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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】電力変換装置の制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20221213BHJP
【FI】
H02M7/48 M
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021569577
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(86)【国際出願番号】 JP2020037758
(87)【国際公開番号】W WO2022074715
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バニ シャムセ ムハンマド
【審査官】白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-116148(JP,A)
【文献】国際公開第2016/017244(WO,A1)
【文献】特開2000-358374(JP,A)
【文献】特開平07-163055(JP,A)
【文献】国際公開第2017/209183(WO,A1)
【文献】特開平06-245383(JP,A)
【文献】特開平04-271226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42~ 7/98
H02J 3/00~ 3/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を交流電力に変換する電力変換器における交流側の電流の検出値を正相d軸電流値と逆相d軸電流値とに変換する第1変換部と、
前記電力変換器における交流側の電圧の検出値を正相d軸電圧値と逆相d軸電圧値とに変換する第2変換部と、
前記電力変換器の交流側の電圧を補償するように前記電力変換器の直流側の電圧の検出値と電流の検出値と前記第1変換部からの正相d軸電流値と逆相d軸電流値と前記第2変換部からの正相d軸電圧値と逆相d軸電圧値とに基づいて、暫定正相d軸電流指令値と暫定正相q軸電流指令値と暫定逆相d軸電流指令値と暫定逆相q軸電流指令値とを生成する電流指令値生成部と、
前記電力変換器の交流側の電流値が予め設定された値を超えないように、前記電流指令値生成部により生成された暫定正相d軸電流指令値と暫定正相q軸電流指令値と暫定逆相d軸電流指令値と暫定逆相q軸電流指令値との制限値それぞれ設定され、
定された制限値によって前記暫定正相d軸電流指令値と前記暫定正相q軸電流指令値と前記暫定逆相d軸電流指令値と前記暫定逆相q軸電流指令値とそれぞれ設定された制限値以内に制限して得られる確定正相d軸電流指令値と確定正相q軸電流指令値と確定逆相d軸電流指令値と確定逆相q軸電流指令値とを出力する制限部と、
出力された前記確定正相d軸電流指令値と前記確定正相q軸電流指令値と前記確定逆相d軸電流指令値と前記確定逆相q軸電流指令値とに基づいて、前記電力変換器を制御する制御部と、
を備えた電力変換装置の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1は、電力変換システムを開示する。当該電力変換システムにおいて、直流電源と系統とは、電力変換装置を介して接続される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】”Technical requirements for the connection and operation of customer installations to the high voltage network (TCR high voltage)-English translation of VDE-AR-N 4120:2018-11”、2018年11月、VDE Verband der Elektrotechnik Elektronik Informationstechnik e. V.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に記載の電力変換システムにおいて、アンバランス短絡が発生し得る。この場合、系統の電圧を補償する必要がある。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされた。本開示の目的は、アンバランス短絡の発生時に系統の電圧を適切に補償することができる電力変換装置の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電力変換装置の制御装置は、直流電力を交流電力に変換する電力変換器における交流側の電流の検出値を正相d軸電流値と逆相d軸電流値とに変換する第1変換部と、前記電力変換器における交流側の電圧の検出値を正相d軸電圧値と逆相d軸電圧値とに変換する第2変換部と、前記電力変換器の交流側の電圧を補償するように前記電力変換器の直流側の電圧の検出値と電流の検出値と前記第1変換部からの正相d軸電流値と逆相d軸電流値と前記第2変換部からの正相d軸電圧値と逆相d軸電圧値とに基づいて、暫定正相d軸電流指令値と暫定正相q軸電流指令値と暫定逆相d軸電流指令値と暫定逆相q軸電流指令値とを生成する電流指令値生成部と、前記電力変換器の交流側の電流値が予め設定された値を超えないように、前記電流指令値生成部により生成された暫定正相d軸電流指令値と暫定正相q軸電流指令値と暫定逆相d軸電流指令値と暫定逆相q軸電流指令値との制限値それぞれ設定され、設定された制限値によって前記暫定正相d軸電流指令値と前記暫定正相q軸電流指令値と前記暫定逆相d軸電流指令値と前記暫定逆相q軸電流指令値とそれぞれ設定された制限値以内に制限して得られる確定正相d軸電流指令値と確定正相q軸電流指令値と確定逆相d軸電流指令値と確定逆相q軸電流指令値とを出力する制限部と、出力された前記確定正相d軸電流指令値と前記確定正相q軸電流指令値と前記確定逆相d軸電流指令値と前記確定逆相q軸電流指令値とに基づいて、前記電力変換器を制御する制御部と、を備えた。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、アンバランス短絡の発生時に系統の電圧を適切に補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1における電力変換装置の制御装置が適用される電力変換システムの構成図である。
図2】実施の形態1における電力変換装置の制御装置の動作の概要を説明するためのブロック図である。
図3】実施の形態1における電力変換装置の制御装置による暫定正相q軸電流指令値に対する制限値の生成方法を説明するためのブロック図である。
図4】実施の形態1における電力変換装置の制御装置による暫定逆相d軸電流指令値に対する制限値と暫定逆相q軸電流指令値に対する制限値との生成方法を説明するためのブロック図である。
図5】実施の形態1における電力変換装置の制御装置による暫定正相d軸電流指令値に対する制限値の生成方法を説明するためのブロック図である。
図6】実施の形態1における電力変換装置の制御装置による暫定正相電流指令値と暫定逆相電流指令値との関係を説明するための図である。
図7】実施の形態1における電力変換装置の制御装置による逆相電流を優先するモードNの第1例を説明するための図である。
図8】実施の形態1における電力変換装置の制御装置による逆相電流を優先するモードNの第2例を説明するための図である。
図9】実施の形態1における電力変換装置の制御装置による正相電流を優先するモードPの第1例を説明するための図である。
図10】実施の形態1における電力変換装置の制御装置による正相電流を優先するモードPの第2例を説明するための図である。
図11】実施の形態1における電力変換装置の制御装置による逆相電流と正相電流とのうちのどちらも優先しないモードEの第1例を説明するための図である。
図12】実施の形態1における電力変換装置の制御装置による逆相電流と正相電流とのうちのどちらも優先しないモードEの第2例を説明するための図である。
図13】実施の形態1における電力変換装置の制御装置の各モードによる正相電流の大きさを説明するための図である。
図14】実施の形態1における電力変換装置の制御装置の各モードによる逆相電流の大きさを説明するための図である。
図15】実施の形態1における電力変換装置の制御装置の各モードによる正相電圧の大きさを説明するための図である。
図16】実施の形態1における電力変換装置の制御装置の各モードによる逆相電圧の大きさを説明するための図である。
図17】実施の形態1における電力変換装置の制御装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0010】
実施の形態1.
図1は実施の形態1における電力変換装置の制御装置が適用される電力変換システムの構成図である。
【0011】
図1の電力変換システムにおいて、直流電源1は、直流電圧値Vdcと直流電流値idcとから得られる大きさの直流電力を出力する。例えば、直流電源1は、太陽光発電装置である。例えば、直流電源1は、蓄電装置である。電力変換装置2は、直流電源1からの直流電力を交流電力に変換する。
【0012】
電力変換装置2は、電力変換器3とフィルタリアクトル4とフィルタキャパシタ5とPLL回路6と制御装置7とを備える。
【0013】
電力変換器3は、IGBTまたはMOSFET等の複数の半導体スイッチング素子を備える。電力変換器3は、スイッチング制御情報に従って直流電力を三相交流電力に変換する。電力変換器3は、交流電流値iと交流電圧値vとから得られる三相交流電力を出力する。
【0014】
フィルタリアクトル4の一端は、電力変換器3の出力端に接続される。フィルタリアクトル4は、インダクタンスLを持つ。フィルタキャパシタ5の一端は、フィルタリアクトル4の他端に接続される。フィルタキャパシタ5の他端は、接地電位などの基準電位に接続される。フィルタキャパシタ5は、キャパシタンスCを持つ。
【0015】
PLL回路6は、位相θの情報を出力する。位相θの情報は、基準となる周波数情報との位相誤差を検出して位相同期を行うための情報である。
【0016】
制御装置7は、交流電流値iと交流電圧値vと位相θとに基づいて、スイッチング制御情報を出力する。スイッチング制御情報は、電力変換器3の半導体スイッチング素子それぞれを駆動するゲート駆動情報である。
【0017】
連系リアクトルLの一端は、フィルタリアクトル4とフィルタキャパシタ5との接続点に接続される。連系リアクトルLの他端は、交流電源としての交流電力系統Aに接続される。連系リアクトルLは、インダクタンスLを持つ。
【0018】
実施の形態では、電力変換器3の交流側において、アンバランス短絡が発生し得る。例えば、UVWの三相のなかで生ずる二相間短絡が発生し得る。例えば、UVWの三相のいずれかが地絡した短絡が発生し得る。
【0019】
この際、制御装置7は、電力変換器3の交流側の電圧を補償するようにしたうえで三相交流電流値ioが予め設定された値を超えないように電力変換器3を制御する。
【0020】
次に、図2を用いて、制御装置7の動作の概要を説明する。
図2は実施の形態1における電力変換装置の制御装置の動作の概要を説明するためのブロック図である。
【0021】
図2に示されるように、制御装置7は、第1変換部8と第2変換部9と電流指令値生成部10と第1制限部11と第2制限部12と第3制限部13と第4制限部14と制御部15とを備える。
【0022】
第1変換部8は、図示されない検出器からの交流電流値iの情報の入力を受け付ける。第1変換部8は、位相θの情報の入力を受け付ける。第1変換部8は、交流電流値iと位相θとに基づいた正相d軸電流値io_d+と逆相d軸電流値io_d-との情報を出力する。
【0023】
第2変換部9は、図示されない交流電圧値vの情報の入力を受け付ける。第1変換部8は、位相θの情報の入力を受け付ける。第2変換部9は、交流電圧値vと位相θとに基づいた正相d軸電圧値vo_d+と逆相d軸電圧値vo_d-との情報を出力する。
【0024】
電流指令値生成部10は、第1変換部8からの正相d軸電流値io_d+と逆相d軸電流値io_d-との情報の入力を受け付ける。電流指令値生成部10は、第2変換部9からの正相d軸電圧値vo_d+と逆相d軸電圧値vo_d-との情報の入力を受け付ける。電流指令値生成部10は、図示されない直流電圧値vdcの情報の入力を受け付ける。電流指令値生成部10は、図示されない直流電流値idcの情報の入力を受け付ける。電流指令値生成部10は、正相d軸電流値io_d+と逆相d軸電流値io_d-と正相d軸電圧値vo_d+と逆相d軸電圧値vo_d-と直流電圧値vdcと直流電流値idcとに基づいたMPPT制御用またはPQ制御用の暫定正相d軸電流指令値io_ref_d+と暫定正相q軸電流指令値io_ref_q+と暫定逆相d軸電流指令値io_ref_d-と暫定逆相q軸電流指令値io_ref_q-との情報を出力する。
【0025】
第1制限部11は、下限値として0の情報の入力を受け付ける。第1制限部11は、上限値として制限値io_ref_d+_limitの情報の入力を受け付ける。第1制限部11は、電流指令値生成部10からの暫定正相d軸電流指令値io_ref_d+の情報の入力を受け付ける。暫定正相d軸電流指令値io_ref_d+が0と制限値io_ref_d+_limitとの間の値である場合、第1制限部11は、確定正相d軸電流指令値io_ref_d+lとして暫定正相d軸電流指令値io_ref_d+の情報をそのまま出力する。io_ref_d+が0以下である場合、第1制限部11は、確定正相d軸電流指令値io_ref_d+lとして0の情報を出力する。暫定正相d軸電流指令値io_ref_d+が制限値io_ref_d+_limit以上である場合、第1制限部11は、確定正相d軸電流指令値io_ref_d+lとして制限値io_ref_d+limitの情報を出力する。
【0026】
第2制限部12は、下限値として制限値-io_ref_q+_limitの情報の入力を受け付ける。第2制限部12は、上限値として制限値io_ref_q+_limitの情報の入力を受け付ける。第2制限部12は、電流指令値生成部10からの暫定正相q軸電流指令値io_ref_q+の情報の入力を受け付ける。暫定正相q軸電流指令値io_ref_q+が制限値-io_ref_q+_limitと制限値io_ref_q+_limitとの間の値である場合、第2制限部12は、確定正相q軸電流指令値io_ref_q+lとして暫定正相q軸電流指令値io_ref_q+の情報をそのまま出力する。暫定正相q軸電流指令値io_ref_q+が制限値-io_ref_q+_limit以下である場合、第2制限部12は、確定正相q軸電流指令値io_ref_q+lとして制限値-io_ref_q+_limitの情報を出力する。暫定正相q軸電流指令値io_ref_q+が制限値io_ref_q+_limit以上である場合、第2制限部12は、暫定正相q軸電流指令値io_ref_q+lとして制限値io_ref_q+_limitの情報を出力する。
【0027】
第3制限部13は、下限値として制限値-io_ref_d-_limitの情報の入力を受け付ける。第3制限部13は、上限値として制限値io_ref_d-_limitの情報の入力を受け付ける。第3制限部13は、電流指令値生成部10からの暫定逆相d軸電流指令値io_ref_d-の情報の入力を受け付ける。暫定逆相d軸電流指令値io_ref_d-が制限値-io_ref_d-_limitと制限値io_ref_d-_limitとの間の値である場合、第3制限部13は、確定逆相d軸電流指令値io_ref_d-lとして暫定逆相d軸電流指令値io_ref_d-の情報をそのまま出力する。暫定逆相d軸電流指令値io_ref_d-が制限値-io_ref_d-_limit以下である場合、第3制限部13は、暫定逆相d軸電流指令値io_ref_d-lとして制限値-io_ref_d-_limitの情報を出力する。暫定逆相d軸電流指令値io_ref_d-が制限値io_ref_d-_limit以上である場合、第3制限部13は、暫定逆相d軸電流指令値io_ref_d-lとして制限値io_ref_d-_limitの情報を出力する。
【0028】
第4制限部14は、下限値として制限値-io_ref_q-_limitの情報の入力を受け付ける。第4制限部14は、上限値として制限値io_ref_q-_limitの情報の入力を受け付ける。第4制限部14は、電流指令値生成部10からの暫定逆相q軸電流指令値io_ref_q-の情報の入力を受け付ける。暫定逆相q軸電流指令値io_ref_q-が制限値-io_ref_q-_limitと制限値io_ref_q-_limitとの間の値である場合、第4制限部14は、確定逆相q軸電流指令値io_ref_q-lとして暫定逆相q軸電流指令値io_ref_q-の情報をそのまま出力する。暫定逆相q軸電流指令値io_ref_q-が制限値-io_ref_q+_limit以下である場合、第4制限部14は、確定逆相q軸電流指令値io_ref_q-lとして制限値-io_ref_q-_limitの情報を出力する。暫定逆相q軸電流指令値io_ref_q+が制限値io_ref_q-_limit以上である場合、第4制限部14は、確定逆相q軸電流指令値io_ref_q-lとして制限値io_ref_q-_limitの情報を出力する。
【0029】
制御部15は、第1制限部11からの確定正相d軸電流指令値io_ref_d+lの情報の入力を受け付ける。制御部15は、第2制限部12からの確定正相q軸電流指令値io_ref_q+lの情報の入力を受け付ける。制御部15は、第3制限部13からの確定逆相d軸電流指令値io_ref_d-lの情報の入力を受け付ける。制御部15は、第4制限部14からの確定逆相q軸電流指令値io_ref_q-lの情報の入力を受け付ける。制御部15は、確定正相d軸電流指令値io_ref_d+lと確定正相q軸電流指令値io_ref_q+lと確定逆相d軸電流指令値io_ref_d-lと確定逆相q軸電流指令値io_ref_q-lとに基づいて電流制御用かつPWM制御用のスイッチング制御情報を出力する。
【0030】
次に、図3を用いて、制限値io_ref_q+_limitと制限値-io_ref_q+_limitの生成方法を説明する。
図3は実施の形態1における電力変換装置の制御装置による暫定正相q軸電流指令値に対する制限値の生成方法を説明するためのブロック図である。
【0031】
図3に示されるように、制御装置7は、第1減算部16と第1乗算部17と第1加算部18と第1除算部19と第1選択部20と第1反転部21とを備える。
【0032】
第1減算部16は、予め設定された閾値としての定格電流値imaxの情報の入力を受け付ける。第1減算部16は、暫定逆相d軸電流指令値io_ref_d-と暫定逆相q軸電流指令値io_ref_q-とから得られる暫定逆相電流指令値io_ref-の絶対値の情報の入力を受け付ける。第1減算部16は、定格電流値imaxから暫定逆相電流指令値io_ref-の絶対値を減じた値の情報を出力する。
【0033】
第1乗算部17は、定格電流値imaxの情報の入力を受け付ける。第1乗算部17は、暫定正相q軸電流指令値io_ref_q+の絶対値の情報の入力を受け付ける。第1乗算部17は、定格電流値imaxに暫定正相q軸電流指令値io_ref_q+の絶対値を乗じた値の情報を出力する。
【0034】
第1加算部18は、暫定逆相電流指令値io_ref-の絶対値の情報の入力を受け付ける。第1加算部18は、暫定正相q軸電流指令値io_ref_q+の絶対値の情報の入力を受け付ける。第1加算部18は、暫定逆相電流指令値io_ref-の絶対値に暫定正相q軸電流指令値io_ref_q+の絶対値を加えた値の情報を出力する。
【0035】
第1除算部19は、第1乗算部17の出力値の情報の入力を受け付ける。第1除算部19は、第1加算部18の出力値の情報の入力を受け付ける。第1除算部19は、第1乗算部17の出力値を第1加算部18の出力値で除した値の情報を出力する。
【0036】
第1選択部20は、第1減算部16の出力値の情報の入力を受け付ける。第1選択部20は、定格電流値imaxの情報の入力を受け付ける。第1選択部20は、第1除算部19の出力値の情報の入力を受け付ける。第1選択部20は、制限値io_ref_q+_limitとして第1減算部16の出力値と定格電流値imaxと第1除算部19の出力値とのうちのいずれかひとつの情報を出力する。
【0037】
例えば、逆相電流を優先するモードNが選択されている際、第1選択部20は、制限値io_ref_q+_limitとして第1減算部16の出力値の情報を出力する。例えば、正相電流を優先するモードPが選択されている際、第1選択部20は、定格電流値imaxの情報を出力する。例えば、逆相電流と正相電流とのうちのどちらも優先しないモードEが選択されている際、第1選択部20は、第1除算部19の出力値を出力する。
【0038】
第1反転部21は、第1選択部20の出力値の情報の入力を受け付ける。第1反転部21は、制限値-io_ref_q+_limitとして第1選択部20の出力値の符号を反転させた値の情報を出力する。
【0039】
次に、図4を用いて、制限値io_ref_d-_limitと制限値-io_ref_d-_limitと制限値io_ref_q-_limitと制限値-io_ref_q-_limitとの生成方法を説明する。
図4は実施の形態1における電力変換装置の制御装置による暫定逆相d軸電流指令値に対する制限値と暫定逆相q軸電流指令値に対する制限値との生成方法を説明するためのブロック図である。
【0040】
図4に示されるように、制御装置7は、第2減算部22と第2乗算部23と第2加算部24と第2除算部25と第2選択部26と第3除算部27と第1絶対値算出部28と第3乗算部29と第2反転部30と第4除算部31と第2絶対値算出部32と第4乗算部33と第3反転部34とを備える。
【0041】
第2減算部22は、定格電流値imaxの情報の入力を受け付ける。第2減算部22は、暫定正相q軸電流指令値io_ref_q+の絶対値の情報の入力を受け付ける。第1減算部16は、定格電流値imaxから暫定正相q軸電流指令値io_ref_q+の絶対値を減じた値の情報を出力する。
【0042】
第2乗算部23は、定格電流値imaxの情報の入力を受け付ける。第2乗算部23は、暫定逆相電流指令値io_ref-の絶対値の情報の入力を受け付ける。第1乗算部17は、定格電流値imaxに暫定逆相電流指令値io_ref-の絶対値を乗じた値の情報を出力する。
【0043】
第2加算部24は、暫定逆相電流指令値io_ref-の絶対値の情報の入力を受け付ける。第2加算部24は、暫定正相q軸電流指令値io_ref_q+の絶対値の情報の入力を受け付ける。第1加算部18は、暫定逆相電流指令値io_ref-の絶対値に暫定逆相電流指令値io_ref_q+の絶対値を加えた値の情報を出力する。
【0044】
第2除算部25は、第2乗算部23の出力値の情報の入力を受け付ける。第2除算部25は、第2加算部24の出力値の情報の入力を受け付ける。第2除算部25は、第2乗算部23の出力値を第2加算部24の出力値で除した値の情報を出力する。
【0045】
第2選択部26は、定格電流値imaxの情報の入力を受け付ける。第2選択部26は、第2減算部22の出力値の情報の入力を受け付ける。第2選択部26は、第2除算部25の出力値の情報の入力を受け付ける。第2選択部26は、制限値io_ref-_limitとして定格電流値imaxと第2減算部22の出力値と第2除算部25の出力値とのうちのいずれかひとつの情報を出力する。
【0046】
例えば、逆相電流を優先するモードNが選択されている際、第2選択部26は、制限値io_ref-_limitとして定格電流値imaxの情報を出力する。例えば、正相電流を優先するモードPが選択されている際、第2選択部26は、第2減算部22の出力値を出力する。例えば、逆相電流と正相電流とのうちのどちらも優先しないモードEが選択されている際、第2選択部26は、第2除算部25の出力値を出力する。
【0047】
第3除算部27は、逆相d軸電圧値vo_d-の絶対値の情報の入力を受け付ける。第3除算部27は、逆相d軸電圧値vo_d-と逆相q軸電圧値vo_q-oとから得られる逆相電圧値vo-の絶対値の情報の入力を受け付ける。第3除算部27は、逆相d軸電圧値vo_d-の絶対値を逆相電圧値vo-の絶対値で除した値の情報を出力する。
【0048】
第1絶対値算出部28は、第3除算部27の出力値の入力を受け付ける。第1絶対値算出部28は、第3除算部27の出力値の絶対値の情報を出力する。
【0049】
第3乗算部29は、第2選択部26からの制限値io_ref-_limitの情報の入力を受け付ける。第3乗算部29は、第1絶対値算出部28の出力値の情報の入力を受け付ける。第3乗算部29は、制限値io_ref-_q-limitとして制限値io_ref-_limitに第1絶対値算出部28の出力値を乗じた値の情報を出力する。
【0050】
第2反転部30は、第3乗算部29の出力値の情報の入力を付けつける。第2反転部30は、制限値-io_ref-_q-limitとして第3乗算部29の出力値の符号を反転させた値の情報を出力する。
【0051】
第4除算部31は、逆相q軸電圧値vo_q-の絶対値の情報の入力を受け付ける。第4除算部31は、逆相電圧値vo-の絶対値の情報の入力を受け付ける。第4除算部31は、逆相q軸電圧値vo_q-の絶対値を逆相電圧値vo-の絶対値で除した値の情報を出力する。
【0052】
第2絶対値算出部32は、第4除算部31の出力値の入力を受け付ける。第2絶対値算出部32は、第4除算部31の出力値の絶対値の情報を出力する。
【0053】
第4乗算部33は、第2選択部26からの制限値io_ref-_limitの情報の入力を受け付ける。第4乗算部33は、第2絶対値算出部32の出力値の情報の入力を受け付ける。第4乗算部33は、制限値io_ref-_d-limitとして制限値io_ref-_limitに第2絶対値算出部32の出力値を乗じた値の情報を出力する。
【0054】
第3反転部34は、第4乗算部33の出力値の情報の入力を付けつける。第3反転部34は、制限値-io_ref-_d-limitとして第4乗算部33の出力値の符号を反転させた値の情報を出力する。
【0055】
次に、図5を用いて、制限値-io_ref_d+_limitの生成方法を説明する。
図5は実施の形態1における電力変換装置の制御装置による暫定正相d軸電流指令値に対する制限値の生成方法を説明するためのブロック図である。
【0056】
図5に示されるように、制御装置7は、第5乗算部35と第6乗算部36と第3加算部37と第1平方根算出部38と第3減算部39と第4加算部40と第4減算部41と第7乗算部42と第2平方根算出部43とを備える。
【0057】
第5乗算部35は、確定逆相d軸電流指令値io_ref_d-_lの情報の入力を受け付ける。第5乗算部35は、確定逆相d軸電流指令値io_ref_d-_lを二乗した値の情報を出力する。
【0058】
第6乗算部36は、確定逆相q軸電流指令値io_ref_q-_lの情報の入力を受け付ける。第6乗算部36は、確定逆相q軸電流指令値io_ref_q-_lを二乗した値の情報を出力する。
【0059】
第3加算部37は、第5乗算部35の出力値の情報の入力を付けつける。第3加算部37は、第6乗算部36の出力値の情報の入力を付けつける。第3加算部37は、第5乗算部35の出力値に第6乗算部36の出力値を加えた値の情報を出力する。
【0060】
第1平方根算出部38は、第3加算器の出力値の情報の入力を受け付ける。第1平方根算出部38は、第3加算器の出力値の平方根の値の情報を出力する。
【0061】
第3減算部39は、定格電流値imaxの情報の入力を受け付ける。第3減算部39は、第1平方根算出部38の出力値の情報の入力を受け付ける。第3減算部39は、定格電流値imaxから第1平方根算出部38の出力値を減じた値の情報を出力する。
【0062】
第4加算部40は、第3減算部39の出力値の情報の入力を付ける。第4加算部40は、確定正相q軸電流指令値io_ref_q+_lの情報の入力を受け付ける。第4加算部40は、第3減算部39の出力値に確定正相q軸電流指令値io_ref_q+_lを加えた値の情報を出力する。
【0063】
第4減算部41は、第3減算部39の出力値の情報の入力を付ける。第4減算部41は、確定正相q軸電流指令値io_ref_q+_lの情報の入力を受け付ける。第4減算部41は、第3減算部39の出力値から確定正相q軸電流指令値io_ref_q+_lを減じた値の情報を出力する。
【0064】
第7乗算部42は、第4加算部40の出力値の情報の入力を受け付ける。第7乗算部42は、第4減算部41の出力値の情報の入力を受け付ける。第7乗算部42は、第4加算部40の出力値に第4減算部41の出力値を乗じた値の情報を出力する。
【0065】
第2平方根算出部43は、第7乗算部42の出力値の情報の入力を受け付ける。第2平方根算出部43は、制限値io_ref_d+_limitとして第7乗算部42の出力値の平方根の値の情報を出力する。
【0066】
次に、図6を用いて、暫定正相電流指令値io_ref+と暫定逆相電流指令値io_ref-との関係を説明する。
図6は実施の形態1における電力変換装置の制御装置による暫定正相電流指令値と暫定逆相電流指令値との関係を説明するための図である。
【0067】
電力変換器3の交流側において、U相の電流の最大値Iは、次の(1)式で表される。V相の電流の最大値Iは、次の(2)式で表される。W相の電流の最大値Iは、次の(3)式で表される。
【0068】
【数1】
【0069】
【数2】
【0070】
【数3】
【0071】
(1)式から(3)式において、θpnは、正相電流と逆相電流の位相差である。
【0072】
U相の電流の最大値IとV相の電流の最大値IとW相の電流の最大値Iとにおいて、位相差θpnが0と+2π/3と-2π/3とのうちのいずれかである場合、最大値MAX{I、I、I}が得られる。最大値MAX{I、I、I}は、次の(4)式で表される。
【0073】
【数4】
【0074】
制御装置7は、次の(5)式が成立するように電力変換器3を制御する。
【0075】
【数5】
【0076】
具体的には、制御装置7は、次の(6)式が成立するように電力変換器3を制御する。
【0077】
【数6】
【0078】
より具体的には、制御装置7は、次の(7)式が成立するように電力変換器3を制御する。
【0079】
【数7】
【0080】
次に、図7図8とを用いて、逆相電流を優先するモードNの例を説明する。
図7は実施の形態1における電力変換装置の制御装置による逆相電流を優先するモードNの第1例を説明するための図である。図8は実施の形態1における電力変換装置の制御装置による逆相電流を優先するモードNの第2例を説明するための図である。
【0081】
暫定逆相d軸電流指令値io_ref_d-は、次の(8)式で表される。
【0082】
【数8】
【0083】
暫定逆相q軸電流指令値io_ref_q-は、次の(9)式で表される。
【0084】
【数9】
【0085】
暫定逆相電流指令値io_ref-の絶対値は、次の(10)式で表される。
【0086】
【数10】
【0087】
制限値io_ref_q+_limitは、次の(11)式で表される。
【0088】
【数11】
【0089】
確定逆相電流指令値io_ref-_lは、次の(12)式で表される。
【0090】
【数12】
【0091】
制限値io_ref_d+_limitは、次の(13)式で表される。
【0092】
【数13】

【0093】
図7の第1例において、暫定正相q軸電流指令値io_ref_q+の絶対値は、制限値io_ref_q+_limitの絶対値よりも大きい。この場合、確定正相q軸電流指令値io_ref_q+_lの絶対値は、制限値io_ref_q+_limitの絶対値に制限される。
【0094】
図8の第2例において、暫定正相q軸電流指令値io_ref_q+の絶対値は、制限値io_ref_q+_limitの絶対値よりも小さい。この場合、確定正相q軸電流指令値io_ref_q+_lの絶対値は、制限値io_ref_q+_limitの絶対値に制限されない。この際、確定正相電流指令値io_ref+_lは、確定正相d軸電流指令値io_ref_d+_lと確定正相q軸電流指令値io_ref_q+_lとの和となる。
【0095】
次に、図9図10とを用いて、正相電流を優先するモードPの第1例を説明する。
図9は実施の形態1における電力変換装置の制御装置による正相電流を優先するモードPの第1例を説明するための図である。図10は実施の形態1における電力変換装置の制御装置による正相電流を優先するモードPの第2例を説明するための図である。
【0096】
暫定正相q軸電流指令値io_ref_q+の絶対値は、次の(14)式で表される。
【0097】
【数14】
【0098】
制限値io_ref-_limitは、次の(15)式で表される。
【0099】
【数15】
【0100】
制限値io_ref_d-_limitは、次の(16)式で表される。
【0101】
【数16】
【0102】
制限値io_ref_d-_limitは、次の(17)式で表される。
【0103】
【数17】
【0104】
確定逆相電流指令値io_ref-_lは、次の(18)式で表される。
【0105】
【数18】
【0106】
制限値io_ref_d+_limitは、次の(19)式で表される。
【0107】
【数19】


【0108】
図9の第1例において、暫定逆相電流指令値io_ref-の絶対値は、制限値io_ref-_limitの絶対値よりも大きい。この場合、確定逆相電流指令値io_ref-_lの絶対値は、制限値io_ref-_limitの絶対値に制限される。
【0109】
図10の第2例において、暫定逆相電流指令値io_ref-の絶対値は、制限値io_ref-_limitの絶対値よりも小さい。この場合、確定逆相電流指令値io_ref-_lの絶対値は、制限値io_ref-_limitの絶対値に制限されない。この際、確定正相電流指令値io_ref+_lは、確定正相d軸電流指令値io_ref_d+_lと確定正相q軸電流指令値io_ref_q+_lとの和となる。
【0110】
次に、図11図12とを用いて、逆相電流と正相電流とのうちのどちらも優先しないモードEの第1例を説明する。
図11は実施の形態1における電力変換装置の制御装置による逆相電流と正相電流とのうちのどちらも優先しないモードEの第1例を説明するための図である。図12は実施の形態1における電力変換装置の制御装置による逆相電流と正相電流とのうちのどちらも優先しないモードEの第2例を説明するための図である。
【0111】
制限値io_ref_q+_limitは、次の(20)式で表される。
【0112】
【数20】
【0113】
制限値io_ref_-limitは、次の(21)式で表される。
【0114】
【数21】
【0115】
制限値io_ref_d-_limitは、次の(22)式で表される。
【0116】
【数22】
【0117】
制限値io_ref_d-_limitは、次の(23)式で表される。
【0118】
【数23】
【0119】
確定逆相電流指令値io_ref_-_lは、次の(23)式で表される。
【0120】
【数24】
【0121】
制限値io_ref_d+_limitは、次の(25)式で表される。
【0122】
【数25】

【0123】
図11の第1例において、暫定正相q軸電流指令値io_ref_q+の絶対値は、制限値io_ref_q+_limitの絶対値よりも大きい。暫定逆相電流指令値io_ref-の絶対値は、制限値io_ref-_limitの絶対値よりも大きい。この場合、確定正相q軸電流指令値io_ref_q+_lの絶対値は、制限値io_ref_q+_limitの絶対値に制限される。確定逆相電流指令値io_ref-_lの絶対値は、制限値io_ref-_limitの絶対値に制限される。
【0124】
図12の第2例において、暫定正相q軸電流指令値io_ref_q+の絶対値は、制限値io_ref_q+_limitの絶対値よりも小さい。暫定逆相電流指令値io_ref-の絶対値は、制限値io_ref-_limitよりも小さい。この場合、確定正相q軸電流指令値io_ref_q+_lの絶対値は、制限値io_ref_q+_limitの絶対値に制限されない。この際、確定正相電流指令値io_ref+_lは、確定正相d軸電流指令値io_ref_d+_lと確定正相q軸電流指令値io_ref_q+_lとの和となる。
【0125】
次に、図13を用いて、各モードによる正相電流の大きさを説明する。
図13は実施の形態1における電力変換装置の制御装置の各モードによる正相電流の大きさを説明するための図である。
【0126】
図13に示されるように、正相電流の大きさは、モードにより変化する。具体的には、正相電流は、正相電流を優先するモードPが選択されている際に最も大きくなる。正相電流は、逆相電流を優先するモードNが選択されている際に最も小さくなる。正相電流は、逆相電流と正相電流とのうちのどちらも優先しないモードEが選択されている際に正相電流を優先するモードPが選択されている際の正相電流の大きさと逆相電流を優先するモードNが選択されている際の正相電流の大きさとの間の大きさとなる。
【0127】
次に、図14を用いて、各モードによる逆相電圧の大きさを説明する。
図14は実施の形態1における電力変換装置の制御装置の各モードによる逆相電圧の大きさを説明するための図である。
【0128】
図14に示されるように、逆相電流の大きさは、モードにより変化する。具体的には、逆相電流は、逆相電流を優先するモードNが選択されている際に最も大きくなる。逆相電流は、正相電流を優先するモードPが選択されている際に最も小さくなる。逆相電流は、逆相電流と正相電流とのうちのどちらも優先しないモードEが選択されている際に逆相電流を優先するモードNが選択されている際の逆相電流の大きさと正相電流を優先するモードPが選択されている際の逆相電流の大きさとの間の大きさとなる。
【0129】
次に、図15を用いて、各モードによる正相電圧の大きさを説明する。
図15は実施の形態1における電力変換装置の制御装置の各モードによる正相電圧の大きさを説明するための図である。
【0130】
図15に示されるように、正相電圧の大きさは、モードにより変化する。具体的には、正相電圧は、正相電流を優先するモードPが選択されている際に最も大きくなる。正相電圧は、逆相電流を優先するモードNが選択されている際に最も小さくなる。正相電圧は、逆相電流と正相電流とのうちのどちらも優先しないモードEが選択されている際に正相電流を優先するモードPが選択されている際の正相電圧の大きさと逆相電流を優先するモードNが選択されている際の正相電圧の大きさとの間の大きさとなる。
【0131】
次に、図16を用いて、各モードによる逆相電圧の大きさを説明する。
図16は実施の形態1における電力変換装置の制御装置の各モードによる逆相電圧の大きさを説明するための図である。
【0132】
図16に示されるように、逆相電圧の大きさは、モードにより変化する。具体的には、逆相電圧は、正相電流を優先するモードPが選択されている際に最も大きくなる。逆相電圧は、逆相電流を優先するモードNが選択されている際に最も小さくなる。逆相電圧は、逆相電流と正相電流とのうちのどちらも優先しないモードEが選択されている際に正相電流を優先するモードPが選択されている際の逆相電圧の大きさと逆相電流を優先するモードNが選択されている際の逆相電圧の大きさとの間の大きさとなる。
【0133】
以上で説明した実施の形態1によれば、制御装置7は、制限値以内において暫定正相d軸電流指令値と暫定正相q軸電流指令値と暫定逆相d軸電流指令値と暫定逆相q軸電流指令値とからそれぞれ得られる確定正相d軸電流指令値と確定正相q軸電流指令値と確定逆相d軸電流指令値と確定逆相q軸電流指令値とに基づいて、電力変換器を制御する。このため、アンバランス短絡の発生時に系統の電圧を適切に補償することができる。具体的には、電力変換器3の交流側の電流値が定格電流値を超えないように、系統の電圧を補償することができる。
【0134】
また、制御装置7は、各モードに応じて制限値を変化させる。このため、状況に応じて、電力変換器3の交流側の電流値が定格電流値を超えないように、系統の電圧を補償することができる。
【0135】
次に、図17を用いて、制御装置7の例を説明する。
図17は実施の形態1における電力変換装置の制御装置のハードウェア構成図である。
【0136】
制御装置7の各機能は、処理回路により実現し得る。例えば、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。例えば、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える。
【0137】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える場合、制御装置7の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリ100bに格納される。少なくとも1つのプロセッサ100aは、少なくとも1つのメモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置7の各機能を実現する。少なくとも1つのプロセッサ100aは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。例えば、少なくとも1つのメモリ100bは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。
【0138】
処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。例えば、制御装置7の各機能は、それぞれ処理回路で実現される。例えば、制御装置7の各機能は、まとめて処理回路で実現される。
【0139】
制御装置7の各機能について、一部を専用のハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、制御部15の機能については専用のハードウェア200としての処理回路で実現し、制御部15の機能以外の機能については少なくとも1つのプロセッサ100aが少なくとも1つのメモリ100bに格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現してもよい。
【0140】
このように、処理回路は、ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで制御装置7の各機能を実現する。
【産業上の利用可能性】
【0141】
以上のように、本開示の電力変換装置の制御装置は、電力変換システムに利用できる。
【符号の説明】
【0142】
1 直流電源、 2 電力変換装置、3 電力変換器、 4 フィルタリアクトル、 5 フィルタキャパシタ、 6 PLL回路、 7 制御装置、 8 第1変換部、 9 第2変換部、 10 電流指令値生成部、 11 第1制限部、 12 第2制限部、 13 第3制限部、 14 第4制限部、 15 制御部、 16 第1減算部、 17 第1乗算部、 18 第1加算部、 19 第1除算部、 20 第1選択部、 21 第1反転部、 22 第2減算部、 23 第2乗算部、 24 第2加算部、 25 第2除算部、 26 第2選択部、 27 第3除算部、 28 第1絶対値算出部、 29 第3乗算部、 30 第2反転部、 31 第4除算部、 32 第2絶対値算出部、 33 第4乗算部、 34 第3反転部、 35 第5乗算部、 36 第6乗算部、 37 第3加算部、 38 第1平方根算出部、 39 第3減算部、 40 第4加算部、 41 第4減算部、 42 第7乗算部、 43 第2平方根算出部、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 ハードウェア

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17