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特許7193009バリアフィルム、波長変換シート、バックライト、及び表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】バリアフィルム、波長変換シート、バックライト、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20221213BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20221213BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20221213BHJP
   F21V 9/38 20180101ALI20221213BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221213BHJP
   F21Y 105/00 20160101ALN20221213BHJP
   F21Y 105/16 20160101ALN20221213BHJP
【FI】
G02B5/20
G02F1/13357
F21S2/00 431
F21S2/00 411
F21V9/38
F21Y115:10
F21Y105:00
F21Y105:16
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021555225
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2021012117
(87)【国際公開番号】W WO2021200426
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2021-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2020065321
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 達司
(72)【発明者】
【氏名】田村 修一
(72)【発明者】
【氏名】坂本 武士
(72)【発明者】
【氏名】原田 龍太郎
【審査官】藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-044136(JP,A)
【文献】特開2018-013724(JP,A)
【文献】特開2008-184522(JP,A)
【文献】国際公開第2015/037733(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
B32B 27/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バリア層と、プライマー層とを有し、
前記プライマー層は、ポリウレタン系樹脂組成物の硬化物を含有し、
前記ポリウレタン系樹脂組成物は、多官能イソシアネートとポリエステルポリウレタンポリオールとの反応によって得られる一液ないし二液型ポリウレタン系樹脂組成物を含み、
前記プライマー層の前記バリア層と反対側の面は、X線光電子分光法によって得られるC1sスペクトルにおけるC-C結合に由来するピークの面積をP1、前記C1sスペクトルにおけるC-O結合に由来するピークの面積をP2としたときに、P2/P1が0.55以上1.0以下ある、波長変換シート用のバリアフィルム。
【請求項2】
前記バリア層が、無機酸化物薄膜層と、有機被覆層とを含み、
前記有機被覆層が前記プライマー層と接触する、請求項1に記載のバリアフィルム。
【請求項3】
前記ポリウレタン系樹脂組成物中のNCO/OH比が1.1以上である、請求項1または請求項2に記載のバリアフィルム。
【請求項4】
前記ポリエステルポリウレタンポリオールの水酸基価が40mgKOH/g以上である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のバリアフィルム。
【請求項5】
更に基材層を有する、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のバリアフィルム。
【請求項6】
前記基材層上に前記バリア層が形成され、前記バリア層の前記基材層と反対側の面に前記プライマー層が形成される、請求項5に記載のバリアフィルム。
【請求項7】
前記基材層が、第1の基材と第2の基材とを有し、
前記第1の基材の一方の面上に、前記バリア層及び前記プライマー層が形成され、
前記第1の基材の他方の面に、前記第2の基材が接着層を介して接着される、請求項5または請求項6に記載のバリアフィルム。
【請求項8】
更に拡散層を有する、請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載のバリアフィルム。
【請求項9】
蛍光体を含む蛍光体層の少なくとも一方の表面側に、前記プライマー層と前記蛍光体層とが接触するように請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のバリアフィルムが設けられる、波長変換シート。
【請求項10】
一次光を放出する少なくとも1つの光源と、前記光源に隣接して配置され、導光又は拡散のための光学板と、前記光学板の光出射側に配置された波長変換シートとを備えたバックライトであって、前記波長変換シートが請求項9に記載の波長変換シートであるバックライト。
【請求項11】
バックライト及び液晶パネルを備えた液晶表示装置であって、前記バックライトが請求項10に記載のバックライトである液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、波長変換シートに用いられるバリアフィルム、該バリアフィルムを有する波長変換シート、並びに、該波長変換シートを備えるバックライト及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴って、液晶表示装置の需要が増加している。また、最近においては家庭用の液晶テレビの普及率も高まっており、スマートフォン、タブレット端末も広く普及しつつあることから、液晶表示装置の市場は拡大する状況にある。
【0003】
このような液晶表示装置は、一般的に、カラーフィルタ、対向基板、これらに挟持された液晶層を有する液晶セル部を有し、さらに、バックライト部とよばれる光源を有するものである。
【0004】
また、最近では、量子ドットの技術を用いたバックライト部材の開発も進められている。量子ドットとは、半導体のナノメートルサイズの微粒子を言う。また、量子ドットは、電子や励起子がナノメートルサイズの小さな結晶内に閉じ込められる量子閉じ込め効果(量子サイズ効果)により、発光波長の可視領域全体に渡って調整することができる。量子ドットは、狭い波長帯で強い蛍光を発生することができるため、表示装置が色純度の優れた三原色の光で照明することができるようになる。そのため、量子ドットを用いたバックライトによって、優れた色再現性を有する表示装置とすることができる。
【0005】
この表示装置のバックライト光源に用いられる波長変換シートは、半導体のナノメートルサイズの蛍光体微粒子を樹脂の層に分散させた蛍光体層と、蛍光体層の劣化を抑制するために、蛍光体層の表面に、水蒸気バリア性を有するバリアフィルムを積層させ、LED光源と組み合わせた構成を有する。
【0006】
例えば、蛍光体が含有される蛍光体層にバリアフィルムを積層した波長変換シートであって、バリアフィルムが所定のポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にバリア層を積層した波長変換シート及びそれを用いたバックライトユニットが開発されている(特許文献1)。
【0007】
蛍光体層への水蒸気の侵入を更に抑制するために、蛍光体層とバリアフィルムとの密着性を向上させることが試みられている。例えば特許文献1及び特許文献2には、ポリウレタン系樹脂組成物を含むプライマー層を用いることにより、高温高湿環境下でも蛍光体層との密着性に優れるバリアフィルムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2015/037733号
【文献】特開2018-13724号公報
【文献】特開2019-126924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ポリウレタン系樹脂組成物を含むプライマー層を有するバリアフィルムの中でも、蛍光体層の劣化抑制の度合いに優劣があることがあった。
本開示は上記課題に鑑みなされたものであり、波長変換シートとしたときに蛍光体層との密着性により優れたバリアフィルム、該バリアフィルムを有する波長変換シート、並びに、該波長変換シートを備えるバックライト及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、プライマー層の蛍光体層と接触する面のX線光電子分光法によって得られるC1sスペクトルに着目した。その結果、C-C結合に由来するピークの面積に対するC-O結合に由来するピークの面積の値が所定値以上となると、プライマー層と蛍光体層との密着性が飛躍的に向上することを見出し、本開示を完成するに至った。
【0011】
すなわち上記課題を解決するために、本開示は、以下の[1]~[6]を提供する。
[1]バリア層と、プライマー層とを有し、前記プライマー層は、ポリウレタン系樹脂組成物の硬化物を含有し、前記プライマー層の前記バリア層と反対側の面は、X線光電子分光法によって得られるC1sスペクトルにおけるC-C結合に由来するピークの面積をP1、前記C1sスペクトルにおけるC-O結合に由来するピークの面積をP2としたときに、P2/P1が0.55以上である、波長変換シート用のバリアフィルム。
[2]基材層上に前記バリア層が形成され、前記バリア層の前記基材層と反対側の面に前記プライマー層が形成される、[1]に記載のバリアフィルム。
[3]前記バリア層が、無機酸化物薄膜層と、有機被覆層とを含み、前記有機被覆層が前記プライマー層と接触する、[1]または[2]に記載のバリアフィルム。
[4]蛍光体を含む蛍光体層の少なくとも一方の表面側に、前記プライマー層と前記蛍光体層とが接触するように[1]~[3]のいずれかに記載のバリアフィルムが設けられる、波長変換シート。
[5]一次光を放出する少なくとも1つの光源と、前記光源に隣接して配置され、導光又は拡散のための光学板と、前記光学板の光出射側に配置された波長変換シートとを備えたバックライトであって、前記波長変換シートが[1]~[4]のいずれかに記載の波長変換シートであるバックライト。
[6]バックライト及び液晶パネルを備えた液晶表示装置であって、前記バックライトが請求項5に記載のバックライトである液晶表示装置。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、波長変換シートとしたときに蛍光体層との密着性により優れたバリアフィルムを得ることができる。また、本開示によれば、プライマー層と蛍光体層との密着性に優れ、酸素及び水蒸気の侵入による蛍光体層の劣化を抑制することができる波長変換シート、並びに、該波長変換シートを備えるバックライト及び表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示のバリアフィルムの一実施形態を模式的に説明する断面概略図である。
図2図2は、本開示の波長変換シートの一実施形態を模式的に説明する断面概略図である。
図3】本開示のバックライトの一実施形態を示す断面図である。
図4】本開示のバックライトの他の実施形態を示す断面図である。
図5】実施例1のプライマー層表面におけるC1sスペクトルとピーク分離結果である。
図6】各実施例及び比較例について、P2/P1と密着性との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示のバリアフィルムについて、詳細に説明する。なお、本明細書中の「AA~BB」との数値範囲の表記は、「AA以上BB以下」であることを意味する。
【0015】
[バリアフィルム]
バリアフィルムは、蛍光体を含む蛍光体層を備える波長変換シート用のバリアフィルムである。バリアフィルムは、酸素及び水蒸気が外部環境から蛍光体層に到達して、該蛍光体層が劣化することを防止するために設けられる。
本開示のバリアフィルムは、バリア層と、プライマー層とを有し、前記プライマー層は、ポリウレタン系樹脂組成物の硬化物を含有し、前記プライマー層の前記バリア層と反対側の面は、X線光電子分光法によって得られるC1sスペクトルにおけるC-C結合に由来するピークの面積をP1、前記C1sスペクトルにおけるC-O結合に由来するピークの面積をP2としたときに、P2/P1が0.55以上である。
【0016】
図1は、本開示のバリアフィルムの一実施形態を模式的に説明する断面概略図である。バリアフィルム10は、基材層20上にバリア層30及びプライマー層40を有する。図1に示すように、基材層20上にバリア層30が形成され、バリア層30の基材層20と反対側の面に、プライマー層40が形成されることが好ましい。図1に示すように、基材層20におけるバリア層30が形成される面と反対側の面に、拡散層50が設けられていても良い。
【0017】
バリアフィルムは、波長変換シートとして用いたときに光源からの光を効率よく変換するために、JIS K 7361-1:1997に基づき測定される全光線透過率が高いことが好ましい。具体的には、バリアフィルムは、JIS K 7361-1:1997に基づき測定される全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
【0018】
バリアフィルムは、JIS K 7126-2:2006による酸素透過度の値が、5cc/m・day・atm以下(23℃、90%RH)であることが好ましい。また、JIS K 7129:2008 B法による水蒸気透過度の値が、5g/m・day以下(40℃、90%RH)であることが好ましい。酸素透過度は、例えば、MOCON社製酸素透過率測定装置「OX-TRAN」にて測定できる(モコン法)。また、水蒸気バリア性は、例えば、MOCON社製水蒸気透過率測定装置「PERMATRAN」にて測定できる。
以下、バリアフィルムの各層について説明する。
【0019】
〔基材層〕
基材層は、主としてバリア層及びプライマー層の支持体としての役割を担う。基材層は、高い光透過性を有するものが好適である。具体的には、基材層は、JIS K 7361-1:1997に準拠する全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
【0020】
基材層は、波長変換シートの機能を害することのない樹脂フィルムであれば、材質は特に制限されない。基材層として、例えば、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンブチレート(PBT)、非晶ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂、液晶ポリマー等の樹脂を挙げることができる。透明性と耐熱性等の観点から、基材層としてポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることが好ましい。
【0021】
基材層は、単層からなる樹脂フィルムであっても良く、複数の樹脂フィルムが接着層を介して接着されたものであっても良い。図1に示す例では、基材層20は、第1の基材20-1と、第2の基材20-2とが、接着層22を介して接着されている。この場合、第1の基材20-1は、バリア層30及びプライマー層40を形成する際の支持体となる。第2の基材20-2は、基材層20全体の厚みを増し、バリアフィルム10に剛性を与える役割を果たす。
【0022】
基材層の厚みは特に制限されるものではないが、8μm以上200μm以下であることが好ましく、8μm以上150μm以下であることがより好ましい。特に、バリアフィルムを巻き取り方式で製造する場合には、基材層の厚みは8μm以上125μm以下であることが好ましい。基材層が上記厚みであると、バリアフィルムを巻き取り方式で製造しやすくなるとともに、波長変換シートとした場合に、基材層エッジ部分からの水蒸気や酸素の侵入を低減させることができる。
【0023】
複数の樹脂フィルムで基材層を構成する場合、バリア層及びプライマー層の支持体となる第1の基材の厚みは、8μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上25μm以下であることがより好ましく、8μm以上20μm以下であることが更に好ましい。第1の基材が上記厚みであると、バリア層及びプライマー層を巻き取り方式で製造するにあたり、ハンドリング性が良好である。また、第2の基材の厚みは、8μm以上150μm以下であることが好ましく、8μm以上100μm以下であることがより好ましい。上記厚みであると、バリアフィルムに適度な剛性を与えることができる。更に、バリアフィルムを巻き取り方式で製造するにあたり、ハンドリング性が良好となる。
【0024】
接着層22を構成する接着剤は、基材層同士の良好な接着性と、バリアフィルム及び波長変換シートに要求される光学性能を満たすものであれば、特に制限されない。例えば、接着剤としては、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2-エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレ-ト系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマ-との共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロ-ス系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂又はメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノ-ル樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン-ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケ-ト、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等を使用することができる。接着剤層を構成する接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でも良く、また、その性状は、フィルム状、シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でも良く、さらに、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でも良いものである。
尚、上記の接着剤に代えて、例えば、熱硬化性樹脂や、熱可塑性樹脂に架橋剤等を含有させた樹脂により接着層を形成しても良い。あるいは、EVA、アイオノマー、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリエチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂を、押し出しラミネートにより基材の間に押出し、接着層を形成しても良い。
【0025】
基材層のバリア層が設けられる側の表面には、バリア層との密着性等を向上させるために、予め所望の表面処理が施されていても良い。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理などが挙げられる。
【0026】
また、バリア層との密着性を改善する方法として、予め、アンカーコート剤層、接着剤層等の下地層を形成しても良い。
下地層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
【0027】
〔バリア層〕
バリア層は、バリアフィルムにガスバリア性を付与する層である。
図1に示す例では、バリア層30は、基材層20側から順に、無機酸化物薄膜層32及び有機被覆層34が積層されて構成される。なお、バリア層は図1の積層構成に限定されず、有機被覆層又は無機酸化物薄膜層が単層で形成されたものであっても良く、無機酸化物薄膜層と有機被覆層とが交互に2層以上積層されるような層であっても良い。また、無機酸化物薄膜層及び有機被覆層はそれぞれ、単層であっても良く複数層積層されたものであっても良い。
【0028】
<無機酸化物薄膜層>
無機酸化物薄膜層は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム又はこれらの混合物からなる層を例示することができる。十分なガスバリア性、透明性、生産性などの観点から、無機酸化物薄膜層は、酸化アルミニウム又は酸化珪素を主成分とする薄膜層であることが好ましい。
【0029】
無機酸化物薄膜層を形成する方法は、無機酸化物を蒸着することにより形成する方法を挙げることができる。蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、及びイオンプレーティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、及び光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。
【0030】
無機酸化物薄膜層の厚みは、特に限定されるものではないが、5nm以上500nm以下であることが好ましい。無機酸化物薄膜層の厚みが5nm以上であることにより、無機酸化物薄膜層が均一となり、バリアフィルムに十分なガスバリア性を付与することができる。無機酸化物薄膜層は、ガスバリア性を考慮すると、8nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることが更に好ましい。また、無機酸化物薄膜層の厚みが500nm以下であることにより、無機酸化物薄膜層に十分に可撓性を付与することができるようになり、各無機酸化物薄膜層に傷や割れが発生することを軽減することができる。無機酸化物薄膜層は、透明性及び生産性等を考慮すると、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが更に好ましく、20nm以下であることが特に好ましい。無機酸化物薄膜層を複数設ける場合は、それぞれの無機酸化物薄膜層が上記の厚み範囲であることが好ましい。
【0031】
<有機被覆層>
有機被覆層は、後工程での二次的な各種損傷を防止すると共に、バリアフィルムに高いガスバリア性を付与する層である。また、無機酸化物薄膜層が基材層と有機被覆層との間に位置することにより、無機酸化物薄膜層に傷や割れが発生することを軽減することができる。また、有機被覆層がプライマー層と接触して設けられることにより、本開示のプライマー層とバリア層の密着性を良好にすることができる。
【0032】
有機被覆層は、例えば水溶性高分子と、1種以上の金属アルコキシド及び加水分解物、又は塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液若しくは水/アルコール混合溶液と、を含むガスバリア性組成物をコーティング液として、該コーティング液を塗布して形成される。有機被覆層は、水酸基含有高分子化合物、金属アルコキシド、金属アルコキシド加水分解物及び金属アルコキシド重合物からなる群より選択される少なくとも1種を成分として含有していることが好ましい。有機被覆層に用いられる水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレン・ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。特に、ポリビニルアルコール及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体を用いた場合に、優れたガスバリア性を得ることができる。ポリビニルアルコ-ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体との含有量は、上記のアルコキシドの合計量100質量部に対して5質量部以上500質量部以下の範囲であることが好ましく、20質量部以上200質量部以下の範囲であることがより好ましい。
【0033】
ガスバリア性組成物には、シランカップリング剤等も添加することができる。シランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。本開示においては、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適であり、それには、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、あるいは、β-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。上記のようなシランカップリング剤は、1種ないし2種以上を混合して用いても良い。本開示において、上記のようなシランカップリング剤の使用量は、上記のアルコキシシラン100質量部に対して1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
【0034】
有機被覆層の厚みは、特に限定されるものではないが、100nm以上500nm以下であることが好ましい。有機被覆層の厚みが100nm以上であることにより、バリアフィルムに十分なガスバリア性を付与することができる。有機被覆層は、ガスバリア性を考慮すると、120nm以上であることがより好ましく、150nm以上であることが更に好ましい。また、有機被覆層の厚みが500nm以下であることにより、十分な透明性を確保することができる。透明性及び生産性等を考慮すると、有機被覆層は、300nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることが更に好ましい。有機被覆層を複数設ける場合は、それぞれの有機被覆層が上記の厚み範囲であることが好ましい。
【0035】
本開示においては、JIS K 7361-1:1997に基づき測定される全光線透過率が高いことが好ましい。具体的に、PETフィルム(厚み:12μm)上にバリア層を形成した際のJIS K 7361-1:1997に基づき測定される全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。全光線透過率が上記範囲であることにより、バリアフィルムを波長変換シートとして用いた際に光源の光を効率よく変換することができる。
【0036】
本開示においては、PETフィルム(厚み:12μm)上にバリア層を形成した際のJIS K 7129-2:2006による酸素透過度の値が、5cc/m・day・atm以下(23℃、90%RH)であることが好ましく、2cc/m・day・atm以下であることがより好ましい。また、PETフィルム(厚み:12μm)上にバリア層を形成した際のJIS K 7129:2008 B法による水蒸気透過度の値が、5g/m・day以下(40℃、90%RH)であることが好ましく、2g/m・day以下であることがより好ましい。
【0037】
〔プライマー層〕
プライマー層は、波長変換シートとしたときに蛍光体層との良好な密着性を確保して、高温高湿環境下においてもバリアフィルムと蛍光体層との剥離を防止し、蛍光体層の劣化を防止する役割を果たす。
【0038】
本開示において、プライマー層は、ポリウレタン系樹脂組成物の硬化物を含有する。なお、プライマー層がポリウレタン系樹脂組成物を含むことは、X線光電子分光法(XPS)、赤外分光法(IR)、核磁気共鳴法(NMR)、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GCMS)などによりC-N結合が検出されることで確認できる。
【0039】
本開示において、プライマー層のバリア層と反対側の面は、X線光電子分光法(以下、単に「XPS」と称する場合がある)によって得られるC1sスペクトルにおけるC-C結合に由来するピークの面積をP1、C1sスペクトルにおけるC-O結合に由来するピークの面積をP2としたときに、P2/P1が0.55以上である。プライマー層のバリア層と反対側の面は、波長変換シートとしたときに蛍光体層との接触面となる。
【0040】
本開示のバリアフィルムにおけるプライマー層の表面(蛍光体層との接触面)をXPSにより分析すると、C1sスペクトルにおいて、C-C結合に由来するピーク、C-O結合に由来するピーク、及び、O-C=O結合(カルボキシル基)に由来するピークが観測される。
なお、プライマー層はポリウレタン系樹脂組成物を含むため、C1sスペクトルにおいてC-N結合に由来するピークも観測され得る。しかし、C1sスペクトルでは、C-N結合の結合エネルギー(285.2~288.5eV)とC-O結合の結合エネルギー(286.0~286.8eV)とは近接している。本開示のプライマー層について、N1sスペクトルを用いて算出されるプライマー層表面のC-N結合の含有量(プライマー層を構成するすべての結合に対するC-N結合の割合)は、1.1%~2.3%程度であるのに対し、C1sスペクトルを用いて算出されるC-O結合の含有量は18.8~31.1%である。つまり、プライマー層中のC-N結合の含有量は、C-O結合の含有量に比べて非常に少なく無視できるため、C1sスペクトルではC-N結合に由来するピークの影響を無視することができる。すなわち、C1sスペクトルにおいて、285~287eV付近に表れるピークは、C-O結合由来であるとみなすことができる。
【0041】
上記P2/P1が0.55以上であることにより、蛍光体層とバリアフィルムのプライマー層とを接触させて積層し、波長変換シートを形成した際に、蛍光体層とバリアフィルムとの密着性が飛躍的に向上する。
この理由は定かではないが、プライマー層表面の化学結合状態が関与していると考えられる。XPS分析で検出されるC-O結合のシグナルは、主として末端のC-OH基に由来する。つまり、P2/P1の値が大きいことは、プライマー層表面にOH基が多いことを意味する。波長変換シートを形成した際に、プライマー層表面のOH基は、蛍光体層の封止樹脂の官能基(例えば、NCO基など)と結合すると考えられる。このため、P2/P1が0.55以上と、表面のC-O結合が多いプライマー層であること(すなわち、表面のOH基が多いプライマー層であること)が、バリアフィルムと蛍光体層との密着性が向上させる一因であると考えられる。P2/P1は、0.65以上であることが好ましく、0.80以上であることがより好ましく、0.90以上であることが更に好ましい。なお、P2/P1が大きすぎると、バリアフィルムと蛍光体層との密着性が低下する場合がある。また、P2/P1が大きすぎると、プライマー層表面に水分が吸着しやすくなり、また、蛍光体層の封止樹脂の官能基との結合に寄与しないC-OH基が多く残存しやすくなる。吸着水分や残存C-OH基の影響で、バリアフィルムと蛍光体層との密着性が低下する虞や、プライマー層との界面近傍で蛍光体の劣化が進行しやすくなる虞がある。このため、P2/P1は、1.0以下であることが好ましい。
【0042】
また、C1sスペクトルにおけるO-C=O結合に由来するピークの面積をP3とした場合、P1,P2,P3の合計に対するP3の比率は、0.05以上であることが好ましく、0.08以上であることがより好ましい。P3の比率を上記範囲であることにより、バリアフィルムの耐久性が上がり、ひいては波長変換シートの耐久性を向上させることが可能となる。また、蛍光体層とバリアフィルムとの密着性を考慮すると、P3の比率は、0.40以下であることが好ましく、0.30以下であることがより好ましい。
【0043】
ポリウレタン系樹脂組成物は、多官能イソシアネートとヒドロキシル基含有化合物との反応によって得られる一液ないし二液型ポリウレタン系樹脂組成物を含む。多官能イソシアネート及びヒドロキシル基含有化合物はそれぞれ、1種のみ用いられていても良いし、複数種が用いられていても良い。
具体的に、多官能イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネ-ト、あるいは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。
また、ヒドロキシル基含有化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリアクリレートポリオールなどが挙げられる。本開示においては、蛍光体層との密着性、及び、耐久性の観点から、ポリエステルポリウレタンポリオールが特に好ましい。ポリエステルポリウレタンポリオールは、例えば特開2001-288408号公報、特開2003-26996号公報に記載の方法により製造することができる。
【0044】
本開示において、プライマー層を構成する成分及びその含有量を変えることによって、P2/P1の値を調整することができる。具体的に、ポリウレタン系樹脂組成物中の水酸基の比率が高い程、プライマー層表面においてP2/P1が大きくなる。
ポリウレタン系樹脂組成物中の水酸基の比率は、ヒドロキシル基含有化合物の水酸基価、ポリウレタン系樹脂組成物中のNCO/OH比、ポリウレタン系樹脂組成物の分子量などを変えることにより調整することができる。特に、水酸基価を適切な範囲としながら、NCO/OH比を所定の範囲とすることにより、P2/P1の値を密着性が向上する適切な範囲に調整することができる。
ヒドロキシル基含有化合物の水酸基価は、40mgKOH/g以上であることが好ましく、42mgKOH/g以上であることがより好ましい。上記の水酸基価を有するヒドロキシル基含有化合物を用いることにより、P2/P1を0.55以上にしやすくすることができる。
ポリウレタン系樹脂組成物中のNCO/OH比は、1.1以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましい。また、ポリウレタン系樹脂組成物中のNCO/OH比は、3.0以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましい。NCO/OH比を上記範囲とすることにより、P2/P1を0.55以上としやすくすることができる。
ポリウレタン系樹脂組成物の製造に用いる多官能イソシアネート及びヒドロキシル基含有化合物の種類にもよるが、ポリウレタン系樹脂組成物の分子量が小さい程、相対的にポリウレタン系樹脂組成物中の水酸基の比率が高くなり、P2/P1を上記範囲としやすくなる。ポリウレタン系樹脂組成物の分子量(重量平均分子量)としては、1,000以上100,000以下であることが好ましい。
【0045】
また、本開示では更に、プライマー層を形成した後に、プライマー層の表面(後述する蛍光体層との接触面)に、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理などの表面処理を施すことによって、P2/P1の値を調整しても良い。
【0046】
上記ポリウレタン系樹脂組成物は、プライマー層全量中で40質量%以上含有することが好ましく、70質量%以上含有することがより好ましい。ポリウレタン系樹脂組成物を40質量%以上含有することにより、プライマー層と蛍光体層との密着性を向上させることができる。
【0047】
本開示において、プライマー層は、シランカップリング剤を更に含有していても良い。シランカップリング剤を含むことにより、プライマー層とバリア層(特に有機被覆層)との密着性を向上させることができる。シランカップリング剤は、その分子の一端にある官能基、通常、クロロ、アルコキシ、又は、アセトキシ基等が加水分解してシラノ-ル基(Si-OH)を形成する。これにより、プライマー層の樹脂組成物が共有結合等で修飾され、強固な結合を形成する。また、シランカップリング剤の他端にあるビニル、メタクリロキシ、アミノ系、エポキシ系、あるいは、メルカプト等の有機官能基により、バリア層とプライマー層、及び、プライマー層と蛍光体層との密着性を高めることができる。
【0048】
シランカップリング剤としては、二元反応性を有する有機官能性シランモノマ-類を使用することができ、例えば、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル-トリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビス(β-ヒドロキシエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルシリコ-ンの水溶液等の1種ないしそれ以上を使用することができる。
【0049】
上記のシランカップリング剤は、プライマー層全量中1質量%以上で含有することが好ましく、3質量%以上で含有することがより好ましい。シランカップリング剤の含有量が上記範囲であると、バリア層とプライマー層との密着性、及び、プライマー層と蛍光体層との密着性を更に向上させることができる。なお、プライマー層の伸長性を良好とするとともに、プライマー層のクラック発生を抑制するために、シランカップリング剤は、プライマー層全量中30質量%以下で含有することが好ましく、20質量%以下で含有することがより好ましい。
【0050】
本開示において、プライマー層は、充填剤を更に含んでいても良い。充填剤は、プライマー層を形成するための塗布液の粘度等を調整し、コーティング適性等を高める役割を有する。充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、シリカ、タルク、ガラスフリット、樹脂粉末などを使用することができる。
【0051】
プライマー層は、更に、必要に応じて、安定剤、架橋剤、滑剤、紫外線吸収剤、その他等の添加剤を含んでいても良い。
【0052】
プライマー層の厚みは特に限定されるものではないが、0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。また、ハンドリング性、生産性等の観点から、プライマー層の厚みは、10μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。
【0053】
本実施形態に関するプライマー層は、光源からの光を効率よく変換するために、JIS K 7361-1:1997に基づき測定される全光線透過率が高いことが好ましい。具体的には、本実施形態に関するプライマー層は、PETフィルム(膜厚:12μm)上にプライマー層を形成した際のJIS K 7361-1:1997に基づき測定される全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
【0054】
〔拡散層〕
拡散層は、光の出射角分布の異方性の低減、及び、貼り付き防止を目的として設けられる層であり、本開示においては任意に設けられる層である。
拡散層は、バインダー樹脂及びフィラーを含む。フィラー自体がバインダー樹脂中に埋設されること、また、フィラーの少なくとも一部分がバインダー樹脂から層表面側に露出して拡散層表面に凹凸形状が付与されることによって、光の出射角分布の異方性の低減効果が得られる。
更に、拡散層表面が凹凸形状であることにより、バリアフィルムまたは波長変換シートの製造過程で、バリアフィルムまたは波長変換シート同士が接触しても貼り付きを防止する役割を有する。例えば、巻き取り方式でバリアフィルムまたは波長変換シートを製造する場合、バリアフィルムまたは波長変換シートの取り扱いが容易になるとともに、表面の傷つきを抑制することができる。また、表示装置としたときに、導光板または拡散板と波長変換シートとの貼り付きを防止する役割も有し、導光板または拡散板と波長変換シートとの擦れによる傷発生を抑制し、表示装置の外観不良の発生を低減する効果も奏する。
【0055】
拡散層のバインダー樹脂は、バリアフィルム及び波長変換シートに要求される仕様を満たすものであれば、特に制限はされない。例えば、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂等を用いることができる。高硬度を有するという観点から、バインダー樹脂はアクリル系樹脂であることが好ましい。
【0056】
フィラーは、バリアフィルム及び波長変換シートに要求される光学性能の観点から、樹脂フィラーであることが好ましい。フィラーに用いられる樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂やポリスチレン系樹脂等を挙げることができる。拡散層の耐傷性を向上させるとの観点では、アクリル系樹脂フィラーであることが特に好ましい。ここでのアクリル系樹脂とは、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステル、及びアクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のカルボキシル基又はカルボン酸エステル基を持つエチレン性不飽和単量体を単量体成分として含む重合体である。
フィラーの屈折率と樹脂バインダーの屈折率との屈折率差は、0.5以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましく、0.1以下であることがさらに好ましい。
【0057】
フィラーの平均粒径は、1μm以上50μm以下であることが好ましく、1.5μm以上10μm以下であることがより好ましい。フィラーの平均粒径が1μm以上であることにより、フィラーの少なくとも一部が拡散層の表面からより多く露出するようになり、適度な光拡散性を与えるとともに、貼り付きをより効果的に抑制することができる。フィラーの平均粒径が50μm以下であることにより、フィラーが拡散層から脱離しにくくなり、拡散層の機能低下や脱落したフィラーによる傷つきを抑制することができる。
なお、平均粒径は、例えば動的光散乱方式、レーザー回折散乱方式、又はSEM、TEM観察により測定することができる。あるいは、平均粒径は、例えば、JIS Z 8820及びJIS Z 8822に基づいた粒度分布測定において、D50の値として得られる粒径とすることもできる。
【0058】
フィラーの含有量は、拡散層全量に対して5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。5質量%以上であることにより、適度な光拡散性を与えることができるとともに、貼り付きを効果的に防止することができる。50質量%以下であることにより、バリアフィルム及び波長変換シートとして要求される光学特性を満たしやすくなり、更に拡散層の成膜性も良好とすることができる。
【0059】
拡散層は、必要に応じて、安定剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、紫外線吸収剤、その他等の添加剤を任意に含んでいても良い。
【0060】
拡散層の厚みは特に制限されず、フィラーの平均粒径、バリアフィルム及び波長変換シートに要求される仕様などに応じて適宜設定することができる。例えば、拡散層の厚みは、1.0μm以上50.0μm以下であることが好ましく、1.5μm以上10.0μm以下であることがより好ましい。尚、拡散層の厚みとは、拡散層中のフィラー以外の樹脂部分の厚さを意味し、樹脂の上に頭出ししたフィラーの部分は含まない。拡散防止層の厚みは、例えば、走査型電子顕微鏡等により断面を観察することにより測定することができる。
【0061】
[バリアフィルムの製造方法]
本開示のバリアフィルムの製造方法は、少なくとも、(1)バリア層形成工程、(2)プライマー層形成工程、を有する。
【0062】
(1)バリア層形成工程
基材層(あるいは、第1の基材)の一方の表面に、バリア層として有機被覆層及び/又は無機酸化物薄膜層を積層する。有機被覆層及び無機酸化物薄膜層をバリア層とする場合は、まず基材層(あるいは、第1の基材)上に、無機酸化物薄膜層を形成し、該無機酸化物薄膜層上に有機被覆層を形成する。
尚、基材層(あるいは、第1の基材)のバリア層が形成される面に、予め、上述した表面処理が施されていても良いし、下地層が形成されていても良い。
【0063】
無機酸化物薄膜層は、無機酸化物を蒸着することにより形成することができる。無機酸化物を蒸着する方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、及びイオンプレーティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、及び光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。
【0064】
有機被覆層は、上記ガスバリア性組成物を含むコーティング剤を塗布し、加熱により硬化させて形成することができる。コーティング剤は、所望のガスバリア性、厚み、粘度などが得られるように、上記ガスバリア性組成物に溶媒等を加えて調整される。コーティング剤を塗布する方法は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、デップコート、スプレイコート、その他のコーティング法の塗布方式を挙げることができる。
【0065】
(2)プライマー層形成工程
バリア層上に、プライマー層を形成する。プライマー層は、上記ポリウレタン系樹脂組成物を含むコーティング剤を塗布し、加熱により硬化させて形成することができる。コーティング剤は、所望のP2/P1比、P3の面積比率、厚み、粘度などが得られるように、上記ガスバリア性組成物に溶媒等を加えて調整される。ポリウレタン系樹脂組成物中の多官能イソシアネートの含有量は、NCO/OH比が1.0~3.0となるように配合される。コーティング剤を塗布する方法は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、デップコート、スプレイコート、その他のコーティング法の塗布方式を挙げることができる。
【0066】
図1に示すように基材層が複数の基材を積層させて構成される場合、本開示のバリアフィルムの製造方法は、(2)プライマー層形成工程の後に、(3)接着工程を更に有する。
(3)接着工程
接着工程では、第1の基材のバリア層と反対側の面と、第2の基材とを、接着層を介して積層する。
具体的に、第1の基材の表面に、上述した接着剤を塗布し、第2の基材を重ね合わせ、接着層を硬化させる。あるいは、第1の基材の表面に、架橋剤及び樹脂を含むコーティング剤を塗布した後、第2の基材を重ね合わせ、該コーティング剤を熱などにより架橋させる。接着剤あるいはコーティング剤を塗布する方法は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、デップコート、スプレイコート、その他のコーティング法、あるいは、印刷法等によって施すことができる。
あるいは、押出しラミネートにより、第1の基材と第2の基材との間に溶融した熱可塑性樹脂を流し、その後冷却して接着層を形成しても良い。
【0067】
なお、図1に示すように拡散層が設けられている場合、基材層または第2の基材に、予め拡散層が形成されていることが好ましい。
具体的には、樹脂とフィラーと溶剤等とを含むコーティング剤を、基材層または第2の基材のバリア層が設けられる面と反対側の表面に塗布し、硬化させて形成することができる。コーティング剤を塗布する方法は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、デップコート、スプレイコート、その他のコーティング法の塗布方式を挙げることができる。
【0068】
[バリアフィルムの用途]
本開示のバリアフィルムは、例えば、面光源の波長変換シート用のバリアフィルムに用いることができる。面光源としては、液晶表示装置のバックライト光源、検査機器のバックライト光源等が挙げられる。すなわち、本開示のバリアフィルムは、「液晶表示装置のバックライト光源の波長変換シート用のバリアフィルム」、「検査機器のバックライト光源の波長変換シート用のバリアフィルム」等に用いることができる。
さらに、本開示のバリアフィルムは、「園芸の波長変換シート用のバリアフィルム」にも用いることができる。園芸の波長変換シートとしては、例えば、紫外線を植物の成長に適した波長に変換する機能を備えたシートが挙げられる。植物の成長に適した波長としては、光合成に適した波長が挙げられる。園芸の波長変換シートは、例えば、ビニールハウス及びガラス室の園芸施設の天井等に設置することができる。
【0069】
[波長変換シート]
図2は、本開示の波長変換シートの一実施形態を模式的に説明する断面概略図である。図2の波長変換シート100は、蛍光体層60の両表面に上述したバリアフィルム10(10a,10b)を備える。なお、本開示のバリアフィルム10は、蛍光体層60の少なくとも一方の表面側に設けられれば良い。すなわち、蛍光体層60の一方の表面側に本開示のバリアフィルム10(10a)が設け、蛍光体層60の他方の表面側に上述した本開示のバリアフィルムではない他のバリアフィルムが設けられていても良い。
【0070】
〔蛍光体層〕
蛍光体層は、バックライト光源から発せられた光の発光波長を調整するための層である。蛍光体層は、蛍光体が含有された封止樹脂を積層することで形成することができる。例えば、蛍光体と封止樹脂とが含有された混合液を基材層の表面に塗布し、硬化することにより形成することができる。蛍光体層には、量子ドットからなる1種又は2種以上の蛍光体が含有される。
【0071】
蛍光体を形成する量子ドットは、量子閉じ込め効果(quantum confinement effect)を有する所定のサイズの半導体粒子である。量子ドットは、励起源から光を吸収してエネルギー励起状態に達すると、量子ドットのエネルギーバンドギャップに該当するエネルギーを放出する。量子ドットのサイズ又は物質の組成を調節すると、エネルギーバンドギャップを調節することができ、様々なレベルの波長帯のエネルギーを得ることができる。とりわけ、量子ドットは、狭い波長帯で強い蛍光を発生することができる。このため、表示装置が色純度の優れた三原色の光で照明することができるようになることで、優れた色再現性を有する表示装置とすることができる。
量子ドットは、赤に相当する波長の二次光を放出する量子ドット、緑に相当する波長の二次光を放出する量子ドット、及び、これらの組み合わせを含むことが好ましい。なお、量子ドットは、赤に相当する波長の二次光を放出する量子ドット、緑に相当する波長の二次光を放出する量子ドット以外の量子ドットを含有してもよい。
【0072】
量子ドットのコアは、半導体のナノメートルサイズの微粒子であり、量子閉じ込め効果(量子サイズ効果)を生じる材料であれば特に限定されない。量子ドットとしては、自らの粒径によって発光色が規制される半導体微粒子及びドーパントを有する半導体微粒子が挙げられる。
コアとなる材料として、具体的に、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe及びHgTeのようなII-VI族半導体化合物;AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaAs、GaP、GaN、GaSb、InN、InAs、InP、InSb、TiN、TiP、TiAs及びTiSbのようなIII-V族半導体化合物;Si、Ge及びPbのようなIV族半導体、等の半導体化合物又は半導体を含有する半導体結晶を例示できる。また、InGaPのような3元素以上を含んだ半導体化合物を含む半導体結晶を用いることもできる。
さらに、ドーパントを有する半導体微粒子からなる量子ドットとしては、上記半導体化合物に、Eu3+、Tb3+、Ag、Cuのような希土類金属のカチオン又は遷移金属のカチオンをドープしてなる半導体結晶を用いることもできる。
量子ドットのコアとなる材料としては、作製の容易性、可視域での発光を得られる粒径の制御性、蛍光量子収率の観点から、CdS、CdSe、CdTe、InP、InGaP等の半導体結晶が好適である。
【0073】
量子ドットは、1種の半導体化合物からなるものであっても、2種以上の半導体化合物からなるものであってもよい。例えば、量子ドットは、発光部としてのコアが保護層(シェル)により被覆された構造(コアシェル構造)を有していてもよい。
コアシェル型の量子ドットを用いる場合にシェルを構成する半導体としては、励起子がコアに閉じ込められるように、コアを形成する半導体化合物よりもバンドギャップの高い材料を用いることで、量子ドットの発光効率を高めることができる。
このようなバンドギャップの大小関係を有するコアシェル構造(コア/シェル)としては、例えば、CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe、CdSe/CdS、CdTe/CdS、InP/ZnS、Gap/ZnS、Si/ZnS、InN/GaN、InP/CdSSe、InP/ZnSeTe、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnS、Si/AlP、InP/ZnSTe、InGaP/ZnSTe、InGaP/ZnSSe等が挙げられる。
【0074】
量子ドットのサイズは、所望の波長の光が得られるように、量子ドットを構成する材料によって適宜制御すればよい。量子ドットは粒径が小さくなるに従い、エネルギーバンドギャップが大きくなる。すなわち、結晶サイズが小さくなるにつれて、量子ドットの発光は青色側へ、つまり、高エネルギー側へとシフトする。
一般的には、量子ドットの粒径(直径)は0.5nm~20nmの範囲であることが好ましく、特に1nm~10nmの範囲であることが好ましい。なお、量子ドットのサイズ分布が狭いほど、より鮮明な発光色を得ることができる。
量子ドットの形状は特に限定されず、例えば、球状、棒状、円盤状、その他の形状であってもよい。量子ドットの粒径は、粒子ドットが球状でない場合、同体積を有する真球状の値とすることができる。
量子ドットは、樹脂で被覆されているものであってもよい。
【0075】
量子ドットの含有量は、蛍光体層の厚み、バックライトにおける光のリサイクル率、目的とする色味等に応じて適宜調整する。蛍光体層の厚みが後述する範囲であれば、蛍光体層の封止樹脂100質量部に対して、量子ドットの含有量は、0.01~1.0質量部程度である。
【0076】
蛍光体層の封止樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。これらの中でも、耐久性の観点から、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましく、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物がより好ましい。
【0077】
熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂に架橋剤等を添加した組成物である。熱可塑性樹脂としては、EVA、アイオノマー、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリエチレン系樹脂等が挙げられる。これらを単独で使用しても良いし、若しくは1つ以上を混合して使用しても良い。
【0078】
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらを単独で使用しても良いし、若しくは1つ以上を混合して使用しても良い。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
【0079】
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。
【0080】
電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられ、その中でもエチレン性不飽和結合基が好ましい。また、エチレン性不飽和結合基の中でも(メタ)アクリレート基が好ましい。以下、(メタ)アクリロイル基を有する電離放射線硬化性化合物を(メタ)アクリレート系化合物と称する。すなわち、封止樹脂は、(メタ)アクリレート系化合物を含む組成物の硬化物を含むことが好ましい。
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。また、本明細書において、「電離放射線」は、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
【0081】
電離放射線硬化性化合物は、上記官能基を1つのみ有する単官能の電離放射線硬化性化合物であってもよく、上記官能基を2つ以上有する多官能の電離放射線硬化性化合物であってもよく、これらの混合物であってもよい。これらの中でも、多官能の電離放射線硬化性化合物が好ましく、2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有してなる多官能の(メタ)アクリレート系化合物がより好ましい。すなわち、封止樹脂は、多官能の電離放射線硬化性化合物の硬化物を含むことが好ましく、多官能(メタ)アクリレート系化合物の硬化物を含むことがより好ましい。
【0082】
多官能(メタ)アクリレート系化合物は、アルキレンオキシ基を有するものであってもよい。
アルキレンオキシ基としては、例えば、炭素数が2~4のアルキレンオキシ基が好ましく、炭素数が2又は3のアルキレンオキシ基がより好ましく、炭素数が2のアルキレンオキシ基がさらに好ましい。
【0083】
アルキレンオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレート系化合物は、複数個のアルキレンオキシ基を含むポリアルキレンオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレート系化合物であってもよい。
多官能(メタ)アクリレート系化合物がアルキレンオキシ基を有する場合、一分子中のアルキレンオキシ基の数は、2個~30個であることが好ましく、2個~20個であることがより好ましく、3個~10個であることがさらに好ましく、3個~5個であることがよりさらに好ましい。
【0084】
多官能(メタ)アクリレート系化合物がアルキレンオキシ基を有する場合、ビスフェノール構造を有することが好ましい。これにより、硬化物の耐熱性が向上する傾向にある。ビスフェノール構造としては、例えば、ビスフェノールA構造及びビスフェノールF構造が挙げられ、中でも、ビスフェノールA構造が好ましい。
アルキレンオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物としては、中でも、エトキシ化ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート及びプロポキシ化エトキシ化ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレートが好ましく、エトキシ化ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0085】
また、電離放射線硬化性化合物は、モノマーであってもよく、オリゴマーであってもよく、低分子量のポリマーであってもよく、これらの混合物であってもよい。
【0086】
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
【0087】
蛍光体層中には、内部拡散粒子を含んでいてもよい。
内部拡散粒子は、有機粒子及び無機粒子の何れも用いることができる。有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル-スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン-メラミン-ホルムアルデヒド縮合物、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂及びポリエステル等からなる粒子が挙げられる。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア及びチタニア等からなる微粒子が挙げられる。
内部拡散粒子の形状は、球形、円盤状、ラグビーボール状、不定形等の形状が挙げられる。また、内部拡散粒子は、中空粒子、多孔質粒子及び中実粒子の何れであってもよい。
【0088】
内部拡散粒子の含有量は、封止樹脂100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下であることが好ましく、3質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。
【0089】
内部拡散粒子の平均粒子径は、1μm以上7μm以下であることが好ましく、1μm以上3μm以下であることがより好ましい。
【0090】
蛍光体層の厚みは、10μm以上200μm以下であることが好ましく、20μm以上150μm以下であることがより好ましく、30μm以上130μm以下であることがさらに好ましい。
【0091】
蛍光体層の屈折率nは、1.40以上1.55以下であることが好ましく、1.43以上1.52以下であることがより好ましく、1.46以上1.50以下であることがさらに好ましい。
蛍光体層の屈折率nは、概ね封止樹脂の屈折率に支配される。蛍光体層は、量子ドットの含有量は少なく、また、内部拡散剤が入っていたとしても、内部拡散剤は粒子径が光の波長よりも大きく、層の屈折率には影響しないためである。
【0092】
[波長変換シートの製造方法]
本開示の波長変換シートは、上記製造方法により製造したバリアフィルムを少なくとも1つ用いて製造することができる。以下では、図2に示すように、蛍光体層を本開示のバリアフィルムで挟む構成の波長変換シートを製造する方法を例に挙げる。
具体的には、本開示のバリアフィルムのプライマー層の表面に、蛍光体と封止樹脂とを含む混合液(インク)を塗布する。混合液(インク)を塗布する方法は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、デップコート、スプレイコート、その他のコーティング法の塗布方式を挙げることができる。
そして、蛍光体層と、別の本開示のバリアフィルムのプライマー層と接触させる。その後、混合液(インク)を熱などにより硬化させて、波長変換シートを得る。
【0093】
[バックライト]
本開示のバックライトは、一次光を放出する少なくとも1つの光源と、該光源に隣接して配置され、導光又は拡散のための光学板と、該光学板の光出射側に配置された波長変換シート(量子ドットシート)とを備えたバックライトにおいて、該波長変換シートが上述した本開示の波長変換シートであるものである。
【0094】
本開示のバックライト200としては、図3に示すエッジライト型のバックライト、あるいは、図4に示す直下型のバックライトのいずれも採用することができる。
【0095】
図3のエッジライト型のバックライト201に用いられる光学板120は、光源110で放出された一次光を導光するための光学部材であり、いわゆる導光板121である。導光板121は、例えば、少なくとも一つの面を光入射面とし、これと略直交する一方の面を光出射面とするように成形された略平板状の形状からなる。
【0096】
導光板は、主としてポリメチルメタクリレート等の高透明な樹脂から選ばれるマトリックス樹脂からなる。導光板は、必要に応じてマトリックス樹脂と屈折率の異なる樹脂粒子が添加されていてもよい。導光板の各面は、一様な平面ではなく複雑な表面形状をしているものであってもよく、ドットパターン等が設けられていてもよい。
【0097】
図4の直下型のバックライト202に用いられる光学板120は、光源110のパターンを見えにくくするための光拡散性を有する光学部材(光拡散材122)である。光拡散材122としては、例えば、厚み1~3mm程度の乳白色の樹脂板が挙げられる。
【0098】
エッジライト型及び直下型のバックライトには、上述した光源、光学板及び波長変換シートの他に、目的に応じて、反射板、光拡散フィルム、プリズムシート、輝度上昇フィルム(BEF)及び反射型偏光フィルム(DBEF)等から選ばれる一種以上の部材を備えていてもよい。反射板は、光学板の光出射面側と反対側に配置される。光拡散フィルム、プリズムシート、輝度上昇フィルム及び反射型偏光フィルムは、光学板の光出射面側に配置される。反射板、光拡散フィルム、プリズムシート、輝度上昇フィルム及び反射型偏光フィルム等から選ばれる一種以上の部材を備える構成とすることで、正面輝度、視野角等のバランスに優れたバックライトとすることができる。
【0099】
エッジライト型及び直下型のバックライトにおいて、光源110は、一次光を放出する発光体であり、青に相当する波長の一次光を放出する発光体を用いることが好ましい。青に相当する波長の一次光は、ピーク波長が380~480nmの範囲であることが好ましい。当該ピーク波長は450nm±7nmであることがより好ましく、450nm±5nmであることがより好ましく、450nm±3nmであることがより好ましく、450nm±1nmであることがより好ましい。
光源110としては、バックライトを設置する装置が単純化及び小型化できるという観点から、LED光源であることが好ましく、青色単色のLED光源であることがより好ましい。あるいは、青色単色のLED光源の上に赤色蛍光体を塗布し、青色及び赤色を呈する光源としてもよい。光源110は、少なくとも1つであり、十分な一次光を放出するという観点から、複数個であることが好ましい。
【0100】
[表示装置]
表示装置としては、例えば液晶表示装置が挙げられる。液晶表示装置は、バックライトと、液晶パネルを備えている。該バックライトが上記した本開示のバックライトである。
【0101】
液晶パネルは、特に限定されず、液晶表示装置の液晶パネルとして汎用のものを用いることができる。例えば、液晶層の上下をガラス板で挟んだ一般的な構造を有する液晶パネル、具体的には、TN、STN、VA、IPS及びOCB等の表示方式のものを用いることができる。
【0102】
液晶表示装置は、さらに、偏光板及びカラーフィルタ等を備える。偏光板及びカラーフィルタは汎用のものを用いることができる。
【0103】
本開示の波長変換シートは、バリアフィルムと蛍光体層との密着性が特に優れたものである。このため、本開示の波長変換シートを表示装置(液晶表示装置)に適用した場合に、外部環境からの水蒸気や酸素の侵入による蛍光体層の劣化を効果的に抑制することができる。この結果、環境安定性に優れるバックライト光源を備える表示装置とすることができる。
【実施例
【0104】
以下、実施例及び比較例を挙げて本開示を具体的に説明する。なお、本開示は、実施例に記載の形態に限定されるものではない。
【0105】
1.評価、測定
下記製法により製造されたバリアフィルム及び波長変換シートについて、以下の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。なお、特記しない限り、及び、試験が特定の環境下で行われない限り、各測定及び評価時の雰囲気は、温度23±5℃、相対湿度40~65%とし、各測定及び評価の開始前に、対象サンプルを前記雰囲気に30分以上晒してから測定及び評価を行った。
【0106】
1-1.XPS分析
バリアフィルムから測定用片を切り出した。X線光電子分光分析装置を用いて、以下に記載する条件で各測定用片のプライマー層表面のX線光電子スペクトルを測定した。
<測定>
装置:アルバック・ファイ(株)製 PHI 5000 VersaProbe III
X線源:AlKα
X線出力:50W
エミッション電流:3.3mA
加速電圧:15kV
測定領域:600μm×300μm
【0107】
C1sスペクトルについて、C―C結合、C-O結合、O-C=O結合についてピーク分離を行った。代表として、実施例1についてのC1sスペクトルとピーク分離結果を図5に示す。図5は、C1sスペクトルで3つのピークが観測され、284.1~285.1eV付近のピークをC-C結合由来のシグナル、286.0~286.8eV付近のピークをC-O結合由来のシグナル、288.0~289.2eV付近のピークをC=O結合由来のシグナルとしてピーク分離を行った結果である。
【0108】
C―C結合のピーク面積P1、C-O結合のピーク面積P2、及び、O-C=O結合のピーク面積P3を算出し、P1,P2,P3の合計に対する各ピーク面積の比率(ピーク面積比)を算出した。更に、P2/P1を求めた。P1,P2,P3の各比率、及び、P2/P1を表1に示す。
【0109】
X線光電子スペクトルから、プライマー層中に含まれる元素を特定し、各元素についてのスペクトル面積にそれぞれ相対感度因子を掛け合わせ、スペクトル面積の合計を算出した。そして、全スペクトル面積に対するN1sスペクトルのC-N結合ピークの面積の比率から、全化学結合種に対するC-N結合の含有量を算出した。結果を表1に示す。
【0110】
1-2.密着性
波長変換シートを25mm×150mmに切り出し、試験片を作製した。卓上型材料試験機(STA-1150、高千穂精機(株)製)を用い、23℃の温度環境下、引張速度:300mm/分、剥離方向180°、チャック間距離:15mmの条件でピーリング試験を行い、各試験片についてバリアフィルムと蛍光体層との間の剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
【0111】
1-3.濡れ指数
異なる表面張力を有する複数の濡れ指数標準液(パシフィック化学製、商品名「テンションチェッカー」)をそれぞれ、実施例及び比較例のプライマー層上に塗布し、約3秒後に、液膜の破れまたは液膜全体の収縮、の有無を確認した。液膜に破れまたは収縮を生じさせることなくプライマー層上に塗ることができた濡れ指数標準液の表面張力の値のうち最も大きい値を、プライマー層の濡れ指数とした。結果を表1に示す。
【0112】
2.試料の作製
2-1.バリアフィルムの作製
<実施例1>
第1の基材として、PETフィルム(厚み:12μm)上に、真空蒸着法により酸化アルミニウム薄膜(AlOx、目標厚み:8nm)を蒸着し、無機酸化物薄膜層を形成した。
【0113】
水、イソプロピルアルコ―ル及び0.5N塩酸を混合した溶液(pH2.2)に、テトラエトキシシランを10℃になるように冷却しながら混合させて、溶液Aを調整した。別途、ケン化価99%以上のポリビニルアルコール、イソプロピルアルコールを混合した溶液Bを調整した。溶液Aと溶液Bとを混合し、有機被覆層形成用塗布液(固形分:5%)を調整した。
次いで、無機酸化物薄膜層上に、有機被覆層形成用塗布液をグラビア印刷により塗布し、180℃で60秒間加熱処理し、厚み180nmの有機被覆層を形成した。
【0114】
次いで、NCO/OH比が1.4となるように、下記処方のプライマー層形成用塗布液を調整した。
・ポリエステルポリウレタンポリオール(水酸基価:62mgKOH/g、固形分20%) 50質量部
・シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン) 1質量部
・シリカフィラー(平均粒径5μm) 8質量部
・硬化剤(1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、固形分35%) 1質量部
・溶剤(MEK) 50質量部
【0115】
次いで、有機被覆層上に、プライマー層形成用塗布液を塗布し、80℃で60秒間乾燥させて、厚み0.4μmのプライマー層を形成した。
【0116】
第1の基材の無機酸化物薄膜層~プライマー層が形成された面と反対側の面に、ウレタン系接着剤(ロックペイント社製、商品名「RU-004、H-1」)をグラビア印刷により塗布し、乾燥させ、厚み4μmの接着層を形成した。
【0117】
次いで、第1の基材の接着層側に、第2の基材としてPETフィルム(厚み:100μm)を配置し、ニップ圧:0.2MPa、ライン速度:50m/分の条件で第1の基材と第2の基材とを貼り合わせ、実施例1のバリアフィルムを作製した。
【0118】
<実施例2>
NCO/OH比が1.5となるように下記処方のプライマー層形成用塗布液を用いたこと以外は、実施例1と同様の工程にて実施例2のバリアフィルムを作製した。
・ポリエステルポリウレタンポリオール(水酸基価:42mgKOH/g、固形分20%) 50質量部
・シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン) 1質量部
・シリカフィラー(平均粒径5μm) 1質量部
・硬化剤(1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、固形分35%) 6質量部
・溶剤(MEK) 50質量部
【0119】
<実施例3>
NCO/OH比が1.3となるように下記処方のプライマー層形成用塗布液を用いたこと以外は、実施例1と同様の工程にて実施例3のバリアフィルムを作製した。
・ポリエステルポリウレタンポリオール(水酸基価:50mgKOH/g、固形分20%) 50質量部
・シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン) 1質量部
・シリカフィラー(平均粒径5μm) 1質量部
・硬化剤(1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、固形分35%) 6質量部
・溶剤(MEK) 50質量部
【0120】
<実施例4>
NCO/OH比が1.2となるように下記処方のプライマー層形成用塗布液を用いたこと以外は、実施例1と同様の工程にて実施例4のバリアフィルムを作製した。
・ポリエステルポリウレタンポリオール(水酸基価:52mgKOH/g、固形分20%) 50質量部
・シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン) 1質量部
・シリカフィラー(平均粒径5μm) 1質量部
・硬化剤(1,3-キシリレンジイソシアネート、固形分35%) 5質量部
・溶剤(MEK) 50質量部
【0121】
<比較例1>
NCO/OH比が1.0となるように下記処方のプライマー層形成用塗布液を用いたこと以外は、実施例1と同様の工程にて比較例1のバリアフィルムを作製した。
・ポリエステルポリウレタンポリオール(水酸基価:33mgKOH/g、固形分20%) 50質量部
・シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン) 1質量部
・シリカフィラー(平均粒径5μm) 1質量部
・硬化剤(1,3-キシリレンジイソシアネート、固形分35%) 3質量部
・溶剤(MEK) 50質量部
【0122】
<比較例2>
NCO/OH比が0.8となるように下記処方のプライマー層形成用塗布液を用いたこと以外は、実施例1と同様の工程にて比較例2のバリアフィルムを作製した。
・ポリエステルポリウレタンポリオール(水酸基価:38mgKOH/g、固形分20%) 50質量部
・シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン) 1質量部
・シリカフィラー(平均粒径5μm) 1質量部
・硬化剤(1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、固形分35%) 3質量部
・溶剤(MEK) 50質量部
【0123】
<比較例3>
NCO/OH比が0.7となるように下記処方のプライマー層形成用塗布液を用いたこと以外は、実施例1と同様の工程にて比較例3のバリアフィルムを作製した。
・ポリエステルポリウレタンポリオール(水酸基価:29mgKOH/g、固形分20%) 50質量部
・シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン) 1質量部
・シリカフィラー(平均粒径5μm) 1質量部
・硬化剤(1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、固形分35%) 2質量部
・溶剤(MEK) 50質量部
【0124】
<比較例4>
NCO/OH比が0.9となるように下記処方のプライマー層形成用塗布液を用いたこと以外は、実施例1と同様の工程にて比較例4のバリアフィルムを作製した。
・ポリエステルポリウレタンポリオール(水酸基価:35mgKOH/g、固形分20%) 50質量部
・シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン) 1質量部
・シリカフィラー(平均粒径5μm) 1質量部
・硬化剤(1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、固形分35%) 3質量部
・溶剤(MEK) 50質量部
【0125】
<比較例5>
下記処方のプライマー層形成用塗布液を用いたこと以外は、実施例1と同様の工程にて比較例5のバリアフィルムを作製した。比較例5の塗布液に硬化剤は添加しなかった。すなわち、比較例5のNCO/OH比は0である。
・ポリエステルポリウレタンポリオール(水酸基価:32mgKOH/g、固形分20%) 50質量部
・シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン) 1質量部
・シリカフィラー(平均粒径5μm) 1質量部
・溶剤(MEK) 50質量部
【0126】
実施例1~4、比較例1~5について、プライマー層形成用塗布液の塗布量を表1に示した。
【0127】
2-2.波長変換シートの作製
コアがセレン化カドミウム(CdSe)、シェルが硫化亜鉛(ZnS)からなる蛍光体(平均粒径3~5nmの量子ドット)に、封止樹脂(電離放射線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂)を、封止樹脂100質量部に対して蛍光体が1質量部となるように混合して蛍光体層形成用混合液(インク)を作製した。
【0128】
実施例及び比較例のバリアフィルムのプライマー層上に、厚み100μm(乾燥後)となるように上記インクを塗布し、蛍光体層を形成した。
実施例及び比較例のバリアフィルム(それぞれ、上記インクを塗布したバリアフィルムと同じもの)を、上記蛍光体層上にプライマー層が蛍光体層と接触するように積層させ、UV硬化ラミネートすることにより、実施例1~4、比較例1~5の波長変換シートを作製した。
【0129】
3.結果
【表1】
【0130】
図6は、各実施例及び比較例について、P2/P1と密着性との関係を表すグラフである。図6において、横軸はP2/P1、縦軸はプライマー層と蛍光体層との界面の剥離強度である。
プライマー層と蛍光体層との界面の剥離強度は、P2/P1が0.50付近で急激に変化することが図6から読み取れる。P2/P1が0.55以上であることにより、剥離強度が13N/25mm以上となり、プライマー層と蛍光体層との間の密着性が良好となった。また、実施例は水酸基価が高く、このためP2/P1が高くなり密着性が向上したと考えられる。一方、表1に示すように、プライマー層表面の濡れ指数とP2/P1の値とに相関は見られなかった。このことから、プライマー層表面の濡れ性は、プライマー層と蛍光体層との間の密着性に影響が小さいと考えられる。
【符号の説明】
【0131】
10(10a,10b) バリアフィルム
20 基材層
20-1 第1の基材
20-2 第2の基材
22 接着剤層
30 バリア層
32 無機酸化物薄膜層
34 有機被覆層
40 プライマー層
50 拡散層
60 蛍光体層
100 波長変換シート
110 光源
120 光学板
121 導光板
122 拡散板
130 反射板
140 プリズムシート
200 バックライト
201 エッジライト型バックライト
202 直下型バックライト
図1
図2
図3
図4
図5
図6