(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】ブラケット
(51)【国際特許分類】
E04B 2/82 20060101AFI20221213BHJP
E04B 9/06 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
E04B2/82 501A
E04B9/06 D
(21)【出願番号】P 2021514405
(86)(22)【出願日】2019-09-10
(86)【国際出願番号】 IB2019057598
(87)【国際公開番号】W WO2020053745
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-07-30
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(73)【特許権者】
【識別番号】521102306
【氏名又は名称】ティー アンド アール インテリア システムズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】T & R INTERIOR SYSTEMS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】オースターホフ, ヘッダ マリア
(72)【発明者】
【氏名】スウェイト, スティーヴン アンソニー カール
(72)【発明者】
【氏名】ベイン, ジョセフ デイビッド
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/051253(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/107509(WO,A1)
【文献】米国特許第06122871(US,A)
【文献】米国特許第05228254(US,A)
【文献】特表2017-503097(JP,A)
【文献】特開平11-256732(JP,A)
【文献】特開2001-152586(JP,A)
【文献】特許第6283863(JP,B1)
【文献】特開2002-242342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/82
E04B 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切壁の上面にブラケットを取り付けるための第1の取り付けシステムと、
上部構造にブラケットを取り付けるための第2の取り付けシステムと、
軸体と、
前記軸体の一部をスライド可能に受け入れる中空領域を有する鞘体と、
前記鞘体の中空領域内に少なくとも部分的に位置するライニング部材と、を備え、
前記仕切壁と前記上部構造との間の垂直方向の変位に応じて前記ブラケットが
自動的に調節されるように、前記軸体が前記鞘体に対してスライド可能となっている、
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項2】
前記軸体は、前記鞘体よりも長い、請求項
1に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項3】
前記軸体は、取り付け部と前記鞘体の中空領域内に受け入れられる延長部とを含み、前記鞘体は、安定化部と取り付け部とを含み、前記軸体の延長部は、前記鞘体の安定化部よりも長い、請求項1
または2に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項4】
前記第1の取り付けシステムは、前記鞘体のネジ切りされて成る外側部と係合する、ネジ切りされて成るナットを含む、請求項
3に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項5】
前記軸体の一部は、前記鞘体の中空領域内にスライド可能に受け入れられ、前記鞘体内で長手方向に移動する、請求項1から
4の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項6】
前記軸体は、該軸体の大部分が前記鞘体の最上部の下方に存在する位置から、該軸体の大部分が前記鞘体の最上部の上方に存在する位置までスライド可能である、請求項1から
5の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項7】
前記ライニング部材は、前記軸体と前記鞘体の中空領域との間に設けられたライニング・スリーブである、請求項1から
6の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項8】
前記ライニング・スリーブは、少なくとも前記軸体の一部に設けられている、請求項
7に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項9】
前記ライニング部材は、前記軸体の外側面又は前記鞘体の内側面においてコーティング層を含む、請求項1から
8の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項10】
前記鞘体の中空領域は、筒状の鞘体を形成するように、前記鞘体の第1の端部から前記鞘体の第2の端部まで延びる、請求項1から
9の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項11】
前記軸体は、前記鞘体の中空領域の内側面の形状に対応した形状の外側面を有する、請求項1から
10の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項12】
前記鞘体の中空領域は円形断面を有し、前記軸体は略円筒形である、請求項1から
11の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項13】
前記ブラケットは、所望の位置に向けてデバイスを付勢するための付勢部材を含む、請求項1から
12の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項14】
前記付勢部材はバネを含む、請求項
13に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項15】
前記付勢部材は、前記ブラケットをニュートラルな設置位置に付勢する、請求項
13又は
14に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項16】
前記仕切壁はヘッドトラックを含み、前記第1の取り付けシステムは、該ヘッドトラックに取り付けられる、請求項1から
15の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項17】
前記第1の取り付けシステムは、前記仕切壁のヘッドトラックをクランプするためのナット及びワッシャから成る部品を含む、請求項
16に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項18】
前記第1の取り付けシステムは、前記仕切壁の上面にネジで取り付けるためのプレートを含む、請求項1から
16の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項19】
前記第2の取り付けシステムは、第1及び第2のクランプ部材を含む、請求項1から
18の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項20】
前記第1及び第2のクランプ部材は、其々、上部構造の互いに対向する側をクランプするためのナットを含む、請求項
19に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項21】
前記上部構造は、前記仕切壁の横方向の動きを抑えるために、頭上構造に取り付けるための1つ又は複数の横方向支持ブラケットを含む、請求項1から
20の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項22】
前記1つの又は各々の横方向支持ブラケットは、角度設定部と実質的に水平な水平部とを有している、請求項
21に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項23】
前記角度設定部は、45度の角度で延びる、請求項
22に記載の
自己可調節型の仕切壁
用ブラケット。
【請求項24】
前記鞘体は、第1の端部と第2の端部とを含み、該第1の端部は前記第1の取り付けシステムに取り付け可能になっている、請求項1から
23の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項25】
前記軸体は、該軸体の端部又はその近傍に位置し、前記第2の取り付けシステムと係合するための取り付け部を有している、請求項1から
24の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項26】
前記第1の取り付けシステムは、前記軸体の一端又はその近傍に設けられ、前記第2の取り付けシステムは、前記鞘体と係合する、請求項1から
24の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項27】
前記鞘体は、前記軸体の第1の端部である下端又はその近傍から前記軸体の第2の端部である上端部又はその近傍までスライド可能となっている、請求項
26に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項28】
前記軸体に沿った鞘体の動きを制限するために、前記軸体の第2の端部又はその近傍にストッパが設けられている、請求項
27に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項29】
前記鞘体の長さは、約20mmから約60mmである、請求項1から
28の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項30】
前記鞘体の長さは、約50mmから約60mmである、請求項
29に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項31】
前記鞘体の長さは、約30mmから約70mmである、請求項
29に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項32】
前記軸体の長さは、約70mmから約150mmである、請求項1から
31の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項33】
前記軸体又は鞘体の何れか一方、或いは、その両方がステンレス鋼から成る、請求項1から
32の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項34】
前記軸体は、約±5mmから約±75mmの間で長手方向に移動可能である、請求項1から
33の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項35】
前記軸体は、ニュートラルな位置から約±50mmから約±75mmの間で長手方向に移動可能である、請求項
34に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項36】
前記軸体及び/又は前記鞘体を通って延びるロック部材をさらに含む、請求項1から
35の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項37】
前記ロック部材は、前記軸体又は前記鞘体の何れかを通って延び、前記鞘体に対する前記軸体の下方への移動を制限するケーブル状の紐体である、請求項
36に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項38】
前記ロック部材は、前記軸体と前記鞘体の両方を通って延びる、請求項
36に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項39】
仕切壁の上面にブラケットを取り付けるための第1の取り付けシステムと、
上部構造にブラケットを取り付けるための第2の取り付けシステムと、
軸体と、
前記軸体の一部をスライド可能に受け入れる中空領域を有する鞘体と、
前記鞘体の中空領域内に少なくとも部分的に位置するライニング部材と、を備え、
前記
仕切壁と前記上部構造との間の垂直方向の変位に応じて前記ブラケットが自動的に調節されるように、前記軸体と
前記鞘体とが相対的にスライド可能となっている、
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項40】
前記軸体は、前記鞘体よりも長い、請求項
39に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項41】
前記軸体は、取り付け部と前記鞘体の中空領域内に受け入れられる延長部とを含み、前記鞘体は、安定化部と取り付け部とを含み、前記軸体の延長部は、前記鞘体の安定化部よりも長い、請求項
39又は
40に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項42】
前記第1の取り付けシステムは、前記鞘体のネジ切りされた外側部と係合する、ネジ切りされたナットを含む、請求項
39に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項43】
前記軸体の一部は、前記鞘体の中空領域内にスライド可能に受け入れられ、前記鞘体内で長手方向に移動する、請求項
39から
42の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項44】
前記軸体は、該軸体の大部分が前記鞘体の最上部の下方に存在する位置から、該軸体の大部分が前記鞘体の最上部の上方に存在する位置までスライド可能である、請求項
39から
43の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項45】
前記鞘体の中空領域内に位置するライニング部材を備える、請求項
39から
44の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項46】
前記ライニング部材は、前記軸体と前記鞘体の中空領域との間に設けられたライニング・スリーブである、請求項
45に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項47】
前記ライニング・スリーブは、少なくとも前記軸体の一部に設けられている、請求項
46に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項48】
前記ライニング部材は、前記軸体の外側面又は前記鞘体の内側面においてコーティング層を含む、請求項
45から
47の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項49】
前記鞘体の中空領域は、筒状の鞘体を形成するように、前記鞘体の第1の端部から前記鞘体の第2の端部まで延びる、請求項
39から
48の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項50】
前記軸体は、前記鞘体の中空領域の内側面の形状に対応した形状の外側面を有する、請求項
39から
49の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項51】
前記鞘体の中空領域は円形断面を有し、前記軸体は略円筒形である、請求項
39から
50の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項52】
前記ブラケットは、所望の位置に向けてデバイスを付勢するための付勢部材を含む、請求項
39から
51の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項53】
前記付勢部材はバネを含む、請求項
52に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項54】
前記付勢部材は、前記ブラケットをニュートラルな設置位置に付勢する、請求項
52又は
53に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項55】
前記仕切壁はヘッドトラックを含み、前記第1の取り付けシステムは、該ヘッドトラックに取り付けられる、請求項
39から
54の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項56】
前記第1の取り付けシステムは、前記仕切壁のヘッドトラックをクランプするためのナット及びワッシャから成る部品を含む、請求項
55に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項57】
前記第1の取り付けシステムは、前記仕切壁の上面にネジで取り付けるためのプレートを含む、請求項
39から
55の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項58】
前記第2の取り付けシステムは、第1及び第2のクランプ部材を含む、請求項
39から
57の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項59】
前記第1及び第2のクランプ部材は、其々、上部構造の互いに対向する側をクランプするためのナットを含む、請求項
58に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項60】
前記上部構造は、前記仕切壁の横方向の動きを抑えるために、頭上構造に取り付けるための1つ又は複数の横方向支持ブラケットを含む、請求項
39から
59の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項61】
前記1つの又は各々の横方向支持ブラケットは、角度設定部と実質的に水平な水平部とを有している、請求項
60に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項62】
前記角度設定部は、45度の角度で延びる、請求項
61に記載の
自己可調節型の仕切壁
用ブラケット。
【請求項63】
前記鞘体は、第1の端部と第2の端部とを含み、該第1の端部は前記第1の取り付けシステムに取り付け可能になっている、請求項
39から
62の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項64】
前記軸体は、該軸体の端部又はその近傍に位置し、前記第2の取り付けシステムと係合するための取り付け部を有している、請求項
39から
63の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項65】
前記第1の取り付けシステムは、前記軸体の一端又はその近傍に設けられ、前記第2の取り付けシステムは、前記鞘体と係合する、請求項
39から
63の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項66】
前記鞘体は、前記軸体の第1の端部である下端又はその近傍から前記軸体の第2の端部である上端部又はその近傍までスライド可能となっている、請求項
65に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項67】
前記軸体に沿った鞘体の動きを制限するために、前記軸体の第2の端部又はその近傍にストッパが設けられている、請求項
66に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項68】
前記鞘体の長さは、約20mmから約60mmである、請求項
39から
67の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項69】
前記鞘体の長さは、約50mmから約60mmである、請求項
68に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項70】
前記鞘体の長さは、約30mmから約70mmである、請求項
68に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項71】
前記軸体の長さは、約70mmから約150mmである、請求項
39から
70の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項72】
前記軸体又は鞘体の何れか一方、或いは、その両方がステンレス鋼から成る、請求項
39から
71の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項73】
前記軸体は、約±5mmから約±75mmの間で長手方向に移動可能である、請求項
39から
72の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項74】
前記軸体は、ニュートラルな位置から約±50mmから約±75mmの間で長手方向に移動可能である、請求項
73に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項75】
前記軸体及び/又は前記鞘体を通って延びるロック部材をさらに含む、請求項
39から
74の何れか1項に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項76】
前記ロック部材は、前記軸体又は前記鞘体の何れかを通って延び、前記鞘体に対する前記軸体の下方への移動を制限するケーブル状の紐体である、請求項
75に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【請求項77】
前記ロック部材は、前記軸体と前記鞘体の両方を通って延びる、請求項
76に記載の
自己可調節型の仕切壁用ブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板や石膏ボードを用いた仕切壁等の内壁の動きを抑えるためのブラケットに関する。該ブラケットは、特に地震で壁が垂直移動しうる地震地帯における建物の仕切壁を支持するのに有効である。
【背景技術】
【0002】
建物、特に商用の建物では、建物内のスペースを区分けするために仕切壁がよく使用される。多くの場合、仕切壁は、建物内において床から吊り天井まで延びている。仕切壁は、吊り天井を対象とした固定式取り付け具を用いず、頭上支持構造に該仕切壁を取り付けるといった方法により、横方向に対して補強される必要がある。その理由は、例えば、地震時に吊り天井に固定された仕切壁が横方向に動くと天井が大きく損傷し、その下の人や財産が危険にさらされるおそれがあるからである。
【0003】
そのため、仕切壁の最上部と天井空間のフレームとの間で延びるブラケットや支持構造を利用して、該仕切壁を支持するのが一般的となっている。このような一般的な壁の補強システムにおいては、仕切壁や該仕切壁におけるガラス板の上縁部分を上方の構造に固定して、地震の際に当該壁の最上部が横方向に移動するのを防止している。
【0004】
ニュージーランド特許631234号には、仕切壁と頭上構造との間に設置されている吊り天井の横方向の移動を少なくとも幾らか許容しつつ、該頭上構造に仕切壁を取り付ける仕切壁用ブラケットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】ニュージーランド特許第631234号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、建物構造の性質上、仕切壁のような内壁は、建物内の階層間の動きや滑りによって引き起こされる建物フレームの垂直方向の撓みを受け、垂直方向の作用や力を受けうる。建物フレーム等の建物構造の圧縮や膨張の作用/力を誘起する強風や地震の作用/力の影響で、階層間で動きが生じる。このような作用/力を受けた仕切壁には、垂直方向の撓みが生じる。仕切壁の垂直方向の撓みは、上方の床に生じる垂直方向の荷重、又は、仕切壁が取り付けられている上方の床や構造のコンクリートや鋼材の変位や沈降による垂直方向の作用/力によっても生じる。
【0007】
既存の仕切壁用ブラケットは、圧縮や膨張の作用/力の下で垂直方向の移動を許容するようにはなっていないので、仕切壁においては、これらの作用/力に対応できない。そのため、地震時に仕切壁が垂直方向の圧縮や膨張の作用/力を受けるおそれがあり、特に、仕切壁が大きなガラス板で構成されている場合には、当該壁に多大なダメージを与え、近くの人にも多大な危険が及ぶおそれがある。例えば、大規模な膨張の動きの下では、ブラケットが仕切壁に張力を与え、ヘッドトラックが引き上げられてガラス板から外れ、そのガラス板が落下するおそれがある。
【0008】
垂直方向に自由に移動可能なスライド式のヘッドトラックを使用すれば、仕切壁の最上部の垂直方向の移動が許容される。そのようなヘッドトラックは、一般に「撓みヘッドトラック(deflection head track)」と呼ばれる。
【0009】
しかしながら、撓みヘッドトラックは、とりわけ仕切壁が中方立やまぐさを備えている場合には適さない場合があり、仕切壁の上端を覆うのに必要な材料の範囲とその費用の観点からも、仕切壁の構造としての使用に常に適しているとは限らない。撓みヘッドトラックを備えた仕切壁の設置は簡単ではないため、撓みヘッドトラックは、誤って設置されることもよくある。
【0010】
本発明の少なくとも好ましい実施形態の目的は、上述した1つ以上の欠点に対処する仕切壁用ブラケットを提供すること、及び/又は、少なくとも公衆に有効な選択肢を提供することである。
【0011】
本明細書では、特許明細書、他の外部文書、若しくは、他の情報源を参照しているが、通常、これは本発明の特徴を議論するための背景を説明するためのものである。特に明記しない限り、そのような外部の文書や情報源を参照したことにより、如何なる法域においても、そのような文書又は情報源が先行技術であることを認めた、或いは、当該技術分野における通常の知識の一部を形成していることを認めた、と解釈すべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様において、本発明は、仕切壁の上面にブラケットを取り付けるための第1の取り付けシステムと、上部構造にブラケットを取り付けるための第2の取り付けシステムと、軸体と、前記軸体の一部をスライド可能に受け入れる中空領域を有する鞘体とを備えた可調節型の仕切壁用ブラケットを提供する。前記鞘体の中空領域内にライニング部材が少なくとも部分的に位置している。前記ブラケットが調節されるように、前記軸体が前記鞘体に対してスライド可能となっている。
【0013】
一形態において、前記壁と前記上部構造との間の垂直方向の変位に応じて前記ブラケットが自動的に調節されるように、前記軸体と鞘体とが相対的にスライド可能となっている。
【0014】
一形態において、前記軸体は、前記鞘体よりも長い。
【0015】
一形態において、前記軸体は、取り付け部と前記鞘体の中空領域内に受け入れられる延長部とを含み、前記鞘体は、安定化部と取り付け部とを含み、前記軸体の延長部は、前記鞘体の安定化部よりも長い。
【0016】
一形態において、前記第1の取り付けシステムは、前記鞘体のネジ切りされた外側部と係合するネジ切りされたナットを含む。
【0017】
一形態において、前記軸体の一部は、前記鞘体の中空領域内にスライド可能に受け入れられ、前記鞘体内で長手方向に移動する。
【0018】
一形態において、前記軸体は、該軸体の大部分が前記鞘体の最上部の下方に存在する位置から、該軸体の大部分が前記鞘体の最上部の上方に存在する位置までスライド可能である。
【0019】
一形態において、前記ライニング部材は、前記軸体と前記鞘体の中空領域との間に設けられるライニング・スリーブを含むものでもよい。一実施形態において、前記ライニング・スリーブは、前記軸体に設けられる。一形態において、前記ライニング部材は、前記軸体の外側面又は前記鞘体の内側面においてコーティング層を含む。
【0020】
一形態において、前記鞘体の中空領域は、筒状の鞘体を形成するように、前記鞘体の第1の端部から前記鞘体の第2の端部まで延びる。
【0021】
一形態において、前記軸体は、前記鞘体の中空領域の内側面の形状に対応した形状の外側面を有する。例えば、前記鞘体の中空領域は円形断面を有し、前記軸体は略円筒形である。
【0022】
一形態において、前記ブラケットは、所望の位置に向けてデバイスを付勢するための付勢部材を含む。前記付勢部材はバネを含むものでもよい。一実施形態において、前記付勢部材は、前記ブラケットをニュートラルな設置位置に付勢する。
【0023】
一形態において、前記仕切壁はヘッドトラックを含み、前記第1の取り付けシステムは、該ヘッドトラックに取り付けられる。
【0024】
一形態において、前記第1の取り付けシステムは、前記仕切壁のヘッドトラックをクランプするためのナット及びワッシャから成る部品を含む。或いは、前記第1の取り付けシステムは、例えば、前記仕切壁の上面にネジで取り付けるためのプレートを含むものであってもよい。
【0025】
一形態において、前記第2の取り付けシステムは、第1及び第2のクランプ部材を含む。前記第1及び第2のクランプ部材は、其々、上部構造の互いに対向する側をクランプするためのナットを含むものでもよい。
【0026】
一形態において、前記上部構造は、前記仕切壁の横方向の移動を抑えるために、頭上構造に取り付けるための1つ又は複数の横方向支持ブラケットを含む。
【0027】
一形態において、前記1つの又は各々の横方向支持ブラケットは、角度設定部と実質的に水平な水平部とを有している。前記角度設定部は、45度、90度、その他の角度で延びる。一実施形態において、前記支持ブラケットは、U字型溝状部材を含む。
【0028】
前記鞘体は、第1の端部と第2の端部とを含み、該第1の端部は前記第1の取り付けシステムに取り付け可能になっている。
【0029】
一形態において、前記軸体は、該軸体の端部又はその近傍に位置し、前記第2の取り付けシステムと係合するための取り付け部を有している。
【0030】
一形態において、前記第1の取り付けシステムは、前記軸体の一端又はその近傍に設けられ、前記第2の取り付けシステムは、前記鞘体と係合する。一実施形態において、前記鞘体は、前記軸体の第1の端部である下端又はその近傍から前記軸体の第2の端部である上端又はその近傍までスライド可能となっている。前記軸体に沿った鞘体の移動を制限するために、前記軸体の第2の端部又はその近傍にストッパが設けられてもよい。
【0031】
一形態において、前記鞘体の長さは、約20mmから約60mmであり、例えば、前記鞘体の長さは、約25mmから60mm、或いは、約50mmから約60mmである。一形態において、前記鞘体の長さは、約30mmから約70mmである。
【0032】
一形態において、前記軸体の長さは、約70mmから約150mmである。
【0033】
一形態において、前記軸体又は鞘体の何れか一方、或いは、その両方がステンレス鋼から成る。
【0034】
前記軸体は、約±5mmから約±75mmの間で長手方向に移動可能であり、好ましくは、前記軸体は、ニュートラルな位置から約±50mmから約±75mmの間で長手方向に移動可能である。
【0035】
一形態において、ロック部材は、前記軸体及び/又は前記鞘体を通って延びている。前記ロック部材は、例えば、前記軸体又は前記鞘体の何れかを通って延び、前記鞘体に対する前記軸体の下方への移動を制限するケーブル状の紐体である。一実施形態において、前記ロック部材は、前記軸体と前記鞘体の両方を通って延びる。
【0036】
第2の態様において、本発明は、仕切壁の上面にブラケットを取り付けるための第1の取り付けシステムと、上部構造にブラケットを取り付けるための第2の取り付けシステムと、軸体と、前記軸体の一部をスライド可能に受け入れる中空領域を有する鞘体と、前記軸体及び/又は前記鞘体を通って延びるロック部材と、を備えた可調節型の仕切壁用ブラケットを提供する。前記ロック部材を取り外すと、前記軸体が前記鞘体に対してスライド可能になり、前記ブラケットを調整することができるようになっている。
【0037】
一形態において、前記壁と前記上部構造との間の垂直方向の変位に応じて前記ブラケットが自動的に調節されるように、前記軸体と鞘体とが相対的にスライド可能となっている。前記軸体は、前記鞘体よりも長い。
【0038】
一形態において、前記軸体は、取り付け部と前記鞘体の中空領域内に受け入れられる延長部とを含む。前記鞘体は、安定化部と取り付け部とを含むものでもよい。前記軸体の延長部は、前記鞘体の安定化部よりも長いことが好ましい。
【0039】
一形態において、前記第1の取り付けシステムは、前記鞘体のネジ切りされた外側部と係合する。
【0040】
一形態において、前記軸体の一部は、前記鞘体の中空領域内にスライド可能に受け入れられ、前記鞘体内で長手方向に移動する。
【0041】
一形態において、前記軸体は、該軸体の大部分が前記鞘体の最上部の下方に存在する位置から、該軸体の大部分が前記鞘体の最上部の上方に存在する位置までスライド可能である。
【0042】
一形態において、前記鞘体の中空領域内にライニング部材が位置している。前記ライニング部材は、前記軸体と前記鞘体の中空領域との間に設けられるライニング・スリーブであることが好ましい。一形態において、前記ライニング・スリーブは、少なくとも前記軸体の一部に設けられている。前記ライニング部材は、適宜、前記軸体の外側面又は前記鞘体の内側面においてコーティング層を含むようにしてもよい。
【0043】
一形態において、前記鞘体の中空領域は、筒状の鞘体を形成するように、前記鞘体の第1の端部から前記鞘体の第2の端部まで延びる。
【0044】
一形態において、前記軸体は、前記鞘体の中空領域の内側面の形状に対応した形状の外側面を有する。前記鞘体の中空領域は円形断面を有し、前記軸体は略円筒形であることが好ましい。
【0045】
一形態において、前記ブラケットは、所望の位置に向けてデバイスを付勢するための付勢部材を含む。一形態において、前記付勢部材は、バネを含む。一形態において、前記付勢部材は、前記ブラケットをニュートラルな設置位置に付勢する。
【0046】
一形態において、前記仕切壁はヘッドトラックを含み、前記第1の取り付けシステムは、該ヘッドトラックに取り付けられる。前記第1の取り付けシステムは、前記仕切壁のヘッドトラックをクランプするためのナット及びワッシャから成る部品を含むものでもよい。
【0047】
一形態において、前記第1の取り付けシステムは、前記仕切壁の上面にネジで取り付けるためのプレートを含む。
【0048】
一形態において、前記第2の取り付けシステムは、第1及び第2のクランプ部材を含む。
【0049】
一形態において、前記第1及び第2のクランプ部材は、其々、上部構造の互いに対向する側をクランプするためのナットを含む。
【0050】
一形態において、前記上部構造は、前記仕切壁の横方向の移動を抑えるために、頭上構造に取り付けるための1つ又は複数の横方向支持ブラケットを含む。前記1つの又は各々の横方向支持ブラケットは、適宜、角度設定部と実質的に水平な水平部とを有していてもよい。一形態において、前記角度設定部は、45度の角度で延びる。
【0051】
一形態において、前記鞘体は、第1の端部と第2の端部とを含み、該第1の端部は前記第1の取り付けシステムに取り付け可能になっている。
【0052】
一形態において、前記軸体は、該軸体の端部又はその近傍に位置し、前記第2の取り付けシステムと係合するための取り付け部を有している。
【0053】
一形態において、前記第1の取り付けシステムは、前記軸体の一端又はその近傍に設けられ、前記第2の取り付けシステムは、前記鞘体と係合する。一実施形態において、前記鞘体は、前記軸体の第1の端部である下端又はその近傍から前記軸体の第2の端部である上端又はその近傍までスライド可能となっている。前記軸体に沿った鞘体の移動を制限するために、前記軸体の第2の端部又はその近傍にストッパが設けられている。
【0054】
一形態において、前記鞘体の長さは、約20mmから約60mmである。前記鞘体の長さは、適宜、約50mmから約60mmとしてもよい。一形態において、前記鞘体の長さは、約30mmから約70mmである。
【0055】
一形態において、前記軸体の長さは、約70mmから約150mmである。
【0056】
一形態において、前記軸体又は鞘体の何れか一方、或いは、その両方がステンレス鋼から成る。
【0057】
一形態において、前記軸体は、約±5mmから約±75mmの間で長手方向に移動可能である。
【0058】
一形態において、前記軸体は、ニュートラルな位置から約±50mmから約±75mmの間で長手方向に移動可能である。
【0059】
一形態において、前記ロック部材は、前記軸体又は前記鞘体の何れかを通って延び、前記鞘体に対する前記軸体の下方への移動を制限するケーブル状の紐体である。一形態において、前記ロック部材は、前記軸体と前記鞘体の両方を通って延びる。
【0060】
第3の態様において、本発明は、仕切壁の上面にブラケットを取り付けるための第1の取り付けシステムと、上部構造にブラケットを取り付けるための第2の取り付けシステムと、軸体と、前記軸体の一部をスライド可能に受け入れるための中空領域を有する鞘体と、前記鞘体の中空領域内に少なくとも部分的に位置するライニング部材とを備えた可調節型の仕切壁用ブラケットが提供される。前記壁と前記上部構造との間の垂直方向の変位に応じて前記ブラケットが自動的に調節されるように、前記軸体と鞘体とが相対的にスライド可能となっている。
【0061】
一形態において、前記軸体は、前記鞘体よりも長い。
【0062】
一形態において、前記軸体は、取り付け部と前記鞘体の中空領域内に受け入れられる延長部とを含み、前記鞘体は、安定化部と取り付け部とを含む。前記軸体の延長部は、前記鞘体の安定化部よりも長い。
【0063】
一形態において、前記第1の取り付けシステムは、前記鞘体のネジ切りされた外側部と係合する。
【0064】
一形態において、前記軸体の一部は、前記鞘体の中空領域内にスライド可能に受け入れられ、前記鞘体内で長手方向に移動する。
【0065】
一形態において、前記軸体は、該軸体の大部分が前記鞘体の最上部の下方に存在する位置から、該軸体の大部分が前記鞘体の最上部の上方に存在する位置までスライド可能である。
【0066】
一形態において、前記鞘体の中空領域内にライニング部材が位置している。一実施形態において、前記ライニング部材は、前記軸体と前記鞘体の中空領域との間に設けられたライニング・スリーブである。前記ライニング・スリーブは、少なくとも前記軸体の一部に設けられてもよい。一形態において、前記ライニング部材は、前記軸体の外側面又は前記鞘体の内側面においてコーティング層を含む。
【0067】
一形態において、前記鞘体の中空領域は、筒状の鞘体を形成するように、前記鞘体の第1の端部から前記鞘体の第2の端部まで延びる。
【0068】
一形態において、前記軸体は、前記鞘体の中空領域の内側面の形状に対応した形状の外側面を有する。
【0069】
一形態において、前記鞘体の中空領域は円形断面を有し、前記軸体は略円筒形である。
【0070】
一形態において、前記ブラケットは、所望の位置に向けてデバイスを付勢するための付勢部材を含む。一形態において、前記付勢部材は、バネを含むものでもよい。一形態において、前記付勢部材は、前記ブラケットをニュートラルな設置位置に付勢する。
【0071】
一形態において、前記仕切壁はヘッドトラックを含み、前記第1の取り付けシステムは、該ヘッドトラックに取り付けられる。
【0072】
一形態において、前記第1の取り付けシステムは、前記仕切壁のヘッドトラックをクランプするためのナット及びワッシャから成る部品を含む。
【0073】
一形態において、前記第1の取り付けシステムは、前記仕切壁の上面にネジで取り付けるためのプレートを含む。
【0074】
一形態において、前記第2の取り付けシステムは、第1及び第2のクランプ部材を含む。
【0075】
一形態において、前記第1及び第2のクランプ部材は、其々、上部構造の互いに対向する側をクランプするためのナットを含む。
【0076】
一形態において、前記上部構造は、前記仕切壁の横方向の移動を抑えるために、頭上構造に取り付けるための1つ又は複数の横方向支持ブラケットを含む。
【0077】
一形態において、前記1つの又は各々の横方向支持ブラケットは、角度設定部と実質的に水平な水平部とを有している。一実施形態において、前記角度設定部は、45度の角度で延びる。
【0078】
一形態において、前記鞘体は、第1の端部と第2の端部とを含み、該第1の端部は前記第1の取り付けシステムに取り付け可能になっている。
【0079】
一形態において、前記軸体は、該軸体の端部又はその近傍に位置し、前記第2の取り付けシステムと係合するための取り付け部を有している。
【0080】
一形態において、前記第1の取り付けシステムは、前記軸体の一端又はその近傍に設けられ、前記第2の取り付けシステムは、前記鞘体と係合する。一実施形態において、前記鞘体は、前記軸体の第1の端部である下端又はその近傍から前記軸体の第2の端部である上端又はその近傍までスライド可能となっている。前記軸体に沿った鞘体の移動を制限するために、前記軸体の第2の端部又はその近傍にストッパが設けられている。
【0081】
一形態において、前記鞘体の長さは、約20mmから約60mmである。前記鞘体の長さは、約50mmから約60mmにしてもよい。一形態において、前記鞘体の長さは、約30mmから約70mmである。
【0082】
一形態において、前記軸体の長さは、約70mmから約150mmである。
【0083】
一形態において、前記軸体又は鞘体の何れか一方、或いは、その両方がステンレス鋼から成る。
【0084】
一形態において、前記軸体は、約±5mmから約±75mmの間で長手方向に移動可能である。
【0085】
一形態において、前記軸体は、ニュートラルな位置から約±50mmから約±75mmの間で長手方向に移動可能である。
【0086】
一形態において、前記仕切壁用ブラケットは、前記軸体及び/又は前記鞘体を通って延びるロック部材をさらに含む。一実施形態において、前記ロック部材は、前記軸体又は前記鞘体の何れかを通って延び、前記鞘体に対する前記軸体の下方への移動を制限するケーブル状の紐体である。前記ロック部材は、前記軸体と前記鞘体の両方を通って延びるものでもよい。
【0087】
また、本明細書において、軸体と、前記軸体の一部を受け入れるための中空領域を有する鞘体とを備えた長さ調節可能な仕切壁用ブラケットについても述べる。該軸体は、前記ブラケットの長さを調節するために、前記鞘体内でスライド可能となっている。
【0088】
一形態において、前記鞘体は、第1の端部と第2の端部とを含み、該第1の端部は第1の取り付けシステムに取り付け可能になっている。
【0089】
前記鞘体の中空領域は、前記鞘体の第2の端部に位置する開口部を有することが好ましい。
【0090】
一形態において、前記軸体は、第1の端部と第2の端部とを有し、前記軸体の第1の端部が前記鞘体の中空領域に受け入れられ、前記軸体の第2の端部が前記鞘体から飛び出す。
【0091】
前記鞘体の中空領域は、筒状の鞘体を形成するように、前記鞘体の第1の端部から前記鞘体の第2の端部まで延びるものでもよい。
【0092】
一形態において、前記鞘体の中空領域は、円形の横断面を有する。
【0093】
前記軸体は、略円筒形であることが好ましい。
【0094】
前記鞘体は、略円筒形であることが好ましい。
【0095】
前記鞘体の長さは、適宜、約20mmから約60mmとすることができ、例えば、約25mmから約60mm、或いは、約50mmから約60mmである。一形態において、前記鞘体の長さは、約30mmから約70mmである。
【0096】
前記軸体は、適宜、約70mmから約150mmとすることができる。
【0097】
一形態において、前記鞘体は、細長く、且つ、安定化部と取り付け部とを含む。前記取り付け部は、前記第1の取り付けシステムと係合するように適合されていてもよい。
【0098】
前記軸体は、取り付け部と前記鞘体の中空領域内に受け入れられる延長部とを含み、前記第2の取り付けシステムと係合するように適合されていてもよい。前記軸体の延長部は、前記鞘体の安定化部よりも長いことが好ましい。
【0099】
一形態において、前記軸体は、前記ブラケットの長手方向軸に沿って約±5mmから約±75mmの間で、好ましくは、前記ブラケットの長手方向軸に沿って約±50mmから約±75mmの間で移動するように構成される。
【0100】
前記ブラケットは、壁構造に対して任意に取り付け可能である。該壁構造は、仕切壁のヘッドトラックであることが好ましい。該ヘッドトラックは、金属製ヘッドトラック又は木製ヘッドトラックがありうる。
【0101】
一形態において、前記第1の取り付けシステムは、前記鞘体のネジ切りされた外側部と係合する、ネジ切りされたナットを含む。
【0102】
一形態において、前記第2の取り付けシステムは、上部構造の互いに対向する側をクランプするための第1及び第2のクランプ部材を含む。前記第1及び第2のクランプ部材は、それぞれナットを含み、前記上部構造は、前記仕切壁の横方向の移動を抑えるための横方向支持ブラケットを含むものでもよい。
【0103】
前記ブラケットは、前記軸体と鞘体とをニュートラルな位置にてロックするためのロック部材を含むことが好ましい。
【0104】
一形態において、前記ブラケットは、前記鞘体の中空領域内に位置するライニング部材を備える。
【0105】
一形態において、前記仕切壁用ブラケットは、1つ又は複数の剛性コネクタを含む横方向支持ブラケットに取り付けられ、各剛性コネクタは、前記仕切壁用ブラケットから所定の角度で延びる、角度設定部を有する。前記角度設定部は、45度の角度で延びるのが好ましい。前記剛性コネクタ(1又は複数)は、前記軸体に取り付けるのに適合した水平部を有する。
【0106】
一形態において、前記軸体又は鞘体の何れか一方、或いは、その両方がステンレス鋼から成る。
【0107】
また、本明細書において、壁構造の上面にブラケットを取り付けるための第1の取り付けシステムと、上部構造にブラケットを取り付けるための第2の取り付けシステムと、前記第1の取り付けシステムと前記第2の取り付けシステムとの間に取り付けられる本体とを備えた仕切壁用ブラケットについても述べる。前記本体は、軸体と鞘体とを含み、該鞘体は、当該鞘体内の中空領域に通じる開口部を有する。前記軸体の一部は、前記鞘体の中空領域内にスライド可能に受け入れられ、鞘体内で長手方向に移動する。
【0108】
前記鞘体は、第1の端部及び第2の端部を含み、前記第1の端部は、前記第1の取り付けシステムに取り付け可能であり、前記中空領域に通じる開口部は、前記鞘体の第2の端部に位置することが好ましい。
【0109】
前記軸体は、第1の端部及び第2の端部を含み、前記軸体の第1の端部は、前記鞘体の中空領域内に受け入れられ、前記軸体の第2の端部は、前記鞘体から飛び出すことが好ましい。
【0110】
一形態において、前記鞘体の中空領域は、筒状の鞘体を形成するように、前記鞘体の第1の端部から前記鞘体の第2の端部まで延びる。前記鞘体の中空領域は、円形の横断面を有する。
【0111】
一形態において、前記軸体は、略円筒形である。
【0112】
前記鞘体は、略円筒形であることが好ましい。
【0113】
一形態において、前記鞘体の長さは、約50mmから約60mmである。一形態において、前記鞘体の長さは、約30mmから約70mmである。
【0114】
前記軸体は、約70mmから約150mmが好ましい。
【0115】
前記鞘体は、細長く、且つ、安定化部と、前記第1の取り付けシステムと係合するように適合された取り付け部とを含むことが好ましい。
【0116】
前記軸体は、前記鞘体の中空領域内に受け入れられる延長部と、前記第2の取り付けシステムと係合するように適合された取り付け部とを含むことが好ましい。
【0117】
前記軸体の延長部は、前記鞘体の安定化部よりも長いことが好ましい。
【0118】
一形態において、前記軸体は、前記本体の長手方向軸に沿って約±5mmから約±75mmの間で移動する。
【0119】
前記壁構造は、仕切壁のヘッドトラックである。前記ヘッドトラックは、金属製ヘッドトラック又は木材製ヘッドトラックであることが好ましい。
【0120】
一形態において、前記第1の取り付けシステムは、前記鞘体のネジ切りされた外側部と係合するネジ切りされたナットを含む。
【0121】
一形態において、前記第2の取り付けシステムは、上部構造の互いに対向する側をクランプするための第1又は第2のクランプ部材を含む。前記第1及び第2のクランプ部材は、それぞれナットを含み、前記上部構造は、前記仕切壁の横方向の移動を抑えるための横方向の補強材を含む。
【0122】
前記ブラケットは、前記軸体と鞘体とをニュートラルな位置にてロックするためのロック部材を含むことが好ましい。
【0123】
一形態において、前記ブラケットは、前記鞘体の中空領域内に位置するライニング部材を含む。
【0124】
一形態において、前記仕切壁用ブラケットは、1つ又は複数の剛性コネクタを含む横方向支持ブラケットに取り付けられ、各剛性コネクタは、前記仕切壁用ブラケットから所定の角度で延びる角度設定部を含む。前記角度設定部は、45度の角度で延びるのが好ましい。前記剛性コネクタ(1つ又は複数)は、前記軸体に取り付けるのに適合した水平部を含むものでもよい。
【0125】
一形態において、前記軸体又は前記鞘体の何れか一方、或いは、その両方がステンレス鋼から成る。
【0126】
また、本明細書において、軸体と、前記軸体の一部をスライド可能に受け入れる中空領域を有する鞘体とを備えた可調節型の仕切壁用ブラケットについても述べる。前記軸体又は鞘体は、仕切壁を取り付けるための取り付けシステムを含むとともに、前記軸体と鞘体のうちの一方は、補強材のような上部構造に取り付けるための取り付けシステムを含んで前記壁を横方向に支持するものとなっており、そして、前記壁と前記上部構造との間の垂直方向の変位に応じて前記ブラケットが自動的に調節されるように、前記軸体と鞘体とが互いに相対的にスライド可能となっている。
【0127】
一形態において、前記軸体は、上部構造に取り付けるための取り付けシステムを含み、前記鞘体は、仕切壁に取り付けるための取り付けシステムを含む。
【0128】
一形態において、前記軸体は、該軸体の大部分が前記鞘体の最上部の下方に存在する位置から、該軸体の大部分が前記鞘体の最上部の上方に存在する位置までスライド可能である。
【0129】
一形態において、前記鞘体は、上部構造に取り付けるための取り付けシステムを含み、前記軸体は、仕切壁に取り付けるための取り付けシステムを含む。
【0130】
一形態において、前記鞘体は、前記軸体の第1の端部である下端又はその近傍から、前記軸体の第2の端部である上端又はその近傍までスライド可能となっている。
【0131】
一形態において、前記軸体に沿った前記鞘体の移動を制限するために、前記軸体の第2の端部又はその近傍にストッパが設けられている。
【0132】
一形態において、前記軸体は、前記鞘体よりも長い。
【0133】
一形態において、仕切壁に取り付けるための取り付けシステムは、仕切壁のヘッドトラックをクランプするためのナット及びワッシャから成る部品を有する。
【0134】
一形態において、仕切壁に取り付けるための前記取り付けシステムは、前記仕切壁の上面にネジで取り付けるためのプレートを含む。
【0135】
一形態において、前記ブラケットは、前記軸体と前記鞘体の中空領域との間に設けられたライニング・スリーブをさらに備える。
【0136】
一形態において、前記ライニング・スリーブは、前記軸体に設けられる。
【0137】
一形態において、前記ブラケットは、前記鞘体又は軸体を所望の位置に付勢するための付勢部材を含む。前記付勢部材は、バネを含むものでもよい。前記付勢部材は、前記ブラケットをニュートラルな設置位置に付勢しうる。
【0138】
一形態において、前記軸体は、前記鞘体の中空領域の内側面の形状に対応した形状の外側面を有する。
【0139】
概して、本発明は、本願の明細書において個別的に或いは集合的に言及され又は示された上記の部分、要素、及び特徴や、任意の2つ又はそれ以上の上記の部分、要素、又は特徴の任意の何れかの組み合わせ或いは全部の組み合わせから構成される。本発明に関連する当該技術分野において公知の同等物を備えた特定の完全体が本明細書で言及される場合、そのような公知の同等物は、個別に記載されているかのように本明細書に包含されているものとみなす。
【0140】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「~を含む」の語は、「~が少なくとも一部となっている」を意味する。本明細書及び特許請求の範囲において「~を含む」の語を使用した記述の解釈においては、この語の対象であるもの以外の他の特徴も存在しうるものとする。「~を含む」の類語も同様に扱うものとする。
【0141】
また、本明細書で開示されている数値範囲(例えば、1~10)の言及についても、その範囲内の全ての有理数、及び、その範囲内の有理数の任意の範囲(例えば、1~6、1.5~5.5、3.1~10)への言及も含むことを意図している。其れゆえ、本明細書において全ての範囲における全ての部分範囲が明示的に開示されていることになる。
【0142】
本明細書では、名詞に続く「(s)」は、その名詞が示す対象が単数でもよいし複数でもよいことを示している。本明細書での使用に際し、「及び/又は」の語は、「及び」若しくは「又は」、状況が許せば、その両方であることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【
図1】
図1は、本発明の一形態に係る仕切壁用ブラケットの分解等角図である。
【
図2】
図2は、仕切壁のU字型ヘッドトラックに取り付けられる
図1のブラケットの分解側面図である。
【
図3】
図3は、仕切壁のU字型ヘッドトラックに取り付けられたときの
図1のブラケットの組立側面図である。
【
図4】
図4は、仕切壁の木製ヘッドトラックに取り付けられたときの
図1のブラケットの組立側面図である。
【
図5】
図5a及び
図5bは、仕切壁のU字型ヘッドトラックに取り付けられたときの
図1のブラケットと、横方向支持ブラケットを含む上部構造とを示す組立側面図であり、
図5bは、石膏ボード被覆材が施された仕切壁に取り付けられたブラケットを示す。
【
図6】
図6は、
図5に示すブラケット組立体の仕組みを示す分解図である。
【
図7】
図7は、本発明に係るブラケットの一形態に関するもので、ブラケットの軸体と鞘体とを互いに固定するためのロックを含むブラケットの組立側面図である。
【
図8】
図8は、本発明に係る仕切壁用ブラケットの一形態に関するもので、剛性を有し角度が設定された2つのコネクタを有する横方向支持ブラケットを含むブラケットの組立側面図である。
【
図9】
図9は、
図8のブラケットの等角図であり、鞘体の把持部を見やすく示した図である。
【
図10】
図10は、本発明に係る仕切壁用ブラケットの他の形態に関するもので、紐状のロック部材を含むブラケットの図であり、鞘体と軸体の把持部を視認可能に示した等角図である。
【
図11】
図11は、本発明に係る仕切壁用ブラケットの他の形態に関するもので、剛性を有し角度が設定された3つのコネクタを有する横方向支持ブラケットを含むブラケットであって、そのうちの2つのコネクタがブラケットから45度の角度で延び、そのうちの1つのコネクタがブラケットから約90度の角度で延びるブラケットの等角図である。
【
図12】
図12は、本発明のブラケットで使用しうる鞘体の一形態の等角図である。
【
図13】
図13は、本発明の仕切壁用ブラケットを仕切壁と横方向支持ブラケットとに取り付けられるように構成した場合における、ブラケット組立体の一形態の分解図である。
【
図14a】
図14aは、仕切壁用ブラケットがニュートラルな位置にあるときのブラケット組立体の一形態の概略側面図である。
【
図14b】
図14bは、仕切壁用ブラケットが伸びた位置にあるときの
図14aのブラケット組立体を示す図である。
【
図14c】
図14cは、仕切壁用ブラケットが縮んだ位置にあるときの
図14aのブラケット組立体を示す図である。
【
図17】
図17は、
図15のブラケットの動作を示す側面図であり、
図17aはニュートラルな位置にあるブラケットを示す図、
図17bは伸びた位置にあるブラケットを示す図、
図17cは縮んだ位置にあるブラケットを示す図である。
【
図18】
図18a及び
図18bは、ブラケットを既存の仕切壁に又は木製ビーム材に後付けするためのさらなる別の代替の実施形態に係るブラケットを示す図であり、
図18aは木製ビーム材に設置されたブラケットの斜視図であり、
図18bはブラケットと木製ビーム材との間の第1の取り付けシステムの詳細分解図である。
【
図19】
図19は、1つのL字型剛性コネクタを含み、張力式の補強部材に取り付けられた他の実施形態に係るブラケットの斜視図である。
【
図20】
図20は、L字型剛性コネクタ及び45度ブラケットに取り付けられた他の実施形態に係るブラケットの斜視図である。
【
図21】
図21は、2つの45度コネクタブラケットに取り付けられたさらなる別の実施形態に係るブラケットの斜視図であり、各々が補強材と連結するための単一のボルトを有している。
【
図22】
図22は、第1の取り付けシステムに取り付けられた軸体と該軸体上を上下に移動可能な鞘体とを有するさらなる別の代替の実施形態の正面図である。
【
図23】
図23は、補強部材に取り付けられた状態における、
図20に示すブラケットの斜視図である。
【
図24】
図24は、
図20の実施形態と同様であるが、補強部材をクランプする可動鞘体を有するさらなる別の実施形態の正面側斜視図である。
【
図25】
図25は、溝状ブラケットに取り付けられた状態における、
図9から
図14cに示すブラケットの斜視図である。
【
図26】
図26A及び
図26Bは、
図25の実施形態の他の形態、すなわち、ヘッドトラックに後付けするとともに傾斜した補強材に取り付けられる形態を示す図であり、
図26Aはその斜視図、
図26Bはその側面図である。他の形態において、
図26A及び
図26Bのブラケットは、ヘッドトラックに対して後付けによることなく最初から取り付けておいてもよい。
【
図27】
図27は、ヘッドトラックに後付けされた、長さ25mmの鞘体を有する一実施形態に係るブラケットの側面図である。他の形態において、
図27のブラケットは、ヘッドトラックに対して後付けによることなく最初から取り付けておいてもよい。
【
図28】
図28は、木製部材に据え付けられた、長さ58mmの鞘体を有する代替の実施形態に係るブラケットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0144】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明をあくまでも例示として説明する。
本発明の仕切壁用ブラケットは、仕切壁の上面を上方に位置する構造や上方にて延びる構造に取り付けるのに適したものになっている。ブラケットの本体は、垂直方向軸に沿って自由に動くことができ、また、必要に応じて横方向の補強材に取り付けて仕切壁を頭上構造に拘束し、その横方向の移動を抑えることができるようになっている。
【0145】
図1から
図25は、本発明に係る仕切壁用ブラケット1000、1001、1002、1003の例示的な実施形態を示している。ブラケットは、建物内部の垂直な仕切壁2000を支持するとともに、建物の屋根を持ち上げて下方の仕切壁から引き離しうる地震や強風などの際に、仕切壁が垂直方向の移動(力や荷重によって生じる)に対応できるように構成されている。該ブラケットは、特に地震時における地震地帯の建物の仕切壁を支持するのに有効であり、仕切壁の横方向の動きを抑えつつ、階層間撓みのような垂直撓みを許容できるようになっている。ブラケット1000は、仕切壁2000を上部構造3000に接続するものである。該上部構造は、頭上フレームや天井構造であるか、又は、頭上フレームや天井構造などの頭上構造に接続する横方向支持ブラケット/補強材ブラケット3000、3180がありうる。角度付きブラケット3100、3150、3160、又は溝状ブラケット3180などの横方向支持ブラケットを仕切壁用ブラケット1000に接続して、仕切壁の横方向或いは水平方向の移動を抑える方法により、該ブラケット1000ないし仕切壁2000を(頭上フレームや天井構造などの)頭上構造に取り付けることができる。
【0146】
一部の形態において、該仕切壁用ブラケット1000は、垂直方向の圧縮と膨張の作用/力を打ち消すために、長さが自動的に変化しうるようになっている。これにより、該仕切壁用ブラケット1000は、地震発生時等において建物構造内で仕切壁2000に対する垂直方向の作用/力が作用するのを抑えることができる。
【0147】
一形態において、該仕切壁用ブラケット1000は、本体1100と、該本体の各端部に設けられた取り付けシステム1200とを備えている。第1の取り付けシステム1210は、本体1100の第1の端部に位置しており、ブラケット1000を仕切壁1300、例えば、仕切壁の上面や該仕切壁の上面に取り付けられるヘッドトラック1310に対して取り付けるように構成されている。該ヘッドトラック1310は、任意の適切な形態でよく、例えば、一定の長さの木材1311、鋼製スタッド、アルミニウム押出成形による金属製ブラケット1315などである。ヘッドトラック1310は、仕切壁の最上部構造として機能するものである。一形態において、該ヘッドトラックは、例えば、アルミニウム押出成形物や折り曲げ鋼等であり、概ねU字型をなす金属製のブラケット又は要素1315である。この形態では、U字型ブラケット1315のアーム1316は、壁スタッドと対向する側(該当する場合にはライニング(シート)の内側)の一部に沿って下方に向かって延びている。壁2000の上面にU字型ブラケット1315の中央部1317が置かれる。
【0148】
第2の取り付けシステム1220は、ブラケット1000を横方向支持ブラケット3100、3150、3160,3180などの上部構造3000や、プレナムにおける各種設備を回避するための架け渡し部材、ビーム、天井構造、又は他のタイプのフレームに取り付けるように構成されている。通常、第2の取り付けシステム1220は、仕切壁2000の横方向の移動を制限し又は抑えて仕切壁2000を横方向に支持するように構成された横方向支持ブラケット3100、3150、3160、3180や張力型拘束部材3170に対して仕切壁用ブラケット1000を取り付けることになろう。本発明の仕切壁用ブラケットでは多くの異なるタイプの横方向拘束部材を使用できる。
図5、
図6、
図8~
図11、
図13、
図19~
図21、及び
図25は、一例として、本発明の仕切壁用ブラケット1000で使用できる横方向支持ブラケット又は拘束部材3100、3150、3160、3170、3180を示している。
【0149】
図5、
図6、
図8~
図11、及び
図13に示す実施形態では、上部構造、又は、横方向支持ブラケット3100は、建物の支持構造において一般に使用される規格の45度剛性補強部材に取り付けるための2つ以上の剛性コネクタ3150を含む角度付きブラケットを形成している。各剛性コネクタ3150は、ブラケット1000の第2の取り付けシステム1220に取り付けのための開口部を有する水平部3150aと、各剛性補強部材に固定するための角度設定部3150bとを有している。ブラケット1000は、1つの剛性コネクタ3150に取り付けてもよいし、複数の剛性コネクタ3150に取り付けてもよい。複数のコネクタ3150が存在する場合、
図10、
図11、
図13に示すように、本体1100の軸体1110におけるネジ切りされた端部が両方又は全てのコネクタ3150の開口部を通って延びるよう、該コネクタの水平部3150aは、それらの開口部が同心円状になるように互いに重ね合わされる。この構成は、コネクタ3150をブラケットの長手方向軸周りに回転させることにより、異なる方向へ延びる各々の補強部材に対応させることができ、そして接続することができる点で都合がよい。
【0150】
代替の実施形態において、ブラケット1000は、引っ張りコネクタ部材などの代替の1つ又は複数の補強部材に取り付けることができ、また、90度の垂直角をなす補強部材3160など45度以外の他の角度を有する補強部材に取り付けることもできる。
図19は、2つの45度の引っ張り(ケーブル)部材3170に取り付けられ、且つ、1つの垂直な補強部材に取り付けるための90度のブラケット(L字型ブラケット)3160を有する例示的な実施形態に係るブラケットを示している。さらに別の実施形態として、ブラケットを上部構造に固定するための取り付け具の他の組み合わせやタイプが考えられるが、選択される取り付け具は、天井空間(プレナムスペース)や頭上構造と関係する横方向補強材の要件や制約に依存することは理解されるであろう。例えば、
図20に示す実施形態は、L字型(90度)ブラケット及び45度ブラケットを含んでおり、
図21に示す実施形態は、それぞれ角度が設定された各補強部材に取り付けるための単一のボルトを有する2つの45度ブラケットを含んでいる。90度の角度が設定された補強材、及び/又は、その他の角度が設定された補強材に関するさらに別の組み合わせに係る実施形態もありうる。
【0151】
一部の形態において、ブラケット1000は、水平部3150a、3185aと角度設定部3150b、3185bとの間の角度を有する1つ又は複数の剛性コネクタ3150を含む横方向支持ブラケット3100、3180を含むか又はそれらに取り付けられるものでもよい。角度設定部の角度は、補強部材(1つ又は複数)2100の角度に概ね対応させてもよいし、横方向の補強材に取り付けるのに必要な角度方向を設定してもよいし、横方向支持ブラケット(1つ又は複数)3180が補強部材(1つ又は複数)2300に取り付けられてもよい。例えば、
図11に示すように、1つ又は複数の剛性コネクタ3150は、90度の角度で、又は、例えば約35度から90度の間の任意の角度で、好ましくは、40度から60度の間の任意の角度で、最も好ましくは、45度の角度で水平部3150aから突出した角度設定部3150bを含むことができる。複数の剛性コネクタが使用される場合、各コネクタにおいて、コネクタ3150の水平部3150aと角度設定部3150bとの間の角度が概ね等しくてもよいし、1つ又は複数のコネクタ3150において、他の1つ又は複数のコネクタ3150と比較し、水平部と角度設定部との間の角度が異なっていてもよい。
【0152】
溝形状の剛性コネクタ3180を有する
図25及び
図26の各実施形態においては、各補強部材は、
図26に示すように、2つの角度設定部3185bの間に受け入れられネジ止め或いはボルト締めされるか、又は、各補強部材2300は、2つの角度設定部3185bに付着されるなどして、これら2つの角度設定部3185bに取り付けられる。
【0153】
仕切壁用ブラケット1000の本体1100は、第1の取り付けシステム1210と第2の取り付けシステム1220との間に位置することが好ましい。ブラケット本体1100は、軸体1110と、鞘体又はスリーブ1120とを備えている。鞘体1120は、中空領域1123を有し、軸体1110が少なくとも鞘体1120の長さ寸法の一部に亘って該鞘体の長手方向に沿って移動又はスライドできるように、当該軸体1110をスライド可能な仕組みで受け入れるように構成されている。軸体1110は、該軸体が鞘体1120に対して、例えば、鞘体1120の内部で、自由にスライドできるように少なくとも一部が概ね滑らかな外側面を有していることが好ましい。鞘体1120の中空領域は、該鞘体が軸体1110に対して自由にスライドできるように少なくとも一部が概ね滑らかな内側面を有していることが好ましい。鞘体内をスライドするように構成された軸体1110における当該部分は滑らかな外側面を有し、該軸体の一部を受け入れるように構成された鞘体1120の中空領域1123における当該部分は軸体1110と鞘体1120との間における滑らかなスライド移動を可能とする滑らかな面を有していることが好ましい。
【0154】
鞘体又はスリーブ1120は、第1の端部1121及び対向する第2の端部1122を有している。一部の形態において、鞘体の第1の端部1121は、第1の取り付けシステム1210に取り付け可能になっており、図示した実施形態においては、仕切壁2000に対して直接的に又は間接的に取り付けられるように構成されている。例えば、第1の取り付けシステム1210は、仕切壁2000のヘッドトラック1310に取り付けられることによって仕切壁2000に取り付けられるものでもよいし、或いは、壁スタッドに直接的に取り付けられることよって仕切壁2000に取り付けられるものでもよい。鞘体1120の第2の端部1122は、鞘体内の中空領域1123に至る開口部を有している。中空領域1123は、軸体1110の一部を受け入れるように構成されている。鞘体1120の第1の端部1121も開口部を有し、中空領域1123が第1の端部1121と第2の端部1122の間で延びるようにし、鞘体1120が中空筒状のスリーブのような形態をなしていてもよい。
【0155】
一形態において、鞘体1120は、安定化部1127及び取り付け部1128を含んでいる。取り付け部1128は、鞘体1120の第1の端部1121又はその近傍に位置し、第1の取り付けシステム1210との係合に適合したものとなっている。安定化部1127は、鞘体の第2の端部1122に位置し、軸体1110を取り囲むように構成されている。
【0156】
鞘体1120は、任意の適切な形状でよい。一部の形態において、該鞘体は細長い。鞘体1120の特に好ましい形態は、
図1に示すような円筒形状である。鞘体の中空内側領域1123も、任意の適切な形状でよく、規則的な形状でもよいし、不規則な形状でもよい。鞘体の中空領域1123も、該中空領域1123に円形の横断面を与えるように、略円筒形の内側面を有していることが好ましい。他の形態において、中空領域1123は、楕円形の横断面、又は、四辺形、好ましくは丸みを帯びた四辺形の横断面を有するものでもよい。一部の形態において、中空領域1123の横断面は、鞘体1120の形状にかかわらず、該中空領域の長さ寸法に亘って概ね均一の形状及び寸法になっている。一部の形態において、鞘体の第2の端部1122における中空領域1123に至る開口部の寸法は、中空領域の他のどの横断面に関するものよりも大きくなっている。鞘体1120の長さは、好ましくは、約20mmから約60mm、又は、約20mmから約70mm、例えば、約25mmから約50mm、約30mmから約70mm、又は、約50mmから約70mmであることが好ましい。
図27及び
図28は、鞘体の長さが相異なる2つのブラケットの実施形態を示している。
図27の実施形態は、鞘体の長さが25mmであり、12mmの安定化部と13mmの取り付け部とから構成されている。これに対し、
図28の実施形態は、鞘体の長さが58mmであり、45mmの安定化部と13mmの取り付け部とから構成されている。
【0157】
軸体1110は、第1の端部1111及び第2の端部1112を有し、ロッドのような細長い部材を含んでいる。該軸体1110は、鞘体1120の中空領域1123の内側面の形状に対応する形状が設定された外側面を有していることが好ましい。軸体1110は、中空領域1123の長さ寸法に亘って鞘体内を自由にスライドするように構成されている。軸体の直径或いは幅など、軸体の外側の断面寸法は、軸体と鞘体との間に微小な隙間が形成されつつも軸体と鞘体とがスライド関係を維持するように、鞘体の中空領域内部の断面寸法よりも僅かに小さくなっている程度であることが好ましい。例えば、ギャップは、0.2mmから3mmの間の値をとりうるが、好ましくは、0.3mmから1mm、例えば、0.5mmである。軸体と鞘体との間の隙間の寸法をできるだけ小さくすることで、軸体と鞘体との間に埃や小さな粒子が詰まるリスクが最小限に抑えられ、また、横方向の動きを抑える強固な接続も維持される。軸体1110は、円形の横断面を有する略円筒形状であることが好ましい。鞘体1120の中空領域1123も、円形の横断面を有していることが好ましい。一部の形態において、軸体は直径が約10mmであり、鞘体の中空領域の直径は約11.5mmである。他の形態において、軸体1110の形状(軸体1110の外側面によって定義)は、中空領域1123の形状(鞘体1120の内側面によって定義)とは異なっていてもよいが、中空領域1123の長さ寸法に亘って自由に移動又はスライドするように鞘体1120よりも十分に小さく寸法設定されうる。どの構成にあっても、鞘体内で軸体が自由にスライドできるよう、軸体1110の少なくとも一部の横断面が鞘体1120の横断面よりも小さいことが重要である。
【0158】
一部の形態において、軸体の第2の端部1112を含む軸体1110の一部が鞘体1120から延びるようにして、軸体1110の第1の端部1111及び軸体の長さ方向における少なくとも一部が鞘体1120の中空領域1123内に受け入れられる。
【0159】
軸体1110及び鞘体1120は、長手方向軸が軸体1110及び鞘体1120の両中心線に沿って通るように、同心円状に位置合わせされることが好ましい。該長手方向軸は、ブラケット本体1100の長手方向軸も形成しうる。軸体1110は、鞘体1120内でその長手方向軸に沿って移動できる。一形態において、軸体1110の長さは、約50mmから約150mmの間であり、例えば、約70mmから約120mmの間である。軸体1110は、鞘体1120内で約±5mmから約±75mmの間、例えば、約±50mmから約±75mmの間で長手方向に移動できることが好ましい。これらの寸法は、名目上のものにすぎず、個々の現場の要求に合わせて変更することができる。言い換えれば、ブラケットは、膨張や圧縮の下で自動的に調節されるので、軸体の一端と鞘体との間の距離は、頭上構造と仕切壁との両者間の動きに応じて変化する。事実上、軸体は鞘体内で自由に浮くことができる。垂直方向の圧縮と膨張の作用/力に対応できるようにブラケットの垂直方向の移動が制限されることなく且つ自動的に行われるようにしているので、本発明のブラケットによれば、該ブラケットの長さが調節可能限界に至るまでの間は、圧縮と膨張の作用/力が仕切壁に伝わるのを実質的に防ぐことができる。本発明のブラケットにおいては、該ブラケットが設置された建物の動きに合わせて定期的に自己調節することが期待される。
【0160】
軸体は、鞘体の安定化部1127内に少なくとも一部が受け入れられる延長部1117と、上部構造3000に取り付けるための取り付け部1118とを備えていることが好ましい。鞘体1120の安定化部は、軸体1110の延長部を取り囲んでおり、軸体1110が鞘体1120内を移動する際に該軸体1110の長手方向軸が該鞘体1120の長手方向軸と概ね一致した状態を確実に維持するのに役立っている。
【0161】
ブラケットの各構成要素の材料は、ブラケットが故障することなく動作しうる荷重に応じて選択されるが、一般には金属である。本発明の好ましい実施形態においては、軸体及び/又は鞘体は、ステンレス鋼、好ましくはステンレス鋼304からなり、一般的な炭素鋼の場合と比較して対負荷容量や靭性能に優れている。第1又は第2の取り付けシステムもステンレス鋼からなる。
【0162】
一部の実施形態において、ブラケット1000は、
図13に示すように、ライニング・スリーブ1160を含む遮音体をさらに備えてもよい。一形態において、ライニング・スリーブ1160は、鞘体1120の中空領域1123内に位置する。ライニング・スリーブ1160は、中空領域1123の内側面にぴったりとフィットし、該ライニング・スリーブ1160が中空領域1123内に配置された軸体1110の少なくとも一部を受け入れるようになっている。ライニング・スリーブ1160は、実質的に中空領域1123の全長に亘って或いは中空領域1123の長さ寸法の大部分に亘って延びるのが好ましいが、中空領域の長さ寸法の一部に亘って延びる程度でもよい。ライニング・スリーブは、鞘体の中空領域1123の断面形状に対応した形状を有する中空部材であることが好ましく、各実施形態におけるライニング・スリーブ1160は、円筒形の筒状部材である。また、ライニング・スリーブは、2つ以上の部品、例えば、2つの半円筒形部材から形成されてもよく、且つ/又は、ライニング・スリーブは、鞘体の中空領域1123内に収まるように調節可能なC型部材であってもよい。図示の実施形態において、ライニング・スリーブ1160は、例えば、圧入、締り嵌め、或いは、他のしっかりと嵌める方法によって該ライニング・スリーブ1160を鞘体1120に組み付けることで生じる摩擦を介し、該鞘体1120に実質的に固定される。これに代えて、ライニング・スリーブは、鞘体1120に対する接着、機械的な固定、或いは、その他の方法によって取り付けられてもよい。
【0163】
軸体1110が鞘体1120に対して長手方向に移動するとき、軸体1110はライニング・スリーブと摺接し、該ライニング・スリーブの内側面に当接する。ライニング・スリーブ1160は、軸体1110の表面が鞘体の表面と擦れ合ったり打撃音や振動が発生ノッキングしたりするのを防止したり最小化したりするのに効果を発揮し、其れゆえ、ライニング・スリーブ1160によって、軸体と鞘体とが擦れ合うことで生じるノイズが最小化される。
【0164】
代替の実施形態では、上記の構成に代えて、ライニング・スリーブ1162は、軸体1111の延長部1117上に設けられ、軸体1111とともに鞘体1120に対して相対的に移動するように該軸体1111に固定されている。
図15~
図17cは、ライニング・スリーブ1162が軸体1111に固定されている実施形態1001を示している。ライニング・スリーブ1162は、例えば、該ライニング・スリーブが圧入、締り嵌め、或いは、他のしっかりと嵌める方法によって組み付けられることで生じる摩擦を介し、軸体1111に対して実質的に固定される。
図17a~
図17cに示すように、軸体1111が鞘体120に対して長手方向に移動するとき、ライニング・スリーブ1162が鞘体1120の内側面に当接しながら軸体1111とともに移動し、これにより、軸体1111の表面が鞘体1120の表面と擦れ合ったり鞘体1120の表面に打撃や振動を加えたりするのが防止され或いは最小化される。ライニング・スリーブ1160、1162は、ナイロン又はプラスチックなどの低摩擦で弾力性のある素材で構成されるのが好ましく、そうすれば、金属表面の相互接触を伴う相対移動に起因するノイズを低減させることができる。加えて、ライニング・スリーブは、軸体1110、1111及び鞘体1120の摩耗を抑え、発熱を抑え、そして、長手方向の動作における抵抗をも抑えることができる。
【0165】
さらに別の代替構成として、ライニング・スリーブ1160、1162は、個別の構成要素ではなく、例えば、軸体1110、1111の延長部の外側面や鞘体の中空領域1123の表面にコーティングを施すことによって構成される、鞘体1120や軸体1110と一体的なものであってもよい。一形態として、ライニング・スリーブ1160、1162は、鞘体1120の内側、及び/又は、軸体1110、1111の少なくとも一部の外側をプラスチック、ゴム、又はナイロンでコーティングすることにより形成されてもよい。一部の形態において、ライニング・スリーブの厚さは約0.5mmであり、軸体の直径は約10mmであり、鞘体内の中空領域の直径は約11.5mmである。
【0166】
ブラケット1000は、鞘体1120及び軸体1110の所望の位置、例えば、ブラケット1000が伸びたり引っ込んだりできるニュートラルな位置において、バネなどの付勢部材を適宜備えてもよい。該付勢部材は、例えば、鞘体の中空領域1123の内部に配置され、ブラケット1000が垂直方向に変位したあとにニュートラルな位置に戻るのを補助したり、或いは、主に設置時においてブラケット1000を安定させたりする。
図14aは、ニュートラルな位置におけるブラケットを示している。
【0167】
ブラケット1000の鞘体1120、つまり、本体1100は、第1の取り付けシステム1210に対して多くの異なる方法で取り付けることができる構成になっている。一形態に関し、
図1~
図3、及び
図13に示すように、鞘体1120の取り付け部1128は、ネジ切りされた外側面を有し、U字型ヘッドトラック1315の中央部1317に形成された開口部を通って延びるように構成されている。第1の取り付けシステム1210は、ネジ切りされた内側面を有し、鞘体の取り付け部1128のネジ切りされた外側と係合するナットを含んだ第1の取り付け部材1211を備えている。適宜、ナット1211とヘッドトラック1315との間にワッシャ1216が設けられ、ヘッドトラック1310と安定化部1127との間にワッシャ1212が設けられる。
【0168】
さらに別の形態として、ブラケット1000は、
図4に示すように、木製ヘッドトラック1311に取り付けられるように構成されてもよいし、仕切壁2000の最上部に直接、或いは、木製壁スタッドのような壁スタッドに直接取り付けられるように構成されてもよい。いずれの形態においても、第1の取り付けシステム1210は、ヘッドトラック1311又は壁2000の上面にネジ止めされるネジ又はボルト1211aを含む第1の取り付け部材1211を備えている。また、第1の取り付けシステム1210は、ネジ又はボルトの頭部を形成するようにネジ又はボルト1211aと一体的に形成しうるナット1211bを備えている。若しくは、ナット1211bをネジ又はボルト1211aに取り付けてもよい。ナット1211bは、鞘体1120の取り付け部1128におけるネジ切りされた外側を受け入れてこれと係合するようにネジ切りされた内側を持つ開口部を有している。この仕組みでは、鞘体1120の第1の端部1121をナット1211bにネジ止めするだけで、仕切壁2000に対してブラケット1000を取り付けることができる。代替の形態において、鞘体1120の取り付け部1128は、上述したように頭部を含む第1の取り付けシステム1210の取り付け部材と係合するようにネジ切りされた内側を有するものでもよいが、ネジ切りされた外側部を有するものであってもよい。
【0169】
図18a及び
図18bの実施形態の如くさらに別の形態では、第1の取り付けシステムは、プレート1213のような中間要素を含む。該中間要素は、鞘体1120の第1の端部に取り付けられる。図示の実施形態において、鞘体1120の第1の端部は、ネジ切りされて成り、中間要素1213に固定されたナットにネジ止めされる。しかしながら、鞘体は、他の方法で中間要素に固定されてもよく、中間要素と一体的に形成されてもよいことは理解されるであろう。また、中間要素は、プレート1213(又は他の中間要素)をヘッドトラック、ビーム1310(水平な木製部材など)、又は、仕切壁2000にネジ止めするためのネジ1214を挿入しうる複数のネジ穴を有している。
【0170】
別の形態において、取り付け部1128は、鞘体1120の第1の端部1121に位置し、該第1の端部1121において、ネジ又はネジ切りされたボルトを含む取り付け部材1211を受け入れるためのネジ切りされた内側を持つ開口を有している。この形態では、取り付け部材は、U字型ヘッドトラック1315の中央部分1317の開口部を通って延びるなどして、仕切壁又はヘッドトラックに取り付けられる。取り付け部材のネジ切りされた端部が鞘体1120の第1の端部におけるネジ切りされた領域と係合し、これにより該鞘体が仕切壁2000に取り付けられる。取り付け部材、ネジ、又はボルトの頭部とヘッドトラック1315の中央部1317との間にワッシャを適宜設けてもよい。ヘッドトラックを挟むワッシャ1212、1216(
図13)は、開口部又はナット1211のサイズよりも十分に大きいことが好ましい。これにより、ブラケットが最大限に縮んだ状態(及び/又は、一部の実施形態では最大限に伸びた状態)にあるときに該ブラケットを介して作用する垂直方向の荷重は、小さなワッシャであったり或いはワッシャが無かったりする場合と比較し、ヘッドトラックのより広い範囲へ確実に伝わるようになる。これは、ヘッドトラックからブラケットを分離するのに必要となる力を有利に増加させる。
図8~
図13、
図15、及び、
図17a~
図17cの実施形態において、ワッシャ1212は、鞘体1120の基部における鞘体外径の少なくとも約1.8倍の幅を有している。ワッシャ1212は、鞘体外径の約2倍以上の幅を有していることが好ましい。
【0171】
図9~
図11、及び、
図15~
図17cを参照して分かるように、鞘体1120は、取り付け時にスパナなどの工具で鞘体を把持しやすくするための切り欠きなどによる平坦面部1129のような対向配置の把持部1129を有するものでもよく、そのように構成した場合には、鞘体1120に対して第1の取り付けシステムのナット1211を回転させて、該ナット1211を締め付けることができるようになる。本発明のブラケット1000は、該ブラケット1000の使用中においては、横方向支持ブラケット3100、ビーム、又は補強材の如く天井の上に位置する上部構造に取り付けられる。
図1、
図5、及び
図6は、延長部1117及び取り付け部1118を含む軸体1110を備えたブラケット1000の一形態を示している。延長部1117は、鞘体1120の安定化部1127内等、鞘体1120の中空領域1123内を移動するように構成される。軸体の取り付け部1118は、軸体1110の第2の端部1112又はその近傍に位置し、第2の取り付けシステム1220と係合して、ブラケット1000を上部構造3000又は横方向支持ブラケット3100に取り付けられるように構成されている。
【0172】
第2の取り付けシステム1220は、横方向支持ブラケットや補強材ブラケット3100などの上部構造3000に軸体1110を取り付けるための任意の適切なシステムでよい。一形態において、第2の取り付けシステム1220は、天井空間内のフレームを介して建物構造に取り付けられて仕切壁2000を横方向に支持するビーム若しくは横方向支持ブラケット3100、3101、又は、補強材などの上部構造3000の一部をクランプするクランプ機構を形成している。この形態では、第2の取り付けシステム1220は、上部構造3000の対向側をクランプするための第1及び第2のクランプ部材1224、1225を含む。上部構造が1つ以上の剛性コネクタ3150を含む横方向支持ブラケット3100である場合、
図13に示すように、クランプ部材1225は、例えば、最上部の剛性コネクタの水平部3150a、3185aの上面をクランプするように構成され、クランプ部材1224は、最下部の剛性コネクタの水平部3150a、3185aの底面をクランプするように構成される。適宜、上部構造と第2のクランプ部材1225との間にワッシャ1226を配置してもよい。例えば、
図2、5、及び6に示すように、軸体1110の取り付け部1118の第1の又は下側の領域は、第1のナットなどの第1のクランプ部材1224に取り付けられてもよい。軸体の取り付け部1118の第2の又は上側の領域は、第3のナットなどの第2のクランプ部材1225に取り付けられてもよい。上部構造3000において、開口部が形成されてもよい。例えば、横方向支持ブラケット3100、3180の剛性コネクタは、
図13に示すように、その水平部3150a、3185aにおいて、仕切壁用ブラケット1000の第2の取り付けシステム1220と係合するための開口部3155を有していてもよい。この形態では、第2のクランプ部材1225は、軸体1110から取り外すことができ、また、第1のクランプ部材1124が上部構造3000に接する位置にくるまで、軸体1110の第1の端部1111、つまり、取り付け部1118を開口部から押し込むようにして、仕切壁用ブラケット1000を配置できる。そして、第2のクランプ部材1125は、軸体の取り付け部1118に取り付けられて、第1のクランプ部材1124と第2のクランプ部材1125とで上部構造3000をクランプするようになっている。
【0173】
軸体の取り付け部1118は、ネジ切りされた外側を有し、第1及び第2のクランプ部材1124、1125は、軸体1110のネジ切りされた外側と係合するためのネジ切りされた内側領域を有するナットを含むことが好ましい。これにより、ナット1124、1125を上部構造3000にネジ止めしてクランプ力を強めることができ、また、ナット1124、1125を緩めてクランプ力を弱め、ブラケット1000を取り外すことができる。ナット1225は、回転に対して抵抗を示すナイロンカラーインサートを含むナイロン緩み止めナット、ポリマー緩み止めナット、或いは、弾性体緩み止めナットの如く、緩み止め機能を一体的に備えたものであることが好ましい。
【0174】
図8~
図12及び
図15~
図17cを参照すると分かるように、軸体1110、1111は、設置時にスパナなどの工具で軸体を把持し易くするための切り欠きなどによる平坦面部1119のような対向配置の把持部を含むものとし、軸体1110に対して各ナットを相対的に回転させてナット1124、1125を締め付けることができるようにしてもよい。
【0175】
別の形態において、取り付け部1118は、軸体の第2の端部1112に位置し、該軸体の第2の端部に形成されネジ切りされた開口部を有し、そして、当該軸体1110の長さ寸法の一部に亘って延びている。この仕組みでは、ブラケット1000は、軸体の第2の端部1112が上部構造3000に接し、軸体1110のネジ切りされた開口部が上部構造3000に形成された開口部と一直線上に並ぶように配置される。第2の取り付けシステム1220は、ネジ切りされたネジ又はボルトを含む第1の取り付け部材を備えるとともに、該取り付け部材は、反対側から上部構造3000の開口部に押し込むことができるようになっており、ネジ又はボルトが上部構造3000を通って延び軸体1110のネジ切りされた内側と係合することにより、ブラケット1000が上部構造3000に取り付けられるようになっている。
【0176】
軸体1110の延長部1117は、該軸体1110が鞘体1120内を移動するときに第2の取り付けシステム1220が該鞘体の第2の端部1122と接触するのを防ぐため、鞘体1120の安定化部1127よりも長いことが好ましい。軸体1110の全長は、鞘体1120の全長よりも長いことが好ましい。
【0177】
ブラケット1000を設置する際には、ブラケット1000が設置作業中に一定の長さを維持するように軸体1110と鞘体1120との相対的な位置を保持して、仕切壁2000を正確に位置合わせできるようにしておくと都合がよい。従って、一形態において、ブラケットは、軸体1110と鞘体1120との互いを又は少なくともそれらの相対位置を固定するためのロックシステムを備えてもよい。この形態では、軸体1110及び/又は鞘体1120は、ロック部材受入れ開口部1131a,1131bを備えていてもよい。例えば、軸体1110の外側壁に少なくとも1つのロック部材受入れ開口部1131aが形成されていてもよい。該ロック部材受入れ開口部1131aは、軸体1110の対向する側面又は表面に開口部が形成されるよう、軸体1110を貫通して延びていることが好ましい。また、少なくとも1つのロック部材受入れ開口部1131bが鞘体1120の側壁に形成されていてもよく、この場合において、開口部1131bは、鞘体1120の外側面からその中空領域1123の内側面まで延びていてもよい。鞘体のロック部材受入れ開口部1131bは、軸体1110の延長部1117がニュートラルな位置にあるときに該軸体のロック部材受入れ開口部1131aの位置と一致する位置に配置される。ニュートラルな位置とは、ブラケット1000が概ね均等な量で、又は、計画固有の設計で指定されたように延びたり縮んだりできる位置をいう。ロック機構は、主として設置時にブラケットを安定させるためのものである。
【0178】
鞘体1120は、上述したように鞘体1120の一方側を通って延びるとともに、該鞘体を横切って延びる開口部1131b、好ましくは、さらに鞘体1120の長手方向軸と垂直をなして延びる開口部1131bを形成するように、当該鞘体1120の対向する側まで続くロック部材受入れ開口部1131bを有していることが好ましい。
【0179】
軸体1110と鞘体1120とを共に固定するには、
図14aに示すようにニュートラルな位置に達するまで鞘体1120に押し込み、その際に、該軸体1110のロック部材受入れ開口部1131aを鞘体1120のロック部材受入れ開口部1131bの位置に合わせる。軸体1110及び/又は鞘体1120は、ロック部材受入れ開口部1131a、1131bが整列した状態で鞘体内に軸体を配置させるのに助けとなるガイドを含んでもよい。例えば、鞘体1120内に軸体1110を配置させる際にマーカーの位置を合わせることによってロック部材受入れ開口部1131a、1131bも整列するように、軸体1110と鞘体1120の第2の端部1122又はその近傍とに視覚的なガイド或いはマーカーを配置してもよい。或いは、軸体1110及び/又は鞘体1120は、これらの2つの部材1110、1120におけるロック部材受入れ開口部1131a、1131bを整列させるための物理的なガイドを含んでもよい。任意の適切な物理的なガイドを用いることができる。例えば、軸体1110の外側面が、鞘体1120の中空領域を形成する内側壁に設けられる長手方向に沿う溝をスライドする突起又は長手方向に沿うレールを有するようにしてもよい。或いは、軸体1110の外側面が、鞘体1120の中空領域を形成する内側壁から突出した物理的な突起又は長手方向に沿うレールの上をスライドする長手方向に沿う溝を有するようにしてもよい。これらの仕組みでは、軸体1110と鞘体1120とに物理的なガイドが配置されることとなり、軸体と鞘体のロック部材受入れ開口部1131a、1131bが整列した状態で軸体と鞘体との相対位置が定まるようになる。
【0180】
ロック部材1132は、ロック用のピン又は紐体などであり、位置合わせされた各ロック部材受入れ開口部に挿入される。ロック部材1132は、任意の適切な材料で構成できるが、プラスチック又は金属で構成することが好ましい。
図7の実施形態におけるロック部材は、突出部1132aと把持部1132bとを含むロックピン1132である。
図7に示すように、ロック部材の突出部1132aを位置合わせ後の開口部1131a、1131bに挿入すると、ロック部材の把持部1132bがブラケット1000から突き出て、ユーザにおいて該ロック部材を容易に把持できるようになる。ブラケット1000をニュートラルな姿勢で設置した後、ユーザは、把持部1132bを介してロック部材を把持し、ロック部材受入れ開口部1131a、1131bからロック部材1132を取り外すことができる。すると、鞘体1120内で軸体1110が自由に動けるようになり、ブラケット1000の垂直方向の長さが自動的に調節されるようになる。
【0181】
代替の実施形態において、ロック部材1132は、
図10に示されるように、ナイロン製のケーブル状の紐体(「ジップタイ(結束バンド)」)を含む。ケーブル状の紐体は、一連のラチェット歯を持つフレキシブルストラップと、該フレキシブルストラップを受容しその歯に係合する歯止め爪を持つヘッド1132bとを有している。ケーブル状の紐体は、位置合わせ後の開口部1131a、1131bから挿入されるとともに、ストラップの自由端がヘッド1132から挿入されて紐体をループ状に固定する。これにより、設置時に生じうる小さな負荷の下では、ケーブル状の紐体によって軸体と鞘体との相対的な移動が防止されるようになる。紐体のループ形状は、ロック部材1132が不意に外れるのを防止する。いったんブラケット1000を設置した後は、ユーザは、プラスチック製の紐体を切断してロック部材受入れ開口部1131a、1131bからこれを取り除き、軸体1110が鞘体1120内で自由に動けるようにすることができる。ブラケットを設置するユーザが紐体の取り除きを省略した場合には、建物の垂直変位時に設置後のブラケットに作用する力が紐体の強度を大幅に超え、その結果、該紐体は、ブラケット1000の動きに大きな支障をきたすことなく、また、ブラケットを損傷させることなく切れる。
【0182】
或いは、ロック部材を軸体又は鞘体に設けて、鞘体又は軸体を概ねニュートラルな位置に配置してもよい。例えば、ロック部材1132は、鞘体と軸体の両方を通って延びるのではなく、ロック部材1132は、鞘体1120又は軸体1110、1111の何れか一方のみを通って延びるものでもよい。一実施形態において、鞘体1120には、該鞘体の基部に向かって複数の開口部が設けられており、ロック部材は、該開口部を通って且つ鞘体の中空領域を横切って延びる。そして、ブラケットのニュートラルな位置にあるロック部材に軸体の下端が載るまで、該軸体を開口部に挿入する。ロック部材1132は、軸体のそれ以上の下方への移動を制限して、ブラケットが押し縮められるのを防ぎ、それによって設置を補助する。設置後には、ブラケットが作動するように、ロック部材1132を取り除くことができる。
【0183】
図16を参照して分かるように、さらに別の代替として、開口部1133が軸体にのみ設けられ、ロック部材1132が該軸体の開口部1133を通って延びるものでもよい。該ロック部材1132が鞘体1120の上縁部に載るまで軸体1111の下端を鞘体の中空領域内に挿入していくようになっており、これにより、軸体1111のそれ以上の下方への移動が制限されてブラケットが押し縮められるのが防がれ、以って設置作業が補助されるようになっている。軸体の開口部1133は、軸体1111の下端から離間しており、ブラケットが押し縮められた際には鞘体の中空領域内に位置し、ブラケットが伸びた際には鞘体1120の上方に位置するようになる。設置後には、ブラケットが通常に作動するよう、ロック部材1132を取り除くことができる。
【0184】
それ故、使用中に仕切壁用ブラケット1000の本体によって軸体1110、1111がブラケット1000の鞘体1120内を垂直方向に実質的に妨げられることなく自由に移動し、
図14b及び
図17bに示すような伸びた状態と
図14c及び
図17cに示すような縮んだ状態との間で自動的な調節が行われるようになり、以って仕切壁2000と上部構造3000とが長さ調節可能な方法で接続される。鞘体1120内において軸体1110、1111の動きが制約を受けないことから、軸体1110、1111が鞘体1120内で自動的に且つ即座に移動でき、その結果、地震や風による荷重或いは上階からの荷重によって生じうる壁2000及び/又は上部構造3000の垂直方向の移動が打ち消される。
【0185】
さらに別の代替の実施形態において、鞘体は、上記の構成に代えて、軸体上にて上下にスライドするものでもよい。
図22及び
図23は、本発明のさらに別の実施形態に係るブラケット1002を示している。ブラケット1002は、細長い軸体1140と、鞘体1150とを備えている。軸体1140は、ヘッドトラック、又は、仕切壁のスタッドやビーム(水平な木製部材等)に固定するように構成された第1の端部である下端部を有している。この接続は、他の実施形態に関して上述したような任意の適切な形態の第1の取り付けシステムによって行うことができ、例えば、ヘッドトラックや壁の上面に対するネジ止め、或いは、ナットとワッシャの仕組みによるヘッドトラックのクランプなどで行える。
【0186】
鞘体1150は、該鞘体が軸体1140に対して上下にスライドできるように該軸体1140を受け入れるための中空領域を有している。軸体1140及び鞘体1150は、任意の適切な形状でよい。特に軸体及び鞘体の形状が共に円筒形であることが好ましい。また、鞘体1140の中空領域の内側の断面形状は、軸体を受け入れるための任意の適切なものでよい。鞘体の中空領域の内側は、軸体と鞘体とが密接にフィットする寸法が設定された略円筒形であることが好ましく、適宜、2つの部材1130、1150の間に何らかのスリーブを配置してもよい。他の形態において、中空領域1123は、楕円形の横断面、若しくは四辺形、好ましくは丸みを帯びた四辺形の横断面を有するものでもよい。一部の形態において、鞘体の中空領域は、ブラケットの組み立てが容易なものとなり、また、2つの構成要素間のスライドがよりスムーズなものとなるよう、その上側開口部及び/又は下側開口部を拡大させたり、フィレット形状にしたり、或いは、外側に向かうテーパー形状にしたりしてもよい。軸体の直径或いは幅などの外側断面寸法は、軸体と鞘体との間に微小な隙間が形成されつつも軸体と鞘体とがスライド関係を維持するような互いの密接なフィットが実現されるよう、鞘体の中空領域内部の断面の寸法よりも僅かに小さくなっている程度であることが好ましい。該隙間は、0.2mmから3mmの間で設定しうるが、好ましくは、0.3mmから1mmの間、例えば、0.5mmである。鞘体1150は、補強材やその他の頭上構造への接続部に取り付けるように構成されている。
図22及び
図23に示される実施形態において、鞘体は、補強部材にネジ止め或いはその他の方法で固定するための一体型で且つ角度が設定された2つのアームを含むものとなっている。しかし、他の実施形態に関して上述したような引っ張り式の接続など、他の取り付け方法も想定しうることは理解されるであろう。
【0187】
鞘体1150は、軸体1140の第1の端部である下端又はその近くから軸体の第2の端部である上端又はその近くまでスライド可能となっている。すなわち、鞘体1150は、圧縮荷重に応じて、ヘッドトラック1315、第1の取り付けシステム、或いは下方のストッパに接するまで、軸体1140上で該軸体の第1の端部に向かって下方へスライド可能となっている。持ち上げるような荷重或いは膨張荷重の下では、鞘体1150は、軸体1140の上端である第2の端部又はその近傍に設けられたストッパ1142に接するまで、軸体1140上で該第2の端部に向かって上方へスライド可能となっている。ストッパ1142は、任意の適切な形態でよく、例えば、軸体1140と一体的なもの、或いは、ナットやワッシャなどから成る部品を含むようなものでもよい。他の実施形態に関して上述したように、鞘体の内側面と軸体の外側面との間にプラスチック製スリーブのような低摩擦性スリーブやコーティングを設けてもよい。
【0188】
図24は、軸体1140上でスライド可能な代替形態に係る鞘体1154を備えたブラケット1003の実施形態を示している。本実施形態において、鞘体は、略円筒形の部材ではなく、軸体1140を受け入れるための中空領域が形成される態様にて、一緒になってクランプする2つの鞘体要素を含んでいる。角度が設定された補強部材は、ボルトやナットなどの部材を該補強部材に設けられた1つ以上の穴と上記2つの鞘体要素とに通すことにより、これら2つの鞘体要素によってクランプされる。この構成でなければ、本実施形態は、実質的に
図22及び
図23の実施形態に関して上述したように動作することになる。
【0189】
本発明の仕切壁用ブラケットにおいて、軸体と鞘体との相対的な位置は、ブラケットの長手方向軸に沿って変えてもよい。ブラケットを調節できるように軸体や鞘体が相対的にスライド可能であり、第1及び第2の取り付けシステム、即ち、仕切壁及び上部構造が互いに近づいたり離れたりするように動けるようになっている。従って、各実施形態において、仕切壁用ブラケットは、仕切壁と頭上構造との間の自動的で且つ自由な調節が可能な接続が実現され、ブラケットの自動的で且つ規制されない動きによって、大抵の場合、圧縮及び膨張の動きが頭上構造から仕切壁へと伝わらないようになる。
【0190】
本発明の仕切壁用ブラケットは、上階層の荷重や地震或いは風で生じる建物の撓みによる垂直移動を許容しながら、建物の仕切壁(地震地帯のものに特に限定されない)を支持するのに有効であろう。
【0191】
本発明の仕切壁用ブラケット1000、1001、1002、1003等は、固定ブラケットで保持されていると上方への垂直動を受けて引き離されやすい内側ガラス板の仕切壁を支持するのに特に有効であろう。通常、階層間の撓みなどの垂直方向の撓みによって天井構造が上方へ持ち上げられると、ガラスを支持しているアルミニウム製のヘッドトラックが上方へ引っ張られることがあり、そうなれば、ガラスの連結が解除されてしまう。その結果、アルミニウムのガラス板ポケットからのガラスパネルの「飛び出し」が生じることがある。逆に、垂直方向の圧縮力の作用下では、これら仕切壁のガラス板が押し潰されることがある。これらの両シナリオは、不可逆的な損傷を引き起こすとともに、人々が建物から避難しようとするときに危険をもたらす。本発明のブラケットを使用することにより、垂直方向の力や撓みがブラケットの垂直移動によって概ね吸収されるので、仕切壁は支持されたままとなり、垂直方向の力を受けて壁が損傷するリスクを低減できるようになる。つまり、本発明の仕切壁用ブラケットを使用して、建物内の仕切壁を支持できるシステムを実現できる。
【0192】
あくまで一例として本発明の好ましい実施形態を説明してきたが、本発明の範囲から逸脱しなければ、種々の修正を加えてもよい。