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特許7193209旋削加工機およびワークピースの旋削方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】旋削加工機およびワークピースの旋削方法
(51)【国際特許分類】
   B23B 3/16 20060101AFI20221213BHJP
   B23B 9/04 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B23B3/16 Z
B23B9/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019528102
(86)(22)【出願日】2017-11-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 IB2017057281
(87)【国際公開番号】W WO2018096444
(87)【国際公開日】2018-05-31
【審査請求日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】102016122746.3
(32)【優先日】2016-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519144831
【氏名又は名称】エンジンガー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ナス, フレッド
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-118163(JP,A)
【文献】特開2003-071605(JP,A)
【文献】国際公開第01/053024(WO,A1)
【文献】米国特許第06810777(US,B1)
【文献】特開平01-103202(JP,A)
【文献】特開平05-285702(JP,A)
【文献】実開昭58-098103(JP,U)
【文献】特開平02-298403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 3/16
B23B 3/00
B23B 3/30
B23B 3/32
B23B 9/02-06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋削加工機(1)において、
旋削されるべき第1半製品(8)を把持して回転させる為の回転に設定できる第1スピンドル(2)と、
前記第1スピンドル(2)の反対側にあり、旋削されるべき第2半製品(9)を把持して回転させる為の回転に設定できる第2スピンドル(3)と、
を備え、
前記第1スピンドル(2)は、第1バー装填マガジン(4)に関連付けられ、前記第1バー装填マガジン(4)は、前記スピンドル(2,3)の間に配置された機械加工領域(10)に、前記第1スピンドル(2)の第1開口部(6)を通って前記第1半製品(8)を搬送するように構成され、
前記第2スピンドル(3)は第2バー装填マガジン(5)に関連付けられ、前記第2バー装填マガジン(5)は、前記第2スピンドル(3)の第2開口部(7)を通って前記機械加工領域(10)に前記第2半製品(9)を搬送するように構成され、
少なくとも一つの工具リボルバ(15-18)が、機械加工されるべき前記第1半製品(8)および/または機械加工されるべき前記第2半製品(9)を機械加工する為に、少なくとも一つの工具(35-42)を受けるように前記機械加工領域(10)内部に配置され、
前記少なくとも一つの工具リボルバ(15-18)は、第3スピンドル(45,46)を有し、前記第3スピンドル(45,46)は、機械加工されるべき前記第1半製品(8)および/または機械加工されるべき前記第2半製品(9)を受けて回転させる為の回転に設定可能であり、
前記機械加工領域(10)内部に4つの工具リボルバ(15-18)が配置され、
各々がスピンドル(45,46)を有する2つの工具リボルバ(15,18)であって、前記スピンドル(45,46)は、回転の為に設定可能であり、前記2つの工具リボルバ(15,18)は、各々が、機械加工されるべき前記半製品(8または9)の一つを一斉に受けて回転させるように構成され、
前記他の二つの工具リボルバ(16,17)は、一斉に回転する半製品(8,9)を一斉に機械加工するように構成される、
旋削加工機。
【請求項2】
前記第1スピンドル(2)および前記第2スピンドル(3)は、同一部品であり、互いに対称に配置される、請求項1に記載の旋削加工機。
【請求項3】
前記旋削加工機は、少なくとも一つのロボットを備え、
前記少なくとも一つのロボットは、前記第1半製品(8)の少なくとも部品を前記第1スピンドル(2)から前記第2スピンドル(3)に変位させるため、更に/又は、前記第2半製品(9)の少なくとも部品を前記第2スピンドル(3)から前記第1スピンドル(2)に変位させるように構成される、請求項1または2に記載の旋削加工機。
【請求項4】
前記第1バー装填マガジン(4)は、前記第1スピンドル(2)から前記工具リボルバ(15)の前記スピンドル(45)の一方に、前記第1半製品(8)を移送するように構成され、
前記第2バー装填マガジン(5)は、前記第2スピンドル(3)から前記工具リボルバ(18)の前記スピンドル(46)の他方に、前記第2半製品(9)を移送するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の旋削加工機。
【請求項5】
前記旋削加工機は、CNC型旋削加工機である、請求項1~4のいずれか一項に記載の旋削加工機。
【請求項6】
旋削加工機(1)において第1半製品(8)および第2半製品(9)を旋削することによって、部分的に機械加工された第1ワークピースおよび部分的に機械加工された第2ワークピースを生産する方法であって、
請求項1~5のいずれか一項に記載の旋削加工機(1)を準備するステップと、
所定の工程によって、部分的に機械加工された第1ワークピースを生産するステップであって、前記所定の工程は、
前記スピンドル(2,3)の間に位置する前記機械加工領域(10)に前記旋削加工機(1)の前記第1スピンドル(2)の前記第1開口部(6)を通って、前記第1半製品(8)を搬送する工程、
前記第1スピンドル(2)内で前記第1半製品(8)を把持する工程、
前記第1スピンドル(2)によって前記第1半製品(8)を回転させる工程、
前記機械加工領域(10)内部で前記旋削加工機(1)の第1機械加工用工具(35または39)によって前記第1半製品(8)の開始区域(11)を旋削する工程を含む、前記ステップと、
所定の工程によって部分的に機械加工された前記第2ワークピースを生産するステップであって、前記所定の工程は、
前記旋削加工機(1)の前記第2スピンドル(3)の前記第2開口部(7)を通して前記第2半製品(9)を前記機械加工領域(10)に搬送する工程、
前記第2スピンドル(3)内で前記第2半製品(9)を把持する工程、
前記第2スピンドル(3)によって前記第2半製品を回転させる工程、
前記機械加工領域(10)内部で前記旋削加工機(1)の第2機械加工用工具(38または42)によって前記第2半製品(9)の開始区域(12)を旋削する工程を含む、前記ステップと、
を有し、
部分的に機械加工された前記第1ワークピースおよび部分的に機械加工された前記第2ワークピースが一斉に生産され、
部分的に機械加工された前記第1ワークピースから仕上げられる第1ワークピースの生産が、
前記第1半製品(8)の旋削に続いて、前記第1スピンドル(2)内で前記第1半製品(8)の把持を解放する工程、
前記工具リボルバ(15)の前記スピンドル(45)の一つの中で、前記第1半製品(8)の、先に機械加工された開始域(11)を把持する工程、
前記第1半製品(8)から、部分的に機械加工された前記第1ワークピースを分離する工程、
このスピンドル(45)によって、部分的に機械加工された前記第1ワークピースを回転させる工程、
前記機械加工領域(10)の内部で、前記工具リボルバ(17)の前記機械加工用工具(40)の一つによって、部分的に機械加工された前記第1ワークピースの、まだ機械加工されていない開始域(11’)を旋削する工程を含み、
部分的に機械加工された前記第2ワークピースから仕上げられる第2ワークピースの生産が、
前記第2半製品(9)の旋削に続いて、前記第2スピンドル(3)内で前記第2半製品(9)の把持を解放する工程、
前記工具リボルバ(18)の他のスピンドル(46)の一つの中で、前記第2半製品(9)の、先に機械加工された開始域(12)を把持する工程、
前記第2半製品(9)から、部分的に機械加工された前記第2ワークピースを分離する工程、
この他のスピンドル(46)によって、部分的に処理された前記第2ワークピースを回転させる工程、
前記機械加工領域(10)の内部で、前記工具リボルバ(18)の更なる機械加工用工具(37)によって、部分的に機械加工された前記第2ワークピースの、まだ機械加工されていない開始域(12’)を旋削する工程を含む、
方法。
【請求項7】
旋削加工機(1)内で半製品(8)を旋削することによってワークピースを生産する方法において、
請求項1~5のいずれか一項に記載の旋削加工機(1)を準備するステップと、
所定の工程によって、前記半製品(8)の第1端面の開始区域(11)を機械加工することによって、部分的に機械加工されたワークピース(50)を生産するステップであって、前記所定の工程は、
前記旋削加工機(1)の前記第1スピンドル(2)の前記第1開口部(6)を通して、前記スピンドル(2,3)の間に位置する前記機械加工領域(10)に前記半製品(8)を搬送する工程、
前記第1スピンドル(2)内で前記半製品(8)を把持する工程、
前記第1スピンドル(2)によって前記半製品(8)を回転させる工程、
前記機械加工領域(10)内部で前記旋削加工機(1)の第1機械加工用工具(35または39)によって前記半製品(8)の前記開始区域(11)を旋削する工程を含む、前記ステップと、
所定の工程によって、部分的に機械加工されたワークピース(50)から仕上げられるワークピースを生産するステップであって、前記所定の工程は、
前記第2スピンドル(3)によって前記半製品(8)の、旋削された開始区域(11)を把持する工程、および、
前記半製品(8)から、部分的に機械加工されたワークピース(50)を分離する工程、
を含む、前記ステップと、
所定の工程によって前記開始区域(11)から離れた部分的に機械加工されたワークピース(50)の終了区域(51)を機械加工するステップであって、前記所定の工程は、
前記第2スピンドル(3)内で、部分的に機械加工されたワークピース(50)を把持する工程、
前記第2スピンドル(3)によって、部分的に機械加工されたワークピース(50)を回転させる工程、
前記機械加工領域(10)内部で前記旋削加工機(1)の第2機械加工用工具(38または42)によって、部分的に機械加工されたワークピース(50)の前記終了区域(51)を旋削する工程であって、それによって、部分的に機械加工されたワークピースが、仕上げられたワークピースに形成される前記工程
を含む、前記ステップと、
前記第2スピンドル(3)から前記仕上げられたワークピースを排出するステップと、
を有する、方法。
【請求項8】
前記半製品(8)から部分的に機械加工されたワークピース(50)を分離した後、まだ機械加工されていない半製品(8)を前記機械加工領域(10)に進めるステップと、
部分的に機械加工されたワークピース(50)の前記終了区域(51)の機械加工中、進められた前記半製品(8)の第1端面の開始区域(11)を機械加工することによって、部分的に機械加工されたワークピース(50)の生産から、請求項7に記載の方法のステップを再度実行するステップと、
を更に有する、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、第1スピンドルおよび第2スピンドルを備えた旋削加工機、特に、CNC型旋削加工機に関する。また、本発明は、前述した旋削加工機内でワークピースを旋削する為の方法に関する。
【0002】
【技術背景】
【0003】
全機能を備えた主要なスピンドルに加えて、高精度部品を製造する為の従来の旋削加工機は、限定された機能を備えた副スピンドル(副スピンドルは、一般的に、独自のバーローダを持つ完全なスピンドルではない)を有する。また、旋削加工機は、一つ又は複数の工具リボルバを装着可能である。しかしながら、これらの旋削加工機は、単位時間当たり1個(one piece)しか機械加工しない。一定のワークピースまたは半製品(semi-finished products)を機械加工するとき、費用の高いシステムコンポーネントが効率良くまたは全く使用できず、或いは、機械加工は、とりわけ、処理加工機の交換も含めて多くのステップで行われなければならない。特に、主要スピンドルおよびカウンタスピンドルを備えたCNC型旋削加工機が知られており、どのようにCNC型旋削加工機が装備されているに依存するが、複数の工具リボルバ(一般に1つから3つの工具リボルバが可能)が機械加工領域内に位置する。機械加工用工具を備えた工具ホルダは、これらの工具リボルバに挿入され、それによって、ワークピースが主要スピンドルおよび/または副スピンドルのクランプ装置(コレット、三爪チャック)にクランプされる。
【0004】
主要スピンドルは、CNC型旋削加工機の左側に一般的に位置する。主要スピンドルは、内部が中空であり、そのため、機械の左側に同様に位置されるバー装填マガジンは、機械加工領域に機械可能用の棒状材料を導入する為に使用可能である。棒状材料は、一般的に第1スピンドルのコレットによってクランプされ、棒状材料の第1側部が、第1スピンドルの回転で機械加工される。送られた棒状材料の第1側部が仕上げ状態にまで機械加工されたら、棒状材料は、カウンタスピンドルによって自動的に引き継ぐことが可能であり、副スピンドルのクランプ装置内でクランプ可能である。しかしながら、機械加工される材料の直径が主要スピンドルの「クリア幅(clear width)」より大きい場合、これらの部品は、手作業によって、あるいは、ロボットによって、主要スピンドルおよび/または副スピンドルのクランプ装置に挿入されなければならない。この場合、仕上げられた部品は、手作業またはロボットによって、再び、除去されなければならない。引継ぎおよびクランピングに続き、旋削された部品を、送られた棒状材料から切断チゼルによって切り取ることができ、その後、旋削された部品の第2側部を、第2スピンドルの回転を用いて、更に機械加工または仕上げることができる。仕上げられた旋削済み部品は、一般的に、小さなコンベヤベルトによって、CNC型旋削加工機の機械加工領域から運び去られる。
【0005】
本発明は、ワークピースまたは半製品の、特に効率の良い機械加工を可能にする導入部で説明された種類の旋削加工機およびその方法を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0006】
上記目的は、独立形式請求項の対象によって達成される。有利な実施形態は、従属形式請求項、以下の説明、図面の一部である。
【0007】
本発明の第1態様によると、旋削加工機、特に、CNC型旋削加工機またはNC型旋削加工機が提供される。旋削加工機は、第1スピンドルと第2スピンドルとを備え、第1スピンドルは、旋削される第1半製品を把持して回転させる為に回転させることができ、第2スピンドルは、第1スピンドルに対向し、旋削される第2半製品を把持して回転させる為に回転させることができる。第1スピンドルは、第1装填マガジンまたは第1バーフィードに関連付けられており、第1装填マガジンまたは第1バーフィードは、第1スピンドルの第1開口部を通って、スピンドル間に位置する機械加工領域に第1半製品を搬送させるように構成されている。第2スピンドルは、第2バー装填マガジンまたは第2バーフィードに関連付けられており、第2バー装填マガジンまたは第2バーフィードは、第2スピンドルの第2開口部を通って、機械加工領域に第2半製品を搬送させるように構成されている。第1スピンドルおよび第2スピンドルは、共通の回転軸を中心として回転できるのが好ましい。さらに、2つのスピンドルのうち少なくとも一つは、その共通の回転軸に沿って移動可能であり、それによって、スピンドル間の距離を変更できるのが好ましい。
【0008】
ここで、バー装填マガジンまたはバーフィードは、様々な形状の棒材(例えば、円形、四角形、六角形の材料)形式の半製品が旋削加工機、特にCNC型旋削加工機、あるいは、スピンドルの開口部を経てスピンドルに、手動または好ましくは完全自動で送られる装置である。この状況において、用語「関連付けられた」とは、第1バー装填マガジンが第1スピンドルの同じ側に位置し、第1バー装填マガジンの放出開口部が第1スピンドルの開口部に接続され、第2バー装填マガジンが第2スピンドルの同じ側に位置し、第2バー装填マガジンの放出開口部が第2スピンドルの開口部に接続されていることを意味するように、特に理解し得る。機械加工用工具は、特に、旋削加工機の工具リボルバ上に配置可能であり、これを、たとえば、機械加工領域内部で旋回、変位させることができる。
【0009】
2つのスピンドルは、特に、同一機能、寸法および/または同一出力を有することができる。そのため、本発明による旋削加工機は、「限定された」(主要スピンドルと比べて低い出力および低機能を持つ)カウンタスピンドルの代わりに、完全な第2(「主要」)スピンドルを備え、前記第2スピンドルと同じ側に第2バー装填マガジンが位置する。言い換えると、従来技術から知られた副スピンドルの代わりに完全な主要スピンドルが設けられ、第2バー装填マガジンの設置により、より経済的かつより用途の広い方法で旋削加工機を使用することができる。
【0010】
そのため、本発明による旋削加工機は、同時に、むしろ、2つの単一の旋削済み部品を一斉に生産する為に使用することができ、単一の旋削済み部品の各々を、一つのスピンドルにクランプすることができ、それによって回転させ、機械加工領域内部の機械加工用工具による旋削によって機械加工することができる。そのため、単一の旋削済み部品を同時に製造することが可能であり、それによって、単位時間当たりに製造されるワークピースの数を増加、特に、二倍に増加させることができ、旋削加工機を特に効率的に使用できる。2つの単一旋削済み部品は、同一でも異なってもよい。本発明による旋削加工機は、たとえば、「設置面積当たりのワークピース」または「機械当たりのワークピース」という測定量に関し、結果として、利用度を向上させる。
【0011】
また、本発明による旋削加工機は、複雑な旋削済み部品の同時生産に適し、複雑な第1旋削済み部品を両方のスピンドルおよび/または回転可能なピックアップ装置にうまくクランプし、それによって回転させ、機械加工領域内部の機械加工用工具による旋削によって機械加工できる。同時に、複雑な第2旋削済み部品も他のスピンドルおよび/または利用可能な回転可能なピックアップ装置にうまくクランプし、それによって回転させ、機械加工領域内部の機械加工用工具による旋削によって機械加工できる。この実用的な例では、複雑な旋削済み部品を同時に製造することも可能であり、それによって、単位時間当たりに製造されるワークピースの数を増加させることができ、旋削加工機を特に効率良く使用することができる。2つの複雑な旋削済み部品は、同一でも異なる旋削済み部品でもよい。
【0012】
実施形態によると、第1スピンドルおよび第2スピンドルは同一部品であり、互いに対称的に配置され、それによって、旋削加工機の設計が単純化される。
【0013】
さらに、旋削加工機は、少なくとも一つのロボットを備えることができ、このロボットは、第1半製品の少なくとも部品を第1スピンドルの区域から第2スピンドルに変位または移送、および/または、第2半製品の少なくとも部品を第2スピンドルの区域から第1スピンドルに変位または移送するように構成される。特に、このロボットは、それぞれの場合に、半製品の開始区域が予め機械加工され、切削チゼルによって切り取られると、それらのスピンドルの対応した区域から半製品を除去することができる。また、除去は、ピックアップシステムおよび工具リボルバによっても実行することができるが、多くの場合、ロボットによるよりも迅速に行うことができる。この場合、半製品の開始区域もまた、空いている別の工具リボルバの切断チゼルによって切り離される。切断処理、切り離しの結果、半製品の、先に機械加工された部分は、もはや第1スピンドル内になく、その直近の周囲、したがって、当該スピンドルの「区域内」にある。それにも拘わらず、ロボットも、第1スピンドルから第2スピンドルに、または、第2スピンドルから第1スピンドルに、直接、半製品を変位するように構成可能である。ロボットは、機械加工領域内部で、三次元的に回転および変位可能に構成され、これらの動きは、特に、全自動的に行うことができる。
【0014】
ロボットは、特に、第1半製品を第2スピンドルに、第2半製品を第1スピンドルに搬送でき、各々の場合、まだ機械加工されていない半製品の終了区域は、機械加工領域へと突出し、旋削による機械加工の為に利用可能である。ロボットを使用する結果、ワークピースの開始区域および終了区域は、各々の場合、2つのスピンドル内部に交互に配置、機械加工することができる。特に、2つのロボットを設けることができ、第1ロボットが第1半製品を第1スピンドルの区域から第2スピンドルに変位させる為に構成され、第2ロボットが第2半製品を第2スピンドルの区域から第1スピンドルに変位させる為に構成される。2つのロボットを使用する結果、互いに反対側を向く半製品またはワークピースの2つの側部を同時にまたは少なくとも時間的に重なるように機械加工することが可能である。特に、第1スピンドルから第2スピンドルに、更に第2スピンドルから第1スピンドルにワークピースを効率良く交換することが、前述したように、ロボットおよび少なくも一つの可動スピンドルによって行うことができる。さらに、第1および/または第2スピンドルは、水平および垂直方向に移動するように構成可能であり、第1および/または第2スピンドルは、ロボットの助けを借りなくても、他方のスピンドルの方向に移動可能であり、そのスピンドルから、先に機械加工された半製品を除去することができる。
【0015】
更なる実施形態によると、機械加工されるべき第1半製品および/または機械加工されるべき第2半製品または部分的に仕上げられたワークピースを機械加工する為に少なくとも一つの工具を受ける少なくとも一つの工具リボルバが、機械加工領域内部に配置され、そこで、少なくとも一つの工具リボルバは、第3スピンドルを有し、この第3スピンドルが、機械加工されるべき第1半製品または機械加工されるべき第2半製品を受けて回転させるように(前述したピックアップ装置の向きで)回転可能である。この第3スピンドルによって、追加の半製品を機械加工すること、あるいは、先の半製品を更に機械加工することが可能である。さらに、本発明による旋削加工機の代替構成によると、先に説明された実施形態による工具リボルバも、その第3スピンドルによって、第2スピンドルの第1スピンドルを交換することができ、とりわけ、機械加工領域は、第1/第2スピンドルおよび第3スピンドルの間に位置し、バー装填マガジンの一つが、第3スピンドルに関連付けられ、第3スピンドルの開口部を通して半製品を機械加工領域に搬送するように構成可能である。
【0016】
さらに、4つの工具リボルバが機械加工領域内部に配置可能であり、2つの工具リボルバは、各々が、回転可能なスピンドル(ピックアップ装置)を有し、これらは、各々が、一斉に、機械加工されるべき半製品の一つを受けて回転させ、他の2つの工具リボルバは、一斉に回転する半製品を一斉に機械加工するように構成されている。言い換えると、2つの工具リボルバは、スピンドルを有し、2つの工具リボルバは、何もスピンドルを持たなくてもよい。そのため、回転可能なピックアップ装置を備えた工具リボルバは、前述した第3スピンドルのうちの一つに対応する。この実施形態は、いったん、各々の場合に半製品の開始区域が予め機械加工されると、それらのスピンドルから半製品が除去されることを可能にする。その後、半製品は、工具リボルバの各スピンドルに一つずつ導入、そこでクランプ、回転が可能であり、各々の場合、いったん既に機械加工された開始区域が切り取られると、半製品の、まだ機械加工されていない最終区域が、スピンドルを持たない工具リボルが上に配置される工具によって機械加工する。この種類の第1半製品および第2半製品の機械加工中、更なる半製品が、2つのバー装填マガジンによって第1スピンドルおよび第2スピンドルに既に搬送され、それによって、生産効率が更に高められる。
【0017】
この点で、前述したように水平および垂直方向に移動可能な少なくとも一つのスピンドルを備え得る、設けられたロボットは、工具リボルバの複数のスピンドルのうちの一方に第1スピンドルの区域から第1半製品を変位させ、工具リボルバの複数のスピンドルのうち他方に第2スピンドルの区域から第2半製品を変位させるように構成可能である。ロボットまたは複数のロボットによる前述した変位は、特に、いったん、半製品の先に機械加工された開始区域が切り取られると、更に前述したように行うことができる。
【0018】
あるいは、第1バー装填マガジンは、工具リボルバの複数のスピンドルのうちの一方に第1スピンドルから第1半製品を移送するように構成可能であり、第2バー装填マガジンは、工具リボルバの複数のスピンドルのうちの他方に第2スピンドルから第2半製品を移送するように構成される。この移送は、その後、ロボットの助けを借りることなく行われ、その後、半製品は、工具リボルバのピックアップ装置によって一般的に受け取られる。
【0019】
この点で、クランプ装置または、工具リボルバの対応するスピンドルのクランプ装置の半製品の為の挿入開口部が、各々の場合に、バー装填マガジンの送り方向に位置し、特に、これが、スピンドルを備えた2つの工具リボルバの回転および/または変位によって可能にされる場合、特に有利である。この実施形態において、半製品が工具リボルバのスピンドル内にクランプされ、回転されたとき、バー装填マガジンによって工具リボルバのピックアップ装置またはスピンドルに半製品を変位した後、半製品の先に機械加工された開始区域を切り取ることができる。この実施形態では、手作業またはロボットによって半製品を変位させることを省略することができ、それによって、ワークピースの生産処理は、更に自動化され、単純化され、旋削加工機の生産コストは、高価なロボットを不要にすることで削減できる。
【0020】
前述した旋削加工機、特に、第2(主要)スピンドルおよび第2バー装填マガジンによるもの、特に、CNC旋削加工機のインテリジェント制御と同調するものは、高精度部品の生産において、工具の新たな機能性を可能にし、それによって、経済的実行可能性は大幅に向上し得る。そのため、生産効率を、著しく向上させることができ、特に、製品の構成要素の固定および変動生産原価に反映させることができる。
【0021】
本発明の第2態様によると、部分的に機械加工された第1ワークピースおよび部分的に機械加工された第2ワークピースを、旋削加工機における第1半製品の旋削および第2半製品の旋削によって生産する為の方法が提供される。この方法は、本発明の第1態様と共に前述された旋削加工機、好ましくは、CNC型旋削加工機の設置から始まる。
【0022】
一面だけ、したがって、部分的に機械加工された第1ワークピースは、所定のステップによって生産されるが、所定のステップは、旋削加工機の第1スピンドルの第1開口部を通して、複数のスピンドル間に位置する機械加工領域に第1半製品を搬送するステップと、第1スピンドル内で第1半製品をクランプし、第1スピンドルによって第1半製品を回転させるステップと、機械加工領域内部で、旋削加工機の第1機械加工用工具によって、第1半製品の開始区域を回転させるステップとを含む。
【0023】
同様に一面だけ、したがって、部分的に機械加工された第2ワークピースは、所定のステップによって生産されるが、所定のステップは、旋削加工機の第2スピンドルの第2開口部を通して機械加工領域に第2半製品を搬送するステップと、第2スピンドル内で第2半製品をクランプし、第2スピンドルによって第2半製品を回転させるステップと、機械領域内部で旋削加工機の第2機械加工用工具によって、第2半製品の開始区域を回転させるステップと、を含み、部分的に機械加工された第1ワークピースおよび部分的に機械加工された第2ワークピースが同時に生産される。
【0024】
前述した旋削の結果、部分的に機械加工された第1ワークピースおよび第2ワークピースは、それぞれ、送られた第1半製品および第2半製品から生産される。本発明の第2態様による方法によって、2つの同一のワークピースおよび2つの異なる部分的に機械加工されたワークピースの両方を、同時に、むしろ一斉に生産できる。
【0025】
本発明の第2態様による方法の実施形態によると、4つの工具リボルバを備えた前述した旋削加工機が提供される。当該方法の、この実施形態の可能な実施は、図2に関連して、より詳細に説明される。
【0026】
この実施形態によると、前述した部分的に機械加工された第1ワークピースから機械加工されて仕上げられた第1ワークピースの生産は、所定のステップを更に含むが、所定のステップは、第1スピンドル内で第1半製品をクランプするステップが、第1半製品の旋削の後で解放されるステップと、第1半製品の、先に機械加工された開始区域が、工具リボボルバの複数のスピンドルの一方にクランプされるステップと、部分的に機械加工された第1ワークピースが第1半製品から分離されるステップとを含む。その後、部分的に機械加工された第1ワークピースは、スピンドルによって回転され、ここで、クランプされ、部分的に機械加工された第1ワークピースの、また機械加工されていない開始区域は、機械加工領域内部で、工具リボルバの複数の機械加工用工具の一方によって回転される。
【0027】
言い換えると、先に部分的に機械加工された第1ワークピースは、第1スピンドルから、工具リボルバの一つのスピンドル(ピックアップ装置)に搬送される。これは、ピックアップ装置を最初にピックアップ位置に移動させることによって行うことができるが、ピックアップ位置では、第1半製品の先に機械加工された開始区域がピックアップ装置にクランプ可能であるが、この場合、これは、まだ実際には起こっていない。その代わり、ピックアップ装置の回転速度は、まだ回転している第1スピンドルの回転速度と最初に同期される。この同期化の後、ピックアップ装置は、はじめて、第1半製品の先に機械加工された開始区域と係合する。そのため、第1半製品は、同一回転速度で回転する第1スピンドルおよびピックアップ装置内で、部分的に機械加工された第1ワークピースでクランプされる。次に、部分的に機械加工された第1ワークピースを第1半製品から分離させることができ、第1スピンドル内のクランプは解放される。そのため、第1半製品から分離された、部分的に機械加工された第1ワークピースは、ピックアップ装置内で依然としてクランプされているだけである。ピックアップ装置は既に回転していることから、部分的に機械加工された第1ワークピースも既に回転されており、工具リボルバの工具によって旋削可能である。
【0028】
当該方法の実施形態によると、以下のステップも、本発明の第2態様による前述した部分的に機械加工された第2ワークピースから機械加工された、仕上げられた第2ワークピースの生産に含まれるが、これらのステップは、第2半製品の旋削の後、第2スピンドル内で第2半製品をクランプするステップが解放されるステップと、第2半製品の先に機械加工された開始区域が工具リボルバの他方のスピンドル内でクランプされるステップと、部分的に機械加工された第2ワークピースが第2半製品から分離されるステップとを含む。その後、部分的に機械加工された第2ワークピースは、スピンドルによって回転され、ここで、クランプされ、部分的に機械加工された第2ワークピースの、まだ機械加工されていない開始区域は、機械加工領域内部で工具リボルバの更なる機械加工用工具によって旋削される。先に部分的に機械加工された第2ワークピースを、工具リボルバの他方のスピンドル(ピックアップ装置)に第2スピンドルから移送することは、部分的に機械加工された第1ワークピースと共に説明された方法と同様に行うことができる。
【0029】
半製品のクランプの解放は、切断チゼルによる切り取りを含んでもよい。一面で機械加工された半製品は、本発明の第1態様と共に説明されたように、たとえば、手作業またはロボットによって対応するスピンドルまで運ばれる。
【0030】
そのため、この実施形態は、第1開始区域の機械加工および第2開始区域の機械加工の後、半製品は、反対側のスピンドルに変位されないが、工具リボルバの複数のスピンドルの一方(ピックアップ装置)に変位される。この実施形態によると、旋削加工機が設けられ、ここで、4つのリボルバが機械加工領域内部に配置され、2つの工具リボルバは、各々が、回転可能なスピンドルを有し、これらのスピンドルは、各々が、機械加工されるべき半製品の一つを同時に受け取り、回転させるように構成されており、他の2つの工具リボルバは、同時に回転している半製品を同時に機械加工するように構成されている。また、ロボットは、工具リボルバの複数のスピンドルの一方に第1スピンドルの区域から第1半製品を変位させ、工具リボルバの複数のスピンドルの他方に第2スピンドルの区域から第2半製品を変位させるように構成可能である。さらに、第1バー装填マガジンは、工具リボルバの複数のスピンドルの一方に第1スピンドルから第1半製品を変位させ、工具リボルバの複数のスピンドルの他方に第2スピンドルから第2半製品を変位させるように構成可能である。
【0031】
本発明の第3態様によると、旋削加工機内で半製品を旋削することによってワークピースを生産する為の方法が提供される。この方法の例示的実施形態は、図3に関連して、より詳細に説明される。
【0032】
この方法は、以下のステップを含む。本発明の第1態様による旋削加工機が提供される。最初に、部分的に機械加工されたワークピースが、半製品の第1端面の開始区域を機械加工することによって生産されるが、以下のステップが実行される。半製品は、複数のスピンドル間に位置する機械加工領域に旋削加工機の第1スピンドルの第1開口部を通って搬送され、第1スピンドル内でクランプされる。半製品は、第1スピンドルによって回転され、半製品の開始区域は、機械加工領域内部で旋削加工機の第1機械加工用工具によって旋削される。そのため、部分的に機械加工されたワークピースは、半製品から作られる。
【0033】
その後、仕上げられた機械加工済みワークピースは、部分的に機械加工されたワークピースから生産され、半製品の旋削された開始区域は、第2スピンドルによって把持される。部分的に機械加工されたワークピースは、半製品から分離され、部分的に機械加工されたワークピースの、開始区域から離れた終了区域は、以下のステップによって機械加工される。部分的に機械加工されたワークピースは、第2スピンドル内でクランプされ、部分的に機械加工されたワークピースは、第2スピンドルによって回転される。部分的に機械加工された終了区域も、機械加工領域内部の旋削加工機の第2機械加工用工具によって旋削され、それによって、部分的に機械加工されたワークピースは、仕上げられた機械加工済みワークピースに成形される。その後、仕上げられた機械加工済みワークピースは、第2スピンドルから排出される。
【0034】
言い換えると、予め部分的に機械加工されたワークピースは、第1スピンドルから第2スピンドルに移送される。最初に第2スピンドルを、半製品の、予め機械加工された開始区域が第2スピンドル内にクランプ可能なピックアップ位置に移動させることによって、これを行うことができるが、この場合、これは、まだ実際には起こっていない。その代わり、第2スピンドルの回転速度は、依然として回転している第1簾ぷんドルの回転速度と同期される。この同期化の後、第2スピンドルは、半製品の、予め機械加工された開始区域と係合する。そのため、同一の回転速度で回転する第1スピンドル内および第2スピンドル内の両方で、部分的に機械加工されたワークピースと共に半製品がクランプされる。次に、部分的に機械加工されたワークピースは、半製品と分離可能になり、第1スピンドル内のクランプは解放される。そのため、半製品から分離された、部分的に機械加工されたワークピースは、第2スピンドル内でのみ、依然としてクランプされている。第2スピンドルは既に回転していることから、部分的に機械加工されたワークピースも既に回転され、工具リボルバの工具によって回転可能である。
【0035】
本発明の第3態様による方法の実施形態も以下のステップを有する。いったん、部分的に機械加工されたワークピースが半製品から分離されると、部分的に機械加工されたワークピースの終了区域が機械加工されている間に、まだ機械加工されていない半製品が機械加工領域に進められる。その後、本発明の第3態様に従う方法による方法のステップは、部分的に機械加工されたワークピースが、進められた半製品の第1端面の開始区域の機械加工によって生産される方法のステップから再び実行される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
以下、概略的図面を参照して、本発明の例示的実施形態を詳細に説明する。
図1図1は、本発明によるCNC旋削加工機の例示的実施形態の正面図を示す。
図2図2は、2つの半製品が同時に旋削される操作モードにおける操作の為の、図1によるCNC型旋削加工機の為のスピンドルおよび工具リボルバの正面図を示す。
図3図3は、ワークピースが最初にスピンドルの一つで一面が部分的に生産され、他のスピンドルに移送された後の仕上げへと機械加工される更なる操作モードにおける操作の為の、図1によるCNC型旋削加工機の為のスピンドルおよび工具リボルバの正面図を示す。
【例示的実施形態の詳細な説明】
【0037】
図1は、図1の左に示された第1スピンドル2と、図1の右に示された第2スピンドル3とを備えたCNC型旋削加工機1を示す。第1スピンドル2は、第1バー装填マガジン4に関連付けられ、第2スピンドル3は、第2バー装填マガジン5に関連付けられている。後述するCNC型旋削加工機の機能およびワークフローは、特に明示しないかぎり、予めプログラム可能であり、完全自動方式で行うことができ、そのため、CNC型旋削加工機1は、特に、制御および操作ユニットCを有する。また、CNC型旋削加工機1は、チップ除去手段(図示せず)を備えるが、チップは、後部または前部に除去されるのが好ましい。
【0038】
第1スピンドル2および第2スピンドル3は、共通の垂直長手方向軸Lにあるのが好ましく、駆動ユニット(図示せず)によって回転可能であり、内部でクランプされた(図1において、各々が点線で表示された)半製品8,9も同様に回転可能であり、機械加工用工具によって機械加工が可能である(図2)。さらに、スピンドル2,3は、各々が、(図1において、各々が点線によって表示された)開口部6,7を有し、これらを介して、第1バー装填マガジン4および第2バー装填マガジン5に位置する半製品8,9はCNC型旋削加工機1の機械加工領域10に搬送可能になり、機械加工領域10は、第1スピンドル2および第2スピンドル3の間に位置する。
【0039】
図2に見られるように、棒状半製品8,9の開始区域11,12は、それぞれ、各々の場合、機械加工領域10内部に位置する。半製品8,9は、半製品8,9を囲む、スピンドル2,3のクランプ装置13,14(たとえば、コレットまたは三爪チャック)に開口部6,7を介して先に導入され、クランプ装置13,14によって、図2に示される位置で固定されている。さらに、複数の工具リボルバが機械加工領域10内部に位置し得る。示された実施例には、図2の左上区域に示された第1工具リボルバ15、図2の右上区域に示された第2工具リボルバ16、図2の左下区域に示された第3工具リボルバ17,図2の右下区域に示された第4工具リボルバ18が設けられている。
【0040】
工具リボルバ15~18は、各々が、それぞれの仮想長手方向軸LW1,LW2,LW3,LW4を中心として回転することができ、それぞれの長手方向軸LW1,LW2,LW3に沿って変位することができる。工具ホルダ27~34は、互いに離れて面する、工具リボルバ15~18の端面19~26から突出し、各々の場合、機械加工用工具35~42を受容する。工具リボルバ15~18の回転および/または変位によって、機械加工用工具35~42は、それらが半製品8,9と機械加工係合する位置または場所にもたらされ、半製品の回転によって、半製品8,9からワークピースを生産する。図2による構成において、スピンドル2,3は同一部品であり、これらは、互いに対して対称的に、長手方向軸L上で互いに対向して、すなわち、それぞれに対して点対称的に、配置されている。生産されるワークピースは、同一部品または異なるワークピースでもよい。
【0041】
図2によって示されるように、左に示された第1半製品8の右の開始区域11および右に示された第2半製品の左の開始区域12が最初に回転可能である。このために、第1半製品8は第1スピンドル2の第1クランプ装置13にクランプされ、第1クランプ装置13が回転され、それによって、第1半製品8も同様に回転され、第1半製品8の右の開始区域11が、所定位置にもたらされた機械加工用工具35または39のうちの一つによる旋削によって機械加工される。同様に、第2半製品9は第2スピンドル3の第2クランプ装置14にクランプされ、第2クランプ装置14が回転され、それによって、第2半製品9も同様に回転され、第2半製品9の右の開始区域12が、所定位置にもたらされた機械加工用工具38または42のうちの一つによる旋削によって機械加工される。
【0042】
スピンドル2,3は、長手方向軸Lに対して横断する垂直方向yで移動できるように構成される場合、それぞれ、第2工具リボルバ16および第4工具リボルバ18に配置された機械加工用工具37および/または41によって半製品8の開始区域11を機械加工することが更に可能である。この場合、それぞれ、第1工具リボルバおよび第2工具リボルバに配置された機械加工用工具36および/または40によって半製品9の開始区域12を機械加工することも可能である。半製品8,9の機械加工に続いて、機械加工されたワークピースは、半製品8,9から分離可能であり、旋削加工機1から排出される。この機械加工モードでは、同一または異なる部品を並行して生産することができる。
【0043】
更なる操作モードを提供するため、第1工具リボルバ15および第4工具リボルバ18は、更に、各々が、それぞれ、更なるクランプ装置43,44を含み、ここに、半製品8,9の機械加工から提供された部分的に仕上げられたワークピースを導入し、クランプすることができる。図2の左上区域に示された第1工具リボルバ15の更なる第1クランプ装置43は、回転可能な更なる第1スピンドル(ピックアップ装置)45の一部を形成し、図2の右下区域に示された第4工具リボルバ18の更なる第2クランプ装置44は、回転可能な更なる第2スピンドル(ピックアップ装置)46の一部を形成する。更なるクランプ装置43,44は、駆動装置(図示せず)によって回転可能であり、更なるクランプ装置43および/または44にクランプされた部分的に機械加工されたワークピースは、同様に回転可能であり、空いている工具リボルバ16,17の機械加工用工具によって機械加工が可能である。工具リボルバ15~18内の追加のスピンドル(ピックアップ装置)45、46の出力は低いため、実行できるのは、限られた単純な機械加工操作のみである。ここで、ワークピースの切断側は、切断軌跡を消すため、機械加工されるのが好ましい。
【0044】
たとえば、図2の左に示された第1半製品8の右開始区域11は、第1工具リボルバ15の機械加工用工具35によって最初に機械加工される。同様に、図2の右に示された第2半製品9の左開始区域12を、第4工具リボルバ18の機械加工用工具42によって、同時に機械加工することができる。半製品8,9の、互いに対向して配置された開始区域11,12が意図的に機械加工されると、更なるクランプ装置43,44は開放位置にもたらされるので、第1半製品8の右開始区域11を第1工具リボルバ15のクランプ装置43に変位させることができ、第2半製品9の左開始区域12を第1工具リボルバ18のクランプ装置44に変位させることができる。
【0045】
いったん、開始区域11,12が、それぞれ、更なるクランプ装置43,44にクランプされると、ここでは、部分的に仕上げられたワークピースが依然として半製品8,9の開始片に付けられて固定されているので、工具リボルバ17,16上で、たとえば切断システムによって、部分的に仕上げられたワークピースが分離される。次に、部分的に機械加工されたワークピースが、工具リボルバ15,18の対応したクランプ装置44または43において、リボルバ16,17の工具によって、仕上品へと機械加工されるように、工具リボルバ15~18を移動および/または変位させることができる。
【0046】
たとえば、スピンドル2,3の長手方向軸Lが、好ましくは、第1工具リボルバ15の開放された更なる第1クランプ装置43を通って中央に続くように、特に、第1工具リボルバ15を回転および/または変位させることができる。図2によって示された位置にある第4工具リボルバ18も、回転および/または変位によって、クランプ装置44の中心が長手方向軸L上にある位置にもたらすことができる。工具リボルバ15~18の位置、工具35~42の位置は、工具35~42の工具リボルバ15~18、半製品8,9、部分的に仕上げられたワークピースなどの手動的衝突が除外されるように、センサベースのモニタリングによって、あるいは、プログラムによって制御されるのが好ましい。
【0047】
あるいは、スピンドル2,3の長手方向Lにおいて、スピンドル2,3の、それぞれのクランプ装置13,14から、更なる第2クランプ装置44(第1半製品8)に、更に、更なる第1クランプ装置(第2半製品9)に変位するため、バー装填マガジン4,5も、使用可能である。このため、手作業またはロボットによって、半製品8,9の変位に関連して、前述したように、工具リボルバ15~18を回転および/または変位させることができる。半製品8,9が、それぞれ、更なるクランプ装置43,44内部でクランプされると、半製品8,9は、更なるクランプ装置43,44の回転によって、同様に回転される。次に、切断チゼル(図示せず)によって対応する半製品8,9の残りから開始区域11,12が最初に切り取られ、切断処理が完了すると、更なるクランプ装置43,44の回転を停止させることができ、ここで、切断チゼルを、たとえば、工具リボルバ17または16に付けることができる。切断処理に続いて、利用可能な工具リボルバ17,16によって切断された半製品部分の端部を機械加工することを可能にする位置へと、第1工具リボルバ15および第4工具リボルバ18をもたらすことができる。
【0048】
図3は、更なる操作モードを示す。
【0049】
この操作モードにおいて、図2による2つのスピンドル2,3および4つの工具リボルバ15~18を備えた図1による本発明に従う旋削加工機1は、第1クランプ装置13内に単一の半製品8のみが装填されている。対向した第2クランプ装置14は、最初、空になっている。この操作モードにおいて、半製品8の開始区域11は、部分的に工具35,29によって、オプションで、工具37,41によって機械加工される。このように意図されて、開始区域11が機械加工されると、最初に第1クランプ装置13の回転、したがって、端部で片側が機械加工された半製品8の回転を停止させることができる。
【0050】
第2スピンドル3が、長手方向軸Lに沿って、ピックアップ位置の第1スピンドル2に向かって左に移動され、このピックアップ位置において、第2クランプ装置14によって部分的に機械加工された半製品8の開始区域11を把持すると、部分的に機械加工されたワークピース50は、第1工具リボルバ15または第3工具リボルバ17によって、半製品8から分離されるので、第2スピンドル3の第2クランプ装置14に完全に移送される。次に、第2スピンドル3を、図3の極端な右に示された終了位置に戻すことができ、そこで、部分的に機械加工されたワークピース50の終了区域51が、利用可能な工具によって回転されるので、部分的に機械加工されたワークピース50は、仕上品へと機械加工される。並列に、すなわち、同時または少なくとも時間的に重複させて、半製品8の、第1クランプ装置13内部のクランプが解放され、半製品9の新たな開始片11は機械加工領域10にスライドする。
【0051】
第1半製品8は、処理中、その向きを保持し、すなわち、それは、第1スピンドル内に最早存在せず、第2スピンドル内に存在する、先に機械加工された右の開始区域11が、半製品8の次の開始区域11’によって置き換えられるように、第1スピンドル2のクランプ装置13内でクランプされ、次に、機械加工領域10内部に位置され、機械加工用工具35,39および/または37,41によって機械加工可能である(半製品8の新たな開始区域11’の範囲は、図3において点線で表示されている)。この操作モードにおいて、輪-句ピースは、2段階で、旋削加工機内で機械加工可能であり、この2段階は、2つの異なる側部からの機械加工を示すのが好ましい。
【0052】
前述した除去およびクランピングは、たとえば、手作業によって、スピンドルの移動によって、スピンドルによる把持によって、または、この為に構成されたロボット(図示せず)により行うことができる。ワークピースは、一般的に切断チゼル(図示せず)による半製品から分離されるが、たとえば、これらは、工具リボルバ15~18に付けることができる。
図1
図2
図3