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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】マルチ電子決済システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/08 20120101AFI20221213BHJP
【FI】
G06Q20/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022094303
(22)【出願日】2022-06-10
(62)【分割の表示】P 2020193267の分割
【原出願日】2019-08-12
(65)【公開番号】P2022111354
(43)【公開日】2022-07-29
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2019069496
(32)【優先日】2019-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516046134
【氏名又は名称】株式会社オーガスタス
(74)【代理人】
【識別番号】100107674
【弁理士】
【氏名又は名称】来栖 和則
(72)【発明者】
【氏名】吉川 幸孝
(72)【発明者】
【氏名】吉川 明宏
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2001/084391(WO,A1)
【文献】特開2005-071081(JP,A)
【文献】国際公開第2015/151510(WO,A1)
【文献】特開2018-092686(JP,A)
【文献】特開2018-206334(JP,A)
【文献】特開平11-353382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが同じ店舗で複数の購入項目を購入するという1つの購入活動単位に対する対価であって必ずしも一致しない複数の支払先に支払われるべき複数の個別料金を含むものが1回分の複合支払料金としてユーザに課金される場合に、その複合支払料金に属する複数の個別料金を当該ユーザ通信機器を用いて1回分の電子決済リクエストを発出することを契機として一括して電子決済することを可能にするマルチ電子決済システムであって、
支払先別の複数の管理サーバと、
ユーザの通信機器と前記複数の管理サーバとの間にそれら管理サーバに共通に設置され、それにより、それら管理サーバをマルチ電子決済のためにネットワーク化してユーザに利用可能とする選択サーバと
を含み、
その選択サーバは、ユーザの通信機器からの1回分の電子決済リクエストに応じ、前記通信機器から受信した、前記複合支払料金についての電子決済情報であって購入項目と支払先との関係を表す関係情報と当該ユーザが利用することを希望する電子決済の種類とを含むものに基づき、支払先ごとに、前記複数の管理サーバのうちのいずれかを選択し、その選択された各管理サーバに電子決済リクエストを、前記電子決済情報のうち、前記選択された各管理サーバに対応する支払先に対応する購入項目に対応する購入項目関連決済情報と共に送信し、
支払先ごとに選択された各管理サーバは、前記電子決済リクエストと前記対応する購入項目関連決済情報とを前記選択サーバから受信すると、対応する決済サーバであって所定の1種類または複数種類の電子決済に対応可能であるものに対し、前記複数の個別料金のうち、前記選択された各管理サーバに対応する支払先に支払われるべきものについて個別に電子決済リクエストを行うマルチ電子決済システム。
【請求項2】
前記選択サーバは、ユーザの通信機器から受信した前記電子決済情報に含まれる前記関係情報に基づき、前記複数の管理サーバの中から、前記複数の購入項目をそれぞれ管轄する複数の事業体に関連付けられるものを選択する請求項1に記載のマルチ電子決済システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のマルチ電子決済システムにおける通信機器としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項4】
請求項1または2に記載のマルチ電子決済システムにおける選択サーバとしてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項5】
請求項1または2に記載のマルチ電子決済システムにおける管理サーバとしてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項3に記載のプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体。
【請求項7】
請求項4に記載のプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体。
【請求項8】
請求項5に記載のプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが通信機器を用いて電子決済を行う技術に関し、特に、事業者の経済的負担を軽減しつつ、ユーザが利用可能な電子決済の種類の幅を拡大しおよび/またはユーザが複数種類の個別料金から成る複合料金を包括的に電子決済することを可能にする技術に関し、および/または、ある種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供する技術に関し、特に、その提供に対する対価をユーザが電子決済によって支払う技術の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供するシステムが既に普及している。ある種の物品をユーザに提供するシステムの一例は、自動販売機である。この出願書類の全体を通じて、「提供する」という用語は、例えば、無償であるか有償であるかを問わず、譲渡、貸渡し(リース)などの行為を意味する。
【0003】
また、ある種のサービスの一例は、不動産または動産であるレンタル対象をユーザにレンタルするというサービスである。具体的には、不動産としてのレンタル対象の一例が、貸席や駐車場などのレンタル・スペースであり、また、動産としてのレンタル対象の一例が、貸し自転車やレンタカーなどの運搬・輸送手段である。
【0004】
さらに具体的には、不動産としてのレンタル対象としては、例えば、ユーザが短期的に滞在可能である宿泊施設(例えば、ホテル内の部屋、一時的に他人にレンタルされる個人宅、共同住宅などの居室)またはユーザが長期的に滞在可能である滞在施設(例えば、個別住宅、共同住宅など)の部屋、コインロッカー、駐車場(例えば、一または複数の車室を有する駐車場)、個別の駐車スペース(例えば、駐車場内の複数の車室の各々)などがある。
【0005】
動産としてのレンタル対象としては、例えば、陸上、水上または飛行する乗物(例えば、レンタカー、貸し自転車など)、レンタル家具、レンタル衣服類、レンタル電気製品(後述の音声ガイド装置を含む)、電気製品に着脱可能に装着されるレンタル付属品(例えば、電池または充電器)、視聴覚コンテンツが記録されているレンタル記録媒体(例えば、CD)であってユーザによって再生可能なものなどがある。
【0006】
ここで、駐車場ビジネスを例にとり、ある種の物品またはサービスをユーザに提供するシステムのいくつかの従来例を、特に、決済方式に着目して説明する。
【0007】
特許文献1には、電子決済(「スマートフォン決済」ともいい、例えば、クレジットカード決済が該当する。)には対応可能であるが現金決済やプリペイド式ICカード決済(単に「カード決済」ともいう。)には対応不能な駐車場管理システムが開示されている。
【0008】
このシステムは、駐車場外に設置されるサーバであって、ユーザの携帯端末と通信可能なものと、駐車場内に設置される出庫制限装置であって前記サーバまたはユーザの携帯端末と通信してそれらによって制御されるものとを備えている。本明細書の全体を通じ、「出庫制限装置」は、ユーザによる決済が完了しないうちは、駐車場に入庫した車両がその駐車場から出庫することを物理的に制限し、ユーザによる決済が完了すると、出庫を物理的に許可するものであり、出庫許可装置とも称される。
【0009】
特許文献2には、現金決済またはカード決済のみに対応可能、すなわち、非電子決済に対応可能な駐車場管理システムが開示されている。
【0010】
このシステムには、駐車場内に設置される精算機(ユーザが非電子決済を行うことを可能にする装置)と、駐車場内に設置される出庫制限装置であって前記精算機によって制御されるものと、駐車場外に設置されるサーバであって、ユーザの携帯端末とではなく、前記精算機と通信可能なものとを備えている。
【0011】
特許文献3には、非電子決済と電子決済との双方に対応可能な駐車場管理システムが開示されている。このシステムは、駐車場内に設置される発券機であって非電子決済を可能にするものと、駐車場外に設置される管理サーバであって、ユーザの携帯端末と通信して、ユーザによる電子決済を可能にするものとを備えている。この場合、その管理サーバは、当該駐車場を管理する業者と同じ業者によって管理され、よって、このシステムにおいては、発券機と管理サーバとが同じ業者の管理下に置かれることになる。
【0012】
一方、ユーザが通信機器を用いて電子決済を行う電子決済システムが既に提案されている。特許文献4は、複数種類の電子マネーによる電子決済が可能な電子マネー決済装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特許第6401849号公報
【文献】特開2016-045916号公報
【文献】特開2018-173965号公報
【文献】特開2014-119807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ユーザへの物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産の提供に対する対価の決済方法として電子決済が普及しつつある。一方で、非電子決済を要望するユーザも依然として存在する。
【0015】
ところで、非電子決済に専ら対応するようにシステムを構築した後、電子決済の要望に応えるべく、そのシステムのハードウエア構成を少なくとも部分的に改修して電子決済にも対応するようにすることは可能である。しかし、その場合には、システムの改修にかかる負担が増加してしまうおそれがある。
【0016】
また、あるシステムが電子決済に対応可能であるとしても、そのシステムが対応可能な電子決済の種類と、ユーザが利用可能な電子決済の種類とが不一致であると、ユーザが、電子決済の種類の不一致という理由のみで、当該システムを利用できない。そのため、ユーザが利用可能なシステムの範囲が制限されてしまう。
【0017】
また、特許文献4に開示されている技術によれば、ユーザは、利用可能な電子決済の種類の幅が拡大される。しかし、この文献に開示されている従来の技術では、事業者は、複数種類の電子決済に対応するために、専用の管理システムを新たに製造して運営することが必要となる。
【0018】
そのため、このような従来の技術では、キャッシュレス流通社会の実現を促進するために、ユーザによって利用可能な電子決済の種類の幅を拡大してユーザの利便性を向上させようとすると、事業者が負担すべき固定費および運営費が増加してしまうという障害に当たる。
【0019】
また、1つのイベント、サービスまたは物品が1人のユーザに提供されることに対する対価が、複数の支払先にそれぞれ対応する複数種類の料金を含む場合、従来の技術では、ユーザの通信機器が、支払先ごとに専用の管理サーバにアクセスして電子決済を行うことを余儀なくされる。
【0020】
そのため、従来の技術では、このような決済を行うユーザ経験においては、電子決済を行うためにユーザが通信機器を操作する際にユーザに課される負担が大きく、よって、ユーザの利便性を改善する余地がある。
【0021】
このような事情を背景とし、本発明は、ユーザが通信機器を用いて電子決済を行う技術であって、事業者の経済的負担を軽減しつつ、ユーザが利用可能な電子決済の種類の幅を拡大しおよび/またはユーザが複数種類の個別料金から成る複合料金を包括的に電子決済することを可能にすることを課題としてなされたものであり、および/または、ある種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供する技術において、その提供に対する対価をユーザが電子決済によって支払う技術を改良すること、または、ある決済方式に対応できない決済システムを、追加の負担を抑制しつつ、その決済方式に対応可能な別の決済システムを用いることにより、その決済方式に対応可能なものに改修することを可能にすることを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
その課題を解決するために、本発明の一側面によれば、ユーザが同じ店舗で複数の購入項目を購入するという1つの購入活動単位に対する対価であって必ずしも一致しない複数の支払先に支払われるべき複数の個別料金を含むものが1回分の複合支払料金としてユーザに課金される場合に、その複合支払料金に属する複数の個別料金を当該ユーザ通信機器を用いて1回分の電子決済リクエストを発出することを契機として一括して電子決済することを可能にするマルチ電子決済システムであって、
支払先別の複数の管理サーバと、
ユーザの通信機器と前記複数の管理サーバとの間にそれら管理サーバに共通に設置され、それにより、それら管理サーバをマルチ電子決済のためにネットワーク化してユーザに利用可能とする選択サーバと
を含み、
その選択サーバは、ユーザの通信機器からの1回分の電子決済リクエストに応じ、前記通信機器から受信した、前記複合支払料金についての電子決済情報であって購入項目と支払先との関係を表す関係情報と当該ユーザが利用することを希望する電子決済の種類とを含むものに基づき、支払先ごとに、前記複数の管理サーバのうちのいずれかを選択し、その選択された各管理サーバに電子決済リクエストを、前記電子決済情報のうち、前記選択された各管理サーバに対応する支払先に対応する購入項目に対応する購入項目関連決済情報と共に送信し、
支払先ごとに選択された各管理サーバは、前記電子決済リクエストと前記対応する購入項目関連決済情報とを前記選択サーバから受信すると、対応する決済サーバであって所定の1種類または複数種類の電子決済に対応可能であるものに対し、前記複数の個別料金のうち、前記選択された各管理サーバに対応する支払先に支払われるべきものについて個別に電子決済リクエストを行うマルチ電子決済システム提供される。
【0023】
また、本発明のあるアスペクトによれば、ユーザが複数の交通機関を乗り継いで出発地点から目標地点までの複数の利用区間を移動するための利用区間ごとの複数の交通費であって必ずしも一致しない複数の支払先に支払われるべきものが1回分の複合支払料金としてユーザに課金される場合に、その複合支払料金に属する複数の交通費を当該ユーザの通信機器を用いて一括して電子決済リクエストすることを可能にするマルチ電子決済システムであって、
支払先別の複数の管理サーバと、
ユーザの通信機器と前記複数の管理サーバとの間にそれら管理サーバに共通に設置され、それにより、それら管理サーバをマルチ電子決済のためにネットワーク化してユーザに利用可能とする選択サーバと
を含み、
その選択サーバは、ユーザの通信機器からの1回分の電子決済リクエストに応じ、前記通信機器から受信した、前記複合支払料金についての電子決済情報であって利用区間と支払先との関係を表す利用区間情報を含むものに基づき、支払先ごとに、前記複数の管理サーバのうちのいずれかを選択し、その選択された各管理サーバに電子決済リクエストを、前記電子決済情報のうち、前記選択された各管理サーバに対応する支払先に対応する利用区間に関する利用区間関連決済情報と共に送信し、
支払先ごとに選択された各管理サーバは、前記電子決済リクエストと前記対応する利用区間関連決済情報とを前記選択サーバから受信すると、対応する1または複数の決済サーバに対し、前記複数の交通費のうち、前記選択された各管理サーバに対応する支払先に支払われるべきものについて個別に電子決済リクエストを行うマルチ電子決済システムが提供される。
【0024】
また、本発明の一側面によれば、ユーザが複数の交通機関を乗り継いで出発地点から目標地点までの複数の利用区間を移動することを可能にする複数のサービスをユーザが受けるために前記複数の交通機関をそれぞれ運営する1または複数の交通機関運営事業体にそれぞれ、対応する複数の利用区間に対応する複数の交通費を、当該ユーザの通信機器を用いる電子決済によって前払いすることを可能にするマルチ電子決済システムであって、
複数の決済サーバであって、それぞれ対応可能な電子決済の種類が互いに完全に一致するか否かを問わないものと、
任意の交通機関運営事業体を支払先とする電子決済を希望するユーザの通信機器と通信可能であるとともに、ユーザの通信機器から受信する電子決済情報に基づき、前記複数の決済サーバの中から1または複数の決済サーバをそれぞれ対象決済サーバとして選択する決済ルート選択サーバと
を含み、
前記複数のサービスをそれぞれ提供する前記複数の交通機関運営事業体が互いに一致するわけではない場合に、前記複数の交通費の支払い上、前記複数の交通機関運営事業体が複合化され、それにより、前記複数の交通費が複合支払料金を構成し、
前記複合支払料金が構成される場合、前記電子決済情報は、ユーザが利用することを希望する電子決済の種類と、その電子決済を可能にするユーザに固有の情報と、前記複数の利用区間とそれら利用区間にそれぞれ対応する複数の交通機関運営事業体との関係を表す利用区間情報とを含むように構成され、
前記決済ルート選択サーバは、
前記複合支払料金が構成される場合、ユーザの通信機器から前記電子決済情報を受信すると、その受信した電子決済情報に基づき、前記複数の利用区間に対応する複数の交通機関運営事業体を特定し、前記複数の決済サーバの中から、前記特定された複数の交通機関運営事業体に関連付けられる複数の決済サーバを複数の対象決済サーバとして選択するサーバ選択部と、
前記複合支払料金が構成される場合、ユーザの通信機器から1回分の電子決済リクエストを受信すると、前記選択された複数の対象決済サーバにそれぞれ電子決済リクエストを送信するリクエスト送信部と
を含み、
前記選択された複数の対象決済サーバは、前記複合支払料金が構成される場合、それぞれの電子決済リクエストを前記決済ルート選択サーバから受信すると、前記複合支払料金について包括的に電子決済を行うマルチ電子決済システムが提供される。
【0025】
また、本発明のあるアスペクトによれば、ユーザが複数の交通機関を乗り継いで出発地点から目標地点までの複数の利用区間を移動することを可能にする複数のサービスをユーザが受けるために前記複数の交通機関をそれぞれ運営する1または複数の交通機関運営事業体にそれぞれ、対応する複数の利用区間に対応する複数の交通費を、当該ユーザの通信機器を用いる電子決済によって前払いすることを可能にするマルチ電子決済システムであって、
複数の決済サーバであって、それぞれ対応可能な電子決済の種類が互いに完全に一致するか否かを問わないものと、
それら決済サーバをそれぞれ管理する複数の管理サーバであって、それぞれ前記複数の交通機関運営事業体によって運営されるとともに、それぞれ対応可能な電子決済の種類が互いに完全に一致するか否かを問わないものであり、対応する決済サーバとの間では、対応可能な電子決済の種類が互いに共通するものと、
それら管理サーバとは別のサーバとしてそれら管理サーバに共通に接続され、任意の交通機関運営事業体を支払先とする電子決済を希望するユーザの通信機器と通信可能であるとともに、ユーザの通信機器から受信する電子決済情報に基づき、前記複数の管理サーバの中から1または複数の対象管理サーバを選択し、それにより、前記複数の決済サーバの中から、前記選択された1または複数の対象管理サーバに対応する1または複数の対象決済サーバを選択する決済ルート選択サーバと
を含み、
前記複数のサービスをそれぞれ提供する前記複数の交通機関運営事業体が互いに一致するわけではない場合に、前記複数の交通費の支払い上、前記複数の交通機関運営事業体が複合化され、それにより、前記複数の交通費が複合支払料金を構成し、
前記複合支払料金が構成される場合、前記電子決済情報は、ユーザが利用することを希望する電子決済の種類と、その電子決済を可能にするユーザに固有の情報と、前記複数の利用区間とそれら利用区間にそれぞれ対応する複数の交通機関運営事業体との関係を表す利用区間情報とを含むように構成され、
前記決済ルート選択サーバは、
前記複合支払料金が構成される場合、ユーザの通信機器から前記電子決済情報を受信すると、その受信した電子決済情報に基づき、前記複数の利用区間に対応する複数の交通機関運営事業体を特定し、前記複数の管理サーバの中から、前記特定された複数の交通機関運営事業体によって運営される複数の管理サーバを複数の対象管理サーバとして選択するサーバ選択部と、
前記複合支払料金が構成される場合、ユーザの通信機器から1回分の電子決済リクエストを受信すると、前記選択された複数の対象管理サーバにそれぞれ電子決済リクエストを送信するリクエスト送信部と
を含み、
前記選択された複数の対象管理サーバは、前記複合支払料金が構成される場合、それぞれの電子決済リクエストを前記決済ルート選択サーバから受信すると、それぞれ対応する複数の決済サーバを用いることにより、前記複合支払料金について包括的に電子決済を行う電子決済部を含むマルチ電子決済システムが提供される。
【0026】
このマルチ電子決済システムの例示的な一実施態様においては、前記サーバ選択部が、ユーザの通信機器から受信した前記電子決済情報に含まれる前記利用区間情報に基づき、前記複数の管理サーバの中から、前記複数の利用区間をそれぞれ管轄する複数の交通機関運営事業体によって運営される複数の対象管理サーバを選択するように構成される。
【0027】
また、本発明の一側面によれば、マルチ電子決済システムであって、
複数の決済サーバであって、それぞれ対応可能な電子決済の種類が互いに完全に一致するか否かを問わないものと、
それら決済サーバをそれぞれ管理する複数の管理サーバであって、それぞれ互いに異なる事業者によって運営されるとともに、それぞれ対応可能な電子決済の種類が互いに完全に一致するか否かを問わないものであり、対応する決済サーバとの間では、対応可能な電子決済の種類が互いに共通し、各管理サーバは、ある種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供するシステムのために使用されるものと、
それら管理サーバとは別のサーバとしてそれら管理サーバに共通に接続され、任意の事業者を支払先とする電子決済を希望するユーザの通信機器と通信可能な決済ルート選択サーバであって、ユーザの通信機器から電子決済リクエストと電子決済情報とを受信すると、その受信した電子決済情報から、ユーザにとっての前記支払先である事業者を特定し、前記複数の管理サーバの中から、前記特定された事業者によって運営されるものを選択し、その選択された管理サーバに電子決済リクエストを送信するものと
を含み、
前記選択された管理サーバは、前記決済ルート選択サーバから前記電子決済リクエストを受信すると、当該管理サーバに割り当てられた決済サーバと通信することにより、ユーザが希望する電子決済を実行し、
前記複数の管理サーバがそれら管理サーバに共通に前記決済ルート選択サーバに接続されることにより、ユーザが利用可能なマルチ電子決済用通信ネットワークが構築されるマルチ電子決済システムが提供される。
【0028】
また、本発明の第1のアスペクトによれば、マルチ電子決済システムであって、
複数の決済サーバであって、それら決済サーバの間で、対応可能な電子決済の種類が互いに完全に一致するわけではないものと、
ある種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供するシステムのために使用される複数の管理サーバと
を含み、
それら管理サーバは、
前記複数の決済サーバをそれぞれ管理する複数のみなし管理サーバであって、それらみなし管理サーバの間では、対応可能な電子決済の種類が互いに完全に一致するわけではないが、対応する決済サーバとの間では、対応可能な電子決済の種類が互いに共通するものと、
それらみなし管理サーバに共通に接続された実管理サーバとして、任意の種類の電子決済を希望するユーザの通信機器と通信可能な決済ルート選択サーバであって、前記通信機器から電子決済リクエストと電子決済情報とを受信すると、その受信した電子決済情報から、ユーザが利用することを希望する電子決済の種類を特定し、前記複数のみなし管理サーバの中から、前記特定された電子決済と一致する電子決済に対応可能なものを選択し、その選択された1または複数のみなし管理サーバのうちのいずれかに電子決済リクエストを送信するものと
を含み、
前記選択された1または複数のみなし管理サーバのうちのいずれかは、前記決済ルート選択サーバから前記電子決済リクエストを受信すると、当該みなし管理サーバに割り当てられた決済サーバと通信することにより、ユーザが希望する電子決済を実行し、
前記複数のみなし管理サーバがそれらみなし管理サーバに共通に前記決済ルート選択サーバに接続されることにより、ユーザが利用可能なマルチ電子決済用通信ネットワークが構築されるマルチ電子決済システムが提供される。
【0029】
また、本発明の第2のアスペクトによれば、マルチ電子決済システムであって、
複数の管理サーバであって、それらの間で、対応可能な電子決済の種類が互いに完全に一致するとは限らないか否かを問わないものであるとともに、それぞれ互いに異なる事業者によって運営されるものと、
それら管理サーバにそれぞれ割り当てられるとともにそれら管理サーバと通信可能な複数の決済サーバであって、個々の決済サーバに割り当てられた個々の管理サーバとの間で、対応可能な電子決済の種類が共通するものと、
任意の事業者を支払先とする電子決済を希望するユーザの通信機器と通信可能な決済ルート選択サーバであって、前記通信機器から電子決済リクエストと電子決済情報とを受信すると、その受信した電子決済情報から、ユーザにとっての前記支払先である事業者を特定し、前記複数の管理サーバの中から、前記特定された事業者によって運営されるものを選択し、その選択された1または複数の管理サーバに電子決済リクエストを送信するものと
を含み、
前記選択された1または複数の管理サーバは、前記決済ルート選択サーバから前記電子決済リクエストを受信すると、当該管理サーバに割り当てられた決済サーバと通信することにより、ユーザが希望する電子決済を実行し、
前記複数の管理サーバがそれらに共通に前記決済ルート選択サーバに接続されることにより、ユーザが利用可能なマルチ電子決済用通信ネットワークが構築されるマルチ電子決済システムが提供される。
【0030】
また、本発明の第3のアスペクトによれば、ある種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供するシステムであって、
ユーザによる第1種類の決済が可能であるが、当該システム単独では、第2種類の決済に対応せず、当該システムと同種または異種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供する第2のシステムであって前記第2種類の決済に対応するものとの協働により、代用決済モードを実行し、
その代用決済モードにおいて、ユーザの通信機器が、当該通信機器とは別の通信装置を経由するかまたは経由せずに前記第2のシステムにアクセスし、それにより、前記第2種類の決済を行い、その後、前記第2のシステムが当該第2のシステムとは別の通信装置を経由するかまたは経由せずに当該システムと通信し、それにより、当該システムは決済完了信号を前記第2のシステムから受信するマルチ電子決済対応型サービス提供システムが提供される。
【0031】
一例においては、前記第1種類の決済が、少なくとも非電子決済を含み、前記第2種類の決済が、少なくとも電子決済を含む。
【0032】
別の例においては、前記第1種類の決済が、少なくとも電子決済を含み、前記第2種類の決済も、少なくとも電子決済を含む。
【0033】
また、本発明の第1の側面によれば、ある種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供するシステムであって、
ユーザによる現金決済またはカード決済である非電子決済は可能であるが、当該システム単独では、電子決済に対応せず、当該システムと同種または異種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供する第2のシステムであって電子決済に対応するものとの協働により、擬似電子決済モードを実行し、
その擬似電子決済モードにおいて、ユーザの通信端末が、当該通信端末とは別の通信装置を経由するかまたは経由せずに前記第2のシステムにアクセスし、それにより、電子決済を行い、その後、前記第2のシステムが当該第2のシステムとは別の通信装置を経由するかまたは経由せずに当該システムと通信し、それにより、当該システムは決済完了信号を前記第2のシステムから受信する電子決済対応型サービス提供システムが提供される。
【0034】
このシステムによれば、電子決済に対応できない決済システムを、電子決済に対応可能な別の決済システムを利用することにより、追加の負担を抑制しつつ、電子決済に対応可能な決済システムに改修することが容易となる。
【0035】
また、本発明の第2の側面によれば、ある種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供するシステムであって、
ユーザによる現金決済またはカード決済である非電子決済が可能であり、当該システム単独では、電子決済に対応しない非電子決済モードを実行し、その非電子決済モードにおいては、ユーザが非電子決済を行い、
当該システムは、当該システムと同種または異種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供する第2のシステムであって電子決済に対応可能であるものとの協働により、擬似電子決済モードを実行し、
その第2のシステムは、ユーザが当該第2のシステムの会員であることを条件に、当該第2のシステム単独で、電子決済に対応する電子決済モードを実行し、その電子決済モードにおいては、ユーザの通信端末が当該第2のシステムと通信し、それにより、電子決済を行い、その後、前記第2のシステムが決済完了信号を前記通信端末に送信し、
前記擬似電子決済モードにおいては、ユーザの通信端末が、ユーザが前記第2のシステムの会員になりすますか、または実際に前記第2のシステムの会員になった状態で、当該通信端末とは別の通信装置を経由するかまたは経由せずに前記第2のシステムにアクセスし、それにより、電子決済を行い、その後、前記第2のシステムが当該第2のシステムとは別の通信装置を経由するかまたは経由せずに当該システムと通信し、それにより、当該システムは決済完了信号を前記第2のシステムから受信する電子決済対応型サービス提供システムが提供される。
【0036】
このシステムによれば、電子決済に対応できない決済システムを、電子決済に対応可能な別の決済システムを利用することにより、追加の負担を抑制しつつ、電子決済に対応可能な決済システムに改修することが容易となる。
【0037】
また、本発明の第3の側面によれば、ある種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供するシステムであって、
ユーザによる第1種類の電子決済が可能であるが、当該システム単独では、第2種類の電子決済に対応せず、当該システムと同種または異種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供する第2のシステムであってユーザによる前記第2種類の電子決済を可能にするものとの協働により、代用電子決済モードを実行し、
その代用電子決済モードにおいて、ユーザの通信端末が、別の通信装置を経由するかまたは経由せずに前記第2のシステムにアクセスし、それにより、前記第2種類の電子決済を行い、その後、前記第2のシステムが別の通信装置を経由するかまたは経由せずに当該システムと通信し、それにより、当該システムは決済完了信号を前記第2のシステムから受信する電子決済対応型サービス提供システムが提供される。
【0038】
このシステムによれば、ユーザが利用可能な電子決済の種類が、当該システムが、前記第2のシステムへの依存なしで対応することが可能な電子決済の種類と不一致であっても、その第2のシステムとの協働により、ユーザが利用可能な電子決済の種類と、当該システムが擬似的に対応可能な電子決済の種類とが一致し、ユーザが当該システムを利用することが可能となる。このように、このシステムによれば、結果的に、当該システムが対応可能な電子決済の種類が増加することになる。
【0039】
すなわち、このシステムによれば、ある決済方式に対応できない決済システムを、その決済方式に対応可能な別の決済システムを利用することにより、追加の負担を抑制しつつ、その決済方式に対応可能な決済システムに改修することが容易となる。
【0040】
また、本発明の第4の側面によれば、ある種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供するシステムであって、
当該システムは、単独では非電子決済には対応可能であるが電子決済には対応不能であるか、または単独で、少なくとも、限定された種類の電子決済に対応可能であり、
ユーザの通信端末と、
通常決済モードにおいて、当該システムが単独で対応可能な決済方式でユーザが決済を行うための精算機または決済機と
を含み、
当該システムは、決済手続に関し、各々、当該システムと同種または異種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供する複数の第2のシステムと連携して作動し、
それら第2のシステムは、それぞれ、少なくとも1種類の電子決済に対応可能であり、それら第2のシステムは、それらの間で、対応可能な電子決済の種類が完全に一致するわけではなく、
当該システムは、
前記通信端末が、ユーザから電子決済リクエストを受け付けると、その電子決済リクエストによって指定される電子決済の種類を判別する判別部と、
前記通信端末が、そのユーザ指定電子決済の種類が、当該システムが対応可能な電子決済の種類のいずれとも一致しないと、前記複数の第2のシステムのうち、前記ユーザ指定電子決済の種類をカバーするいずれかの第2のシステムを代用システムとして選択する選択部と、
その代用システムが選択されると、前記通信端末が、代用電子決済モードにおいて、別の通信装置を経由するかまたは経由せずに前記代用システムにアクセスし、それにより、その代用システムが当該システムに代わって前記ユーザ指定電子決済を行う代用決済部と
を含み、
前記代用システムが別の通信装置を経由するかまたは経由せずに当該システムの前記精算機または決済機と通信し、それにより、当該システムの前記精算機または決済機は決済完了信号を前記代用システムから受信する電子決済対応型サービス提供システムが提供される。
【0041】
このシステムによれば、ユーザが利用可能な電子決済の種類が、当該システムが対応可能な電子決済の種類と合致しないと、複数の第2のシステムのうち、ユーザが利用可能な電子決済の種類をカバーするものが自動的に選択され、その選択された第2のシステムが、当該システムの決済手段として機能し、その結果、当該システムが、擬似的に、ユーザが利用可能な電子決済の種類に対応可能となる。
【0042】
それにより、このシステムは、擬似的に、ユーザが利用可能な電子決済の種類であって実質的に任意のものに対応することが可能となり、決済手続におけるユーザの利便性が向上する。
【0043】
すなわち、このシステムによれば、1種類の電子決済しか実現されないわけでなく、同じシステムでありながら、擬似的に複数種類の電子決済が実現されるいわゆるマルチ決済が実現されるのである。
【0044】
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。
【0045】
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
【0046】
(1) ある種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供するシステムであって、
ユーザによる現金決済またはカード決済である非電子決済を可能にする精算機と、
任意選択的に存在する管理サーバであって、前記精算機と通信可能であるものと
を含み、
当該システムは、当該システム単独では、電子決済に対応しないが、当該システムと同種または異種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供する第2のシステムであって電子決済に対応するものとの協働により、擬似電子決済モードを実行し、
前記第2のシステムは、
ユーザの通信端末と通信可能な第2の管理サーバと、
ユーザによる電子決済を可能とする決済サーバであって、前記第2の管理サーバと通信可能であるものと
を含み、
当該システムは、前記擬似電子決済モードにおいて、ユーザの通信端末が、ユーザが前記第2のシステムの会員になりすました状態で、別の通信装置(例えば、当該システムが前記管理サーバを有する場合には、例えば、その管理サーバ)を経由するかまたは経由せずに前記第2の管理サーバにアクセスし、それにより、前記決済サーバを用いて電子決済を行う電子決済対応型サービス提供システム。
【0047】
(2) ある種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供するシステムであって、
ユーザによる現金決済またはカード決済である非電子決済を可能にする精算機と、
任意選択的に存在する管理サーバであって、前記精算機と通信可能であるものと
を含み、
当該システムは、当該システム単独では、電子決済に対応しない非電子決済モードを実行し、その非電子決済モードにおいては、ユーザが前記精算機を用いて非電子決済を行い、
当該システムは、当該システムと同種または異種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供する第2のシステムとの協働により、擬似電子決済モードを実行し、
前記第2のシステムは、
ユーザの通信端末と通信可能な第2の管理サーバと、
ユーザによる電子決済を可能とする決済サーバであって、前記第2の管理サーバと通信可能であるものと
を含み、
その第2のシステムは、ユーザが当該第2のシステムの会員であることを条件に、当該第2のシステム単独で、電子決済に対応する電子決済モードを実行し、その電子決済モードにおいては、ユーザの通信端末が前記第2の管理サーバと通信し、それにより、前記決済サーバを用いて電子決済を行い、その後、前記第2の管理サーバが決済完了信号を前記通信端末に送信し、
当該システムは、前記擬似電子決済モードにおいては、ユーザの通信端末が、ユーザが前記第2のシステムの会員になりすました状態で、別の通信装置(例えば、当該システムが前記管理サーバを有する場合には、例えば、その管理サーバ)を経由するかまたは経由せずに前記第2の管理サーバにアクセスし、それにより、前記決済サーバを用いて電子決済を行い、その後、前記第2の管理サーバが別の通信装置を経由するかまたは経由せずに前記精算機と通信し、それにより、その精算機は決済完了信号を受信する電子決済対応型サービス提供システム。
【0048】
(3) 前記サービスは、自転車、自動車または自動二輪車を含む車両を駐車するためのスペースをユーザに貸与するサービスおよび/または自転車、自動車または自動二輪車を含む車両をユーザに貸与するサービスを含む(1)または(2)項に記載の電子決済対応型サービス提供システム。
【0049】
(4) 前記サービスは、駐車場において、自転車、自動車または自動二輪車を含む車両を駐車するためのスペースをユーザに貸与するサービスを含み、
当該システムは、さらに、
ユーザによる決済が完了しないうちは、前記駐車場に入庫した車両がその駐車場から出庫することを物理的に制限し、ユーザによる決済が完了すると、出庫を物理的に許可する出庫許可装置であって、前記精算機によって制御されるものを含み、
前記精算機は、前記決済完了信号を受信すると、出庫許可信号を前記出庫許可装置に送信する(3)項に記載の電子決済対応型サービス提供システム。
【0050】
(5) 前記サービスは、駐車場において、自転車、自動車または自動二輪車を含む車両をユーザが駐車するための複数のスペースである複数の車室のうちそのユーザによって選択されたものをそのユーザに貸与するサービスを含み、
当該システムは、さらに、
ユーザの通信端末は、前記選択された車室に車両が入庫する入庫ステージまたはその車室から車両が出庫する出庫ステージにおいて、前記擬似電子決済モードがユーザによって選択されると、前記駐車場を特定するための情報と前記選択された車室を特定するための情報との組合せを取得し、その組合せに、前記第2のシステムの会員として前記第2のシステムにアクセスするためのなりすまし会員IDを割り当て、そのなりすまし会員IDを用いて前記管理サーバを経由するかまたは経由せずに前記第2のシステムにアクセスするなりすましアクセス手段を含む(1)ないし(4)項のいずれかに記載の電子決済対応型サービス提供システム。
【0051】
(6) さらに、
ユーザの通信端末は、前記擬似電子決済モードがユーザによって選択されると、そのユーザのユーザIDまたはそのユーザに一義的に対応する情報を取得し、それらユーザIDまたは情報に、前記第2のシステムの会員として前記第2のシステムの前記第2のシステムにアクセスするためのなりすまし会員IDを割り当て、そのなりすまし会員IDを用いて別の通信装置を経由するかまたは経由せずに前記第2のシステムにアクセスするなりすましアクセス手段を含む(1)ないし(4)項のいずれかに記載の電子決済対応型サービス提供システム。
【0052】
(7) (1)ないし(6)項のいずれかに記載の電子決済対応型サービス提供システムにおける通信端末としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【0053】
本明細書の全体を通じて、「プログラム」という用語は、例えば、それの機能を果たすためにコンピュータにより実行される指令の組合せを意味するように解釈したり、それら指令の組合せのみならず、各指令に従って処理されるファイルやデータをも含むように解釈することが可能であるが、それらに限定されない。
【0054】
また、このプログラムは、それ単独でコンピュータにより実行されることにより、所期の目的を達するものとしたり、他のプログラムと共にコンピュータにより実行されることにより、所期の目的を達するものとすることができるが、それらに限定されない。後者の場合、本項に係るプログラムは、データを主体とするものとすることができるが、それに限定されない。
【0055】
(8) (1)ないし(6)項のいずれかに記載の電子決済対応型サービス提供システムにおける管理サーバとしてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【0056】
(9) (1)ないし(6)項のいずれかに記載の電子決済対応型サービス提供システムにおける精算機としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【0057】
(10) (7)ないし(9)項のいずれかに記載のプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体。
【0058】
本明細書の全体を通じて、「記録媒体」という用語は、種々な形式の記録媒体を意味するように解釈することが可能であり、そのような記録媒体は、例えば、フレキシブル・ディスク等の磁気記録媒体、CD、CD-ROM等の光記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、ROM等のアンリムーバブル・ストレージ等を含むが、それらに限定されない。
【0059】
(11) ある種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供するシステムであって、
ユーザによる第1種類の決済(ここで、単に「決済」というときは、現金決済、カード決済、電子決算等、種類の如何を問わない。)が可能であるが、当該システム単独では、第2種類の決済に対応せず、当該システムと同種または異種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供する第2のシステムであって前記第2種類の決済に対応するものとの協働により、代用決済モードを実行し、
その代用決済モードにおいて、ユーザの通信端末が、当該通信端末とは別の通信装置を経由するかまたは経由せずに前記第2のシステムにアクセスし、それにより、前記第2種類の決済を行い、その後、前記第2のシステムが当該第2のシステムとは別の通信装置を経由するかまたは経由せずに当該システムと通信し、それにより、当該システムは決済完了信号を前記第2のシステムから受信する電子決済対応型サービス提供システムが提供される。
【0060】
ここに、「第1種類の決済」と「第2種類の決済」の組合せの例として、非電子決済と電子決済の組合せや第1種類の電子決済と第2種類の電子決済の組合せがある。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1図1は、本発明の例示的な一実施形態に従う駐車場管理システムであってそれ単独では電子決済に対応できないものを、第2の駐車場管理システムであってそれ単独で電子決済に対応できるものと共に概念的に表す斜視図である。
図2図2は、図1に示す第2の駐車場管理システムにおける発信機、ユーザの携帯端末および管理サーバのそれぞれの作動であって入庫ステージにおいて行われるものを概念的に表すフローチャートである。
図3図2は、図1に示す第2の駐車場管理システムにおける発信機、ユーザの携帯端末および管理サーバのそれぞれの作動であって出庫ステージにおいて行われるものを概念的に表すフローチャートである。
図4図4は、図1に示す駐車場管理システムを、同図に示す第2の駐車場管理システムを部分的に利用して電子決済に対応可能とするための通信手順の3つの例をそれぞれ示すブロック図である。
図5図5は、図1に示す駐車場管理システムにおける精算機、ユーザの携帯端末および管理サーバならびに第2の駐車場管理システムにおける管理サーバおよび決済サーバのそれぞれの作動であって出庫ステージにおいて擬似電子決済モードを実行するために行われるものを概念的に表すフローチャートである。
図6図6は、図1に示す駐車場管理システムを、同図に示す第2の駐車場管理システムを部分的に利用して電子決済に対応可能とするための通信手順の一例であって図4に示す第2の通信手順を一部変更したものを第4の通信手順として示すブロック図である。
図7図7は、図1に示す駐車場管理システムが、図6に示す第4の通信手順に従って実行するために実行するプログラムの一例を概念的に表すフローチャートである。
図8図8は、図1に示す駐車場管理システムが、コード読取り決済を、図1に示す第2の駐車場管理システムの助けを借りて擬似的に実行するために実行するプログラムを概念的に表すフローチャートである。
図9図9は、図1に示す駐車場管理システムが、図6に示す第4の通信手順に従って実行するために実行するプログラムの別の例を概念的に表すフローチャートである。
図10図10は、本発明の例示的な別の実施形態に従うマルチ電子決済システムを概念的に表す機能ブロック図である。
図11図11は、図10に示すマルチ電子決済システムの作動を概念的に表すフローチャートである。
図12図12は、図10に示すマルチ電子決済システムにつき、電子決済リクエスト関連情報の一例を概念的に表す。
図13図13は、図11に示すマルチ電子決済システムの作動の一変形例を概念的に表すフローチャートである。
図14図14は、図13に示すマルチ電子決済システムにつき、電子決済リクエスト関連情報の一例を概念的に表す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下、本発明のさらに具体的な例示的な実施の形態のうちのいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0063】
<全体構成>
【0064】
図1には、本発明の例示的な一実施形態に従う擬似電子決済対応型の駐車場管理システム10(以下、単に「システム10」という。)が、電子決済対応型の第2の駐車場管理システム110(以下、単に「システム110」という。)と共に示されている。システム10は、本発明の一実施形態に従う電子決済対応型サービス提供システムの一例である。また、システム10は、本発明の一実施形態に従う駐車場管理方法を実施し、その駐車場管理方法は、本発明の一実施形態に従う擬似電子決済対応型サービス提供方法の一例である。
【0065】
システム10は、当該システム単独では、電子決済に対応しない非電子決済モードを実行する。その非電子決済モードにおいては、ユーザが、システム10における精算機30を用いて非電子決済を行う。非電子決済の一例は、現金決済であり、別の例は、プリペイド式ICカード決済(単に「カード決済」ともいう。)である。
【0066】
さらに、システム10は、当該システムと同種のサービスをユーザに提供する第2のシステム110との協働により、擬似電子決済モードを実行する。その擬似電子決済モードにおいては、ユーザが、自身の携帯端末(前記通信端末の一例)90を用いることにより、第2のシステム110における管理サーバ140および決済サーバ160を利用して電子決済を行う。
【0067】
この出願書類の全体を通じ、電子決済は、「スマートフォン決済(「スマホ決済」と略称される。)」ともいい、ユーザが携帯端末90を用いて行うあらゆる種類の決済を意味する。
【0068】
この電子決済は、例えば、クレジットカード決済、プリペイド方式またはポストペイ方式の電子マネー決済、QRコード(登録商標)のような2次元バーコードや1次元バーコードなどの決済用コードをユーザが携帯端末90のカメラで読み取って、ユーザまたは携帯端末90に紐付けられたユーザのクレジットカードやユーザが事前にチャージした電子マネーなどで料金を支払うコード読取り決済(「QRコード(登録商標)決済」、「コード決済」などとも称される。)などが該当する。
【0069】
なお、本実施形態において、「コード読取り決済」が電子決済として採用される場合には、その「コード読取り決済」は、プリペイド方式で実行しても、ポストペイ方式で実行してもよい。
【0070】
上述の定義のもと、電子決済であるか非電子決済であるかを区別する判断基準として、例えば、ユーザが携帯端末90を操作して行う決済が電子決済、ユーザが携帯端末90を操作せずに行う決済が非電子決済という判断基準が採用される。この判断基準を採用する場合、電子決済のために消費されるユーザの金銭的価値(貨幣価値)が、ユーザの銀行口座に存在する現金によって表現されるのか、ユーザによって個別の仮想口座にプリペイド方式またはポストペイ方式でチャージされる電子マネーによって表現されるのかを問わない。
【0071】
このシステム10は、ユーザが実際に駐車した時間の長さに見合う額の後払い駐車料金をユーザが支払うことを条件に、ユーザが駐車場20から出庫することを許可する後払い式である。ただし、これに代えて、このシステム10は、駐車場20の利用開始に先立ち、ユーザが希望する駐車時間(例えば、予定駐車時間)の長さに見合う額の前払い駐車料金をユーザが支払うことを条件に、ユーザが駐車場20を利用することを許可する前払い式を採用することも可能である。
【0072】
<システム10の構成>
【0073】
図1を参照するに、システム10は、駐車場20を管理するためのシステムである。駐車場20には、複数の車室22が存在する。各車室22に、1台の車両が駐車される。各車室22ごとに、出庫許可装置24が設置される。
【0074】
なお、「車両」なる用語の定義について付言するに、「車両」なる用語は、自動車のみならず、自転車、自動二輪車等、あらゆる種類の移動体を包含する用語として解釈すべきである。
【0075】
出庫許可装置24の一例は、対応する車室22における車両の存在(対応する車室22への車両の入庫など)を検出する車両存否センサ(例えば、地中に埋設されるループコイル、駐車場20の支持面上に露出するように設置されるフォトセンサなど)と、車室22における車両に対し、その車両の車室22からの退出(出庫)を阻止する出庫阻止状態と出庫を許可する出庫許可状態とに切り換わる可動部材としての邪魔板(フラップ、昇降具、車止め具、輪止め具など)を有する機構部とを有する。
【0076】
その機構部は、前記車両存否センサによって車両の存在が検知されると、前記邪魔板を例えば上昇または傾斜させるなどして出庫阻止状態に移行させる一方、ユーザが後払い駐車料金を決済すると、前記邪魔板を例えば下降または水平化させるなどして出庫許可状態に移行させる。
【0077】
本実施形態においては、複数の車室22に共通に精算機30が設置される。精算機30は、車室22ごとの前記車両存否センサと通信を行い、その車両存否センサからの信号に基づき、各車室22における車両の存否を監視する。さらに、複数の出庫許可装置24に共通に精算機30が設置される。精算機30は、車室22ごとの前記機構部と通信を行い、その機構部を、適宜、出庫許可状態と出庫阻止状態とに切り換える。精算機30は、シーケンサを主体として構成される場合もあれば、コンピュータを主体として構成される場合もある。
【0078】
別の例においては、複数の車室22に共通に出庫許可装置24が設置される。その出庫許可装置24は、例えば、駐車場20の出入り口においてゲートを開閉させる機構部を有する。
【0079】
なお、本発明を実施するために駐車場20に出庫許可装置24を設置することは不可欠ではなく、後払い式でありながら、出庫許可装置24を有しない駐車場20に対して本発明を適用することが可能である。
【0080】
このシステム10は、さらに、管理サーバ40を有する。この管理サーバ40は、例えば、駐車場20を所有するオーナに代わってその駐車場20を管理する駐車場管理業者によって運営される。
【0081】
この管理サーバ40は、非電子決済モードにおいては、精算機30のみとの間で通信(例えば、無線通信)を行い、それにより、駐車場20の稼働状況をリアルタイムで遠隔的に監視する機能を含む複数の機能を実現する。
【0082】
これに対し、管理サーバ40は、擬似電子決済モードにおいては、ユーザの携帯端末90および第2のシステム110の管理サーバ140(前記第2の管理サーバの一例)のそれぞれとの間で通信(例えば、無線通信)を行い、それにより、このシステム10単独では電子決済に対応不可能であるが、ユーザが第2のシステム110の会員に合法的になりすましてその第2のシステム110に合法的にアクセスし、それにより、電子決済を可能にするなりすましアクセス機能を含む複数の機能を実現する。
【0083】
<携帯端末90の構成>
【0084】
ユーザの携帯端末90は、例えば、ユーザによって携帯されるとともに無線通信機能を有するデバイス、例えば、携帯電話機、スマートフォン、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、PDAなどである。また、携帯端末90は、ユーザの通信端末の一例であり、その通信端末は、ユーザによって携帯されないもの、例えば、車載通信端末でもよい。
【0085】
携帯端末90は、プロセッサおよびそのプロセッサによって実行される複数のアプリケーションを記憶するメモリを有するコンピュータを主体として構成されている。
【0086】
この携帯端末90は、さらに、情報を画面上に表示する表示部(例えば、液晶ディスプレイ)と、外部の通信デバイスからの信号を受信する受信部と、信号を生成してその信号を外部の通信デバイスに送信する送信部とを有する。
【0087】
この携帯端末90は、さらに、ユーザからデータやコマンドを入力するための入力部を有する。その入力部は、例えば、所望の情報(例えば、コマンド、データなど)を携帯端末90に入力するためにユーザによって操作可能な操作部を有する。
【0088】
その操作部としては、ユーザによって操作可能ないくつかのアイコン(例えば、仮想的なボタン)を表示するタッチスクリーン(データの手入力を可能にする手段)、ユーザによって操作可能な物理的な操作部(例えば、キーボード、キーパッド、ボタンなどのように、データの手入力を可能にする手段)、音声を感知するマイク(データの音声入力を可能にする手段)などがあるが、これらに限定されない。
【0089】
この携帯端末90は、さらに、別の形式の入力部として、画像を撮像してその撮像結果を電気信号に変換するカメラ(正確には、デジタル・カメラであるが、画像センサの一種として把握してもよい。)を有する。携帯端末90は、そのカメラを用いることにより、風景や人物、他の物体はもとより、QRコード(登録商標)やバーコードなどのコードや、暗号化されているか否かを問わない数字記号列を画像データとして取り込むことが可能となる。
【0090】
この携帯端末90は、さらに、GPS(衛星測位システム)受信機を有する。GPS受信機は、よく知られているように、複数のGPS衛星から複数のGPS信号を受信し、それらGPS信号に基づき、GPS受信機の地球上における位置(緯度、経度および高度)を三角測量によって測定する。
【0091】
<第2のシステム110の構成>
【0092】
図1に示すように、第2のシステム110は、システム10と同様に、後払い式の駐車場120を管理するために構成されている。その駐車場120も、複数の車室122を有する。
【0093】
駐車場120には、1個の発信機130が、複数の車室122に共通に設置されている。別の例においては、図示しないが、車室122の数より少数複数個の発信機130が、複数の車室群のそれぞれに関連付けて設置される。さらに別の例においては、図示しないが、車室122と同数の発信機130が、それぞれ、車室122ごとに設置される。
【0094】
図1に示す例においては、1個の発信機130に、1つの駐車場120が関連付けられ、さらに、すべての車室122も関連付けられる。よって、その発信機130がユーザの携帯端末190によって特定されれば、それに関連付けられた駐車場120の場所、すなわち、ユーザによって選択された駐車場120の駐車場コード(または駐車場ID)および存在場所(地名、地理的位置など)は分かるが、ユーザによって選択された1個の車室122の場所は不明である。
【0095】
携帯端末190は、前述の携帯端末90と共通の構成を有する。よって、携帯端末190についての重複した説明は省略する。
【0096】
この第2のシステム110においては、ユーザは、電子決済モードのみ選択可能であり、非電子決済モードは選択できない。本実施形態においては、典型的には、電子決済が前述のクレジットカード決済を意味する用語として定義される。
【0097】
<発信機130の構成>
【0098】
まず、概念的に説明するに、発信機130は、固有の発信機コード(または発信機ID)を識別し得る識別信号を発信する非接触式または接触(近接)式の通信デバイスである。
【0099】
ユーザの携帯端末190は、その発信機130からの識別信号を一方向にかつ近距離無線通信方式で専ら受信する。携帯端末190が発信機130からの信号を受信できる距離、すなわち、受信半径(例えば、0m-約50m)は、携帯端末190上でソフト的に可変に設定される。その受信半径を有する円で囲まれる領域は、受信可能エリアまたは受信圏と称される。
【0100】
発信機130は、通常、対応する駐車場120に移動不能に固定的に設置されるが、随時移動可能であるように可動的に設置することも可能である。また、発信機130は、少なくとも送信機能を有すれば足りるが、必要に応じ、受信機能をも併有するように構成してもよい。
【0101】
次に、作動方式を説明するに、発信機130は、固有の識別信号を外部からのトリガ信号を要することなく能動的に、局地的に、かつ、供給電力が不足しない限り永続的に発信する。
【0102】
発信機130は、一般に、識別信号としてのビーコン信号を発信するビーコン装置、無線標識などの名称でも知られている装置である。この発信機130は、一例においては、原信号を変調することにより、対応する発信機コードを表す識別信号を生成し、その生成された識別信号を、IR信号、Bluetooth(登録商標)信号、NFC(近距離無線通信)信号などとして局地的に発信する。
【0103】
次に、図を参照することなくハードウエア構成を説明するに、この発信機130は、プロセッサおよびそのプロセッサによって実行される複数のアプリケーションを記憶するメモリを有するコンピュータを主体として構成されている。
【0104】
<管理サーバ140の構成>
【0105】
第2のシステム110は、さらに、管理サーバ140を有する。この管理サーバ140は、ユーザの携帯端末190との間で双方向にかつ遠距離無線通信方式で通信を行う。
【0106】
図を参照することなくハードウエア構成を説明するに、管理サーバ140は、プロセッサおよびそのプロセッサによって実行される複数のアプリケーションを記憶するメモリを有するコンピュータを主体として構成されている。
【0107】
具体的には、この管理サーバ140は、携帯端末190からの信号を受信する受信部と、信号を生成してその信号を携帯端末190に送信する送信部と、現在時刻を計測する時計とを有する。この管理サーバ140は、発信機130からの受信を直接的には行わず、事実上、携帯端末190を介して行うことになる。
【0108】
<第2のシステム110の作動>
【0109】
次に、図2および図3を参照することにより、第2のシステム110の作動を説明する。
【0110】
<入庫ステージ>
【0111】
まず、図2を参照することにより、車両がいずれかの車室122に入庫する入庫ステージにおける第2のシステム110の作動を説明するに、ユーザが、携帯端末190上においてこの駐車場利用プログラムを起動させると、まず、携帯端末190が、管理サーバ140にログインするためのログイン・リクエストを、ユーザが第2のシステム110を利用する資格を有する会員であることを表す会員IDと共に、管理サーバ140に送信する。
【0112】
これに対し、管理サーバ140が、ステップS231において、そのログイン・リクエストを会員IDと共に受信し、次に、ステップS232において、管理サーバ140の前記メモリ内の会員データベースを参照することにより、今回のユーザが正規の会員であるか否かを判定する。
【0113】
今回のユーザが正規の会員であれば、ステップS232の判定がYESとなり、ステップS233において、ログイン完了を表すログイン完了信号を今回のユーザの携帯端末190に返信する。今回のユーザが正規の会員であれば、ユーザに紐付けられたクレジットカードの番号または銀行口座の番号が管理サーバ140のメモリに予めユーザに関連付けて保存されている。これに対し、今回のユーザが正規の会員でなければ、ステップS232の判定がNOとなり、ステップS231に戻り、正規の会員IDの入力が待たれる。
【0114】
その後、携帯端末190は、ステップS211において、前記ログイン完了信号を受信し、このタイミングで、ステップS212を実行し、それにより、ユーザが現在居る駐車場120に設置されている発信機130から信号を受信する。
【0115】
続いて、携帯端末190は、ステップS213において、今回の発信機130から受信した信号から、その発信機130に対応する発信機コードを抽出する。その後、携帯端末190は、ステップS214において、発信機コードと駐車場コードとの間に予め定められている関係であって携帯端末190の前記メモリに保存されているものに従い、前記抽出された発信機コードを、対応する駐車場コードに変換する。これにより、今回のユーザが入庫した駐車場120が特定されることになる。
【0116】
続いて、携帯端末190は、ステップS215において、ユーザによる入庫の意思を確認するために、自身の画面上に入庫ボタンを表示する。その入庫ボタンをユーザがタッチすると、ユーザに入庫の意思があると判定して、ステップS216において、ユーザが入庫を要求するための入庫リクエストと前記駐車場コードと前記会員IDとを互いに関連付けて管理サーバ140に送信する。その後、携帯端末190は、ステップS217において、今回の駐車場コードを、後で参照するために、入庫駐車場コードとして携帯端末190の前記メモリに保存する。
【0117】
これに対し、管理サーバ140は、ステップS234において、それら入庫リクエストと駐車場コードと会員IDとを互いに関連付けて受信し、続いて、ステップS235において、前記時計を用いることにより、現在時刻を計測する。その後、管理サーバ140は、ステップS236において、その計測された現在時刻を入庫時刻として取り扱い、続いて、ステップS237において、その入庫時刻を会員IDに関連付けて管理サーバ140の前記メモリに保存する。その結果、会員IDと駐車場20のIDと入庫時刻とが互いに関連付けて管理サーバ140の前記メモリに保存されることになる。
【0118】
<出庫ステージ>
【0119】
次に、図3を参照することにより、車両がいずれかの車室122から出庫する出庫ステージにおける第2のシステム110の作動を説明するに、ユーザの携帯端末190が、まず、ステップS311において、ユーザが現在居る駐車場120に設置されている発信機130から信号を受信する。次に、携帯端末190は、ステップS312において、発信機130から受信した信号から、その発信機130に対応する発信機コードを抽出する。
【0120】
その後、携帯端末190は、ステップS313において、発信機コードと駐車場コードとの間に予め定められている関係であって携帯端末190の前記メモリに保存されているものに従い、前記抽出された発信機コードを、対応する駐車場コードに変換する。これにより、今回のユーザが現在居る駐車場120、すなわち、ユーザがこれから出庫したい出庫駐車場120が特定されることになる。
【0121】
続いて、携帯端末190は、ステップS314において、携帯端末190の前記メモリから、既に保存されている入庫駐車場コードを読み出し、それと、前記変換された駐車場コードすなわち出庫駐車場コードとが互いに一致するか否かを判定する。一致する場合には、ステップS314の判定がYESとなり、ステップS315に進むが、一致しない場合には、その判定がNOとなり、ステップS311に戻り、正しい出庫駐車場コードの取得が待たれる。
【0122】
続いて、携帯端末190は、ステップS315において、ユーザによる出庫の意思を確認するために、自身の画面上に出庫ボタンを表示する。その出庫ボタンをユーザがタッチすると、ユーザに出庫の意思があると判定して、ステップS316において、出庫リクエストと前記出庫駐車場コードと前記会員IDとを互いに関連付けて管理サーバ140に送信する。
【0123】
これに対し、管理サーバ140は、ステップS331において、それら出庫リクエストと出庫駐車場コードと会員IDとを互いに関連付けて受信し、続いて、ステップS332において、前記受信した出庫駐車場コードと会員IDとの組合せと同じものが管理サーバ140の前記メモリに存在するか否かを判定することにより、今回のユーザおよび今回の駐車場120をそれぞれ正規のものとして認証するか否かを判定する。
【0124】
その後、その認証に成功すると、管理サーバ140は、ステップS333において、前記時計を用いることにより、現在時刻を計測する。その後、管理サーバ140は、ステップS334を、その計測された現在時刻を出庫時刻として取り扱い、続いて、ステップS335において、今回の会員IDに関連付けて管理サーバ140の前記メモリに保存されている入庫時刻をそのメモリから読み出し、前記出庫時刻から前記入庫時刻を引き算することにより、駐車時間を計算する。
【0125】
その後、管理サーバ140は、ステップS336において、駐車時間の長さと駐車料金の額との間に予め定められている関係であって管理サーバ140の前記メモリに保存されているものに従い、前記計算された駐車時間の長さに見合う額の駐車料金を計算する。続いて、管理サーバ140は、その計算された駐車料金の額をユーザの携帯端末190に送信する。
【0126】
これに対し、携帯端末190は、ステップS317において、その駐車料金の額を受信し、続いて、ステップS318において、その駐車料金の額を前記画面上に表示する。
【0127】
一方、管理サーバ140は、ステップS336の実行後、ステップS337において、前記駐車料金について電子決済を行うための決済リクエストを、電子決済に必要な情報(例えば、ユーザに紐付けられた前述のクレジットカードの番号または銀行口座の番号)と共に、決済サーバ160に送信する。
【0128】
これに対し、決済サーバ160は、ステップS351において、その決済リクエストを受信し、続いて、ステップS352において、指定された内容で電子決済を行う。続いて、決済サーバ160は、ステップS353において、電子決済が完了したことを表す決済完了信号を管理サーバ140に送信する。
【0129】
これに対し、管理サーバ140は、ステップS338において、その決済完了信号を受信し、続いて、ステップS339において、出庫許可信号(または決済完了信号)を携帯端末190に送信する。
【0130】
これに対し、携帯端末190は、ステップS319において、その出庫許可信号(または決済完了信号)を受信し、それにより、今回の駐車料金が電子決済によって支払われたために自分が今回の駐車場120から正当に出庫できる権限を得たことをユーザが知ることになる。
【0131】
<システム10の作動>
【0132】
<入庫ステージ>
【0133】
このシステム10の作動を説明するに、車両がいずれかの車室22に入庫する入庫ステージにおいては、対応する車両存否センサが車両を検知すると、そのことを表す信号が精算機30に送信される。その精算機30は、そのときの時刻を入庫時刻として計測し、その入庫時刻にいずれの車室22に入庫したこと(車室番号に関連付けて)を記録する。これにより、入庫時刻と車室22の番号(または車室ID)との間の紐付けが行われる。
【0134】
精算機30は、さらに、入庫時刻と車室22の番号(または車室ID)とを互いに関連付けて管理サーバ40に送信し、その管理サーバ40は、それらデータを互いに関連付けて保存する。これにより、管理サーバ40は、駐車場20の稼働状況をリアルタイムで監視できることになる。この管理サーバ40は、他の駐車場20の稼働状況をも監視するように、複数の駐車場20を集中的に管理するように構成される。
【0135】
<出庫ステージ>
【0136】
<非電子決済モード>
【0137】
これに対し、車両がいずれかの車室22から出庫する出庫ステージにおいては、まず、ユーザが、非電子決済モードと擬似電子決済モード(このモードは、ユーザには、みかけ上、このシステム10によって実現される電子決済モードとして認識される)とのうちのいずれかを選択する。
【0138】
非電子決済モードを選択した場合には、ユーザは、精算機30に自分の車室22の番号を入力し、それを受けて、精算機30は、その時刻を出庫時刻として計測し、前記記録された入庫時刻からその出庫時刻までの経過時間を駐車時間として計算し、その長さに見合う額の後払い駐車料金を計算する。
【0139】
その駐車料金をユーザが精算機30に対して現金またはプリペードカードを用いて支払うと、その精算機30は、今回の車室22に対応する出庫許可装置24を出庫阻止状態から出庫許可状態に切り換える。これにより、ユーザが車両を今回の車室22から出庫させることが可能となる。このように、出庫ステージにおいては、ユーザによって精算機30に入力された車室22の番号をキーとして、駐車料金の額を特定する。
【0140】
<擬似電子決済モード>
【0141】
これに対し、擬似電子決済モードを選択した場合には、ユーザは、携帯端末90に予めインストールされている擬似電子決済用プログラムを起動させる。
【0142】
<システム間の通信手順のバリエーション>
【0143】
その擬似電子決済用プログラムは後に図5を参照して詳述するが、概略的には、擬似電子決済モードにおいて、図4のうちの最上欄に示すように、後払い駐車料金の計算を、精算機30に代わって管理サーバ40が行う(第1の通信手順)が、これに代えて、その料金計算を、図4のうちの中央欄に示すように、精算機30に代わって第2のシステム110の管理サーバ140が行う可能性(第2の通信手順)と、図4のうちの最下欄に示すように、精算機30が依然として行う可能性(第3の通信手順)とが存在する。
【0144】
ここで、図4に示す3つの通信手順について説明するに、いずれの通信手順においても、携帯端末90と精算機30との間に、管理サーバ40と管理サーバ140と決済サーバ160との組合せ(同図において、破線で包囲された領域内に存在する3つの要素またはサーバ)が、システム10単独では電子決済に対応できないシステム10を、第2のシステム110を部分的に利用して、電子決済に対応可能とするように機能するために存在し、その意味において、その組合せは、電子決済実現化手段とも称される。
【0145】
この電子決済実現化手段において、管理サーバ40は、システム10に実在する管理サーバという意味において、「実管理サーバ」ともいう。これに対し、管理サーバ140は、システム10にではなく第2のシステム110に実在し、かつ、ユーザから見ると、あたかも、システム10に実在する管理サーバとみなされるという意味において、「なりすまし管理サーバ」ともいう。
【0146】
次に、それら通信手順を個々に説明する。
【0147】
<第1の通信手順>
【0148】
まず、第1の通信手順においては、図4のうちの最上欄に示すように、携帯端末90が実管理サーバ40と無線通信(例えば、電話回線網を介して)を行い、それにより、実管理サーバ40に、駐車料金の計算(「料金計算」ともいう。)を行わせる。
【0149】
料金計算が終了すると、この実管理サーバ40は、なりすまし管理サーバ140を経由して決済サーバ160に接続し、それにより、決済サーバ160に電子決済を行わせる。電子決済が完了すると、実管理サーバ40は、出庫許可信号を精算機30を経由して出庫許可装置24に送信し、それにより、ユーザによる出庫が許可される。
【0150】
このとき、実管理サーバ40は、さらに、計算された駐車料金の額を精算機30に送信し、その精算機30は、自身の画面(例えば、LCD、タッチパネル)上に、受信した駐車料金の額を、その額を表す数字列を暗号化せずにそのまま表示するか、または、前述のQRコード(登録商標)やバーコード、乱数表を用いて選択された数字記号列などとして暗号化して表示してもよい。
【0151】
その暗号化された情報は、携帯端末90のカメラを用いて、暗号を表す画像データとして取り込まれる。その取り込まれた暗号は、携帯端末90の暗号解読アプリケーション(原データと暗号データとの間の変換を行うアプリケーション)を用いて解読され、それにより、駐車料金を表す原データが復元される。その結果、ユーザおよび携帯端末90は、駐車料金の額を認識することが可能となる。
【0152】
以上のようにして精算機30が駐車料金の額をユーザに表示したり、または印刷もしくは電波として携帯端末90に送信する(例えば、Bluetooth(登録商標)通信方式で送信する)技術は、後述の他の通信手順においても採用可能である。
【0153】
ここに、管理サーバ40と精算機30と出庫許可装置24との間の通信について、図4に示す例においては、実管理サーバ40が出庫許可信号を精算機30に送信し、それに応答して、精算機30が出庫許可信号を出庫許可装置24に送信する。
【0154】
これに代えて、実管理サーバ40が、決済サーバ60からの決済完了信号を受けて、ユーザによる電子決済が完了したことを表す決済完了信号を精算機30に送信し、それに応答して、精算機30が出庫許可信号を出庫許可装置24に送信してもよい。
【0155】
いずれにしても、「決済完了信号」と「出庫許可信号」とは、いずれも、ユーザによる電子決済が完了すればユーザによる出庫が許可される環境において、ユーザによる電子決済が完了したことを動機としてユーザによる出庫を許可することを表す信号であるから、名称は相違するものの、実質的な意味は互いに共通する。よって、図4に示す例における「出庫許可信号」を「決済完了信号」と読み替えても支障はない。
【0156】
<第2の通信手順>
【0157】
次に、第2の通信手順においては、図4のうちの中央欄に示すように、携帯端末90がなりすまし管理サーバ140と無線通信(例えば、電話回線網を介して)を行い、それにより、なりすまし管理サーバ140に、駐車料金の計算(「料金計算」ともいう。)を行わせる。
【0158】
料金計算が終了すると、このなりすまし管理サーバ140は、決済サーバ160に接続し、それにより、ユーザによる電子決済を可能とする。電子決済が完了すると、なりすまし管理サーバ140は、実管理サーバ40に電子決済完了を通知し、それに応答し、実管理サーバ40は、出庫許可信号を精算機30を経由して出庫許可装置24に送信し、それにより、ユーザによる出庫が許可される。
【0159】
<第3の通信手順>
【0160】
さらに、第3の通信手順においては、図4のうちの最下欄に示すように、携帯端末90が精算機30と無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標)通信方式で)を行い、それにより、携帯端末90は、精算機30に駐車時間の計算と駐車料金の計算とを行わせ、さらに、その計算された駐車料金を携帯端末90に返信させる。
【0161】
その後、携帯端末90は、なりすまし管理サーバ140と無線通信(例えば、電話回線網を介して)を行い、それを受けて、このなりすまし管理サーバ140は、決済サーバ160に接続し、それにより、ユーザによる電子決済を可能とする。電子決済が完了すると、なりすまし管理サーバ140は、実管理サーバ40に電子決済完了を通知し、それに応答し、実管理サーバ40は、出庫許可信号を精算機30を経由して出庫許可装置24に送信し、それにより、ユーザによる出庫が許可される。
【0162】
<擬似電子決済モードの一具体例>
【0163】
次に、図5を参照することにより、出庫ステージにおいて擬似電子決済モードが前述の第1の通信手順に従って実行される際のシステム10の精算機30、携帯端末90および管理サーバ40と第2のシステム110の管理サーバ140および決済サーバ160とのそれぞれの作動を説明する。
【0164】
この図5に示す複数のステップのうち、携帯端末90において実行されるものの時系列が、前述の擬似電子決済用プログラムに相当し、また、管理サーバ40において実行されるものの時系列が、実管理サーバ用の擬似電子決済用プログラムに相当し、また、管理サーバ140において実行されるものの時系列が、なりすまし管理サーバ用の擬似電子決済用管理プログラムに相当し、また、決済サーバ160において実行されるものの時系列が、電子決済プログラムに相当する。
【0165】
ユーザが、携帯端末90上において、前記擬似電子決済用プログラムを起動させると、まず、ステップS511において、ユーザによる出庫(非電子決済モードではなく擬似電子決済モードでの出庫)の意思を確認するために、自身の画面上に出庫ボタンを表示する。次に、ステップS512において、その出庫ボタンをユーザが操作した(例えば、タッチした)か否かを判定する。出庫ボタンが操作されると、その判定がYESとなり、ユーザに出庫の意思があると判定する。
【0166】
続いて、携帯端末90は、ステップS513において、ユーザが現在居る駐車場20を特定するために、ユーザに対し、その駐車場20を識別するための駐車場識別情報、例えば、駐車場コードの入力を催促する。それに対し、ユーザは、該当する駐車場コードを手動で(例えば、前記手入力または前記音声入力により)または半自動もしくは完全自動で(携帯端末90によって入力が支援される方法で)携帯端末90に入力する。
【0167】
駐車場コードの入力支援方法の第1の例においては、携帯端末90が、今回の駐車場20の位置において、前記GPS機能を用いて現在位置を測定するとともに、複数の駐車場20と複数の地図上位置との間に予め定められている関係であって携帯端末90の前記メモリに保存されているものに従い、前記複数の地図上位置のうち前記測定された現在位置の近傍に位置するものに対応する少なくとも一つの駐車場20を、今回の駐車場20の候補として、ユーザに提示する。
【0168】
この第1の例においては、ユーザがいずれかの駐車場20を携帯端末90上で選択すると、その駐車場20に対応する駐車場コードが携帯端末90に入力される。
【0169】
駐車場コードの入力支援方法の第2の例においては、携帯端末90が、精算機30と無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標)通信方式で)を行い、このとき、精算機30は、その精算機30が設置されている駐車場20に対応する駐車場コードを表す信号を携帯端末90に返信する。これにより、ユーザは、現在居る駐車場20の駐車場コードを携帯端末90に入力できる。
【0170】
駐車場コードの入力支援方法の第3の例においては、携帯端末90のカメラが、精算機30または車室22ごとに装着されている識別マーク、例えば、コンピュータ読み取り可能な模様または画像(例えば、バーコードなどの1次元コード、QRコード(登録商標)などの2次元コードなど)を読み取り、その読み取り結果を、今回の駐車場20に対応する駐車場コードに変換する。これにより、ユーザは、現在居る駐車場20の駐車場コードを携帯端末90に入力できる。
【0171】
続いて、携帯端末90は、ステップS514において、ユーザが現在居る駐車場20のうち、ユーザの車両が現在駐車している車室22を特定するために、ユーザに対し、その車室22を識別する車室識別情報、例えば、車室番号の入力を催促する。それに対し、ユーザは、該当する車室番号を手動で(例えば、前記手入力または前記音声入力により)または半自動もしくは完全自動で(携帯端末90によって入力が支援される方法で)携帯端末90に入力する。
【0172】
車室番号の入力支援方法の一例においては、携帯端末90のカメラが、車室22ごとに装着されている識別マーク、例えば、コンピュータ読み取り可能な模様(例えば、バーコード、QRコード(登録商標)などの2次元コードなど)を読み取り、その読み取り結果を、今回の車室22に対応する車室番号に変換する。これにより、ユーザは、自身の車両が現在駐車している車室22の車室番号を携帯端末90に入力できる。
【0173】
なお、ここに、「識別マーク」は、車室22の識別マークと、駐車場20の識別マークとの双方を含む多目的識別マークとして構成してもよい。この場合には、携帯端末90のカメラが、車室22ごとに装着されている多目的識別マークを読み取り、その読み取り結果を、今回の駐車場20に対応する駐車場コードと今回の車室22に対応する車室番号との組合せに変換する。
【0174】
この例示的な入力支援方法によれば、ユーザは、ユーザが現在居る駐車場20の駐車場コードと、自身の車両が現在駐車している車室22の車室番号とを一挙に携帯端末90に入力できる。
【0175】
その後、携帯端末90は、ステップS515において、今回のユーザが、第2のシステム110の電子決済手段を利用するために第2のシステム110に合法的にアクセスするために、今回のユーザ(正確には、今回の駐車場コードと今回の車室番号との組合せ)に対し、1個のなりすまし会員IDを割り当てる。なりすまし会員IDは、ユーザごとに異なるように設定される。
【0176】
ところで、車両を駐車するという本来の目的のために第2のシステム110を利用することを希望するユーザは、その第2のシステム110の会員として事前に登録されることを要求される。しかし、システム10のユーザは、そのシステム10を利用するために、第2のシステム110の会員であることを要求されない。
【0177】
そこで、本実施形態においては、携帯端末90のデータ処理により、ユーザが、システム10のユーザの意思とは無関係に、かつ、ユーザに気付かれることなく、一時的に第2のシステム110の会員になりすます。このなりすまし会員という資格は、ユーザが今回のシステム10の使用を終了すると(駐車料金を擬似電子決済によって支払うと)、自動的に消滅する。
【0178】
そのなりすまし処理を行うために、携帯端末90の前記メモリには、複数の仮想会員ID、すなわち、第2のシステム110のいずれのユーザにも割り当てられることはないが、電子決済のみを目的として携帯端末90が第2のシステム110にアクセスすることを許可するものが保存されている。それら仮想会員IDと同じものは、第2のシステム110の前記メモリにも保存されており、それにより、第2のシステム110において、システム10のユーザについて会員認証を行うことが可能となる。
【0179】
携帯端末90は、ユーザから擬似電子決済モードでの出庫リクエストを受け付けるごとに、それら仮想会員IDのうちのいずれかを、同じ携帯端末90において使用済のものとも、他の携帯端末90において使用済のものとも重複しないように選択して、今回のユーザに割り当てる。これにより、今回の駐車場コードと今回の車室番号と今回のなりすまし会員IDとが互いに紐付けられる。各携帯端末90は、あるなりすまし会員IDを選択すると、その結果を管理サーバ40に送信し、その管理サーバ40は、他の携帯端末90に対し、同じなりすまし会員IDを選択しないように情報を提供する。
【0180】
その後、携帯端末90は、ステップS516において、ユーザが出庫(非電子決済モードではなく擬似電子決済モードでの出庫)を要求するための出庫リクエストと駐車場コードと車室番号とを互いに関連付けて管理サーバ40に送信する。
【0181】
今回のユーザは、第2のシステム110にとっての本当の会員ではなく、また、今回、強制的に登録された会員でもないため、管理サーバ140は、今回のユーザに紐付けられたクレジットカードの番号を知らない。よって、本実施形態においては、携帯端末90は、さらに、今回のユーザに紐付けられたクレジットカードの番号を電子決済に必要な電子決済情報として管理サーバ40に送信する。
【0182】
これに対し、管理サーバ40は、ステップS531において、それら出庫リクエストと駐車場コードと車室番号と電子決済情報とを互いに関連付けて受信する。
【0183】
続いて、管理サーバ40は、ステップS532において、前記時計を用いることにより、現在時刻を計測する。その後、管理サーバ40は、その計測された現在時刻を出庫時刻として取り扱い、続いて、今回の車室番号に関連付けて管理サーバ40の前記メモリに保存されている入庫時刻をそのメモリから読み出し、前記出庫時刻から前記入庫時刻を引き算することにより、駐車時間を計算する。
【0184】
その後、管理サーバ40は、ステップS533において、駐車時間の長さと駐車料金の額との間に予め定められている関係であって管理サーバ40の前記メモリに保存されているものに従い、前記計算された駐車時間の長さに見合う額の駐車料金を計算する。続いて、管理サーバ40は、ステップS534において、その計算された駐車料金の額をユーザの携帯端末90に送信する。
【0185】
これに対し、携帯端末90は、ステップS517において、その駐車料金の額を受信し、続いて、その駐車料金の額を前記画面上に表示する。
【0186】
その後、携帯端末90は、ステップS518において、前記駐車料金の額とその駐車料金について電子決済を行うための電子決済リクエストと今回のなりすまし会員IDとを、電子決済に必要な情報(前記電子決済情報を含む。)と共に、第2のシステム110の管理サーバ140に送信する。これに代えて、その決済リクエストを、携帯端末90ではなく管理サーバ40が管理サーバ140に送信してもよい。
【0187】
これに対し、管理サーバ140は、ステップS551において、それら駐車料金の額と決済リクエストと今回のなりすまし会員IDと電子決済に必要な情報とを受信する。
【0188】
続いて、管理サーバ140は、ステップS552において、自身のメモリを参照することにより、前記受信したなりすまり会員IDと一致する仮想会員IDが存在するか否かを判定し、存在する場合に、今回のユーザが、電子決済のみを目的として、第2のシステム110にアクセスすることを許可する。会員認証が行われるのである。
【0189】
その後、管理サーバ140は、ステップS553において、前記駐車料金について電子決済を行うための決済リクエストを、電子決済に必要な情報と共に、決済サーバ160に送信する。
【0190】
これに対し、決済サーバ160は、ステップS571において、その決済リクエストを受信し、続いて、ステップS572において、指定された内容で電子決済を行う。続いて、決済サーバ160は、ステップS573において、電子決済が完了したことを表す決済完了信号を管理サーバ40に送信する。
【0191】
これに対し、管理サーバ40は、ステップS535において、その決済完了信号を受信し、続いて、ステップS536において、駐車料金の精算が電子決済により完了したと判定する。その後、管理サーバ40は、ステップS537において、出庫許可信号(または決済完了信号)を精算機30に送信する。
【0192】
これに対し、精算機30は、ステップS501において、その出庫許可信号(または決済完了信号)を受信し、続いて、ステップS502において、ユーザの車両が今回の車室22から出庫することを可能にするために、出庫許可装置24に対し、出庫許可信号を送信する。その出庫許可信号に応答し、出庫許可装置24は、前記邪魔板を作用位置から非作用位置に退避させ(格納し)、それにより、車両が出庫許可装置24から退出することを可能にする。
【0193】
<第4の通信手順>
【0194】
図4のうちの中央欄に示す第2の通信手順の一例に対し、料金計算が行われる場所がなりすまし管理サーバ140ではなく実管理サーバ40である点で異なるいくつかの変形例が提案される。
【0195】
<第4の通信手順の第1の変形例>
【0196】
第4の通信手順の第1の変形例においては、図6に第4の通信手順としてブロック図で例示するとともに、図7にフローチャートで概念的に表すように、まず、ステップS701において、ユーザによって前述の出庫ボタンが操作されると、携帯端末90が、なりすまし管理サーバ140にアクセスし、それにより、前記駐車場識別情報および前記車室識別情報の組合せをそのなりすまし管理サーバ140に送信する。
【0197】
ここに、「駐車場識別情報および車室識別情報の組合せ」は、今回のユーザが利用している駐車場20およびその駐車場20内の車室22を特定する情報すなわち車室特定情報であり、今回のユーザを個別に特定する情報、すなわち、今回のユーザに一義的に対応する情報すなわち今回のユーザに固有の情報でもある。
【0198】
続いて、ステップS702において、携帯端末90は、さらに、ユーザに紐付けられたクレジットカードの番号(または銀行口座の番号)を、電子決済に必要な情報(例えば、決済サーバ160がクレジットカード決済を行うために必要な電子決済情報)として、なりすまし管理サーバ140に送信する。
【0199】
次に、ステップS733において、そのなりすまし管理サーバ140が、実管理サーバ40にアクセスし、それにより、携帯端末90から受信した車室特定情報をその実管理サーバ40に送信する。その実管理サーバ40は、ステップS752において、その受信した車室特定情報を自身のメモリに一時的に保存する。
【0200】
続いて、ステップS753において、その実管理サーバ40が、受信した車室特定情報によって表される駐車場20および車室22(以下、「個別車室位置」という。)を特定する。
【0201】
その後、ステップS754において、その実管理サーバ40が、その特定された個別車室位置について、今回のユーザによる実際の駐車時間(ユーザによる車室22の利用時間)を計算する。
【0202】
具体的には、実管理サーバ40は、前述のように、今回の車室22に関連付けて精算機30から実管理サーバ40に送信されて車室22に関連付けて記録されている入庫時刻を実管理サーバ40のメモリから読み出し、その読み出された入庫時刻と、出庫時刻(例えば、ユーザが携帯端末90の画面上において出庫ボタンを操作した時刻、携帯端末90がなりすまし管理サーバ140にアクセスした時刻、現在時刻など)との差として駐車時間の長さを計算する。
【0203】
その後、ステップS755において、その実管理サーバ40が、その計算された駐車時間の長さに見合う金額の駐車料金を、所定の料金表テーブル(図示しない)を参照して計算する。
【0204】
続いて、ステップS756において、その実管理サーバ40は、その計算した駐車料金の額を表すなりすまし管理サーバ140は、対応する個別車室位置(例えば、駐車場20および車室22の組合せ)またはユーザIDに関連付けて、なりすまし管理サーバ140に送信する。
【0205】
このようにして、なりすまし管理サーバ140は、今回の駐車料金の額をユーザごとに個別に受信することになる。
【0206】
その後、ステップS735において、そのなりすまし管理サーバ140が、電子決済リクエストを決済サーバ160に送信する。さらに、ステップS736において、そのなりすまし管理サーバ140が、前記電子決済情報を決済サーバ160に送信する。さらに、ステップS737において、そのなりすまし管理サーバ140が、前記受信した駐車料金データによって表される金額を決済金額として決定し、その決済金額を表す決済金額データを決済サーバ160に送信する。
【0207】
これに対し、ステップS774において、決済サーバ160が、受信した電子決済情報および決済金額データに基づき、電子決済(クレジットカード決済)を行う。その後、ステップS775において、その電子決済が完了したことを表す完了信号をなりすまし管理サーバ140と実管理サーバ40とに送信する。これにより、なりすまし管理サーバ140および実管理サーバ40は、電子決済という形態で、今回の駐車料金の支払いが完了したことを知ることになる。
【0208】
これに対し、ステップS739において、そのなりすまし管理サーバ140が、電子決済が完了したことを表す決済完了信号を、携帯端末90に送信する。これにより、ユーザは、電子決済が完了したことを知ることになる。
【0209】
これに対し、ステップS758において、実管理サーバ40が、決済完了信号を精算機30のうちの通信装置に送信する。これにより、精算機30は、電子決済という形態で、今回の駐車料金の支払いが完了したことを知ることになる。
【0210】
<第4の通信手順の第2の変形例>
【0211】
第4の通信手順の第2の変形例が、図6に第4の通信手順としてブロック図で例示されるとともに、図9にフローチャートで概念的に表されている。以下、そのフローチャートを説明するが、図7のフローチャートと共通する要素については重複した説明を省略する。
【0212】
図9のフローチャートにおいては、まず、ステップS901において、ユーザによって前述の出庫ボタンが操作されると、携帯端末90が、なりすまし管理サーバ140にアクセスし、それにより、前記車室特定情報(今回のユーザが利用している駐車場20およびその駐車場20内の車室22を特定する情報)をそのなりすまし管理サーバ140に送信する。
【0213】
これに対し、なりすまし管理サーバ140が、ステップS931において、前記車室特定情報を携帯端末90から受信する。その受信した車室特定情報は、なりすまし管理サーバ140のメモリに保存される。続いて、ステップS932において、なりすまし管理サーバ140が、今回のユーザに課金されるべき駐車料金に関する駐車料金情報を取得するための料金情報リクエストを実管理サーバ40に送信する。
【0214】
これに対し、実管理サーバ40が、ステップS951において、前記料金情報リクエストをなりすまし管理サーバ140から受信する。続いて、ステップS952において、実管理サーバ40が、前述のステップS754およびS755ならびに前述のステップS852におけるようにして駐車料金の額を計算する。その後、ステップS953において、実管理サーバ40が、その駐車料金の額を表す料金情報をなりすまし管理サーバ140に送信する。
【0215】
これに対し、なりすまし管理サーバ140が、ステップS933において、前記料金情報を実管理サーバ40から受信する。その受信した料金情報は、なりすまし管理サーバ140のメモリに保存される。続いて、ステップS934において、なりすまし管理サーバ140が、その受信した料金情報を携帯端末90に送信する。
【0216】
これに対し、携帯端末90が、ステップS902において、前記料金情報をなりすまし管理サーバ140から受信する。続いて、ステップS903において、携帯端末90が、自身のメモリに保存されている前述の電子決済情報をなりすまし管理サーバ140に送信する。
【0217】
これに対し、なりすまし管理サーバ140が、ステップS935において、前記電子決済情報を携帯端末90から受信する。その受信した電子決済情報は、なりすまし管理サーバ140のメモリに保存される。続いて、ステップS936において、なりすまし管理サーバ140が、前記電子決済リクエストを前記電子決済情報(例えば、クレジットカードの番号)および前記料金情報(例えば、駐車料金の額)と共に決済サーバ160に送信する。
【0218】
これに対し、ステップS971において、決済サーバ160が、前記電子決済リクエスト、前記電子決済情報および前記料金情報を互いに関連付けて受信する。続いて、ステップS972において、決済サーバ160が、受信した各種情報に基づき、電子決済(クレジットカード決済)を行う。その後、ステップS973において、決済サーバ160が、その電子決済が完了したことを表す電子決済完了信号をなりすまし管理サーバ140に送信する。
【0219】
これに対し、ステップS937において、そのなりすまし管理サーバ140が、前記電子決済完了信号を受信する。これにより、なりすまし管理サーバ140は、電子決済という形態で、今回の駐車料金の支払いが完了したことを知ることになる。続いて、ステップS938において、そのなりすまし管理サーバ140が、前記電子決済完了信号を携帯端末90と実管理サーバ40とにそれぞれ送信する。
【0220】
これに対し、ステップS904において、携帯端末90が、前記電子決済完了信号をなりすまし管理サーバ140から受信する。これにより、ユーザは、電子決済という形態で、今回の駐車料金の支払いが完了したことを知ることになる。
【0221】
また、ステップS954において、実管理サーバ40が、前記電子決済完了信号をなりすまし管理サーバ140から受信する。これにより、実管理サーバ40は、電子決済という形態で、今回の駐車料金の支払いが完了したことを知ることになる。その後、ステップS955において、実管理サーバ40が、前記電子決済完了信号を精算機30のうちの通信装置に送信する。これにより、精算機30は、電子決済という形態で、今回の駐車料金の支払いが完了したことを知ることになる。
【0222】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、電子決済に対応できない決済システム10を、電子決済に対応可能な別の決済システム110を利用することにより、決済システム10に対する追加の負担を抑制しつつ、電子決済に対応可能な決済システム10に改修することが容易となる。
【0223】
具体的には、電子決済に対応できない決済システム10が、電子決済に対応可能な別の決済システム110のうちの電子決済手段を利用して電子決済を行うことが可能となるため、決済システム10を電子決済に対応可能なものに改修する(決済システム10を擬似的に電子決済に対応可能とする)ために、携帯端末90にインストールすべきアプリケーション、管理サーバ40および精算機30のソフトウエア構成を比較的簡単に変更すれば足り、新たな電子決済手段を決済システム10に追加することが不要となる。
【0224】
以上説明したいくつかの実施態様においては、携帯端末90が、前記擬似電子決済モードがユーザによって選択されると、今回の駐車場20を特定するための情報(例えば、駐車場コード)と今回選択された車室22を特定するための情報(例えば、車室番号)との組合せを取得し、その組合せに、第2のシステム110の会員としてその第2のシステム110の第2の管理サーバ140にアクセスするためのなりすまし会員IDを割り当て、そのなりすまし会員IDを用いて第2の管理サーバ140にアクセスするなりすましアクセス手段を含むように設計される。
【0225】
これに代えて、携帯端末90は、擬似電子決済モードがユーザによって選択されると、そのユーザのユーザIDまたはそのユーザに一義的に対応する情報(後述する)を取得し、それらユーザIDまたは一義的対応情報に、第2のシステム110の会員としてその第2のシステム110の第2の管理サーバ140にアクセスするためのなりすまし会員IDを割り当て、そのなりすまし会員IDを用いて管理サーバ40を経由するかまたは経由せずに第2の管理サーバ140にアクセスするなりすましアクセス手段を含むように設計してもよい。
【0226】
ここに、「ユーザに一義的に対応する情報(一義的対応情報)」としては、例えば、携帯端末90の電話番号、メールアドレス、IPアドレス、ユーザの車両の登録番号(ナンバープレート上の番号など)などのテキスト(文字・数字列)情報や、ユーザ本人または本人の車両を撮影した画像などのイメージ情報などがある。「車両の登録番号」は、ユーザが文字・数字列を携帯端末90に手入力することによって取得したり、ユーザが携帯端末90のカメラで車両のナンバープレートを含む画像を撮像してその撮像結果から携帯端末90または他のデバイスによる画像認識処理によって番号を抽出することによって取得してもよい。
【0227】
以上説明したいくつかの実施形態は、本発明を、後払い式の駐車場20を用いたサービスに適用した場合のいくつかの例であったが、本発明は、前払い式の駐車場を用いたサービスに適用してもよい。
【0228】
また、以上説明したいくつかの実施形態は、本発明を、事業者(駐車場管理業者)が管理する駐車場20においてユーザが車両を駐車するためのスペースをそのユーザに貸与する駐車場サービスに適用した場合のいくつかの例であるが、他の種のサービスに本発明を適用することが可能である。
【0229】
具体的には、本発明は、例えば、個人が所有する駐車場を他人の車両を駐車するためにその他人に貸与するサービス(いわゆる駐車場シェアリング・サービス)に適用したり、事業者が事業所において車両をユーザに貸与するサービス(いわゆる車両レンタル・サービス)に適用したり、事業者が無人駐車場において車両をユーザに貸与するサービス(いわゆる車両シェアリング・サービス)に適用したり、個人が自身の車両を他人に貸与するサービス(いわゆる車両シェアリング・サービス)に適用してもよい。
【0230】
さらに、本発明は、不動産または動産であるレンタル対象をユーザにレンタルするというサービスに適用してもよい。
【0231】
不動産であるレンタル対象の一例は、コインロッカーである。この例においては、非電子決済対応型のコインロッカーと、電子決済対応型のコインロッカー・システム(例えば、通信機能を有するコイン・ロッカーと、管理サーバと、決済サーバとを含む。)とが存在し、この例に本発明が適用されると、非電子決済対応型のコインロッカーの精算機が、電子決済対応型のコインロッカー・システムを用いて擬似的に電子決済に対応することになる。
【0232】
さらに、本発明は、飲料物などの物品を無人で販売する自動販売機であって非電子決済対応型のものと、電子決済対応型の自動販売機システム(例えば、通信機能を有する自動販売機と、管理サーバと、決済サーバとを含む。)とが存在する環境に適用されると、例えば、非電子決済対応型の自動販売機の精算機が、電子決済対応型の自動販売機システムを用いて擬似的に電子決済に対応することになる。
【0233】
ここに、「物品」は、飲料物、料理、パチンコ機用の貸し球、スロットマシン用の貸しコイン、ゲーム機用の貸しコインなど、それ自体に物理的な使用価値を有する種類の物品でも、それ自体には物理的な使用価値はないが、一定の権限をユーザが有することを証明する物品(例えば、切符、入場券、食券、代用貨幣、トークン)でもよい。
【0234】
上述の非電子決済対応型の自動販売機システムは、ユーザによる代金の支払いと引き換えに所定の物品を提供する自動販売機を含み、また、任意選択的に、その自動販売機が通信機能を有する場合に、その自動販売機と通信可能な管理サーバをさらに含んでもよい。
【0235】
本発明が適用可能な非電子決済対応型のシステムを例示列挙すると、交通機関用の無人券売機であってユーザが代金を支払うと切符を販売するもの、飲食店に設置された無人券売機であってユーザが代金を支払うと食券を販売するもの、コインランドリー・システムであって無人で洗濯機・乾燥機をユーザに貸与するもの、商業施設に設置された決済端末であってユーザが自ら購入品目を申請してそれの代金を支払うもの、パチンコホールやスロットマシンホールなどの遊技施設に設置された無人貸出機であって遊技に必要な物品を貸し出すものなどがある。
【0236】
以上説明したいくつかの実施形態においては、システム10のユーザが、本人が知らなう状態で、第2のシステム110の会員としての資格を与えられるようになっているが、本人に了解をもらうかまたは本人からの指示を待って、第2のシステム110の会員としての資格を獲得し、その後に、システム10のユーザが、第2のシステム110にアクセスする態様で本発明を実施してもよい。
【0237】
システム10のユーザが、第2のシステム110の会員としての資格を得るために、そのユーザに紐付けられたクレジットカードの番号を管理サーバ140に登録することが要求される場合には、今回のユーザがシステム10において電子決済をリクエストする際には、それ以前に、そのユーザに紐付けられたクレジットカードの番号が管理サーバ140に登録されているため、そのユーザは、システム10について電子決済を行う時点で、わざわざ、そのユーザに紐付けられたクレジットカードの番号を管理サーバ140に送信する作業が省略される。
【0238】
また、以上説明したいくつかの実施形態においては、非電子決済対応型のシステム10が、管理サーバ40を有するが、その管理サーバ40を有しない態様で本発明を実施してもよい。また、非電子決済対応型のシステム10が管理サーバ40を有するか否かを問わず、ユーザの携帯端末90が、管理サーバ40を経由することなく、電子決済対応型の第2のシステム110の管理サーバ140にアクセスする態様で本発明を実施してもよい。
【0239】
また、以上説明したいくつかの実施形態においては、電子決済対応型の第2のシステム110が非電子決済対応型のシステム10と同種のビジネス、すなわち、駐車場をユーザに提供するというビジネスを行うが、非電子決済対応型のシステム10と異種のビジネス(例えば、物品を無人で販売するビジネス)を行うものであってもよい。
【0240】
また、以上説明したいくつかの実施形態においては、非電子決済対応型のシステム10が、電子決済対応型の第2のシステム110の決済手段を利用して、ユーザによる電子決済を可能にするが、システム10が電子決済対応型である場合に本発明を適用してもよい。
【0241】
このような環境において本発明を実施すると、例えば、システム10が、第2のシステム110への依存なしで、単独で対応することが可能な電子決済の種類が、ユーザが利用可能な電子決済の種類と不一致であっても、第2のシステム110との協働により、ユーザが利用可能な電子決済の種類と、システム10が擬似的に対応可能な電子決済の種類とが一致することになる。それにより、ユーザは、電子決済の種類の不一致という問題が解消されるため、システム10を利用可能となる。
【0242】
具体的には、例えば、システム10が対応可能な電子決済の種類が「VISA(登録商標)カード」であり、一方、第2のシステム110が対応可能な電子決済の種類が「マスターカード(登録商標)」であるというように、それらシステム10および110の間で、ユーザが利用可能なクレジットカードの種類が異なる場合に、ユーザが、システム10で利用可能なクレジットカードを利用する権限を有しないと、ユーザは電子決済できないという理由のみでシステム10を利用することができない。
【0243】
これに対し、本発明により、第1種類のクレジットカードを利用可能なシステム10が、第2種類のクレジットカードを利用可能な第2のシステム110の決済手段を利用して、ユーザによる第2種類のクレジットカードでの電子決済が可能となれば、ユーザが利用可能なクレジットカードの種類とシステム10で利用可能なクレジットカードの種類との不一致という理由のみで、ユーザがシステム10を利用できないという事態が回避され、ユーザの利便性が向上する。
【0244】
<コード読取り決済>
【0245】
以上説明したいくつかの実施形態においては、典型的には、第2のシステム110が前述の「クレジットカード決済」を電子決済として採用する。
【0246】
これに代えて、第2のシステム110が前述の「コード読取り決済」を電子決済として採用する態様で本発明を実施することも可能である。
【0247】
この実施態様においては、例えば、図8にフローチャートで表すように、まず、ステップS801において、ユーザが携帯端末90の画面上において前述の出庫ボタンを操作すると、次に、ステップS802において、携帯端末90が、第2のシステム110の管理サーバ140へのアクセスを要求する。
【0248】
これに対し、ステップS831において、その管理サーバ140が、携帯端末90からのアクセスを許可すると、続いて、ステップS832において、管理サーバ140が、システム10の管理サーバ40へのアクセスを要求する。
【0249】
これに対し、ステップS851において、その管理サーバ40が、管理サーバ140からのアクセスを許可すると、続いて、ステップS852において、前述のようにして駐車料金の額を計算し、その後、ステップS853において、その駐車料金の額を表す駐車料金データを管理サーバ140に送信する。
【0250】
これに対し、ステップS833において、管理サーバ140が、その駐車料金データを受信すると、続いて、ステップS834において、その受信した駐車料金データによって表される駐車料金の金額を決済金額として表す決済用コード(例えば、QRコード(登録商標)またはバーコードなど)を表す画像データとしての決済用コード・データを作成する。その決済用コードは、今回のユーザが決済すべき金額と、その決済を前述のコード読取り決済で行うこととを表す。その決済金額は、暗号化されて、決済用コードに反映される。
【0251】
その後、ステップS835において、管理サーバ140が、その作成した決済用コード・データを精算機30の通信装置に送信する。
【0252】
これに対し、ステップS861において、精算機30のコンピュータが、受信した決済用コード・データに基づき、対応する決済用コードが精算機30の画面上に表示する。
【0253】
これに対し、ステップS803において、ユーザが、携帯端末90のカメラで、その表示されている決済用コードを読み取る。続いて、ステップS804において、携帯端末90が、その決済用コードを電気信号に変換し、それにより、読取データを作成する。
【0254】
その後、ステップS805において、携帯端末90が、自身のメモリに記憶されている暗号解読アプリケーションを起動させることにより、前記読取データから、前記決済金額を復元する。続いて、ステップS806において、携帯端末90が、自身のメモリから、今回のユーザに紐付けられているクレジットカードの番号を電子決済情報として読み出す。
【0255】
その後、ステップS807において、携帯端末90が、前記復元された決済金額と、前記読み出された電子決済情報とを、ユーザに関連付けて、なりすまし管理サーバ140に送信する。
【0256】
これに対し、ステップS836において、なりすまし管理サーバ140が、受信した決済金額と、前述のステップS833において受信した駐車料金データによって表される駐車料金の額との間に照合が成立するか否かを判定する。
【0257】
その照合に成功することは、携帯端末90が使用した暗号解読のルールが適正であったことを意味し、ひいては、携帯端末90が使用した上述の暗号解読アプリケーションが管理サーバ140によって承認されていること(その暗号解読アプリケーションは、第2のシステム110から適正にダウンロードされて携帯端末90のメモリにインストールされたものであること)を意味する。携帯端末90が使用した暗号解読アプリケーションが管理サーバ140によって承認されているという事実は、今回のユーザが、第2のシステム110の会員としての資格を有していることを意味する。
【0258】
その後、ステップS835において、そのなりすまし管理サーバ140が、電子決済リクエストを決済サーバ160に送信する。さらに、ステップS836において、そのなりすまし管理サーバ140が、前記電子決済情報を決済サーバ160に送信する。さらに、ステップS837において、そのなりすまし管理サーバ140が、前記決済金額を表す決済金額データを決済サーバ160に送信する。
【0259】
これに対し、ステップS874において、決済サーバ160が、受信した電子決済情報および決済金額データに基づき、電子決済(クレジットカード決済)を行う。その後、ステップS875において、その電子決済が完了したことを表す完了信号をなりすまし管理サーバ140と実管理サーバ40とに送信する。これにより、なりすまし管理サーバ140および実管理サーバ40は、電子決済という形態で、今回の駐車料金の支払いが完了したことを知ることになる。
【0260】
これに対し、ステップS842において、そのなりすまし管理サーバ140が、電子決済が完了したことを表す決済完了信号を、携帯端末90に送信する。これにより、ユーザは、電子決済が完了したことを知ることになる。
【0261】
これに対し、ステップS854において、実管理サーバ40が、決済完了信号を精算機30のうちの通信装置に送信する。これにより、精算機30は、電子決済という形態で、今回の駐車料金の支払いが完了したことを知ることになる。
【0262】
この実施態様によれば、単独ではコード読取り決済に対応不能なシステム10が、コード読取り決済に対応可能な第2のシステム110の決済手段を利用して、ユーザによるコード読取り決済が可能となる。
【0263】
以上の説明から容易に理解されるように、本発明によれば、単独ではクレジットカード決済にもコード読取り決済にも対応不能な第1の決済システム(非電子決済対応型)10が、少なくともクレジットカード決済に対応可能な第2の決済システム(電子決済対応型)110と組み合わせられることにより、少なくともクレジットカード決済に対応可能となる。
【0264】
さらに、本発明によれば、単独ではクレジットカード決済にもコード読取り決済にも対応不能な第1の決済システム(非電子決済対応型)10が、少なくともコード読取り決済に対応可能な第2の決済システム(電子決済対応型)110と組み合わせられることにより、少なくともコード読取り決済に対応可能となる。
【0265】
さらに、本発明によれば、単独でクレジットカード決済に対応可能である単独ではコード読取り決済に対応不能な第1の決済システム(電子決済対応型)10が、少なくともコード読取り決済に対応可能な第2の決済システム(電子決済対応型)110と組み合わせられることにより、少なくともコード読取り決済に対応可能となる。
【0266】
<マルチ決済>
【0267】
ところで、以上説明したいくつかの実施形態においては、システム(第1のシステム)10が、決済手続について、1つの第2のシステム110との協働により、システム(第1のシステム)10が擬似的に対応可能な決済の種類の範囲が非電子決済から電子決済に拡張される。
【0268】
しかし、第2のシステム110が対応可能な電子決済の種類が限定されており、システム(第1のシステム)10が擬似的に対応可能な電子決済の種類がユーザが利用可能な電子決済の種類に合致しない可能性がある。
【0269】
その場合には、システム(第1のシステム)10は、第2のシステム110の助けを受けても、ユーザが利用可能な電子決済の種類に対応することができない。すなわち、システム(第1のシステム)10が対応可能な電子決済の種類を拡張するにも限界があるという問題があるのである。
【0270】
これに対し、この問題を解決するために、本発明は、例えば、次のような態様で実施することが可能である。
【0271】
この態様も、ある種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供するシステム(第1のシステム)10に向けられる。
【0272】
このシステム(第1のシステム)10は、単独では非電子決済には対応可能であるが電子決済には対応不能であるか、または単独で、少なくとも、限定された種類の電子決済に対応可能である。このシステム10は、ユーザの携帯端末90と、通常決済モードにおいて、システム10が単独で対応可能な決済方式でユーザが決済を行うための精算機30または決済機とを含む。
【0273】
このシステム(第1のシステム)10は、決済手続に関し、各々、システム10と同種または異種の物品もしくはサービスまたは動産もしくは不動産をユーザに提供する複数の第2のシステム110と連携して作動する。
【0274】
それら第2のシステム110は、それぞれ、1種類または複数種類の電子決済に対応可能である。
【0275】
また、それら第2のシステム110は、それらの間で、対応可能な電子決済の種類に関し、互いに完全に一致するわけではない。
【0276】
具体的には、それら第2のシステム110は、それらの間で、互いに異なる種類の電子決済を少なくとも一種類含むか、または、同じ種類の電子決済を全く共有しないように選択することが可能である。
【0277】
また、それら第2のシステム110は、使用上、排他性を有せず、対応可能な電子決済の種類が互いに完全に一致する別の複数の第2のシステムと組み合わせて使用されることが可能である。
【0278】
このシステム(第1のシステム)10は、携帯端末90が、ユーザから電子決済リクエスト(例えば、前述の出庫ボタンの操作)を受け付けると、その電子決済リクエストによって指定される電子決済の種類を判別する判別部を有する。
【0279】
このシステム(第1のシステム)10は、さらに、携帯端末90が、そのユーザ指定電子決済の種類が、当該システムが対応可能な電子決済の種類のいずれとも一致しないと、前記複数の第2のシステム110のうち、前記ユーザ指定電子決済の種類をカバーするいずれかの第2のシステム110を代用システム110として選択する選択部を有する。
【0280】
このシステム(第1のシステム)10は、さらに、その代用システム110が選択されると、携帯端末90が、代用電子決済モードにおいて、別の通信装置(例えば、管理サーバ40)を経由するかまたは経由せずに代用システム110にアクセスし、それにより、その代用システム110がシステム10に代わって前記ユーザ指定電子決済を行う代用決済部を有する。
【0281】
代用システム110が別の通信装置(例えば、管理サーバ40)を経由するかまたは経由せずにシステム10の精算機30または決済機と通信し、それにより、システム10の精算機30または決済機は決済完了信号を代用システム110から受信する。これにより、前記ユーザ指定電子決済が、代用システム110の助けを借りて完了する。
【0282】
このシステム10(第1のシステム)によれば、ユーザが利用可能な電子決済の種類が、システム10が対応可能な電子決済の種類と合致しないと、複数の第2のシステム110のうち、ユーザが利用可能な電子決済の種類をカバーするものが自動的に選択され、その選択された第2のシステム110が、システム10の決済手段として機能し、その結果、システム10が、擬似的に、ユーザが利用可能な電子決済の種類に対応可能となる。
【0283】
それにより、システム(第1のシステム)10は、擬似的に、ユーザが利用可能な電子決済の種類であって実質的に任意のものに対応することが可能となり、決済手続におけるユーザの利便性が向上する。
【0284】
すなわち、このシステム(第1のシステム)10によれば、1種類の電子決済しか実現されないわけでなく、同じシステム10でありながら、擬似的に複数種類の電子決済が実現されるいわゆるマルチ決済が実現されるのである。ここに、「マルチ決済」という用語は、ユーザが利用可能な電子決済の種類が多様化することを意味する。
【0285】
なお付言するに、決済用コードをシステム10の精算機30の画面(例えば、LCD)上に表示し、それにより、ユーザがコード読取り決済方式で今回の駐車料金を後払いすることを可能にするという上述の技術は、第2のシステム110に依存することなく、すなわち、具体的には、例えば、決済用コードを表示するためのデータを管理サーバ40が、同じシステム10の精算機30の通信機器に送信することにより、実現することが可能である。
【0286】
以上、マルチ決済を概念的に説明したが、以下、その一具体例であるマルチ電子決済システム1000を図10および図11を参照して説明する。
【0287】
図10に示すように、このマルチ電子決済システム1000は、単一の種類の電子決済に対応可能な第1のシステム10(非電子決済に対応可能であってもよい)と、複数の第2のシステム110であって、前述のように、それらの間で、対応可能な電子決済の種類に関して互いに完全に一致するわけではないものとを有する。
【0288】
ただし、いずれのシステム10および110も、決済というサービスさえユーザに提供できればよく、上述のいくつかの例のように、決済以外のサービス(例えば、駐車場管理ビジネス)をも提供できるようにそれらシステム10および110を構成することは本発明を実施するうえで不可欠なことではない。
【0289】
具体的には、第1のシステム10は、ユーザの携帯端末90が、ユーザが利用可能な電子決済(ユーザ指定電子決済)の種類の如何を問わず、直接的に接続される決済システムである。この第1のシステム10は、管理サーバ40を実管理サーバとして有するとともに、該当する種類の電子決済に対応可能な決済サーバ160に接続されている。
【0290】
一方、複数の第2のシステム110のうちのいずれかは、第1のシステム10により、ユーザ指定電子決済の種類に合致するものとして選択される決済システムである。その選択された第2のシステム110は、ユーザが知らないうちに、携帯端末90が第1のシステム10のうちの管理サーバ40(実管理サーバ)を経由して間接的に接続される補完的な決済システムである。その選択された第2のシステム110は、管理サーバ140をみなし管理サーバまたは擬似的管理サーバとして有するとともに、該当する種類の電子決済に対応可能な決済サーバ160に接続されている。
【0291】
第1のシステム10に割り当てられた決済サーバ160も、各第2のシステム110に割り当てられた決済サーバ160も、通常、対応する種類の電子決済サービスを運営する各事業者によって管理される。
【0292】
<単一支払料金用の電子決済リクエスト>
【0293】
図11には、図10に示すマルチ電子決済システム1000の作動が概念的にフローチャートで表されている。図11に示す例については、「マルチ決済」という用語が、ユーザが利用可能な電子決済の種類が多様化することを意味するように使用される。
【0294】
まず、ステップS1101において、電子決済の実施を希望するユーザが、携帯端末90を第1のシステム10の実管理サーバ40に接続する。
【0295】
具体的には、ユーザは、第1のシステム10またはそれとは別のシステムによってユーザに提供されたビジネス(有形の物品の販売、無形のサービスの提供など)の対価として料金を課金され、その料金を、見かけ上は第1のシステム10に対して、実際は、第1のシステム10またはいずれかの第2のシステム110に対して電子決済によって支払うために、このマルチ電子決済システム1000を利用することになる。
【0296】
ここに、「無形のサービス」としては、例えば、飲食物の提供、レンタル対象物の利用、駐車場の利用、交通機関の利用などが存在する。
【0297】
このステップS1101において、ユーザは、電子決済リクエストを、ユーザの電子決済情報、ユーザ識別情報および料金関連情報に関連付けて実管理サーバ40に送信する。
【0298】
ここに、「電子決済情報」は、例えば、今回のユーザが利用することを希望する電子決済の種類(例えば、プリペードカードの種類、クレジットカードの種類、暗号通貨(crypto currency)の種類など)と、電子決済に関するユーザに固有の情報(例えば、プリペードカードの番号、クレジットカードの種類、暗号通貨の番号など)を有する。
【0299】
また、「ユーザ識別情報」は、例えば、ユーザIDとか、携帯端末90に固有の識別情報などを有する。
【0300】
また、「料金関連情報」は、例えば、料金の支払先、料金を構成する1または複数の支払項目(または購入品目)を有する。
【0301】
このステップS1101に関連し、図12には、1つの第1類型購入活動単位(例えば、同じ店舗で、複数の商品をまとめて購入するという活動や、同じ店舗で、複数の飲食物の提供をまとめて受けるという活動など)について単一支払料金を単一の支払先に個別に電子決済するための単一支払料金用の電子決済リクエスト関連情報の一例が示されている。
【0302】
ここに、「単一支払料金」は、1または複数の購入項目についてそれぞれ個別料金を有しているが、いずれの個別料金も1つの支払先に支払われ、結局、それらの合計料金も同じ支払先に支払われる料金を意味する。
【0303】
このステップS1101の実行に応答し、実管理サーバ40は、ステップS1131において、携帯端末90から、電子決済リクエストと電子決済情報とユーザ識別情報と料金関連情報とを互いに関連付けて受信する。それら電子決済リクエストと電子決済情報とユーザ識別情報と料金関連情報との集まりを、説明の便宜上、電子決済リクエスト関連情報と称する。
【0304】
続いて、実管理サーバ40は、ステップS1132において、前記受信した料金関連情報、および/またはその料金関連情報に関連付けて、対応する支払先である事業体(例えば、飲食店などの個別店舗もしくはフランチャイズ店舗、百貨店などの総合商業施設、他の駐車場管理会社、各交通機関を運営する事業体など)により、またはその事業体のために運営される課金サーバなどから受信した料金情報に基づき、ユーザに課金すべき料金を計算する。
【0305】
その後、実管理サーバ40は、ステップS1133において、前記受信した電子決済情報から、ユーザ指定電子決済の種類を表す情報を抽出し、その抽出結果から、今回要望される電子決済の種類を判別する。
【0306】
電子決済の種類は、まず、プリペイドカード決済、クレジットカード決済などに大分類される。電子決済の種類は、さらに、例えば、プリペイドカード決済は、そのプリペイドカードを取り扱う会社の種類で細分類され、また、クレジットカード決済は、そのクレジットカードを取り扱う信販会社の種類で細分類される。
【0307】
続いて、実管理サーバ40は、ステップS1134において、判別された電子決済の種類(すなわち、今回のユーザ指定電子決済の種類)が、第1のシステム10において対応可能な電子決済の種類(1種類しかないかもしれないし複数種類あるかもしれない)と一致するか否かを判定する。
【0308】
今回指定される電子決済が第1のシステム10において対応可能である場合には、ステップS1134の判定がYESとなり、続いて、ステップS1135において、実管理サーバ40が、電子決済リクエストを、前記電子決済情報、前記ユーザ識別情報および料金計算結果(ステップS1133の実行結果など)と共に、第1のシステム10に割り当てられている決済サーバ160(図10において、左側に位置する決済サーバ160)に送信する。
【0309】
上述のステップS1135の実行に応答し、決済サーバ160は、実管理サーバ40から電子決済リクエストと電子決済情報とユーザ識別情報と料金計算結果とを互いに関連付けて受信する。続いて、ステップS1175において、この決済サーバ160が、ユーザが希望する電子決済を実行する。その後、ステップS1176において、この決済サーバ160が、今回の電子決済が完了したことを表す決済完了信号をユーザIDに関連付けて実管理サーバ40に送信する。
【0310】
これに対し、実管理サーバ40は、ステップS1136において、前記決済完了信号をユーザIDに関連付けて決済サーバ160から受信し、そのユーザIDを参照して、いずれかの携帯端末90を今回のユーザの携帯端末90として特定し、その携帯端末90に前記決済完了信号を転送する。
【0311】
これに対し、携帯端末90は、ステップS1103において、その転送された決済完了信号を受信する。その後、携帯端末90は、例えば、今回の電子決済が完了したことを表すメッセージを(例えば、支払金額と共に)画面上に表示するかおよび/または音声出力する。
【0312】
以上、ユーザ指定電子決済が第1のシステム10において対応可能である場合を説明したが、対応可能ではない場合には、ステップS1134の判定がNOとなり、ステップS1137において、実管理サーバ40が、複数の第2のシステム110のうち、ユーザ指定電子決済に対応可能であるものを選択する。
【0313】
ここで、複数の第2のシステム110のうち、ユーザ指定電子決済に対応可能であるものが複数存在する場合には、まず、実管理サーバ40は、ユーザ指定電子決済に対応可能な複数の第2のシステム110をそれぞれ複数の候補として仮選択する。
【0314】
次に、実管理サーバ40は、所定の優先順位決定ルールに従って、それら仮選択された複数の候補を唯一の第2のシステム110に絞り込むか、または、それら複数の候補を少数の候補に絞り込み、それら少数の候補を携帯端末90を介してユーザに提示し、いずれかの候補をユーザに選択させる。
【0315】
ここに、「所定の優先順位決定ルール」は、例えば、同じユーザの過去の利用履歴が存在する第2のシステム110を優先的に選択するというルールとか、いずれかの第2のシステム110をユーザが利用するとその見返りとしてユーザが得られる特典(例えば、還元ポイント)が基準レベルより高く、特典の点で他の第2のシステム110より有利である第2のシステム110を優先的に選択するというルールを含む。
【0316】
続いて、ステップS1138において、実管理サーバ40は、電子決済リクエストをユーザIDに関連付けて、選択された第2のシステム140のうちのみなし管理サーバ(以下、「今回のみなし管理サーバ」という)140に送信する。
【0317】
これに対し、今回のみなし管理サーバ140は、ステップS1151において、受信した電子決済リクエストをユーザIDに関連付けて、今回の第2のシステム140に割り当てられた決済サーバ160(図10において右側の決済サーバであり、以下、「今回の決済サーバ」という)に転送する。
【0318】
これに対し、今回の決済サーバ160は、ステップS1171において、今回の電子決済リクエストをユーザIDに関連付けて受信し、続いて、ステップS1172において、ユーザが希望する電子決済を実行する。その後、今回の決済サーバ160は、ステップS1173において、今回の電子決済が完了したことを表す決済完了信号をユーザIDに関連付けて今回のみなし管理サーバ140に送信する。
【0319】
これに対し、今回のみなし管理サーバ140は、ステップS1152において、前記決済完了信号をユーザIDに関連付けて実管理サーバ40に転送する。これに対し、実管理サーバ40は、前記ユーザIDを参照して、前記決済完了信号を今回のユーザの携帯端末90に転送する。
【0320】
これに対し、携帯端末90は、ステップS1102において、その転送された決済完了信号を受信する。その後、携帯端末90は、例えば、今回の電子決済が完了したことを表すメッセージを(例えば、支払金額と共に)画面上に表示するかおよび/または音声出力する。
【0321】
各管理サーバ140は、対応可能な電子決済の種類が1つでも複数でもよく、また、各管理サーバ140に割り当てられる各決済サーバ160も、対応可能な電子決済の種類が1つでも複数でもよい。
【0322】
なお付言するに、図10および図11に示す例においては、第1のシステム10が、ユーザに課金される料金を計算する料金計算機能、および、ユーザ指定電子決済の種類に応じていずれかの第2のシステム110を選択する選択機能(すなわち、決済ルートを選択する決済ルート選択機能)に加えて、決済機能(非電子決済であるか電子決済であるかを問わない)をも有するが、その決済機能は省略してもよいし、また、前記料金計算機能も、他の場所で同じ機能が実現される場合には、第1のシステム10から削除してもよい。すなわち、第1のシステム10は、前記選択機能を少なくとも有すれば足りるのである。
【0323】
さらに付言するに、図10および図11に示す例においては、説明の便宜上、第1のシステム10における管理サーバ40が、前述の「決済ルート選択サーバ」の一例を構成し、また、複数の第2のシステム110における複数の管理サーバ140が、前述の「複数の管理サーバ」の一例を構成すると考えることが可能である。
【0324】
さらに付言するに、図10および図11に示す例においては、複数の管理サーバ140が、1つの管理サーバ40を共有するが、その管理サーバ40に依存することなく、構成上、互いに独立している。
【0325】
よって、それら管理サーバ140は、管理サーバ40との接続が確立されることが可能である限りにおいて、通信環境上、互換性を有することも、相互に通信可能であることも必須要件ではない。
【0326】
さらに付言するに、図10および図11に示す例においては、複数の管理サーバ140が、それぞれ互いに異なる事業体によって運営されるか、および/または、互いに異なる位置(例えば、実空間上の位置、仮想アドレス空間上の位置)に設置される。
【0327】
したがって、図10および図11に示す例によれば、一人のユーザが利用可能である電子決済の種類の幅を拡大するために、既存の複数の管理サーバ140であってそれぞれ互いに異なる種類の電子決済に対応可能であるものを選択し、そのうえで、それら管理サーバ140のすべてを、それぞれの通信環境および仕様を互いに統一するような作業(改修作業とか設計変更など)を行うことなく、共通の管理サーバ40に接続するだけで、図10に示すようなマルチ電子決済用通信ネットワークが構築される。
【0328】
その結果、図10および図11に示す例によれば、既存の複数の管理サーバ140の設定条件(例えば、通信条件など)の実質的な改修なしで、かつ、その設置位置の変更も不要として、単に、それら管理サーバ140を管理サーバ40に接続するだけで、一人のユーザが利用可能である電子決済の種類が豊富化される。
【0329】
それにより、この例によれば、ユーザの利便性が、事業者の経済的負担(例えば、設備コスト)の増加を抑制しつつ向上させることが容易となる。
【0330】
図10および図11を参照しつつマルチ電子決済システム1000について行われた上述の説明は、ユーザが、1つの上述の第1類型購入活動単位について上述の単一支払料金を1つの支払先(例えば、第1のシステム10に紐付けられた1つの事業体)に支払うというシナリオに向けられている。
【0331】
その結果、具体的には、図11に示すように、ステップS1135の実行をトリガとして第1のシステム10によって電子決済が行われる場合も、ステップS1138の実行をトリガとしていずれかの第2のシステム110によって電子決済が行われる場合も、ユーザは、例えば、結果的には、第1のシステム10に紐付けられた1つの事業体に対して電子決済を行ってその事業体に料金を支払うことになる。
【0332】
<複合支払料金用の電子決済リクエスト>
【0333】
図10および図11に示すマルチ電子決済システム1000において、第1のシステム10および管理サーバ40の役割は、その管理サーバ40がユーザの携帯端末90から電子決済リクエスト関連情報を受信すると、その受信した電子決済リクエスト関連情報から、ユーザが利用することを希望する電子決済(通常は、1つの電子決済であるが、複数の電子決済であってもよい)の種類を特定し、第1のシステム10の管理サーバ40および複数の第2のシステム110の複数の管理サーバ140の中から、前記特定された1または複数の電子決済と一致する電子決済に対応可能なものを選択し、その選択された1または複数の管理サーバ40,140を用いて電子決済を行うというものである。
【0334】
図13には、図10および図11に示すマルチ電子決済システム1000の一変形例の作動が概念的にフローチャートで表されている。図13に示す変形例は、ハードウエア構成については、図10に示すものと共通する。
【0335】
図13に示す変形例においては、第1のシステム10および管理サーバ40の役割が、その管理サーバ40がユーザの携帯端末90から電子決済リクエスト関連情報を受信すると、その受信した電子決済リクエスト関連情報から、ユーザに課された1または複数の料金についての1または複数の支払先である1または複数の事業者を特定し、複数の第2のシステム110の複数の管理サーバ140の中から、前記特定された1または複数の事業者によってそれぞれ運営されるものを選択し、その選択された1または複数の管理サーバ140を用いて電子決済を行うというものである。
【0336】
この変形例においては、管理サーバ40が、複数の第2のシステム140を選択する機能すなわち決済ルート選択機能のみ有し、電子決済機能は有しないが、その電子決済機能をも有するように設計してもよい。
【0337】
いずれにしても、ユーザにすれば、自身の携帯端末90が直接的に接続されているのは管理サーバ40であって、管理サーバ140は、直接的に携帯端末90に接続されているわけではないから、管理サーバ40を実管理サーバ、管理サーバ140をみなし管理サーバとそれぞれ分類することは可能である。ただし、管理サーバ40が電子決済機能を有しない場合には、電子決済というタスクに関する限り、管理サーバ140をみなし管理サーバと称することは適切ではないかもしれない。
【0338】
料金支払方法に関して分類するに、上述のように、図10および図11に示す電子決済システム1000は、典型的には、ユーザが1つの第1類型購入活動単位について単一支払料金を1つの支払先に支払うことを可能にするように設計されている。
【0339】
これに対し、図13に示すマルチ電子決済システム1000の一変形例は、複数の第2のシステム110が、対応可能な電子決済の種類に関して互いに共通するか相違するか否かを問わず(特に、互いに共通する場合に)、ユーザが、1つの第2類型購入活動単位(例えば、同じユーザが、複数の交通機関であって互いに異なる事業体によって運営されるものを乗り継ぐために交通費を前払いするという活動など)について複合支払料金を複数の支払先(例えば、複数の交通機関運営事業体)に包括的に電子決済することを可能にするように設計されている。
【0340】
したがって、図13に示す例については、「マルチ決済」という用語が、ユーザが一度に電子決済できる個別の支払い単位(支払先)を複合化することを意味するように使用される。すなわち、ここにおいて、「マルチ決済」とは、ユーザが一度の電子決済のみで複数の個別料金であって支払先が異なるものをまとめて決済できることを意味するのである。
【0341】
以下、この変形例であるマルチ電子決済システム1000を、複数の第2のシステム110が、対応可能な電子決済の種類に関して互いに共通する場合を例にとり、図13および図14を参照して説明するが、図13において、図11に示すステップと共通するステップについては、同一のステップ番号を付し、それにより、文章による重複した説明を省略する。
【0342】
まず、ステップS1301において、前述のステップS1101に準じて、電子決済の実施を希望するユーザが、携帯端末90を第1のシステム10の管理サーバ40に接続する。
【0343】
具体的には、ユーザは、1または複数の第2のシステム140によってユーザに提供されたビジネス(有形の物品の販売、無形のサービスの提供など)の対価として料金を課金され、その料金を、その全体を1の第2のシステム110のみに対して、または、複数の料金部分(支払先別料金)に分けて、対応する複数の第2のシステム110のそれぞれに対して個別に電子決済によって支払うために、このマルチ電子決済システム1000を利用することになる。
【0344】
このステップS1301に関連し、図14には、1つの第2類型購入活動単位について複合支払料金を複数の支払先に包括的に電子決済するための複合支払料金用の電子決済リクエスト関連情報の一例が示されている。
【0345】
ここに、「複合支払料金」は、それぞれ互いに異なる複数の支払先に支払われる複数の個別料金の集まりとして構成され、それら個別料金は、第1のシステム10により、それぞれ対応する支払先に支払われる。少なくともその複合支払料金の合計額をユーザに携帯端末90を介して視覚的にまたは聴覚的に知らせてもよい。
【0346】
例えば、1人のユーザが、複数の交通機関(例えば、レンタル自転車または自動車、公共バス、地下鉄、鉄道、飛行機、タクシーなど)を乗り継いで出発地点Aから目標地点Bまで移動する際、通常であると、ユーザは、利用する交通機関ごとに、携帯端末90で直接、異なる管理サーバ140にアクセスして電子決済を行うことを要求される。
【0347】
これに対し、この変形例によれば、ユーザは、複数の交通機関を乗り継ぐにもかかわらず、携帯端末90で直接、同じ管理サーバ40(1つの第1のシステム10)に1回のみアクセスして電子決済を1回のみ行えばよくなる。
【0348】
その結果、この変形例によれば、ユーザが複数種類の個別料金から成る複合支払料金を包括的に(例えば、1回の電子決済リクエストで)電子決済することが可能となって、ユーザの操作上の負担および携帯端末90の通信負荷が軽減される。
【0349】
この変形例については、具体的には、例えば、ユーザが、出発地点Aにおいてある交通機関を利用する前に、目標地点Bまでの合計運賃を電子決済で前払いすると仮定される。
【0350】
この場合、携帯端末90は、電子決済リクエストと、交通機関ごとの複数の利用区間の集まり(複数の支払先および複数の支払項目の集まりに対応する)とを管理サーバ40に送信する。その後、その管理サーバ40は、各利用区間ごとに、複数の管理サーバ140のうち、その利用区間を管轄する交通機関によって運営されるものを順次選択し、その選択された管理サーバ140に、電子決済リクエストと、対応する利用区間(支払先と支払項目との双方によって特定される)に関する情報と、ユーザの電子決済情報(例えば、クレジットカード番号など)とを送信する。
【0351】
その結果、該当する各管理サーバ140は、該当する利用区間に見合う運賃を、該当する決済サーバ160を利用して電子決済する。
【0352】
ステップS1301の実行に応答し、管理サーバ40は、ステップS1131において、前記電子決済リクエスト関連情報を受信する。
【0353】
次に、管理サーバ40は、ステップS1302において、その受信した電子決済リクエスト関連情報のうち、特に、支払先に関する情報を参照することにより、今回のユーザに課金された料金の1または複数の支払先を判別する。図12に示す例については、1つの電子決済リクエストに対して1つの支払先が判別され、また、図14に示す例については、1つの電子決済リクエストに対して複数の支払先が判別される。
【0354】
続いて、管理サーバ40は、ステップS1303において、その受信した電子決済リクエスト関連情報に基づき、複数の第2のシステム140のうち、今回のユーザに課金された料金を電子決済するために管理サーバ40を接続すべき1または複数の第2のシステム140を選択する。
【0355】
例えば、前記電子決済リクエスト関連情報が、図12に例示するように、1つの支払先しか有しない場合には、複数の第2のシステム140のうち、同じ支払先に関連付けられるものを、電子決済のための1つの第2のシステム140として選択する。これに対し、前記電子決済リクエスト関連情報が、図14に例示するように、複数の支払先を有する場合には、複数の第2のシステム140のうち、同じ支払先に関連付けられるものを、電子決済のための複数の第2のシステム140として選択する。
【0356】
その後、管理サーバ40は、ステップS1304において、支払先ごとに、電子決済リクエストを、電子決済情報、ユーザ識別情報および料金関連情報と共に、選択された各第2のシステム110の管理サーバ140に送信する。
【0357】
これに対し、選択された各管理サーバ140は、ステップS1305において、対応する電子決済リクエスト関連情報を受信し、次に、各管理サーバ140は、ステップS1306において、その受信した電子決済リクエスト関連情報のうち、特に料金関連情報を参照することにより、ユーザが各管理サーバ140に電子決済すべき料金部分の金額を計算する。
【0358】
続いて、各管理サーバ140は、ステップS1307において、各管理サーバ140に対応する決済サーバ160に電子決済リクエスト関連情報、すなわち、互いに関連付けられた電子決済リクエスト、電子決済情報、ユーザ識別情報および料金計算結果(ステップS1306の実行結果など)を送信する。
【0359】
この変形例によれば、1つのイベント、サービスまたは物品が1人のユーザに提供されることに対する対価が、複数の支払先にそれぞれ対応する複数種類の料金を含む場合、ユーザは、携帯端末90で1回限り管理サーバ40にアクセスすれば、すべての支払先についてのすべての電子決済を完了させることが可能となり、ユーザの利便性が向上する。
【0360】
なお付言するに、図13に示す例においては、説明の便宜上、第1のシステム10における管理サーバ40が、前述の「決済ルート選択サーバ」の一例を構成し、また、複数の第2のシステム110における複数の管理サーバ140が、前述の「複数の管理サーバ」の一例を構成すると考えることが可能である。
【0361】
また付言するに、上述した複数の実施態様のいずれについても、コード読取り決済が電子決済として採用される場合には、決済サーバ160が、コード決済サービス提供者によって管理・運営される。これに対し、クレジットカード決済が電子決済として採用される場合には、決済サーバ160が、クレジットカード決済サービス提供者によって管理・運営される。
【0362】
コード読取り決済には、クレジットカード決済とは異なり、システム10,110への信用照会端末の設置が不要であるなどの理由で、システム10,110への導入コストが節減されるというメリットがある。よって、上述の技術によれば、システム10,110の管理者や運営者にとって有益である。
【0363】
以上、本発明の例示的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の概要]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14