(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】水晶体嚢壁の前尖による固定機構を備えた眼内偽水晶体コンタクトレンズ及びそれに関連するシステムと方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
A61F2/16
(21)【出願番号】P 2020501359
(86)(22)【出願日】2018-06-07
(86)【国際出願番号】 US2018036519
(87)【国際公開番号】W WO2019013910
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-04-06
(32)【優先日】2017-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519366178
【氏名又は名称】オンポイント ビジョン、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケイディ、ケビン ジェイ.
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0081791(US,A1)
【文献】特表2006-511242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光学レンズと、眼の水晶体嚢内に移植されるように構成される第1の触覚部と、を備える人工眼内レンズと、眼内偽水晶体コンタクトレンズと、を備えるシステムであって、
前記、眼内偽水晶体コンタクトレンズは、
前記人工眼内レンズを眼に移植した後に眼に存在する屈折異常を含む、眼の残留屈折異常を少なくとも部分的に補正するように構成される第2の光学レンズと、
眼の水晶体嚢壁の前尖の下に第2の触覚部を捕捉及び閉じ込めて前記人工眼内レンズに対して前記眼内偽水晶体コンタクトレンズを固定するために、前記前尖の下に挿入されるように構成される、前記第2の光学レンズから半径方向に延在する第2の触覚部と、
前記第2光学レンズの周りに配置される複数のセグメントであって、各前記セグメントの底面は、前記眼内偽水晶体コンタクトレンズの前記第2の光学レンズの後面下方に位置する、複数のセグメントと、
を備え、
前記セグメントは、前記第2の光学レンズを前記人工眼内レンズの上に持ち上げるように構成され、
前記第2の触覚部の前面は、前記第2の触覚部を前記前尖で、内側の水晶体嚢壁面に取り付けるように構成される、テクスチャ水晶体嚢壁係合面を備え、
前記人工眼内レンズに前記眼内偽水晶体コンタクトレンズを固定するために、前記第2の触覚部の後面は、前記人工眼内レンズの少なくとも1つの端部を捕捉するように構成されるリッジ部を備える、
システム。
【請求項2】
前記人工眼内レンズは、前記眼内偽水晶体コンタクトレンズに結合するための、所定の物理的な構造を欠く、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記眼内偽水晶体コンタクトレンズの前記第2の触覚部は、前記人工眼内レンズの前記第1の触覚部よりも、小さい、又は短い、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記リッジ部は、前記眼内偽水晶体コンタクトレンズを所定の位置に維持するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
各リッジ部が、前記リッジ部から突出し、前記リッジ部から内向きに延びるリップ部を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記眼内偽水晶体コンタクトレンズは、前記眼内偽水晶体コンタクトレンズの前記第2の光学レンズから又は前記眼内偽水晶体コンタクトレンズの前記第2の触覚部から下向きに延在し、前記人工眼内レンズの前記第1の光学レンズの上に載置されるか、それを突き刺すように構成される少なくとも1つのピンをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2の触覚部は、前記セグメントに取り付けられるか、部分的に埋め込まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2の触覚部は、1つ又は複数の先細の突起を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記眼内偽水晶体コンタクトレンズの光学中心が前記人工眼内レンズの光学中心に揃うように、前記第2の触覚部が、前記人工眼内レンズを捕捉するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
第1の光学レンズと、眼の水晶体嚢内に前記人工眼内レンズを配置するように構成される第1の触覚部と、を備える人工眼内レンズと、眼内偽水晶体コンタクトレンズと、を備えるシステムであって、
前記、眼内偽水晶体コンタクトレンズは、
前記人工眼内レンズを眼に移植した後に眼に存在する屈折異常を含む、眼の残留屈折異常を少なくとも部分的に補正するように構成される第2の光学レンズと、
眼の水晶体嚢壁の前尖の下に第2の触覚部を捕捉及び閉じ込めて前記人工眼内レンズに対して前記眼内偽水晶体コンタクトレンズを固定するために、前記前尖の下に挿入されるように構成される、前記第2の光学レンズから半径方向に延在する第2の触覚部と、
前記第2光学レンズの周りに配置される複数のセグメントであって、各前記セグメントの底面は、前記眼内偽水晶体コンタクトレンズの前記第2の光学レンズの後面下方に位置する、複数のセグメントと、
を備え、
前記セグメントは、前記第2の光学レンズを前記人工眼内レンズの上に持ち上げるように構成され、
前記第2の触覚部の前面は、前記第2の触覚部を前記前尖で、内側の水晶体嚢壁面に取り付けるように構成される、テクスチャ水晶体嚢壁係合面を備え、
前記第2の触覚部の後面は、前記第2の光学レンズから下向きに離れて延在するピンを備え、前記人工眼内レンズに前記眼内偽水晶体コンタクトレンズを固定するために、各ピンは、前記第1の光学レンズの上に載置されるか、それを突き刺すように構成される、
システム。
【請求項11】
前記眼内偽水晶体コンタクトレンズの前記第2の触覚部は、前記人工眼内レンズの前記第1の触覚部よりも、小さい、又は短い、請求項1
0に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2の触覚部は、1つ又は複数のテクスチャ面を備える、請求項1
0に記載のシステム。
【請求項13】
前記第2の触覚部は、1つ又は複数の閉ループを備える、請求項1
0に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2の触覚部は、1つ又は複数の先細の突起を備える、請求項1
0に記載のシステム。
【請求項15】
前記人工眼内レンズに前記眼内偽水晶体コンタクトレンズを固定するために、前記第2の触覚部の各々は、前記人工眼内レンズの少なくとも1つの端部を捕捉するように構成されるリッジ部を備える、請求項1
0に記載のシステム。
【請求項16】
各リッジ部が、前記リッジ部から突出し、前記リッジ部から内向きに延びるリップ部を含む、請求項1
0に記載のシステム。
【請求項17】
前記眼内偽水晶体コンタクトレンズは、前記第1の光学レンズの側面から延在する突起をさらに備え、前記第2の触覚部は、前記突起内に取り付けられるか、部分的に埋め込まれる、請求項1
0に記載のシステム。
【請求項18】
前記眼内偽水晶体コンタクトレンズの光学中心が前記人工眼内レンズの光学中心に揃うように、前記第2の触覚部が、前記人工眼内レンズを捕捉するように構成される、請求項1
0に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、移植可能な光学デバイスに関し、特に、水晶体嚢壁の前尖による固定機構を備えた眼内偽水晶体コンタクトレンズ、並びに、それに関連するシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常の人間の眼では、光は角膜を通って入り、瞳孔を通過し、天然水晶体が光を眼の網膜に集束させる。しかし、白内障やその他の問題により、眼の天然水晶体を人工眼内レンズ(IOL:InterOcular Lens)と交換する必要が生じる場合がある。「偽水晶体」という用語は、天然水晶体が眼内レンズに置き換えられた状態の眼を表すのに用いられる。
【0003】
眼内レンズを患者の眼に配置する前に、医師又は他の従事者は、通常、患者の眼に所望の屈折矯正を行うよう設計された眼内レンズの選択を行う。例えば、眼内レンズには、患者の眼に自然に生じた近眼(近視)、遠眼(遠視)、乱視、又はその他の屈折異常を矯正するよう設計された光学レンズを使用可能である。ただし、患者の眼のために選択した眼内レンズでは、患者の眼の何らかの屈折異常が完全には補正されない(それを引き起こす可能性さえある)場合がよくある。この屈折異常は、「残留」屈折異常と呼ばれる。
【0004】
残留屈折異常を補正する方法としては、これまでさまざまな方法があり、すべてに欠点がある。例えば、患者の眼の1つの眼内レンズを別の眼内レンズと交換することもできるが、通常、外科的合併症のリスクが高くなる。患者の眼の角膜に対する(レーシックなどの)アブレーション手術を行って、残留屈折異常を矯正することもできるが、特に高齢の患者にとって、望ましくない副作用が高いレベルで生じる可能性がある。追加の眼内レンズ(「ピギーバック」IOLとしばしば呼ばれる)を既存の眼内レンズの前に挿入することもできるが、通常、最終的な屈折結果に関する予測性の低い侵襲的な手順である。また、角膜内レンズ(ICL)を患者の眼の角膜に挿入することもできるが、多くの場合で侵襲性が高く、拒絶率が高い。一般に、上記の手順は予測不可能であることが普通であり、外科的リスクが高くなる。また、上記の手順で使用するデバイスでは、残留屈折異常の除去や「逆転」を行うことが難しく、その結果、誘発された視覚異常を患者に残すリスクが高くなる。
【発明の概要】
【0005】
本開示によれば、水晶体嚢壁の前尖による固定機構を備えた眼内偽水晶体コンタクトレンズ、並びに、それに関連するシステム及び方法が提供される。
【0006】
第1の実施形態では、装置は、眼内偽水晶体コンタクトレンズを備えている。この眼内偽水晶体コンタクトレンズには、眼の残留屈折異常を少なくとも部分的に補正するように構成された光学レンズが含まれる。残留屈折異常には、人工眼内レンズを眼に移植した後に眼に存在する屈折異常が含まれる。眼内偽水晶体コンタクトレンズには、眼の水晶体嚢壁の前尖の下に1つ又は複数の触覚部を捕捉して閉じ込め、眼内偽水晶体コンタクトレンズを人工眼内レンズに対して固定するために、前尖の下に挿入されるように構成された1つ又は複数の触覚部も含まれる。
【0007】
第2の実施形態では、システムは、人工眼内レンズと、眼内偽水晶体コンタクトレンズを備えている。この眼内偽水晶体コンタクトレンズには、眼の残留屈折異常を少なくとも部分的に補正するように構成された光学レンズが含まれる。残留屈折異常には、人工眼内レンズを眼に移植した後に眼に存在する屈折異常が含まれる。眼内偽水晶体コンタクトレンズには、眼の水晶体嚢壁の前尖の下に1つ又は複数の触覚部を捕捉して閉じ込め、眼内偽水晶体コンタクトレンズを人工眼内レンズに対して固定するために、前尖の下に挿入されるように構成された1つ又は複数の触覚部も含まれる。
【0008】
第3の実施形態では、システムは、人工眼内レンズと、眼内偽水晶体コンタクトレンズを備えている。人工眼内レンズには、眼内に人工眼内レンズを配置するように構成された第1の光学レンズと第1の触覚部が含まれる。眼内偽水晶体コンタクトレンズには、眼の残留屈折異常を少なくとも部分的に補正するように構成された第2の光学レンズが含まれる。残留屈折異常には、人工眼内レンズを眼に移植した後に眼に存在する屈折異常が含まれる。眼内偽水晶体コンタクトレンズには、眼の水晶体嚢壁の前尖の下に第2の触覚部を捕捉して閉じ込め、眼内偽水晶体コンタクトレンズを人工眼内レンズに対して固定するために、前尖の下に挿入されるように構成された第2の触覚部も含まれる。眼内偽水晶体コンタクトレンズには、第2の光学レンズの周りに配置された複数のセグメントがさらに含まれる。各セグメントの底面は、眼内偽水晶体コンタクトレンズの第2の光学レンズの後面下方に位置する。セグメントは、光学レンズを人工眼内レンズの上に持ち上げるように構成されている。
【0009】
他の技術的特徴は、以下の図面、説明、特許請求の範囲から当業者には容易に明らかになるであろう。
【0010】
本開示及びその特徴をより完全に理解するために、添付図面と併せて以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示に係る眼内偽水晶体コンタクトレンズの第1の例を示す。
【
図2】
図2は、本開示に係る眼内偽水晶体コンタクトレンズの第1の例を示す。
【
図3】
図3は、本開示に係る眼内偽水晶体コンタクトレンズの第1の例を示す。
【
図4】
図4は、本開示に係る眼内偽水晶体コンタクトレンズの第2の例を示す。
【
図5】
図5は、本開示に係る眼内偽水晶体コンタクトレンズの第2の例を示す。
【
図6】
図6は、本開示に係る眼内偽水晶体コンタクトレンズの第3の例を示す。
【
図7】
図7は、本開示に係る眼内偽水晶体コンタクトレンズの第3の例を示す。
【
図8】
図8は、本開示に係る眼内偽水晶体コンタクトレンズの第3の例を示す。
【
図9】
図9は、本開示に係る眼内偽水晶体コンタクトレンズの第4の例を示す。
【
図10】
図10は、本開示に係る眼内偽水晶体コンタクトレンズの第4の例を示す。
【
図11】
図11は、本開示に係る眼内偽水晶体コンタクトレンズの第5の例を示す。
【
図12】
図12は、本開示に係る眼内偽水晶体コンタクトレンズの第5の例を示す。
【
図13】
図13は、本開示に係る眼内偽水晶体コンタクトレンズの第6の例を示す。
【
図14】
図14は、本開示に係る眼内偽水晶体コンタクトレンズの第7の例を示す。
【
図15】
図15は、本開示に係る眼内偽水晶体コンタクトレンズの第7の例を示す。
【
図16】
図16は、本開示に係る眼内偽水晶体コンタクトレンズの第8の例を示す。
【
図17】
図17は、本開示に係る眼内偽水晶体コンタクトレンズの第8の例を示す。
【
図18】
図18は、本開示に係る眼内偽水晶体コンタクトレンズの第8の例を示す。
【
図19】
図19は、本開示に係る眼内偽水晶体コンタクトレンズの第9の例を示す。
【
図20】
図20は、本開示に係る眼内偽水晶体コンタクトレンズの第9の例を示す。
【
図21】
図21は、本開示に係る眼内偽水晶体コンタクトレンズの第9の例を示す。
【
図22】
図22は、本開示に係る患者の眼内の眼内レンズの例と、眼内偽水晶体コンタクトレンズの例を示す。
【
図23】
図23は、本開示に係る眼内レンズと共に眼内偽水晶体コンタクトレンズを使用する方法の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下で論ずる
図1~
図23、及び本特許文書において本発明の原理を説明するために使用される種々の実施形態は、例示に過ぎず、決して発明の範囲を限定するように解釈してはならない。相応しく構成されたデバイス又はシステムであればいずれにおいても、本発明の原理を実現できることが当業者には理解されよう。
【0013】
本開示は、眼内レンズ(IOL)と組み合わせて使用することができるさまざまな眼内偽水晶体コンタクトレンズ(IOPCL)を提供する。眼内偽水晶体コンタクトレンズは、一般に、患者の眼内に埋め込み、患者の眼内の眼内レンズの前面に配置できるコンタクトレンズタイプのデバイスである。眼内偽水晶体コンタクトレンズは、水晶体切除術(白内障)処置後など、眼内レンズの移植後に存在する残留屈折異常を実質的に補正する。また、眼内偽水晶体コンタクトレンズは、患者の眼の水晶体嚢壁の前尖によって眼内偽水晶体コンタクトレンズを閉じ込め/捕捉できるようにする触覚部又はその他のメカニズムを備えている。場合によっては、この触覚部又は他の機構は、治癒過程中の線維化などを通じて水晶体嚢壁の前尖に実際に付着して、眼内偽水晶体コンタクトレンズを所定の位置に固定するのに役立つ。
【0014】
従来のアプローチとは異なり、眼内偽水晶体コンタクトレンズは、より少ない外科的リスクで移植することができる。また、眼内偽水晶体コンタクトレンズは、患者が眼内偽水晶体コンタクトレンズの移植直後に見ることを可能にする。さらに、残留屈折異常を補正するのに別のレンズが必要な場合は、眼内偽水晶体コンタクトレンズを簡単に交換でき、必要に応じて取り外すことさえできる。さらに、現在利用可能な術中波面収差測定などの技術により、眼内偽水晶体コンタクトレンズが移植されている実際の処置中に屈折結果を測定することができ、目的の屈折目標値が得られたことを直ちに特定するのに有用となる。
【0015】
図1~
図3は、本開示に係る第1の例の眼内偽水晶体コンタクトレンズ100を示す。具体的には、
図1は眼内偽水晶体コンタクトレンズ100の斜視図を示し、
図2は眼内偽水晶体コンタクトレンズ100の上面図を示し、
図3は眼内偽水晶体コンタクトレンズ100の側面図を示す。
【0016】
図1~
図3に示すように、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100は光学レンズ102を備えている。この光学レンズ102は、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100を通過する光を変える眼内偽水晶体コンタクトレンズ100の部分を示す。光学レンズ102を通過した光は、患者の眼の網膜に到達する前に、関連する眼内レンズを通過する。
【0017】
光学レンズ102は、シリコーン又はアクリルなどの任意の適切な材料から形成することができる。また、光学レンズ102は、金型又は旋盤切断製造プロセスを使用するなど、任意の適切な方法で形成することもできる。さまざまなレンズ102の設計及び製造を行うことで広範囲の視度を得ることができ、各光学レンズ102は、任意の適切な屈折異常を補正するよう設計することができる。補正可能な屈折異常のタイプの例としては、近視、遠視、乱視が挙げられる。
【0018】
本例の光学レンズ102は、凸状の上面と凹状の底面とを有する。しかしながら、光学レンズ102は、補正される屈折異常のタイプに(少なくとも部分的に)依存し得る他の適切な形状を有していてもよい。特定の例として、光学レンズ102は、凸面、凹面、球面、非球面、円環状、単焦点、又は多焦点であってもよい。眼内偽水晶体コンタクトレンズ100の光学レンズ102として使用される特定のレンズプラットフォームは、患者の眼に所望の屈折矯正を行うように選択することができる。光学レンズ102は、光学レンズ102が眼内レンズ上で(円環状プラットフォームの場合のように)所望の方向に配向するように、光学レンズ102(の底部など)が加重される場合や、光学レンズ102が着色されている場合、フォトクロミックである場合、又は、紫外線(UV)吸収剤を含む場合など、必要又は所望に応じてさまざまな他の特徴を含むこともできる。
【0019】
複数の触覚部104a~104bは、光学レンズ102の複数の側面から延在している。触覚部104a~104bは、光学レンズ102から短い距離だけ延在し、移植後の患者の眼の水晶体嚢壁の前尖の下に収まるようなサイズと形状を有する。各触覚部104a~104bは、任意の適切な材料から、任意の適切な方法で形成され得る。例えば、各触覚部104a~104bは、光学レンズ102と同じ材料から形成されてもよい。なお、ここでは2つの触覚部104a~104bが示されているが、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100は、単一の触覚部をはじめ、任意の数の触覚部を備えていてもよい。また、触覚部104a~104bは、下向きに曲げられているが、触覚部104a~104bは、他の任意の適切な配置であってもよいことに留意されたい。
【0020】
本例では、触覚部104a~104bは、光学レンズ102の側面から突出する突出部又は延長部106によって光学レンズ102から離間している。これらの延長部106は、触覚部104a~104bの端部を埋め込むことができる眼内偽水晶体コンタクトレンズ100の部分である。各延長部106は、任意の適切な材料から、任意の適切な方法で形成され得る。例えば、各延長部106は、光学レンズ102を形成する材料の一部、ひいては光学レンズ102自体の延長部であってもよい。ただし、そうである必要はない。例えば、光学レンズ102は、延長部106と一体であるか、それに取り付けられた保持リング内に配置されてもよく、あるいは、延長部106を接着剤や他の適切な接続機構を使用して光学レンズ102自体に固定してもよい。
【0021】
ここでは2つの延長部106が示されているが、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100は、単一の延長部をはじめ、任意の数の延長部を備えていてもよいことに留意されたい。また、延長部106はなくてもよく、触覚部104a~104bは光学レンズ102と直接一体化されてもよいことに留意されたい。これらの実施形態では、必ずしもそうである必要はないが、触覚部104a~104bは光学レンズ102を形成する材料の一部であってもよい。例えば、光学レンズ102は、触覚部104a~104bと一体であるか、それに取り付けられた保持リング内に配置されてもよく、あるいは、触覚部104a~104bを接着剤や他の適切な接続機構を使用して光学レンズ102自体に固定してもよい。
【0022】
各触覚部104a~104bは、本例では、触覚部104a~104bを部分的又は完全に貫通して形成された種々の穴により形成されるテクスチャ面108を有する。このテクスチャ面108によって、触覚部104a~104bが、患者の偽水晶体眼の水晶体嚢壁の前尖により捕捉され閉じ込められるようになる。場合によっては、テクスチャ面108によって、触覚部104a~104bが、治癒過程中の線維化などを通じて、患者の眼の水晶体嚢壁の前尖と実際に物理的に結合するようになる。触覚部104a~104bは、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100を眼内レンズ上の所定の位置に固定するのに有用となる。なお、テクスチャ面108の穴の数及びサイズは例にすぎず、触覚部104a~104bは異なる数及びサイズの穴を含んでいてもよい。例えば、触覚部104a~104bは、水晶体嚢壁の前尖への閉じ込め、捕捉又は付着を促進するテクスチャを形成する多数の非常に小さな穴又は他の構造を有していてもよい。
【0023】
患者の眼の水晶体嚢壁の前尖は、通常、患者の眼の天然水晶体が除去されて眼内レンズと交換される嚢切開術中に形成される。この前尖は、天然水晶体を取り除くことができるよう、水晶体嚢に開口部(嚢切開と呼ばれる)が形成された後に残る水晶体嚢の前面の外側部分である。これは、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100が移植されるずっと前に起こる場合もある。嚢切開後、水晶体嚢壁の前尖は、通常、収縮して治癒過程で線維化を起こす。
【0024】
眼内偽水晶体コンタクトレンズ100が患者の眼に挿入されると、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100は、触覚部104a~104bが患者の眼の前尖の下方に延在するように配置することができる。これにより、触覚部104a~104bは、前尖によって捕捉され閉じ込められるようになる。触覚部104a~104bは、例えば、前尖の「再線維化」により、時間の経過と共に前尖に物理的に取り付けられてもよい。この組織の再線維化は、触覚部104a~104bの一部又はすべてに結合してそれを覆い、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100を所定の位置にさらに固定する。ただし、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100の移植は、眼内レンズの移植と同じ手順で行われてもよい。その場合、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100は、触覚部104a~104bによって、場合によっては患者の眼内の線維化(再線維化ではない)中に固定されてもよい。
【0025】
図4~
図5は、本開示に係る第2の例の眼内偽水晶体コンタクトレンズ400を示す。具体的には、
図4は眼内偽水晶体コンタクトレンズ400の斜視図を示し、
図5は眼内偽水晶体コンタクトレンズ400の側面図を示す。
【0026】
図4~
図5に示すように、眼内偽水晶体コンタクトレンズ400は、眼内偽水晶体コンタクトレンズ100を形成するものと同一又は類似のさまざまな構成要素を有する。例えば、眼内偽水晶体コンタクトレンズ400は、光学レンズ402、複数の触覚部404a~404b、及び、必要に応じて、複数の延長部406を備えている。触覚部404a~404bは、テクスチャ面408を有する。
【0027】
また、眼内偽水晶体コンタクトレンズ400は、1つ又は複数のピン410も備えている。各ピン410は、延長部406から、又は、触覚部404a~404bの内端から下方に突出している。この1つ又は複数のピン410は、眼内レンズの前面を突き刺すため、又は、眼内レンズの前面上に載置するために使用可能である。これらのピン410は、前尖による触覚部404a~404bの捕捉/閉じ込めに加えて、眼内偽水晶体コンタクトレンズ400を所定の位置にさらに保持し、眼内偽水晶体コンタクトレンズ400を滑らないようにするのに有用となる。場合によっては、ピン410を使用することで、移植直後かつ眼内偽水晶体コンタクトレンズ400の触覚部404a~404bが(線維化などにより)患者の眼の水晶体嚢壁の前尖に接着する前の期間中に眼内偽水晶体コンタクトレンズ400が動いてしまうのを防止することができる。
【0028】
各ピン410は、任意の適切な材料から、任意の適切な方法で形成され得る。なお、ここでは2つのピン410が示されているが、眼内偽水晶体コンタクトレンズ400は、単一のピンをはじめ、任意の数のピンを備えていてもよい。また、ここでのピン410は鋭い端部を有するものとして示されているが、そうである必要はないことに留意されたい。例えば、ピン410は、ピン410が眼内レンズの前面に(穿刺することなく)載置できるように丸みを帯びた表面や先の尖っていない表面を有していてもよい。さらに、ピン410は、ここでは延長部406を通って延びるか、又は延長部406内に埋め込まれるように示されているが、他の適切な位置に配置されてもよい。例えば、ピン410を触覚部404a~404bの外端に移動させてもよいし、追加のピン410を触覚部404a~404bの外端に配置してもよい。
【0029】
上述のように、眼内偽水晶体コンタクトレンズ400の移植は、眼内レンズの移植と同じ処理中に、又は眼内レンズが患者の眼に既に移植された後の次の処理中に行ことができる。患者の眼の水晶体嚢壁の前尖により、眼内偽水晶体コンタクトレンズ400の触覚部404a~404bを前尖の下方に捕捉し閉じ込めることができ、必要に応じて、触覚部404a~404bを患者の眼に取り付ける線維化や再線維化が生じ得る。ピン410を使用することで、眼内偽水晶体コンタクトレンズ400を所定の位置に保持することができる。
【0030】
図6~
図8は、本開示に係る第3の例の眼内偽水晶体コンタクトレンズ600を示す。具体的には、
図6は眼内偽水晶体コンタクトレンズ600の斜視図を示し、
図7は眼内偽水晶体コンタクトレンズ600の上面図を示し、
図8は眼内偽水晶体コンタクトレンズ600の側面図を示す。
【0031】
図6~
図8に示すように、眼内偽水晶体コンタクトレンズ600は、上述の光学レンズ202、402と同一又は類似の光学レンズ602を備えている。眼内偽水晶体コンタクトレンズ600は、複数の触覚部604a~604bと、必要に応じて、複数の延長部606も備えている。ここで、触覚部604a~604bは、金属又はプラスチックなどの材料のループによって形成される。触覚部604a~604bの端部は、本例では延長部606内に埋め込まれているが、延長部606を省略し、触覚部604a~604bを光学レンズ602又は光学レンズ602が配置される保持リングに結合してもよい。なお、触覚部604a~604bは、下向きに角度が付けられているが、他の適切な配置を有していてもよい。各触覚部604a~604bは、水晶体嚢壁の前尖への閉じ込め、捕捉、取り付けを促進するテクスチャ面を有していてもよい。
【0032】
眼内偽水晶体コンタクトレンズ600の移植は、眼内レンズの移植と同じ処理中に、又は眼内レンズが患者の眼に既に移植された後の次の処理中に行ことができる。患者の眼の水晶体嚢壁の前尖により、眼内偽水晶体コンタクトレンズ600の触覚部604a~604bを前尖の下方に捕捉し閉じ込めることができ、必要に応じて、触覚部604a~604bを患者の眼に取り付ける線維化や再線維化が生じ得る。
【0033】
図9~
図10は、本開示に係る第4の例の眼内偽水晶体コンタクトレンズ900を示す。具体的には、
図9は眼内偽水晶体コンタクトレンズ900の斜視図を示し、
図10は眼内偽水晶体コンタクトレンズ900の側面図を示す。
【0034】
図9~
図10に示すように、眼内偽水晶体コンタクトレンズ900は、眼内偽水晶体コンタクトレンズ600を形成するものと同一又は類似のさまざまな構成要素を有する。例えば、眼内偽水晶体コンタクトレンズ900は、光学レンズ902と、複数の触覚部904a~904bと、必要に応じて、複数の延長部906を備えている。触覚部904a~904bは、光学レンズ902から短い距離だけ延在し、移植後の患者の眼の水晶体嚢壁の前尖の下方に収まるようなサイズ及び形状の小さなループを形成する。各触覚部904a~904bは、水晶体嚢壁の前尖への閉じ込め、捕捉、取り付けを促進するテクスチャ面を有していてもよい。
【0035】
また、眼内偽水晶体コンタクトレンズ900は、1つ又は複数のピン908も備えている。各ピン908は、延長部906から又は触覚部904a~904bの内端から下方に突出している。この1つ又は複数のピン908は、眼内レンズの前面を突き刺すために、又は、眼内レンズの前面上に載置するために使用可能である。これらのピン908は、前尖による触覚部904a~904bの捕捉/閉じ込めに加えて、眼内偽水晶体コンタクトレンズ900を所定の位置にさらに保持し、眼内偽水晶体コンタクトレンズ900を滑らないようにするのに有用となる。場合によっては、ピン908を使用することで、移植直後かつ眼内偽水晶体コンタクトレンズ900の触覚部904a~904bが(線維化などにより)患者の眼の水晶体嚢壁の前尖に接着する前の期間中に眼内偽水晶体コンタクトレンズ900が動いてしまうのを防止することができる。
【0036】
各ピン908は、任意の適切な材料から、任意の適切な方法で形成され得る。なお、ここでは2つのピン908が示されているが、眼内偽水晶体コンタクトレンズ900は、単一のピンをはじめ、任意の数のピンを含んでいてもよい。また、ここでピン908は鋭い端部を有するように示されているが、そうである必要はないことに留意されたい。例えば、ピン908は、ピン908が眼内レンズの前面に(穿刺することなく)載置できるように丸みを帯びた表面や先の尖っていない表面を有していてもよい。さらに、ピン908は、ここでは延長部906を通って延びるか、又は延長部906内に埋め込まれるように示されているが、他の適切な位置に配置されてもよい。例えば、ピン908を触覚部904a~904bの外端に移動させてもよいし、追加のピン908を触覚部904a~904bの外端に配置してもよい。
【0037】
眼内偽水晶体コンタクトレンズ900の移植は、眼内レンズの移植と同じ処理中に、又は眼内レンズが患者の眼に既に移植された後の次の処理中に行ことができる。患者の眼の水晶体嚢壁の前尖により、眼内偽水晶体コンタクトレンズ900の触覚部904a~904bを前尖の下方に捕捉し閉じ込めることができ、必要に応じて、触覚部904a~904bを患者の眼に取り付ける線維化や再線維化が生じ得る。ピン908を使用することで、眼内偽水晶体コンタクトレンズ900を所定の位置に保持することができる。
【0038】
図11~
図12は、本開示に係る第5の例の眼内偽水晶体コンタクトレンズ1100を示す。具体的には、
図11は眼内偽水晶体コンタクトレンズ1100の斜視図を示し、
図12は眼内偽水晶体コンタクトレンズ1100の側面図を示している。
【0039】
図11~
図12に示すように、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1100は、眼内偽水晶体コンタクトレンズ900を形成するものと同一又は類似のさまざまな構成要素を有する。例えば、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1100は、光学レンズ1102と、複数の触覚部1104a~1104bと、必要に応じて、複数の延長部1106を備えている。触覚部1104a~1104bは、光学レンズ1102から短い距離だけ延在し、移植後の患者の眼の水晶体嚢壁の前尖の下方に収まるようなサイズ及び形状の小さなループを形成する。各触覚部1104a~1104bは、水晶体嚢壁の前尖への閉じ込め、捕捉、取り付けを促進するテクスチャ面を有していてもよい。
【0040】
また、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1100は、1つ又は複数のピン1108も備えている。各ピン1108は、触覚部1104a~1104bの外端から下方に突出している。従って、ピン1108は、ピン908と比較して、光学レンズ1102からより遠くに配置されている。これにより、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1100をより大きな眼内レンズと共に使用することが可能になる。また、ピン1108が眼内レンズの縁まで又はそれを超えて延在することが可能となり、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1100を眼内レンズの前面や側面に固定したり、眼内レンズ上での眼内偽水晶体コンタクトレンズの滑りを軽減したりするのに有用となる。
【0041】
眼内偽水晶体コンタクトレンズ1100の移植は、眼内レンズの移植と同じ処理中に、又は眼内レンズが患者の眼に既に移植された後の次の処理中に行ことができる。患者の眼の水晶体嚢壁の前尖により、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1100の触覚部1104a~1104bを前尖の下方に捕捉し閉じ込めることができ、必要に応じて、触覚部1104a~1104bを患者の眼に取り付ける線維化や再線維化が生じ得る。ピン1108を使用することで、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1100を所定の位置に保持することができる。
【0042】
図13は、本開示に係る第6の例の眼内偽水晶体コンタクトレンズ1300を示す。
図13に示すように、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1300は、光学レンズ1302と複数の触覚部1304a~1304cを備えている。光学レンズ1302は、上述のさまざまな光学レンズと同一又は類似のものであってもよい。
【0043】
本例では、触覚部1304a~1304cは、光学レンズ1302の側面から延在する大きな突起によって形成され、この突起は、その外縁に向かって先細になる厚さを有する。これにより、患者の眼の水晶体嚢壁の前尖の下方に触覚部1304a~1304cを簡単に挿入できるようになる。各触覚部1304a~1304cは、水晶体嚢壁の前尖への閉じ込め、捕捉、又は取り付けを促進する、多数の穴又は他の構造などのテクスチャ面を有していてもよい。ここでは3つの触覚部1304a~1304cが示されているが、他の数の触覚部であってもよい。
【0044】
図14~
図15は、本開示に係る第7の例の眼内偽水晶体コンタクトレンズ1400を示す。具体的には、
図14は眼内偽水晶体コンタクトレンズ1400の斜視図を示し、
図15は眼内偽水晶体コンタクトレンズ1400の中央を通る断面図を示す。
【0045】
図14~
図15に示すように、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1400は、光学レンズ1402と、複数の触覚部1404a~1404bを備えている。光学レンズ1402は、上述のさまざまな光学レンズと同一又は類似のものであってもよい。各触覚部1404a~1404bは、水晶体嚢壁の前尖への閉じ込め、捕捉、又は取り付けを促進する、多数の穴又は他の構造などのテクスチャ面を有していてもよい。
【0046】
本例では、触覚部1404a~1404bは、光学レンズ1402の側面から延びるより大きな突起によって形成される。各触覚部1404a~1404bは、光学レンズ1402に接続された内側部分1406と、その内側部分1406に接続された外側部分1408とを有し、光学レンズ1402から延びる長い「翼」が効果的に形成されている。外側部分1408は、触覚部1404a~1404bの外縁に向かって先細になる厚さを有している。これにより、患者の眼の水晶体嚢壁の前尖の下方に触覚部1404a~1404bを簡単に挿入できるようになる。本例では(他の形態も使用可能ではあるが)、内側部分1406が外方かつ下方に突出する一方、外側部分1408が外方かつわずかに上方に突出している。この形状により、触覚部1404a~1404bが水晶体嚢壁の前尖の下方に延在しつつも、より大きな眼内レンズと共に使用することが可能になる。
【0047】
各触覚部1404a~1404bは、リッジ部1410も含み、複数の触覚部1404a~1404bの複数のリッジ部1410により、下にある眼内レンズの1つ又は複数の縁部を捕捉することができる。これにより、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1400を眼内レンズの中心に置くことができるようになり、治癒過程の間、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1400を眼内レンズ上の所定の位置に保持できるようになる。
【0048】
図16~
図18は、本開示に係る第8の例の眼内偽水晶体コンタクトレンズ1600を示す。具体的には、
図16は眼内偽水晶体コンタクトレンズ1600の斜視図を示し、
図17は眼内偽水晶体コンタクトレンズ1600の上面図を示し、
図18は眼内偽水晶体コンタクトレンズ1600の中央を通る断面図を示している。
【0049】
図16~
図18に示すように、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1600は、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1400を形成するものと同一又は類似のさまざまな構成要素を有する。例えば、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1600は、光学レンズ1602と、複数の触覚部1604a~1604bを備えている。触覚部1604a~1604bは、光学レンズ1602の側面から延びるより大きな突起によって形成される。各触覚部1604a~1604bは、光学レンズ1602(又は光学レンズ1602が配置される保持リング)に接続された内側部分1606と、その内側部分1606に接続された外側部分1608を有している。この外側部分1608は、触覚部1604a~1604bの外縁に向かって先細になる厚さを有する。これにより、患者の眼の水晶体嚢壁の前尖の下方に触覚部1604a~1604bを簡単に挿入できるようになる。本例では、内側部分1606及び外側部分1608はいずれも外方かつ真っ直ぐに突出している(他の形態も使用可能ではあるが)。この形状により、触覚部1604a~1604bが水晶体嚢壁の前尖の下方に延在しつつも、より大きな眼内レンズと共に使用することが可能となる。
【0050】
各触覚部1604a~1604bは、隆起1610も含み、複数の触覚部1604a~1604bの複数の隆起1610により、下にある眼内レンズの1つ又は複数の縁部を捕捉することができる。これにより、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1600を眼内レンズの中心に置くことができるようになり、治癒過程の間、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1600を眼内レンズ上の所定の位置に保持できるようになる。
【0051】
また、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1600は、ここでは、光学レンズ1602の側面に沿って位置する複数のセグメント1612を備えている。これらのセグメント1612は、光学レンズ1602からの突起部であり、セグメント1612の少なくとも一部は、触覚部1604a~1604bに接続されていてもよい(触覚部1604a~1604bの端部がセグメント1612に埋め込まれている場合など)。セグメント1612は、セグメント1612の底面が光学レンズ1602の下に位置するよう下方に延在している。その結果、患者の眼に移植されると、セグメント1612は光学レンズ1602を下にある眼内レンズから分離した状態に保つ。光学レンズ1602の後面の形状及び下にある眼内レンズの前面の形状に応じて、光学レンズが互いに接触しないように、下にある眼内レンズ内の光学レンズ上に光学レンズ1602を持ち上げることができる。
【0052】
各セグメント1612は、任意の適切な材料から、任意の適切な方法で形成され得る。例えば、各セグメント1612は、光学レンズ1602を形成する材料の一部、ひいては光学レンズ1602自体の延長部であってもよい。ただし、必ずしもそうである必要はない。例えば、光学レンズ1602は、セグメント1612と一体化又はそれに取り付けられた保持リング内に配置されていてもよく、あるいは、接着剤又は他の適切な接続機構を使用して光学レンズ1602自体に固定されていてもよい。各セグメント1612は、任意の適切なサイズ、形状、及び寸法を有していてもよい。例えば、セグメント1612は、
図16~
図18に示すものよりも(他の構造と比較して)小さい又は大きいものであってもよい。別の例として、セグメント1612は、セグメント1612と光学レンズ1602との間に小さな開放領域を残した湾曲構造であってもよいし、セグメント1612と光学レンズ1602との間に開放領域を残さない中実構造であってもよい。
【0053】
光学レンズ1602を下にある眼内レンズから離間させる機能は、さまざまな利点を生じ得る。例えば、下にある眼内レンズ上に光学レンズ1602を持ち上げることにより、眼内レンズの前面と光学レンズ1602の後面との間に流れる水量を増加させ得る。レンズ間の水流が増加することで、レンズの片方又は両方におけるレンズ堆積物の量が軽減される。また、レンズ間に水が存在すると、複合レンズシステムの光学系や画質を向上させることができる。さらに、レンズ間により多くの空間を設けることにより、前部曲面が変化するより広範囲の眼内レンズと共に眼内偽水晶体コンタクトレンズ1600を使用することができ、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1600をより広範囲の眼内レンズモデルや度数で使用できるようになる。
【0054】
図19~
図21は、本開示に係る第9の例の眼内偽水晶体コンタクトレンズ1900を示す。具体的には、
図19は眼内偽水晶体コンタクトレンズ1900の斜視図を示し、
図20は眼内偽水晶体コンタクトレンズ1900の上面図を示し、
図21は眼内偽水晶体コンタクトレンズ1900の中央を通る断面図を示している。
【0055】
図19~
図21に示すように、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1900は、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1600を形成するものと同一又は類似のさまざまな構成要素を有する。例えば、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1900は、光学レンズ1902と、複数の触覚部1904a~1904bを備えている。触覚部1904a~1904bは、光学レンズ1902の側面から延びるより大きな突起によって形成される。各触覚部1904a~1904bは、光学レンズ1902(又は光学レンズ1902が配置される保持リング)に接続された内側部分1906と、その内側部分1906に接続された外側部分1908を有している。また、各触覚部1904a~1904bは、リッジ部1910も含み、複数の触覚部1904a~1904bの複数のリッジ部1910により、下にある眼内レンズの1つ又は複数の縁部を捕捉することができる。さらに、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1900は、光学レンズ1902の側面に沿って複数のセグメント1912を備えている。これらのセグメント1912は、その底面が光学レンズ1902の下に位置するよう下方に延在している。
【0056】
本例の触覚部1904a~1904bは、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1600の対応する構成要素と比較して、より大きなリッジ部1910を有するより厚い外側部分1908を有している。これにより、触覚部1904a~1904bをさらに大きな眼内レンズと共に使用することが可能になる。さらに、各リッジ部1910は、下にある眼内レンズの捕捉を容易にすることができるリップ部1911を有している。各リップ部1911は、対応するリッジ部1910からの任意の適切な内向きの突起部である。
【0057】
この場合も同様に、患者の眼に移植されると、セグメント1912は、光学レンズ1902を下にある眼内レンズから分離した状態に保つのに有用となる。光学レンズ1902の後面の形状及び下にある眼内レンズの前面の形状に応じて、光学レンズが互いに接触しないように、下にある眼内レンズ内の光学レンズ上に光学レンズ1902を持ち上げることができる。光学レンズ1902を下にある眼内レンズから離間させる機能は、眼内偽水晶体コンタクトレンズ1600に関して上述したようなさまざまな利点を提供することができる。
【0058】
さまざまな従来のアプローチでは、「アドオン」レンズを眼内レンズに固定しているが、これらの従来のアプローチでは、特定のアドオンレンズを特定の眼内レンズと共に使用するために設計したり、特定の眼内レンズを特定のアドオンレンズと共に使用するために設計したりすることが必要となる。つまり、アドオンレンズは、特定のタイプの眼内レンズと共にしか使用できず、その眼内レンズはそのアドオンレンズと共に使用するために特別に設計されている。具体的な例としては、アドオンレンズは、特定の眼内レンズの対応する構造と嵌合するように設計された触覚部又は他の構造を含んでいてもよく、眼内レンズは特定のタイプのアドオンレンズを収容するよう設計された凹部を有していてもよい。これには、幾つもの理由から問題がある。例えば、多くの患者は既存の眼内レンズをすでに持っているため、アドオンレンズと共に使用するために設計された新しい眼内レンズを移植するためにそれらの既存の眼内レンズを取り除こうとするのは非現実的又は危険である。
【0059】
図1~
図21に示す眼内偽水晶体コンタクトレンズの実施形態では、水晶体嚢壁の前尖で眼内偽水晶体コンタクトレンズの触覚部を捕捉して閉じ込めることにより眼内偽水晶体コンタクトレンズを眼内レンズ上に固定できるため、これらの問題を軽減することが可能となる。場合によっては、線維化や再線維化のメカニズムなどを介して、触覚部を水晶体嚢壁の前尖に物理的に結合してもよい。言い換えれば、眼内偽水晶体コンタクトレンズは、特定の眼内レンズの特定の構造で特別に機能するように設計する必要はない。眼内偽水晶体コンタクトレンズと共に使用される眼内レンズは、眼内偽水晶体コンタクトレンズと結合するために設けられた所定の構造を有していなくてもよい。むしろ、
図1~21の眼内偽水晶体コンタクトレンズは、単に、眼内偽水晶体コンタクトレンズが眼内レンズ上に配置されたときに、水晶体嚢壁の前尖によって捕捉され閉じ込められる(場合によっては、それと結合する)ことで所定の位置に固定できるように、サイズを決めることができる。これにより、
図1~
図21の眼内偽水晶体コンタクトレンズを、異なるタイプの眼内レンズや、既に患者に移植された既存の眼内レンズを含む、多種多様の眼内レンズと共に使用することができる。新しい眼内レンズと眼内偽水晶体コンタクトレンズを取り付けるために、患者から既存の眼内レンズを取り外す必要はない。
【0060】
また、
図1~
図21の眼内偽水晶体コンタクトレンズは、(線維化や再線維化によって眼内偽水晶体コンタクトレンズが所定の位置に保持されると仮定した場合)移植後又は触覚部が水晶体嚢壁に結合する前の任意の適切なタイミングなどで、患者の眼から容易に取り外すことができる。これにより、とりわけ、異なる屈折矯正が必要又は望ましい場合、1つの眼内偽水晶体コンタクトレンズを取り外して、異なる眼内偽水晶体コンタクトレンズと交換することができる。
【0061】
上記のさまざまな眼内偽水晶体コンタクトレンズは、任意の適切なサイズ、形状、及び寸法を有していてもよい。例えば、眼内偽水晶体コンタクトレンズは、約4mmから約6mmの範囲の直径のものが入手可能である。また、眼内偽水晶体コンタクトレンズは、光学レンズのベース曲率を変化させたものが入手可能である。もちろん、特定の患者の眼の残留屈折異常を矯正するために1つ又は複数の特定の曲率が必要な場合など、特定の患者の眼用に眼内偽水晶体コンタクトレンズをカスタム設計することもできる。
【0062】
本明細書に開示された眼内偽水晶体コンタクトレンズは、患者の眼に非侵襲的に移植され、眼内レンズ上に容易に配置することができる。眼内偽水晶体コンタクトレンズが眼内レンズの前面に設置されているため、移植は非侵襲的であり、通常、移植手術中に外科医や他の従事者によって簡単にアクセス可能である。患者の眼の小溝など、患者の眼内の解剖学的構造に眼内偽水晶体コンタクトレンズを取り付ける必要なく、眼内偽水晶体コンタクトレンズを眼内レンズに取り付けることができるため、移植も非侵襲的である。
【0063】
眼内偽水晶体コンタクトレンズの非侵襲的移植や容易な位置決めによって、レンズ切除術後などの望ましくない残留屈折異常を補正するための安全かつ効果的な屈折外科手術が可能となる。屈折モダリティとして、眼内偽水晶体コンタクトレンズは、患者の視力を調整して微調整された所望の屈折を達成するために、偽水晶体患者の現在の屈折異常を改善する外科医の能力に貢献する。この機能の具体例としては、片側又は両側の正視を達成するために患者の眼の調整を許可したり、中間及び近視機能を可能にする片側近視を誘発したり、多焦点性を導入したり、不要な残留乱視を治療することが含まれる。
【0064】
眼内偽水晶体コンタクトレンズの触覚部がその底面に沿ってリッジ部を含む場合、そのリッジ部により、上記のように眼内偽水晶体コンタクトレンズを下にある眼内レンズの中心に配置することができる。眼内偽水晶体コンタクトレンズに、リッジ部が関連付けられた3つの触覚部が含まれている場合、それらのリッジ部によって、眼内偽水晶体コンタクトレンズを下にある眼内レンズの中心に完璧に配置することができる。このような方法により、眼内偽水晶体コンタクトレンズの触覚部のリッジ部が端部にある下部の眼内レンズを捕捉し、眼内偽水晶体コンタクトレンズの光学中心を眼内レンズの光学中心と完全に揃えることができる。この位置合わせは、光学中心の位置ずれによって引き起こされる誘導光学収差や誘導プリズムを低減したり回避するのに有用となる。これにより、従来の屈折微調整モダリティを超える強力な貢献利益が得られる。
【0065】
なお、上記の例のいずれにおいても、眼内偽水晶体コンタクトレンズは、眼内偽水晶体コンタクトレンズの触覚部のみが患者の眼の水晶体嚢壁の前尖の下方に延びるように設計されてもよい。これにより、眼内偽水晶体コンタクトレンズの光学レンズを解放し、患者の眼の周囲組織によって一般的に見えないままにして、触覚部を前尖で捕捉して閉じ込めることができる。
【0066】
図1~
図21は、眼内偽水晶体コンタクトレンズの例を示しているが、
図1~
図21にはさまざまな変更を加えることができる。例えば、特徴の特定の組み合わせが図に示されているか、上記で説明されているかどうかにかかわらず、
図1~
図21に示す特徴の任意の適切な組み合わせを単一の眼内偽水晶体で一緒に使用することができる。具体的な例として、
図1~
図21に示される眼内偽水晶体コンタクトレンズのいずれも、1つ又は複数の所望の位置に1つ又は複数のピン、眼内レンズの捕捉及び眼内レンズ上の中心化を行うための1つ又は複数の触覚部の底面に沿った1つ又は複数のリッジ部、及び/又は、眼内レンズの捕捉を助ける1つ又は複数のリップ部を備えていてもよい。また、各眼内偽水晶体コンタクトレンズは、任意の図に示す各構成要素を任意の適切な数だけ備えていればよい。眼内偽水晶体コンタクトレンズは、図では120°又は180°の均等な間隔で2つ又は3つの触覚部を有するものとして示しているが、任意の数の触覚部を使用してもよい(それに関連するピン、リッジ部、リップ部、他の構造の有無にかかわらず)。さらに、ここに示した触覚部の形態は例にすぎず、他の適切な構造を使用して、患者の眼の水晶体嚢壁の前尖を捕捉、閉じ込め、又は取り付けることができる。さらに、眼内偽水晶体コンタクトレンズの1つ又は複数の場所で、他の多くの機能を使用できる。例えば、1つ又は複数のアライメントマーキング設けることで、眼内偽水晶体コンタクトレンズと眼内レンズの適切なアライメントを特定してもよい。また、眼内偽水晶体コンタクトレンズの光学レンズの上面、側面、又は底面に1つ又は複数の薬物溶出材料を配置してもよい。
【0067】
図22は、本開示に係る患者の眼2200内の眼内レンズの例と眼内偽水晶体コンタクトレンズの例を示す。
図22に示すように、眼2200は、角膜2202、強膜2204、虹彩2206を有する。角膜2202は、光が眼2200に入るのに通過する眼2200の透明な前部である。強膜2204は、眼の外側の丈夫な白い部分である。虹彩2206は、眼の瞳孔の大きさを制御することにより、角膜2202から眼2200の内部に入る光の量を制御する。
【0068】
また、眼2200は、通常、眼2200の天然水晶体を保持する水晶体嚢2208も備えている。しかしながら、本例では、天然水晶体は除去され、光学レンズ2212と1つ又は複数の触覚部2214を有する眼内レンズ2210に置き換えられている。眼内レンズ2210の光学レンズ2212は、眼に入る光を受光し、その光を眼2200の網膜上に収束させる。眼内レンズ2210の触覚部2214は、眼内レンズ2210の光学レンズ2212が眼内の所望の位置にあるように、眼内レンズ2210を水晶体嚢2208内に保持するのに有用となる。
【0069】
眼内偽水晶体コンタクトレンズ2216も、水晶体嚢2208内の眼内レンズ2210上に配置されている。眼内偽水晶体コンタクトレンズ2216は、上述の眼内偽水晶体コンタクトレンズ又は他の適切な眼内偽水晶体コンタクトレンズのいずれかである。眼内偽水晶体コンタクトレンズ2216は、眼2200に対する眼内レンズ2210の前面を意味する眼内レンズ2210の前面に配置される。光は、角膜2202を通って入り、眼内偽水晶体コンタクトレンズ2216に入る前に瞳孔を通過して光を変更する。そして、変更された光は、眼内レンズ2210の光学レンズ2212を通過し、再び変更される。そして、2回変更された光は、眼2200の残りの部分を通過して、眼2200の後ろの網膜に到達する。
【0070】
上述のように、眼内偽水晶体コンタクトレンズ2216は、短距離だけ延在し、水晶体嚢2208の前尖2218の下に収まる1つ又は複数の触覚部を備えている。これにより、触覚部を前尖2218によって捕捉及び閉じ込める(かつ、必要に応じて、線維化や再線維化により前尖2218に取り付ける)ことができる。前尖2218は、水晶体嚢2208内に水晶体嚢が形成された後に残る水晶体嚢2208の前面の外側部分である。眼内偽水晶体コンタクトレンズ2216の触覚部を前尖2218の下方へ挿入することにより、眼内偽水晶体コンタクトレンズ2216を所定の位置に固定することができる。場合によっては、眼2200の治癒過程は線維化を引き起こす場合があり、これによって前尖2218が眼内偽水晶体コンタクトレンズ2216の触覚部に取り付けられる場合もある。
【0071】
なお、眼内偽水晶体コンタクトレンズ2216の触覚部は、眼内レンズ2210の触覚部2214よりも短い又は小さい。これは、眼内レンズ2210の触覚部2214がほぼ水晶体嚢2208の上部及び下部まで延び、眼内レンズ2210を水晶体嚢2208内の適切な位置に保持できるからである。眼内偽水晶体コンタクトレンズ2216の触覚部は、水晶体嚢2208の上部及び底部まで延在していなくてもよく、前尖2218の下方に短い距離だけ延在していればよい。
【0072】
眼内偽水晶体コンタクトレンズ2216の光学レンズを適切に選択することにより、眼内偽水晶体コンタクトレンズ2216は、眼内レンズ2210の移植後に残る任意の残留屈折誤差を理想的に補正することができる。眼内偽水晶体コンタクトレンズ2216は、必要な場合、取り外して別の眼内偽水晶体コンタクトレンズと交換することもできる。これは、眼内偽水晶体コンタクトレンズ2216によって残留屈折異常が適切に補正されない場合、又は、眼内偽水晶体コンタクトレンズ2216が実際にさらなる屈折異常を引き起こす場合に必要又は望ましい場合がある。
【0073】
図22は、患者の眼内の眼内レンズの一例と、偽水晶体内コンタクトレンズの一例を示すが、
図22にはさまざまな変更を加えることができる。例えば、眼内レンズ2210は他の偽水晶体内コンタクトレンズに取り付けられてもよい。また、多くの眼内レンズが利用可能であり、眼内偽水晶体コンタクトレンズは、眼2200の他の適切な眼内レンズに結合されてもよい。
【0074】
図23は、本開示に係る眼内レンズと共に眼内偽水晶体コンタクトレンズを使用する方法2300の例を示す。
図23に示すように、ステップ2302では、眼内レンズを有する患者の眼の残留屈折異常を特定する。これには、例えば、従事者によって患者の視力を検査し、眼内レンズ2210の移植後に残る屈折異常を特定することが含まれる。この検査は、術中の波面収差測定法を使用するなど、適切な方法で行うことができる。この検査の目的の1つは、患者の眼に眼内レンズを移植した後、患者の眼にどのような屈折異常が存在するかを特定することである。この検査は、レンズ切除術後など、任意の適切なタイミングで行うことができる。
【0075】
ステップ2304では、眼内偽水晶体コンタクトレンズ(IOPCL)を選択し、特定された残留屈折異常を(理想的に)補正する。これには、例えば、従事者によって眼内偽水晶体コンタクトレンズをキットから選択することが含まれ、選択された眼内偽水晶体コンタクトレンズは、特定された残留屈折異常をほぼ相殺する光学レンズを備えている。また、従事者によってキットから光学レンズを選択し、その光学レンズを眼内偽水晶体コンタクトレンズに挿入することも含まれ、選択された光学レンズは、特定された残留屈折異常をほぼ相殺する。さらに、従事者によって、カスタム設計された光学レンズを有する眼内偽水晶体コンタクトレンズを取得したり、眼内偽水晶体コンタクトレンズへの挿入用にカスタム設計された光学レンズを取得したりすることが含まれる。カスタム設計された光学レンズは、特定された残留屈折異常をほぼ相殺する。一般的に、適切な眼内偽水晶体コンタクトレンズを得るには、任意のメカニズムを使用できる。
【0076】
ステップ2306では、選択された眼内偽水晶体コンタクトレンズを患者の眼に挿入する。これには、例えば、外科医や従事者によって患者の眼に小さな切開を形成し、その切開を介して眼内偽水晶体コンタクトレンズを眼に挿入することが含まれる。眼内偽水晶体コンタクトレンズは、より小さい切開を介して挿入するために、丸めたり、折り畳んだり、断面サイズを小さくしたりすることができる。
【0077】
ステップ2308では、眼内偽水晶体コンタクトレンズの1つ又は複数の触覚部を患者の眼の水晶体嚢壁の前尖の下に挿入する。これには、例えば、外科医や他の従事者によって眼内偽水晶体コンタクトレンズ2216を眼内レンズ2210上の所望の位置(場合によっては、所望の方向)に配置することが含まれる。これには、外科医や他の従事者によって、その触覚部(どんな形でも)が水晶体嚢2208の前尖2218の下方をスライドするよう眼内偽水晶体コンタクトレンズ2216を移動させることも含まれる。
【0078】
ステップ2310では、患者の視力検査が行われる。この視力検査は、手術中の波面収差測定法を使用するなど、任意の適切な方法で行うことができる。この視力検査は、眼内偽水晶体コンタクトレンズが埋め込まれている外科手術中、又は外科手術が完了した後など、任意の適切なタイミングで行うこともできる。ステップ2312では、検査で得られた視力が満足のいくものであるかどうかの判定が行われる。ここでは、例えば、患者の眼がまだ残留屈折異常を経験しているかどうかを判定する。
【0079】
ステップ2314では、眼内偽水晶体コンタクトレンズを変更するかどうかの決定が行われる。これには、例えば、従事者及び患者によって、残りの残留屈折異常(もしあれば)が患者にとって不都合又は問題があるかどうかを決定することが含まれる。問題がある場合、その問題を解決するためにさまざまな手順を実行できる。例えば、現在埋め込まれている眼内偽水晶体コンタクトレンズは、シリンダー軸の補正を調整するために再配置できる。それが失敗した場合、ステップ2316では、別の眼内偽水晶体コンタクトレンズが選択される。これには、例えば、従事者によって、現在挿入されている眼内偽水晶体と比較して患者の眼により良い屈折矯正を提供する別の眼内偽水晶体コンタクトレンズを選択することが含まれる。ステップ2318では、現在挿入されている眼内偽水晶体コンタクトレンズが患者の眼から除去される。これには、例えば、外科医や他の従事者によって、現在挿入されている眼内偽水晶体コンタクトレンズ2216の触覚部を前尖2218の下から滑らせて、現在挿入されている眼内偽水晶体コンタクトレンズ2216を患者の眼から取り除くことが含まれる。次いで、ステップ2306に戻り、そこで新たに選択された眼内偽水晶体コンタクトレンズを患者の眼に挿入し、視力検査を繰り返すことができる。
【0080】
図23に示されるプロセスが終了した後、埋め込まれた眼内偽有水晶体コンタクトレンズ2216の触覚部は、患者の眼の水晶体嚢2208の前尖2218によって捕捉/閉じ込めることができる。これは、眼内偽水晶体コンタクトレンズ2216を所定の位置に保持するのに役立つ。さらに、患者の眼の治癒過程は、任意選択で線維化又は再線維化を引き起こす可能性があり、これにより、埋め込まれた眼内偽水晶体コンタクトレンズ2216の触覚部が被膜嚢2208の前尖2218に物理的に付着する可能性がある。
【0081】
図23は、眼内レンズと共に眼内偽水晶体コンタクトレンズを使用する方法2300の一例を示しているが、
図23にはさまざまな変更を加えることができる。重複したり、並行して発生したり、異なる順序で発生したり、何度でも発生する可能性がある。
【0082】
本特許文書全体において使用した特定の単語および語句の定義を明記することは利点があると考えられる。「含む」及び「備える」、並びに、その派生語は、限定のない包含を意味する。「又は」という用語は、及び/又は、をも意味する。「と関連付けられた」という句およびその派生語は、含む、内部に含まれる、相互接続する、収容する、内部に収容される、~に又は~と接続する、~に又は~と結合する、~と通信可能である、~と協働する、交互配置する、並置する、近接する、~に又は~と結び付けられる、有する、の特性を有する、~に又は~と関係を有する等を意味し得る。「少なくとも1つの」という句は、項目のリストと共に使用されるとき、掲示された項目の内1つ又は複数の項目の異なる組み合わせが使用されてもよく、更にリストにおける1つの項目のみが必要とされてもよいことを意味する。例えば、「A、B、及びCの少なくとも1つ」は、A、B、C、A及びB、A及びC、B及びC、並びに、A及びB及びCの組み合わせのいずれも含む。
【0083】
本願における記載は、如何なる特定の要素、ステップ、又は機能も、特許請求の範囲に含まれるべきである必須の又は重要な要素であると暗示するものとして読まれるべきではない。更には、それらの請求項のどれもが、正確な言葉「~する手段」又は「~するステップ」が、機能を特定する分詞句の後に続けて、特定の請求項で明示的に使用されない限りは、添付の特許請求の範囲又は請求項のいずれに関しても米国特許法第112章(f)を行使するよう意図されない。請求項内の(これらに制限されないが)「メカニズム」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「コンポーネント」、「要素」、「部材」、「装置」、「機械」、「システム」、「プロセッサ」、又は「処理装置」といった用語の使用は、特許請求の範囲の特徴それ自体によって更に変更又は強化されるような、当業者に知られている構造を言及するよう理解及び意図され、米国特許法第112章(f)を行使するよう意図されない。
【0084】
本開示はある種の実施形態、および総合的に関連する方法について説明したが、これらの実施形態および方法の改変ならびに並べ替えは当業者には明白であろう。したがって、以上の実施形態例の説明は、本開示を定めるのでも、制約するのでもない。また、以下の特許請求の範囲によって定められる本開示の主旨および範囲から逸脱することなく、他の変更、置換、および改変も可能である。