス5%以内であってもよい。
【0023】
図2および
図3に示すように、本実施形態において、第4層14は、第1層11より上側かつ第3層13より下側に位置している。第4層14は、第3層より上側に位置していてもよい。
【0024】
第4層14は、2本以上かつ複数の第3線状部材13Lの数未満の複数の第4線状部材14Lで構成されている。複数の第4線状部材14Lの各々は、積層方向から見たときに、複数の第3線状部材13Lと重なるように延在している。また、第4層14と第3層13との間には、積層方向から見たときに複数の第3線状部材13Lの各々と交差するように延在する線状部材で構成された他の層が少なくとも位置している。本実施形態においては、第4層14と第3層13との間には、第5層15と、後述する第7層17と、第2層12とが位置している。
【0025】
図2に示すように、第4層14においては、積層方向から見たときに複数の第3線状部材13Lと重なる位置の一部において、複数の第4線状部材14Lが位置していない空隙部19が形成されている。第4層14における空隙部19は、上記複数の挿入孔の各々にチップ状電子部品1を挿入した際には、複数の第4線状部材14Lの各々の延在方向において反応ガスが通流可能なガス流路として機能する。
【0026】
本実施形態においては、第4層14は、積層方向から見たときに複数の第4線状部材14Lと複数の空隙部19とが交互に位置するように構成されている。これにより、上記複数の挿入孔の各々に挿入された全てのチップ状電子部品1が、第4層14において、空隙部19と隣接することができる。さらには、チップ状電子部品用治具10に挿入したチップ状電子部品1を焼成する際に、第4層14における複数の第4線状部材14Lによって、チップ状電子部品1が挿入孔の中で動きまわることを抑制できるとともに、チップ状電子部品用治具10の強度を保つことができる。また、第4層14における第4線状部材14Lの数を変更することで、チップ状電子部品1の動き防止効果と、ガス流れ向上効果を調整できる。
【0027】
本実施形態において、チップ状電子部品用治具10は、第4層14と平行に位置する第7層17をさらに備えている。第7層17も、積層方向から見たときに、複数の第3線状部材13Lと重なるように延在する2本以上かつ複数の第3線状部材13Lの数未満の複数の第7線状部材17Lで構成されている。本実施形態においては、第7層17と、第3層13との間には、第2層12が位置している。
【0028】
第7層17においても、積層方向から見たときに複数の第3線状部材13Lと重なる位置の一部において、複数の第7線状部材17Lが位置していない空隙部19が形成されている。第7層17は、積層方向から見たときに複数の第7線状部材17Lと複数の空隙部19とが交互に位置するように構成されている。また、第7層17を構成する複数の第7線状部材17Lの各々は、積層方向から見たときに第4層14における複数の空隙部19の各々と重なる位置に位置している。なお、チップ状電子部品用治具10は、第7層17を備えていなくてもよい。
【0029】
第5層15は、第1層11より上側かつ第2層12の下側に位置している。第5層15は、第2層12より上側に位置していてもよい。
【0030】
第5層15は、積層方向から見たときに、複数の第2線状部材12Lと重なるように延在する2本以上かつ複数の第2線状部材12Lの数未満の複数の第5線状部材15Lで構成されている。このため、第5層15と第2層12との間には、少なくとも、積層方向から見たときに複数の第2線状部材12Lの各々と直交するように延在する線状部材で構成された他の層が位置している。本実施形態においては、第5層15と第2層との間には、第7層17が位置している。
【0031】
図3に示すように、第5層15においては、積層方向から見たときに複数の第2線状部材12Lと重なる位置の一部において、複数の第5線状部材15Lが位置していない空隙部19が形成されている。第5層15における空隙部19は、上記複数の挿入孔の各々にチップ状電子部品1を挿入した際には、複数の第5線状部材15Lの各々の延在方向において反応ガスが通流可能なガス流路として機能する。
【0032】
本実施形態においては、第5層15は、積層方向から見たときに複数の第5線状部材15Lと複数の空隙部19とが交互に位置するように構成されている。これにより、挿入孔の各々に挿入された全てのチップ状電子部品1が、第5層15において、空隙部19と隣接することができる。
【0033】
本実施形態において、チップ状電子部品用治具10は、第4層14と第7層17との対応関係と同様にして、第5層15に対応する追加の層を備えていてもよい。チップ状電子部品用治具10は、上記追加の層を備えていなくてもよい。
【0034】
このように、チップ状電子部品用治具10は、第4層14および第5層15のうち少なくとも1層を必ず備えており、本実施形態においては、チップ状電子部品用治具10は、第4層14および第5層15の両方を備えている。チップ状電子部品用治具10は、第4層14を備えている場合、第5層15を備えていなくてもよい。チップ状電子部品用治具10は、第5層15を備えている場合、第4層14を備えていなくてもよい。
【0035】
また、
図2および
図3に示すように、本実施形態においては、上記複数の層が、積層方向から見たときに、第1層11より上側かつ第2層12より下側において、全ての複数の第2線状部材12Lの各々と重なるように延在する複数の線状部材、および、第1層11より上側かつ第3層13より下側において、全ての複数の第3線状部材13Lの各々と重なるように延在する複数の線状部材の、少なくとも一方を備えている。
図2に示すように、具体的には、積層方向から見て、第4層14の複数の第4線状部材14Lと第7層17の複数の第7線状部材17Lとからなる複数の線状部材が、第3層13の全ての第3線状部材13Lと1対1で対応するように重なっている。すなわち、上記複数の層のうち第1層11より上側の部分において、第3層13の第3線状部材13Lと同じ方向に延在する他の層の複数の線状部材は、第3層の全ての第3線状部材13Lと1対1で対応するように重なっている。また、
図3に示すように、第2層12の複数の第2線状部材12Lのうち一部の第2線状部材12Lは、積層方向から見て、第2線状部材12Lと同じ方向に延在する他の層の複数の線状部材と重なっていなくてもよい。
【0036】
図2および
図3に示すように、第6層16は、第1層11の下側に位置している。第6層16は、複数の第6線状部材16Lで構成されている。
【0037】
図1および
図2に示すように、複数の第6線状部材16Lの各々は、積層方向から見たときに、複数の第3線状部材13Lと互い違いとなるように等間隔で並んで延在している。積層方向から見たときに、複数の第3線状部材13Lのうち最も外側に配置された2つの第3線状部材13Lは、複数の第6線状部材16Lより外側に位置している。
【0038】
複数の第6線状部材16Lが設けられることにより、チップ状電子部品用治具10の強度が向上する。なお、複数の第6線状部材16Lは、チップ状電子部品1におけるチップ挿入孔の内面を構成するものではないため、複数の第6線状部材16Lの数、配置の間隔および向きなどは適宜変更可能である。複数の第6線状部材16Lの数を変更した実施形態については後述する。
【0039】
また、積層方向から見たときに、複数の第6線状部材16Lの各々は、複数の第3線状部材13Lのうち互いに隣り合う複数の第3線状部材13L同士の中央に位置している。すなわち、
図1から
図3に示すように、本実施形態においては、積層方向から見たときの複数の第1線状部材11Lの各々および複数の第6線状部材16Lの各々との交差部18は、上記挿入口の略中央に位置している。積層方向から見たときに、複数の第6線状部材16Lの各々は、互いに隣り合う複数の第3線状部材13L同士の間において、これらの第3線状部材13L同士の中央からずれた場所に位置していてもよい。
【0040】
本実施形態において、複数の第1線状部材11L、複数の第2線状部材12L、複数の第3線状部材13L、複数の第4線状部材14L、複数の第5線状部材15L、複数の第6線状部材16Lおよび複数の第7線状部材17Lの各々は、略直線状である。複数の第1線状部材11L、複数の第2線状部材12L、複数の第3線状部材13L、複数の第4線状部材14L、複数の第5線状部材15L、複数の第6線状部材16Lおよび複数の第7線状部材17Lの各々は、延在方向から見たときに略円形状の外形を有している。これらの複数の線状部材の各々は、延在方向から見たときに、矩形状、半円状または矩形状以外の多角形状の外形を有していてもよい。複数の第1線状部材11L、複数の第2線状部材12L、複数の第3線状部材13L、複数の第4線状部材14L、複数の第5線状部材15L、複数の第6線状部材16Lおよび複数の第7線状部材17Lの各々の線径は、たとえば0.1mm以上2.0mm以下である。これらの線状部材の線径は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよいが、本実施形態においては、互いに同一である。
【0041】
複数の第1線状部材11L、複数の第2線状部材12L、複数の第3線状部材13L、複数の第4線状部材14L、複数の第5線状部材15L、複数の第6線状部材16Lおよび複数の第7線状部材17Lの各々は、互いに同一の材料で構成されていてもよいし、互いに異なる材料で構成されていてもよい。複数の第1線状部材11L、複数の第2線状部材12L、複数の第3線状部材13L、複数の第4線状部材14L、複数の第5線状部材15L、複数の第6線状部材16Lおよび複数の第7線状部材17Lの各々は、たとえば、SiC、ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、アルミナもしくはムライト等のセラミックス、ニッケル、アルミニウム、インコネル(登録商標)もしくはSUSなどの金属、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:polytetrafluoroethylene)、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、アクリル樹脂、ABS(Acrylonitrile butadiene styrene)ライク樹脂もしくはその他の耐熱樹脂などの樹脂材料、カーボン、または、金属とセラミックスとからなる複合材料で構成されており、本実施形態においては、セラミックスで構成されている。また、複数の第1線状部材11L、複数の第2線状部材12L、複数の第3線状部材13L、複数の第4線状部材14L、複数の第5線状部材15L、複数の第6線状部材16Lおよび複数の第7線状部材17Lの各々の表面は、SiC、ジルコニア、イットリア、イットリア安定化ジルコニア、アルミナもしくはムライト等のセラミックス、または、ニッケルなどの金属によってさらにコーティングされていてもよい。
【0042】
本実施形態において、第1層11、第2層12、第3層13、第4層14、第5層15、第6層16および第7層17の各々は、隣接する他の層と互いに接合している。本実施形態に係るチップ状電子部品用治具10は、たとえば、焼成前のセラミックスで構成された複数の線状部材で形成された格子体を焼成することにより得られる。
【0043】
ここで、比較例に係るチップ状電子部品用治具について説明する。
図4は、比較例に係るチップ状電子部品の構成を示す正面図である。
図5は、比較例に係るチップ状電子部品の構成を示す側面図である。
図4においては、
図2と同一方向から見て図示している。
図5においては、
図3と同一方向から見て図示している。
【0044】
図4に示すように、比較例に係るチップ状電子部品用治具90においては、第4層94は、積層方向から見たときに、複数の第3線状部材13Lの数と同じ数の複数の第4線状部材94Lで構成されている。第7層97は、積層方向から見たときに、複数の第3線状部材13Lの数と同じ数の複数の第7線状部材97Lで構成されている。
図5に示すように、第5層95は、積層方向から見たときに、複数の第2線状部材12Lの数と同じ数の複数の第5線状部材95Lで構成されている。このため、比較例に係るチップ状電子部品用治具90においては、本発明の実施形態1に係るチップ状電子部品用治具10で形成されている複数の空隙部19のような空隙部は形成されていない。
【0045】
これに対し、本発明の実施形態1に係るチップ状電子部品用治具10は、第4層14および第5層15のうち少なくとも1層と、を備えている。第4層14は、積層方向から見たときに、複数の第3線状部材13Lと重なるように延在する2本以上かつ複数の第3線状部材13Lの数未満の複数の第4線状部材14Lで構成されている。第5層15は、積層方向から見たときに、複数の第2線状部材12Lと重なるように延在する2本以上かつ複数の第2線状部材12Lの数未満の複数の第5線状部材15Lで構成されている。
【0046】
これにより、本実施形態に係るチップ状電子部品用治具10においては、上記積層方向から見たときのチップ状電子部品1の挿入孔の大きさを拡げることなく、空隙部19が形成される。このため、チップ状電子部品用治具10を用いて複数のチップ状電子部品1を反応ガスで処理する際には、空隙部19に反応ガスを通流させることで、空隙部19から複数のチップ状電子部品1の各々の周辺部に反応ガスを供給することができる。すなわち、本実施形態に係るチップ状電子部品用治具10においては、チップ状電子部品1を配置可能な数を維持しつつ、チップ状電子部品1の反応効率を向上させることができる。
【0047】
さらに、本発明の実施形態1に係るチップ状電子部品用治具10は、上記の構成により、比較例に係るチップ状電子部品用治具90を構成する複数の線状部材より少ない数の線状部材で構成することができる。これにより、本発明の実施形態1に係るチップ状電子部品用治具10は、比較例に係るチップ状電子部品用治具90より熱容量を小さくすることができる。このため、チップ状電子部品用治具10を用いて複数のチップ状電子部品1を焼成する場合においては、チップ状電子部品用治具90の熱容量を小さくすることにより、チップ状電子部品1に熱が伝わりやすくなるため、焼成における加熱負荷を低減できる。
【0048】
また、本実施形態においては、第2層12および第3層13のうちの一方の層が、上記複数の層のうち最も上側に位置し、第2層12および第3層13のうちの他方の層が、一方の層の直下に位置している。
【0049】
これにより、積層方向から見たときの第2層12を構成する複数の第2線状部材12Lおよび第3層13を構成する複数の第3線状部材13Lによって、チップ状電子部品1の挿入するための複数のチップ挿入口の各々の開口端が形成される。このため、上記複数のチップ挿入口の各々に対応するように複数のチップ状電子部品1を容易に配置することができる。
【0050】
本実施形態においては、積層方向から見たときに、複数の第1線状部材11Lの各々が、複数の第2線状部材12Lのうち互いに隣り合う複数の第2線状部材12L同士の中央に位置している。
【0051】
これにより、複数のチップ挿入口の各々に挿入された複数のチップ状電子部品1を安定的に保持することができる。
【0052】
本実施形態に係るチップ状電子部品用治具10は、第4層14および第5層15の両方を備えている。
【0053】
これにより、反応ガスが通過可能な複数の空隙部19の数を増やすことができるため、反応ガスの供給経路の数が増加し、チップ挿入孔に挿入されたチップ状電子部品1の周辺部を流れる反応ガスの流量がさらに増加する。ひいては、チップ状電子部品1の反応効率をさらに向上させることができる。
【0054】
本実施形態に係るチップ状電子部品用治具10は、第6層16をさらに備えている。第6層16は、第1層11の下側に位置している。第6層16は、複数の第6線状部材16Lで構成されている。複数の第6線状部材16Lの各々は、積層方向から見たときに、複数の第3線状部材13Lと互い違いとなるように等間隔で並んで延在している。
【0055】
これにより、第1線状部材11Lを補強するとともに、複数のチップ挿入口の各々の底部側において、第1線状部材11Lと第6線状部材16Lとが交差することで、チップ状電子部品1をより安定的に保持することができる。
【0056】
本実施形態においては、上記複数の層が、積層方向から見たときに、第1層11より上側かつ第2層12より下側において、複数の第2線状部材12Lの各々と重なるように延在する複数の線状部材、および、第1層11より上側かつ第3層13より下側において、複数の第3線状部材13Lの各々と重なるように延在する複数の線状部材の、少なくとも一方を備えている。
【0057】
これにより、線状部材が位置していない複数の空隙部19を偏りなく配置できるため、チップ状電子部品用治具10の強度が局所的に低下することを抑制しつつ、反応ガスが流通可能な空隙部19を形成することができる。
【0058】
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2に係るチップ状電子部品用治具について説明する。本発明の実施形態2に係るチップ状電子部品用治具は、第4線状部材の数および第5線状部材の数が、それぞれ、本発明の実施形態1に係るチップ状電子部品用治具10と異なる。よって、本発明の実施形態1に係るチップ状電子部品用治具10と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0059】
図6は、本発明の実施形態2に係るチップ状電子部品用治具の構成を示す正面図である。
図7は、本発明の実施形態2に係るチップ状電子部品用治具の構成を示す側面図である。
図6においては、
図2と同一方向から見て図示している。
図7においては、
図3と同一方向から見て図示している。
【0060】
図6に示すように、本発明の実施形態2に係るチップ状電子部品用治具20において、第4層24は、2本の第4線状部材24Lで構成されている。これにより、本発明の実施形態1に係るチップ状電子部品用治具10と比較して、反応ガスが通流可能な空隙部29の数が多くなるため、チップ状電子部品1の反応効率をさらに向上させることができる。
【0061】
第4層24を構成する2本の第4線状部材24Lの各々は、積層方向から見たときに、第3層13において最も外側に位置する2つの第3線状部材13Lと重なるように位置している。これにより、チップ状電子部品用治具10の強度を向上させることができる。さらに、第4層を構成する第4線状部材24Lの数が2本であるため、最低限必要な数の第4線状部材24Lによって、第4層の上側に他の層を積層および保持することができる。
【0062】
第7層27も、第4層24と同様に、2本の第7線状部材27Lで構成されている。第7層27を構成する2本の第7線状部材27Lの各々は、積層方向から見たときに、第3層13において最も外側に位置する2つの第3線状部材13Lと重なるように位置している。
【0063】
図7に示すように、第5層25は、2本の第5線状部材25Lで構成されている。第5層25を構成する2本の第5線状部材25Lの各々は、積層方向から見たときに、第2層12において最も外側に位置する2つの第2線状部材12Lと重なるように位置している。
【0064】
(実施形態3)
以下、本発明の実施形態3に係るチップ状電子部品用治具について説明する。本発明の実施形態3に係るチップ状電子部品用治具は、第1線状部材の数および第6線状部材の数が、それぞれ、本発明の実施形態1に係るチップ状電子部品用治具10と異なる。よって、本発明の実施形態1に係るチップ状電子部品用治具10と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0065】
図8は、本発明の実施形態3に係るチップ状電子部品用治具の構成を示す正面図である。
図9は、本発明の実施形態3に係るチップ状電子部品用治具の構成を示す側面図である。
図8においては、
図2と同一方向から見て図示している。
図9においては、
図3と同一方向から見て図示している。
【0066】
図9に示すように、本発明の実施形態3に係るチップ状電子部品用治具30においては、第1層11は、積層方向から見たときに、複数の第2線状部材12Lと重なるように延在する複数の追加線状部材31Lをさらに含んでいる。これにより、チップ状電子部品用治具30の強度を向上させることができる。
【0067】
また、
図8に示すように、本実施形態においては、第6層16は、積層方向から見たときに、複数の第3線状部材13Lと重なるように延在する複数の追加線状部材36Lをさらに含んでいる。これにより、チップ状電子部品用治具30の強度を向上させることができる。
【0068】
上述した実施形態の説明において、複数の線状部材が「等間隔に並ぶ」とは、複数の線状部材が実質的に等間隔に離間して並んでいることを表すものであり、線状部材同士が厳密に等間隔ではなく、ある程度の範囲内で離間していてもよい。たとえば、複数の線状部材同士の離間距離が、設計時の値に対してプラスマイナス5%以内であってもよい。
【0069】
また、上述した実施形態の説明においては、特定の層において等間隔に複数の線状部材が並んでいる場合であっても、積層方向から見て、チップ状電子部品用治具の端部または中央の一部などにおいて、チップ状電子部品の収容数に大きな影響を与えない範囲で、上記特定の層が、線状部材同士が等間隔でない箇所を部分的に含んでいてもよい。
【0070】
また、上述した実施形態の説明において、チップ状電子部品用治具を構成する複数の層は、部分的に互いに異なる形状の線状部材を含んでいてもよい。チップ状電子部品用治具は、板状部材を備えていてもよい。上記複数の層に含まれる複数の線状部材は、互いに異なる材料で構成されていてもよい。
【0071】
さらに、上述した実施形態の説明において、チップ状電子部品の挿入および保持に大きな影響がなく、かつ、チップ状電子部品用治具の形状が維持される範囲において、複数の線状部材の各々は、延在方向において途中で途切れていてもよい。
【0072】
上述した実施形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【0073】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
1 チップ状電子部品、10,20,30,90 チップ状電子部品用治具、11 第1層、11L 第1線状部材、12 第2層、12L 第2線状部材、13 第3層、13L 第3線状部材、14,24,94 第4層、14L,24L,94L 第4線状部材、15,25,95 第5層、15L,25L,95L 第5線状部材、16 第6層、16L 第6線状部材、17,27,97 第7層、17L,27L,97L 第7線状部材、18 交差部、19,29 空隙部、31L,36L 追加線状部材。