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  • 特許-氷雪割り用具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】氷雪割り用具
(51)【国際特許分類】
   B25D 7/00 20060101AFI20221213BHJP
   E01H 5/02 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B25D7/00
E01H5/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019074454
(22)【出願日】2019-04-09
(65)【公開番号】P2020171985
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】595023677
【氏名又は名称】有限会社西川鉄筋
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
(72)【発明者】
【氏名】西川 正勝
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-179334(JP,U)
【文献】特開2018-199909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25D 1/00-17/32;
E01H 1/00-15/00;
E04D 1/00-3/40,13/00-15/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状に伸びる柄(31)と、該柄(31)の先端に取り付ける刃具本体(11または12)と、からなる丁字状であり、
前記柄(31)には、その長手方向に沿って移動可能なウエイト(36)を組み込んであり、該ウエイト(36)の移動範囲を規制するため、該柄(31)には該ウエイト(36)を挟み込むように二個のストッパ(33)を配置してあり、
前記刃具本体(11または12)には、前記柄(31)に対して逆方向に突出する前方刃(21)を形成してあるほか、該刃具本体(11または12)において該前方刃(21)の反対側には、該柄(31)と同じ方向に突出する一対の後方刃(24)を形成してあり、該後方刃(24)は、該刃具本体(11または12)の左右両端に配置してあり、且つ該後方刃(24)と該柄(31)との間の外縁線は、該後方刃(24)に対して逆方向に湾曲させ、逃げ部(25)を形成してあることを特徴とする氷雪割り用具。
【請求項2】
前記前方刃(21)は、複数箇所に離散して配置してあることを特徴とする請求項1記載の氷雪割り用具。
【請求項3】
前記刃具本体(11または12)は、前記柄(31)に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1または2記載の氷雪割り用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種構造物から垂れ下がる氷柱や、路面を覆う圧雪など、様々な氷雪を破砕して冬季の安全性を確保するための氷雪割り用具に関する。
【背景技術】
【0002】
積雪地帯では、建築物の軒先やトンネルの天井など、高所に大きな氷柱(つらら)が形成されることがあり、これが不意に落下すると、思わぬ被害を招く恐れがある。そのため建築物の管理者などは定期的に点検を行い、危険性のある氷柱を竿などで叩き落としている。なお氷柱は、人の接近が困難な場所で形成されることが多く、しかも気象条件によっては大きく成長する場合があり、その叩き落としには困難を伴う。
【0003】
各種氷雪を破砕するための用具の例として、後記の特許文献が挙げられ、そのうち特許文献1では、安全性に優れるほか、効率良く作業を実施可能で、しかも疲労が少ない路面氷割用具が開示されている。この用具は、細長い軸の先端に円錐状の氷割部を設けた構造で、軸には円筒状の中空軸が差し込まれており、この中空軸は、軸に沿って移動可能で、氷割部の根元に接触することができる。そして使用時は、まず氷割部の先端を氷結路面に突き付け、次に中空軸を持ち上げる。その後、中空軸を振り下ろして氷割部に衝突させ、その衝撃で氷を割る。この用具は、氷割部の位置を事前に固定できるため作業の効率が良いほか、全体を持ち上げる必要がないため疲労が少なく、しかも用具自体を振り回さないため、安全性にも優れる。
【0004】
特許文献2では、大きな力を必要とすることなく楽な姿勢で作業を行うことができ、誰でも容易に除氷が可能な手動式衝撃クラッシャーが開示されている。このクラッシャーは、軸棒の先端に円錐状の衝撃受刃を設けた構造で、軸棒には、スライド可能な錘が差し込まれている。そして使用時は、まず衝撃受刃の先端を氷などの対象物に突き付け、その後、持ち上げた錘を落下させて衝撃受刃に衝突させることで、衝撃受刃の先端に衝撃力が作用し、対象物を安全且つ容易に砕くことができる。そのため、作業に要する時間や体力やコストを軽減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平5-16163号公報
【文献】実用新案登録第3102616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記の両特許文献は、路面を覆う圧雪などの破砕を想定しており、「氷割部」や「衝撃受刃」といった先鋭な刃具を下に向けて圧雪などに突き付けており、安定した状態で一連の作業を行うことができる。ただし破砕すべき氷雪は様々で、例えば氷柱については、高所に形成されるため、その破砕に際しては、刃具を上に向けた不安定な姿勢を強いられるほか、氷柱が大きく成長した場合、人力では容易に破砕できないこともある。
【0007】
前記の両特許文献では、氷雪を確実に破砕できるよう、刃具の先端を鋭利に仕上げ、大きな衝撃荷重を作用させることを想定している。ただし歩道などでは、美観を考慮して路面にタイルやブロックを敷き詰めていることがあり、これらに大きな衝撃荷重が作用すると簡単に破損する恐れがあり、美観の悪化や後の補修といった問題が発生する。また破砕すべき氷雪は、圧雪や氷柱など様々で、その種類に応じて最適な手段を選択できることが望ましい。
【0008】
本発明はこうした実情を基に開発されたもので、高所に形成される氷柱を始めとする各種氷雪を容易に破砕できるほか、路面の破損を抑制可能な氷雪割り用具の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するための請求項1記載の発明は、棒状に伸びる柄と、該柄の先端に取り付ける刃具本体と、からなる丁字状であり、前記柄には、その長手方向に沿って移動可能なウエイトを組み込んであり、該ウエイトの移動範囲を規制するため、該柄には該ウエイトを挟み込むように二個のストッパを配置してあり、前記刃具本体には、前記柄に対して逆方向に突出する前方刃を形成してあるほか、該刃具本体において該前方刃の反対側には、該柄と同じ方向に突出する一対の後方刃を形成してあり、該後方刃は、該刃具本体の左右両端に配置してあり、且つ該後方刃と該柄との間の外縁線は、該後方刃に対して逆方向に湾曲させ、逃げ部を形成してあることを特徴とする氷雪割り用具である。
【0010】
本発明による氷雪割り用具は、棒状の柄の一端側に刃具本体を設けた構造で、刃具本体の中央部に柄の一端側を接続し、双方を一体化している。そのため、刃具本体と柄で丁字状の外観になる。そして刃具本体は、固まった氷雪を破砕する役割を担い、その性質上、金属を素材としている。また柄は棒状で、その長さは自在に決めることができるほか、輸送時や保管時を考慮し、複数本を継ぎ足す構造にすることもできる。なおこの書面では、柄の両端のうち、刃具本体を取り付ける方を先端側と称し、その反対を根元側と称しており、使用時は根元側を手で握り、先端側の刃具本体を目標の位置に到達させる。
【0011】
ウエイトは、前記の両特許文献と同様、柄の側周面を取り囲む筒状のもので、柄に沿って自在に移動可能であり、ウエイトの運動エネルギーを利用して氷雪を破砕する。また本発明では、柄の中間部の二箇所にストッパを設け、その範囲でウエイトが移動可能になる。したがって、ウエイトが刃具本体に接触することはなく、刃具本体の形状などの自由度が向上する。当然ながら二箇所のストッパは、ウエイトの機能が十分に発揮できるような間隔を確保してあり、柄やストッパは、ウエイトによる衝撃をできるだけ緩和しないよう、金属で構成することが望ましい。
【0012】
刃具本体は、金属の塊を削り出したもので、その外周面の一部に鋭利な刃を形成する。本発明ではこの刃に関し、柄の根元側に対して逆方向に突出する前方刃を形成するほか、柄の根元側に向けて突出する後方刃も形成するものとする。したがって前方刃は、柄の反対側に位置しており、従来の製品と大きな違いはない。しかし本発明では、前方刃に加えて後方刃も形成することで、氷柱など、高所から垂れ下がる氷雪類を手前側に叩き落とすことが可能になる。
【0013】
後方刃は、柄の根元側に向けて突出するため、必然的に柄からやや離れて配置する必要があり、バランスを考慮し、刃具本体の左右両端付近に設ける。そして、後方刃を氷柱などの側周面に食い込ませ、その後、ウエイトを柄の先端側から根元側に高速で移動させ、ストッパに衝突させることで、その衝撃が柄から後方刃に伝達し、大きく成長した氷柱も叩き落すことができる。なお後方刃が氷柱に食い込むことで、そこが支点となって全体が架空に保持された状態になり、作業者がその全荷重を受け止める必要はない。
【0014】
このように、柄と刃具本体で構成される氷雪割り用具において、柄には、移動可能なウエイトを組み込むほか、刃具本体には、先端側に突出する前方刃に加え、柄の根元側に突出する後方刃を形成することで、前方刃により、路面を覆う圧雪を破砕できるほか、後方刃により、高所から垂れ下がる氷柱を手前側に叩き落とすこともでき、様々な状況で使用可能で利便性に優れている。
【0015】
請求項2記載の発明は、前方刃による路面の破損を抑制するもので、前方刃は、複数箇所に離散して配置してあることを特徴とする。仮に、前方刃を中央の一箇所だけに限定するならば、荷重がその一点に集中するため、氷雪を効率よく破砕可能だが、これによって路面に敷き詰めたタイルやブロックなどが破損する恐れがある。そこで本発明のように、前方刃を一箇所ではなく複数箇所に離散配置させることで、荷重が分散され、このような破損を抑制することができる。
【0016】
請求項3記載の発明は、汎用性を向上させるためのもので、刃具本体は、柄に対して着脱可能であることを特徴とする。刃具本体と柄は、離脱不能に一体化することもできるが、何らかの手段で着脱可能とするならば、目的に応じて最適な刃具本体を選択することができ、あらゆる状況に対応可能になり、汎用性が向上する。当然ながら、氷雪の破砕作業中は、刃具本体が柄から離脱してはならず、双方をボルトなどで一体化することが多い。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明のように、氷雪割り用具を柄と刃具本体で構成し、柄には、移動可能なウエイトと、ウエイトの移動範囲を規制するストッパを組み込むほか、刃具本体には、先端側に突出する前方刃に加え、柄の根元側に突出する後方刃を形成することで、各種氷雪を容易に破砕することができる。具体例として路面を覆う圧雪については、まず前方刃を突き付け、その後、ウエイトをストッパに衝突させることで、その衝撃で圧雪を無理なく破砕することができる。なお本発明では、ウエイトが刃具本体に接触することはなく、刃具本体の形状を簡素化することができる。
【0018】
また後方刃は、氷柱の叩き落しに適しており、高所から垂れ下がる氷柱の側周面に後方刃を食い込ませると、後方刃を支点として全体が架空に保持された状態になり、作業者がその全荷重を受け止める必要はないため、身体的負担が軽減される。しかもこの状態でウエイトを根元側に高速で移動させ、ストッパに激しく衝突させることで、その衝撃で氷柱を叩き落すことができ、大きく成長した氷柱も容易に破砕することができる。
【0019】
請求項2記載の発明のように、前方刃は一箇所だけではなく、複数箇所に離散して配置することで、荷重の過度な集中を回避できる。そのため、タイルやブロックなどを敷き詰めた路面においても、作業員の負担を増加させることなく圧雪だけを破砕可能で、タイルやブロックなどの破損を抑制することができる。
【0020】
請求項3記載の発明のように、刃具本体は、柄に対して着脱可能とすることで、圧雪の破砕や氷柱の叩き落しなど、目的に応じて最適な刃具本体を選択可能になり、汎用性が向上する。仮に路面がタイルやブロックを敷き詰めた構造であれば、その圧雪の破砕に際し、前方刃を複数箇所に配置した刃具本体を用いることができ、また路面がコンクリートや土などで覆われているならば、前方刃が一箇所だけの刃具本体を用いることができ、一つの氷雪割り用具であらゆる状況に対応可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による氷雪割り用具の形状例と使用例を示す斜視図で、建築物の屋根に氷雪の塊が載っており、その下部から大きな氷柱が垂れ下がり、これを氷雪割り用具で叩き落すことを想定している。
図2図1の後の状態を示す斜視図で、刃具本体の上方で氷柱が破断している。
図3図1の氷雪割り用具で路面の圧雪を破砕する状況を示す斜視図である。
図4】柄に対して刃具本体が着脱可能であることを示す斜視図で、併せて柄に取り付け可能な複数の刃具本体を描いてある。
図5】柄を継ぎ足し可能とした場合の形状例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明による氷雪割り用具の形状例と使用例を示す。この図では、建築物の屋根に氷雪の塊が載っており、その下部から大きな氷柱が垂れ下がり、これを氷雪割り用具で叩き落すことを想定している。この氷雪割り用具は、金属製の角パイプを流用した柄31と、相応の厚さを有する鋼板を切り出して形成した刃具本体11と、で構成され、柄31と刃具本体11は、ボルト41で一体化してある。なお柄31については、刃具本体11を取り付けてある方(図の上方)を先端側と称し、その反対側(図の下方)を根元側と称するものとする。
【0023】
柄31は単純な角棒状だが、その根元側にはグリップ34を嵌め込んであり、使用時はここを手で握り、刃具本体11を目標の位置に到達させる。さらに柄31の中間部には、円筒状のウエイト36を差し込んである。ウエイト36は相応の重さを有し、柄31に沿って円滑に移動可能だが、二箇所のストッパ33によって移動範囲が規制されている。なおストッパ33は、溶接などで柄31と一体化してあり、ウエイト36の運動エネルギーを緩和することなく受け止める。
【0024】
図の左下には、刃具本体11の詳細を描いてある。刃具本体11において、柄31の反対側(図では刃具本体11の上向き面)には、先鋭な前方刃21を所定の間隔で五箇所に形成してあり、隣接する前方刃21同士の間には、半円状の逃げ部22を形成してある。また前方刃21の反対側(図では刃具本体11の下部)では、柄31の根元側(図の下方)に突出する後方刃24を左右二箇所に形成してあり、後方刃24の内側についても、逃げ部25を形成してある。
【0025】
実際に氷柱を叩き落す際は、図のように刃具本体11を上に向け、後方刃24を氷柱の側周面に食い込ませる。仮に氷柱が小さいならば、刃具本体11を手前側に引き寄せるだけで叩き落すことができるが、大きい氷柱については、後方刃24を食い込ませただけで破断することはなく、後方刃24を支点として氷雪割り用具が架空に保持された状態になり、グリップ34に手を添えるだけで同じ姿勢を維持できる。この状態においてウエイト36を先端側に持ち上げ、その後、これを急速に落下させてストッパ33に衝突させると、その衝撃が後方刃24から氷柱に伝達し、氷柱を一気に叩き落すことができる。
【0026】
図2は、図1の後の状態を示し、刃具本体11の上方で氷柱が破断している。この破断は、ウエイト36が下方のストッパ33に衝突することで実現しており、破断後は柄31に手を添えて移動速度を抑制させ、氷柱を安全に落下させる。なお、ウエイト36による衝撃が緩和されることなく刃具本体11に伝達されるよう、柄31と刃具本体11は、二本のボルト41で強固に一体化してある。
【0027】
図3は、図1の氷雪割り用具で路面の圧雪を破砕する状況を示している。この路面は、美観を考慮してタイルを敷き詰めた構造で、これに過度な荷重を加えると破損する恐れがある。そこで本発明では、一枚の刃具本体11において、前方刃21を五箇所に分散配置してあり、ウエイト36を用いた場合でも極端な集中荷重を抑制でき、刃具本体11が路面に接触した場合でも、その破損を抑制することができる。また前方刃21を五箇所とすることで、圧雪を広範囲に破砕可能で、作業を素早く進めることができる。
【0028】
図4は、柄31に対して刃具本体11が着脱可能であることを示し、併せて柄31に取り付け可能な複数の刃具本体12、13、14を描いてある。この図の柄31は、金属製の角パイプを流用したもので、その中間部にウエイト36を差し込んであるほか、ウエイト36の移動範囲を規制するストッパ33を一体化してある。また柄31と刃具本体11は、二本のボルト41で一体化する構造で、柄31の側面には、このボルト41を差し込むための丸穴39を設けてある。
【0029】
柄31の真上に描いた刃具本体11の中央には、柄31に向けて突出するシャンク28を形成してあり、これを柄31の内部に差し込む。そしてシャンク28には、ボルト41を通すための丸穴29を二箇所に設けてある。そのため、シャンク28を柄31の内部に差し込み、柄31の丸穴39とシャンク28の丸穴29を同心に揃え、そこにボルト41を差し込み、柄31の反対側に突出したボルト41の先端にナット42を螺合させて締め付けると、柄31と刃具本体11が一体化する。なお柄31の側面に作用する応力を緩和するため、ボルト41やナット42に隣接してワッシャ43を組み込む。
【0030】
図4に描くように、刃具本体11、12、13、14は、様々な形状に仕上げることができ、図の右上に描いた刃具本体12は、前方刃21を三箇所としてあり、全体が小形化されている。この刃具本体12には後方刃24も形成してあり、これを利用することで、先の図2のように、氷柱を手前側に叩き落すこともできる。また図の右中程に描いた刃具本体13は、直線状に伸びる前方刃21を形成したもので、圧雪などを半割にする際などに利用する。そして図の右下に描いた刃具本体14は、前方刃21を先鋭なクサビ形としてあり、硬い氷などを砕く際に利用する。当然ながら、これらの刃具本体12、13、14についても、そのシャンク28を柄31の内部に差し込み、ボルト41とナット42を締め付けることで、柄31と一体化することができる。
【0031】
図5は、柄31を継ぎ足し可能とした場合の形状例を示す。トンネルの天井付近に形成された氷柱などを叩き落すには、柄31の長さを増大させる必要があるが、単純に柄31の長さを増大させると、輸送時や保管時の取り扱いが難しくなる。そこでこの図のように、柄31を継ぎ足し可能な構造にする場合があり、ここでは着脱可能な延長軸37を用いている。延長軸37は、柄31と同一の横断面に揃えてあり、単純に柄31の長さを増大させる機能を有し、その先端側(図の左側)に刃具本体11を取り付けるが、この箇所の構造は、先の図4と同じである。
【0032】
延長軸37の根元側(図の右側)では、グリップ34などが嵌め込まれた柄31に接続させるが、双方の境界には角棒状のジョイント38を差し込んでおり、この差し込まれたジョイント38を貫くようにボルト41を組み込み、柄31と延長軸37を一体化させる。なおボルト41については、先の図4と同様、その先端にナット42を螺合させるほか、応力を緩和するためのワッシャ43を組み込む。そのほか延長軸37についても、ウエイト36による衝撃が緩和されないよう配慮してある。当然ながら柄31の長さを増大させる方法は様々で、複数本の延長軸37を直列配置することもある。
【符号の説明】
【0033】
11 刃具本体(前方刃が五箇所)
12 刃具本体(前方刃が三箇所)
13 刃具本体(前方刃が直線状)
14 刃具本体(前方刃が先鋭)
21 前方刃
22 逃げ部(前方刃に隣接)
24 後方刃
25 逃げ部(後方刃に隣接)
28 シャンク
29 丸穴
31 柄
33 ストッパ
34 グリップ
36 ウエイト
37 延長軸
38 ジョイント
39 丸穴
41 ボルト
42 ナット
43 ワッシャ
図1
図2
図3
図4
図5