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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20221213BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20221213BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20221213BHJP
   H05K 7/04 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
H02G3/16
B60R16/02 610D
H05K7/06 C
H05K7/04 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021548411
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 JP2020030158
(87)【国際公開番号】W WO2021059767
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】P 2019175970
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】朝野 綾香
(72)【発明者】
【氏名】小牧 和也
(72)【発明者】
【氏名】下田 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】柳田 泰次
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-151670(JP,A)
【文献】特開2012-216871(JP,A)
【文献】特開2017-98329(JP,A)
【文献】特開2018-93711(JP,A)
【文献】特開2020-127302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
B60R 16/02
H05K 7/06
H05K 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される電気接続箱であって、
前記車両に搭載される蓄電装置又は車載負荷に電気的に接続される複数の電気部品同士を、電気的及び熱的に接続するバスバと、
前記複数の電気部品及び前記バスバを収容する筐体と、
前記バスバ及び前記筐体と熱的に接続される絶縁性の放熱部材とを備え、
前記複数の電気部品における少なくとも2つの電気部品は、隣り合って配置されており、
前記バスバは、前記2つの電気部品からの発熱を前記放熱部材を介して放熱させ、
前記バスバは、前記2つの電気部品における少なくともいずれかの電気部品に密着する第1板部を含み、
前記いずれかの電気部品、前記バスバの前記第1板部、前記放熱部材及び、前記放熱部材が貼付けられた前記筐体の部分により、積層構造が形成され、
前記第1板部の端部には、前記第1板部に対し折り曲げられた第1端子締結片が設けられており、
前記第1端子締結片には、前記第1板部に密着している前記電気部品のリレー端子が締結されている
電気接続箱。
【請求項3】
前記放熱部材は、シート状を成し、
前記放熱部材の面積は、前記第1板部における前記いずれかの電気部品と密着している領域の面積よりも広い
請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記筐体の外面に設けられる第2放熱部材を備え、
前記放熱部材、前記放熱部材が貼付けられた前記筐体の部分及び、前記第2放熱部材により、積層構造が形成される
請求項1又は請求項3に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記放熱部材及び前記第2放熱部材は、同一の素材及び形状を成す
請求項4に記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記バスバは、
前記2つの電気部品におけるいずれかの電気部品に密着する第1板部と、
他方の電気部品に密着する第2板部と、
前記第1板部と前記第2板部との間に介在する連結板部とを含み、
前記バスバの延在方向における前記連結板部の面幅は、前記第1板部及び前記第2板部の面幅よりも小さい
請求項1又は、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の電気接続箱。
【請求項7】
前記蓄電装置から前記車載負荷に電力が供給された際の前記2つの電気部品夫々の単位時間あたりの発熱量は、異なり、
前記放熱部材は、前記2つの電気部品の内の発熱量が多い電気部品の側に設けられている
請求項1又は、請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の電気接続箱。
【請求項8】
前記2つの電気部品は、リレー及びヒューズである
請求項1又は、請求項3から請求項7のいずれか1項に記載の電気接続箱。
【請求項9】
前記2つの電気部品による発熱を検知する温度センサを備え、
前記温度センサは、前記バスバ上に設けられている
請求項1又は、請求項3から請求項8のいずれか1項に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気接続箱に関する。
本出願は、2019年9月26日出願の日本出願第2019-175970号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0002】
車載に搭載され、車載バッテリから車内の各車載負荷に電力を供給する電線は、電機接続箱(ジャンクションボックス)に一旦接続され、当該電機接続箱を介して車載負荷夫々に接続される(例えば、特許文献1)。特許文献1の電機接続箱には、リレー及び当該リレーが固定される箱本体を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-25736号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様に係る電気接続箱は、車両に搭載される電気接続箱であって、前記車両に搭載される蓄電装置又は車載負荷に電気的に接続される複数の電気部品同士を、電気的及び熱的に接続するバスバと、前記複数の電気部品及び前記バスバを収容する筐体と、前記バスバ及び前記筐体と熱的に接続される絶縁性の放熱部材とを備え、前記複数の電気部品における少なくとも2つの電気部品は、隣り合って配置されており、前記バスバは、前記2つの電気部品からの発熱を前記放熱部材を介して放熱する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】実施形態1に係る電気接続箱が搭載された車両を示す概略図である。
図2】電気接続箱の外観を略示した斜視図である。
図3】電気接続箱の内部を略示する側断面図である。
図4】2つの電気部品がバスバにより接続された状態を示す説明図である。
図5】バスバの斜視図である。
図6】バスバの平面図である。
図7】バスバの側面図である。
図8】実施形態2に係る電気接続箱の外観を略示した斜視図である。
図9】電気接続箱の内部を略示する側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[本開示が解決しようとする課題]
電機接続箱に収納されるリレー等の電気部品は、電流が流れることにより発熱するところ、特許文献1の電機接続箱においては、このような電気部品による発熱に対する考慮がされていないという問題点がある。
【0007】
本開示は、電気接続箱に収納される電気部品による発熱を、効率的に放熱することができる電気接続箱を提供することを目的とする。
【0008】
[本開示の効果]
本開示の一態様によれば、電気接続箱に収納される電気部品による発熱を効率的に放熱する電気接続箱を提供することができる。
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0010】
(1)本開示の一態様に係る電気接続箱は、車両に搭載される電気接続箱であって、前記車両に搭載される蓄電装置又は車載負荷に電気的に接続される複数の電気部品同士を、電気的及び熱的に接続するバスバと、前記複数の電気部品及び前記バスバを収容する筐体と、前記バスバ及び前記筐体と熱的に接続される絶縁性の放熱部材とを備え、前記複数の電気部品における少なくとも2つの電気部品は、隣り合って配置されており、前記バスバは、前記2つの電気部品からの発熱を前記放熱部材を介して放熱する。
【0011】
本態様にあたっては、放熱対象となる2つの電気部品は、隣り合って配置されているため、これら2つの電気部品を接続するバスバの延在方向の長さを短くし、バスバにおける熱抵抗を低減させることができる。当該2つの電気部品にて発生した熱は、これら電気部品を接続するバスバに効率的に伝わり、当該バスバに熱的に接続された放熱部材及び筐体を介して電気接続箱の外部に放熱される。従って、隣り合って配置された複数の電気部品からの発熱を、単一のバスバ及び放熱部材によって効率的に放熱することができる。
【0012】
(2)本開示の一態様に係る電気接続箱は、前記バスバは、前記2つの電気部品における少なくともいずれかの電気部品に密着する第1板部を含み、前記いずれかの電気部品、前記バスバの前記第1板部、前記放熱部材及び、前記放熱部材が貼付けられた前記筐体の部分により、積層構造が形成される。
【0013】
本態様にあたっては、バスバは、いずれかの電気部品に密着する第1板部を含み、当該ずれかの電気部品、バスバの第1板部、放熱部材及び、放熱部材が貼付けられた筐体の部分により、互いに面接触する積層構造が形成される。2つの電気部品は隣り合って配置されているため、当該2つの電気部品からの発熱は、バスバの第1板部等を含む積層構造により効率的に電気接続箱の筐体に伝熱され、当該発熱を電気接続箱の外部に効率的に放熱することができる。
【0014】
(3)本開示の一態様に係る電気接続箱は、前記放熱部材は、シート状を成し、前記放熱部材の面積は、前記第1板部における前記いずれかの電気部品と密着している領域の面積よりも広い。
【0015】
本態様にあたっては、シート状を成す放熱部材の面積は、第1板部における電気部品と密着している領域の面積よりも広いため、当該密着している領域と放熱部材とを、平面視にて確実に重なり合わせてバスバと放熱部材とを積層することができる。
【0016】
(4)本開示の一態様に係る電気接続箱は、前記筐体の外面に設けられる第2放熱部材を備え、前記放熱部材、前記放熱部材が貼付けられた前記筐体の部分及び、前記第2放熱部材により、積層構造が形成される。
【0017】
本態様にあたっては、放熱部材、放熱部材が貼付けられた筐体の部分及び、第2放熱部材により、互いに面接触する積層構造が形成されるため、第2放熱部材により、筐体の外側に位置する周辺空気等の冷熱源との熱交換を促進することができる。従って、隣り合って配置された2つの電気部品による発熱を、更に効率的に電気接続箱の外部に放熱することができる。
【0018】
(5)本開示の一態様に係る電気接続箱は、前記放熱部材及び前記第2放熱部材は、同一の素材及び形状を成す。
【0019】
本態様にあたっては、放熱部材及び第2放熱部材は、同一の素材及び形状を成すため、同一部品(品番)として取り扱われるものとなり、製造段階において、放熱部材及び第2放熱部材を筐体に取付ける際の誤組み防止を図ることができる。
【0020】
(6)本開示の一態様に係る電気接続箱は、前記バスバは、前記2つの電気部品におけるいずれかの電気部品に密着する第1板部と、他方の電気部品に密着する第2板部と、前記第1板部と前記第2板部との間に介在する連結板部とを含み、前記バスバの延在方向における前記連結板部の面幅は、前記第1板部及び前記第2板部の面幅よりも小さい。
【0021】
本態様にあたっては、バスバは、2つの電気部品夫々に密着する第1板部及び第2板部を含むため、これら第1板部及び第2板部によって電気部品からの発熱をバスバに効率的に伝えることができる。第1板部及び第2板部の間に介在する連結板部の面幅は、第1板部及び第2板部のいずれかの面幅よりも小さいため、バスバの熱抵抗を低減させることができる。従って、これら電気部品からの発熱を効率的に放熱部材に伝熱させて電気接続箱の外部に放熱することができる。
【0022】
(7)本開示の一態様に係る電気接続箱は、前記蓄電装置から前記車載負荷に電力が供給された際の前記2つの電気部品夫々の単位時間あたりの発熱量は、異なり、前記放熱部材は、前記2つの電気部品の内の発熱量が多い電気部品の側に設けられている。
【0023】
本態様にあたっては、放熱部材は、2つの電気部品の内の発熱量が多い電気部品の側に設けられているため、2つの電気部品からバスバに伝熱された発熱を、当該放熱部材を介して効率的に電気接続箱の外部に放熱すると共に、放熱部材のサイズを、発熱量が多い電気部品に対応としたサイズにして放熱部材が大きくなることを抑制し、電気接続箱の部品コストの低減、小型化及び軽量化を図ることができる。
【0024】
(8)本開示の一態様に係る電気接続箱は、前記2つの電気部品は、リレー及びヒューズである。
【0025】
本態様にあたっては、リレー及びヒューズを隣り合わせて配置することにより、当該リレー及びヒューズからの発熱を効率的に電気接続箱の外部に放熱することができる。
【0026】
(9)本開示の一態様に係る電気接続箱は、前記2つの電気部品による発熱を検知する温度センサを備え、前記温度センサは、前記バスバ上に設けられている。
【0027】
本態様にあたっては、温度センサはバスバ上に設けられているので、隣り合って配置される電気部品からの発熱を単一の温度センサで検知することができ、電気接続箱に実装される温度センサの個数を低減させ、電気接続箱の部品コストの低減、小型化及び軽量化を図ることができる。
【0028】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施態様に係る電気接続箱1の具体例を以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0029】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る電気接続箱1が搭載された車両Cを示す概略図である。本実施形態における電気接続箱1は、車両Cに搭載され、同様に車両Cに搭載される蓄電装置100と車載負荷101との間に介在して設けられる。蓄電装置100及び車載負荷101は、電気接続箱1を介して、電線102により電気的に接続されている。
【0030】
本実施形態にて、車載負荷101は一つとして記載してあるが、車載負荷101の個数は単数に限定されない。車両Cに搭載される車載負荷101は、複数であってもよく、電気接続箱1と、複数の車載負荷101との間に分岐部を設け、当該分岐部により蓄電装置100の正極に接続される電線102を分岐し、分岐した電線102を複数の車載負荷101夫々に接続するものであってもよい。
【0031】
本実施形態にて、電気接続箱1は蓄電装置100の正極側に接続してあるが、これに限定されない。電気接続箱1は蓄電装置100の負極側に接続するものであってもよい。又は、電気接続箱1は蓄電装置100の正極側及び負極側の夫々に接続されるものであってもよい。
【0032】
蓄電装置100は、例えば、鉛バッテリ又は、リチウムイオン電池等のEV(Electric Vehicle)用の高圧バッテリである。
【0033】
電気接続箱1は、電気部品40を収納する。電気部品40は、例えばヒューズ42、リレー41を含む。リレー41は、機械式リレー、又は半導体リレーであってもよい。電気部品40に含まれるヒューズ42及びリレー41は、バスバにより接続され、直列回路を構成する。リレー41と車載負荷101とは、第2バスバ7を介して接続される。ヒューズ42と蓄電装置100とは、第3バスバ8を介して接続される。リレー41は、車両Cに搭載される電力制御系のECU(図示せず)と信号線により通信可能に接続され、当該ECUから出力される信号に応じて、オン又はオフにされる。
【0034】
図2は、電気接続箱1の外観を略示した斜視図である。電気接続箱1は、外郭を成す筐体2を備える。筐体2は、絶縁性の樹脂製による直方体を成し、アッパケース21及びロワケース22を含む。筐体2は、例えば放熱性ポリプロピレン、放熱ポリアミド樹脂等による放熱性樹脂製であることが望ましい。
【0035】
アッパケース21は、開口部を有する箱体を成す。アッパケース21の内側には、例えば当該アッパケース21の内壁を構成する固定部材(図示せず)が設けられている。当該固定部材によって、リレー41及びヒューズ42を含む電気部品40は、アッパケース21の内部に固定される。
【0036】
ロワケース22は、例えば板状又は皿状の蓋体を成し、アッパケース21の開口部を塞ぐように設けられる。
【0037】
アッパケース21の開口部にロワケース22が係合することにより、電気接続箱1の外郭を成す筐体2が構成される。このように構成される電気接続箱1は、例えば、蓄電装置100の近傍に載置される。
【0038】
図3は、電気接続箱1の内部を略示する側断面図である。図4は、2つの電気部品40がバスバ5により接続された状態を示す説明図である。図3及び図4は、アッパケース21の開口部側を上側として図示したものである。図3は、筐体2の長手方向と平行となる側断面を略示したものである。図4は、ヒューズ42及びリレー41がバスバ5により接続された状態を、アッパケース21を外した状態にて見た斜視図である。
【0039】
電気接続箱1は、ヒューズ42及びリレー41を含む複数の電気部品40、バスバ5、第2バスバ7、第3バスバ8、温度センサ6、放熱部材31及び第2放熱部材32を含む。ヒューズ42及びリレー41を含む複数の電気部品40、ヒューズ42及びリレー41を接続するバスバ5、第2バスバ7、温度センサ6及び放熱部材31は、電気接続箱1の筐体2を構成するアッパケース21の内部に収納されている。第2放熱部材32は、アッパケース21の外面に貼付けられている。
【0040】
リレー41は、直方体を成す。リレー41の一側面には、正極側及び負極側のリレー端子411夫々が、並んで設けられている。正極側及び負極側のリレー端子411との間には、絶縁壁が、当該一側面から突出して設けられている。
【0041】
ヒューズ42は、直方体を成す。ヒューズ42の一側面及び一側面に対向する他側面には、正極側及び負極側のヒューズ端子421夫々が、設けられている。図3及び図4に示すとおり、ヒューズ42及びリレー41は、互いの側面を対向させ、隣り合って配置されている。
【0042】
ヒューズ42は、リレー41よりも蓄電装置100の正極の側に位置して接続されており(図1参照)、ヒューズ42の正極側のヒューズ端子421は、第3バスバ8を介して蓄電装置100の正極と接続されている。ヒューズ42の負極側のヒューズ端子421と、リレー41の正極側のリレー端子411とは、バスバ5により接続されている。リレー41の負極側のリレー端子411は、第2バスバ7を介して車載負荷101と接続されている。
【0043】
バスバ5は、複数の折り曲げ部を有する板部材により構成され、銅又は銅合金等による導電率及び熱伝達率が高い金属製である。バスバ5は、第1板部51、第2板部52及び連結板部53を含む。
【0044】
第1板部51には、リレー41が載置され、リレー41とバスバ5の第1板部51とは、密着する。第2板部52には、ヒューズ42の負極側のヒューズ端子421が締結され、ヒューズ42の負極側のヒューズ端子421と、バスバ5の第2板部52とは、密着する。このようにリレー41及びヒューズ42と、バスバ5とが密着することにより、リレー41及びヒューズ42にて発生した熱は、バスバ5に伝熱される。
【0045】
第1板部51と第2板部52とは略平行となるように設けられており、第1板部51と第2板部52との間には、連結板部53が設けられている。アッパケース21の底面を基準として、ヒューズ端子421が締結された第2板部52は、リレー41が載置された第1板部51よりも高い位置に設けられており、連結板部53は、第1板部51及び第2板部52の高さ違いにより生じる面間距離を吸収するように設けられている。従って、図3に示すごとく、第1板部51、連結板部53及び第2板部52により側面視にてクランク形状を成す。
【0046】
第1板部51の端部には、第1板部51に対し略垂直に折り曲げられた第1端子締結片511が、設けられている。第1端子締結片511には、リレー41の正極側のリレー端子411が、締結されている。
【0047】
バスバ5の第1板部51と、アッパケース21の底板との間には、放熱部材31が設けられている。すなわち、放熱部材31は、第1板部51とアッパケース21との間に介在し、第1板部51及びアッパケース21夫々と面接触している。従って、バスバ5の第1板部51、放熱部材31及びアッパケース21の底板により、積層構造が形成され、バスバ5を介して、リレー41及びヒューズ42にて発生した熱を効率的にアッパケース21から電気接続箱1に外部に放熱することができる。
【0048】
放熱部材31は、矩形のシート状を成し、例えばシリコーン系、非シリコーン系又はアクリル系の絶縁性及び伝熱性を有する樹脂製の放熱シートである。又は、放熱部材31は、表面が絶縁処理されたグラファイトシートであってもよい。
【0049】
放熱部材31の面積は、リレー41が載置されるバスバ5の第1板部51における、リレー41と密着している領域(密着領域)の面積よりも広い。従って、リレー41と第1板部51とが密着している領域(密着領域)と、放熱部材とを、平面視にて確実に重なり合わせてバスバ5と放熱部材31とを積層させ、バスバ5及び放熱部材31による伝熱効率を向上させることができる。
【0050】
詳細は、別途説明するが、バスバ5の延在方向、すなわちバスバ5によって接続されるリレー41及びヒューズ42の配置方向において、連結板部53の面幅は、第1板部51及び第2板部52の面幅よりも小さい。ヒューズ42及びリレー41を隣り合って設け、近接させることにより、連結板部53の面幅を、第1板部51及び第2板部52の面幅よりも小さくすることができ、バスバ5の熱抵抗を低減させることができる。従って、第2板部52から伝熱されるヒューズ42の発熱を、連結板及び第1板部51に介して伝熱し、放熱部材31から放熱することができる。
【0051】
ヒューズ42及びリレー41は隣り合って設けられており、連結板部53は、対向するヒューズ42及びリレー41の側面の間に設けられている。対向するヒューズ42及びリレー41の側面同士は近接しており、対向するヒューズ42及びリレー41の側面による面間距離は、連結板部53の板厚の大きさの例えば5倍以内となるように、ヒューズ42及びリレー41は隣り合って配置されている。このように対向するヒューズ42及びリレー41の側面同士を近接させ、対向する当該側面の間に連結板部53を設けることにより、ヒューズ42及びリレー41の側面から発せられた熱量を、連結板部53を介して放熱部材31に伝熱して、放熱効率を更に向上させることができる。
【0052】
放熱部材31は、リレー41が載置される第1板部51と、平面視にて重ならせて設けられている。すなわち、放熱部材31は、バスバ5の延在方向において、リレー41が配置されている側に偏倚させて設けられている。蓄電装置100から車載負荷101に電力が供給される際、単位時間におけるリレー41の発熱量は、ヒューズ42の発熱量よりも大きい。単位時間における発熱量が大きい電気部品40であるリレー41の側に、放熱部材31を設けることにより、放熱効果を担保しつつ、放熱部材31のサイズが大きくなることを抑制して部品コストの低減、電気接続箱1の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0053】
放熱部材31は、リレー41の負極側のリレー端子411と接続される第2バスバ7の板部と重ならせて設けられているものであってもよい。第2バスバ7の板部は、バスバ5の第1板部51と同様にリレー41が載置される板部である。放熱部材31を、バスバ5の第1板部51及び第2バスバ7の板部に重ならせて設けることにより、リレー41と放熱部材31との伝熱面積を増加させ、リレー41が発生した熱に対する放熱効率を、更に向上させることができる。
【0054】
アッパケース21の底板の外面には、第2放熱部材32が設けられている。すなわち、第2放熱部材32は、アッパケース21及びロワケース22により構成される筐体2の外面に貼付けられている。第2放熱部材32は、矩形のシート状を成し、例えばシリコーン系、非シリコーン系又はアクリル系の絶縁性及び伝熱性を有する樹脂製の放熱シートである。又は、第2放熱部材32は、グラファイトシートであってもよい。第2放熱部材32の面積は、リレー41が載置されるバスバ5の第1板部51において、リレー41と密着している領域(密着領域)の面積よりも広い。
【0055】
アッパケース21の底板の内面には、放熱部材31が貼付けされ、アッパケース21の底板の外面には、第2放熱部材32が貼付けられる。これにより、バスバ5の第1板部51、放熱部材31、アッパケース21の底板及び第2放熱部材32により、積層構造が形成され、バスバ5を介して、リレー41及びヒューズ42にて発生した熱を効率的に第2放熱部材32から電気接続箱1の外部に放熱することができる。すなわち、第2放熱部材32は、電気接続箱1の外部に露出しており、電気接続箱1の周辺空気又は、電気接続箱1が取付けられるシャーシ又は冷却系の他の車載機器と接することにより、これらシャーシ等と熱交換する。従って、ヒューズ42及びリレー41が発生した熱を電気接続箱1の外部に効率的に放熱し、電気接続箱1の温度が上昇することを抑制することができる。
【0056】
第2放熱部材32は、放熱部材31と同一の素材であり、同一の形状及び大きさのものであってもよい。すなわち、放熱部材31及び第2放熱部材32は、電気接続箱1の製造段階において同一の部品番号(品番)として管理されるものであってもよい。放熱部材31及び第2放熱部材32を同一の部品とすることにより、製造段階において、放熱部材31及び第2放熱部材32を筐体2に取付ける際の誤組み防止を図ると共に、部品共通化による部品コストの低減を図ることができる。
【0057】
第2放熱部材32を、放熱部材31と同一の形状及び大きさとした場合、平面視にて、第2放熱部材32及び放熱部材31が重なり合うように、第2放熱部材32及び放熱部材31をアッパケース21の底板の外面及び内面に貼付けるものであってもよい。平面視にて第2放熱部材32及び放熱部材31を重なり合わせてアッパケース21の底板に貼付けることにより、電気接続箱1の外部に放熱する効果を更に向上させることができる。
【0058】
バスバ5の第1端子締結片511には、バスバ5の温度に関する物理量を検出及び出力する温度センサ6が設けられている。温度センサ6は、第1端子締結片511における、リレー41とは反対側の面に貼付けられている。又は、温度センサ6は、第1端子締結片511における、リレー41の側の面に貼付けられているものであってもよい。温度センサ6は、例えばNTCサーミスタ、PTCサーミスタ又はCTRサーミスタ等のサーミスタを含み、又は熱電対を用いたセンサであってもよい。
【0059】
温度センサ6は、バスバ5に設けられており、バスバ5は、近接して隣り合うリレー41及びヒューズ42に接続されている。従って、バスバ5に設けられた単一の温度センサ6によって、リレー41及びヒューズ42により発生した熱による温度を検出することができ、電気接続箱1に実装される温度センサ6の個数を低減させ、電気接続箱1の部品コストの低減、小型化及び軽量化を図ることができる。
【0060】
温度センサ6は、第1端子締結片511に設けられているとしたが、これに限定されない。温度センサ6は、第1板部51、連結板部53又は第2板部52に貼付けられているものであってもよい。
【0061】
図5は、バスバ5の斜視図である。図6は、バスバ5の平面図である。図7は、バスバ5の側面図である。バスバ5は、上述のとおり銅又は銅合金を素材として板金折り曲げ加工及び打ち抜き加工等により形成され、複数の折り曲げ部を有する導電性及び伝熱性の高い板部材である。バスバ5は、第1板部51、第2板部52及び、第1板部51と第2板部52とを連結する連結板部53を含む。
【0062】
第1板部51は平面視にて矩形状を成し、第1板部51の表面(図5にて上面)には、リレー41が載置される。第1板部51の裏面(図5にて下面)には、放熱部材31が貼付けられる。
【0063】
第1板部51の端部には、第1板部51に対し、第1板部51とは反対側に向かって略垂直に折り曲げられた第1端子締結片511が設けられている。第1端子締結片511は矩形状を成し、周縁側には、リレー端子411を締結するための第1端子締結孔512が設けられている。第1端子締結片511の端部には、第1端子締結片511に対し略垂直に折り曲げられた折曲片513が設けられている。
【0064】
第2板部52は平面視にて矩形状を成し、中央部には、ヒューズ端子421を締結するための第2端子締結孔521が設けられている。第2板部52の表面(図5にて上面)には、矩形の板状を成すヒューズ端子421が載置される。
【0065】
連結板部53は、矩形状を成し、第1板部51と第2板部52との間に介在し、第1板部51から第2板部52への伝熱経路の一部を構成する。上述のとおり、ヒューズ端子421が締結される第2板部52と、リレー41が載置される第1板部51との間には、高さ違いによる段差があり、連結板部53は、当該段差により生じる面間距離を吸収するように設けられている。従って、図5における正面視にて、第1板部51、連結板部53及び第2板部52によって、クランク形状が形成される。
【0066】
バスバ5の延在方向において、第1板部51の面幅をd1、第2板部52の面幅をd2、連結板部53の面幅をd3とした場合、連結板部53の面幅(d3)は、第1板部51の面幅(d1)及び第2板部52の面幅の面幅(d2)よりも小さい(d3<d1及び、d3<d2)。バスバ5の延在方向とは、バスバ5によって接続されるヒューズ42及びリレー41の配置方向であり、バスバ5においては、ヒューズ端子421が締結される第2端子締結孔521から、リレー端子411が締結される第1端子締結孔512に向かう方向であるとしてもよい。
【0067】
連結板部53は、第1板部51と第2板部52との間に介在し、第2板部52から第1板部51への伝熱経路の一部を構成するため、当該連結板部53の面幅を、第1板部51及び第2板部52の面幅よりも小さくすることにより、伝熱経路の距離を小さくし、伝熱抵抗を低減させることができる。従って、第2板部52に接続されたヒューズ42からの発熱を効率的に第1板部51に伝熱させ、第1板部51に重ねられて設けられた放熱部材31を介して、当該ヒューズ42からの発熱を効率的に放熱することができる。
【0068】
(実施形態2)
図8は、実施形態2に係る電気接続箱1の外観を略示した斜視図である。図9は、電気接続箱1の内部を略示する側断面図である。実施形態2に係る電気接続箱1は、実施形態1の電気接続箱1と同様にヒューズ42及びリレー41を含む複数の電気部品40、バスバ5、第2バスバ7、第3バスバ8、温度センサ6、放熱部材31及び第2放熱部材32を含む。ヒューズ42及びリレー41を含む複数の電気部品40、ヒューズ42及びリレー41を接続するバスバ5、第2バスバ7、温度センサ6及び放熱部材31は、電気接続箱1の筐体2を構成するアッパケース21の内部に収納されている。
【0069】
シート状を成す放熱部材31は、自部材(放熱部材31)の一面を、アッパケース21の開口部を塞ぐように設けられたロワケース22の内面に対抗して設けられ、放熱部材31の一面とロワケース22の内面とは、密着している。第2放熱部材32は、ロワケース22の外面に貼付けられている。当該構成とするにあたり、リレー41、ヒューズ42等の電気部品40及びバスバ5等と、ロワケース22との配置関係は、実施形態1にて説明した当該電気部品40及びバスバ5等と、アッパケース21の底板との配置関係と同様である。シート状の放熱部材31、板状のロワケース22、及びシート状の第2放熱部材32により、積層構造が形成され、バスバ5を介して、リレー41及びヒューズ42にて発生した熱を効率的にロワケース22から電気接続箱1に外部に放熱することができる。
【0070】
本実施形態の図示において、放熱部材31と第2放熱部材32との間にロワケース22を介在させて、放熱部材31、ロワケース22及び第2放熱部材32による積層構造を形成するとし、また実施形態1にて放熱部材31と第2放熱部材32をとの間にアッパケース21の底板を介在させて、放熱部材31、アッパケース21の底板及び第2放熱部材32による積層構造を形成するとしたが、これに限定されない。筐体2を構成するアッパケース21及びロワケース22に対する、放熱部材31及び第2放熱部材32の配置は、当該筐体2の内部に設けられるヒューズ42、リレー41及びバスバ5等の形状及び配置に基づき適宜決定されるものであり、例えば、放熱部材31及び第2放熱部材32は、アッパケース21の側板に設けられるものであってもよい。すなわち、放熱部材31はアッパケース21の側板の内面に設けられ、第2放熱部材32はアッパケース21の側板の外面に貼付けられているものであってもよい。
【0071】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0072】
C 車両
1 電気接続箱
2 筐体
21 アッパケース
22 ロワケース
31 放熱部材
32 第2放熱部材
40 電気部品
41 リレー
411 リレー端子
42 ヒューズ
421 ヒューズ端子
5 バスバ
51 第1板部
511 第1端子締結片
512 第1端子締結孔
513 折曲片
52 第2板部
521 第2端子締結孔
53 連結板部
6 温度センサ
7 第2バスバ
8 第3バスバ
100 蓄電装置
101 車載負荷
102 電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9