(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】スクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法
(51)【国際特許分類】
B41F 15/40 20060101AFI20221213BHJP
B41F 15/08 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B41F15/40 A
B41F15/08 303A
(21)【出願番号】P 2021566719
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(86)【国際出願番号】 JP2019051368
(87)【国際公開番号】W WO2021131011
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】593039856
【氏名又は名称】マイクロ・テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田上 義明
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-071906(JP,U)
【文献】特開平11-048446(JP,A)
【文献】米国特許第05022320(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/00 - 15/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のフレームと、
作業具を取り付け
、前記フレームの中央に配置され上下方向に昇降するプレッシャーロッドと、
前記フレームの中央よりも外れた端部に配置され上下方向に往復運動をするピストンロッドを有し前記フレーム
の端部に固定されたシリンダと、
前記ピストンロッドの動きを前記プレッシャーロッドに伝える梃子機構と
を備え、
前記梃子機構は、前記フレームの
上側に配置され、
前記作業具と前記シリンダとは、前記フレームの
下側に配置されるスクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記フレームの中央に配置された前記プレッシャーロッドに発生した上向きの反作用の力Q1を前記フレームの端部に配置された前記ピストンロッドで下向きの力Q2として受け、下向きの力Q2が、前記フレームの端部に固定された前記シリンダを下に押す請求項1に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項3】
前記フレームは、
前記プレッシャーロッドを貫通させた貫通孔と、
前記ピストンロッドを貫通させた貫通孔と
を有する請求項1又は2に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項4】
前記梃子機構は、前記プレッシャーロッドと前記ピストンロッドとに取り付けられたレバーを有する請求項1から3のいずれか1項に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項5】
前記レバーは、
前記ピストンロッドに取り付けられた力点部と、
前記プレッシャーロッドに取り付けられた作用部と、
前記フレームに取り付けられた支点部と
を有する請求項4に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項6】
前記フレームの左右中央を基準にして、前記力点部は前記作用部の外側に配置されている請求項5に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項7】
前記支点部は、円形の軸受けを有し、
前記力点部と前記作用部とは、軸をスライドすることが可能な軸受けを有する請求項5又は6に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項8】
プレッシャーロッドを、板状のフレームの中央において上下方向に昇降するように配置し、前記プレッシャーロッドに作業具を取り付け、
シリンダを、前記フレームの中央よりも外れた端部に固定し、前記シリンダのピストンロッドを前記フレームの端部で上下方向に往復運動させ、
梃子機構を、
前記フレームの
上側に配置し、
前記作業具と
前記シリンダとを、前記フレームの
下側に配置し、
前記シリンダの
前記ピストンロッドの動きを、前記梃子機構により、前
記プレッシャーロッドに伝えるスクリーン印刷方法。
【請求項9】
前記梃子機構
は、上向きの力と下向きの力を反転させ、かつ、上向きの力と下向きの力の位置を変更
し、
前記フレームの中央にある前記プレッシャーロッドに発生した上向きの反作用の力Q1を前記フレームの端部にある前記ピストンロッドで下向きの力Q2として受け、下向きの力Q2が、前記フレームの端部に固定された前記シリンダを下に押す請求項8に記載のスクリーン印刷方法。
【請求項10】
板状のフレームと、
作業具を取り付け
、前記フレームの中央に配置され上下方向に昇降するプレッシャーロッドと、
前記フレームの中央よりも外れた端部に配置され上下方向に往復運動をするピストンロッドを有し前記フレーム
の端部に固定されたシリンダと、
前記ピストンロッドの動きを前記プレッシャーロッドに伝える梃子機構と
を備え、
前記フレームは、
前記フレームの中央に形成され、前記プレッシャーロッドを貫通させた貫通孔と、
前記フレームの端部に形成され、前記ピストンロッドを貫通させた貫通孔と
を有するスクリーン印刷装置。
【請求項11】
板状のフレーム
の中央に
おいて、作業具を取り付け
て上下方向に昇降するプレッシャーロッドを貫通させ、かつ、
前記フレームの中央よりも外れた端部において、シリンダ
により上下方向に往復運動をするピストンロッドを貫通させ、
前記シリンダの
前記ピストンロッドの動きを、梃子機構により、前記作業具を取り付けた
前記プレッシャーロッドに伝えるスクリーン印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から高圧で印刷するスクリーン印刷装置が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高圧で印刷するスクリーン印刷装置は、スクリーン印刷装置の筐体又はフレームがゆがむ可能性がある。
この発明の実施の形態では、高圧印刷に適したスクリーン印刷装置を提供したい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明のスクリーン印刷装置は、
フレームと、
作業具を取り付けるプレッシャーロッドと、
ピストンロッドを有し前記フレームに固定されたシリンダと、
前記ピストンロッドの動きを前記プレッシャーロッドに伝える梃子機構と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、梃子機構を有しているので、力点と作用点とをフレームの異なる位置に配置することができ、フレームのゆがみを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1のスクリーン印刷装置100の正面図である。
【
図2】実施の形態1のスクリーン印刷装置100の正面図である。
【
図3】実施の形態1のスクリーン印刷装置100の正面図である。
【
図4】実施の形態1のスクリーン印刷装置100の平面図である。
【
図5】
図2に示すスクリーン印刷装置100のAA断面図である。
【
図6】
図2に示すスクリーン印刷装置100のBB断面図である。
【
図7】実施の形態1の梃子機構90の構造図である。
【
図8】実施の形態2のスクリーン印刷装置100の正面図である。
【
図9】実施の形態2のスクリーン印刷装置100の背面図である。
【
図10】実施の形態2のスクリーン印刷装置100の平面図である。
【
図11】
図8に示すスクリーン印刷装置100のCC断面図である。
【
図12】実施の形態3のスクリーン印刷装置100の正面図である。
【
図13】実施の形態3のスクリーン印刷装置100の正面図である。
【
図14】実施の形態4のスクリーン印刷装置100の正面図である。
【
図15】実施の形態5のスクリーン印刷装置100の正面図である。
【
図16】実施の形態6のスクリーン印刷装置100の正面図である。
【
図17】実施の形態7のスクリーン印刷装置100の正面図である。
【
図18】実施の形態8のスクリーン印刷装置100の正面図である。
【
図19】実施の形態9のスクリーン印刷装置100の正面図である。
【
図20】
図19のスクリーン印刷装置100のCC断面図である。
【
図21】実施の形態10のスクリーン印刷装置100の正面図である。
【
図22】実施の形態10のスクリーン印刷装置100の平面図である。
【
図23】
図21のスクリーン印刷装置100のDD端面図である。
【
図24】実施の形態10のスクリーン印刷装置100の正面図である。
【
図25】実施の形態10のスクリーン印刷装置100の背面図である。
【
図26】実施の形態10のスクリーン印刷装置100の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。
実施の形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
以下に説明する図面において、左右方向(X方向、水平方向)と、上下方向(Z方向、垂直方向)と、図面に直交する前後方向(Y方向、水平方向)とは、直交しているものとする。
以下に述べる左右方向と、上下方向と、前後方向という用語は、説明の便宜上使用するものであり、スクリーン印刷装置100に配置解体により、各方向は変更されるものである。
【0009】
実施の形態1.
図1、
図2、及び、
図3は、実施の形態1のスクリーン印刷装置100の正面図である。
図4は、実施の形態1のスクリーン印刷装置100の平面図である。
図5は、実施の形態1の
図2に示すスクリーン印刷装置100のAA断面図である。
図6は、実施の形態1の
図2に示すスクリーン印刷装置100のBB断面図である。
【0010】
●スクリーン印刷装置100
スクリーン印刷装置100は、基台50と印刷部60と制御部110と駆動機構120とを有している。
スクリーン印刷装置100は、フレーム52を有する。
スクリーン印刷装置100は、印刷具又は作業具を取り付けるプレッシャーロッド72を有する。
スクリーン印刷装置100は、ピストンロッド82を有しフレーム52に固定されたシリンダ81を有する。
スクリーン印刷装置100は、ピストンロッド82の動きをプレッシャーロッド72に伝える梃子機構90を有する。
【0011】
梃子機構90は、フレーム52の一方側(上側)に配置されている。
印刷具又は作業具と、シリンダ81とは、フレーム52の他方側(下側)に配置される。
【0012】
●制御部110
スクリーン印刷装置100は、制御部110を有する。
制御部110は、装置全体を制御するものである。
制御部110は、中央処理装置、プログラム、メモリにより実現できる。
制御部110からの信号は、信号線111により各部に伝達される。
以下に述べる動作は、制御部110が信号線111により命令を伝達することにより実現できる。
【0013】
●基台50
基台50は、鋳物製の一体成形された構造を持っている。
基台50を一体成形していることにより、組み立て誤差、或いは、経年変化による歪みをなくしている。
基台50の平面方向からの形状は、U字状又はロ字状をしている。
基台50は、一対のスライド機構51とフレーム52とを有する。
一対のスライド機構51は、U字状又はロ字状の基台50の対向する内壁に配置されている。
スライド機構51は、駆動機構120によりフレーム52を前後方向に移動させる。
スライド機構51は、フレーム52の左右端をスライドさせるレール57を有する。
【0014】
●印刷部60
印刷部60は、フレーム52と、プレッシャーロッド72に固定された印刷具又は作業具と、シリンダ81と、梃子機構90とを有する。
フレーム52は、プレッシャーロッド72と、シリンダ81と、梃子機構90とを取り付けた取り付け台である。
シリンダ81は、力を生成するパワージェネレータである。
プレッシャーロッド72に固定された印刷具又は作業具は力を受けるレシーバである。
梃子機構90は、シリンダ81で生成された力をプレッシャーロッド72に伝えるトランスミッタである。
印刷部60は、取り付け台と、取り付け台に固定され力を生成するパワージェネレータと、取り付け台に取り付けられパワージェネレータが生成した力を伝える梃子機構と、梃子機構からの力を受けるレシーバとを有する。
図1に示すように、梃子機構90は、印刷部60において、最も高い位置に配置されている。
【0015】
●フレーム52
フレーム52は、左右方向に長い矩形の金属板である。
フレーム52は、鋳物製の一体成形された構造を持っている。
フレーム52を一体成形していることにより、組み立て誤差、或いは、経年変化による歪みをなくしている。
フレーム52の左右方向の端部は、スライド機構51のレール57に取り付けられている。
フレーム52は、印刷部60を取り付けている。
【0016】
プレッシャーロッド72とピストンロッド82とは、平行に配置されている。
フレーム52は、プレッシャーロッド72を貫通させた貫通孔55を有する。
フレーム52は、ピストンロッド82を貫通させた貫通孔56を有する。
フレーム52は、ガイドブッシュ53と貫通孔54とを有する。
ガイドブッシュ53は貫通孔を有し、ガイドブッシュ53の貫通孔とフレーム52の貫通孔54とは、同じ位置にあり、同じ径を有する。
【0017】
印刷部60は、ホルダ61と1対のガイドロッド62とを有する。
ホルダ61は、下部にスキージ68を固定する。スキージ68は印刷具又は作業具の一例である。
1対のガイドロッド62は、ホルダ61の上面左右に固定され、ガイドブッシュ53の貫通孔とフレーム52の貫通孔54とを貫通している。
ガイドロッド62の外径は、ガイドブッシュ53の貫通孔とフレーム52の貫通孔54との内径と同じである。
【0018】
1対のガイドロッド62の下端には、ホルダ61が取り付けられている。
1対のガイドロッド62は、ホルダ61の上下移動に伴って受動的に上下する。
ガイドブッシュ53は、ホルダ61の移動を上下方向(Z方向)のみにガイドするものである。
ガイドブッシュ53は、ホルダ61が前後左右(X方向、Y方向)にずれることを禁止し、ホルダ61が上下方向(Z方向)のみに移動することを許容する。
【0019】
スクリーン印刷装置100は、スクリーン製版63と印刷テーブル64とを有する。
スクリーン製版63は、印刷パターンを形成したスクリーンを有する。
印刷テーブル64は、ワーク69を乗せる台である。
【0020】
●プレッシャーロッド72
印刷部60は、プレッシャーロッド72を有する。
プレッシャーロッド72は、円柱の金属棒である。
プレッシャーロッド72は、ホルダ61の上面中央に固定されている。
プレッシャーロッド72は、貫通孔55を上下方向(Z方向)に貫通している。
プレッシャーロッド72の外径は、貫通孔55の内径より小さい。
プレッシャーロッド72の外周には、ねじ切り溝がされている。
プレッシャーロッド72には、つまみ96がねじ切り溝に沿って回転可能に取り行けられている。
つまみ96の下面のフレーム52の上面への接触により、プレッシャーロッド72は下降することができなくなる。
つまみ96の上下方向の位置がプレッシャーロッド72の最大下位置を決定する。
【0021】
●シリンダ81
印刷部60は、シリンダ81を有する。
シリンダ81は、上面がフレーム52の下面に固定されている。
シリンダ81は、上面側にピストンロッド82を有する。
ピストンロッド82は、円柱の金属棒である。
ピストンロッド82は、貫通孔56を上下方向(Z方向)に貫通している。
ピストンロッド82は、往復運動をする。
ピストンロッド82の外径は、貫通孔56の内径より小さい。
【0022】
シリンダ81としては、エアシリンダが好適であるが、電動シリンダ、電磁シリンダ、又は、その他のシリンダでもよい。
ピストンロッド82は、シリンダ81に供給される空気圧により能動的に上下する。
制御部110がシリンダ81への空気圧を調整することにより、ピストンロッド82の上下方向の圧力を調整することができる。
【0023】
●梃子機構90
印刷部60は、梃子機構90を有する。
梃子機構90は、レバー91と軸保持部73と軸保持部93と軸保持部83とを有する。
軸保持部73は、底面がプレッシャーロッド72の頂部に固定されている。
軸保持部73は、円柱形の作用点軸75を保持している。
軸保持部93は、底面がフレーム52の上面に固定されている。
軸保持部93は、円柱形の支点軸95を保持している。
軸保持部83は、底面がピストンロッド82の頂部に固定されている。
軸保持部83は、円柱形の力点軸85を保持している。
図5に示すように、軸保持部73は、上部に凹部を有する。
凹部は、レバー91の作用部99を作用点軸75で回転可能に保持している。
軸保持部93と軸保持部83の上部も、軸保持部73の上部と同様の構造を有する。
【0024】
●レバー91
レバー91は、直線状の金属棒である。
レバー91は、力点部97と支点部98と作用部99とを有する。
梃子機構90は、作用部99をフレーム52の左右方向の中央に配置している。
梃子機構90は、力点部97をフレーム52の右の端部に配置している。
梃子機構90は、支点部98を作用部99と力点部97との中央に配置している。
力点部97は、フレーム52の左右中央を基準にして、作用部99と支点部98との右外側に配置されている。
支点部98は、フレーム52の左右中央を基準にして、作用部99の右外側に配置されている。
作用部99は、軸保持部73保持された作用点軸75を介してプレッシャーロッド72に取り付けられている。
支点部98は、軸保持部93保持された支点軸95を介してフレーム52に取り付けられている。
力点部97は、軸保持部83に保持された力点軸85を介してピストンロッド82に取り付けられている。
レバー91は、支点軸95を中心にしてスイングすることが可能である。
【0025】
●梃子機構90の原理
図7は、梃子機構90の構造図である。
支点軸95は、作用点軸75と力点軸85の中央にある。
ここで、
作用点軸75と支点軸95との中心距離=D1
力点軸85と支点軸95との中心距離=D2
力点部97に加わる力=P2
作用部99で得られる力=P1
とすると、D1*P1=D2*P2となる。
図7では、D1=D2であり、P1=P2となる。
【0026】
●梃子機構90の作用
図7により、梃子機構90の以下の2つの作用について説明する。
1.上向きの力と下向きの力の反転作用
2.上向きの力と下向きの力の位置変更作用
【0027】
●前提
作用点軸75は、フレーム52の左右中央にある。
力点軸85とシリンダ81は、フレーム52の右端に固定されている。
支点軸95は、作用点軸75と力点軸85との間にある。
プレッシャーロッド72はフレーム52の貫通孔55を貫通しているので、プレッシャーロッド72の上下運動がフレーム52を変形させることはない。
ピストンロッド82はフレーム52の貫通孔56を貫通しているので、ピストンロッド82の上下運動がフレーム52を変形させることはない。
【0028】
●反転作用と位置変更作用
フレーム52の右端で力点軸85に加えられた上向きの力P2は、梃子機構90により、フレーム52の中央にある作用点軸75に対して下向きの力P1になる(右端から中央への力の位置変更作用)。
力点軸85に加えられた上向きの力P2は、梃子機構90により、作用点軸75の下向きの力P1になる(上向きから下向きへの力の反転作用)。
印刷中に、プレッシャーロッド72は下向きの力P1が作用して下方に押され続けるが、同時に、下から反作用の力として上向きの力Q1を受け続ける。
フレーム52の中央にあるプレッシャーロッド72に加えられた上向きの力Q1は、梃子機構90により、フレーム52の右端にあるピストンロッド82に対して下向きの力Q2になる(中央から右端への力の位置変更作用)。
プレッシャーロッド72に加えられた上向きの力Q1は、梃子機構90により、力点軸85の下向きの力Q2になる(上向きから下向きへの力の反転作用)。
下向きの力Q2は、フレーム52に固定されたシリンダ81を下に押すことになり、フレーム52の右端が下向きの力Q2を受けることになる。
梃子機構90の力の位置変更作用により、フレーム52の中央で発生した上向きの力Q1をフレーム52の右端で下向きの力Q2として受けるので、下向きの力Q2を中央で受けるよりも、フレーム52のたわみが少ない。
梃子機構90の力の反転作用により、プレッシャーロッド72に加えられた上向きの力Q1を力点軸85の下向きの力Q2に変換しているので、上向きの力P2が大きくなるほど、下向きの力Q2が大きくなり、フレーム52が上にたわむことがない。
すなわち、ピストンロッド82の上向きの力を大きくしても、フレーム52の中央がたわむことがなく、高圧印刷に向いている。
【0029】
●比較例
梃子機構90を用いないで、フレーム52の中央の上面にシリンダ81を固定してプレッシャーロッド72とピストンロッド82を同軸に配置する場合を仮定する。
印刷中にプレッシャーロッド72に生じる上向きの力は、フレーム52に固定されたシリンダ81を上に押すことになる。フレーム52は、上向きの力を中央で受けるので、フレーム52の中央が上にたわむ可能性がある。
すなわち、ピストンロッド82の下向きの力が大きくなるほど、フレーム52の中央が上にたわむので、高圧印刷には向いていない。
また、プレッシャーロッド72とピストンロッド82を同軸に配置する場合は、フレーム52の中央で、プレッシャーロッド72の上にシリンダ81が配置されるため、シリンダ81がと上部に突出してしまう。
本実施の形態の印刷部60は、シリンダ81がフレーム52の下部に配置されているため、印刷部60の高さを低くすることができる。
【0030】
●軸受け
図7により、レバー91の3個の軸受けについて説明する。
力点部97は、軸保持部83に保持された力点軸85に対して回転可能に取り付けられた軸受け84を有する。
支点部98は、軸保持部93に保持された支点軸95に対して回転可能に取り付けられた軸受け94を有する。
作用部99は、軸保持部73に保持された作用点軸75に対して回転可能に取り付けられた軸受け74を有する。
軸受け94は、支点軸95の外径と同じ内径を有する円形の軸受けである。
図7に示すように、軸受け74は、長円形の軸受けである。
長円79は、作用点軸75の外径と同じ内径を有する1対の半円部76と半円部78と1対の半円部を長さWの直線部77で繋いだ形状をしている。
軸受け84は、軸受け74と同様の円形の軸受けである。
レバー91が水平の場合、作用点軸75と力点軸85とは長円79の中でフレーム52の中心に寄っている。
レバー91が回転した場合、作用点軸75と力点軸85とは、長円79の中で外側に向かって長さWだけ水平方向に移動する。
軸受け84と軸受け74との形状は、楕円形、四角形でもよく、作用点軸75と力点軸85とが長さWだけ水平方向に移動できる形状であればよい。力点部97と作用部99とは、力点軸85と作用点軸75とを横方向にスライドすることが可能な軸受けを有していればよい。
【0031】
●スクリーン印刷方法
スクリーン印刷装置100がスキージ68を用いてスクリーン印刷をする方法について説明する。
電源ONの時点で、
図1の状態にあるものとする。
【0032】
●印刷準備工程S10
制御部110は、駆動機構120により、印刷テーブル64にワーク69がセットし、印刷前処理を開始する。
図1から
図2の状態、さらに、
図2から
図3の状態に示すように、印刷開始に当たり、制御部110は、シリンダ81を制御し、ピストンロッド82を上昇させる。
ピストンロッド82が上昇すると、レバー91が支点部98の支点軸95を中心にして回転し、レバー91の力点部97が上昇するとともにレバー91の作用部99が下降する。
力点部97の上昇と作用部99の下降との最中に作用点軸75と力点軸85とは長円79の中で外側に移動する。
レバー91の作用部99が下降すると、プレッシャーロッド72が下降する。
プレッシャーロッド72が下降すると、ホルダ61とスキージ68とが下降し、スキージ68がスクリーン製版63に接触しスキージ68がスクリーン製版63に印圧をかけることができる。
【0033】
●印刷工程S20
制御部110は、印刷準備工程S10の終了後、印刷を開始する。
制御部110は駆動機構120を制御して、フレーム52をスライド機構51により印刷方向にスライドさせて、印圧をかけながらワーク69に印刷をする。
制御部110は、印刷中に、シリンダ81を制御し、
図2の状態を保ち、印圧を一定に保つ。
このように、スクリーン印刷装置100は、シリンダ81のピストンロッド82の動きを、梃子機構90により、印刷具又は作業具を取り付けたプレッシャーロッド72に伝えることにより、印刷する。
【0034】
●印刷終了工程S30
制御部110は、印刷工程S20の終了後、印刷後処理を開始する。
印刷が終了した場合、
図3から
図2の状態、さらに、
図2から
図1の状態に示すように、制御部110は、シリンダ81を制御し、ピストンロッド82を下降させる。
ピストンロッド82が下降すると、レバー91が支点部98の支点軸95を中心にして回転し、レバー91の力点部97が下降するとともにレバー91の作用部99が上昇する。
力点部97の下降と作用部99の上昇との最中に作用点軸75と力点軸85とは長円79の中でフレーム52の中心側に移動する。
レバー91の作用部99が上昇すると、プレッシャーロッド72が上昇する。
プレッシャーロッド72が上昇すると、ホルダ61とスキージ68とが上昇する。
その後、制御部110は駆動機構120を制御して、フレーム52をスライド機構51により印刷開始位置にスライドさせて、次の印刷準備をする。
【0035】
実施の形態2.
この実施の形態2では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
図8は、実施の形態2のスクリーン印刷装置100の正面図である。
図9は、実施の形態2のスクリーン印刷装置100の背面図である。
図10は、実施の形態2のスクリーン印刷装置100の平面図である。
図11は、実施の形態2の
図8に示すスクリーン印刷装置100のCC断面図である。
この実施の形態2では、スクレッパ65に対して、梃子機構190を適用した場合について説明する。
この実施の形態2では、
図10の平面図に示すように、梃子機構90と梃子機構190とは、フレーム52の前後左右の中心に対して点対称に配置されている。
【0036】
●フレーム52
プレッシャーロッド172とピストンロッド182とは、平行に配置されている。
フレーム52は、プレッシャーロッド172を貫通させた貫通孔155と、ピストンロッド182を貫通させた貫通孔156とを有する。
【0037】
●印刷部60
印刷部60は、ホルダ161とガイドロッド162とを有する。
ホルダ161は、下部にスクレッパ65を固定する。スクレッパ65は印刷具又は作業具の一例である。
ガイドロッド162は、ホルダ161の上面に固定され、ガイドブッシュ153の貫通孔とフレーム52の貫通孔154とを貫通している。
ガイドロッド162の外径は、ガイドブッシュ153の貫通孔とフレーム52の貫通孔154との内径と同じである。
ガイドロッド162は、ガイドロッド62は、と同じものである。
ガイドブッシュ153は、ガイドブッシュ53と同じものである。
【0038】
●プレッシャーロッド172
印刷部60は、プレッシャーロッド172を有する。
プレッシャーロッド172は、フレーム52の左右方向の中央にある。
プレッシャーロッド172は、プレッシャーロッド72と同じものである。
プレッシャーロッド172には、つまみ196が回転可能に取り行けられている。
つまみ196は、つまみ96と同じものである。
【0039】
●シリンダ181
印刷部60は、シリンダ181を有する。
シリンダ181は、シリンダ81と同じものである。
【0040】
シリンダ181は、フレーム52を上下方向(Z方向)に貫通したピストンロッド182を有している。
ピストンロッド182は、ピストンロッド82と同じものである。
【0041】
●梃子機構190
印刷部60は、梃子機構190を有する。
梃子機構190は、梃子機構90と同じものである。
梃子機構190は、軸保持部173と軸保持部193と軸保持部183とを有する。
軸保持部173と軸保持部193と軸保持部183とは、軸保持部73と軸保持部93と軸保持部83と同じものである。
【0042】
●レバー191
梃子機構190は、レバー191を有する。
レバー191は、レバー91と同じものである。
レバー191は、力点部197と支点部198と作用部199とを有する。
梃子機構90は、作用部199をフレーム52の左右方向の中央に配置している。
梃子機構90は、力点部197をフレーム52の左の端部に配置している。
梃子機構90は、支点部198を作用部199と力点部197との中央に配置している。
フレーム52の左右中央を基準にして、力点部197と支点部198とは作用部199の外側に配置されている。
力点部197と支点部198と作用部199とは、力点部97と支点部98と作用部99と同じものである。
【0043】
●梃子機構190の原理
梃子機構190の原理は、梃子機構90の原理と同じである。
【0044】
●軸受け
力点部197は、軸保持部183に保持された力点軸185に対して回転可能に取り付けられた軸受け184を有する。
支点部198は、軸保持部193に保持された支点軸195に対して回転可能に取り付けられた軸受け194を有する。
作用部199は、軸保持部173に保持された作用点軸175に対して回転可能に取り付けられた軸受け174を有する。
軸受け194は、軸受け94と同じであり、支点軸195の外径と同じ内径を有する円形の軸受けである。
軸受け174と軸受け184は、軸受け74と軸受け84と同じであり、長円形の軸受けである。
【0045】
●スクリーン印刷方法
スクリーン印刷装置100が、スクレッパ65を用いてインクを塗布する方法について説明する。
スクレッパ65を用いてインクを塗布している間、梃子機構90は、
図1の状態を保っている。
●塗布準備工程S110
制御部110は、印刷終了工程S30の終了後に、塗布前処理を開始する。
インク塗布開始に当たり、制御部110は、シリンダ181を制御し、ピストンロッド182を上昇させる。
ピストンロッド182が上昇すると、レバー191が支点部198の支点軸195を中心にして回転し、レバー191の力点部197が上昇するとともにレバー191の作用部199が下降する。
力点部197の上昇と作用部199の下降との最中に作用点軸175と力点軸185とは長円79の中で外側に移動する。
レバー191の作用部199が下降すると、プレッシャーロッド172が下降する。
プレッシャーロッド172が下降すると、ホルダ161とスクレッパ65とが下降し、スクレッパ65がスクリーン製版63に接触する。
【0046】
●塗布工程S120
制御部110は、塗布準備工程S110の終了後、塗布を開始する。
制御部110は駆動機構120を制御して、フレーム52をスライド機構51により印刷方向とは逆方向にスライドさせて、スクレッパ65によりインクを塗布する。
制御部110は、塗布中に、シリンダ181を制御し、スクレッパ65に加える圧力を一定に保つ。
このように、スクリーン印刷装置100は、シリンダ181のピストンロッド182の動きを、梃子機構190により、印刷具又は作業具を取り付けたプレッシャーロッド172に伝えることにより、インクを塗布する。
【0047】
●塗布終了工程S130
制御部110は、塗布工程S120の終了後、塗布後処理を開始する。
塗布が終了した場合、制御部110は、シリンダ181を制御し、ピストンロッド182を下降させる。
ピストンロッド182が下降すると、レバー191が支点部198の支点軸195を中心にして回転し、レバー191の力点部197が下降するとともにレバー191の作用部199が上昇する。
力点部197の下降と作用部199の上昇との最中に作用点軸75と力点軸185とは長円79の中でフレーム52の中心側に移動する。
レバー191の作用部199が上昇すると、プレッシャーロッド172が上昇する。
プレッシャーロッド172が上昇すると、ホルダ161とスクレッパ65とが上昇する。
その後、制御部110は駆動機構120を制御して、印刷準備工程S10を実行し、印刷を開始する。
【0048】
実施の形態3.
この実施の形態3では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
図12は、実施の形態3のスクリーン印刷装置100の正面図である。
図13は、実施の形態3のスクリーン印刷装置100の正面図である。
スクリーン印刷装置100は、複数の軸受け94を有するレバー91を有する。
フレーム52は、複数の軸受け94に対応して、軸保持部93を固定する複数の固定部を有する。
図12と
図13では、レバー91は3個の軸受け94を有し、フレーム52は軸受け94に対応して3か所の固定部K1,K2,K3を有する。
中央の軸受け94は、
図1の軸受け94と同じであり、作用点軸75と力点軸85の中央にある。
図12では、右端の軸受け94と右端の固定部K1を使用している。
図13では、左端の軸受け94を左端の固定部K3を使用している。
ここで、
図12に示すように、
作用点軸75と左端の軸受け94との中心距離=D3
左端の軸受け94と右端の軸受け94との中心距離=D3
力点軸85と右端の軸受け94の中心距離=D3
力点部97に加わる力=P2
作用部99で得られる力=P1
とする。
図12の右端の軸受け94を使用した場合、(D3+D3)*P1=D3*P2となり、P1はP2の半分になる。
図13の左端の軸受け94を使用した場合、D3*P1=(D3+D3)*P2となり、P1はP2の2倍になる。
中央の軸受け94を使用した場合は、
図7と同じであり、P1=P2となる。
このように、スクリーン印刷装置100の組み立て時に支点軸95の位置を変えることにより、同じシリンダ81を使用しても圧力を変更することができる。
【0049】
実施の形態4.
この実施の形態4では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
図14は、実施の形態4のスクリーン印刷装置100の正面図である。
実施の形態4のスクリーン印刷装置100は、レバー91の長さを延長して、作用点軸75を支点軸95と力点軸85の中央にしたものである。
梃子機構90は、作用部99をフレーム52の左右方向の中央に配置している。
梃子機構90は、力点部97をフレーム52の右の端部に配置している。
梃子機構90は、支点部98をフレーム52の左の端部に配置している。
力点部97は、フレーム52の左右中央を基準にして、作用部99の外側に配置されている。
支点部98は、フレーム52の左右中央を基準にして、作用部99の外側に配置されている。
ここで、
図14に示すように、
作用点軸75と支点軸95との中心距離=D4
力点軸85と支点軸95との中心距離=D4
力点部97に加わる力=P2
作用部99で得られる力=P1
とする。
図14の場合、D4*P1=(D4+D4)*P2となり、P1はP2の2倍になる。
【0050】
実施の形態5.
この実施の形態5では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
図15は、実施の形態5のスクリーン印刷装置100の正面図である。
実施の形態5のスクリーン印刷装置100は、力点軸85を作用点軸75と支点軸95の間にしたものである。
梃子機構90は、作用部99をフレーム52の左右方向の中央に配置している。
梃子機構90は、力点部97をフレーム52の右の端部に配置している。
梃子機構90は、支点部98を作用部99と力点部97の中央に配置している。
ここで、
図15に示すように、
作用点軸75と支点軸95との中心距離=D5
力点軸85と支点軸95との中心距離=D5
力点部97に加わる力=P2
作用部99で得られる力=P1
とする。
図15の場合、(D5+D5)*P1=D5*P2となり、P1はP2の半分になる。
【0051】
実施の形態6.
この実施の形態6では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
図16は、実施の形態6のスクリーン印刷装置100の正面図である。
実施の形態6のスクリーン印刷装置100は、レバー91を90度屈曲させL字形にしたものである。
シリンダ81は、台座59によりフレーム52の上面側に固定されている。
シリンダ81は、横向きに固定されており、ピストンロッド82は水平方向に往復運動をする。
【0052】
レバー91の屈曲位置を変えてもよい。
レバー91の屈曲角度を変えてもよい。
レバー91を湾曲させてもよい。
【0053】
実施の形態7.
この実施の形態7では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
図17は、実施の形態7のスクリーン印刷装置100の正面図である。
実施の形態7のスクリーン印刷装置100は、シリンダ81の底面をフレーム52の上面側に固定したものである。
シリンダ81の底面をフレーム52の上面側に固定した場合でも、梃子機構90は、位置変更作用と反転作用を発揮する。
【0054】
実施の形態8.
この実施の形態8では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
図18は、実施の形態7のスクリーン印刷装置100の正面図である。
実施の形態8のスクリーン印刷装置100は、1個のホルダ61に対して梃子機構90を2個設けた場合を示している。
ホルダ61の左右の幅が長い場合に、梃子機構90を右端と左端に設けることにより、左右全体で均一な圧力を生成することができる。
図18の場合も、フレーム52の左右中央を基準にして、力点部97は作用部99の外側に配置されている。
【0055】
実施の形態9.
この実施の形態9では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
図19は、実施の形態9のスクリーン印刷装置100の正面図である。
図20は、実施の形態9の
図19のスクリーン印刷装置100のCC断面図である。
実施の形態9のスクリーン印刷装置100は、1個の梃子機構90を前後方向に配置している。
実施の形態9のスクリーン印刷装置100は、1個のシリンダ81と1個のレバー91とで、スキージ68を固定したプレッシャーロッド72とスクレッパ65を固定したプレッシャーロッド172とを上下させるものである。
図20に示すように、レバー91には、前後方向に力点軸85と作用点軸75と支点軸95と作用点軸175とが順に配置されている。
力点軸85と支点軸95の間に作用点軸75を配置しているので、作用点軸75で得られる力は、力点軸85に加わる力よりも大きくなる。
力点軸85と支点軸95の外に作用点軸175を配置しているので、作用点軸175で得られる力は、力点軸85に加わる力よりも小さくなる。
したがって、スキージ68には、高い圧力が伝達でき、スクレッパ65には低い圧力が伝達できる。
【0056】
●スクリーン印刷方法の説明
●印刷準備工程S10と塗布終了工程S130
制御部110は、駆動機構120により印刷テーブル64にワーク69がセットし、印刷前処理を開始する。
図19において、印刷開始に当たり、制御部110は、シリンダ81を制御し、ピストンロッド82を下降させる。
ピストンロッド82が下降すると、レバー91が支点軸95を中心にして回転し、作用点軸175が上昇するとともに作用点軸75が下降する。
作用点軸75が下降すると、プレッシャーロッド72が下降する。
プレッシャーロッド72が下降すると、ホルダ61とスキージ68とが下降し、スキージ68がスクリーン製版63に接触し、スキージ68がスクリーン製版63に印圧をかけることができる。
作用点軸175が上昇すると、プレッシャーロッド172が上昇する。
プレッシャーロッド172が上昇すると、ホルダ161とスクレッパ65とが上昇する。
【0057】
●印刷工程S20
制御部110は、印刷準備工程S10の終了後、印刷工程S20を実施する。
【0058】
●印刷終了工程S30と塗布準備工程S110
制御部110は、印刷工程S20の終了後、印刷後処理を開始する。
印刷が終了した場合、制御部110は、シリンダ81を制御し、ピストンロッド82を上昇させる。
ピストンロッド82が上昇すると、レバー91が支点軸95を中心にして回転し、作用点軸75が上昇するとともに作用点軸175が下降する。
作用点軸75が上昇すると、プレッシャーロッド72が上昇する。
プレッシャーロッド72が上昇すると、ホルダ61とスキージ68とが上昇する。
作用点軸175が下降すると、プレッシャーロッド172が下降する。
プレッシャーロッド172が下降すると、ホルダ161とスクレッパ65とが下降する。
●塗布工程S120
制御部110は、塗布準備工程S110の終了後、塗布工程S120を実施する。
その後、制御部110は駆動機構120を制御して、印刷準備工程S10と塗布終了工程S130を実行し、印刷を開始する。
【0059】
実施の形態10.
図21は、実施の形態10のスクリーン印刷装置100の正面図である。
図22は、実施の形態10のスクリーン印刷装置100の平面図である。
図23は、
図21のスクリーン印刷装置100のDD端面図である。
実施の形態10のスクリーン印刷装置100は、梃子機構90と梃子機構190と左右方向に配置している。
実施の形態10のスクリーン印刷装置100は、1個のシリンダ81で、2個のレバー91を上下に動かす。
実施の形態10のスクリーン印刷装置100は、1個のシリンダ81で、スキージ68を固定したプレッシャーロッド72とスクレッパ65を固定したプレッシャーロッド172とを上下させるものである。
梃子機構90は、
図14の梃子機構90と同様に、作用部99をフレーム52の左右方向の中央に配置し、力点部97をフレーム52の右の端部に配置し、支点部98をフレーム52の左の端部に配置している。
梃子機構190は、
図1の梃子機構90と同様に、作用部199をフレーム52の左右方向の中央に配置し、力点部197をフレーム52の右の端部に配置し、支点部198を作用部199と力点部197との中央に配置している。
図23に示すように、軸保持部83は、2個の凹部を有する。
2個の凹部は、レバー91の力点部97とレバー191の力点部197とを1個の力点軸85で回転可能に保持している。
梃子機構90は支点部98を作用部99の左側に配置し、梃子機構190は支点部98を作用部99の右側に配置しているので、力点部97と力点部197とを共通の軸保持部83で上下させると、作用部99と作用部199との上下方向の動きが逆になる。
【0060】
図24は、印刷時のスクリーン印刷装置100の正面図である。
図25は、印刷時のスクリーン印刷装置100の背面図である。
図26は、塗布時のスクリーン印刷装置100の正面図である。
シリンダ81のピストンロッド82の上下により、軸保持部83が上下する。
軸保持部83が下降すると、力点部97と力点部197が下降する。
力点部97が下降すると、
図24のように、スキージ68を固定したプレッシャーロッド72が下降する。
力点部197が下降すると、
図25のように、スクレッパ65を固定したプレッシャーロッド172が上昇する。
軸保持部83が上昇すると、力点部97と力点部197が上昇する。
力点部97が上昇すると、
図26のように、スキージ68を固定したプレッシャーロッド72が上昇する。
力点部197が上昇すると、スクレッパ65を固定したプレッシャーロッド172が下降する。
【0061】
***実施の形態の補足***
梃子機構90関して説明した構造は、梃子機構190に対しても採用することができる。
印刷具又は作業具は、スキージ68又はワーク69に限らない。印刷具又は作業具は、ローラ、ドラム、ブレード、刷毛、ヘラ、筆、ペン、ブラシ、ノズル、工具、その他の作業具でも構わない。
実施の形態では、スクリーン印刷装置100の場合について説明したが、梃子機構90は、スクリーン印刷装置100に限らず、他の装置に用いることができる。例えば、梃子機構90は、塗装装置、機械加工装置、表面加工装置等に用いることができる。
【0062】
制御部110の機能は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実現してもよい。つまり、制御部110の一部をソフトウェアで実現し、制御部110の残りをハードウェアで実現してもよい。
【0063】
実施の形態は、好ましい形態の例示であり、本発明の技術的範囲を制限することを意図するものではない。実施の形態は、部分的に実施してもよいし、他の形態と組み合わせて実施してもよい。また、前述した実施の形態を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0064】
50 基台、51 スライド機構、52 フレーム、53 ガイドブッシュ、54,55,56 貫通孔、57 レール、59 台座、60 印刷部、61 ホルダ、62 ガイドロッド、63 スクリーン製版、64 印刷テーブル、65 スクレッパ、68 スキージ、69 ワーク、72 プレッシャーロッド、76 半円部、77 直線部、78 半円部、79 長円、81 シリンダ、82 ピストンロッド、73,83,93 軸保持部、74,174,84,194,94,194 軸受け、75 作用点軸、85 力点軸、95 支点軸、90 梃子機構、91 レバー、96 つまみ、97、197 力点部、98、198 支点部、99、199 作用部、100 スクリーン印刷装置、110 制御部、111 信号線、120 駆動機構、153 ガイドブッシュ、154,155,156 貫通孔、161 ホルダ、162 ガイドロッド、172 プレッシャーロッド、181 シリンダ、182 ピストンロッド、173,183,193 軸保持部、175 作用点軸、185 力点軸、195 支点軸、190 梃子機構、191 レバー、196 つまみ。