(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】二酸化炭素還元触媒、及び二酸化炭素還元方法
(51)【国際特許分類】
B01J 23/89 20060101AFI20221213BHJP
B01J 35/02 20060101ALI20221213BHJP
C07C 29/154 20060101ALI20221213BHJP
C07C 31/04 20060101ALI20221213BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20221213BHJP
【FI】
B01J23/89 Z
B01J35/02 H
C07C29/154
C07C31/04
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2022517039
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(86)【国際出願番号】 JP2021015916
(87)【国際公開番号】W WO2021215408
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】P 2020077403
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】村山 徹
(72)【発明者】
【氏名】石田 玉青
(72)【発明者】
【氏名】望月 ちひろ
(72)【発明者】
【氏名】アリ エム. アブデル メイジド
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ユルゲン ベーム
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-258737(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106076396(CN,A)
【文献】PASUPULETY, Nagaraju, et al.,Studies on Au/Cu-Zn-Al catalyst for methanol synthesis from CO2,Applied Catalysis, A: General,2015年,vol.504,p.308-318,DOI:10.1016/j.apcata.2015.01.036
【文献】MARTIN, Oliver, et al.,Zinc-Rich Copper Catalysts Promoted by Gold for Methanol Synthesis,ACS Catalysis,2015年,vol.5,p.5607 -5616,DOI:10.1021/acscatal.5b00877
【文献】KIM, Ki-Joong, et al.,Effect of Gold Nanoparticles Addition to CuO-ZnO/Al2O3 Catalyst in Conversion of Carbon Dioxide to Methanol,Journal of Nanoscience and Nanotechnology,2017年,vol.17,no.4,p.2724 -2727,DOI:10.1166/jnn.2017.13359
【文献】PASUPULETY, Nagaraju, et al.,Influence of preparation method on the catalytic activity of Au/Cu-Zn-Al catalysts for CO2 hydrogenation to methanol,Comptes Rendus de l'Academie Bulgare des Sciences,2015年,vol.68, no.12,p.1511-1518
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
C07C 1/00-409/44
C07B 61/00
B01D 53/86
F01N 3/10
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素の還元反応によりメタノールを生成する際に用いられ、
触媒成分としてAu及びCuを含み、担体としてZnOを含
み、
前記触媒成分中において、前記Auは7~25mol%含まれる、二酸化炭素還元触媒。
【請求項2】
二酸化炭素の還元によるメタノール選択率が80%以上である、請求項
1に記載の二酸化炭素還元触媒。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の二酸化炭素還元触媒を用い、50bar以下の条件で二酸化炭素の還元反応を行い、メタノールを生成する二酸化炭素還元方法。
【請求項4】
請求項1
又は2に記載の二酸化炭素還元触媒を用い、240℃以下の条件で二酸化炭素の還元反応を行い、メタノールを生成する二酸化炭素還元方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素還元触媒、及び二酸化炭素還元方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料の燃焼により大気中に排出される物質の一つとして、二酸化炭素(CO2)が挙げられる。二酸化炭素は、地球温暖化の原因となり得るため、気候変動に関する国際条約等において大気への排出量が規制されている。このため、二酸化炭素の大気への排出を削減するため、二酸化炭素を工業的に有用な物質へと転換させる技術が提案されている。
【0003】
例えば、二酸化炭素を各種工業原料として広く利用されるメタノールへと転換させる技術が知られている。工業的には、例えば250℃以上、50気圧以上の条件下で、二酸化炭素と水素を含む気体を、銅亜鉛系触媒を用いて還元反応させ、メタノールへと転換させる方法が知られている。しかし、反応条件として高温高圧条件を要するためエネルギーコストが高い点に課題がある。また、反応によって生じる水が触媒活性の低下を招くため、十分なメタノール選択率を得られない課題がある。このため、低コストでメタノールを生成でき、好ましいメタノール選択率が得られる二酸化炭素還元触媒に関する技術の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国特許出願公開第106076396号明細書
【0005】
特許文献1には、二酸化炭素の還元反応によりメタノールを生成するために用いられる触媒として、AuがドープされたCuがメソポーラスシリカ(NH2-SBA-15)に担持された、Au-Cu担持メソポーラス触媒の調製方法に関する技術が開示されている。しかし、特許文献1に開示された技術は、二酸化炭素の還元反応によるメタノール選択率が十分でない課題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、二酸化炭素還元触媒の改良を試みて鋭意検討した結果、優れたメタノール選択率を示す二酸化炭素還元触媒を見出した。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、二酸化炭素の還元反応に用いられ、メタノール選択率が高い二酸化炭素還元触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、二酸化炭素の還元反応によりメタノールを生成する際に用いられ、触媒成分としてAu及びCuを含み、担体としてZnOを含む、二酸化炭素還元触媒に関する。
【0009】
前記触媒成分中において、前記Auは2~25mol%含まれることが好ましい。
【0010】
上記二酸化炭素還元触媒において、二酸化炭素の還元によるメタノール選択率が80%以上であることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、上記二酸化炭素還元触媒を用い、50bar以下の条件で二酸化炭素の還元反応を行い、メタノールを生成する二酸化炭素還元方法に関する。
【0012】
また、本発明は、上記二酸化炭素還元触媒を用い、240℃以下の条件で二酸化炭素の還元反応を行い、メタノールを生成する二酸化炭素還元方法に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の二酸化炭素還元触媒は、二酸化炭素の還元反応において、従来技術と比較してメタノール選択率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例及び比較例の二酸化炭素還元触媒に係るメタノール選択率、メタノール生成速度、及び一酸化炭素生成速度を示すグラフである。
【
図2】実施例の二酸化炭素還元触媒に係るメタノール選択率、メタノール生成速度、及び一酸化炭素生成速度を示すグラフである。
【
図3】実施例の二酸化炭素還元触媒に係るメタノール選択率、メタノール生成速度、及び一酸化炭素生成速度を示すグラフである。
【
図4】実施例の二酸化炭素還元触媒に係るメタノール選択率、メタノール生成速度、及び一酸化炭素生成速度を示すグラフである。
【
図5】実施例の二酸化炭素還元触媒に係るメタノール選択率、メタノール生成速度、及び一酸化炭素生成速度を示すグラフである。
【
図6】実施例及び比較例の二酸化炭素還元触媒に係るメタノール選択率、メタノール生成速度、及び一酸化炭素生成速度を示すグラフである。
【
図7】実施例及び比較例の二酸化炭素還元触媒に係るメタノール選択率、メタノール生成速度、及び一酸化炭素生成速度を示すグラフである。
【
図8】実施例及び比較例の二酸化炭素還元触媒に係るメタノール選択率、メタノール生成速度、及び一酸化炭素生成速度を示すグラフである。
【
図9】実施例及び比較例の二酸化炭素還元触媒に係るメタノール選択率を示すグラフである。
【
図10】実施例の二酸化炭素還元触媒に係るメタノール選択率を示すグラフである。
【
図11】実施例の二酸化炭素還元触媒に係るTEM画像である。
【
図12】実施例の二酸化炭素還元触媒に係るTEM-EDS分析結果を示すグラフである。
【
図13】実施例の二酸化炭素還元触媒に係るXRD分析結果を示すチャートである。
【
図14】比較例のメスバウアー分析結果を示すチャートである。
【
図15】実施例のメスバウアー分析結果を示すチャートである。
【
図16】実施例のメスバウアー分析結果を示すチャートである。
【
図17】実施例のメスバウアー分析結果を示すチャートである。
【
図18】実施例等のXAFS分析結果を示すチャートである。
【
図19】実施例等のXAFS分析結果を示すチャートである。
【
図20】実施例等のXAFS分析結果を示すチャートである。
【
図21】実施例等のXAFS分析結果を示すチャートである。
【
図22】実施例5の二酸化炭素還元触媒のHAADF-STEM像である。
【
図23】実施例8の二酸化炭素還元触媒のHAADF-STEM像である。
【
図24】実施例9の二酸化炭素還元触媒のHAADF-STEM像である。
【
図25】実施例の二酸化炭素還元触媒に係るメタノール選択率、メタノール生成速度、及び一酸化炭素生成速度を示すグラフである。
【
図26】実施例の二酸化炭素還元触媒に係るメタノール選択率、メタノール生成速度、及び一酸化炭素生成速度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[二酸化炭素還元触媒]
本実施形態に係る二酸化炭素還元触媒は、金(Au)及び銅(Cu)を触媒成分として含み、担体としてZnOを含む。上記二酸化炭素還元触媒は、従来公知の触媒に比べて、二酸化炭素還元反応におけるメタノール選択率が高く、例えば、80%以上のメタノール選択率が得られる。メタノール選択率は、還元反応により転換された二酸化炭素の物質量(mol)に対する、生成されたメタノールの物質量(mol)を割合(%)で示したものである。
【0016】
触媒成分として、本実施形態に係る二酸化炭素還元触媒は、金(Au)及び銅(Cu)を含む。触媒成分中において、金(Au)が2~25mol%含まれることが好ましい。触媒成分中の金(Au)の含有割合が上記を満たすことにより、二酸化炭素還元触媒による好ましいメタノール選択率が得られる。触媒成分中において、金(Au)は4~25mol%含有されることがより好ましく、7~25mol%含有されることが更に好ましい。上記触媒成分としては、本発明の効果を阻害しない限り、金(Au)及び銅(Cu)以外の触媒成分が含まれていてもよい。触媒成分の触媒における担持量は、0.1~10重量%含まれることが好ましく、0.1~5重量%含まれることがより好ましく、0.1~3重量%含まれることが更に好ましい。
【0017】
触媒成分としての金(Au)は金属単体の微粒子として触媒中に存在することが好ましい。例えば、金(Au)の粒子径は50nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましい。上記により、触媒成分の反応サイトが増加し、触媒の活性を高めることができる。
【0018】
触媒成分としての銅(Cu)は酸化銅、金属銅、銅亜鉛合金、又は銅金合金として触媒中に存在する。また、触媒成分中において、銅(Cu)は30~99.9mol%含まれることが好ましく、30~99.9mol%含まれることがより好ましく、75~99.9mol%含まれることが更に好ましい。触媒成分としての銅(Cu)と金(Au)の含有比は、物質量比でCu:Auが49:1~1:3であることが好ましい。
【0019】
触媒成分としての金(Au)と銅(Cu)は、後述する触媒成分担持工程によってZnO等の担体に担持された直後は、金属水酸化物(Au(OH)3-Cu(OH)2)の状態である。その後、後述する水素還元処理工程によって、金(Au)及び銅(Cu)は還元され、金属単体又は金属合金となる。その後、空気中での時間経過に伴い、銅(Cu)は徐々に一部酸化されて酸化銅(II)(CuO)及び酸化銅(I)(Cu2O)となると考えられる。
【0020】
金(Au)及び銅(Cu)を含む触媒成分は、分散されてZnOを含む担体上に担持されることが好ましい。上記により、触媒成分と担体との接触面積が広くなり、触媒の活性を向上できる。上記に加え、金(Au)及び銅(Cu)は、例えば100nm四方、好ましくは10nm四方の同一の微小領域に共に担持されることが好ましい。また、金(Au)及び銅(Cu)により合金が形成されることが好ましい。上記により、二酸化炭素還元反応によるメタノールの高い選択率が得られる。
【0021】
担体として、本実施形態に係る二酸化炭素還元触媒は、ZnOを含む。金(Au)及び銅(Cu)を含む触媒成分は、ZnOを含む担体上に担持される。担体としてZnOが含有されることで、触媒成分の活性を向上できる。担体としてのZnOの結晶子径は、特に制限されないが、例えば10~60nmである。上記担体としては、本発明の効果を阻害しない限り、ZnO以外の担体が含まれていてもよい。
【0022】
本実施形態に係る二酸化炭素還元触媒の比表面積は、特に制限されないが、例えばBET比表面積で5m2/g以上であることが好ましく、10m2/g以上であることがより好ましい。
【0023】
[二酸化炭素還元触媒の製造方法]
本実施形態に係る二酸化炭素還元触媒の製造方法としては、例えば、ZnOを含む担体を焼成する焼成工程と、Au及びCuを含む触媒成分を担体に担持させる触媒成分担持工程と、水素還元処理工程と、を含む。
【0024】
焼成工程は、ZnOを含む担体を焼成する工程である。焼成温度としては、例えば300℃~500℃とすることができる。焼成方法としては特に制限されず、公知の焼成装置を用いて例えば空気中で焼成することができる。
【0025】
触媒成分担持工程は、特に制限されず、例えば析出沈殿法、共沈法、析出還元法、気相グラフティング及び固相混合法等の公知の方法が例示される。以下、析出沈殿法を例に挙げて説明する。析出沈殿法では、まず、焼成工程により焼成した担体を水に懸濁させる。次に、上記懸濁液にアルカリを加え、pH8~9の範囲に調整する。次に、金化合物及び銅化合物を上記懸濁液に加え、更にアルカリを加えてpHを7程度に調整し、触媒成分を担体上に析出・沈殿させる。次に、上記懸濁液を、各成分濃度やpH、温度を調整しながら1時間以上撹拌し続けることで、触媒成分を担体表面に分散・固定化させる。次に、担体表面に分散・固定化された触媒成分を水洗した後に乾燥し、二酸化炭素還元触媒の前駆体を得る。
【0026】
析出沈殿法によって、担体表面に触媒成分を担持させるために用いられる金化合物としては、特に制限されないが、例えば、四塩化金酸(HAuCl4)、四塩化金酸塩(例えば、NaAuCl4)、シアン化金(AuCN)、シアン化金カリウム(K[Au(CN)2])、三塩化ジエチルアミン金酸((C2H5)2NH・AuCl3)、エチレンジアミン金錯体(例えば、塩化物錯体(Au[C2H4(NH2)2]2Cl3))及びジメチル金β‐ジケトン誘導体錯体(例えば、ジメチル金アセチルアセトナート((CH3)2Au[CH3COCHCOCH3]))等の金の塩や金錯体が挙げられる。銅化合物としては、特に制限されないが、例えば硝酸銅(Cu(NO3)2)が用いられる。金化合物・銅化合物は上記に制限されず、水や有機溶媒に溶解可能な塩や錯体等を用いることができる。
【0027】
析出沈殿法における、pH調整用のアルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩、アンモニア及び尿素等を用いることができる。析出沈殿法における、懸濁液の温度は、0~90℃であることが好ましく、30~70℃であることがより好ましい。
【0028】
水素還元処理工程は、上記触媒成分担持工程において得られる前駆体を水素存在下で処理することで行われる。水素還元処理の条件としては、例えば処理温度を300℃~500℃以上とし、水素及び窒素気流中、5℃/minの条件で処理温度まで昇温させることで行うことができる。処理時間は、例えば2時間とすることができる。水素還元処理工程により、担体に担持された触媒成分が還元され金属状態となる。処理温度は、例えば400℃以上とすることが好ましく、500℃以上とすることがより好ましい。上記により、触媒成分としてのAu及びCuが還元され合金が形成されると考えられ、メタノール選択率の高い二酸化炭素還元触媒が得られる。処理温度の上限は、特に制限されないが、例えば600℃以下とすることが好ましい。上記によりシンタリングによる触媒活性の低下を抑制できる。
【0029】
[二酸化炭素還元方法]
本実施形態に係る二酸化炭素還元触媒を用いた二酸化炭素還元方法は、メタノールの高い選択率が得られ、例えば、80%以上のメタノール選択率が得られる。
【0030】
二酸化炭素(CO2)の還元反応は下記の式(1)~(3)で表される。
CO2+3H2⇔CH3OH+H2O (1)
CO2+4H2⇔CH4+2H2O (2)
CO2+H2⇔CO+H2O (3)
【0031】
上記式(1)~(3)で表される反応はいずれも平衡反応である。また、式(1)で表される反応は発熱反応(ΔH298=-49.6kJ/mol)であり、式(2)で表される反応は発熱反応(ΔH298=-165.0kJ/mol)であり、式(3)で表される反応は吸熱反応(ΔH298=41.2kJ/mol)である。
【0032】
上記式(2)、(3)の反応が起こる場合、最終生成物としてメタン(CH4)及び一酸化炭素(CO)が生成され、メタノール(CH3OH)は生成されない。更に、上記式(3)の逆水性シフト反応により生じる水(H2O)が反応を抑制し、活性低下の原因となる。上記により、従来の二酸化炭素の還元方法ではメタノールの高い選択率及び活性が得られなかった。
【0033】
本実施形態に係る二酸化炭素還元触媒を用いた二酸化炭素還元方法は、50bar以下の反応条件で二酸化炭素の還元反応を行った場合においても、メタノールの高い選択率が得られる。上記反応条件としては、40bar以下であることが好ましく、20bar以下であることがより好ましく、10bar以下であることが更に好ましい。また、5bar以下であってもよい。上記により、反応条件を達成するためのエネルギーコストを低減でき、かつ十分なメタノール選択率が得られる。
【0034】
本実施形態に係る二酸化炭素還元触媒を用いた二酸化炭素還元方法は、240℃以下の反応条件で二酸化炭素の還元反応を行った場合においても、メタノールの高い選択率が得られる。上記反応条件としては、220℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましい。上記により、反応条件を達成するためのエネルギーコストを低減できると共に、より高いメタノール選択率が得られる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0037】
<二酸化炭素還元触媒の作製>
[参考例1]
以下の方法により、参考例1の二酸化炭素還元触媒を作製した。まず、担体としてのZnOを空気存在下300℃で2時間焼成した。上記焼成したZnO1.0gに水50mLを加えて懸濁液を作製し、1MNaOH溶液を用いてpHが8~9の範囲内となるように調整した。液温は60℃となるようにした。上記作製した懸濁液に対し、HAuCl4及びCu(NO3)2を、触媒成分中におけるAuの含有量が66mol%、Cuの含有量が34mol%、触媒担持量が1.31重量%となるように添加し、1MNaOH溶液を用いてpHが7となるように調整した。液温は60℃を維持し、3時間撹拌した。その後、室温まで冷却し、生成した沈殿を水(40℃)で5回洗浄した。80℃で一晩乾燥させた後、300℃で水素還元処理を行った。水素還元処理は水素及び窒素気流下(H2:10mL/min、N2:90mL/mim)で行い、昇温速度は5℃/minとした。
【0038】
[参考例2~5、9、実施例6~8、比較例1~3]
参考例2~5、9、実施例6~8、比較例2に関しては、表1に示した触媒担持量、Au含有量、Cu含有量となるように、二酸化炭素還元触媒の調製を行った。担体としてのZnO焼成温度及び水素還元処理温度は、表1に示す温度となるようにした。上記以外は参考例1と同様の方法で参考例2~5、9、実施例6~8、比較例2の二酸化炭素還元触媒の作製を行った。比較例1は、市販の触媒(触媒成分:Cu100%、Alfer Acer社製)を用い、同様に比較例3にも市販の触媒(触媒成分:Cu100%、C&CS社製)を用いた。
【0039】
参考例1~5については、触媒成分としてのAuの粒子径及びBET比表面積を測定した。Auの粒子径測定はTEM(Transmission Electron Microscopy)測定により粒子径分布を求めることにより行った。結果を表1に示す。
【0040】
【0041】
<評価結果>
[メタノール選択率及びメタノール生成速度]
上記
参考例5、実施例6、7、8及び比較例1、2の二酸化炭素還元触媒を用いて二酸化炭素還元反応を行った。反応条件は、反応圧力50bar、反応温度250℃の条件下で行い、メタノール(MeOH)選択率(%)、メタノール(MeOH)及び一酸化炭素(CO)生成速度の測定を行った。なお、MeOH及びCOの生成速度は、触媒に担持された触媒成分(metal)の、単位重量(g)あたりの速度(μmol/s)として算出した。結果を
図1のグラフに示す。
図1のグラフ中、横軸は触媒成分中におけるAuの含有割合(mol%)を示し、左縦軸はMeOH及びCO生成速度(/μmol gmetal
-1s
-1)を示し、右縦軸はメタノール選択率(%)を示す。
図1中、破線はMeOH選択率(%)を示し、実線はMeOH生成速度を示し、一点鎖線はCO生成速度を示す(以下同様)。
【0042】
図1に示すように、実施例
及び参考例の二酸化炭素還元触媒は、全て、比較例の二酸化炭素還元触媒よりも高いMeOH選択率及びMeOH生成速度を示した。とりわけ、触媒成分中におけるAuの含有割合を2~25mol%とした実施例
及び参考例において、高いMeOH選択率を示した。Auの含有割合を7~25mol%とした場合、更に高いMeOH選択率を示した。
【0043】
(240℃条件下における試験)
図2は、実施例8の二酸化炭素還元触媒を用いて異なる圧力条件下で二酸化炭素還元反応を行った結果を示すグラフである。温度条件は、240℃とした。
図2のグラフ中、横軸は二酸化炭素還元反応の圧力条件(bar)を示し、左縦軸及び右縦軸は
図1と同様、それぞれMeOH及びCO生成速度、MeOH選択率を示す。
図2に示すように、圧力条件をそれぞれ、5bar、10bar、20bar、40bar、50barとして試験を行った。
【0044】
図2に示すように、実施例の二酸化炭素還元触媒は、圧力条件を50bar以下、或いは40bar以下、20bar以下、10bar以下、5bar以下とした場合においても、高いMeOH選択率を示した。
【0045】
(50bar条件下における試験)
図3、
図4、
図5は、それぞれ実施例8(
図3)、
参考例5(
図4)、
参考例9(
図5)の二酸化炭素還元触媒を用い、異なる温度条件下で二酸化炭素還元反応を行った結果を示すグラフである。圧力条件は、いずれも50barとした。
図3、
図4、
図5のグラフ中、横軸は反応温度(℃)を示し、左縦軸及び右縦軸は
図1と同様、それぞれMeOH及びCO生成速度、MeOH選択率を示す。
【0046】
図3、
図4、
図5に示すように、実施例の二酸化炭素還元触媒は、温度条件を240℃以下とした場合に、高いMeOH選択率を示した。とりわけ、温度条件を200℃以下、更には180℃以下とした場合において、ほぼ100%の高いMeOH選択率を示した。
【0047】
(10bar条件下における試験)
図6は、実施例8及び比較例1~3の二酸化炭素還元触媒を用い、圧力条件を10bar、温度条件を240℃として二酸化炭素還元反応を行った結果を示すグラフである。
図6のグラフ中、左縦軸及び右縦軸は
図1と同様、それぞれMeOH及びCO生成速度、MeOH選択率を示す。
【0048】
図6に示すように、実施例の二酸化炭素還元触媒は、比較例の二酸化炭素還元触媒と比較して、10barの圧力条件下においてMeOH選択率が高く、80%以上の高いMeOH選択率を示した。
【0049】
(50bar、240℃条件下における試験)
図7は、実施例8及び比較例1~3の二酸化炭素還元触媒を用い、圧力条件を50bar、温度条件を240℃として二酸化炭素還元反応を行った結果を示すグラフである。
図7のグラフ中、左縦軸及び右縦軸は
図6と同様、それぞれMeOH及びCO生成速度、MeOH選択率を示す。
【0050】
(5bar、240℃条件下における試験)
図8は、
図7と同様に圧力条件を5bar、温度条件を240℃として二酸化炭素還元反応を行った結果を示すグラフである。
図8のグラフ中、左縦軸及び右縦軸は
図6と同様、それぞれMeOH及びCO生成速度、MeOH選択率を示す。
【0051】
図7及び
図8に示すように、実施例の二酸化炭素還元触媒は、比較例の二酸化炭素還元触媒と比較して、それぞれ50bar、5barの圧力条件下においてMeOH選択率が高い結果を示した。
【0052】
(メタノール選択率比較試験)
図9は、
参考例1~3及び比較例1、2の二酸化炭素還元触媒を用い、圧力条件を40bar、温度条件を240℃として二酸化炭素還元反応を行った結果を示すグラフである。
図9のグラフ中、縦軸はMeOH選択率を示す。
【0053】
図9に示すように、
参考例の二酸化炭素還元触媒は、比較例の二酸化炭素還元触媒と比較して、40barの圧力条件下、240℃の温度条件下において高いMeOH選択率を示した。とりわけ、水素還元処理温度を500℃とした
参考例3の二酸化炭素還元触媒は、80%以上の高いMeOH選択率を示した。
【0054】
(240℃条件下におけるメタノール選択率比較試験)
図10は、
参考例4及び
参考例5の二酸化炭素還元触媒を用い、温度条件を240℃とし、異なる圧力条件下で二酸化炭素還元反応を行った結果を示すグラフである。
図10のグラフ中、横軸は二酸化炭素還元反応の圧力条件(bar)を示し、縦軸はMeOH選択率(%)を示す。
図8において実線は
参考例5の二酸化炭素還元触媒を用いた結果を示し、破線は
参考例4の二酸化炭素還元触媒を用いた結果を示す。
【0055】
図10に示すように、
参考例の二酸化炭素還元触媒は、50bar以下の圧力条件下においても、高いMeOH選択率を示した。とりわけ、水素還元処理温度を500℃とした
参考例5の二酸化炭素還元触媒は、5barの圧力条件下においても高いMeOH選択率を示した。
【0056】
[TEM-EDS測定]
透過電子顕微鏡を用い、二酸化炭素還元触媒のTEM(Transmission Electron Microscopy)観察を行った。
図11は、
参考例5の二酸化炭素還元触媒のTEM画像の一部である。
図12は、
図11において枠線で囲まれた箇所においてTEM-EDS測定によりCu及びAuのピーク強度(CuKa、AuKa)を測定し、グラフに示したものである。
図12のグラフ中、横軸は距離(nm)を示し、縦軸はピーク強度を示す。
図12のグラフ中、実線はCuのピーク強度を示し、破線はAuのピーク強度を示す。
【0057】
図11及び
図12に示すように、
参考例5の二酸化炭素還元触媒は、触媒成分としての金(Au)及び銅(Cu)が、10nm四方以下の同一の微小領域に共に担持されて存在することが示された。これにより、金(Au)及び銅(Cu)により合金が形成されていることが推測される。
【0058】
[XRD測定]
図13は、
参考例1~
5、9
、実施例6~8の二酸化炭素還元触媒を用い、XRD(X線回折)を用いた結晶構造解析を行った結果を示すチャートである。測定は、X線回折装置(Rigaku社製、MiniFlex)を用いて行った。
図13に示すように、
参考例1~
5、9
、実施例6~8の二酸化炭素還元触媒において、金属Auに由来するピーク(38.3°)及び金属Cuに由来するピーク(43.3°)は確認されなかった。このため、
参考例1~
5、9
、実施例6~8の二酸化炭素還元触媒において、Au及びCuは高分散状態であることが予測される。なお、ここでいう「高分散状態」とは、Au及びCuが、数ナノメートル以下の非常に小さい結晶粒子又はアモルファスとして存在することを意味する。
【0059】
[メスバウアー分光測定]
図14~
図17は、実施例
、参考例及び比較例の二酸化炭素還元触媒の
197Auメスバウアー分光測定結果を示すチャートである。メスバウアー分光測定は以下の条件で行った。粉末状のサンプルをサンプルセルに入れ、γ線源には原子炉での中性子照射により作製した
197Pt(半減期18.6時間、γ線エネルギー77.4keV)を用いた.メスバウアー測定時の温度は-261から-264°Cの範囲内であった。測定は京都大学複合原子力科学研究所で行った。
図14は標準物質としての金ホイル(比較例2に相当)の
197Auメスバウアースペクトルを示し、ピーク位置P0を
図15、
図16及び
図17の速度(Velocity、mm/s)0の位置とした。
図15は
参考例5の二酸化炭素還元触媒の
197Auメスバウアースペクトルを示し、
図16は実施例8の二酸化炭素還元触媒の
197Auメスバウアースペクトルを示し、
図17は
参考例9の二酸化炭素還元触媒の
197Auメスバウアースペクトルを示す。
図14に示す標準物質の
197Auメスバウアースペクトルからのアイソマーシフトとピーク分割を
図15、
図16及び
図17について行い、合金成分の評価を実施した。
【0060】
図15に示す
参考例5の二酸化炭素還元触媒は、P51(0.33mm/s、成分面積割合66.0%、Cu濃度8%)及びP52(1.97mm/s、成分面積割合34.0%、Cu濃度49%)にアイソマーシフトがみられた。上記Cu濃度はアイソマーシフトから換算を行った。これにより、Au原子1個の周囲の原子の8%がCu原子であるAu原子が66%存在し、Au原子1個の周囲の原子の49%がCu原子であるAu原子が34%存在すると解釈できる。従って、Auが合金化している結果が示された。
【0061】
図16に示す実施例8の二酸化炭素還元触媒は、P81(3.94mm/s、成分面積割合100%、Cu濃度98.6%)にアイソマーシフトがみられた。上記Cu濃度はアイソマーシフトから換算を行った。これにより、Au原子1個の周囲の原子の98.6%がCu原子であるAu原子が100%存在すると解釈できる。従って、Auが合金化している結果が示された。
【0062】
図17に示す
参考例9の二酸化炭素還元触媒は、P91(3.63mm/s、成分面積割合96.4%、Cu濃度91%)及びP92(0.99mm/s、成分面積割合3.6%、Cu濃度25%)にアイソマーシフトがみられた。上記Cu濃度はアイソマーシフトから換算を行った。これにより、Au原子1個の周囲の原子の91%がCu原子であるAu原子が96.4%存在し、Au原子1個の周囲の原子の25%がCu原子であるAu原子が3.6%存在すると解釈できる。従って、Auが合金化している結果が示された。
【0063】
[XAFS測定]
図18~
図21は、
参考例9の二酸化炭素還元触媒を水素還元処理した際の、XAFS(X線吸収微細構造)分析結果を示すチャートである。
図18及び
図19はAuL
3端の分析結果を示し、
図20及び
図21はCuK端の分析結果を示す。XAFS測定は以下の条件で行った。兵庫県の大型放射光施設SPring-8、産業利用ビームラインII(BL14B2)において測定を行った。AuL
3端の場合は分光結晶にSi(311)面を、CuK端の場合はSi(111)面を用いた。AuL
3、CuK端についてそれぞれ、透過法で測定を行った。直径約10mmのセルに濾紙で挟んだサンプルを詰め、in-situ測定用石英セルにセットした。室温で測定後、セル内に10vol%H
2/He(20mL/min)を流通させ、かつ室温から500℃まで5℃/minで昇温しながら測定を行った。500℃に到達してから一定時間経過後、室温まで空冷してから再度測定を行った。スペクトルの解析には解析ソフトであるIfeffitのAthenaを用いた。
【0064】
図18は、水素還元処理前後の
参考例9の二酸化炭素還元触媒及び、比較用の金ホイル(Au)、酸化金(Au
2O
3)、AuCu合金(Au7Cu93)のAuL
3端XAFSスペクトルを示す。
図18中、横軸はエネルギー(eV)を示し、縦軸は規格化吸光度(Normalized absorption(a.u.))を示す(
図19~
図21において共通)。
図18に示すように、
参考例9の二酸化炭素還元触媒は、水素還元処理前は酸化金(Au
2O
3)に近い位置にピークを示すのに対し、水素還元処理(500℃)後はAuCu合金(Au7Cu93)に近い位置にピークを示すことが確認された。これにより、
参考例9の水素還元触媒は、水素還元処理によりAuとCuの合金が形成されることが示唆される。
【0065】
図19は、水素還元処理前後及び水素還元処理中の所定温度における
参考例9の二酸化炭素還元触媒及び、比較用の金ホイル(Au)、酸化金(Au
2O
3)のAuL
3端XAFSスペクトルを示す。
図19に示すように、
参考例9の二酸化炭素還元触媒は、105℃以下の温度条件で酸化金(Au
2O
3)に相当する位置のピークが減少を開始し、150℃以上の温度条件で酸化金(Au
2O
3)に相当する位置のピークの大部分が消失し、金ホイル(Au)に近い位置にピークがシフトしていることが確認された。これにより、
参考例9の二酸化炭素還元触媒は、400℃以下の温度条件で水素還元処理を行うことでAuが還元されていることが確認された。
【0066】
図20は、水素還元処理前後の
参考例9の二酸化炭素還元触媒及び、比較用のAuCu合金(Au7Cu93)、銅ホイル(Cu)、酸化銅((II:CuO及びI:Cu
2O)のCuK端XAFSスペクトルを示す。
図20に示すように、
参考例9の二酸化炭素還元触媒は、水素還元処理前は酸化銅(II:CuO)に近い位置にピークを示し、銅はII価で存在していることが確認された。これに対し、水素還元処理(500℃)後はAuCu合金(Au7Cu93)に近い位置にピークを示すことが確認された。これにより、
参考例9の水素還元触媒は、水素還元処理によりAuとCuの合金が形成されていることが示唆される。
【0067】
図21は、水素還元処理前後及び水素還元処理中の所定温度における
参考例9の二酸化炭素還元触媒のCuK端XAFSスペクトルを示す。
図21中、T1~T5は500℃到達後の所定の保持時間を示し、T1は5分、T2は10分、T3は15分、T4は20分、T5は25分の保持時間を示す。
図21に示すように、
参考例9の二酸化炭素還元触媒は、405℃以下の温度条件で
図20における酸化銅(II:CuO)に類似したスペクトルから、吸収端付近のピークが減少する変化が確認された。また、500℃に到達後10分程度で大部分のCu(II)に相当する位置のピークが消失し、銅ホイル(Cu)に近い位置にピークがシフトしていることが確認された。これにより、
参考例9の二酸化炭素還元触媒は、400℃以下の温度条件で水素還元処理を行うことでCuが還元されていることが確認された。
【0068】
[HAADF-STEM測定]
参考例5、9、実施例8の二酸化炭素還元触媒を、高角散乱環状暗視野走査透過電子顕微鏡(HAADF-STEM:High-Angle Annular Dark Field Scanning Transmission Electron Microscopy)を用いて測定した。参考例5、9、実施例8の各触媒を、エタノールに分散させ、TEM測定用のNiグリッドに滴下後、乾燥させ、測定用のサンプルとした。測定には、Titan G2 60-300(FEI社製)を用いた。
【0069】
図22は
参考例5、
図23は実施例8、
図24は
参考例9の二酸化炭素還元触媒のHAADF-STEM結果を示す。上記実施例
及び参考例の二酸化炭素還元触媒において、
図22~
図24に示される、ZnO担体上に担持されるナノ粒子は、高輝度の原子と低輝度の原子からなる様子が確認された。HAADF-STEM測定では、原子番号の大きい原子ほど輝度が高くなる。従って、
図22~
図24における高輝度の原子はAu原子を示し、低輝度の原子はCu原子を示す。以上より、ZnO担体上にAuとCuが一つのナノ粒子を形成している結果が示された。従って、AuとCuの合金が形成されていることが示唆される。
【0070】
[耐久性試験]
図25及び
図26は、実施例8の二酸化炭素還元触媒を用い、圧力条件を50barとし、温度条件を240℃として二酸化炭素還元反応を連続的に行った結果を示すグラフである。そして、それぞれMeOH及びCO生成速度、MeOH選択率の経時変化を測定し、結果を
図25及び
図26のグラフに示した。
図25及び
図26のグラフ中、横軸は経過時間(min)を示し、右縦軸はMeOH選択率を示す。
図25における左縦軸は触媒成分中におけるAuの含有量(g)に対するMeOH及びCO生成速度(/μmol gAu
-1s
-1)を示す。
図26における左縦軸は触媒成分中におけるAu及びCuの含有量(g)に対するMeOH及びCO生成速度(/μmol gAu+Cu
-1s
-1)を示す。
【0071】
図25及び
図26に示すように、実施例に係る二酸化炭素還元触媒は、高い安定性を示し、連続的に2000分以上二酸化炭素還元反応を行った場合においても、活性やメタノール選択率の低下がみられなかった。