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特許7193076筐体、自動販売機及びデータ分析システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】筐体、自動販売機及びデータ分析システム
(51)【国際特許分類】
   G07F 9/10 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
G07F9/10 H
G07F9/10 102Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018132203
(22)【出願日】2018-07-12
(65)【公開番号】P2020009353
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】506150146
【氏名又は名称】ビフレステック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518249502
【氏名又は名称】株式会社ドリスタ
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100195877
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻木 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】三澤 誠
(72)【発明者】
【氏名】太田 謙一
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-092242(JP,A)
【文献】特開2014-021502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 9/00 - 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の収納部を備える筐体において、
前記収納部は電子機器を収納し、
前記電子機器はセンサーと、通信部と、二次電池と、第1の充放電制御部とを備え、
前記センサーは前記筐体の外部の物理量を検出して電気信号を出力し、
前記通信部は前記センサーが出力した電気信号を前記筐体の外部に送信し、
前記二次電池は前記センサーと前記通信部と前記第1の充放電制御部とを駆動し、
前記第1の充放電制御部は前記二次電池の充放電制御を行い、
前記収納部は第1の温度管理部を備え、
前記第1の温度管理部は前記電子機器の温度を制御し、
前記筐体は2以上の前記収納部と、ルーターとを備え、
前記収納部は接続部を備え、
前記接続部と前記通信部は有線で接続され、
前記接続部と前記ルーターは有線で接続され、
前記ルーターと電気通信回線は有線又は無線で接続され、
前記電気信号は、前記通信部から前記接続部と前記ルーターを介して前記電気通信回線に送信されることを特徴とする筐体。
【請求項2】
請求項1に記載の筐体において、
前記筐体に電気が供給され、
前記収納部は電力供給部を備え、
前記電力供給部は前記筐体に供給される電気を前記二次電池に供給し、
前記電力供給部は第2の充放電制御部を備え、
前記第2の充放電制御部は前記二次電池の充放電制御を行うことを特徴とする筐体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の筐体を用いることを特徴とする自動販売機。
【請求項4】
請求項に記載の自動販売機において、
前記自動販売機は商品と、第2の温度管理部とを備え、
前記自動販売機は前記商品を販売し、
前記第2の温度管理部は前記商品の温度を制御し、
前記第1の温度管理部は、前記電子機器の温度制御に前記第2の温度管理部を流用することを特徴とする自動販売機。
【請求項5】
1以上の請求項又はに記載の自動販売機と、電子計算機とを備えるデータ分析システムにおいて、
前記電子計算機と前記電気通信回線は有線又は無線で接続され、
前記電気信号は前記電気通信回線を介して前記電子計算機に収集されることを特徴とするデータ分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体、自動販売機及びそれを備えるデータ分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話、監視カメラ、携帯用放射線検出器といった電子機器は、センサーと、通信部と、二次電池と、充放電制御部とを備える。二次電池の性能劣化の原因は、充電回数の他、過充電、過放電がある。特に、二次電池が過充電されると発熱、発火のおそれもある。そこで、充放電制御部は、二次電池が過充電、過放電にならないように二次電池の充放電制御を行う。こうして、二次電池の発熱、発火事故を防止するとともに、二次電池の性能劣化を防止し、耐用時間を延ばすことができる。なお、ここでは、センサーとは、温度・湿度・気圧・圧力・流量・光・磁気・電磁波・放射線・ガス・浮遊粒子状物質・音波・加速度等の物理量を検知し、電気信号に変換して出力する素子であり、イメージセンサーも含む。また、二次電池とは、充電によって繰り返し使用できる電池であり、充電池、蓄電池、バッテリーともいう。更に、電気通信回線とは、有線又は無線により双方向に通信可能な電気通信手段であり、例えば、インターネットを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
二次電池は、温度によっても性能や耐用時間が変動する。携帯電話、監視カメラ、携帯用放射線検出器といった電子機器は、収納場所において温度が管理されていないため、過熱や過冷却による二次電池の性能劣化や耐用時間短縮という問題があった。また、場合によっては、発熱、発火事故につながる問題もあった。
【0004】
本発明の幾つかの態様は、電子機器に備えられる二次電池の発熱、発火事故を防止するとともに、耐用時間を延ばすことができる筐体、自動販売機及びそれを備えるデータ分析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の第1の態様は、1以上の収納部を備える筐体において、収納部は電子機器を収納し、電子機器はセンサーと、通信部と、二次電池と、第1の充放電制御部とを備え、センサーは筐体の外部の物理量を検出して電気信号を出力し、通信部はセンサーが出力した電気信号を筐体の外部に送信し、二次電池はセンサーと通信部と第1の充放電制御部とを駆動し、第1の充放電制御部は二次電池の充放電制御を行い、収納部は第1の温度管理部を備え、第1の温度管理部は電子機器の温度を制御することを特徴とする筐体に関する。
【0006】
第1の充放電制御部は、二次電池が過充電、過放電にならないように二次電池の充放電制御を行うため、二次電池の発熱、発火事故を防止するとともに、耐用時間を延ばすことができる。また、収納部に備えられる第1の温度管理部は、電子機器の温度を制御するため、電子機器に備えられる二次電池の温度を適切に維持することができ、二次電池の耐用時間を更に延ばすことができる。このため、電子機器に備えられるセンサーと通信部をより長時間駆動し、センサーが出力した電気信号を筐体の外部により長時間送信することができる。
【0007】
(2)本発明の第1の態様では、筐体は電気が供給され、収納部は電力供給部を備え、電力供給部は筐体に供給される電気を二次電池に供給し、電力供給部は第2の充放電制御部を備え、第2の充放電制御部は、二次電池が過充電、過放電にならないように二次電池の充放電制御を行うことが好ましい。電力供給部は筐体に供給される電気で二次電池を充電することができるため、センサーと通信部と第1の充放電制御部を安定かつ連続的に駆動することができるからである。また、第2の充放電制御部は、二次電池が過充電、過放電にならないように二次電池の充放電制御を行うことができるため、二次電池の性能劣化を防止し、耐用時間を更に延ばすことができるからである。更に、第1の充放電制御部が不具合の場合も、第2の充放電制御部の充放電制御によって二次電池の発熱、発火事故を防止することができるからである。
【0008】
(3)本発明の第1の態様では、筐体は2以上の収納部と、ルーターとを備え、収納部は接続部を備え、接続部と通信部は有線で接続され、接続部とルーターは有線で接続され、ルーターと電気通信回線は有線又は無線で接続され、電気信号は、通信部から接続部とルーターを介して電気通信回線に送信されることが好ましい。センサーが出力した電気信号は、ルーターを介して筐体の外部に一括で送信されるため、通信部はルーターとの通信だけを行えばよく、通信部を簡単にすることができるからである。
【0009】
(4)本発明の第1の態様では、筐体は2以上の収納部を備え、通信部と電気通信回線は無線で接続され、電気信号は、通信部から電気通信回線に送信されることを特徴とする筐体が好ましい。センサーが出力した電気信号は、通信部から電気通信回線に直接送信されるため、筐体の内部の通信用配線を変更することなく、電子機器(センサー)を容易に交換することができるからである。
【0010】
(5)本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の筐体を用いることを特徴とする自動販売機に関する。自動販売機は一般に電気が供給され、防犯措置も備える。加えて、自動販売機は全国津々浦々に数百万台設置されている。したがって、筐体を自動販売機に用いることにより、このような無人かつ安全な電子機器の収納部を全国津々浦々に提供することができる。また、このような収納部を、電子機器の収納にレンタルすることにより、自動販売機が販売する商品以外からも収入を得ることができる。
【0011】
(6)本発明の第2の態様では、自動販売機は商品と、第2の温度管理部とを備え、自動販売機は商品を販売し、第2の温度管理部は商品の温度を制御し、第1の温度管理部は、電子機器の温度制御に第2の温度管理部を流用することが好ましい。商品の温度を制御する第2の温度管理部を電子機器の温度制御に流用することにより、自動販売機の構造を簡単にすることができるからである。
【0012】
(7)本発明の第3の態様は、1以上の本発明の第2の態様の自動販売機と、電子計算機とを備えるデータ分析システムにおいて、電子計算機と電気通信回線は有線又は無線で接続され、電気通信回線に送信されたセンサーの電気信号は、電気通信回線を介して電子計算機に収集されることを特徴とするデータ分析システムに関する。
【0013】
自動販売機の設置場所における、全国津々浦々のセンサーの電気信号は、電気通信回線を介して電子計算機に収集され、収集データを電子計算機によって分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態の筐体の概要を示す。
図2】本実施形態の収納部の概要を示す。
図3】本実施形態の筐体の概要を示す。
図4】本実施形態の筐体の概要を示す。
図5】本実施形態のデータ分析システムの概要を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成のすべてが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0016】
本実施形態の筐体10の概要を図1に示す。筐体10は、1以上の収納部11を備える。筐体10は、例えば、自動販売機に用いることができる。筐体10における収納部11の設置場所は、筐体10の用途に悪影響を与えない限り、特に制限はない。筐体10が自動販売機に用いられる場合、自動販売機には、販売する商品、商品の温度を管理するための温度管理部、決済手段、自動販売機を稼働させるための電気設備といったもの(自動販売機の本来設備)が搭載される。温度管理部は、例えば、コンプレッサーが用いられ、決済手段は、例えば、現金、電子マネー、クレジットカードが用いられる。収納部11の設置場所は、これら自動販売機の本来設備に悪影響を与えない限り、特に制限はなく、例えば、自動販売機の本来設備よりも上側(自動販売機の最上部)や温度管理部の空きスペースが挙げられる。
【0017】
本実施形態の収納部11の概要を図2に示す。収納部11は電子機器12を収納する。収納部11に収納される電子機器12は1以上であり、2以上でもよい。電子機器12はセンサー13と、通信部14と、二次電池15と、第1の充放電制御部16とを備える。センサー13は筐体10の外部の物理量18を検出して電気信号(図示せず)を出力する。センサー13が検出する筐体10の外部の物理量18には、例えば、温度、湿度、気圧、風速、光、磁気、電磁波、放射線、ガス、浮遊粒子状物質、音波、加速度が挙げられる。通信部14はセンサー13が出力した電気信号を筐体10の外部に送信する。二次電池15はセンサー13と通信部14と第1の充放電制御部16とを駆動する。第1の充放電制御部16は二次電池15が過充電、過放電にならないように二次電池15の充放電制御を行う。このため、二次電池15の発熱、発火事故を防止するとともに、耐用時間を延ばすことができる。収納部11は第1の温度管理部17を備える。第1の温度管理部17は電子機器12の温度を制御する。電子機器12に備えられる二次電池15の温度を適切に維持することができるため、二次電池15の耐用時間を更に延ばすことができる。このため、電子機器12に備えられるセンサー13と通信部14をより長時間駆動し、センサー13が出力した電気信号を筐体10の外部により長時間送信することができる。電子機器12は、特に制限はないが、例えば、携帯電話、監視カメラ、携帯用放射線検出器が挙げられる。第1の温度管理部17の温度制御方法は、特に制限はないが、例えば、空冷、水冷、ペルチェ素子、ヒートパイプ、コンプレッサー等が挙げられる。
【0018】
筐体10は電気が供給され、収納部11は電力供給部19を備え、電力供給部19は筐体10に供給される電気を二次電池15に供給する。電力供給部19は筐体10に供給される電気で二次電池15を充電することができるため、センサー13と通信部14と第1の充放電制御部16を安定かつ連続的に駆動することができる。電力供給部19は第2の充放電制御部20を備える。第2の充放電制御部20は二次電池15が過充電、過放電にならないように二次電池15の充放電制御を行う。このため、二次電池15の性能劣化を防止し、二次電池15の耐用時間を更に延ばすことができる。更に、第1の充放電制御部16が不具合の場合も、第2の充放電制御部20の充放電制御によって二次電池15の発熱、発火事故を防止することができる。
【0019】
筐体10は開口部21を備える。開口部21は物理量18が通過する開口であり、センサー13は開口部21を通過する物理量18を検出する。筐体10に備えられる開口部21を物理量18が通過するため、物理量18は減衰せず、センサー13の検出感度を良好に維持することができる。開口部21は物理量18が通過できればよく、視覚的な開口である必要はない。
【0020】
開口部21はマジックミラー(図示せず)を備え、マジックミラーは開口部21を覆う。センサー13がイメージセンサーであり、物理量18が光の場合、開口部21がマジックミラーで覆われているため、筐体10(収納部11)の内部にあるイメージセンサーを目隠しすることができる。このため、筐体10の外観を含むデザイン性を向上するとともに、いたずらを防止することができる。
【0021】
本実施形態の筐体10の概要を図3に示す。筐体10は2以上の収納部11と、ルーター22とを備え、収納部11は接続部23を備える。接続部23と通信部14は有線で接続され、接続部23とルーター22は有線で接続され、ルーター22と電気通信回線24は有線又は無線で接続され、センサー13が出力した電気信号は、ルーター22を介して電気通信回線24に送信される。2以上の収納部11に収納されるセンサー13が出力した電気信号は、ルーター22を介して筐体10の外部に一括で送信されるため、通信部14はルーター22との通信だけを行えばよく、通信部14を簡単にすることができる。
【0022】
本実施形態の筐体10の概要を図4に示す。筐体10は2以上の収納部11を備える。通信部14と電気通信回線24は無線で接続され、センサー13が出力した電気信号は、通信部14から電気通信回線24に送信される。センサー13が出力した電気信号は、通信部14から電気通信回線24に直接送信されるため、筐体10の内部の通信用配線を変更することなく、電子機器12(センサー13)を容易に交換することができる。
【0023】
本実施形態の通信部14又は接続部23は信号処理部(図示せず)を備える。信号処理部はセンサー13から出力された電気信号に信号処理を行う。この信号処理によって通信データ量を削減することができるため、通信時間を短縮することができる。
【0024】
本実施形態の筐体10は、上記のように、例えば、自動販売機に用いることができる。自動販売機は一般に電気が供給され、防犯措置も備える。加えて、自動販売機は全国津々浦々に数百万台設置されている。したがって、上記筐体10を自動販売機に用いることにより、このような無人かつ安全な収納部11を全国津々浦々に提供することができる。このような収納部11を、上記電子機器12の収納にレンタルすることにより、自動販売機が販売する商品以外からも収入を得ることができる。
【0025】
本実施形態の自動販売機は、特に図示しないが、一般に、販売する商品と、商品の温度を制御する第2の温度管理部とを備える。第1の温度管理部17は、電子機器12の温度制御に第2の温度管理部を流用することができる。これにより、自動販売機の構造を簡単にすることができる。第1の温度管理部17が第2の温度管理部を流用する方法は、第2の温度管理部の温度制御方法にもよるが、例えば、第2の温度管理部がコンプレッサーを用いる場合、冷媒の分流が挙げられる。
【0026】
本実施形態のデータ分析システム25の概要を図5に示す。データ分析システム25は、1以上の自動販売機26と、電子計算機27とを備える。電子計算機27と電気通信回線24は有線又は無線で接続され、電気通信回線24に送信されたセンサー13の電気信号は、電気通信回線24を介して電子計算機27に収集される。自動販売機26の設置場所における、全国津々浦々のセンサー13の電気信号は、電気通信回線24を介して電子計算機27に収集され、収集データを電子計算機27によって分析することができる。
【0027】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれる。例えば、明細書において、少なくとも一度、より広義又は同義の異なる用語とともに記載された用語は、明細書のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【符号の説明】
【0028】
10 筐体、11 収納部、12 電子機器、13 センサー(イメージセンサー)、14 通信部、15 二次電池、16 第1の充放電制御部、17 第1の温度管理部、18 物理量、19 電力供給部、20 第2の充放電制御部、21 開口部、22 ルーター、23 接続部、24 電気通信回線、25 データ分析システム、26 自動販売機、27 電子計算機
図1
図2
図3
図4
図5