(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】不活化装置および不活化方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20221213BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
A61L2/10
A61L9/20
(21)【出願番号】P 2022012046
(22)【出願日】2022-01-28
(62)【分割の表示】P 2020119894の分割
【原出願日】2020-03-17
【審査請求日】2022-02-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 龍志
(72)【発明者】
【氏名】大橋 広行
(72)【発明者】
【氏名】奥村 善彦
(72)【発明者】
【氏名】今村 篤史
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】特許第7099612(JP,B1)
【文献】特表2018-517488(JP,A)
【文献】特表2005-508664(JP,A)
【文献】国際公開第2019/186880(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00-12/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する不活化装置であって、
人が入退出可能な空間内に、前記人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する波長の紫外線を含む光を照射する紫外線照射部と、
前記空間内における前記人の所在を検出するセンサと、
前記センサからの検出信号に基づいて、前記紫外線照射部による前記光の照射および非照射を制御する制御部と、を備え、
前記紫外線照射部は、190nm~235nmの波長域の光を透過し、それ以外の波長域の光の透過を阻止する波長選択フィルタを備え、
前記紫外線照射部から放出される紫外線は190nm~235nmの波長域の光であり、
前記制御部は、
前記センサからの検出信号に基づいて前記空間内に人が存在すると判断された場合、前記紫外線照射部から前記人を含む空間への前記光の照射を行い、人体への前記紫外線の許容積算光量を超えないように前記紫外線の波長に応じた所定時間、前記光の照射を行った後、前記紫外線照射部からの前記光の照射を停止するように制御することを特徴とする不活化装置。
【請求項2】
人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する不活化装置であって、
人が入退出可能な空間内に、前記人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する波長の紫外線を含む光を照射する紫外線照射部と、
前記空間内における前記人の所在を検出するセンサと、
前記センサからの検出信号に基づいて、前記紫外線照射部による前記光の照射および非照射を制御する制御部と、を備え、
前記紫外線照射部から放出される紫外線は190nm~235nmの波長域の光であり、
前記制御部は、
前記センサからの検出信号に基づいて前記空間内に人が存在すると判断された場合、前記紫外線照射部から前記人を含む空間への前記光の照射を行い、人体への前記紫外線の許容積算光量を超えないように前記紫外線の波長に応じた所定時間、前記光の照射を行った後、前記紫外線照射部からの前記光の照射を停止するように制御し、
前記センサからの検出信号に基づいて前記空間内に人が存在しないと判断された場合、前記紫外線照射部から前記人が不在の空間への前記光の照射を開始するように制御することを特徴とす
る不活化装置。
【請求項3】
人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する不活化装置であって、
人が入退出可能な空間内に、前記人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する波長の紫外線を含む光を照射する紫外線照射部と、
前記空間内における前記人の所在を検出するセンサと、
前記センサからの検出信号に基づいて、前記紫外線照射部による前記光の照射および非照射を制御する制御部と、を備え、
前記紫外線照射部から放出される紫外線は190nm~235nmの波長域の光であり、
前記制御部は、
前記センサからの検出信号に基づいて前記空間内に人が存在すると判断された場合、前記紫外線照射部から前記人を含む空間への前記光の照射を行い、
前記紫外線の照射が停止した後、前記センサからの検出信号に基づいて前記空間内に人が存在しないと判断された場合、前記紫外線照射部から前記人が不在の空間への前記光の照射を開始するように制御することを特徴とする不活化装置。
【請求項4】
人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する不活化方法であって、
センサによって人が入退出可能な空間内における人の所在を検出するステップと、
前記空間内に人が存在すると判断された場合、前記人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する190nm~235nmの波長域の紫外線を含む光を照射する紫外線照射部から前記人を含む空間への前記光の照射を行い、人体への前記紫外線の許容積算光量を超えないように前記紫外線の波長に応じた所定時間、前記光の照射を行った後、前記紫外線照射部からの前記光の照射を停止するステップと、を含むことを特徴とする不活化方法。
【請求項5】
人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する不活化方法であって、
センサによって人が入退出可能な空間内における人の所在を検出するステップと、
前記空間内に人が存在すると判断された場合、前記人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する190nm~235nmの波長域の紫外線を含む光を照射する紫外線照射部から前記人を含む空間への前記光の照射を行うステップと、
前記紫外線照射部からの前記光の照射を停止するステップと、
前記空間内に人が存在しないと判断された場合、前記紫外線照射部から前記人が不在の空間への前記光の照射を開始するステップと、を含むことを特徴とする不活化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害な微生物やウイルスを不活化する不活化装置および不活化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療施設、学校、役所等、頻繁に人が集まる施設は、有害な微生物(バクテリアやカビ等)やウイルスが繁殖しやすい環境にある。これらの有害な微生物やウイルスは、特に、上記施設における狭い空間(病室、トイレ、エレベータ内などの閉鎖空間)で繁殖しやすい。
【0003】
上記のような有害な微生物は、上記空間における床や壁等の表面上や上記空間に出入りする人間(場合によっては動物)の内部で増殖する、あるいは、上記空間内を浮遊する。
この傾向は、特に医療施設内で顕著である。すなわち、入院患者用の病室や病室内のトイレ、外来受付に隣接するトイレなどの狭い空間においては、患者由来の感染性微生物が撒布される。そして、撒布された感染性微生物は、この狭い空間を構成する表面(床、壁等)へ付着したり、空間内を浮遊したりする。そのため、その空間(トイレなど)に入った次の人間(他の患者や訪問者など)に感染し、場合によっては感染症が医療施設内で蔓延することもある。
【0004】
以上のような状況を改善するために、人間(場合によっては動物)が集まる施設(特に医療施設)においては、上記のような有害な微生物(例えば、感染性微生物)を除染(殺菌)する措置が求められる。
【0005】
特許文献1には、除染対象空間に紫外線(UVC光)を照射し、当該空間を除染する除染装置が開示されている。この除染装置は、上記の除染対象空間内における人の不在を検知した際に、当該空間内に紫外線を放出する。
また、特許文献2には、エレベータに人感センサ、ドアセンサを設置し、上記センサがエレベータ内に人間が不在で、ドアが閉まった状態を検知した際、エレベータ内に殺菌用の紫外線を放出するシステムが開示されている。ここで、放出する紫外線の波長は、約240nmと約280nmとの間の波長としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2017-528258号公報
【文献】米国特許出願公開第2010/0032859号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
施設の狭い空間内で有害な微生物が繁殖したり浮遊したりするのは、有害な微生物を有する人間(患者)や動物が、上記空間に出入りすることに起因することが多い。よって、本来的にはこのような施設における除染は、施設内の表面や空間のみならず、その領域に存在する人間(患者)や動物の表面に対して行うことが効率的となる。
【0008】
しかしながら、除染に適した波長を有する紫外線の照射は、人間や動物に悪影響を与える。そのため、上記特許文献1や特許文献2に開示されているように、紫外線照射を用いて除染する除染システムでは、人間や動物の安全性を考慮し、照射領域に人間が存在する場合は紫外線の放出を停止するように構成している。
したがって、上記従来の除染システムでは、施設の除染を効率的に行うことができない。また、人間(患者)や動物の表面の除染を行うことができないため、人間(患者)や動物の行動範囲を考慮して、除染すべき領域を広範囲に広げる必要がある。
【0009】
そこで、本発明は、有害な微生物やウイルスを効率的に不活化することができる不活化装置および不活化方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る不活化装置の一態様は、人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する不活化装置であって、人が入退出可能な空間内に、前記人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する波長の紫外線を含む光を照射する紫外線照射部と、前記空間内における前記人の所在を検出するセンサと、前記センサからの検出信号に基づいて、前記紫外線照射部による前記光の照射および非照射を制御する制御部と、を備え、前記紫外線照射部は、190nm~235nmの波長域の光を透過し、それ以外の波長域の光の透過を阻止する波長選択フィルタを備え、前記紫外線照射部から放出される紫外線は190nm~235nmの波長域の光であり、前記制御部は、前記センサからの検出信号に基づいて前記空間内に人が存在すると判断された場合、前記紫外線照射部から前記人を含む空間への前記光の照射を行い、人体への前記紫外線の許容積算光量を超えないように前記紫外線の波長に応じた所定時間、前記光の照射を行った後、前記紫外線照射部からの前記光の照射を停止するように制御する。
【0011】
このように、敢えて人に対して所定時間、紫外線を含む光を照射することで、人体の表面(皮膚や衣類の表面)に存在する少なくとも1つの有害な微生物やウイルスを不活化することができる。そのため、人から空間内への有害な微生物やウイルスの拡散を抑制することができる。また、空間から退出した人が、空間外に有害な微生物やウイルスの拡散してしまうことを抑制することができる。したがって、施設内の除染すべき領域の拡大を抑制することができ、効率的に施設の除染を行うことができる。また、190nm~235nmの波長域の紫外線を放出するので、紫外線照射による人体への悪影響を適切に抑制することができる。
さらに、人に対して紫外線を照射する時間は、当該紫外線の波長に応じた時間とする。紫外線照射による人体への影響の度合いは、紫外線の波長ごとに異なる。そのため、人体への紫外線の許容積算光量を超えないように、紫外線の波長に応じた所定時間だけ人に対して紫外線を照射するようにすることで、人体へ悪影響を及ぼすことなく、効率的に除染を行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る不活化装置の一態様は、人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する不活化装置であって、人が入退出可能な空間内に、前記人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する波長の紫外線を含む光を照射する紫外線照射部と、前記空間内における前記人の所在を検出するセンサと、前記センサからの検出信号に基づいて、前記紫外線照射部による前記光の照射および非照射を制御する制御部と、を備え、前記紫外線照射部から放出される紫外線は190nm~235nmの波長域の光であり、前記制御部は、前記センサからの検出信号に基づいて前記空間内に人が存在すると判断された場合、前記紫外線照射部から前記人を含む空間への前記光の照射を行い、人体への前記紫外線の許容積算光量を超えないように前記紫外線の波長に応じた所定時間、前記光の照射を行った後、前記紫外線照射部からの前記光の照射を停止するように制御し、前記センサからの検出信号に基づいて前記空間内に人が存在しないと判断された場合、前記紫外線照射部から前記人が不在の空間への前記光の照射を開始するように制御する。
このように、敢えて人に対して所定時間、紫外線を含む光を照射することで、人体の表面(皮膚や衣類の表面)に存在する少なくとも1つの有害な微生物やウイルスを不活化することができる。そのため、人から空間内への有害な微生物やウイルスの拡散を抑制することができる。また、空間から退出した人が、空間外に有害な微生物やウイルスの拡散してしまうことを抑制することができる。したがって、施設内の除染すべき領域の拡大を抑制することができ、効率的に施設の除染を行うことができる。また、190nm~235nmの波長域の紫外線を放出するので、紫外線照射による人体への悪影響を適切に抑制することができる。
さらに、人に対して紫外線を照射する時間は、当該紫外線の波長に応じた時間とする。紫外線照射による人体への影響の度合いは、紫外線の波長ごとに異なる。そのため、人体への紫外線の許容積算光量を超えないように、紫外線の波長に応じた所定時間だけ人に対して紫外線を照射するようにすることで、人体へ悪影響を及ぼすことなく、効率的に除染を行うことができる。
また、人が不在の空間に紫外線を含む光を照射することで、空間内に元々存在した有害な微生物やウイルス、人が進入したことにより空間内部に拡散したり、空間内の一部表面に人が接触して付着したりする有害な微生物やウイルス、および人が進入したときに空間内部に流入する空気中に浮遊した有害な微生物やウイルスの少なくとも一部を効果的に不活化することができる。
【0013】
また、本発明に係る不活化装置の一態様は、人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する不活化装置であって、人が入退出可能な空間内に、前記人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する波長の紫外線を含む光を照射する紫外線照射部と、前記空間内における前記人の所在を検出するセンサと、前記センサからの検出信号に基づいて、前記紫外線照射部による前記光の照射および非照射を制御する制御部と、を備え、前記紫外線照射部から放出される紫外線は190nm~235nmの波長域の光であり、前記制御部は、前記センサからの検出信号に基づいて前記空間内に人が存在すると判断された場合、前記紫外線照射部から前記人を含む空間への前記光の照射を行い、前記紫外線の照射が停止した後、前記センサからの検出信号に基づいて前記空間内に人が存在しないと判断された場合、前記紫外線照射部から前記人が不在の空間への前記光の照射を開始するように制御する。
【0014】
このように、空間内に人が存在すると判断された場合に、人が存在する空間に紫外線を含む光を照射することで、人体の表面(皮膚や衣類の表面)に存在する少なくとも1つの有害な微生物やウイルスを不活化することができる。そのため、人から空間内への有害な微生物やウイルスの拡散を抑制することができる。また、空間から退出した人が、空間外に有害な微生物やウイルスの拡散してしまうことを抑制することができる。したがって、施設内の除染すべき領域の拡大を抑制することができ、効率的に施設の除染を行うことができる。また、190nm~235nmの波長域の紫外線を放出するので、紫外線照射による人体への悪影響を適切に抑制することができる。
さらに、空間内に人が存在しないと判断された場合に、人が不在の空間に紫外線を含む光を照射することで、空間内に元々存在した有害な微生物やウイルス、人が進入したことにより空間内部に拡散したり、空間内の一部表面に人が接触して付着したりする有害な微生物やウイルス、および人が進入したときに空間内部に流入する空気中に浮遊した有害な微生物やウイルスの少なくとも一部を効果的に不活化することができる。
【0015】
さらに、本発明に係る不活化方法の一態様は、人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する不活化方法であって、センサによって人が入退出可能な空間内における人の所在を検出するステップと、前記空間内に人が存在すると判断された場合、前記人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する190nm~235nmの波長域の紫外線を含む光を照射する紫外線照射部から前記人を含む空間への前記光の照射を行い、人体への前記紫外線の許容積算光量を超えないように前記紫外線の波長に応じた所定時間、前記光の照射を行った後、前記紫外線照射部からの前記光の照射を停止するステップと、を含む。
また、本発明に係る不活化方法の一態様は、人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する不活化方法であって、センサによって人が入退出可能な空間内における人の所在を検出するステップと、前記空間内に人が存在すると判断された場合、前記人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する190nm~235nmの波長域の紫外線を含む光を照射する紫外線照射部から前記人を含む空間への前記光の照射を行うステップと、前記紫外線照射部からの前記光の照射を停止するステップと、前記空間内に人が存在しないと判断された場合、前記紫外線照射部から前記人が不在の空間への前記光の照射を開始するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、敢えて人間に対して紫外線を含む光を照射することで、有害な微生物やウイルスを効率的に不活化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態における不活化システムの構造例を示す図である。
【
図2】第一の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【
図3】第一の実施形態の動作を説明するタイムチャートである。
【
図4】第一の実施形態の変形例の動作を説明するフローチャートである。
【
図5】第一の実施形態の変形例の動作を説明するタイムチャートである。
【
図6】第二の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【
図7】第二の実施形態の動作を説明するタイムチャートである。
【
図8】第二の実施形態の変形例の動作を説明するフローチャートである。
【
図9】第二の実施形態の変形例の動作を説明するタイムチャートである。
【
図10】第二の実施形態の変形例の動作を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第一の実施形態)
本実施形態では、頻繁に人が集まる施設の特に狭い空間(病室、トイレ、エレベータ内などの閉鎖空間)において紫外線照射を行い、有害な微生物やウイルスを不活化する不活化システムについて説明する。本実施形態における不活化システムは、従来は安全の観点から見送られてきた人間(患者)や動物といった生体に対する紫外線照射を敢えて所定時間実施して、有害な微生物やウイルスを不活化するものである。
【0019】
図1は、本実施形態における不活化システムの構成例を示す図である。本実施形態では、不活化システムとして、個室トイレ内に存在する有害な微生物やウイルスを不活化する不活化システムの例を説明する。
この不活化システムは、不活化装置100を備える。不活化装置100は、閉鎖空間(個室トイレ)内200に紫外線を放出する紫外線照射部(UV照射部)10A、10Bの少なくとも一方を備える。ここで、UV照射部10A、10Bが放出する紫外線の波長域は、例えば200nm~320nmである。
【0020】
UV照射部10Aは、個室トイレ200内の天井201に設けられている。なお、UV照射部10Aは、個室トイレ200内の上部に設けられていればよく、例えば、個室トイレ200内の壁部202の上側部分に設けられていてもよい。
このUV照射部10Aからは、下方向に紫外線が放出され、当該紫外線が、個室トイレ200の空間や、壁部202、床等に照射される。また、UV照射部10Aから放出される紫外線は、個室トイレ200に進入した人間(例えば、患者)300に対しては、当該人間300の上部から照射される。
【0021】
UV照射部10Bは、個室トイレ200内の壁部202に設けられている。UV照射部10Bからは、主として取付位置から下方に向かう方向に紫外線が放出される。このUV照射部10Bは、個室トイレ200において、所定位置で所定の姿勢を取る人間300に紫外線を照射することを想定した位置に配置される。
【0022】
具体的には、UV照射部10Bは、人間300が便器211に座した姿勢を取った際に当該人間300に紫外線を照射することを想定して、個室トイレ200の壁部202に設置される。より具体的には、UV照射部10Bは、人間300が便器211に座した際、当該人間300の後頭部と対向する壁部202に設置される。
このようにUV照射部10Bを設置することで、UV照射部10Bから放出される紫外線は、便器211に座した人間200の後頭部側上方より当該人間300に照射され、この人間300の目には直接には照射されない。
【0023】
また、不活化装置100は、個室トイレ200内における人間300の所在を検知するためのセンサとして、人感センサ11と、圧力センサ12と、ドアセンサ13との少なくとも1つを備えることができる。
人感センサ11およびドアセンサ13は、個室トイレ200への人の入退出を検知するセンサであり、圧力センサ12は、個室トイレ200内における所定位置に人が存在することを検知するセンサである。
【0024】
人感センサ11は、例えば
図1に示すように天井201に設置され、個室トイレ200の空間内での人間300の存在の有無を検知する。
圧力センサ12は、例えば
図1に示すように便座212の内部に設置され、便器211に設けられた便座212に人間300が座したかどうかを検知する。
ドアセンサ13は、例えば
図1に示すようにドア203に設置され、個室トイレ200のドア203の開閉を検知する。
【0025】
さらに、不活化装置100は、制御部20を備える。制御部20は、各センサ11~13からの検出信号を受信し、当該検出信号をもとにUV照射部10A、10Bからの紫外線の照射および非照射を制御する。
具体的には、制御部20は、センサ11~13の少なくとも1つの検出信号をもとに個室トイレ200内に人間300が存在すると判断された期間中に、UV照射部10A、10Bの少なくとも一方から、紫外線を、当該紫外線の波長に応じた所定時間、上記人間300を含む個室トイレ200内に照射するように制御する。
【0026】
本実施形態では、制御部20は、人感センサ11の検知信号に基づき、UV照射部10Aからの紫外線の照射を制御する場合について説明する。また、本実施形態では、個室トイレ200内に人間300が不在の場合、原則として、UV照射部10Aから個室トイレ200内への紫外線照射が連続して行われるものとする。
【0027】
以下、本実施形態における不活化装置100の動作について説明する。
図2は、本実施形態における不活化装置100の動作を説明するフローチャートである。
まずステップS1において、制御部20は、人感センサ11からの検出信号をもとに、個室トイレ200内における人間300の所在を検知したか否かを判定する。そして、制御部20は、人間300の所在を検知していないと判定した場合には、人間300の所在を検知するまで待機し、人間300の所在を検知するとステップS2に移行する。
【0028】
ステップS2では、制御部20は、カウンタであるタイマー1のカウントを開始する。
次にステップS3では、制御部20は、タイマー1のカウント値をもとに、タイマー1のカウント開始から所定時間T1が経過したか否か、即ち、個室トイレ200内における人間300の所在を検知してから所定時間T1が経過したか否かを判定する。そして、制御部20は、所定時間T1が経過していない場合には所定時間T1が経過するまで待機し、所定時間T1が経過したと判定するとステップS4に移行する。
ここで、所定時間T1は、UV照射部10Aから放出される紫外線の波長に応じた時間であり、安全規格上、生体に照射可能な最大時間以下に設定される。所定時間T1については、後で詳述する。
【0029】
ステップS4では、制御部20は、タイマー1のカウントを終了するとともに、タイマー1のカウント値をリセットする。
ステップS5では、制御部20は、UV照射部10Aからの紫外線の放出を停止する。
ステップS6では、制御部20は、人感センサ11からの検出信号をもとに、個室トイレ200内から人間300が退出したか否かを判定する。そして、制御部20は、人間300が退出していないと判定した場合にはそのまま待機し、人間300が退出したと判定するとステップS7に移行する。
ステップS7では、制御部20は、UV照射部10Aからの紫外線の放出を開始し、ステップS1に戻る。
【0030】
図3は、本実施形態における不活化装置100の動作を説明するタイムチャートである。
個室トイレ200内に人間300が進入する前、即ち、個室トイレ200内に人間300が不在の間は、UV照射部10Aから個室トイレ200内への紫外線照射が連続して行われている。
この状態から個室トイレ200内に人間300が進入すると、その時点Aにおいて、人感センサ11により人間300の所在が検知され、タイマー1のカウントが開始される。そして、時点Aから所定時間T1経過後に、個室トイレ200内および人間300への紫外線の照射が停止する。
【0031】
このように、個室トイレ200内に人間300が進入した後も、所定時間T1が経過するまでの期間は、UV照射部10Aから個室トイレ200内に紫外線が放出され、個室トイレ200内の人間300に紫外線が照射される。
そして、その後、個室トイレ200内から人間300が退出すると、その時点Bにおいて、人感センサ11により人間300が退出したことが検知され、個室トイレ200内への紫外線の照射が再開される。
【0032】
以下、人間300へ紫外線を照射する照射時間(所定時間T1)について説明する。
UV照射部10A、10Bから放出される200nm~320nmの波長域の紫外線は、人体に悪影響を及ぼす紫外線を含む。例えば、上記の波長域の紫外線が照射されると、紅斑や皮膚のDNA損傷による癌の誘発や、目の障害(眼痛・充血・角膜の炎症など)が起こり得る。
【0033】
但し、上記の波長域の紫外線照射は、照射対象物である生体への積算光量(ドーズ量)が所定の量を越えなければ、生体への悪影響は及ぼさない。本発明者らは、この点に着目して、人間への照射時間(所定時間T1)を設定し、敢えて人間に対して紫外線を照射するようにした。
【0034】
閉鎖空間(個室トイレ)を使用する人間が受ける、1日の紫外線露光量をD(mJ/cm2)とする。人間の紫外線照射面における照度をW(mW/cm2)、1日に閉鎖空間(個室トイレ)内に人間が進入する回数をN、1回の個室トイレ内滞在中における紫外線照射時間をT1とすると、1日の紫外線露光量Dは、以下のように表される。
D(mJ/cm2)=W(mW/cm2)×N(回)×T1(sec)・・・(1)
【0035】
閉鎖空間(個室トイレ)を使用する人間に対する、1日の最大許容紫外線露光量をDmax(mJ/cm2)とすると、紫外線照射に起因する人間への悪影響を防止するには、Dmax≧Dとすればよい。
つまり、1回の個室トイレ内滞在中における紫外線照射時間T1は、以下のように表される。
T1≦Dmax/(W×N)・・・(2)
【0036】
例えば、紫外線光源として、波長253.7nmの紫外線を放出する低圧水銀ランプを用いる場合を考える。この場合、波長253.7nmの紫外線の1日の最大許容紫外線露光量は、安全規格上、Dmax=6(mJ/cm2)となっている。この数値は、ACGIH(American Conference of Governmental Industrial Hygienists:米国産業衛生専門家会議)で定められた値である。
紫外線照射される人間の照射面上の照度を0.022(mW/cm2)、病室に付属する個室トイレを1日に使用する回数(個室トイレ内に進入する回数)Nを10回とすると、上記(2)式より、1回の個室トイレ内滞在中における紫外線照射時間T1は30(sec)以下となる。
【0037】
つまり、UV照射部10Aが有する紫外線光源が、波長253.7nmの紫外線を放出する低圧水銀ランプである場合、
図2および
図3において設定した所定時間T1が30(sec)以下であれば、紫外線照射による人間300に対する悪影響はないということになる。そこで、この場合には、所定時間T1を、例えば最大時間である30(sec)に設定する。
なお、上記の紫外線照射される人間の照射面上の照度は、閉鎖空間(個室トイレ)200内において人間300が立っているときの頭部(頂部)を紫外線照射面とし、閉鎖空間(個室トイレ)200の天井201から床上に立っている人間300の頭部までの距離を紫外線照射距離として設定した値である。
【0038】
また、上記の閉鎖空間(個室トイレ)内に人間が進入する回数Nは、病室に付属する個室トイレを1日に使用する回数とし、N=10回とした。しかしながら、病院外来に付属する個室トイレの場合、待合で待機する複数の人間が各々1日に個室トイレを利用する回数N´は、病室に付属する個室トイレの利用回数Nよりも少ないと考えられる。したがって、この場合には、例えばN´=2~3回とし、紫外線照射時間T1を設定するようにしてもよい。
なお、1日に閉鎖空間内に人間が進入する回数Nは、安全サイドに多めに設定しておくことが好ましい。
【0039】
さらに、低圧水銀ランプの場合、給電しても直ちに点灯するものではなく、点灯までにある程度時間を要する。よって、紫外線光源として低圧水銀ランプを用いた場合、給電制御によって紫外線の照射と非照射とを比較的短い間隔で繰り返すことができない。そのため、この場合には、遮光用のシャッタが設け、低圧水銀ランプを点灯状態のままシャッタの開閉を制御することで紫外線の照射と非照射とを制御してもよい。
【0040】
また、紫外線光源としては、例えば、中心波長222nmの紫外線を放出するKrClエキシマランプを用いることもできる。
エキシマランプの場合、給電後直ちに点灯する。よって、光源として低圧水銀ランプを用いる場合とは異なり、遮光用のシャッタを設ける必要はない。つまり、紫外線の照射と非照射とを比較的短い間隔で繰り返す場合には、エキシマランプに対する給電を制御すればよい。
【0041】
また、中心波長222nmの紫外線は、バクテリア等は殺菌するが、ヒト細胞への悪影響が少ない光である。
UV放射線は、低波長ほど貫通力が小さい。例えば、約200nmといった低波長のUV放射線は、非常に効率良く水を通過するものの、ヒト細胞の外側部分(細胞質)による吸収が大きく、放射線に敏感なDNAを含む細胞核に到達するのに十分なエネルギーを有さない場合がある。そのため、上記の低波長のUV放射は、典型的には、ヒト細胞に対して、つまりヒトに対する悪影響が少ない。
【0042】
これに対して、バクテリアは、典型的にはヒト細胞よりも物理的にはるかに小さい。具体的には、典型的なバクテリア細胞が直径約1μm未満であるのに対し、ヒト細胞は、種類や部位にもよるが、典型的には直径約10μm~30μmである。
したがって、上記の低波長のUV放射は、バクテリアを容易に貫通し、殺菌することが可能である。
【0043】
現行の安全規格によると、波長222nmの紫外線の1日の最大許容紫外線露光量は、Dmax=21(mJ/cm2)となっており、上述した波長253.7nmの紫外線よりも多い。つまり、当該安全規格からも、波長222nmの紫外線は、波長253.7nmの紫外線と比べてヒトに対する悪影響が少ない光であることがわかる。
【0044】
上述した波長253.7nmの紫外線を放出する低圧水銀ランプを用いた場合と同様に、紫外線照射される人間の照射面上の照度を0.022(mW/cm
2)、病室に付属する個室トイレを1日に使用する回数(個室トイレ内に進入する回数)Nを10回とすると、上記(2)式により、中心波長222nmの紫外線を放出するKrClエキシマランプを用いた場合の1回の個室トイレ内滞在中における紫外線照射時間T1は、95(sec)以下となる。
このように、UV照射部10Aが有する紫外線光源が、中心波長222nmの紫外線を放出するKrClエキシマランプである場合、
図2および
図3において設定した所定時間T1は、例えば最大時間である95(sec)に設定することができる。
【0045】
なお、KrClエキシマランプは、その放出光の中心波長は222nmであるが、それ以外の波長範囲の光もわずかながら放出する。よって、実際に使用する場合は、人体への悪影響の少ない波長域190nm~235nmの光のみを透過し、それ以外の波長域の光をカットする波長選択フィルタを用いることが好ましい。
波長選択フィルタとしては、例えば、HfO2層およびSiO2層による誘電体多層膜を有する光学フィルタを用いることができる。具体的には、当該光学フィルタは、合成石英ガラスよりなる基板の一面にHfO2層およびSiO2層が交互に積層されてなる誘電体多層膜が形成され、基板の他面にHfO2層およびSiO2層によるARコーティングが施された構成とすることができる。例えば、誘電体多層膜におけるHfO2層の厚みは約240nm、SiO2層の厚みは1460nmで、HfO2層およびSiO2層の層数は総数33層とすることができる。
【0046】
なお、波長選択フィルタとしては、SiO2層およびAl2O3層による誘電体多層膜を有する光学フィルタを用いることもできる。
しかしながら、波長選択フィルタとしてHfO2層およびSiO2層による誘電体多層膜を有する光学フィルタを用いた場合には、SiO2層およびAl2O3層による誘電体多層膜を有する光学フィルタを用いた場合と比較して、層の総数を少なくすることができる。そのため、入射角が0°のときの紫外線の透過率を高めることができ、所望の波長域190~235nmの紫外線の光強度を確保することができる。また、層の総数が少なくなることで、その分のコストを削減することができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態における不活化装置100は、人が入退出可能な閉鎖空間(個室トイレ200)内に、人体に有害な微生物および/またはウイルスを不活化する波長の紫外線を含む光を照射する紫外線照射部(UV照射部)10Aを備える。また、不活化装置100は、個室トイレ200内における人の所在を検出するセンサとして、個室トイレ200内における人の存在の有無を検知する人感センサ11を備える。そして、制御部20は、人感センサ11からの検出信号に基づいて個室トイレ200内に人が存在すると判断される期間内において、UV照射部10Aから照射される紫外線の波長に応じた所定時間(T1)、UV照射部10Aから人を含む空間に紫外線を照射するように制御する。
【0048】
このように、敢えて人に対して所定時間T1、紫外線を含む光を照射することで、人体の表面(皮膚や衣類の表面)に存在する少なくとも1つの有害な微生物やウイルスを不活化することができる。そのため、人から閉鎖空間(個室トイレ200)内への有害な微生物やウイルスの拡散を抑制することができる。
また、閉鎖空間(個室トイレ200)から退出した人は、紫外線の照射後であり、皮膚や衣類表面に付着している有害な微生物やウイルスが減少もしくは除去されているため、閉鎖空間(個室トイレ200)から退出した人から他の領域への有害な微生物やウイルスの拡散を抑制することができる。したがって、施設内の除染すべき領域の拡大を抑制することができ、効率的に施設の除染を行うことができる。
【0049】
さらに、人に対して紫外線を照射する所定時間T1は、当該紫外線の波長に応じた時間とすることができる。紫外線照射による人体への影響の度合いは、紫外線の波長ごとに異なるため、紫外線の波長に応じて所定時間T1を設定することで、人体に悪影響を及ぼさない光量範囲内で除染に適した波長の紫外線を人に照射することができる。
具体的には、所定時間T1は、上記(2)式を満たす時間T1とする。このように、安全規格に基づいて、照射される紫外線の波長ごとに紫外線照射時間を設定するので、紫外線照射による人体への悪影響を適切に抑制することができる。
【0050】
なお、制御部20は、UV照射部10Aから放出される紫外線の波長に関する情報を取得し、取得された情報をもとに安全規格に基づく所定時間T1を設定し、UV照射部10Aの光の照射および非照射を制御してもよい。つまり、所定時間T1は、使用する光源に応じて可変に設定可能な構成であってよい。
【0051】
また、本実施形態では、人感センサ11により個室トイレ200内に人が進入したことを検知してから所定時間T1、UV照射部10Aが人を含む空間に紫外線を照射するように制御することができる。このように、人が個室トイレ200内に進入した直後に、人に対して紫外線を照射することができる。したがって、人から個室トイレ200内への有害な微生物やウイルスの拡散をより効率的に抑制することができる。
【0052】
さらに、本実施形態では、人感センサ11により個室トイレ200内に人が存在しない(個室トイレ200から退出した)と判断された時点で、UV照射部10Aから人が不在の個室トイレ200内に紫外線を照射するように制御することができる。
このように、人が不在の個室トイレ200内に紫外線を照射することで、個室トイレ200内に元々存在した有害な微生物やウイルス、人が進入したことにより個室トイレ200内部に拡散した有害な微生物やウイルス、および人が進入したときに個室トイレ200内部に流入する空気中に浮遊した有害な微生物やウイルスの少なくとも一部を不活化することができる。また、個室トイレ200内に人が不在の場合、個室トイレ200内への紫外線照射を連続して行うことで、上記の不活化をより効果的に行うことができる。
【0053】
また、UV照射部10Aは、個室トイレ200の上部から下方に光を照射する位置、具体的には個室トイレ200の天井201に配置することができる。したがって、UV照射部10Aは、個室トイレ200全体に紫外線を含む光を照射することが可能となる。したがって、例えば、個室トイレ200の壁部202やドア203、床などに付着する有害な微生物やウイルスも適切に不活化することができる。
【0054】
なお、本実施形態では、個室トイレ200内への人の入退出を検知するセンサとして、個室トイレ200内における人の存在の有無を検知する人感センサ11を用いる場合について説明したが、個室トイレ200に人が進入したこと、および個室トイレ200から人が退出したことを検知可能であれば任意のセンサを用いることができる。
【0055】
(第一の実施形態の変形例)
上述した第一の実施形態では、個室トイレ200内に人間300が不在の場合、UV照射部10Aから個室トイレ200内への紫外線照射が連続して行われる場合について説明した。しかしながら、個室トイレ200内に人間が不在の場合、個室トイレ200内への紫外線照射を所定時間T2だけ行われるようにしてもよい。
【0056】
図4は、本変形例における不活化装置100の動作を説明するフローチャートである。この
図4において、
図2と同一処理を行う部分には同一ステップ番号を付し、以下、処理の異なる部分を中心に説明する。
制御部20は、ステップS1において、個室トイレ200内における人間300の所在を検知すると、ステップS11に移行して、UV照射部10Aからの紫外線の放出を開始し、ステップS2に移行する。
【0057】
また、制御部20は、ステップS7においてUV照射部10Aからの紫外線の放出を開始した後、ステップS12に移行して、カウンタであるタイマー2のカウントを開始する。
次にステップS13では、制御部20は、タイマー2のカウント値をもとに、タイマー2のカウント開始から所定時間T2が経過したか否か、即ち、個室トイレ200から人間300が退出してから所定時間T2が経過したか否かを判定する。そして、制御部20は、所定時間T2が経過していない場合には所定時間T2が経過するまで待機し、所定時間T2が経過したと判定するとステップS14に移行する。
ここで、所定時間T2は、人間300が退出した個室トイレ200内に存在する有害な微生物やウイルスの少なくとも一部を不活化するのに十分な時間に設定する。
ステップS14では、制御部20は、UV照射部10Aからの紫外線の放出を停止し、ステップS1に戻る。
【0058】
図5は、本変形例における不活化装置100の動作を説明するタイムチャートである。
ここでは、個室トイレ200内に人間300が進入する前に、UV照射部10Aから個室トイレ200内への紫外線照射が停止されているものとする。
この状態で個室トイレ200内に人間300が進入すると、その時点Aにおいて、人感センサ11により人間300の所在が検知され、タイマー1のカウントが開始されるとともに、個室トイレ200内および人間300への紫外線の照射が開始する。そして、時点Aから所定時間T1経過後に、個室トイレ200内および人間300への紫外線の照射が停止する。
【0059】
このように、個室トイレ200内に人間300が進入する前にUV照射部10Aからの紫外線照射が停止されている場合であっても、個室トイレ200内に人間300が進入したら、UV照射部10Aからの紫外線照射を開始する。そして、その時点から所定時間T1が経過するまでの期間は、UV照射部10Aから個室トイレ200内の人間300に紫外線が照射される。
その後、個室トイレ200内から人間300が退出すると、その時点Bにおいて、人感センサ11により人間300が退出したことが検知され、タイマー2のカウントが開始されるとともに、個室トイレ200内への紫外線の照射が再開される。
そして、個室トイレ200内から人間300が退出した時点Bから所定時間T2経過すると、その時点Cにおいて、個室トイレ200内への紫外線の照射が停止する。
【0060】
このように、人感センサ11により個室トイレ200内に人が存在しないと判断された場合、UV照射部10Aから人が不在の個室トイレ200内に紫外線を照射し、紫外線照射を一定時間(所定時間T2)行った後、UV照射部10Aからの紫外線照射を停止するようにしてもよい。人が不在の個室トイレ200内への紫外線照射を一定時間だけ行われるようにすることで、UV照射部10Aが有する紫外線光源の休止時間を設けることが可能となり、当該紫外線光源の寿命を延伸することができる。
【0061】
(第二の実施形態)
次に、本発明における第二の実施形態について説明する。
上述した第一の実施形態では、閉鎖空間(個室トイレ)200に人間300が進入したことを人感センサ11で検知し、この人感センサ11の検出信号に基づき、UV照射部10Aからの紫外線の照射を制御する場合について説明した。この第二の実施形態では、個室トイレ200内にて人間300が便座212に着座した状態を圧力センサ12で検知し、この圧力センサ12の検知信号に基づき、紫外線の照射を制御する場合について説明する。
【0062】
本実施形態においては、個室トイレ200内に人間300が不在の場合、原則として、個室トイレ200内への紫外線照射が連続して行われるものとする。
また、紫外線照射は、UV照射部10Bを用いて行われるものとする。
【0063】
図6は、本実施形態における不活化装置100の動作を説明するフローチャートである。
まずステップS21において、制御部20は、人感センサ11からの検出信号をもとに、個室トイレ200内における人間300の所在を検知したか否かを判定する。そして、制御部20は、人間300の所在を検知していないと判定した場合には、人間300の所在を検知するまで待機し、人間300の所在を検知するとステップS22に移行する。
【0064】
ステップS22では、制御部20は、UV照射部10Bからの紫外線の放出を停止し、ステップS23に移行する。
ステップS23では、制御部20は、圧力センサ12からの検出信号をもとに、便座212への人間300の着座を検知したか否かを判定する。そして、制御部20は、人間300の着座を検知していないと判定した場合には、着座を検知するまで待機し、人間300の着座を検知するとステップS24に移行する。
ステップS24では、制御部20は、UV照射部10Bからの紫外線の放出を開始し、ステップS25に移行する。
【0065】
ステップS25では、制御部20は、カウンタであるタイマー1のカウントを開始する。
次にステップS26では、制御部20は、タイマー1のカウント値をもとに、タイマー1のカウント開始から所定時間T1が経過したか否か、即ち、便座212への人間300の着座を検知してから所定時間T1が経過したか否かを判定する。そして、制御部20は、所定時間T1が経過していない場合には所定時間T1が経過するまで待機し、所定時間T1が経過したと判定するとステップS27に移行する。
【0066】
ここで、所定時間T1は、UV照射部10Bから放出される紫外線の波長に応じた時間であり、安全規格上、生体に照射可能な最大時間以下に設定される。所定時間T1は、例えば、第一の実施形態と同様の時間とすることができる。
UV照射部10Bは、人間300が便器211に座した姿勢を取った際に、人間300の後頭部側上方から紫外線を照射することを想定して、個室トイレ200の壁部202に設置されている。そのため、この場合の人間30の照射面(頭部)での照度は、上述した第一の実施形態のようにUV照射部10Aを用いて立っている人間300に紫外線を照射する場合の照度と同じ値としてよい。つまり、紫外線照射される人間の照射面上の照度は0.092(mW/cm2)とすることができる。
【0067】
ステップS27では、制御部20は、タイマー1のカウントを終了するとともに、タイマー1のカウント値をリセットする。
ステップS28では、制御部20は、UV照射部10Bからの紫外線の放出を停止する。
ステップS29では、制御部20は、人感センサ11からの検出信号をもとに、個室トイレ200内から人間300が退出したか否かを判定する。そして、制御部20は、人間300が退出していないと判定した場合にはそのまま待機し、人間300が退出したと判定するとステップS30に移行する。
ステップS30では、制御部20は、UV照射部10Bからの紫外線の放出を開始し、ステップS21に戻る。
【0068】
図7は、本実施形態における不活化装置100の動作を説明するタイムチャートである。
個室トイレ200内に人間300が進入する前、即ち、個室トイレ200内に人間300が不在の間は、UV照射部10Bから個室トイレ200内への紫外線照射が連続して行われている。
この状態から個室トイレ200内に人間300が進入すると、その時点Pにおいて、人感センサ11により人間300の所在が検知され、個室トイレ200内への紫外線の照射が停止する。
【0069】
その後、個室トイレ200内の人間300が便座212に着座すると、その時点Qにおいて、圧力センサ12により人間300の着座が検知され、タイマー1のカウントが開始されるとともに、個室トイレ200内への紫外線の照射が開始される。そして、時点Qから所定時間T1経過後に、個室トイレ200内および人間300への紫外線の照射が停止する。
【0070】
このように、個室トイレ200内に人間300が進入すると、一旦、UV照射部10Bからの紫外線照射が停止されるが、人間300が便座212に着座すると、所定時間T1の間、UV照射部10Bから個室トイレ200内に紫外線が放出され、個室トイレ200内の人間300に紫外線が照射される。
そして、その後、個室トイレ200内から人間300が退出すると、その時点Rにおいて、人感センサ11により人間300が退出したことが検知され、個室トイレ200内への紫外線の照射が再開される。
【0071】
以上説明したように、本実施形態では、制御部20は、人感センサ11からの検出信号に基づいて個室トイレ200内に人が存在すると判断される期間内において、圧力センサ12からの検出信号に基づいて便座212に着座していることを検知してから所定時間(T1)、UV照射部10Bから人を含む空間に紫外線を照射するように制御する。
このように、閉鎖空間内の所定位置に存在する人に対して紫外線を含む光を照射することで、人体表面の意図した箇所に効果的に紫外線を照射することができる。また、個室トイレ200内にて便座212に座した状態の人間の動きは比較的小さい。そのため、便座212に座した状態の人間に紫外線を照射するようにすれば、効果的に人体表面(皮膚や衣類の表面)に存在する有害な微生物やウイルスを不活化することができる。
【0072】
また、制御部20は、人感センサ11により個室トイレ200内に人が進入したことを検知した場合、UV照射部10Bからの紫外線照射を停止し、圧力センサ12により便座212への着座を検知してから所定時間(T1)、UV照射部10Bから人を含む空間に紫外線を照射するように制御する。
これにより、人が進入する前の個室トイレ200に紫外線が照射されている場合には、人が個室トイレ200内に進入した際に一旦紫外線照射を停止し、便座212に着座した状態の人間に対して所定時間(T1)紫外線を照射することができる。したがって、人が不在の個室トイレ200内への紫外線照射と、個室トイレ200に進入した人に対する紫外線照射とを適切に行うことができる。
【0073】
さらに、UV照射部10Bは、人間300が便器211に座した姿勢を取った際に当該人間300に紫外線を照射することを想定して、個室トイレ200の壁部202に設置されているため、UV照射部10Bを用いて紫外線照射を行うことで、UV照射部10Aを用いた場合と比較して床面でのドーズ量を大きくすることができる。つまり、床面に付着した有害な微生物やウイルスを効果的に不活化することができる。
【0074】
また、UV照射部10Bは、人間300が便器211に座した姿勢を取った際に当該人間300の後頭部側から紫外線を照射する位置に配置されている。したがって、UV照射部10Bから放出される紫外線が、人間300の目に直接照射されないようにすることができる。したがって、目の障害(眼痛、充血、角膜の炎症など)の発生を抑制することができる。
【0075】
なお、本実施形態では、UV照射部10Bを用いて紫外線照射を行う場合について説明したが、個室トイレ200の天井201に設けられたUV照射部10Aを用いることもできる。
UV照射部10Aを用いる場合、便座212に座っている人間300の紫外線照射面での照度は、床上に立っている人間300の紫外線照射面での照度と比較すると小さく、例えば0.010(mW/cm2)となる。
【0076】
そのため、UV照射部10Aが有する光源が低圧水銀ランプである場合には、病室に付属する個室トイレを1日に使用する回数(個室トイレ内に進入する回数)Nを10回とすると、上記(2)式により、1回の個室トイレ内滞在中における紫外線照射時間(所定時間T1)は、60(sec)となる。
また、UV照射部10Aが有する光源がKrClエキシマランプである場合には、病室に付属する個室トイレを1日に使用する回数(個室トイレ内に進入する回数)Nを10回とすると、上記(2)式により、1回の個室トイレ内滞在中における紫外線照射時間(所定時間T1)は、210(sec)となる。
このように、UV照射部10Aを用いた場合、UV照射部10Bを用いた場合と比較して紫外線照射時間(所定時間T1)を長くすることができる。
【0077】
なお、本実施形態では、個室トイレ200内にて人が便座212に座した状態を検知するセンサとして、便座212に設けられた圧力センサ12を用いる場合について説明したが、人が便座212に座した状態を検知可能であれば任意のセンサを用いることができる。
【0078】
(第二の実施形態の変形例(1))
上述した第二の実施形態では、個室トイレ200内に人間300が不在の場合、UV照射部10Aから個室トイレ200内への紫外線照射が連続して行われる場合について説明した。しかしながら、個室トイレ200内に人間が不在の場合、個室トイレ200内への紫外線照射を所定時間T2だけ行われるようにしてもよい。
【0079】
図8は、本変形例における不活化装置100の動作を説明するフローチャートである。この
図8において、
図6と同一処理を行う部分には同一ステップ番号を付し、以下、処理の異なる部分を中心に説明する。
制御部20は、ステップS21において、個室トイレ200内における人間300の所在を検知すると、ステップS23に移行する。
【0080】
また、制御部20は、ステップS30においてUV照射部10Bからの紫外線の放出を開始した後、ステップS31に移行して、カウンタであるタイマー2のカウントを開始する。
次にステップS31では、制御部20は、タイマー2のカウント値をもとに、タイマー2のカウント開始から所定時間T2が経過したか否か、即ち、個室トイレ200から人間300が退出してから所定時間T2が経過したか否かを判定する。そして、制御部20は、所定時間T2が経過していない場合には所定時間T2が経過するまで待機し、所定時間T2が経過したと判定するとステップS32に移行する。
ここで、所定時間T2は、人間300が退出した個室トイレ200内に存在する有害な微生物やウイルスの少なくとも一部を不活化するのに十分な時間に設定する。
ステップS33では、制御部20は、UV照射部10Bからの紫外線の放出を停止し、ステップS21に戻る。
【0081】
図9は、本変形例における不活化装置100の動作を説明するタイムチャートである。
ここでは、個室トイレ200内に人間300が進入する前に、UV照射部10Bから個室トイレ200内への紫外線照射が停止されているものとする。
この状態で個室トイレ200内に人間300が進入すると、その時点Pにおいて、人感センサ11により人間300の所在が検知される。その後、人間300が便座212に着座すると、その時点Qにおいて、圧力センサ12により人間300の着座が検知され、タイマー1のカウントが開始されるとともに、個室トイレ200内および人間300への紫外線の照射が開始する。そして、時点Qから所定時間T1経過後に、個室トイレ200内および人間300への紫外線の照射が停止する。
【0082】
このように、個室トイレ200内に人間300が進入する前にUV照射部10Aからの紫外線照射が停止されている場合であっても、個室トイレ200内に人間300が進入し、便座212に着座したら、UV照射部10Bからの紫外線照射を開始する。そして、その時点から所定時間T1が経過するまでの期間は、UV照射部10Bから個室トイレ200内の人間300に紫外線が照射される。
その後、個室トイレ200内から人間300が退出すると、その時点Rにおいて、人感センサ11により人間300が退出したことが検知され、タイマー2のカウントが開始されるとともに、個室トイレ200内への紫外線の照射が再開される。
そして、個室トイレ200内から人間300が退出した時点Rから所定時間T2経過すると、その時点Sにおいて、個室トイレ200内への紫外線の照射が停止する。
【0083】
このように、人感センサ11により個室トイレ200内に人が存在しないと判断された場合、UV照射部10Bから人が不在の個室トイレ200内に紫外線を照射し、紫外線照射を一定時間(所定時間T2)行った後、UV照射部10Bからの紫外線照射を停止するようにしてもよい。人が不在の個室トイレ200内への紫外線照射を一定時間だけ行われるようにすることで、UV照射部10Bが有する紫外線光源の休止時間を設けることが可能となり、当該紫外線光源の寿命を延伸することができる。
【0084】
(第二の実施形態の変形例(2))
上述した第二の実施形態では、人感センサ11を用いて個室トイレ200内における人間300の所在を検知する場合について説明したが、ドアセンサ13を用いて個室トイレ200への人間300の入退出を検知するようにしてもよい。
図10は、本変形例における不活化装置100の動作を説明するタイムチャートである。
個室トイレ200内に人間300が進入する前、即ち、個室トイレ200内に人間300が不在の間は、UV照射部10Bから個室トイレ200内への紫外線照射が連続して行われている。
【0085】
この状態から個室トイレ200内に人間300が進入すべくドア203を開けると、その時点P1において、ドアセンサ13によりドア203が開いたことが検知され、個室トイレ200内への紫外線の照射が停止する。続いて、個室トイレ200内に人間300が進入しドア203が閉じられた時点P2において、ドアセンサ13によりドア203が閉じられたことが検知される。
すると、この時点P2において、タイマー0のカウントが開始される。タイマー0は、動作開始から所定時間T0が経過した時点でカウントを終了し、カウント終了信号を制御部20に送信するとともに、リセットされるように設定されている。なお、タイマー0は、カウントの途中でも、圧力センサ12により人間300が便座212に座したことが検知された場合は、制御部20によってリセットされるように設定されている。
ここで、上記の所定時間T0は、個室トイレ200内に人間300が進入した後、便座212に座すまでの時間よりも十分長くなるように設定されている。
【0086】
その後、個室トイレ200内の人間300が便座212に着座すると、その時点Qにおいて、圧力センサ12により人間300の着座が検知され、タイマー1のカウントが開始されるとともに、個室トイレ200内への紫外線の照射が開始される。このとき、タイマー0のカウントは終了する。そして、時点Qから所定時間T1経過後に、個室トイレ200内および人間300への紫外線の照射が停止する。
【0087】
このように、個室トイレ200内に人間300が進入すると、一旦、UV照射部10Bからの紫外線照射が停止されるが、人間300が便座212に着座すると、所定時間T1の間、UV照射部10Bから個室トイレ200内に紫外線が放出され、個室トイレ200内の人間300に紫外線が照射される。
そして、その後、個室トイレ200内から人間300が退出すべくドア203を開けると、その時点R1において、ドアセンサ13によりドア203が開いたことが検知される。続いて、個室トイレ200から人間300が退出しドア203が閉じられた時点R2において、ドアセンサ13によりドア203が閉じられたことが検知される。
【0088】
すると、この時点R2において、タイマー0のカウントが開始される。人間300は個室トイレ200から退出しており、時点R2から所定時間T0が経過しても、圧力センサ12による便座212への着座は検知されない。そのため、時点R2から所定時間T0が経過した時点R3において、個室トイレ200内への紫外線の照射が再開される。
【0089】
このように、人感センサ11に替えてドアセンサ13を用いた場合でも、タイマー0のカウントを用いることで、上述した第二の実施形態と同様の効果が得られる。また、ドアセンサ13によりドア203の開閉を検知することができるので、ドア203が閉まった状態で閉鎖空間(個室トイレ200)内に紫外線を照射することができる。そのため、閉鎖空間外の物体に意図せず紫外線が照射されることを防止することができる。
【0090】
なお、ここでは、制御部20は、ドアセンサ13によりドア203が閉じられたことが検知された時点で、タイマー0のカウントを開始する場合について説明した。しかしながら、制御部20は、ドアセンサ13によりドア203が閉じられたことが検知された時点で、圧力センサ12により人間300の着座が検知されていない場合に、タイマー0のカウントを開始するようにしてもよい。
【0091】
この場合、人間300が便座212に座したままの状態で、ドア203の施錠忘れやドア203の不具合等の理由により不所望のドア203の開閉が発生した場合には、タイマー0のカウントが開始されないようにすることができる。
言い換えると、圧力センサ12から人間300の着座を示す検出信号を受け取った場合には、次に圧力センサ12から人間300の退座を示す検出信号を受信しない限り、ドアセンサ13によりドア203が閉じられたことを示す検出信号を受信しても、タイマー0のカウントは開始しないようにすることができる。
このように、ドアセンサ13からの検出信号と圧力センサ12からの検出信号の双方を確認することで、個室トイレ200内に人が存在しないことを適切に判断することができる。
【0092】
また、第二の実施形態の変形例(1)のように、個室トイレ200内に人間が不在の場合、個室トイレ200内への紫外線照射を所定時間T2だけ行われるようにしてもよい。つまり、
図10の時点R3から所定時間T2が経過した時点で、個室トイレ200内への紫外線の照射を終了させてもよい。
【0093】
(変形例)
なお、上記各実施形態においては、不活化装置100を個室トイレに設置する場合について説明したが、上記に限定されるものではない。不活化装置100は、病室やエレベータ、会議室など、頻繁に人が集まる施設の特に狭い空間に設置することができる。
また、不活化装置100から人間に紫外線を照射するタイミングは、人間が閉鎖空間内に存在する期間中の任意のタイミングであってよい。ただし、人間が閉鎖空間内に存在する期間のうち、有害な微生物やウイルスが飛散する可能性が高いタイミングを検知可能な場合には、そのタイミングで紫外線を照射することが好ましい。
【0094】
また、上記各実施形態においては、不活化装置100を人が入退出可能な閉鎖空間に設置する場合について説明したが、上記閉鎖空間は、人以外の動物が入退出可能な空間であってもよい。
【0095】
また、上記各実施形態における、人または人を含む空間へ所定時間T1だけ紫外線を照射しているが、光源の動作が発光と非発光とを繰り返す動作である場合、発光動作時間の総和を所定時間T1としてもよい。
例えば、エキシマランプへの給電を制御して、当該エキシマランプの発光動作時間を10ms以上1000ms以下とし、それに続く休止時間を10ms以上10秒以下として、発光動作と休止とを繰り返す場合、上記の所定時間T1は発光動作時間の総和となる。
具体的には、例えばKrClエキシマランプの発光動作時間を100ms、休止時間を100msとし、所定時間T1が30secであるときは、KrClの発光動作回数は300回となり、Krエキシマランプの動作時間は、休止時間を含め60secとなる。
【0096】
すなわち、光源の動作が連続動作の場合、人または人を含む空間への紫外線照射期間は所定時間T1となるが、光源の動作が休止時間を含む断続的な動作である場合、紫外線照射期間は、所定時間T1より長くなる。
例えば、人を含む空間がトイレであるとき、光源の動作が断続的となるように制御して紫外線照射期間をより長く設定することにより、排便やスプラッシュに伴う細菌、ウイルス等の飛散時にも紫外線照射を実施できる可能性を高くすることができる。
【0097】
なお、上記のように発光動作時間が10ms以上1000ms以下、休止時間が10ms以上10秒以下とする場合、低圧水銀ランプの場合は前記したように遮光用のシャッタの開閉を制御することになるが、場合によってはシャッタの開閉動作を高速にする必要があり、対応が難しい。
よって、紫外線光源としては、給電制御で紫外線発光動作と休止時間とを繰り返すことが可能な光源が好適である。
そのような光源としては、例えば前記したようなエキシマランプ(KeClエキシマランプ)や固体光源(発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD))などが使用可能である。
【符号の説明】
【0098】
10A,10B…UV照射部、11…人感センサ、12…圧力センサ、13…ドアセンサ、20…制御部、100…不活化装置、200…閉鎖空間(個室トイレ)、201…天井、202…壁部、203…ドア、300…人間