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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/329 20060101AFI20221213BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20221213BHJP
   H01L 29/87 20060101ALI20221213BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20221213BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20221213BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20221213BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20221213BHJP
   H01L 21/76 20060101ALI20221213BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
H01L29/90 Z
H01L27/06 311B
H01L27/088 331E
H01L27/088 331A
H01L27/04 H
H01L21/76 L
H01L29/78 657A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018135264
(22)【出願日】2018-07-18
(65)【公開番号】P2020013903
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】片岡 良一
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-153403(JP,A)
【文献】特開平04-245469(JP,A)
【文献】特開2009-049296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/861
H01L 29/87
H01L 27/04
H01L 27/06
H01L 27/088
H01L 21/329
H01L 21/76
H01L 21/822
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板上に絶縁層を介在して活性層が形成された基板の前記活性層に配設され、アノード領域とカソード領域とのpn接合ダイオードを含んで構成される保護素子と、
前記pn接合ダイオードの周囲を取り囲み前記活性層に配設され、前記pn接合ダイオードをその周囲に配設される素子から電気的に分離する素子分離領域と、
前記アノード領域の主面部に配設され、前記アノード領域と同一導電型に設定され、かつ、前記アノード領域よりも不純物密度が高く設定されたコンタクト領域と、
前記カソード領域と前記コンタクト領域との間において、前記アノード領域の主面から前記コンタクト領域の深さよりも深く、かつ、前記アノード領域よりも浅い領域まで配設され、前記アノード領域とは反対導電型の半導体領域を含んで構成される遮蔽領域と、
を備え、
前記遮蔽領域は、
前記カソード領域の不純物密度と同一不純物密度に設定され、かつ、前記カソード領域の前記アノード領域とのpn接合深さと同一のpn接合深さに設定されている
半導体装置。
【請求項2】
支持基板上に絶縁層を介在して活性層が形成された基板の前記活性層に配設され、アノード領域とカソード領域とのpn接合ダイオードを含んで構成される保護素子と、
前記pn接合ダイオードの周囲を取り囲み前記活性層に配設され、前記pn接合ダイオードをその周囲に配設される素子から電気的に分離する素子分離領域と、
前記アノード領域の主面部に配設され、前記アノード領域と同一導電型に設定され、かつ、前記アノード領域よりも不純物密度が高く設定されたコンタクト領域と、
前記カソード領域と前記コンタクト領域との間において、前記アノード領域の主面から前記コンタクト領域の深さよりも深く、かつ、前記アノード領域よりも浅い領域まで配設され、前記アノード領域とは反対導電型の半導体領域を含んで構成される遮蔽領域と、
を備え、
前記素子分離領域は、
前記活性層の表面から少なくとも前記絶縁層へ至るトレンチと、
当該トレンチの側壁に配設された絶縁体と、
前記トレンチの側壁に前記絶縁体を介して配設された導電体と、を備え、
前記遮蔽領域は、
前記カソード領域と前記コンタクト領域との間に沿って延設し、かつ、延設方向の両端を前記素子分離領域に接して配設されている
半導体装置。
【請求項3】
支持基板上に絶縁層を介在して活性層が形成された基板の前記活性層に配設され、アノード領域とカソード領域とのpn接合ダイオードを含んで構成される保護素子と、
前記pn接合ダイオードの周囲を取り囲み前記活性層に配設され、前記pn接合ダイオードをその周囲に配設される素子から電気的に分離する素子分離領域と、
前記アノード領域の主面部に配設され、前記アノード領域と同一導電型に設定され、かつ、前記アノード領域よりも不純物密度が高く設定されたコンタクト領域と、
前記カソード領域と前記コンタクト領域との間において、前記アノード領域の主面から前記コンタクト領域の深さよりも深く、かつ、前記アノード領域よりも浅い領域まで配設され、前記アノード領域とは反対導電型の半導体領域を含んで構成される遮蔽領域と、
を備え、
前記遮蔽領域は、前記カソード領域の周囲を取り囲んで配設されている
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に保護素子を備えた半導体装置及びその製造方法に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、SOI(Silicon On Insulator)基板を採用した半導体装置が開示されている。SOI基板は、シリコン基板と、シリコン基板上の埋込み酸化膜と、埋込み酸化膜上のp型活性層とを積層して形成されている。p型活性層にはMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)が形成されている。
ここで、一般的に、SOI基板のシリコン基板は電位が印加されていないフローティング状態とされているか、又はシリコン基板にはグランド電位が印加されている。
【0003】
ところで、SOI基板のp型活性層に保護素子として高耐圧構造のpn接合ダイオードを形成する場合には、p型活性層の不純物密度を低く設定し、pn接合部の接合耐圧を高める必要がある。例えば、アノード領域に負のサージ電圧が印加されたと仮定する。アノード領域の不純物密度が低く設定されると、pn接合部からアノード領域側へ空乏層を広げることができ、pn接合ダイオードの接合耐圧を向上させることができる。
しかしながら、p型活性層の不純物密度が変化すると、同一のSOI基板に搭載されているpn接合ダイオード以外の他の素子、具体的にはMOSFETの閾値電圧(Vth)等が変化し、素子の特性に変動が発生してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4354876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、他の素子の特性に影響を及ぼすことがなく、保護素子の耐圧を向上させることができる半導体装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1実施態様に係る半導体装置は、支持基板上に絶縁層を介在して活性層が形成された基板の活性層に配設され、アノード領域とカソード領域とのpn接合ダイオードを含んで構成される保護素子と、pn接合ダイオードの周囲を取り囲み活性層に配設され、pn接合ダイオードをその周囲に配設される素子から電気的に分離する素子分離領域と、アノード領域の主面部に配設され、アノード領域と同一導電型に設定され、かつ、アノード領域よりも不純物密度が高く設定されたコンタクト領域と、カソード領域とコンタクト領域との間において、アノード領域の主面からコンタクト領域の深さよりも深く、かつ、アノード領域よりも浅い領域まで配設され、アノード領域とは反対導電型の半導体領域を含んで構成される遮蔽領域と、を備えている。
【0007】
第1実施態様に係る半導体装置は、基板に保護素子及び素子分離領域を備える。基板は、支持基板と、この支持基板上の絶縁層と、絶縁層上の活性層とを有する。保護素子は、活性層に配設され、アノード領域とカソード領域とのpn接合ダイオードを含んで構成される。素子分離領域は、pn接合ダイオードの周囲を取り囲んで活性層に配設される。この素子分離領域は、pn接合ダイオードをその周囲に配設される素子から電気的に分離する。
さらに、アノード領域の主面部にはコンタクト領域が配設される。コンタクト領域は、アノード領域と同一導電型に設定され、かつ、アノード領域よりも不純物密度が高く設定される。
【0008】
ここで、半導体装置は、更に遮蔽領域を備える。遮蔽領域は、カソード領域とコンタクト領域との間において、アノード領域の主面からコンタクト領域の深さよりも深く、かつ、アノード領域よりも浅い領域まで配設される。この遮蔽領域は、アノード領域とは反対導電型の半導体領域を含んで構成される。仮に、アノード領域に負のサージ電圧が印加されると、カソード領域とアノード領域とのpn接合部から遮蔽領域に沿い、更に遮蔽領域を迂回して、アノード領域側へ空乏層を広げることができるので、pn接合ダイオードの接合耐圧を向上させることができる。
このため、活性層の不純物密度を低く設定することがないので、pn接合ダイオード以外の素子の特性に影響を与えることがなく、pn接合ダイオードの接合耐圧を向上させることができる。
【0009】
本発明の第2実施態様に係る半導体装置では、第1実施態様に係る半導体装置において、遮蔽領域は、カソード領域の不純物密度と同一不純物密度に設定され、かつ、カソード領域のアノード領域とのpn接合深さと同一のpn接合深さに設定されている。
【0010】
第2実施態様に係る半導体装置によれば、遮蔽領域が、カソード領域の不純物密度と同一不純物密度に設定され、かつ、カソード領域のpn接合深さと同一のpn接合深さに設定される。
このため、カソード領域と同様な構造により遮蔽領域を簡易に構成することができ、pn接合ダイオードの接合耐圧を簡易に向上させることができる。
【0011】
本発明の第3実施態様に係る半導体装置では、第1実施態様又は第2実施態様に係る半導体装置において、素子分離領域は、活性層の表面から少なくとも絶縁層へ至るトレンチと、トレンチの側壁に配設された絶縁体と、トレンチの側壁に絶縁体を介して配設された導電体と、を備え、遮蔽領域は、カソード領域とコンタクト領域との間に沿って延設し、かつ、延設方向の両端を素子分離領域に接して配設されている。
【0012】
第3実施態様に係る半導体装置によれば、素子分離領域がトレンチ、絶縁体及び導電体を備える。トレンチは活性層の表面から少なくとも絶縁層へ至り、絶縁体はトレンチ側壁に配設される。導電体はトレンチの側壁に絶縁体を介して配設される。
一方、遮蔽領域は、カソード領域とコンタクト領域との間に沿って延設し、かつ、延設方向の両端を素子分離領域に接して配設される。
このため、遮蔽領域が素子分離領域に接する箇所においても、pn接合部からアノード領域側への空乏層を広げることができ、pn接合ダイオードの接合耐圧をより一層向上させることができる。
【0013】
本発明の第4実施態様に係る半導体装置では、第1実施態様又は第2実施態様に係る半導体装置において、遮蔽領域は、カソード領域の周囲を取り囲んで配設されている。
【0014】
第4実施態様に係る半導体装置によれば、遮蔽領域がカソード領域の周囲を取り囲んで配設されるので、カソード領域とアノード領域とのpn接合部からアノード領域側へ、カソード領域の周囲全域にわたって空乏層を広げることができる。このため、pn接合ダイオードの接合耐圧をより一層向上させることができる。
【0015】
本発明の第5実施態様に係る半導体装置の製造方法は、支持基板上に絶縁層を介在して活性層が形成された基板の活性層において、保護素子を構成するpn接合ダイオードの形成領域を取り囲んで素子分離領域を形成し、素子分離領域により周囲が取り囲まれた活性層にアノード領域を形成する工程と、アノード領域の主面部に、pn接合ダイオードのアノード領域とは逆導電型のカソード領域を形成し、pn接合ダイオードを形成する工程と、アノード領域のカソード領域とは異なる主面部に、アノード領域と同一導電型に設定され、かつ、アノード領域よりも不純物密度が高く設定されたコンタクト領域を形成する工程と、を備え、カソード領域を形成する工程と同一工程によって、カソード領域とコンタクト領域との間に、アノード領域の主面からコンタクト領域の深さよりも深く、かつ、アノード領域よりも浅い領域まで配設され、アノード領域とは反対導電型の半導体領域を含んで構成される遮蔽領域と、を形成する工程と、を備えている。
【0016】
第5実施態様に係る半導体装置の製造方法では、最初に、基板に素子分離領域が形成され、保護素子を構成するpn接合ダイオードのアノード領域が形成される。基板は、支持基板と、この支持基板上の絶縁層と、絶縁層上の活性層とを有する。素子分離領域は、pn接合ダイオードの形成領域を取り囲んで活性層に形成される。アノード領域は、素子分離領域により周囲が取り囲まれた活性層に形成される。
次に、カソード領域がアノード領域の主面部に形成され、アノード領域及びカソード領域を有するpn接合ダイオードが形成される。カソード領域はアノード領域とは逆導電型に設定される。
アノード領域のカソード領域とは異なる主面部にコンタクト領域が形成される。コンタクト領域はアノード領域と同一導電型に設定され、かつ、コンタクト領域の不純物密度はアノード領域の不純物密度よりも高く設定される。
【0017】
ここで、カソード領域を形成する工程と同一工程によって、遮蔽領域が形成される。遮蔽領域は、カソード領域とコンタクト領域との間に、アノード領域の主面からコンタクト領域の深さよりも深く、かつ、アノード領域よりも浅い領域まで配設される。遮蔽領域は、アノード領域とは反対導電型の半導体領域を含んで構成される。
このため、遮蔽領域がカソード領域を形成する工程を利用して形成されるので、遮蔽領域を形成する工程に相当する分、製造工程数を削減することができる。しかも、pn接合ダイオードの接合耐圧を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、他の素子の特性に影響を及ぼすことがなく、保護素子の耐圧を向上させることができる半導体装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施の形態に係る半導体装置の要部を拡大して概略的に示す縦断面構造図(図2に示されるA-A線において切断した断面図)である。
図2図1に示される半導体装置の要部を拡大して概略的に示す平面図である。
図3図1に示される半導体装置の製造方法を説明する第1工程断面図である。
図4】半導体装置の製造方法を説明する第2工程断面図である。
図5】本発明の第2実施の形態に係る半導体装置の要部を拡大して概略的に示す、図2に対応する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施の形態]
以下、図1図4を用いて、本発明の第1実施の形態に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。
【0021】
(半導体装置1の基板断面構造)
図1及び図2に示されるように、本実施の形態に係る半導体装置1は基板(半導体ペレット又は半導体チップ)2を主体に構成されている。基板2の主面部には保護素子としてのpn接合ダイオードD(以下、単に「ダイオードD」という。)が配設され、ダイオードDは順方向接続において外部端子BPに電気的に接続されている。
【0022】
基板2にはSOI基板が使用されている。すなわち、基板2は、導電性を有する支持基板20と、支持基板20上に形成された絶縁層21と、絶縁層21上に形成された活性層22とを順次積層した構造とされている。
【0023】
支持基板20は、ここでは、シリコン単結晶基板により形成され、低不純物密度のp型に設定されている。なお、支持基板20は、中不純物密度又は高不純物密度のp型に設定されてもよく、又はn型に設定されてもよい。
絶縁層21は、埋込み酸化膜(BOX:Buried Oxide)として形成され、具体的にはシリコン酸化膜により形成されている。絶縁層21は、例えば、イオン注入法を用いて、支持基板20の内部に酸素を注入し、支持基板20内部のシリコンを部分的に酸化させることにより形成されている。
活性層22は、ここでは支持基板20と同様にシリコン単結晶層により形成され、低不純物密度のp型に設定されている。活性層22は、支持基板20の表面層の一部を用いて形成され、絶縁層21が形成されることによってこの絶縁層21を境として支持基板20と区画(電気的に分離)されている。活性層22には、ダイオードDが配設されると共に、ダイオードD以外であって回路を構築する半導体素子が配設されている。
特に限定されるものではないが、ここでは、半導体素子として、絶縁ゲート型電界効果トランジスタTr(IGFET:Insulated Gate Field Effect Transistor。以下、単に「トランジスタTr」という。)が配設されている。ここで、IGFETとは、MOSFET、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)のいずれも含む意味において使用されている。
【0024】
(素子分離領域3の構造)
図1及び図2に示されるように、ダイオードDの周囲を取り囲む領域であって、活性層22には素子分離領域3が配設されている。また、図1に示されるように、トランジスタTrの周囲を取り囲む領域であって、活性層22には素子分離領域3が配設されている。素子分離領域3は、ダイオードDと、その周囲に配設されたダイオードD以外の半導体素子、ここではトランジスタTrとの間等、素子間を電気的に分離する構成とされている。 本実施の形態において、素子分離領域3は、トレンチ30と、絶縁体31と、導電体32とを含んで構成され、所謂、トレンチアイソレーション構造として構成されている。
【0025】
トレンチ30は、ダイオードDの周囲を取り囲み、活性層22の表面から絶縁層21の少なくとも表面に至る構成とされている。トレンチ30では、溝深さ寸法に対して、溝開口幅寸法が小さく(アスペクト比が大きく)設定されている。すなわち、トレンチ30を有する素子分離領域3が採用されると、活性層22の表面上での素子分離領域3の占有面積が小さくなるので、半導体装置1の集積度を向上させることができる。トレンチ30は、半導体装置1の製造プロセスにおいて、例えばリアクティブイオンエッチング(RIE)等の異方性エッチングを用いて形成されている。
数値は一例であるが、図1に示されるトレンチ30の溝幅は、例えば3μmに設定されている。また、基板2の活性層22の厚さ(アノード領域の厚さ)はトレンチ30の深さと同一寸法とされ、トレンチ30の深さは例えば15μmに設定されている。
【0026】
絶縁体31は、トレンチ30の側壁に配設されている。この絶縁体31は例えばシリコン酸化膜により形成され、このシリコン酸化膜は例えば化学的気相析出(CVD)法を用いて形成されている。
【0027】
導電体32は、トレンチ30内部に絶縁体31を介して埋設されている。導電体32として、例えばシリコン多結晶膜が使用されている。接地電位に印加されるなどの必要に応じて、シリコン多結晶膜に不純物が導入されて、シリコン多結晶膜が低抵抗値に調整されている。半導体装置1の製造プロセスにおいて、シリコン多結晶膜は、例えばCVD法を用いて、トレンチ30内部を埋設しつつ、活性層22上が平坦になるまで堆積される。そして、トレンチ30内部が完全に埋設されつつ、活性層22上のシリコン多結晶膜が除去される。このシリコン多結晶の除去には、エッチング法又はケミカルメカニカルポリシング(CMP)法を使用することができる。
【0028】
(ダイオードDの構造)
図1及び図2に示されるように、ダイオードDは、アノード領域としてのp型活性層22と、カソード領域としてのn型半導体領域4とのpn接合部に構成されている。
アノード領域としての活性層22は、底面を絶縁層21により囲まれ(図1参照)、側面の周囲全体を素子分離領域3により囲まれている(図1及び図2参照)。特に平面形状が限定されるものではないが、ここでは、図2に示されるように、活性層22の平面形状は、左右に細長い矩形状に形成されている。詳しく説明すると、活性層22は、カソード領域としてのn型半導体領域4及び後述するコンタクト領域(p型半導体領域5)が左右方向に配置されるので、左右方向を長手方向とする長方形状に形成されている。
ここで、図1に示されるように、アノード領域は活性層22を使用しているので、アノード領域の表面からの深さは活性層22からの表面の深さに相当する。
【0029】
n型半導体領域4は、活性層22の表面から内部へn型不純物をイオン注入法又は固相拡散法を用いて導入し、n型不純物を活性化することにより形成されている。n型半導体領域4の不純物密度は活性層22の不純物密度よりも高く設定されている。さらに、n型半導体領域4の活性層22とのpn接合深さd1は、活性層22の深さよりも浅く設定されている。加えて、pn接合深さd1は、後述するコンタクト領域(p型半導体領域5)の深さよりも深い構成とされている。
【0030】
アノード領域としての活性層22の主面部には、活性層22と同一導電型のコンタクト領域として使用されるp型半導体領域5が配設されている。p型半導体領域5はn型半導体領域4の不純物密度よりも高い不純物密度に設定されている。また、p型半導体領域5の活性層22の表面からの深さは、n型半導体領域4のpn接合深さd1よりも浅く設定されている。言い換えると、n型半導体領域4のpn接合深さd1は、p型半導体領域5の深さよりも深く、アノード領域の深さよりも浅い領域まで配設されている。
p型半導体領域5が配設されることにより、アノード領域としての活性層22とそれに電気的に接続される配線(図1及び図2に示される配線12)との接触抵抗(接続抵抗)を小さくすることができる。
【0031】
図1に示されるように、ダイオードD上及び素子分離領域3上を含む基板2上の全面にパッシベーション膜10が配設されている。パッシベーション膜10は、例えばシリコン酸化膜若しくはシリコン窒化膜の単層、又はそれらを積層した複合膜により形成されている。
図1及び図2に示されるように、パッシベーション膜10上には配線12が配設されている。配線12は、ここでは単層配線構造を示しているが、2層以上の配線構造であってもよい。配線12には、例えば、銅(Cu)、シリコン(Si)が添加されたアルミニウム合金膜が使用されている。
図1及び図2中、左側に示される配線12の一端部は、パッシベーション膜10に膜厚方向に貫通して形成された接続孔11を通してカソード領域としてのn型半導体領域4に電気的に接続されている。この配線12の他端部は、活性層22上をパッシベーション膜10を介して延設し、素子分離領域3を跨いで、図示省略の内部回路に接続されている。
また、右側に示される配線12の一端部は、接続孔11を通してp型半導体領域5に電気的に接続され、p型半導体領域5はアノード領域としてのp型活性層22に電気的に接続されている。この配線12の他端部は、活性層22上をパッシベーション膜10を介して延設し、素子分離領域3を跨いで、図示省略の外部端子BPに接続されている。
【0032】
(トランジスタTrの構造)
図1に示されるように、トランジスタTrは、素子分離領域3に周囲を囲まれた領域内において、活性層22の主面部に配設されている。トランジスタTrは、チャネル形成領域として使用される活性層22と、ソース領域及びドレイン領域としての一対の主電極を形成するn型半導体領域8と、ゲート絶縁膜6と、ゲート電極7とを含んで構成されている。
一対のn型半導体領域8は、活性層22の主面部においてゲート幅方向へ離間して配設されている。n型半導体領域8は、p型半導体領域5とは反対導電型であるが、p型半導体領域5と同程度の不純物密度に設定されている。活性層22において一対のn型半導体領域8間はチャネル形成領域として使用されている。
ゲート絶縁膜6は活性層22の主面上において一対のn型半導体領域8間に少なくとも形成されている。ゲート絶縁膜6として、シリコン酸化膜の単層膜、又はシリコン酸化膜とシリコン窒化膜とを積層した複合膜を使用することができる。
ゲート電極7はゲート絶縁膜6上に配設されている。ゲート電極7には、例えば、不純物が導入されて低抵抗値に調整されたシリコン多結晶膜の単層膜、又はシリコン多結晶膜上に高融点金属膜や高融点金属シリサイド膜を積層した複合膜を使用することができる。
このように構成されるトランジスタTrはnチャネル導電型に設定されている。なお、本実施の形態では、活性層22に図示省略のpチャネル導電型トランジスタが配設されており、相補型トランジスタ(complementary transistor)が構築されている。また、p型チャネル導電型トランジスタが配設されている活性層はn型に設定されている。
【0033】
(遮蔽領域35の構造)
このように構成される半導体装置1では、図1及び図2に示されるように、アノード領域としてのp型活性層22の主面部に遮蔽領域35が配設されている。遮蔽領域35は、アノード領域(p型半導体領域5)とは反対導電型、すなわちカソード領域(n型半導体領域4)と同一導電型のn型半導体領域を含んで構成されている。
【0034】
詳しく説明すると、遮蔽領域35は、カソード領域とコンタクト領域との間において、アノード領域の主面から深さ方向へ配設されている。ここで、図1に示されるように、遮蔽領域35の活性層22の表面からのpn接合深さd2は、コンタクト領域の深さよりも深く、更にアノード領域の深さ並びに素子分離領域の深さよりも浅い。本実施の形態においては、遮蔽領域35のpn接合深さd2は、カソード領域としてのn型半導体領域4のpn接合深さd1と同一の接合深さに設定されている。
例えば、アノード領域に負のサージ電圧が印加されたと仮定する。コンタクト領域の深さよりも遮蔽領域35の深さd2が深く設定されることにより、カソード領域とアノード領域とのpn接合部からコンタクト領域側への空乏層Ipの横方向(活性層22の主面と平行な方向)の広がりを阻止することができる。一方、アノード領域の深さよりも遮蔽領域35の深さd2が浅く設定されることにより、遮蔽領域35下の領域に空乏層Ipの広がりを促進する領域を形成することができる。すなわち、pn接合部からアノード領域側へ、遮蔽領域35に沿ってこの遮蔽領域35を迂回して、空乏層Ipを広げることができる。
【0035】
図2に示されるように、遮蔽領域35は、上下方向を延設方向とし、この延設方向と交差する方向、ここでは直交する方向を幅方向としている。この遮蔽領域35の幅は、特に符号を付さないが、図1及び図2に示されるように、素子分離領域3のトレンチ30の溝幅よりも小さい設定とされている。例えば、遮蔽領域35の幅は例えば1μmに設定されている。
また、図2に示されるように、遮蔽領域35は、カソード領域とコンタクト領域との間に沿って延設し、延設方向の両端(上端及び下端)を素子分離領域3に接して配設されている。
【0036】
(半導体装置1の製造方法)
本実施の形態に係る半導体装置1の製造方法、特に遮蔽領域35の製造方法は以下の通りである。
まず、基板2が準備される(図3参照)。基板2にはSOI基板が使用され、基板2は支持基板20上に絶縁層21を介して活性層22を有する。活性層22は、p型に設定され、低不純物密度に設定される。
【0037】
図3に示されるように、ダイオードDの形成領域DR、トランジスタTrの形成領域TRのそれぞれの周囲を取り囲んで活性層22に素子分離領域3が形成される。
素子分離領域3は、まず最初にトレンチ30を形成する。トレンチ30は、フォトリソグラフィ技術を用いて図示省略のマスクを形成し、このマスクを用いて活性層22にエッチングを行うことにより形成される。エッチングには、前述の通り、例えばRIE等の異方性エッチングが使用される。
引き続き、トレンチ30の少なくとも側壁に絶縁体31が形成される。そして、トレンチ30内部に導電体32が埋設され、これにより素子分離領域3が形成される。
【0038】
素子分離領域3が形成されると、ダイオードDの形成領域DRにおいて、素子分離領域3により活性層22の周囲が取り囲まれ、この周囲が取り囲まれた活性層22がアノード領域として形成される。すなわち、本実施の形態に係る半導体装置1の製造方法では、アノード領域としての活性層22を形成する工程の後に、素子分離領域3を形成する工程が組み込まれる。
また、形成領域DRだけにアノード領域が形成されるとすれば、この製造方法では、素子分離領域3を形成する工程と同一工程において、アノード領域が形成される。
なお、活性層22、素子分離領域3のそれぞれを形成した後、適正な不純物密度に設定されたp型不純物を活性層22に注入することによって、素子分離領域3を形成する工程の後にアノード領域を形成することができる。
一方、前述の図1に示されるように、素子分離領域3が形成されると、トランジスタTrの形成領域TRが形成される。
【0039】
次に、図4に示されるように、形成領域DRにおいて、活性層22の主面部にn型不純物を導入し、カソード領域としてのn型半導体領域4が形成される。n型半導体領域4は、図示省略のフォトリソグラフィ技術により形成されたマスクを用いて、イオン注入法又は固相拡散法によりn型不純物を導入し、n型不純物を活性化することにより形成される。n型半導体領域4が形成されると、ダイオードDが実質的に完成する。
【0040】
ここで、同図4に示されるように、形成領域DRにおいて、カソード領域とコンタクト領域との間において、カソード領域(n型半導体領域4)を形成する工程と同一工程によって、n型半導体領域を含んで構成される遮蔽領域35が形成される。遮蔽領域35は、カソード領域を形成するマスクと同一のマスクを用い、かつ、カソード領域を形成するn型不純物の導入と同一工程によってn型不純物を導入することにより形成される。
【0041】
次に、形成領域TRにおいて、活性層22の主面上にゲート絶縁膜6、ゲート電極7のそれぞれが順次形成される(図1参照)。そして、活性層22の主面部に一対の主電極として使用されるn型半導体領域8が形成される(図1参照)。n型半導体領域8は、n型半導体領域4の形成工程と同様に、図示省略のマスクを用いてイオン注入法によりn型不純物を導入し、n型不純物を活性化することにより形成される。n型半導体領域8が形成されると、トランジスタTrが実質的に完成する。
【0042】
次に、形成領域DRにおいて、活性層22の(アノード領域の)主面部にコンタクト領域としてのp型半導体領域5が形成される(図1参照)。p型半導体領域5は、n型半導体領域4を形成する工程と同様に、図示省略のマスクを用いてp型不純物を導入し、p型不純物を活性化することにより形成される。
【0043】
次に、ダイオードD上及びトランジスタTr上であって活性層22上及び素子分離領域3上にパッシベーション膜10が形成され、引き続き、n型半導体領域4上、p型半導体領域5上及びn型半導体領域8上においてパッシベーション膜10に接続孔11が形成される(図1参照)。
次に、接続孔11を通してn型半導体領域4、p型半導体領域5、n型半導体領域8のそれぞれに接続される複数の配線12がパッシベーション膜10上に形成される。
図示並びに説明は省略するが、この後、上層配線や最終パッシベーション膜等が形成される。
これら一連の製造工程が終了すると、本実施の形態に係る、ダイオードDを含んで構成される保護素子を有する半導体装置1が完成する。
【0044】
(本実施の形態の作用及び効果)
本実施の形態に係る半導体装置1は、図1及び図2に示されるように、基板2に保護素子及び素子分離領域3を備える。基板2は、支持基板20と、この支持基板20上の絶縁層21と、絶縁層21上の活性層22とを有する。保護素子は、活性層22に配設され、アノード領域(p型活性層22)とカソード領域(n型半導体領域4)とのダイオードDを含んで構成される。素子分離領域3は、ダイオードDの周囲を取り囲んで活性層22に配設される。この素子分離領域3は、ダイオードDをその周囲に配設される素子から電気的に分離する。
さらに、アノード領域の主面部にはコンタクト領域(p型半導体領域5)が配設される。コンタクト領域は、アノード領域と同一導電型に設定され、かつ、アノード領域よりも不純物密度が高く設定される。
【0045】
ここで、半導体装置1は、更に遮蔽領域35を備える。遮蔽領域35は、カソード領域とコンタクト領域との間において、アノード領域の主面からコンタクト領域の深さよりも深く、かつ、アノード領域よりも浅い領域までpn接合深さd2により配設される。遮蔽領域35は、アノード領域とは反対導電型の半導体領域を含んで構成される。
【0046】
例えば、アノード領域に負のサージ電圧が印加されると仮定する。図1に示されるように、まず、サージ電圧が印加されると、カソード領域(n型半導体領域4)とアノード領域(p型活性層22)とのpn接合部からカソード領域側へ空乏層Inが広がる。一方、pn接合部からアノード領域側へ空乏層Ipが広がる。
ここで、基板2の支持基板20、素子分離領域3の導電体32のそれぞれには、例えば接地電位(0V)が印加される。すると、基板2の支持基板20、絶縁層21及び活性層22はフィールドプレート構造を構築し、更に素子分離領域3の導電体32、絶縁体31及び活性層22は同様にフィールドプレート構造を構築する。このため、空乏層Ipの広がりを向上させることができる。
そして、遮蔽領域35が配設されるので、カソード領域とアノード領域とのpn接合部から遮蔽領域35に沿い、更に遮蔽領域35を迂回して、アノード領域側へ空乏層Ipを広げることができる。これにより、ダイオードDの接合耐圧を向上させることができる。
このため、活性層22の不純物密度を低く設定することがないので、ダイオードD以外の素子、具体的には図1に示されるトランジスタTrの特性に影響を与えることがなく、ダイオードDの接合耐圧を向上させることができる。トランジスタTrの特性としては、閾値電圧の変動、寄生容量の変動等である。
【0047】
また、本実施の形態に係る半導体装置1では、図1に示されるように、遮蔽領域35が、カソード領域の不純物密度と同一不純物密度に設定され、かつ、カソード領域のpn接合深さd1と同一のpn接合深さd2に設定される。
このため、カソード領域と同様な構造により遮蔽領域35を簡易に構成することができ、ダイオードDの接合耐圧を簡易に向上させることができる。
【0048】
さらに、本実施の形態に係る半導体装置1では、図1及び図2に示されるように、素子分離領域3がトレンチ30、絶縁体31及び導電体32を備える。トレンチ30は活性層22の表面から少なくとも絶縁層21へ至り、絶縁体31はトレンチ30側壁に配設される。導電体32はトレンチ30の側壁に絶縁体31を介して配設される。
一方、遮蔽領域35は、カソード領域(n型半導体領域4)とコンタクト領域(p型半導体領域5)との間に沿って延設し、かつ、延設方向の両端を素子分離領域3に接して配設される。
このため、遮蔽領域35が素子分離領域3に接する箇所においても、pn接合部からアノード領域側への空乏層Ipを広げることができ、ダイオードDの接合耐圧をより一層向上させることができる。
【0049】
また、本実施の形態に係る半導体装置1の製造方法では、最初に、基板2に素子分離領域3が形成され、保護素子を構成するダイオードDのアノード領域(p型活性層22)が形成される(図1及び図3参照)。基板2は、支持基板20と、この支持基板20上の絶縁層21と、絶縁層21上の活性層22とを有する。素子分離領域3は、ダイオードDの形成領域DRを取り囲んで活性層22に形成される。アノード領域は、素子分離領域3により周囲が取り囲まれた活性層22に形成される。
次に、カソード領域(n型半導体領域4)がアノード領域の主面部に形成され、アノード領域及びカソード領域を有するダイオードDが形成される。カソード領域はアノード領域とは逆導電型に設定される。
アノード領域のカソード領域とは異なる主面部にコンタクト領域(p型半導体領域5)が形成される。コンタクト領域はアノード領域と同一導電型に設定され、かつ、コンタクト領域の不純物密度はアノード領域の不純物密度よりも高く設定される。
【0050】
ここで、カソード領域を形成する工程と同一工程によって、遮蔽領域35が形成される。詳しく説明すると、図4に示されるように、カソード領域のn型半導体領域4を形成する工程と同一工程により、遮蔽領域35のn型半導体領域が形成される。遮蔽領域35は、カソード領域とコンタクト領域との間に、アノード領域の主面からコンタクト領域の深さよりも深く、かつ、アノード領域よりも浅い領域までpn接合深さd2により配設される。
このため、遮蔽領域35がカソード領域を形成する工程を利用して形成されるので、遮蔽領域35を形成する工程に相当する分、製造工程数を削減することができる。しかも、ダイオードDの接合耐圧を向上させることができる。
【0051】
従って、本実施の形態に係る半導体装置1及びその製造方法によれば、他の素子に影響を及ぼすことがなく、保護素子の耐圧を向上させることができる。
【0052】
[第2実施の形態]
図5を用いて、本発明の第2実施の形態に係る半導体装置1及びその製造方法を説明する。なお、本実施の形態において、第1実施の形態に係る半導体装置1及びその製造方法における構成要素と同一の構成要素、又は実質的に同一の構成要素には同一符号を付し、重複するので、その説明は省略する。
【0053】
本実施の形態に係る半導体装置1では、遮蔽領域35の配設レイアウトが、第1実施の形態に係る半導体装置1と異なる。すなわち、図5に示されるように、遮蔽領域35は、カソード領域(n型半導体領域4)とコンタクト領域(p型半導体領域5)との間に配設され、更にカソード領域の周囲のすべてを取り囲んで配設されている。
特に平面形状が限定されるものではないが、平面視において、カソード領域は矩形状に形成され、遮蔽領域35は延設方向に終端が無い矩形リング形状に形成されている。
【0054】
図示並びに説明は省略するが、第1実施の形態に係る半導体装置1の製造方法と同様に、本実施の形態に係る半導体装置1の製造方法では、遮蔽領域35はカソード領域を形成する工程と同一工程により形成される。
【0055】
このように構成される半導体装置1では、前述の第1実施の形態に係る半導体装置1により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
また、本実施の形態に係る半導体装置1では、遮蔽領域35がカソード領域の周囲を取り囲んで配設されるので、カソード領域とアノード領域とのpn接合部からアノード領域側へカソード領域の周囲全域にわたって空乏層Ip(図1参照)を広げることができる。このため、ダイオードDの接合耐圧をより一層向上させることができる。
さらに、半導体装置1の製造方法では、遮蔽領域35がカソード領域を形成する工程を利用して形成されるので、製造工程を削減することができる。
【0056】
[上記実施の形態の補足説明]
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、例えば下記の通り変形可能である。
例えば、上記実施の形態では、ダイオードに1つの遮蔽領域が配設された例について説明したが、本発明では、ダイオードのカソード領域とコンタクト領域との間に、幅方向に平行に複数の遮蔽領域が配設されてもよい。
また、上記実施の形態では、遮蔽領域は、n型半導体領域を主体に形成されているが、浅いトレンチを形成してこのトレンチの側壁及び底面に沿ってn型半導体領域を形成してもよい。この場合、遮蔽領域は、浅いトレンチと、n型半導体領域とを含んで構成されている。さらに、浅いトレンチ内部に絶縁体が埋設されてもよい。この場合、遮蔽領域は、浅いトレンチと、n型半導体領域と、絶縁体とを含んで構成されている。
また、n型半導体領域の主面を選択的に酸化してシリコン酸化膜(フィールド絶縁膜)を形成し、このn型半導体領域とシリコン酸化膜とを含んで遮蔽領域が構成されてもよい。
さらに、本発明では、ダイオード以外の半導体素子として、バイポーラトランジスタ、抵抗素子、容量素子等が含まれる。
また、本発明は、半導体装置の基板において、支持基板はシリコン単結晶基板に限定されるものではなく、例えば金属基板や化合物半導体基板を使用してもよい。
さらに、本発明は、保護素子として、pn接合ダイオードを含む、IGFET、バイポーラトランジスタ、拡散抵抗のいずれかであってもよい。具体的には、IGFETの一方の主電極と活性層とのpn接合部にダイオードが形成されている。バイポーラトランジスタでは、エミッタ領域又はコレクタ領域とベース領域(活性層)とのpn接合部にダイオードが形成されている。拡散抵抗では、拡散抵抗と活性層とのpn接合部にダイオードが形成されている。
また、本発明は、2以上の素子、例えばダイオードとIGFETとを組み合わせて、又は拡散抵抗とIGFETとを組み合わせて保護素子を構築してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…半導体装置、2…基板、20…支持基板、21…絶縁層、22…活性層(アノード領域)、3…素子分離領域、30…トレンチ、31…絶縁体、32…導電体、4…n型半導体領域(カソード領域)、5…p型半導体領域(コンタクト領域)、35…遮蔽領域、D…ダイオード(pn接合ダイオード)、Tr…トランジスタ。
図1
図2
図3
図4
図5