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特許7193027バッテリ交換装置用制御装置、バッテリ交換装置、およびバッテリ交換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】バッテリ交換装置用制御装置、バッテリ交換装置、およびバッテリ交換方法
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/80 20190101AFI20221213BHJP
   B60S 5/06 20190101ALI20221213BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20221213BHJP
【FI】
B60L53/80
B60S5/06
B60K1/04 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022086051
(22)【出願日】2022-05-26
【審査請求日】2022-05-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金内 常和
(72)【発明者】
【氏名】平岩 雅治
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 道之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 賢司
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-108283(JP,A)
【文献】実開平07-037753(JP,U)
【文献】特開平06-247682(JP,A)
【文献】実開平05-077398(JP,U)
【文献】特開2019-087349(JP,A)
【文献】特開平03-071565(JP,A)
【文献】特開2014-031032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
B60K 1/04
B60S 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを着脱可能な移動体に搭載される前記バッテリを保管可能な保管部と、前記バッテリを前記移動体および前記保管部の一方から把持して取り出し、前記移動体および前記保管部の他方で解放可能に構成された複数の把持部とを有し、前記移動体と前記保管部との間でバッテリの交換を行うバッテリ交換装置を制御するバッテリ交換装置用制御装置であって、
前記バッテリ交換装置による前記バッテリの交換を行うバッテリ交換制御は、
前記複数の把持部のうちの一の把持部によ前記移動体からバッテリを取り出して前記保管部へ保管するためのバッテリ保管作業と、前記複数の把持部のうちの他の一の把持部によ前記保管部からバッテリを把持して取り出し前記移動体に搭載するバッテリ搭載作業との少なくとも一部の作業を時間的に並行して行う制御を含む
バッテリ交換装置用制御装置。
【請求項2】
前記バッテリ交換装置は、前記把持部を昇降可能かつ前記把持部を所定の回動軸の周りに旋回可能な旋回昇降機構を有し、
前記保管部は、前記旋回昇降機構の前記回動軸を中心とする略半円状の領域に略放射状に複数配置され、
前記バッテリ交換装置用制御装置は、前記バッテリ保管作業のうちの前記移動体から前記一の把持部がバッテリを把持して上昇移動させる作業と、前記バッテリ搭載作業のうちの前記他の把持部が把持しているバッテリを下降移動させる作業とを時間的に並行して実行する制御を行う
請求項1記載のバッテリ交換装置用制御装置。
【請求項3】
バッテリを着脱可能な移動体に搭載される前記バッテリを保管可能な保管部と、前記バッテリを前記移動体および前記保管部の一方から把持して取り出し、前記移動体および前記保管部の他方で解放可能に構成された複数の把持部とを有し、前記移動体と前記保管部との間でバッテリの交換を行うバッテリ交換装置を制御する制御部とを有するバッテリ交換装置であって、
前記制御部による前記バッテリの交換を行うバッテリ交換制御は、
前記複数の把持部のうちの一の把持部によ前記移動体からバッテリを取り出して前記保管部へ保管するためのバッテリ保管作業と、前記複数の把持部のうちの他の一の把持部によ前記保管部からバッテリを把持して取り出し前記移動体に搭載するバッテリ搭載作業との少なくとも一部の作業を時間的に並行して行う制御を含む
バッテリ交換装置。
【請求項4】
前記把持部を昇降可能かつ前記把持部を所定の回動軸の周りに旋回可能な旋回昇降機構を有し、
前記保管部は、前記旋回昇降機構の前記回動軸を中心とする略半円状の領域に略放射状に複数配置され、
前記バッテリ保管作業のうちの前記移動体から前記一の把持部がバッテリを把持して上昇移動させる作業と、前記バッテリ搭載作業のうちの前記他の把持部が把持しているバッテリを下降移動させる作業とを時間的に並行して実行する制御を行う
請求項3記載のバッテリ交換装置。
【請求項5】
前記複数の把持部は、一方の把持部と他方の把持部とが一対の把持部を少なくとも一対有し、
前記一方の把持部と前記他方の把持部とは互いに、所定の旋回軸を中心として回転対称に配置されて構成される
請求項3または4に記載のバッテリ交換装置。
【請求項6】
前記一方の把持部と前記他方の把持部とは、相互にカウンタウェイトとして機能するように構成されている
請求項3または4に記載のバッテリ交換装置。
【請求項7】
バッテリを着脱可能な移動体に搭載される前記バッテリを保管可能な保管部と、前記バッテリを前記移動体および前記保管部の一方から把持して取り出し、前記移動体および前記保管部の他方で解放可能に構成された複数の把持部とを有し、前記移動体と前記保管部との間でバッテリの交換を行うバッテリ交換方法であって、
前記複数の把持部のうちの一の把持部によ前記移動体からバッテリを取り出して前記保管部へ保管するためのバッテリ保管作業と、前記複数の把持部のうちの他の一の把持部によ前記保管部からバッテリを把持して取り出し前記移動体に搭載するバッテリ搭載作業との少なくとも一部の作業時間的に並行して行う
バッテリ交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ交換装置用制御装置、バッテリ交換装置、およびバッテリ交換方法に関し、特に、着脱可能な蓄電池(バッテリ)を搭載した電動車両において、バッテリを交換する電池ステーションに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電池ステーションにおいては、設備の略中央に、蓄電池であるバッテリを把持可能および解放可能なフォークを1式有する交換装置が設けられ、少なくとも1つの空棚と複数の保管棚とが、交換装置の中心に対して放射状に並べられて設けられている。着脱可能なバッテリを搭載した電動車両などの移動体に対して、交換装置はまず、フォークによってバッテリを把持して取り外す。次に、交換装置は、フォークによって把持したバッテリを電池ステーションに引き込んだ後、フォークを空棚まで旋回させてからバッテリを解放して空棚に載置する。続いて、交換装置は、フォークを旋回させてバッテリが載置された他の保管棚(電池ラック)から充電されたバッテリを把持して取り出し、フォークを車両まで旋回させてバッテリを解放して車両に載置する。このようにバッテリを交換する場合には、車両が電池ステーションに到着してからバッテリを交換し終わるまでに約3分程度要する。
【0003】
例えば特許文献1には、搬送車両のための交換位置とエネルギー貯蔵器のための移動装置とエネルギー貯蔵器のための複数の停車スペースを有するチャージステーションとを備えた搬送車両のエネルギー貯蔵器を交換およびチャージするための装置が開示されている。特許文献1に記載の発明は、チャージステーションに回転マガジンが配置されていて、かつ中央の軸を中心にして旋回可能であり、さらに回転マガジンがエネルギー貯蔵器のための停車スペースを有しており、チャージステーションおよび回転マガジンの周面が、直接または中間室を介して搬送車両の外周面に接続されており、さらにエネルギー貯蔵器のための移動装置が、回転マガジンの軸とチャージステーションの外周との間に配置された構成である。
【0004】
また、特許文献2には、車両に搭載されているバッテリを交換するバッテリ交換システムにおいて、車両の一方の側面側に取り付けられた第1バッテリ収容部に収容されているバッテリを交換するための第1バッテリ交換ロボットと、車両の他方の側面側に取り付けられた第2バッテリ収容部に収容されているバッテリを交換するための第2バッテリ交換ロボットと、バッテリ交換システムを制御する制御部とを有する構成が開示されている。特許文献2に記載の発明は、この制御部が、車両からのバッテリの引抜き時および車両へのバッテリの差込み時に、第1バッテリ交換ロボットの動作と第2バッテリ交換ロボットの動作とが同期する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平3-71565号公報
【文献】特開2014-31032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来技術においては、車両などの移動体に搭載された1つのバッテリを交換するために用いるフォークが1式であるため、移動体から把持して取り出したバッテリを空棚に一旦載置して、その後に他の電池を保管棚から把持して取り出して、移動体に搭載させる必要があった。この場合、バッテリの交換に時間を要するとともに、移動体から取り出したバッテリを一時的にでも保管する空棚を少なくとも1つは用意する必要があるので、バッテリの交換効率および収容効率が低いという問題があった。そのため、バッテリ交換設備において、バッテリの交換効率および収容効率を向上させる技術が求められていた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、バッテリを搭載可能な移動体におけるバッテリを交換可能な設備におけるバッテリの交換効率および収容効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係るバッテリ交換装置用制御装置は、バッテリを着脱可能な移動体に搭載される前記バッテリを保管可能な保管部と、前記バッテリを前記移動体および前記保管部の一方から把持して取り出し、前記移動体および前記保管部の他方で解放可能に構成された複数の把持部とを有し、前記移動体と前記保管部との間でバッテリの交換を行うバッテリ交換装置を制御するバッテリ交換装置用制御装置であって、前記バッテリ交換装置による前記バッテリの交換を行うバッテリ交換制御は、前記複数の把持部のうちの一の把持部による前記移動体からバッテリを取り出して前記保管部へ保管するためのバッテリ保管作業と、前記複数の把持部のうちの他の一の把持部による前記保管部からバッテリを取り出して前記移動体に搭載するバッテリ搭載作業とを行う制御を含む。
【0009】
本発明の一態様に係るバッテリ交換装置用制御装置は、上記の発明において、前記バッテリ交換制御は、前記一の把持部による移動体からバッテリを取り出す前に、前記他の一の把持部により前記保管部から前記バッテリを把持させるように制御する。
【0010】
本発明の一態様に係るバッテリ交換装置用制御装置は、上記の発明において、前記バッテリ交換装置は、前記把持部を昇降可能かつ前記把持部を所定の回動軸の周りに旋回可能な旋回昇降機構を有し、前記保管部は、前記旋回昇降機構の前記回動軸を中心とする略半円状の領域に略放射状に複数配置されており、前記バッテリ交換装置用制御装置は、前記複数の把持部を同時に昇降または旋回させる制御を行う。
【0011】
本発明の一態様に係るバッテリ交換装置は、バッテリを着脱可能な移動体に搭載される前記バッテリを保管可能な保管部と、前記バッテリを前記移動体および前記保管部の一方から把持して取り出し、前記移動体および前記保管部の他方で解放可能に構成された複数の把持部とを有し、前記移動体と前記保管部との間でバッテリの交換を行うバッテリ交換装置を制御する制御部とを有するバッテリ交換装置であって、前記制御部による前記バッテリの交換を行うバッテリ交換制御は、前記複数の把持部のうちの一の把持部による前記移動体からバッテリを取り出して前記保管部へ保管するためのバッテリ保管作業と、前記複数の把持部のうちの他の一の把持部による前記保管部からバッテリを取り出して前記移動体に搭載するバッテリ搭載作業とを行う制御を含む。
【0012】
本発明の一態様に係るバッテリ交換装置は、上記の発明において、前記複数の把持部は、一方の把持部と他方の把持部とが一対の把持部を少なくとも一対有し、前記一方の把持部と前記他方の把持部とは互いに、所定の旋回軸を中心として回転対称に配置されて構成される。
【0013】
本発明の一態様に係るバッテリ交換装置は、上記の発明において、前記一方の把持部と前記他方の把持部とは、相互にカウンタウェイトとして機能するように構成されている。
【0014】
本発明の一態様に係るバッテリ交換方法は、バッテリを着脱可能な移動体に搭載される前記バッテリを保管可能な保管部と、前記バッテリを前記移動体および前記保管部の一方から把持して取り出し、前記移動体および前記保管部の他方で解放可能に構成された複数の把持部とを有し、前記移動体と前記保管部との間でバッテリの交換を行うバッテリ交換方法であって、前記複数の把持部のうちの一の把持部による前記移動体からバッテリを取り出して前記保管部へ保管するためのバッテリ保管作業と、前記複数の把持部のうちの他の一の把持部による前記保管部からバッテリを取り出して前記移動体に搭載するバッテリ搭載作業との少なくとも一部を並行して行う。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るバッテリ交換装置用制御装置、バッテリ交換装置、およびバッテリ交換方法によれば、バッテリを搭載可能な移動体におけるバッテリを交換可能な設備におけるバッテリの交換効率および収容効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一実施形態による制御装置を適用したバッテリ交換システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態によるバッテリ交換施設の構成を概略的に示す上面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態によるバッテリ交換施設における昇降機構の構成の概略を示す図である。
図4図4は、本発明の一実施形態によるバッテリ交換施設におけるフォークの動作方法を説明するための図である。
図5図5は、本発明の一実施形態によるバッテリ交換施設におけるフォークの動作方法を説明するための図である。
図6図6は、従来技術によるバッテリ交換施設の構成を概略的に示す上面図である。
図7図7は、従来技術によるバッテリ交換施設における昇降機構の構成の概略を示す図である。
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の一実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。また、本発明は以下に説明する一実施形態によって限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態による制御が適用されたバッテリ交換システムを示す。図1に示すように、電池交換ステーションとしてのバッテリ交換システム1は、ネットワーク2を介して互いに通信可能な、バッテリ交換装置用制御装置としての制御装置10、およびバッテリ交換装置としてのバッテリ交換施設20を有する。なお、制御装置10はバッテリ交換施設20と一体に構成されていても良く、バッテリ交換施設20が制御装置10を備えても良く、設定場所は限定されない。
【0019】
ネットワーク2は、有線通信や無線通信が適宜組み合わされて構成され、インターネット回線網や携帯電話回線網などの通信網から構成される。ネットワーク2は、例えば、専用線、インターネットなどの公衆通信網、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、携帯電話などの電話通信網や公衆回線、VPN(Virtual Private Network)などの一または複数の組み合わせからなる。制御装置10とバッテリ交換施設20とは、ネットワーク2を介して接続されている。
【0020】
(電動車両)
移動体としての電動車両30は、バッテリ40を着脱可能かつ搭載可能に構成される。電動車両30は、例えば塵芥車や配送車などの車両からなり、電機によって駆動される電気自動車の構成を有する。電動車両30は、RFID(Radio Frequency IDentification)機器などからなるID出力部31を備える。ID出力部31は、個々の電動車両30を互いに識別するための車両識別IDの情報を出力する。
【0021】
電動車両30は、バッテリ交換施設20との間で非接触通信可能に構成される。すなわち、バッテリ交換施設20が備えるIDセンサ26によって、ID出力部31との間で非接触通信を行うことにより、少なくとも電動車両30の車両識別IDを非接触的に相互に通信可能に構成される。
【0022】
(制御装置)
制御装置10は、制御部11、記憶部12、および通信部13を備える。制御装置10は、ハードウェアを有する制御手段としてバッテリ交換施設20を制御する。
【0023】
制御部11は、具体的に、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプロセッサ、およびRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの主記憶部を備える。
【0024】
記憶部12は、EPROM(Erasable Programmable ROM)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、およびリムーバブルメディアなどから選ばれた記憶媒体から構成される。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、または、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、またはBD(Blu-ray(登録商標) Disc)のようなディスク記録媒体が挙げられる。記憶部12には、オペレーティングシステム(Operating System:OS)や、車両情報データベース12aなどの、各種プログラム、各種テーブル、各種データベースなどを格納することができる。
【0025】
ハードウェアを有するプロセッサとしての制御部11は、記憶部12に格納されたプログラムを主記憶部の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて、交換制御部111、および車両識別部112の機能を実現できる。ここで、プログラムは、機械学習などによって生成された学習モデルを含む。なお、学習モデルは、学習済みモデルやモデルなどとも称される。学習モデルは、教師あり学習として、所定の入力パラメータと出力パラメータとの入出力データセットを教師データとした例えばニューラルネットワークを用いた深層学習(ディープラーニング)などや、教師なし学習である強化学習などの機械学習により生成できる。
【0026】
通信部13は、例えば、LANインターフェースボード、有線通信のための有線通信回路、または無線通信のための無線通信回路である。LANインターフェースボードや有線通信回路や無線通信回路は、ネットワーク2に接続される。送信部および受信部としての通信部13は、ネットワーク2に接続してバッテリ交換施設20との間で通信可能に構成される。
【0027】
(従来のバッテリ交換施設)
次に、本発明の理解を容易にするために、従来技術が有する問題点について説明する。図6は、従来技術によるバッテリ交換施設の構成を概略的に示す上面図である。
【0028】
図6に示すように、従来技術によるバッテリ交換ステーションであるバッテリ交換施設120においては、バッテリ交換設備122を備える。バッテリ交換設備122は、旋回昇降機構としての旋回式の昇降機構121と、それぞれバッテリ40を保管する複数の保管ラック123と、伸縮式のフォーク124とを有して構成される。バッテリ交換設備122の各構成要素は、所定の制御部(図示せず)によって制御される。バッテリ40を搭載した電動車両30は、バッテリ交換施設に到着すると、バッテリ交換施設120を介して、使用後のバッテリ40を保管ラック123内の新たなバッテリ40と交換可能である。
【0029】
保管ラック123は、平面視で昇降機構121の旋回軸121aを中心とする半円状の領域に放射状に複数配置される。旋回式の昇降機構121は、旋回軸121aの周りに旋回可能であるとともに上下に昇降移動可能である。伸縮式のフォーク124は、昇降機構121から水平方向の外側に延伸しており、伸縮して延在長を調整可能である。フォーク124の先端には、バッテリ40を把持可能および解放可能に構成された把持部124aが設けられている。
【0030】
図7は、従来技術によるバッテリ交換施設120における昇降機構121の構成の概略を示す図である。図7に示すように、上述したバッテリ交換施設120に設けられる昇降機構121は、上部に昇降モータ127およびスプロケット127aが配置されている。スプロケット127aは昇降モータ127に連結されている。また、スプロケット127aには、チェーン128a,128bが掛けまわされており、一方の端部がフォーク124のキャリア124bに連結されているとともに、他方の端部が所定の重量を有するカウンタウェイト129に連結されている。これにより、昇降モータ127の回転駆動によって、フォーク124を昇降可能に構成される。
【0031】
以上のように構成されたバッテリ交換施設120においては、バッテリを把持したり解放したりするためのフォーク124が1式のみである。この場合、電動車両30におけるバッテリ40の交換は次のように行われる。
【0032】
すなわち、図6に示すように、電動車両30がバッテリ交換施設120に到着して、バッテリ交換設備122に横付けして停車する。次に、バッテリ交換設備122の交換用開口部122aからフォーク124が外部に延伸される。その後、バッテリ交換施設120の昇降機構121(図7参照)によって、フォーク124を下降させて、先端の把持部124aによって電動車両30のバッテリ40を把持する。
【0033】
次に、図6に示すように、バッテリ40は、把持部124aによって把持された状態で、昇降機構121によって上昇されて電動車両30から取り外された後、フォーク124が短縮されることにより、バッテリ交換設備122内に引き込まれる。
【0034】
次に、昇降機構121は、フォーク124を、旋回軸121aを中心に空保管ラック123aまで旋回させた後に延伸させて後に下降させて、取り外したバッテリ40を空保管ラック123aに載置する。バッテリ40の載置後にフォーク124は短縮され、昇降機構121は、フォーク124をバッテリ40が保管された保管ラック123までさらに旋回させる。昇降機構121は、フォーク124を延伸させて把持部124aによって充電された状態のバッテリ40を把持した後、フォーク124を上昇させ、さらに短縮させて、バッテリ40を保管ラック123から取り出す。
【0035】
続いて、昇降機構121は、フォーク124を、旋回軸121aを中心に交換用開口部122aまで旋回させた後に延伸させる。次に、昇降機構121はフォーク124を操作して、電動車両30のキャリアの直上にバッテリ40を配置した後、下降させる。フォーク124の把持部124aはバッテリ40を解放して、電動車両30のキャリア32(載置台)に載置させる。
【0036】
以上により、電動車両30におけるバッテリ40の交換処理が行われる。以上の従来技術によるバッテリ40の交換処理においては、電動車両30がバッテリ交換施設120に到着してから、充電されたバッテリ40が取り付けられて発車できる状態になるまでの時間として、約3分程度の時間を要していた。この場合、10台程度の電動車両30においてバッテリ40を交換させるのに要する時間は、約30分以上になるため、バッテリ40の交換を要する電動車両30が多いと、バッテリ交換施設120までの経路において、電動車両30が渋滞する状態になることがあり、バッテリ40の交換をより効率良く行う必要があった。
【0037】
(バッテリ交換施設)
そこで、本発明者は、いわゆるツインフォーク型バッテリ交換ステーションの構成を有するバッテリ交換装置としてのバッテリ交換施設20を案出した。図1に示すように、本発明の一実施形態によるバッテリ交換施設20は、通信部21aを有する制御部21、少なくとも1つの保管ラック23と少なくとも2式のフォーク24,25とを備えたバッテリ交換設備22、およびIDセンサ26を備える。
【0038】
制御部21および通信部21aはそれぞれ、物理的および機能的には、上述した制御部11および通信部13と同様の構成を有する。なお、制御部21による情報処理は、制御装置10によって実行されることが好ましい。すなわち、バッテリ交換施設20の制御部21として制御装置10を用いることが好ましい。
【0039】
図2は、本実施形態によるバッテリ交換施設20の構成を概略的に示す上面図である。図2に示すように、本実施形態によるツインフォーク型バッテリ交換ステーションであるバッテリ交換施設20においては、バッテリ交換設備22が制御部21により制御される。制御部21は通信部21aを有し、ネットワーク2を介して外部と通信可能に構成される。IDセンサ26は、制御部21により制御され、IDセンサ26が受信した車両識別IDは、制御部21に送信される。
【0040】
バッテリ交換施設20におけるバッテリ交換設備22は、旋回式の昇降機構221と、それぞれバッテリ40を保管可能な複数の保管ラック23と、少なくとも一対の伸縮式のフォーク24,25とを有して構成される。バッテリ交換設備22の各構成要素は、制御部21によって制御される。バッテリ40を搭載した電動車両30は、バッテリ交換施設20に到着すると、バッテリ交換施設20を介して使用後のバッテリ40を保管ラック23内の新たなバッテリ40と交換可能である。
【0041】
保管ラック23は、平面視で昇降機構221の旋回軸222を中心とする略半円状の領域に略放射状に複数配置される。具体的には、複数の保管ラック23はそれぞれ、水平面における長手方向が旋回したフォーク24,25の伸縮方向に平行になるように、円弧状に配置される。
【0042】
旋回式の昇降機構221は、フォークを複数式、好適には偶数式、本実施形態においては2式配置されて構成される。伸縮式のフォーク24,25はそれぞれ、昇降機構221から水平方向の外側に延伸可能に構成され、伸縮して延在長を調整可能である。昇降機構221において、フォーク24,25のうちの一方の把持部となるフォーク24,25が交換用開口部22aから電動車両30に延伸した場合に、他方の把持部となるフォーク24,25が反対方向に延伸する配置である。昇降機構221のフォーク24,25は、旋回軸222の周りにこの状態で例えば±180°旋回可能であるとともに上下に昇降移動可能に構成される。フォーク24,25のそれぞれの先端には、バッテリ40を把持可能および解放可能に構成された把持部24a,25aが設けられている。
【0043】
図3は、本実施形態によるバッテリ交換施設20における昇降機構221の構成の概略を示す図である。図3に示すように、バッテリ交換施設20に設けられる昇降機構221は、上部に昇降モータ27および、昇降モータ27に連結されたスプロケット27aが配置されている。スプロケット27aには、1本のチェーン28が掛けまわされている。スプロケット27aの一方の側において、チェーン28の一方の端部がフォーク24のキャリア224に連結されて、フォーク24が吊り下げられている。スプロケット27aの他方の側においてチェーン28の他方の端部がフォーク25のキャリア225に連結されて、フォーク25が吊り下げられている。
【0044】
フォーク24,25は、昇降モータ27の回転駆動によって昇降可能に構成される。フォーク24,25が互いに略等しい重量である場合、互いの重量が同じであることから、スプロケット27aの両側において吊り下げ荷重が相殺されて、昇降モータ27の負荷を大幅に低減できる。すなわち、フォーク24を上昇させる場合、フォーク25を下降させることにより、フォーク25の吊り下げ荷重を利用することができる。フォーク25を上昇させる場合も同様である。そのため、スプロケット27aを回転させるために要する負荷が低減される。換言すると、互いに略等しい重量に設定されたフォーク24,25は、互いにカウンタウェイトとして機能する。
【0045】
図4および図5は、本実施形態によるバッテリ交換施設20におけるフォーク24,25の動作方法を説明するための図である。図4および図5に示すように、フォーク24,25は、例えば3段スライドフォーク構造を有している。すなわち、フォーク24は、ベースフォーク241、サードフォーク242、セカンドフォーク243、およびトップフォーク244を有する。ベースフォーク241はキャリア224に固定されている。
【0046】
ベースフォーク241の先端側とセカンドフォーク243の先端側とは、スプロケット247に掛けまわされたチェーン246により連結されている。サードフォーク242の先端側とトップフォーク244の先端側とは、スプロケット249に掛けまわされたチェーン248により連結されている。サードフォーク242の伸縮方向(図中、左右方向)に直交する方向の一方の面には直線状のギヤ245が設けられている。ギヤ245には、移載モータ240に連結されて連動された歯車240aが歯合され、サードフォーク242においてラック&ピニオン機構が構成される。これにより、図5に示すように、移載モータ240を回転させて歯車240aを回転させ、サードフォーク242を伸縮方向に押し出すと、スプロケット247が伸縮方向に移動して、チェーン246によって連結されたセカンドフォーク243が押し出される。これに伴って、トップフォーク244が連動して押し出される。これにより、把持部24aが伸縮方向(図5中、矢印方向)に延伸される。チェーン246,248によって連結されたセカンドフォーク243およびトップフォーク244が連動して押し出される。以上により、フォーク24が延伸することにより、把持部24aが伸縮方向(図5中、矢印方向)に移動される。
【0047】
また、一対のフォーク24,25は互いに、延在方向が180度ずれて隣接して設けられる。すなわち、本実施形態において、フォーク24の延在する方向とフォーク25の延在する方向とは、反対方向になるように、2式のフォーク24,25が昇降機構221の旋回軸222の両側に隣接して設けられる。
【0048】
以上のように構成されたバッテリ交換施設120においては、バッテリ40を把持したり解放したりするためのフォーク24,25が2式設けられ、伸縮する向きが反対向きになるように構成されている。この場合、電動車両30におけるバッテリ40の交換は次のように行われる。
【0049】
(バッテリ交換処理)
すなわち、バッテリ交換設備22内に複数のフォーク24,25を配置し、電動車両30が進入するとともに、あらかじめ一方のフォーク、ここではフォーク24によって、満充電のバッテリ40を交換可能に取り出して待機しておく。次に、電動車両30の運転手が交換開始ボタンを押下するなどの、交換開始を指示する処理を実行すると、他方のフォーク、ここではフォーク25によって電動車両30からバッテリ40を取り外してバッテリ交換設備22内に移動後、フォーク24,25を180°旋回させて、待機している満充電のバッテリ40を電動車両30に搭載する。
【0050】
以下に、これらのバッテリ交換処理について詳細に説明する。なお、バッテリ交換施設20の各構成要素は、制御装置10から通信部13,21aを介して取得した信号に基づいて制御部21により制御され、制御部21が取得した情報も、適宜または取得した都度、制御装置10に送信される。そのため、バッテリ交換施設20の各構成要素は、制御装置10の制御部11によって間接的に制御されるが、情報の送受信や通信についての都度の説明は省略する。なお、バッテリ交換施設20に制御装置10が設けられている場合には、制御部21が制御装置10に置き換えられる。
【0051】
(車両識別工程)
すなわち、まず、電動車両30がバッテリ交換施設20に近づく。バッテリ交換施設20の制御部21は、電動車両30のID出力部31とIDセンサ26との非接触通信によって、電動車両30の車両識別IDを取得する。これにより、制御装置10の制御部11は、電動車両30の車両識別IDを取得して、記憶部12の車両情報データベース12aに格納する。制御部11の車両識別部112は、取得した車両識別IDに基づいて、記憶部12の車両情報データベース12aから、近づいた電動車両30に搭載するバッテリ40の種類を確定する。なお、バッテリ40の種類が1種類のみの場合には、種類を確定する処理を省略できる。バッテリ40の種類情報は、制御部11の交換制御部111に出力される。
【0052】
(バッテリ準備工程)
バッテリ40の種類情報を取得した交換制御部111は、取得した種類情報に適合するバッテリ40が載置された保管ラック23の前に、一対のフォーク24,25の一方、ここでは例えばフォーク24の延伸する側が位置するように、昇降機構221を旋回させる。これにより、フォーク24の延伸側が所定の保管ラック23の前に位置する。次に、交換制御部111は、フォーク24の現在の高さに基づいて昇降機構221を制御することにより、必要に応じて、フォーク24を下降させるとともにフォーク25を上昇させる。なお、フォーク24がすでに下降した高さである場合には、下降させる制御は不要である。
【0053】
次に、交換制御部111は、フォーク24を制御して、フォーク24の先端をバッテリ40まで延伸させて、先端の把持部24aによってバッテリ40を把持する。なお、バッテリ40の上部にフォークポケットが設けられている場合には、フォークポケットに把持部24aを差し込んでフォークポケットを把持する。続いて、交換制御部111は、フォーク25を下降させるとともにフォーク24を上昇させて、保管ラック23からバッテリ40を取り出す。その後、交換制御部111は、移載モータ240を回転させてフォーク24を短縮させる。これにより、昇降機構221は、バッテリ交換設備22内において旋回軸222を中心として旋回可能になる。交換制御部111は、バッテリ40を把持していない側のフォーク24,25、ここではフォーク25を、交換用開口部22aを通じて延伸可能な位置まで旋回させる。なお、バッテリ交換設備22の内部の空間における高さを高くすることによって、フォーク24を上昇させた状態で、旋回可能に構成しても良い。これらの一連の動作の間に、電動車両30は、バッテリ交換施設20のバッテリ交換設備22に横付けして停車する。
【0054】
(交換処理開始工程)
次に、電動車両30は、バッテリ交換設備22に横付けした状態で、交換処理の開始信号を出力する。交換制御部111は、交換処理の開始信号を取得すると、バッテリ交換設備22における交換用開口部22aの扉を開放する。
【0055】
(バッテリ取り外し工程)
次に、交換制御部111は、フォーク24,25のうちの一方、ここではフォーク25をバッテリ交換設備22の交換用開口部22aから外部に延伸させる。延伸されたフォーク25は、先端の把持部25aによって電動車両30のバッテリ40を把持する。続いて、交換制御部111は、フォーク24を下降させて、フォーク25を上昇させる。ここで、フォーク24には保管ラック23から取り出したバッテリ40が吊り下げられているため、フォーク24,25はそれぞれ略等しい重量で上昇および下降する。すなわち、フォーク25は、略等しい重量でバランスされて上昇される。その後、交換制御部111は、移載モータ240を回転させてフォーク25を短縮させる。これにより、電動車両30から取り外されたバッテリ40が、バッテリ交換設備22内に引き込まれて、バッテリ交換設備22内において旋回可能な状態になる。
【0056】
(バッテリ搭載工程)
次に、交換制御部111は、昇降機構221に対してバッテリ交換設備22内において旋回軸222を中心として例えば180度旋回させる。これとともに、交換制御部111は、フォーク25を下降させつつフォーク24を上昇させる。これにより、保管ラック23から取り出してフォーク24に把持されているバッテリ40が、交換用開口部22aの前で上昇した高さに位置する。続いて、交換制御部111は、昇降機構221においてフォーク24を延伸させることにより、電動車両30のキャリアの直上にバッテリ40を配置する。その後、フォーク25を上昇させつつフォーク24を下降させる。バッテリ40が電動車両30のキャリアに載置されると、フォーク24の把持部24aはバッテリ40を解放する。これにより、バッテリ40は、電動車両30のキャリアに載置されて搭載される。その後、交換制御部111は、昇降機構221のフォーク24を短縮させることにより、バッテリ交換設備22内にフォーク24を収納する。以上により、電動車両30におけるバッテリ40の交換処理が終了し、電動車両30はバッテリ交換設備22から発車することが可能となる。この段階で、運転者が交換開始ボタンを押下してから電動車両30が発車可能になるまでの時間(電池交換時間)は、1分未満であることが確認された。すなわち、従来技術に比して、電池交換時間を1/3以下にまで短縮可能であることが確認された。
【0057】
(バッテリ充電準備工程)
一方、電動車両30から取り外されたバッテリ40は、昇降機構221を所定角度だけ旋回させることにより、保管ラック23のうちの空いている保管ラック23の前まで旋回移動される。続いて、交換制御部111は、昇降機構221においてフォーク25を延伸させることにより、保管ラック23の直上にバッテリ40を配置する。その後、フォーク24を上昇させつつフォーク25を下降させる。バッテリ40が保管ラック23に載置されると、フォーク25の把持部25aはバッテリ40を解放する。これにより、電動車両30から取り出されたバッテリ40は、保管ラック23に収納されて保管される。保管ラック23においては、バッテリ40に対して充電が行われる。
【0058】
以上のバッテリ搭載作業の一部としてのバッテリ準備工程と、バッテリ保管作業の一部としてのバッテリ取り外し工程との2つの工程は、バッテリ交換処理に要する電池交換時間を短縮するために、可能な限り時間的に並行して行うことが好ましいが、互いの一部分の処理を並行させるようにしても良い。また、バッテリ保管作業の一部としてのバッテリ充電準備工程と、バッテリ搭載作業の一部としてのバッテリ搭載工程との2つの工程も、電池交換時間を短縮するために、可能な限り時間的に並行して行うことが好ましいが、互いの一部分の処理を並行させるようにしても良い。
【0059】
以上説明した本実施形態によれば、電動車両30に対するバッテリ40の電池交換時間を約1/3~1/2に短縮することができる。すなわち、本実施形態によれば、バッテリ40を交換するフォーク24,25を2式配置することによる電池交換時間の短縮によって、例えば10台の電池交換を行った場合に30分程度の時間を要していたものが、約10分程度にまで短縮できるので、交換頻度の高い用途にも適用が拡大可能になる効果がある。
【0060】
また、バッテリ40の交換の際に、満充電のバッテリ40を取り出して空になった保管ラック23に、電動車両30から取り外したバッテリ40を収納することができるので、例えばバッテリ40を電池10個保管するためには、保管ラック23を11個の棚を必要としていたが、10個の棚で良くなり必要面積が10/11となる。バッテリ交換設備22内において、空保管ラック123aなどの設定が不要になるため、バッテリ40の収容効率を向上できる。
【0061】
また、昇降機構221において、複数、好適には偶数、より好適には2式のフォーク24,25を釣り合わせて昇降動作を行うことにより、それぞれのフォーク24,25がバランスさせることができるので、従来に比して昇降モータ27の負荷を大幅に低減できる。これにより、昇降モータ27の出力を従来の半分の出力にできる。さらに、バッテリ交換設備22の全体の消費電力量を大幅に低減できるので、バッテリ40の充電に供する電力量を増加できる。さらに、保管ラック23において空棚を設定する必要がないため、バッテリ40の収容効率が向上する。
【0062】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の実施形態において挙げた構成はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成を用いても良い。
【0063】
すなわち、バッテリ40の上部にフォークポケットを設け、バッテリ交換施設20のフォーク24を延伸させてフォーク24の先端部分をバッテリ40のフォークポケットに差し込み、昇降機構221によって吊り上げることにより、電動車両30からバッテリ40を取り外しても良い。
【0064】
また、上述したバッテリ交換処理において、保管ラック23から満充電のバッテリ40を取り出した後に、電動車両30から使用済みのバッテリ40を取り外しているが、多少時間を要することになるものの、これらを逆順に実行することも可能である。
【0065】
また、上述したバッテリ交換処理においては、1台のバッテリ40の交換について説明したが、複数台のバッテリ40を搭載した電動車両30においても、複数台のバッテリ40を同時または順次に交換することも可能である。この場合、一方の把持部としてのフォーク24を複数設けるとともに、他方の把持部としてのフォーク25を複数設けることによって、複数台のバッテリを同時または順次に交換することが可能であり、本実施形態と同様にして、バッテリ交換処理を実行することが可能となり、電池交換時間の短縮を図ることができる。
【0066】
上述した各実施形態および各変形例の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 バッテリ交換システム
2 ネットワーク
10 制御装置
11,21 制御部
12 記憶部
12a 車両情報データベース
13,21a 通信部
20 バッテリ交換施設
22 バッテリ交換設備
22a 交換用開口部
23 保管ラック
24,25 フォーク
24a,25a 把持部
26 IDセンサ
27 昇降モータ
27a スプロケット
28,246,248 チェーン
30 電動車両
31 ID出力部
32,224,225 キャリア
40 バッテリ
111 交換制御部
112 車両識別部
221 昇降機構
222 旋回軸
240 移載モータ
240a 歯車
241 ベースフォーク
242 サードフォーク
243 セカンドフォーク
244 トップフォーク
245 ギヤ
247,249 スプロケット
【要約】
【課題】バッテリを搭載可能な移動体に対してバッテリを交換可能な施設において、バッテリの交換効率および収容効率を向上させること。
【解決手段】バッテリを着脱可能な移動体に搭載されるバッテリを保管可能な保管部と、バッテリを移動体および保管部の一方から把持して取り出し、移動体および保管部の他方で解放可能に構成された複数の把持部とを有し、移動体と保管部との間でバッテリの交換を行うバッテリ交換装置を制御するバッテリ交換装置用制御装置であって、バッテリ交換装置によるバッテリの交換を行うバッテリ交換制御は、複数の把持部のうちの一の把持部による移動体からバッテリを取り出して保管部へ保管するためのバッテリ保管作業と、複数の把持部のうちの他の一の把持部による保管部からバッテリを取り出して移動体に搭載するバッテリ搭載作業と、を行う制御を含む。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7