(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】浴室の洗い場床パネル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
E03C 1/20 20060101AFI20221213BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
E03C1/20 A
E03C1/20 E
E04H1/12 301
(21)【出願番号】P 2018189180
(22)【出願日】2018-10-04
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】501362906
【氏名又は名称】積水ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】宮下 卓也
【審査官】川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-065391(JP,A)
【文献】特開2009-102975(JP,A)
【文献】特開2015-194011(JP,A)
【文献】特開2017-218799(JP,A)
【文献】特開2015-190288(JP,A)
【文献】特開2006-002368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12-1/33
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の洗い場に設けられる洗い場床パネルであって、
発泡樹脂からなるパネル本体と、
前記パネル本体の上面に設けられた上側補強板と、
前記パネル本体の底部に設けられた下側補強板と、を備え、
前記パネル本体が、切断面が形成された第1パネル部と、前記切断面に合わさる合わせ面を有する第2パネル部を含み、
前記上側補強板が、前記切断面と前記合わせ面との合わせ目を上方から跨いで前記パネル本体の上面に被さるとともに、前記第1パネル部及び前記第2パネル部とそれぞれ接着され、
前記下側補強板が、前記合わせ目を下方から跨いで前記パネル本体の下面に被さるとともに、前記第1パネル部及び前記第2パネル部とそれぞれ接着されていることを特徴とする洗い場床パネル。
【請求項2】
前記合わせ目が、前記パネル本体を幅方向又は奥行方向に分断するように延びていることを特徴とする請求項1に記載の洗い場床パネル。
【請求項3】
前記パネル本体の上面には水流れ勾配が形成され、
前記合わせ目において前記切断面と前記合わせ面のうち一方が他方より上へ突出されて段差が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗い場床パネル。
【請求項4】
前記第1パネル部には前記切断面によって画成された切欠部が形成され、前記第2パネル部が前記切欠部に嵌められていることを特徴とする請求項1に記載の洗い場床パネル。
【請求項5】
前記第1パネル部の直交する2つの縁部が交差するコーナーに前記切欠部が形成されており、
前記第2パネル部が、前記2つの縁部と交差する斜縁部を有していることを特徴とする請求項4に記載の洗い場床パネル。
【請求項6】
前記第1パネル部と前記第2パネル部とが、前記合わせ目において接合されておらず、前記上側補強板及び前記下側補強板を介して間接的に接合されていることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の洗い場床パネル。
【請求項7】
前記上側補強板が金属板であることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の洗い場床パネル。
【請求項8】
浴室の洗い場床パネルを製造する方法であって、
定形パネル本体を発泡成形し、
前記定形パネル本体を互いに平行な2つの切断線に沿って切断し、
前記定形パネル本体における前記2つの切断線どうし間に挟まれた部分を撤去し、
前記定形パネル本体における前記2つの切断線の外側の2つの部分のうち一方を第1パネル部、他方を第2パネル部として、前記2つの切断線どうしが重なるか近接するように、前記第1パネル部及び第2パネル部どうしを合わせることによって、これら第1、第2パネル部からなるパネル本体を形成し、
かつ下側補強板を、前記第1、第2パネル部どうしの合わせ目を下方から跨ぐようにして前記パネル本体の下面に被せるとともに前記第1パネル部及び前記第2パネル部とそれぞれ接着させ、
上側補強板を、前記合わせ目を上方から跨ぐようにして前記パネル本体の上面に被せるとともに前記第1パネル部及び前記第2パネル部とそれぞれ接着させることを特徴とする洗い場床パネルの製造方法。
【請求項9】
浴室の洗い場床パネルを製造する方法であって、
定形パネル本体を発泡成形し、
前記定形パネル本体の一部分を切除することによって、前記定形パネル本体の前記一部分以外の部分からなる第1パネル部を形成し、
前記一部分とは異なる形状の第2パネル部を、前記第1パネル部の前記一部分に形成された切欠部に嵌め込むことによって、これら第1、第2パネル部からなるパネル本体を形成し、
かつ下側補強板を、前記第1、第2パネル部どうしの合わせ目を下方から跨ぐようにして前記パネル本体の下面に被せるとともに前記第1パネル部及び前記第2パネル部とそれぞれ接着させ、
上側補強板を、前記合わせ目を上方から跨ぐようにして前記パネル本体の上面に被せるとともに前記第1パネル部及び前記第2パネル部とそれぞれ接着させることを特徴とする洗い場床パネルの製造方法。
【請求項10】
前記定形パネル本体が、平面視長方形であることを特徴とする請求項
8又は
9に記載の洗い場床パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の洗い場床パネル及びその製造方法に関し、特に形状やサイズが特別仕様のユニットバスに適した洗い場床パネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ユニットバスなどの浴室の洗い場床パネルは、繊維強化プラスチック(FRP)を圧縮成形してなるFRP成形品である。その裏面部には、強度を確保するために多数の補強リブが設けられている。このため、構造が複雑で、金型費用が嵩み、製造コストが高い。
【0003】
これに対し、発明者は、発泡樹脂製のパネル本体を上下の補強板によって挟んだサンドイッチ構造の洗い場床パネルを提案した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のサンドイッチ構造の洗い場床パネルは、パネル本体を発泡成形によって作製できるから、金型費用を安価にでき、FRPの圧縮成形品より安価に製造できる。しかし、サイズや形状が異なると、そのサイズや形状用の別の発泡成形金型が必要であり、少量生産の場合は製品価格の上昇を免れ得なかった。
本発明は、かかる事情に鑑み、サンドイッチ構造の洗い場床パネルにおいて、特別仕様であってもパネル本体の金型費用の上昇を抑えて、洗い場床パネルを低価格で多品種少量生産可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、浴室の洗い場に設けられる洗い場床パネルであって、
発泡樹脂からなるパネル本体と、
前記パネル本体の上面に設けられた上側補強板と、
前記パネル本体の底部に設けられた下側補強板と、を備え、
前記パネル本体が、切断面が形成された第1パネル部と、前記切断面に合わさる合わせ面を有する第2パネル部を含み、
前記上側補強板が、前記切断面と前記合わせ面との合わせ目を上方から跨いで前記パネル本体の上面に被さるとともに、前記第1パネル部及び前記第2パネル部とそれぞれ接着され、
前記下側補強板が、前記合わせ目を下方から跨いで前記パネル本体の下面に被さるとともに、前記第1パネル部及び前記第2パネル部とそれぞれ接着されていることを特徴とする。
【0007】
当該特徴を有する洗い場床パネルによれば、例えば規定(標準)の発泡成形金型で規定サイズ及び規定形状(例えば長方形)の定形パネル本体を発泡成形した後、該定形パネル本体の一部分を切除して寸詰めしたり、別の形状のパネル部(第2パネル部)を切除部分に嵌めて補完したりすることによって、多種多様なサイズ・形状のパネル本体ひいては洗い場床パネルを作製できる。サイズや形状が異なっても、パネル本体用の発泡成形金型は前記規定の金型だけで済み、前記異なるサイズ・形状の特別仕様金型を作る必要が無い。また、上側補強板及び下側補強板は、板金加工などによって作製でき、金型は不要である。したがって、金型費用ひいては製品価格の上昇を招くことなく、洗い場床パネルの多種少量生産を行うことができ、製品バリエーションを拡充できる。
【0008】
前記合わせ目が、前記パネル本体を幅方向又は奥行方向に分断するように延びていることが好ましい。
例えば、規定サイズ及び規定形状の定形パネル本体の幅方向の中間部又は奥行方向の中間部を切除して寸詰めすることによって前記合わせ目が形成される。これにより、定形パネル本体より幅寸法又は奥行寸法が小さい洗い場床パネルを作製できる。
【0009】
例えば、前記定形パネル本体の上面に水流れ勾配が形成されている場合、水流れ方向と交差する方向に定形パネル本体を切断して寸詰めすると、前記パネル本体の上面には水流れ勾配が形成され、前記合わせ目において前記切断面と前記合わせ面のうち一方が他方より上へ突出されて段差が形成される。前記段差には上側補強板が被さり、更にその上に表層シートが被さる。これによって、洗い場床パネルの床面に段差が現れないようにできる。
【0010】
前記第1パネル部には前記切断面によって画成された切欠部が形成され、前記第2パネル部が前記切欠部に嵌められていることが好ましい。
例えば、定形パネル本体の一部分を切除することで、切欠部を有する第1パネル部が形成される。前記切欠部に第2パネル部を嵌め込む。第2パネル部を前記一部分とは異なる形状にすることによって、定形パネル本体とは異なる形状のパネル本体ひいては洗い場床パネルが得られる。左右勝手違い品についても簡単かつ安価に作製できる。
【0011】
前記第1パネル部の直交する2つの縁部が交差するコーナーに前記切欠部が形成されており、
前記第2パネル部が、前記2つの縁部と交差する斜縁部を有していることが好ましい。
これによって、コーナーが斜めになった洗い場床パネルが得られる。前記斜めコーナーに例えば給水・給湯管や給水・給湯栓の配置スペースなどを確保できる。
【0012】
前記第1パネル部と前記第2パネル部とが、前記合わせ目において接合されておらず、前記上側補強板及び前記下側補強板を介して間接的に接合されていることが好ましい。
これによって、第1、第2パネル部どうしを直接接着などする必要が無く、洗い場床パネルの組み立てを容易化できる。
第1、第2パネル部どうしは、互いの合わせ目において必ずしも突き当てられている必要はなく、第1、第2パネル部どうし間に若干の隙間が形成されていてもよい。隙間があっても、上下の補強板とのサンドイッチ構造にすることによって洗い場床パネルの所要強度を確保できる。
【0013】
本発明方法の第1態様は、浴室の洗い場床パネルを製造する方法であって、
定形パネル本体を発泡成形し、
前記定形パネル本体を互いに平行な2つの切断線に沿って切断し、
前記定形パネル本体における前記2つの切断線どうし間に挟まれた部分を撤去し、
前記定形パネル本体における前記2つの切断線の外側の2つの部分のうち一方を第1パネル部、他方を第2パネル部として、前記2つの切断線どうしが重なるか近接するように、前記第1パネル部及び第2パネル部どうしを合わせることによって、これら第1、第2パネル部からなるパネル本体を形成し、
かつ下側補強板を、前記第1、第2パネル部どうしの合わせ目を下方から跨ぐようにして前記パネル本体の下面に被せるとともに前記第1パネル部及び前記第2パネル部とそれぞれ接着させ、
上側補強板を、前記合わせ目を上方から跨ぐようにして前記パネル本体の上面に被せるとともに前記第1パネル部及び前記第2パネル部とそれぞれ接着させることを特徴とする。
これによって、定形パネル本体を寸詰めした形状・寸法の洗い場床パネルを作製できる。
第1、第2パネル部どうしを合わせてパネル本体を形成する工程と、下側補強板又は上側補強板を第1、第2パネル部に被せて接着させる工程とは、同時併行して行ってもよく、時間的に前後して行ってもよい。
【0014】
本発明方法の第2態様は、浴室の洗い場床パネルを製造する方法であって、
定形パネル本体を発泡成形し、
前記定形パネル本体の一部分を切除することによって、前記定形パネル本体の前記一部分以外の部分からなる第1パネル部を形成し、
前記一部分とは異なる形状の第2パネル部を、前記第1パネル部の前記一部分に形成された切欠部に嵌め込むことによって、これら第1、第2パネル部からなるパネル本体を形成し、
かつ下側補強板を、前記第1、第2パネル部どうしの合わせ目を下方から跨ぐようにして前記パネル本体の下面に被せるとともに前記第1パネル部及び前記第2パネル部とそれぞれ接着させ、
上側補強板を、前記合わせ目を上方から跨ぐようにして前記パネル本体の上面に被せるとともに前記第1パネル部及び前記第2パネル部とそれぞれ接着させることを特徴とする。
前記一部分は、前記定形パネル本体のコーナーであることが好ましい。
これによって、コーナー等の一部分の形状が定形パネル本体とは異なる洗い場床パネルを作製できる。左右勝手違い品についても簡単かつ安価に作製できる。
第1パネルの切欠部に第2パネル部を嵌めてパネル本体を形成する工程と、下側補強板又は上側補強板を第1、第2パネル部に被せて接着させる工程とは、同時併行して行ってもよく、時間的に前後して行ってもよい。
【0015】
前記定形パネル本体が、平面視長方形であることが好ましい。
これによって、定形パネル本体用の規定金型の構成をより簡素にでき、金型費用を一層安価にできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、規定の発泡成形金型によって、種々のサイズや形状の洗い場床パネルに対応できる。したがって、金型費用の上昇を招くことなく、洗い場床パネルを低価格で多品種少量生産でき、製品バリエーションを拡充できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る浴室ユニットにおける洗い場床パネルのパネル本体の平面図であり、浴槽を二点鎖線にて示す。
【
図2】
図2は、
図1のII-II線に沿う、前記浴室ユニットの断面図である。
【
図3】
図3は、前記洗い場床パネルの分解斜視図である。
【
図6】
図6は、前記洗い場床パネルの生産過程で作られる定形パネル本体の平面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態に係る洗い場床パネルのパネル本体の平面図である。
【
図8】
図8は、前記第2実施形態の洗い場床パネルの生産過程で作られる定形パネル本体の平面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第3実施形態に係る洗い場床パネルのパネル本体の平面図である。
【
図10】
図10は、前記第3実施形態のパネル本体の分解平面図である。
【
図11】
図11は、前記第3実施形態に対して左右勝手違いの洗い場床パネルのパネル本体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1~
図6は、本発明の第1実施形態を示したものである。
図1及び
図2に示すように、浴室1は、浴槽2と、洗い場床パネル3を備えたユニットバスによって構成されている。洗い場に洗い場床パネル3が設けられている。
図2に示すように、洗い場床パネル3は、サンドイッチパネル3a(サンドイッチ構造体)と、表層シート30を備えている。
【0019】
図2及び
図3に示すように、サンドイッチパネル3aは、パネル本体10と、補強殻体20を含む。
図1に示すように、パネル本体10は、例えば平面視で長方形の板状に形成されている。ここでは、パネル本体10の長辺に沿う方向を「幅方向」とし、短辺に沿う方向を「奥行方向」とする。浴槽2と洗い場床パネル3とは、奥行方向に並んでいる。パネル本体10の浴槽2側の端部には、立ち上り部15(土手部)が形成されている。
図2及び
図3に示すように、パネル本体の立ち上り部15を除く3つの端部には、浴室壁(又は浴室扉枠)5用の載置部材6が設けられている。パネル本体10の浴槽2側の端部近くの中央部には、排水口4が設けられている。パネル本体10の上面には、前記3つの端部から排水口4へ向かって下へ傾く水流れ勾配が形成されている。
【0020】
パネル本体10の材質は、発泡樹脂であり、好ましくはEPS(発泡ポリスチレン)である。EPSの発泡倍率は、好ましくは15倍~30倍程度であり、より好ましくは20倍程度である。なお、パネル本体10の材質は、EPSに限られず、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン等であってもよい。
【0021】
図2及び
図3に示すように、パネル本体10は、補強殻体20によって囲まれて補強されている。補強殻体20は、上下の補強板21,22と、立ち上り補強部材25を含む。 パネル本体10が上下の補強板21,22により挟まれることによって、サンドイッチパネル3aが構成されている。
補強板21,22は、それぞれ鋼板などの金属板によって構成されている。補強板21,22の厚みは、例えば0.5mm~1.2mm程度である。
【0022】
図2及び
図3に示すように、パネル本体10の上面には上側補強板21が被せられている。
図4に示すように、パネル本体10と上側補強板21とは接着剤23によって接着されている。好ましくは接着剤23の成分は、接着剤24と同様である。
【0023】
パネル本体10の底部に下側補強板22が設けられている。下側補強板22は、底板部22aと、側板部22bを有している。底板部22aが、パネル本体10の下面に被さっている。底板部22aの外周縁部から側板部22bが直角に立ち上がり、パネル本体10の側面に被さっている。
図4に示すように、パネル本体10と下側補強板22とは接着剤24によって接着されている。接着剤24としては、例えば熱硬化性の2液混合ウレタン系接着剤が用いられているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤その他の接着剤を用いてもよい。
【0024】
立ち上り部15の浴槽側面及び上端面には、立ち上り補強部材25が被せられている。立ち上り補強部材25は、アルミや樹脂の押出成形によって構成されている。
なお、立ち上り補強部材25が、立ち上り部15の洗い場側面にも被さっていてもよい。
【0025】
図2に示すように、上側補強板21の上面ひいてはサンドイッチパネル3aの上面に表層シート30が被せられている。表層シート30の上面によって、洗い場床面31が構成されている。表層シート30における浴槽側の端部は、立ち上り部15の洗い場側面に被さっている。
表層シート30の材質は、例えば軟質塩化ビニル樹脂(PVC)であるが、これに限られずシリコンラバー等であってもよい。表層シート30の厚みは、好ましくは2mm~4mm程度であるが、必ずしも前記数値に限定されるものではない。表層シート30は、防水性を有している。更に、表層シート30によって、洗い場床パネル3の温熱感性及びクッション性が確保されている。
図4に示すように、表層シート30の裏面のほぼ全域に両面粘着テープ32が設けられている。両面粘着テープ32が上側補強板21に貼り付けられている。
【0026】
前記の洗い場床パネル3は、一般的な住宅の浴室に対応する規定サイズとは異なるサイズの特別仕様品である。
詳述すると、
図1に示すように、洗い場床パネル3のパネル本体10は、第1パネル部11と、第2パネル部12を含む。これらパネル部11,12が、浴槽2と洗い場床パネル3を結ぶ奥行方向(
図1において左右)に並んで配置されている。例えば、浴槽2側に第1パネル部11が配置され、浴槽2とは反対側に第2パネル部12が配置されている。パネル本体10の中間部に2つのパネル部11,12の合わせ目10aが形成されている。合わせ目10aは、パネル本体10の幅方向(
図1において上下)に延びている。パネル本体10が、合わせ目10aにおいて分割されている。
【0027】
図6に示すように、パネル本体10の2つのパネル部11,12は、互いに共通の定形パネル本体19から得られたものである。定形パネル本体19は、一般的な住宅の浴室に対応する規定のサイズ及び形状を有している。詳しくは、定形パネル本体19は、平面視でパネル本体10より大きな長方形になっている。具体的には、定形パネル本体19の奥行寸法(
図6の左右寸法)がパネル本体10の奥行寸法より大きい。定形パネル本体19の幅寸法(
図6の上下方向の寸法)は、パネル本体10の幅寸法と等しい。
逆に言うと、パネル本体10ひいては洗い場床パネル3は、規定サイズより奥行(図の左右寸法)が小さい。
定形パネル本体19の上面には、排水口4が配置された浴槽側の端部を除く3つの端部から排水口4へ向かって下へ傾く水流れ勾配が形成されている。
【0028】
図6において斜線部にして示すように、定形パネル本体19の奥行方向の中間における幅方向に沿う帯状の部分19cが切除され、定形パネル本体19の残った2つの部分がそれぞれ第1パネル部11及び第2パネル部12となっている。
図2に示すように、第1パネル部11には、前記帯状部分19cの切除による切断面11aが形成されている。同じく、第2パネル部12には、前記帯状部分19cの切除による切断面12a(合わせ面)が形成されている。これらパネル部11,12の切断面11a,12aどうしが合わさり、合わせ目10aが形成されている。
なお、合わせ目10aにおいてパネル部11,12どうしが必ずしも突き当てられている必要はなく、これらパネル部11,12どうし間に若干の隙間が形成されていてもよい。
【0029】
第1パネル部11と第2パネル部12とは、合わせ目10aにおいて直接的に接合されてはおらず、上側補強板21及び下側補強板22を介して間接的に接合されている。
上側補強板21は、合わせ目10aを上方から跨ぎ、第1パネル部11の上面及び第2パネル部12の上面とそれぞれ接着されている。
下側補強板22は、合わせ目10aを下方から跨ぎ、第1パネル部11の下面及び第2パネル部12の下面とそれぞれ接着されている。
【0030】
図2に示すように、第1、第2パネル部11,12の上面には、前記定形パネル本体19の上面の水流れ勾配に由来する水流れ勾配が形成されている。特に、パネル本体10の幅方向の中央部分においては、第2パネル部12の上面が、切断面12a(合わせ面)とは反対側(
図2において右側)から切断面12aへ向かって下へ傾いている。かつ、第1パネル部11の上面が、切断面11aから切断面11aとは反対側(
図2において左側)へ向かって下へ傾いている。さらに
図5に示すように、合わせ目10aにおいては、第2パネル部12の切断面12aが、第1パネル部11の切断面11aより上へ突出されることによって、段差10dが形成されている。段差10dに上側補強板21が被さっている。更にその上に表層シート30が被さっている。これによって、床面31に段差が現れないようにできる。
なお、段差10dの高さは、切除部分19cの幅及び水流勾配の角度によるが、1mm未満~数mm程度である。
【0031】
洗い場床パネル3は、次のようにして製造される。
規定の発泡成形金型(図示せず)を用意して、規定サイズ及び規定形状の定形パネル本体19(
図6)を発泡成形する。
図6に示すように、定形パネル本体19を幅方向に延びる2つの平行な切断線19a,19bに沿って切断する。
定形パネル本体19における2つの切断線19a,19bどうし間に挟まれた帯状部分19cを撤去する。
定形パネル本体19における切断線19a,19bの外側の2つの部分のうち、浴槽2側の部分(一方)を第1パネル部11とし、浴槽2とは反対側の部分(他方)を第2パネル部12とする。第1パネル部11には、一方の切断線19aによる切断面11aが形成される。第2パネル部12には、他方の切断線19bによる切断面12a(合わせ面)が形成される。
【0032】
別途、上側補強板21及び下側補強板22を作製する。これら補強板21,22は板金加工によって作ることができ、金型は不要である。
パネル部11,12及び補強板21,22を組立ラインに搬入する。
下側補強板22の上面の好ましくは全域に接着剤24を塗布する。
【0033】
かつ、第1パネル部11の上面全域及び第2パネル部12の上面全域に接着剤23を塗布する。好ましくは、予め2つのパネル部11,12の切断面11a,12aどうしを当接又は近接させて、合わせ目10aを形成し、該合わせ目10aに沿って粘着テープ(図示せず)を2つのパネル部11,12の上面どうし間に跨るように貼り付けておく。これによって、接着剤23が合わせ目10a内を伝ってパネル本体10の下方へ落ちるのを防止できる。接着剤23の塗布後、前記粘着テープを剥がす。
【0034】
続いて、第1パネル部11及び第2パネル部12を1つずつ順に下側補強板22上に載せる。載せる順番は任意である。パネル部11,12のうち後から載せるパネル部の切断面11a又は12aを、先に載せたパネル部の切断面12a又は11aと合わせる。切断面11a,12aどうしは必ずしも突き当てる必要はなく、切断面11a,12aどうし間に若干の間隙を形成してもよい。言い換えると、前記切断線19a,19bどうしを重ねるか近接させる。
これによって、下側補強板22上において、第1パネル部11及び第2パネル部12どうしが合わさり、規定サイズより奥行方向に寸詰めされたパネル本体10が形成される。
言い換えると、パネル部11,12どうしを合わせてパネル本体10を形成するとともに、下側補強板22をパネル本体10の下面に被せて第1パネル部11及び第2パネル部12とそれぞれ接着させる。下側補強板22は、パネル部11,12どうしの合わせ目10aを下方から跨ぐ。
次に、上側補強板21をパネル本体10の上面に被せる。上側補強板21は、合わせ目10aを上方から跨ぎ、段差10dの上に被さる。
立ち上り部15には、押出成型品の立ち上り補強部材25を被せる。
これによって、サンドイッチパネル3aが形成される。
【0035】
該サンドイッチパネル3aを圧空熱プレス機(図示せず)に導入し、圧空熱プレス機の空気圧又は真空吸引圧によって、上側補強板21をパネル本体10の上面に押し付けて、パネル本体10の水流れ勾配に倣うように上側補強板21を成形する。
同時に、圧空熱プレス機の熱によって、熱硬化性接着剤23,24を硬化させる。これによって、上側補強板21が第1パネル部11の上面及び第2パネル部12の上面とそれぞれ接着(接合)される。かつ、下側補強板22が第1パネル部11の下面及び第2パネル部12の下面とそれぞれ接着(接合)される。
パネル部11,12どうしを合わせ目10aにおいて直接的に接合(接着等)する必要は無く、組み立て作業を容易化できる。パネル部11,12どうしの合わせ目10aに若干の隙間があっても、上下の補強板21,22とのサンドイッチ構造にすることによって、所要強度を確保できる。
【0036】
このようにして作製したサンドイッチパネル3aの上面すなわち上側補強板21の上面に表層シート30を貼り付け、洗い場床パネル3を完成させる。
【0037】
洗い場床パネル3は、定形パネル本体19を寸詰めした形状・寸法となる。前述した通り、定形パネル本体19は、規定の発泡成形金型によって成形できる。かつ、定形パネル本体19から切除する部分19cの大きさを調節することによって、寸詰め量を調節できる。したがって、多種多様なサイズ及び形状の洗い場床パネル3を作製できる。サイズや形状が異なっても、必要な金型は定形パネル本体19用の規定の発泡成形金型だけで済む。異なるサイズ・形状の特別仕様金型を作る必要が無い。したがって、金型費用を節約できる。
この結果、製品価格の上昇を招くことなく、洗い場床パネル3を低価格で多品種少量生産でき、製品バリエーションを拡充できる。
【0038】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態>
図7及び
図8は、本発明の第2実施形態を示したものである。
図7に示すように、第2実施形態の洗い場床パネル3Bにおいては、パネル本体10Bが幅方向(
図7において上下)の2箇所において3つのパネル部11B,12B,12Bに分断されている。2つの分断箇所は、排水口4を挟んで幅方向の両側部にそれぞれ配置されている。これら分断箇所に合わせ目10f,10fが形成されている。各合わせ目10fは、パネル本体10Bの奥行方向(
図7において左右)に延びている。中央の第1パネル部11Bと両端の第2パネル部12Bとが幅方向に対向している。
パネル本体10Bは、定形パネル本体19(
図8)よりも幅寸法が小さい特別仕様となっている。
詳細な図示は省略するが、パネル本体10Bの上面及び下面にはそれぞれ補強板21,22が被せられている。補強板21,22は、2つの合わせ目10f,10fを跨ぎ、3つのパネル部11B,12B,12Bとそれぞれ接着されている。
【0039】
図8に示すように、洗い場床パネル3Bを製造する際は、定形パネル本体19を規定の発泡成形金型で発泡成形した後、該定形パネル本体19の排水口4を挟んだ幅方向の両側部19d,19d(
図8の斜線部)を切除する。これら切除部分19d,19dに挟まれた定形パネル本体19の中央部を第1パネル本体11Bとし、切除部分19dより幅方向の両端の部分を第2パネル本体12B,12Bとする。これらパネル本体11B,12B,12Bを下側補強板22に載せながら、第1パネル本体11Bの一方の切断面11dと一方の第2パネル本体12Bの切断面12d(合わせ面)どうしを突き当て、かつ第1パネル本体11Bの他方の切断面11dと他方の第2パネル本体12Bの切断面12d(合わせ面)どうしを突き当てる。なお、各切断面11d,12dどうし間に多少の間隙があってもよい。
これによって、定形パネル本体19を幅方向に寸詰めしたパネル本体10Bが形成される。ひいては、幅方向に寸詰めされた洗い場床パネル3Bを作製できる。
第2実施形態においても、必要な発泡成形金型としては、前記規定の発泡成形金型があればよく、パネル本体10B専用の特別仕様の発泡成形金型は不要である。排水口4を避けて分断することによって、排水口部材を一般仕様のものと共通化できる。
【0040】
<第3実施形態>
図9~
図11は、本発明の第3実施形態を示したものである。第3実施形態の洗い場床パネル3Cのパネル本体10Cにおいては、浴槽側とは反対側(
図9において右側)の片側(
図9において上側)のコーナー10eが斜めになっている。
前記斜めコーナー10eの周辺部を除くパネル本体10Cの大部分は、第1パネル部11Cによって構成されている。パネル本体10Cの前記斜めコーナー10eは、第2パネル部12Cによって構成されている。
【0041】
詳しくは、第1パネル本体11Cにおける直交する2つの縁部11x,11yで作るコーナーには、切欠部11eが形成されている。切欠部11eは、短縁部11xと直交(交差)する切断面11fと、長縁部11yと直交(交差)する切断面11gとによって画成されている。
【0042】
切欠部11eに第2パネル部12Cが嵌められている。第2パネル部12Cは、例えばEPSの発泡成形品である。第2パネル部12Cにおける第1パネル部11C側を向く2つの側面が、互いに直交する合わせ面12f,12gとなっている。第2パネル部12Cにおける、前記合わせ面12f,12gの交差部に対して対角ないしは対辺となる部分には、斜縁部12eが形成されている。平面視において、斜縁部12eは、各合わせ面12f,12gに対して例えば45°傾斜されている。斜縁部12eによって、パネル本体10Cの斜めコーナー10eが画成されている。
合わせ面12fが、切断面11fと合わさっている。合わせ面12gが、切断面11gと合わさっている。これによって、平面視で直角の合わせ目10gが形成されている。
詳細な図示は省略するが、パネル本体10Cの上面及び下面にはそれぞれ補強板21,22が被せられている。補強板21,22は、合わせ目10gを跨ぎ、第1パネル部11C及び第2パネル部12Cとそれぞれ接着されている。
【0043】
図10に示すように、洗い場床パネル3Cを製造する際は、定形パネル本体19を規定の発泡成形金型で発泡成形した後、該定形パネル本体19の浴槽側とは反対側(
図10において右側)における片側(
図10において上側)のコーナー部分19e(一部分)を切除する。これによって、切欠部11eを有する第1パネル部11Cが形成される。
別途、第2パネル部12Cを作製する。例えば、第2パネル部12Cは、それ専用の発泡成形金型によって発泡成形される。第2パネル部12Cは、斜縁部12eが有るために、定形パネル本体19の前記切除部分19eとは形状が異なっている。
そして、下側補強板22上で、第1パネル部11Cの切欠部11eに第2パネル部12Cを嵌め込む。
その後、上側補強板21を第1パネル部11C及び第2パネル部12C上に被せる。
【0044】
このようにして、コーナー10eが斜めになった洗い場床パネル3Cを形成できる。要するに、第3実施形態によれば、第2パネル部12Cを定形パネル本体19の切除部分19eとは異なる形状にすることによって、定形パネル本体19とは異なる形状のパネル本体10Cひいては洗い場床パネル3Cが得られる。
斜めコーナー10eは、例えば給水・給湯管や給水・給湯栓の配置スペースなどとして利用できる。
【0045】
図11に示すように、左右勝手違い仕様のパネル本体10’を作製するときは、定形パネル部19の短縁部11xと対向する短縁部11x’と、長縁部12xとで作るコーナー部分を切除することで、切欠部11hを有する第1パネル部11C’を形成する。左右勝手違い仕様の発泡成形金型は不要である。該第1パネル部11C’の切欠部11hに第2パネル部12Cを嵌める。第2パネル部12Cは、対称形状にすることによって、左右勝手違い用を別途用意する必要がない。
これによって、左右勝手違いの洗い場床パネル3C’を簡単かつ安価に作製できる。
【0046】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、第2パネル部は、発泡成形品に限らず、FRPの圧縮成形品や射出成形品などであってもよい。
第1パネル部と第2パネル部とが、合わせ目において直接的に接合(接着等)されていてもよい。
第1実施形態(
図1~
図6)において、浴槽2側とは反対側のパネル部12が第1パネル部であり、浴槽2側のパネル部11が第2パネル部であってもよい。
第3実施形態(
図9~
図11)において、第2パネル部12Cの形状及び配置は適宜改変できる。
定形パネル本体19を2つに分割し、これら2つの分割パネル(第1パネル)の間に中間パネル(第2パネル)を介在させてもよい。これによって、定形パネル本体19より大きな洗い場床パネルを作製できる。
【実施例1】
【0047】
実施例を説明する。本発明が以下の実施例に限定されるものではない。
発泡成形金型によって、EPSからなるパネル本体を発泡成形した。パネル本体の幅寸法は、1823mm、奥行寸法は1076mmであった。
前記パネル本体の幅方向のちょうど中央部において奥行方向に切断し、第2実施形態の第1パネル部11B及び第2パネル部12Bに相当する2つのパネル部を得た。
これらパネル部を、切断面どうしを突き当てた状態で接着剤24を介して下側補強板22上に被せた。前記切断面どうしは突き当てただけで接着はしなかった。
かつ2つのパネル部の上面には接着剤23を介して上側補強板21を被せ、サンドイッチパネル3aとした。
下側補強板22として、厚み0.6mmの鋼板を用いた。
上側補強板21として、厚み0.8mmの鋼板を用いた。
接着剤23,24としては、熱硬化性2液混合ウレタン系接着剤を用いた。
前記サンドイッチパネル3aを圧空熱プレス機で上下に加圧するとともに加熱して接着剤23,24を硬化させた。
【0048】
このようにして作製されたサンドイッチパネル3aを4つのコーナー近くの4箇所で支持し、これら4箇所以外の部分を浮かせた状態とした。前記4箇所は、各コーナーから幅方向へ191mm内側かつ奥行方向へ185mm内側の箇所とした。
次に、サンドイッチパネル3aの上面に荷重板を載置して静荷重を加えた。サンドイッチパネル3aの上面と荷重板との間には、直径150mmのゴム板を介在させた。
荷重板の重さ(荷重)は、20kg、40kg、60kg、80kg、100kgの5通りとした。
荷重板を置く荷重印加箇所は、下記の4通りa~dとした
a.サンドイッチパネル3aの幅方向のちょうど中央部、かつ浴槽とは反対側の縁から浴槽側へ500mmの箇所(以下「中央部a」)
b.サンドイッチパネル3aの幅方向のちょうど中央部、かつ浴槽側の縁から浴槽とは反対側へ260mmの箇所(排水口4から浴槽とは反対側へ75mmの箇所)(以下「排水口側部b」)
c.サンドイッチパネル3aの幅方向のちょうど中央部、かつ浴槽とは反対側の縁から浴槽側へ75mmの箇所(以下「長辺中央部c」)
d.サンドイッチパネル3aの奥行方向のちょうど中央部、かつ幅方向の一方側(
図6において下側)の縁から他方側へ75mmの箇所(以下「短辺中央部d」)
下側補強板22の下面における前記4箇所a,b,c,dに対応する箇所には、それぞれ歪センサを配置した。
各歪センサによってサンドイッチパネル3aの下方への撓み量を測定した(表1~5)。
【0049】
表1~4に示すように、荷重を重くするにしたがって撓み量が大きくなった。かつ荷重印加箇所における撓み量がそれ以外の箇所の撓み量より大きくなった。
さらに最大荷重100kgfについては、当該荷重を30秒間保持したときの撓み量と、その後、荷重を除去して30秒間経過したときの撓み量をも測定した。
【0050】
各表1~4において太枠で囲んで示すように、最大荷重100kgfかつ当該荷重を30秒間保持したときの荷重印加箇所における撓み量(以下「最大撓み測定量」)は、中央部aで1.29mm、排水口側部bで1.88mm、長辺中央部cで1.90mm、短辺中央部dで0.85mmであった。
【0051】
さらに、重さ7kgの砂袋を1mの高さからサンドイッチパネル3aの各箇所a,b,c,dへ自然落下させることで衝撃荷重を加える操作を一箇所a,b,c,dあたり5回反復して行った。
その後、中央部aに荷重板を静置して、撓み量を測定した。
表5に示すように、前記衝撃荷重反復印加後の中央部aにおける最大撓み測定量は、1.29mmであった。
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【実施例2】
【0057】
実施例2においては、第1パネル部11B及び第2パネル部12Bの切断面どうし間に5mmの間隙を形成した。
その点を除き、実施例1と同様にしてサンドイッチパネル3aを作製し、実施例1と同様の撓み量測定を行った(表6~10)。
表6~9に示すように、最大撓み測定量(静荷重のみ)は、中央部aで1.29mm、排水口側部bで1.91mm、長辺中央部cで1.91mm、短辺中央部dで0.88mmであった。
表10に示すように、衝撃荷重反復印加後の中央部aにおける最大撓み測定量は、1.30mmであった。
パネル部どうし間に多少の隙間があっても、パネル部どうしを突き当てた場合と同等の強度が得られた。
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【実施例3】
【0063】
実施例3においては、パネル本体を、奥行方向のちょうど中央部において幅方向に切断し、第1実施形態の第1パネル部11及び第2パネル部12に相当する2つのパネル部を得た。
これら第1パネル部11及び第2パネル部12の切断面どうし間に5mmの間隙を形成した。
その点を除き、実施例1と同様にしてサンドイッチパネル3aを作製し、実施例1と同様の撓み量測定を行った(表11~15)。
表11~14に示すように、最大撓み測定量(静荷重のみ)は、中央部aで1.34mm、排水口側部bで2.01mm、長辺中央部cで2.10mm、短辺中央部dで0.99mmであった。
表15に示すように、衝撃荷重反復印加後の中央部aにおける最大撓み測定量は、1.39mmであった。
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
[比較例1]
比較例として、実施例1~3と同様に発泡成形したパネル本体をパネル部に分割することなく、そのまま用いてサンドイッチパネル3aを作製した。
そして、実施例1と同様にして、撓み量(ベンチマーク)の測定を行った(表16~20)。
表16~19に示すように、最大撓み測定量(静荷重のみ)は、中央部aで1.35mm、排水口側部bで1.89mm、長辺中央部cで1.94mm、短辺中央部dで0.92mmであった。
表20に示すように、衝撃荷重反復印加後の中央部aにおける最大撓み測定量は、1.36mmであった。
この結果、パネル本体が第1パネル部及び第2パネル部に分割されていても(実施例1~3)、分割されていない場合(比較例1)と同等の強度が得られることが確認された。
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、例えば住宅のユニットバスに適用できる。
【符号の説明】
【0076】
1 浴室
2 浴槽
3 洗い場床パネル
3a サンドイッチパネル(サンドイッチ構造体)
3B,3C,3C’ 洗い場床パネル
10 パネル本体
10a 合わせ目
10B,10C,10C’ パネル本体
10d 段差
10e コーナー
10f,10g 合わせ目
11 第1パネル部
11a 切断面
11B,11C,11C’ 第1パネル部
11d 切断面
11e 切欠部
11f,11g 切断面
11x,11x’,11y 縁部
12 第2パネル部
12a 切断面(合わせ面)
12B,12C 第2パネル部
12d 切断面(合わせ面)
12e 斜縁部
12f,12g 合わせ面
19 定形パネル本体
19c,19d,19e 切除部分
20 補強殻体
21 上側補強板
22 下側補強板
23,24 接着剤
30 表層シート
31 洗い場床面