(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】ロック機構付き箱型容器
(51)【国際特許分類】
B65D 43/22 20060101AFI20221213BHJP
B65D 50/06 20060101ALI20221213BHJP
B65D 43/02 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B65D43/22 100
B65D50/06
B65D43/02 200
(21)【出願番号】P 2018014541
(22)【出願日】2018-01-31
【審査請求日】2020-08-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【氏名又は名称】渡辺 一成
(72)【発明者】
【氏名】新渡戸 耕太
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-179154(JP,U)
【文献】実開昭54-123941(JP,U)
【文献】特開平7-132955(JP,A)
【文献】特開2011-157093(JP,A)
【文献】特開2016-203981(JP,A)
【文献】特開2017-095158(JP,A)
【文献】米国特許第5370081(US,A)
【文献】米国特許第05400914(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底角筒状からなる容器本体(1)と、該容器本体(1)の開口端(2)に組み付く内枠部(11)を有すると共に該内枠部(11)の内側に開口部(12)が形成された内蓋(10)と、前記内枠部(11)の上に嵌着される外枠部(21)を有すると共に開閉可能に装着された外蓋(20)と、該外蓋(20)に対して摺動自在に設けられたスライド機構(30)と、を備えた箱型容器であって、
前記スライド機構(30)が前記外蓋(20)の一端側の外枠部(21)に達することにより前記外蓋(20)を開蓋不能なロック状態に設定し、前記スライド機構(30)が前記外枠部(21)の一端側から他端側に向けて摺動することにより前記ロック状態が解除されて前記外蓋(20)の開蓋を可能にするロック機構が設けられていることを特徴とするロック機構付き箱型容器。
【請求項2】
スライド機構(30)は、外蓋(20)の頂壁(22)に沿って摺動自在に設けられたスライド板(31)と、該スライド板(31)の前端及び後端の両側部に形成された一対の案内リブ(32)と、外枠部(21)の両内壁部(21a)に、前記スライド板(31)の摺動方向に沿って夫々形成された外枠側案内長孔(24)と、前記内枠部(11)の一方の内壁部(11a)に、前記摺動方向に沿って形成された内枠側案内長孔(16)と、を有して構成され、
後端の案内リブ(32)が前記外枠側案内長孔(24)に挿入され、前端の案内リブ(32)が前記外枠側案内長孔(24)と前記内枠側案内長孔(16)の双方に挿入されることで、前記スライド板(31)が摺動方向に案内される請求項1記載のロック機構付き箱型容器。
【請求項3】
ロック機構が、外枠部(21)の一端に形成された外側第1貫通孔(25)及び内枠部(11)の一端に形成された内側貫通孔(13)と、スライド板(31)の一端に突設された係止突起(33)とを有して構成され、前記スライド板(31)が一端側に摺動して前記係止突起(33)が連通状態にある前記外側第1貫通孔(25)及び前記内側貫通孔(13)の双方に挿入することで前記外蓋(20)の開蓋が規制され、前記スライド板(31)が他端側に摺動して前記係止突起(33)が前記外側第1貫通孔(25)及び前記内側貫通孔(13)から抜脱することで前記規制が解除される第1ロック機構を有する請求項2記載のロック機構付き箱型容器。
【請求項4】
内枠側案内長孔(16)に連設される開放部(17)が外枠部(21)の内壁部(21a)側の端部に形成されており、ロック機構が、一端側に移動したスライド板(31)の前端の案内リブ(32)が外枠側案内長孔(24)と前記内枠側案内長孔(16)の双方に挿入されることで外蓋(20)の開蓋が規制され、前記スライド板(31)が他端に移動し、前記スライド板(31)の前端の案内リブ(32)が内枠側案内長孔(16)から前記開放部(17)内に移動することで前記規制が解除される第2ロック機構を有する請求項2又は3記載のロック機構付き箱型容器。
【請求項5】
内蓋(10)側の開口部(12)に連通し且つスライド板(31)の移動に応じて露出する窓部(22a)が外蓋(20)に形成されている請求項1乃至
4のいずれか一項に記載のロック機構付き箱型容器。
【請求項6】
内枠体(11)と外枠体(21)とがヒンジ(40)を介して連結されており、前記外蓋(20)が内蓋(10)に対して開閉自在に設けられている請求項1乃至
5のいずれか一項に記載のロック機構付き箱型容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体を備えた箱型容器に関し、特に幼児等がいたずらに蓋体を開けることを防止するチャイルドレジスタンス機能を備えたロック機構付き箱型容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の容器は、使用したい時に直ぐに蓋体を取り外せるように、単純な嵌合構造を有するものが多く、蓋体の取り外し易さと装着し易さに着眼したものが多かった(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このように蓋体の取り外し易さと装着し易さのみに重点をおいたため、結果的に蓋体を引っ張る操作だけで、誰にでも蓋体を簡単に取り外すことができ、内容物の取り出しが自由に行えるようになってしまっている。
【0003】
使用者が収納又は充填される内容物の特性を十分に理解している通常の使用状況においては、このような蓋体の取り外し易さは便利なものであってなんら問題は無く、とても望ましい形態である。しかしながら、収納又は充填される内容物の特性を十分に理解しえない者でも簡単に蓋体の取り外しが行えるという懸念を併せ持つことになる。
【0004】
すなわち、例えば幼児等が周囲の大人のしぐさをまねて、中身の内容物の危険度を理解しないままに、容器の蓋体を外し、内容物にいたずらをすることが起こりうる。
こうした問題に対応するために充填する容器又はその蓋体に、幼児等では容易に取り外しのできない機能、即ち、所謂チャイルドレジスタンス機能を付与することが求められている。このチャイルドレジスタンス機能を有する容器は、例えば、従来技術である容器の蓋体が、ただ単に蓋体と容器本体とを引き離す方向に蓋体を引っ張る操作だけで取り外せるのに対し、ただ蓋体を引っ張る操作だけでは蓋体を取り外せず、蓋体を引っ張る前に又は同時に蓋体を引っ張るのとは別の操作を蓋体等に対して行い、それによって蓋体を取り外すように構成されている。
【0005】
チャイルドレジスタンス機能のための蓋体等に対して行われる操作は、従来の閉蓋具における蓋体取り外し操作に比べ、複雑になり過ぎず、従来の蓋体の取り外しの容易さは十分確保すると共に、幼児等のいたずらによる取り外しの試みに対しては十分その防止をできるものでなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、従来の蓋体の取り外しの容易さを確保するとともに、幼児等のいたずらによる取り外しの試みに対してはその取り外しを防止するチャイルドレジスタンス機能を備えるロック機構付き箱型容器を創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる手段は、
有底角筒状からなる容器本体と、容器本体の開口端に組み付く内枠部を有すると共に内枠部の内側に開口部が形成された内蓋と、内枠部の上に嵌着される外枠部を有すると共に開閉可能に装着された外蓋と、外蓋に対して摺動自在に設けられたスライド機構と、を備えた箱型容器であって、
スライド機構が外蓋の一端側の外枠部に達することにより外蓋を開蓋不能なロック状態に設定し、スライド機構が外枠部の一端側から他端側に向けて摺動することによりロック状態が解除されて外蓋の開蓋を可能にするロック機構が設けられていることを特徴とする、と云うものである。
【0009】
本発明の主たる手段では、外蓋を嵌着させた閉蓋状態において、スライド機構を摺動方向の一端(右端)に移動させることで外蓋をロックすることができ、またスライド機構を摺動方向の他端(左端)に移動させることによりロック状態を解除して開蓋が可能となるため、幼児等のいたずらによる取り外しを防止するチャイルドレジスタンス機能を実現することができる。
【0010】
本発明の他の手段は、本発明の主たる手段に、スライド機構は、外蓋の頂壁に沿って摺動自在に設けられたスライド板と、スライド板の前端及び後端の両側部に形成された一対の案内リブと、外枠部の両内壁部に、スライド板の摺動方向に沿って夫々形成された外枠側案内長孔と、内枠部の一方の内壁部に、摺動方向に沿って形成された内枠側案内長孔と、を有して構成され、
後端の案内リブが外枠側案内長孔に挿入され、前端の案内リブが外枠側案内長孔と内枠側案内長孔の双方に挿入されることで、スライド板が摺動方向に案内される、との手段を加えたものである。
【0011】
上記手段では、スライド板を、外枠部の両側に設けた外枠側案内長孔及び内枠部に設けた内枠側案内長孔によって案内すること構成とすることにより、スライド板をスムーズに摺動させることができる。
【0012】
また本発明の他の構成は、上記いずれかの構成に、ロック機構が、外枠部の一端に形成された外側第1貫通孔及び内枠部の一端に形成された内側貫通孔と、スライド板の一端に突設された係止突起とを有して構成され、スライド板が一端側に摺動して係止突起が連通状態にある外側第1貫通孔及び内側貫通孔の双方に挿入することで外蓋の開蓋が規制され、スライド板が他端側に摺動して係止突起が外側第1貫通孔及び内側貫通孔から抜脱することで規制が解除される第1ロック機構を有する、との手段を加えたものである。
【0013】
上記手段では、箱型容器の一端(右端)に、開蓋を規制するロック機構を設けることができる。
【0014】
また本発明の他の構成は、上記いずれかの構成に、内枠側案内長孔に連設される開放部が外枠部の内壁部側の端部に形成されており、ロック機構が、一端側に移動したスライド板の前端の案内リブが外枠側案内長孔と内枠側案内長孔の双方に挿入されることで外蓋の開蓋が規制され、スライド板が他端に移動し、スライド板の前端の案内リブが内枠側案内長孔から開放部内に移動することで規制が解除される第2ロック機構を有する、との手段を加えたものである。
【0015】
上記手段では、箱型容器の前端に、開蓋を規制するロック機構を設けることができる。
【0018】
また本発明の他の構成は、上記いずれかの構成に、内蓋側の開口部に連通し且つスライド板の移動に応じて露出する窓部が外蓋に形成されている、との手段を加えたものである。
【0019】
上記手段では、外蓋を開蓋状態としなくとも、スライド板を移動させて窓部を露出させるだけで、内容物を少量ずつ取り出すことが可能となる。
【0020】
また本発明の他の構成は、上記いずれかの構成に、内枠体と外枠体とがヒンジを介して連結されており、外蓋が内蓋に対して開閉自在に設けられている、との手段を加えたものである。
【0021】
上記手段では、外蓋と内蓋とを一体成形することが可能となり、部分点数を削減できると共に、一度に多くの内容物を取り出すことが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明の主たる構成においては、箱型容器の3箇所にロックする構成を設けたことにより、幼児等のいたずらによる取り外しを防止するチャイルドレジスタンス機能を実現することができる。
またスライド部材を他端に移動させるだけで全てのロック機構を解除することができるため、従来における蓋体の取り外しの容易さをも確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施例としてのロック機構付き箱型容器の外観を示す斜視図である。
【
図4】開蓋状態を
図3とは異なる方向から示す斜視図である。
【
図6】スライド板を取り除いた状態の外蓋を示す斜視図である。
【
図7】外蓋を
図6とは異なる方向から示す斜視図である。
【
図9】
図2のIX-IX線における箱型容器の断面図である。
【
図10】第1ロック機構を示す
図2のX-X線断面図であり、Aはロック状態、Bはロック解除中の状態、Cは解除後の非ロック状態である。
【
図11】第2ロック機構を示し、Aはロック状態を示す
図2のXIa-XIa線断面図、Bはロック解除中の状態を示す
図2のXIb-XIb線断面図、Cは解除後の非ロック状態を示す
図2のXIb-XIb線断面図である。
【
図12】第3ロック機構を示す
図2のXII-XII線断面図であり、Aはロック状態、Bはロック解除中の状態、Cは解除後の非ロック状態である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施例としてのロック機構付き箱型容器の外観を示す斜視図、
図2はロック機構付き箱型容器の平面図、
図3は開蓋状態を示す箱型容器の斜視図、
図4は開蓋状態を
図3とは異なる方向から示す斜視図、
図5は内蓋を下方から示す斜視図、
図6はスライド板を取り除いた状態の外蓋を示す斜視図、
図7は外蓋を
図6とは異なる方向から示す斜視図、
図8はスライド板を示す斜視図、
図9は
図2のIX-IX線における箱型容器の断面図である。
尚、以下の説明においては、図中に示すx方向を左右方向(摺動方向ともいう)、y方向を前後方向と規定する。また左右方向(摺動方向)のうち窓部22aを有する側を一端又は右端、その逆側を他端又は左端と規定し、さらに前後方向のうちヒンジ40を有する側を後側又は後端、その逆のヒンジを有しない側を前側又は前端と規定する。さらに容器本体の開口端側を上方とし、その逆の底部側を下方と規定する。
【0025】
図中に示す箱型容器Aは、容器本体1、内蓋10、外蓋20及びスライド機構30を有して構成され、これらは合成樹脂材料を射出成形することにより形成されている。
容器本体1は、平面視略長方形状からなる有底角筒状(箱型形状)の容器であり、上方に設けられる開口端2の外縁には外側に向けて水平に形成されたフランジ3が周設されている(
図9参照)。この容器本体1には、例えば粉体状に形成した又はフィルムによって覆われた液体を略ボール状に形成した洗剤等の内容物が収納される。
【0026】
図3、
図4又は
図5等に示すように、内蓋10は平面視略長方形状に形成された内枠部11を有する部材であり、内枠部11の内側には開口部12が設けられている。内枠部11は、互いに略平行に配置された内壁部11aと外壁部11b及びこれらを連結する上壁部11cを有して断面略コの字状に一体に形成されており、
図9に示すように内枠部11を容器本体1側のフランジ3に嵌合させることにより、内蓋10は容器本体1の開口端2に組み付けられる。
図5に示すように、内枠部11の一端(右端)には内壁部11aを貫通する内側貫通孔13が形成され、他端には付勢部材14が形成されている。付勢部材14は内壁部11aの一部にL字状のスリット15を入れることにより形成され、スリット15の基端となる支点部14aにて片持ち状態で弾性的に支持されている。付勢部材14の自由端(先端)側には、内方(開口部12方向)に向けて突出する係止凸部14bが形成されている。この付勢部材14は支点部14aを支点に自由端側の係止凸部14bが略左右方向に揺動することが可能に構成されている。
【0027】
また前側に位置する内枠部11の内壁部11aには、この内壁部11aに沿って直線的に延びるスリット状の内枠側案内長孔16が形成され、この内枠側案内長孔16の他端には内壁部11aを大きく切り欠くことにより形成された開放部17が連設されている。内枠側案内長孔16は後述するようにスライド機構30の一部を構成する。尚、内蓋10では、後側に位置する内枠部11の内壁部11aに内枠側案内長孔は設けられていない。
【0028】
図2、
図6又は
図7等に示すように、外蓋20は、平面視略長方形状に形成された外枠部21の内側に頂壁22を有する部材であり、外枠部21と頂壁22との間には陥没状に形成された堀部23が平面視略角状に周設されている。
外枠部21は、互いに対向配置された内壁部21aと外壁部21b及びこれらを連結する上壁部21cを有して断面略コの字状に形成されており、外枠部21を内蓋10側の内枠部11上に嵌着させることにより、内蓋10の開口部12が閉塞され、箱型容器A全体を閉蓋状態とすることが可能となっている(
図1参照)。
頂壁22の一端(右端)側には角状に開口する窓部22aが形成され、この窓部22aを通じて容器本体1内に収納されている内容物を取り出すことが可能とされている。また外枠部21の前後両方向に位置する外枠部21の内壁部21aには、これら内壁部21aに沿って直線的に延びるスリット状の外枠側案内長孔24が夫々形成されている。これら外枠側案内長孔24は、後述するようにスライド機構30の一部を構成する。
【0029】
図6に示すように、外枠部21の一端(右端)の内壁部21aには、内枠部11の上に外枠部21を組み付けた嵌着状態において内蓋10側の内枠部11に形成された内側貫通孔13に連通する外側第1貫通孔25が形成されている。尚、外側第1貫通孔25の上壁は内側貫通孔13の上壁よりも低い寸法で形成されており、外側第1貫通孔25の上壁と内側貫通孔13の上壁との間には段差部Sが形成されている(
図10A乃至C参照)。
【0030】
図7に示すように、外枠部21の他端(左端)の内壁部21a上で、且つ嵌着状態において内蓋10側の内枠部11に形成された係止凸部14bに対向する位置には、外側第2貫通孔26が形成され、この内壁部21aの裏面側には係止凸部14bと係合可能に設けられた係止凹部27が形成されている(
図12A乃至C参照)。
本実施例に示す内蓋10と外蓋20とは一体成形され、
図2、
図3又は
図9に示すように、箱型容器Aの後端の位置において内枠部11と外枠部21との間がヒンジ40を介して一体に連結されており、外蓋20は内蓋10に対して回動自在に設けられている。
【0031】
また本実施例のスライド機構30は、平板状に形成されたスライド板31を主体とし、これに上述した内蓋10に形成された内枠側案内長孔16と、外蓋20に形成された一対の外枠側案内長孔24とを有して構成されている。
図8に示すように、スライド板31の前端及び後端の両側部には、スライド板31の底面に略L字形状に形成され且つ左右方向(摺動方向)に所定の幅寸法L1を有して成る一対の案内リブ32が夫々形成されている。案内リブ32の幅寸法L1は、内蓋10に形成された開放部17の左右方向の長さ寸法L2(
図4参照)よりも短い寸法で形成されている(L1<L2)。
スライド板31は外蓋20の頂壁22上に配置される。
図9に示すように、案内リブ32は一対に設けられ、前端側は長く、後端側は短く形成されている。前端では案内リブ32が外枠部21の外枠側案内長孔24と内枠部11の内枠側案内長孔16の双方に挿入され、後端では案内リブ32が外枠部21の外枠側案内長孔24のみに挿入されている。そして、スライド板31は前端の案内リブ32が外枠側案内長孔24と内枠側案内長孔16に、後端の案内リブ32が外枠側案内長孔24にそれぞれ案内されることにより、左右方向(摺動方向)に水平姿勢を維持しながらスムーズに移動できるように構成されている。
【0032】
また
図8に示すようにスライド板31の一端(右端)には係止突起33が、他端(左端)には押圧突起34が夫々突設されている。係止突起33の先端の上面にはアンダーカット状に形成された係止片33aが形成されている。後述するように、スライド板31が一端(右端)方向に移動することにより係止突起33が連通状態にある内側貫通孔13と外側第1貫通孔25に挿入可能であり(
図10A参照)、スライド板31が他端(左端)方向に移動することにより押圧突起34が外側第2貫通孔26に挿入可能となっている(
図12B参照)。
【0033】
次に、箱型容器Aの動作について説明する。
図10は第1ロック機構を示す
図2のX-X線断面図であり、Aはロック状態、Bはロック解除中の状態、Cは解除後の非ロック状態である。また
図11は第2ロック機構を示し、Aはロック状態を示す
図2のXIa-XIa線断面図、Bはロック解除中の状態を示す
図2のXIb-XIb線断面図、Cは解除後の非ロック状態を示す
図2のXIb-XIb線断面図である。さらに
図12は第3ロック機構を示す
図2のXII-XII線断面図であり、Aはロック状態、Bはロック解除中の状態、Cは解除後の非ロック状態である。
【0034】
容器本体1のフランジ3に内蓋10の内枠部11を嵌合させ、さらにその上から外蓋20の外枠部21を嵌着させることにより、箱型容器Aを閉蓋状態に設定する(
図1参照)。
スライド板31を摺動させ、スライド板31の一端(右端)が外蓋20の内壁部21aに当接する位置まで移動させた状態(ロック状態)に設定する。
この状態では、
図10Aに示すように、箱型容器Aの一端(右端)の位置では、スライド板31の一端(右端)に設けられている係止突部33が連通状態にある内側貫通孔13と外側第1貫通孔25に挿入されている。そして、係止片33aが内側貫通孔13の上壁と外側第1貫通孔25の上壁との間に形成された段差部Sに係合し、係止突部33が内側貫通孔13及び外側第1貫通孔25内から抜脱できない状態にある。よって、箱型容器Aの一端(右端)は、外枠部21と内枠部11とが分離不能に組み付き、外蓋20の開封を阻止するロック状態に設定されている。このように、上記係止片33a、内側貫通孔13及び外側第1貫通孔25は、箱型容器Aの一端(右端)において外蓋20の開封を阻止する第1ロック機構を構成している。
【0035】
また
図11Aに示すように、箱型容器Aの前端の位置では、スライド板31の案内リブ32が連通状態にある外枠部21の外枠側案内長孔24と内枠部11の内枠側案内長孔16の双方に挿入されて係合することにより、外枠部21と内枠部11とが分離不能に組み付くロック状態に設定されている。このように、案内リブ32、外枠側案内長孔24及び内枠側案内長孔16は、箱型容器Aの前端において外蓋20の開封を阻止する第2ロック機構を構成している。
【0036】
さらに
図12Aに示すように、箱型容器Aの他端(左端)の位置では、内枠部11側の内壁部11aの付勢部材14に設けた係止凸部14bが、付勢された状態で外枠部21側の内壁部21aの裏面に設けられた係止凹部27を弾圧し、係止凸部14bと係止凹部27とが係合している。よって、箱型容器Aの他端(左端)でも外枠部21と内枠部11とが離脱不能に組み付いたロック状態に設定されている。このように、内枠部11側の付勢部材14に設けた係止凸部14bと外枠部21側の係止凹部27とは、箱型容器Aの他端(左端)において外蓋20の開封を阻止する第3ロック機構を構成している。
【0037】
このように、本発明の箱型容器Aでは、スライド板31を最も一端(右端)に移動させたロック状態にすることにより、ヒンジ40を有する後端を除く右端、前端及び左端において内蓋10と外蓋20との間をロックして箱型容器Aの開蓋を不可能とすることができる。よって、幼稚等は箱型容器Aを簡単に開封することができず、結果としていたずらによる取り外しを防止することができる。
【0038】
次に、内容物を箱型容器Aから取り出す動作について説明する。
図10Bに示すように、箱型容器Aの前端の位置において、スライド板31の一端(右端)を下方に押圧して撓み変形させ、係止片33aと段差部Sとの係合を解除させる。次に
図10Cに示すように、スライド板31を他端(左端)方向(図示矢印方向)に摺動させ、係止突起33を内側貫通孔13及び外側第1貫通孔25から抜脱させることにより第1ロック機構のロック状態を解除する(非ロック状態)。さらに続けてスライド板31を他端(左端)方向に向けて移動させることにより、外蓋20の頂壁22に形成されている窓部22aを露出させることができる(
図2参照)。よって、窓部22aを通じて容器本体1内に収納されている内容物を少量ずつ取り出すことが可能となる。
【0039】
次に、スライド板31を摺動させて、スライド板31の他端(左端)が外蓋20の内壁部21aに当接する他端(左端)側の位置まで移動させる。すると、箱型容器Aの前端の位置では、スライド板31の案内リブ32が、内枠側案内長孔16内の位置(
図11A参照)から開放部17内の位置(
図11B参照)に達し、案内リブ32と内枠側案内長孔16との係合が解除されるため、第2ロック機構を非ロック状態とすることができる。
さらに、
図12A及び
図12Bに示すように、スライド板31の他端(左端)が外蓋20の内壁部21aに当接すると、押圧突起34が外側第2貫通孔26に挿入し、その裏面側に位置する係止凸部14bが押し込まれて係止凸部14bと係止凹部27とが係合が解除されるため、第3ロック機構を非ロック状態とすることができる。
【0040】
このように、スライド板31を他端(左端)側に移動させることにより、第1ロック機構、第2ロック機構及び第3ロック機構のすべてを解除することができる。
よって、
図10C、
図11C及び
図12Cに示すように、後端に設けられたヒンジ40を支点として外蓋20を回動させると、外枠部21と内枠部11との嵌合が解除されるため、外蓋20を開蓋状態(
図3、
図4又は
図9の破線参照)とすることができる。よって、一度に多くの内容物を、内枠部11の開口部12を通じて取り出すことが可能となる。
【0041】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
【0042】
例えば、上記実施例では外蓋20に窓部22aを有する構成を示して説明したが、窓部22aを有さない構成とし、外蓋20の開蓋操作のみで内容物を取り出すようにしても良い。
【0043】
また上記実施例では内蓋10と外蓋20とがヒンジ40を介して一体に連結された構成を示して説明したが、ヒンジを有さない構成、すなわち内蓋10と外蓋20とが別部材からなる構成であっても良い。
【0044】
また上記実施例では、ロック機構として、第1乃至第3ロック機構のすべてを有する構成を示して説明したが、少なくとも一つ以上のロック機構を有する構成であっても良い。
【0045】
また上記実施例では、窓部22aを有する右端を一端と規定し、その逆側の左端を他端と規定したが、一端を左端とし、その逆の他端を右端とする構成であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のロック機構付き箱型容器は、蓋体の開蓋を規制するロック機構を有する箱型容器の分野における用途展開をさらに広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 : 容器本体
2 : 開口端
3 : フランジ
10 : 内蓋
11 : 内枠部
11a : 内壁部
11b : 外壁部
11c : 上壁部
12 : 開口部
13 : 内側貫通孔
14 : 付勢部材
14a : 支点部
14b : 係止凸部
15 : スリット
16 : 内枠側案内長孔(スライド機構)
17 : 開放部
20 : 外蓋
21 : 外枠部
21a : 内壁部
21b : 外壁部
21c : 上壁部
22 : 頂壁
22a : 窓部
23 : 堀部
24 : 外枠側案内長孔(スライド機構)
25 : 外側第1貫通孔
26 : 外側第2貫通孔
27 : 係止凹部
30 : スライド機構
31 : スライド板
32 : 案内リブ
33 : 係止突起
33a : 係止片
34 : 押圧突起
40 : ヒンジ
A : 箱型容器
L1 : 案内リブの幅寸法
L2 : 開放部の長さ寸法
S : 段差部