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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】両面粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/26 20180101AFI20221213BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20221213BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
C09J7/26
C09J7/38
C09J133/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017191439
(22)【出願日】2017-09-29
(65)【公開番号】P2019065153
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-05-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(72)【発明者】
【氏名】永井 健人
(72)【発明者】
【氏名】矢野 秀明
(72)【発明者】
【氏名】菱沼 慶人
(72)【発明者】
【氏名】上田 雄大
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/191106(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/176031(WO,A1)
【文献】特開2012-214623(JP,A)
【文献】国際公開第2013/099755(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/041313(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/154137(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/094723(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/052556(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 1/00- 43/00
C08J 9/04- 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン樹脂を含む発泡性組成物を発泡させてなるポリオレフィン系樹脂発泡シートの両面に粘着剤層を設けた両面粘着テープであって、前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの平均気泡径が25~150μmであり、
前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚みが500μm以上1.5mm以下であり、
前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの一方の面に設けた粘着剤層が、他方の面に設けた粘着剤層よりも弱い90度ピール粘着力であり、
前記両面粘着テープを試験片とし、かつJIS Z0237-2009に準拠して測定した、前記一方の面に設けた粘着剤層の25℃における90度ピール粘着力が、5.1~23N/25mmであり、かつ前記両面粘着テープを試験片とし、かつJIS Z0237-2009に準拠して測定した、前記他方の面に設けた粘着剤層の25℃におけるピール粘着力よりも14~40N/25mm低い、両面粘着テープ。
【請求項2】
前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの25%圧縮強度が10~1,000kPaである、請求項1に記載の両面粘着テープ。
【請求項3】
前記発泡性組成物に含まれる樹脂の全量に対するポリエチレン樹脂の量が30質量%以上である、請求項1又は2に記載の両面粘着テープ。
【請求項4】
前記粘着剤層の少なくとも一方がアクリル系粘着剤で構成される、請求項1~のいずれか1項に記載の両面粘着テープ。
【請求項5】
前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの発泡倍率が、1.2~15cm/gである、請求項1~のいずれか1項に記載の両面粘着テープ。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の両面粘着テープの製造方法であって、
樹脂及び熱分解型発泡剤を含むシート状の発泡性組成物を架橋し、加熱して前記熱分解型発泡剤を発泡させ、延伸倍率1.1倍以上でTD方向及びMD方向の少なくともいずれか一方に延伸することにより前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートを製造する、両面粘着テープの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂発泡シートを有する両面粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂層の内部に多数の孔が形成された多孔性樹脂材料は、例えば、緩衝性、断熱性、防水性及び防湿性に優れるため、物品の梱包材、気体又は液体から保護が必要な部品等の周縁部分を密封するシール材、振動及び衝撃を緩衝する緩衝材、粘着シートの基材等の様々な用途に使用されている。具体的なポリオレフィン系樹脂発泡シートとして、特許文献1には、熱分解型発泡剤を含む発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを発泡且つ架橋させて得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2005/007731号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、スマートフォンやウェアラブル端末等の小型通信機器においては、高い防水性能が要求されている。よって、表示パネルと筐体との間に生じる隙間や、SIMカードスロット等の開口部周辺には、柔軟な発泡体を基材として有する両面粘着テープで構成されるガスケット材が配置されている。このようなガスケット材は、止水の観点から被着部分に対して強固な密着性が必要とされる一方で、該ガスケット材を製品に取り付ける際に取り付け位置を微修正することができるように、剥離性及び再貼付性(以下、「リワーク性」ともいう。)に優れている必要がある。具体的には、ガスケット材を被着部分に貼り付けた後に微修正が必要になった場合は、ガスケット材を剥離し、再貼付後においても、優れた防水性を維持することが求められている。
しかしながら、従来から用いられている両面粘着テープで構成された止水用のガスケット材は、リワーク性に劣り、リワーク後の防水性が低下する場合があった。
【0005】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、リワーク性に優れ、且つリワーク後であっても良好な防水性を示す両面粘着テープを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが、鋭意検討した結果、ポリオレフィン系樹脂発泡シートの平均気泡径を特定の範囲に調整すると共に、粘着剤層の少なくとも一方の粘着力を特定の範囲に調整すると両面粘着テープのリワーク性が向上することを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は下記のとおりである。
【0007】
[1]ポリオレフィン樹脂を含む発泡性組成物を発泡させてなるポリオレフィン系樹脂発泡シートの両面に粘着剤層を設けた両面粘着テープであって、前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの平均気泡径が25~150μmであり、前記粘着剤層の少なくとも一方についてJIS Z0237-2009に準拠して測定した25℃における90度ピール粘着力が1.1~23N/25mmである両面粘着テープ。
[2]前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚みが1.5mm以下である、上記[1]に記載の両面粘着テープ。
[3]前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの25%圧縮強度が10~1,000kPaである、上記[1]又は[2]に記載の両面粘着テープ。
[4]前記発泡性組成物に含まれる樹脂の全量に対するポリエチレン樹脂の量が30質量%以上である、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の両面粘着テープ。
[5]前記粘着剤層の少なくとも一方がアクリル系粘着剤で構成される、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載の両面粘着テープ。
[6]前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの一方の面に設けた粘着剤層が、他方の面に設けた粘着剤層よりも弱い90度ピール粘着力である、上記[1]~[5]のいずれか1項に記載の両面粘着テープ。
[7]前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの発泡倍率が、1.2~15cm/gである、上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の両面粘着テープ。
[8]前記ポリオレフィン樹脂が、メタロセン化合物の重合触媒で重合された直鎖状低密度ポリエチレンである、上記[1]~[7]のいずれか1項に記載の両面粘着テープ。
[9]上記[1]~[8]のいずれか1項に記載の両面粘着テープの製造方法であって、
樹脂及び熱分解型発泡剤を含むシート状の発泡性組成物を架橋し、加熱して前記熱分解型発泡剤を発泡させ、延伸倍率1.1倍以上でTD方向及びMD方向の少なくともいずれか一方に延伸することにより前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートを製造する、両面粘着テープの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、リワーク性に優れ、且つリワーク後であっても良好な防水性を示す両面粘着テープを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について実施形態を用いて詳細に説明する。
[両面粘着テープ]
本発明の実施形態に係る両面粘着テープは、ポリオレフィン樹脂を含む発泡性組成物を発泡させてなるポリオレフィン系樹脂発泡シートの両面に粘着剤層を設けたものである。該両面粘着テープは、上記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの平均気泡径が25~150μmであり、上記粘着剤層の少なくとも一方についてJIS Z0237-2009に準拠して測定した25℃における90度ピール粘着力が1.1~23N/25mmとなるものである。
本発明においては、ポリオレフィン系樹脂発泡シートの平均気泡径を前記範囲内としているため、取り付け位置を微修正する時(すなわち、リワーク時)に両面粘着テープに対して大きな力が加わった場合でも破れたり千切れたりすることなく、きれいに剥がすことができる。また、前記粘着剤層の少なくとも一方を特定の粘着力としているため、防水性を備えつつ、リワーク時にきれいに剥がすことができ、また、リワーク後も被着部分と十分な密着性を保つことができるため防水性を維持することができる。
【0010】
<平均気泡径>
本発明に用いるポリオレフィン系樹脂発泡シート(以下、単に“発泡シート”ともいう)の平均気泡径は25~150μmである。発泡シートの平均気泡径が150μmを超えると、リワーク時に両面粘着テープに対し大きな力が加わった場合に、気泡径が大きな気泡の周囲を起点として破断が生じてしまう。つまり、発泡シート中に大きな気泡径の気泡が多く存在すると、発泡シート中の密度が低い部分が多く存在するようになるため、該部分より破れ等が生じやすくなる。さらには、剥離するときに発泡シートに伸びが生じやすくなり、90度ピール剥離力が高くなる傾向になる。
したがって、リワーク性を向上させる観点から、発泡シートの平均気泡径は、好ましくは140μm以下、より好ましくは130μm以下、更に好ましくは120μm以下、より更に好ましくは110μm以下、より更に好ましくは100μm以下、より更に好ましくは95μm以下である。平均気泡径の下限値については特に制限はないが、小さい気泡径を多く含む発泡シートは製造コストが高くなるため、好ましくは30μm以上、より好ましくは40μm以上、更に好ましくは50μm以上、より更に好ましくは55μm以上である。
このような平均気泡径の気泡は、一般的に微細気泡と呼ばれる。本発明においては、平均気泡径を150μm以下とすることで発泡シートの強度、柔軟性を維持することができる。
なお、本発明における平均気泡径は、後述の方法で測定したMD方向の平均気泡径、及びTD方向の平均気泡径から算出した平均気泡径を指す。
【0011】
平均気泡径は下記の要領で測定したものをいう。
発泡シートを50mm四方にカットしたものを測定用の発泡体サンプルとして用意した。これを液体窒素に1分間浸した後にカミソリ刃でMD方向、及びTD方向に沿ってそれぞれ厚み方向に切断した。この断面をデジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製「VHX-900」)を用いて200倍の拡大写真を撮り、MD方向、及びTD方向のそれぞれにおける長さ2mm分の切断面に存在する全ての気泡について気泡径を測定し、その操作を5回繰り返した。そして、全ての気泡の平均値をMD方向、及びTD方向の平均気泡径とした。
なお、MD方向は、Machine directionを意味し、押出方向等と一致する方向であるとともに、TD方向は、Transverse directionを意味し、MD方向に直交する方向であり、シート状の発泡体(発泡シート)においてはシート面に平行な方向である。
【0012】
<粘着剤層の粘着力>
本発明においては、前記粘着剤層の少なくとも一方についてJIS Z0237-2009に準拠して測定した25℃における90度ピール粘着力が1.1~23N/25mmである。粘着力が1.1N/25mm未満であると、両面粘着テープと被着部分との間に隙間ができてしまい、防水性が低下する。一方、粘着力が23N/25mmを超えると両面粘着テープと被着部分とが強固に接着してしまうため、発泡シートの平均気泡径を前記範囲内に調整した場合であっても、リワーク時に破れや千切れが発生してしまう。そのような観点から、前記粘着力は、好ましくは1.5~22N/25mm、より更に好ましくは2.5~21N/25mm、更に好ましくは3~20N/25mmである。
【0013】
本発明においては、ポリオレフィン系樹脂発泡シートの一方の面に設けた粘着剤層が前記粘着力を満たせばよく、また、両面の粘着剤層が前記粘着力を満たしていてもよい。ただし、リワーク性の観点からは、いずれか一方の面に設けた粘着剤層が前記粘着力を満たしていることが好ましい。
また、本発明の両面粘着テープにあっては、前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの一方の面に設けた粘着剤層が、他方の面に設けた粘着剤層よりも弱い90度ピール粘着力であることが好ましい。これにより、リワークに際して両面粘着テープを剥がそうとした時に、粘着力が弱い粘着剤層から剥がれやすくなるため、両面粘着テープの破れや千切れを防止しやすくなる。すなわち、本発明の両面粘着テープにおいては、ポリオレフィン系樹脂発泡シートの一方の面が比較的粘着力が弱い弱粘着剤層であり、他方の面が弱粘着剤層よりも粘着力が強い強粘着剤層である2つの粘着剤層を有していることが好ましく、少なくとも弱粘着剤層が前記粘着力を満たしていることが好ましい。
【0014】
〔弱粘着剤層〕
両面粘着テープに弱粘着剤層と強粘着剤層とを設ける場合において、弱粘着剤層についてJIS Z0237-2009に準拠して測定した25℃における90度ピール粘着力は、好ましくは1.5~22N/25mm、より更に好ましくは2.5~18N/25mm、更に好ましくは3~12N/25mm、より更に好ましくは4~8N/25mm、より更に好ましくは4.5~7N/25mmである。弱粘着剤層が前記範囲内であると、リワーク時の破れや千切を防止することができる。
なお、弱粘着剤層の粘着力は、例えば、アクリル系粘着剤であれば製造過程において、モノマーの種類、架橋剤の種類、架橋剤の量、粘着付与樹脂の種類、粘着付与樹脂の量等を変更することによって調整することができる。
【0015】
弱粘着剤層の厚みは、5~100μmであることが好ましい。弱粘着剤層の厚みが5μm未満であると両面粘着テープと部材との間の密着が不十分になり防水性が低下する。一方、弱粘着剤層の厚みが100μmより大きいと、両面粘着テープが厚くなり、小型電子機器内部に使用することが難しくなる。そのような観点から、弱粘着剤層の厚みは、8~80μmがより好ましく、10~50μmが更に好ましく、10~40μmが更に好ましい。
【0016】
〔強粘着剤層〕
両面粘着テープに弱粘着剤層と強粘着剤層とを設ける場合において、強粘着剤層についてJIS Z0237-2009に準拠して測定した25℃における90度ピール粘着力は、弱粘着剤層より高い粘着力を有していれば特に制限はないが、好ましくは25N/25mm以上、より好ましくは26N/25mm以上、更に好ましくは27N/25mm以上である。強粘着剤層の粘着力が上記下限値であると、被着部分と両面粘着テープとが密着するため、防水性が向上する。一方、強粘着剤層の粘着力の上限値は、50N/25mm以下が好ましく、45N/25mm以下がより好ましく、40N/25mm以下が更に好ましい。強粘着剤層の粘着力が上記上限値であれば、リワーク性を担保することができる。
なお、強粘着剤層の粘着力についても、例えば、アクリル系粘着剤であれば製造過程において、モノマーの種類、架橋剤の種類、架橋剤の量、粘着付与樹脂の種類、粘着付与樹脂の量等を変更することによって調整することができる。
【0017】
強粘着剤層の厚みは、5~100μmであることが好ましい。強粘着剤層の厚みが5μm未満であると両面粘着テープと部材との間の密着が不十分になり防水性が低下する。一方、強粘着剤層の厚みが100μmより大きいと、両面粘着テープが厚くなり、小型電子機器内部に使用することが難しくなる。そのような観点から、粘着剤層の厚みは、8~80μmがより好ましく、10~50μmが更に好ましく、15~40μmがより更に好ましい。
【0018】
〔弱粘着剤層と強粘着剤層との粘着力の差〕
弱粘着剤層と強粘着剤層との粘着力の差(JIS Z0237-2009に準拠して測定した25℃における粘着力の差)は、3~40N/25mmが好ましい。粘着力の差が前記範囲内であれば、優れた防水性を維持しつつ、優れたリワーク性を備える両面粘着テープを得ることができる。そのような観点から、より好ましくは6~35N/25mm、更に好ましくは10~32N/25mm、より更に好ましくは14~28N/25mm、より更に好ましくは18~25N/25mmである。
【0019】
<発泡倍率>
発泡シートの発泡倍率は、1.2~15cm/gであることが好ましい。発泡倍率を前記範囲内とすることで、平均気泡径及び圧縮強度を上記範囲内に調整しやすくすることができる。また、発泡倍率を1.2cm/g以上とすることで柔軟性が良好となり、発泡シートの衝撃吸収性、シール性が良好となりやすい。一方で、15cm/g以下とすることで、機械強度が高くなり、耐衝撃性等を向上させやすくなる。
そのような観点から、発泡倍率は、3~14cm/gがより好ましく、5~13cm/gが更に好ましく、5~12cm/gがより更に好ましく、6~11cm/gがより更に好ましい。なお、本発明では、JIS K7222に従い発泡シートの密度を求め、その逆数を発泡倍率とする。
【0020】
<25%圧縮強度>
発泡シートの25%圧縮強度は、10~1,000kPaであることが好ましい。25%圧縮強度が前記範囲内であると、発泡シートが柔軟になるためリワーク時に発泡シートが破れにくくなる。更に部材同士の間に隙間なく貼り付けることが可能になるため、防水性を担保することができる。そのような観点から、発泡シートの25%圧縮強度は、20~500kPaがより好ましく、30~250kPaが更に好ましく、40~150kPaがより更に好ましく、40~100kPaがより更に好ましい。
なお、25%圧縮強度は、発泡シートをJIS K6767に準拠して測定したものをいう。
【0021】
<架橋度>
発泡シートの架橋度は30質量%以上が好ましい。架橋度が30質量%未満では平均気泡径を前記範囲内に調整することが難しくなるため、結果としてリワーク性が悪化する。30質量%以上とすることで、樹脂シートの気泡を微細化しやすくなり、また各気泡の大きさのばらつきも少なくなり、リワーク性及び機械強度を向上させることができる。そのような観点から、発泡シートの架橋度は、35~65質量%がより好ましく、40~60質量%が更に好ましく、42~55質量%がより更に好ましい。これら上限値以下とすることで発泡体を適切に発泡させやすくなり、発泡倍率を高めやすくなる。発泡シートは、発泡倍率を高めることで、柔軟性を高めやすくなり、圧縮強度を適切な値としやすくなる。
【0022】
<独立気泡率>
発泡シートは独立気泡を有するものであることが好ましい。独立気泡を有するとは、全気泡に対する独立気泡の割合(「独立気泡率」という)が70%以上となることを意味する。本発明に用いる発泡シートが独立気泡を有するものであると防水性を担保しやすくなる。独立気泡率は、好ましくは75%以上、より好ましくは90%以上である。
独立気泡率は、ASTM D2856(1998)に準拠して求めることができる。市販の測定器では、乾式自動密度計アキュピック1330等が挙げられる。
【0023】
独立気泡率は、より具体的には下記の要領で測定される。発泡シートから一辺が5cmの平面正方形状で、且つ一定厚みの試験片を切り出す。試験片の厚みを測定し、試験片の見掛け体積Vを算出するとともに試験片の重量Wを測定する。次に、気泡の占める見掛け体積Vを下記式に基づいて算出する。なお、試験片を構成している樹脂の密度は、1g/cmとする。
気泡の占める見掛け体積V=V-W
続いて、試験片を23℃の蒸留水中に水面から100mmの深さに沈めて、試験片に15kPaの圧力を3分間に亘って加える。しかる後、試験片を水中から取り出して試験片の表面に付着した水分を除去し、試験片の重量Wを測定し、下記式に基づいて連続気泡率F及び独立気泡率Fを算出する。
連続気泡率F(%)={(W-W)/V}×100
独立気泡率F(%)=100-F
【0024】
<発泡シートの寸法>
発泡シートの厚みは1.5mm以下であることが好ましい。厚みを1.5mm以下とすると薄型化が可能になり、小型化した電子機器に好適に使用できる。そのような観点から、厚みは、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.9mm以下、更に好ましくは0.8mm以下である。また、厚みの下限値に特に制限はないが、平均気泡径との関係から、0.1mm以上が好ましく、0.15mm以上がより好ましい。厚みが0.1mm以上であると、発泡シートの防水性、耐衝撃性及び柔軟性の確保が容易になる。
【0025】
発泡シートは、その幅が狭いものが好ましく、具体的には、細線状に加工したものが好ましい。例えば発泡シートの幅を5mm以下にして使用してもよく、好ましくは3mm以下、より好ましくは1mm以下で使用する。本発明に用いる発泡シートは防水性に優れるため、例えば1mm幅とした場合であっても優れた防水性を得ることができ、小型化された電子機器内部において好適に使用することが可能である。
発泡シートの幅の下限値は特に限定されないが、例えば0.1mm以上のものであってもよいし、0.2mm以上のものであってもよい。なお、発泡シートの平面形状は、特に限定されないが、細長矩形状、枠状、L字状、コの字状等とするとよい。ただし、これらの形状以外でも、通常の四角形、円形等の他のいかなる形状であってもよい。
【0026】
<ポリオレフィン樹脂>
発泡シートに使用される樹脂としては、各種の樹脂を使用すればよいが、中でもポリオレフィン樹脂を使用することが好ましい。ポリオレフィン樹脂を使用することで、発泡シートの適度な柔軟性を確保しつつ、平均気泡径を前記範囲内に調整しやすくなる。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらの中ではポリエチレン樹脂、及びエチレン-酢酸ビニル共重合体が好ましい。
【0027】
〔ポリエチレン樹脂〕
ポリエチレン樹脂としては、チーグラー・ナッタ化合物、メタロセン化合物、酸化クロム化合物等の重合触媒で重合されたポリエチレン樹脂が挙げられ、好ましくは、メタロセン化合物の重合触媒で重合されたポリエチレン樹脂が用いられる。
【0028】
また、ポリエチレン樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンを用いることにより、発泡シートに柔軟性を付与するとともに、発泡シートの薄型化が可能になる。この直鎖状低密度ポリエチレンは、メタロセン化合物等の重合触媒を用いて得たものがより好ましい。また、直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレン(例えば、全モノマー量に対して75質量%以上、好ましくは90質量%以上)と必要に応じて少量のα-オレフィンとを共重合することにより得られる直鎖状低密度ポリエチレンがより好ましい。
α-オレフィンとして、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、及び1-オクテン等が挙げられる。なかでも、炭素数4~10のα-オレフィンが好ましい。
ポリエチレン樹脂、例えば上記した直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、0.870~0.910g/cmが好ましく、0.875~0.907g/cmがより好ましく、0.880~0.905g/cmが更に好ましい。ポリエチレン樹脂としては、複数のポリエチレン樹脂を用いることもでき、また、上記した密度範囲以外のポリエチレン樹脂を加えてもよい。
【0029】
(メタロセン化合物)
メタロセン化合物としては、遷移金属をπ電子系の不飽和化合物で挟んだ構造を有するビス(シクロペンタジエニル)金属錯体等の化合物を挙げることができる。より具体的には、チタン、ジルコニウム、ニッケル、パラジウム、ハフニウム、及び白金等の四価の遷移金属に、1又は2以上のシクロペンタジエニル環又はその類縁体がリガンド(配位子)として存在する化合物を挙げることができる。
このようなメタロセン化合物は、活性点の性質が均一であり各活性点が同じ活性度を備えている。メタロセン化合物を用いて合成した重合体は、分子量、分子量分布、組成、組成分布等の均一性が高いため、メタロセン化合物を用いて合成した重合体を含むシートを架橋した場合には、架橋が均一に進行する。その結果、均一に延伸できるため、発泡シートを薄くしてもその厚みを均一にしやすくなる。
【0030】
リガンドとしては、例えば、シクロペンタジエニル環、インデニル環等を挙げることができる。これらの環式化合物は、炭化水素基、置換炭化水素基又は炭化水素-置換メタロイド基により置換されていてもよい。炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種アミル基、各種ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種セチル基、フェニル基等が挙げられる。なお、「各種」とは、n-、sec-、tert-、iso-を含む各種異性体を意味する。
また、環式化合物をオリゴマーとして重合したものをリガンドとして用いてもよい。
更に、π電子系の不飽和化合物以外にも、塩素や臭素等の一価のアニオンリガンド又は二価のアニオンキレートリガンド、炭化水素、アルコキシド、アリールアミド、アリールオキシド、アミド、アリールアミド、ホスフィド、アリールホスフィド等を用いてもよい。
【0031】
四価の遷移金属やリガンドを含むメタロセン化合物としては、例えば、シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル-t-ブチルアミドジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
メタロセン化合物は、特定の共触媒(助触媒)と組み合わせることにより、各種オレフィンの重合の際に触媒としての作用を発揮する。具体的な共触媒としては、メチルアルミノキサン(MAO)、ホウ素系化合物等が挙げられる。なお、メタロセン化合物に対する共触媒の使用割合は、10~100万モル倍が好ましく、50~5,000モル倍がより好ましい。
発泡シートに含まれるポリオレフィン樹脂は、上記した直鎖状低密度ポリエチレンを使用する場合、上記の直鎖状低密度ポリエチレンを単独で使用してもよいが、他のポリオレフィン樹脂と併用してもよく、例えば、以下に述べる他のポリオレフィン樹脂と併用してもよい。他のポリオレフィン樹脂を含有する場合、直鎖状低密度ポリエチレン(100質量部)に対する他のポリオレフィン樹脂の割合は、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。
【0032】
〔ポリプロピレン樹脂〕
また、ポリプロピレン樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、プロピレンを50質量%以上含有するプロピレン-α-オレフィン共重合体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
プロピレン-α-オレフィン共重合体を構成するα-オレフィンとしては、具体的には、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン等が挙げることができ、これらの中では、炭素数6~12のα-オレフィンが好ましい。
【0033】
〔エチレン-酢酸ビニル共重合体〕
ポリオレフィン樹脂として使用するエチレン-酢酸ビニル共重合体は、例えば、酢酸ビニルを、好ましくは6~40質量%、より好ましくは12~35質量%、更に好ましくは20~33質量%含有するエチレン-酢酸ビニル共重合体が挙げられる。
本発明においては、例えば、分子量、共重合体成分の酢酸ビニルの量、融点等が異なる2種類以上のものを組み合わせて使用することができる。
なお、本発明で用いるエチレン-酢酸ビニル共重合体は、エチレンと酢酸ビニルの他、酢酸ビニルの一部を加水分解して生成したビニルアルコールを含むものでもよい。
このようなエチレン-酢酸ビニル共重合体としては、例えば、東ソー株式会社製「ウルトラセン」、三井・デュポンポリケミカル株式会社製「エバフレックス」、宇部興産株式会社製「UBEポリエチレン」、旭化成ケミカルズ株式会社製「サンテック」等が挙げられる。
【0034】
〔各樹脂の含有量〕
ポリオレフィン樹脂としてポリエチレン樹脂を用いる場合、樹脂全量に対するポリエチレン樹脂の量は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましく、70質量%以上がより更に好ましく、実質的にポリエチレン樹脂のみからなってもよい。ポリエチレン樹脂の含有量が30質量%以上であると、防水性及びリワーク性が向上する。
【0035】
また、ポリオレフィン樹脂としてエチレン-酢酸ビニル共重合体を用いる場合、樹脂全量に対するエチレン-酢酸ビニル共重合体の量は、20質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましく、実質的にエチレン-酢酸ビニル共重合体のみからなってもよい。ポリエチレン樹脂の含有量が20質量%以上であると、防水性及びリワーク性が向上する。
【0036】
更に、発泡シートにおいて樹脂としてポリオレフィン樹脂を含む場合、発泡シートに含有される樹脂は、ポリオレフィン樹脂を単独で使用してもよいが、ポリオレフィン樹脂以外の樹脂を含んでもよい。発泡シートにおいて、ポリオレフィン樹脂以外の樹脂を含む場合、ポリオレフィン樹脂の樹脂全量に対する割合は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。
また、発泡シートに使用するポリオレフィン樹脂以外の樹脂としては、スチレン系熱可塑性エラストマー、EPDM等のエチレンプロピレン系熱可塑性エラストマー等の各種のエラストマー、ゴム成分等が挙げられる。
【0037】
(熱分解型発泡剤)
本発明の発泡シートは、上記樹脂と熱分解型発泡剤とを含む発泡性組成物を発泡してなることが好ましい。また、熱分解型発泡剤としては、粒径が15μm未満のものを使用することが好ましい。本発明においては、粒径が15μm未満のものを使用し、また、架橋度を特定の範囲に調整することによって、前記平均気泡径の範囲に調整することができ、その結果、両面粘着テープのリワーク性を向上させることができる。そのような観点から、熱分解型発泡剤の粒径は、2~14μmが好ましく、5~13μmがより好ましい。
なお、熱分解型発泡剤の粒径は、レーザー回折法により測定した値であって、累積頻度50%に相当する粒径(D50)を意味する。
【0038】
熱分解型発泡剤としては、有機発泡剤、無機発泡剤が使用可能である。有機発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩(アゾジカルボン酸バリウム等)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、ヒドラゾジカルボンアミド、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体、トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物等が挙げられる。
無機発泡剤としては、酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等が挙げられる。
これらの中では、微細な気泡を得る観点、及び経済性、安全面の観点から、アゾ化合物が好ましく、アゾジカルボンアミドがより好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
発泡性組成物における熱分解型発泡剤の配合量は、樹脂100質量部に対して、1~20質量部が好ましく、2~18質量部がより好ましく、4~15質量部が更に好ましい。
【0039】
また、発泡性組成物は、上記樹脂と熱分解型発泡剤に加えて、気泡核調整剤を含有することが好ましい。気泡核調整剤としては、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛等の亜鉛化合物、クエン酸、尿素の有機化合物等が挙げられるが、これらの中では、酸化亜鉛がより好ましい。上記した小粒径の発泡剤に加えて気泡核調整剤を使用することで、平均気泡径、及び気泡径のばらつきを小さくしやすくなる。気泡核調整剤の配合量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1~8質量部、より好ましくは0.2~5質量部、更に好ましくは0.3~2.5質量部である。
発泡性組成物は、必要に応じて、上記以外にも、酸化防止剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、充填材等の発泡体に一般的に使用する添加剤を含有していてもよい。
【0040】
〔両面粘着テープに用いる発泡シートの製造方法〕
両面粘着テープに用いる発泡シートの製造方法は、特に制限はないが、例えば、樹脂及び熱分解型発泡剤を含む発泡性組成物を架橋し、加熱して熱分解型発泡剤を発泡させ、延伸倍率1.1倍以上でTD方向及びMD方向の少なくとも一方に延伸することで製造する。その製造方法は、より具体的には、以下の工程(1)~(4)を含む。
工程(1):樹脂、及び熱分解型発泡剤を含む添加剤を混合して、シート状の発泡性組成物(樹脂シート)に成形する工程
工程(2):シート状の発泡性組成物に電離性放射線を照射して発泡性組成物を架橋させる工程
工程(3):架橋させた発泡性組成物を加熱し、熱分解型発泡剤を発泡させて、発泡シートを得る工程
工程(4):延伸倍率1.1倍以上で、MD方向又はTD方向のいずれか一方又は双方の方向に発泡シートを延伸する工程
【0041】
工程(1)において、樹脂シートを成形する方法は、特に限定されないが、例えば、樹脂及び添加剤を押出機に供給して溶融混練し、押出機から発泡性組成物をシート状に押出すことによって樹脂シートを成形すればよい。
工程(2)において発泡性組成物を架橋する方法としては、樹脂シートに電子線、α線、β線、γ線等の電離性放射線を照射する方法を用いる。上記電離放射線の照射量は、得られる発泡シートの架橋度が上記した所望の範囲となるように調整すればよいが、5~15Mradであることが好ましく、6~13Mradであることがより好ましい。
工程(3)において、発泡性組成物を加熱し熱分解型発泡剤を発泡させるときの加熱温度は、熱分解型発泡剤の発泡温度以上であればよいが、好ましくは200~300℃、より好ましくは220~280℃である。
【0042】
工程(4)における発泡シートの延伸は、MD及びTD方向の両方に行ってもよいし、一方のみに行ってもよいが、両方に行うことが好ましい。また発泡シートの延伸は、樹脂シートを発泡させて発泡シートを得た後に行ってもよいし、樹脂シートを発泡させつつ行ってもよい。なお、樹脂シートを発泡させて発泡シートを得た後、発泡シートを延伸する場合には、発泡シートを冷却することなく発泡時の溶融状態を維持したまま続けて発泡シートを延伸してもよく、発泡シートを冷却した後、再度、発泡シートを加熱して溶融又は軟化状態とした上で発泡シートを延伸してもよい。発泡シートは延伸することで薄厚にしやすくなる。
工程(4)において、発泡シートのMD方向及びTD方向の一方又は両方への延伸倍率は、1.2~4.0倍が好ましく、1.5~3.3倍がより好ましい。なかでも、両方への延伸倍率をこれら範囲内にすることが特に好ましい。かかる範囲とすることで、25%圧縮強度を所望の範囲としやすくなる。
また、延伸倍率を上記下限値以上とすると、発泡シートの柔軟性及び引張強度が良好になりやすくなる。一方、上限値以下とすると、発泡シートが延伸中に破断したり、発泡中の発泡シートから発泡ガスが抜けて発泡倍率が著しく低下したりすることが防止され、発泡シートの柔軟性や引張強度が良好になり、品質も均一なものとしやすくなる。
また、延伸時に発泡シートは、例えば100~280℃、好ましくは150~260℃に加熱すればよい。
以上のようにして得られた発泡シートは、抜き加工等の周知の方法により切断して、所望の形状に加工してもよい。
【0043】
ただし、本製造方法は、上記に限定されずに、上記以外の方法により、発泡シートを得てもよい。例えば、電離性放射線を照射する代わりに、発泡性組成物に予め有機過酸化物を配合しておき、発泡性組成物を加熱して有機過酸化物を分解させる方法等により架橋を行ってもよい。
【0044】
<粘着剤層>
本発明の両面粘着テープにおける粘着剤層は、粘着力が前記範囲を満たすものであって、被着部分に対して適度な密着性を有することから、両面粘着テープの防水性を担保することができると共に、リワーク時にきれいに剥がすことができ、また、リワーク後も被着部分と十分な密着性を保つことができるため防水性を維持することができる。
【0045】
〔粘着剤〕
粘着剤層に使用する粘着剤としては、特に制限はなく、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等を用いることができ、リワーク性及び防水性の観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。
本発明においては、両面粘着テープの両方の面を同種の粘着剤層で構成してもよく、異なる粘着剤層で構成してもよいが、製造コストの観点から、両方の面を同種の粘着剤層で構成することが好ましい。具体的には、両面粘着テープの少なくとも一方の粘着剤層がアクリル系粘着剤で構成されることが好ましく、両方の面がアクリル系粘着剤で構成されることが好ましい。
【0046】
(アクリル系粘着剤)
以下、粘着剤層に使用されるアクリル系粘着剤の一実施形態についてより詳細に説明する。アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)を含む重合性モノマーを重合したアクリル系重合体を含有する粘着剤である。
なお、本明細書において、用語「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは、アクリル酸アルキルエステル、及びメタクリル酸アルキルエステルの両方を含む概念を指すものであり、他の類似の用語も同様である。また、用語「重合性モノマー」は、繰り返し単位を有しない化合物のみならず、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)と共重合する化合物であれば、後述するその他のモノマー自身が繰り返し単位を有するものも含みうる概念を指す。
【0047】
・(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)は、(メタ)アクリル酸と脂肪族アルコールとのエステルであって、脂肪族アルコールのアルキル基の炭素数が、好ましくは2~14、より好ましくは4~10である脂肪族アルコールに由来するアルキルエステルが好ましい。アルキル基の炭素数がこの範囲内であると、ピール粘着力を上記した範囲に調整しやすくなる。
【0048】
具体的な(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、n-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレートが好ましく、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート又はこれらの組み合わせがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位は、粘着剤において主成分を構成するものであって、その含有量は、粘着剤全量基準で一般的に30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45重量%以上である。このように、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)の含有量を多くすると、粘着剤に所望の粘着力を付与することが可能になる。
なお、粘着剤における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位の含有量は、後述する粘着剤組成物における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)の含有量と実質的に同じであるので、置き換えて表すことができる。以下で説明する(A)成分以外の成分についても同様である。
【0050】
・極性基含有ビニルモノマー(B)
重合性モノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)に加えて、極性基含有ビニルモノマー(B)を含有することが好ましい。極性基含有ビニルモノマー(B)は、極性基とビニル基を有するものである。粘着剤層に極性基含有モノマー(B)を用いることで、粘着剤層のピール粘着力等を調整しやすくなる。
【0051】
極性基含有ビニルモノマー(B)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、及びその無水物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、及びポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等の水酸基を有するビニルモノマー;(メタ)アクリロニトリル、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、及びジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート等の窒素含有ビニルモノマーが挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、及びその無水物が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましく、アクリル酸が更に好ましい。これらの極性基含有ビニルモノマー(B)は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
極性基含有ビニルモノマー(B)を使用する場合、粘着剤において極性基含有ビニルモノマー(B)由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは1~15質量部、より好ましくは2~12質量部、更に好ましくは3~10質量部である。極性基含有ビニルモノマー(B)の含有量をこのような範囲内とすることで粘着剤層のTg、凝集力、粘着力等を適切な範囲に調整しやすくなる。
【0053】
・その他のモノマー
重合性モノマーは、上記した(A)及び(B)以外のその他のモノマーを含んでいてもよい。その他のモノマーとしては、スチレン系モノマー、多官能モノマー、酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル等が挙げられる。スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、及びp-メチルスチレン等が挙げられる。
また、多官能モノマーとしては、ビニル基を2つ以上有するモノマーが挙げられ、好ましくは(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能モノマーを使用すると、アクリル系重合体に網目構造を形成することが可能になる。
具体的な多官能モノマーとしては、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトシキ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトシキ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化グリセリルトリアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジアクリレート等が挙げられる。
その他のモノマーを使用する場合、粘着剤において、その他のモノマー由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)5由来の構成単位100質量部に対して、0.5~15質量部、より好ましくは1~7質量部、更に好ましくは1~5質量部である。
アクリル系重合体のGPC法により測定した重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば20万~100万、好ましくは40万~90万である。
【0054】
〔粘着付与樹脂〕
アクリル系粘着剤は、粘着力を向上させる観点から、粘着付与樹脂を含有してもよい。粘着付与樹脂としては、水添テルペン樹脂、水添ロジン、不均化ロジン樹脂、ロジンエステル系ポリマー、石油樹脂等の重合阻害性の低い粘着付与樹脂が好ましい。これらの中でも、粘着付与樹脂が二重結合を多く有していると重合反応を阻害することから、ロジン系のものが好ましく、中でもロジンエステル系ポリマーが好ましい。
【0055】
粘着付与樹脂の軟化点は、粘着剤の凝集力及び粘着力を向上させる観点から、95℃以上程度であればよいが、120℃以上のものを含むことが好ましく、例えば、95℃以上120℃未満のものと、120℃以上150℃以下のものとを併用してもよい。なお、軟化点は、JISK2207に規定される環球法により測定すればよい。
アクリル系粘着剤における粘着付与樹脂の含有量は、アクリル系重合体100質量部に対して、好ましくは2~40質量部、より好ましくは4~35質量部、更に好ましくは5~25質量部である。
両面粘着テープの一方の面に弱粘着剤層、他方の面に強粘着剤層を設ける場合、それらの粘着力を粘着付与樹脂の量により調整してもよい。具体的には、強粘着剤層における粘着付与樹脂の含有量を、弱粘着剤層における粘着付与樹脂の含有量よりも多くするとよい。また、強粘着剤層と弱粘着剤層における粘着付与樹脂の含有量の差は、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。また、含有量の差の上限は、特に限定されないが、例えば10質量部である。なお、ここでいう含有量とは、各層におけるアクリル系重合体100質量部に対する含有量を意味する。
【0056】
〔架橋剤〕
アクリル系粘着剤を構成する樹脂が水酸基やカルボキシ基を有する場合、粘着性を向上させる観点から、架橋剤を用いることにより主鎖間に架橋構造を形成してもよい。
架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、及び金属キレート型架橋剤等が挙げられる。これらの中でも、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましい。
【0057】
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物が挙げられる。ポリイソシアネート化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネートなどが挙げられる。また、これらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体等も挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0058】
エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)トルエン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-4,4-ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’-テトラグリシジルm-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ジグリシジルn-ヘキサン等が挙げられる。
【0059】
両面粘着テープの一方の面に弱粘着剤層、及び他方の面に強粘着剤層を設ける場合、それらの粘着力は架橋剤の量により調整してもよい。
弱粘着剤層を製造する場合の架橋剤の粘着剤への配合量は、アクリル系重合体100質量部に対して、前記弱粘着剤層の粘着力の範囲を満たすように調整する観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、そして、好ましくは7質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
一方、強粘着剤層を製造する場合の架橋剤の配合量は、アクリル系重合体100質量部に対して、前記強粘着剤層の粘着力の範囲を満たすように調整する観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.7質量部以上であり、そして、好ましくは6質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。
なお、強粘着剤層における架橋剤の配合量は、弱粘着剤層における架橋剤の配合量よりも少ないことが好ましい。なお、ここでいう配合量とは、粘着剤において、各層におけるアクリル系重合体100質量部に対する配合量を意味する。
【0060】
〔その他の成分〕
本発明において用いるアクリル系粘着剤は、前述した成分以外にも、可塑剤、軟化剤、顔料、染料、光重合開始剤、難燃剤等の粘着剤に従来使用されている各種の添加剤を含有してもよい。
【0061】
(ゴム系粘着剤)
次に、粘着剤に使用されるゴム系粘着剤について説明する。ゴム系粘着剤は、ゴム成分と、粘着付与樹脂を含有するものであり、ゴム成分としては、スチレン-イソプレンブロック共重合体を使用することが好ましい。スチレン-イソプレンブロック共重合体は、ジブロック率が好ましくは25~70質量%、より好ましくは30~65質量%、更に好ましくは45~60重量%である。ここでジブロックとは、スチレンとイソプレンとからなるジブロックのことをいう。スチレン-イソプレンブロック共重合体は、ジブロック率が25%以上となることで十分な粘着力が発現し、また、70質量%以下とすることで剪断強度を高めやすくなる。なお、スチレン-イソプレンブロック共重合体は、ジブロック以外にも、スチレン、イソプレン、スチレンブロックからなるトリブロック等ブロックを3つ以上有するものも含有する。
【0062】
スチレン-イソプレンブロック共重合体におけるスチレン量は、特に限定されないが、14~24質量%であることが好ましく、より好ましくは15~18質量%である。スチレン量が14質量%以上であると、凝集性の高い粘着剤となり、剪断強度を高めやすくなる。また、24質量%以下とすると、凝集力が適度な大きさとなり粘着力を発現しやすくなる。
スチレン-イソプレンブロック共重合体の分子量は、特に限定されないが、質量平均分子量で100,000~400,000が好ましく、150,000~250,000がより好ましい。なお、ここでいう質量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法によりポリスチレン換算分子量として測定されるものをいう。
【0063】
ゴム系粘着剤に使用される粘着付与樹脂は、各種の粘着付与樹脂が使用可能であるが、好ましくは石油系樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂を使用する。粘着付与樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、石油系樹脂と、テルペン樹脂及びクマロン樹脂から選択される少なくとも1種とを併用することが好ましい。このような粘着付与樹脂の組み合わせによりピール粘着力を良好にしやすくなる。
石油系樹脂としては、脂肪族系石油樹脂(C5系石油樹脂)、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂等が挙げられ、スチレン-イソプレンブロック共重合体との相溶性の観点から脂肪族系石油樹脂が好ましい。また、石油系樹脂は、軟化点が90~120℃程度のものを使用することが好ましい。
また、テルペン樹脂としては、軟化点が80~120℃程度のものが使用可能であるが、粘着力確保の観点から100℃未満のものが好ましい。また、クマロン樹脂としては、凝集力確保のために、軟化点が好ましくは110~130℃、より好ましくは115~125℃のものを使用する。
【0064】
粘着付与樹脂はゴム成分100質量部に対して60~250質量部が好ましく、100~200質量部がより好ましく、110~180質量部が更に好ましい。粘着付与樹脂の配合量を上記範囲内とすることで、凝集力を良好にして適度なピール粘着力を付与できるようになる。
また、石油系樹脂と、テルペン樹脂及びクマロン樹脂から選択される少なくとも1種とを併用する場合、石油系樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、50~200質量部が好ましく、60~150質量部が好ましく、60~110質量部がより好ましい。一方で、テルペン樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、10~70質量部が好ましく、20~60質量部がより好ましく、30~50質量部が更に好ましい。更に、クマロン樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、10~60質量部が好ましく、15~50質量部がより好ましく、20~40質量部が更に好ましい。
ゴム系粘着剤は、アクリル系粘着剤と同様に上記した微粒子を含有してもよく、また、ゴム系粘着剤は、必要に応じて、軟化剤、酸化防止剤、充填剤等を含有してもよい。
【0065】
(ウレタン系粘着剤)
上記したウレタン系粘着剤は特に限定されず、例えば、少なくともポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて得られるウレタン樹脂等が挙げられる。上記ポリオールとして、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。上記ポリイソシアネート化合物として、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。これらのウレタン系粘着剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ウレタン系粘着剤としては、ポリウレタンポリオールと多官能イソシアネート系硬化剤とを反応させて得られるウレタン樹脂を使用してもよい。ポリウレタンポリオールは、上記したポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応したもの、又はポリオールとポリイソシアネート化合物とジアミン等の鎖延長剤とを反応させたものが挙げられる。多官能イソシアネート系硬化剤としては、2以上のイソシアネート基を有する化合物であればよく、上記したイソシアネート化合物を使用可能である。
ウレタン系粘着剤は、ウレタン樹脂に加えて、上記した微粒子を含有してもよく、また、ウレタン系粘着剤は、必要に応じて、粘着付与樹脂、軟化剤、酸化防止剤、充填剤等を含有してもよい。
【0066】
〔粘着剤層の製造方法〕
粘着剤層を構成する粘着剤は、アクリル系粘着剤を使用する場合には、上記した重合性モノマー、及び重合開始剤を含む粘着剤組成物を加熱、還流し、その後、重合体を架橋することにより得ることができる。また、上記した重合性モノマーを含む粘着剤組成物に光を照射して、重合性モノマーを重合させることで得ることも可能である。
粘着剤組成物は、必要に応じて上記した粘着付与樹脂、微粒子、及びその他の成分の少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0067】
発泡シートの両面に粘着剤層を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、コーター等の塗工機を用いて粘着剤を塗布する方法、スプレーを用いて粘着剤を噴霧、塗布する方法、刷毛を用いて粘着剤を塗布する方法、剥離シート上に形成した粘着剤層を発泡シートに転写する方法等が挙げられる。
【0068】
<両面粘着テープの用途>
両面粘着テープの用途は、特に限定されないが、防水性に優れているため、例えば電子機器内部のシール材として使用することが好ましい。また、本発明の両面粘着テープは、耐久性を有するので、特に発泡シートを配置するスペースが小さい各種の携帯電子機器内部で好適に使用できる。電子機器としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、携帯電話、カメラ、ゲーム機器、電子手帳、パーソナルコンピュータ等が挙げられる。
【実施例
【0069】
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0070】
[測定方法]
各物性の測定方法及び評価方法は、次の通りである。
<見かけ密度及び発泡倍率>
発泡シートについてJIS K7222に準拠して見かけ密度を測定し、その逆数を発泡倍率とした。
【0071】
<平均気泡径>
発泡シートの平均気泡径は、明細書記載の方法で測定した。
【0072】
<25%圧縮強度>
発泡シートについてJIS K6767に準拠して25%圧縮強度を測定した。
【0073】
<架橋度>
発泡シートから約100mgの試験片を採取し、試験片の重量A(mg)を精秤する。次に、この試験片を120℃のキシレン30cm中に浸漬して24時間放置した後、200メッシュの金網で濾過して金網上の不溶解分を採取、真空乾燥し、不溶解分の重量B(mg)を精秤する。得られた値から、下記式により架橋度(質量%)を算出した。
架橋度(質量%)=(B/A)×100
【0074】
<独立気泡率>
発泡シートの独立気泡率は、明細書記載の方法で測定した。
【0075】
<粘着剤層の90度ピール粘着力>
粘着剤層の粘着力は、JIS Z 0237の90度引き剥がし法に準拠するものであり、具体的には、25℃において毎分300mmの速さで両面粘着テープを引き剥がす際の90度ピール強度を測定した。
【0076】
<1mm幅防水性>
防水性評価は、IPX7規格(JIS C 0920およびIEC60529)に基づいて、温度23℃、相対湿度50%の条件下、下記方法により作成した試験サンプルを水深1mに沈め、浸水の有無を目視で確認することにより行った。
なお、本防水性評価は、試験サンプルを作成後、温度23℃、相対湿度50%の条件下で6時間養生してから行った。
評価基準は、水深1mに沈めた後、枠形状の内側に24時間浸水がなかった場合を“S”、6時間浸水がなかった場合を“A”、30分間浸水がなかった場合を“B”、5分間浸水がなかった場合を“C”、沈めた後、即座に浸水が始まった場合を“D”として評価した。
【0077】
(試験サンプルの作成)
両面テープを、外周が縦60mm×横40mm、内周が縦58mm×横38mmであって、幅が1.0mmである枠形状に打ち抜いた。なお、打ち抜きに際して全ての角はR5mmの丸みをつけた。
次いで、得られた枠形状のシール材を100mm角、厚み10mmのアクリル板2枚で挟み、5kgの加重を10秒間かけ、圧着させた。
そして、この試験サンプルを前述の方法で水深1mに沈め、枠形状の内側に水が浸水するか否かを目視で確認した。
【0078】
<リワーク性評価試験>
前記1mm幅防水性の試験と同様にサンプルを作成し、温度23℃、相対湿度50%の条件下で6時間養生してから2枚のアクリル板を手で剥がしたときの剥離性を評価した。弱粘着剤層が綺麗にはがれ、且つ枠形状が崩れず再利用可能であったものを“S”、弱粘着剤層が綺麗にはがれるものの、若干の変形が見られたものを“A”、弱粘着剤層のみがはがれたものの、アクリル板に弱粘着剤が残ったものを“B”、発泡シートが裂けたものを“C”、剥離不可であったものを“D”と評価した。
【0079】
[樹脂]
本実施例で使用した樹脂を以下に示す。
・樹脂A(LLDPE):直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(ダウケミカル社製、商品名「アフィニティーPL1850」、密度0.902g/cm
・樹脂B(EVA):エチレン-酢酸ビニル共重合体(東ソー株式会社製、商品名「ウルトラセン636」)
・樹脂C(St系エラストマー):スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体(JSR株式会社製、商品名「ダイナロン8600P」)
【0080】
[粘着剤層の製造]
<弱粘着剤層(1)の製造>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器にブチルアクリレート55質量部と2-エチルヘキシルアクリレート40質量部とアクリル酸5質量部を投入し、更に酢酸エチル80質量部を加え、窒素置換した。その後、反応器を加熱して還流を開始した。続いて、上記反応器内に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を添加し、70℃で5時間還流させて、アクリル共重合体の溶液を得た。
得られたアクリル共重合体について、カラムとしてWater社製「2690 Separations Model」を用いてGPC法により重量平均分子量を測定したところ、60万であった。
得られたアクリル共重合体(100質量部)の溶液に、イソシアネート系架橋剤1質量部、ロジンエステル系の改質ポリマー5質量部を配合して、攪拌することにより粘着剤を得た。
【0081】
【表1】
【0082】
<弱粘着剤層(2)の製造>
表1に記載の配合に変更したこと以外は弱粘着剤層(1)と同様の方法で弱粘着剤層(2)を製造した。なお、弱粘着剤層(2)は、実施例5及び比較例で用いた。
【0083】
<強粘着剤層の製造方法>
表1に記載の配合に変更したこと以外は弱粘着剤層(1)と同様の方法で強粘着剤層を製造した。
【0084】
[実施例1]
(発泡シートの製造)
樹脂Aを100質量部と、熱分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド11質量部と、気泡核調整剤として酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、商品名「OW-212F」)0.5質量部と、酸化防止剤1.0質量部とを押出機に供給して130℃で溶融混練し、厚みが300μmの長尺状の樹脂シートに押出した。
次に、上記長尺状の樹脂シートの両面に加速電圧500kVの電子線を7Mrad照射して樹脂シートを架橋した後、架橋した樹脂シートを熱風及び赤外線ヒーターにより250℃に保持された発泡炉内に連続的に送り込んで加熱して発泡させて、厚み600μmのシート状の発泡体を得た。
次いで、得られた発泡シートを発泡炉から連続的に送り出した。そして、発泡シートをその両面の温度が200~250℃となるように維持した状態で、発泡シートをそのTD方向に2.5倍の延伸倍率で延伸させると共に、発泡シートの発泡炉への送り込み速度(供給速度)よりも速い巻取速度でもって発泡シートを巻き取ることによって発泡シートをMD方向にも2.0倍に延伸させた。それにより、実施例1の発泡シート(厚み:500μm)を得た。なお、上記発泡シートの巻取速度は、樹脂シート自身の発泡によるMD方向への膨張分を考慮しつつ調整した。得られた発泡シートを上記評価方法に従って評価し、その結果を表1に示す。
【0085】
(両面粘着テープの製造)
厚み150μmの離型紙を用意し、この離型紙の離型処理面に弱粘着剤層を形成する粘着剤を塗布し、100℃で5分間乾燥させることにより、厚み250μmの弱粘着剤層を形成し、発泡シートからなる基材の表面と貼り合わせた。次いで、同様の要領で、基材の反対の表面に強粘着剤層を貼り合わせた。これにより、厚み150μmの離型紙で両面が覆われた両面粘着テープを得た。
【0086】
[実施例2~11及び比較例1~
樹脂、添加剤、発泡シートの厚み、弱粘着剤層を下記表2及び表3に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして発泡シート及び両面粘着テープを得た。MD及びTDの延伸倍率は1.5~3.5の範囲内で調整した。得られた発泡シートを上記評価方法に従って評価し、その結果を表2及び表3に示す。
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
本発明によれば、リワーク性に優れ、かつリワーク後であっても良好な防水性を示す両面粘着テープを提供することができる。