(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】捕獲器および捕獲器用サーバ
(51)【国際特許分類】
A01M 1/00 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
A01M1/00 Q
(21)【出願番号】P 2021539788
(86)(22)【出願日】2019-08-15
(86)【国際出願番号】 JP2019032028
(87)【国際公開番号】W WO2021029062
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】516163291
【氏名又は名称】株式会社Luci
(73)【特許権者】
【識別番号】594120157
【氏名又は名称】アース環境サービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101982
【氏名又は名称】久米川 正光
(72)【発明者】
【氏名】奥矢 脩
(72)【発明者】
【氏名】南里 知致
(72)【発明者】
【氏名】萩平 洋
(72)【発明者】
【氏名】石川 彩恵
(72)【発明者】
【氏名】天田 智久
(72)【発明者】
【氏名】足達 由貴
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-106300(JP,A)
【文献】特開2003-304788(JP,A)
【文献】特開2010-104242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部サーバにネットワーク接続された捕獲器において、
生物を捕らえて保持する捕獲部と、
前記捕獲部における生物の捕獲状態を撮影するカメラと、
予め定められたスケジュールに従って前記カメラに撮影を指示し、これによって第1の画像データを定期的に取得すると共に、前記捕獲器のメンテナンスの際に行われたユーザ指示に応じて前記カメラに撮影を指示し、これによって第2の画像データを不定期に取得する撮影制御部と、
前記定期的に取得された第1の画像データと、前記不定期に取得された第2の画像データとを前記外部サーバに送信する送信制御部と
を有することを特徴とする捕獲器。
【請求項2】
前記撮影制御部は、前記カメラによって取得された画像データに対して、前記第1の画像データおよび前記第2の画像データのいずれの種別であるかを識別可能なファイル名を付与することを特徴とする請求項1に記載された捕獲器。
【請求項3】
前記第1の画像データおよび前記第2の画像データを記憶するデータ記憶部をさらに有し、
前記送信制御部は、前記外部サーバより画像データの取得要求を受信した場合、前記取得要求に対する応答として、前記データ記憶部に前記第1の画像データのみが記憶されているならば、前記第1の画像データのみを前記外部サーバに送信すると共に、前記データ記憶部に前記第1の画像データのみならず前記第2の画像データも記憶されているならば、前記第1の画像データと共に前記第2の画像データも前記外部サーバに送信することを特徴とする請求項1に記載された捕獲器。
【請求項4】
前記データ記憶部には、前記スケジュールに従って時系列的に異なる撮影タイミングで取得された前記第1の画像データが複数記憶されており、
前記送信制御部は、前記外部サーバより画像データの取得要求を受信した場合、前記データ記憶部に記憶された前記複数の第1の画像データのうち、時系列的に最新のものを前記外部サーバに送信することを特徴とする請求項3に記載された捕獲器。
【請求項5】
前記撮影制御部は、前記第2の画像データが取得された時点で、前記スケジュールによって規定された撮影タイミングのタイムカウントをリセットすることを特徴とする請求項1に記載された捕獲器。
【請求項6】
前記撮影制御部は、前記ユーザ指示として、前記捕獲器の電源のオフおよびオンが所定の手順で行われた場合、前記第2の画像データを取得するために、前記カメラに対して撮影を指示することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載された捕獲器。
【請求項7】
前記撮影制御部は、前記ユーザ指示として、前記捕獲器に設けられた撮影用スイッチが操作された場合、前記第2の画像データを取得するために、前記カメラに対して撮影を指示することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載された捕獲器。
【請求項8】
前記撮影制御部は、前記ユーザ指示として、前記捕獲器に直接またはネットワーク接続されたユーザ端末によって撮影が指示された場合、前記第2の画像データを取得するために、前記カメラに対して撮影を指示することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載された捕獲器。
【請求項9】
生物を捕らえて保持する捕獲部と、前記捕獲部における生物の捕獲状態を撮影するカメラとを備えた捕獲器にネットワーク接続された捕獲器用サーバにおいて、
予め定められたスケジュールに従って前記カメラによって定期的に撮影された第1の画像データを前記捕獲器から取得すると共に、前記捕獲器のメンテナンス時に行われたユーザ指示に応じて前記カメラによって不定期に撮影された第2の画像データを前記捕獲器から取得するデータ取得部と、
前記データ取得部によって取得された前記第1の画像データおよび前記第2の画像データを格納するデータ格納部と、
前記データ格納部に格納された前記第2の画像データを、前記捕獲器のメンテナンス直前における生物の捕獲状態を示す最終データとして管理するデータ管理部と
を有することを特徴とする捕獲器用サーバ。
【請求項10】
前記データ管理部は、前記第1の画像データおよび前記第2の画像データのいずれの種別であるかを識別可能なファイル名に基づいて、前記最終データとして管理すべき前記第2の画像データを特定することを特徴とする請求項9に記載された捕獲器用サーバ。
【請求項11】
前記データ取得部は、前記捕獲器に画像データの取得要求を定期的に送信し、当該取得要求に対する応答として、前記第1の画像データのみを取得した場合、前記取得された第1の画像データを前記データ格納部に格納すると共に、前記第1の画像データのみならず前記第2の画像データも取得した場合、前記第1の画像データおよび前記第2の画像データを前記データ格納部に格納することを特徴とする請求項9に記載された捕獲器用サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捕獲器および捕獲器用の管理サーバに係り、特に、捕獲器のメンテナンスに対応した生物の捕獲状態の撮影に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、捕獲器によって捕らえられた害虫などの生物をカメラで定期的に繰り返し撮影し、生物の捕獲状態をモニタリングする監視システムが知られている。例えば、特許文献1には、害虫の種類や数を監視する害虫の監視システムが記載されている。この監視システムは、害虫捕虫装置と、監視カメラと、映像格納装置と、端末装置とを有する。害虫捕虫装置は、害虫を捕虫する。監視カメラは、害虫捕虫装置によって捕虫された害虫を定期的に撮影する。映像格納装置には、監視カメラによって定期的に撮影された映像が格納される。端末装置は、映像格納装置にネットワーク接続されており、監視カメラからの映像により捕虫した害虫を表示する。
【0003】
また、特許文献2には、端末装置と、サーバ装置とを含む害虫発生予測システムが開示されている。端末装置は、カメラと、位置情報取得部と、制御部とを有する。カメラは、捕虫シートを定期的に撮影して画像データを取得する。位置情報取得部は、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムから捕虫シート(端末装置)の位置情報を取得する。取得された画像データおよび位置情報は、補虫シート情報として、サーバ装置に送信される。この捕虫シート情報を受信したサーバ装置は、画像データを解析して補虫シート毎の害虫数をカウントし、カウントされた害虫数と位置情報とを含む集計基礎情報を作成する。そして、サーバ装置は、補虫シート毎の集計基礎情報に基づいて、害虫の発生を予測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-261155号公報
【文献】特開2015-154732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した監視システムでは、例えば1時間に1回の頻度で撮影するといった如く、カメラの撮影周期(定期的な撮影タイミング)が予め設定されている。そのため、捕獲シートの交換や内部清掃といった捕獲器のメンテナンスが撮影周期の途中で行われる場合、メンテナンス直前の捕獲状態を記録できないといった問題がある。特に、メンテナンスが捕獲シートの交換を伴う場合、メンテナンス前の最後の定期撮影時からメンテナンス時までの間に新たな生物が捕獲されたとしても、この生物は撮影データとして残らず、捕獲状態のモニタリングに空白期間が生じてしまう。かかる問題は、カメラの定期撮影に合わせてメンテナンスを行えば解消可能ではあるものの、メンテナンス作業に時期的な制約を伴うため、設置現場における負担が大きく現実的ではない。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、生物の捕獲状態を定期的にモニタリングしつつ、捕獲器のメンテナンス直前における捕獲状態を記録することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決すべく、第1の発明は、捕獲部と、カメラと、撮影制御部と、送信制御部とを有し、外部サーバにネットワーク接続された捕獲器を提供する。捕獲部は、生物を捕らえて保持する。カメラは、捕獲部における生物の捕獲状態を撮影する。撮影制御部は、予め定められたスケジュールに従ってカメラに撮影を指示し、これによって第1の画像データを定期的に取得する。それとともに、撮影制御部は、捕獲器のメンテナンスの際に行われたユーザ指示に応じてカメラに撮影を指示し、これによって第2の画像データを不定期に取得する。送信制御部は、定期的に取得された第1の画像データと、不定期に取得された第2の画像データとを外部サーバに送信する。
【0008】
ここで、第1の発明において、上記撮影制御部は、カメラによって取得された画像データに対して、第1の画像データおよび第2の画像データのいずれの種別であるかを識別可能なファイル名を付与することが好ましい。
【0009】
第1の発明において、第1の画像データおよび第2の画像データを記憶するデータ記憶部を設けてもよい。ここで、上記送信制御部は、外部サーバより画像データの取得要求を受信した場合、取得要求に対する応答として、データ記憶部に第1の画像データのみが記憶されているならば、第1の画像データのみを外部サーバに送信することが好ましい。それとともに、上記送信制御部は、データ記憶部に第1の画像データのみならず第2の画像データも記憶されているならば、第1の画像データと共に第2の画像データも外部サーバに送信することが好ましい。
【0010】
第1の発明において、上記データ記憶部には、スケジュールに従って時系列的に異なる撮影タイミングで取得された第1の画像データが複数記憶されていてもよい。ここで、上記送信制御部は、外部サーバより画像データの取得要求を受信した場合、データ記憶部に記憶された複数の第1の画像データのうち、時系列的に最新のものを外部サーバに送信することが好ましい。
【0011】
第1の発明において、上記撮影制御部は、第2の画像データが取得された時点で、スケジュールによって規定された撮影タイミングのタイムカウントをリセットしてもよい。
【0012】
第1の発明において、上記撮影制御部は、上記ユーザ指示として、捕獲器の電源のオフおよびオンが所定の手順で行われた場合、第2の画像データを取得するために、カメラに対して撮影を指示してもよい。また、上記撮影制御部は、上記ユーザ指示として、捕獲器に設けられた撮影用スイッチが操作された場合、第2の画像データを取得するために、カメラに対して撮影を指示してもよい。さらに、上記撮影制御部は、上記ユーザ指示として、捕獲器に直接またはネットワーク接続されたユーザ端末によって撮影が指示された場合、第2の画像データを取得するために、カメラに対して撮影を指示してもよい。
【0013】
第2の発明は、生物を捕らえて保持する捕獲部と、捕獲部における生物の捕獲状態を撮影するカメラとを備えた捕獲器にネットワーク接続された捕獲器用サーバを提供する。この捕獲器用サーバは、データ取得部と、データ格納部と、データ管理部とを有する。データ取得部は、予め定められたスケジュールに従ってカメラによって定期的に撮影された第1の画像データを捕獲器から取得する。それとともに、データ取得部は、捕獲器のメンテナンス時に行われたユーザ指示に応じてカメラによって不定期に撮影された第2の画像データを捕獲器から取得する。データ格納部は、データ取得部によって取得された第1の画像データおよび第2の画像データを格納する。データ管理部は、データ格納部に格納された第2の画像データを、捕獲器のメンテナンス直前における生物の捕獲状態を示す最終データとして管理する。
【0014】
ここで、第2の発明において、上記データ管理部は、第1の画像データおよび第2の画像データのいずれの種別であるかを識別可能なファイル名に基づいて、最終データとして管理すべき第2の画像データを特定することが好ましい。
【0015】
第2の発明において、上記データ取得部は、捕獲器に画像データの取得要求を定期的に送信し、この取得要求に対する応答として、第1の画像データのみを取得した場合、取得された第1の画像データをデータ格納部に格納してもよい。それとともに、上記データ取得部は、第1の画像データのみならず第2の画像データも取得した場合、第1の画像データおよび第2の画像データをデータ格納部に格納してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、カメラによる定期的な撮影以外に、捕獲器のメンテナンスの際に行われたユーザ指示をトリガとした不定期な撮影を許容する。これにより、生物の捕獲状態の定期的な記録を維持しながら、メンテナンス直前における捕獲状態を記録・管理することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本実施形態に係る捕獲監視ネットワークシステムの構成図である。この捕獲監視ネットワークシステム1は、複数の捕獲器2と、管理サーバ3(捕獲器用サーバ)とを有し、これらはインターネットにネットワーク接続されている。捕獲器2は、生物を捕獲する用途で用いられ、例えば、工場、飲食店、ビニールハウスなどに設置される。捕獲対象となる生物は、典型的には、羽によって飛翔する飛翔虫が想定されるが、これに限定されるものではなく、羽を有しない昆虫、動物、鳥類を含めて、捕獲または駆除すべき生物全般に対して広く適用することができる。捕獲器2は、生物を捕らえるための部材である捕獲部の一例として、交換式の捕獲シート2aを備えており、この捕獲シート2aの粘着面(捕獲面)によって生物が捕らえられる。捕獲器2は、生物を誘引するための手段を備えていてもよく、例えば、飛翔虫などを誘引するための特定波長の光や特定のにおいなどを発する。また、捕獲器2は、捕獲シート2aの粘着面と対向して配置されたカメラ2bを備えており、このカメラ2bによって、捕獲シート2aの捕獲面が撮影される。
【0019】
図2は、カメラ2bによって取得された捕獲シート2aの画像データの一例を示す図である。画像データは、捕獲シート2aにおける生物の捕獲状態を示しており、管理サーバ3からの取得要求に応じて管理サーバ3に送信される。本実施形態において、画像データは、撮影トリガの違いに起因して、2つのタイプに分類される。1つは、例えば1時間に1回の撮影頻度といった如く、予め定められた撮影スケジュールによって規定された撮影タイミングをトリガとして、定期的に撮影・取得される画像データ(以下、「定期画像データ」という。)である。そして、もう1つは、撮影スケジュールとは関係なく、捕獲器2のメンテナンスの際にユーザ指示が行われたことをトリガとして、不定期に撮影・取得される画像データ(以下、「不定期画像データ」という。)である。
【0020】
管理サーバ3は、自己が発した取得要求に対する応答として、捕獲器2より受信した画像データ(定期画像データ/不定期画像データ)を保存する。また、管理サーバ3は、捕獲シート2aの捕獲状況を特定するために画像データの解析を行い、必要に応じて、捕獲器2の設置現場で講じるべき対策案をユーザに提示する。
【0021】
図3は、捕獲器2のブロック構成図である。この捕獲器2は、上述した捕獲シート2aおよびカメラ2bに加えて、撮影制御部2cと、データ記憶部2dと、送信制御部2eとを有する。撮影制御部2cは、カメラ2bに撮影を指示し、これによって取得された画像データをデータ記憶部2dに記憶する。具体的には、定期画像データについては、予め定められた撮影スケジュールに規定された撮影タイミング毎の繰り返し撮影によって、定期的に取得される。また、不定期画像データについては、捕獲器2のメンテナンスの際に行われたユーザ指示に応じた撮影によって、不定期に取得される。不定期画像データは、メンテナンス直前における最終的な捕獲状態を示している。
【0022】
捕獲器2のメンテナンスの際に行うべきユーザ指示の具体例を以下に挙示する。第1の例として、撮影制御部2cは、捕獲器2の電源のオフおよびオンが所定の手順で行われた場合、カメラ2bに対して撮影を指示する。例えば、電源スイッチ(図示せず)をオフにし、10秒待ってから電源スイッチを2秒以上長押しして再度オンにする。これにより、ユーザ指示があったものと判断され、カメラ2bに対して撮影が指示される。そして、一定時間が経過した後、ユーザは、捕獲器2から古い捕獲シート2aを取り外して新しい捕獲シート2aをセットするといった如く、所定のメンテナンスを行う。
【0023】
第2の例として、撮影制御部2cは、捕獲器2に設けられた撮影用スイッチ(図示せず)が操作された場合、カメラ2bに対して撮影を指示する。そして、一定時間が経過した後、ユーザは所定のメンテナンスを行う。なお、捕獲器2の構造として、捕獲シート2aが開閉式のカバー部材によって覆われている場合、カバー部材の近傍にスイッチを設け、このスイッチによってカバー部材が開かれたことが検知された場合に、カメラ2bに対して撮影を指示してもよい。
【0024】
第3の例として、撮影制御部2cは、捕獲器2に直接またはネットワーク接続されたユーザ端末(スマートフォンなど)によって撮影が指示された場合、カメラ2bに対して撮影を指示する。ユーザ端末には、捕獲器2をリモート制御するための専用のアプリケーションがインストールされており、捕獲器2に対する撮影指示はこのアプリケーションによって行われる。そして、一定時間が経過した後、ユーザは所定のメンテナンスを行う。
【0025】
撮影制御部2cは、定期画像データおよび不定期画像データのいずれの種別であるかをシステム上識別にするために、カメラ2bによって取得された画像データに対して、両者の種別付きのファイル名を付与する。
【0026】
図4は、画像データのファイル名の一例を示す図である。同図において、ファイル名は、捕獲器IDと、撮影日付と、種別とを組み合わせた記述を有する。捕獲器IDは、捕獲器2に固有の識別子であり、撮影日時は、この捕獲器2が備えるカメラ2bによって捕獲シート2aが撮影された日時である。撮影日時は、画像ファイルのメタ情報として記録されているため、ファイル名の一部とすべき必要性は必ずしもないが、ファイル名の一部とすれば、メタ情報を参照しなくても撮影日時を特定できる。また、種別については、「0」は定期画像データであることを示し、「1」は不定期画像データであることを示す。このように、ファイル名に種別を含めることで、管理サーバ3側において、捕獲器2より受信した画像ファイルが定期画像データ/不定期画像データのいずれであるかを、ファイル名を参照することによって判別できる。
【0027】
なお、画像データの種別管理は、ファイル名ではなく、画像データの種別を管理するテーブルを別途用いて行ってもよい。この場合、画像データを管理サーバ3に送信する際には、本テーブルを参照して、送信対象となる画像データの種別を管理サーバ3に通知することが好ましい。
【0028】
図5に示すように、撮影制御部2cは、捕獲器2のメンテナンスが行われるメンテナンスタイミングtmで、撮影スケジュールによって規定されたそれ以降の定期的な撮影タイミングt3,t4のタイムカウントをリセットし、そこを0秒としてタイムカウントを再開してもよい。これにより、当初の撮影タイミングt3はメンテナンスタイミングtmを基準とした撮影周期である撮影タイミングt3'にシフトし、当初の撮影タイミングt4は、シフトした撮影タイミングt3’を基準とした撮影周期である撮影タイミングt4’にシフトする。このような撮影周期の補正を行うことで、定期的な撮影タイミングt1,t2,t3,t4に非常に近いタイミングでメンテナンスが行われた場合に懸念されるトラブルを有効に回避できる。このようなトラブルとしては、典型的には、メンテナンス作業途中における捕獲シート2aが存在しない状態を撮像してしまうケースや、作業者の手などが撮影されてしまうケースなどが挙げられる。本補正を行うことで、撮影周期に相当する作業期間を確保できる。
【0029】
データ記憶部2dは、複数の画像データを格納可能な記憶領域を有し、先入れ先出し(FIFO)によって画像データの入出力が管理されている。これにより、データ記憶部2dのオーバフローを招くことなく、時系列的に新しい画像データを記憶することが保証される。このデータ記憶部2dには、撮影スケジュールに従って、時系列的に異なる撮影タイミングで取得された複数の定期画像データが記憶される。また、上述したユーザ指示があった場合には、不定期画像データも記憶されることになる。
【0030】
送信制御部2eは、データ記憶部2dに記憶された定期的画像データと、(これが記憶されている場合には)不定期画像データとを読み出して、外部サーバ3に送信する。具体的には、外部サーバ3より画像データの取得要求を受信した場合、これに対する応答形態としては2つのケースが想定される。第1は、捕獲器2のメンテナンスが暫くの間行われておらず、時系列的な定期画像データのみが記憶されているケースである。この場合、取得要求に対する応答として、データ記憶2dに記憶された複数の定期画像データのうち、時系列的に最新のものが外部サーバ3に送信される。第2に、捕獲器2のメンテナンスが最近行われた結果、時系列的な定期画像データのみならず不定期画像データも記憶されているケースである。この場合、取得要求に対する応答として、時系列的に最新の定期画像データと共に、不定期画像データも外部サーバ3に送信される。
【0031】
図6は、管理サーバ3のブロック構成図である。この管理サーバ3は、データ取得部3aと、データ格納部3bと、データ管理部3cとを有する。データ取得部3aは、例えば1時間に1回の取得頻度といった如く、予め定められた取得スケジュールに従って、捕獲器2に対して画像データの取得要求を定期的に送信し、その応答として画像データを取得する。取得される画像データは、捕獲器2側におけるデータ記憶部2dに記憶されている定期画像データ/不定期画像データである。取得された画像データが定期画像データのみである場合、この定期画像データがデータ格納部3bに格納される。また、取得された画像データが定期画像データのみならず不定期画像データも含んでいる場合、定期画像データおよび不定期画像データの双方がデータ格納部3bに格納される。データ格納部3bに格納された画像データは、捕獲器2の捕獲状態を解析する用途に供され、これによって、捕獲器2によって捕らえられた生物の数、種類、姿勢(向き)などが同定される。
【0032】
データ管理部3cは、データ格納部3bに格納された不定期画像データを、このデータの送信元である捕獲器2のメンテナンス直前における生物の捕獲状態を示す最終データとして管理する。これにより、特定の捕獲器2によって時系列的に撮像された画像データをユーザに提示する場合などにおいて、どの撮像タイミングが最終データなのかを示すことが可能になり、ユーザの利便性を高めることができる。最終データとして管理すべき不定期画像データの特定は、定期画像データ/不定期画像データの種別を識別可能なファイル名を参照することによって行われる。また、ファイル名ではなく、捕獲器2から種別が通知される場合、この通知に基づいて、不定期画像データが特定される。
【0033】
このように、本実施形態によれば、カメラ2bによる定期的な撮影以外に、捕獲器2のメンテナンスの際に行われたユーザ指示をトリガとした不定期な撮影を許容する。これにより、生物の捕獲状態の定期的な記録を維持しながら、メンテナンス直前における捕獲状態を記録・管理することが可能になる。
【0034】
この点について、
図7を参照しつつ詳述する。まず、同図の「比較例」では、予め定められたスケジュールどおりに撮影が行われる。すなわち、所定の撮影周期に従った4つの定期的な撮影タイミングt1,t2,t3,t4において、カメラ2bによる撮影が行われる。ここで、例えば、撮影周期t2~t3の途中に位置するタイミングtmにおいて、捕獲器2のメンテナンスが行われ、古い捕獲シートAから新しい捕獲シートBへの交換が行われたとする。この場合、タイミングtmよりも前の撮影タイミングt2では交換前の捕獲シートAが、また、タイミングtmよりも後の撮影タイミングt3では交換後の捕獲シートBがそれぞれ撮影される。その結果、期間t2~tmにおいて交換前の捕獲シートAに新たな生物が捕らえられたとしても、この生物は画像データとして記録されないことになる。すなわち、比較例の場合、期間t2~tmは、生物の捕獲状態をモニタリングできない空白期間になってしまう。
【0035】
これに対して、同図の「実施例」では、定期的な撮影タイミングt1,t2,t3,t4のみならず、タイミングtmにおいてもカメラに2bよる撮影が行われる。ここで、期間t2~tmの間で新たな生物が捕らえられた場合、上述した比較例とは異なり、タイミングtmで撮影された捕獲シートAの画像データとして、新たに捕獲された生物を適切に記録できる。したがって、比較例にて生じる空白期間を解消でき、期間t2~tmで捕らえられた生物を記録として残すことが可能になる。なお、メンテナンスが捕獲シートA,Bの交換を伴わないもの、例えば、捕獲器2の内部清掃のみであったとしても、メンテナンス直前の画像データを最終データとして明示的に記録しておくことの意義は大きい。
【0036】
また、本実施形態によれば、捕獲器2のメンテナンスをカメラ2bの撮影周期を考慮して行う必要がなくなる。捕獲シート2aの交換のやり方は、複数の捕獲器2に対する一斉交換、生物の捕獲が確認された捕獲器2のみの個別交換といった如く、設置現場毎に様々であるが、メンテナンスの時期的な制約が解消されることで、それぞれの設置現場に適したフレシキブルな対応が可能になる。
【0037】
さらに、本実施形態によれば、カメラ2bによって取得された画像データに対して、定期画像データ/不定期画像データの種別を識別可能なファイル名を付与する。これにより、ファイル名を参照するだけで画像データの種別を識別できるので、捕獲器2側および管理サーバ3側の双方にとって、データの種別を容易に識別できる。
【0038】
なお、上述した実施形態では、管理サーバ3の取得要求に対する応答として、捕獲器2から撮影済の画像データを取得する例について説明したが、捕獲器2および管理サーバ3の間における画像データの送受スキームは、これに限定されるものではない。例えば、管理サーバ3の撮影要求に応じて、捕獲器2が撮影をリアルタイムで行い、撮影要求に対する応答として、このリアルタイム撮影によって取得された画像データを管理サーバ3が取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 捕獲監視ネットワークシステム
2 捕獲器
2a 捕獲シート
2b カメラ
2c 撮影制御部
2d データ記憶部
2e 送信制御部
3 管理サーバ
3a データ取得部
3b データ格納部
3c データ管理部