(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】除湿機能付き換気装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/08 20060101AFI20221213BHJP
F24F 1/0087 20190101ALI20221213BHJP
F24F 1/0093 20190101ALI20221213BHJP
F24F 7/013 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
F24F7/08 A
F24F1/0087
F24F1/0093
F24F7/013 101Z
(21)【出願番号】P 2018150597
(22)【出願日】2018-08-09
【審査請求日】2021-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】597037050
【氏名又は名称】アオキ住宅機材販売株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】青木 憲明
(72)【発明者】
【氏名】米山 鐘一
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-087246(JP,U)
【文献】特開昭49-072950(JP,A)
【文献】特開2013-205007(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03045831(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/08
F24F 1/0087
F24F 1/0093
F24F 7/013
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分を吸湿可能及び放湿可能な乾式の吸湿材と、
該吸湿材を加熱するヒータと、をそれぞれ備えて、別個に形成された第1空気調和装置と第2空気調和装置と、
前記吸湿材と接触する空気の流れを形成する送風機と、
前記第1空気調和装置、前記第2空気調和装置及び前記送風機を制御する制御部と、を備え、
前記送風機は、室内から室外へ及び前記室外から前記室内へと風向を切り替えて空気を送気可能に構成されており、
前記制御部は、空気を除湿する除湿制御と、前記吸湿材の吸湿能力を回復させる回復制御と、を行い、
前記除湿制御では、前記ヒータを停止状態とし、前記室外からの空気が前記吸湿材に接触して前記室内に流れ込むように前記送風機を稼働して前記空気を除湿し、
前記回復制御では、前記ヒータを稼動状態とし、前記室内からの空気が前記吸湿材に接触して前記室外に流れ出すように前記送風機を稼働して、前記吸湿材から放湿された水分を含んだ空気を前記室外に排気して前記吸湿材の前記吸湿能力を回復させ、
前記第1空気調和装置と前記第2空気調和装置との一方に対する前記除湿制御、他方に対する前記回復制御を並行して行う並行制御を行い、交互に切り替えて実行
し、
前記制御部は、前記回復制御から前記除湿制御に切り替える際に、前記ヒータを停止状態とし、前記室内からの空気が前記ヒータによって加熱された前記吸湿材に接触して前記室外に流れ出すように前記送風機を稼働する通風制御を更に行うことを特徴とする除湿機能付き換気装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記吸湿材の吸湿量が吸湿可能量未満の予め定められたしきい値であって、かつ前記吸湿可能量の50wt%以上の前記しきい値を越えたときに、前記除湿制御と前記回復制御とを切り替える請求項1に記載の除湿機能付き換気装置。
【請求項3】
水分を吸湿可能及び放湿可能な乾式の吸湿材と、
該吸湿材を加熱するヒータと、をそれぞれ備えて、別個に形成された第1空気調和装置と第2空気調和装置と、
前記吸湿材と接触する空気の流れを形成する送風機と、
前記第1空気調和装置、前記第2空気調和装置及び前記送風機を制御する制御部と、を備え、
前記第1空気調和装置及び前記第2空気調和装置は、前記吸湿材及び前記ヒータを収容する収容空間を有する長尺に形成された外套部を備え、
前記送風機は、室内から室外へ及び前記室外から前記室内へと風向を切り替えて空気を送気可能に構成されており、
前記制御部は、空気を除湿する除湿制御と、前記吸湿材の吸湿能力を回復させる回復制御と、を行い、
前記除湿制御では、前記ヒータを停止状態とし、前記室外からの空気が前記吸湿材に接触して前記室内に流れ込むように前記送風機を稼働して前記空気を除湿し、
前記回復制御では、前記ヒータを稼動状態とし、前記室内からの空気が前記吸湿材に接触して前記室外に流れ出すように前記送風機を稼働して、前記吸湿材から放湿された水分を含んだ空気を前記室外に排気して前記吸湿材の前記吸湿能力を回復させ、
前記第1空気調和装置と前記第2空気調和装置との一方に対する前記除湿制御、他方に対する前記回復制御を並行して行う並行制御を行い、交互に切り替えて実行
し、
前記外套部には、室内側開口と、該室内側開口に前記収容空間を介して連続する室外側開口とが形成されており、
前記ヒータは、前記外套部の内壁面上にあり、
前記吸湿材は、前記送風機によって送風される空気が前記室内側開口と前記室外側開口とを往来可能とする空気流路を形成するように、前記ヒータ上に配設されていることを特徴とする除湿機能付き換気装置。
【請求項4】
前記吸湿材は、シート状に形成されており、前記空気流路を取り囲むように前記ヒータの内壁面上に配設されている請求項
3に記載の除湿機能付き換気装置。
【請求項5】
前記室内側開口は、前記外套部の長尺方向に沿って形成されたスリットである請求項
3に記載の除湿機能付き換気装置。
【請求項6】
前記外套部は、第1部位と第2部位とを有して、長尺に形成されており、
前記第1空気調和装置及び前記第2空気調和装置は、前記第1部位と前記第2部位との長尺方向に延在する側縁部同士を連結するヒンジを更に備え、
該ヒンジは、前記外套部の長尺方向に平行な方向に回転軸を有し、前記第1部位と前記第2部位とを相対的に回動可能として前記外套部を開閉可能とする請求項
3から
5のいずれか一項に記載の除湿機能付き換気装置。
【請求項7】
前記外套部における長尺方向に直交する方向の断面は、円弧状に形成されており、
前記ヒータ及び前記吸湿材のそれぞれは、前記外套部の前記内壁面に沿うように断面円弧状に形成されている請求項
3から
6のいずれか一項に記載の除湿機能付き換気装置。
【請求項8】
前記室内側開口は、前記断面において、前記ヒータ及び前記吸湿材のそれぞれにおける円弧形状の端部にある開口の延長上に形成されている請求項
7に記載の除湿機能付き換気装置。
【請求項9】
前記吸湿材は、シート状に長尺に形成されており、
前記吸湿材の内表面は、長尺方向に見て環状又は円弧状に形成された突条を長尺方向に複数有している請求項
3から
8のいずれか一項に記載の除湿機能付き換気装置。
【請求項10】
前記送風機は、前記第1空気調和装置に取り付けられてユニット化された第1送風機と、前記第2空気調和装置に取り付けられてユニット化された第2送風機と、を含んで構成されており、
前記第1空気調和装置及び前記第2空気調和装置は、部屋の壁に取り付けるための取付部をそれぞれ有している請求項1から
9のいずれか一項に記載の除湿機能付き換気装置。
【請求項11】
水分を吸湿可能及び放湿可能な乾式の吸湿材と、
該吸湿材を加熱するヒータと、をそれぞれ備えて、別個に形成された第1空気調和装置と第2空気調和装置と、
前記吸湿材と接触する空気の流れを形成する送風機と、
前記第1空気調和装置、前記第2空気調和装置及び前記送風機を制御する制御部と、
室外から室内に供給される空気の湿度を検出する湿度センサと、を備え、
前記送風機は、
前記室内から、
前記室外へ及び前記室外から前記室内へと風向を切り替えて空気を送気可能に構成されており、
前記制御部は、空気を除湿する除湿制御と、前記吸湿材の吸湿能力を回復させる回復制御と、を行い、
前記除湿制御では、前記ヒータを停止状態とし、前記室外からの空気が前記吸湿材に接触して前記室内に流れ込むように前記送風機を稼働して前記空気を除湿し、
前記回復制御では、前記ヒータを稼動状態とし、前記室内からの空気が前記吸湿材に接触して前記室外に流れ出すように前記送風機を稼働して、前記吸湿材から放湿された水分を含んだ空気を前記室外に排気して前記吸湿材の前記吸湿能力を回復させ、
前記第1空気調和装置と前記第2空気調和装置との一方に対する前記除湿制御、他方に対する前記回復制御を並行して行う並行制御を行い、交互に切り替えて実行
し、
前記制御部は、前記ヒータの加熱のために供給する供給電力を制御する機能を有し、前記回復制御時に、前記湿度センサによって検出された湿度が高い場合には、低い場合よりも前記供給電力を大きくすることを特徴とする除湿機能付き換気装置。
【請求項12】
水分を吸湿可能及び放湿可能な乾式の吸湿材と、
該吸湿材を加熱するヒータと、をそれぞれ備えて、別個に形成された第1空気調和装置と第2空気調和装置と、
前記吸湿材と接触する空気の流れを形成する送風機と、
前記第1空気調和装置、前記第2空気調和装置及び前記送風機を制御する制御部と、を備え、
前記第1空気調和装置及び前記第2空気調和装置は、前記吸湿材及び前記ヒータを収容する収容空間を有する長尺に形成された外套部を備え、
前記送風機は、室内から室外へ及び前記室外から前記室内へと風向を切り替えて空気を送気可能に構成されており、
前記制御部は、空気を除湿する除湿制御と、前記吸湿材の吸湿能力を回復させる回復制御と、を行い、
前記除湿制御では、前記ヒータを停止状態とし、前記室外からの空気が前記吸湿材に接触して前記室内に流れ込むように前記送風機を稼働して前記空気を除湿し、
前記回復制御では、前記ヒータを稼動状態とし、前記室内からの空気が前記吸湿材に接触して前記室外に流れ出すように前記送風機を稼働して、前記吸湿材から放湿された水分を含んだ空気を前記室外に排気して前記吸湿材の前記吸湿能力を回復させ、
前記第1空気調和装置と前記第2空気調和装置との一方に対する前記除湿制御、他方に対する前記回復制御を並行して行う並行制御を行い、交互に切り替えて実行
し、
前記第1空気調和装置又は前記第2空気調和装置の少なくとも一方は、前記空気の流路上における前記送風機と前記外套部との間に、前記空気を冷却する冷却器を備えることを特徴とする除湿機能付き換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾式の吸湿材を備える除湿機能付き換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空間を除湿するための従来からある除湿機能付き換気装置として、水分を吸湿する乾式の吸湿材を用いるものが知られており、さらに、吸湿材に吸湿された水分を蒸発(放湿)させることにより、吸湿材を再使用可能とする技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、収納庫等を除湿するための除湿装置が開示されている。この除湿装置は、吸湿材と、吸湿材を通るように通風するファンと、吸湿材に吸湿された水分の蒸発を促すためのヒータと、これらを覆うケーシング及びカバーケースと、を備えている。ケーシングには、室内に繋がる複数の給気口と、室外に繋がる複数の排気口と、が形成されている。
【0004】
そして、ケーシングに対してカバーケースを回転させることで、開口する給気口と排気口の組み合わせと、閉鎖する給気口と排気口の組み合わせを切替可能に構成されている。このように構成されていることで、吸湿材の吸湿能力の再生(回復)させるときと、除湿機能を発揮させるときとで、空気の流れを切り替えることを可能にするというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、除湿する空間として人のいる室内を除湿する場合に、特許文献1に記載の除湿装置を用いたときには、吸湿能力の再生の際には、除湿を行うことができず、その間に室内の湿度が高まってしまうため、快適性を維持することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、除湿機能を持続的に効率的に発揮させることが可能な除湿機能付き換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、水分を吸湿可能及び放湿可能な乾式の吸湿材と、該吸湿材を加熱するヒータと、をそれぞれ備えて、別個に形成された第1空気調和装置と第2空気調和装置と、前記吸湿材と接触する空気の流れを形成する送風機と、前記第1空気調和装置、前記第2空気調和装置及び前記送風機を制御する制御部と、を備え、前記送風機は、室内から室外へ及び前記室外から前記室内へと風向を切り替えて空気を送気可能に構成されており、前記制御部は、空気を除湿する除湿制御と、前記吸湿材の吸湿能力を回復させる回復制御と、を行い、前記除湿制御では、前記ヒータを停止状態とし、前記室外からの空気が前記吸湿材に接触して前記室内に流れ込むように前記送風機を稼働して前記空気を除湿し、前記回復制御では、前記ヒータを稼動状態とし、前記室内からの空気が前記吸湿材に接触して前記室外に流れ出すように前記送風機を稼働して、前記吸湿材から放湿された水分を含んだ空気を前記室外に排気して前記吸湿材の前記吸湿能力を回復させ、前記第1空気調和装置と前記第2空気調和装置との一方に対する前記除湿制御、他方に対する前記回復制御を並行して行う並行制御を行い、交互に切り替えて実行することを特徴とする除湿機能付き換気装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、除湿機能を持続的に効率的に発揮させることが可能な除湿機能付き換気装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る除湿機能付き換気装置を示す模式的な斜視図である。
【
図2】第1ヒータ又は第2ヒータ、及び第1吸湿材又は第2吸湿材を収容した外套部の断面を示す断面図である。
【
図3】第1ヒータ又は第2ヒータ、及び第1吸湿材又は第2吸湿材を示す斜視図である。
【
図4】第1空気調和装置又は第2空気調和装置を示す斜視図である。
【
図5】支持ボックスの蓋を取り外した状態を示す図であり、支持ボックスの内部にある外套部の室外側開口を示す斜視図である。
【
図6】制御部による第1空気調和装置、第2空気調和装置、並びに第1ファン及び第2ファンの制御フローを示す図である。
【
図7】(a)は、第1空気調和装置における第1吸湿材の吸湿量と時間の関係を示す図、(b)は、第2空気調和装置における第2吸湿材の吸湿量と時間の関係を示す図である。
【
図8】第1変形例に係る吸湿材を示す模式的な縦断面図である。
【
図9】第2変形例に係る、第1吸湿材及び第1ヒータを内部に有する外套部を示す模式的な縦断面図である。
【
図10】第3変形例に係る第1空気調和装置を示す模式的な斜視図である。
【
図11】第4変形例に係る歪センサが、外套部における室外側開口の近傍に取り付けられている状態を示す模式的な斜視図である。
【
図12】第4変形例に係る制御部による除湿機能付き換気装置の制御フローを示す図である。
【
図13】第5変形例に係る制御部による除湿機能付き換気装置の制御フローを示す図である。
【
図14】第6変形例に係る冷却器を備える第1空気調和装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0012】
<<本発明の概要>>
まず、
図1~
図3を主に参照して本発明の概要について説明する。
本発明の実施形態に係る除湿機能付き換気装置Sを示す模式的な斜視図である。
図2は、第1ヒータ11又は第2ヒータ21、及び第1吸湿材10又は第2吸湿材20を収容した外套部12の断面を示す断面図、
図3は、第1ヒータ11又は第2ヒータ21、及び第1吸湿材10又は第2吸湿材20を示す斜視図である。
【0013】
本実施形態に係る除湿機能付き換気装置Sは、
図1に示すように、別個に形成された第1空気調和装置1と第2空気調和装置2と、後述する第1吸湿材10又は第2吸湿材20と接触する空気の流れを形成する送風機(第1ファン18又は第2ファン28)と、第1空気調和装置1、第2空気調和装置2及び送風機(第1ファン18及び第2ファン28)を制御する制御部Cと、を備える。
第1空気調和装置1及び第2空気調和装置2は、
図2及び
図3に示すように、水分を吸湿可能及び放湿可能な乾式の吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)と、吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)を加熱するヒータ(第1ヒータ11又は第2ヒータ21)と、をそれぞれ備える。
送風機(第1ファン18及び第2ファン28)は、室内から室外へ及び室外から室内へと風向を切り替えて空気を送気可能(つまり、風向を変更可能)に構成されている。
制御部Cは、空気を除湿する除湿制御と、吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)の吸湿能力を回復させる回復制御と、を行う。
制御部Cは、除湿制御では、ヒータ(第1ヒータ11又は第2ヒータ21)を停止状態とし、室外からの空気が吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)に接触して室内に流れ込むように送風機(第1ファン18又は第2ファン28)を稼働して、空気を除湿する。
制御部Cは、回復制御では、ヒータ(第1ヒータ11又は第2ヒータ21)を稼動状態とし、室内からの空気が吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)に接触して室外に流れ出すように送風機(第1ファン18又は第2ファン28)を稼働して、吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)から放湿された水分を含んだ空気を室外に排気して吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)の吸湿能力を回復させる。
制御部Cは、第1空気調和装置1と第2空気調和装置2との一方に対して除湿制御、他方に対して回復制御を並行して行う並行制御を行い、交互に切り替えて実行する。
なお、送風機(第1ファン18又は第2ファン28)は、第1空気調和装置1又は第2空気調和装置2と別個の構成として記載しているが、第1空気調和装置1又は第2空気調和装置2に内蔵されるものであってもよい。
【0014】
このような構成に係る除湿機能付き換気装置Sによれば、一方の空気調和装置(第1空気調和装置1又は第2空気調和装置2)により、除湿した空気を室内に給気しつつ、他方の空気調和装置(第2空気調和装置2又は第1空気調和装置1)における吸湿材の吸湿能力の回復を行うことができ、交互に切り替えることで除湿機能を持続的に効率的に発揮させることができる。
【0015】
<<構成について>>
次に、本実施形態に係る除湿機能付き換気装置Sの各部の構成について、
図1~
図3に加え、
図4及び
図5を参照して説明する。
図4は、第1空気調和装置1又は第2空気調和装置2を示す斜視図、
図5は、支持ボックス14の蓋14bを取り外した状態を示す図であり、支持ボックス14の内部にある外套部12の室外側開口12dを示す斜視図である。なお、
図5及び後述の
図11においては、連通筒15、フランジ16及び第1ファン18(又は第2ファン28)の図示を省略している。
除湿機能付き換気装置Sは、第1空気調和装置1の第1吸湿材10又は第2空気調和装置2の第2吸湿材20の一方により、除湿した空気を室内に給気しつつ、他方における第2吸湿材20又は第1吸湿材10の吸湿能力を回復させる機能を有する。
【0016】
[空気調和装置]
第1空気調和装置1及び第2空気調和装置2は、同じ構成を有し、外気を除湿して室内に給気する機能、及び水分を含んだ空気を室外に排気する機能を有して、部屋の対向面に逆向きに取り付けられている。なお、第1空気調和装置1及び第2空気調和装置2の部屋の一部への取り付けの向き及び配置は、任意に設定可能である。
第1空気調和装置1は、第1吸湿材10、第1ヒータ11及び外套部12を主に含んで構成されており、第2空気調和装置2は、第2吸湿材20、第2ヒータ21及び外套部12を主に含んで構成されている。
【0017】
[吸湿材]
第1吸湿材10又は第2吸湿材20は、空気中の水分を吸湿させることにより、空気の除湿を行う機能を有し、一方で、吸湿した水分を放湿することにより、吸湿機能を回復する機能を有する。
本実施形態に係る第1吸湿材10又は第2吸湿材20は、吸水性ポリマー(ポリアクリレート等を含むポリマー)の繊維を含む不織布によってシート状に形成されている。本実施形態に係る第1吸湿材10又は第2吸湿材20は、凹凸のない断面円弧状に形成されて、長尺に延在して形成されており、外套部12の延在方向に沿って、外套部12の内部にある収容空間12cに配設されている。
なお、第1吸湿材10又は第2吸湿材20は、長尺な部材であるが、例えば、短尺な部材の集合体として、全体として長尺に形成されているものであってもよい。
そして、シート状に形成された吸湿材(第1吸湿材10及び第2吸湿材20)は、空気流路を取り囲むように、後述するヒータ(第1ヒータ11又は第2ヒータ21)の内壁面上に配設されている。
このように配設された吸湿材(第1吸湿材10及び第2吸湿材20)は、外套部12を通る空気の流れを阻害しない。
【0018】
吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)は、後述する送風機(第1ファン18又は第2ファン28)によって送風される空気が後述する室内側開口(スリット12e)と室外側開口12dとを往来可能とする空気流路を形成するように、ヒータ(第1ヒータ11又は第2ヒータ21)上に配設されている。
このような空間が形成されていることで、外套部12の内部を通る空気の流れをヒータ(第1ヒータ11又は第2ヒータ21)及び吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)が阻害することを抑制できる。
【0019】
本実施形態に係る第1吸湿材10及び第2吸湿材20のそれぞれは、断面円弧状に形成された2枚によって構成されており、2枚の第1吸湿材10の断面が一個の仮想円を構成する円弧を成すように向かい合わせで外套部12内に配設されている。
具体的には、第1吸湿材10は、後述する第1ヒータ11の内面に貼り合わせられ、第2吸湿材20は、後述する第2ヒータ21の内面に貼り合わせられて外套部12内に配設されている。
このような構成により、外套部12の収容空間12c内であって、向かい合う第1吸湿材10又は第2吸湿材20の間に、空気の往来を可能とする空間が形成されている。
【0020】
なお、本実施形態においては、第1吸湿材10及び第2吸湿材20のそれぞれは、自然状態において断面円弧状の形状を保持しているものであるが、本発明はこのような構成に限定されない。
例えば、第1吸湿材10及び第2吸湿材20は、柔軟性を有するものであれば、後述する断面円弧状に形成された第1ヒータ11又は第2ヒータ21の表面に貼り付けられることによって円弧状に形成されるものであってもよい。
さらには、第1吸湿材10及び第2吸湿材20の形状は、空気の往来を可能とする空間を形成できればよく、断面円弧状ではなく、角張ったC字状であってもよい。
【0021】
[ヒータ]
ヒータ(第1ヒータ11及び第2ヒータ21)は、吸湿材(第1吸湿材10及び第2吸湿材20)を加熱して、吸湿材に吸湿された水分を蒸発させる機能を有し、後述する外套部12の内壁面上に設けられている。
本実施形態に係るヒータ(第1ヒータ11及び第2ヒータ21)は、電熱線を内部に有して、外套部12の内壁面に沿うように断面円弧状に形成されたシートである。第1ヒータ11及び第2ヒータ21のそれぞれは、外套部12における後述する第1部位12aと第2部位12bとの内壁面に沿って、断面円弧状に形成された2枚によって構成されている。第1ヒータ11及び第2ヒータ21のそれぞれは、2枚の第1ヒータ11(又は第2ヒータ21)の断面が一個の仮想円を構成する円弧を成すように、向かい合わせで外套部12内に配設されている。
具体的には、第1吸湿材10は、後述する第1ヒータ11の内面に貼り合わせられ、第2吸湿材20は、後述する第2ヒータ21の内面に貼り合わせられて外套部12内に配設されている。
【0022】
このように、後述する外套部12、ヒータ(第1ヒータ11及び第2ヒータ21)及び吸湿材(第1吸湿材10及び第2吸湿材20)が断面円弧状に形成されていることで、これらの内部の空間における空気状態を均一なものにしやすくなる。このため、第1空気調和装置1及び第2空気調和装置2による温度及び湿度の管理が容易となる。
なお、第1ヒータ11及び第2ヒータ21は、柔軟性を有するものであれば、後述する断面円弧状に形成された外套部12の表面に貼り付けられることによって円弧状に形成されるものであってもよい。
さらには、第1ヒータ11及び第2ヒータ21の形状は、断面円弧状ではなく、角張ったC字状であってもよい。
【0023】
[外套部]
外套部12は、
図2に示すように、吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)及びヒータ(第1ヒータ11又は第2ヒータ21)を覆うものである。言い換えると、外套部12は、吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)及びヒータ(第1ヒータ11又は第2ヒータ21)を収容する収容空間12cを有する。
外套部12は、長尺方向に直交する方向の断面が円弧状に形成されて対称に形成された第1部位12aと第2部位12bとを有して、全体としても断面円弧状に形成されており、直線的に延在して長尺に形成されている。
【0024】
第1空気調和装置1及び第2空気調和装置2は、第1部位12aと第2部位12bにおける長尺方向に延在する一方の側縁部同士連結するヒンジ13を更に備える。
ヒンジ13は、外套部12の長尺方向に平行な方向に回転軸13aを有し、第1部位12aと第2部位12bとを相対的に回動可能として外套部12を開閉可能とする。
このように、第1空気調和装置1及び第2空気調和装置2が開閉可能に構成された外套部12をそれぞれ備えることで、長期間の使用により吸湿能力の低下した吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)の交換を容易に行うことができる。
【0025】
第1部位12aと第2部位12bにおける他方側の側縁部の端部12f同士は、離間して隙間を空けて配置されている。他方側の側縁部の端部12f間に設けられた隙間が、室内に給気するための室内側開口であり、外套部12の長尺方向に沿って形成されたスリット12eである。
具体的には、第1部位12a及び第2部位12bのそれぞれの端部12fは、外套部12の周回方向に延在する他の部位から、軸心側に折り返されるようにして形成されている。
そして、折り返されて他の部位から突出する突出長さは、第1吸湿材10(又は第2吸湿材20)と第1ヒータ11(又は第2ヒータ21)とを合わせた厚さよりも長い。
このように端部12fが折り返されて突出していることで、第1吸湿材10(又は第2吸湿材20)及び第1ヒータ11(又は第2ヒータ21)の周回方向のずれを制限することができる。
【0026】
外套部12には、室内側開口(スリット12e)と、室内側開口(スリット12e)に収容空間12cを介して連続する室外側開口12d(
図5参照)とが形成されている。
スリット12eは、外套部12の側壁に形成されており、室外側開口12dは、収容空間12cに連続する外套部12の基端部(支持ボックス14側の端部)である。なお、外套部12の先端部には、蓋17が取り付けられおり、外套部12の先端部は、蓋17によって封止されている。
【0027】
このように、外套部12が長尺に形成されており、室内側開口がスリット12eであることで、外套部12の内部に配設される吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)の触れる空気の面積を大きくしつつ、吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)によって除湿された空気を効果的に室内に供給することができる。
【0028】
室内側開口(スリット12e)は、外套部12の長尺方向に直交する断面において、ヒータ(第1ヒータ11又は第2ヒータ21)及び吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)のそれぞれにおける円弧形状の端部にある開口11a、10aの延長上に形成されている。
本実施形態においては、スリット12eは、
図2に示す縦断面において、2枚の第1ヒータ11(2枚の第2ヒータ21)における他方側の端部同士の間にある開口11a、及び2枚の第1吸湿材10(2枚の第2吸湿材20)における他方側の端部同士の間にある開口10aの延長上に形成されている。そして、スリット12eは、2枚の第1ヒータ11(2枚の第2ヒータ21)における他方側の端部同士の間にある開口11a、及び2枚の第1吸湿材10(2枚の第2吸湿材20)における他方側の端部同士の間にある開口10aよりも、外套部12の周方向において狭く開かれて形成されている。
【0029】
このように形成されていることで、吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)によって除湿された空気を室内に給気する際、及びヒータ(第1ヒータ11又は第2ヒータ21)によって加熱された空気を室内から室外に排気する際に、吸湿材及びヒータが干渉することを抑制して通気量が落ちることを抑制できる。
なお、本発明はこのような実施形態に限定されず、通気量が制限されることを抑制できるように、スリット12eが第1ヒータ11(又は第2ヒータ21)、及び第1吸湿材10(又は第2吸湿材20)における他方側の端部にある開口の延長上に形成されていればよい。具体的には、第1ヒータ11(又は第2ヒータ21)、及び第1吸湿材10(又は第2吸湿材20)はそれぞれ2枚設けられているものではなく、一体的に形成されていてもよい。このような場合でも、第1ヒータ11(又は第2ヒータ21)、及び第1吸湿材10(又は第2吸湿材20)に、スリット12eに対しての通気に関して干渉しないように開口が設けられていればよい。
【0030】
第1ヒータ11(又は第2ヒータ21)、及び第1吸湿材10(又は第2吸湿材20)がそれぞれ一体的に形成されている場合には、外套部12における第1部位12aと第2部位12bとのヒンジ13による開閉を阻害しないようにする必要がある。
例えば、第1部位12a及び第2部位12bの端部12fが、第1ヒータ11(又は第2ヒータ21)の端部、及び第1吸湿材10(又は第2吸湿材20)の端部に当接しないように軸心側に突出して形成されずに、平坦に形成されていてもよい。
また、そもそもヒンジ13による回転軸13aを中心とした回動によって、第1部位12aと第2部位12bとを開閉する構成ではなく、蓋17の周縁その他の図示せぬ嵌合部により、第1部位12aと第2部位12bとが上下に嵌合する構成であってもよい。
【0031】
[支持ボックス]
本実施形態に係る外套部12は、
図4及び
図5に示す支持ボックス14によってその基端側を支持されている。支持ボックス14は、箱状のボックス本体14aと、ボックス本体14aを塞ぐ蓋14bと、中空の略直方体状に形成されている。
図5に示すように、ボックス本体14aにおける側壁部14eには、外套部12の基端部を通す通し孔14dが形成されており、通し孔14dの周縁にボス14cがボックス本体14aの内側に突出して形成されている。つまり、外套部12の基端部は、ボス14cによってその周囲を支持されている。
【0032】
例えば、外套部12の自然状態における外面の曲率をボス14cの支持面における曲率よりも小さいものとすると、外套部12の復元力に対して生じるボス14cによる反力によって、外套部12をボス14cによって好適に支持することが可能である。このような構成によれば、別個の取付部材を設けずとも、外套部12をボス14cによって嵌合支持させることができる。
勿論、別個の取付部材によって外套部12をボックス本体14aに取り付けるようにすることも可能である。
【0033】
また、ボックス本体14aにおける蓋14bに対向する底壁部14fには、
図4に示す円筒状の連通筒15を通して、ボックス本体14a内と室外とを連通させるための通し穴14g(
図5参照)が形成されている。連通筒15の端部に設けられた不図示の室内側のフランジ部が通し穴14gの周縁に当接した状態でネジ等によって組み付けられることで、連通筒15とボックス本体14aとが接続されている。
連通筒15の室外側端部には、第1ファン18(又は第2ファン28)が取り付けるための円盤状のフランジ16が設けられている。
【0034】
本実施形態に係る除湿機能付き換気装置Sは、室外から室内に供給される空気(本実施形態においては、連通筒15の内部の空気)の湿度を検出する湿度センサ3を備える。
湿度センサ3は、後述する第1吸湿材10(第2吸湿材20)の吸湿量を算出するために用いられるものであり、連通筒15の内壁面に取り付けられている。
なお、湿度センサ3は、連通筒15の内部以外にも、支持ボックス14の内部や、外套部12の内部に配設されていてもよい。後述する制御部Cによって、室外から給気される空気の湿度の大小の相関性を算出できればよいためである。
また、吸湿量については、湿度センサ3を用いずに、後述するように他の方法によって算出するようにしてもよい。
なお、本実施形態においては、外套部12の内部にのみ吸湿材及びヒータを設ける例を説明しているが、例えば、支持ボックス14や連通筒15の内部にも吸湿材を設けるようにしてもよく、更にヒータを設けるようにしてもよい。
【0035】
[送風機]
送風機は、第1空気調和装置1に取り付けられてユニット化された第1送風機(第1ファン18)と、第2空気調和装置2に取り付けられてユニット化された第2送風機(第2ファン28)と、を含んで構成されている。
具体的には、第1ファン18及び第2ファン28のそれぞれは、上記のように、連通筒15に設けられたフランジ16に取り付けられている。また、部屋の壁に取り付けるための取付部としても機能する。
そして、第1空気調和装置1及び第2空気調和装置2は、取付部としてのフランジ16をそれぞれ有していることで、送風機(第1ファン18又は第2ファン28)とともに、ユニットとして、部屋の壁に容易に取り付けることが可能となる。
なお、部屋の壁に取り付ける「取付部」としては、フランジ16に限定されず、支持ボックス14や連通筒15等であってもよく、更には、これらに取り付けられる不図示の取付具であってもよい。
【0036】
また、第1空気調和装置1、第2空気調和装置2に個別に送風機が取り付けられていることにより、個々の装置において安定的な風量を確保することができ、除湿能力及び回復能力の両方を高めることができる点で好適である。
しかしながら、本発明は、第1空気調和装置1及び第2空気調和装置2において、室内と室外とに関して逆方向の流路を形成することが可能であれば、このような構成に限定されない。つまり、第1空気調和装置1と第2空気調和装置2とに、必ずしも個別に送風機が設けられている必要はなく、室内に送風機が設けられていたり、その個数が1つのみであってもよい。
【0037】
[制御部]
次に、制御部Cによる第1空気調和装置1、第2空気調和装置2、並びに第1ファン18及び第2ファン28の制御方法について、
図6及び
図7を主に参照して説明する。
図6は、制御部Cによる除湿機能付き換気装置S(第1空気調和装置1、第2空気調和装置2、並びに第1ファン18及び第2ファン28)の制御フローを示す図である。
図7(a)は、第1空気調和装置1における第1吸湿材10の吸湿量と時間の関係を示す図、
図7(b)は、第2空気調和装置2における第2吸湿材20の吸湿量と時間の関係を示す図である。
【0038】
なお、便宜上、
図7(a)及び
図7(b)において、吸湿量(wt%)の線図は0を始点としている。しかしながら、実際の
図7における吸湿量(wt%)0の値は、第1吸湿材10及び第2吸湿材20の工場出荷時の値ではなく、第1吸湿材10及び第2吸湿材20の使用している環境における、吸湿量(wt%)の下限の値を示すものである。つまり、吸湿量(wt%)0の値は、工場出荷時の値よりも高い値であり、第1空気調和装置1又は第2空気調和装置2を繰り返し使用した後の回復制御後の値と等しい。
制御部Cは、人(使用者)の操作に応じて及び/又は自動的に、第1空気調和装置1、第2空気調和装置2、並びに第1ファン18及び第2ファン28の制御を行うものである。
【0039】
制御部Cは、人の操作により制御の開始操作がされると、第1空気調和装置1に取り付けられた第1ファン18、及び第2空気調和装置2に取り付けられた第2ファン28を駆動する(ステップS1)。
具体的には、第1ファン18を室内への給気方向の空気の流れを形成する回転を正回転、室外への排気方向の空気の流れを形成する回転を逆回転とすると、制御部Cは、第1ファン18を正回転させたときには、第2ファン28を逆回転させるように制御する。
このように制御することで、室外からの外気を室内に通して室外に排出することが可能となる。
さらに、制御部Cは、第2空気調和装置2の第2ヒータ21を稼働させる。
【0040】
ここで、ヒータ(第1ヒータ11又は第2ヒータ21)を稼動させずに、第1ファン18又は第2ファン28を正回転させて、除湿した外気を室内に取り込む制御を「除湿制御」という。つまり、制御部Cは、第1空気調和装置1に対して除湿制御を行っている。
また、ヒータ(第1ヒータ11又は第2ヒータ21)を稼動させて、第1吸湿材10又は第2吸湿材20に吸湿された水分を蒸発させて、除湿機能を回復させる制御を「回復制御」という。この制御は、第1ファン18又は第2ファン28を逆回転させることで、水分を含んだ空気を外部に排出する制御を伴うものである。つまり、制御部Cは、第2空気調和装置2に対して回復制御を行っている。
なお、第1空気調和装置1及び第2空気調和装置2の稼動開始当初、つまり除湿制御前の段階においては、第1吸湿材10又は第2吸湿材20に吸湿されている水分は少ない。よって、この段階においては、上記のヒータ(第1ヒータ11又は第2ヒータ21)の稼動は任意である。
【0041】
次に、制御部Cは、吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)の特性(吸湿効率)、湿度センサ3から検出される連通筒15を通る空気の湿度データ、及び制御部Cに設けられているタイマーによって計測される通気時間から想定される吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)の吸湿量を算出する(ステップS2)。
例えば、制御部Cは、吸湿材(第1吸湿材10)の吸湿量が規定量(本実施形態においては吸湿可能量の60wt%)以下であるときには(ステップS3:No)、吸湿量の算出を継続する(ステップS2)。
一方、制御部Cは、吸湿材(第1吸湿材10)の吸湿量が吸湿可能量未満の予め定められたしきい値であって、かつ吸湿可能量の50wt%以上のしきい値(本実施形態においては60wt%)を越えたときに、つまり、規定量を越える値になったときには(ステップS3:Yes)、第1空気調和装置1及び第2空気調和装置2に対する除湿制御と回復制御とを切り替える(ステップS4)。例えば、しきい値は、吸湿可能量の60wt%や70wt%である。
【0042】
具体的には、制御部Cは、第1ファン18の回転を正回転から逆回転に切り替えて(ステップS4)、第1ファン18を駆動し(ステップS1)、第1空気調和装置1の第1ヒータ11を稼動させるように切り替える(ステップS4)。これとともに、制御部Cは、第2ファン28の回転を逆回転から正回転に切り替えて、第2ファン28を駆動し(ステップS1)、第2空気調和装置2の第2ヒータ21の稼動を停止させる(ステップS4)。さらに、除湿制御と回復制御とを切り替え時に、第2空気調和装置2の第2吸湿材20の吸湿量を算出するため、タイマーによる通気時間の計測をリスタートする。
以降、使用者による制御部Cに対する操作によって、制御の解除がなされるまで、制御部Cは、第1空気調和装置1及び第2空気調和装置2に対する除湿制御と回復制御を交互に並行して実行する。
このような制御により、
図7に示すように、第1空気調和装置1の第1吸湿材10及び第2空気調和装置2の第2吸湿材20に関するそれぞれの除湿効率が低下することを抑制でき、除湿した空気を室内に継続的に安定して取り込むことができる。
【0043】
なお、
図7(b)においては、最初の第2ファン28の稼働時に、第2ヒータ21を稼動させた状態を示すものである。この場合には、第2吸湿材20に吸湿された水分が、第2ヒータ21により気化されるため、除湿制御に切り替わるまで吸湿量は0wt%のままである。
例えば、最初の第2ファン28の稼働時に、第2ヒータ21を稼動させない場合には、室内における水分を含んだ空気が、第2空気調和装置2の第2吸湿材20に接して、室内から室外に流れるため、第2吸湿材20の吸湿量は若干上がることになる。第2吸湿材20に対する回復制御を開始した後(つまり、
図7(b)に示す2時間後からそれ以降)の吸湿量の変化は、略
図7(b)に示すものと同様となる。
【0044】
また、制御部Cは、ヒータ(第1ヒータ11又は第2ヒータ21)の加熱のための供給する供給電力を制御する機能を有するようにしてもよい。具体的には、制御部Cは、回復制御時に、湿度センサ3によって検出された湿度が高い場合には、検出された湿度が低い場合よりも当該供給電力を大きくするように制御する。
このような構成によれば、第1空気調和装置1又は第2空気調和装置2の一方を介して室内に取り込まれる外気の湿度が高いと、吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)の吸湿量がすぐに大きくなる。この場合に、ヒータへの供給電力を大きくすることで、第1空気調和装置又は第2空気調和装置の他方における回復制御の効率を高めることができ、除湿制御による除湿量と、回復制御による回復量のバランスを保つことができる。
つまり、回復制御において、大きな電力が供給されるヒータの熱によって、第1吸湿材10又は第2吸湿材20の放湿量を高めることができ、吸湿量が少ない状態で回復制御から除湿制御に移行させることができる。このため、除湿制御と回復制御の切り替え回数を減らして制御不良を抑制しつつ、室内を効率的に除湿することができる。一方で、外気の湿度が低いときには、ヒータへの供給電力を相対的に低くすることで省エネルギー化できる。
【0045】
<第1変形例>
上記実施形態に係る第1吸湿材10及び第2吸湿材20は、凹凸を有しないものであるとして説明したが、本発明はこのような構成に限定されない。
次に、第1変形例に係る吸湿材50について、
図8を主に参照して説明する。
図8は、第1変形例に係る吸湿材50を示す模式的な縦断面図である。
吸湿材50は、シート状に長尺に形成されている。
吸湿材50は、除湿効率及び放湿効率を高めるために、円筒状のベース部分である本体部50aと、本体部50aの内面から連続的に突出して形成された突条50bとから形成されている。換言すると、吸湿材50の内表面は、長尺方向に見て環状に形成された突条50bを長尺方向に複数有している。
なお、吸湿材50における外套部12のスリット12eに対向する部位には、内部と外部とを連通する図示せぬ通気孔が形成されている。
【0046】
このような突条50bを備える吸湿材50によれば、凹凸を有しない平坦に形成されたものと比較して、吸湿材50内を通る空気との接触面積を大きくすることができる。
したがって、上記のように、吸湿材50による除湿効率を高めることができることで、室内に湿度の高い空気が給気されることを効果的に抑制することができ、放湿効率を高めることができることで、除湿能力を迅速に回復することができる。さらには、吸湿材50の内部を通る空気の流れが突条50bに当接することで乱れることになり、水分の吸湿速度・放湿速度を高くすることができる。
さらに、吸湿材50は、円筒状の本体部50aを備えるものに限定されず、
図2に示す第1吸湿材10又は第2吸湿材20と同様に、半割れの断面円弧状の本体部、又は複数個に分かれて形成された本体部をベース部分として備えるものであってもよい。この場合、突条50bは、長尺方向に見て断面円弧状に形成されていることになる。
【0047】
<第2変形例>
上記実施形態に係る外套部12は、長尺方向に直線的に延在しているものとして説明したが、本発明はこのような構成に限定されない。
次に、第2変形例に係る外套部62について、
図9を参照して説明する。
図9は、第2変形例に係る、第1吸湿材10及び第1ヒータ11を内部に有する外套部62を示す模式的な縦断面図である。
外套部62は、略均等な厚さを有しつつ、長尺方向において、大径部と小径部とを交互に有するように形成されている。そして略均等な厚さの第1ヒータ11が外套部62の内壁面に沿って貼り付けられて、略均等な厚さでシート状に長尺に形成された第1吸湿材10が第1ヒータ11の上に貼り付けられている。また、外套部62の外周面を覆うように、化粧筒69が設けられている。化粧筒69によれば、外観を良好にできるため好適であるが、化粧筒69は、必ずしも必要な構成部品ではない。
【0048】
このように構成された第1吸湿材10の内表面は、長尺方向に見て環状又は円弧状に形成された突条を長尺方向に複数有することとなる。
このため、外套部62の内壁面に沿って配設された第1吸湿材10は、凹凸を有しない平坦に形成された外套部12の内壁面に沿って配設された第1吸湿材10と比較して、吸湿材10内を通る空気との接触面積を大きくすることができる。
したがって、吸湿材10による除湿効率を高めることができることで、室内に湿度の高い空気が給気されることを効果的に抑制することができ、放湿効率を高めることができることで、除湿能力を迅速に回復することができる。つまり、第2変形例においても、第1変形例と同様の効果を奏することができる。
【0049】
なお、第2変形例においては、第1吸湿材10、第1ヒータ11を構成部材として備える第1空気調和装置について説明したが、第2空気調和装置についても同様の構成を採用できることは勿論である。
例えば、第1空気調和装置及び第2空気調和装置の一方側に面する室外の空気(外気)の湿度が、他方側の外気の湿度よりも恒常的に高い場合には、一方の空気調和装置のみを第2変形例に係る外套部62を備えるものとし、他方の空気調和装置は外套部12を備えるものとしてもよい。このようにすれば、第1空気調和装置又は第2空気調和装置の除湿制御による除湿量と、回復制御による回復量のバランスを保つことができる。
つまり、外気の湿度に応じて、異なる除湿能力を有する空気調和装置を設けるようにしてもよい。
【0050】
<第3変形例>
上記実施形態においては、
図4に示すように、外套部12には何ら模様が付されておらず、支持ボックス14は直方体状であるものとして説明したが、本発明はこのような構成に係るものに限定されない。
次に、第3変形例に係る第1空気調和装置7について、
図10を参照して説明する。
図10は、第3変形例に係る第1空気調和装置7を示す模式的な斜視図である。
第1空気調和装置7は、模様72f付きの外套部72と、中空の半球状の支持ボックス74と、を備える。
【0051】
外套部72には、星型の有底の窪みである模様72fが複数形成されている。この模様72fによって、意匠性が高められている。また、模様72fとして、外套部72を厚さ方向に貫通する貫通孔とし、模様72fにおいても外套部12の内部と外部との間で空気が流通するようにしてもよい。
【0052】
支持ボックス74は、室内の壁面に取り付けられる側が平面を有するように形成され、室内側がボウル状に形成されて、半球状に形成されている。
特に、支持ボックス74が均等(略均等を含む)な厚さで形成されており、内面も半球状に形成されているときには、支持ボックス74内に導入される空気を、半球状の内面に当接させて外套部72又は連通筒15側に誘導することができる。このため、室外から室内に効率的に給気を行うことができるとともに、室内から室外に効率的に排気を行うことができる。
【0053】
また、星型の模様72fと半球状の支持ボックス74との組み合わせにより、支持ボックス74により近位側の星、模様72fにより遠方の星を表現でき、第1空気調和装置7全体として星空に係る統一ある美感を起こさせることが可能である。
なお、第3変形例においては、第1空気調和装置7を例に説明したが、第2空気調和装置についても同様の構成を採用できることは勿論である。
【0054】
<第4変形例>
上記実施形態においては、制御部C(
図1参照)が、吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)の吸湿量を、吸湿材の特性、湿度センサ3による湿度データ及び制御部Cに設けられたタイマーにより計測される通気時間によって算出するものとして説明した。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されない。
次に、第4変形例に係る歪センサ4に係る構成について、
図11及び
図12を主に参照して説明する。
図11は、第4変形例に係る歪センサ4が、外套部12における室外側開口12dの近傍に取り付けられている状態を示す模式的な斜視図である。
図12は、第4変形例に係る制御部Cによる除湿機能付き換気装置Sの制御フローを示す図である。
【0055】
外套部12の内部に設けられた第1吸湿材10(又は第2吸湿材20)は、空気中の水分を吸着すると、吸着した水分の分だけ重くなる。外套部12は、その室外側開口12d側の基端部を、支持部(ボス14c)によって片持梁状に支持されている。このため、第1吸湿材10が重くなるほど、外套部12の基端部の下部に当接するボス14cの下部を支点として、外套部12の基端部の上部からボス14cの上部に対して荷重が加わることになる。このとき、外套部12の基端部がボス14cの上部からの反力を受けて、外套部12の基端部に曲げモーメントが加わることになる。
歪センサ4は、ボス14cの上部に当接する外套部12の基端部の部位(被支持部)における内面に取り付けられている。このため、歪センサ4は、吸湿量によって変動する曲げモーメントによる外套部12の基端部の微小なたわみ量を検出可能となる。
【0056】
そして、制御部Cは、歪センサ4によって検出された外套部12の基端部の微小なたわみ量から、第1吸湿材10の重量の増加量を算出し、吸湿材の吸湿量を算出して、次に示す制御を行うことができる。なお、次に示す制御のうち、ステップS11は、
図6に示して説明したステップS1と、ステップS13はステップS3と、ステップS14はステップS4と、ほぼ同様であるため、重複する内容についてはその説明を省略する。
【0057】
第4変形例に係る制御部Cは、
図12に示すように、人の操作により制御の開始操作がされると、第1空気調和装置1に取り付けられた第1ファン18、及び第2空気調和装置2に取り付けられた第2ファン28を駆動する(ステップS11)。さらに、制御部Cは、第2空気調和装置2の第2ヒータ21を稼働させる。
次に、制御部Cは、歪センサ4から検出されたたわみ量に基づいて、吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)の吸湿量を算出する(ステップS12)。
例えば、制御部Cは、吸湿材(第1吸湿材10)の吸湿量が規定量(本実施形態においては吸湿可能量の60wt%)以下であるときには(ステップS13:No)、吸湿量の算出を継続する(ステップS12)。
一方、制御部Cは、吸湿材(第1吸湿材10)の吸湿量が吸湿可能量未満の予め定められたしきい値であって、かつ吸湿可能量の50wt%以上のしきい値(本実施形態においては吸湿可能量の60wt%)を越えたときに、つまり規定量を越える値になったときには(ステップS13:Yes)、第1空気調和装置1及び第2空気調和装置2に対する除湿制御と回復制御とを切り替える(ステップS14)。
このような構成によれば、上記実施形態に係る制御において必要であったタイマーによる計測が不要となり、第1吸湿材10への通気開始時とタイマーの計測開始時を同期させる必要がないため、除湿制御と回復制御の切り替えを好適に行うことが可能となる。
【0058】
<第5変形例>
上記実施形態においては、第1ヒータ11と第2ヒータ21の稼動及び稼動の停止(稼動の切り替え)を同時に行い、かつ第1ヒータ11と第2ヒータ21の稼動の切り替えと、除湿制御と回復制御の切り替えを同時に行うものとして説明した。
しかしながら、本発明はこのような構成に限定されない。次に、第5変形例に係る制御部Cによる制御について、
図13を主に参照して説明する。
図13は、第5変形例に係る制御部Cによる除湿機能付き換気装置Sの制御フローを示す図である。
なお、次に示す制御のうち、ステップS21は、
図12に示して説明したステップS11と、ステップS22はステップS12と、ステップS23はステップS13と、ステップS26はステップS14と、ほぼ同様であるため、重複する内容についてはその説明を省略する。
【0059】
第5変形例に係る制御部Cは、回復制御から除湿制御に切り替える際に、ヒータ(第1ヒータ11又は第2ヒータ21)を停止状態とし、室内からの空気がヒータによって加熱された吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)に接触して室外に流れ出すように送風機(第1ファン18又は第2ファン28)を稼働する通風制御を行う。
詳細には、制御部Cは、
図13に示すように、人の操作により制御の開始操作がされると、第1空気調和装置1に取り付けられた第1ファン18、及び第2空気調和装置2に取り付けられた第2ファン28を駆動する(ステップS21)。さらに、制御部Cは、第2空気調和装置2の第2ヒータ21を稼働させる。
次に、制御部Cは、歪センサ4から検出されたたわみ量に基づいて、吸湿材(第1吸湿材10又は第2吸湿材20)の吸湿量を算出する(ステップS22)。
制御部Cは、吸湿材(第1吸湿材10)の吸湿量が規定量(本実施形態においては吸湿可能量の60wt%)を越える値になったときには(ステップS23:Yes)、第2ヒータ21の稼動を停止する(ステップS24)。第2ヒータ21が熱を帯びなくなる所定の時間が経過するまで(本実施形態においては5分経過するまで)、除湿制御と回復制御との切り替えを行わずに、その状態を維持する(通風制御という。)。所定時間が経過した後に(ステップS25)、第1空気調和装置1及び第2空気調和装置2に対する除湿制御と回復制御とを切り替える(ステップS26)。
【0060】
具体的には、制御部Cは、第1ファン18の回転を正回転から逆回転に切り替えて(ステップS26)、第1ファン18を駆動し(ステップS21)、第1空気調和装置1の第1ヒータ11を稼動させるように切り替える(ステップS26)。これとともに、制御部Cは、第2ファン28の回転を逆回転から正回転に切り替えて、第2ファン28を駆動する(ステップS21)。
【0061】
上記制御によれば、第2ヒータ21が熱を帯びなくなるまで、第2ファン28が室内の空気を排気する方向に通風する状態を維持するため、第2ヒータ21を通ることによって熱が加わった空気が室内に給気されることを回避できる。したがって、室内の温度上昇を抑制することができる。
なお、歪センサ4を用いた制御によるものではなく、
図6に示して説明した湿度センサ3を用いた制御にも、ヒータ(第1ヒータ11又は第2ヒータ21)の稼動を停止して時間をおく制御を適用できることは勿論である。
【0062】
<第6変形例>
上記実施形態に係る第1空気調和装置及び第2空気調和装置においては、除湿した空気を取り込む機能、及び吸湿能力を回復する機能を有するものとして説明した。本発明に係る空気調和装置は、このような機能のみを有するものに限定されず、外気を冷却して室内に取り込む機能を備える機能を更に有してもよい。
【0063】
次に、第6変形例に係る第1空気調和装置8について、
図14を参照して説明する。
図14は、第6変形例に係る冷却器80を備える第1空気調和装置8を示す斜視図である。
第1空気調和装置8は、空気の流路上における第1ファン18と外套部12との間に、空気を冷却する冷却器80を備える。
【0064】
本変形例に係る冷却器80は、支持ボックス14の外側の面に取り付けられて、連通筒15と支持ボックス14との間を通気可能に配設されている。
冷却器80は、放熱のためのフィン80aと、フィン80aに跨るように配設された冷媒配管80b、80cと、フィン80aの表面に生じる結露水を外部に排出する冷媒配管80cと、から構成されている。フィン80aは、連通筒15と支持ボックス14との間に設けられて縦向きに配列されている。
【0065】
上記構成によれば、不図示のポンプにより、冷媒配管80bからフィン80aにかけて冷媒を供給し、冷媒配管80cを通って循環させることにより、外気を冷却して支持ボックス14及び外套部12を介して室内に取り込むことが可能となる。
さらに、第1空気調和装置8は、ドレン配管80dにより結露水を外部に排出することができるため、除湿機能を更に備えることが可能である。
【0066】
上記のように、吸湿量を計測するための湿度センサ3を設ける場合には、冷却器80よりも下流側であり、外套部12よりも上流側である支持ボックス14の内部に設けるようにすればよい。
また、本変形例においては、第1空気調和装置8について説明したが、第1空気調和装置8又は第2空気調和装置の一方が、冷却器80を備えるようにしても、双方が備えるようにしてもよい。
【0067】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)水分を吸湿可能及び放湿可能な乾式の吸湿材と、
該吸湿材を加熱するヒータと、をそれぞれ備えて、別個に形成された第1空気調和装置と第2空気調和装置と、
前記吸湿材と接触する空気の流れを形成する送風機と、
前記第1空気調和装置、前記第2空気調和装置及び前記送風機を制御する制御部と、を備え、
前記送風機は、室内から室外へ及び前記室外から前記室内へと風向を切り替えて空気を送気可能に構成されており、
前記制御部は、空気を除湿する除湿制御と、前記吸湿材の吸湿能力を回復させる回復制御と、を行い、
前記除湿制御では、前記ヒータを停止状態とし、前記室外からの空気が前記吸湿材に接触して前記室内に流れ込むように前記送風機を稼働して前記空気を除湿し、
前記回復制御では、前記ヒータを稼動状態とし、前記室内からの空気が前記吸湿材に接触して前記室外に流れ出すように前記送風機を稼働して、前記吸湿材から放湿された水分を含んだ空気を前記室外に排気して前記吸湿材の前記吸湿能力を回復させ、
前記第1空気調和装置と前記第2空気調和装置との一方に対する前記除湿制御、他方に対する前記回復制御を並行して行う並行制御を行い、交互に切り替えて実行することを特徴とする除湿機能付き換気装置。
(2)前記制御部は、前記吸湿材の吸湿量が吸湿可能量未満の予め定められたしきい値であって、かつ前記吸湿可能量の50wt%以上の前記しきい値を越えたときに、前記除湿制御と前記回復制御とを切り替える(1)に記載の除湿機能付き換気装置。
(3)前記制御部は、前記回復制御から前記除湿制御に切り替える際に、前記ヒータを停止状態とし、前記室内からの空気が前記ヒータによって加熱された前記吸湿材に接触して前記室外に流れ出すように前記送風機を稼働する通風制御を更に行う(1)又は(2)に記載の除湿機能付き換気装置。
(4)前記第1空気調和装置及び前記第2空気調和装置は、前記吸湿材及び前記ヒータを収容する収容空間を有する長尺に形成された外套部を備え、
該外套部には、室内側開口と、該室内側開口に前記収容空間を介して連続する室外側開口とが形成されており、
前記ヒータは、前記外套部の内壁面上にあり、
前記吸湿材は、前記送風機によって送風される空気が前記室内側開口と前記室外側開口とを往来可能とする空気流路を形成するように、前記ヒータ上に配設されている(1)から(3)のいずれか一項に記載の除湿機能付き換気装置。
(5)前記吸湿材は、シート状に形成されており、前記空気流路を取り囲むように前記ヒータの内壁面上に配設されている(4)に記載の除湿機能付き換気装置。
(6)前記室内側開口は、前記外套部の長尺方向に沿って形成されたスリットである(4)に記載の除湿機能付き換気装置。
(7)前記外套部は、第1部位と第2部位とを有して、長尺に形成されており、
前記第1空気調和装置及び前記第2空気調和装置は、前記第1部位と前記第2部位との長尺方向に延在する側縁部同士を連結するヒンジを更に備え、
該ヒンジは、前記外套部の長尺方向に平行な方向に回転軸を有し、前記第1部位と前記第2部位とを相対的に回動可能として前記外套部を開閉可能とする(4)から(6)のいずれか一項に記載の除湿機能付き換気装置。
(8)前記外套部における長尺方向に直交する方向の断面は、円弧状に形成されており、
前記ヒータ及び前記吸湿材のそれぞれは、前記外套部の前記内壁面に沿うように断面円弧状に形成されている(4)から(7)のいずれか一項に記載の除湿機能付き換気装置。
(9)前記室内側開口は、前記断面において、前記ヒータ及び前記吸湿材のそれぞれにおける円弧形状の端部にある開口の延長上に形成されている(8)に記載の除湿機能付き換気装置。
(10)前記吸湿材は、シート状に長尺に形成されており、
前記吸湿材の内表面は、長尺方向に見て環状又は円弧状に形成された突条を長尺方向に複数有している(4)から(9)のいずれか一項に記載の除湿機能付き換気装置。
(11)前記送風機は、前記第1空気調和装置に取り付けられてユニット化された第1送風機と、前記第2空気調和装置に取り付けられてユニット化された第2送風機と、を含んで構成されており、
前記第1空気調和装置及び前記第2空気調和装置は、部屋の壁に取り付けるための取付部をそれぞれ有している(1)から(10)のいずれか一項に記載の除湿機能付き換気装置。
(12)前記室外から前記室内に供給される空気の湿度を検出する湿度センサを更に備え、
前記制御部は、前記ヒータの加熱のために供給する供給電力を制御する機能を有し、前記回復制御時に、前記湿度センサによって検出された湿度が高い場合には、低い場合よりも前記供給電力を大きくする(1)から(11)のいずれか一項に記載の除湿機能付き換気装置。
(13)前記第1空気調和装置及び前記第2空気調和装置は、前記吸湿材及び前記ヒータを収容する収容空間を有する長尺に形成された外套部を備え、
前記第1空気調和装置又は前記第2空気調和装置の少なくとも一方は、前記空気の流路上における前記送風機と前記外套部との間に、前記空気を冷却する冷却器を備える(1)から(12)のいずれか一項に記載の除湿機能付き換気装置。
【符号の説明】
【0068】
C 制御部
S 除湿機能付き換気装置
1 第1空気調和装置
10 第1吸湿材(吸湿材)
10a 開口
11 第1ヒータ(ヒータ)
11a 開口
12 外套部
12a 第1部位
12b 第2部位
12c 収容空間
12d 室外側開口
12e スリット(室内側開口)
12f 端部
13 ヒンジ
13a 回転軸
14 支持ボックス
14a ボックス本体
14b 蓋
14c ボス
14d 通し孔
14e 側壁部
14f 底壁部
14g 通し孔
15 連通筒
16 フランジ
17 蓋
18 第1ファン(第1送風機)
2 第2空気調和装置
20 第2吸湿材(吸湿材)
21 第2ヒータ(ヒータ)
28 第2ファン(第2送風機)
3 湿度センサ
4 歪センサ
50 吸湿材
50a 本体部
50b 突条
62 外套部
69 化粧筒
7 第1空気調和装置
72 外套部
72f 模様
74 支持ボックス
8 第1空気調和装置
80 冷却器
80a フィン
80b、80c 冷媒配管
80d ドレン配管