(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】教示装置及び教示方法
(51)【国際特許分類】
B25J 9/22 20060101AFI20221213BHJP
G05B 19/42 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B25J9/22 Z
G05B19/42 D
(21)【出願番号】P 2019118865
(22)【出願日】2019-06-26
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】田邉 志功
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10166676(US,B1)
【文献】特開2016-047591(JP,A)
【文献】国際公開第2017/036520(WO,A1)
【文献】特開平11-231925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
G05B 19/42 - 19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットハンドが有するフィンガの先端に加えられた、把持方向と同一方向の押付力によるトルクを検出するトルクセンサと、
前記トルクセンサにより検出されたトルクから、前記ロボットハンドが有するフィンガの先端に加えられた押付力を算出する力算出部と、
ユーザからサーボロック指示を受付けるロック指示受付部と、
前記ロック指示受付部によりサーボロック指示を受付けたタイミングで、前記ロボットハンドをサーボロックするハンド制御部と、
ユーザから決定指示を受付ける決定指示受付部と、
前記ハンド制御部により前記ロボットハンドがサーボロックされた後に前記力算出部により算出された押付力のうち、前記決定指示受付部により決定指示が受付けられたタイミングでの押付力の値及び方向を、前記ロボットハンドに対して教示された把持力の値及び方向として登録する力登録部と
を備えた教示装置。
【請求項2】
前記力算出部により算出された押付力をリアルタイムに通知する通知部を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の教示装置。
【請求項3】
前記力算出部は、前記トルクセンサの検出値から初期値を差し引いた差分値及び取付け位置までのハンド長さに基づいて、前記ロボットハンドに加えられた押付力を算出する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の教示装置。
【請求項4】
ロボットハンドが有するフィンガの先端に加えられた、把持方向とは反対方向の押付力を検出する力センサと、
ユーザからサーボロック指示を受付けるロック指示受付部と、
前記ロック指示受付部によりサーボロック指示を受付けたタイミングで、前記ロボットハンドをサーボロックするハンド制御部と、
ユーザから決定指示を受付ける決定指示受付部と、
前記ハンド制御部により前記ロボットハンドがサーボロックされた後に前記力センサにより検出された押付力のうち、前記決定指示受付部により決定指示が受付けられたタイミングでの押付力の値及び逆方向を、前記ロボットハンドに対して教示された把持力の値及び方向として登録する力登録部と
を備えた教示装置。
【請求項5】
前記力センサにより検出された押付力をリアルタイムに通知する通知部を備えた
ことを特徴とする請求項4記載の教示装置。
【請求項6】
ロボットハンドが有するフィンガの先端に加えられた、把持方向と同一方向の押付力によるトルクを検出するトルクセンサを備えた教示装置による教示方法であって、
前記トルクセンサにより検出されたトルクから、前記ロボットハンドが有するフィンガの先端に加えられた押付力を算出する力算出ステップと、
ユーザからサーボロック指示を受付けるロック指示受付ステップと、
前記ロック指示受付ステップにおいてサーボロック指示を受付けたタイミングで、前記ロボットハンドをサーボロックするハンド制御ステップと、
ユーザから決定指示を受付ける決定指示受付ステップと、
前記ハンド制御ステップにおいて前記ロボットハンドをサーボロックした後に前記力算出ステップにおいて算出した押付力のうち、前記決定指示受付ステップにおいて決定指示を受付けたタイミングでの押付力の値及び方向を、前記ロボットハンドに対して教示された把持力の値及び方向として登録する力登録ステップとを有する
ことを特徴とする教示方法。
【請求項7】
ロボットハンドが有するフィンガの先端に加えられた、把持方向とは反対方向の押付力を検出する力センサを備えた教示装置による教示方法であって、
ユーザからサーボロック指示を受付けるロック指示受付ステップと、
前記ロック指示受付ステップにおいてサーボロック指示を受付けたタイミングで、前記ロボットハンドをサーボロックするハンド制御ステップと、
ユーザから決定指示を受付ける決定指示受付ステップと、
前記ハンド制御ステップにおいて前記ロボットハンドをサーボロックした後に前記力センサにより検出された押付力のうち、前記決定指示受付ステップにおいて決定指示を受付けたタイミングでの押付力の値及び逆方向を、前記ロボットハンドに対して教示された把持力の値及び方向として登録する力登録ステップとを有する
ことを特徴とする教示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロボットハンドに対して把持力をダイレクト教示するための教示装置及び教示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、教示装置は、ユーザによるロボットアームに対する位置及び姿勢のダイレクト教示を可能としている(例えば特許文献1,2参照)。一方、従来の教示装置では、ロボットハンドに対する把持力の教示については、ユーザによる教示ペンダントを用いた数値入力に応じ、把持力の値及び方向を設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平05-204441号公報
【文献】特開平05-250029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、従来の教示装置では、ロボットハンドに対する把持力の教示については、ユーザによる教示ペンダントを用いた数値入力を受付けている。しかしながら、この場合、ユーザは、事前に実験を行って、入力する数値を確認する必要がある。そのため、ロボットハンドに対する把持力の教示は、作業工数という観点では煩わしく、改善が求められている。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ロボットハンドに対して把持力のダイレクト教示が可能な教示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る教示装置は、ロボットハンドが有するフィンガの先端に加えられた、把持方向と同一方向の押付力によるトルクを検出するトルクセンサと、トルクセンサにより検出されたトルクから、ロボットハンドが有するフィンガの先端に加えられた押付力を算出する力算出部と、ユーザからサーボロック指示を受付けるロック指示受付部と、ロック指示受付部によりサーボロック指示を受付けたタイミングで、ロボットハンドをサーボロックするハンド制御部と、ユーザから決定指示を受付ける決定指示受付部と、ハンド制御部によりロボットハンドがサーボロックされた後に力算出部により算出された押付力のうち、決定指示受付部により決定指示が受付けられたタイミングでの押付力の値及び方向を、ロボットハンドに対して教示された把持力の値及び方向として登録する力登録部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、上記のように構成したので、ロボットハンドに対して把持力のダイレクト教示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る教示装置の構成例及び動作例を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係る教示装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態2に係る教示装置の構成例及び動作例を示す図である。
【
図4】実施の形態2に係る教示装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る教示装置の構成例及び動作例を示す図である。
教示装置は、ユーザがロボットハンド101に対して把持力のダイレクト教示を実施するための装置である。この教示装置は、把持力のダイレクト教示に関する機能の他に、開度のダイレクト教示に関する機能も有していてもよいが、開度のダイレクト教示に関する機能については従来と同様であるためその説明を省略する。この教示装置は、
図1に示すように、トルクセンサ11、力算出部12及び力教示部13を備えている。
【0010】
トルクセンサ11は、ロボットハンド101に取付けられ、ロボットハンド101が有するフィンガ102の先端に加えられた、把持方向と同一方向の押付力によるトルク(軸(1軸以上)回りのモーメント成分)を検出する検出センサである。トルクセンサ11は、ロボットハンド101におけるフィンガ102の関節部分又は根元部分に取付けられている。
【0011】
力算出部12は、トルクセンサ11により検出されたトルクから、ロボットハンド101が有するフィンガ102の先端に加えられた押付力を算出する。この際、力算出部12は、トルクセンサ11の検出値から初期値(ロボットハンド101に力が加えられていない状態での検出値)を差し引き、その差分値及び取付け位置までのハンド長さに基づいてロボットハンド101が有するフィンガ102の先端に加えられた押付力を算出する。
【0012】
力教示部13は、力算出部12により算出された押付力に基づいて、ロボットハンド101に対して教示された把持力を登録する。この力教示部13は、
図2に示すように、ロック指示受付部14、ハンド制御部15、通知部16、決定指示受付部17、力登録部18及び記録部19を有している。
【0013】
なお、力算出部12及び力教示部13は、システムLSI(Large Scale Integration)等の処理回路、又はメモリ等に記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等により実現される。
【0014】
ロック指示受付部14は、ユーザからサーボロック指示を受付ける。サーボロック指示は、ユーザがロボットハンド101をサーボロックする際に教示装置に対して入力する指示である。なお、ユーザは、例えばロボットハンド101が有する操作ボタン(不図示)又は教示ペンダント(不図示)が有する操作ボタン等を用いて、サーボロック指示の入力を行う。
【0015】
ハンド制御部15は、ロック指示受付部14によりサーボロック指示を受付けたタイミングで、ロボットハンド101をサーボロックする。
【0016】
通知部16は、力算出部12により算出された押付力をリアルタイムに通知する。この通知部16により通知された押付力を示す情報は、表示装置(不図示)に表示される。
なお、通知部16は、教示装置に必須の構成ではなく、教示装置に設けられていなくてもよい。例えば、ユーザが、把持力のダイレクト教示において、ロボットハンド101に加えられている押付力を確認しながら教示を行う必要が無い場合には、通知部16は不要である。
【0017】
決定指示受付部17は、ユーザから決定指示を受付ける。決定指示は、ユーザが、把持力のダイレクト教示を実施している最中に、ロボットハンド101に対して教示する把持力を決定する際に教示装置に対して入力する指示である。なお、ユーザは、例えばロボットハンド101が有する操作ボタン又は教示ペンダントが有する操作ボタン等を用いて、決定指示の入力を行う。
【0018】
力登録部18は、ハンド制御部15によりロボットハンド101がサーボロックされた後に力算出部12により算出された押付力のうち、決定指示受付部17により決定指示が受付けられたタイミングでの押付力の値及び方向を、ロボットハンド101に対して教示された把持力の値及び方向として記録部19に登録する。
【0019】
なお、記録部19は、HDD(Hard Disk Drive)、DVD(Digital Versatile Disc)又はメモリ等によって構成される。
また
図2では、記録部19が教示装置の内部に設けられた場合を示しているが、これに限らず、記録部19は教示装置の外部に設けられていてもよい。
【0020】
また、教示装置は、把持力のダイレクト教示を、開度のダイレクト教示とは別に実施するものとしてもよいし、開度のダイレクト教示と同時に実施するものとしてもよい。
【0021】
次に、
図1,2に示す教示装置を用いた把持力のダイレクト教示の一例について説明する。以下では、
図1に示すように、ロボットハンド101が物体(不図示)を把持する際の把持力を教示する場合を示す。
ここで、ユーザがロボットハンド101に対して開度をダイレクト教示する場合、開度はユーザにとって視覚的に捉え易く開度の再現は容易である。これに対し、ユーザがロボットハンド101に対して把持力をダイレクト教示しようとする場合には、把持力はユーザにとって視覚的に捉え難く把持力の再現は難しい。そこで、実施の形態1に係る教示装置では、ロボットハンド101に加えられた押付力によるトルクを検出可能なトルクセンサ11を用いることで、把持力のダイレクト教示を実現する。
一方、ロボットハンド101を自由に動かせる状態でユーザがロボットハンド101を物体に押付けると、この押付力が物体からの反発力で相殺されてしまうため、トルクセンサ11はトルクを検出できない。そのため、この状態ではロボットハンド101に対する把持力のダイレクト教示は実施できない。そこで、実施の形態1に係る教示装置では、ロボットハンド101が物体から離れた状態でサーボロック状態(静止状態)とする。これにより、この状態でユーザがロボットハンド101に押付力を加えると、ロボットハンド101には押付力のみが加えられた状態となり、トルクセンサ11はこの押付力によるトルクを検出可能となる。
【0022】
把持力のダイレクト教示では、ユーザは、まず、サーボロック指示を教示装置に入力する。
次いで、ハンド制御部15は、ロボットハンド101をサーボロックする。
【0023】
次いで、ユーザは、ロボットハンド101が有するフィンガ102の先端を手で押付ける。この際、トルクセンサ11はロボットハンド101が有するフィンガ102の先端に加えられた押付力によるトルクを算出し、力算出部12はこのトルクから当該押付力を算出する。
図1において、符号501に示す矢印はユーザにより加えられた押付力を示している。
【0024】
また、通知部16は力算出部12により算出された押付力をリアルタイムに通知し、表示装置はその押付力を示す情報を表示する。これにより、ユーザは、フィンガ102に加えられた押付力をモニタしながらフィンガ102に加える押付力を調整することもできる。
【0025】
次いで、ユーザは、フィンガ102から自身の指に感じる押付力から最適な把持状態と判断した場合に、決定指示を教示装置に入力する。
【0026】
次いで、力登録部18は、決定指示が入力されたタイミングでの押付力の値及び方向を、ロボットハンド101に対して教示された把持力の値及び方向として記録部19に登録する。
以上の動作により、ユーザは、ロボットハンド101に対して把持力を教示できる。
【0027】
以上のように、この実施の形態1によれば、教示装置は、ロボットハンド101が有するフィンガ102の先端に加えられた、把持方向と同一方向の押付力によるトルクを検出するトルクセンサ11と、トルクセンサ11により検出されたトルクから、ロボットハンド101が有するフィンガ102の先端に加えられた押付力を算出する力算出部12と、ユーザからサーボロック指示を受付けるロック指示受付部14と、ロック指示受付部14によりサーボロック指示を受付けたタイミングで、ロボットハンド101をサーボロックするハンド制御部15と、ユーザから決定指示を受付ける決定指示受付部17と、ハンド制御部15によりロボットハンド101がサーボロックされた後に力算出部12により算出された押付力のうち、決定指示受付部17により決定指示が受付けられたタイミングでの押付力の値及び方向を、ロボットハンド101に対して教示された把持力の値及び方向として登録する力登録部18とを備えた。これにより、実施の形態1に係る教示装置は、ロボットハンド101に対して把持力のダイレクト教示が可能となる。
【0028】
実施の形態2.
実施の形態1に係る教示装置では、ロボットハンド101に加えられた、把持方向と同一方向の押付力によるトルクを検出するトルクセンサ11を用いた場合を示した。それに対し、実施の形態2に係る教示装置では、ロボットハンド101に加えられた、把持方向とは反対方向の押付力を検出する力センサ21を用いた場合を示す。
【0029】
図3は実施の形態2に係る教示装置の構成例及び動作例を示す図である。
教示装置は、ユーザがロボットハンド101に対して把持力のダイレクト教示を実施するための装置である。この教示装置は、把持力のダイレクト教示に関する機能の他に、開度のダイレクト教示に関する機能も有していてもよいが、開度のダイレクト教示に関する機能については従来と同様であるためその説明を省略する。この教示装置は、
図3に示すように、力センサ21及び力教示部22を備えている。
【0030】
力センサ21は、ロボットハンド101に取付けられ、ロボットハンド101が有するフィンガ102の先端に加えられた、把持方向とは反対方向の押付力を検出するセンサである。力センサ21としては、一軸以上の方向の力成分を検出する力センサ等が用いられる。
図3では、力センサ21は、ロボットハンド101が有するフィンガ102の先端部分に取付けられている。しかしながら、これに限らず、力センサ21は、フィンガ102の先端に加えられた押付力を検出可能な箇所に取付けられていればよい。
【0031】
力教示部22は、力センサ21により検出された押付力に基づいて、ロボットハンド101に対して教示された把持力を登録する。この力教示部22は、
図4に示すように、ロック指示受付部23、ハンド制御部24、通知部25、決定指示受付部26、力登録部27及び記録部28を有している。なお、力教示部22は、システムLSI等の処理回路、又はメモリ等に記憶されたプログラムを実行するCPU等により実現される。
【0032】
ロック指示受付部23は、ユーザからサーボロック指示を受付ける。サーボロック指示は、ユーザがロボットハンド101をサーボロックする際に教示装置に対して入力する指示である。なお、ユーザは、例えばロボットハンド101が有する操作ボタン又は教示ペンダントが有する操作ボタン等を用いて、サーボロック指示の入力を行う。
【0033】
ハンド制御部24は、ロック指示受付部23によりサーボロック指示を受付けたタイミングで、ロボットハンド101をサーボロックする。
【0034】
通知部25は、力センサ21により検出された押付力をリアルタイムに通知する。この通知部25により通知された押付力を示す情報は、表示装置に表示される。
なお、通知部25は、教示装置に必須の構成ではなく、教示装置に設けられていなくてもよい。例えば、ユーザが、把持力のダイレクト教示において、ロボットハンド101に加えられている押付力を確認しながら教示を行う必要が無い場合には、通知部25は不要である。
【0035】
決定指示受付部26は、ユーザから決定指示を受付ける。決定指示は、ユーザが、把持力のダイレクト教示を実施している最中に、ロボットハンド101に対して教示する把持力を決定する際に教示装置に対して入力する指示である。なお、ユーザは、例えばロボットハンド101が有する操作ボタン又は教示ペンダントが有する操作ボタン等を用いて、決定指示の入力を行う。
【0036】
力登録部27は、ハンド制御部24によりロボットハンド101がサーボロックされた後に力センサ21により検出された押付力のうち、決定指示受付部26により決定指示が受付けられたタイミングでの押付力の値及び逆方向を、ロボットハンド101に対して教示された把持力の値及び方向として記録部28に登録する。
【0037】
なお、記録部28は、HDD、DVD又はメモリ等によって構成される。
また
図4では、記録部28が教示装置の内部に設けられた場合を示しているが、これに限らず、記録部28は教示装置の外部に設けられていてもよい。
【0038】
次に、
図3,4に示す教示装置を用いた把持力のダイレクト教示の一例について説明する。以下では、
図3に示すように、ロボットハンド101が物体を把持する際の把持力を教示する場合を示す。
ここで、ユーザがロボットハンド101に対して開度をダイレクト教示する場合、開度はユーザにとって視覚的に捉え易く開度の再現は容易である。これに対し、ユーザがロボットハンド101に対して把持力をダイレクト教示しようとする場合には、把持力はユーザにとって視覚的に捉え難く把持力の再現は難しい。そこで、実施の形態2に係る教示装置では、ロボットハンド101に加えられた押付力を検出可能な力センサ21を用いることで、把持力のダイレクト教示を実現する。
【0039】
把持力のダイレクト教示では、ユーザは、まず、サーボロック指示を教示装置に入力する。
次いで、ハンド制御部24は、ロボットハンド101をサーボロックする。
【0040】
次いで、ユーザは、ロボットハンド101が有するフィンガ102の先端を手で押付ける。この際、力センサ21は、この押付力を検出する。
図3において、符号502に示す矢印はユーザにより加えられた押付力を示している。
【0041】
また、通知部25は力センサ21により検出された押付力をリアルタイムに通知し、表示装置はその押付力を示す情報を表示する。これにより、ユーザは、フィンガ102に加えられた押付力をモニタしながらフィンガ102に加える押付力を調整することもできる。
【0042】
次いで、ユーザは、フィンガ102から自身の指に感じる押付力から最適な把持状態と判断した場合に、決定指示を教示装置に入力する。
【0043】
次いで、力登録部27は、決定指示が入力されたタイミングでの押付力の値及び逆方向を、ロボットハンド101に対して教示された把持力の値及び方向として記録部28に登録する。
以上の動作により、ユーザは、ロボットハンド101に対して把持力を教示できる。
【0044】
以上のように、この実施の形態2によれば、教示装置は、ロボットハンド101が有するフィンガ102の先端に加えられた、把持方向とは反対方向の押付力を検出する力センサ21と、ユーザからサーボロック指示を受付けるロック指示受付部23と、ロック指示受付部23によりサーボロック指示を受付けたタイミングで、ロボットハンド101をサーボロックするハンド制御部24と、ユーザから決定指示を受付ける決定指示受付部26と、ハンド制御部24によりロボットハンド101がサーボロックされた後に力センサ21により検出された押付力のうち、決定指示受付部26により決定指示が受付けられたタイミングでの押付力の値及び逆方向を、ロボットハンド101に対して教示された把持力の値及び方向として登録する力登録部27とを備えた。これにより、実施の形態2に係る教示装置は、ロボットハンド101に対して把持力のダイレクト教示が可能となる。
【0045】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組合わせ、或いは各実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0046】
11 トルクセンサ
12 力算出部
13 力教示部
14 ロック指示受付部
15 ハンド制御部
16 通知部
17 決定指示受付部
18 力登録部
19 記録部
21 力センサ
22 力教示部
23 ロック指示受付部
24 ハンド制御部
25 通知部
26 決定指示受付部
27 力登録部
28 記録部
101 ロボットハンド
102 フィンガ