IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TOTO株式会社の特許一覧

特許7193011摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法
<>
  • 特許-摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法 図1
  • 特許-摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法 図2
  • 特許-摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法 図3
  • 特許-摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法 図4
  • 特許-摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法 図5
  • 特許-摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法 図6
  • 特許-摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法 図7
  • 特許-摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法 図8
  • 特許-摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法 図9
  • 特許-摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法 図10
  • 特許-摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法 図11
  • 特許-摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法 図12
  • 特許-摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法 図13
  • 特許-摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法 図14
  • 特許-摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法 図15
  • 特許-摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法 図16
  • 特許-摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法 図17
  • 特許-摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法 図18
  • 特許-摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法 図19
  • 特許-摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法 図20
  • 特許-摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置及び摂取栄養量出力方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/497 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
G01N33/497 D
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021568192
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(86)【国際出願番号】 JP2020036136
(87)【国際公開番号】W WO2022064616
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2021-11-12
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 瑞希
(72)【発明者】
【氏名】岡山 功
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】中村 良次
【審査官】西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-074328(JP,A)
【文献】特開2017-067538(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01949852(EP,A1)
【文献】特表2003-524756(JP,A)
【文献】特開平07-274849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ空間に設置され、前記トイレ空間の使用者の排泄に関する排泄臭を検知するセンサと、
前記センサの出力値に基づく入力に応じて、前記使用者が摂取したと推定される栄養の量を示す情報を出力する推定モデルの出力を用いて、前記使用者が摂取した栄養量である推定摂取栄養量を推定する推定手段と、
前記推定摂取栄養量に基づく情報を出力する出力手段と、
を有することを特徴とする摂取栄養量推定システム。
【請求項2】
前記使用者が目標とする栄養摂取量である栄養摂取目標量を記憶する記憶手段、
をさらに備え、
前記出力手段は、
前記栄養摂取目標量と、前記推定摂取栄養量とを出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の摂取栄養量推定システム。
【請求項3】
前記使用者が目標とする栄養摂取量である栄養摂取目標量を記憶する記憶手段、
をさらに備え、
前記出力手段は、
前記栄養摂取目標量と、前記推定摂取栄養量との相違を出力する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の摂取栄養量推定システム。
【請求項4】
前記出力手段は、
前記栄養摂取目標量と、前記推定摂取栄養量との相違に基づく推奨情報を表示する
ことを特徴とする請求項3に記載の摂取栄養量推定システム。
【請求項5】
前記記憶手段に記憶された栄養摂取目標量は、
前記使用者の選択、または前記使用者に関する情報に基づいて設定される
ことを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の摂取栄養量推定システム。
【請求項6】
前記推定手段は、前記推定摂取栄養量として、使用者が摂取した栄養のバランスである推定摂取栄養バランスを推定し、
前記出力手段は、前記推定摂取栄養バランスに基づく情報を出力する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の摂取栄養量推定システム。
【請求項7】
前記推定手段は、前記推定摂取栄養量として、使用者が摂取した特定の栄養素の量である推定摂取特定栄養量を推定し、
前記出力手段は、前記推定摂取特定栄養量に基づく情報を出力する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の摂取栄養量推定システム。
【請求項8】
前記出力手段は、
炭水化物、脂質、蛋白質、ビタミン、ミネラルから選択される少なくとも2つの栄養素のバランスをグラフで表示する
ことを特徴とする請求項6に記載の摂取栄養量推定システム。
【請求項9】
前記センサは、
前記トイレ空間の便座または大便器に設置される
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の摂取栄養量推定システム。
【請求項10】
前記推定手段は、
電気通信回線を介して前記出力手段と通信可能に接続され、
前記推定手段から前記出力手段への情報伝達は、前記電気通信回線を通じて行われる
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の摂取栄養量推定システム。
【請求項11】
前記使用者を認証する認証手段、
をさらに備えることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の摂取栄養量推定システム。
【請求項12】
前記推定摂取栄養量のデータを電気通信回線により、端末装置に送信する送信手段、
をさらに有することを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の摂取栄養量推定システム。
【請求項13】
前記排泄臭は、
前記使用者が排泄した便、尿、及びガスのうち少なくとも1つの臭いを含む
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の摂取栄養量推定システム。
【請求項14】
トイレ空間に設置されたセンサにより前記トイレ空間の使用者の排泄に関する排泄臭を検知する検知工程と、
前記センサの出力値に基づく入力に応じて、前記使用者が摂取したと推定される栄養の量を示す情報を出力する推定モデルの出力を用いて、前記使用者が摂取した栄養の量である推定摂取栄養量を推定する推定工程と、
前記推定摂取栄養量に基づく情報を出力する出力工程と、
を含むことを特徴とする摂取栄養量推定方法。
【請求項15】
トイレ空間に設置されたセンサが前記トイレ空間の使用者の排泄に関する排泄臭の検知により出力した出力値を取得する取得部と、
前記センサの出力値に基づく入力に応じて、前記使用者が摂取したと推定される栄養の量を示す情報を出力する推定モデルの出力を用いて、前記使用者が摂取した栄養の量である推定摂取栄養量を推定する推定部と、
を備えることを特徴とする摂取栄養量推定装置。
【請求項16】
コンピュータが実行する摂取栄養量推定方法であって、
トイレ空間に設置されたセンサが前記トイレ空間の使用者の排泄に関する排泄臭の検知により出力した出力値を取得する取得工程と、
前記センサの出力値に基づく入力に応じて、前記使用者が摂取したと推定される栄養の量を示す情報を出力する推定モデルの出力を用いて、前記使用者が摂取した栄養の量である推定摂取栄養量を推定する推定工程と、
を含むことを特徴とする摂取栄養量推定方法。
【請求項17】
コンピュータが実行する摂取栄養量出力方法であって、
トイレ空間に設置されたセンサが前記トイレ空間の使用者の排泄に関する排泄臭の検知により出力した出力値に基づく入力に応じて、前記使用者が摂取したと推定される栄養の量を示す情報を出力する推定モデルの出力を用いて推定された前記使用者の摂取栄養量に基づく情報と、前記使用者が目標とする栄養摂取量である栄養摂取目標量に基づく情報とを取得する取得工程と、
前記栄養摂取目標量に基づく情報を、前記摂取栄養量に基づく情報とともに出力する出力工程と、
を含むことを特徴とする摂取栄養量出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置、記憶媒体及び摂取栄養量出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向は高まり日々健康状態をモニタリング(観察)することで、健康状態を確認し必要に応じて生活を改善していく事の必要性が高まっている。人体から排泄される排泄物は人間の健康状態を示す重要なバイタルサインと言え、排泄物から発する臭い(排便ガス)等の情報を用いて、その排泄物を排泄した人間の食事内容等を判別する技術が提供されている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
また、排泄物から発する排便ガスと摂取した食事との関係が現在明らかになりつつある。例えば、バランスの良い食事をした場合は、短鎖脂肪酸類(酢酸、プロピオン酸、酪酸)が排便ガスに含まれる。また、炭水化物(糖質)の過剰摂取を行った場合は、乳酸、コハク酸、ギ酸、分岐脂肪酸(イソ酪酸、イソ吉草酸)が排便ガスに含まれる。また、タンパク質の過剰摂取を行った場合は、アンモニア、フェノール、硫化水素が排便ガスに含まれる。更に、脂質の過剰摂取を行った場合は、硫化水素、アミン類、胆汁酸、脂肪便由来の酸性ガスが排便ガスに含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-74328号公報
【文献】特開平7-274849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなシステムでは、トイレ空間の使用者が摂取した栄養を観察するためのトイレ空間の使用者の負荷を抑制することができるとは限らない。
【0006】
例えば、特許文献1は、飲食物の画像情報とラベルに記載されたバーコード情報、すなわちトイレ空間の使用者の排泄に関する情報以外が必要となり、システムが複雑化するとともに、トイレ空間の使用者への負荷が増大する。また、特許文献2も、人間(トイレ空間の使用者)が食する食情報が必要であり、同様にトイレ空間の使用者の排泄に関する情報以外が必要となる。このように、特許文献1、2では、栄養の観察対象となる人間(トイレ空間の使用者)に係る負荷が大きく、利便性が高いとは言い難い。そのため、トイレ空間の使用者に負荷をかけずに、トイレ空間の使用者が摂取した栄養を観察可能にすることが望まれている。
【0007】
上記のような点を鑑みて、トイレ空間の使用者が摂取した栄養を観察するためのトイレ空間の使用者の負荷を抑制することが課題となる。
【0008】
開示の実施形態は、トイレ空間の使用者が摂取した栄養を観察するためのトイレ空間の使用者の負荷を抑制することができる摂取栄養量推定システム、摂取栄養量推定方法、摂取栄養量推定装置、記憶媒体及び摂取栄養量出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムは、トイレ空間に設置され、前記トイレ空間の使用者の排泄に関する排泄臭を検知するセンサと、前記センサの出力値に基づく入力に応じて、前記使用者が摂取したと推定される栄養の量を示す情報を出力する推定モデルの出力を用いて、前記使用者が摂取した栄養の量である推定摂取栄養量を推定する推定手段と、前記推定摂取栄養量に基づく情報を出力する出力手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムによれば、トイレ空間の使用者の食事等の情報を用いることなく、トイレ空間に設置されたセンサの出力値と推定モデルとを用いて、トイレ空間の使用者が摂取した栄養の量を推定する。これにより、摂取栄養量推定システムは、トイレ空間の使用者が摂取した栄養を観察するためのトイレ空間の使用者の負荷を抑制することができる。そして、トイレ空間の使用者やその使用者の栄養を管理する者等(以下「使用者等」ともいう)は、出力された推定摂取栄養量に基づく情報を参照することにより、使用者等が使用者の食事傾向を把握することができ、摂取栄養の改善に役立てることができる。
【0011】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムは、前記使用者が目標とする栄養摂取量である栄養摂取目標量を記憶する記憶手段、をさらに有し、前記出力手段は、前記栄養摂取目標量と、前記推定摂取栄養量とを出力することを特徴とする。
【0012】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムによれば、目標栄養量に基づく情報と現状の栄養量に基づく情報との両方を出力することで、目標栄養と現状の栄養との関係を使用者等に認識させることができる。例えば、摂取栄養量推定システムは、目標栄養量と現状の栄養量との両方を表示することで、目標栄養量と現状の栄養量との関係を可視化することができる。これにより、使用者等が使用者の摂取栄養について目標と現実とを比較することができ、現実と目標との差を把握し、摂取栄養の改善に役立てることができる。
【0013】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムは、前記使用者が目標とする栄養摂取量である栄養摂取目標量を記憶する記憶手段、をさらに備え、前記出力手段は、前記栄養摂取目標量と、前記推定摂取栄養量との相違を出力する。
【0014】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムによれば、使用者が目標とする栄養摂取目標量と推定摂取栄養量との相違を出力することで、使用者等が現実と目標との差を把握し、摂取栄養の改善に役立てることができる。
【0015】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムにおいて、出力手段は、栄養摂取目標量と、推定摂取栄養量との相違に基づく推奨情報を表示する。
【0016】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムによれば、使用者が目標とする栄養摂取目標量と推定摂取栄養量との相違に基づく推奨情報を表示することで、使用者等が推奨情報によりどのように摂取栄養を改善すべきかを把握することができ、摂取栄養の改善に役立てることができる。
【0017】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムにおいて、前記記憶手段に記憶された栄養摂取目標量は、前記使用者の選択、または前記使用者に関する情報に基づいて設定される。
【0018】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムによれば、トイレ空間の使用者等は、使用者の状況に合わせて、適切な目標値を設定することができる。このように、摂取栄養量推定システムは、トイレ空間の使用者が摂取した栄養を観察するためのトイレ空間の使用者の負荷を抑制することができる。
【0019】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムにおいて、前記推定手段は、前記推定摂取栄養量として、使用者が摂取した栄養のバランスである推定摂取栄養バランスを推定し、前記出力手段は、前記推定摂取栄養バランスに基づく情報を出力する。
【0020】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムによれば、使用者等は、出力された推定摂取栄養バランスを参照することにより、使用者等が使用者の食事傾向を把握することができ、摂取栄養バランスの改善に役立てることができる。
【0021】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムにおいて、前記推定手段は、前記推定摂取栄養量として、使用者が摂取した特定の栄養素の量である推定摂取特定栄養量を推定し、前記出力手段は、前記推定摂取特定栄養量に基づく情報を出力する。
【0022】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムによれば、使用者等は、出力された特定の栄養素の量の推定摂取特定栄養量に基づく情報を参照することにより、使用者等が特定の栄養素の量の摂取状況を把握することができ、特定の栄養素の量に関する摂取の改善に役立てることができる。
【0023】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムにおいて、前記出力手段は、炭水化物、脂質、蛋白質、ビタミン、ミネラルから選択される少なくとも2つの栄養素のバランスをグラフで表示する。
【0024】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムによれば、栄養素のバランスをグラフで表示することで、使用者等に視覚的に栄養バランスを提示することができる。例えば、摂取栄養量推定システムは、少なくとも2つの栄養素に着目し、且つ視覚的に栄養バランスを表示することができる。これにより、使用者等は栄養バランスを直感的に把握することができる。
【0025】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムにおいて、前記センサは、前記トイレ空間の便座または大便器に設置される。
【0026】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムによれば、排便ガス等の排泄臭を検出しやすい場所に配置することにより、検知精度を向上させることができる。
【0027】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムにおいて、前記推定手段は、電気通信回線を介して前記出力手段と通信可能に接続され、前記推定手段から前記出力手段への情報伝達は、前記電気通信回線を通じて行われる。
【0028】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムによれば、摂取栄養量推定装置等の推定手段と、ユーザ端末等の出力手段とを任意の配置とすることができ、柔軟なシステム構成を実現することができる。
【0029】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムは、前記使用者を認証する認証手段、をさらに有する。
【0030】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムによれば、個人認証により、個人情報の保護が可能になる。また、摂取栄養量推定システムは、トイレ空間の使用者を認証することで、収集した排泄臭とその排泄臭を発生させた主体である使用者とを対応付けて管理することができる。
【0031】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムは、前記推定摂取栄養量のデータを電気通信回線により、端末装置に送信する送信手段、をさらに有する。
【0032】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムによれば、情報をより見やすい場所に表示したり、健康管理に必要な知見者の元に情報を伝達したりすることができる。
【0033】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムにおいて、前記排泄臭は、前記使用者が排泄した便、尿、及びガスのうち少なくとも1つの臭いを含む。
【0034】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定システムによれば、使用者が排泄した便、尿、及びガス等の種々の臭いを用いて、使用者の摂取栄養量を推定することができる。
【0035】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定方法は、トイレ空間に設置されたセンサにより前記トイレ空間の使用者の排泄に関する排泄臭を検知する検知工程と、前記センサの出力値に基づく入力に応じて、前記使用者が摂取したと推定される栄養の量を示す情報を出力する推定モデルの出力を用いて、前記使用者が摂取した栄養の量である推定摂取栄養量を推定する推定工程と、前記推定摂取栄養量に基づく情報を出力する出力工程と、を含むことを特徴とする。
【0036】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定方法によれば、トイレ空間の使用者の食事等の情報を用いることなく、トイレ空間に設置されたセンサの出力値と推定モデルとを用いて、トイレ空間の使用者が摂取した栄養の量を推定する。これにより、摂取栄養量推定方法は、トイレ空間の使用者が摂取した栄養を観察するためのトイレ空間の使用者の負荷を抑制することができる。そして、トイレ空間の使用者等は、出力された推定摂取栄養量に基づく情報を参照することにより、使用者等が使用者の食事傾向を把握することができ、摂取栄養の改善に役立てることができる。
【0037】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定装置は、トイレ空間に設置されたセンサが前記トイレ空間の使用者の排泄に関する排泄臭の検知により出力した出力値を取得する取得部と、前記センサの出力値に基づく入力に応じて、前記使用者が摂取したと推定される栄養の量を示す情報を出力する推定モデルの出力を用いて、前記使用者が摂取した栄養の量である推定摂取栄養量を推定する推定部と、を備えることを特徴とする。
【0038】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定装置によれば、トイレ空間の使用者の食事等の情報を用いることなく、トイレ空間に設置されたセンサの出力値と推定モデルとを用いて、トイレ空間の使用者が摂取した栄養の量を推定する。これにより、摂取栄養量推定装置は、トイレ空間の使用者が摂取した栄養を観察するためのトイレ空間の使用者の負荷を抑制することができる。そして、摂取栄養量推定装置は、推定した推定摂取栄養量に基づく情報をトイレ空間の使用者等に提供することにより、使用者等が使用者の食事傾向を把握することができ、摂取栄養の改善に役立てることができる。
【0039】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定方法は、コンピュータが実行する摂取栄養量推定方法であって、トイレ空間に設置されたセンサが前記トイレ空間の使用者の排泄に関する排泄臭の検知により出力した出力値を取得する取得工程と、前記センサの出力値に基づく入力に応じて、前記使用者が摂取したと推定される栄養の量を示す情報を出力する推定モデルの出力を用いて、前記使用者が摂取した栄養の量である推定摂取栄養量を推定する推定工程と、を含むことを特徴とする。
【0040】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量推定方法によれば、トイレ空間の使用者の食事等の情報を用いることなく、トイレ空間に設置されたセンサの出力値と推定モデルとを用いて、トイレ空間の使用者が摂取した栄養の量を推定する。これにより、摂取栄養量推定方法は、トイレ空間の使用者が摂取した栄養を観察するためのトイレ空間の使用者の負荷を抑制することができる。そして、トイレ空間の使用者等は、摂取栄養量推定値を参照することにより、使用者等が使用者の食事傾向を把握することができ、摂取栄養の改善に役立てることができる。
【0041】
実施形態の一態様に係る記憶媒体は、コンピュータが実行する記憶媒体であって、トイレ空間に設置されたセンサが前記トイレ空間の使用者の排泄に関する排泄臭の検知により出力した出力値に基づく入力に応じて、前記使用者が摂取したと推定される栄養の量を示す情報を出力する推定モデルの出力を用いて推定された前記使用者の摂取栄養量に基づく情報と、前記使用者が目標とする栄養摂取量である栄養摂取目標量に基づく情報とを取得する取得手順と、前記栄養摂取目標量に基づく情報を、前記摂取栄養量に基づく情報とともに出力するためのプログラムが非一時的に記録される。
【0042】
実施形態の一態様に係る記憶媒体によれば、記録されたプログラム(出力プログラム)により、トイレ空間の使用者が目標とする栄養摂取量に基づく情報を、推定した使用者の栄養摂取量に基づく情報とともに出力することで、使用者が自身の目標と現状とを簡単に比較することを可能にすることができる。このように、記憶媒体は、トイレ空間の使用者が摂取した栄養を観察するためのトイレ空間の使用者の負荷を抑制することができる。
【0043】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量出力方法は、コンピュータが実行する摂取栄養量出力方法であって、トイレ空間に設置されたセンサが前記トイレ空間の使用者の排泄に関する排泄臭の検知により出力した出力値に基づく入力に応じて、前記使用者が摂取したと推定される栄養の量を示す情報を出力する推定モデルの出力を用いて推定された前記使用者の摂取栄養量に基づく情報と、前記使用者が目標とする栄養摂取量である栄養摂取目標量に基づく情報とを取得する取得工程と、前記栄養摂取目標量に基づく情報を、前記摂取栄養量に基づく情報とともに出力する出力工程と、を含むことを特徴とする。
【0044】
実施形態の一態様に係る摂取栄養量出力方法によれば、トイレ空間の使用者が目標とする栄養摂取量に基づく情報を、推定した使用者の栄養摂取量に基づく情報とともに出力することで、使用者が自身の目標と現状とを簡単に比較することを可能にすることができる。このように、摂取栄養量出力方法は、トイレ空間の使用者が摂取した栄養を観察するためのトイレ空間の使用者の負荷を抑制することができる。
【発明の効果】
【0045】
実施形態の一態様によれば、トイレ空間の使用者が摂取した栄養を観察するためのトイレ空間の使用者の負荷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、実施形態に係る摂取栄養量推定処理の一例を示す図である。
図2図2は、摂取栄養量出力装置の表示例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る摂取栄養量推定システムの構成例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る摂取栄養量推定装置の構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る栄養摂取目標バランス情報記憶部の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係るモデル情報記憶部の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係るユーザ情報記憶部の一例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係るユーザ端末の構成の一例を示すブロック図である。
図9図9は、実施形態に係る摂取栄養量推定処理の一例を示すシーケンス図である。
図10図10は、摂取栄養量推定装置が実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、摂取栄養量出力装置が実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、摂取栄養バランス推定の一例を示す図である。
図13図13は、センサの出力値の一例を示す図である。
図14図14は、摂取栄養バランスの表示の一例を示す図である。
図15図15は、摂取栄養バランスの表示の一例を示す図である。
図16図16は、摂取栄養バランスの表示の一例を示す図である。
図17図17は、摂取栄養バランスの表示の変形例を示す図である。
図18図18は、摂取栄養バランスの表示の変形例を示す図である。
図19図19は、摂取栄養バランスの表示の変形例を示す図である。
図20図20は、摂取栄養バランスの表示の変形例を示す図である。
図21図21は、摂取栄養バランスの推定に基づく推奨の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する摂取栄養量推定システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0048】
<1.摂取栄養量推定処理>
まず、実施形態に係る摂取栄養量推定システム1(図3参照)において実行される情報処理の概要について図1を参照して説明する。図1は、実施形態に係る摂取栄養量推定処理の一例を示す図である。以下では、推定する摂取栄養の量(推定摂取栄養量)の一例として、人が摂取した栄養のバランス(「摂取栄養バランス」ともいう)を示すが、推定摂取栄養量は各栄養素の摂取量等であってもよい。また、以下では、摂取栄養バランスの一例として、炭水化物、脂質、蛋白質(タンパク質)の3つの栄養素のバランスを対象とする場合を示すが、摂取栄養バランスの対象には、ビタミン、ミネラル等の他の栄養素が含まれてもよい。
【0049】
図1の例は、家庭(住宅)のトイレであるトイレ空間PS1をトイレ空間の一例として、トイレ装置(以下「トイレTL」とする)が配置されたトイレ空間PS1の概略平面図を示す。図1の例では、便、尿、及びガスのうち少なくとも1つの臭いを含む排泄臭を検知する臭いセンサとして機能するセンサ装置50がトイレTLの便座TSに設置される場合を示す。
【0050】
図1では、ユーザU1をトイレ空間PS1の使用者の一例とし、ユーザU1が利用するユーザ端末10を摂取栄養量出力装置の一例として説明する。なお、摂取栄養量出力装置はユーザ端末10に限られないがこの点については後述する。
【0051】
まず、図1の例では、日時t1において、ユーザU1がユーザ端末10を用いて、ユーザU1が目標とする栄養摂取バランス(「栄養摂取目標バランス」ともいう)を設定する(ステップS1)。ユーザ端末10には、摂取栄養バランスをモニタリングするためのアプリケーション(「栄養バランスモニタリングアプリ」ともいう)がインストールされており、ユーザU1は栄養バランスモニタリングアプリにより栄養摂取目標バランスを設定する。例えば、ユーザU1は、ユーザ端末10を操作して、「Modern Standard」(図5参照)を栄養摂取目標バランスに設定する。ユーザ端末10は、設定されたユーザU1の栄養摂取目標バランスを示す情報を、摂取栄養量推定装置100に送信する。なお、ユーザU1の栄養摂取目標バランスは、ユーザU1自身が設定する場合に限らず、ユーザU1の属性情報等を基に自動で設定されてもよい。
【0052】
そして、日時t2において、センサ装置50が設置されたトイレ空間PS1においてユーザU1が排泄行為を行い、センサ装置50は、ユーザU1の排泄臭を検知する(ステップS2)。そして、センサ装置50は、ユーザU1の排泄臭の検知に応じた出力値を摂取栄養量推定装置100に送信する。これにより、摂取栄養量推定装置100は、ユーザU1の排泄臭に対応するセンサ装置50の出力値を取得する(ステップS3)。なお、摂取栄養量推定システム1は、日時t2にトイレ空間PS1を利用した人がユーザU1であることの特定(個人認証)を、ユーザ端末10や他の装置(デバイス)を用いて行ってもよいが、この点については後述する。例えば、図1の例では、トイレ空間PS1に設置され、ユーザによるトイレに関する種々の操作を受け付ける装置(「トイレ操作装置」ともいう)を用いて個人認証を行う。例えば、トイレ操作装置は、温水洗浄便座のお尻洗浄の強度や位置を変更するためのリモコンであってもよい。ユーザU1がトイレ操作装置を操作し、日時t2にトイレ空間PS1を利用した人がユーザU1であることを示す情報を摂取栄養量推定装置100がトイレ操作装置から受信したものとして説明する。
【0053】
そして、日時t3において、摂取栄養量推定装置100は、ユーザU1の排泄臭に対応するセンサ装置50の出力値を用いて、ユーザU1が摂取した栄養のバランス(「推定摂取栄養バランス」ともいう)を推定する(ステップS4)。例えば、摂取栄養量推定装置100は、センサの出力値に基づく入力に応じて、ユーザが摂取したと推定される栄養のバランスを示す情報を出力するモデル(「推定モデル」ともいう)の出力を用いて、ユーザU1の推定摂取栄養バランスを推定する。摂取栄養量推定装置100は、推定モデルであるモデルM1~M9(図6参照)の中から選択したモデルを用いて、処理を行う。以下では、摂取栄養量推定装置100が3つのモデルM1~M3を用いて処理を行う場合を説明するが、用いるモデルは上記の3つに限られず、用いるモデルもモデルM1~M3に限らず、他のモデルM4~M9であってもよく、数も3つに限られない。例えば、摂取栄養量推定装置100は、モデルM1~M3の出力結果を用いて、ユーザの推定摂取栄養バランスが、バランス良好、炭水化物過剰、脂質過剰、タンパク質過剰の4つのいずれであるかを推定する。例えば、モデルM1~M3は、排泄臭を検知したセンサ装置50の出力値に基づく入力に応じて、その排泄臭に対応するユーザが摂取した栄養がバランス良好、炭水化物過剰、脂質過剰、タンパク質過剰の4つのいずれであるかを出力する分類器である。なお、バランス良好、炭水化物過剰、脂質過剰、タンパク質過剰の4分類は分類器の説明のための一例に過ぎず、分類器は4分類よりも多い分類を出力する分類器であってもよい。例えば、5分類以上の分類を出力する分類器を用いることにより、摂取栄養量推定装置100は、ユーザが摂取した栄養が5分類以上の分類のいずれであるかを推定してもよい。例えば、分類器は、各栄養素の不足に関する分類も出力する分類器であってもよい。この場合、分類は、バランス良好、炭水化物過剰かつ脂質不足、炭水化物過剰かつタンパク質不足、脂質過剰かつ炭水化物不足、脂質過剰かつタンパク質不足、タンパク質過剰かつ炭水化物不足、タンパク質過剰かつ脂質不足の7分類であってもよい。このような7分類の分類を出力する分類器を用いることにより、摂取栄養量推定装置100は、各摂取栄養量の過剰と同様に不足も推定できる。上記のように、分類器は、上記の7分類のごとく過剰と不足を出力してもよい。すなわち、摂取栄養量推定装置100は、分類器の出力に応じて様々な分類を推定することができる。
【0054】
図1の例では、摂取栄養量推定装置100は、ユーザU1の推定摂取栄養バランスがタンパク質過剰の栄養バランスであると推定する。例えば、摂取栄養量推定装置100は、センサ装置50の出力値を用いて生成した入力値をモデルM1に入力し、モデルM1の出力結果がタンパク質過剰を示す情報であった場合、ユーザU1の推定摂取栄養バランスがタンパク質過剰の栄養バランスであると推定する。摂取栄養量推定装置100は、センサ装置50の出力値を用いてモデルM1等の推定モデルへの入力値を生成する。なお、センサ装置50の出力値を用いて生成した入力値は、センサ装置50の出力値そのままであってもよいし、センサ装置50の出力値の一部やセンサ装置50の出力値から算出した値等であってもよい。また、モデルM1~M3の出力結果を用いた処理等、推定処理の詳細については後述する。
【0055】
摂取栄養量推定装置100は、推定結果をユーザ端末10に送信する(ステップS5)。摂取栄養量推定装置100は、ユーザU1の推定摂取栄養バランスがタンパク質過剰であることを示す推定結果の情報をユーザ端末10に送信する。例えば、摂取栄養量推定装置100は、ユーザU1が設定した栄養摂取目標バランスである「Modern Standard」を示す目標設定の情報をユーザ端末10に送信する。
【0056】
そして、日時t4において、推定結果をユーザ端末10は、推定結果を表示する(ステップS6)。ユーザ端末10は、ユーザU1の推定摂取栄養バランスがタンパク質過剰であることを示す推定結果を表示する。例えば、ユーザ端末10は、ユーザU1が設定した栄養摂取目標バランスを示す目標設定とともに、ユーザU1の推定摂取栄養バランスがタンパク質過剰であることを示す推定結果を表示する。
【0057】
このように、摂取栄養量推定システム1は、トイレ空間に設置されたセンサ装置50の検知結果と推定モデルとを基に、トイレ空間の使用者の摂取栄養バランスを推定する。これにより、摂取栄養量推定システム1は、トイレ空間の使用者等の栄養バランスの推定対象者等への負荷を抑制し、トイレ空間の使用者が摂取した栄養のバランスを観察することができる。上記のように、摂取栄養量推定システム1では、トイレ空間の使用者は日常の排泄行為を行うだけで、栄養バランスに関する情報を得ることができる。そのため、摂取栄養量推定システム1による栄養バランス推定に関するサービスを、トイレ空間の使用者が日々継続して使用する場合に特に利便性は高い。すなわち、摂取栄養量推定システム1は、トイレ空間の使用者が摂取した栄養のバランスを観察するために、トイレ空間の使用者等の摂取栄養量推定システム1の利用者が行う作業等の負荷を抑制することができる。なお、ユーザ端末10は、ユーザU1の推定摂取栄養バランスやユーザU1が設定した栄養摂取目標バランスを示す文字情報を表示してもよいし、ユーザU1の推定摂取栄養バランスやユーザU1が設定した栄養摂取目標バランスを示すグラフ(統計図表)等の図を表示してもよい。
【0058】
<2.摂取栄養バランスの表示例>
図2を用いて、摂取栄養バランスの表示例について説明する。図2は、摂取栄養量出力装置の表示例を示す図である。具体的には、図2は、摂取栄養量出力装置であるユーザ端末10がユーザU1の推定摂取栄養バランスやユーザU1が設定した栄養摂取目標バランスを示すレーダーチャートを表示する場合を示す。なお、レーダーチャートは、栄養摂取目標バランスを示すグラフの一例に過ぎず、他の形式のグラフであってもよいが、この点についての詳細は後述する。以下、図1のユーザU1をトイレ空間PS1の使用者とした場合を例に説明する。
【0059】
摂取栄養量推定装置100は、ユーザU1の栄養摂取目標バランスである「Modern Standard」を示す情報と、タンパク質過剰であることを示すユーザU1の推定摂取栄養バランスを示す情報とを含むコンテンツCT1を生成する。摂取栄養量推定装置100は、ユーザU1の栄養摂取目標バランスに対応する目標チャートTG1に、ユーザU1の推定摂取栄養バランスに対応する推定チャートES1を重畳させたレーダーチャートRC1を含むコンテンツCT1を生成する。コンテンツCT1のレーダーチャートRC1には、目標チャートTG1及び推定チャートES1と、その3つの軸(炭水化物、脂質、タンパク質)を示す情報が含まれる。
【0060】
そして、摂取栄養量推定装置100は、コンテンツCT1をユーザ端末10に送信し、ユーザ端末10は、受信したコンテンツCT1を表示する。なお、図2に示すコンテンツCT1は、各種の付加的な情報も表示した場合の表示態様を示しており、コンテンツCT1には、レーダーチャートRC1以外は含まれなくてもよい。
【0061】
図2の例では、栄養摂取目標バランスを示す目標チャートTG1は、ハッチングが付された領域に対応し、1.2から0.8までの間の幅を有する。例えば、目標チャートTG1は、各栄養素の1.0の部分が、栄養摂取目標バランスの目標値に対応し、そこから上下20%の範囲が目標を達成している範囲内であることを示す。
【0062】
ここで、「Modern Standard」は、炭水化物「60%」、脂質「25%」、タンパク質「15%」の栄養素比率が理想のバランスである(図5参照)。そのため、例えば、「Modern Standard」では、炭水化物の目標値が「60%」であるため、「Carbo」と記載された左斜め下向きの軸の1.0が炭水化物の割合が「60%」である場合に対応する。また、「Modern Standard」では、脂質の目標値が「25%」であるため、「Fat」と記載された右斜め下向きの軸の1.0が脂質の割合が「25%」である場合に対応する。また、「Modern Standard」では、タンパク質の目標値が「15%」であるため、「Protein」と記載された上向きの軸の1.0がタンパク質の割合が「15%」である場合に対応する。
【0063】
摂取栄養量推定装置100は、「Modern Standard」の各栄養素の目標値に対応する位置を1とし、1.2から0.8までの間の幅を有する目標チャートTG1を含むレーダーチャートRC1を生成する。なお、上記は一例であり、レーダーチャートRC1の軸やその目盛は、適宜変更されてもよい。例えば、レーダーチャートRC1の軸の目盛は、割合「%」であってもよい。
【0064】
図2の例では、推定摂取栄養バランスを示す推定チャートES1は、各栄養素の割合に対応する推定値の位置を通る。例えば、推定チャートES1は、炭水化物の推定値が0.9、脂質の推定値が1.3、タンパク質の推定値が1.5であることを示す。推定チャートES1は、タンパク質が目標の割合よりも大幅に摂取されていることを示す。
【0065】
なお、推定チャートES1は、摂取栄養量推定装置100が推定する情報に基づいて、生成される。例えば、摂取栄養量推定装置100がユーザの推定摂取栄養バランスの分類のみを推定する場合、摂取栄養量推定装置100は、栄養バランスの各分類に対応する推定チャートを用いてもよい。この場合、摂取栄養量推定装置100は、栄養バランスの各分類に対応付けて推定チャートまたは各栄養素の値をチャート用情報として記憶し、そのチャート用情報を用いて推定チャートES1を生成してもよい。
【0066】
また、例えば、摂取栄養量推定装置100がユーザの摂取した各栄養素の割合を推定する場合、摂取栄養量推定装置100は、推定した各栄養素の割合を用いて推定チャートを生成してもよい。
【0067】
また、図2に示すように、摂取栄養量推定装置100は、各栄養素の推定値を文字情報として含むコンテンツCT1を生成してもよい。摂取栄養量推定装置100は、栄養バランスに関するスコアを含むコンテンツCT1を生成してもよい。例えば、摂取栄養量推定装置100は、栄養摂取目標バランスと、推定摂取栄養バランスとに基づいてスコアを算出してもよい。例えば、摂取栄養量推定装置100は、推定摂取栄養バランスが、栄養摂取目標バランスに近い程、高くなるようにスコアを算出してもよい。図2の例では、摂取栄養量推定装置100は、コンテンツCT1の生成日のスコアを36と算出する。また、摂取栄養量推定装置100は、スコアの変化を示す履歴TS1を含むコンテンツCT1を生成してもよい。履歴TS1は、前日のスコアが59であることを示し、例えば前日の推定摂取栄養バランスの方が、コンテンツCT1の生成日の推定摂取栄養バランスよりも栄養摂取目標バランスに近かったことを示す。
【0068】
<3.摂取栄養量推定システムの構成>
次に、摂取栄養量推定システム1の構成について図3を参照して説明する。図3は、実施形態に係る摂取栄養量推定システムの構成例を示す図である。具体的には、図3は、摂取栄養量推定システム1の構成を示す。摂取栄養量推定システム1は、摂取栄養量推定装置100と、センサ装置50と、ユーザ端末10とが含まれる。摂取栄養量推定システム1には、複数の摂取栄養量推定装置100や、複数のセンサ装置50や、複数のユーザ端末10が含まれてもよい。
【0069】
摂取栄養量推定装置100は、排泄臭を検知したセンサ装置50の出力値を用いて生成した入力値を推定モデルに入力し、推定モデルの出力を用いて、使用者が摂取した推定摂取栄養バランスを推定する情報処理装置である。摂取栄養量推定装置100は、記憶部120(図4参照)のようなデータベースを有し、摂取栄養量推定処理を実行する。
【0070】
摂取栄養量推定装置100は、センサ装置50や、ユーザ端末10と、インターネット等の所定のネットワークNを介して、有線または無線により通信可能に接続される。なお、摂取栄養量推定装置100は、情報の送受信が可能であれば、センサ装置50やユーザ端末10とどのようなに接続されてもよく、有線により通信可能に接続されてもよいし、無線により通信可能に接続されてもよい。
【0071】
センサ装置50は、臭いを検知する臭いセンサとして機能する。また、センサ装置50は、通信回路等によって実現される通信機能を有し、検知した臭いに関する情報を摂取栄養量推定装置100に送信する。センサ装置50は、トイレ空間PS1に設置され、トイレ空間PS1の使用者の排泄に関する排泄臭を検知する。センサ装置50は、トイレ空間の便座または大便器に設置される。なお、センサ装置50は、便座または大便器に限らず、トイレ空間において排泄臭を検知できる位置に配置されれば、どのような箇所に配置されてもよい。例えば、センサ装置50は、トイレ空間の小便器に設置されてもよい。
【0072】
図1の例では、センサ装置50がトイレTLの便座TSに設置される場合を示すが、排泄臭を検知可能であれば、センサ装置50は、トイレ空間PS1内のどのような箇所に設けられてもよい。例えば、センサ装置50は、トイレTLの大便器CB等、トイレTLの他の箇所に設置されてもよい。また、センサ装置50は、臭いを検知する部分(センサ)と、通信機能を有する部分(通信回路等)とを分離して配置してもよい。
【0073】
センサ装置50は、排泄臭を検知するセンサを有する。センサ装置50は、排泄臭を検知可能であれば、どのような種類のセンサを有してもよい。例えば、センサ装置50は、化学的な現象を電気信号に変換して出力するセンサを有する。例えば、センサ装置50は、半導体式においセンサ(「半導体センサ」ともいう)、または水晶振動子式においセンサを有する。
【0074】
図1の例では、センサ装置50は、半導体センサを有する。センサ装置50は、半導体センサによる臭いの検知に応じて出力値を出力する。例えば、センサ装置50の出力値は、出力電圧になる。なお、センサ装置50は、感度が異なる複数のセンサを有し、複数の出力値を出力してもよいが、この点についての詳細は後述する。
【0075】
ユーザ端末10は、ユーザによって利用される情報処理装置である。ユーザ端末10は、例えば、スマートフォンや、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット型端末や、ノート型PC(Personal Computer)等により実現される。図1に示す例においては、ユーザ端末10が、ユーザが利用するスマートフォンである場合を示す。
【0076】
ユーザ端末10は、栄養摂取目標バランスを、摂取栄養バランスとともに出力する摂取栄養量出力装置である。ユーザ端末10は、摂取栄養量推定装置100とはインターネット(所定のネットワークN等)を介して、通信可能に接続され、摂取栄養量推定装置100との間で情報を送受信する。ユーザ端末10は、栄養摂取目標バランスと摂取栄養バランスとを示すコンテンツを摂取栄養量推定装置100から受信し、受信したコンテンツを表示する。
【0077】
例えば、ユーザ端末10は、Bluetooth(登録商標)やWi‐Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)等の所定の無線通信機能により、トイレ操作装置と通信可能に接続されてもよい。
【0078】
<4.各装置の機能構成>
以下、摂取栄養量推定装置100、及び摂取栄養量出力装置の一例であるユーザ端末10の機能構成について具体的に説明する。
【0079】
<4-1.摂取栄養量推定装置の機能構成>
まず、摂取栄養量推定装置の機能構成について図4を参照して説明する。図4は、実施形態に係る摂取栄養量推定装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0080】
図4に示すように、摂取栄養量推定装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、摂取栄養量推定装置100は、摂取栄養量推定装置100の管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0081】
通信部110は、例えば、通信回路等によって実現される。通信部110は、所定のネットワークN(図3参照)と有線または無線で接続され、外部の情報処理装置との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部110は、所定のネットワークN(図3参照)と有線または無線で接続され、ユーザ端末10やトイレ操作装置等との間で情報の送受信を行う。
【0082】
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。例えば、記憶部120は、摂取栄養バランス推定プログラム、及び摂取栄養バランス推定プログラムによって使用されるデータ等を非一時的に記録するコンピュータが読み取り可能な記録媒体である。実施形態に係る記憶部120は、図4に示すように、栄養摂取目標バランス情報記憶部121と、モデル情報記憶部122と、ユーザ情報記憶部123とを有する。
【0083】
実施形態に係る栄養摂取目標バランス情報記憶部は、栄養摂取目標バランスに関する各種情報を記憶する。例えば、栄養摂取目標バランス情報記憶部は、ユーザが目標として設定可能な栄養摂取バランスを記憶する。図5は、実施形態に係る栄養摂取目標バランス情報記憶部の一例を示す図である。図5に示す栄養摂取目標バランス情報記憶部には、「栄養摂取目標バランスID」、「名称」、「栄養素比率」といった項目が含まれる。
【0084】
「栄養摂取目標バランスID」は、各栄養摂取目標バランスを識別するための識別情報を示す。「名称」は、栄養摂取目標バランスの名称を示す。
【0085】
「栄養素比率」は、評価の対象となる栄養素比率を示す。図5の「栄養素比率」には、「炭水化物」、「脂質」、「タンパク質」の3つの栄養素に対応する項目が含まれる。「栄養素比率」には、「炭水化物」、「脂質」、「タンパク質」に限らず、「ビタミン」、「ミネラル」、「食物繊維」、「糖質」等、さらに糖質の成分であるラクトース、グルコース等、モニタリング対象とする栄養素に対応する項目が含まれてもよい。
【0086】
図5の例では、栄養摂取目標バランスID「TB1」により識別される栄養摂取バランス(栄養摂取バランスTB1)は、「Modern Standard」であることを示す。また、栄養摂取バランスTB1は、炭水化物「60%」、脂質「25%」、タンパク質「15%」の栄養素比率が理想のバランスであることを示す。
【0087】
また、栄養摂取目標バランスID「TB2」により識別される栄養摂取バランス(栄養摂取バランスTB2)は、「Athlete Diet」であることを示す。また、栄養摂取バランスTB2は、炭水化物「35%」、脂質「25%」、タンパク質「40%」の栄養素比率が理想のバランスであることを示す。
【0088】
なお、栄養摂取目標バランス情報記憶部121は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。また、図5中の栄養摂取目標バランス情報記憶部121に示す6個の栄養摂取目標バランスは一例に過ぎず、7種類以上の栄養摂取目標バランスが含まれてもよい。また、栄養素比率をユーザが具体的に指定(選択)したり、ユーザに関する情報を基にそのユーザに適した栄養素比率を決定したりすることにより、個別に調整された栄養素比率が決定された栄養摂取目標バランスを設定可能であってもよい。
【0089】
実施形態に係るモデル情報記憶部122は、モデルに関する情報を記憶する。例えば、モデル情報記憶部122は、使用者が摂取したと推定される栄養のバランスの推定に用いるモデル情報(モデルデータ)を記憶する。図6は、実施形態に係るモデル情報記憶部の一例を示す図である。例えば、モデル情報記憶部122は、施設に関する情報を記憶する。図6に示すモデル情報記憶部122には、「モデルID」、「種別」、「モデルデータ」といった項目が含まれる。
【0090】
「モデルID」は、モデルを識別するための識別情報を示す。「種別」は、対応するモデルの種別を示す。「モデルデータ」は、モデルのデータを示す。図6では「モデルデータ」に「MDT1」といった概念的な情報が格納される例を示したが、実際には、モデルに含まれるネットワークに関する情報や関数等、そのモデルを構成する種々の情報が含まれる。
【0091】
図6に示す例では、モデルID「M1」により識別されるモデル(モデルM1)は、種別が「ニューラルネットワーク」であることを示す。また、モデルM1のモデルデータは、モデルデータMDT1であることを示す。
【0092】
例えば、ニューラルネットワークであるモデルM1は、センサ装置50の出力値に基づく入力に応じて、その入力に対応する栄養バランスを示す情報を出力する推定モデルである。例えば、モデルM1は、排泄臭を検知したセンサ装置50の出力値を基に、その排泄臭に対応する摂取栄養がどの栄養バランスに分類されるかを示す情報を出力する分類器(識別器)である。
【0093】
なお、モデルM1は、各栄養素に対応する値(スコア)を出力するモデルであってもよい。例えば、モデルM1は、排泄臭を検知したセンサ装置50の出力値を基に、その排泄臭に対応する摂取栄養の炭水化物、脂質、蛋白質、ビタミン、ミネラルのうち少なくとも2つの栄養素の割合を示すスコアを出力するモデルであってもよい。
【0094】
また、モデルID「M2」により識別されるモデル(モデルM2)は、種別が「サポートベクトルマシン」であることを示す。また、モデルM2のモデルデータは、モデルデータMDT2であることを示す。
【0095】
例えば、サポートベクトルマシン(SVM)であるモデルM2は、センサ装置50の出力値に基づく入力に応じて、その入力に対応する栄養バランスを示す情報を出力する推定モデルである。例えば、モデルM2は、排泄臭を検知したセンサ装置50の出力値を基に、その排泄臭に対応する摂取栄養がどの栄養バランスに分類されるかを示す情報を出力する分類器(識別器)である。
【0096】
また、モデルID「M3」により識別されるモデル(モデルM3)は、種別が「ランダムフォレスト」であることを示す。また、モデルM3のモデルデータは、モデルデータMDT3であることを示す。
【0097】
例えば、ランダムフォレスト(決定木)であるモデルM3は、センサ装置50の出力値に基づく入力に応じて、その入力に対応する栄養バランスを示す情報を出力する推定モデルである。例えば、モデルM3は、排泄臭を検知したセンサ装置50の出力値を基に、その排泄臭に対応する摂取栄養がどの栄養バランスに分類されるかを示す情報を出力する分類器(識別器)である。
【0098】
また、モデルID「M4」により識別されるモデル(モデルM4)は、種別が「ロジスティック回帰」であることを示す。また、モデルM4のモデルデータは、モデルデータMDT4であることを示す。
【0099】
例えば、ロジスティック回帰であるモデルM4は、センサ装置50の出力値に基づく入力に応じて、その入力に対応する栄養バランスを示す情報を出力する推定モデルである。例えば、モデルM4は、排泄臭を検知したセンサ装置50の出力値を基に、その排泄臭に対応する摂取栄養がどの栄養バランスに分類されるかを示す情報を出力する分類器(識別器)である。
【0100】
また、モデルID「M5」により識別されるモデル(モデルM5)は、種別が「デシジョンジャングル」であることを示す。モデルID「M6」により識別されるモデル(モデルM6)は、種別が「パーセプトロン」であることを示す。モデルID「M7」により識別されるモデル(モデルM7)は、種別が「ベイズ識別」であることを示す。モデルID「M8」により識別されるモデル(モデルM8)は、種別が「k近傍法」であることを示す。モデルID「M9」により識別されるモデル(モデルM9)は、種別が「隠れマルコフモデル」であることを示す。上記のモデルM1~M9は一例に過ぎず、モデル情報記憶部122には、推定モデルとして利用するモデルであれば、他の種別が記憶されてもよく、10個以上のモデルが記憶されてもよい。
【0101】
なお、モデル情報記憶部122は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。
【0102】
実施形態に係るユーザ情報記憶部123は、ユーザに関する各種情報を記憶する。例えば、ユーザ情報記憶部123は、摂取栄養量推定システム1を利用するユーザの各種情報を記憶する。図7は、実施形態に係るユーザ情報記憶部の一例を示す図である。図7に示すユーザ情報記憶部123は、「ユーザID」、「属性情報」、「栄養摂取目標バランス」といった項目が含まれる。
【0103】
「ユーザID」は、ユーザを識別するための識別情報を示す。「属性情報」には、ユーザIDにより識別されるユーザの属性に関する各種情報が記憶される。なお、属性情報を「ATB1」といった抽象的な符号で示すが、年齢や性別といった具体的な情報が含まれる。なお、「属性情報」には、年齢や性別に限らず、他のデモグラフィック属性情報や、ライフスタイル、興味・関心等のサイコグラフィック属性情報等のユーザの各種の属性情報が記憶される。例えば、「属性情報」には、体重、身長、国籍や居住地域、宗教、活動量、排泄状態や回数、お腹の張り、胃もたれ、睡眠状態、片頭痛の有無、心の状態、親族の罹患歴、食生活(回数、タイミング、食べ方、間食、食事スピード、飲酒)等が記憶される。
【0104】
「栄養摂取目標バランス」は、ユーザに対応する栄養摂取目標バランスを示す。例えば、「栄養摂取目標バランス」は、ユーザの選択、またはユーザに関する情報に基づいて設定された栄養摂取目標バランスを示す。
【0105】
例えば、図7の例では、ユーザID「U1」により識別されるユーザ(ユーザU1)の属性情報は、「ATB1」であることを示す。また、ユーザU1の栄養摂取目標バランスは、「TB1」であることを示す。すなわち、ユーザU1に設定された栄養摂取目標バランスは、栄養摂取目標バランスID「TB1」により識別される「Modern Standard」の栄養バランスであることを示す。
【0106】
なお、ユーザ情報記憶部123は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。ユーザ情報記憶部123には、ユーザの栄養バランスモニタリングアプリ等のアプリの利用履歴やユーザの位置情報等、ユーザの各種行動を示す行動情報がユーザに対応付けて記憶されてもよい。
【0107】
図3に戻り、説明を続ける。制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって、摂取栄養量推定装置100内部に記憶されたプログラム(例えば、本開示に係る摂取栄養バランス推定プログラム等)がRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラ(controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0108】
図3に示すように、制御部130は、取得部131と、推定部132と、生成部133と、送信部134とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0109】
取得部131は、取得手段として機能する。取得部131は、記憶部120から各種情報を取得する。取得部131は、センサ装置50やユーザ端末10等の摂取栄養量出力装置から各種情報を受信する。取得部131は、センサ装置50の出力値をセンサ装置50から受信する。取得部131は、ユーザ端末10からユーザが選択した栄養摂取目標バランスを示す情報を受信する。
【0110】
推定部132は、推定手段として機能する。推定部132は、モデル情報記憶部122に記憶されたモデルを用いて推定処理を行う。推定部132は、センサ装置50の出力値に基づく入力に応じて、ユーザが摂取したと推定される栄養のバランスを示す情報を出力する推定モデルの出力を用いて、ユーザの推定摂取栄養バランスを推定する。
【0111】
推定部132は、ユーザの排泄臭を検知したセンサ装置50の出力値と、モデル情報記憶部122に記憶されたモデルM1~M3を用いて推定処理を行う。推定部132は、ユーザの排泄臭を検知したセンサ装置50の出力値が入力されたモデルM1~M3の出力結果を用いて、ユーザの推定摂取栄養バランスを推定する。推定部132は、モデルM1~M3の出力結果を用いて、ユーザの推定摂取栄養バランスが、バランス良好、炭水化物過剰、脂質過剰、タンパク質過剰の4つのいずれであるかを推定する。なお、推定部132による推定処理の詳細は、図12で詳述する。
【0112】
生成部133は、取得部131により取得された情報に基づいて、各種情報を生成する。生成部133は、推定部132による推定結果を用いて情報を生成する。生成部133は、センサ装置50の出力値を用いてモデルM1等の推定モデルへの入力値を生成する。例えば、生成部133は、センサ装置50の出力値のうち一部(例えばピーク値等)を抽出したり、センサ装置50の出力値の微分を算出したりすることにより、推定モデルへの入力値を生成する。
【0113】
生成部133は、種々の技術を適宜用いて、外部の情報処理装置へ提供する画面(画像情報)等の種々の情報を生成する。生成部133は、ユーザ端末10へ提供する画面(画像情報)等を生成する。例えば、生成部133は、記憶部120に記憶された情報に基づいて、ユーザ端末10へ提供する画面(画像情報)等を生成する。
【0114】
生成部133は、ユーザの栄養摂取目標バランスを示す情報と、推定部132により推定されたユーザの推定摂取栄養バランスを示す情報とを含むコンテンツを生成する。生成部133は、ユーザの栄養摂取目標バランスに、推定部132により推定されたユーザの推定摂取栄養バランスを重畳させたコンテンツを生成する。図1の例では、生成部133は、コンテンツCT1を生成する。また、生成部133は、図14図16に示すようなコンテンツCT2~CT4を生成する。
【0115】
生成部133は、外部の情報処理装置へ提供する画面(画像情報)等が生成可能であれば、どのような処理により画面(画像情報)等を生成してもよい。例えば、生成部133は、画像生成や画像処理等に関する種々の技術を適宜用いて、ユーザ端末10へ提供する画面(画像情報)を生成する。例えば、生成部133は、Java(登録商標)等の種々の技術を適宜用いて、ユーザ端末10へ提供する画面(画像情報)を生成する。なお、生成部133は、CSS(Cascading Style Sheets)やJavaScript(登録商標)やHTML(Hyper Text Markup Language)の形式に基づいて、ユーザ端末10へ提供する画面(画像情報)を生成してもよい。また、例えば、生成部133は、JPEG(Joint Photographic Experts Group)やGIF(Graphics Interchange Format)やPNG(Portable Network Graphics)など様々な形式で画面(画像情報)を生成してもよい。
【0116】
送信部134は、送信手段として機能する。送信部134は、外部の情報処理装置へ情報を送信する。例えば、送信部134は、センサ装置50や、ユーザ端末10等の摂取栄養量出力装置へ各種情報を送信する。送信部134は、推定部132により推定された情報をユーザ端末10へ送信する。送信部134は、生成部133により生成された情報をユーザ端末10へ送信する。図1の例では、送信部134は、ユーザ端末10へコンテンツCT1を送信する。
【0117】
<4-2.ユーザ端末の機能構成>
次に、摂取栄養量出力装置の一例であるユーザ端末10の機能構成について図8を参照して説明する。図8は、実施形態に係るユーザ端末の構成の一例を示すブロック図である。
【0118】
図8に示すように、ユーザ端末10は、通信部11と、入力部12と、表示部13と、記憶部14と、制御部15と、音声出力部16とを有する。
【0119】
通信部11は、例えば、NICや通信回路等によって実現される。通信部11は、ネットワークN(インターネット等)と有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、摂取栄養量推定装置100等の他の装置等との間で情報の送受信を行う。
【0120】
入力部12は、ユーザから各種操作が入力される。入力部12は、表示部13を介して各種情報が入力される。入力部12は、音声を検知する機能を有する。例えば、入力部12は、ユーザ端末10に接続されたキーボードやマウスを有する。また、入力部12は、ユーザ端末10に設けられたボタンや、音声を検知するマイクが含まれてもよい。
【0121】
例えば、入力部12は、キーボードやマウスと同等の機能を実現できるタッチパネルを有してもよい。この場合、入力部12は、各種センサにより実現されるタッチパネルの機能により、表示画面を介してユーザから各種操作を受け付ける。すなわち、入力部12は、ユーザ端末10の表示部13を介してユーザから各種操作を受け付ける。例えば、入力部12は、ユーザ端末10の表示部13を介してユーザの指定操作等の操作を受け付ける。例えば、入力部12は、タッチパネルの機能によりユーザの操作を受け付ける受付部として機能する。この場合、入力部12と受付部153とは一体であってもよい。なお、入力部12によるユーザの操作の検知方式には、タブレット端末では主に静電容量方式が採用されるが、他の検知方式である抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式など、ユーザの操作を検知できタッチパネルの機能が実現できればどのような方式を採用してもよい。
【0122】
表示部13は、各種情報を出力する出力部(出力手段)として機能する。表示部13は、ユーザ端末10に設けられ各種情報を表示する。表示部13は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現される。表示部13は、摂取栄養量推定装置100から提供される情報を表示可能であれば、どのような手段により実現されてもよい。表示部13は、表示制御部152による制御に応じて、各種情報を表示する。
【0123】
図1の例では、表示部13は、コンテンツCT1を表示する。また、表示部13は、図14図16に示すようなコンテンツCT2~CT4を表示する。例えば、ユーザ端末10は、摂取栄養量を出力するためのプログラム(出力プログラム)を実行し、推定摂取栄養バランスを表示部13に表示する。なお、ユーザ端末10による出力態様は、表示に限らず、音声による出力などの他の出力態様であってもよい。ユーザ端末10は、音声出力部16を用いて、音声により推定摂取栄養バランスを出力してもよい。
【0124】
記憶部14は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部14は、情報の表示に用いる各種情報を記憶する。記憶部14は、推定摂取栄養バランスを出力する出力プログラム等の各種情報を記憶する。例えば、記憶部14は、栄養摂取目標バランスと摂取栄養バランスとを表示する出力プログラムを記憶する。例えば、出力プログラムは、栄養バランスを表示するために、ユーザ端末10にインストールされたアプリケーション(栄養バランスモニタリングアプリ等)であってもよい。
【0125】
図8に戻り、説明を続ける。制御部15は、例えば、CPUやMPU等によって、ユーザ端末10内部に記憶されたプログラム(例えば、本開示に係る情報処理プログラム等の表示プログラム)がRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部15は、コントローラであり、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。
【0126】
図8に示すように、制御部15は、取得部151と、表示制御部152と、受付部153と、送信部154とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部15の内部構成は、図8に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0127】
取得部151は、各種情報を取得する。取得部151は、記憶部14から各種情報を取得する。取得部151は、摂取栄養量推定装置100等の他の情報処理装置から各種情報を受信する。
【0128】
取得部151は、栄養摂取目標バランスや前記摂取栄養バランスを示す情報を摂取栄養量推定装置100から受信する。取得部151は、摂取栄養量推定装置100からコンテンツを受信する。図1の例では、取得部151は、コンテンツCT1を受信する。
【0129】
表示制御部152は、各種情報の出力を制御する出力制御部として機能する。表示制御部152は、表示部13の表示を制御する。表示制御部152は、取得部151により受信された情報に基づいて、表示部13の表示を制御する。表示制御部152は、受付部153により受け付けられた情報に基づいて、表示部13の表示を制御する。表示制御部152は、表示部13にコンテンツCT1が表示されるように表示部13の表示を制御する。
【0130】
受付部153は、各種情報を受け付ける。例えば、受付部153は、入力部12を介してユーザによる入力を受け付ける。受付部153は、ユーザによる操作を受け付ける。受付部153は、表示部13により表示された情報に対するユーザの操作を受け付ける。受付部153は、ユーザによる発話を入力として受け付ける。受付部153は、ユーザによる栄養摂取目標バランスの指定を受け付ける。
【0131】
図1の例では、受付部153は、ユーザU1による入力を受け付ける。受付部153は、ユーザU1により栄養摂取目標バランスの指定を受け付ける。
【0132】
送信部154は、外部の情報処理装置へ各種情報を送信する。例えば、送信部154は、ユーザ端末10等の他の情報処理装置へ各種情報を送信する。送信部154は、記憶部14に記憶された情報を送信する。
【0133】
図1の例では、送信部154は、受付部153により受け付けられたユーザU1の目標を摂取栄養量推定装置100に送信する。
【0134】
音声出力部16は、各種情報を出力する。音声出力部16は、音声を出力する機能を有する。例えば、音声出力部16は、音声を出力するスピーカを有する。音声出力部16は、ユーザに対して音声による情報の出力を行う。音声出力部16は、表示部13に表示される情報を音声により出力する。例えば、音声出力部16は、コンテンツCT1に含まれる情報を音声により出力する。
【0135】
なお、ユーザ端末10は、上記のような表示部13による表示や操作の受付け等の処理を所定のアプリケーション(栄養バランスモニタリングアプリ等)により実現してもよい。また、ユーザ端末10は、所定のソフトウェアアプリケーション上で実行されるスクリプトを取得し、取得したスクリプト等の制御情報により、上記のような情報表示や操作受付等の情報処理を実行してもよい。例えば、制御情報は、実施形態に係るユーザ端末10による情報表示や操作受付等の情報処理を実現するプログラムに対応するものであり、例えば、CSS、JavaScript(登録商標)、HTML、あるいは、上述したユーザ端末10による情報表示や操作受付等の情報処理を記述可能な任意の言語によって実現される。例えば、制御部15による表示制御処理や受付処理等の処理は、栄養バランスモニタリングアプリにより実現されてもよい。また、上述した表示制御処理や受付処理等が専用アプリにより行われる場合、制御部15は、例えば、所定のアプリ(例えばウェブブラウザ等)や専用アプリを制御するアプリ制御部を有してもよい。
【0136】
また、ユーザ端末10は、栄養摂取目標バランスと摂取栄養バランスとを摂取栄養量推定装置100から受信し、受信した栄養摂取目標バランスと摂取栄養バランスとを用いてコンテンツを生成し、生成したコンテンツを表示してもよい。この場合、ユーザ端末10が生成部133(図4参照)と同様の機能の生成部を有してもよい。
【0137】
<5.処理の流れ>
ここから、図9図11を用いて、実施形態に関する処理の流れについて説明する。
【0138】
<5-1.摂取栄養量推定システムの処理>
次に、図9を用いて、摂取栄養量推定システム1の処理シーケンスについて説明する。図9は、実施形態に係る摂取栄養量推定処理の一例を示すシーケンス図である。例えば、摂取栄養量推定システム1は、使用者の検知(「第1トリガ」ともいう)の後、排泄の検知(「第2トリガ」ともいう)がされた場合、排泄臭の検知を開始する。例えば、第1トリガは、使用者の便座への着座の検知である。また、例えば、第2トリガは、硫化水素や水素等の特定のガスの検知である。なお、第1トリガ及び第2トリガは、上記に限られない。例えば、第1トリガは、トイレ空間への使用者の入室の検知であってもよい。例えば、第2トリガは、画像センサ、赤外線センサ、音声センサ、及び温度センサ等による排泄物有無の検知であってもよい。また、例えば、第2トリガは、便座に設けたひずみセンサによる使用者の姿勢変更の検知であってもよい。例えば、第2トリガは、第1トリガからの経過時間であってもよい。なお、上記は一例に過ぎず、ガス(排泄臭)の検知処理のトリガについては種々のトリガが採用されてもよい。
【0139】
まず、センサ装置50は、トイレ空間の使用者の排泄臭を検知する(ステップS101)。センサ装置50は、検知した排泄臭に基づく出力値を、摂取栄養量推定装置100へ送信する(ステップS102)。
【0140】
そして、センサ装置50から出力値を受信した摂取栄養量推定装置100は、推定処理を行う(ステップS103)。摂取栄養量推定装置100は、センサ装置50の出力値を用いて生成した入力値を推定モデルに入力し、推定モデルの出力を基に使用者の推定摂取栄養バランスを推定する。摂取栄養量推定装置100は、推定結果を基にユーザに提供するコンテンツを生成する(ステップS104)。
【0141】
摂取栄養量推定装置100は、生成したコンテンツを使用者が利用するユーザ端末10に送信する(ステップS105)。コンテンツを受信したユーザ端末10は、コンテンツを表示する(ステップS106)。
【0142】
<5-2.摂取栄養量推定装置の処理>
まず、図10を用いて、摂取栄養量推定処理の処理フローについて説明する。図10は、摂取栄養量推定装置が実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0143】
摂取栄養量推定装置100は、トイレ空間に設置されたセンサがトイレ空間の使用者の排泄臭の検知により出力した出力値を取得する(ステップS201)。
【0144】
摂取栄養量推定装置100は、センサの出力値と、推定モデルとを用いて、使用者の推定摂取栄養量を推定する(ステップS202)。例えば、摂取栄養量推定装置100は、センサの出力値に基づく入力値を推定モデルに入力し、推定モデルが出力した情報を用いて、使用者の推定摂取栄養バランスを推定する。
【0145】
<5-3.摂取栄養量出力装置の処理>
次に、図11を用いて、摂取栄養バランスの出力処理の処理フローについて説明する。図11は、摂取栄養量出力装置が実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。図11では、摂取栄養量出力装置の一例であるユーザ端末10が摂取栄養バランスの出力処理を行う場合を一例として説明する。なお、摂取栄養バランスの出力処理の実行主体は、ユーザ端末10に限らず例えばトイレ操作装置等の他の摂取栄養量出力装置であってもよい。
【0146】
ユーザ端末10は、トイレ空間の使用者の摂取栄養に基づく情報と、使用者の栄養摂取目標に基づく情報とを取得する(ステップS301)。例えば、ユーザ端末10は、摂取栄養量推定装置100により推定された使用者の推定摂取栄養バランスと、使用者の栄養摂取目標バランスとを含むコンテンツを、摂取栄養量推定装置100から受信する。
【0147】
ユーザ端末10は、栄養摂取目標に基づく情報を、摂取栄養に基づく情報とともに出力する(ステップS302)。例えば、ユーザ端末10は、使用者の栄養摂取目標バランスと、使用者の推定摂取栄養バランスとを重畳させたコンテンツを表示する。
【0148】
なお、ユーザ端末10は、使用者の栄養摂取目標バランスと、使用者の推定摂取栄養バランスとを重畳させたコンテンツを生成してもよい。この場合、ユーザ端末10は、使用者の摂取栄養バランスの情報と、使用者の栄養摂取目標バランスと使用者の栄養摂取目標バランスの情報とを取得した場合、使用者の栄養摂取目標バランスと、使用者の推定摂取栄養バランスとを重畳させたコンテンツを生成する。そして、ユーザ端末10は、生成したコンテンツを表示する。例えば、ユーザ端末10は、図1中のコンテンツCT1を生成し、生成したコンテンツCT1を表示する。
【0149】
<6.摂取栄養バランス推定>
図12を用いて、摂取栄養バランス推定の処理を概念的に説明する。図12は、摂取栄養バランス推定の一例を示す図である。なお、以下では、図1の場合を一例として、図12の各処理について説明する。上述したように、モデルM1~M3の3つのモデルを一例として説明するが、用いるモデルはM4~M9等の他のモデルであってもよいし、4つ以上のモデルであってもよい。
【0150】
まず、トイレ空間PS1に設置されたセンサ装置50は、ユーザU1の排泄臭を検知する(ステップS11)。そして、センサ装置50は、ユーザU1の排泄臭の検知に応じた出力値SVを出力する(ステップS12)。
【0151】
摂取栄養量推定装置100は、出力値SVを用いて生成した入力値を各モデルM1~M3に入力し、各モデルM1~M3の推定結果を取得する。摂取栄養量推定装置100は、モデルM1に出力値SVを用いて生成した入力値を入力する(ステップS21)。モデルM1は、出力値SVに基づく入力に応じて、ユーザU1の推定摂取栄養バランスが、バランス良好、炭水化物過剰、脂質過剰、タンパク質過剰の4つのいずれであるかを示す出力結果RS1を出力する(ステップS22)。
【0152】
また、摂取栄養量推定装置100は、モデルM2に出力値SVを用いて生成した入力値を入力する(ステップS31)。モデルM2は、出力値SVに基づく入力に応じて、ユーザU1の推定摂取栄養バランスが、バランス良好、炭水化物過剰、脂質過剰、タンパク質過剰の4つのいずれであるかを示す出力結果RS2を出力する(ステップS32)。
【0153】
また、摂取栄養量推定装置100は、モデルM3に出力値SVを用いて生成した入力値を入力する(ステップS41)。モデルM3は、出力値SVに基づく入力に応じて、ユーザU1の推定摂取栄養バランスが、バランス良好、炭水化物過剰、脂質過剰、タンパク質過剰の4つのいずれであるかを示す出力結果RS3を出力する(ステップS42)。
【0154】
摂取栄養量推定装置100は、3つのモデルM1~M3の各々の出力結果RS1~RS3である3つの出力結果を用いて、最終判定結果を推定する(ステップS51)。摂取栄養量推定装置100は、出力結果RS1~RS3の多数決により、ユーザU1の推定摂取栄養バランスが、バランス良好、炭水化物過剰、脂質過剰、タンパク質過剰の4つのいずれであるかを推定する。例えば、摂取栄養量推定装置100は、出力結果RS1~RS3のうち、同じ分類である出力結果が2つ以上ある場合、その分類をユーザU1の推定摂取栄養バランスであると推定する。例えば、摂取栄養量推定装置100は、2つ以上の出力結果が脂質過剰である場合、その分類をユーザU1の推定摂取栄養バランスが脂質過剰であると推定する。
【0155】
このように、摂取栄養量推定装置100は、独立したアルゴリズム3種の導出結果の多数決により、ユーザの食事の傾向を示す最終判定結果を推定する。これにより、摂取栄養量推定システム1は、センサ装置50の出力値やアルゴリズムを介すことで、特定のガス種や濃度を追究することなく、排泄臭から摂取栄養バランス等の個人の食事傾向を予測することができる。
【0156】
なお、摂取栄養量推定装置100は、出力結果RS1~RS3が全て異なる分類である場合、所定の基準に基づいて、ユーザU1の推定摂取栄養バランスを推定してもよい。摂取栄養量推定装置100は、出力結果RS1~RS3が全て異なる分類である場合、最も信頼度が高いモデルの出力結果が示す分類を、ユーザU1の推定摂取栄養バランスに推定してもよい。例えば、摂取栄養量推定装置100は、出力結果RS1~RS3が全て異なる分類である場合、最も信頼度が高いモデルM1の出力結果が示す分類を、ユーザU1の推定摂取栄養バランスに推定してもよい。例えば、摂取栄養量推定装置100は、過去に各モデルが推定した分類の履歴とその正解不正解を示す情報を用いて各モデルの正解率を算出し、算出した各モデルの正解率を各モデルの信頼度としてもよい。
【0157】
<7.センサ出力>
図13を用いて、センサの出力について説明する。図13は、センサの出力値の一例を示す図である。図13の例では、センサ装置50は、センサ#1、センサ#2、センサ#3、センサ#4、及びセンサ#5(以下「センサ#1~#5」と記載する場合がある)のように5つのセンサを有する。
【0158】
図13の例では、センサ#1は、短鎖脂肪酸の感度が高いセンサである。センサ#2は、脂肪酸の感度が高いセンサである。センサ#3は、硫化化合物の感度が高いセンサである。センサ#4は、フェノール類の感度が高いセンサである。センサ#5は、含窒素芳香族の感度が高いセンサである。なお、上記のセンサ#1~#5は一例であり、各々感度が異なるセンサであれば、どのようなセンサであってもよい。
【0159】
図13中のグラフGR1~GR3は、センサ#1~#5により排泄臭を検知した場合の各検出結果を示す。センサ#1~#5が半導体センサの場合、出力値は出力電圧になる。グラフGR1~GR3では、センサ#1の出力値は実線で示し、センサ#2の出力値は点線で示し、センサ#3の出力値は破線で示し、センサ#4の出力値は一点鎖線で示し、センサ#5の出力値は二点鎖線で示す。
【0160】
グラフGR1は、タンパク質が多い食事の種類の場合の排泄臭の検知結果を示す。グラフGR1中の時間t11は、臭い発生のタイミングを示す。また、グラフGR2は、炭水化物が多い食事の種類の場合の排泄臭の検知結果を示す。グラフGR2中の時間t21は、臭い発生のタイミングを示す。また、グラフGR3は、脂質が多い食事の種類の場合の排泄臭の検知結果を示す。グラフGR3中の時間t31は、臭い発生のタイミングを示す。
【0161】
例えば、摂取栄養量推定装置100は、グラフGR1に示すようなセンサ#1~#5の各々の出力値をセンサ装置50から取得し、取得したセンサ#1~#5の各々の出力値を基にモデルM1~M3等の推定モデルに入力する入力値を生成する。ここで、摂取栄養量推定装置100がセンサ#1~#5の各々の出力値を基に生成する入力値は、センサ#1~#5の各々の反応の特徴を示すものであればどのような値であってもよい。例えば、摂取栄養量推定装置100が生成する入力値は、センサ#1~#5の各々の反応の度合いや変化等の特徴を示すものであってもよい。
【0162】
グラフGR1~GR3に示すように、センサ#1~#5は、食事の種類、すなわちモニタリング対象者(トイレ空間の使用者)が摂取した栄養のバランスに応じて、反応が異なる。摂取栄養量推定システム1は、センサ#1~#5のような複数のセンサにより排便臭を感知した際の出力値の違い、経過時間での値の戻り方等から数値化する。例えば、摂取栄養量推定装置100は、数値化により推定モデルに入力する入力値を生成する。この場合、摂取栄養量推定装置100は、センサ#1~#5の各々の出力値を基に数値化した入力値を生成する。ここで、摂取栄養量推定装置100がセンサ#1~#5の各々の出力値を基に生成する入力値は、センサ#1~#5の各々の反応の特徴を示すものであればどのような値であってもよい。例えば、摂取栄養量推定装置100が生成する入力値は、センサ#1~#5の各々の反応の度合いや変化等の特徴を示す値であってもよい。
【0163】
例えば、摂取栄養量推定装置100は、グラフGR2に示すようなセンサ#1~#5の各々の出力値をセンサ装置50から取得し、取得したセンサ#1~#5の各々の出力値を基に、センサ#1~#5の各々の反応の特徴を示す入力値を生成する。そして、摂取栄養量推定装置100は、生成した入力値をモデルM1~M3等の推定モデルに入力し、推定モデルの出力結果を基に、栄養バランスを推定する。
【0164】
グラフGR1~GR3に示すように、センサ#1~#5は、各食事群(摂取栄養バランス)によって波形の違いから数値の傾向が異なる。このように、摂取栄養量推定システム1は、センサ#1~#5のような感度の異なる数種のセンサを用いることで、より食事群(摂取栄養バランス)の識別(分解能)を高めることができる。
【0165】
なお、センサ装置50は、ケモレジスタ、ケモキャパシタ、ケモダイオード、ケモトランジスタ、サーモケモセンサ、質量感受性ケモセンサ、ファイバータイプケモセンサ、電気化学タイプケモセンサ、共鳴タイプケモセンサ等、どのようなタイプのセンサを有してもよい。このように、センサ装置50が臭いを検知するための検知対象は、キャパシタンス、電圧-電流特性、温度、屈折率、蛍光強度及びスペクトル、インピーダンス、共振周波数等、種々のものであってもよい。
【0166】
<8.推定結果に基づく表示例>
図14図21を用いて、推定結果に基づく表示例について説明する。
【0167】
まず、図14を用いて、バランス良好である場合の推定結果の表示例を説明する。図14は、摂取栄養バランスの表示の一例を示す図である。図14に示す摂取栄養量出力装置DVは、ユーザ端末10であってもよいし、他の装置であってもよい。
【0168】
摂取栄養量推定装置100は、ユーザの栄養摂取目標バランスに対応する目標チャートTG2に、ユーザの推定摂取栄養バランスに対応する推定チャートES2を重畳させたレーダーチャートRC2を含むコンテンツCT2を生成する。摂取栄養量推定装置100は、コンテンツCT2を摂取栄養量出力装置DVに送信する。
【0169】
コンテンツCT2を受信した摂取栄養量出力装置DVは、コンテンツCT2を表示する。推定チャートES2は、炭水化物の推定値が0.9、脂質の推定値が1.1、タンパク質の推定値が1.0であることを示す。推定チャートES2は、全項目が目標チャートTG2内に収まっており、推定摂取栄養バランスがバランス良好であることを示す。
【0170】
次に、図15を用いて、脂質過剰である場合の推定結果の表示例を説明する。図15は、摂取栄養バランスの表示の一例を示す図である。図15に示す摂取栄養量出力装置DVは、ユーザ端末10であってもよいし、他の装置であってもよい。
【0171】
摂取栄養量推定装置100は、ユーザの栄養摂取目標バランスに対応する目標チャートTG3に、ユーザの推定摂取栄養バランスに対応する推定チャートES3を重畳させたレーダーチャートRC3を含むコンテンツCT3を生成する。摂取栄養量推定装置100は、コンテンツCT3を摂取栄養量出力装置DVに送信する。
【0172】
コンテンツCT3を受信した摂取栄養量出力装置DVは、コンテンツCT3を表示する。推定チャートES3は、炭水化物の推定値が0.9、脂質の推定値が1.4、タンパク質の推定値が1.0であることを示す。推定チャートES3は、脂質が目標の割合よりも大幅に摂取されていることを示す。
【0173】
次に、図16を用いて、炭水化物過剰である場合の推定結果の表示例を説明する。図16は、摂取栄養バランスの表示の一例を示す図である。図16に示す摂取栄養量出力装置DVは、ユーザ端末10であってもよいし、他の装置であってもよい。
【0174】
摂取栄養量推定装置100は、ユーザの栄養摂取目標バランスに対応する目標チャートTG4に、ユーザの推定摂取栄養バランスに対応する推定チャートES4を重畳させたレーダーチャートRC4を含むコンテンツCT4を生成する。摂取栄養量推定装置100は、コンテンツCT4を摂取栄養量出力装置DVに送信する。
【0175】
コンテンツCT4を受信した摂取栄養量出力装置DVは、コンテンツCT3を表示する。推定チャートES4は、炭水化物の推定値が1.6、脂質の推定値が0.9、タンパク質の推定値が0.8であることを示す。推定チャートES3は、炭水化物が目標の割合よりも大幅に摂取されていることを示す。
【0176】
なお、推定結果に基づいて表示される情報は、レーダーチャートに限らず、棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ、及び量を円の大きさで示すバブルチャート等の他の形式のグラフ、または文字情報であってもよく、これらを複数表示する表示態様であってもよい。この点について図17図21を用いて説明する。
【0177】
まず、図17図20を用いて、レーダーチャート以外のグラフでの表示の例について説明する。図17図20は、摂取栄養バランスの表示の変形例を示す図である。具体的には、図17は、摂取栄養バランスの棒グラフの形式での表示の一例を示す図である。また、図18は、摂取栄養バランスの折れ線グラフの形式での表示の一例を示す図である。図19は、摂取栄養バランスの円グラフの形式での表示の一例を示す図である。図20は、摂取栄養バランスのバブルチャートの形式での表示の一例を示す図である。なお、図17図20に示す摂取栄養量出力装置DVは、ユーザ端末10であってもよいし、他の装置であってもよい。また、図17図20は、図1に示すレーダーチャートの表示例とは、表示形式の相違のみであり、推定処理については同様の処理であるため、適宜説明を省略する。
【0178】
図17の例では、摂取栄養量推定装置100は、棒グラフGR11を含むコンテンツCT11を生成する。摂取栄養量推定装置100は、コンテンツCT11を摂取栄養量出力装置DVに送信する。コンテンツCT11を受信した摂取栄養量出力装置DVは、コンテンツCT11を表示する。棒グラフGR11は、各栄養素の背面(左)側が目標値を示し、前面(右)側が推定値を示す。棒グラフGR11は、炭水化物が目標よりも低く、脂質が目標に近く、タンパク質が目標よりも高いことを示す。
【0179】
図18の例では、摂取栄養量推定装置100は、折れ線グラフGR12を含むコンテンツCT12を生成する。摂取栄養量推定装置100は、曜日ごとの目標値及び推定値をプロットすることにより、折れ線グラフGR12を含むコンテンツCT12を生成する。摂取栄養量推定装置100は、コンテンツCT12を摂取栄養量出力装置DVに送信する。コンテンツCT12を受信した摂取栄養量出力装置DVは、コンテンツCT12を表示する。折れ線グラフGR12は、各栄養素の点線が目標値を示し、実線が推定値を示す。折れ線グラフGR12は、脂質が継続して目標よりも低く、タンパク質が継続して目標よりも高いことを示す。
【0180】
図19の例では、摂取栄養量推定装置100は、円グラフGR13を含むコンテンツCT13を生成する。摂取栄養量推定装置100は、コンテンツCT13を摂取栄養量出力装置DVに送信する。コンテンツCT13を受信した摂取栄養量出力装置DVは、コンテンツCT13を表示する。円グラフGR13は、外円が目標値を示し、内円が推定値を示す。円グラフGR13は、炭水化物が目標よりも低く、脂質が目標に近く、タンパク質が目標よりも高いことを示す。
【0181】
図20の例では、摂取栄養量推定装置100は、バブルチャートGR14を含むコンテンツCT14を生成する。摂取栄養量推定装置100は、コンテンツCT14を摂取栄養量出力装置DVに送信する。コンテンツCT14を受信した摂取栄養量出力装置DVは、コンテンツCT14を表示する。バブルチャートGR14は、各栄養素の円のうち、点線円(点線で示す円)が目標値を示し、実円(実線で示す円)が推定値を示す。バブルチャートGR14は、炭水化物が目標よりも高く、脂質が目標に近く、タンパク質が目標よりも低いことを示す。なお、図17図20に示すグラフは一例に過ぎず、任意の形式のグラフが採用可能である。
【0182】
また、測定結果に基づいて表示される情報は、推定結果のみに限らず、推定結果に基づくユーザの栄養摂取に関する推奨情報であってもよい。この点について図21を用いて説明する。図21は、摂取栄養バランスの推定に基づく推奨の一例を示す図である。図21は、図16と同様に、推定結果が炭水化物過剰である場合の表示例を説明する。
【0183】
図21の例では、ユーザの推定摂取栄養バランスが炭水化物過剰であり、ユーザ端末10は、文字情報ST1~ST3を表示する。具体的には、ユーザ端末10は、ユーザ炭水化物の摂取量を減らすことを推奨する推奨情報である文字情報ST1を表示する。また、ユーザ端末10は、ご飯(白米)の摂取量を減らすことを推奨する推奨情報である文字情報ST2を表示する。また、ユーザ端末10は、パレオダイエットのレシピを参考にすることを推奨する推奨情報である文字情報ST3を表示する。また、文字情報ST3には、「Paleo Diet」と表記されたリンクが含まれており、ユーザがリンクを選択した場合、ユーザ端末10は、パレオダイエットのレシピを示すウェブページ等のコンテンツを表示する。
【0184】
摂取栄養量推定装置100は、ユーザの推定摂取栄養バランスが炭水化物過剰であるとの推定結果を基に、文字情報ST1~ST3をユーザに提供すると決定する。例えば、摂取栄養量推定装置100は、文字情報ST1~ST3等の複数の推奨情報と、各推奨情報がどの栄養バランスに対応するかを示すタグとを対応付けた一覧リストである推奨リストを用いてもよい。この場合、摂取栄養量推定装置100は、推奨リストを記憶部120(図4参照)に記憶し、推奨リストからユーザに提供する推奨情報を選択してもよい。例えば、摂取栄養量推定装置100は、ユーザの推定摂取栄養バランスが炭水化物過剰である場合、推奨リストのうち、炭水化物過剰に対応付けられた推奨情報を、ユーザに提供する推奨情報として選択する。
【0185】
なお、摂取栄養量推定装置100は、推定結果を基に推奨情報を生成してもよい。図21の例では、摂取栄養量推定装置100は、ユーザの推定摂取栄養バランスが炭水化物過剰であるとの推定結果を基に、文字情報ST1~ST3を生成してもよい。
【0186】
摂取栄養量推定装置100は、文字情報ST1~ST3をユーザ端末10に送信する。文字情報ST1~ST3を受信したユーザ端末10は、文字情報ST1~ST3を表示する。このように、摂取栄養量推定システム1は、栄養摂取目標量と、推定摂取栄養量との相違に基づく推奨情報を表示する。なお、図21に示す文字情報ST1~ST3は推奨情報の一例に過ぎず、例えば、摂取栄養量推定システム1は、ユーザの炭水化物の摂取量が目標の摂取量よりも多い場合、ユーザに炭水化物の摂取が過剰であると通知してもよい。この場合、摂取栄養量推定システム1は、「炭水化物量が目標値に対して過剰です」等、炭水化物の摂取量が多くなっており、炭水化物の摂取を抑制することをレコメンドする推奨情報をユーザに通知してもよい。例えば、摂取栄養量推定装置100は、「炭水化物量が目標値に対して過剰です」と記載された文字情報ST4を生成し、文字情報ST4をユーザ端末10に送信する。文字情報ST4を受信したユーザ端末10は、文字情報ST4を表示する。
【0187】
<9.推定モデル>
上述したモデルM1~M9等の推定モデルについて以下記載する。
【0188】
<9-1.推定モデルの生成>
モデルM1~M9等の推定モデルは、センサ装置50の出力値と、その出力値に対応する排泄臭がバランス良好、炭水化物過剰、脂質過剰、タンパク質過剰の4つのいずれかを示す正解情報(ラベル)との組合せである学習データを用いて生成する。例えば、学習データは、バランス良好な食事を行ったユーザの排泄臭を検知したセンサ装置50の出力値と、その出力値がバランス良好な食事に対応することを示す正解情報(ラベル)との組合せ(「第1組合せ」ともいう)を含む。例えば、学習データは、炭水化物過剰な食事を行ったユーザの排泄臭を検知したセンサ装置50の出力値と、その出力値が炭水化物過剰な食事に対応することを示す正解情報(ラベル)との組合せ(「第2組合せ」ともいう)を含む。例えば、学習データは、脂質過剰な食事を行ったユーザの排泄臭を検知したセンサ装置50の出力値と、その出力値が脂質過剰な食事に対応することを示す正解情報(ラベル)との組合せ(「第3組合せ」ともいう)を含む。例えば、学習データは、タンパク質過剰な食事を行ったユーザの排泄臭を検知したセンサ装置50の出力値と、その出力値がタンパク質過剰な食事に対応することを示す正解情報(ラベル)との組合せ(「第4組合せ」ともいう)を含む。
【0189】
ここでは、摂取栄養量推定装置100が、モデルM1~M9等の推定モデルを生成する場合を一例として説明する。摂取栄養量推定装置100は、第1組合せ~第4組合せを含む学習データを用いて、モデルM1~M9を生成する。摂取栄養量推定装置100は、各組合せの出力値が入力された場合、モデルM1~M9の推定モデル自身が出力する分類情報と、その出力値に対応する分類を示す正解情報とを比較してエラーを検出しながら、分類情報が正解情報を出力できるように繰り返し適切な改良を加えることで、モデルM1~M9を生成する。
【0190】
例えば、摂取栄養量推定装置100は、第1組合せの出力値を用いて生成した入力値が入力された場合に、モデルM1がバランス良好を示す出力を行うように学習処理を行い、モデルM1を生成する。また、摂取栄養量推定装置100は、第2組合せの出力値を用いて生成した入力値が入力された場合に、モデルM1が炭水化物過剰を示す出力を行うように学習処理を行い、モデルM1を生成する。また、摂取栄養量推定装置100は、第3組合せの出力値を用いて生成した入力値が入力された場合に、モデルM1が脂質過剰を示す出力を行うように学習処理を行い、モデルM1を生成する。また、摂取栄養量推定装置100は、第4組合せの出力値を用いて生成した入力値が入力された場合に、モデルM1がタンパク質過剰を示す出力を行うように学習処理を行い、モデルM1を生成する。また、摂取栄養量推定装置100は、モデルM2~M9についても同様の学習処理により生成する。なお、上記は一例であり、摂取栄養量推定装置100は、種々の学習手法を適宜用いてモデルM1~M9を生成してもよい。
【0191】
例えば、摂取栄養量推定装置100の生成部133は、上述した処理によりモデルM1~M9等の推定モデルを生成する。なお、モデルM1~M9等の推定モデルは、摂取栄養量推定装置100以外の装置(モデル生成装置)により生成され、摂取栄養量推定装置100は、モデル生成装置からモデルM1~M9等の推定モデルを取得(受信)してもよい。
【0192】
<9-2.推定モデルの出力例>
上述した例では、モデルM1~M9等の推定モデルがバランス良好、炭水化物過剰、脂質過剰、タンパク質過剰の4つのいずれかを示す情報を出力する場合を示したが、推定モデルは、バランス良好、炭水化物過剰、脂質過剰、タンパク質過剰の4つを分類するモデル(分類器)に限られない。この点について以下、例示を示す。
【0193】
<9-2-1.5つ以上の分類>
例えば、推定モデルは、5つ以上の分類を行う分類器であってもよい。例えば、推定モデルは、バランス良好、炭水化物過剰、脂質過剰、タンパク質過剰、炭水化物不足、脂質不足、タンパク質不足の7つの分類を行う分類器であってもよい。
【0194】
また、例えば、推定モデルは、過剰の度合いが複数段階に分類可能な分類器であってもよい。例えば、推定モデルは、各栄養素の過剰を、通常の過剰と、それよりも大きい過剰である大過剰の2つの段階に分類する分類器であってもよい。例えば、推定モデルは、バランス良好、炭水化物過剰、炭水化物大過剰、脂質過剰、脂質大過剰、タンパク質過剰、タンパク質大過剰の7つの分類を行う分類器であってもよい。
【0195】
なお、モデルの生成の点については、上述した学習データを用いた学習処理と同様であるため、説明を省略する。摂取栄養量推定システム1は、上述した5つ以上の分類を行う推定モデルを用いて、推定処理を行い、ユーザの栄養バランスのモニタリングを行ってもよい。
【0196】
<9-2-2.割合の推定>
例えば、推定モデルは、推定対象となっている栄養素の割合を示す値(スコア)を出力するモデル(割合出力モデル)であってもよい。例えば、推定モデルは、排泄臭を検知したセンサ装置50の出力値を基に、その排泄臭に対応する摂取栄養の炭水化物、脂質、蛋白質、ビタミン、ミネラルのうち少なくとも2つの栄養素の割合を示すスコアを出力する割合出力モデルであってもよい。例えば、ニューラルネットワークであるモデルM1は、各栄養素の割合を示す値(スコア)を出力する割合出力モデルであってもよい。
【0197】
例えば、摂取栄養量推定装置100が、各食事の栄養素の割合を示す正解情報(ラベル)と、その食事を摂取したユーザの排泄臭を検知したセンサ装置50の出力値との組合せ学習データを用いて、割合出力モデルであるモデルM1を生成する。摂取栄養量推定装置100は、各組合せの出力値を用いて生成した入力値が入力された場合、その出力値に対応する食事の栄養素の割合を出力するように、割合出力モデルであるモデルM1を生成する。摂取栄養量推定装置100が、割合出力モデルであるモデルM1を用いて、図2のコンテンツCT1に示す各栄養素の推定値を算出し、推定チャートES1を含むレーダーチャートRC1を生成してもよい。
【0198】
<9-2-3.量の推定>
例えば、推定モデルは、推定対象となっている栄養素の摂取量を示す値(スコア)を出力するモデル(量出力モデル)であってもよい。例えば、推定モデルは、排泄臭を検知したセンサ装置50の出力値を基に、その排泄臭に対応する摂取栄養の炭水化物、脂質、蛋白質、ビタミン、ミネラルのうち少なくとも2つの栄養素の摂取量を示すスコアを出力する量出力モデルであってもよい。
【0199】
例えば、摂取栄養量推定装置100が、各食事の栄養素の量を示す正解情報(ラベル)と、その食事を摂取したユーザの排泄臭を検知したセンサ装置50の出力値との組合せ学習データを用いて、量出力モデルを生成する。摂取栄養量推定装置100は、各組合せの出力値を用いて生成した入力値が入力された場合、その出力値に対応する食事の栄養素の摂取量を出力するように、量出力モデルを生成する。
【0200】
摂取栄養量推定装置100が、量出力モデルを用いて、ユーザの各栄養素の摂取量を推定することにより、各栄養素間の関係のみならず、栄養素の各々の量の概念も加味してユーザの栄養バランスをモニタリングすることができる。例えば、摂取栄養量推定装置100は、使用者が目標とする栄養摂取量である栄養摂取目標量を記憶部120に記憶する。そして、摂取栄養量推定装置100は、ユーザが摂取したと推定した栄養素の量(推定摂取栄養量)と、栄養摂取目標量とを示す情報をユーザ端末10へ送信する。ユーザ端末10は、受信した推定摂取栄養量と栄養摂取目標量とを示す情報を表示する。例えば、ユーザ端末10は、受信した推定摂取栄養量と栄養摂取目標量との差分を算出し、差分を表示してもよい。なお、摂取栄養量推定システム1は、特定の栄養素(特定栄養素)を対象として、摂取量を推定し、推定した推定摂取栄養量とその特定栄養素の栄養摂取目標量とを示す情報を出力してもよい。例えば、摂取栄養量推定システム1は、ユーザが指定した栄養素を特定栄養素として上記の出力処理を行ってもよい。
【0201】
また、摂取栄養量推定装置100が、量出力モデルを用いて、各栄養素の摂取量を推定し、推定した各栄養素の摂取量を用いて、各栄養素の割合を算出してもよい。そして、摂取栄養量推定装置100が、各栄養素の摂取量から算出した各栄養素の割合を用いて、上述した割合を用いた処理を行ってもよい。
【0202】
<10.摂取栄養量出力装置>
上述した例では、ユーザが利用するユーザ端末10を摂取栄養量出力装置の一例として説明したが、摂取栄養量出力装置は、所望の出力が可能であればユーザ端末10に限らずどのようなデバイス(装置)であってもよい。例えば、図2の例のように、摂取栄養バランスを表示する場合、表示機能を有すればどのような装置であってもよく、例えば、摂取栄養量出力装置は、トイレ操作装置やトイレ空間PS1に設置された鏡等のトイレ空間PS1に配置された端末装置であってもよい。また、摂取栄養量出力装置は、医療従事者が利用するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置であってもよい。
【0203】
例えば、摂取栄養量推定装置100は、トイレ操作装置やトイレ空間PS1に配置された端末装置や医療従事者が利用する端末装置と、所定のネットワークN(図3参照)と有線または無線で接続され、情報の送受信が可能である。摂取栄養量推定装置100は、推定したユーザの栄養バランスをトイレ操作装置やトイレ空間PS1に配置された端末装置や医療従事者が利用する端末装置に送信する。
【0204】
<11.認証>
図1の例では、トイレ空間PS1に設置されたトイレ操作装置を用いて個人認証を行う。この場合、トイレ空間PS1に設置されたトイレ操作装置が認証手段として機能する。例えば、トイレ操作装置は、ユーザを指定可能であり、トイレ操作装置を操作し、ユーザを指定することにより、ユーザは個人認証を行う認証装置として機能する。図1の例では、ユーザU1は、トイレ操作装置を操作し、ユーザU1を指定することにより、ユーザは個人認証を行う。
【0205】
トイレ操作装置が表示画面を有するタブレット端末等の端末装置である場合、トイレ操作装置に表示されたユーザ群から、ユーザを指定することにより、ユーザは個人認証を行う。
【0206】
また、ユーザがユーザ端末10をトイレ空間に持ち込む場合、ユーザ端末10とトイレ操作装置とが通信することにより、トイレ操作装置がユーザ端末10を利用するユーザを、トイレ空間を利用するユーザとして特定してもよい。図1の例では、ユーザU1のユーザ端末10がトイレ操作装置との間で、例えばBluetooth等によりペアリングを行うことにより、ユーザU1がトイレ空間PS1を利用するユーザであると特定してもよい。
【0207】
また、トイレ空間PS1に設置された各種のセンサの検知結果により個人認証を行ってもよい。この場合、摂取栄養量推定装置100は、センサ装置50の各種センサの検知結果を基にユーザの特定を行う認証部を有する認証装置である。摂取栄養量推定装置100の認証部が認証手段として機能する。例えば、摂取栄養量推定装置100は、センサ装置50等のセンサの検知結果を基にユーザの特定を行う。なお、摂取栄養量推定装置100は、ユーザの個人認証(特定)が可能であれば、どのようなセンサの検知結果を用いてもよい。
【0208】
摂取栄養量推定装置100は、センサ装置50等のセンサ装置と通信し、センサ装置が検知した情報をセンサ装置から受信し、その情報を基にユーザの特定を行う。例えば、摂取栄養量推定装置100は、トイレ空間PS1の入り口を撮影する画像センサを有するセンサ装置の検知情報(画像等)を用いて、ユーザの特定を行ってもよい。この場合、摂取栄養量推定装置100は、画像センサにより検知された画像と、記憶部120に記憶された各ユーザの画像とを比較することにより、トイレ空間PS1を利用するユーザの特定を行ってもよい。
【0209】
なお、上記は一例であり、トイレ空間の使用者の特定(個人認証)が可能であれば、どのような処理により、個人認証が行われてもよい。
【0210】
<12.トイレ空間>
なお、センサ装置50が設置されるトイレ空間は、図1に示すような住宅のトイレ空間PS1に限らず、住宅以外の施設のトイレ空間であってもよい。上述のように、トイレ空間の使用者の特定(個人認証)が可能である場合、センサ装置50が設置されるトイレ空間は、どのような場所に設けられるトイレ空間であってもよい。例えば、センサ装置50が設置されるトイレ空間は、デパート(百貨店)のような店舗、遊園地、競技場、オフィスビル、公園、駐車場等のトイレ空間であってもよい。
【0211】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0212】
1 摂取栄養量推定システム
100 摂取栄養量推定装置
110 通信部
120 記憶部
121 栄養摂取目標バランス情報記憶部
122 モデル情報記憶部
123 ユーザ情報記憶部
130 制御部
131 取得部
132 推定部
133 生成部
134 送信部
10 ユーザ端末(摂取栄養量出力装置)
11 通信部
12 入力部
13 表示部(出力部)
14 記憶部
15 制御部
151 取得部
152 表示制御部
153 受付部
154 送信部
16 音声出力部
PS1 トイレ空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21