(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】物質発散システム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20221213BHJP
A01M 29/12 20110101ALI20221213BHJP
【FI】
G01C21/36
A01M29/12
(21)【出願番号】P 2018223581
(22)【出願日】2018-11-29
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 千絵
(72)【発明者】
【氏名】山本 耕太
(72)【発明者】
【氏名】金森 哲
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-349739(JP,A)
【文献】特開2010-149727(JP,A)
【文献】特開2006-282084(JP,A)
【文献】特開2004-256092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00-99/00
A61L 9/00- 9/22
B60H 1/00- 3/06
G01C 21/00-21/36、23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在地を検出する現在地検出手段と、
目的地を検出する目的地検出手段と、
車室内に物質を発散させる発散手段と、
蚊や虫などの虫類の生体情報を取得する生体情報取得手段であって、当該生体情報は、虫類が生息するエリアと、虫類の活動が盛んになる温度や湿度に関する活動情報とを含む、前記生体情報取得手段と、
自車内および/または車外の環境に関する環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記生体情報取得手段によって取得された生体情報および前記環境情報取得手段によって取得された環境情報に基づき前記発散手段を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記現在地検出手段により検出された現在地の生体情報に含まれる活動情報と前記環境情報とに基づき虫類が発生し易いか否かを判定し、虫類が発生し易いと判定した場合には、前記目的地に到着する以前に前記発散手段に物質を発散させる、物質発散システム。
【請求項2】
目的地を検出する目的地検出手段と、
車室内に物質を発散させる発散手段と、
蚊や虫などの虫類の生体情報を取得する生体情報取得手段であって、当該生体情報は、虫類が生息するエリアと、虫類の活動が盛んになる温度や湿度に関する活動情報とを含む、前記生体情報取得手段と、
自車内および/または車外の環境に関する環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記生体情報取得手段によって取得された生体情報および前記環境情報取得手段によって取得された環境情報に基づき前記発散手段を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記目的地検出手段により検出された目的地の生体情報に含まれる活動情報と前記環境情報とに基づき虫類が発生し易いか否かを判定し、虫類が発生し易いと判定した場合には、前記目的地に到着する以前に前記発散手段に物質を発散させる、物質発散システム。
【請求項3】
前記発散手段は、前記車室内に防虫効果のあるアロマを発散させる、請求項1または2に記載の物質発散システム。
【請求項4】
物質発散システムは、前記車室内の搭乗者の人数を検知する検知手段を含み、
前記制御手段は、前記検知手段により検知された搭乗者の人数に基づき発散させる物質の量を制御する、請求項1ないし3いずれか1つに記載の物質発散システム。
【請求項5】
前記検知手段はさらに、前記車室内の搭乗者の搭乗位置を検知し、
前記制御手段は、前記検知手段により検知された搭乗位置に基づき物質の発散方向を制御する、請求項4に記載の物質発散システム。
【請求項6】
前記生体情報はさらに、虫類の種別情報を含み、前記制御手段は、前記種別情報に基づき発生し易いと判定された虫類に該当する物質が発散されるように前記発散手段が発散する物質の切替えを制御する、請求項1または2に記載の物質発散システム。
【請求項7】
現在地を検出する現在地検出手段と、
車室内に物質を発散させる発散手段と、
蚊や虫などの虫類の生体情報を取得する生体情報取得手段であって、当該生体情報は、虫類が生息するエリアと、虫類の活動が盛んになる温度や湿度に関する活動情報とを含む、前記生体情報取得手段と、
自車内および/または車外の環境に関する環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記現在地検出手段により検出された現在地の生体情報に含まれる活動情報と前記環境情報とに基づき前記検出された現在地において虫類が発生し易いか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により虫類が発生し易いと判定された場合、前記発散手段に虫よけ効果のある物質を発散させる制御手段と
を有し、
前記制御手段は、搭乗者が自車への乗車前に前記発散手段に物質を発散させる、物質発散システム。
【請求項8】
前記現在地検出手段は、自車が停車し、搭乗者が降車する際の降車位置を現在地として検出する、請求項7に記載の物質発散システム。
【請求項9】
前記発散手段は、前記車室内に防虫効果のあるアロマを発散させる、請求項7または8に記載の物質発散システム。
【請求項10】
物質発散システムは、車載装置と、当該車載装置に接続されたアロマディフューザーとを含み、
前記車載装置は、前記生体情報取得手段、前記環境情報取得手段および前記制御手段を含み、前記アロマディフューザーは、前記発散手段を含む、請求項1ないし9いずれか1つに記載の物質発散システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アロマ等の物質を発散させる物質発散システムに関し、特に、車内での虫よけアロマの自動噴霧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車室内空間用のアロマディフューザーがリラックス効果、車酔い抑制効果、覚醒効果があるとして人気であり、実用化されている。例えば、運転者の状態を監視し、運転者の眠気を検知したら覚醒効果のあるアロマを噴霧したり、虫よけに効果のあるアロマを噴霧することも検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1の車載用案内装置は、目的地に到着すると香を放出させ、視覚や聴覚以外の嗅覚を利用して目的地への到着を知らせている。また、特許文献2の虫類車室内侵入阻止システムは、車両のドアや窓の開閉を監視し、ドアや窓が開かれた場合に、匂いを発生させることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-349739号公報
【文献】特開2010-149727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アウトドアなど蚊が発生する季節や発生しやすい場所に行くと、車室内にまで蚊が入ってくることがあり、運転中の場合、蚊が気になり運転に集中できなくなることがある。このため、車両に搭載されるアロマディフューザーにおいて、虫よけ効果のあるアロマを噴霧することが検討されている。特に、アロマ(ハーブ)のような天然素材を用いた虫よけ防虫剤は、身体や肌への負担が大きい化学成分を含まないため、安心して使用することができる。一方、特許文献2に開示される虫類車室内侵入阻止システムは、車両のドアや窓が開かれたときにアロマを噴霧するものであり、この方法では、ドアや窓が開かれたときにアロマを噴霧するので、事前に虫よけの対応をとることができない。また、目的地に到着するまでの間にドアや窓が開かれなければ、アロマが噴霧されず、その状態で目的地に降りることになり、搭乗者にとっての虫よけ対策としては不十分である。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、目的地に到着する前または事前に所望の物質を放散させることができる物質発散装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る物質発散システムは、現在地を検出する現在地検出手段と、目的地を検出する目的地検出手段と、周囲に物質を発散させる発散手段と、前記発散手段を制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記現在地検出手段により検出された現在地に基づき前記目的地に到着する以前に前記発散手段に物質を発散させる。
【0008】
ある実施態様では、前記制御手段は、前記目的地検出手段によって検出された目的地に基づき前記発散手段により発散される物質の特性を制御する。ある実施態様では、前記発散手段は、車室内に防虫効果のあるアロマを発散させる。ある実施態様では、物質発散システムは、搭乗者の人数を検知する検知手段を含み、前記制御手段は、前記検知手段により検知された搭乗者の人数に基づき発散させる物質の量を制御する。ある実施態様では、前記検知手段はさらに、搭乗者の搭乗位置を検知し、前記制御手段は、前記検知手段により検知された搭乗位置に基づき物質の発散方向を制御する。ある実施態様では、前記制御手段は、目的地周辺に虫類が発生し易いか否かを判定し、その判定結果に基づき前記発散手段を制御する。
【0009】
本発明に係る物質発散システムは、現在地を検出する現在地検出手段と、周囲に物質を発散させる発散手段と、前記検出された現在地周辺の生体情報を取得する取得手段と、前記取得された生体情報に基づき虫類が発生するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により虫類が発生すると判定された場合、前記発散手段に虫よけ効果のある物質を発散させる制御手段とを有する。
【0010】
ある実施態様では、前記制御手段は、搭乗者が乗車前に前記発散手段に物質を発散させる。ある実施態様では、前記発散手段は、車室内に防虫効果のあるアロマを発散させる。ある実施態様では、物質発散システムは、車載装置と、当該車載装置に接続されたアロマディフューザーとを含み、前記車載装置は、前記目的地検出手段および前記制御手段を含み、前記アロマディフューザーは、前記発散手段を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、目的地に到着する以前に物質を発散させることで、事前に所望の対策をとることがきる。例えば、目的地周辺で虫類が発生し易い場合には、事前に、虫よけ効果のあるアロマで車室内を充填させ、降車前に虫よけ対策を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例に係るアロマ噴霧システムの構成例を示す図である。
【
図2】本発明の実施例に係る車載装置の構成を示すブロック図である。
【
図3A】本発明の実施例に係る生体情報の一例を示すテーブルである。
【
図3B】本発明の実施例に係るアロマ噴霧システムにおいて、ネットワークを介して生体情報等を取得する例を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施例に係るアロマ制御プログラムの機能的な構成を示す図である。
【
図5】本発明の実施例に係るアロマディフューザーの構成例を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施例に係るアロマ噴霧システムの動作フローである。
【
図7】本発明の第2の実施例に係るアロマ制御プログラムの機能的な構成を示す図である。
【
図8】本発明の第2の実施例に係るアロマ噴霧システムの動作フローである。
【
図9】本発明の第3の実施例に係るアロマ制御プログラムの機能的な構成を示す図である。
【
図10】本発明の第3の実施例に係るアロマ噴霧システムの動作フローである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の物質放散システムは、1つの態様では、車両に搭載され、車室内に虫よけ効果等のあるアロマ等の微粒子を噴霧する。また、本発明の物質発散システムは、必ずしも移動体の車両に搭載されるものに限らず、それ以外の用途で使用されるものであっても良い。また、放散される微粒子は、虫や蚊などの防虫効果に限らず、他の効能を備えるものであってもよい。以下の実施例では、本発明の物質放散システムとして、車両に搭載されたアロマ噴霧システムを例に説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の実施例に係るアロマ噴霧システムの一例を示す図である。アロマ噴霧システム10は、車載装置100と、車載装置100に電気的に接続されたアロマディフューザー200とを含んで構成される。車載装置100は、例えば、ナビゲーション機能やオーディオ・ビジュアル機能を備えた電子装置またはコンピュータ装置であることができる。また、車載装置100は、ポータブル端末やスマートフォン等の高機能情報端末であることもできる。アロマディフューザー200は、車室内の任意の位置に置かれ、覚醒作用のあるアロマや防虫作用のあるアロマ等を噴霧する機能を備えている。本実施例の車載装置100は、後述するように、種々の状況に応じてアロマディフューザー200を制御する機能を備えている。
【0015】
図2に、本実施例の車載装置100の構成例を示す。車載装置100は、入力部110、位置検出部120、ナビゲーション部130、搭乗者検知部140、環境情報取得部150、出力部160、記憶部170、外部インターフェース180および制御部190を含んで構成される。
【0016】
入力部110は、操作キー、マウス、リモコン、タッチパネル、音声認識モジュールなどを含み、ユーザーからの入力を受け取り、これを制御部190へ提供する。位置検出部120は、GPS測位、あるいは自立航法センサ(例えば、加速度センサや角速度センサ)を用いて自車の現在地を検出する。ナビゲーション部130は、位置検出部120で検出された現在地および地図データ等を用いて自車位置周辺の道路を案内したり、目的地までの経路を探索し、探索した経路を案内する。
【0017】
搭乗者検知部140は、搭乗者の人数や搭乗者が着席した位置を検知する。搭乗者検知部140は、例えば、車内を撮像する撮像カメラの画像を解析することにより、あるいは各座席に設置された重量センサにより、搭乗者の人数および搭乗位置を検知し、これを制御部190へ提供する。
【0018】
環境情報取得部150は、自車内および/または車外の環境に関する情報を取得する。環境情報取得部150は、例えば、温度センサ、湿度センサ、雨量センサ、照度センサ、気圧センサなどを含むことができ、これらのセンサにより気象に関する情報を取得する。環境情報取得部150はさらに、車内バス等を介して車両に関する情報を取得することも可能である。例えば、自車の車速パルス情報、操舵角情報、ウィンカー情報、パーキングブレーキ情報などである。
【0019】
出力部160は、表示部および音声出力部を含み、例えば、ナビゲーション部130による地図画面を表示したり、目的地までの音声案内を行う。記憶部170は、車載装置100にとって必要なデータやソフトウエア等を記憶する。例えば、ナビゲーション部130の動作に必要な道路地図データや、アロマ制御に必要な蚊や虫等の生体情報を格納する。生体情報は、例えば、
図3Aに示すように、エリアと、当該エリアに生息する可能性がある蚊や虫等の種別情報、蚊や虫等の活動が盛んになる活動情報(温度、湿度など)や活動期間(季節、月日など)とを含む。エリアは、例えば、緯度、経度により任意の空間を規定するものであってもよいし、地理的な特徴(例えば、湖沼、川、草原、山林など)を含む領域を規定するものであってもよい。
【0020】
また、ある実施態様では、車載装置100は、
図3Bに示すように、車載装置100がインターネット等のネットワークNWを介して外部のサーバーから生体情報を取得するようにしてもよい。例えば、車載装置100は、生体情報配信サイト142にアクセスし、そこから自車位置周辺または目的地周辺に該当するエリアの生体情報を取得するようにしてもよい。さらに、車載装置100は、気象情報配信サイト144にアクセスし、そこから自車位置周辺または目的地周辺の気象情報を取得するようにしてもよい。生体情報や気象情報を外部から取得できる場合には、車載装置100は、必ずしも環境情報取得部150や生体情報をそれ自身が保有しなくてもよい。
【0021】
外部I/F180は、例えば、無線LAN、有線LAN、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、近距離無線通信、公衆無線回線網、USB等を介して、ネットワーク、外部機器、外部サーバーとの接続を可能にする。例えば、車載装置100は、外部I/F180を介してアロマディフューザー200と接続可能であり、また
図3Bに示すように外部の配信サイト142、144と通信可能である。
【0022】
制御部190は、車載装置100の各部の動作を制御する。1つの態様では、制御部190は、ROM/RAMを含むマイクロコントローラやマイクロプロセッサを含み、ROM/RAM、あるいは記憶部170に格納されたソフトウエアプログラムを実行することで各部を制御する。本実施例では、制御部190は、アロマディフューザー200を制御するためのアロマ制御プログラムを実行する。
【0023】
図4に、本実施例に係るアロマ制御プログラム300の機能的な構成を示す。アロマ制御プログラム300は、位置検出部120により検出された自車の現在地を取得する現在地取得部310と、現在地取得部310により取得された現在地周辺において蚊や虫などが発生するか否かを判定する虫類発生判定部320と、虫類発生判定部320により虫類が発生すると判定された場合に車室内にアロマを噴霧することを決定するアロマ噴霧決定部330と、アロマ噴霧決定部330の決定に応じてアロマ噴霧の開始の指示を含む制御信号をアロマディフューザー200に送信する制御信号送信部340とを含む。
【0024】
1つの態様では、虫類発生判定部320は、
図3Aまたは
図3Bに示すような生体情報を参照し、自車の現在地に対応するエリアにおいて蚊や虫などが発生し易いか否かを判定する。この際、虫類発生判定部320は、環境情報取得部150で取得された車外の温度や湿度等の気象情報、あるいは
図3Bに示す気象情報を参照し、蚊や虫等の活動を考慮して虫類が発生し易いか否かを判定するようにしてもよい。さらに、虫類発生判定部320は、生体情報に含まれる活動期間内に現在の日時が該当するか否かを考慮して虫類が発生し易いか否かを判定するようにしてもよい。
【0025】
アロマ噴霧決定部330は、虫類発生判定部320により虫類が発生し易いと判定された場合には、虫類に対して虫よけ効果のあるアロマを噴霧することを決定する。1つの態様では、アロマ噴霧決定部330は、アロマディフューザー200が複数種の特性の異なる虫よけアロマの中から選択されたアロマを噴霧する機能を備えている場合には、虫類発生判定部320で発生し易いと判定された虫類に適合する特性の虫よけアロマを選択する。さらに1つの態様では、アロマ噴霧決定部330は、アロマディフューザー200が複数種のアロマ(例えば、リラックス効果のあるアロマ、覚醒効果のあるアロマ、虫類に効果のあるアロマなど)の中から選択されたアロマを噴霧する機能を備えている場合には、その中から虫類の抑制効果のあるアロマを選択する。制御信号送信部340は、アロマの選択情報を含む制御信号をアロマディフューザー200に送信する。
【0026】
次に、本実施例に適用されるアロマディフューザー200の構成例を
図5に示す。本実施例のアロマディフューザー200は、車載装置100の外部I/F180と接続される通信部210と、噴霧制御部220と、噴霧駆動部230を含む。通信部210は、車載装置100からアロマディフューザー200を制御するための制御信号を受け取り、この制御信号を噴霧制御部220に提供する。
【0027】
噴霧制御部220は、受信した制御信号に応じて噴霧駆動部230を駆動するための駆動信号を噴霧駆動部230へ出力する。駆動信号は、例えば、HまたはLレベルを有する2値信号であるとき、Hレベルの駆動信号によりアロマ噴霧を開始させ、Lレベルの駆動信号によりアロマ噴霧を停止させることができる。
【0028】
噴霧駆動部230は、噴霧制御部220からの駆動信号に応答してアロマを噴霧する。上記したように、Hレベルの駆動信号に応答してアロマの噴霧を開始し、Lレベルの駆動信号に応答してアロマの噴霧を停止する。また、もし、アロマディフューザー200が複数種のアロマの中から選択されたアロマを噴霧する機能を備えている場合には、噴霧制御部220は、駆動信号に加えて、アロマを選択するための選択信号を噴霧駆動部230へ出力する。噴霧制御部230は、選択信号に基づき、蚊や虫等の防虫効果のあるアロマを選択し、選択されたアロマを噴霧させることができる。
【0029】
次に、本実施例のアロマ噴霧システムの動作について
図6のフローを参照して説明する。先ず、自車の走行開始に伴い(S100)、現在地取得部310が自車の現在地を取得し(S102)、虫類発生判定部320は、自車の現在地周辺において虫類が発生し易いか否かを判定する(S104)。この判定には、上記したように生体情報、環境情報、気象情報などが参照される。次に、虫類発生判定部320により現在地周辺において虫類が発生し易いと判定されると、アロマ噴霧決定部330は、虫よけアロマを噴霧すると決定し(S106)、この決定に応答して制御信号送信部340は、アロマディフューザー200にアロマ噴霧をさせるための制御信号を送信する(S108)。アロマディフューザー200は、制御信号を受け取ると、制御信号に応答して虫よけ効果のあるアロマを車室内で噴霧する(S110)。もし、車室内で別のアロマ(例えば、リラックス用のアロマ)が噴霧されていた場合には、虫よけアロマに噴霧が切り替えられる。また、現在地周辺で発生し易いと判定された虫類とは異なる虫類の虫よけアロマが噴霧されていた場合には、現在地周辺で発生し易いと判定された虫類に該当する虫よけアロマに噴霧が切り替えられる。
【0030】
このように本実施例によれば、虫類が発生し易い場所を自車が走行する場合には、自動的に虫よけアロマを車室内に噴霧させ、運転に支障のある蚊などが車室内へ侵入するのを防止することができる。
【0031】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
図7は、第2の実施例によるアロマ制御プログラム300Aの機能的な構成を示すブロック図である。第2の実施例は、第1の実施例の現在地取得部310の代わりに目的地取得部312を備え、それ以外の構成は、第1の実施例と同様である。目的地取得部310は、例えば、ナビゲーション部130において目的地(立寄地を含む)が設定されたとき、その目的地を取得する。虫類発生判定部320は、取得した目的地において虫類が発生し易いか否かを判定する。この判定には、第1の実施例と同様に、
図3A、3Bに示すような生体情報、環境情報取得部150で取得された環境情報、気象情報などが参照される。
【0032】
虫類発生判定部320により虫類が発生し易いと判定されると、アロマ噴霧決定部330は、虫よけアロマを噴霧すると決定し、この決定に従い制御信号送信部340は、目的地への到着時間を考慮してアロマ噴霧のための制御信号をアロマディフューザー200に送信する。1つの態様では、自車が目的地に到着前に車室内に虫よけアロマを充填させ、目的地で降車するときに虫類が近づくのを防止する。目的地に到着する以前に車室内を虫よけアロマで充填するので、搭乗者の衣類にもアロマ成分が付着し、降車時に虫よけ効果を持続させることが可能になる。
【0033】
図8は、第2の実施例の動作を説明するフローチャートである。自車の走行開始に伴い(S200)、目的地取得部312により目的地が取得され(S202)、虫類発生判定部320は、目的地周辺において虫類が発生し易いか否かを判定する(S204)。虫類発生判定部320により目的地周辺において虫類が発生し易いと判定されると、アロマ噴霧決定部330は、虫よけアロマを噴霧すると決定する(S206)。次に、制御信号送信部340は、位置検出部120で検出された自車位置に基づき自車が目的地に到着するまでの時間を算出し(S208)、目的地に到着するX分前になったとき(X分はターゲット時間)、アロマ噴霧を開始させるための制御信号をアロマディフューザー200に送信する(S210)。アロマディフューザー200は、受信した制御信号に応答して目的地に到着するX分前に虫よけ効果のあるアロマを車室内に噴霧する(S212)。もし、車室内で別のアロマが噴霧されていた場合には、虫よけアロマに噴霧が切り替えられる。
【0034】
このように第2の実施例によれば、目的地に到着する以前に車室内を虫よけアロマで充填することで、目的地に到着した際に即座に虫よけ効果を得ることができる。なお、第2の実施例は、第1の実施例と組み合わせることも可能であり、その場合、目的地に到着する以前の走行中においても、虫類が発生し易い場所を通過する際に虫よけアロマが車室内に自動噴霧される。
【0035】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。
図9は、第3の実施例に係るアロマ制御プログラム300Bの機能的な構成を示す図である。第3の実施例では、第1の実施例の構成に加えて、噴霧方向決定部350および噴霧量決定部360を含む。噴霧方向決定部350は、搭乗者検知部140で検知された搭乗者の座席位置に応じて噴霧方向を決定する。例えば、アロマディフューザー200が車内中央に配置されているとき、搭乗者が運転席と助手席に搭乗するのであれば、アロマディフューザー200のアロマの噴霧方向を前方座席側に向かわせ、搭乗者が後部座席にも搭乗するのであれば、その搭乗方向にアロマの噴霧方向を向かわせるように噴霧方向を決定する。また、噴霧量決定部360は、搭乗者検知部140で検知された搭乗者の人数に応じて噴霧量を決定する。アロマディフューザー200がアロマの噴霧量を可変する機能を備えていない場合には、アロマの噴霧時間を可変することで噴霧量を調整する。制御信号送信部340は、噴霧方向決定部350および噴霧量決定部360で決定された噴霧方向および噴霧量を含む制御信号をアロマディフューザー200に送信する。
【0036】
アロマディフューザー200の噴霧制御部220は、車載装置100からの制御信号を受け取ると、当該制御信号に含まれる噴霧方向および噴霧量に従い噴霧駆動部230の駆動を制御する。
【0037】
図10は、第3の実施例の動作を説明するフローチャートである。ステップS300~S306までは第1の実施例のステップS100~S106と同様である。次に、搭乗者検知部140により搭乗者の人数と搭乗位置が検知され(S308)、この検知結果に基づいて噴霧方向決定部350および噴霧量決定部360により噴霧方向および噴霧量が決定される(S310)。次に、制御信号送信部340は、噴霧方向および噴霧量の決定内容を含む制御信号をアロマディフューザー200に送信し(S312)、アロマディフューザー200は、噴霧方向および噴霧量に従い虫よけアロマの噴霧を行う(S314)。
【0038】
このように本実施例によれば、搭乗者の人数および搭乗位置に応じて虫よけアロマを噴霧するようにしたので、車室内の搭乗者にとって適切な量のアロマを噴霧しかつ搭乗者の衣類に効果的にアロマ成分を付着させることができる。なお、第3の実施例は、第2の実施例に組み合わせることも可能であり、その場合、目的地に到着する以前に、搭乗者の人数および搭乗者の位置に応じた噴霧量および噴霧方向で虫よけアロマが噴霧される。
【0039】
次に、本発明の第4の実施例について説明する。第4の実施例は、車両の位置情報から、出発前にエンジンスターターやキーレスに連動させて虫よけアロマを自動噴霧させ、乗車前から事前に車室内を虫よけ状態にする。
【0040】
第4の実施例では、現在地取得部310は、自車が停車し、搭乗者が降車する際の現在地を降車位置として取得する。例えば、環境情報取得部150を介して自車のパーキングがオンにされた情報が取得されたとき、位置検出部120により最後に検出された位置を降車位置とすることができる。あるいは、現在地取得部310は、ナビゲーション部130で設定された目的地を降車位置としてもよい。虫類発生判定部320は、生体情報、環境情報等を参照し、降車位置で虫類が発生し易いか否かを判定する。アロマ噴霧決定部330は、降車位置で虫類が発生し易いと判定された場合に、次に搭乗者が乗車する前に、車室内を虫よけアロマで充填することを可能にする。
【0041】
1つの態様では、アロマ噴霧決定部330は、降車時に決定された内容を不揮発性のメモリに保持しておき、次の乗車時のエンジンスターターやキーレス始動が行われたとき、これに連動して不揮発性メモリに記憶された決定内容を読出し、その内容が虫よけアロマを噴霧することを決定するものである場合には、制御信号送信部340は、虫よけアロマを噴霧するための制御信号をアロマディフューザー200に送信する。これにより、乗車前あるいは乗車の際に車室内を虫よけアロマで充填させておくことができる。
【0042】
上記実施例では、アロマディフューザーによりアロマを噴霧する例を示したが、本発明は、虫よけ効果のある微粒子のような物質(芳香剤など)を単独で、あるいはアロマと一緒に噴霧または放散させるようにしてもよい。
【0043】
さらに上記実施例では、車載装置と、車載装置に接続されたアロマディフューザーとを含むアロマ噴霧システムを例示したが、本発明は、車載装置がアロマディフューザーを内蔵するものであってもよい。さらに本発明は、車載装置以外の電子装置とアロマディフューザーとを接続するシステムであってもよい。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
10:アロマ噴霧システム 100:車載装置
110:入力部 120:位置検出部
130:ナビゲーション部 140:搭乗者検知部
150:環境情報取得部 160:出力部
170:記憶部 180:外部I/F
190:制御部 200:アロマディフューザー
210:通信部 220:噴霧制御部
230:噴霧駆動部