(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物、並びにその硬化物
(51)【国際特許分類】
C08G 59/42 20060101AFI20221213BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20221213BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20221213BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20221213BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
C08G59/42
C08J5/18 CFC
G03F7/004 501
G03F7/004 512
G03F7/027
H05K3/28 D
H05K3/28 F
(21)【出願番号】P 2018110938
(22)【出願日】2018-06-11
【審査請求日】2021-03-24
(31)【優先権主張番号】10-2017-0135970
(32)【優先日】2017-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユン、グム-ヒ
(72)【発明者】
【氏名】リ、ファ-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、セオル-アー
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/121395(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/170959(WO,A1)
【文献】特開2016-177174(JP,A)
【文献】特開2017-161659(JP,A)
【文献】特開2018-119108(JP,A)
【文献】特開2010-235798(JP,A)
【文献】特開2001-253928(JP,A)
【文献】特開2003-330169(JP,A)
【文献】国際公開第2012/081295(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00-59/72
C08J 5/18
G03F 7/004
G03F 7/027
H05K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物の全重量を基準にして、
5~20重量部のエポキシ樹脂と、
20~25重量部のカルボキシル基含有感光性樹脂と、
1~3重量部の光重合開始剤と、
60重量部以上の無機充填材とを含み、
エポキシ基の当量数/カルボキシル基の当量数の値が1超過2未満である、光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物の全重量を基準にして、
5~20重量部のエポキシ樹脂と、
20~25重量部のカルボキシル基含有感光性樹脂(ただし、ビスフェノールフルオレン骨格を有するカルボキシル基含有樹脂を含有するものを除く。)と、
1~3重量部の光重合開始剤と、
60重量部以上の無機充填材とを含み、
エポキシ基の当量数/カルボキシル基の当量数の値が1超過2未満である、光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
30mgKOH/g未満の酸価を有する請求項1
または請求項2に記載の光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
硬化後の架橋密度(ρ)が、50×10
3mol/m
3~150×10
3mol/m
3である請求項1
から請求項3のいずれか一項に記載の光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
硬化後のガラス転移温度が、180℃以上である請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物の全重量を基準にして0.5~2重量部の感光性アクリレート化合物をさらに含む請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
顔料、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、及びシランカップリング剤のうちの1種以上の化合物を含む請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載の光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物をキャリアフィルムに塗布及び乾燥して製造されたドライフィルム。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物、または前記光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物をキャリアフィルムに塗布及び乾燥して製造されたドライフィルムを光硬化及び熱硬化した、硬化物。
【請求項10】
55μm以下の直径を有するビアホールを含む請求項
9に記載の硬化物。
【請求項11】
ビアホールの下面直径/ビアホールの上面直径の百分率は、80%以上である請求項
10に記載の硬化物。
【請求項12】
請求項
9から請求項
11のいずれか1項に記載の硬化物を含む基板。
【請求項13】
前記基板は、高周波インダクタ基板である請求項
12に記載の基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物、並びにその硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
多層ビルドアップ基板または高周波インダクタ基板は、一般的に下記の工程により製造することができる。
【0003】
先ず、回路が形成された基板上に、感光性樹脂組成物で構成されたフィルムをラミネートする。次に、上記フィルムの所定部分にUVを照射し、その所定部分を露光して硬化させる。
【0004】
その後、上記フィルムをアルカリ水溶液で現像し、露光していない未硬化部分を除去することにより、基板上に感光性樹脂組成物の硬化物で構成される絶縁層を形成する。
【0005】
上記硬化物の絶縁層にメッキ処理を施してビアホールを形成した後、最終的に積層して多層ビルドアップ基板または高周波インダクタ基板を製造する。
【0006】
一方、多層ビルドアップ基板または高周波インダクタ基板等の部品素子の層間絶縁層の厚さが増加するほどビアホールの底部の残渣面積が増加する傾向にある。また、感光性樹脂組成物にフィラーが60%以上含有される場合、酸価が大きいほど現像速度が速くなってフィラーがともに現像されず、残渣として残る問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物中のエポキシ基の当量数/カルボキシル基の当量数の値、及び架橋密度を調整することで、ビアホールの底部の残渣、ビアホールのテーパー(taper)等の問題を最小化し、優れた熱特性を有する硬化物を形成できる光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物、並びに上記組成物で形成された層間絶縁層を含む部品素子に関する。
【0009】
本発明の一側面によれば、エポキシ樹脂と、カルボキシル基含有感光性樹脂と、光重合開始剤と、充填材とを含み、エポキシ基の当量数/カルボキシル基の当量数の値が1超過2未満である、光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物が提供される。
【0010】
本発明の一実施例によれば、上記光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物は、30mgKOH/g未満の酸価を有することができる。
【0011】
本発明の一実施例によれば、上記光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物は、硬化後の架橋密度(ρ)が、50×103mol/m3~150×103mol/m3であることができる。
【0012】
本発明の一実施例によれば、上記光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物は、硬化後のガラス転移温度が180℃以上であることができる。
【0013】
本発明の一実施例によれば、上記光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物は、光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物の全重量を基準にして、5~20重量部のエポキシ樹脂と、20~25重量部のカルボキシル基含有感光性樹脂と、1~3重量部の光重合開始剤と、60重量部以上の無機充填材とを含むことができる。
【0014】
本発明の一実施例によれば、上記光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物は、光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物の全重量を基準にして0.5~2重量部の感光性アクリレート化合物をさらに含むことができる。
【0015】
本発明の一実施例によれば、上記光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物は、顔料、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、及びシランカップリング剤のうちの1種以上の化合物を含むことができる。
【0016】
本発明の他の側面によれば、上記光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物をキャリアフィルムに塗布及び乾燥して製造されたドライフィルムが提供される。
【0017】
本発明のまた他の側面によれば、上記光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物、または上記光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物をキャリアフィルムに塗布及び乾燥して製造されたドライフィルムを光硬化及び熱硬化した、硬化物が提供される。
【0018】
本発明の一実施例によれば、上記硬化物は、55μm以下直径のビアホールを有することができる。
【0019】
本発明の一実施例によれば、上記ビアホールの下面直径/ビアホールの上面直径の百分率は、80%以上であることができる。
【0020】
本発明のまた他の側面によれば、上記硬化物を含む基板が提供される。
【0021】
本発明の一実施例によれば、上記基板は、高周波インダクタ基板であってもよい。
【0022】
本発明の一実施例によれば、本発明に係る樹脂組成物を用いると、絶縁層の厚さが増加してもビアホールの底部の残渣を最小化して、薄膜基板であっても微細ビア及び微細ピッチの形成が可能である。
【0023】
本発明の一実施例によれば、本発明に係る樹脂組成物を用いると、多量のフィラーを含んでも、ビアホールの形成の際にオフセット(offset)を防止することができるので、薄膜基板であっても微細ビア及び微細ピッチの形成が可能である。
【0024】
本発明の一実施例によれば、本発明に係る樹脂組成物を用いると、熱特性に優れた硬化物を形成することができる。
【0025】
本発明の一実施例によれば、本発明に係る樹脂組成物を用いると、感度、解像性及び耐熱性などの諸特性に優れた硬化被膜のパターンを形成することができ、信頼性の向上された多層ビルドアップ基板及び高周波インダクタ基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施例によりビアホールの残渣が最小化されることを示すビアの平面写真である。
【
図2】本発明の実施例により、ビアホールの下面直径/ビアホールの上面直径の百分率(テーパー)が増加することを示すグラフである。
【
図3】本発明の一実施例に係る硬化物のガラス転移温度が増加することを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は様々な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるため、特定実施例を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物及び代替物を含むものとして理解すべきである。
【0028】
本出願で用いた用語は、ただ特定の実施例を説明するために用いたものであって、本発明を限定するものではない。
【0029】
本出願において、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在を指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性をあらかじめ排除するものではないことを理解しなくてはならない。
【0030】
本発明を説明するに当たって関連する公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明にすると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0031】
本発明の一具現例によると、エポキシ樹脂と、カルボキシル基含有感光性樹脂と、光重合開始剤と、充填材とを含み、エポキシ基の当量数/カルボキシル基の当量数の値が、1超過2未満である、光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物が提供される。
【0032】
絶縁層の厚さが増加してもビアホールの底部の残渣を最小化するために、光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物中のエポキシ基の当量数/カルボキシル基の当量数の値を、1超過2未満にすることが好ましい。これにより、薄膜基板においても微細ビア及び微細ピッチの形成が可能である。これに限定されないが、光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物中のエポキシ基の当量数/カルボキシル基の当量数の値が2以上である場合は、ビアホールの底部に残渣が生ずることがある。
【0033】
上記光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物は、10mgKOH/g以上、30mgKOH/g未満の酸価を有することができる。これに限定されないが、光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物の酸価が、20mgKOH/g以下である場合が好ましく、15mgKOH/g以下である場合がさらに好ましいが、10mgKOH/g未満であると、アルカリ現像性が低下することがある。これに限定されないが、光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物の酸価が、30mgKOH/g以上であると、現像の際に現像速度が速くなって無機充填材がともに現像されないおそれがある。
【0034】
本発明に係る樹脂組成物を用いると、多量のフィラーを含んでもビアホールの形成の際にオフセットを防止できるので、薄膜基板においても微細ビア及び微細ピッチの形成が可能である。
【0035】
上記光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物は、硬化後の架橋密度(ρ)が、50×103mol/m3~150×103mol/m3であることができる。
【0036】
これに限定されないが、上記光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物は、硬化後の架橋密度(ρ)が50×103mol/m3~150×103mol/m3である場合、剛性(modulus)に優れた硬化物の提供に好適である。
【0037】
上記光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物は、硬化後のガラス転移温度が、180℃以上であることができる。
【0038】
これに限定されないが、上記光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物は、硬化後のガラス転移温度が、180℃以上であるので、本発明の光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物は、硬化後の架橋密度(ρ)が50×103mol/m3~150×103mol/m3である場合、剛性に優れ、特に高温においても優れた剛性を維持することができる。このため、本発明の光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物を用いると、熱特性に優れた硬化物を形成することができ、高温信頼性の高い電子部品素子を製造することができる。
【0039】
上記光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物は、光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物の全重量を基準にして、5~20重量部のエポキシ樹脂と、20~25重量部のカルボキシル基含有感光性樹脂と、1~3重量部の光重合開始剤と、60重量部以上の無機充填材とを含むことができる。
【0040】
上記光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物は、光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物の全重量を基準にして0.5~2重量部の感光性アクリレート化合物をさらに含むことができる。
【0041】
上記光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物は、顔料、増粘剤、消泡剤、レベリング剤及びシランカップリング剤のうちの1種以上の化合物を含むことができる。
【0042】
以下では、一具現例に係る樹脂組成物を各成分別に、より具体的に説明する。
【0043】
<エポキシ基樹脂>
【0044】
一具現例に係る光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂は、熱硬化により酸変性オリゴマーなどと架橋結合を形成して、硬化物の耐熱性または機械的物性を担保することができる。
【0045】
エポキシ樹脂としては、公知慣用のエポキシ樹脂を用いることができる。このエポキシ樹脂としては、例えば、分子中に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物が挙げられる。
【0046】
上記多官能エポキシ化合物の具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、N-グリシジル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、キレート型エポキシ樹脂、グリオキサール型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノリック型エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、ヘテロサイクリックエポキシ樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、シリコン変性エポキシ樹脂、ε-カプロラクトン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0047】
また、難燃性を付与するために、リン等の原子がその構造中に導入されたものを用いることもできる。これらのエポキシ樹脂は、熱硬化することにより、硬化被膜の密着性、半田耐熱性、無電解メッキ耐性などの特性を向上させる。
【0048】
これに限定されないが、上記エポキシ樹脂は、光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物の全重量を基準にして1~30重量部、または5~20重量部含まれることが好適である。これに限定されないが、エポキシ樹脂の含量が1重量部未満であると、硬化後にカルボキシル基が残って耐熱性、耐アルカリ性、電気絶縁性などが低下することがあり、30重量部を超過すると、含量増加によるビア解像力の低下により、微細ビアの形成が困難となり、残渣の発生する確率が大きくなって、ビアホールの下面直径/ビアホールの上面直径の百分率が80%未満に低下するおそれがある。
【0049】
<カルボキシル基含有感光性樹脂>
【0050】
一具現例に係る光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物は、カルボキシル基含有感光性樹脂を含む。上記カルボキシル基含有感光性樹脂は、アルカリ現像性を付与する目的で、分子中にカルボキシル基を有している従来公知のカルボキシル基含有感光性樹脂を用いることができる。これに限定されないが、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、光硬化性や耐現像性の側面から、より好適である。また、上記不飽和二重結合は、アクリル酸またはメタアクリル酸または誘導体由来の物質が好適である。
【0051】
一方、エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを用いる場合は、組成物を光硬化性にするために、後述する分子中に1つ以上のエチレン性不飽和基を有する感光性モノマーを併用する必要がある。
【0052】
カルボキシル基含有感光性樹脂の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0053】
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸(a)と、スチレン、α-メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和二重結合を有する化合物(b)の共重合体の一部に、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基などのエチレン性不飽和基とエポキシ基、酸クロライド等の反応性基を有する化合物、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートを反応させて、エチレン性不飽和基を側鎖に導入することで得られるカルボキシル基含有感光性樹脂;
(2)グリシジル(メタ)アクリレート、α-メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基と、不飽和二重結合を有する化合物(c)と、不飽和二重結合を有する化合物(b)との共重合体に不飽和カルボン酸(a)を反応させ、得られた2級のヒドロキシ基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の飽和または不飽和多塩基酸無水物(d)を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂;
(3)無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和二重結合を有する酸無水物(e)と、不飽和二重結合を有する化合物(b)との共重合体にヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の1つのヒドロキシ基と、1つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物(f)とを反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂;
(4)後述するように、分子中に2つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(g)または多官能エポキシ化合物のヒドロキシ基を追加的にエピクロロヒドリンによりエポキシ化した多官能エポキシ樹脂のエポキシ基と、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノ-カルボン酸(h)のカルボキシル基をエステル化反応(全体エステル化または部分エステル化、好ましくは全体エステル化)させ、生成されたヒドロキシ基に追加的に飽和または不飽和多塩基酸無水物(d)を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性化合物。
【0054】
これに限定されないが、上記カルボキシル基含有感光性樹脂は、光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物の全重量を基準にして10~35重量部、または20~25重量部含まれることが好適である。これに限定されないが、カルボキシル基含有感光性樹脂の含量が10重量部未満であると、樹脂組成物の現像性が劣り、残渣の発生する確率が高くなるおそれがあり、35重量部を超過すると、現像液によって光硬化部が溶解され、信頼性が低下するおそれがある。
【0055】
<光重合開始剤>
【0056】
一具現例に係る光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤を含む。
【0057】
光重合開始剤は、公知のもの用いることができ、これに限定されないが、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、4-(1-t-ブチルジオキシ-1-メチルエチル)アセトフェノン等のアセトフェノン類;2-メチルアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4-(1-t-ブチルジオキシ-1-メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'-テトラキス(t-ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類等を用いることができる。
【0058】
これに限定されないが、上記光重合開始剤は、光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物の全重量を基準にして約0.5~10重量部、または1~5重量部、または1~3重量部含まれることができる。光開始剤の含量が小さすぎると、光硬化が十分に進まないことがあり、逆に過度に大きくなると、樹脂組成物の解像度が低下することや、硬化物の信頼性が十分ではないおそれがある。
【0059】
<充填材>
【0060】
一具現例に係る光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物は、充填材を含む。
【0061】
これに限定されないが、上記充填材は、無機または有機充填材を用いることができ、例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素、シリカ、タルク、クレー、ハイドロタルサイト、及び雲母粉から1種以上選択することができる。これに限定されないが、上記無機充填材としては、シリカが好適である。
【0062】
これに限定されないが、上記無機充填材の粒子の大きさは、等価直径(equivalent diameter)を基準にして、50nm~3μmであってもよく、100nm~1μmが好適である。無機充填材の粒子の大きさが50nm未満であると、機械的強度が低下するおそれがあり、3μmを超過すると、光散乱により光透過率の低下するおそれがある。
【0063】
これに限定されないが、上記充填材は、光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物の全重量を基準にして、約50重量部、または60重量部以上含まれることが可能である。充填材の含量が小さすぎると、硬化物の強度が低下し、逆に過度に大きくなると、樹脂組成物の粘度が高くなってコーティング性が低下したり、樹脂または回路(金属)層との界面接着力が過度に低下することになり、また粗強(brittle)になって割れ易くなったり、クラックが生じやすくなって、ハンドリングが困難となり、また工程性が低下するだけでなく、信頼性も悪くなるおそれがある。
【0064】
<光重合性モノマー>
【0065】
一具現例に係る樹脂組成物は、光重合性モノマーを含む。この光重合性モノマーは、光硬化が可能な不飽和作用基を有する化合物になることができる。
【0066】
この光重合性モノマーとしては、室温で液状であるものを用いることができ、これにより、一具現例に係る樹脂組成物の粘度を塗布方法に合わせて調整したり、非露光部のアルカリ現像性をより向上させる役割をともに果たすことができる。
【0067】
上記光重合性モノマーとしては、例えば、2つ以上の光硬化可能な不飽和作用基を有するアクリレート系化合物を用いることができる。より具体的な例として、ペンタエリトリトールのアクリレートまたはメタアクリレート、またはジペンタエリトリトールのアクリレートまたはメタアクリレート等の水酸基含有のアクリレート系化合物;トリメチロールプロパンのアクリレートまたはメタアクリレート、ペンタエリトリトールのアクリレートまたはメタアクリレート、またはジペンタエリトリトールヘキサアクリレート等の多価アルコールの多官能ポリエステルアクリレート系化合物;水素添加ビスフェノールA等の多官能アルコールまたはビスフェノールA、ビフェノール等の多価フェノールのエチレンオキシド付加物及び/またはプロピレンオキシド付加物のアクリレート系化合物;上記水酸基含有アクリレートのイソシアネート変性物である多官能または単官能ポリウレタンアクリレート系化合物;ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテルまたはフェノールノボラックエポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸付加物であるエポキシアクリレート系化合物;ε-カプロラクトン変性ジペンタエリトリトールのアクリレート、またはカプロラクトン変性アクリレート系化合物等のカプロラクトン変性のアクリレート系化合物、及び上述したアクリレート系化合物に対応するメタクリレート系化合物等の感光性(メタ)アクリレート化合物からなる群より選択された1種以上の化合物を用いることができ、これらを単独または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0068】
この中、上記光重合性モノマーとしては、1分子中に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート系化合物を好ましく用いることができ、特にペンタエリトリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、またはカプロラクトン変性ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等を適宜用いることができる。商業的に入手可能な光重合性モノマーの例としては、カヤラドのDPEA-12等が挙げられる。
【0069】
上述した光重合性モノマーの含量は、樹脂組成物の全重量に対して約0.1~10重量部、または約0.5~5重量部、または約0.5~2重量部であることができる。光重合性モノマーの含量が小さすぎると、光硬化が十分に行われないおそれがあり、過度に大きくなると、硬化物の乾燥性が悪くなり、物性が低下するおそれがある。
【0070】
<顔料>
【0071】
一具現例に係る光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物は、顔料を含む。
【0072】
顔料は、視認性、隠蔽力を発揮して回路線のスクラッチのような欠陷を隠す役割をする。
【0073】
上記顔料には、有機顔料及び無機顔料すべてが含まれることができ、白色顔料、黒色顔料及びカラー着色顔料の単独または組み合わせて用いることができる。
【0074】
上記白色顔料としては、酸化チタンを用いることができる。
【0075】
上記黒色有機顔料としては、ペリレンブラック、シアニンブラック、アニリンブラック、ラックタムブラック等を用いることができ、黒色無機顔料としては、カーボンブラック(ランプブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラックなど)、酸化クロム、酸化鉄、チタンブラック、酸窒化チタン、チタン窒化物、チタン酸ストロンチウム、酸化クロムまたはセリア等を用いることができる。
【0076】
上記黒色顔料と混合して使用可能なカラー着色顔料には、カーミン6B(C.I.12490)、フタロージアニングリーン(C.I.74260)、フタロージアニンブルー(C.I.74160)、リノールイエロー(C.I.21090)、リノールイエローGRO(C.I.21090)、ベンジジンイエロー4T-564D、ビクトリアピュアーブルー(C.I.42595)、C.I.PIGMENT RED97、122、149、168、177、180、192、215、C.I.PIGMENT GREEN 7、36、C.I.PIGMENT BLUE 15:1、15:4、15:6、22、60、64、C.I.PIGMENT YELLOW83、139、C.I.PIGMENT VIOLET 23等があり、その他にも白色顔料、蛍光顔料等を用いることもできる。
【0077】
これに限定されないが、上記顔料は光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物の全重量を基準にして約0.5~3重量部を用いることが好適である。0.5重量部未満であると、視認性及び隠蔽力が劣ることになり、3重量部を超過すると、ビア解像力及び耐熱性が劣ることになる。
【0078】
<添加剤>
【0079】
一具現例に係る光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物は、添加剤を含む。
【0080】
添加剤は、樹脂組成物の気泡を除去したり、フィルムコーティングのとき、表面のポッピング(popping)やクレータ(crater)を除去、難燃性質の付与、粘度調整、触媒などの役割のために添加可能である。
【0081】
具体的には、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイト等の公知寛容の増粘剤;シリコン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤及び/またはレベリング剤;イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤;リン系難燃剤、アンチモン系難燃剤等の難燃剤などの公知寛容の添加剤類を配合することができる。
【0082】
この中、レベリング剤は、フィルムコーティングのとき、表面のポッピングやクレータを除去する役割を果たし、例えば、BYK-Chemie GmbHのBYK-380N、BYK-307、BYK-378、BYK-350等を用いることができる。
【0083】
添加剤の含量は、光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物の全重量を基準にして約0.01~10重量部が好適である。
【0084】
一方、本発明の他の具現例によれば、上記光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物をキャリアフィルムに塗布及び乾燥して得られたドライフィルムが提供される。
【0085】
本発明のまた他の側面によれば、上記光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物、または上記光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物をキャリアフィルムに塗布及び乾燥して得られたドライフィルムを光硬化及び熱硬化した、硬化物が提供される。
【0086】
本発明の一実施例によれば、上記硬化物は、1~30μmの厚さを有することができる。本発明によれば、薄膜基板においても微細ビア及び微細ピッチの形成が可能である。
【0087】
本発明の一実施例によれば、上記硬化物は、55μm以下の直径のビアホールを有することができる。本発明によれば、微細ビア及び微細ピッチの形成が可能である。
【0088】
本発明の一実施例によれば、上記ビアホールの下面直径/ビアホールの上面直径の百分率は、80%以上であることができる。本発明によれば、オフセットの制御により垂直形態に類似したビアホールを形成することができる。
【0089】
本発明のまた他の側面によれば、上記硬化物を含む基板が提供される。
【0090】
本発明の一実施例によれば、本発明に係る樹脂組成物を用いると、感度、解像性、及び耐熱性等の諸特性に優れた硬化被膜のパターンを形成することができ、信頼性に優れた多層ビルドアップ基板及び高周波インダクタ基板を提供することができる。
【0091】
上記一実施例の光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物を用いてドライフィルムソルダーレジスト(SR)を製造する過程を概略的に説明すると、次の通りである。
【0092】
先ず、キャリアフィルム(Carrier Film)に、感光性コーティング材料(Photosensitive Coating Materials)として上記一実施例の樹脂組成物を、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーターまたは噴霧コーター等で塗布した後に、50~130℃の温度のオーブンで1~30分間通過させて乾燥した後に、離型フィルム(Release Film)を積層することにより、下からキャリアフィルム、感光性フィルム、離型フィルムで構成されるドライフィルムを製造することができる。
【0093】
その後、離型フィルムを剥がした後に、回路が形成されている基板上にドライフィルムを真空ラミネート、ホットロールラミネート、または真空プレス等を用いて接合する。
【0094】
次に、基材を一定の波長帯を有する光線(UVなど)により露光する。露光は、フォトマスクにより選択的に露光するか、またはレーザダイレクト露光機により直接パターン露光することもできる。キャリアフィルムは、露光後に剥離される。露光量は、塗膜厚さに応じて異なるが、0~1,000mJ/m3が好ましい。上記露光を行うと、例えば、露光部では光硬化が起こってカルボキシル基含有感光性樹脂と、光反応性モノマーなどに含まれた不飽和作用基との間に架橋結合が形成でき、その結果、以後の現像によって除去されない状態になることができる。これに対して、非露光部では上記架橋結合及びこれによる架橋構造が形成されず、カルボキシル基が維持されて、アルカリ現像可能な状態になることができる。
【0095】
次に、アルカリ溶液等を用いて現像する。アルカリ溶液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液を用いることができる。この現像により、露光部のフィルムのみ残留することができる。
【0096】
最後に、加熱硬化することにより(Post Cure)、感光性フィルムで形成されるソルダーレジストを含むプリント回路基板を完成する。加熱硬化温度は、100℃以上が好適である。
【0097】
上記ドライフィルムソルダーレジストは、プリント回路基板用保護フィルムとして使用できる。
【0098】
上記ドライフィルムソルダーレジストは、半導体素子のパッケージ基板の製造に使用できる。特に、外部衝撃保護用として最外層に使用されるソルダーレジストや最終製品に残らないドライフィルムソルダーレジストではなく、従来フィルムやポリプロピレングリコール(PPG)などを代替可能な製品内部の多層ビルドアップ基板の層間絶縁層、特に高周波インダクタ用絶縁層に有用に使用できる。これは、全重量を基準にして約50重量部以上の無機充填材(シリカ)を含むので、反りを防止するための剛性が十分であり、微細ビアの形成が可能であるので、高密度微細回路に対応可能であり、液状ではなくフィルム形態に加工できるので、ハンドリングや加工性が容易であるからである。
【0099】
以下では、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。しかし、本発明が下記の実施例に限定されることはない。
【実施例】
【0100】
[実施例及び比較例:樹脂組成物及びドライフィルムソルダーレジストの製造]
【0101】
実施例1、2、及び比較例1~3の樹脂組成物は、下記の表1に示した成分を混合して製造した。
【0102】
上記組成物を用いて、厚さ15μmのフィルムをキャスティング(hand casting)により製造した。
【0103】
製造されたフィルムのビア解像力を検証するために、CZ処理されたCCLにフィルムを2回V-ラミネーションした。ラミネーション温度は、60~100℃に設定した。
【0104】
その後、UV-DI装備を用いて、200~400mJでオフセットなしに露光した。
【0105】
未露光の部分を除去するために現像工程を行い、垂直現像機を用いて80~150s間現像した。
【表1】
【0106】
(比較例1)
エポキシ基とカルボキシル基の当量比を1にしたこと以外には、実施例1と同様にして、樹脂組成物及びドライフィルムソルダーレジストを製造した。
【0107】
(比較例2)
エポキシ基とカルボキシル基の当量比を2にし、光重合モノマーを除外したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物及びドライフィルムソルダーレジストを製造した。
【0108】
(比較例3)
エポキシ基とカルボキシル基の当量比を2にすること以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物及びドライフィルムソルダーレジストを製造した。
【0109】
実施例及び比較例で製造されたドライフィルムソルダーレジストの物性を、下記の方法により評価した。結果を表1に示す。
【0110】
(1)充填材の残渣
【0111】
上記実施例1、2及び比較例1~3のソルダーレジスト組成物を、キャスティングしてフィルムに製作した後、それぞれ銅箔基板上に真空ラミネーションし、熱風循環式乾燥炉で60~100℃で1~3分間乾燥し、噴霧圧0.2MPaで1質量%のNa2CO3水溶液により2分間現像して、その塗膜表面の現像性を以下の基準に基づいて評価した。
○:塗膜が完全に除去されて残渣がない。
△:微かに充填材の残渣がある。
×:塗膜残渣がある。
【0112】
図1は、本発明の一実施例により、ビアホールの残渣が最小化されることを示すビアホールの平面写真である。
【0113】
図2は、本発明の実施例により、ビアホールの下面直径/ビアホールの上面直径の百分率(テーパー)が増加することを示すグラフである。
【0114】
本発明の一実施例によれば、オフセット及びアンダーカットのない垂直形態の微細ビアホールを形成することができる。
【0115】
(2)架橋密度及びガラス転移温度
【0116】
上記実施例1、2及び比較例1~3の組成物でキャスティングして製作されたフィルムから塗膜を採取し、測定機器にセッティングした。
【0117】
測定装置/TA インスツルメンツ社製
形式:Q800
測定条件/測定温度:20~300℃
昇温速度:5℃/分
周波数:1Hz
変形モード:引張モード
測定塗膜大きさ:20mmL×5mmW
【0118】
JIS K7244-4に記載の試験方法により、動的粘弾性試験を行い、E'(貯蔵弾性率)、E''(損失弾性率)を得て、これらから数学式1により本発明の架橋密度(ρ)及びガラス転移温度(Tg)を求めた。結果を下記の表1及び
図3に示した。
【0119】
[数学式1]
ρ=E'min/3ΦRT
式中、ρは、架橋密度(mol/m3)、E'minは、貯蔵弾性率E'(N/m2)の最小値、Φは、フロント係数≒1、Rは、気体定数(Nm/molK)、Tは、E'minの絶対温度(K)を示す。
【0120】
図3は、本発明の一実施例に係る硬化物のガラス転移温度が増加することを示すグラフである。
【0121】
したがって、上記実施例により、本発明の光硬化性及び熱硬化性樹脂組成物を用いれば、感度、解像性、密着性、耐熱性、耐薬品性などの諸特性に優れた硬化被膜のパターンを形成できることが確認された。
【0122】
以上、本発明を具体的な実施例により詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのことであって、本発明を限定することではなく、本発明の技術的思想内で当分野の通常の知識を有する者によりその変形や改良が可能であることは明らかである。
【0123】
本発明の単純な変形及び変更はすべて本発明の領域に属するものとなり、本発明の具体的な保護範囲は、添付した特許請求の範囲により明確になるであろう。