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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】パネル容器および運搬用台車
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/10 20060101AFI20221213BHJP
   B65D 19/06 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B65D6/10
B65D19/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022073489
(22)【出願日】2022-04-27
(62)【分割の表示】P 2018030445の分割
【原出願日】2018-02-23
(65)【公開番号】P2022106866
(43)【公開日】2022-07-20
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】片島 智文
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特許第8427(JP,C1)
【文献】特開平9-263245(JP,A)
【文献】特開平11-100029(JP,A)
【文献】特開平11-139317(JP,A)
【文献】登録実用新案第3061371(JP,U)
【文献】登録実用新案第3169059(JP,U)
【文献】特開2013-233970(JP,A)
【文献】特開2016-210466(JP,A)
【文献】特開2017-95164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 6/10
B65D 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1側枠と、第2側枠と、前記第1側枠と前記第2側枠とを互いに連結する連結部材と、前記連結部材に対して回転移動が可能に取り付けられた底板と、を有する台車本体、に取り付けられるパネル容器であって、
互いに隣接する複数の側面パネルと、
前記側面パネルに設けられる第1のヒンジ部と、
前記第1のヒンジ部を介して、前記側面パネルと折り曲げ自在に連結される天面パネルと、を備え、
前記天面パネルは、前記第1のヒンジ部を介して前記側面パネルと連結される第1の部分パネルと、
前記第1の部分パネルに設けられる第2のヒンジ部と、
前記第2のヒンジ部を介して、前記第1の部分パネルと折り曲げ自在に連結される第2の部分パネルと、を備え、
前記第1のヒンジ部は、前記側面パネルの外表面に沿って設けられ、かつ、前記第2のヒンジ部は、前記天面パネルの内表面に沿って設けられており、
底面パネルをさらに備え、
前記底面パネルは、前記第1側枠および前記第2側枠のいずれか一方の側枠に隣接する位置に折り畳まれた状態をとることができ、
前記底板は、いずれか他方の側枠に隣接する位置に折り畳まれた状態をとることができる、パネル容器。
【請求項2】
前記天面パネルには、当該天面パネルを閉じたときに前記第1のヒンジ部が設けられていない前記側面パネルの外表面に張り出すガイド部が設けられている、請求項1に記載のパネル容器。
【請求項3】
前記第1のヒンジ部が設けられておらず、かつ、互いに当接しない前記側面パネルを第1の側面パネルおよび第2の側面パネルとするとき、
前記第2の部分パネルと前記第1の側面パネルとを、着脱可能に係合する第1の係合部材と、
前記第2の部分パネルと前記第2の側面パネルとを、着脱可能に係合する第2の係合部材と、が設けられている、請求項1または請求項2に記載のパネル容器。
【請求項4】
前記第1の側面パネルの主面または前記第2の側面パネルの主面と、前記第2の部分パネルの端面とが当接している、請求項3に記載のパネル容器。
【請求項5】
前記天面パネルは、前記第1の部分パネルの内表面に配置される第1の補助梁と、
前記第2の部分パネルの内表面に配置される第2の補助梁と、を備え、
前記第2のヒンジ部は、前記天面パネルの内表面に設けられた蝶番によって構成され、 前記蝶番は、前記第1の補助梁および前記第2の補助梁のそれぞれと接合している、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のパネル容器。
【請求項6】
前記天面パネルの前記第1の部分パネルおよび前記第2の部分パネルのそれぞれの外表面に、当該天面パネルを閉じたときにのみ互いに当接するように、一対の逆折防止片が設けられている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のパネル容器。
【請求項7】
前記第1のヒンジ部が設けられていない前記側面パネルには、前記天面パネルを閉じたときに前記天面パネルの内表面と当接する脱落防止片が設けられている、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のパネル容器。
【請求項8】
前記台車本体に取り付けられ、請求項1から請求項7のいずれか一項記載のパネル容器と、を備えている、運搬用台車。
【請求項9】
前記第2側枠には、前記天面パネルを閉じたときに前記天面パネルの内表面と当接する脱落防止片が設けられている、請求項8に記載の運搬用台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施の形態は、パネル容器および運搬用台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば店舗や工場等では、食品等の積載物を運搬する運搬用台車が用いられている。このような運搬用台車は、一対の側枠を有する台車本体を有しており、台車本体には、食品等の積載物を保温、保冷あるいは保護するために、断熱性のある台車用カバーが装着される。このような運搬用台車としては、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。また、従来、台車に搭載されるものに限らず、断熱パネルを箱状に組み立てるとともに、組み立てられた箱状の断熱パネルを分解することが可能な、断熱容器が知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-233970号公報
【文献】特開2015-199527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の運搬用台車の台車用カバーは、例えばシート材を縫製したものから構成されており、薄くて柔軟なものであることが一般的である(例えば特許文献1参照)。このため、従来の台車用カバーにおいては、断熱性能を十分に高めたり、内部の積載物を十分に保護したりすることが難しいという問題がある。
【0005】
一方、パネルを箱状に組立てて台車本体上に搭載することも考えられるが、この場合、パネルを分解したり折り畳んだりする作業が煩雑となるおそれがある。また、天面側のパネルの内表面には、保冷、保温効果を考慮して蓄熱材を取り付けることがあるが、蓄熱材の重量やパネルの自重によって当該パネルが下方にたわみ、実質的にパネルの横幅が小さくなることによってパネルが落下するおそれがある。
【0006】
本開示は、パネルの組み立てと折り畳みが容易であるとともに、天面に配置したパネルが自重や蓄熱材の荷重によって脱落することを抑制するパネル容器および運搬用台車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施の形態によるパネル容器は、パネル容器であって、互いに隣接する複数の側面パネルと、前記側面パネルに設けられる第1のヒンジ部と、前記第1のヒンジ部を介して、前記側面パネルと折り曲げ自在に連結される天面パネルと、を備え、前記天面パネルは、前記第1のヒンジ部を介して前記側面パネルと連結される第1の部分パネルと、前記第1の部分パネルに設けられる第2のヒンジ部と、前記第2のヒンジ部を介して、前記第1の部分パネルと折り曲げ自在に連結される第2の部分パネルと、を備え、前記第1のヒンジ部は、前記側面パネルの外表面に沿って設けられ、かつ、前記第2のヒンジ部は、前記天面パネルの内表面に沿って設けられている。
【0008】
本実施の形態によるパネル容器において、前記天面パネルには、当該天面パネルを閉じたときに前記第1のヒンジ部が設けられていない前記側面パネルの外表面に張り出すガイド部が設けられていてもよい。
【0009】
本実施の形態によるパネル容器において、前記第1のヒンジ部が設けられておらず、かつ、互いに当接しない前記側面パネルを第1の側面パネルおよび第2の側面パネルとするとき、前記第2の部分パネルと前記第1の側面パネルとを、着脱可能に係合する第1の係合部材と、前記第2の部分パネルと前記第2の側面パネルとを、着脱可能に係合する第2の係合部材と、が設けられていてもよい。また、前記第1の側面パネルの主面または前記第2の側面パネルの主面と、前記第2の部分パネルの端面とが当接していてもよい。
【0010】
本実施の形態によるパネル容器において、前記天面パネルは、前記第1の部分パネルの内表面に配置される第1の補助梁と、前記第2の部分パネルの内表面に配置される第2の補助梁と、を備え、前記第2のヒンジ部は、前記天面パネルの内表面に設けられた蝶番によって構成され、前記蝶番は、前記第1の補助梁および前記第2の補助梁のそれぞれと接合していてもよい。
【0011】
本実施の形態によるパネル容器において、前記天面パネルの前記第1の部分パネルおよび前記第2の部分パネルのそれぞれの外表面に、当該天面パネルを閉じたときにのみ互いに当接するように、一対の逆折防止片が設けられていてもよい。
【0012】
本実施の形態によるパネル容器において、前記パネル容器は底面パネルをさらに備え、前記天面パネルの内表面に沿った、前記第1のヒンジ部の回転軸に垂直な方向を第1の方向とするとき、前記第1の方向に沿った前記第1の部分パネルの横幅が、前記第1のヒンジ部を備える前記側面パネル、および前記底面パネルの厚みの和の1.0倍から2.0倍の範囲内であってもよい。
【0013】
本実施の形態によるパネル容器において、前記第1のヒンジ部が設けられていない前記側面パネルには、前記天面パネルを閉じたときに前記天面パネルの内表面と当接する脱落防止片が設けられていてもよい。
【0014】
本実施の形態による運搬用台車は、運搬用台車であって、第1側枠と、第2側枠と、前記第1側枠と前記第2側枠とを互いに連結する連結部材とを有する台車本体と、前記台車本体に取り付けられ、前記パネル容器と、を備えている。
【0015】
本実施の形態による運搬用台車において、前記パネル容器は底面パネルをさらに備え、前記天面パネルの内表面に沿った、前記第1のヒンジ部の回転軸に垂直な方向を第1の方向とするとき、前記第1の方向に沿った前記第1の部分パネルの横幅が、前記第1のヒンジ部を備える前記側面パネル、および前記底面パネルの厚みと、前記側面パネルの厚み方向に沿った前記第1側枠の厚みとの和の1.0倍から2.0倍の範囲内であってもよい。
【0016】
本実施の形態による運搬用台車において、前記第2側枠には、前記天面パネルを閉じたときに前記天面パネルの内表面と当接する脱落防止片が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本実施の形態によれば、パネルを組み立てた際に、天面に配置したパネルが自重や蓄熱材の荷重によって脱落することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態の運搬用台車を示す斜視図であって、各パネルが組み立て状態となっている図である。
図2】第1実施形態の運搬用台車を示す斜視図であって、正面パネルのみが折り畳み状態となっている図である。
図3】第1実施形態の運搬用台車を示す斜視図であって、各パネルが折り畳み状態となっている図である。
図4】台車本体を示す斜視図である。
図5】各パネルを示す断面図である。
図6】各パネルの真空断熱材を示す断面図である。
図7】第1実施形態の運搬用台車の正面パネルを組み立て状態から折り畳み状態にする工程を示す平面図である。
図8】第1実施形態の運搬用台車の背面パネルを組み立て状態から折り畳み状態にする工程を示す平面図である。
図9】第1実施形態の運搬用台車の天面パネルを組み立て状態から折り畳み状態にする工程を示す平面図である。
図10】第1実施形態の運搬用台車の天面パネルを組み立て状態から折り畳み状態にする工程を示す正面図である。
図11】変形例1による天面パネルを説明する正面図である。
図12】変形例2による天面パネルを説明する正面図である。
図13】変形例3による天面パネルを説明する正面図である。
図14】変形例4による天面パネルを説明する正面図である。
図15】変形例5による天面パネルを説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面等を参照して、本開示のパネル容器および運搬用台車の一例について説明する。ただし、本開示のパネル容器および運搬用台車は、この例や後述する実施形態に限定されない。
【0020】
なお、以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、各図において、部材の断面を示すハッチングを適宜省略する。本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
【0021】
また、以下の実施形態において、X方向とは、運搬用台車が配置される床面に平行な面内の、運搬用台車の長手方向に平行な方向であり、Y方向とは、運搬用台車が配置される床面に平行な面内の、X方向に直交する方向である。Z方向とはX方向およびY方向に直交する方向、すなわち鉛直方向である。
【0022】
運搬用台車にパネル容器を組み立てたときに、パネル容器に通常、積載物を出し入れするための、Z方向に平行な主面を有するパネルが配置される側をX方向における+X方向、当該パネルと対向するパネルが配置される側を-X方向とも称し、Z方向における床面側を-Z方向、-Z方向の反対側を+Z方向とも称する。また、Z方向を上下方向、+Z方向を上方側、-Z方向を下方側と称することもある。+X方向側から向かって、床面側に-Z方向を見る向きにおける、右手側をY方向における+Y方向、+Y方向と反対側を-Y方向とも称する。
【0023】
運搬用台車またはパネル容器において、+X方向から見たX方向に垂直な平面を正面、-X方向から見たX方向に垂直な平面を背面とも称する。+Y方向から見たY方向に垂直な平面を側面または右面、-Y方向から見たY方向に垂直な平面を側面または左面とも称する。ただし正面および背面を側面と称する場合もある。+Z方向から見たZ方向に垂直な平面を天面、-Z方向から見たZ方向に垂直な平面を底面とも称する。
【0024】
パネル容器を構成する各パネルを構成する6つの面のうち、最も広い互いに反対側を向く一対の面を主面とする。パネル容器が組み立てられた状態における断熱空間側の各パネルの主面を内表面とし、断熱空間とは反対側の各パネルの主面を外表面とする。また、各パネルにおいて、パネルの主面以外の面を端面とする。
【0025】
1.第1実施形態
(a)運搬用台車の構成
本開示の第1実施形態の運搬用台車の構成について、図1図4に基づき説明する。図1は、本開示の第1実施形態の運搬用台車10であって、パネル容器30が組み立て状態となっている斜視図である。図2は、第1実施形態の運搬用台車10の斜視図であって、パネル容器30の正面パネル12のみが折り畳み状態となっている図である。図3は、第1実施形態の運搬用台車10であって、パネル容器30が折り畳み状態となっている斜視図である。図4は台車本体50の斜視図である。
【0026】
なお、運搬用台車およびパネル容器が組み立て状態となっている、とは、各パネルが箱状に組み立てられ、各パネルに囲まれた積載物を収容する収容空間20に断熱空間が形成されている状態をいい、折り畳み状態となっている、とは、各パネルが折り畳まれ、収容空間20に断熱空間が形成されていない状態をいう。
【0027】
図1図3に示すとおり、第1実施形態の運搬用台車10は、台車本体50と、台車本体50に対してパネル容器30を組み立てることと、パネル容器30を折り畳むこととが可能な6枚のパネル11~16とを備えている。運搬用台車10は、図1のようにパネル容器30のパネル11~16を組み立て状態として使用することと、図3のようにパネル容器30のパネル11~16を折り畳み状態として使用することとができ、後者の場合には、他の運搬用台車を横方向に沿って部分的に重ね合わせた状態とすること、すなわちネスティングすることができる。
【0028】
運搬用台車10は、例えば店舗、工場、物流過程等において、保冷または保温が必要な積載物を保管したり搬送したりする際に使用される。このような運搬用台車10は、積載物を収納することが可能な収容空間20がパネル容器30を構成する6つのパネル11~16によって取り囲まれ、断熱空間を形成していることにより、運搬用台車10の内部の温度変化が極力抑制されるように構成されている。一方、運搬用台車10を使用しない場合には、他の同一の運搬用台車10とネスティングすることにより、複数の運搬用台車10をコンパクトに収納しておくことが可能である。
【0029】
次に、図4に基づいて、台車本体50の構成を説明する。台車本体50は第1側枠51と、第2側枠52と、第1側枠51と第2側枠52とを互いに連結する連結部材53とを備えている。連結部材53は、6個の車輪61~66を備えており、車輪61~66は連結部材53の下方側に向けて取り付けられている。
【0030】
第1側枠51は、台車本体50の-Y方向側に設けられており、連結部材53から+Z方向に向けて突設されている。第1側枠は梯子状に形成されており、一対の支柱55と、当該一対の支柱55の間でそれぞれX方向に伸びる複数の横桟56とを有している。複数の横桟56は、上下方向に沿って、互いに略等間隔を空けて配置されている。第1側枠51の下方側に2輪の車輪61、62が設けられている。
【0031】
一対の支柱55のうち+X方向の支柱55aは、車輪取付フレーム67に直接連結されているが、-X方向側の他方の支柱55bは車輪取付フレーム67に直接連結されず、車輪取付フレーム67から離間している。こうすることにより、ネスティング時に他の運搬用台車10の中央フレーム57が支柱55と干渉しないようになっている。また、最下段に配置される横桟56は、中央連結支柱54によって車輪取付フレーム67に連結されている。なお、これに限らず、一対の支柱55a、55bの両方が、車輪取付フレーム67には直接連結されず、中央連結支柱54のみによって車輪取付フレーム67に連結されていてもよい。
【0032】
第2側枠52は、台車本体50の+Y方向側である長手方向の他端部に設けられており、連結部材53から上方側に向かって突設されている。第2側枠52の構成は、第1側枠51の構成と略同一であり、第1側枠51と平面視で点対称となるように配置されている。第2側枠52の下方側には2輪の車輪65、66が設けられている。
【0033】
連結部材53は、台車本体50の長手方向であるY方向に伸びる中央フレーム57と、中央フレーム57にそれぞれ連結した、X方向に伸びる3つの車輪取付フレーム67~69を有している。車輪取付フレーム67~69は、中央フレーム57の下方側に、それぞれが相互に離間するように配置されている。
【0034】
中央フレーム57は、Y方向において台車本体50の略中央に配置されている。この中央フレーム57は、運搬用台車10およびパネル容器30どうしをネスティングする際の妨げにならない程度の細い幅を有している。ネスティング時に他の運搬用台車10の車輪取付フレーム67~69と干渉しないように、中央フレーム57が、当該車輪取付フレーム67~69よりも上方側の位置に設けられている。
【0035】
車輪取付フレーム67~69は、第1側枠51側に配置される第1車輪取付フレーム67と、第1側枠51と第2側枠52との間に配置される第2車輪取付フレーム68と、第2側枠52側に配置される第3車輪取付フレーム69と、から構成される。
【0036】
第1車輪取付フレーム67と第2車輪取付フレーム68とのY方向の間隔と、第2車輪取付フレーム68と第3車輪取付フレーム69とのY方向の間隔とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0037】
第1車輪取付フレーム67は、中央フレーム57の-Y方向側端部に設けられ、第1車輪取付フレーム67の+X方向側端部および-X方向側端部には、それぞれ第1車輪61および第2車輪62が取り付けられている。同様に、第2車輪取付フレーム68は、中央フレーム57のY方向の略中央部に設けられ、第2車輪取付フレーム68の+X方向側端部および-X方向側端部には、それぞれ第3車輪63および第4車輪64が取り付けられている。
【0038】
第2車輪取付フレーム68のY方向の幅は、運搬用台車10どうしをネスティングする際の妨げにならない程度に細くなっている。また、第3車輪取付フレーム69は、中央フレーム57の+Y方向側端部に設けられ、第3車輪取付フレーム69の+X方向側端部および-X方向側端部には、それぞれ第5車輪65および第6車輪66が取り付けられている。
【0039】
車輪61~66は、上述のとおり、第1車輪61、第2車輪62、第3車輪63、第4車輪64、第5車輪65および第6車輪66から構成されている。このうち、第1車輪61、第2車輪62、第5車輪65および第6車輪66は自在輪となっており、それぞれ水平面(XY平面)と平行な車軸に沿って回転することと、上下方向軸(Z軸)回りに旋回することとが可能である。一方、第3車輪63、第4車輪64は固定輪となっており、それぞれ水平面(XY平面)と平行な車軸に沿って回転することは可能であるが、上下方向軸(Z軸)回りに旋回することは不可能である。
【0040】
なお。車輪61~66は、運搬用台車10に積載物を載せて走行する際には、安定して直進走行できるように、中央の固定輪(第3車輪63および第4車輪64)と前後いずれか一方の自在輪(第1車輪61と第2車輪62、または第5車輪65と第6車輪66)との2輪を組み合わせて、接地するようにしてもよい。
【0041】
また、運搬用台車10に積載物を載せない場合には、切り回しやネスティングをし易くし、小回りを利き易くするため、中央の固定輪(第3車輪63と第4車輪64)を接地させずに、前後両方の自在輪(第1車輪61、第2車輪62、第5車輪65および第6車輪66)のみを接地させるようにしてもよい。この場合は、走行適性を確保するため、第1車輪61と第2車輪62、または第5車輪65と第6車輪66、の前後いずれかの二つの車輪は、自在輪から固定輪へと切り替わる構造を有することができる。なお、これに限らず、台車本体50は、4輪の車輪61、62、65、66を有し、第2車輪取付フレーム68と第3車輪63および第4車輪64とを有していなくてもよい。
【0042】
連結部材53の上方側には、折り畳みが可能な底板58が設けられている。底板58は略直方体形状であり、Y方向に沿って第1側枠51と第2側枠との間に伸びて配置され、X方向において、第1側枠51および第2側枠52と略同一の長さを有している。底板58は、運搬用台車10の積載物の荷重を保持できるだけの十分な強度を有している。
【0043】
底板58は、連結部材53に対してX方向の回転軸回りに回転移動が可能であり、図1図2に示すとおり、連結部材53の上方側に配置された組み立て状態と、図3に示すとおり、底板58の+Y方向側端部付近を回転軸として連結部材53に対して持ち上げられ、第2側枠52に隣接する位置に折り畳まれた状態とをとることができる。すなわち、パネル容器30の各パネル11~16を組み立て状態にする場合には、底板58は水平面に配置され、パネル容器30の各パネル11~16を折り畳み状態にする場合には、底板58は上方側に回転移動し、第2側枠52に隣接する位置に配置される。
【0044】
(b)パネル容器の構成
図1図3を参照して、パネル容器30およびパネル11~16の構成について説明する。
【0045】
パネル容器30は、パネル11~16を組み立てることにより、内部に断熱空間を形成する組み立て状態をとることと、パネル11~16を折り畳むことにより、断熱空間が形成されない折り畳み状態をとることとが可能である。パネル容器30はこのように単独で、組み立て状態と折り畳み状態とをとることが可能であることに加え、パネル11~16の一部が台車本体50と固定されることにより、台車本体50と一体となった運搬用台車10においても、パネル容器30が組み立て状態と折り畳み状態とをとることが可能である。図1は、パネル容器30が組み立て状態となっている運搬用台車10であり、図3はネスティングが可能な、パネル容器30が折り畳み状態となっている運搬用台車10である。図2は、パネル容器30のうち、正面パネル12のみが折り畳み状態にある状態を示している。
【0046】
図1に示すように、パネル容器30のパネル11~16は、組み立て状態で直方体形状を形成し、天面パネル11、正面パネル12、背面パネル13、左面パネル14、右面パネル15および底面パネル16を含んでいる。正面パネル12、背面パネル13、左面パネル14および右面パネル15は、側面パネル17とも称する。天面パネル11、正面パネル12、背面パネル13、左面パネル14、右面パネル15および底面パネル16は、その主面がそれぞれ略長方形形状である。また、正面パネル12と背面パネル13とは、それぞれの主面が互いに略同一の大きさを有し、左面パネル14と右面パネル15とは、それぞれの主面が互いに略同一の大きさを有している。各パネル11~16は、それぞれが剛性を有する板状の部材から構成され、使用時に柔軟に変形しないようになっている。
【0047】
パネル容器30を組み立て状態にしたとき、6つのパネル11~16が、積載物を収容する収容空間20を取り囲むことにより、収容空間20に断熱空間を形成することが可能である。断熱空間は、周囲が断熱材で囲まれている場合には、外部との熱の流入や流出が制限され、良好な断熱性を維持することができる。また、6つのパネル11~16の少なくとも一部のパネルは、それぞれ隣接する他のパネル11~16に対して移動可能に設けられている。これにより、運搬用台車10は、断熱空間が形成されている組み立て状態から、断熱空間が形成されない折り畳み状態に変更すること、および折り畳み状態から組み立て状態に変更することが可能である。
【0048】
このため、運搬用台車10に温度管理の必要な荷物を積載して使用しない場合には、パネル容器30のパネル11~16を折り畳み状態とすることにより、他の運搬用台車10とネスティングすることが可能となる。またパネル容器30の組み立て状態において、6つのパネル11~16は、それぞれの端面が他のいずれかのパネル11~16の主面または端面と密着するようになっており、これにより収容空間20の密閉性を確保している。
【0049】
(c)パネルの内部構造
パネル11~16の構造について説明する。図5は、各パネル11~16の断熱部40を示す断面図であり、図6(a)(b)は、断熱部40に含まれる真空断熱材41を示す断面図である。
【0050】
図5に示すとおり、各パネル11~16の断熱部40は、真空断熱材41、発泡断熱材42、断熱外囲部43、断熱材保護部材44および遮熱シート45を有している。
【0051】
真空断熱材41は、発泡断熱材42に取り付けられている。この真空断熱材41は、芯材41aと、芯材41aの周囲に設けられた外装材41bとから構成されている。真空断熱材41の収容空間20側(図5の下方側)には、発泡断熱材42が配置されている。これにより、収容空間20に収納した積載物がパネル11~16にぶつかった場合に、発泡断熱材42が、ぶつかった際の衝撃を吸収するため、真空断熱材41が破損する危険性を低減することができる。
【0052】
発泡断熱材42は、真空断熱材41の少なくとも収容空間20側に隣接して配置することができ、例えばポリウレタン発泡体やポリスチレン発泡体、またはこれらの両方を使用することもできる。
【0053】
断熱外囲部43は、真空断熱材41を取り囲むように配置されている。断熱外囲部43は、発泡断熱材42の一部に隣接して配置され、発泡断熱材42に固定されている。断熱外囲部43が真空断熱材41を取り囲むように配置されていることにより、断熱外囲部43が配置されていない場合と比べて、断熱正常が向上する。また、真空断熱材41を発泡断熱材42と略同一断面積とし、断熱外囲部43を使用しないパネル構成をとってもよい。
【0054】
断熱材保護部材44は、断熱外囲部43と部分的に隣接するような配置に設けられ、主として真空断熱材41を保護する役割を果たす。断熱材保護部材44としては、例えば有機高分子製の保護材を使用することができる。
【0055】
遮熱シート45は、真空断熱材41、発泡断熱材42、断熱外囲部43および断熱材保護部材44の外周全体を包含するように形成されている。遮熱シート45は、真空断熱材41と発泡断熱材42との全体を被覆して配置することができる。遮熱シート45としては、例えば金属箔を含む多層シートや、樹脂シートの片面に蒸着層が形成された蒸着シート等があげられる。
【0056】
図6(a)に示すように、真空断熱材41は、芯材41aと、ガスバリア性を有する外装材41bとから構成されており、外装材41bの内部を減圧して得られる断熱材である。図6(b)は真空断熱材41の他の一例である。図6(a)では、真空断熱材41の内部の両端に空隙が形成されているが、図6(b)では、空隙が形成されていない。空隙は、真空断熱材41の製造方法の違いによって発生する場合と発生しない場合とがある。
【0057】
芯材41aは、従来から使用される公知の真空断熱材の芯材に用いられる材料を使用することができ、例えば、シリカ等の紛体、ウレタンポリマー等の発泡体、グラスウール等の繊維体等の多孔質体を使用してもよい。
【0058】
外装材41bは、芯材41aの外周を被覆する部材であり、芯材41aから熱溶着層、ガスバリア層がこの順に積層された可撓性を有するシートを使用してもよい。ガスバリア層は、金属箔、樹脂シートの片面に蒸着層が形成された蒸着シート等を使用してもよい。金属箔は、例えばアルミニウムを使用することができる。蒸着層は、例えば、アルミニウム、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物を使用することができる。
【0059】
(d)側面パネル
側面パネル17である正面パネル12、背面パネル13、左面パネル14および右面パネル15について説明する。
【0060】
(i)正面パネル
図1に示すとおり、正面パネル12は、パネル容器30が組み立て状態であるとき、パネル容器30の最も+X方向側に配置されているパネルであり、積載物の出し入れを行うために、頻繁にパネルの開閉が想定されているパネルである。正面パネル12は、天面パネル11よりも下方側、かつ、底面パネル16の上方側であって、正面パネル12の主面がZ方向に平行になる向きで配置されている。正面パネル12の主面は、天面パネル11の主面と略直交しており、かつ、底面パネル16の主面とも略直交している。また、正面パネル12は、左面パネル14と右面パネル15の間に配置され、正面パネル12の主面は、左面パネル14の主面と略直交しており、かつ、右面パネルの主面とも略直交している。正面パネル12は、背面パネル13よりも+X側に配置され、正面パネル12の主面は、背面パネル13の主面と略平行となっている。
【0061】
図7は、パネル容器30の正面パネル12を組み立て状態から折り畳み状態にする工程を示す平面図であって、天面パネル11がない状態で正面パネル12付近を上方側から見ている。図7(a)(b)(c)に示すとおり、正面パネル12は、折り畳みが可能な構造であり、第1側枠51側に配置される第1正面部分パネル12a、中間に配置される第2正面部分パネル12b、および第2側枠52側に配置される第3正面部分パネル12cから構成されている。第1正面部分パネル12aは、第1正面ヒンジ部材22aを介して左面パネル14に折り畳み自在に取り付けられている。第2正面部分パネル12bは、第2正面ヒンジ部材22bを介して第1正面部分パネル12aに対して折り畳み自在に取り付けられている。第3正面部分パネル12cは、第3正面ヒンジ部材22cを介して第2正面部分パネル12bに対して折り畳み自在に取り付けられている。
【0062】
図1に示すように、第1正面部分パネル12a、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cは、組み立て状態において、ともに上下方向に平行な向きに配置される。一方、折り畳み状態においては、図3に示すように、第1正面部分パネル12aは、左面パネル14の+X方向側に配置される。第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとは、互いに重なるように折り畳まれ、Z軸方向を回転軸にして回転し、左面パネル14の-Y方向側に配置される。このとき、第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとは、折り重なって第1側枠51の外側周囲に配置され、左面パネル14と略平行な状態となる。
【0063】
このように、折り畳み状態で、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cを第1側枠51よりも外側すなわち-Y方向側に配置することにより、積載物を収納する収容空間20を広く確保することができる。また、底板58を第2側枠52側に回転して持ち上げる際、第1正面部分パネル12a、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cが回転移動中の底板58と干渉することが防止される。
【0064】
なお、パネル容器30を組み立て状態としているときの、第1正面部分パネル12aのY方向の幅は、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cのY方向の幅よりも短く、第2正面部分パネル12bのY方向の幅は、第3正面部分パネル12cのY方向の幅と略同一である。また、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cのY方向の幅は、第1側枠51のX方向の幅と略同一か、第1側枠51のX方向の幅よりも長くなっている。
【0065】
正面パネル12は、上方側に隣接する天面パネル11に対して、着脱部材33aおよび33bによって着脱自在に連結されている。具体的には、第2正面部分パネル12bは第2天面部分パネル11bに対して、着脱部材33aによって着脱自在に連結されており、かつ、第3正面部分パネル12cは第2天面部分パネル11bに対して、着脱部材33bによって着脱自在に連結されている。
【0066】
また、正面パネル12は、下方側に隣接する底面パネル16に対して、着脱部材34aおよび34bによって着脱自在に連結されている。具体的には、第2正面部分パネル12bは底面パネル16に対して、着脱部材34aによって着脱自在に連結されており、かつ、第3正面部分パネル12cは底面パネル16に対して、着脱部材34bによって着脱自在に連結されている。さらに、正面パネル12は、+Y方向側に隣接する右面パネル15に対して、着脱部材35によって着脱自在に連結されている。
【0067】
(ii)背面パネル
背面パネル13は、パネル容器30が組み立て状態であるとき、天面パネル11、正面パネル12、左面パネル14、右面パネル15および底面パネル16よりも-X方向側に配置されているパネルである。背面パネル13は、正面パネル12と同様に、天面パネル11よりも下方側、かつ、底面パネル16の上方側であって、背面パネル13の主面がZ方向に平行になる向きで配置されている。
【0068】
図8は、パネル容器30の背面パネル13を組み立て状態から折り畳み状態にする工程を示す平面図であって、天面パネル11がない状態で背面パネル13付近を上方側から見ている。図8(a)(b)に示すとおり、背面パネル13は、折り畳みが可能な構造であり、第1側枠51側に配置される第1背面部分パネル13aと、第2側枠52側に配置される第2背面部分パネル13bから構成されている。第1背面部分パネル13aは、左面パネル14に固定されており、第2背面部分パネル13bは、第1背面ヒンジ部材23aを介して第1背面部分パネル13aに対して折り畳み自在に取り付けられている。
【0069】
図1に示すように、第1背面部分パネル13aおよび第2背面部分パネル13bは、組み立て状態において、ともに上下方向に平行な向きに配置される。一方、折り畳み状態においては、図3に示すように、第1背面部分パネル13aは移動することがなく、第2背面部分パネル13bは、第1背面部分パネル13aに対して折り重なって、ZY平面に略平行な配置となる。このように、折り畳み状態において、第2背面部分パネル13bが取り除かれることにより、背面パネル13の+Y方向側の略半分の領域が開放される。なお、第1背面部分パネル13aと第2背面部分パネル13bの折り畳み方によっては、背面パネル13がY方向全域に渡って開放されていてもよい。
【0070】
背面パネル13は、上方側で隣接する天面パネル11に対して、着脱部材31aおよび31bによって着脱自在に連結されている。具体的には、第1背面部分パネル13aは第2天面パネル11bに対して、着脱部材31aによって着脱自在に連結されており、かつ、第2背面部分パネル13bは第2天面部分パネル11bに対して、着脱部材31bによって着脱自在に連結されている。
【0071】
(iii)左面パネル
左面パネル14は、パネル容器30の組み立て状態および折り畳み状態のいずれにおいても第1側枠51に隣接し、第1側枠51の-Y方向側に配置されるパネルである。左面パネル14は、正面パネル12や背面パネル13と同様に、天面パネル11よりも下方側、かつ、底面パネル16の上方側であって、左面パネル14の主面がZ方向に平行になる向きで配置されている。左面パネル14は、1枚の板状の部材から構成される。また、左面パネル14は、パネル容器30の組み立て状態および折り畳み状態の両方において、第1側枠51に対して移動せず、第1側枠51の-Y方向側の全体を覆う程度の大きさとなっており、図示しない連結手段により、第1側枠51に対して固定されている。左面パネル14は、第1側枠51に対して着脱可能に固定されていてもよい。
【0072】
(iv)右面パネル
右面パネル15は、パネル容器30の組み立て状態および折り畳み状態のいずれにおいても第2側枠52に隣接し、第2側枠52の+Y方向側に配置されるパネルである。右面パネル15も、左面パネル14と同様に、天面パネル11よりも下方側、かつ、底面パネル16の上方側であって、右面パネル15の主面がZ方向に略平行になる向きで配置されている。右面パネル15は、左面パネル14と同様に、1枚の板状の部材から構成される。また、右面パネル15は、パネル容器30の組み立て状態および折り畳み状態の両方において、第2側枠52に対して移動せず、第2側枠52の+Y方向側の全体を覆う程度の大きさとなっており、図示しない連結手段により、第2側枠52に対して固定されている。右面パネル15は、左面パネル14と同様に、第2側枠52に対して着脱可能に固定されていてもよい。
【0073】
右面パネル15は、上方側で隣接する天面パネル11に対して、着脱部材32によって着脱自在に連結されている。具体的には、右面パネル15は第2天面パネル11bに対して、着脱部材32によって着脱自在に連結されている。また、右面パネル15は、+X方向側で隣接する正面パネル12に対して、着脱部材35によって着脱自在に連結されている。具体的には、右面パネル15は第3正面部分パネル12cに対して、着脱部材35によって着脱自在に連結されている。
【0074】
(e)底面パネル
底面パネル16は、パネル容器30が組み立て状態であるとき、正面パネル12、背面パネル13、左面パネル14および右面パネル15よりも下方側に配置されているパネルである。底面パネル16は、底面パネル16の主面が水平面に略平行となる向きで、台車本体50の底板58の上方側、かつ、第1側枠51と第2側枠52との間に配置されている。底面パネル16は、1枚の板状の部材から構成され、底面ヒンジ部材(図示せず)を介して第1側枠51側に対して、持ち上げることにより折り畳むことが可能である。
【0075】
底面パネル16は、+X方向側で隣接する正面パネル12に対して、着脱部材34a及び34bによって着脱自在に連結されている。具体的には、底面パネル16は第2正面部分パネル12bに対して、着脱部材34aによって着脱自在に連結されており、かつ、第3正面部分パネル12cに対して、着脱部材34bによって着脱自在に連結されている。
【0076】
(f)天面パネル
図1に示すとおり、天面パネル11は、パネル容器30が組み立て状態であるとき、正面パネル12、背面パネル13、左面パネル14および右面パネル15よりも上方側に配置されているパネルであり、天面パネル11の主面が水平面と略平行になる向きで配置されている。
【0077】
図9および図10は、パネル容器30の天面パネル11を組み立て状態から折り畳み状態にする工程を示す正面図であって、正面パネル12がない状態で天面パネル11付近を+X方向側から見ている。図9(a)(b)および図10(a)(b)(c)に示すとおり、天面パネル11は、折り畳みが可能な構造であり、第1側枠51側に配置される第1天面部分パネル11aおよび第2側枠52側に配置される第2天面部分パネル11bから構成されている。パネル容器30が組み立て状態のとき、天面パネル11の第2天面部分パネル11bのY方向の長さは、第1天面部分パネル11aのY方向の長さよりも長くなっている。第1天面部分パネル11aは、第1天面ヒンジ部材21cを介して左面パネル14に折り畳み自在に取り付けられている。第2天面部分パネル11bは、第2天面ヒンジ部材21dを介して第1天面部分パネル11aに対して折り畳み自在に取り付けられている。
【0078】
図9(a)に示すとおり、天面パネル11の収容空間20側の主面、すなわち内表面には、蓄熱材収納部70が取り付けられている。蓄熱材は、収容空間20を常温よりも低い温度に保つためにそれ自体が低温状態を一定時間保持できる部材と、収容空間20を常温以上の所定温度に保つためにそれ自体が所定温度を一定時間保持できる部材と、を含めたものを意味し、保冷材、保冷剤、保温材、保温剤、蓄熱剤または蓄冷剤と呼ばれたり表記されるものを含む。蓄熱材収納部70は、内部に蓄熱材を収納できる隙間を有しており、蓄熱材収納部70は、収納した蓄熱材が落下しないようにチャックや面ファスナーなどで蓋を閉じられる構造を備えていてもよい。蓄熱材収納部70は、蓄熱材からの冷気や熱を収容空間20に伝えやすくするため、隙間が多数設けられた布地、不織布、メッシュ構造材、金網構造材等により形成されていてもよい。
【0079】
蓄熱材を保冷目的で使用する場合には、冷気の対流が上方側から下方側へ流れることから、図9(a)のように、天面パネルの内表面に蓄熱材を固定することが効果的である。しかし、蓄熱材を多数、天面パネル11の内表面に取り付けると、天面パネル11は、取り付けられた蓄熱材の重量のために、下方側にたわみを生ずる。
【0080】
図1および図9(a)に示すように、天面パネル11の-Y方向側の端部、+Y方向側の端部および+X方向側の端部は、それぞれ左面パネル14の端面、側枠52の上端および正面パネル12の端面によって下方側から支えられているが、天面パネル11の-X方向側の端部は、下方側に他のパネルの端部が配置されていないため、着脱部材31aおよび31bのみによって支えられている。これらの天面パネル11の端部以外の部分、すなわち天面パネル11のX方向およびY方向のそれぞれの中央部分は、下方側からの支えがなく、かつ、蓄熱材の荷重負荷を受け易いため、天面パネル11の部材の弾性率と、天面パネル11自体の重量と、蓄熱材の荷重との関係により、天面パネル11が下方側に弾性変形、すなわちたわみを起こす。
【0081】
天面パネル11の下方側に向かうたわみが大きくなると、見かけ上、天面パネルのY方向に沿った長さが短くなるため、天面パネル11の+Y方向の端部が、下方側の第2側枠52の上端と接する面積が小さくなる。さらにたわみが大きくなり、天面パネルのY方向に沿った長さが短くなると、天面パネル11の+Y方向の端部が、下方側の第2側枠52の上端と接しなくなり、天面パネル11は下方側に脱落してしまう。
【0082】
本実施形態の天面パネル11は第1側枠51側に配置される第1天面部分パネル11aおよび第2側枠52側に配置される第2天面部分パネル11bから構成されている。第1天面部分パネル11aは、第1天面ヒンジ部材21cを介して左面パネル14に折り畳み自在に取り付けられており、第2天面部分パネル11bは、第2天面ヒンジ部材21dを介して第1天面部分パネル11aに対して折り畳み自在に取り付けられている。
【0083】
また、図9(b)に示すとおり、左面パネル14と、第1天面部分パネル11aとは、第1天面ヒンジ部材21cによって連結され、第1天面部分パネル11aが左面パネル14に対して折り曲げ自在となっている。また、第1天面部分パネル11aと、第2天面部分パネル11bとは、第2天面ヒンジ部材21dによって連結され、第2天面部分パネル11bが第1天面部分パネル11aに対して折り曲げ自在となっている。
【0084】
第1天面ヒンジ部材21cは、左面パネル14の外表面の上端と、第1天面部分パネル11aの内表面とを連結している。また、第2天面ヒンジ部材21dは、第1天面部分パネル11aの内表面と、第2天面部分パネル11bの内表面とを連結している。
【0085】
第1天面ヒンジ部材21cを第1のヒンジ部、第2天面ヒンジ部材21dを第2のヒンジ部とし、第1天面部分パネル11aを第1の部分パネル、第2天面部分パネル11bを第2の部分パネルとするとき、第1の部分パネルは、第1のヒンジ部を介して左面パネルと連結され、第1の部分パネルには第2のヒンジ部が設けられ、第2の部分パネルは、第2のヒンジ部を介して第1の部分パネルと折り曲げ自在に連結されている。また、第1のヒンジ部は、左面パネルの外表面に沿って設けられ、かつ、第2のヒンジ部は、天面パネルの内表面、すなわち第1の部分パネルと第2の部分パネルとの、それぞれの内表面に沿って設けられている。
【0086】
このような構造とするとき、第1天面部分パネル11aに対して、第1天面部分パネル11aを時計回りに回転させようとする力が加わったとき、左面パネル14の外表面と、第1天面部分パネル11aの-Y方向側の端面との間に、互いに引っ張り合う力が作用する。しかし、左面パネル14から第1天面部分パネル11aが離れようとすることを、第1天面ヒンジ部材21cが規制することにより、第1天面部分パネル11aが時計回りに回転することを抑制することができる。第1天面ヒンジ部材21cが、左面パネル14の内表面の上端と、第1天面部分パネル11aとを連結している場合と比べ、天面パネル11は、第1天面部分パネル11aの時計回りの回転がし難い構造となる。
【0087】
また、第1天面部分パネル11aに対して、第2天面部分パネル11bが反時計回りに回転しようとする力が加わったとき、第1天面部分パネル11aの+Y方向側端部の内表面と、第2天面部分パネル11bの-Y方向側端面の内表面とが、互いに引っ張り合う力が作用する。しかし、第1天面部分パネル11aから第2天面部分パネル11bが離れようとすることを、第2天面ヒンジ部材21dが規制することにより、第2天面部分パネル11bが反時計回りに回転することを抑制することができる。第2天面ヒンジ部材21dが、第1天面部分パネル11aの外表面と、第2天面部分パネル11bの外表面とを連結している場合と比べ、天面パネル11は、第2天面部分パネル11bの反時計回りの回転がし難い構造となる。
【0088】
一方、天面パネル11を折り畳む場合には、図9(b)および図10(a)(b)に示すように、天面パネル11の第2天面部分パネル11bを、若干上方に持ち上げることにより、第1天面部分パネル11aを、第1天面ヒンジ部材21cを介して左面パネル14に対して反時計回りに回転移動させ、かつ、第2天面部分パネル11bを、第2天面ヒンジ部材21dを介して第1天面部分パネル11aに対して時計回りに回転移動させることができる。これにより、第2天面部分パネル11bの+Y方向側の先端と、第2側枠52との間にY方向に沿った隙間が生じるため、第2天面部分パネル11bを、第1側枠51に隣接する位置まで容易に折り畳むことができる。
【0089】
第1天面ヒンジ部材21cや第2天面ヒンジ部材21dに使用されるヒンジ部材としては、連結される二つのパネルのうち、一方のパネルが他方のパネルに対して折り曲げ、すなわち回転が可能であるような種々の機構、材料を選択することができる。例えば、折り曲げ自在な可撓性のある布材、樹脂製フィルムまたは金属製フィルム等を用いてもよい。また、樹脂製または金属製の蝶番を用いてもよい。本開示において蝶番とは、特に樹脂製または金属製の2片以上の部品の組み合わせで構成され、2片の部品のうち一方の片が他方の片に対して固定された所定の軸回りにのみ、回転可能な構造を有する部材を指すものとする。
【0090】
上述のとおり、天面パネル11は、蓄熱材等の荷重によっても、容易に下方側に脱落しない構造としているが、これに加えて、天面パネル11は、+X方向側において隣接する正面パネル12、および-X方向側において隣接する背面パネル13に対して、着脱部材によって着脱自在に連結されている。これにより、さらに天面パネル11が下方側に脱落し難くなるようにしている。
【0091】
第2天面部分パネル11bは、第2正面部分パネル12bに対して、着脱部材33aによって着脱自在に連結されており、かつ、第2天面部分パネル11bは、第3正面部分パネル12cに対しても、着脱部材33bによって着脱自在に連結されている。また、第2天面部分パネル11bは、第1背面部分パネル13aに対して、着脱部材31aによって着脱自在に連結されており、かつ、第2天面部分パネル11bは、第2背面部分パネル13bに対しても、着脱部材31bによって着脱自在に連結されている。
【0092】
着脱部材31a、31b、33aおよび33bは、二つのパネルにまたがって配置できるような可撓性のある細長い帯状部材とすることができ、例えば布材、樹脂製フィルムまたは金属製フィルム等を用いることができる。また、着脱部材31a、31b、33aおよび33bは、二つのパネルの一方のパネルを他方のパネルに対して着脱可能に係合できる構造を有するが、これには例えばフック部とループ部から構成される一対の面ファスナー構造を用いることができる。その他、雄雌の一対のボタン構造であってもよく、あるいは金属製や樹脂製の留め金構造を有する、いわゆるスナップ錠、パッチン錠等と称される構造であってもよい。着脱部材32、34a、34bおよび35についても同様の構造とすることができる。
【0093】
正面パネル12を第1の側面パネル、背面パネル13を第2の側面パネルとし、着脱部材33aおよび33bを第1の係合部材、着脱部材31aおよび31bを第2の係合部材とし、第2天面部分パネル11bを第2の部分パネルとするとき、第1の係合部材は、第2の部分パネルと第1の側面パネルとを、着脱可能に係合し、第2の係合部材は、第2の部分パネルと第2の側面パネルとを、着脱可能に係合する。
【0094】
これによって、第2の部分パネルは蓄熱材の荷重等を受けていても、第1の係合部材および第2の係合部材によって、第1の側面パネルおよび第2の側面パネルと係合され、第2の部分パネルが下方側に脱落することを効果的に抑制できる。
【0095】
また、第1の係合部材および第2の係合部材は、第2の部分パネルと第1の側面パネルとの係合状態、および第2の部分パネルと第2の側面パネルとの係合状態を容易に解消できる構造であるため、パネル容器30の天面パネル11を折り畳む作業の作業性を阻害しない。
【0096】
さらに、第2の側面パネルである背面パネル13と、第2の部分パネルである第2天面部分パネル11bとは、背面パネル13の主面と第2天面部分パネル11bの端面とが当接しているため、背面パネル13は、直接、天面パネル11を下方側から支えることができない。したがってこのようなパネルの当接構造では、天面パネル11を背面パネル13に対して脱落しないようにするため、係合部材である着脱部材31a、31bを設けることが効果的である。なお、正面パネル12を第1の側面パネル、背面パネル13を第2の側面パネルとしたが、背面パネル13を第1の側面パネル、正面パネル12を第2の側面パネルとしても同様である。
【0097】
図10(b)の、左面パネル14および第1側枠51の付近であるA部の拡大図を図10(c)に示す。天面パネル11を折り畳むときには、図10(c)に示すように、天面パネル11の第2天面部分パネル11bが、できる限り先に折り畳まれた底面パネル16に対して、Y方向に沿って接近した配置となることが好ましい。
【0098】
天面パネル11の内表面に沿った、第1天面ヒンジ部材21cの回転軸に垂直な方向を第1の方向とするとき、第1の方向に沿った第1天面部分パネル11aの横幅が、第1天面ヒンジ部材21cを備える側面パネル17である左面パネル14、および底面パネル16の厚みと、側面パネル17である左面パネル14の厚み方向に沿った第1側枠51の厚みとの和の1.0倍から2.0倍の範囲内であってもよい。
【0099】
図10(c)では、第1天面部分パネル11aの第1の方向に沿った横幅はY方向に沿った横幅となるため、これをW11aとし、左面パネル14、第1側枠51および底面パネル16のそれぞれの厚みは、Y方向に沿ったそれぞれの長さとなるため、これをD14、D51およびD16とし、D14、D51およびD16の和をDTとすると、W11aは、DTの1.0倍からDTの2.0倍の範囲内であることが好ましい。
【0100】
W11aがこのような値であることにより、第1天面部分パネル11aは、左面パネル14の厚み、第1側枠51の厚みおよび先に折り畳まれた底面パネル16の厚みの和に近似した横幅を有することとなるため、天面パネル11を下方側に折り畳んだときに、底面パネル16を損傷させることがなく、かつ、第2天面部分パネル11bを-Y方向側に寄せることができ、+Y方向側に十分な空間を形成することができる。このため、他の折り畳み済みの運搬用台車10を容易に当該運搬用台車10にネスティングすることができる。
【0101】
また、本実施形態では、パネル容器30が台車本体50に取り付けられて運搬用台車10として運用することを前提としているが、パネル容器30を単独で使用する場合にも適用できる。この場合は、図10(c)において、第1側枠51が存在しないものとして第1天面部分パネル11aの横幅の範囲を検討すればよいことから、パネル容器30を単独で使用する場合には、第1天面部分パネル11aのY方向に沿った横幅W11aは、D14およびD16の和をDT2とすると、DT2の1.0倍からDT2の2.0倍の範囲内であることが好ましい。これにより、第2天面部分パネル11bを-Y方向側に寄せることができ、+Y方向側に十分な空間を形成することができる。
【0102】
(g)パネル容器の折り畳みおよび組み立て
次に、運搬用台車10に取り付けられたパネル容器30を折り畳みおよび組み立てする際の作用について説明する。図7図10は、運搬用台車10に取り付けられたパネル容器30を順番に分解する工程の一部を説明する図である。
【0103】
(i)パネル容器の折り畳み
まず、図1のとおり、運搬用台車10のパネル容器30の6つのパネル11~16が箱状に組み立てられた状態である場合を想定する。各パネル11~16の内部には略直方体形状の収容空間20が形成されている。図示しないが収容空間20内には、食料品等の積載物が収納されていてもよい。
【0104】
次に、図2に示すとおり、正面パネル12を折り畳むことにより、正面パネルは組み立て状態から折り畳み状態に移行する。まず、図7(a)に示すように、着脱部材35を右面パネル15から取り外す。同様に着脱部材33aおよび33bを天面パネル11から取り外し、着脱部材34aおよび34bを底面パネルから取り外す。続いて、第3正面部分パネル12cを第2正面部分パネル12bに重なるように折り畳む。具体的には、第3正面部分パネル12cが、第3正面ヒンジ部材22cを中心として第2正面部分パネル12bに対して平面視で時計回りに回転する。
【0105】
続いて、図7(b)に示すように、第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとが互いに重なり、この状態で、第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとが第2正面ヒンジ部材22bを中心として第1正面部分パネル12aに対して平面視で時計回りに回転する。
【0106】
その後、図7(c)に示すように、第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとが、第1側枠51の外側周囲、すなわち第1側枠51の-Y方向側および+X方向側の周囲に移動する。具体的には、第1正面部分パネル12aが、第1正面ヒンジ部材22aを中心として左面パネル14に対して平面視で時計回りに回転する。この際、第1正面部分パネル12aが、左面パネル14に対して+X方向側に位置し、第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとが、第1側枠51に対して-Y方向側に位置する。このようにして、正面パネル12が折り畳み状態となり、図2に示すとおり、運搬用台車10のパネル容器30の正面側が完全に開放される。なお、収容空間20内に積載物が収納されている場合には、この状態で正面側から積載物を外部に取り出してもよい。
【0107】
次に、図3のとおり、底面パネル16を折り畳むことにより、底面パネル16が組み立て状態から折り畳み状態に移行する。具体的には、底面パネル16を第1側枠51に対して正面視で反時計回りに回転させる。これにより底面パネル16は、第1側枠51の+Y方向側に重なるように折り畳まれる。この場合、底面パネル16は、図示しない面ファスナーによって第1側枠51に取り付けられる。
【0108】
ついで、図3のとおり、底板58を折り畳むことにより、底板58が組み立て状態から折り畳み状態に移行する。底板58は、第2側枠52に対して正面視で時計回りに回転し、第2側枠52の-Y方向側に重なるように折り畳まれる。この場合、底板58は、図示しない固定手段によって第2側枠52に取り付けられる。
【0109】
続いて、図8(a)(b)に示すように、背面パネル13を折り畳むことにより、背面パネル13が組み立て状態から折り畳み状態となる。具体的には、図2に示すように、天面パネル11と背面パネル13とを係合している着脱部材31a及び31bを背面パネル13から取り外す。次に、図8(a)(b)に示すように、第2背面部分パネル13bと右面パネル15とを係合している着脱部材36を、右面パネル15から取り外す。その後、第2背面部分パネル13bを、第1背面部分パネル13aに対して平面視で反時計回りに回転させる。これにより、第2背面部分パネル13bは、第1背面部分パネル13aに重なるように折り畳まれ、第1背面部分パネル13aの-X方向側に配置される。一方、第1背面部分パネル13aは、折り畳み状態においても組み立て状態と同一の位置を保持する。
【0110】
最後に、図9(a)(b)および図10(a)(b)に示すように、天面パネル11を折り畳むことにより、天面パネル11が組み立て状態から折り畳み状態となる。まず、図9(a)(b)に示すように、着脱部材32を右面パネル15から取り外す。続いて、第1天面部分パネル11aを、第1天面ヒンジ部材21cを中心として左面パネル14に対して正面視で反時計回りに回転させるとともに、第2天面部分パネル11bを、第2天面ヒンジ部材21dを中心として第1天面部分パネル11aに対して正面視で時計回りに回転させる。
【0111】
続いて、図10(a)(b)に示すように、第2天面部分パネル11bが、第1側枠51の+Y方向側に移動する。具体的には、第1天面部分パネル11aが、第1天面ヒンジ部材21cを中心とし左面パネル14に対して正面視で時計回りに回転し、第2天面部分パネル11bが、第2天面ヒンジ部材21dを中心として第1天面部分パネル11aに対して正面視で時計回りに回転する。これにより、第2天面部分パネル11bは、下方側に向けて折り畳まれ、第1天面部分パネル11aから垂れ下がるように配置される。このとき、第2天面部分パネル11bは、第1側枠51に隣接するように、第1側枠51の+Y方向側に配置される。
【0112】
このようにして、運搬用台車10のパネル容器30が備える6つのパネル11~16が、すべて折り畳み状態となる。運搬用台車10を使用しない場合には、パネル容器30のパネル11~16を折り畳むことによって、できる限り全体の体積を小さくして、保管、輸送を行うことができる。なお、上記では、正面パネル12、底面パネル16、背面パネル13、天面パネル11の順に折り畳むことについて説明したが、正面パネル12、底面パネル16、天面パネル11、背面パネルの順に折り畳むこととしてもよい。
【0113】
(ii)パネル容器の組み立て
運搬用台車10のパネル容器30の組み立て方法は、上述した折り畳み方法の逆の順に行うことによってできる。
【0114】
すなわち、まず、図9(a)(b)および図10(a)(b)の逆作業から開始する。天面パネル11を折り畳み状態から組み立て状態とする。その後、着脱部材32を右面パネル15に取り付ける。ついで、図8(a)(b)の逆作業を行う。すなわち、背面パネル13を折り畳み状態から組み立て状態とし、その後、着脱部材31aおよび31bを取り付けて背面パネル13と天面パネル11とが係合された状態とする。
【0115】
次に、底板58および底面パネル16を折り畳み状態から組み立て状態とする。その後、図7(a)(b)(c)の逆作業を行う。すなわち、正面パネル12を折り畳み状態から組み立て状態とする。その後、着脱部材33aおよび33bを取り付けて、天面パネル11と正面パネル12とが係合された状態とする。さらに、着脱部材35を取り付けて、右面パネル15と正面パネル12とが係合された状態とする。このようにして、パネル11~16の組み立て作業が完了する。なお、組み立ての順番についても、背面パネル13、天面パネル11、底面パネル16、正面パネル12の順とすることができる。
【0116】
本実施形態では、パネル11~16を有するパネル容器30は、台車本体50と一体化した状態で運搬用台車10を構成し、当該運搬用台車10に取り付けられた状態で、パネル容器30が、組み立ておよび折り畳みが可能である旨、説明したが、これに限らず、パネル容器30が、台車本体50とは離れ、独立した状態で使用されていてもよい。
【0117】
2.変形例
上述した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であり、それらも本開示の範囲内である。下記に、幾つかの変形例を挙げる。
【0118】
(a)変形例1
図11は、本実施形態の変形例1のパネル容器30Aを部分的に示す図であって、正面パネル12がない状態で天面パネル11付近を+X方向側から見た正面図である。図11(a)は、パネル容器30Aの天面パネル11が組み立て状態となっている図である。本パネル容器30Aの第2側枠52Aの上端には、天面パネル11の第2天面部分パネル11bの内表面と当接する脱落防止片81が設けられている。これにより、組み立て状態の天面パネル11における第2天面部分パネル11bの先端部、すなわち右面パネル15に近い側の内表面は、第2側枠52Aの上端部だけでなく、第2側枠52Aの-Y方向側に設けられた脱落防止片81とも当接する。
【0119】
本変形例のパネル容器30Aは、天面パネル11に蓄熱材を取り付けることによって、天面パネル11に下方側のたわみを生じ、第2天面部分パネル11bの先端部が-Y方向側にずれたとしても、脱落防止片81が、第2天面部分パネル11bの先端部の内表面と当接することができるため、天面パネル11が第2側枠52Aから外れて下方側に脱落してしまうことを一層起き難くすることができる。
【0120】
天面パネル11を折り畳む方法は、第1実施形態と同様である。すなわち、図11(b)に示すとおり、天面パネル11の第2天面部分パネル11bを、若干上方に持ち上げることにより、第1天面部分パネル11aを、第1天面ヒンジ部材21cを介して左面パネル14に対して反時計回りに回転移動させ、かつ、第2天面部分パネル11bを、第2天面ヒンジ部材21dを介して第1天面部分パネル11aに対して時計回りに回転移動させることができる。これにより、第2天面部分パネル11bのY方向側の先端と、第2側枠52Aとの間にY方向に沿った隙間が生じるため、第2天面部分パネル11bを、第1側枠51に隣接する位置まで容易に折り畳むことができる。
【0121】
本変形例では、脱落防止片81はYZ平面で切った断面形状が略三角形のものとしているが、これに限定されず、四角形、多角形、円形、曲面で囲まれた形状等の任意の形状としてもよい。また、脱落防止片81の材料は、硬質の樹脂や金属、カーボン等を用いてもよく、あるいはゴム等の軟質樹脂、発泡樹脂等を用いてもよい。脱落防止片81は、第2側枠52Aと固着されていてもよく、あるいは着脱可能に取り付けられていてもよい。また、脱落防止片81は、X方向に沿って連続的に延設されていてもよく、X方向に沿って離間して設けられていてもよい。
【0122】
また、本変形例は、運搬用台車10が備えているパネル容器30Aに関するものであるが、パネル容器を単独で使用する場合にも適用できる。この場合は、図11(c)のパネル容器30Bに示すように、脱落防止片81は、第2側枠の上端ではなく右面パネル15Aの上端の内表面に直接設けることができる。これにより、組み立て状態である天面パネル11の第2天面パネル11bの先端部は、右面パネル15Aの内表面に設けられた脱落防止片81と当接し、天面パネル11が下方側のたわみを生じたときにも、天面パネル11が下方側に脱落してしまうことを一層起き難くすることができる。なお、脱落防止片81は、第2側枠52や右面パネル15に設けられることに限らず、第1天面ヒンジ部材21cが設けられていない側面パネル17である正面パネル12や背面パネル13に設けられてもよい。
【0123】
(b)変形例2
図12は、本実施形態の変形例2のパネル容器30Cを部分的に示す正面図である。図12(a)は、パネル容器30Cの天面パネル11Dが組み立て状態となっている図である。本パネル容器30Cの天面パネル11Dには、右面パネル15側の外表面に張り出す鉤状のガイド部82が設けられている。ガイド部82は、第2天面パネル11bの+Y方向側の先端において、右面パネル15の上端を跨ぐように右面パネル15の+Y方向側の外表面まで張り出して配置される。
【0124】
これにより、天面パネル11Dが組み立て状態のときには、天面パネル11Dが蓄熱材等により下方側のたわみを生じたとしても、第2天面部分パネル11bの先端が-Y方向側にずれることを当該ガイド部82が抑制する。すなわち、第2天面部分パネル11bの先端が-Y方向側にずれようとすると、右面パネル15の上端から外表面に掛けて鉤状に張り出したガイド部82が、右面パネル15を外表面側から-Y方向側に押し付けるため、第2天面部分パネル11bのずれが極力規制される。よって、天面パネル11Dが第2側枠52から外れて下方側に脱落してしまうことを一層起き難くすることができる。
【0125】
天面パネル11Dを折り畳む方法は、変形例1と同様である。すなわち、図12(b)に示すとおり、天面パネル11Dの第2天面部分パネル11bを、若干上方に持ち上げることにより、第1天面部分パネル11aを、第1天面ヒンジ部材21cを介して左面パネル14に対して反時計回りに回転移動させ、かつ、第2天面部分パネル11bを、第2天面ヒンジ部材21dを介して第1天面部分パネル11aに対して時計回りに回転移動させることができる。これにより、第2天面部分パネル11bのY方向側の先端と、第2側枠52との間にY方向に沿った隙間が生じるため、第2天面部分パネル11bを、第1側枠51に隣接する位置まで容易に折り畳むことができる。
【0126】
ガイド部82はYZ平面で切った断面形状が略L字型のものを例示したが、これに限らず、右面パネル15の外表面に張り出すことが可能な形状であれば任意の形状を選択できる。ガイド部82の材料については、硬質の樹脂や金属、カーボン等、あるいは軟質樹脂、発泡樹脂等を用いてもよい。また、ガイド部82は、X方向に沿って連続的に延設されていてもよく、X方向に沿って離間して設けられていてもよい。
【0127】
(c)変形例3
図13は、本実施形態の変形例3のパネル容器30Dを部分的に示す正面図である。図13(a)は、パネル容器30Dの天面パネル11Eが組み立て状態となっている図である。図13(b)は、図13(a)の天面パネル11Eと左面パネル14との当接部付近を示すB部の拡大図である。図13(c)は、図13(b)の部分について、天面パネル11Eが折り畳み状態に移行しようとする説明図である。本パネル容器30Dの天面パネル11Eの第2天面ヒンジ部材21eは、天面パネル11Eの内表面に設けられた蝶番84によって構成されている。蝶番84は、強度面から通常、金属製のものが用いられるが、樹脂製または、樹脂製部材と金属製部材との混合タイプのものを用いてもよい。
【0128】
天面パネル11Eの内表面には、正面視で左面パネル14との当接部付近から、右面パネル15との当接部付近まで伸びる補助梁83が設けられている。補助梁83は、第1補助梁83aと第2補助梁83bとから構成される。第1天面部分パネル11aの内表面には、正面視で左面パネル14との当接部付近から第2天面ヒンジ部材21eの付近まで伸びる第1補助梁83aが設けられている。また、第2天面部分パネル11bの内表面には、正面視で右面パネル15との当接部付近から第2天面ヒンジ部材21eの付近まで伸びる第2補助梁83bが設けられている。蝶番84は、第1補助梁83aおよび第2補助梁83bのそれぞれと接合している。
【0129】
補助梁83としては、天面パネル11Eをたわみ難くする程度の強度を有するものとして、金属製、樹脂製またはカーボン製等の各種材料を用いることができ、形状としても角材、パイプ材、板状材等の種々の形状をとることが可能である。補助梁83は、X方向に沿って連続的な幅をもって延設されていてもよく、X方向に沿って複数の狭幅のものが互いに離間して設けられていてもよい。また、蝶番84は1箇所だけ設けられていてもよく、複数個がX方向に沿って設けられていてもよい。
【0130】
図13(b)に示すとおり、天面パネル11Eが組み立て状態であるとき、第1天面部分パネル11aの下方側の内表面には第1補助梁83aが設けられ、第2天面部分パネル11bの下方側の内表面には第2補助梁83bが設けられ、かつ、第1補助梁83aと第2補助梁83bとの間に配置された蝶番84が、第1補助梁83aおよび第2補助梁83bのそれぞれと接合している。第1天面部分パネル11aの+Y方向側の端面と、第2天面部分パネル11bの-Y方向側の端面とが、第2天面ヒンジ部材21eを構成する蝶番84の上方側で当接する。また、第1補助梁83aの+Y方向側の端面と、第2補助梁83bの-Y方向側の端面とが、蝶番84の上方側で当接する。
【0131】
ここで、天面パネル11Eが、蓄熱材の荷重等により下方側にたわもうとする力を受けたとき、第1天面部分パネル11aは、第1天面ヒンジ部材21cを中心として左面パネル14に対して正面視で時計回りに回転する方向に変形しようとし、第2天面部分パネル11bは、第2天面ヒンジ部材21eを中心として第1天面部分パネル11aに対して正面視で反時計回りに回転する方向に変形しようとする。このとき、蝶番84が第1補助梁83aと第2補助梁83bとを接合しているため、第1補助梁83aと第2補助梁83bとが、XZ平面に沿った両者の当接面を介して互いに圧縮しあうこととなる。
【0132】
第1補助梁83aと第2補助梁83bとが当接していない場合には、第1天面部分パネル11aと第2天面部分パネル11bとが、XZ平面に沿った両者の当接面を介して互いに圧縮しあい、第1天面部分パネル11aと第2天面部分パネル11bとのそれぞれの端面の上部が弾性変形を起こし、天面パネル11Eが下方側にたわむこととなる。
【0133】
しかしながら本変形例では、第1補助梁83aと第2補助梁83bとが当接しているため、第1天面部分パネル11aおよび第2天面部分パネル11bの弾性変形を低減させ、天面パネル11Eが下方側にたわむことを抑制することができる。
【0134】
また、図13(c)に示すとおり、天面パネル11Eを折り畳む際は、第2天面部分パネル11bを、若干上方に持ち上げ、第1天面部分パネル11aを、第1天面ヒンジ部材21cを介して左面パネル14に対して反時計回りに回転移動させ、かつ、第2天面部分パネル11bを、第2天面ヒンジ部材21eを介して第1天面部分パネル11aに対して時計回りに回転移動させる。これにより、第1実施形態のパネル容器30と同様に天面パネル11Eを容易に折り畳むことができる。
【0135】
なお、本変形例では、第1補助梁83aと第2補助梁83bとが当接することにより、第1天面部分パネル11aと第2天面部分パネル11bとが下方側にたわむ変形を起こすことを抑制しているが、このような構造に限らず、例えば、図13(b)のように、天面パネル11Eが組み立てられた状態から第2天面部分パネル11bが第1天面部分パネル11aに対して反時計回りに回転できないよう、蝶番84自体に回転角度の制限機構を持たせていてもよい。この場合には、天面パネル11Eの組み立て状態において、第1補助梁83aと第2補助梁83bとが当接する配置ではなく、離間した配置であってもよい。
【0136】
(d)変形例4
図14は、本実施形態の変形例3に類似する、変形例4のパネル容器30Eを部分的に示す正面図である。図14(a)に示すとおり、パネル容器30Eの天面パネル11Fは、変形例3と同様に補助梁と蝶番とを備えるが、補助梁は2箇所ではなく3箇所に、蝶番は1箇所ではなく2箇所に増えた構成となっている。図14(a)は、天面パネル11Fが組み立てられた状態を示すが、天面パネル11Fは、第1側枠51側に配置される第1天面部分パネル11a、第2側枠52側に配置される第3天面部分パネル11cおよび第1天面部分パネル11aと第3天面部分パネル11cとの間に配置される第2天面部分パネル11bから構成されている。
【0137】
第1天面部分パネル11aは、第1天面ヒンジ部材21cを介して左面パネル14に折り畳み自在に取り付けられている。第2天面部分パネル11bは、第2天面ヒンジ部材21eを介して第1天面部分パネル11aに対して折り畳み自在に取り付けられている。また、第3天面部分パネル11cは、第3天面ヒンジ部材21fを介して第2天面部分パネル11bに対して折り畳み自在に取り付けられている。
【0138】
天面パネル11Fの第2天面ヒンジ部材21eは、天面パネル11Fの内表面に設けられた蝶番84によって構成されている。また、天面パネル11Fの第3天面ヒンジ部材21fは、天面パネル11Fの内表面に設けられた蝶番85によって構成されている。
【0139】
天面パネル11Fの内表面には、正面視で左面パネル14との当接部付近から、右面パネル15との当接部付近まで伸びる補助梁83が設けられている。補助梁83は、第1補助梁83a、第2補助梁83bおよび第3補助梁83cから構成される。第1天面部分パネル11aの内表面には、正面視で左面パネル14との当接部付近から第2天面ヒンジ部材21eの付近まで伸びる第1補助梁83aが設けられている。第2天面部分パネル11bの内表面には、正面視で第1天面部分パネル11aとの当接部付近から第3天面部分パネル11cとの当接部付近まで伸びる第2補助梁83bが設けられている。また、第3天面部分パネル11cの内表面には、正面視で第3天面ヒンジ部材21fの付近から右面パネル15との当接部付近まで伸びる第3補助梁83cが設けられている。
【0140】
蝶番84は、第1補助梁83aおよび第2補助梁83bのそれぞれと接合しており、蝶番85は、第2補助梁83bおよび第3補助梁83cのそれぞれと接合している。
【0141】
第1天面部分パネル11aの+Y方向側の端面と、第2天面部分パネル11bの-Y方向側の端面とが、第2天面ヒンジ部材21eを構成する蝶番84の上方側で当接しており、第2天面部分パネル11bの+Y方向側の端面と、第3天面部分パネル11cの-Y方向側の端面とが、第3天面ヒンジ部材21fを構成する蝶番85の上方側で当接している。また、第1補助梁83aの+Y方向側の端面と、第2補助梁83bの-Y方向側の端面とが、蝶番84の上方側で当接しており、第2補助梁83bの+Y方向側の端面と、第3補助梁83cの-Y方向側の端面とが、蝶番85の上方側で当接している。
【0142】
ここで、天面パネル11Fが、蓄熱材の荷重等により下方側にたわもうとする力を受けたとき、第1天面部分パネル11aは、第1天面ヒンジ部材21cを中心として左面パネル14に対して正面視で時計回りに回転する方向に変形しようとし、第3天面部分パネル11cは、第3天面ヒンジ部材21fを中心として第2天面部分パネル11bに対して正面視で反時計回りに回転する方向に変形しようとする。このとき、蝶番84が第1補助梁83aと第2補助梁83bとを接合し、かつ、蝶番85が第2補助梁83bと第3補助梁83cとを接合しているため、第1補助梁83aと第2補助梁83bとが、XZ平面に沿った両者の当接面を介して互いに圧縮しあうこととなり、かつ、第2補助梁83bと第3補助梁83cとが、XZ平面に沿った両者の当接面を介して互いに圧縮しあうこととなる。
【0143】
よって、変形例3と同様に、第1補助梁83aと第2補助梁83bとが当接し、かつ、第2補助梁83bと第3補助梁83cとが当接しているため、第1天面部分パネル11a、第2天面部分パネル11bおよび第3天面部分パネル11cの弾性変形を低減させ、天面パネル11Fが下方側にたわむことを抑制することができる。
【0144】
また、図14(b)に示すとおり、天面パネル11Fを折り畳む際は、第3天面部分パネル11cを、若干上方に持ち上げ、第1天面部分パネル11aを、第1天面ヒンジ部材21cを介して左面パネル14に対して反時計回りに回転移動させ、かつ、第3天面部分パネル11cを、第3天面ヒンジ部材21fを介して第1天面部分パネル11aに対して時計回りに回転移動させる。これにより、第1実施形態のパネル容器30と同様に天面パネル11Fを容易に折り畳むことができる。
【0145】
補助梁および蝶番を用いない場合には、すなわち第1実施形態と同様の構造では、天面パネル11を3分割以上とすることは、強度的な面で困難である。しかし、本変形例のように、補助梁、蝶番を適宜用いる構造とする場合には、パネルのたわみや部分パネルを接続するヒンジ部の強度が上がり変形が抑えられるため、天面パネルを3分割以上に分割することが可能であり、パネル容器の構造の設計自由度を広げることができる。
【0146】
(e)変形例5
図15は、本実施形態の変形例5のパネル容器30Fを部分的に示す正面図である。図15(a)は、パネル容器30Fの天面パネル11Gが組み立て状態となっている図である。図15(b)は、図15(a)の天面パネル11Gと左面パネル14との当接部付近を示すC部の拡大図である。図15(c)は、図15(b)の部分について、天面パネル11Gを折り畳み状態に移行しようとする説明図である。図15(a)に示すとおり、パネル容器30Fの天面パネル11Gは、変形例3、4とは異なり、天面パネル11Gの外表面に、補助梁86を備え、第1天面部分パネルと第2天面部分パネルとの当接部の上方側の外表面に、互いに当接する、一対の逆折防止片87が設けられている。
【0147】
補助梁86は、第1天面部分パネル11aの外表面に設けられる第1補助梁86aと、第2天面部分パネル11bの外表面に設けられる第2補助梁86bとに分離配置される。また、逆折防止片87は、第1天面部分パネル11aの外表面に設けられる第1逆折防止片87aと、第2天面部分パネル11bの外表面に設けられる第2逆折防止片87bとに分離配置される。
【0148】
逆折防止片87としては、天面パネル11Gを下方側にたわみ難くする程度の強度を有するものとして、金属製、樹脂製またはカーボン製等の各種材料を用いることができ、形状としても、本変形例で例示したようなYZ平面で切った断面形状が半円形であるものに限定されず、三角形、四角形、多角形、曲面で囲まれた形状等の任意の形状とすることができる。逆折防止片87は、X方向に沿って連続的な幅をもって延設されていてもよく、X方向に沿って複数の狭幅のものが互いに離間して設けられていてもよい。
【0149】
図15(b)に示すとおり、天面パネル11Gが組み立て状態であるとき、第1天面部分パネル11aの上方側の外表面には第1補助梁86aが設けられており、第2天面部分パネル11bの上方側の外表面には第2補助梁86bが設けられている。また、第1補助梁86aの+Y方向側の外表面には第1逆折防止片87aが設けられており、第2補助梁86bの-Y方向側の外表面には第2逆折防止片87bが設けられ、第1逆折防止片87aと第2逆折防止片87bとが当接している。ただし、第1逆折防止片87aおよび第2逆折防止片87bは、必ずしも、それぞれが第1補助梁86aおよび第2補助梁86bと接合している必要はなく、第1補助梁86aおよび第2補助梁86bを配置しない構成としてもよい。
【0150】
天面パネル11Gが、下方側にたわもうとする力を受けたとき、第1天面部分パネル11aは、第1天面ヒンジ部材21cを中心として左面パネル14に対して正面視で時計回りに回転する方向に変形しようとし、第2天面部分パネル11bは、第2天面ヒンジ部材21eを中心として第1天面部分パネル11aに対して正面視で反時計回りに回転する方向に変形しようとする。このとき、互いに当接関係にある一対の逆折防止片87は、第1逆折防止片87aと第2逆折防止片87bとが互いに押し合うこととなる。よって、第1天面部分パネル11aと第2天面部分パネル11bとが、XZ平面に沿った両者の当接面を介して互いに圧縮しあうことを低減させることができる。その結果、第1天面部分パネル11aと第2天面部分パネル11bとのそれぞれの端面の上部が弾性変形を起こして、天面パネル11Gが下方側にたわむことを効果的に抑制できる。
【0151】
また、図15(c)に示すとおり、天面パネル11Gを折り畳む際は、第2天面部分パネル11bを、若干上方に持ち上げ、第1天面部分パネル11aを、第1天面ヒンジ部材21cを介して左面パネル14に対して反時計回りに回転移動させ、かつ、第2天面部分パネル11bを、第2天面ヒンジ部材21gを介して第1天面部分パネル11aに対して時計回りに回転移動させる。一対の逆折防止片87を構成する第1逆折防止片87aと第2逆折防止片87bとは、天面パネル11Gが少しでも組み立て状態から折り畳み状態にお移行し始めると、互いに離間し当接関係が解消される。よって、天面パネル11Gを折り畳む際には、当該逆折防止片87が作業を阻害するおそれはなく、第1実施形態のパネル容器30と同様に天面パネル11Gを容易に折り畳むことができる。
【符号の説明】
【0152】
10 運搬用台車
11、11D、11E、11F、11G 天面パネル
11a 第1天面部分パネル
11b 第2天面部分パネル
11c 第3天面部分パネル
12 正面パネル
12a 第1正面部分パネル
12b 第2正面部分パネル
12c 第3正面部分パネル
13 背面パネル
13a 第1背面部分パネル
13b 第2背面部分パネル
14 左面パネル
15、15A 右面パネル
16 底面パネル
17 側面パネル
20 収容空間
21c 第1天面ヒンジ部材
21d、21e、21f、21g 第2天面ヒンジ部材
22a 第1正面ヒンジ部材
22b 第2正面ヒンジ部材
22c 第3正面ヒンジ部材
23a 第1背面ヒンジ部材
30、30A、30B、30C、30D、30E、30F パネル容器
32 着脱部材
31a、31b 着脱部材
33a、33b 着脱部材
34a、34b 着脱部材
35、36 着脱部材
39 面ファスナー
40 断熱部
41 真空断熱材
41a 芯材
41b 外装材
42 発泡断熱材
43 断熱外囲部
44 断熱材保護部材
45 遮熱シート
50 台車本体
51 第1側枠
52、52A 第2側枠
53 連結部材
54 中央連結支柱
55、55a、55b 支柱
56 横桟
57 中央フレーム
58 底板
61 第1車輪
62 第2車輪
63 第3車輪
64 第4車輪
65 第5車輪
66 第6車輪
67 第1車輪取付フレーム
68 第2車輪取付フレーム
69 第3車輪取付フレーム
70 蓄熱材収納部
81 脱落防止片
82 ガイド部
83、86 補助梁
83a、86a 第1補助梁
83b、86b 第2補助梁
83c 第3補助梁
84、85 蝶番
87 逆折防止片
87a 第1逆折防止片
87b 第2逆折防止片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12
図13
図14
図15