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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】脱硝触媒、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/22 20060101AFI20221213BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B01J23/22 A ZAB
B01D53/86 222
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019538446
(86)(22)【出願日】2019-03-07
(86)【国際出願番号】 JP2019009203
(87)【国際公開番号】W WO2020179078
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】305027401
【氏名又は名称】東京都公立大学法人
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】清永 英嗣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和広
(72)【発明者】
【氏名】盛田 啓一郎
(72)【発明者】
【氏名】村山 徹
(72)【発明者】
【氏名】春田 正毅
(72)【発明者】
【氏名】秦 慎一
(72)【発明者】
【氏名】猪股 雄介
【審査官】若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-057469(JP,A)
【文献】特開平11-165068(JP,A)
【文献】特開昭57-038939(JP,A)
【文献】特開平07-204513(JP,A)
【文献】特開昭54-066390(JP,A)
【文献】特開平07-204514(JP,A)
【文献】Zhigang Lei, Aibin Long, Cuiping Wen, Jie Zhang, and Biaohua Chen,Experimental and Kinetic Study of Low Temperature Selective Catalytic Reduction of NO with NH3 over the V2O5/AC Catalyst,Industrial & Engineering Chemistry Research,米国,American Chemical Society,2011年03月25日,Vol. 50, No. 9,p.5360-5368,doi.org/10.1021/ie102110r,ISSN 0888-5885
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 23/22
B01D 53/86-53/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化バナジウムを含む脱硝触媒であって、前記酸化バナジウムは五酸化バナジウムを含み、前記五酸化バナジウムの結晶構造中に酸素原子が欠乏している欠陥サイトを有し、
前記五酸化バナジウムの結晶構造中に酸素原子が欠乏している欠陥サイトを有するとは、粉末X線回折法によって検出される、V の(001)面のピーク強度(P V2O5 )に対する、V 13 の(110)面のピーク強度(P v6O13 )の強度比(P v6O13 /P V2O5 )が0.08以上0.32以下であることを意味する、脱硝触媒。
【請求項2】
紫外可視近赤外吸収スペクトルにおける、波長600nmにおける反射率を1として規格化した波長1200nmの反射率が0.90以下である、請求項に記載の脱硝触媒。
【請求項3】
X線光電分光法によって検出される、光電子脱出深さである触媒表面から2nmまでの全バナジウムに対する4価のバナジウムの比率が0.20以上である、請求項1又は2に記載の脱硝触媒。
【請求項4】
稜共有3V-O変角振動に由来する波数590~670cm-1のピーク強度P3に対する、架橋V-O-V変角振動に由来する波数450~550cm-1のピーク強度P1の比(P1/P3)が1.6以下である、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の脱硝触媒。
【請求項5】
270℃以下での脱硝に用いられる請求項1から請求項のいずれか1項に記載の脱硝触媒。
【請求項6】
バナジン酸塩とキレート化合物とを混合し、270℃以下の温度で焼成する工程を備える、請求項1~のいずれか1項に記載の脱硝触媒の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱硝触媒、及びその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、燃料が燃焼することによって発生する排ガスを浄化する際に用いる脱硝触媒、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料の燃焼により大気中に排出される汚染物質の一つとして、窒素酸化物(NO,NO,NO,NO,N,N,N)が挙げられる。窒素酸化物は、酸性雨、オゾン層破壊、光化学スモッグ等を引き起こし、環境や人体に深刻な影響を与えるため、その処理が重要な課題となっている。
【0003】
上記の窒素酸化物を取り除く技術として、アンモニア(NH)を還元剤とする選択的触媒還元反応(NH-SCR)が知られている。特許文献1に記載のように、選択的触媒還元反応に用いられる触媒としては、酸化チタンを担体とし、酸化バナジウムを担持した触媒が広く使用されている。酸化チタンは硫黄酸化物に対して活性が低く、また安定性が高いため最も良い担体とされている。
【0004】
一方で、酸化バナジウムはNH-SCRにおいて主要な役割を果たすものの、SOをSOに酸化するので、酸化バナジウムを1wt%程度以上担持できなかった。また、従来のNH-SCRでは、酸化チタン担体に酸化バナジウムを担持させた触媒が低温ではほとんど反応しないので,350-400℃という高温で使用せざるを得なかった。
しかし、NH-SCRを実施する装置や設備の設計の自由度を高め、効率化するためには、低温でも高い窒素酸化物還元率活性を示す触媒の開発が求められていた。
【0005】
その後、本発明者らは、五酸化バナジウムが43wt%以上存在し、BET比表面積が30m/g以上であり、200℃以下での脱硝に用いられる脱硝触媒を見出した(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-275852号公報
【文献】特許第6093101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、上記特許文献2の更なる改良を試みて鋭意検討した結果、更に優れた窒素酸化物の還元率活性を示す脱硝触媒を見出した。
【0008】
本発明は、アンモニアを還元剤とする選択的触媒還元反応の際、従来技術に比較して、低温での脱硝効率が更に良い触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、酸化バナジウムを含む脱硝触媒であって、前記酸化バナジウムは五酸化バナジウムを含み、前記五酸化バナジウムの結晶構造中に酸素原子が欠乏している欠陥サイトを有する脱硝触媒に関する。
【0010】
また、前記脱硝触媒において、粉末X線回折法によって検出される、V(JCPDS00-009-0387)の(001)面のピーク強度(Pv2O5)に対する、V13(JCPDS01-071-2235)の(110)面のピーク強度(PV6O13)との強度比(PV6O13/Pv2O5)が0.08以上2.05以下であることが好ましい。
【0011】
また、前記脱硝触媒において、紫外可視近赤外吸収スペクトルにおける、波長600nmにおける反射率を1として規格化した波長1200nmの反射率が0.90以下であることが好ましい。
【0012】
また、前記脱硝触媒において、X線光電分光法によって検出される、光電子脱出深さである触媒表面から2nmまでの全バナジウムに対する4価のバナジウムの比率が0.20以上であることが好ましい。
【0013】
また、前記脱硝触媒において、稜共有3V-O変角振動に由来する波数590~670cm-1のピーク強度P3に対する、架橋V-O-V変角振動に由来する波数450~550cm-1のピーク強度P1の比(P1/P3)が1.6以下であることが好ましい。
【0014】
また、前記脱硝触媒は、270℃以下での脱硝に用いられることが好ましい。
【0015】
また、本発明は、バナジン酸塩とキレート化合物とを混合し、270℃以下の温度で焼成する工程を備える前記脱硝触媒の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る脱硝触媒は、アンモニアを還元剤とする選択的触媒還元反応の際、従来技術に比較して、低温での脱硝効率が更に良い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】各実施例及び比較例に係る触媒のNO転化率を示すグラフである。
図1B】実施例2に係る触媒のNO転化率の経時的変化を示すグラフである。
図2A】実施例1に係る触媒のTEM像である。
図2B】実施例1に係る触媒のTEM像である。
図2C】実施例2に係る触媒のTEM像である。
図2D】実施例2に係る触媒のTEM像である。
図2E】実施例3に係る触媒のTEM像である。
図2F】実施例3に係る触媒のTEM像である。
図2G】実施例4に係る触媒のTEM像である。
図2H】実施例4に係る触媒のTEM像である。
図2I】比較例1に係る触媒のTEM像である。
図2J】比較例1に係る触媒のTEM像である。
図3】各実施例の粉末XRDパターンを示すグラフである。
図4】(NH[VO(C]およびVO(C)を焼成した場合の、内部構造の変化の概略を示す図である。
図5】各実施例及び比較例に係る触媒の、Intensity Ratioと、NO転化率との関係を示すグラフである。
図6】各実施例及び比較例に係る触媒の、UV-Vis-NIR spectraを示すグラフである。
図7】各実施例及び比較例に係る触媒の波長1200nmにおける反射率と、NO転化率の関係を示すグラフである。
図8】各実施例及び比較例に係る触媒のラマンスペクトルを示すグラフである。
図9】各実施例及び比較例に係る触媒の赤外吸収スペクトルを測定して得られたスペクトル曲線を示すグラフである。
図10】各実施例に係る五酸化バナジウムの結晶構造を示す図である。
図11】各実施例及び比較例において、P1/P3の比を横軸とし、NO転化率を縦軸としたグラフである。
図12】各実施例及び比較例に係る触媒の、V2p領域におけるXPSスペクトルを示すグラフである。
図13】各実施例及び比較例に係る触媒の表面の、全バナジウムにおける4価のバナジウムの割合を横軸、NO転化率を縦軸とするグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
本発明の脱硝触媒は、酸化バナジウムを含む脱硝触媒であって、この酸化バナジウムは五酸化バナジウムを含み、この五酸化バナジウムの結晶構造中に酸素原子が欠乏している欠陥サイトを有する。このような脱硝触媒は、従来用いられているバナジウム/チタン触媒等の脱硝触媒に比べて、低温環境下でも高い脱硝効果を発揮できる。
【0020】
第1に、本発明の脱硝触媒は、酸化バナジウムを含む。この酸化バナジウムは、酸化バナジウム(II)(VO)、三酸化バナジウム(III)(V)、二酸化バナジウム(IV)(V)、五酸化バナジウム(V)(V)を含み、脱硝反応中、五酸化バナジウム(V)のV元素は、5価、4価、3価、2価の形態を取ってもよい。
なお、この酸化バナジウムは、本発明の脱硝触媒の主成分であり、本発明の効果を阻害しない範囲内で他の物質を含んでいても良いが、本発明の脱硝触媒中、五酸化バナジウム換算で50wt%以上存在することが好ましい。更に好ましくは、酸化バナジウムが、五酸化バナジウム換算で、65wt%以上存在することが好ましい。更に好ましくは、酸化バナジウムが、本発明の脱硝触媒中、五酸化バナジウム換算で90wt%以上存在することが好ましい。
【0021】
第2に、本発明の脱硝触媒は、上記の酸化バナジウムに含まれる五酸化バナジウムの結晶構造中に酸素原子が欠乏している欠陥サイトを有する。
なお、ここで「欠陥サイト」とは、結晶において、ある種類の原子が占めるべき位置(サイト)でありながら、当該ある種類の原子が占めていない位置(サイト)のことを意味する。
本発明の脱硝触媒においては、比較的低温での焼成により当該脱硝触媒に含まれる五酸化バナジウム結晶の構造が局所的に乱れ、高い脱硝効果を発揮できるが、とりわけ五酸化バナジウムの結晶構造中に酸素原子が欠乏しているサイトが出現することで高い脱硝効果が発揮されることが推察される。なお、「酸素原子が欠乏しているサイト」のことを「酸素欠陥サイト」とも呼称する。
【0022】
なお、ここで「酸素原子が欠乏している欠陥サイトを有する」とは、後述の実施例に記載のように、脱硝触媒の粉末X線回折法によって検出される、Vの(001)面のピーク強度(P2-5)に対する、V13の(110)面のピーク強度(P6-13)の強度比が0.08以上2.05以下であるということであってよい。
【0023】
また、本発明の脱硝触媒は、上記の酸化バナジウムに含まれる五酸化バナジウムの結晶構造が結晶水を含む五酸化バナジウムの存在により結晶化度が低下している状態を有する。
本発明の脱硝触媒においては、比較的低温での焼成により当該脱硝触媒に含まれる五酸化バナジウム結晶の構造が局所的に乱れ、高い脱硝効果を発揮できるが、五酸化バナジウムの結晶構造と結晶水含有五酸化バナジウムが共存することで、五酸化バナジウム結晶の成長を阻害し、五酸化バナジウム結晶の構造の局所的な乱れを生じることで、高い脱硝効果が発揮されることが推察される。
【0024】
本発明の実施形態において、例えば、脱硝触媒の粉末X線回折法によって検出される、Vの(001)面のピーク強度(PV2O5)に対する、V13の(110)面のピーク強度(Pv6O13)の強度比(Pv6O13/Pv2O5)が0.08以上2.05以下の脱硝触媒を用いた選択的触媒還元反応では、反応温度100℃で61%~79%のNO転化率を、反応温度150℃で93%~100%のNO転化率を示した。
一方、脱硝触媒の粉末X線回折法によって検出される、Vの(001)面のピーク強度(Pv2O5)に対する、V13の(110)面のピーク強度(Pv6O13)の強度比(Pv6O13/Pv2O5)が0.00の脱硝触媒を用いた選択的触媒還元反応では、反応温度100℃で47%のNO転化率、反応温度150℃で76%のNO転化率しか示さなかった。
【0025】
また、脱硝触媒の粉末X線回折法によって検出される、Vの(001)面のピーク強度(Pv2O5)に対する、V13の(110)面のピーク強度(Pv6O13)の強度比(Pv6O13/Pv2O5)は、0.08以上2.05以下であることが好ましいが、更に好ましくは、0.16以上2.05以下であってもよい。更に好ましくは、0.16以上0.32以下であってもよい。
【0026】
また、ここで「酸素原子が欠乏している欠陥サイトを有する」とは、後述の実施例に記載のように、紫外可視近赤外吸収スペクトルにおける、波長600nmにおける反射率を1として規格化した波長1200nmの反射率が0.90以下であるということであってよい。
【0027】
本発明の実施形態において、例えば、紫外可視近赤外吸収スペクトルにおける、波長600nmにおける反射率を1として規格化した波長1200nmの反射率が0.157以上0.901以下の脱硝触媒を用いた選択的触媒還元反応では、反応温度100℃で61%~79%のNO転化率を、反応温度150℃で93%~100%のNO転化率を示した。
【0028】
一方、紫外可視近赤外吸収スペクトルにおける、波長600nmにおける反射率を1として規格化した波長1200nmの反射率が0.943の脱硝触媒を用いた選択的触媒還元反応では、反応温度100℃で47%のNO転化率、反応温度150℃で76%のNO転化率しか示さなかった。
【0029】
また、紫外可視近赤外吸収スペクトルにおける、波長600nmにおける反射率を1として規格化した波長1200nmの反射率が0.90以下であることが好ましいが、更に好ましくは0.157以上0.901以下であってもよい。更に好ましくは、0.157以上0.813以下であってもよい。更に好ましくは、0.700以上0.813以下であってもよい。
【0030】
また、ここで「酸素原子が欠乏している欠陥サイトを有する」とは、後述の実施例に記載のように、X線光電分光法によって検出される、触媒表面の全バナジウムに対する4価のバナジウムの比率が0.20以上であるということであってよい。
【0031】
本発明の実施形態において、例えば、X線光電分光法によって検出される、触媒表面の全バナジウムに対する4価のバナジウムの比率が0.28以上0.40以下の脱硝触媒を用いた選択的触媒還元反応では、反応温度100℃で61%~79%のNO転化率を、反応温度150℃で93%~100%のNO転化率を示した。
【0032】
一方、X線光電分光法によって検出される、触媒表面の全バナジウムに対する4価のバナジウムの比率が0.19の脱硝触媒を用いた選択的触媒還元反応では、反応温度100℃で47%のNO転化率、反応温度150℃で76%のNO転化率しか示さなかった。
【0033】
また、X線光電分光法によって検出される、触媒表面の全バナジウムに対する4価のバナジウムの比率が0.20以上であることが好ましいが、更に好ましくは0.28以上0.40以下であってもよい。更に好ましくは、0.35以上0.40以下であってもよい。
【0034】
また、ここで「酸素原子が欠乏している欠陥サイトを有する」とは、後述の実施例に記載のように、稜共有3V-O変角振動に由来する波数590~670cm-1のピーク強度P3に対する、架橋V-O-V変角振動に由来する波数450~550cm-1のピーク強度P1の比(P1/P3)が1.6以下であるということであってよい。この「P1/P3」を算出するための波数は、ピークの上がり始めから終わりまでの場合の波数であるが、ピークトップの波数を用いて算出する場合、稜共有3V-O変角振動に由来する波数604~612cm-1のピーク強度P3に対する、架橋V-O-V変角振動に由来する波数474~542cm-1のピーク強度P1の比(P1/P3)の比として算出してもよい。
【0035】
本発明の実施形態において、例えば、稜共有3V-O変角振動に由来する波数590~670cm-1のピーク強度P3に対する、架橋V-O-V変角振動に由来する波数450~550cm-1のピーク強度P1の比(P1/P3)が0.83~1.43の脱硝触媒を用いた選択的触媒還元反応では、反応温度100℃で61%~79%のNO転化率を、反応温度150℃で93%~100%のNO転化率を示した。
【0036】
一方、稜共有3V-O変角振動に由来する波数590~670cm-1のピーク強度P3に対する、架橋V-O-V変角振動に由来する波数450~550cm-1のピーク強度P1の比(P1/P3)が1.71の脱硝触媒を用いた選択的触媒還元反応では、反応温度100℃で47%のNO転化率、反応温度150℃で76%のNO転化率しか示さなかった。
【0037】
また、稜共有3V-O変角振動に由来する波数590~670cm-1のピーク強度P3に対する、架橋V-O-V変角振動に由来する波数450~550cm-1のピーク強度P1の比(P1/P3)が1.6以下であることが好ましいが、更に好ましくは、0.83以上1.43以下であってもよい。更に好ましくは、0.83以上1.09以下であってもよい。更に好ましくは、0.87以上1.09以下であってもよい。
【0038】
更に、本発明の脱硝触媒は、例えば「酸素原子が欠乏している欠陥サイト」のような点欠陥が一次元的に連続して配置される線欠陥や、点欠陥が二次元的に連続して配置される面欠陥、あるいは、格子のひずみのような格子欠陥を有することがある。
【0039】
また、本発明の脱硝触媒は、270℃以下での脱硝に用いられることが好ましい。これは、本発明の脱硝触媒の焼成温度が270℃であることに由来する。一方で、後述の実施例において、本発明の脱硝触媒は、反応温度200℃以下での選択的触媒還元反応において、高い脱硝効果を発揮したことから、本発明の脱硝触媒は、200℃以下での脱硝に用いることが可能である。200℃以下ではSOからSOへの酸化が発生しないため、上記の特許文献2でも知見が得られたように、選択的触媒還元反応時には、SOのSOへの酸化が伴わない。
【0040】
また、上述の記載では、本発明の脱硝触媒は、270℃以下の脱硝に用いられることが好ましいとしたが、好ましくは200℃以下の脱硝に用いられてもよい、更に好ましくは、反応温度が100―200℃の脱硝に用いられてもよい。更に好ましくは、反応温度160-200℃の脱硝に用いられてもよい。あるいは、反応温度が80-150℃の脱硝に用いられてもよい。
【0041】
酸化バナジウムを含む脱硝触媒であって、この酸化バナジウムに含まれる五酸化バナジウムの結晶構造中に酸素原子が欠乏している欠陥サイトを有する脱硝触媒は、主としてゾルゲル法により作製できる。
【0042】
ゾルゲル法は、バナジン酸塩とキレート化合物とを混合し、この混合物を純水に溶解して乾燥した後に焼成する工程を備える。
バナジン酸塩としては、例えば、バナジン酸アンモニウム、バナジン酸マグネシウム、バナジン酸ストロンチウム、バナジン酸バリウム、バナジン酸亜鉛、バナジン酸鉛、バナジン酸リチウム等を用いてもよい。
また、キレート化合物としては、例えば、シュウ酸やクエン酸等の複数のカルボキシル基を有するもの、アセチルアセトナート、エチレンジアミン等の複数のアミノ基を有するもの、エチレングリコール等の複数のヒドロキシル基を有するもの等を用いてもよい。
なお、本実施形態においては、バナジン酸塩をキレート化合物に溶解して乾燥した後、270℃以下の温度で焼成する。
【0043】
本発明の実施形態において、バナジン酸アンモニウムをシュウ酸水溶液に溶解する工程、及び、その後乾燥をしてから、270℃の温度で焼成をする工程を含む方法で製造された脱硝触媒は、反応温度100℃で61~79%のNO転化率、反応温度150℃で93~100%のNO転化率を示した。
【0044】
一方、このような工程とは異なる方法で製造された脱硝触媒として、例えば、バナジン酸アンモニウムをシュウ酸水溶液に溶解する工程、及び、その後乾燥をしてから、300℃の温度で4時間焼成をする工程を含む方法で製造された脱硝触媒は、反応温度100℃で47%のNO転化率、反応温度150℃で76%のNO転化率しか示さなかった。
【0045】
このようにして調製される脱硝触媒は、通常、酸化バナジウムを含む脱硝触媒であって、この酸化バナジウムは五酸化バナジウムを含み、この五酸化バナジウムの結晶構造中に酸素欠陥が発生する欠陥サイトを有する。
【0046】
上記実施形態に係る脱硝触媒によれば、以下の効果が奏される。
【0047】
(1)上記のように、上記実施形態に係る脱硝触媒においては、酸化バナジウムを含む脱硝触媒であって、この酸化バナジウムは五酸化バナジウムを含み、この五酸化バナジウムの結晶構造中に酸素原子が欠乏している欠陥サイトを有するとした。
この脱硝触媒を用いることにより、アンモニアを還元剤とする選択的触媒還元反応の際、従来技術に比較して、低温での脱硝効率が更に高いという効果を発揮できる。
【0048】
(2)上記のように、上記実施形態に係る脱硝触媒において、粉末X線回折法によって検出される、Vの(001)面のピーク強度(PV2O5)に対する、V13の(110)面のピーク強度(PV6O13)の強度比が0.08以上2.05以下であることが好ましい。
これにより、上記実施形態に係る脱硝触媒は、NOの吸着がしやすくなり、より高いNO転化率を発揮できる。
【0049】
(3)上記のように、上記実施形態に係る脱硝触媒において、紫外可視近赤外吸収スペクトルにおける、波長600nmにおける反射率を1として規格化した波長1200nmの反射率が0.90以下であることが好ましい。
これにより、上記実施形態に係る脱硝触媒は、NOの吸着がしやすくなり、より高いNO転化率を発揮できる。
【0050】
(4)上記のように、上記実施形態に係る脱硝触媒において、X線光電分光法によって検出される、触媒表面の全バナジウムに対する4価のバナジウムの比率が0.20以上であることが好ましい。
これにより、上記実施形態に係る脱硝触媒は、NOの吸着がしやすくなり、より高いNO転化率を発揮できる。
【0051】
(5)上記のように、上記実施形態に係る脱硝触媒において、稜共有3V-O変角振動に由来する波数590~670cm-1のピーク強度P3に対する、架橋V-O-V変角振動に由来する波数450~550cm-1のピーク強度P1の比(P1/P3)が1.6以下であることが好ましい。
これにより、上記実施形態に係る脱硝触媒は、NOの吸着がしやすくなり、より高いNO転化率を発揮できる。
【0052】
(6)上記のように、上記実施形態に係る脱硝触媒は、270℃以下での脱硝に用いられることが好ましい。
これにより、上記実施形態に係る脱硝触媒を用いた選択的触媒還元反応において、SOを酸化させることなく、高い脱硝効果がもたらされる。
【0053】
(7)上記のように、上記実施形態に係る脱硝触媒の製造方法は、バナジン酸塩とキレート化合物とを混合し、270℃以下の温度で焼成する工程を備えることが好ましい。
これにより、上記実施形態に係る脱硝触媒が酸素欠陥が発生する欠陥サイトを有することとなり、上記実施形態に係る脱硝触媒を用いた選択的触媒還元反応における脱硝効果が向上する。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【実施例
【0055】
以下、本発明の実施例を比較例と共に、具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。ただし、実施例1は、参考例である。
【0056】
<1 各実施例と比較例>
[実施例1]
バナジン酸アンモニウムをシュウ酸水溶液に溶解させた。ここで、バナジン酸アンモニウム:シュウ酸のモル比は1:3である。全て溶かしきった後、ホットスターラー上で溶液中の水分を蒸発させ、乾燥機中において、120℃で一晩乾燥させた。その後、乾燥後の粉末を空気中において270℃で1時間焼成した。焼成後の五酸化バナジウムを、実施例1の脱硝触媒とした。なお、この実施例1の脱硝触媒のサンプル名を、“V270-1”とした。
【0057】
[実施例2]
バナジン酸アンモニウムをシュウ酸水溶液に溶解させた。ここで、バナジン酸アンモニウム:シュウ酸のモル比は1:3である。全て溶かしきった後、ホットスターラー上で溶液中の水分を蒸発させ、乾燥機中において、120℃で一晩乾燥させた。その後、乾燥後の粉末を空気中において270℃で2時間焼成した。焼成後の五酸化バナジウムを、実施例2の脱硝触媒とした。なお、この実施例2の脱硝触媒のサンプル名を、“V270-2”とした。
【0058】
[実施例3]
バナジン酸アンモニウムをシュウ酸水溶液に溶解させた。ここで、バナジン酸アンモニウム:シュウ酸のモル比は1:3である。全て溶かしきった後、ホットスターラー上で溶液中の水分を蒸発させ、乾燥機中において、120℃で一晩乾燥させた。その後、乾燥後の粉末を空気中において270℃で3時間焼成した。焼成後の五酸化バナジウムを、実施例3の脱硝触媒とした。なお、この実施例3の脱硝触媒のサンプル名を、“V270-3”とした。
【0059】
[実施例4]
バナジン酸アンモニウムをシュウ酸水溶液に溶解させた。ここで、バナジン酸アンモニウム:シュウ酸のモル比は1:3である。全て溶かしきった後、ホットスターラー上で溶液中の水分を蒸発させ、乾燥機中において、120℃で一晩乾燥させた。その後、乾燥後の粉末を空気中において270℃で4時間焼成した。焼成後の五酸化バナジウムを、実施例4の脱硝触媒とした。なお、この実施例4の脱硝触媒のサンプル名を、“V270-4”とした。
【0060】
[比較例1]
バナジン酸アンモニウムをシュウ酸水溶液に溶解させた。ここで、バナジン酸アンモニウム:シュウ酸のモル比は1:3である。全て溶かしきった後、ホットスターラー上で溶液中の水分を蒸発させ、乾燥機中において、120℃で一晩乾燥させた。その後、乾燥後の粉末を空気中において300℃で4時間焼成した。焼成後の五酸化バナジウムを、比較例1の脱硝触媒とした。なお、この比較例1の脱硝触媒のサンプル名を、“V300-4”とした。なお、この比較例1は、上記の特許文献2で開示される脱硝触媒である。
【0061】
<2 評価>
<2.1 NO転化率>
(測定方法1)
以下の表1の条件の下、反応温度100-200℃で、固定床流通式触媒反応装置を用いてNH-SCR反応を行った。触媒層を通過したガスのうち、NOをJasco FT-IR-4700で分析した。
【0062】
【表1】
【0063】
また、NO転化率を、下記の式(1)により算出した。なお、NOinは反応管入口のNO濃度、NOoutは反応管出口のNO濃度である。
【数1】
【0064】
(測定結果1)
表2に各触媒の、反応温度が100℃の場合と反応温度が150℃の場合との双方のNO転化率を示す。図1Aは、この表2をグラフ化したものである。
【表2】
【0065】
反応温度が100℃の場合と反応温度が150℃の場合との双方で、実施例の脱硝触媒は、比較例の脱硝触媒よりも高いNO転化率を示した。とりわけ、270℃で2時間~3時間焼成した脱硝触媒が高いNO転化率を示した。中でも、実施例2(V270-2)は、最も高いNO転化率を示した。
【0066】
(測定方法2)
上記の表1の反応温度150℃の条件の下、実施例2(V270-2)の触媒を用いて、水分が共存しない状況下(dry)と2.3vol%の水分共存下(2.3vol% water)とにおいて、測定方法1と同様の方法で80時間にわたりNH-SCR反応を行った。
【0067】
(測定結果2)
図1Bは、実施例2(V270-2)の触媒の、80時間におけるNO転化率の変化を示すグラフである。図1Bのグラフから明らかなように、水分が共存しない状況においても、水分共存下においても、実施例2(V270-2)の触媒のNO転化率は、80時間以上に渡って安定した数値を示す。
【0068】
<2.2 TEM像>
図2A及び図2Bは、実施例1(V270-1)のTEM像を示す。なお、図2Aは倍率14万倍のTEM像であり、図2Bは倍率140万倍のTEM像である。
また、図2C及び図2Dは、実施例2(V270-2)のTEM像を示す。なお、図2Cは倍率14万倍のTEM像であり、図2Dは倍率140万倍のTEM像である。
また、図2E及び図2Fは、実施例3(V270-3)のTEM像を示す。なお、図2Eは倍率14万倍のTEM像であり、図2Fは倍率140万倍のTEM像である。
また、図2G及び図2Hは、実施例4(V270-4)のTEM像を示す。なお、図2Gは倍率14万倍のTEM像であり、図2Hは倍率140万倍のTEM像である。
一方、図2I及び図2Jは、比較例1(V300-4)のTEM像を示す。なお、図2Iは倍率14万倍のTEM像であり、図2Jは倍率140万倍のTEM像である。
なお、図2B図2D図2F図2H図2Iの各図面に含まれる右下の画像は、酸化バナジウム触媒の電子線回折パターンを示す。
【0069】
これらの画像から、実施例においては、結晶構造内に、結晶質部分とアモルファス部分が存在することが明らかとなった。
【0070】
<2.3 粉末X線回折>
(測定方法)
粉末X線回折としては、Rigaku smart labにより、Cu-Kαを用いて測定を行った。
(測定結果)
図3は、実施例1(V270-1)、実施例2(V270-2)、実施例3(V270-3)、実施例4(V270-4)の粉末XRD(X-Ray Diffraction)パターンを示す。主として、2θ=7.6°にV・1.6HOの(001)面のピークが、2θ=20.2°にVの(001)面のピークが、2θ=25.6°にV613の(110)面ピークが見られた。
【0071】
図4は、前駆体であるVO(C)を焼成した場合の、内部構造の変化の概略を示す図である。270℃で1~2時間焼成した段階では、脱硝触媒中に、主として、V・1.6HOとV613とVが生成され、それ以外の部分はアモルファスのVとなっている。その後、270℃で3~4時間焼成した段階では、脱硝触媒中に、主として、VとV・1.6HOとV613が生成され、それ以外の部分はアモルファスのVとなっている。やがて、完全に焼成された段階では、脱硝触媒中に、主としてVが生成され、それ以外の部分はアモルファスのVとなっている。
【0072】
そこで、各触媒について、Vの(001)面のピーク強度(P2-5)に対する、V13の(110)面のピーク強度(P6-13)の強度比(P6-13/P2-5)を算出し、これを各触媒の指標とした。
【0073】
表3に各バナジウム触媒の、Intensity Ratioと、反応温度が100℃の場合と反応温度が150℃の場合との双方のNO転化率を示す。図5は、この表3をグラフ化したものである。
【表3】
【0074】
表3及び図5から、Intensity Ratioが0.07以上の実施例に係る触媒が、比較例よりも高いNO転化率を示すことが分かった。
【0075】
<2.4 UV-Vis-NIR spectra>
(測定方法)
上記の実施例及び比較例に係るバナジウム触媒自体の色は、焼成が進むにしたがって、緑色から黄色に変化する。そこで、各触媒について、拡散反射分光計を用いて、UV-Vis-NIR spectraを算出した。より詳細には、硫酸バリウムの白板を備えたサンプルホルダーに、各触媒のサンプルを充填し、拡散反射法によってUV-Vis-NIR spectraを測定した。測定機器としては、島津製UV-3100PC紫外可視吸光光度計を用いた。
【0076】
(測定結果)
図6は、各触媒についての、UV-Vis-NIR spectraとして、波長を横軸とし、波長600nmにおける反射率を1として規格化された反射率を縦軸とするグラフを示す。図6のグラフより、4価のバナジウムが増加するほど、波長600nm以降の広範囲で、反射率の値が下がることが示された。なお、以下の表4は、各触媒の吸収端波長と波長1200nmにおける反射率を示す。
【表4】
【0077】
図7は、各触媒の波長1200nmにおける反射率と、NO転化率の関係を示すグラフである。反応温度が100℃の場合と反応温度が150℃の場合との双方において、反射率が0.90以下である実施例に係る触媒のNO転化率は、反射率が0.90を超える比較例に係る触媒のNO転化率よりも高い値が示された。
【0078】
<2.5 ラマンスペクトル>
(測定方法)
各触媒の結晶構造について分析するため、ラマン分光法によりラマンスペクトルを測定した。より詳細には、スライドガラス上に、各触媒のサンプルを少量置き、ラマン分光装置によってラマンスペクトルを測定した。測定機器としては、日本分光製NRS-4100ラマン分光光度計を用いた。
【0079】
(測定結果)
図8は、各触媒のラマンスペクトルを示す。図8からは各触媒の結晶構造に由来するピークを確認することができた。とりわけ、実施例に係る各触媒の結晶構造中に、欠陥部分及びV4+の部位があることが示された。
【0080】
<2.6 赤外吸収スペクトル>
(測定方法)
各触媒の赤外吸収スペクトルを測定した。なお、測定の際には、1mgの各触媒のサンプルと、10mgの臭化カリウムとを混合し、錠剤成型機によって加圧することにより成型した。更に、TGS検出器を用いて透過法によって赤外吸収スペクトルを測定した。測定機器としては、日本分光製FT/IR-6100赤外分光装置を用いた。
【0081】
(測定結果)
図9は、指紋領域:1150-400cm-1の赤外吸収スペクトルを測定した結果得られた、各触媒のスペクトル曲線を示す。また、図10は、各実施例に係る五酸化バナジウムの結晶構造を示す。五酸化バナジウムの結晶構造中には、末端V=O(図10中の1)、稜共有3V-O図10中の2)と、架橋V-O-V(図10中の3)が存在する。
【0082】
図9に示すように、架橋V-O-V変角振動に由来するピーク(Peak1)が、稜共有3V-O伸縮振動に由来するピーク(Peak2)に重なってくる。そこで、稜共有3V-O変角振動に由来する波数590~670cm-1のピーク(Peak3)の強度P3に対する、架橋V-O-V変角振動に由来する波数450~550cm-1のピーク(Peak1)の強度P1の比(P1/P3)を算出した。以下の表5は、各触媒ごとの各ピークでの波数、透過率、及び、P1/P3の比を示す。また、図11は、表5中のP1/P3の比を横軸とし、各触媒のNO転化率を縦軸としたグラフである。
【表5】
【0083】
表5及び図11から分かるように、実施例に係る、P1/P3が1.6以下の実施例に係る触媒は、P1/P3が1.71の比較例に係る触媒よりも、高いNO転化率が示された。
【0084】
<2.7 X線光電子スペクトル(XPS)測定>
(測定方法)
各実施例及び比較例に係る触媒につき、電子状態について分析するため、X線光電子スペクトル(XPS:X-Ray Photoelectron Spectrum)を測定した。より詳細には、各実施例及び比較例の触媒の粉末試料を、カーボンテープを用いてサンプルホルダーに固定し、X線光電子スペクトルを測定した。測定装置としては、日本電子製JPS-9010MX光電子分光計を用いた。
【0085】
(測定結果)
図12は、V2p領域におけるXPSスペクトルを示す。図12からも図8と同様に、実施例に係る各触媒の結晶構造中に、欠陥部分及びV4+の部位があることが示された。
また、光電子脱出深さである触媒表面から2nmまでの全バナジウムに対する4価のバナジウムの比率は、実施例1で0.40、実施例2で0.35、実施例3で0.35、実施例4で0.28となった。一方で、比較例では0.19に過ぎなかった。
【0086】
図13は、各実施例及び比較例における、触媒表面の全バナジウムにおける4価のバナジウムの割合を横軸、NO転化率を縦軸とするグラフである。触媒表面の全バナジウムにおける4価のバナジウムの割合が0.20以上である実施例に係る触媒のNO転化率は、触媒表面の全バナジウムにおける4価のバナジウムの割合が0.19の比較例に係る触媒のNO転化率よりも高いことが示された。
【0087】
以上のように、酸化バナジウムを含む脱硝触媒であって、五酸化バナジウムの結晶構造中に酸素原子が欠乏している欠陥サイトを有する脱硝触媒を用いた、アンモニアを還元剤とする選択的触媒還元反応においては、270℃以下の低温での脱硝効率が高い。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13