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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】エアロゾル生成デバイスのための装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20221213BHJP
   H05B 6/06 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
A24F40/465
H05B6/06 361
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2021510311
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2019073259
(87)【国際公開番号】W WO2020043900
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-04-23
(31)【優先権主張番号】1814199.4
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】コーラス, アントン
(72)【発明者】
【氏名】モロニー, パトリック
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/073376(WO,A1)
【文献】特開平11-121154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/465
H05B 6/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成デバイスのための装置であって、
サセプタ構成体を誘導加熱してエアロゾル生成材料を加熱し、以てエアロゾルを生成するための誘導性素子を備えるLC共鳴回路と、
変動電流がDC電圧源から生成されて前記誘導性素子に流れることを可能にして、前記サセプタ構成体の誘導加熱を引き起こすスイッチング構成体と、
使用中、前記LC共鳴回路が動作している周波数及び前記DC電圧源からのDC電流に基づいて前記サセプタ構成体の温度を決定するための温度決定装置と、
を具備する、装置。
【請求項2】
前記温度決定装置が、使用中、前記LC共鳴回路が動作している前記周波数及び前記DC電圧源からの前記DC電流に加えて、前記DC電圧源のDC電圧に基づいて、前記サセプタ構成体の温度を決定するためのものである、請求項に記載の装置。
【請求項3】
前記LC共鳴回路が、前記誘導性素子と並列で配置される容量素子を備える並列LC共鳴回路である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記温度決定装置が、前記LC共鳴回路が動作している前記周波数、前記DC電圧源からの前記DC電流、及び前記DC電圧源の前記DC電圧から、前記誘導性素子及び前記サセプタ構成体の実効集合抵抗を決定し、決定された前記実効集合抵抗に基づいて前記サセプタ構成体の温度を決定する、請求項又はに記載の装置。
【請求項5】
前記温度決定装置が、前記誘導性素子及び前記サセプタ構成体の前記実効集合抵抗、並びに前記サセプタ構成体の温度の値の校正から、前記サセプタ構成体の温度を決定する、請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記校正が、多項式に基づく、請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記温度決定装置が、式
【数1】

を使用して前記実効集合抵抗rを決定し、式中、Vが前記DC電圧であり、Iが前記DC電流であり、Cが前記LC共鳴回路の容量であり、fが、前記LC共鳴回路が動作している前記周波数である、請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記LC共鳴回路が動作している前記周波数が、前記LC共鳴回路の共鳴周波数である、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記スイッチング構成体が、第1の状態と第2の状態との間で切り替わるように構成され、前記LC共鳴回路が動作している前記周波数が、前記スイッチング構成体が前記第1の状態と前記第2の状態との間で切り替わる周波数の決定から決定される、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記スイッチング構成体が、1つ又は複数のトランジスタを備え、前記LC共鳴回路が動作している前記周波数が、前記トランジスタのうちの1つがオン状態とオフ状態との間で切り替わる期間を測定することによって決定される、請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記LC共鳴回路が動作している前記周波数を示す電圧値を出力するように構成される周波数‐電圧変換器をさらに備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記DC電圧及び/又は前記DC電流が、推定値である、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記DC電圧及び/又はDC電流について獲得される値が、前記装置によって測定される値である、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記実効集合抵抗と前記サセプタ構成体の前記温度との間の値の前記校正が、前記実効集合抵抗と前記サセプタ構成体の前記温度との間の複数の校正のうちの1つであり、前記温度決定装置が、前記実効集合抵抗の値から前記サセプタの前記温度を決定することにおいて使用するために、前記複数の校正のうちの1つを選択するように構成される、請求項4に従属する場合の請求項13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記誘導性素子による加熱前に前記サセプタ構成体と関連付けられた温度を検出するように構成される温度センサをさらに備え、前記温度決定装置が、前記温度センサによって検出される前記温度を使用して前記校正を選択する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記温度センサによって測定される前記温度が、前記エアロゾル生成デバイスの周囲の温度である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記エアロゾル生成デバイスが、前記サセプタ構成体を受容するためのチャンバを具備し、前記温度センサによって測定される前記温度が、前記チャンバの温度である、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記温度決定装置が、前記温度センサによって検出される前記温度に対応する前記実効集合抵抗の値を決定し、前記温度センサによって検出される前記温度に対応する前記実効集合抵抗の値を使用して、前記温度センサによって検出される前記温度と前記複数の校正の各々によって得られる前記温度との間の比較に基づいて前記複数の校正から前記校正を選択するように構成される、請求項1517のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
各校正が、校正曲線、又は多項式、又はルックアップテーブル内の校正値のセットである、請求項1418のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記温度決定装置が、前記エアロゾル生成デバイスの電源が入る度に、又は前記エアロゾル生成デバイスがエアロゾル生成モードに入る度に、校正の前記選択を実施するように構成される、請求項1419のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記スイッチング構成体が、前記LC共鳴回路の共鳴周波数で動作する前記LC共鳴回路内の電圧振動に応答して前記第1の状態と前記第2の状態とを交互に繰り返すように構成され、これにより、変動電流が、前記LC共鳴回路の前記共鳴周波数に維持される、請求項に記載の装置。
【請求項22】
前記スイッチング構成体が、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタを備え、前記スイッチング構成体が前記第1の状態にあるとき、前記第1のトランジスタはオフであり、前記第2のトランジスタはオンであり、前記スイッチング構成体が前記第2の状態にあるとき、前記第1のトランジスタはオンであり、前記第2のトランジスタはオフである、請求項10に従属する場合の請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタが各々、そのトランジスタをオン及びオフにするための第1の端子、第2の端子、並びに第3の端子を備え、前記スイッチング構成体は、前記第2のトランジスタの前記第2の端子における電圧が前記第1のトランジスタのスイッチング閾値電圧以下であるときに、前記第1のトランジスタがオンからオフに切り替わるように適合されるように構成される、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタが各々、そのトランジスタをオン及びオフにするための第1の端子、第2の端子、並びに第3の端子を備え、前記スイッチング構成体は、前記第1のトランジスタの前記第2の端子における電圧が前記第2のトランジスタのスイッチング閾値電圧以下であるときに、前記第2のトランジスタがオンからオフに切り替わるように適合されるように構成される、請求項22又は23に記載の装置。
【請求項25】
前記LC共鳴回路が、第1のダイオード及び第2のダイオードをさらに備え、前記第1のトランジスタの前記第1の端子が、前記第1のダイオードを介して前記第2のトランジスタの前記第2の端子に接続され、前記第2のトランジスタの前記第1の端子が、前記第2のダイオードを介して前記第1のトランジスタの前記第2の端子に接続され、これにより、前記第2のトランジスタがオンであるときに、前記第1のトランジスタの前記第1の端子が低電圧でクランプされ、前記第1のトランジスタがオンであるときに、前記第2のトランジスタの前記第1の端子が低電圧でクランプされる、請求項23又は24に記載の装置。
【請求項26】
前記スイッチング構成体は、前記第2のトランジスタの前記第2の端子における電圧が、前記第1のトランジスタのスイッチング閾値電圧に前記第1のダイオードのバイアス電圧を足したもの以下であるときに、前記第1のトランジスタがオンからオフに切り替わるように適合されるように構成される、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記スイッチング構成体は、前記第1のトランジスタの前記第2の端子における電圧が、前記第2のトランジスタのスイッチング閾値電圧に前記第2のダイオードのバイアス電圧を足したもの以下であるときに、前記第2のトランジスタがオンからオフに切り替わるように適合されるように構成される、請求項25又は26に記載の装置。
【請求項28】
前記DC電圧源の第1の端子が、前記LC共鳴回路内の第1及び第2の点に接続され、前記第1の点及び前記第2の点が、前記誘導性素子のいずれかの側に電気的に位置する、請求項1~27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記DC電圧源と前記誘導性素子との間に位置付けられる少なくとも1つのチョークインダクタを備える、請求項1~28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか一項に記載の装置を備えるエアロゾル生成デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成デバイスのための装置、特に、サセプタ構成体の温度を決定するための温度決定装置を備える装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シガレット、シガー、及び同様のものなどの喫煙品は、使用中にタバコを燃焼させてタバコ煙を作り出す。燃焼なしに化合物を放出する製品を作り出すことによって、これらの物品の代替物を提供するための試みがなされてきた。そのような製品の例は、材料を燃焼させるのではなく、加熱することによって化合物を放出する、いわゆる「非燃焼加熱式」製品、又はタバコ加熱デバイス若しくは製品である。材料は、例えば、タバコ、又は他の非タバコ製品であり得、これはニコチンを含有する場合としない場合とがある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様によると、エアロゾル生成デバイスのための装置であって、サセプタ構成体を誘導加熱してエアロゾル生成材料を加熱し、以てエアロゾルを生成するための誘導性素子を備えるLC共鳴回路と、変動電流がDC電圧源から生成されて誘導性素子に流れることを可能にして、サセプタ構成体の誘導加熱を引き起こすスイッチング構成体と、使用中、LC共鳴回路が動作している周波数に基づいてサセプタ構成体の温度を決定するための温度決定装置とを具備する、装置が提供される。
【0004】
温度決定装置は、使用中、LC共鳴回路が動作している周波数に加えて、DC電圧源からのDC電流に基づいて、サセプタ構成体の温度を決定するためのものであり得る。
【0005】
温度決定装置は、使用中、LC共鳴回路が動作している周波数及びDC電圧源からのDC電流に加えて、DC電圧源のDC電圧に基づいて、サセプタ構成体の温度を決定するためのものであり得る。
【0006】
LC回路は、誘導性素子と並列で配置される容量素子を備える並列LC回路であり得る。
【0007】
温度決定装置は、LC共鳴回路が動作している周波数、DC電圧源からのDC電流、及びDC電圧源のDC電圧から、誘導性素子及びサセプタ構成体の実効集合抵抗を決定し得、決定された実効集合抵抗に基づいてサセプタ構成体の温度を決定する。
【0008】
温度決定装置は、誘導性素子及びサセプタ構成体の実効集合抵抗、並びにサセプタ構成体の温度の値の校正から、サセプタ構成体の温度を決定し得る。
【0009】
校正は、多項式、好ましくは、三次多項式に基づき得る。
【0010】
温度決定装置は、式
【数1】

を使用して実効集合抵抗rを決定し得、式中、VはDC電圧であり、IはDC電流であり、CはLC共鳴回路の容量であり、fは、LC共鳴回路が動作している周波数である。
【0011】
LC共鳴回路が動作している周波数は、LC共鳴回路の共鳴周波数であり得る。
【0012】
スイッチング構成体は、第1の状態と第2の状態との間で切り替わるように構成され得、LC回路が動作している周波数は、スイッチング構成体が第1の状態と第2の状態との間で切り替わる周波数の決定から決定され得る。
【0013】
スイッチング構成体は、1つ又は複数のトランジスタを備え得、LC回路が動作している周波数は、トランジスタのうちの1つがオン状態とオフ状態との間で切り替わる期間を測定することによって決定され得る。
【0014】
本装置は、LC回路が動作している周波数を示す電圧値を出力するように構成される周波数‐電圧変換器をさらに備え得る。
【0015】
DC電圧及び/又はDC電流は、推定値であり得る。
【0016】
DC電圧及び/又はDC電流について獲得される値は、本装置によって測定される値であり得る。
【0017】
実効集合抵抗とサセプタ構成体の温度との間の値の校正は、実効集合抵抗とサセプタ構成体の温度との間の複数の校正のうちの1つであり得、温度決定装置は、実効集合抵抗の値からサセプタの温度を決定することにおいて使用するために、複数の校正のうちの1つを選択するように構成され得る。
【0018】
本装置は、誘導性素子による加熱前にサセプタ構成体と関連付けられた温度を検出するように構成される温度センサをさらに備え得、温度決定装置は、温度センサによって検出される温度を使用して校正を選択し得る。
【0019】
温度センサによって測定される温度は、エアロゾル生成デバイスの周囲の温度であり得る。
【0020】
エアロゾル提供デバイスは、サセプタ構成体を受容するためのチャンバ、例えば、サセプタ構成体を備える消耗品を受容するためのチャンバを具備し得、温度センサによって測定される温度は、チャンバの温度であり得る。
【0021】
温度決定装置は、温度センサによって検出される温度に対応する実効集合抵抗の値を決定し、温度センサによって検出される温度に対応する実効集合抵抗の値を使用して、温度センサによって検出される温度と複数の校正の各々によって得られる温度との間の比較に基づいて複数の校正から校正を選択するように構成され得る。
【0022】
各校正は、校正曲線、又は多項式、又はルックアップテーブル内の校正値のセットであり得る。
【0023】
温度決定装置は、エアロゾル生成デバイスの電源が入る度に、又はエアロゾル生成デバイスがエアロゾル生成モードに入る度に、校正の選択を実施するように構成され得る。
【0024】
スイッチング構成体は、共鳴回路の共鳴周波数で動作する共鳴回路内の電圧振動に応答して第1の状態と第2の状態とを交互に繰り返すように構成され得、変動電流は、これにより、共鳴回路の共鳴周波数に維持され得る。
【0025】
スイッチング構成体は、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタを備え得、スイッチング構成体が第1の状態にあるとき、第1のトランジスタはオフであり、第2のトランジスタはオンであり、スイッチング構成体が第2の状態にあるとき、第1のトランジスタはオンであり、第2のトランジスタはオフである。
【0026】
第1のトランジスタ及び第2のトランジスタは各々、そのトランジスタをオン及びオフにするための第1の端子、第2の端子、並びに第3の端子を備え得、スイッチング構成体は、第2のトランジスタの第2の端子における電圧が第1のトランジスタのスイッチング閾値電圧以下であるときに、第1のトランジスタがオンからオフに切り替わるように適合されるように構成される。
【0027】
第1のトランジスタ及び第2のトランジスタは各々、そのトランジスタをオン及びオフにするための第1の端子、第2の端子、並びに第3の端子を備え得、スイッチング構成体は、第1のトランジスタの第2の端子における電圧が第2のトランジスタのスイッチング閾値電圧以下であるときに、第2のトランジスタがオンからオフに切り替わるように適合されるように構成される。
【0028】
共鳴回路は、第1のダイオード及び第2のダイオードをさらに備え得、第1のトランジスタの第1の端子は、第1のダイオードを介して第2のトランジスタの第2の端子に接続され得、第2のトランジスタの第1の端子は、第2のダイオードを介して第1のトランジスタの第2の端子に接続され得、これにより、第2のトランジスタがオンであるときに、第1のトランジスタの第1の端子が低電圧でクランプされ、第1のトランジスタがオンであるとき、第2のトランジスタの第1の端子が低電圧でクランプされる。
【0029】
スイッチング構成体は、第2のトランジスタの第2の端子における電圧が、第1のトランジスタのスイッチング閾値電圧に第1のダイオードのバイアス電圧を足したもの以下であるときに、第1のトランジスタがオンからオフに切り替わるように適合されるように構成され得る。
【0030】
スイッチング構成体は、第1のトランジスタの第2の端子における電圧が、第2のトランジスタのスイッチング閾値電圧に第2のダイオードのバイアス電圧を足したもの以下であるときに、第2のトランジスタがオンからオフに切り替わるように適合されるように構成され得る。
【0031】
DC電圧源の第1の端子は、共鳴回路内の第1及び第2の点に接続され得、第1の点及び第2の点が、誘導性素子のいずれかの側に電気的に位置する。
【0032】
本装置は、DC電圧源と誘導性素子との間に位置付けられる少なくとも1つのチョークインダクタを備え得る。
【0033】
本発明の第2の態様によると、第1の態様に従う装置を備えるエアロゾル生成デバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】例に従うエアロゾル生成デバイスを概略的に例証する図である。
図2】例に従う共鳴回路を概略的に例証する図である。
図3】例に従う、時間に対する、電圧、電流、実効集合抵抗、及びサセプタ構成体温度のプロットを示す図である。
図4】例に従う、パラメータrに対するサセプタ構成体温度のプロットを示す図である。
図5】例に従う、パラメータrに対するサセプタ構成体温度の複数のプロットの概略表現を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
誘導加熱は、電磁誘導によって導電性物体(又はサセプタ)を加熱するプロセスである。誘導加熱器は、誘導性素子、例えば、誘導コイル、及び交流電流などの変動電流を誘導性素子に流すためのデバイスを備え得る。誘導性素子内の変動電流は、変動磁場をもたらす。変動磁場は、誘導性素子に対して好適に位置付けられているサセプタに侵入し、サセプタの内側に渦電流を生成する。サセプタは、渦電流に対する電気抵抗を有し、故に、この抵抗に対する渦電流の流れが、サセプタがジュール加熱によって加熱されることを引き起こす。サセプタが、鉄、ニッケル、又はコバルトなどの強磁性材料を含む場合、熱はまた、サセプタ内の磁気ヒステリシス損失によって、即ち、磁性材料内の磁気双極子の、変動磁場とのそれらの整列の結果としての変動配向によって、生成され得る。
【0036】
誘導加熱においては、例えば、伝導による加熱と比較して、熱はサセプタの内側に生成されるため、迅速な加熱を可能にする。さらには、誘導加熱器とサセプタとのいかなる物理的接触も必要としないため、構造及び応用におけるより一層の自由度を可能にする。
【0037】
誘導加熱器は、誘導素子、例えば、サセプタを誘導加熱するように配置され得る電磁石、によって提供されるインダクタンスL、及びコンデンサによって提供される静電容量Cを有するLC回路を備え得る。回路は、いくつかの場合においては、抵抗器によって提供される抵抗Rを含む、RLC回路として表され得る。いくつかの場合において、抵抗は、インダクタ及びコンデンサを接続する回路の部分のオーム抵抗によって提供され、故に、回路は、そのようなものとして必ずしも抵抗器を含む必要はない。そのような回路は、例えば、LC回路と称され得る。そのような回路は、回路素子のインピーダンス又はアドミタンスの虚数部が互いに相殺するときに特定の共鳴周波数で発生する電気共鳴を呈し得る。
【0038】
電気共鳴を呈する回路の一例は、インダクタ、コンデンサ、及び任意選択的に抵抗器を備えるLC回路である。LC回路の一例は、インダクタ及びコンデンサが直列接続される直列回路である。LC回路の別の例は、インダクタ及びコンデンサが並列接続される並列LC回路である。共鳴は、インダクタの崩壊磁場が、コンデンサを充電するその巻線内に電流を生成する一方で、放電コンデンサが、インダクタ内の磁場を構築する電流を提供することが理由で、LC回路内に発生する。本開示は、並列LC回路に焦点を合わせる。並列LC回路が、共鳴周波数で駆動されるとき、回路の動的インピーダンスは、最大であり(インダクタのリアクタンスがコンデンサのリアクタンスに等しいため)、回路電流は、最小である。しかしながら、並列LC回路の場合、並列インダクタ及びコンデンサループは、電流乗算器として機能する(ループ内の電流を効果的に乗算し、こうして電流がインダクタに流れる)。したがって、共鳴周波数で、又はその近くで、RLC又はLC回路を駆動することは、サセプタに侵入する磁場の最大値を提供することによって、効果的及び/又は効率的な誘導加熱を提供し得る。
【0039】
トランジスタは、電気信号を切り替えるための半導体デバイスである。トランジスタは、典型的には、電子回路への接続のための少なくとも3つの端子を備える。いくつかの先行技術例では、交流は、既定の周波数、例えば、回路の共鳴周波数で、トランジスタが切り替わるようにする駆動信号を供給することによって、トランジスタを使用して回路に供給され得る。
【0040】
電界効果トランジスタ(FET)は、電場印加の効果がトランジスタの実効コンダクタンスを変化させるために使用され得るトランジスタである。電界効果トランジスタは、本体B、ソース端子S、ドレイン端子D、及びゲート端子Gを備え得る。電界効果トランジスタは、半導体を備えるアクティブチャネルを具備し、このアクティブチャネルを通じて、電荷キャリア、電子、又は正孔が、ソースSとドレインDとの間を流れ得る。チャネルの導電率、即ち、ドレインD端子とソースS端子との間の導電率は、例えばゲート端子Gに印加される電位によって生成される、ゲートG端子とソースS端子との間の電位差の関数である。強化モードFETにおいて、FETは、実質的にゼロのゲートG-ソースS電圧が存在するとき、オフであり得(即ち、そこに電流が流れることを実質的に防ぐ)、実質的に非ゼロのゲートG-ソースS電圧が存在するとき、オンにされ得る(即ち、そこに電流が流れることを実質的に可能にする)。
【0041】
nチャネル(又はn型)電界効果トランジスタ(n-FET)は、チャネルがn型半導体を備える電界効果トランジスタであり、この場合、電子が多数キャリアであり、正孔が少数キャリアである。例えば、n型半導体は、ドナー不純物(例えば、リンなど)をドープした真性半導体(例えば、シリコンなど)を含み得る。nチャネルFETにおいて、ドレイン端子Dは、ソース端子Sよりも高い電位に置かれる(即ち、正のドレイン-ソース電圧、又は言い換えると、負のソース-ドレイン電圧が存在する)。nチャネルFETを「オン」にするため(即ち、そこに電流が流れることを可能にするため)、ソース端子Sにおける電位よりも高いスイッチング電位が、ゲート端子Gに印加される。
【0042】
pチャネル(又はp型)電界効果トランジスタ(p-FET)は、チャネルがp型半導体を備える電界効果トランジスタであり、この場合、正孔が多数キャリアであり、電子が少数キャリアである。例えば、p型半導体は、アクセプタ不純物(例えば、ボロンなど)をドープした真性半導体(例えば、シリコンなど)を含み得る。pチャネルFETにおいて、ソース端子Sは、ドレイン端子Dよりも高い電位に置かれる(即ち、負のドレイン-ソース電圧、又は言い換えると、正のソース-ドレイン電圧が存在する)。pチャネルFETを「オン」にするため(即ち、そこに電流が流れることを可能にするため)、ソース端子Sにおける電位よりも低い(及び、例えば、ドレイン端子Dにおける電位よりも高い場合がある)スイッチング電位が、ゲート端子Gに印加される。
【0043】
金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)は、ゲート端子Gが絶縁層によって半導体チャネルから電気絶縁される電界効果トランジスタである。いくつかの例では、ゲート端子Gは、金属であり得、絶縁層は、酸化物(例えば、二酸化ケイ素など)であり得、故に、「金属-酸化物-半導体」である。しかしながら、他の例では、ゲートは、ポリシリコンなどの金属以外の材料から作製され得、及び/又は、絶縁層は、他の誘電材料などの酸化物以外の材料から作製され得る。それにもかかわらず、そのようなデバイスは、典型的には、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)と称され、本明細書で使用される場合、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ又はMOSFETという用語は、そのようなデバイスを含むものと解釈されるべきであるということを理解されたい。
【0044】
MOSFETは、半導体がn型であるnチャネル(又はn型)MOSFETであり得る。nチャネルMOSFET(n-MOSFET)は、nチャネルFETについて上に説明されるのと同じ手法で動作され得る。別の例として、MOSFETは、半導体がp型であるpチャネル(又はp型)MOSFETであり得る。pチャネルMOSFET(p-MOSFET)は、pチャネルFETについて上に説明されるのと同じ手法で動作され得る。n-MOSFETは、典型的には、p-MOSFETのものよりも低いソース-ドレイン抵抗を有する。故に、「オン」状態において(即ち、電流がそこに流れている)、n-MOSFETは、p-MOSFETと比較して少ない熱を生成し、故に、p-MOSFETよりも動作におけるエネルギーの無駄が小さいことがある。さらに、n-MOSFETは、典型的には、p-MOSFETと比較して、より短いスイッチング時間(即ち、ゲート端子Gに提供されるスイッチング電位を変更することから、電流がそこに流れるか否かをMOSFETが変更するまでの特徴的な反応時間)を有する。これにより、より高いスイッチング速度及び改善されたスイッチング制御を可能にし得る。
【0045】
図1は、例に従うエアロゾル生成デバイス100を概略的に例証する。エアロゾル生成デバイス100は、DC電源104、この例では、バッテリー104と、誘導性素子158を備える回路150と、サセプタ構成体110と、エアロゾル生成材料116とを具備する。
【0046】
図1の例では、サセプタ構成体110は、エアロゾル生成材料116と一緒に消耗品120内に位置する。DC電源104は、回路150に電気接続され、DC電力を回路150に提供するように配置される。デバイス100はまた、制御回路106を備える。この例では、回路150は、制御回路106を介してバッテリー104に接続される。
【0047】
制御回路106は、例えばユーザ入力に応答して、デバイス100をオン及びオフで切り替えるための手段を備え得る。制御回路106は、例えば、本来周知のように、パフ検出器(図示せず)を備え得、及び/又は、少なくとも1つのボタン又はタッチ制御(図示せず)を介したユーザ入力をとり得る。制御回路106は、デバイス100の構成要素、又はデバイスに挿入される消耗品120の構成要素の温度をモニタするための手段を備え得る。誘導性素子158に加えて、回路150は、以下に説明される他の構成要素を備える。
【0048】
誘導性素子158は、例えば、コイルであり得、これは、例えば、平面であり得る。誘導性素子158は、例えば、銅(比較的低い抵抗率を有する)から形成され得る。回路150は、誘導性素子158を通じて、DC電源104からの入力DC電流を、変動する、例えば交流の、電流へ変換するように配置される。回路150は、誘導性素子158を通じて変動電流を駆動するように配置される。
【0049】
サセプタ構成体110は、誘導性素子158からサセプタ構成体110への誘導エネルギー移動のために、誘導性素子158に対して配置される。サセプタ構成体110は、誘導加熱され得る任意の好適な材料、例えば、金属又は金属合金、例えば、鋼から形成され得る。いくつかの実装形態において、サセプタ構成体110は、鉄、ニッケル、及びコバルトなど、例となる金属のうちの1つ又はその組合せを含み得る強磁性材料を含み得るか、又はこれから全体的に形成され得る。いくつかの実装形態において、サセプタ構成体110は、非強磁性材料、例えば、アルミニウムを含み得るか、又はこれから全体的に形成され得る。変動電流が通っている誘導性素子158は、上に説明されるように、サセプタ構成体110がジュール加熱によって、及び/又は磁気ヒステリシス加熱によって加熱されることを引き起こす。サセプタ構成体110は、例えば、伝導、対流、及び/又は輻射加熱によって、エアロゾル生成材料116を加熱して、使用時にエアロゾルを生成するように配置される。いくつかの例では、サセプタ構成体110及びエアロゾル生成材料116は、エアロゾル生成デバイス100に挿入され得、及び/又はそこから取り外され得る一体型ユニットを形成し、また使い捨てであり得る。いくつかの例では、誘導性素子158は、例えば交換のために、デバイス100から取り外し可能であり得る。エアロゾル生成デバイス100は、携帯用であり得る。エアロゾル生成デバイス100は、エアロゾル生成材料116を加熱して、ユーザによる吸入のためにエアロゾルを生成するように配置され得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「エアロゾル生成材料」は、加熱時に、揮発した成分を、典型的には蒸気又はエアロゾルの形態で提供する材料を含むことが留意される。エアロゾル生成材料は、非タバコ含有材料、又はタバコ含有材料であり得る。例えば、エアロゾル生成材料は、タバコであり得るか、又はそれを含み得る。エアロゾル生成材料は、例えば、タバコそのもの、タバコ派生物、拡張タバコ、再生タバコ、タバコ抽出物、均質化タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数を含み得る。エアロゾル生成材料は、挽きタバコ、刻みラグタバコ、押出タバコ、再生タバコ、再生材料、液体、ゲル、ゲル化シート、粉末、又は塊等の形態にあり得る。エアロゾル生成材料はまた、他の非タバコ製品を含み得、製品に応じて、ニコチンを含有する場合とそうでない場合とがある。エアロゾル生成材料は、グリセロール又はプロピレングリコールなど、1つ又は複数の保湿剤を含み得る。
【0051】
図1に戻ると、エアロゾル生成デバイス100は、DC電源104、制御回路106、及び誘導性素子158を備える回路150を収容する外側本体112を具備する。この例ではサセプタ構成体110及びエアロゾル生成材料116を備える消耗品120もまた、使用のためにデバイス100を構成するために本体112へ挿入される。外側本体112は、使用時に生成されたエアロゾルがデバイス100から出ることを可能にするためにマウスピース114を備える。
【0052】
使用時、ユーザは、例えば、ボタン(図示せず)又はパフ検出器(図示せず)を介して回路106を活性化して、変動する、例えば交流の、電流を誘導性素子108に通し、以て、サセプタ構成体110を誘導加熱することができ、今度はこのサセプタ構成体110が、エアロゾル生成材料116を加熱し、以てエアロゾル生成材料116にエアロゾルを生成させる。エアロゾルは、吸入口(図示せず)からデバイス100内へ引き込まれる空気内へ生成され、以てマウスピース104へ運ばれ、ここでエアロゾルは、ユーザによる吸入のためにデバイス100から出る。
【0053】
誘導性素子158を備える回路150、並びにサセプタ構成体110及び/又はデバイス100全体は、エアロゾル生成材料を燃焼することなくエアロゾル生成材料116の少なくとも1つの成分を揮発させるためにある温度範囲までエアロゾル生成材料116を加熱するように配置され得る。例えば、温度範囲は、約50℃~約300℃の間、約100℃~約300℃の間、約150℃~約300℃の間、約100℃~約200℃の間、約200℃~約300℃の間、又は約150℃~約250℃の間など、約50℃~約350℃であり得る。いくつかの例では、温度範囲は、約170℃~約250℃の間であり得る。いくつかの例では、温度範囲は、この範囲以外のものであってもよく、温度範囲の上限は、300℃より大きい場合がある。
【0054】
例えば加熱の速度が大きい、例えばサセプタ構成体110の加熱中、サセプタ構成体110の温度とエアロゾル生成材料116の温度とには差がある場合があるということを理解されたい。したがって、いくつかの例では、サセプタ構成体110が加熱されて達する温度は、例えば、エアロゾル生成材料116が加熱されて達することが望まれる温度よりも高い場合がある。
【0055】
これより図2を参照すると、サセプタ構成体110の誘導加熱のための、共鳴回路である、例となる回路150が例証される。共鳴回路150は、並列接続されている誘導性素子158及びコンデンサ156を備える。
【0056】
共鳴回路150は、この例では第1のトランジスタM1及び第2のトランジスタM2を備えるスイッチング構成体M1、M2を具備する。第1のトランジスタM1及び第2のトランジスタM2は各々、第1の端子G、第2の端子D、及び第3の端子Sを備える。第1のトランジスタM1及び第2のトランジスタM2の第2の端子Dは、以下により詳細に説明されるように、並列の誘導性素子158及びコンデンサ156の組合せのいずれかの側に接続される。第1のトランジスタM1及び第2のトランジスタM2の第3の端子Sは各々、アース151に接続される。図2に例証される例では、第1のトランジスタM1及び第2のトランジスタM2は共にMOSFETであり、第1の端子Gはゲート端子であり、第2の端子Dはドレイン端子であり、第3の端子Sはソース端子である。
【0057】
代替の例では、他のタイプのトランジスタが、上に説明されるMOSFETの代わりに使用され得るということを理解されたい。
【0058】
共鳴回路150は、インダクタンスL及び静電容量Cを有する。共鳴回路150のインダクタンスLは、誘導性素子158によって提供され、誘導性素子158による誘導加熱のために配置されるサセプタ構成体110のインダクタンスによっても影響を受け得る。サセプタ構成体110の誘導加熱は、誘導性素子158によって生成される変動磁場を介するものであり、誘導性素子158は、上に説明される様式で、サセプタ構成体110内にジュール加熱及び/又は磁気ヒステリシス損失を誘導する。共鳴回路150のインダクタンスLの一部は、サセプタ構成体110の透磁率に起因し得る。誘導性素子158によって生成される変動磁場は、誘導性素子158を流れる、変動する、例えば交流の、電流によって生成される。
【0059】
誘導性素子158は、例えば、コイル状の導電素子の形態にあり得る。例えば、誘導性素子158は、銅コイルであり得る。誘導性素子158は、例えば、リッツ線などの多糸線、例えば、一緒に撚り合わせられているいくつかの個々に絶縁された線を含む線、を備え得る。多糸線のAC抵抗は、周波数の関数であり、多糸線は、誘導性素子の電力吸収が駆動周波数で減少されるような手法で構成され得る。別の例として、誘導性素子158は、例えば、印刷回路基板上のコイル状トラックであり得る。印刷回路基板上のコイル状トラックを使用することが有用であり得るのは、それが、低費用で高い再現性で大量生産され得る、多糸線(高価であり得る)のいかなる必要性も取り除く断面を有する剛性且つ自立式のトラックを提供するためである。1つの誘導性素子158が示されるが、1つ又は複数のサセプタ構成体110の誘導加熱のために配置される2つ以上の誘導性素子158が存在し得ることは容易に理解されるものとする。
【0060】
共鳴回路150の静電容量Cは、コンデンサ156によって提供される。コンデンサ156は、例えば、Class1セラミックコンデンサ、例えば、COG型コンデンサであり得る。合計静電容量Cはまた、共鳴回路150の浮遊静電容量を含み得るが、しかしながら、これは、コンデンサ156によって提供される静電容量と比較して、取るに足りないものであるか、又は取るに足りないものにされ得る。
【0061】
共鳴回路150の抵抗は図2に示されないが、回路の抵抗は、共鳴回路150の構成要素を接続するトラック若しくは線の抵抗、インダクタ158の抵抗、及び/又は、インダクタ158とのエネルギー移動のために配置されるサセプタ構成体110によって提供される共鳴回路150を流れる電流に対する抵抗によって提供され得ることを理解されたい。いくつかの例では、1つ又は複数の専用抵抗器(図示せず)が、共鳴回路150に含まれ得る。
【0062】
共鳴回路150は、DC電源104(図1を参照)から、例えば、バッテリーから提供されるDC供給電圧V1を供給される。DC電圧源V1の正端子は、第1の点159及び第2の点160において共鳴回路150に接続される。DC電圧源V1の負端子(図示せず)は、アース151、故に、この例では、MOSFET Ml及びM2両方のソース端子Sに接続される。例では、DC供給電圧V1は、バッテリーから直接、又は中間素子を介して、共鳴回路に供給され得る。
【0063】
したがって、共鳴回路150は、電気ブリッジとして接続され、ブリッジの2つのアームの間に誘導性素子158及びコンデンサ156が並列接続されている状態にあると考えられ得る。共鳴回路150は、以下に説明されるスイッチング効果をもたらすように作用し、これにより、誘導性素子158を通じて、変動電流、例えば交流、が引き込まれることを結果としてもたらし、こうして交流磁場を作り出し、サセプタ構成体110を加熱する。
【0064】
第1の点159は、誘導性素子158及びコンデンサ156の並列の組合せの第1の側に位置する第1のノードAに接続される。第2の点160は、誘導性素子158及びコンデンサ156の並列の組合せの第2の側に、第2のノードBに接続される。第1のチョークインダクタ161は、第1の点159と第1のノードAとの間に直列接続され、第2のチョークインダクタ162は、第2の点160と第2のノードBとの間に直列接続される。第1及び第2のチョーク161及び162は、AC周波数を第1の点159及び第2の点160それぞれから回路に入ることからフィルタアウトするが、DC電流がインダクタ158内へと、そこを通って引き込まれることを可能にするように作用する。チョーク161及び162は、A及びBにおける電圧が、第1の点159又は第2の点160におけるほとんど又は全く目に見えない効果により振動することを可能にする。
【0065】
この特定の例では、第1のMOSFET M1及び第2のMOSFET M2は、nチャネル強化モードMOSFETである。第1のMOSFET M1のドレイン端子は、導線又は同様のものを介して第1のノードAに接続される一方、第2のMOSFET M2のドレイン端子は、導線又は同様のものを介して第2のノードBに接続される。各MOSFET M1、M2のソース端子は、アース151に接続される。
【0066】
共鳴回路150は、第2の電圧源V2、ゲート電圧源(又は、時に、本明細書では制御電圧と称される)を備え、その正端子が、第1及び第2のMOSFET M1及びM2のゲート端子Gに電圧を供給するために使用される第3の点165に接続されている。この例での第3の点165において供給される制御電圧V2は、制御電圧V2に影響を及ぼすことなく電圧V1の変動を可能にする第1及び第2の点159、160において供給される電圧V1とは無関係である。第1のプルアップ抵抗器163は、第3の点165と第1のMOSFET M1のゲート端子Gとの間に接続される。第2のプルアップ抵抗器164は、第3の点165と第2のMOSFET M2のゲート端子Gとの間に接続される。
【0067】
他の例では、異なるタイプのFETなど、異なるタイプのトランジスタが使用され得る。以下に説明されるスイッチング効果は、「オン」状態から「オフ」状態へ切り替えることができる異なるタイプのトランジスタの場合も等しく達成され得るということを理解されたい。供給電圧V1及びV2の値及び極性は、使用されるトランジスタのプロパティ、及び回路内の他の構成要素と併せて選択され得る。例えば、供給電圧は、nチャネルトランジスタが使用されるか、pチャネルトランジスタが使用されるかに応じて、又は、トランジスタが接続される構成、若しくは、トランジスタがオン又はオフのいずれかであることを結果としてもたらす、トランジスタの端子にわたって印加される電位差の違いに応じて選択され得る。
【0068】
共鳴回路150は、第1のダイオードd1及び第2のダイオードd2をさらに備え、これは、この例では、ショットキーダイオードであるが、他の例では、任意の他の好適なタイプのダイオードが使用され得る。第1のMOSFET M1のゲート端子Gは、第1のダイオードd1の順方向が第2のMOSFET M2のドレインDの方を向いた状態で、第1のダイオードd1を介して第2のMOSFET M2のドレイン端子Dに接続される。
【0069】
第2のMOSFET M2のゲート端子Gは、第2のダイオードd2の順方向が第1のMOSFET M1のドレインDの方を向いた状態で、第2のダイオードd2を介して第1の第2のMOSFET M1のドレインDに接続される。第1及び第2のショットキーダイオードd1及びd2は、およそ0.3Vのダイオード閾値電圧を有し得る。他の例では、シリコンダイオードは、およそ0.7Vのダイオード閾値電圧を有して使用され得る。例では、使用されるダイオードのタイプは、MOSFET M1及びM2の所望の切り替えを可能にするように、ゲート閾値電圧と併せて選択される。ダイオードのタイプ及びゲート供給電圧V2はまた、プルアップ抵抗器163及び164の値、並びに共鳴回路150の他の構成要素と併せて選択され得る。
【0070】
共鳴回路150は、第1及び第2のMOSFET M1及びM2の切り替えに起因する変動電流である、誘導性素子158を通る電流を支持する。この例では、MOSFET M1及びM2が強化モードMOSFETであるため、MOSFETのうちの一方のゲート端子Gにおいて印加される電圧が、ゲート-ソース電圧がそのMOSFETのための既定の閾値よりも高いようなものであるとき、MOSFETは、オン状態にされる。次いで電流が、ドレイン端子Dから、接地151に接続されるソース端子Sへ流れ得る。このようなオン状態にあるMOSFETの直列抵抗は、回路の動作の目的にとっては取るに足りないものであり、ドレイン端子Dは、MOSFETがオン状態にあるとき接地電位にあると考えられ得る。MOSFETのためのゲート-ソース閾値は、共鳴回路150のための任意の好適な値であり得、また、電圧V2の大きさ、並びに抵抗器164及び163の抵抗は、MOSFET M1及びM2のゲート-ソース閾値電圧に応じて選択され、本質的にその結果として、電圧V2はゲート閾値電圧(複数可)よりも大きい、ということを理解されたい。
【0071】
誘導性素子158を流れる変動電流を結果としてもたらす共鳴回路150のスイッチング手順は、第1のノードAにおける電圧が高く、第2のノードBにおける電圧が低い状態から始まって、これより説明される。
【0072】
ノードAにおける電圧が高いとき、第1のMOSFET M1のドレイン端子Dにおける電圧も高いが、これは、M1のドレイン端子が、導線により、この例では直接、ノードAに接続されることが理由である。同時に、ノードBにおける電圧は低く保たれ、第2のMOSFET M2のドレイン端子Dにおける電圧は、それに応じて低い(M2のドレイン端子は、導線により、この例では直接、ノードBに接続される)。
【0073】
したがって、この時、M1のドレイン電圧の値は高く、M2のゲート電圧よりも大きい。したがって、第2のダイオードd2は、この時、逆バイアスされる。この時のM2のゲート電圧は、M2のソース端子電圧よりも大きく、電圧V2は、M2におけるゲート-ソース電圧がMOSFET M2のためのオン閾値よりも大きいようなものである。したがって、M2はこの時オンである。
【0074】
同時に、M2のドレイン電圧は低く、第1のダイオードd1は、M1のゲート端子へのゲート電圧源V2に起因して順方向バイアスされる。したがって、M1のゲート端子は、順方向バイアスされた第1のダイオードd1を介して、第2のMOSFET M2の低電圧ドレイン端子に接続され、したがって、M1のゲート電圧も低い。言い換えると、M2がオンであるため、それは、接地クランプとして機能し、このことが、第1のダイオードd1が順方向バイアスされること、及びM1のゲート電圧が低いことを結果としてもたらす。そのようなものとして、M1のゲート-ソース電圧は、オン閾値未満であり、第1のMOSFET M1はオフである。
【0075】
要するに、この時点で、回路150は、
ノードAにおける電圧が高い、
ノードBにおける電圧が低い、
第1のダイオードd1が順方向バイアスされる、
第2のMOSFET M2がオンである、
第2のダイオードd2が逆バイアスされる、及び
第1のMOSFET M1がオフである、
という、第1の状態にある。
【0076】
第2のMOSFET M2がオン状態にあり、且つ第1のMOSFET M1がオフ状態にあるという、この時から、電流は、供給源V1から第1のチョーク161を通り、誘導性素子158を通って引き込まれる。誘導チョーク161の存在に起因して、ノードAにおける電圧は、自由に振動する。誘導性素子158がコンデンサ156と並列であるため、ノードAにおける観察電圧は、半正弦波電圧プロファイルのものに倣う。ノードAにおける観察電圧の周波数は、回路150の共鳴周波数fに等しい。
【0077】
ノードAのエネルギー減衰の結果として、ノードAにおける電圧は、その最大値から0に向かって次第に正弦曲線状に減少する。ノードBにおける電圧は、低く保たれ(MOSFET M2がオンであるため)、インダクタLは、DC供給源V1から充電される。MOSFET M2は、ノードAにおける電圧がM2のゲート閾値電圧にd2の順方向バイアス電圧を足したものに等しいか、それ未満である時点においてオフに切り替えられる。ノードAにおける電圧が最終的にゼロに達したとき、MOSFET M2は、完全にオフになる。
【0078】
同時に、又は直後に、ノードBにおける電圧が高くなる。これは、誘導性素子158とコンデンサ156との間のエネルギーの共鳴移動に起因して発生する。ノードBにおける電圧が、このようなエネルギーの共鳴移動に起因して高くなるとき、ノードA及びB並びにMOSFET M1及びM2に関して上に説明される状況は逆にされる。即ち、Aにおける電圧がゼロに向かって減少すると、M1のドレイン電圧が減少される。M1のドレイン電圧は、第2のダイオードd2がもはや逆バイアスされず、順方向バイアスされるようになるところまで減少する。同様に、ノードBにおける電圧は、その最大値まで上昇し、第1のダイオードd1は、順方向バイアスから逆バイアスへと切り替わる。これが起こると、M1のゲート電圧は、M2のドレイン電圧にもはや結合されず、したがってM1のゲート電圧は、ゲート供給電圧V2の印加のもとで、高くなる。したがって、第1のMOSFET M1は、そのゲート-ソース電圧が、ここではスイッチオンの閾値を上回ることから、オン状態へと切り替えられる。M2のゲート端子はこのとき、順方向バイアスされた第2のダイオードd2を介してM1の低電圧ドレイン端子に接続されているため、M2のゲート電圧は低い。したがって、M2は、オフ状態に切り替えられる。
【0079】
要するに、この時点で、回路150は、
ノードAにおける電圧が低い、
ノードBにおける電圧が高い、
第1のダイオードd1が逆バイアスされる、
第2のMOSFET M2がオフである、
第2のダイオードd2が順方向バイアスされる、及び
第1のMOSFET M1がオンである、
という、第2の状態にある。
【0080】
この時点で、電流は、供給電圧V1から第2のチョーク162を通じて誘導性素子158を通って引き込まれる。したがって、電流の方向は、共鳴回路150のスイッチング動作に起因して逆にされている。共鳴回路150は、第1のMOSFET M1がオフであり、第2のMOSFET M2がオンである上記の第1の状態と、第1のMOSFET M1がオンであり、第2のMOSFET M2がオフである上記の第2の状態とで切り替わり続ける。
【0081】
動作の安定状態において、エネルギーは、静電領域(即ち、コンデンサ156内)と磁気領域(即ち、インダクタ158)との間で移動され、また逆も然りである。
【0082】
正味のスイッチング効果は、静電領域(即ち、コンデンサ156内)と磁気領域(即ち、インダクタ158)との間でエネルギーを移動させる共鳴回路150内の電圧振動に応答しており、こうして、共鳴回路150の共鳴周波数によって変化する並列LC回路内の時間的に変動する電流を作り出す。これは、回路150がその最適効率レベルで動作し、したがって、オフ共鳴で動作する回路と比較してエアロゾル生成材料116のより効率的な加熱を達成することから、誘導性素子158とサセプタ構成体110との間のエネルギー移動に有利である。説明されたスイッチング構成体は、それが、回路150が変動負荷条件下において共鳴周波数で自ら駆動することを可能にするため、有利である。これが意味することは、回路150のプロパティが変化する場合(例えば、サセプタ110が存在するか否か、又はサセプタの温度が変化するかどうか、或いはサセプタ素子110の物理的運動)、回路150の動的性質が、その共鳴点を連続的に適合させて、最適な方式でエネルギーを移動させるということであり、したがって、回路150が常に共鳴で駆動されることを意味する。さらに、回路150の構成は、制御電圧信号をMOSFETのゲートに印加してスイッチングをもたらすために外部制御装置又は同様のものが必要とされないようなものである。
【0083】
図2を参照した上に説明される例では、ゲート端子Gには、ソース電圧V1のための電源とは異なる第2の電源によりゲート電圧が供給される。しかしながら、いくつかの例では、ゲート端子は、ソース電圧V1と同じ電圧源により供給され得る。そのような例では、回路150内の第1の点159、第2の点160、及び第3の点165は、例えば、同じ電源レールに接続され得る。そのような例では、回路の構成要素のプロパティは、説明されたスイッチング動作が発生することを可能にするように選択されなければならないということを理解されたい。例えば、ゲート供給電圧及びダイオード閾値電圧は、回路の振動が適切なレベルでMOSFETの切り替えをトリガするように選択されなければならない。ゲート供給電圧V2及びソース電圧V1のための別個の電圧値の提供は、ソース電圧V1が、回路のスイッチング機序の動作に影響を及ぼすことなく、ゲート供給電圧V2とは無関係に変動されることを可能にする。
【0084】
回路150の共鳴周波数fは、MHz範囲内、例えば、範囲0.5MHz~4MHz、例えば、範囲2MHz~3MHzにあり得る。共鳴回路150の共鳴周波数fは、上述のように、回路150のインダクタンスL及び静電容量Cに依存し、そしてこのインダクタンスL及び静電容量Cは、誘導性素子158、コンデンサ156、及び追加的にサセプタ構成体110に依存するということを理解されたい。そのようなものとして、回路150の共鳴周波数fは、実装ごとに様々であり得る。例えば、周波数は、範囲0.1MHz~4MHz内、又は0.5MHz~2MHzの範囲内、又は範囲0.3MHz~1.2MHz内にあり得る。他の例では、共鳴周波数は、上に説明されるものとは異なる範囲内にあり得る。一般的に、共鳴周波数は、サセプタ構成体110を含む、使用する構成要素の電気的及び/又は物理的プロパティなど、回路の特性に依存する。
【0085】
共鳴回路150のプロパティは、所与のサセプタ構成体110のための他の因子に基づいて選択され得るということも理解されたい。例えば、誘導性素子158からサセプタ構成体110へのエネルギーの移動を向上させるためには、サセプタ構成体110の材料プロパティに基づいて表皮深さ(即ち、少なくとも周波数の関数である、1/e倍だけ電流密度が入るサセプタ構成体110の表面からの深さ)を選択することが有用であり得る。表皮深さは、サセプタ構成体110の異なる材料では異なり、駆動周波数が増加するにつれて減少する。その一方で、例えば、電子装置内で熱として損失される共鳴回路150及び/又は駆動素子102に供給される電力の割合を減少させるためには、比較的低い周波数で自ら駆動する回路を有することが有益な場合がある。この例では駆動周波数は共鳴周波数に等しいため、駆動周波数に関するここでの検討事項は、例えば、サセプタ構成体110を設計すること、及び/又は特定の静電容量を有するコンデンサ156及び特定のインダクタンスを有する誘導性素子158を使用することによって、適切な共鳴周波数を獲得することに関する。いくつかの例では、したがって、これらの因子の折衷案が、必要に応じて及び/又は所望の通りに選択され得る。
【0086】
図2の共鳴回路150は、電流Iが最小限にされ、且つ動的インピーダンスが最大限にされる共鳴周波数fを有する。共鳴回路150は、この共鳴周波数で自ら駆動し、したがって、インダクタ158によって生成される振動磁場は最大であり、誘導性素子158によるサセプタ構成体110の誘導加熱は最大限にされる。
【0087】
いくつかの例では、共鳴回路150によるサセプタ構成体110の誘導加熱は、共鳴回路150に提供される供給電圧を制御することによって制御され得、そしてこれにより、共鳴回路150内を流れる電流を制御することができ、故に、共鳴回路150によってサセプタ構成体110へ移動されるエネルギー、及び故にサセプタ構成体110が加熱される度合いを制御することができる。他の例では、サセプタ構成体110の温度は、例えば、サセプタ構成体110がより大きい度合いまで加熱されるべきか、より小さい度合いまで加熱されるべきかに応じて、誘導性素子158への電圧供給を変更することによって(例えば、供給される電圧の大きさを変更することによって、又はパルス幅変調電圧信号のデューティサイクルを変更することによって)、モニタ及び制御され得るということを理解されたい。
【0088】
上で述べたように、共鳴回路150のインダクタンスLは、サセプタ構成体110の誘導加熱のために配置される誘導性素子158によって提供される。共鳴回路150のインダクタンスLの少なくとも一部は、サセプタ構成体110の透磁率に起因する。したがって、インダクタンスL、及び故に共鳴回路150の共鳴周波数fは、時折変わり得る、使用される特定のサセプタ(複数可)及び誘導性素子(複数可)158に対するその位置付けに依存し得る。さらに、サセプタ構成体110の透磁率は、サセプタ110の変動温度と共に変化し得る。
【0089】
本明細書に説明される例では、サセプタ構成体110は、消耗品内に含まれ、したがって交換可能である。例えば、サセプタ構成体110は、使い捨てであり得、例えば、加熱するように配置されるエアロゾル生成材料116と一体型であり得る。共鳴回路150は、サセプタ構成体110が交換される限り、異なるサセプタ構成体110間の構造及び/若しくは材料タイプの違い、並びに/又は誘導性素子158に対するサセプタ構成体110の配置の違いに自動的に対応して、回路が共鳴周波数で駆動されることを可能にする。さらには、共鳴回路は、特定の誘導性素子158、又は実際には、使用される共鳴回路150のいかなる構成要素にもかかわらず、共鳴で自ら駆動するように構成される。これは、サセプタ構成体110に関してだけでなく回路150の他の構成要素に関しても、両方の製造における変動を受容するのに特に有用である。例えば、共鳴回路150は、異なる値のインダクタンスを有する異なる誘導性素子158の使用、及び/又はサセプタ構成体110に対する誘導性素子158の配置の違いにかかわらず、回路が共鳴周波数で自ら駆動したままであることを可能にする。回路150はまた、構成要素がデバイスの寿命にわたって交換されるとしても、共鳴で自ら駆動することができる。
【0090】
共鳴回路150を備えるエアロゾル生成デバイス100の動作が、これより例に従って説明される。デバイス100がオンにされる前、デバイス100は、‘オフ’状態にあり得、即ち、共鳴回路150に電流は流れていない。デバイス150は、例えば、ユーザがデバイス100をオンにすることによって‘オン’状態へ切り替えられる。デバイス100をオンに切り替えると、共鳴回路150は、電圧源104から電流を引き込み始め、誘導性素子158を通る電流は、共鳴周波数fで変動する。デバイス100は、さらなる入力が制御装置106によって受信されるまで、例えば、ユーザがもはやボタン(図示せず)を押さなくなるまで、又はパフ検出器(図示せず)がもはや活性化されていない、又は最大加熱持続時間が経過するまで、オン状態のままであり得る。共鳴周波数fで駆動されている共鳴回路150は、所与の電圧について、交流Iが共鳴回路150及び誘導性素子158内に流れるようにし、故に、サセプタ構成体110が誘導加熱されるようにする。サセプタ構成体110が誘導加熱されると、その温度(及び故に、エアロゾル生成材料116の温度)は上昇する。この例では、サセプタ構成体110(及びエアロゾル生成材料116)は、それが安定した温度TMAXに到達するように加熱される。温度TMAXは、相当量のエアロゾルがエアロゾル生成材料116によって生成される温度に実質的にあるか、又はそれを上回る、温度であり得る。温度TMAXは、例えば、およそ200~およそ300℃の間であり得る(当然ながら、材料116、サセプタ構成体110、デバイス100全体の構成、並びに/又は他の要件及び/若しくは条件に応じて、異なる温度であり得る)。したがって、デバイス100は、‘加熱’状態又はモードにあり、エアロゾル生成材料116は、エアロゾルが実質的に生産されている、又は相当量のエアロゾルが生産されている温度に到達する。すべての場合でないにしろ、大半の場合、サセプタ構成体110の温度が変化すると、共鳴回路150の共鳴周波数fも変化するということを理解されたい。これは、サセプタ構成体110の透磁率が温度の関数であり、また上で説明されるように、サセプタ構成体110の透磁率が、誘導性素子158とサセプタ構成体110との結合、及び故に共鳴回路150の共鳴周波数fに影響を与えるためである。
【0091】
本開示は、主に、LC並列回路構成を説明する。上で述べたように、共鳴でのLC並列回路の場合、インピーダンスは最大であり、電流は最小である。電流が最小であることは、概して、電流が、並列LCループの外側、例えば、チョーク161の左側、又はチョーク162の右側で観察されることを指すということに留意されたい。逆に、直列LC回路において、電流は最大であり、一般的に言うと、電流を安全な値に制限するために抵抗器が挿入されることが必要とされ、さもなければ、回路内の特定の電気構成要素に損傷を及ぼし得る。これは、一般的には、エネルギーが抵抗器を通じて失われることから、回路の効率を低下させる。共鳴で動作する並列回路は、そのような制限を必要としない。
【0092】
いくつかの例では、サセプタ構成体110は、アルミニウムを含むか、又はこれからなる。アルミニウムは、非鉄材料の例であり、そのようなものとして1に近い相対透磁率を有する。これが意味することは、アルミニウムが、印加された磁場に応答して全体的に低い度合いの磁化を有するということである。故に、エアロゾル提供システムに使用されるものなどの低電圧では特に、アルミニウムを誘導加熱することは困難であると一般的に考えられている。共鳴周波数で回路を駆動することは、これが、誘導性素子158とサセプタ構成体110との最適結合を提供することから有利であるということも一般的に分かっている。アルミニウムの場合、共鳴周波数からの僅かな逸脱が、サセプタ構成体110と誘導性素子158との誘導結合における目立った減少、及び故に、加熱効率の目立った減少(いくつかの場合においては、加熱がもはや観察されない程度まで)を引き起こすことが観察される。上で述べたように、サセプタ構成体110の温度が変化すると、回路150の共鳴周波数も変化する。したがって、サセプタ構成体110が、アルミニウムなどの非鉄サセプタを含む、又はこれからなる場合、本開示の共鳴回路150は、回路が常に共鳴周波数で駆動される(いかなる外部制御機序とも無関係に)ということにおいて有利である。これは、最大誘導結合及び故に最大加熱効率が常に達成され、アルミニウムが効率的に加熱されることを可能にすることを意味する。アルミニウムサセプタを含む消耗品は、消耗品が、閉電気回路を形成する、及び/又は50ミクロン未満の厚さを有するアルミニウムラップを含むときに、効率的に加熱され得るということが分かっている。
【0093】
サセプタ構成体110が消耗品の部分を形成する例では、消耗品は、国際出願PCT/EP2016/070178に説明されるものの形態をとり得、この全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0094】
デバイス100は、使用時にサセプタ構成体110の温度を決定するための温度決定部を備える。図1に例証されるように、温度決定部は、制御回路106、例えば、デバイス100の動作全体を制御するプロセッサであり得る。温度決定部106は、共鳴回路150がDC電圧源V1からのDC電流及びDC電圧源V1のDC電圧で駆動されている周波数に基づいて、サセプタ構成体110の温度を決定する。
【0095】
理論に束縛されることを望むものではないが、以下の説明は、本明細書に説明される例におけるサセプタ構成体110の温度が決定されることを可能にする共鳴回路150の電気的及び物理的プロパティの関係の導出を説明する。
【0096】
使用時、誘導性素子158及びコンデンサ156の並列の組合せの共鳴におけるインピーダンスは、動的インピーダンスRdynである。
【0097】
上で説明されたように、スイッチング構成体M1及びM2の動作は、DC電圧源V1から引き込まれるDC電流が、誘導性素子158及びコンデンサ156を流れる交流へ変換されることを結果としてもたらす。誘導交流電圧もまた、誘導性素子158及びコンデンサ156にわたって生成される。
【0098】
共鳴回路150の振動性の性質の結果として、振動性回路内へ向いているインピーダンスは、(電圧源V1の)所与のソース電圧Vの場合Rdynである。電流Iは、Rdynに応答して引き込まれる。したがって、共鳴回路150の負荷のインピーダンスRdynは、効果的な電圧及び電流引き込みのインピーダンスと同一視され得る。これが、以下の等式(1)のように、例えば、DC電圧V及びDC電流Iの決定、例えばこれらの値を測定することにより、負荷のインピーダンスが決定されることを可能にする。
【数2】
【0099】
共鳴周波数fでは、動的インピーダンスRdynは、
【数3】

であり、式中、パラメータrは、誘導性素子158の実効集合抵抗及びサセプタ構成体110(存在するとき)の影響を表すと考えられ得、また上に説明されるように、Lは誘導性素子158のインダクタンスであり、Cはコンデンサ156の静電容量である。パラメータrは、実効集合抵抗として本明細書では説明される。以下の説明から理解されるように、パラメータrは、抵抗の単位(オーム)を有するが、特定の状況においては、回路150の物理的な/実際の抵抗を表すと考えられない場合がある。
【0100】
上に説明されるように、誘導性素子158のインダクタンスはここでは、誘導性素子158とサセプタ構成体110との相互作用を考慮する。そのようなものとして、インダクタンスLは、サセプタ構成体110のプロパティ及び誘導性素子158に対するサセプタ構成体110の位置に依存する。誘導性素子158の、及び故に共鳴回路150の、インダクタンスLは、数ある中でも、サセプタ構成体110の透磁率μに依存する。透磁率μは、ある物質が自らの中に磁場を形成するのをサポートする能力の尺度であり、印加された磁場に応答して物質が獲得する磁化の度合いを表現する。サセプタ構成体110を構成する物質の透磁率μは、温度により変化し得る。
【0101】
等式(1)及び(2)から、以下の等式(3)が獲得され得る。
【数4】
【0102】
インダクタンスL及び静電容量Cに対する共鳴周波数fの関係は、以下の等式(4a及び4b)によって与えられる少なくとも2つの手法でモデル化され得る。
【数5】
【0103】
等式(4a)は、インダクタL及びコンデンサCを備える並列LC回路を使用してモデル化されるような共鳴周波数を表す一方、等式(4b)は、インダクタLと直列で追加の抵抗器rを有する並列LC回路を使用してモデル化されるような共鳴周波数を表す。等式(4b)では、rがゼロに向かうと、等式(4b)は等式(4a)に向かうということを理解されたい。
【0104】
以下においては、rは小さいものと仮定し、それ故に、等式(4a)を利用することができる。以下に説明されるように、この近似は、それが、Lの表現内で回路150内の変化(例えば、インダクタンス及び温度)を組み合わせるため、うまく機能する。等式(3)及び(4a)から、以下の式が獲得され得る。
【数6】
【0105】
等式(5)は、測定可能な量又は既知の量に関してパラメータrの式を提供するということを理解されたい。パラメータrは、共鳴回路150内の誘導結合によって影響を受けるということをここでは理解されたい。装填されているとき、即ち、サセプタ構成体が存在するとき、パラメータrの値が小さいと考えることができるというのは当てはまらない場合がある。そのような場合、パラメータrは、もはや集合抵抗の正確な表示ではない場合があり、むしろ回路150内の効果的な誘導結合によって影響を受けるパラメータである。パラメータrは、サセプタ構成体110のプロパティ、並びにサセプタ構成体の温度Tに依存する動的パラメータであるとされる。DCソースVの値は、知られている(例えば、バッテリー電圧)か、又は、電圧計によって測定され得、DC電圧源V1から引き込まれるDC電流Iの値は、任意の好適な手段によって、例えば、ソース電圧Vを測定するために適切に置かれた電圧計の使用によって、測定され得る。
【0106】
周波数fは、その後パラメータrが獲得されることを可能にするために、測定及び/又は決定され得る。
【0107】
1つの例では、周波数fは、周波数-電圧(F/V)変換器210の使用により測定され得る。F/V変換器210は、例えば、第1のMOSFET M1又は第2のMOSFET M2のうちの一方のゲート端子に結合され得る。他のタイプのトランジスタが回路のスイッチング機序において使用される例では、F/V変換器210は、ゲート端子に、又はトランジスタのうちの一方のスイッチング周波数に等しい周波数を有する周期電圧信号を提供する他の端子に、結合され得る。したがって、F/V変換器210は、共鳴回路150の共鳴周波数fを表しているMOSFET M1、M2のうちの一方のゲート端子から信号を受信し得る。F/V変換器210によって受信される信号は、近似的に、共鳴回路210の共鳴周波数を表している周期を持つ方形波表示であり得る。このとき、F/V変換器210は、出力電圧として共鳴周波数fを表すためにこの周期を使用し得る。
【0108】
したがって、Cがコンデンサ156の静電容量の値から知られており、またV、I、及びfが測定され得る場合、上に説明されるような例では、パラメータrは、これらの測定された値及び既知の値から決定され得る。
【0109】
誘導性素子158のパラメータrは、温度の関数として、及びさらにインダクタンスLの関数として変化する。これは、共鳴回路150が「無負荷」状態にあるとき、即ち、誘導性素子158がサセプタ構成体110に誘導結合されていないとき、パラメータrが第1の値を有し、回路が「負荷」状態へと動くとき、即ち、誘導性素子158及びサセプタ構成体110が互いと誘導結合されるとき、rの値が変化することを意味する。
【0110】
本明細書で説明される方法を使用してサセプタ構成体110の温度を決定する際、回路は、「負荷」状態にあるか、又は「無負荷」状態にあるかが考慮される。例えば、特定の構成にある誘導性素子158のパラメータrの値は、知られている場合があり、回路が「負荷」であるか「無負荷」であるかを決定するために測定値と比較され得る。例では、共鳴回路150が無負荷であるか負荷であるかは、制御回路106が、サセプタ構成体110の挿入を検出する、例えば、サセプタ構成体110を含む消耗品のデバイス100内への挿入を検出することによって決定され得る。サセプタ構成体110の挿入は、例えば、光学センサ又は容量センサなどの任意の好適な手段によって検出され得る。他の例では、パラメータrの無負荷値は、知られており、制御回路106に格納されている場合がある。いくつかの例では、サセプタ構成体110は、デバイス100の一部を備え得るため、共鳴回路150は、継続的に負荷状態にあると考えられ得る。
【0111】
サセプタ構成体110が誘導性素子158に誘導結合されている状態で、共鳴回路150が負荷状態にあることが決定されると、又はそうであることが仮定され得ると、パラメータrの変化は、サセプタ構成体110の温度の変化を示すものであると仮定され得る。例えば、rの変化は、誘導性素子158によるサセプタ構成体110の加熱を示すと考えられ得る。
【0112】
デバイス100(又は事実上、共鳴回路150)は、温度決定装置106がパラメータrの測定値に基づいてサセプタ構成体110の温度を決定することを可能にするように校正され得る。
【0113】
校正は、パラメータrの複数の所与の値において、熱電対などの好適な温度センサを用いてサセプタ構成体110の温度Tを測定し、Tに対するrのプロットを取ることによって、共鳴回路150自体(又は校正目的のために使用される同一の試験回路)に対して実施され得る。
【0114】
図3は、x軸上の共鳴回路150の動作の時間tに対してy軸上に示されるV、I、r、及びTの測定された値の例を示す。約4Vの本質的に一定のDC供給電圧Vsにおいて、およそ30秒の時間tにわたって、DC電流Iは、約2.5Aから約3Aへ増加し、パラメータrは、約1.7~1.8Ωから約2.5Ωへ増加するということが見て分かる。同時に、温度Tは、約20~25℃から約250~260℃へ増加する。
【0115】
図4は、図3に示され上に説明されるr及びTの値に基づいた校正グラフを示す。図4では、サセプタ構成体110の温度Tは、y軸上に示される一方、パラメータrは、x軸上に示される。図4の例では、関数は、rに対するTのプロットにフィットされており、これは、この例では三次多項式関数である。関数は、温度Tにおける変化に対応するrの値にフィットされる。上で述べたように、パラメータrの値はまた、無負荷状態(サセプタ構成体110が存在しないとき)と負荷状態(サセプタ構成体110が存在するとき)との間で変化し得るが、これは図4には示されない。したがって、そのような校正のためにプロットされるように選択されるrの範囲は、回路における変化、例えば、「負荷」状態と「無負荷」状態との間での変化に起因するrのいかなる変化も除外するように選択され得る。他の例では、他の関数が、プロットにフィットされ得、r及びTについての値のアレイが、ルックアップ形式で、例えば、ルックアップテーブルに、格納され得る。上で述べたように、負荷状態では、rは小さいと考えない場合があるが、等式4aの近似は、依然として温度の正確な追跡を可能にすることが分かった。理論に束縛されることを望むものではないが、回路の様々な電気的及び磁気的パラメータの変化は、等式4aのLの値に「まとめられている」と考えられる。
【0116】
使用中、温度決定装置106は、DC電圧V、DC電流I、及び周波数fの値を受信し、上の等式5に従ってパラメータrの値を決定する。温度決定装置は、例えば、図4に例証されるものなどの関数を使用して温度を計算すること、又は上に説明されるような校正によって獲得されるパラメータr及び温度Tの値のテーブルにおいてルックアップを実施することによって、パラメータrの計算された値を使用してサセプタ構成体110の温度の値を決定する。
【0117】
いくつかの例では、これは、制御回路106がサセプタ110の決定された温度に基づいて行動をとることを可能にし得る。例えば、電圧源は、決定されたサセプタ温度Tが既定値を上回る場合、オフに切り替えられるか、又は低くされ得る(供給される電圧を低くすることか、又はパルス幅変調スキームを使用している場合にはデューティサイクルを変更することにより、供給される平均電圧を低くすることのいずれかを通じて)。
【0118】
いくつかの例では、パラメータrから温度Tを決定する方法は、Tとrとの関係を仮定すること、rの変化を決定すること、及びrの変化から温度Tにおける変化を決定することを含み得る。
【0119】
図4は、特定のサセプタ構成体110幾何形状、材料タイプ、及び/又は誘導性素子158に対する相対的位置付けを表すものである単一の校正曲線を表す。いくつかの実装形態において、おおむね同様のサセプタ構成体110がデバイス100において使用されることになる実装形態では特に、単一の校正曲線は、例えば製造公差を説明するのに十分であり得る。言い換えると、(rの決定された値からの)温度測定値における誤差は、単一のサセプタ構成体110の様々な製造公差を説明するために許容可能であり得る。したがって、制御回路106は、rの値を決定することに続いて温度Tの値を決定する(例えば、上のように多項式曲線又はルックアップテーブルを使用して)という動作を実施するように構成される。
【0120】
他の例、特に、サセプタが異なる形状を有する、及び/又は異なる材料で形成される例では、異なる校正曲線(例えば、異なる三次多項式)が、これらの異なるサセプタ構成体110に対して必要とされ得る。図5は、3つの校正曲線のセットの基本表現を示し、これらの各々に対して、関連した多項式関数がフィットされている(図示せず)。図4と同様、サセプタ構成体110の温度Tは、y軸上に示される一方、実効集合抵抗rは、x軸上に示される。単に例として、及び例証の目的のためだけに、曲線Aは、鋼サセプタを表すものであり得、曲線Bは、鉄サセプタを表すものであり得、曲線Cは、アルミニウムサセプタを表すものであり得る。
【0121】
異なるサセプタ構成体110が受容及び加熱され得るエアロゾル生成デバイス100において、制御回路106は、校正曲線のうちのどれが(例えば、図5の曲線A、B、又はCから選択する)、挿入されたサセプタ構成体110のために使用するのに正しい曲線であるかを決定するようにさらに構成され得る。1つの例では、エアロゾル生成デバイス100には、デバイス100と関連付けられた温度を測定するように構成される温度センサが装着され得る(図示せず)。1つの実装形態において、温度センサは、デバイス100を取り囲む環境の温度(即ち、周囲温度)を検出するように構成され得る。この温度は、サセプタ構成体が挿入前に現在置かれている環境以外のいかなる他の手段によっても温められていないことを前提に、デバイス110内への挿入直前のサセプタ構成体110の温度を表すものであり得る。他の例では、温度センサは、消耗品120を受容するように構成されるチャンバの温度を測定するように構成され得る。
【0122】
図5によっておおむね示されるように、rの値は、等式(5)に基づいて決定され得る(rdet)。rdetは、サセプタ構成体110がデバイス100内に置かれるとすぐ(誘導性素子158が現在アクティブである場合)、又は誘導性素子158が活性化されるとすぐ(即ち、電流が回路150に流れ始めるとすぐ)のいずれかにおいて測定される。即ち、rdetは、好ましくは、誘導性素子158からのエネルギー移動によって引き起こされるいかなる追加の加熱もないときに決定される。図5に見られるように、所与のrdetについて、各々が校正曲線のうちの1つの点に対応する複数の考えられる温度(T1、T2、及びT3)が存在する。どの校正曲線がデバイス100内に現在挿入されているサセプタ構成体110のための使用に最も適切であるかを区別するため、制御回路106は、まず、rの値を決定するように構成される(上に説明されるように)。制御回路106は、温度センサから温度測定値(又は温度測定値を示すもの)を獲得/受信し、この温度測定値を、校正曲線の各々(又は校正曲線のサブセット)についての決定されたr値に対応する温度値と比較するように構成される。例として、及び図5を参照して、温度センサは、T1に等しい温度tを検知し、次いで制御回路は、検知された温度Tを、各校正曲線A、B、及びCについての決定されたr値に対応する3つの温度値、T1、T2、T3と比較する。比較の結果に応じて、制御回路は、測定/検知された温度値に最も近い温度値を有する校正曲線をそのサセプタ構成体110のための校正曲線として設定する。上の例では、校正曲線Aは、制御回路106により、挿入されたサセプタ110のための校正曲線として設定される。その後、rの値が制御回路106によって決定される度に、サセプタ構成体110の温度は、選択された校正曲線(曲線A)に基づいて計算される。校正曲線が選択/設定されると上では説明されているが、これは、曲線を表す多項式が選択されること、又は、例えばルックアップテーブル内の、曲線に対応する校正値のセットが選択され得ることのいずれかを意味し得るということを理解されたい。
【0123】
この点に関して、上に説明される比較ステップは、任意の好適な比較アルゴリズムに従って実施され得る。例えば、検知された温度tがT1とT2の間であるとする。制御回路106は、使用されるアルゴリズムに応じて曲線A又は曲線Bのいずれかを選択し得る。アルゴリズムは、最も小さい差を有する曲線(即ち、T2-t又はt-T1のうちのどちらか最も小さい方)を選択し得る。最も大きい値(この場合はT2)を選択することなど、他のアルゴリズムが実施される場合がある。本開示の原理は、この点に関して特定のアルゴリズムに限定されない。
【0124】
加えて、制御回路106は、特定の状態において校正曲線を決定するためのプロセスを繰り返すように構成され得る。例えば、デバイスの電源が入れられる度に、制御回路106は、適切な時間に(例えば、誘導性素子158が最初に電流を供給されるとき)適切な曲線を特定するプロセスを繰り返すように構成され得る。この点に関して、デバイス100は、バッテリーからの電力が制御回路106に供給される(が、共鳴回路150には供給されない)初期電源オン状態など、いくつかの動作モードを有し得る。この状態は、例えば、ユーザがデバイス100の表面上のボタンを押すことによる遷移であり得る。デバイス100はまた、電力が追加的に共鳴回路150に供給されるエアロゾル生成モードを有し得る。これは、ボタン又はパフセンサ(上に説明されるような)のいずれかにより活性化され得る。故に、制御回路106は、エアロゾル生成モードが最初に選択されるときに適切な校正曲線を選択するためのプロセスを繰り返すように構成され得る。代替的に、制御回路106は、サセプタ構成体がデバイス100から取り外される(又は挿入される)ときを決定するように構成され得、また、次の適切な機会に、校正曲線を決定するためのプロセスを繰り返すように構成される。
【0125】
制御回路が、等式4a及び5を利用することが上に説明されているが、同じ又は同様の効果を達成する他の等式が、本開示の原則に従って使用され得るということを理解されたい。1つの例では、Rdynは、回路150内の電流及び電圧のAC値に基づいて計算され得る。例えば、ノードAにおける電圧が測定され得、これはVとは異なることが分かっており、本明細書ではこの電圧を電圧VACと呼ぶ。VACは、任意の好適な手段により実際的に測定され得るが、並列LCループ内のAC電圧である。これを使用して、AC及びDC電力を同一視することによって、AC電流IACを決定することができる。即ち、VACAC=Vである。パラメータV及びIは、等式5、又はパラメータrのための任意の他の好適な等式において、それらのAC等価物で置き換えられ得る。この場合、校正曲線の異なるセットが実現され得るということを理解されたい。
【0126】
上の説明は、共鳴周波数で自己駆動するように構成される回路150の文脈において温度測定の動作の概念を説明しているが、上記概念は、共鳴周波数で駆動されるように構成されない誘導加熱回路にも適用可能である。例えば、サセプタの温度を決定する上記の方法は、回路の共鳴周波数ではない場合がある既定の周波数で動作される誘導加熱回路と共に用いられ得る。1つのそのような例では、誘導加熱回路は、複数のMOSFETなどのスイッチング機序を備えるHブリッジを介して駆動され得る。Hブリッジは、マイクロコントローラ又は同様のものにより制御されて、DC電圧を使用して、マイクロコントローラによって設定されるHブリッジのスイッチング周波数で交流をインダクタコイルに供給し得る。そのような例では、等式(1)~(5)において設定される上記の関係は、共鳴周波数を含む周波数の範囲にある周波数についての温度Tの、有効な、例えば、使用可能な、推定値を保持及び提供すると考えられる。例では、上記の方法は、共鳴周波数におけるパラメータrと温度Tとの間の校正、並びに回路が共鳴で駆動されないときにr及びTを関連させるために後に使用される同じ校正を獲得するために使用され得る。しかしながら、等式5の導出は、回路150が共鳴周波数fで動作すると仮定するということを理解されたい。したがって、決定された温度と関連付けられた誤差は、共鳴周波数fと既定の駆動周波数との間の差の増加に伴って増加する可能性が高い。言い換えると、より正確な温度測定値は、回路が共鳴周波数で、又はその近くで駆動されるときに決定され得る。例えば、r及びTを関係付け、決定する上記方法は、範囲f-Δf~f+Δf以内の周波数について使用され得、Δfは、例えば、サセプタの温度Tを直接的に測定し、上の導出された関係性を試験することによって実験的に決定され得る。例えば、Δfの値が大きいほど、サセプタの温度Tの決定における正確性はより低くなり得るが、依然として使用可能であり得る。
【0127】
いくつかの例では、本方法は、V及びIに一定値を割り当て、これらの値がパラメータrを計算する際に変化しないと仮定することを含み得る。電圧V及び電流Iは、このとき、サセプタの温度を推定するために測定される必要がない場合がある。例えば、電圧及び電流は、電源及び回路のプロパティからおおよそ知られている場合があり、使用される温度の範囲にわたって一定であると仮定され得る。そのような例では、温度Tはこのとき、回路が動作している周波数のみを測定し、電圧及び電流についての仮定された、又は以前に測定された値を使用することによって、推定され得る。したがって、本発明は、回路の動作の周波数を測定することによって、サセプタの温度を決定する方法を提供し得る。いくつかの実装形態において、したがって、本発明は、回路の動作の周波数を測定することのみによって、サセプタの温度を決定する方法を提供し得る。
【0128】
上記の例は、本発明の例証的な例として理解されるべきである。任意の1つの例に関連して説明される任意の特徴は、単独で、又は説明される他の特徴と組み合わせて使用され得、また、その例のうちの任意の他のものの1つ若しくは複数の特徴と組み合わせて、又は他の例のうちの任意の他のものの任意の組合せで使用され得るということを理解されたい。さらに、上に説明されない等価物及び変更形態もまた、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく用いられ得る。
図1
図2
図3
図4
図5