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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】蛍光検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20221213BHJP
   G01N 21/05 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G01N21/64 Z
G01N21/05
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018233700
(22)【出願日】2018-12-13
(65)【公開番号】P2020094932
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2020-12-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】清塘 悠
(72)【発明者】
【氏名】清水 孝昭
(72)【発明者】
【氏名】中島 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】北▲原▼ 美樹
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-513486(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0035947(US,A1)
【文献】実開平06-012946(JP,U)
【文献】実開平05-092701(JP,U)
【文献】特開昭53-105278(JP,A)
【文献】特開2015-040733(JP,A)
【文献】特開2008-249667(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0370826(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試料が流動する外部流路と、
前記外部流路に着脱可能に取り付けられ、内部に形成された測定流路が前記外部流路と連通する筒状のフローセルと、
前記フローセルと別体とされ、前記測定流路を流動する前記液体試料へ前記フローセルの外側から励起光を照射する照射部と、
前記フローセルと別体とされ、かつ、前記照射部と一体とされ、前記励起光が照射された前記液体試料から発せられた蛍光を前記フローセルの外側で受光する受光部と、
を有し、
前記照射部と前記受光部とが組み込まれたプローブは、前記フローセルの筒軸方向の端面と接して配置され、
前記フローセルは円筒状に形成され、前記プローブと、前記端面と逆側の端面に配置された保持部材と、の間に挟まれた状態で保持されている、
蛍光検出装置。
【請求項2】
前記フローセルの筒軸方向は水平面に対して傾斜して設けられている、請求項1に記載の蛍光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、受光素子、発光素子及び流路が一体とされた分析装置が記載されている。この分析装置の流路には、照射された光に応じて蛍光を放出する物質を含有した試料を流すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-084210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の分析装置では、受光素子、発光素子及び流路が一体とされている。このため流路が試料によって汚れて交換が必要となった場合は、受光素子及び発光素子も併せて交換する必要がある。このためメンテナンスし難い。
【0005】
本発明は上記事実を考慮して、メンテナンスし易い蛍光検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の蛍光検出装置は、液体試料が流動する外部流路と、前記外部流路に着脱可能に取り付けられ、内部に形成された測定流路が前記外部流路と連通する筒状のフローセルと、前記フローセルと別体とされ、前記測定流路を流動する前記液体試料へ前記フローセルの外側から励起光を照射する照射部と、前記フローセルと別体とされ、かつ、前記照射部と一体とされ、前記励起光が照射された前記液体試料から発せられた蛍光を前記フローセルの外側で受光する受光部と、を有し、前記照射部と前記受光部とが組み込まれたプローブは、前記フローセルの筒軸方向の端面と接して配置され、前記フローセルは円筒状に形成され、前記プローブと、前記端面と逆側の端面に配置された保持部材と、の間に挟まれた状態で保持されている
【0007】
請求項1の蛍光検出装置では、フローセルが外部流路に着脱可能に取り付けられている。また、照射部及び受光部は、それぞれフローセルと別体とされ、フローセルの外側に設けられている。このため、照射部と受光部が液体試料によって汚れにくい。また、フローセルが液体試料によって汚れた場合、照射部及び受光部を残置して、フローセルだけを取り外すことができる。
【0008】
フローセルの汚れが軽微な場合、測定流路を洗浄すればフローセルは再利用できる。フローセルの汚れが大きい場合、フローセルを交換すればよい。したがって請求項1の蛍光検出装置は、フローセル、照射部及び受光部が一体となっている構成と比較してメンテナンスし易い。
【0009】
一態様の蛍光検出装置は、請求項1の蛍光検出装置において、前記照射部と前記受光部とが別体とされ、前記励起光の照射方向と前記蛍光の受光方向が交差している。
【0010】
一態様の蛍光検出装置では、励起光の照射方向と蛍光の受光方向が交差している。このため、励起光の照射方向と蛍光の受光方向が一致する場合と比較して、励起光が受光部へ入射し難いので蛍光を検出し易い。
一態様の蛍光検出装置は、前記フローセルを挿通させた状態で前記フローセルを保持する貫通孔を有するホルダを備え、前記フローセル及び前記貫通孔は断面形状が矩形状とされ、前記照射部及び前記受光部は、前記フローセルにおける互いに隣接する2辺に面して配置されている。
【0011】
一態様の蛍光検出装置は、前記照射部と前記受光部とが一体となっている。
【0012】
一態様の蛍光検出装置では、照射部と受光部とが一体となっている。このため、照射部と受光部とが別体となっている構成と比較して、必要に応じて蛍光検出装置を小型化することができる。
請求項2の蛍光検出装置は、請求項1の蛍光検出装置において、前記フローセルの筒軸方向は水平面に対して傾斜して設けられている。
一態様の蛍光検出装置は、前記前記照射部と前記受光部とが組み込まれたプローブは、前記フローセルの筒軸方向の端面と接して配置され、前記フローセルは円筒状に形成され、前記プローブと、前記端面と逆側の端面に配置された保持部材と、の間に挟まれた状態で保持されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る蛍光検出装置はメンテナンスし易い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(A)は本発明の第1実施形態に係る蛍光検出装置を示す側面図であり、(B)は(A)におけるB-B線断面図である。
図2】(A)は本発明の第1実施形態に係る蛍光検出装置におけるフローセルの接続部を、本体部の軸方向と略直交するように配置した変形例を示す側面図であり、(B)は本体部の上流側端部壁及び下流側端部壁を本体部の軸方向と略直交するように配置した変形例を示す側面図であり、(C)はプローブを本体部の側面に接して配置した変形例を示す側面図であり、(D)は(C)におけるD-D線断面図である。
図3】(A)は本発明の第2実施形態に係る蛍光検出装置を示す側面図であり、(B)は(A)におけるB-B線断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る蛍光検出装置におけるフローセル及びホルダを示す斜視図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る蛍光検出装置においてホルダが設置されたプレートを移動させてフローセルを交換している状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る蛍光検出装置の実施形態の一例について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。なお、各図面において重複する構成及び符号については、説明を省略する場合がある。また、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0016】
<第1実施形態>
(蛍光検出装置)
図1(A)には、本発明の第1実施形態に係る蛍光検出装置10(以下、装置10と称す場合がある)の要部が示されている。装置10は、外部流路20と、フローセル30と、プローブ40と、を備えて構成されている。
【0017】
(外部流路)
外部流路20には液体試料が流動可能とされている。外部流路20は、フローセル30へ液体試料を流入させる入口側流路22と、フローセル30から液体試料を流出させる出口側流路24と、を備えている。
【0018】
入口側流路22の一端は、フローセル30と接続するための継手部材22Aに接続されている。一方、入口側流路22における図示しない他端は、液体試料を採取する採取源に接続されている。さらに、採取源の下流側(つまり、採取源とフローセル30との間)には図示しない送液ポンプが接続されている。この送液ポンプによって、液体試料がフローセル30へ移動させられる。
【0019】
なお、液体試料の採取源としては、液体試料の発生源(例えば地下水を採取するために土壌に形成した採取井戸)を使用することができるほか、発生源で採取した液体試料を溜めたタンク等を採取源として使用することもできる。
【0020】
出口側流路24の一端は、フローセル30と接続するための継手部材24Aに接続されている。一方、出口側流路24における図示しない他端は、液体試料を廃棄するドレン管に接続されている。または、出口側流路24自体がドレン管とされている。
【0021】
(フローセル)
フローセル30は、分析対象である液体試料を流動又は滞留させるための容器であり、後述する上流側端部壁32Aが、光を透過する素材(以下、透過素材と称す。例えば石英ガラス等)によって形成されている。この透過率は高いほうが好ましい。フローセル30は、本体部32と、接続部34と、接続部36と、を備えている。
【0022】
なお、フローセル30は、上流側端部壁32Aだけでなく、全体を透過素材を用いて一体的に形成することもできる。上流側端部壁32Aだけを透過素材で形成すればフローセル30の製造コストを低廉化でき、全体を透過素材で形成すれば異素材の継ぎ目がなくメンテナンスし易い。
【0023】
本体部32は、図1(B)に示すように円形の断面を持つ筒状部であり、筒軸方向に沿って液体試料が流動する測定流路が形成されている。本体部32における上流側端部には接続部34が接合され、下流側端部には接続部36が接合されている。
【0024】
接続部34は、継手部材22Aに対して着脱可能に接続された筒状部であり、入口側流路22から本体部32へ液体試料を案内する。接続部34は、流路の断面積が本体部32における流路の断面積より小径とされている。接続部34は、本体部32の筒軸方向に対して角度θ1で接続されている。この角度θ1は、90℃より大きい角度とされている。
【0025】
なお、本体部32における上流側端部壁32Aは、本体部32の筒軸方向に対する角度が角度θ1となるように形成されている。さらに、上流側端部壁32Aの内側面は接続部34の内側面と連続するように(直線状に)形成されている。これにより液体試料は、接続部34から上流側端部壁32Aに沿って流れ、本体部32へ流入する。
【0026】
同様に、接続部36は、継手部材24Aに対して着脱可能に接続された筒状部であり、本体部32から出口側流路24へ液体試料を案内する。接続部36は、流路の断面積が本体部32における流路の断面積より小径とされている。接続部36は、本体部32の筒軸方向に対して角度θ2で接続されている。この角度θ2は、90℃より大きい角度とされている。また、角度θ2は、角度θ1と略同一の角度とされている。
【0027】
なお、図1(A)に示すように、本体部32の筒軸方向は水平面に対して傾斜して設けられている。これにより、フローセル30の内部に発生した気泡は、液体試料の流れに乗って、接続部34から本体部32へ抜け出し、本体部32から接続部36へ抜け出し易い。このため、液体試料における蛍光の計測が、気泡による影響を受け難い。
【0028】
また、本体部32における下流側端部壁32Bは、本体部32の筒軸方向に対する角度が角度θ2となるように形成されている。さらに、下流側端部壁32Bの内側面は接続部36の内側面と連続するように(直線状に)形成されている。これにより液体試料は、本体部32から下流側端部壁32Bに沿って流れ、接続部36へ流出する。
【0029】
なお、接続部34、36にける流路の断面積は、何れも本体部32における流路の断面積より小径とされているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば、接続部34、36の少なくとも一方における流路の断面積を、本体部32における流路の断面積と同等程度としてもよい。これにより液体試料の流速を安定させることができる。
【0030】
(プローブ)
プローブ40は、本体部32の測定流路を流れる液体試料に励起光を照射する照射部42と、励起光が照射された液体試料から発せられた蛍光を受光する受光部44と、が一体とされた装置である。プローブ40は、ホルダ48に着脱可能に固定されている。
【0031】
なお、「一体とされた」とは、照射部42と受光部44とが同一の筐体46に組み込まれ、かつ、同一面(筐体46の端面46A)から励起光が照射され、蛍光を受光する状態を指す。
【0032】
筐体46の端面46Aは、フローセル30における本体部32の上流側端部壁32Aにおける外側面と接して配置される。この状態において、励起光P1が照射部42から本体部32の軸方向(即ち液体試料の流動方向)に沿って照射される。また、蛍光P2のうち、本体部32の軸方向に沿う成分が、受光部44によって受光される。筐体46の端面46Aと本体部32の上流側端部壁32Aにおける外側面とは隙間なく密接して配置されているため、受光部44に迷光が入光することが抑制されている。なお、端面46Aと本体部32の上流側端部壁32Aにおける外側面とは、蛍光測定に支障がない程度であれば必ずしも密接している必要はなく、接触しているだけでよく、あるいは離間していてもよい。
【0033】
フローセル30の本体部32において、プローブ40と反対側には、下流側端部壁32Bの外側面と接する保持部材86が設置されている。フローセル30は、プローブ40と保持部材86とによって挟まれることで保持される。
【0034】
プローブ40と保持部材86との間の間隔は、プローブ40及び保持部材86の少なくとも一方を移動させることで調整できる。これらを相対的に接する方向へ移動させることでフローセル30を固定できる。また、これらを相対的に離れる方向へ移動させることでフローセル30の固定が解除される。
【0035】
フローセル30の固定が解除された状態で、接続部34、36をそれぞれ継手部材22A、24Aから取り外すことにより、装置10からフローセル30を取り外すことができる。
【0036】
なお、フローセル30を保持する保持機構としては、プローブ40と保持部材86とによってフローセル30を挟む態様に限定されない。例えば半割り形状(略C型)の環状部材を2つ用いて、フローセル30の本体部32の外周面を挟み込んで保持してもよい。
【0037】
(作用・効果)
第1実施形態の蛍光検出装置10では、フローセル30が外部流路20(すなわち入口側流路22及び出口側流路24の双方)に、継手部材22A、24Aを介して着脱可能に取り付けられている。また、照射部である照射部42と受光部44とが一体とされたプローブ40は、フローセル30と別体とされ、フローセル30の外側に設けられている。
【0038】
このため、プローブ40における照射部42、受光部44が液体試料と接触して汚れたり、汚れることにより計測精度が低下することを抑制できる。また、フローセル30が液体試料によって汚れた場合、プローブ40を残置して、フローセル30だけを取り外すことができる。
【0039】
フローセル30の汚れが軽微な場合、本体部32の測定流路を洗浄すればフローセル30は再利用できる。フローセル30の汚れが大きい場合、フローセル30を交換すればよい。したがって装置10は、フローセル30が照射部及び受光部と一体となっている構成と比較してメンテナンスし易い。
【0040】
また、装置10におけるプローブ40は、照射部42と受光部44とが一体となっている。このため、照射部と受光部とが別体となっている蛍光検出装置と比較して小型化できる。
【0041】
また、装置10では、フローセル30の本体部32における上流側端部壁32Aの内側面が、接続部34の内側面と連続するように(直線状に)形成されている。さらに上流側端部壁32Aは、本体部32の筒軸方向に対する角度が角度θ1となるように形成されている。この角度θ1は、90°より大きい角度とされている。
【0042】
これにより、接続部34から上流側端部壁32Aに沿って流れた液体試料が、本体部32の外周壁32Cにぶつかって流れが乱れ、気泡や滞留が発生することが抑制される。すなわち、θ1が90°以下の場合と比較して、液体試料が流れる方向の変化が緩慢となり整流される。
【0043】
気泡の発生が抑制されることにより励起光が乱反射することが抑制され、また蛍光が拡散することが抑制される。また、滞留の発生が抑制されることにより、フローセル30の内部が汚れ難い。なお、フローセル30の本体部32は円筒状に形成されており隅角部がない。このため、角筒状に形成されている場合と比較して、フローセル30の汚れ抑制効果がさらに高められている。
【0044】
また、装置10では、フローセル30の本体部32における下流側端部壁32Bの内側面が、接続部36の内側面と連続するように(直線状に)形成されている。さらに下流側端部壁32Bは、本体部32の筒軸方向に対する角度が角度θ2となるように形成されている。この角度θ2は、90°より大きい角度とされている。係る構成からも、本体部32から接続部36へ流出する液体試料が整流されるため、上述したように気泡や滞留が発生することが抑制される。
【0045】
(変形例)
本実施形態においては、フローセル30の本体部32における上流側端部壁32Aの内側面が、接続部34の内側面と連続するように(直線状に)形成されているが、本発明の実施形態はこれに限らない。
【0046】
例えば図2(A)に示すように、本体部32における上流側端部壁32Aの内側面と接続部34の内側面とを角度をつけて接続してもよい。このような実施形態においても、上流側端部壁32Aが本体部32の軸方向に対して傾斜して形成されていることにより気泡や滞留が発生することが抑制される。下流側端部壁32Bの内側面と接続部36の内側面との関係についても同様である。
【0047】
また、本実施形態においては、フローセル30の本体部32における上流側端部壁32Aが、本体部32の筒軸方向に対する角度θ1が90度より大きい角度となるように形成されているが、本発明の実施形態はこれに限らない。
【0048】
例えば図2(B)に示すように、角度θ1を略90度としてもよい。このような構成によっても、フローセル30は装置10(図1参照)から容易に着脱できるので、装置10のメンテナンス性は高い。
【0049】
また、本実施形態においては、図1に示すように、励起光P1が本体部32の軸方向(即ち液体試料の流動方向)に沿って照射され、蛍光P2のうち本体部32の軸方向に沿う成分が受光されるようにプローブ40を配置したが、本発明の実施形態はこれに限らない。
【0050】
例えば図2(C)に示すように、プローブ40を、フローセル30の本体部32における外周壁32Cに沿って配置してもよい。このようにすることで、励起光P1は本体部32の軸方向(即ち液体試料の流動方向)と略直交する方向に沿って照射され、蛍光P2のうち本体部32の軸方向と略直交する方向に沿う成分が受光される。
【0051】
なお、図2(C)に示す実施形態においては、プローブ40と外周壁32Cを接して配置するために、プローブ40の端面46Aは励起光P1の照射方向と略直交するように形成することが好ましく、加えて図2(D)に示すように、フローセル30の外周壁32Cを角筒状に形成することがさらに好ましい。
【0052】
このように、フローセル30は、円形の筒状だけでなく、矩形の筒状としてもよいし、矩形以外の多角形の筒状とすることができる。また、このような多角形状のフローセル30は、本体部32の筒軸方向に沿って励起光P1を照射する実施形態においても適用することができる。
【0053】
<第2実施形態>
(蛍光検出装置)
図3(A)には、本発明の第2実施形態に係る蛍光検出装置50(以下、装置50と称す場合がある)の要部が示されている。装置50は、外部流路20と、フローセル60と、ホルダ70と、を備えて構成されている。
【0054】
(外部流路)
外部流路20(入口側流路22及び出口側流路24)及び継手部材22A、24Aの構成は第1実施形態と同様であり説明を省略する。
【0055】
(フローセル)
フローセル60は、分析対象である液体試料を流動又は滞留させるための容器であり、光を透過する素材(例えば石英ガラス等)によって形成されている。フローセル60は、本体部62と、接続部64、66と、縮径部64A、66Aと、を備えている。
【0056】
本体部62は、図3(B)に示すように矩形の断面を持つ筒状部であり、図3(A)に示すように筒軸方向に沿って液体試料が流動可能とされた測定流路が形成されている。この測定流路の内径(矩形における一辺の長さ)は例えば約10mmとされている。本体部62における上流側端部には縮径部64Aを介して接続部64が接合され、下流側端部には縮径部66Aを介して接続部66が接合されている。
【0057】
接続部64は、継手部材22Aに対して着脱可能に接続された円形の断面を持つ筒状部であり、入口側流路22から本体部62へ液体試料を案内する。接続部64は、内径が例えば約6mmとされ、流路の断面積が本体部62における流路(測定流路)の断面積より小径とされている。また、接続部64は、本体部62の筒軸方向に沿って接続されている。
【0058】
縮径部64Aは、本体部62の内径を接続部64の内径に漸減させる部分であり、また、本体部62の矩形状を徐々に接続部64の円形状に変形させる部分である。
【0059】
同様に、接続部66は、継手部材24Aに対して着脱可能に接続された円形の断面を持つ筒状部であり、本体部62から出口側流路24へ液体試料を案内する。接続部66は、流路の断面積が本体部62における流路の断面積より小径とされている。また、接続部66は、本体部62の筒軸方向に沿って接続されている。
【0060】
縮径部66Aは、本体部62の内径を接続部66の内径に漸減させる部分であり、また、本体部62の矩形状を徐々に接続部66の円形状に変形させる部分である。なお、接続部64、66は、円形状ではなく本体部62と同様の矩形状としてもよい。この場合、縮径部64A、66Aの断面形状は、矩形状を維持したまま本体部62から接続部64、66に向かって内径が漸減する。
【0061】
(ホルダ)
ホルダ70は、図4に示すように略直方体形状の保持部材である。ホルダ70には、上端面から下端面に貫通する矩形の貫通孔72が形成されている。この貫通孔72の形状はフローセル60の形状より若干大きく、貫通孔72にはフローセル60を挿通することができる。貫通孔72とフローセル60との隙間にはゴムなどの弾性部材が適宜介装され、フローセル60を保持している。
【0062】
ホルダ70において互いに隣接する2つの側面には、側面から貫通孔72に貫通する貫通孔74、76が形成されている。貫通孔74、76にはそれぞれ、照射部42及び受光部44が装着可能とされている。この照射部42、受光部44、これらに接続された光源及び蛍光分光器の構成は第1実施形態と同様であるが、第2実施形態においては、照射部42と受光部44とが異なる位置に配置されている。
【0063】
照射部42からは、励起光P1がフローセル60における本体部62の軸方向(即ち液体試料の流動方向)と略直交する方向に照射され、液体試料は蛍光P2を発する。また、蛍光P2のうち、本体部62の軸方向と略直交する方向で、かつ励起光P1と略直交する方向に沿う成分が、受光部44によって受光される。すなわち、励起光P1の照射方向と蛍光P2の受光方向が略直交している。
【0064】
ホルダ70の下端面はプレート82を介して支持板80に固定されている。プレート82は、互いに蝶番84で接合された2枚のプレート82A、82Bを備えている。プレート82Aは支持板80に固定されている。プレート82Bは、支持板80に形成された貫通孔80Aを上方から塞ぐと共に、図5に示すように、蝶番84を回転軸として貫通孔80Aを開閉する方向に回転移動可能とされている。これにより、フローセル60の交換時、フローセル60をホルダ70から取り外し易い。
【0065】
(作用・効果)
第2実施形態の蛍光検出装置50では、図3(A)に示すように、フローセル60が外部流路20(すなわち入口側流路22及び出口側流路24の双方)に、継手部材22A、24Aを介して着脱可能に取り付けられている。また、照射部42及び受光部44は、何れもフローセル60と別体とされ、フローセル60を保持するホルダ70に装着されている。
【0066】
このため、照射部42、受光部44が液体試料によって汚れることを抑制できる。また、フローセル60が液体試料によって汚れた場合、ホルダ70、照射部42及び受光部44を残置して、フローセル60だけを取り外すことができる。
【0067】
フローセル60の汚れが軽微な場合、フローセル60をホルダ70から取外したうえで本体部62の測定流路を洗浄すれば、フローセル60は再利用できる。この際、接合部の内径が約6mmとされているため、6mm以下の場合と比較して清掃用具を挿入し易い。また、フローセル60の汚れが大きい場合、フローセル60を交換すればよい。したがって装置50は、フローセル60、照射部及び受光部が一体となっている構成と比較してメンテナンスし易い。
【0068】
なお、フローセル60を洗浄するためには、必ずしもフローセル60をホルダ70から取り外す必要はない。例えばフローセル60を取り外さない状態で外部流路20からフローセル60へ薬剤を投入して自動洗浄してもよい。また、フローセル60における接合部の内径は約6mmに限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0069】
また、装置50では、図3(B)に示すように、励起光P1の照射方向と蛍光P2の受光方向が交差(略直交)している。このため、励起光の照射方向と蛍光の受光方向が一致する場合と比較して、励起光が受光部へ入射し難いので蛍光を精度よく検出できる
【0070】
また、装置50においては、本体部62と接続部64との間に縮径部64Aが形成されている。この縮径部64Aにおいては、本体部62から接続部64に向って内径が漸減している。換言すると、接続部64から本体部62に向って、流路面積が徐々に大きくなる。
【0071】
ここで、流路面積が大きくなると流速は小さくなるが、流路面積が急激に増加すると、本体部62における中心部分と周辺部分との流速差が大きくなる。この場合、本体部62において流れが乱れ気泡や滞留が発生する可能性がある。これに対してフローセル60においては縮径部64Aが形成されているため、本体部62における中心部分と周辺部分との流速差が大きくなり難く、気泡や滞留が発生し難い。このため、縮径部64Aが形成されていない場合と比較して計測精度が低下し難く、フローセル60が汚れ難い。
【0072】
(変形例)
第2実施形態においては、励起光P1を1方向のみから照射するものとしたが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば図3(B)に破線で示すように、励起光P1に加え、励起光P3をフローセル60における本体部62の異なる面から照射してもよい。これにより、蛍光P2と異なる蛍光P4を検出することができる。このようにすることで、例えば、液体試料に2種類の蛍光物質が含まれている場合に、それぞれの蛍光物質を検出することができる。
【0073】
また、フローセル60には縮径部64A、66Aが形成され、接続部64、66における流路の断面積が何れも本体部62における流路の断面積より小径とされているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えばフローセル60に縮径部64A、66Aを形成せず、本体部62と接続部64、66とを同径としてもよい。
【0074】
また、本実施形態における装置50においては、フローセル60をホルダ70から取外す際に、図5に示すように、プレート82Bを回転移動するものとしたが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えばホルダ70を固定するプレート82Bは、蝶番84などの回転機構を必ずしも備える必要はなく、支持板80に固定してもよい。プレート82Bが支持板80に固定されていても、外部流路20を動かしたり継手部材22A、24Aを動かしたりすることでフローセル60をホルダ70から取外すことができる。このように、本発明は様々な態様で実施することができる。また、これらの態様は適宜組合わせて用いる事ができる。
【符号の説明】
【0075】
10 蛍光検出装置
20 外部流路
22 入口側流路(外部流路)
24 出口側流路(外部流路)
30 フローセル
42 照射部
44 受光部
50 蛍光検出装置
60 フローセル
P1 励起光
P2 蛍光
図1
図2
図3
図4
図5