(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】評価単位確定装置及び相続税財産評価システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20221213BHJP
G06Q 50/26 20120101ALI20221213BHJP
G06Q 40/00 20120101ALI20221213BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
G06Q50/26
G06Q40/00 410
(21)【出願番号】P 2022060734
(22)【出願日】2022-03-31
【審査請求日】2022-04-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522131262
【氏名又は名称】オルウェーブビジネス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148518
【氏名又は名称】松田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【氏名又は名称】野田 薫央
(72)【発明者】
【氏名】大貫 良一
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 亘
(72)【発明者】
【氏名】酒井 由美
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-040102(JP,A)
【文献】特開2006-154046(JP,A)
【文献】特開2001-084303(JP,A)
【文献】特開2009-244318(JP,A)
【文献】特開2004-191466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象地の評価単位に関する属性情報を記憶する属性情報記憶手段と、
前記評価対象地の画像情報を記憶する画像情報記憶手段と、
前記属性情報記憶手段に記憶された属性情報及び前記画像情報記憶手段に記憶された画像情報を
図的に重畳して表示する表示手段と、
前記表示手段に
図的に重畳して表示された属性情報及び画像情報に基づいて
前記評価単位の境界となる地点に設置されたときに、測位衛星からの測位信号を受信して前記評価単位の境界となる地点の座標情報を取得する座標情報取得手段と、
前記座標情報取得手段が取得した座標情報
を補正する座標補正手段と、
前記座標補正手段により補正された座標情報を、地目、利用者又は権利者を基準に区分される利用単位の利用単位番号ごとに記憶する利用単位記憶データベースにおいて、同一の利用単位番号に関する座標情報が3つ以上の所定数記憶されると、評価単位を確定するかどうかを尋ねるメッセージを前記表示手段に表示し、評価単位を確定する旨の入力があると、前記利用単位記憶データベースに記憶された利用単位番号を評価単位明細データベースに記憶し、その利用単位番号についての利用単位を評価単位
として確定する評価単位確定手段とを備えることを特徴とする評価単位確定装置。
【請求項2】
評価対象地の評価単位に関する属性情報を記憶する属性情報記憶手段と、
前記評価対象地の画像情報を記憶する画像情報記憶手段と、
前記属性情報記憶手段に記憶された属性情報及び前記画像情報記憶手段に記憶された画像情報を図的に重畳して表示する表示手段と、
前記表示手段に図的に重畳して表示された属性情報及び画像情報に基づいて前記評価単位の境界となる地点に設置され
たときに、測位衛星からの測位信号
を受信
して前記評価単位の境界となる地点の座標情報を取得する
座標情報取得手段と、
前記座標情報取得手段が取得した座標情報を補正する座標補正手段と、
前記座標補正手段により補正された座標情報及び座標点ごとに付されるポイント名を、地目、利用者又は権利者を基準に区分される利用単位の利用単位番号ごとに記憶する利用単位記憶データベースにおいて、同一の利用単位番号に関する座標情報が3つ以上の所定数記憶されると、評価単位を確定するかどうかを尋ねるメッセージを前記表示手段に表示し、評価単位を確定する旨の入力があると、前記利用単位記憶データベースに記憶された利用単位番号及びポイント名を評価単位明細データベースに記憶し、その利用単位番号についての利用単位を評価単位として確定する評価単位確定手段と、
路線価又は固定資産税評価額を記憶する価額記憶手段と、
前記評価単位確定手段が確定した評価単位について、前記評価単位明細データベースに記憶されたポイント名に対応する座標情報に基づいて、地積を算出する地積算出手段と、
前記評価単位確定手段が確定した評価単位について、前記表示手段に表示された評価単位の画像において間口を特定するものとして指定された2点の座標情報に基づいて、間口を算出する間口算出手段と、
前記評価単位確定手段が確定した評価単位について、前記表示手段に表示された評価単位の画像において奥行を特定するものとして指定された2点の座標情報に基づいて算出される第1の奥行と、前記地積算出手段が算出した地積を前記間口算出手段が算出した間口で除して算出される第2の奥行とを比較して、奥行を算出する奥行算出手段と、
前記価額記憶手段に記憶された路線価又は固定資産税評価額、前記地積算出手段が算出した地積、前記間口算出手段が算出した間口及び前記奥行算出手段が算出した奥行に基づいて、前記評価単位確定手段が確定した評価単位について相続税財産評価を行い評価額を算出する評価手段とを備えることを特徴とする
相続税財産評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相続税財産評価における評価単位の確定に供する評価単位確定装置、及び、この評価単位確定装置を有する相続税財産評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
相続税は、「相続により取得した財産」を課税物件とする直接税であり、その課税標準は「相続により取得した財産の価格」である。相続税法は、「相続により取得した財産の価格」を「取得の時における時価」としており、申告納税制度において、その時価は、納税者が個々に判断するのが原則であるが、価格が不統一にならないように、国税庁は財産評価基本通達を定めている。通達は、本来、上級庁から下級庁への指示文書であるが、財産評価基本通達は、税務署の担当官のマニュアルになっていることもあり、実務では納税者に対して事実上の強制力を持っている。
【0003】
この財産評価基本通達は、土地の価額を「評価単位」ごとに評価すると定めており、評価単位は、基本的に、地目の別による利用の現況及び土地又は土地上の建物に存する権利の及ぶ範囲により確定される。また、財産評価基本通達は、評価地積に関し、実際の面積であることを求めているが、登記簿や固定資産課税台帳に記載の面積が実際の面積と異なること、あるいは、登記上の筆が評価単位と異なることも多くあり、相続税財産評価において、評価単位の面積の確定は、重要な作業である(土地は元々連続しているもので、最初から境界があるものではないから、対象となっている土地の部分の範囲を明確化する作業は、あらゆる不動産に関する事項において、最初に行うべき最も基本的で重要な作業といえる。)。
【0004】
ところが、土地の評価する範囲を確定する作業及びその地積を測定する作業は、精緻な技術を要し、相続税財産評価の実務を主に担う(ただし、測量分野の専門家ではない)公認会計士や税理士が現地調査を行い、利用現況を判断し、評価単位や地積を適正に把握しようとしても、実際には能力や時間、費用の問題で困難を伴うから、実務では、評価単位及び地積の確定作業が不十分で、評価の出発点から誤りがあるケースが少なくなかった。
【0005】
一方、土地の評価を支援する技術として、例えば特許文献1に記載の画地評価装置が知られている。この画地評価装置は、画地情報を含む画地地図情報と、路線価に関係付けられた路線情報を含む路線地図情報とに基づいて、画地の評点数をコンピュータを用いて自動算出するものであり、画地の画地情報に、画地に近接する路線の路線情報を関係付けることにより、画地の間口に関する画地条件を含む画地条件を導出し、画地条件に基づいて、画地の評点数の補正率を導出する計測部と、画地条件と補正率と路線価とを用いて画地の評点数を算出する評価部とを備え、これにより、固定資産評価基準を熟知した者でなくても自動的に画地評価を適正に行うことを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のとおり、相続税財産評価では評価単位の確定が重要であるところ、特許文献1に記載の画地評価装置を相続税財産評価に利用しようとしても、画地地図情報に含まれる画地情報が評価単位といえなければ、又は、画地地図情報に含まれる画地情報が正確でなければ、評価単位を適正に確定することができず、ひいては相続税財産評価も正しく行うことができない。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、評価単位の確定を容易化する評価単位確定装置と、これを有する相続税財産評価システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る評価単位確定装置は、評価対象地の評価単位に関する属性情報を記憶する属性情報記憶手段と、前記評価対象地の画像情報を記憶する画像情報記憶手段と、前記属性情報記憶手段に記憶された属性情報及び前記画像情報記憶手段に記憶された画像情報を表示する表示手段と、前記表示手段に表示された属性情報及び画像情報に基づいて抽出される前記評価単位の境界となる地点の座標情報を取得する座標情報取得手段と、前記座標情報取得手段が取得した座標情報に基づいて、前記評価単位を確定する評価単位確定手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る相続税財産評価システムは、評価対象地の評価単位に関する属性情報を記憶する属性情報記憶手段と、前記評価対象地の画像情報を記憶する画像情報記憶手段と、前記属性情報記憶手段に記憶された属性情報及び前記画像情報記憶手段に記憶された画像情報を表示する表示手段と、前記表示手段に表示された属性情報及び画像情報に基づいて抽出される前記評価単位の境界となる地点の座標情報を取得する座標情報取得手段と、前記座標情報取得手段が取得した座標情報に基づいて、前記評価単位を確定する評価単位確定手段と、前記評価単位についての路線価又は固定資産税評価額を記憶する価額記憶手段と、前記評価単位確定手段が確定した評価単位について、地積を算出する地積算出手段と、前記評価単位確定手段が確定した評価単位について、間口を算出する間口算出手段と、前記評価単位確定手段が確定した評価単位について、奥行を算出する奥行算出手段と、前記価額記憶手段に記憶された路線価又は固定資産税評価額、前記地積算出手段が算出した地積、前記間口算出手段が算出した間口及び前記奥行算出手段が算出した奥行に基づいて、前記評価単位確定手段が確定した評価単位について相続税財産評価を行い評価額を算出する評価手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
この評価単位確定装置及び相続税財産評価システムにおいて、前記座標情報取得手段は、前記評価単位の境界となる地点に設置され、測位衛星からの測位信号の受信により前記座標情報を取得してもよく、前記属性情報記憶手段に記憶された属性情報は、前記画像情報記憶手段に記憶された画像情報に図的に重畳されて前記表示手段に表示されてもよい。
【0012】
また、評価単位確定装置及び相続税財産評価システムは、前記座標情報取得手段が取得した座標情報を補正する座標補正手段を備え、前記評価単位確定手段は、前記座標情報取得手段が取得して前記座標補正手段により補正された座標情報に基づいて、前記評価単位を確定してもよい。
【0013】
さらに、相続税財産評価システムは、前記価額記憶手段に記憶された路線価又は固定資産税評価額、前記地積算出手段が算出した地積、前記間口算出手段が算出した間口、前記奥行算出手段が算出した奥行及び前記評価手段が算出した評価額に基づいて、評価明細書を作成する明細書作成手段を備えてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、多くの時間や費用を費やすことなく、また、測量等の特別な専門知識を必要とせず、財産評価基本通達の定める利用現況によった評価単位を容易に正しく確定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】発明を実施するための形態に係る評価単位確定装置を有する相続税財産評価システムを示す説明図である。
【
図2】
図1のモバイル端末及び情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1の相続税財産評価システムの処理を示す流れ図である。
【
図4】
図1の相続税財産評価システムの
図3以降の処理を示す流れ図である。
【
図5】モバイル端末の表示部における画像及び属性情報の表示例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
【0017】
図1及び
図2は、本実施の形態に係る評価単位確定装置を有する相続税財産評価システムを示す。この相続税財産評価システム1は、相続税財産評価における評価単位の確定を支援するとともに、相続税財産を評価して評価明細書(土地及び土地の上に存する権利の評価明細書)を作成するもので、評価単位確定装置2を構成するモバイル端末3、情報処理装置4、画像取得装置5、座標取得装置6及び座標補正装置7と、印刷装置8とを有する。
【0018】
モバイル端末3は、スマートフォンやタブレット端末、PC等の携帯が容易な情報携帯端末からなり、CPU(Central Processing Unit)等からなる制御部3aと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ装置からなる記憶部3bと、通信インターフェースからなる通信部3cと、タッチパネルやボタン、キーボード、マウス等のポインティングデバイスからなる入力部3dと、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等からなる表示部3eとを備える。
【0019】
記憶部3bには、評価単位の確定を支援するクライアントサーバ型の第1のアプリケーション、及び、モバイル端末3と座標取得装置6との通信を制御する公知の第2のアプリケーションがインストールされ、モバイル端末3は、第1のアプリケーションのクライアントに相当する。通信部3cは、WiーFi(登録商標)やBLUETOOTH(登録商標)等の近距離無線、LTEや5G等の長距離無線又は有線により、情報処理装置4、画像取得装置5、座標取得装置6及び印刷装置8との通信を行う。
【0020】
情報処理装置4は、PCやサーバ等のコンピュータ機器からなり、CPU等からなる制御部4aと、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置からなる記憶部4bと、通信インターフェースからなる通信部4cとを備える。情報処理装置4は、モバイル端末3と同一のLAN(Local Area Network)にオンプレミスで設けられても、モバイル端末3とインターネットで接続されてクラウドに設けられてもよい。
【0021】
記憶部4bには、第1のアプリケーションがインストールされ、情報処理装置4は、第1のアプリケーションのサーバに相当する。また、第1のアプリケーションにより、記憶部4bには、リレーショナルデータベースとして属性情報記憶DB4d、座標情報記憶DB4e及び利用単位記憶DB4fが設けられ、リレーショナルデータベース及びストレージとして画像記憶DB4g及び評価単位明細DB4hが設けられている。
【0022】
画像取得装置5は、評価単位の確定を要する評価対象地Lを撮影し、その画像を取得するもので、デジタルカメラ、全天球カメラ(360度カメラ)又は無人航空機(ドローン(商標登録))の一又は複数により構成されている(
図1では、デジタルカメラ5a、全天球カメラ5b及び無人航空機5cを記載している。)。デジタルカメラは、モバイル端末3と別に設けられても、モバイル端末3に搭載されたものでもよく、評価対象地Lの画像情報を座標情報(緯度、経度、標高)とともに取得する(以下、画像情報に付随する座標情報を「画像関連座標情報」という。)。全天球カメラは、評価対象地Lに建物が存在したり、評価対象地Lが起伏のある土地であったりする場合に、ポールに取り付けられて評価対象地Lにおける特定の地点に5~10メートル程度の高さで設置され、評価対象地Lの全体の画像情報を画像関連座標情報とともに取得する。無人航空機は、評価対象地の上空において、被撮影領域が重複するように撮影された複数の画像の画像情報を画像関連座標情報とともに取得するもので、評価対象地Lが広大な場合や急勾配の斜面を有する場合等に有効である。なお、画像取得装置5には、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)とCMOSセンサを備えるカメラとを組み合わせて用いてもよい。
【0023】
座標取得装置6は、測位衛星(GNSS衛星)から測位信号(GNSS信号)を受信するアンテナ6aと、アンテナ6aの受信信号を処理するとともに、通信機能を有するレシーバー6bとを備え、第2のアプリケーションによるモバイル端末3からの指示に基づいて、座標取得装置6が設置された位置の座標情報を取得する。座標取得装置6には、トータルステーション等を用いることもできる。
【0024】
座標補正装置7は、座標取得装置6が測位信号に基づいて取得した座標情報を補正するもので、日本の衛星「みちびき」のL6補強信号を受信するアンテナ7aと、アンテナ7aの受信信号を処理してレシーバー6bに測位補強情報を出力するレシーバー7bとを備える。座標補正装置7は、ネットワークRTK(Real Time Kinematic)によるインターネットを介した補正情報配信サービスを活用して補正を行うものであってもよい。
【0025】
印刷装置8は、第1のアプリケーションによるモバイル端末3又は情報処理装置4からの指示に基づいて、モバイル端末3の表示部3eの表示内容や評価明細書等を印刷する。
【0026】
相続税財産評価は、一般に、公認会計士、税理士等の相続税財産を評価する評価人により、情報収集、現地確認の事前準備、現地確認、評価単位の確定、各評価単位の地積・間口・奥行の測定、評価額の算定の順で行われるが、この相続税財産評価システム1及び評価単位確定装置2では、まず、第1のアプリケーションにより、モバイル端末3の制御部3aが表示部3eに入力画面を表示し(ステップ1(図中「S.1」と記載。以下、
図3及び
図4において同様。))、評価人の収集情報のうち評価対象地Lの属性情報を含む基礎情報が入力部3d等により入力されると(ステップ2)、制御部3aは入力された基礎情報を記憶部3bに記憶する(ステップ3)。属性情報とは、評価対象地Lの評価単位に関する情報(評価対象地Lの評価単位の確定に供する情報)であり、地目(例えば、「宅地」、「田」、「畑」、「山林」、「原野」、「牧場」、「池沼」、「鉱泉地」、「雑種地」)、利用者及び権利者(例えば、所有権者)に関する情報と、所在に関する情報(評価対象地Lを地目、利用者又は権利者を基準に利用単位(利用の単位となっている一画地で、評価のために確定した利用単位は評価単位になる。)に区分する場合の利用単位の外縁を規定するための経度及び緯度に関する情報であって、公図に含まれる座標情報や後述の画像関連座標情報を用いることもできる。)と、利用単位番号(利用単位を区別するために利用単位ごとに付される番号)とを含む。属性情報以外の基礎情報としては、例えば、座標点を区別するために座標点ごとに付されるポイント名、土地の所在地番、公簿上の地積、地域の種別(例えば、「第一種低層住居専用地域」、「第二種低層住居専用地域」、「第一種中高層住居専用地域」、「第二種中高層住居専用地域」、「第一種住居地域」、「第二種住居地域」、「田園住居地域」、「準住居地域」、「近隣商業地域」、「商業地域」、「準工業地域」、「工業地域」、「工業専用地域」)、地区区分(例えば、「ビル街地区」、「高度商業地区」、「繁華街地区」、「普通商業・併用住宅地区」、「普通住宅地区」、「中小工場地区」、「大工場地区」)、接道の有無、接道の種類、路線価、固定資産税評価額がある(なお、通常、相続発生日、相続人の数及び相続人の氏名や、固定資産課税台帳、登記簿謄本(現在事項証明書)、公図、地積測量図及び賃貸借契約書(賃貸借の用に供している場合)は、会計事務所・税理士事務所において相続税申告用のソフトウエアに別途入力される。)。
【0027】
次に、第1のアプリケーションにより、制御部3aは、記憶部3bに記憶された基礎情報を通信部3cにより情報処理装置4に送信し(ステップ4)、情報処理装置4の制御部4aは、通信部4cにより基礎情報を受信すると(ステップ5)、受信した基礎情報を属性情報記憶DB4dに記憶する(ステップ6)。属性情報記憶DB4dに記憶された基礎情報は、モバイル端末3の操作により呼び出して表示部3eに表示し、編集・削除することが可能であり、評価人の現地確認に先立つ準備作業に供する。
【0028】
現地確認時には、画像取得装置5による評価対象地Lの撮影が行われるが、その撮影の準備が整うと、第1のアプリケーションにより、制御部3aは、画像取得装置5に撮影の指示を通信部3cにより送信し(ステップ7)、撮影完了後の画像取得装置5から評価対象地Lの画像情報及び画像関連座標情報を通信部3cにより受信すると(ステップ8)、受信した画像情報及び画像関連座標情報を記憶部3bに記憶する(ステップ9)。
【0029】
また、第1のアプリケーションにより、制御部3aは、記憶部3bに記憶された画像情報及び画像関連座標情報を通信部3cにより情報処理装置4に送信し(ステップ10)、制御部4aは、通信部4cにより画像情報及び画像関連座標情報を受信すると(ステップ11)、受信した画像情報及び画像関連座標情報のうち撮影画像を画像記憶DB4gのストレージに記憶し、画像のファイル名、画像の取得方法の種類(「デジタルカメラ」、「全天球カメラ」、「無人航空機」)、画像取得日時、画像関連座標情報、ストレージのリンク情報を利用単位番号(属性情報記憶DB4dに記憶された利用単位番号に対応する利用単位に関する撮影が行われた場合、その利用単位番号)及びポイント名(属性情報記憶DB4dに記憶されたポイント名に対応する座標点に関する撮影が行われた場合、そのポイント名)とともに画像記憶DB4gのリレーショナルデータベースに記憶する(ステップ12)。画像記憶DB4gに記憶された画像情報及び画像関連座標情報の一部又は全部は、モバイル端末3の操作により呼び出して表示部3eに表示し、編集・削除することが可能であり、編集・削除後は関連するDB(データベース)の記憶内容も更新される。
【0030】
なお、記憶部3b及び/又は画像記憶DB4gに記憶される画像は、適宜画像処理されてもよい。例えば、デジタルカメラにより取得した画像については、ファイルサイズの圧縮等の処理を行い、無人航空機により取得した画像については、点群データを生成し、点群の各点に座標情報を付与してオルソ画像とし、色を付ける等の処理を行ってもよく、このような処理には、フォトグラメトリー技術を用いるソフトウエアを利用することもできる。
【0031】
続いて、評価人、又は、第1のアプリケーションにより動作する制御部3a若しくは制御部4aは、属性情報記憶DB4dに記憶された属性情報、及び、記憶部3b又は画像記憶DB4gに記憶された画像に基づいて(必要に応じて、評価人の目視により得られる評価対象地Lの現況の情報を加味して)、評価単位(利用単位)の境界となる地点を抽出する。
【0032】
詳細には、この抽出を評価人が行う場合には、評価人は、モバイル端末3の表示部3eに表示された属性情報や画像を確認しながら、眼前の評価対象地Lの評価単位の境界となる地点を抽出することができる。例えば、
図5に示すように、制御部3aが属性情報を撮影画像に図的に重畳して表示部3eに表示し(ステップ13)、評価対象地Lのうち領域L
1と領域L
2とは地目が同一で利用者が異なり色分けされ、領域L
2と領域L
3とは利用者が同一で地目が異なり色分けされていれば、評価人は、領域L
1,L
2,L
3のそれぞれが評価単位と考えられるとして、領域L
1と領域L
2との境界B
1上の地点P
1,P
2や領域L
1と隣地との境界B
2上の地点P
3,P
4、領域L
2と領域L
3との境界B
3上の地点P
1,P
5等を評価単位の境界となる地点として抽出することができる。
【0033】
一方、この抽出を制御部3a又は制御部4aが行う場合には、制御部3a又は制御部4aが、属性情報と画像情報との一致・不一致を確認して行ってもよいし、例えば、属性情報及び画像情報が入力された際に評価単位の境界となる地点を抽出するように教師データを用いた機械学習処理が施された学習済みニューラルネットワークを有し、AIによる自動的な抽出を行うようにしてもよい。
【0034】
その評価単位の境界になるとして抽出された地点には、座標取得装置6が設置され、座標補正装置7は、座標取得装置6と通信可能な位置に設置される。その上で、第2のアプリケーションにより、制御部3aは、座標取得装置6に座標情報を取得する指示を通信部3cにより送信し(ステップ14)、座標補正装置7の測位補強情報で補正された座標情報を座標取得装置6からNMEAメッセージとして通信部3cにより受信すると(ステップ15)、受信した座標情報を記憶部3bに記憶する(ステップ16)。
【0035】
また、第1のアプリケーションにより、制御部3aは、記憶部3bに記憶された座標情報を通信部3cにより情報処理装置4に送信し(ステップ17)、制御部4aは、通信部4cにより座標情報を受信すると(ステップ18)、受信した座標情報について、緯度、経度、標高、平面直角座標X、平面直角座標Y、座標系番号を利用単位番号(属性情報記憶DB4dに記憶された利用単位番号に対応する利用単位に関する座標情報の取得が行われた場合、その利用単位番号)及びポイント名(属性情報記憶DB4dに記憶されたポイント名に対応する座標点に関する座標情報の取得が行われた場合、そのポイント名)とともに座標情報記憶DB4eに記憶するとともに(ステップ19)、その座標情報及びポイント名を利用単位番号ごとに利用単位記憶DB4fに記憶する(ステップ20)。
【0036】
制御部3a及び制御部4aは、評価単位の境界になるとして抽出された各地点について、ステップ14からステップ19を繰り返し、制御部4aは、利用単位記憶DB4fに同一の利用単位番号に関する座標情報(座標情報群)が3つ以上の所定数(評価単位を確定するのに十分な数だけ)記憶されると(ステップ21)、評価単位を確定可能である旨の通知信号を通信部4cによりモバイル端末3に送信する(ステップ22)。制御部3aは、通知信号を通信部3cにより受信すると(ステップ23)、評価単位を確定するかどうかを評価人に尋ねるメッセージを表示部3eに表示する(ステップ24)。
【0037】
このメッセージに対する回答として、入力部3dにより評価単位を確定する旨の入力があると(ステップ25)、制御部3aは、第1のアプリケーションにより、評価単位を確定する旨の確定信号を通信部3cにより情報処理装置4に送信する(ステップ26)。制御部4aは、確定信号を通信部4cにより受信すると(ステップ27)、利用単位記憶DB4fに記憶された利用単位番号、ポイント名と、属性情報記憶DB4dに記憶された関連する(利用単位番号をキーとして関連付けられる)地目、利用者及び権利者に関する情報、土地の所在地番、公簿上の地積、地域の種別、地区区分、接道の有無、接道の種類、路線価、固定資産税評価額とを評価単位明細DB4hのリレーショナルデータベースに記憶し、その利用単位番号についての利用単位を評価単位として確定する(ステップ28)。評価単位明細DB4hに記憶された情報の一部又は全部は、モバイル端末3の操作により呼び出して表示部3eに表示し、編集・削除することが可能であり、編集・削除後は関連するDBの記憶内容も更新される。
【0038】
評価単位明細DB4hに記憶されて確定した評価単位については、第1のアプリケーションにより、制御部4aが地積、間口及び奥行を算出する。
【0039】
地積について、制御部4aは、評価単位明細DB4hに記憶されたポイント名に対応する平面直角座標X,Y(座標情報記憶DB4eに記憶されている。)に基づいて、座標法等のアルゴリズムにより算出し(ステップ29)、評価単位明細DB4hに記憶する(ステップ30)。例えば、(X1,Y1)、(X2,Y2)、(X3,Y3)、(X4,Y4)の4点の座標から算出する場合、地積は以下の式で求められる。
地積(m2)=|X1Y2ーX2Y1+X2Y3ーX3Y2+X3Y4ーX4Y3+X4Y1ーX1Y4|/2
【0040】
間口については、表示部3eに表示された評価単位の画像(例えば、
図5の領域L
1)において評価人が間口を特定するものとして任意の2点(例えば、
図5の地点P
2,P
3)を指定すると、あるいは、第1のアプリケーションにより制御部3a又は制御部4aがそのような2点を指定すると、制御部4aは、その2点に対応する平面直角座標X,Yに基づいて、三平方の定理等のアルゴリズムにより算出し(ステップ31)、評価単位明細DB4hに記憶する(ステップ32)。例えば、(X
1,Y
1)、(X
2,Y
2)の2点の座標から算出する場合、その2点間の距離である間口は、以下の式で求められる。
間口(m)=√{(X
1ーX
2)
2+(Y
1ーY
2)
2}
【0041】
奥行については、まずは間口と同様の算出が行われる。すなわち、表示部3eに表示された評価単位の画像(例えば、
図5の領域L
1)において評価人が奥行を特定するものとして任意の2点(例えば、
図5の地点P
1,P
2)を指定すると、あるいは、第1のアプリケーションにより制御部3a又は制御部4aがそのような2点を指定すると、制御部4aは、その2点に対応する平面直角座標X,Yに基づいて、三平方の定理等のアルゴリズムにより奥行を算出する(このように算出される奥行を、以下「第1の奥行」という。)。例えば、(X
1,Y
1)、(X
2,Y
2)の2点の座標から算出する場合、その2点間の距離である第1の奥行は、以下の式で求められる。
第1の奥行(m)=√{(X
1ーX
2)
2+(Y
1ーY
2)
2}
【0042】
さらに、制御部4aは、ステップ28で算出した地積をステップ30で算出した間口で除した想定奥行を算出し(このように算出される奥行を、以下「第2の奥行」という。)、第1の奥行と第2の奥行とを比較して第1の奥行が第2の奥行以下(第1の奥行≦第2の奥行)であれば第1の奥行を、第2の奥行が第1の奥行未満(第2の奥行<第1の奥行)であれば第2の奥行を、その評価単位の奥行として決定し(ステップ33)、評価単位明細DB4hに記憶する(ステップ34)。
【0043】
評価単位が確定して地積、間口及び奥行が算出されると、制御部4aは、第1のアプリケーションにより、正面路線の判定、正面路線価格の算定、側方加算額の算定及び二方加算額の算定を行って(必要に応じて間口、奥行や不整形地であることを考慮した調整等を行って)評価単位の土地の単価を算定し、その評価単位についての相続税財産評価を行い評価額を算定する(ステップ35)。
【0044】
また、制御部4aは、表示又は印刷に適した評価明細書のファイルを生成して評価単位明細DB4hのストレージに記憶し(ステップ36)、モバイル端末3の操作により、この評価明細書の印刷指示が情報処理装置4又はモバイル端末3から印刷装置8に送信されると、印刷指示を受信した印刷装置8が評価明細書を印刷する。
【0045】
本実施の形態に係る相続税財産評価システム1及び評価単位確定装置2は、評価対象地Lの評価単位に関する属性情報を記憶する属性情報記憶DB4dと、評価対象地Lの画像情報を記憶する画像記憶DB4gと、属性情報記憶DB4dに記憶された属性情報及び画像記憶DB4gに記憶された画像情報を表示する表示部3eと、表示部3eに表示された属性情報及び画像情報に基づいて抽出される評価単位の境界となる地点の座標情報を取得する座標情報取得装置6と、座標情報取得装置6が取得した座標情報に基づいて、評価単位を確定する制御部4aとを備えるので、評価単位の境界となる地点を表示部3eに表示された属性情報及び画像情報に基づいて評価人等の現地確認の結果等を踏まえながら抽出することが可能であるとともに、その地点の座標情報が座標情報取得装置6により取得されて制御部4aが評価単位を確定するので、評価人等は、多くの時間や費用を費やすことなく、また、測量等の特別な専門知識を必要とせず、利用現況によった評価単位を容易に正しく確定することができる。
【0046】
ここでは、座標情報取得装置6は、評価単位の境界となる地点に設置され、測位衛星からの測位信号の受信により座標情報を取得するので、評価人等が抽出された評価単位の境界となる地点に座標情報取得装置6を設置しさえすれば、評価単位を確定するための座標情報を取得することができる。さらに、相続税財産評価システム1及び評価単位確定装置2は、座標情報取得装置6が取得した座標情報を補正する座標補正装置7を備え、制御部4aは、座標情報取得装置6が取得して座標補正装置7により補正された座標情報に基づいて評価単位を確定するので、座標情報取得装置6が取得した座標情報に誤差があっても、評価単位を正確に確定することができる。
【0047】
さらに、属性情報記憶DB4dに記憶された属性情報は、画像記憶DB4gに記憶された画像情報に図的に重畳されて表示部3eに表示されるので、評価人等は、画像情報に含まれる領域の属性情報による色分け等により評価単位の境界となり得る地点を一見して判断することができる。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について例示したが、本発明の実施形態は上述したものに限られず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更等してもよい。
【0049】
例えば、上述した実施の形態では、デジタルカメラ5a、全天候カメラ5b又は無人航空機5cからなる画像取得装置5により画像情報を取得したが、画像情報は公図等から図として又は図を特定する座標により取得してもよい。
【0050】
また、評価単位の確定に用いる座標の座標系は、平面直角座標系に限られず、UTM座標系や独自の座標系等を用いてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 相続税財産評価システム
2 評価単位確定装置
3 モバイル端末
3a 制御部
3b 記憶部(属性情報記憶手段、画像情報記憶手段)
3c 通信部
3d 入力部
3e 表示部(表示手段)
4 情報処理装置
4a 制御部(評価単位確定手段、地積算出手段、間口算出手段、奥行算出手段、評価手段、明細書作成手段)
4b 記憶部
4c 通信部
4d 属性情報記憶DB(属性情報記憶手段、価額記憶手段)
4e 座標情報記憶DB
4f 利用単位記憶DB
4g 画像記憶DB(画像情報記憶手段)
4h 評価単位明細DB
5 画像取得装置
5a デジタルカメラ
5b 全天候カメラ
5c 無人航空機
6 座標情報取得装置(座標情報取得手段)
6a アンテナ
6b レシーバー
7 座標情報補正装置(座標情報補正手段)
7a アンテナ
7b レシーバー
8 印刷装置
L 評価対象地
【要約】
【課題】 評価単位の確定を容易化する評価単位確定装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係る評価単位確定装置2は、評価対象地Lの評価単位に関する属性情報を記憶する属性情報記憶DB4dと、評価対象地Lの画像情報を記憶する画像記憶DB4gと、属性情報記憶DB4dに記憶された属性情報及び画像記憶DB4gに記憶された画像情報を表示する表示部3eと、表示部3eに表示された属性情報及び画像情報に基づいて抽出される評価単位の境界となる地点の座標情報を取得する座標情報取得装置6と、座標情報取得装置6が取得した座標情報に基づいて、評価単位を確定する制御部4aとを備える。
【選択図】
図2