(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A47K 17/00 20060101AFI20221213BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20221213BHJP
E03D 5/10 20060101ALI20221213BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20221213BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
A47K17/00
E03D9/00 Z
E03D5/10
G08B25/04 K
G08B21/02
(21)【出願番号】P 2021537590
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(86)【国際出願番号】 JP2020020964
(87)【国際公開番号】W WO2021024584
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】P 2019146294
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】古谷 聡
(72)【発明者】
【氏名】三重野 勤
(72)【発明者】
【氏名】山渕 治彦
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-225966(JP,A)
【文献】特開2017-004320(JP,A)
【文献】特開平05-228181(JP,A)
【文献】特表2012-507646(JP,A)
【文献】特開2018-029237(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0087969(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 17/00
E03D 9/00
E03D 5/10
G08B 25/04
G08B 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレの便器における排泄物の排泄範囲を撮像範囲に含めるように設置された撮像装置で撮像された撮像データに基づき、排泄の内容を示す排泄情報を得る取得手段と、
前記排泄情報に基づき提示情報を生成する生成手段と、
前記提示情報を出力する出力手段と、
前記便器の洗浄機能を制御する洗浄制御手段と、
を備え、
前記取得手段は、前記撮像装置で撮像された前記撮像データに、前記便器及び前記便器の洗浄用液体を除く被写体として糞尿以外の物体である異物が含まれるか否かを示す情報を、前記排泄情報の少なくとも一部として得、
前記洗浄制御手段は、前記取得手段で前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合に、前記洗浄機能を停止させる停止指示を前記便器側に出力し、
前記生成手段は、前記取得手段で前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合、警告情報を前記提示情報の少なくとも一部として生成する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記取得手段は、前記撮像装置で撮像された前記撮像データに基づき、前記排泄情報を出力する学習済みモデルを用いて前記排泄情報を得る、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記取得手段及び前記生成手段は、前記撮像装置で撮像された前記撮像データに基づき、前記排泄情報及び前記提示情報を出力する学習済みモデルを用いて前記排泄情報及び前記提示情報を得る、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記生成手段は、前記排泄情報に基づき、前記提示情報の少なくとも一部として排泄日誌を生成する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記生成手段は、前記排泄情報に基づき尿流率又は排尿量を算出し、前記尿流率又は前記排尿量の低下状況を示す情報を、前記提示情報の少なくとも一部として生成する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記生成手段は、前記排泄情報に基づき単位期間当たりの排便回数又は排便量を算出し、前記排便回数の低下状況を示す情報を、前記提示情報の少なくとも一部として生成する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記生成手段は、前記排泄情報と排泄行為の日時とに基づき、排泄タイミングを算出し、前記排泄タイミングを通知する情報を前記提示情報の少なくとも一部として生成する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
撮像装置を備え、トイレの便器における排泄物の排泄範囲を撮像範囲に含めるように前記撮像装置が配置されるように、前記便器に設置される情報処理装置であって、
前記撮像装置で撮像された撮像データに基づき、排泄の内容を示す排泄情報を得る取得手段と、
前記排泄情報に基づき提示情報を生成する生成手段と、
前記提示情報を出力する出力手段と、
前記便器の洗浄機能を制御する洗浄制御手段と、
をさらに備え、
前記取得手段は、前記撮像装置で撮像された前記撮像データに、前記便器及び前記便器の洗浄用液体を除く被写体として糞尿以外の物体である異物が含まれるか否かを示す情報を、前記排泄情報の少なくとも一部として得、
前記洗浄制御手段は、前記取得手段で前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合に、前記洗浄機能を停止させる停止指示を前記便器側に出力し、
前記生成手段は、前記取得手段で前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合、警告情報を前記提示情報の少なくとも一部として生成する、
情報処理装置。
【請求項9】
トイレの便器における排泄物の排泄範囲を撮像範囲に含めるように設置された撮像装置で撮像された撮像データに基づき、排泄の内容を示す排泄情報を得る取得ステップと、
前記排泄情報に基づき提示情報を生成する生成ステップと、
前記提示情報を出力する出力ステップと、
前記便器の洗浄機能を制御する洗浄制御ステップと、
を備え、
前記取得ステップは、前記撮像装置で撮像された前記撮像データに、前記便器及び前記便器の洗浄用液体を除く被写体として糞尿以外の物体である異物が含まれるか否かを示す情報を、前記排泄情報の少なくとも一部として得、
前記洗浄制御ステップは、前記取得ステップで前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合に、前記洗浄機能を停止させる停止指示を前記便器側に出力し、
前記生成ステップは、前記取得ステップで前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合、警告情報を前記提示情報の少なくとも一部として生成する、
情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
トイレの便器における排泄物の排泄範囲を撮像範囲に含めるように設置された撮像装置で撮像された撮像データに基づき、排泄の内容を示す排泄情報を得る取得ステップと、
前記排泄情報に基づき提示情報を生成する生成ステップと、
前記提示情報を出力する出力ステップと、
前記便器の洗浄機能を制御する洗浄制御ステップと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記取得ステップは、前記撮像装置で撮像された前記撮像データに、前記便器及び前記便器の洗浄用液体を除く被写体として糞尿以外の物体である異物が含まれるか否かを示す情報を、前記排泄情報の少なくとも一部として得、
前記洗浄制御ステップは、前記取得ステップで前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合に、前記洗浄機能を停止させる停止指示を前記便器側に出力し、
前記生成ステップは、前記取得ステップで前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合、警告情報を前記提示情報の少なくとも一部として生成する、
プログラ
ム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
介護現場において排泄介助を行う介護士は、要介護者の尊厳を維持しつつ、要介護者の失禁を減らし、自立支援を促すことが求められている。介護現場における排泄介助は、場合によって要介護者の尊厳を傷付ける可能性が含まれているため、介護士は多くの負担を強いられることになり、業務の負荷軽減のための支援が求められている。
【0003】
介護士の業務には、要介護者の排泄介助において排泄日誌を作成する業務も含まれる。そのため、介護士は、要介護者と一緒にトイレに入室して要介護者の排泄行為を観察するか、若しくは、要介護者から聞き取りを行うかにより、排泄日誌に記載する情報を得ている。
【0004】
前者の場合、主に要介護者が認知症などにより正確な情報が聞き取れない要介護者に対して行われる。そして、前者の場合、排泄という行為を観察されることは要介護者にとって恥辱を伴うものであるため、要介護者の尊厳を傷つける場面が生じ易いと言え、このような場面での観察は介護士にも負担を強いる作業となる。一方で、後者の場合、要介護者の羞恥心により不正確な申請も発生することがあることから、排泄記録に属人性があると言え、結果として要介護者により同じ排泄行為を行ったとしても排泄日誌の内容に差異が生じることになる。よって、聞き取りによって作成する排泄日誌は、介護士の負荷が大きいにもかかわらず、精度が低くなってしまう。
【0005】
また、要介護者に認知症がある場合に、排泄時に、尿とりパッドをトイレットペーパーと誤認すること、或いは要介護者が羞恥心から排泄の失敗(便や尿の失禁)の証拠を故意に隠そうとすることにより、尿とりパッドをトイレに流す行為がなされることがある。介護施設は、このような場合或いは定期的に、業者に依頼して異物除去等の排水管清掃作業を行い、詰まりの解消を実施する必要があるだけでなく、その作業中に排水に関連する施設の可動ができなくなる。
【0006】
トイレの使用回数の記録に関連し、特許文献1には、洗浄操作部における接触センサによって、監視対象者によるトイレの使用を検知し、トイレの使用を示す器具使用情報を安否判断情報として遠隔監視装置に送信する安否判断情報生成装置が記載されている。この安否判断情報生成装置では、一日のトイレの使用回数の閾値を記憶しておき、一日の使用回数がかかる閾値を超えたことを条件に、例えば「排泄行為の回数が異常です」などの警告メッセージを表示することも可能になっている。
【0007】
特許文献2には、トイレ室に設けられた被験者側装置と、被験者側装置と通信可能なサーバと、を含むシステムが記載されている。この被験者側装置は、含硫ガスに反応し、検出データを出力する含硫ガスセンサと、含硫ガスセンサにより検出された含硫ガスの検出データを含む測定データをサーバに送信する送受信機と、を含む。このサーバは、被験者識別情報に対応づけて、含硫ガスセンサにより検出された含硫ガスの検出データを含む測定データを、排便行為の日時とともに蓄積して記録されるデータベースを含む。また、このサーバは、データベースに蓄積記録された測定データの経時変動傾向に基づいて被験者の体調を解析するサーバ側データ解析手段と、を含む。また、特許文献2に記載のシステムでは、排便履歴情報の入力を受け付ける入力装置を備えることもでき、これにより、医者等は、便秘であるか否かを測定データの解析結果及び排便履歴情報に基づいて正確に診断できるようになる。
【0008】
特許文献3には、トイレに設置された人感センサからの人体検知信号に基づき排泄行為を検知して、排泄行為の予定を記憶し、予定された時刻に排泄行為が検知されなかった場合に、排泄行為のし忘れを報知するシステムが記載されている。
【0009】
特許文献4には、便座への使用者の着座状態を検出するセンサと、センサからの信号に基づき作動を開始するタイマと、タイマの所定時間作動後の出力信号に基づき警報を発する警報手段と、を備えた警報装置付き便器が記載されている。この警報装置付き便器は、使用者が長時間座ったままであることを検知して報知することができ、また、このような異常状態をナースステーションに報知するように構成しておくこともできる。
【0010】
特許文献5には、便器、判断部、及び給水制御部を備えた水洗便器が記載されている。この水洗便器では、判断部が大便と小便とのいずれであるかをH2Sセンサの検出結果に基づき判断し、給水制御部がその判断結果に基づいて給水量を大便用又は小便用に制御している。特許文献5には、上記判断部が、便器の滞水内の異物(大便やトイレットペーパの芯等)の有無を、ビジョンセンサ素子により視覚的に検出した結果に基づき、或いは、発光素子及び受光素子により光学的に検出した結果に基づき、判断を行うことも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】国際公開第2009/016727号
【文献】特開2016-145808号公報
【文献】特開2010-220761号公報
【文献】特開平08-052097号公報
【文献】特開平07-119190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、安否判断を主たる目的とすることから、排泄行為についてもその回数に関する判定を行うことができるだけで、排泄日誌に必要となる排泄の内容を示す情報を得ることができない。また、特許文献2に記載の技術は、含硫ガスセンサを利用するものであるため、被験者の体調判断を排泄物の外観に基づいて行うことができるものではなく、また、排便履歴情報の取得には被験者への質問及び手入力が必要となる。
【0013】
また、特許文献3,4に記載の技術はそれぞれ、排泄行為の忘れ、使用者による長時間の着座を報知することができるものの、いずれの技術も、排泄日誌に必要となる排泄の内容を示す情報を得ることができない。
【0014】
さらに、特許文献1~4に記載の技術は、排泄物以外の異物が便器に存在するようになった場合にも、その異物の検知を行うことができず、またその異物を使用者が流してしまうためにその異物の検査を行うこともできなくなってしまう。
【0015】
また、特許文献5に記載の技術では、異物の有無を検出しているだけであり、その検出対象の異物には大便も含まれるため、排泄物とそれ以外とを区別して検出できるものではない。さらに、特許文献5に記載の技術では、例えばトイレットペーパーの芯が検出されたとしても、流し残しの生じない適切な量に給水量を制御するものであり、給水を停止することは考慮されていない。よって、特許文献5に記載の技術では、例えば吐血や嘔吐物などの異物が便器の滞水内に存在した場合であっても、使用者がそれを流してしまい、その異物の検査を行うこともできなくなってしまう。
【0016】
本開示の目的は、上述した課題を解決する情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することにある。上記課題は、トイレの使用者から聞き取る必要なく便器に排泄した排泄物の内容を示す排泄情報を収集し、且つ、排泄物以外の異物が便器に存在するようにされた場合であってもその異物を流さないようにする、というものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本開示の第1の態様に係る情報処理システムは、トイレの便器における排泄物の排泄範囲を撮像範囲に含めるように設置された撮像装置で撮像された撮像データに基づき、排泄の内容を示す排泄情報を得る取得部と、前記排泄情報に基づき提示情報を生成する生成部と、前記提示情報を出力する出力部と、前記便器の洗浄機能を制御する洗浄制御部と、を備え、前記取得部は、前記撮像装置で撮像された前記撮像データに、前記便器及び前記便器の洗浄用液体を除く被写体として糞尿以外の物体である異物が含まれるか否かを示す情報を、前記排泄情報の少なくとも一部として得、前記洗浄制御部は、前記取得部で前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合に、前記洗浄機能を停止させる停止指示を前記便器側に出力し、前記生成部は、前記取得部で前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合、警告情報を前記提示情報の少なくとも一部として生成する、ものである。
【0018】
本開示の第2の態様に係る情報処理装置は、撮像装置を備え、トイレの便器における排泄物の排泄範囲を撮像範囲に含めるように前記撮像装置が配置されるように、前記便器に設置される情報処理装置であって、前記撮像装置で撮像された撮像データに基づき、排泄の内容を示す排泄情報を得る取得部と、前記排泄情報に基づき提示情報を生成する生成部と、前記提示情報を出力する出力部と、前記便器の洗浄機能を制御する洗浄制御部と、をさらに備え、前記取得部は、前記撮像装置で撮像された前記撮像データに、前記便器及び前記便器の洗浄用液体を除く被写体として糞尿以外の物体である異物が含まれるか否かを示す情報を、前記排泄情報の少なくとも一部として得、前記洗浄制御部は、前記取得部で前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合に、前記洗浄機能を停止させる停止指示を前記便器側に出力し、前記生成部は、前記取得部で前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合、警告情報を前記提示情報の少なくとも一部として生成する、ものである。
【0019】
本開示の第3の態様に係る情報処理方法は、トイレの便器における排泄物の排泄範囲を撮像範囲に含めるように設置された撮像装置で撮像された撮像データに基づき、排泄の内容を示す排泄情報を得る取得ステップと、前記排泄情報に基づき提示情報を生成する生成ステップと、前記提示情報を出力する出力ステップと、前記便器の洗浄機能を制御する洗浄制御ステップと、を備え、前記取得ステップは、前記撮像装置で撮像された前記撮像データに、前記便器及び前記便器の洗浄用液体を除く被写体として糞尿以外の物体である異物が含まれるか否かを示す情報を、前記排泄情報の少なくとも一部として得、前記洗浄制御ステップは、前記取得ステップで前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合に、前記洗浄機能を停止させる停止指示を前記便器側に出力し、前記生成ステップは、前記取得ステップで前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合、警告情報を前記提示情報の少なくとも一部として生成する、ものである。
【0020】
本開示の第4の態様に係るプログラムは、コンピュータに、トイレの便器における排泄物の排泄範囲を撮像範囲に含めるように設置された撮像装置で撮像された撮像データに基づき、排泄の内容を示す排泄情報を得る取得ステップと、前記排泄情報に基づき提示情報を生成する生成ステップと、前記提示情報を出力する出力ステップと、前記便器の洗浄機能を制御する洗浄制御ステップと、を実行させるためのプログラムであって、前記取得ステップは、前記撮像装置で撮像された前記撮像データに、前記便器及び前記便器の洗浄用液体を除く被写体として糞尿以外の物体である異物が含まれるか否かを示す情報を、前記排泄情報の少なくとも一部として得、前記洗浄制御ステップは、前記取得ステップで前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合に、前記洗浄機能を停止させる停止指示を前記便器側に出力し、前記生成ステップは、前記取得ステップで前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合、警告情報を前記提示情報の少なくとも一部として生成する、ものである。
【発明の効果】
【0021】
本開示により、上記課題を解決する情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することができる。即ち、本開示によれば、トイレの使用者から聞き取る必要なく便器に排泄した排泄物の内容を示す排泄情報を収集し、且つ、排泄物以外の異物が便器に存在するようにされた場合であってもその異物を流さないようにすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態1に係る情報処理システムの一構成例を示すブロック図である。
【
図2】実施形態2に係る情報処理システムの一構成例を示す図である。
【
図3】
図2の情報処理システムにおける情報処理装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図2の情報処理システムにおける情報処理装置によるユーザ探知範囲の一例を示す概念図である。
【
図5】
図2の情報処理システムにおける端末装置での通知例を説明するための図である。
【
図6】
図2の情報処理システムにおける端末装置での通知例を説明するための図である。
【
図7】
図2の情報処理システムにおける端末装置での通知例を説明するための図である。
【
図8】
図2の情報処理システムにおける端末装置での通知例を説明するための図である。
【
図9】
図2の情報処理システムにおける端末装置での通知例を説明するための図である。
【
図10】実施形態2に係る情報処理システムの他の例を示す概念図である。
【
図11】
図2又は
図10の情報処理システムにおいて記録される情報の一例を示す図である。
【
図12】
図2又は
図10の情報処理システムにおいて生成される、或る一人についての1日の排泄日誌の一例を示す図である。
【
図13】
図2又は
図10の情報処理システムにおいて生成される、或る一人についての排泄日誌の一例を示す図である。
【
図15】
図2又は
図10の情報処理システムにおいて生成される、或る複数人についての1日の排泄日誌の一例を示す図である。
【
図16】
図2又は
図10の情報処理システムにおける処理の一例を説明するためのフロー図である。
【
図18】
図2又は
図10の情報処理システムにおける排便促進処理の一例を説明するためのフロー図である。
【
図19】
図2又は
図10の情報処理システムにおける排尿間隔に関する警告処理の一例を説明するためのフロー図である。
【
図20】装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。なお、実施形態において、同一又は同等の要素には、同一の符号を付すことがあり、重複する説明は適宜省略される。
【0024】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る情報処理システムの一構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る情報処理システム1は、取得部1a、生成部1b、出力部1c、及び洗浄制御部1dを備えることができる。
【0025】
取得部1aは、トイレの便器における排泄物の排泄範囲を撮像範囲に含めるように設置された撮像装置(以下、カメラで例示)で撮像された撮像データに基づき、排泄の内容を示す排泄情報を得る。そのため、情報処理システム1には、このように設置されたカメラが接続されるか、含まれることになる。このカメラは、可視光カメラに限らず、赤外光カメラ等であってもよく、また、静止画が抽出できればビデオカメラであってもよい。
【0026】
上記の排泄範囲は、便器の滞水部分を含む領域とすることができ、排泄予定範囲と称することもできる。このような排泄範囲を撮像範囲に含めるようにカメラを設置しておくことで、撮像される撮像データには被写体として排泄物等が含まれることとなる。無論、上記の排泄範囲は、ユーザが映り込まないような範囲とすることが好ましく、またカメラのレンズもユーザから見えないようにカメラが設置されることが好ましい。また、ユーザは、例えば情報処理システム1を病院、介護施設で使用する場合、上記のユーザとは、主に、患者等の要介護者となる。
【0027】
排泄情報とは、排泄の内容を示す情報であり、より単純な例では、排泄物が大便(糞)であるか小便(尿)であるかを示す情報とすることができる。排泄情報には、排泄物の色を示す情報、固形物であるのであればその形状など、他の情報を含むこともできる。
【0028】
取得部1aは、排泄情報を、例えば学習済みモデルを用いることで、或いは画像マッチング等による比較を行うことで、得ることができる。この学習済みモデルは、カメラで撮像された撮像データに基づき排泄情報を出力するモデルであればよく、図示しない記憶部に記憶させておくことができる。例えば、学習済みモデルは、上記撮像データを入力し、或いは上記撮像データに対して前処理を施したデータを入力し、排泄情報(複数種類の情報であってもよい)を出力するモデルとすることができる。なお、そのアルゴリズム(機械学習のアルゴリズム)や階層数等のハイパーパラメータなどは問わず、機械学習により学習済みモデルを生成すればよい。このように、取得部1aは、撮像データに基づき学習済みモデルを用いて排泄情報を得ることができる。
【0029】
一方で、取得部1aが画像マッチング等の比較を行う構成では、比較対象となる様々な画像データ、又はその特徴データを、排泄の内容を示す排泄情報に関連付け、図示しない記憶部に格納しておけばよい。そして、取得部1aは、カメラからの撮像データを入力し、その特徴を抽出するなどした後に、記憶部に格納されたデータとの比較を実行し、合致又は最も合致率が高い比較対象のデータが示す排泄情報を出力するとよい。
【0030】
また、この撮像データには撮像日時、撮像条件等の付属情報を含むことができ、この学習済みモデルには、撮像データだけではなく、それ以外の情報もパラメータとして入力させるモデルとすることもできる。撮像条件は、例えば、解像度が設定可能なカメラであればその解像度を含むことができ、ズーム機能付きのカメラの場合にはそのズーム倍率を含むことができる。
【0031】
また、排泄情報の取得のために使用される撮像データは、例えば排泄範囲に被写体として物体が検出された或いは滞水の色が変わるなどの変化が検出された場合のデータとすることができる。これらの検出は、例えば、カメラで常時又は一定期間毎に撮像を行っておき、そこで得た撮像データから実施することができる。若しくは、別途設けたユーザ検知のセンサ(便座に設けた荷重センサ、その他、人感センサなど)からのユーザ検知結果に基づき撮像を行い、そのときの撮像データを排泄情報取得のために使用することもできる。
【0032】
生成部1bは、取得部1aで取得された排泄情報に基づき提示情報を生成する。この提示情報は、最も単純な例では、排泄情報そのもの、或いはそれを提示用に加工したものであってもよい。上記の提示情報は、排泄情報に撮像データの取得日時を示す日時情報が含まれない場合には、排泄情報と日時情報とを含む情報であってもよい。無論、提示情報には、その他の情報を含むことができる。
【0033】
また、上記最も単純な例からも理解できるように、取得部1a及び生成部1bは、カメラで撮像された撮像データに基づき排泄情報及び提示情報を出力する学習済みモデルを用い、排泄情報及び提示情報を得るように構成することもできる。この例における学習済みモデルでも、撮像データだけでなく、それ以外のデータも入力させるモデルとすることができる。また、この例における学習済みモデルは、例えば、或る中間層の出力として排泄情報を出力し、出力層の出力として提示情報を出力することができる。なお、この例における学習済みモデルについても、そのアルゴリズム(機械学習のアルゴリズム)や階層数等のハイパーパラメータなどは問わず、機械学習により学習済みモデルを生成すればよい。
【0034】
出力部1cは、提示情報を出力する。出力部1cは、例えば、有線又は無線の通信インタフェース等で構成される通信部とすることもできる。出力部1cは、例えば、通信部を介して外部の警報装置(図示せず)に提示情報を送信することができ、これにより警報装置では提示情報に基づく警報を発することができる。出力部1cは、例えば、通信部を介して外部のサーバ(図示せず)に提示情報を送信することができ、これによりサーバでは提示情報を蓄積することができる。出力部1cは、例えば、情報処理システム1を構成する装置に内蔵された又は外部に接続された印刷装置に、提示情報を印刷する印刷データ(印刷ジョブ)を、通信部を介して出力することもできる。これにより、印刷装置では、提示情報を印刷することができる。
【0035】
洗浄制御部1dは、便器の洗浄機能を制御する。そのため、洗浄制御部1dは、例えば上記通信部を介するなどして、便器の洗浄機能を有する機器(例えばトイレを流す機能を有する、ウォシュレット(登録商標)等の温水洗浄便座など)と接続されているか、接続可能となっている。なお、上記温水洗浄便座の洗浄対象は、ユーザの臀部等となる。情報処理システム1は、このような機器、或いは温水洗浄便座一体型の便器を含むこともできる。
【0036】
上述のような構成において、特に、本実施形態は、糞尿以外の物体(以下、異物)が撮像データの被写体に含まれる場合に特徴を有する。この特徴について説明する。異物は、他物体と称することもでき、糞尿以外のものであれば、液体でも固体でもよく、例えば嘔吐物、下血、血液の嘔吐(吐血)、尿とりパッド、トイレットペーパーの芯などのいずれか1又は複数を含むことができる。
【0037】
取得部1aは、カメラで撮像された撮像データに、便器及び便器の洗浄用液体を除く被写体として、糞尿以外の物体である異物が含まれるか否かを示す情報を、排泄情報の少なくとも一部として得る。なお、上述したように、排泄情報は糞尿物が含まれるか否かを示す情報を含むこともできる。
【0038】
洗浄制御部1dは、取得部1aで排泄情報として異物が含まれる情報が得られた場合に、洗浄機能を停止させる停止指示を便器側に出力する。また、生成部1bは、取得部1aで排泄情報として異物が含まれる情報が得られた場合、警告情報を提示情報の少なくとも一部として生成する。ここで、警告情報とは、警告提示を行うための情報、つまり警告音を発する又は警告表示を行うための情報を指すことができる。これにより、出力部1cは、警告情報を出力することができる。その出力先は、例えば、ユーザを介護する介護士等の監視者がその警告情報を認識できる端末装置や警報装置などとすることができる。
【0039】
情報処理システム1は、上述の記憶部及び制御部(図示せず)を有することができ、この制御部は上述した取得部1a、生成部1b、出力部1c(又はその一部)、及び洗浄制御部1dを備えることができる。この制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、作業用メモリ、及びプログラムを記憶した不揮発性の記憶装置などによって実現することができる。このプログラムは、各部1a~1dの処理をCPUに実行させるためのプログラムとすることができる。また、情報処理システム1に備えられる制御部は、例えば集積回路(Integrated Circuit)によって実現することもできる。
【0040】
また、本実施形態に係る情報処理システム1は、単体の情報処理装置として構成することも、機能を分散させた複数の装置として構成することもできる。後者の場合、各装置に制御部、通信部、及び必要に応じて記憶部等を備えるとともに、無線又は有線の通信によりこれらの複数の装置を必要に応じて接続して協働して情報処理システム1としての機能を実現させればよい。
【0041】
さらに、情報処理システム1は、上述のカメラを含めた構成とすることもでき、単体の情報処理装置として構成する場合にはその情報処理装置にこのカメラが含まれることになる。このように、情報処理システム1を単体の情報処理装置で構成する場合、その情報処理装置は、上述したカメラを備え、トイレの便器における排泄物の排泄範囲を撮像範囲に含めるように上記カメラが配置されるように、上記便器に設置されることが好ましい。この場合、この情報処理装置は、排泄情報取得装置と称することもできる。
【0042】
以上に説明したように、本実施形態では、排泄物以外の異物を検出した際に、介護士などに警告情報を出力(通知)するとともに、トイレの便器を洗浄する洗浄機能を停止して異物を流さないようにする。よって、本実施形態では、ユーザが洗浄機能を使用した場合であってもその洗浄機能を停止しているため、異物を流さずにそのままにしておくことができ、その異物を後に検体などとして検査することができる。また、異物を流さないとともに異物の検出を示す警告情報を出力するため、ユーザの監視者などがトイレに駆けつけることができ、これによりユーザが異物を流せないことによって感じ得る困惑を防止することもできる。
【0043】
また、警告情報の出力先は、1箇所に限らず、例えばトイレ外の端末装置又は警報装置から、並びにトイレ内のいずれかに設けた警報装置から、同時に実施するように構成することもできる。この場合、トイレ内では「異物が検出されましたので、洗浄機能を停止しました」などの音声を出力するようにしておくことで、上述のような困惑を防止することができる。
【0044】
このように、本実施形態によれば、トイレの使用者から聞き取る必要なく便器に排泄した排泄物の内容を示す排泄情報を収集し、且つ、排泄物以外の異物が便器に存在するようにされた場合であってもその異物を流さないようにすることが可能になる。
【0045】
<実施形態2>
実施形態2について、
図2~
図19を併せて参照しながら実施形態1との相違点を中心に説明するが、実施形態1で説明した様々な例が適用できる。
図2は、実施形態2に係る情報処理システムの一構成例を示す図で、
図3は、
図2の情報処理システムにおける情報処理装置の一構成例を示すブロック図である。また、
図4は、
図2の情報処理システムにおける情報処理装置によるユーザ探知範囲の一例を示す概念図である。
【0046】
本実施形態に係る情報処理システム(以下、本システム)は、その一部がトイレに設置され、排泄情報の記録及び提示、並びに排泄予測を行うシステムとすることができ、以下、具体的に説明する。
【0047】
本システムは、便器20に取り付けられた情報処理装置10と、情報処理装置10に無線接続されたサーバ40と、サーバ40に無線接続された端末装置50と、を備えることができる。なお、これらの接続は例えば1つの無線LAN(Local Area Network)内で行うことができる。また、以下では、情報処理装置10がトイレの便器20に設置されるものとして説明するが、撮像データを撮像するためのカメラなど、少なくとも一部が便器20に設置されていればよい。便器20は、その本体21に、例えばユーザ洗浄用の温水洗浄機能を搭載した便座22と、便座22を塞ぐための便座カバー23と、を設けておくことができる。
【0048】
情報処理装置10は、トイレ設置型(この例では便器設置型)の装置とすることができ、排泄物の記録、排泄物情報の提示(通知等)、及び排泄予測を、サーバ40及び端末装置50と連携しながら行う。情報処理装置10と便器20とは、例えば、排泄情報を出力する機能付き便器30を構成することができる。この機能は、主に情報処理装置10がサーバ40等と連携しながら実行する機能であり、後述する。
【0049】
また、情報処理装置10の形状は、
図2で示した形状に限らず、例えば便座22等にその機能の全部又は一部を埋め込むような構成とすることもできる。また、情報処理装置10の機能の一部は便座22側に設けておくこともできる。例えば、情報処理装置10に後述の距離センサ16aを設けず、便座22に重量センサを設けておき、その重量センサからの情報を無線又は有線の通信により情報処理装置10が受信するような構成を採用することもできる。同様に、情報処理装置10に後述の第1カメラ16bを設けず、便座22側にカメラを設けておき、そのカメラからの撮像データを無線又は有線の通信により情報処理装置10が受信するような構成を採用することもできる。
【0050】
サーバ40は、制御部41と、学習済みモデルを記憶した記憶部42と、を備えることができる。制御部41は、例えば、CPU、作業用メモリ、及びプログラムを記憶した不揮発性の記憶装置などによって実現することができる。また、制御部41は、例えば集積回路(Integrated Circuit)によって実現することもできる。この記憶装置は、記憶部42と兼用とすることができ、また、このプログラムは、サーバ40の機能をCPUに実現させるためのプログラムとすることができる。
【0051】
端末装置50は、トイレのユーザの監視者がもつ端末装置であり、可搬型の情報処理装置とすることができるが、設置型の装置であってもよい。前者の場合、端末装置50は、携帯電話機(スマートフォンと称されるものも含む)、タブレット、モバイルPCなどとすることができる。端末装置50も、図示しないが、その全体の制御を行う制御部と、記憶部と、を備えることができ、この制御部は、制御部41と同様に、例えばCPU、作業用メモリ、記憶装置などによって実現することができる。また、この記憶装置に記憶されるプログラムは、端末装置50の機能をCPUに実現させるためのプログラムとすることができる。
【0052】
次に、情報処理装置10の詳細な例について説明する。情報処理装置10は、例えば、
図2及び
図3に図示するように2つの装置で構成されることができる。より具体的には、情報処理装置10は、その筐体として、例えば、第1外付けボックス13及び第2外付けボックス11といった2つのボックスを備えることができる。また、情報処理装置10は、第1外付けボックス13及び第2外付けボックス11の間を繋ぐボックス間接続部(ボックス間接続構造物)12を備えることができる。この例における情報処理装置10は、例えば、次のようにして便器20の本体21に設置することができる。即ち、情報処理装置10は、本体21の内側(排泄物の排泄範囲がある側)に第1外付けボックス13を、本体21の外側に第2外付けボックス11を、それぞれ配設するように、本体21の縁部にボックス間接続部12を載置することで、便器20に設置できる。
【0053】
第1外付けボックス13には、例えば、距離センサ16a及び第1カメラ16bを収納しておくことができる。第2外付けボックス11には、例えば、CPU11a、コネクタ11b、USB I/F11c,11d、WiFiモジュール14a、Bluetoothモジュール14b、人感センサ15a、及び第2カメラ15bを収納しておくことができる。なお、USBはUniversal Serial Busの略であり、USB、WiFi、及びBluetoothはいずれも登録商標である(以下同様)。
【0054】
なお、第2外付けボックス11において、各種I/Fやコネクタを備えず、直接、CPU11aに接続することもできる。また、情報処理装置10は、CPU11aを具備せず、単に、各種データを得るセンサやカメラ類と、サーバ40側に各種データを送信する機能のみ具備することもできる。
【0055】
図3に示すように、第1外付けボックス13と第2外付けボックス11とは、コネクタ11b及びUSB I/F11cで例示するインタフェースによって接続され、その接続線をボックス間接続部12の内部に備えることで、一つの情報処理装置10を構成する。
【0056】
第1外付けボックス13について説明する。
距離センサ16aは、対象物(便器20のユーザの臀部)との距離を計測し、便座22にユーザが座ったことを検知するセンサであり、閾値の値を超えて一定時間経過した場合に対象物が便座22に着座したことを検知する。また、距離センサ16aは、着座後に、対象物の距離が変動した場合、ユーザが便座22から退座したことを検知する。
【0057】
距離センサ16aは、例えば、赤外線センサ、超音波センサ、光学センサなどを採用することができる。距離センサ16aは、光学センサを採用する場合、第1外付けボックス13に設けられた穴から光(可視光に限らない)の送受信が行えるように、送受信素子を配置しておけばよい。ここでの送受信素子は、送信素子と受信素子とが別個に構成されていてもよいし、一体化されていてもよい。距離センサ16aは、コネクタ11bを介してCPU11aに接続されており、検知結果をCPU11a側に送信することができるようになっている。
【0058】
第1カメラ16bは、
図1の取得部1aで排泄情報の取得の元となる撮像データを撮像するカメラの一例であり、第1外付けボックス13に設けられた穴にレンズ部分を配置させた光学カメラとすることができる。第1カメラ16bは、実施形態1で説明したように、トイレの便器20における排泄物の排泄範囲を撮像範囲に含めるように設置されている。第1カメラ16bは、USB I/F11cを介してCPU11aに接続されており、撮像データをCPU11a側に送信する。
【0059】
第2外付けボックス11について説明する。
CPU11aは、情報処理装置10の主制御部の例であり、情報処理装置10の全体を制御する。コネクタ11bは、人感センサ15a及び距離センサ16aと、CPU11aと、を接続する。USB I/F11cは、第1カメラ16bとCPU11aとを接続し、USB I/F11dは、第2カメラ15bとCPU11aとを接続する。
【0060】
人感センサ15aは、例えば
図4の斜線領域で示すような特定領域(人感センサ15aの測定領域範囲)に人が存在すること(人の入退室)を検知するセンサであ。
図4における斜線領域は、トイレの部屋Rの一部となる。人感センサ15aは、その検知方式を問わず、例えば、赤外線センサ、超音波センサ、光学センサなどを採用することができる。人感センサ15aは、コネクタ11bを介してCPU11aに接続されており、特定領域に人を検知した場合、検知結果をCPU11aに送信する。この検知結果は、CPU11aによりWiFiモジュール14aを介してサーバ40に送信されることができる。
【0061】
第2カメラ15bは、第2外付けボックス11に設けられた穴にレンズ部分を配置させた光学カメラとすることができ、トイレのユーザを識別するためにユーザの顔画像を撮影して顔画像データを得るカメラの例である。第2カメラ15bは、ユーザの顔を撮像範囲に含めるように、便器20に設置されることができるが、便器20が設置されるトイレの部屋に設置されることもできる。
【0062】
Bluetoothモジュール14bは、ユーザを識別するための識別データを、ユーザが保持するBluetoothタグから受信する受信機の一例であり、他の近距離通信規格に基づくモジュールに置き換えることもできる。ユーザが保持するBluetoothタグは、ユーザ毎に異なるIDとしておき、例えばリストバンド等に埋め込むなどして、ユーザに保持させておくことができる。
【0063】
WiFiモジュール14aは、取得した各種データをサーバ40へ送信する通信機器の一例であり、他の通信規格を採用するモジュールに置き換えることもできる。第2カメラ15bで取得された顔画像データやBluetoothモジュール14bで得られた識別データは、CPU11aによりWiFiモジュール14aを介してサーバ40に送信されることができる。
【0064】
CPU11a、USB I/F11c、WiFiモジュール14a、及びサーバ40は、
図1の取得部1aの一例とすることができ、第1カメラ16bで撮像された撮像データに基づき排泄情報を得る。この場合、撮像データから排泄情報を得る主な処理は、サーバ40が担うことができる。
図2の例におけるサーバ40は、学習済みモデルに撮像データを入力し、排泄情報を取得する。そして、主にサーバ40は、撮像データに、便器及びその洗浄用液体を除く被写体として糞尿以外の物体である異物が含まれるか否かを示す情報を、排泄情報の少なくとも一部として得る。
【0065】
CPU11a、WiFiモジュール14a、及びサーバ40は
図1の生成部1bの一例とすることができる。この場合、排泄情報から提示情報を生成する主な処理は、サーバ40が担うことができる。
図2の例におけるサーバ40は、学習済みモデルに撮像データを入力し、排泄情報とともに提示情報を取得する。そして、主にサーバ40は、排泄情報として異物が含まれる情報が得られた場合(得られる場合でも同義)、警告情報を提示情報の少なくとも一部として生成する。
【0066】
なお、学習済みモデルが排泄情報及び提示情報を双方出力する例に基づき説明しているが、実施形態1で説明したように、それぞれの情報を別個の2つの学習済みモデルで得ることもできる。この場合、上記異物が含まれる情報が得られた場合とは、上記異物が含まれる情報が得られるような入力撮像データであるような場合も、同義となる。
【0067】
CPU11a、WiFiモジュール14a、サーバ40、及び端末装置50は、
図1の出力部1cの一例とすることができる。この場合、提示情報として異物発生時の警告情報を出力する主な処理は、端末装置50が担うことができ、端末装置50がサーバ40で生成された提示情報を受信して表示及び/又は音声で出力する。
【0068】
また、警告情報以外の提示情報は、サーバ40が記憶部42等に記憶しておき、例えば端末装置50からのアクセスに応じてサーバ40が出力するようにしておくこともできる。特に、後述する排泄日誌などについては、このような出力例を採用することが望ましく、これにより、端末装置50から、その使用者が望むときに排泄日誌を閲覧することができるようになる。
【0069】
CPU11aと、便座22とCPU11aとのインタフェース(図示せず)とは、
図1の洗浄制御部1dの一例とすることができる。なお、洗浄機能については、既存の技術を利用して便器20へ流す水の量を制御するように(この例では便座22が制御するように)すればよい。そして、CPU11aは、WiFiモジュール14aを介してサーバ40から排泄情報を受信し、排泄情報として異物が含まれる情報が得られた場合、洗浄機能を停止させる停止指示を便器側(この例では便座22)に出力し、これにより洗浄機能が停止される。
【0070】
例えば、トイレの便座22の電源コードに接続している遠隔操作可能な電源タップに電源切断を通知して、トイレの便器20の洗浄機能を停止する。より具体的には、IoT(Internet of Things)タップを介して便座22に電源を供給しておき、停止指示をこのIoTタップに対して出力し、電源をオフさせるようにしておくことができる。この場合、停止指示は、例えば、CPU11aがBluetoothモジュール14bを介して行うことができる。
【0071】
このように、本システムでは、第1カメラ16bが撮像範囲を撮像して得た撮像データを、学習済みモデルに入力することにより(又は他のデータとの比較を実施することにより)、排泄物か排泄物以外かの確認を行うことができる。また、排泄物であった場合には、排泄物の形状、色、量の把握を行うこともでき、特に好適に学習された学習済みモデルを用いることでよりこの把握が正確になる。そして、本システムでは、撮像対象物が排泄物では無いと判定された場合には、介護士等の監視者に警告情報(アラーム)を通知するとともに、便器20の洗浄機能を停止する。
【0072】
サーバ40は、第2カメラ15bで取得された顔画像データを、WiFiモジュール14aを介して受信し、予め記憶された認証用データと、例えばその特徴点などを比較して顔認証処理を行い、合致した認証用データに関連付けられた識別データを得る。このように、サーバ40は、識別データ(ユーザを識別する識別データ)を得ること、つまりユーザを特定することができる。
【0073】
そして、サーバ40は、情報処理装置10から撮像データとともに撮像データ取得時の便器20のユーザの顔画像データを得ることができるため、その顔画像データに基づきユーザが識別でき、ユーザ毎に提示情報の生成を行うことができる。この顔認証処理により、最も近似したユーザを、現在のトイレのユーザとして特定することができる。このように、上述した識別データは、便器20又は便器20が設置された部屋(トイレの個室)において、第2カメラ15bで撮像された顔画像データに基づき、顔認証処理を実行することで、ユーザを識別したデータとすることができる。なお、第2カメラ15bで撮像した顔画像データは、プライバシーを考慮して保存しないようにしておくことが好ましい。
【0074】
そして、端末装置50は、その提示情報をユーザ毎に出力することができる。また、サーバ40は、ユーザ毎に1又は複数の提示対象者(例えばユーザが要介護者の場合には担当の監視者)を予め定めておけば、その提示対象者が使用している端末装置50に提示情報を出力することができる。監視者としては、介護士が挙げられ、場合によっては医師も挙げられるが、介護士でなくても介助者も挙げることができる。また、本システムの適用環境によっては、監視者はそれ以外であってもよい。
【0075】
さらに、サーバ40は、Bluetoothモジュール14bで得られた識別データ(個人認証用データ)を、WiFiモジュール14aを介して受信し、予め記憶された認証用の識別データと比較してユーザ認証を行う。なお、例えば、自身のBluetoothタグを保持する介護士と、自身のBluetoothタグを保持する要介護者と、が一緒にトイレに入室した場合などには、後者をユーザとして選択するようにしておけばよい。このように、サーバ40は、識別データ(ユーザを識別する識別データ)を得ること、つまりユーザを特定することができる。
【0076】
そして、サーバ40は、情報処理装置10から撮像データとともに撮像データ取得時の便器20のユーザを識別する識別データを得ることができるため、その識別データに基づき、ユーザ毎に提示情報の生成を行うことができる。そして、端末装置50は、その提示情報をユーザ毎に出力することができる。また、サーバ40は、ユーザ毎に1又は複数の提示対象者を予め定めておけば、その提示対象者が使用している端末装置50に提示情報を出力することができる。
【0077】
なお、この例では、顔画像データ及び識別データの2種類のデータからユーザを特定しており、2つの特定機能を有すると言えるが、無論、いずれか一方でもユーザの特定は可能である。例えば、本システムにおいて双方の特定機能を備えておき、運用時にいずれか一方を選択することができる。或いは、本システムにおいていずれか一方の特定機能のみを備えておくこともできる。
【0078】
また、提示情報が異物発生時の警告情報である場合には、次のような処理を行うこともできる。サーバ40は、複数の介護士の端末装置50に警告情報を出力後、或る介護士の端末装置50からその要介護者を介助する旨の通知を受信した場合、その後の警告情報はそのような宣言した介護士の端末装置50のみに出力されるようにすることもできる。その後の警告情報とは、後述するように、入室が検知された後の退室が検知されるまでとすることもできる。
【0079】
上述したように、人感センサ15aでの検知結果は、サーバ40に送信されることができる。この検知結果は、トイレへの入退室の判定のために利用することができ、よって、検知がなくなった場合についてもその情報をサーバ40が得ることができるようにしておく。サーバ40は、情報処理装置10から検知結果を受信した場合、上述したように特定したユーザの識別データと関連付けて、その便器20の設置場所であるトイレの入退室を示すデータ(入退室データ)を記憶部42等に記憶する。なお、入退室データに識別データが含まれることもできる。
【0080】
そして、サーバ40は、識別データと入退室データとに基づき、ユーザ毎に提示情報の生成を行う。これにより、サーバ40は、ユーザ毎に提示情報を出力することができ、また、入退室データを利用することでより、複数回の排便があった場合でもそれらを一連の排便処理についての排泄情報及び提示情報として取り扱うことができるようになる。
【0081】
また、本システムでは、人感センサ15aが人を検出した場合に、第2カメラ15bがトイレに入場した対象者を撮影するように処理することもできる。これにより、人を検出した場合にのみ、顔認証を実施することができる。
【0082】
また、サーバ40は、人感センサ15aから取得したデータとユーザを識別した識別データとにより、単独でトイレに入室した場合や退室した場合を把握することができ、このような入退室だけを含む提示情報を、端末装置50に通知することもできる。その場合、ユーザ毎に1又は複数の通知対象者(例えばユーザが要介護者の場合には担当の介護士等の監視者)を予め定めておけば、その通知対象者が使用している端末装置50に通知することができる。
【0083】
また、同様の考え方は距離センサ16aで検知されたデータに基づく処理に適用することもできる。即ち、サーバ40は、距離センサ16aから取得したデータを参照し、一定時間以上近距離にある場合や距離が設定した閾値を超えた状態を確認して、長時間便座に座っている状態や便座22から退座した状態を検知することができる。そして、サーバ40は、1又は複数の通知対象者が使用している各端末装置50に、長時間便座に座っている状態や便座22から退座した状態を示す提示情報を、通知することができる。
【0084】
また、サーバ40は、複数の介護士の端末装置50に通知後、或る介護士の端末装置50からその要介護者を介助する旨の通知を受信した場合、その後はそのような宣言した介護士の端末装置50のみに通知されるようにすることもできる。ここでのその後の通知とは、退室が検知されるまでとすることもできる。
【0085】
また、サーバ40は、排泄情報と排泄行為の日時とに基づき、排泄タイミングを算出し、排泄タイミングを通知する情報を提示情報の少なくとも一部として生成することもできる。なお、排泄行為の日時は、撮像データの撮像日時、被写体の識別日時、入退室日時、着座日時、退座日時、着座から退座の中間の日時などのいずれかにより得ることができる。
【0086】
この場合の提示情報の通知先も、例えば、予め定められた1又は複数の監視者とすることができる。また、この算出の処理は、排泄タイミングの予測処理とすることができ、これにより、排泄タイミングが近づいた際(排泄タイミングの所定時間前)に、定時排泄の促しを行うことができる。
【0087】
排泄タイミングは、便意の周期が一日を通して一定として、或いは初期時刻(起床の時刻又は1日の最初の排便の時刻)から一定周期として、算出することができる。この場合、より単純な例では、排泄タイミングは、平均的な間隔の時間、或いは初期時刻から平均的な間隔の時間とすることができる。但し、排泄タイミングとして、学習済みモデルを用いるなどして時間帯に応じたそのユーザの便意をもよおすタイミングを得ることもできる。また、排泄タイミングは、排泄情報に基づき、排尿と排便とで分けて算出、通知することが好ましい。また、排泄タイミングの通知は、要介護者が保持する端末装置に対しても実施することで、要介護者の失禁等を減らし自立支援を行うことができる。
【0088】
次に、
図5~
図9を併せて参照しながら、端末装置50への提示情報の通知例について説明する。
図5~
図9は、
図2の情報処理システムにおける端末装置での通知例を説明するための図である。なお、以下に説明する提示情報は、適時提示されるものであり、特に説明しないが、情報が得られ次第、更新することができる。
【0089】
図5に示すように、端末装置50は、その表示画面51において、提示情報52~54を適時通知することができる。提示情報54は、人感センサ15aで人を検知した場合に、ユーザを識別して、そのユーザ(この例ではPAさん)のトイレへの入室を通知する情報の例である。ユーザの識別は、人感センサ15aで人を検知した場合に、第2カメラ15bで得た顔画像データに基づく顔認証処理、若しくはBluetoothモジュール14bで受信した識別処理を行った結果、得ることができる。顔認証者リスト又は識別者リストには、複数人での介護が必要な要介護者を記録しておくことで、その該当者だった場合には、提示情報54に、氏名(この例ではPAさん)の横に複数人介護の対象者であることを知らせる情報を含むことができる。また、提示情報54には、要介護者に対応することを通知することを選択するボタン54aを含むことができる。
【0090】
本システムは、介護者CAが端末装置50においてボタン54aを選択した場合、例えば、他の介護者の端末装置50(及び介護者CAの端末装置50)に、提示情報53を表示するように構成することができる。提示情報53は、CA氏がPAさんに対応する旨の情報を含むことができる。特に、本システムは、PAさんの例のように複数人介護の対象者である場合において、ボタン54aが選択された場合、他の介護士が使用する端末装置50へも要介護者への対応を通知するように構成することもできる。また、提示情報52は、PAさんについて検知状態から不検知状態に変化した場合に、トイレからの退出を通知する情報の例である。
【0091】
図6に示すように、端末装置50は、その表示画面51において、提示情報55,56を適時通知することができる。提示情報56は、距離センサ16aで便座22へ着座を検知した場合に、ユーザを識別して、そのユーザ(この例ではPAさん)の便座22への着座を通知する情報の例である。ユーザの識別は、例えば提示情報54を提示した後であれば処理済みであるため不要であり、提示情報54を提示しない例では、次のように行えばよい。即ち、ユーザの識別は、距離センサ16aで着座を検知した場合に、第2カメラ15bで得た顔画像データに基づく顔認証処理、若しくはBluetoothモジュール14bで受信した識別処理を行った結果、得ることができる。また、提示情報55は、PAさんについて検知状態から不検知状態に変化した場合に、便座22からの退座を通知する情報の例である。
【0092】
図7に示すように、端末装置50は、その表示画面51において、提示情報57,58を適時通知することができる。提示情報58は、第1カメラ16bで得られた撮像データから被写体を識別し、それが排泄物であった場合に、ユーザを識別して、そのユーザ(この例ではPAさん)が排泄中であることを通知する情報の例である。ユーザの識別は、例えば提示情報54,56を提示した後であれば処理済みであるため不要であり、提示情報54,56のいずれも提示しない例では、次のように行えばよい。即ち、ユーザの識別は、第1カメラ16bで得られた撮像データから被写体を識別した場合に、第2カメラ15bで得た顔画像データに基づく顔認証処理、若しくはBluetoothモジュール14bで受信した識別処理を行った結果、得ることができる。
【0093】
また、提示情報57は、PAさんについて排泄物の識別終了時点から一定時間経過した場合に、排泄完了を通知する情報の例である。また、本システムは、一定時間経過したか否かを判定する代わりに、新たに撮像情報を第1カメラ16bから得て、排泄物や他の異物が存在しなかった場合に、排泄完了を通知するように構成することもできる。
【0094】
図8に示すように、端末装置50は、その表示画面51において、提示情報59を適時通知することができる。サーバ40は、上述したように、第1カメラ16bで得られた撮像データの撮像日時(又はその排泄物を識別した日時等)を、情報処理装置10から受信して記録するように構成することができる。そして、サーバ40は、上述したように排泄行為の実施予定日時(排泄タイミング)を、ユーザ毎に算出し、記録しておくことができる。提示情報59は、このように算出されたユーザ毎の排泄タイミングに基づき、ユーザ(この例ではPAさん)の予定日時が近づいたら通知する情報の例である。また、本システムは、ユーザ自身(この例ではPAさん)が使用する端末装置をサーバ40に登録しておくこともでき、その場合、提示情報59で例示したような排泄予定を知らせる通知を、その端末装置にも通知することが好ましい。
【0095】
図9に示すように、端末装置50は、その表示画面51において、提示情報61~64を適時通知することができる。提示情報64は、距離センサ16a若しくは人感センサ15aの検知が一定時間経過した場合に、ユーザを識別して、そのユーザに何らかの異常が発生したと想定されるために長時間トイレの便座に着座していることを通知する情報の一例である。この情報も警告情報の一種であると言える。ユーザの識別は、例えば提示情報54,56,57を提示した後であれば処理済みであるため不要であり、提示情報54,56,57のいずれも提示しない例では、次のように行えばよい。即ち、ユーザの識別は、距離センサ16a若しくは人感センサ15aの検知が一定時間経過した場合に、第2カメラ15bで得た顔画像データに基づく顔認証処理、若しくはBluetoothモジュール14bで受信した識別処理を行った結果、得ることができる。
【0096】
また、提示情報63は、第1カメラ16bで得られた撮像データから被写体を識別し、それが排泄物以外の異物であった場合に、ユーザを識別して、そのユーザ(この例ではPAさん)について異物が混入された(検出された)ことを通知する警告情報の例である。ユーザの識別については同様であり、処理済みであるため不要であり、処理済みでない場合には、第1カメラ16bで得られた撮像データから被写体を識別した場合に、顔認証処理又は識別処理を行った結果、得ることができる。また、提示情報63の出力と同時に、情報処理装置10は、トイレの電源コードに接続している遠隔操作可能な電源タップに電源切断を通知して、トイレの洗浄機能を停止する。
【0097】
また、本システムでは、第1カメラ16bで得られた撮像データから排泄物を識別した日時をサーバ40に記録しておくことができる。提示情報62は、最後の排便から一定時間排便記録が無かった場合に、要介護者に便秘が発生していると想定されるため、長時間排便していないことを通知する情報の例である。また、提示情報61は、排泄、排尿が終了しているのに、一定時間以上距離センサ16aの反応がある場合に、長時間トイレに滞在していることを通知する情報の一例である。これらの提示情報62,61も警告情報の一種であると言える。
【0098】
また、本システムでは、上述した提示処理の処理内容(例えば警告情報の通知)を、例えば端末装置50からそのユーザ(例えば監視者)が設定できるように構成しておくことが好ましい。そのため、例えばサーバ40に、例えば監視者毎の設定内容を記憶しておき、それに従ってサーバ40が処理を行うように構成しておくことができる。これにより、監視者毎に、各種アラームや通知の表示有無の有効/無効を切り替えができる。より詳細な例を挙げると、本システムでは、「或る監視者CAは、或る要介護者PAの警告情報は受信するが、それ以外は受信しない」などといった設定を行うことも可能にしておくことが好ましい。
【0099】
以上では、本システムについて1つのみ便器20(1つのみのトイレの部屋)が存在することを前提として説明した。しかし、本システムでは、複数のトイレについて撮像データを収集し、排泄情報を得ることが好ましい。これにより、或るユーザが2つ以上のトイレを使用する可能性がある場合にも、本システムを適用できるようになる。
【0100】
次に、サーバを分散型にしたシステム及びそのシステムにおける処理例について、上述した排泄日誌の例とともに、
図10及び
図11を併せて参照しながら説明する。
図10は、本実施形態に係る情報処理システムの他の例を示す概念図で、サーバを分散型にしたシステムの例を示す図である。
図11は、
図10の情報処理システムにおいて記録される情報の一例を示す図である。
【0101】
図10に示す情報処理システムは、情報処理装置10付きの便器30と、サーバ40と、端末装置50と、を記録や通知のために備えるとともに、予測のためのサーバ70を備えるものである。つまり、
図10に示す情報処理システムは、上述した例において、サーバ40の機能のうち予測機能をサーバ70に設け、機能分散したものである。
図10におけるサーバ40は、排泄情報、及びそれに基づき生成される排泄日誌を記録する機能等を有するものとする。
【0102】
サーバ40は、トイレでユーザPについて情報処理装置10等により収集された情報を無線LAN経由で受信し、ユーザPについての排泄情報として記録する。排泄情報は、例えば
図11に例示するように、発生日時、対象者、発生場所、被写体の種別(主に排泄物の種別)、排尿の量、排便の形状、排便の色、排便の回数及び排尿の回数、及び特記事項を含むことができる。また、排泄情報は、排便の量も含むことができ、また介護者が居た場合には介護者名(又は介護者のID)も含むことができる。なお、特記事項は、端末装置50等から別途入力することができる。なお、この例は、
図2で例示した本システムについても同様である。また、排泄情報は、データベース型式で記録されることが望ましい。
【0103】
また、このように記録された排泄情報は、学習済みモデルを構築する上でのデータとすることができ、過学習の場合を除き基本的にデータ量が増える毎に、学習済みモデルの精度を向上させることができると言える。無論、本システム等における学習済みモデルは、運用する学習モデルと言え、学習しながら運用される場合にはその学習モデルもその概念に含まれる。
【0104】
また、サーバ40は、排泄情報に基づく提示情報を、ユーザPの監視者Cが使用する端末装置50に通知する。さらに、サーバ40は、排泄情報に基づき、提示情報の少なくとも一部として排泄日誌を生成することもできる。なお、排泄日誌のフォーマット等は問わないが、その例については後述する。また、サーバ40は、端末装置50等からの印刷指示に従い、対象となる排泄日誌を、例えば図示しない印刷装置に対して排泄日誌を印刷するための印刷ジョブ(印刷データ)を出力することもできる。
【0105】
サーバ40は、排泄情報に基づき尿流率(平均値、最大値など)又は排尿量(1回当たり又は単位時間当たり)を算出し、尿流率又は排尿量の低下状況を示す情報を、提示情報の少なくとも一部として生成することもできる。実際、排尿時の撮像データは、滞水に色がつくだけでなく、少なくとも一時的に増水又は波打った状態の滞水が被写体として含まれる。よって、排尿前と排尿中又は排尿後とで撮像データに差が生じ、排尿量等の情報を学習済みモデルでその差を反映したような情報として出力することができる。無論、実施形態1で触れたように学習済みモデルを用いない場合でも、上記差を比較により得ることで排尿量等の情報を得ることができる。なお、尿流率、排尿量の単位は、問わないが、例えばそれぞれ、ml/sec、mlとすることができる。また、例えば尿流率の低下は、排尿回毎の低下の割合などで表現することができ、例えば設定されている閾値を超えるか否かの情報として、低下状況を示す情報を生成することもできる。
【0106】
また、サーバ40は、排泄情報に基づき単位期間当たりの排便回数又は排便量を算出し、排便回数の低下状況を示す情報を、提示情報の少なくとも一部として生成することもできる。実際、排便時の撮像データは、少なくとも便が被写体として含まれる。よって、排便前と排便中又は排便後とで撮像データに差が生じ、排便量等の情報を学習済みモデルでその差を反映したような情報として出力することができる。無論、実施形態1で触れたように学習済みモデルを用いない場合でも、上記差を比較により得ることで排便量等の情報を得ることができる。なお、排便量の単位は問わないが、例えばml或いはcm3などとすることができる。また、例えば排便回数、排便量の低下は、それぞれ排便頻度、排便量の低下の割合などで表現することができ、例えば設定されている閾値を超えるか否かの情報として、低下状況を示す情報を生成することもできる。なお、排便と排尿に関するこれらの算出は、いずれか一方のみを採用することもできるが、双方採用することが望ましい。
【0107】
また、サーバ70は、上記収集された情報又は排泄日誌として記録された情報をサーバ40から取得し、それらの情報を抽出及び解析により排泄タイミングを予測する。排泄タイミングには、排便タイミング、排尿タイミングを含むことができ、それぞれから所定時間を足した便秘タイミング、排尿障害のタイミングを含むこともできる。そして、サーバ70は、排泄タイミングの到来により、或いはその所定の時間前に、対応する端末装置50にその通知を行うことができる。
【0108】
なお、通知先は、端末装置50の他に又はそれに代えて、例えばナースコールシステムの通知装置、監視者が端末装置50以外にもつ他の端末装置(例えばPHS:Personal Handy-phone System)、インターカム80等であってもよい。また、上述したように、トイレのユーザが端末装置をもっていた場合にはその端末装置も通知先に含めることができる。
【0109】
サーバ40は、病院等の施設の場合にはその施設内に設置することができ、個人利用である場合には個人宅に設置することや集合住宅に設置することもでき。いずれの場合にも、サーバ40は、クラウドサーバとすることもできる。サーバ70についても同様であるが、サーバ70は、複数設置したサーバ40に接続しておくことができ、サーバ40の数より少ない数とすることができる。
【0110】
また、端末装置50のプログラムは、提示情報の提示機能を含む介護ソフトウェアとして、端末装置50に実行可能に組み込まれていることができる。また、端末装置50にも、提示情報の他に、情報処理装置10等のトイレ側で得られた情報を直接受信して記憶しておくこともでき、同様にサーバ40,70で記録される各種情報も受信して記憶しておくこともできる。
【0111】
次に、
図12~
図15を併せて参照しながら、ユーザが要介護者であり監視者が介護者である場合を例に挙げて排泄日誌の様々な例について説明する。
【0112】
図12は、
図2又は
図10の情報処理システムにおいて生成される、或る一人についての1日の排泄日誌の一例を示す図である。
図12で例示する排泄日誌は、個人(この例ではPAさん)及び日で特定される1日の日誌であり、縦軸に時刻、横軸に、施設名、尿と便の種別、量、形状、色、排泄回数、介護者名、及び特記事項を含んでいる。端末装置50は、このようなフォーマットの排泄日誌を、トイレユーザ及び日付を指定してサーバ40から読み出して表示させることができる。
【0113】
図13は、
図2又は
図10の情報処理システムにおいて生成される、或る一人についての排泄日誌の一例を示す図で、
図14は、
図13の排泄日誌の続きを示す図である。
図13及び
図14で例示する排泄日誌は、個人(この例ではPAさん)及び週で特定される1週間の日誌であり、縦軸に時間、横軸に、尿と便の種別、量、形状、色、排泄回数、及び特記事項を含んでいる。端末装置50は、このようなフォーマットの排泄日誌を、トイレユーザ及び週を指定してサーバ40から読み出して表示させることができる。
【0114】
図15は、
図2又は
図10の情報処理システムにおいて生成される、或る複数人についての1日の排泄日誌の一例を示す図である。
図15で例示する排泄日誌は、複数の個人(この例ではPAさん、PBさん、PCさん)及び日で特定される1日の日誌であり、縦軸に時刻、横軸に、尿と便の種別、量、形状、色、排泄回数、及び特記事項を含んでいる。端末装置50は、このようなフォーマットの排泄日誌を、複数のトイレユーザ及び日付を指定してサーバ40から読み出して表示させることができる。
【0115】
また、サーバ40は、端末装置50からの表示切り替え指示などにより、これらの排泄日誌を切り替えて出力することができるように構成しておくことができる。
【0116】
以上のような構成により、
図10の情報処理システム等の本システムでは、端末装置50から容易に、トイレのユーザの介助のための情報の閲覧や排泄日誌の閲覧(及び情報の追加)を行うことができるようになる。無論、ここで例示した排泄日誌以外のフォーマットで記録や表示を行うこともできる。
【0117】
次に、
図16~
図19を併せて参照しながら、
図2又は
図10の情報処理システムの処理例について、ユーザが要介護者であり監視者が介護者である場合を例に挙げて説明する。
図16は、
図2又は
図10の情報処理システムにおける処理の一例を説明するためのフロー図で、
図17は、
図16に続くフロー図である。
【0118】
図16及び
図17で例示する処理は、要介護者がトイレに入室し排泄を行った後にトイレから退室するまでの間に行われる記録、通知、及び排泄予測の処理例である。情報処理装置10での処理は主にCPU11aが主体となって実行され、サーバ40(及びサーバ70)の処理は主にその制御部が主体となって実行される。また、以下で例示する処理は、終了後、適宜繰り返されることで、毎回の排泄行為等についての処理を行うことができる。
【0119】
まず、サーバ40は、情報処理装置10から送信されてくる人感センサ15aの反応の有無をチェックし(ステップS1)、反応がない場合(NOの場合)は、通知なしのまま、処理を終了する。要介護者がトイレに入室すると人感センサ15aが反応し、ステップS1でYESとなる。情報処理装置10では、この場合、第2カメラ15bで撮像した顔画像データを入力し、サーバ40に送信する。サーバ40は、顔認証処理を実施し(ステップS2)。登録者の一覧に登録されているか否かの確認を行い、認証成功したか否かを判定する(ステップS3)。なお、サーバ40は、いずれの結果であった場合でも情報処理装置10側にその結果を返信する。
【0120】
サーバ40は、ステップS3でYESの場合(登録者であった場合)、端末装置50に入室通知を行う(ステップS4)。サーバ40は、ステップS3でNOの場合(未登録者であった場合)、端末装置50にその旨を示す警告を通知し(ステップS5)、処理を終了する。未登録者である旨の警告により、端末装置50の保持者は、例えば不審者の可能性を把握することができる。
【0121】
ステップS4に続き、サーバ40は、情報処理装置10から送信されてくる距離センサ16aの反応の有無を確認し(ステップS6)、反応がある場合(YESの場合)、端末装置50に着座通知を行う(ステップS7)。ステップS6でNOの場合(反応がない場合)、サーバ40は、情報処理装置10から送信されてくる人感センサ15aの反応の有無をチェックする(ステップS8)。
【0122】
人感センサ15aの反応がなかった場合(ステップS8でNOの場合)、サーバ40は、端末装置50へ退室通知を行い(ステップS18)、処理を終了する。人感センサ15aの反応があった場合(ステップS8でYESの場合)、サーバ40は
図9の提示情報61で例示したような入室者の異常を示す警告情報を端末装置50に通知する(ステップS19)。この警告情報は、トイレ内で要介護者に何らかの異常が発生した可能性があるため通知される。なお、ステップS19の処理後は処理を終了する。
【0123】
ステップS7に続き、サーバ40は、情報処理装置10から送信された第1カメラ16bで取得された撮像データから被写体の識別処理を実施し、識別できる物が存在したか否かを判定する(ステップS9)。ステップS9でNOの場合(つまり、何も被写体が映ってなかった場合)、サーバ40は、トイレ内で要介護者に何らかの異常が発生した可能性があるために、ステップS19に移行し、警告を行う。
【0124】
ステップS9でYESの場合、サーバ40は、その被写体が排泄物であるか否か(異物であるか)を判定する(ステップS10)。ステップS10でYESの場合(被写体が排泄物である場合)、端末装置50に排泄通知を行う(ステップS11)。
【0125】
一方で、ステップS10でNOの場合(被写体が排泄物ではなかった場合)、トイレに異物が落とされた可能性がある。よって、この場合、サーバ40は、
図9の提示情報63で例示したような異物の検出を通知する警告情報を端末装置50に通知するとともに、情報処理装置10に便器20の洗浄機能を停止する指示を発するように指示する(ステップS12)。これにより、洗浄機能が停止され、介護者がその便器20の設置場所へ出向き、異物を取り除くことができ、排水管への異物混入を防止できるだけでなく、検査が必要な異物である場合には検査機関に渡すことができる。なお、ステップS12の処理後は処理を終了する。
【0126】
ステップS11に続き、サーバ40は、情報処理装置10から送信される撮像データに基づき一定時間、識別物(排泄物又は異物)の検知が行われなかったか否かを判定する(ステップS13)。サーバ40は、反応がなかった場合(YESの場合)、端末装置50に排泄完了通知を行う(ステップS14)。ステップS13でNOの場合(反応が続いている場合)、サーバ40は、ステップS13でYESとなるまで待つ。
【0127】
ステップS14に続き、サーバ40は、情報処理装置10から送信される距離センサ16aの反応が一定期間あるか否かことを確認する(ステップS15)。反応がある状態が一定時間経過した場合(ステップS15でYESの場合)、長時間トイレに着座しているため、要介護者に何らかの異常が発生した可能性がある。そのため、この場合、サーバ40は、ステップS19へ移行し、端末装置50に警告を行い、処理を終了する。距離センサ16aの反応が一定期間なかった場合(ステップS15でNOの場合)、サーバ40は、端末装置50に退座(つまり起立)の通知を行う(ステップS16)。
【0128】
ステップS16に続き、サーバ40は、情報処理装置10から送信されてくる人感センサ15aの反応の有無をチェックする(ステップS17)。人感センサ15aの反応がなかった場合(ステップS17でNOの場合)、サーバ40は、ステップS18へ移行し、端末装置50へ退室通知を行い、処理を終了する。人感センサ15aの反応があった場合(ステップS17でYESの場合)、サーバ40は、ステップS19へ移行し、入室者の異常を示す警告情報を端末装置50に通知し、処理を終了する。
【0129】
図18に基づき、排便促進処理の一例を説明する。
図18は、
図2又は
図10の情報処理システムにおける排便促進処理の一例を説明するためのフロー図である。ここでは、
図10のサーバ40が主に処理する例を挙げて説明する。
【0130】
サーバ40は、記録されたユーザ毎の排泄情報、例えば第1カメラ16bで識別した排便の記録時間を参照して、排便が行われていない状態が一定期間(時間に関する閾値)経過したか否かを判定する(ステップS41)。なお、この閾値は適宜変更可能とし、ユーザ毎にも変更可能としておくことが好ましい。サーバ40は、ステップS41でNOの場合に処理を終了し、YESの場合に端末装置50にその旨を示す警告情報を通知し(ステップS42)、処理を終了する。この例では、最も簡単な例として、排便タイミングが前回の排便から一定期間経過したタイミングとした例を挙げたが、これに限ったものではない。
【0131】
図19を併せて参照しながら排尿間隔の警告処理の一例を説明する。
図19は、
図2又は
図10の情報処理システムにおける排尿間隔に関する警告処理の一例を説明するためのフロー図である。
【0132】
サーバ40は、記録されたユーザ毎の排泄情報、例えば第1カメラ16bで識別した排尿の記録時間を参照して、排尿が行われた間隔が一定期間(時間に関する閾値)より小さいか否かを判定する(ステップS45)。なお、この閾値は適宜変更可能とし、ユーザ毎にも変更可能としておくことが好ましい。サーバ40は、ステップS51でNOの場合に処理を終了し、YESの場合に端末装置50にその旨を示す警告情報を通知し(ステップS52)、処理を終了する。この例では、排尿の低下状況が前回の排尿から一定期間経過しない場合に低下していると判定する例を挙げたが、これに限ったものではない。
【0133】
以上に説明したように、本システムは、実施形態1で説明した効果を奏することができる。特に、本システムは、例えば、以下のような効果を奏する。
【0134】
第一の効果は、第1カメラと機械学習の組み合わせで識別した排泄物の内容を自動で記録することにより、これまで行われていた手動での排泄物の聞き取り、尿量測定、便性確認と、排泄日誌の作成を不要にすることができる。特に、要介護者への排泄介助では、排泄日誌作成のための観察や、介助が必要な要介護者がトイレ内で、排泄終了後に自ら排泄終了の通知を介護士へ行うことができないため便座に座り続けてしまう事態が発生するが、このような事態を防ぐことができる。これにより、介護士等の監視者の事務作業時間を削減することができる。
【0135】
第二の効果は、第1カメラで排泄物以外を識別した際に、監視者に警告を通知するとともに、洗浄機能を停止することにより、尿とりパッド等の固形物をトイレの排水管に流す事故を防ぐことができる。これにより、これまで行われてきた業者による排水管工事を不要にして、維持費の削減を実現することができる。
【0136】
第三の効果は、距離センサ、人感センサ、第2カメラによる顔認証処理又はBluetoothタグ等による識別処理による人認証の情報により、要介護者がトイレで危険な状態になった場合でも遠隔で把握することができる。よって、これまで行われていた監視者がトイレの前で監視する作業が不要となり、監視者の排泄介助時間を削減することができる。
【0137】
第四の効果は、第1カメラで識別した排泄物の内容を記録した情報(例えばデータベース形式の情報として記憶することができる)から、便秘や排尿障害の可能性を把握することができる。よって、今まで行っていた便の有無の聞き取りが信用できない理由から安全を考慮して不要でも下剤を投与する、といった必要がなくなるため、薬代を削減することができる。また、トイレのユーザが保持する端末装置にも通知を行うことで、排尿障害等の傾向を把握させ、早期の受診を促すことができる。
【0138】
第五の効果は、第1カメラで識別した排泄物の内容を記録した情報から、個別に排尿間隔を把握することができる。よって、要介護者は、おむつや尿とりパッドの常用をせずにすむため、経費の削減が行え、監視者は、各要介護者の状態を把握し、各要介護者への自立支援を容易に行うことができる。
【0139】
第六の効果は、距離センサ、人感センサ、及び第2カメラで撮像した顔画像データにより、トイレのユーザを識別することができる。よって、介護士が不在となる、単独トイレ入室、単独トイレ退出、単独便座着座、単独便座退座、単独長時間着座の通知を、監視者が受けることができる。この通知により介護士等の監視者は、要介護者のトイレ介助中も並行して他の業務を実施できるため、介助業務の効率化を図ることができる。
【0140】
第七の効果は、各種通知の表示/非表示を個別に選択できることで、介護士が不要な通知を削除して、必要な通知のみを表示させることができるため、通知の見落としが少なくなり介助業務の効率化を図ることができる。
【0141】
<他の実施形態>
[a]
各実施形態において、情報処理システム及びそのシステムに含まれる各装置の機能について説明したが、各装置は、図示した構成例に限ったものではなく、各装置としてこれらの機能が実現できればよい。
【0142】
[b]
実施形態1,2に係る各装置は、次のようなハードウェア構成を有していてもよい。
図20は、装置のハードウェア構成の一例を示す図である。なお、上記他の実施形態[a]についても同様である。
【0143】
図20に示す装置100は、プロセッサ101、メモリ102、及び通信インタフェース(I/F)103を有することができる。プロセッサ101は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processor Unit)、又はCPUなどであってもよい。プロセッサ101は、複数のプロセッサを含んでもよい。メモリ102は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。実施形態1,2で説明した各装置における機能は、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより実現される。この際、他の装置との情報の送受は通信インタフェース103又は図示しない入出力インタフェースを介して行うことができる。
【0144】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。さらに、この例は、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/Wを含む。さらに、この例は、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0145】
[c]
さらに、上述した各実施形態において、情報処理システムにおける情報処理方法の手順を例示したように、本開示は、情報処理方法としての形態も採り得る。この情報処理方法は、次の取得ステップ、生成ステップ、出力ステップ、及び洗浄制御ステップを備えることができる。上記取得ステップは、トイレの便器における排泄物の排泄範囲を撮像範囲に含めるように設置された撮像装置で撮像された撮像データに基づき、排泄の内容を示す排泄情報を得る。上記生成ステップは、上記排泄情報に基づき提示情報を生成する。上記出力ステップは、上記提示情報を出力する。上記洗浄制御ステップは、上記便器の洗浄機能を制御する。さらに、上記取得ステップは、上記撮像装置で撮像された上記撮像データに、上記便器及び上記便器の洗浄用液体を除く被写体として糞尿以外の物体である異物が含まれるか否かを示す情報を、上記排泄情報の少なくとも一部として得る。また上記洗浄制御ステップは、上記取得ステップで上記排泄情報として上記異物が含まれる情報が得られた場合に、上記洗浄機能を停止させる停止指示を上記便器側に出力する。また、上記生成ステップは、上記取得ステップで上記排泄情報として上記異物が含まれる情報が得られた場合、警告情報を上記提示情報の少なくとも一部として生成する。なお、その他の例については、上述した各実施形態で説明した通りである。また、上記プログラムは、情報処理装置に(コンピュータに)、上記取得ステップ、上記生成ステップ、上記出力ステップ、及び上記洗浄制御ステップを実行させるためのプログラムであると言える。
【0146】
[d]
さらに、上述した様々な実施形態は、洗浄制御を行うこと、異物が含まれるかの情報を得ること、及びその情報に基づき洗浄機能を停止することを前提としているが、本開示は、これらの処理や機能が含まないような構成の情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを除外するものではない。
【0147】
なお、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0148】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
<付記>
【0149】
(付記1)
トイレの便器における排泄物の排泄範囲を撮像範囲に含めるように設置された撮像装置で撮像された撮像データに基づき、排泄の内容を示す排泄情報を得る取得部と、
前記排泄情報に基づき提示情報を生成する生成部と、
前記提示情報を出力する出力部と、
前記便器の洗浄機能を制御する洗浄制御部と、
を備え、
前記取得部は、前記撮像装置で撮像された前記撮像データに、前記便器及び前記便器の洗浄用液体を除く被写体として糞尿以外の物体である異物が含まれるか否かを示す情報を、前記排泄情報の少なくとも一部として得、
前記洗浄制御部は、前記取得部で前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合に、前記洗浄機能を停止させる停止指示を前記便器側に出力し、
前記生成部は、前記取得部で前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合、警告情報を前記提示情報の少なくとも一部として生成する、
情報処理システム。
【0150】
(付記2)
前記取得部は、前記撮像装置で撮像された前記撮像データに基づき、前記排泄情報を出力する学習済みモデルを用いて前記排泄情報を得る、
付記1に記載の情報処理システム。
【0151】
(付記3)
前記取得部及び前記生成部は、前記撮像装置で撮像された前記撮像データに基づき、前記排泄情報及び前記提示情報を出力する学習済みモデルを用いて前記排泄情報及び前記提示情報を得る、
付記1に記載の情報処理システム。
【0152】
(付記4)
前記生成部は、前記排泄情報に基づき、前記提示情報の少なくとも一部として排泄日誌を生成する、
付記1~3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【0153】
(付記5)
前記生成部は、前記排泄情報に基づき尿流率又は排尿量を算出し、前記尿流率又は前記排尿量の低下状況を示す情報を、前記提示情報の少なくとも一部として生成する、
付記1~4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【0154】
(付記6)
前記生成部は、前記排泄情報に基づき単位期間当たりの排便回数又は排便量を算出し、前記排便回数の低下状況を示す情報を、前記提示情報の少なくとも一部として生成する、
付記1~5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【0155】
(付記7)
前記生成部は、前記排泄情報と排泄行為の日時とに基づき、排泄タイミングを算出し、前記排泄タイミングを通知する情報を前記提示情報の少なくとも一部として生成する、
付記1~6のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【0156】
(付記8)
前記取得部は、複数のトイレについて前記撮像データを収集し、前記排泄情報を得る、
付記1~7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【0157】
(付記9)
前記生成部は、前記便器のユーザを識別する識別データに基づき、ユーザ毎に前記提示情報の生成を行う、
付記1~8のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【0158】
(付記10)
前記生成部は、前記識別データと、前記便器の設置場所であるトイレへの入退室を記録した入退室データと、に基づき、ユーザ毎に前記提示情報の生成を行う、
付記9に記載の情報処理システム。
【0159】
(付記11)
前記識別データは、前記便器又は前記便器が設置された部屋において、ユーザの顔を撮像範囲に含めるように設置された他の撮像装置で撮像された顔画像データに基づき、顔認証処理を実行することで、ユーザを識別したデータである、
付記9又は10に記載の情報処理システム。
【0160】
(付記12)
前記他の撮像装置をさらに備えた、
付記11に記載の情報処理システム。
【0161】
(付記13)
前記撮像装置をさらに備えた、
付記1~12のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【0162】
(付記14)
撮像装置を備え、トイレの便器における排泄物の排泄範囲を撮像範囲に含めるように前記撮像装置が配置されるように、前記便器に設置される情報処理装置であって、
前記撮像装置で撮像された撮像データに基づき、排泄の内容を示す排泄情報を得る取得部と、
前記排泄情報に基づき提示情報を生成する生成部と、
前記提示情報を出力する出力部と、
前記便器の洗浄機能を制御する洗浄制御部と、
をさらに備え、
前記取得部は、前記撮像装置で撮像された前記撮像データに、前記便器及び前記便器の洗浄用液体を除く被写体として糞尿以外の物体である異物が含まれるか否かを示す情報を、前記排泄情報の少なくとも一部として得、
前記洗浄制御部は、前記取得部で前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合に、前記洗浄機能を停止させる停止指示を前記便器側に出力し、
前記生成部は、前記取得部で前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合、警告情報を前記提示情報の少なくとも一部として生成する、
情報処理装置。
【0163】
(付記15)
トイレの便器における排泄物の排泄範囲を撮像範囲に含めるように設置された撮像装置で撮像された撮像データに基づき、排泄の内容を示す排泄情報を得る取得ステップと、
前記排泄情報に基づき提示情報を生成する生成ステップと、
前記提示情報を出力する出力ステップと、
前記便器の洗浄機能を制御する洗浄制御ステップと、
を備え、
前記取得ステップは、前記撮像装置で撮像された前記撮像データに、前記便器及び前記便器の洗浄用液体を除く被写体として糞尿以外の物体である異物が含まれるか否かを示す情報を、前記排泄情報の少なくとも一部として得、
前記洗浄制御ステップは、前記取得ステップで前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合に、前記洗浄機能を停止させる停止指示を前記便器側に出力し、
前記生成ステップは、前記取得ステップで前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合、警告情報を前記提示情報の少なくとも一部として生成する、
情報処理方法。
【0164】
(付記16)
コンピュータに、
トイレの便器における排泄物の排泄範囲を撮像範囲に含めるように設置された撮像装置で撮像された撮像データに基づき、排泄の内容を示す排泄情報を得る取得ステップと、
前記排泄情報に基づき提示情報を生成する生成ステップと、
前記提示情報を出力する出力ステップと、
前記便器の洗浄機能を制御する洗浄制御ステップと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記取得ステップは、前記撮像装置で撮像された前記撮像データに、前記便器及び前記便器の洗浄用液体を除く被写体として糞尿以外の物体である異物が含まれるか否かを示す情報を、前記排泄情報の少なくとも一部として得、
前記洗浄制御ステップは、前記取得ステップで前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合に、前記洗浄機能を停止させる停止指示を前記便器側に出力し、
前記生成ステップは、前記取得ステップで前記排泄情報として前記異物が含まれる情報が得られた場合、警告情報を前記提示情報の少なくとも一部として生成する、
プログラム。
【0165】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0166】
この出願は、2019年8月8日に出願された日本出願特願2019-146294を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【0167】
1 情報処理システム
1a 取得部
1b 生成部
1c 出力部
1d 洗浄制御部
10 情報処理装置
11 第2外付けボックス
11a CPU
11b コネクタ
11c,11d USB I/F
12 ボックス間接続部
13 第1外付けボックス
14a WiFiモジュール
14b Bluetoothモジュール
15a 人感センサ
15b 第2カメラ
16a 距離センサ
16b 第1カメラ
20 便器
21 本体
22 便座
23 便座カバー
30 情報処理装置付き便器
40、70 サーバ
41 制御部
42 記憶部
50 端末装置
51 表示画面
52、53、54、55、56、57、58、59、61、62、63、64 提示情報
54a ボタン
80 インターカム
100 装置
101 プロセッサ
102 メモリ
103 通信インタフェース