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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】フェイシャルティシュ製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20221213BHJP
   A47K 10/20 20060101ALI20221213BHJP
   A47K 10/42 20060101ALI20221213BHJP
   A47K 10/16 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B65D83/08 D
A47K10/20 B
A47K10/42 A
A47K10/16 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018035774
(22)【出願日】2018-02-28
(65)【公開番号】P2019151353
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-02-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大岡 康伸
(72)【発明者】
【氏名】高橋 創
(72)【発明者】
【氏名】大篭 幸治
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-189943(JP,A)
【文献】特開2013-082468(JP,A)
【文献】特開2008-183034(JP,A)
【文献】特開2016-188092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 10/20
A47K 10/42
A47K 10/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2プライのシートからなるティシュペーパーの積層体と、前記積層体を収納するフィルムパックを備えた略直方体のフェイシャルティシュ製品であって、
前記フィルムパックは、天面に、前記ティシュペーパーを通過させて取出すためのスリットを形成可能な略直線状のミシン目部を有しており、
前記ミシン目部が、前記フィルムパックの天面において、フィルムパックのMD方向に沿って形成される辺に対して、50°以上130°以下の角度をなすように形成されており、
前記ミシン目部が切込部と非切込部で構成され、前記ミシン目部の寸法に対する非切込部の合計の寸法の割合(%)に、前記フィルムパックを構成するフィルムの厚さ(μm)を乗じた値が、400以上5600以下であり、
前記フィルムパックの天面及び底面において、CD方向に沿って形成される辺の寸法が、103mm以上198mm以下であり、
前記フィルムパックの天面及び底面において、MD方向に沿って形成される辺の寸法が、102mm以上158mm以下であり、
前記フィルムパックの高さが、12mm以上52mm以下であり、
前記フィルムパックは、キャラメル包装で形成されており、
前記ティシュペーパーのJIS P 8113に基づく乾燥時の取出し方向の引張強さが、0.6N/25mm以上7.0N/25mm以下であり、
前記積層体を構成する前記ティシュペーパーの入り数は、40組以上180組以下であり、
前記積層体を構成する各前記ティシュペーパーが、取出し方向に一回のみ折られている、フェイシャルティシュ製品。
【請求項2】
前記ティシュペーパーが、前記ティシュペーパーの取出し方向がティシュペーパーのMD方向となるように積層されている、請求項1に記載のフェイシャルティシュ製品。
【請求項3】
前記フィルムパックを構成するフィルムの厚さが、20μm以上130μm以下である、請求項1又は2に記載のフェイシャルティシュ製品。
【請求項4】
前記ミシン目部の寸法が、前記フィルムパックのCD方向に形成される辺に沿った、前記積層体の辺の寸法に対して、40%以上95%以下である、請求項1から3のいずれかに記載のフェイシャルティシュ製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシュペーパーの積層体及び当該積層体を収納したフィルムパックを備える、フェイシャルティシュ製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ティシュペーパーを折り畳んだ積層体を収納したティシュ製品において、当該積層体は紙製カートンに収納されることが多い。このような紙製カートンを用いたティシュ製品において、紙製カートン内にデッドスペースが発生することにより、輸送効率が低下し、また、紙製カートンが潰れやすいという問題があった。
【0003】
そこで、紙製カートンではなく、フィルムパックにティシュペーパーの積層体を収納したティシュ製品の検討もなされている(例えば、特許文献1を参照)。紙製カートンではなく、フィルムパックに収納することにより、生産者の視点においては、軽量化やコンパクト化による輸送コストの削減、輸送時の箱潰れ防止等のメリットがあり、また、消費者においては、コンパクト化による家庭での保管スペースの削減等のメリットがある。しかしながら、従来のフィルムパックに収納したティシュ製品においても、カバン等に入れて持ち運んで携帯するにはサイズが大きすぎるため、携帯性を重視した商品として、いわゆるポケットティシュ製品が上市されており、ポケットティシュ製品に関する検討もなされている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-183034号公報
【文献】特開2015-142607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のポケットティシュ製品は、携帯性に優れているものの、1パックに収納されるティシュペーパーの入り数が10枚程度と少ないため、製品の交換頻度が大きくなってしまうという問題があった。
【0006】
ここで、図4は、従来のポケットティシュ製品の平面図であり、図5は、従来のポケットティシュ製品200において、ミシン目部11Aを開封することにより形成されるスリット14Aの端部及びティシュペーパー2Aの端部が破れている態様を示す図面であり、図6は、従来のポケットティシュ製品200において、収納されたティシュペーパー2Aを広げた態様を示す図面である。従来のポケットティシュ製品200においては、図4に示すように、フィルムパック10AのCD方向に略垂直となるようにミシン目部11Aが形成され、さらに、ミシン目部11Aを開封することにより形成されるスリット14Aからティシュペーパー2Aを取出す方向がティシュペーパー2AのCD方向となるように、ティシュペーパー2Aがフィルムパック10Aに収納されることが一般的である。
【0007】
一般的に、ティシュペーパーは繊維配向に影響されるため、クレープの山谷が連続するMD方向に比して、CD方向の強度が著しく低いという性質を有する。そのため、上記したように、ミシン目部11Aに直交する方向がティシュペーパー2AのCD方向となるようにティシュペーパー2Aが収納されていることにより、ミシン目部11Aを開封してスリット14Aを形成する際に、ティシュペーパー2Aが強度の低いCD方向に引っ張られ、破れやすいという問題があった。さらに、図6に示すように、ポケットティシュ製品200の内容物であるティシュペーパー2Aは、CD方向よりもMD方向に折られている回数が多いため、折り目2afを境としてCD方向により裂けて破れやすい傾向にあった。また、ミシン目部11Aを開封した後において、長期間にわたりポケットティシュ製品200をカバン等に保管する場合、動作時の物理的な負荷が、ティシュペーパー2Aの、スリット14Aにより露出された部分に加わり、破れやすいという問題もあった。
【0008】
一方で、ティシュペーパーを収納するフィルムパックにおいても、一般的に、ティシュペーパーと同様に、MD方向に比してCD方向の強度が低い傾向がある。ここで、上記したとおり、ミシン目部11Aが、フィルムパック10AのCD方向に略垂直となるように形成されるため、ミシン目部11Aを開封する際に、強度の低いCD方向に引っ張られ、図5のように開封時にスリット14Aの端部が破れやすく、さらに、スリット14Aの端部が破れることに依存してティシュペーパー2Aの端部が破れる場合があった。
【0009】
このような問題を解決する手段としては、フィルムパックを構成するフィルムの厚さを大きくし、また、ティシュペーパーの強度を高くすることが考えられるが、フィルムの厚さを大きくするとコストアップにつながり、また、ティシュペーパーの強度を高くすると、ティシュペーパーの柔らかさが劣るという問題があった。したがって、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ティシュペーパーの積層体と、当該積層体を収納するフィルムパックと、を備えるフェイシャルティシュ製品において、ティシュペーパーが柔らかでありながら破れづらく、かつ、フィルムパックのミシン目部を開封する際に、形成されるスリットの端部が破れづらく、交換頻度の低いコンパクトで携帯性に優れるフェイシャルティシュ製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、スリットを形成可能なミシン目部をMD方向に対して所定の角度をなすように形成し、かつ、ティシュペーパーの取出し方向の強度及び積層体を構成するティシュペーパーの入り数を調整することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0011】
(1)本発明の第1の態様は、2プライのシートからなるティシュペーパーの積層体と、前記積層体を収納するフィルムパックを備えた略直方体のフェイシャルティシュ製品であって、前記フィルムパックは、天面に、前記ティシュペーパーを通過させて取出すためのスリットを形成可能な略直線状のミシン目部を有しており、前記ミシン目部が、前記フィルムパックの天面において、フィルムパックのMD方向に沿って形成される辺に対して、50°以上130°以下の角度をなすように形成されており、前記ティシュペーパーのJIS P 8113に基づく乾燥時の取出し方向の引張強さが、0.6N/25mm以上7.0N/25mm以下であり、前記積層体を構成する前記ティシュペーパーの入り数は、40組以上180組以下である、フェイシャルティシュ製品である。
【0012】
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載のフェイシャルティシュ製品であって、前記ティシュペーパーが、前記ティシュペーパーの取出し方向がティシュペーパーのMD方向となるように積層されていることを特徴とするものである。
【0013】
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載のフェイシャルティシュ製品であって、前記フィルムパックを構成するフィルムの厚さが、20μm以上130μm以下であることを特徴とするものである。
【0014】
(4)本発明の第4の態様は、(1)から(3)のいずれかに記載のフェイシャルティシュ製品であって、前記フィルムパックは、キャラメル包装で形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
(5)本発明の第5の態様は、(1)から(4)のいずれかに記載のフェイシャルティシュ製品であって、前記フィルムパックの天面及び底面において、CD方向に沿って形成される辺の寸法が、100mm以上200mm以下であることを特徴とするものである。
【0016】
(6)本発明の第6の態様は、(1)から(5)のいずれかに記載のフェイシャルティシュ製品であって、前記フィルムパックの天面及び底面において、MD方向に沿って形成される辺の寸法が、80mm以上160mm以下であることを特徴とするものである。
【0017】
(7)本発明の第7の態様は、(1)から(6)のいずれかに記載のフェイシャルティシュ製品であって、前記フィルムパックの高さが、12mm以上53mm以下であることを特徴とするものである。
【0018】
(8)本発明の第8の態様は、(1)から(7)のいずれかに記載のフェイシャルティシュ製品であって、前記積層体を構成する各前記ティシュペーパーが、取出し方向に一回のみ折られていることを特徴とするものである。
【0019】
(9)本発明の第9の態様は、(1)から(8)のいずれかに記載のフェイシャルティシュ製品であって、前記ミシン目部の寸法が、前記フィルムパックのCD方向に形成される辺に沿った、前記積層体の辺の寸法に対して、40%以上95%以下であることを特徴とするものである。
【0020】
(10)本発明の第10の態様は、(1)から(9)のいずれかに記載のフェイシャルティシュ製品であって、前記ミシン目部が切込部と非切込部で構成され、前記ミシン目部の寸法に対する非切込部の合計の寸法の割合(%)に、前記フィルムパックを構成するフィルムの厚さ(μm)を乗じた値が、400以上5600以下であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ティシュペーパーの積層体と、当該積層体を収納するフィルムパックと、を備えるフェイシャルティシュ製品において、ティシュペーパーが柔らかでありながら破れづらく、かつ、フィルムパックのミシン目部を開封する際に、形成されるスリットの端部が破れづらく、交換頻度の低いコンパクトで携帯性に優れるフェイシャルティシュ製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】ミシン目部を開封する前の本発明のフェイシャルティシュ製品を示す斜視図である。
図2】ミシン目部を開封する前の本発明のフェイシャルティシュ製品の平面図である。
図3】ミシン目部を開封した後の本発明のフェイシャルティシュ製品を示す斜視図及び取出した後のティシュペーパーの態様を示す図面である。
図4】従来のポケットティシュ製品の平面図である。
図5】従来のポケットティシュ製品において、ミシン目部を開封することにより形成されるスリットの端部及びティシュペーパーの端部が破れている態様を示す図面である。
図6】従来のポケットティシュ製品において、収納されたティシュペーパーを広げた態様を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ符号を付する。図1は、ミシン目部11を開封する前の本発明のフェイシャルティシュ製品100を示す斜視図であり、図2は、ミシン目部11を開封する前の本発明のフェイシャルティシュ製品100の平面図であり、図3は、ミシン目部11を開封した後の本発明のフェイシャルティシュ製品100を示す斜視図及び取出した後のティシュペーパー2の態様を示す図面である。本実施形態におけるフェイシャルティシュ製品100は、図1及び図3に示すように、2プライのシートからなるティシュペーパー2の積層体20と、積層体20を収納するフィルムパック10を備えており、略直方体の形態を有している。
【0024】
<フィルムパック>
フィルムパック10の包装形態は公知の方法を用い、特に限定されないが、ピロー包装、又はキャラメル包装又はガゼット包装を用いることができ、美粧性を持たせる観点から、図1及び図3に示すようにキャラメル包装を用いることがより好ましい。
【0025】
フィルムパック10を構成するフィルムは、単層で形成されてもよく複層で形成されてもよいが、複層が好ましい。複層にすることで印刷層を層と層の間に設けることができるため、印刷インキが剥がれにくく、携帯性に優れる。フィルムの材質は特に限定されないが、単層で形成される場合、フィルムの材質が梨地ポリエチレン、乳白ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中低圧法高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレンから選択されるいずれか一種であることが好ましく、フィルムパック10を構成するフィルムが複層で形成される場合、フィルムパック10の最表層及び/又は最裏層におけるフィルムの材質が、梨地ポリエチレン、乳白ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中低圧法高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレンから選択されるいずれか一種であることが好ましく、梨地ポリエチレンがより好ましい。フィルムパック10を構成するフィルムの材質を上記の材質にすることにより、美粧性を向上させることができる。なお、フィルムを複層にする場合、ドライラミ、押出しラミ等の公知の方法を用いることができるが、フィルム臭気の観点から押出しラミが好ましい。
【0026】
(ミシン目部とスリット)
フィルムパック10は、図1及び図2に示すように、積層体20を収納した状態において、天面10t及び底面におけるMD方向及びCD方向に沿って形成される辺と高さ方向に沿って形成される辺から形成され、略直方体の形態を有している。また、フィルムパック10は、天面10tに、ティシュペーパー2を通過させて取出すためのスリット14を形成可能な略直線状のミシン目部11を有している。使用者は、ミシン目部11を開封することによりスリット14を形成し、図3に示すようにティシュペーパー2を、スリット14を通過させて取出すことができる。
【0027】
ここで、従来のポケットティシュ製品200においては、図4に示すように、フィルムパック10AのCD方向に略垂直となるようにミシン目部11Aが形成されることが一般的である。また、一般的なフィルムパックの性質として、MD方向に比してCD方向の強度が低い傾向がある。フィルムパック10Aが上記の構造を有している場合、ミシン目部11Aを開封する際に、強度の低いCD方向に引っ張られるため、図5に示すように開封時にスリット14Aの端部が破れやすく、さらに、スリット14Aの端部が破れることに依存してティシュペーパー2Aの端部が破れる場合があった。しかしながら、本発明においては、ミシン目部11が、フィルムパック10の天面10tにおいて、フィルムパック10のMD方向に沿って形成される辺に対して、50°以上130°以下の角度をなすように形成されている。このため、ミシン目部11を開封する際に、強度の高いMD方向に引っ張られるため、開封時にスリット14の端部が破れることを防止することができ、スリット14の端部が破れることに依存して発生するティシュペーパー2の端部が破れる現象も防止することができる。また、開封時にスリット14の端部が破れることを更に効果的に防止するために、上記の角度は65°以上115°以下であることが好ましく、80°以上100°以下であることがより好ましく、83°以上97°以下であることが更に好ましく、86°以上94°以下(MD方向に対して略垂直)であることが最も好ましい。なお、図1及び図2では上記の角度が90°である場合の態様を示している。
【0028】
ここで、図1から図3に示されるフィルムパックのMDとCDの矢印の方向の引裂強さをそれぞれ測定した場合において、引裂強さの値が高い方向をフィルムパック10のCD方向と定義する。引裂強さを測定する方向は、測定時に裂け目が生じる方向となる。フィルムパック10を構成するフィルムが、単層である場合、CD(TD)方向の引裂強さは、MD方向の引裂強さより、5倍以上、好ましくは10倍以上、更に好ましくは15倍以上となる。フィルムパック10を構成するフィルムが、複層である場合、CD(TD)方向の引裂強さは、MD方向の引裂強さより、1.03倍以上、好ましくは1.05倍以上、更に好ましくは1.08倍以上となる。フィルムパックの引裂強さは、JIS K 7128-1のトラウザー引裂法によって測定する。
フィルムパックのCD方向の引裂力は3N以上25N以下であることが好ましく、5N以上21N以下であることがより好ましく、7N以上17N以下であることが更に好ましい。フィルムパック10のCD方向の引裂力を上記の範囲にすることで、スリット14の端部が裂けづらく、携帯性に優れたフィルムパックとすることができる。
引裂強さは、試験片の引裂力(N)÷試験片の厚さ(mm)と定義されているが、本発明では試験片の引裂力(N)の値を上記にすることでフィルムに設けたスリット14の端部の破れを抑制できるため、引裂強さではなく、引裂力の値を規定した。なお、引裂強さは、フィルムの材質や厚さによって大きく変わるため、必要に応じて、JIS K 7128-2のエルメンドルフ引裂法に準じて行ってもよい。ただし、同じフィルムでMD方向とCD方向を測定する場合、同一の測定方法を用いる。なお、フィルムパックの大きさにより、測定に用いることができるフィルムのサイズも変わるため、必要に応じて、測定に用いるフィルムサイズや枚数を変更してもよい。
【0029】
なお、図1及び図2では、フィルムパック10の天面10t及び底面において、MD方向に沿って形成される辺が短辺となっており、CD方向に沿って形成される辺が長辺となっており、一般的な従来のティシュ製品において、短辺に対して略垂直にミシン目部11Aが設けられている(図4を参照)。そこで、本発明において、使用者が従来のティシュ製品と違和感なく使用できるようにするために、MD方向に沿って形成される辺が短辺となり、CD方向に沿って形成される辺を長辺とし、さらに、短辺に対して上記の所定の角度を有するようにミシン目部11を形成することが好ましい。
【0030】
ミシン目部11は、図1に示すように、切込部12と非切込部13が交互に配列されることにより形成される。なお、ミシン目部11の両端部は、切込部12で構成される。なお、ミシン目部11の長手方向の寸法(PL)は、ミシン目部11を開封することにより形成されるスリット14の長手方向の寸法と等しい。ミシン目部11の長手方向の寸法(PL)は、60mm以上170mm以下であることが好ましく、80mm以上150mm以下であることがより好ましく、100mm以上130mm以下であることが更に好ましい。
【0031】
ミシン目部11の寸法が、フィルムパック10のCD方向に形成される辺に沿った、積層体20の辺の寸法に対して、40%以上95%以下であることが好ましい。当該数値が小さすぎると、ティシュペーパー2を、スリット14を通過させて取出す際の抵抗が大きくなることで、ティシュペーパー2が破れてしまう場合があり、また、当該数値が大きすぎると、携帯時にスリット14が飛びだしやすくなることで、ティシュペーパー2が破れやすくなる場合がある。ミシン目部11の寸法が、フィルムパック10のCD方向に形成される辺に沿った、積層体20の辺の寸法に対して、50%以上90%以下であることがより好ましく、60%以上80%以下であることが更に好ましい。
【0032】
非切込部13の合計の寸法は、ミシン目部11の長手方向の寸法(PL)に対して、4%以上60%以下であることが好ましく、10%以上42%以下であることがより好ましく、17%以上32%以下であることが更に好ましい。これにより、使用者はミシン目部11をスムーズに開封することができ、未開封時に意図せずミシン目部11が開封されることを防止することができる。
【0033】
また、各切込部12の長手方向の寸法は、1.2mm以上4.3mm以下であることが好ましく、1.7mm以上3.7mm以下であることがより好ましく、2.2mm以上3.2mm以下であることが更に好ましい。また、各非切込部13の長手方向の寸法は、0.2mm以上1.8mm以下であることが好ましく、0.4mm以上1.4mm以下であることがより好ましく、0.6mm以上1.2mm以下であることが更に好ましい。なお、上記の寸法は、ミシン目部11の各切込部12と各非切込部13のそれぞれの加重平均値とする。
【0034】
フィルムパック10の天面10t及び底面において、CD方向に沿って形成される辺の寸法が、100mm以上200mm以下であることが好ましい。CD方向に沿って形成される辺の寸法が小さすぎるとサイズバランスが悪くなり、携帯性が低下する場合があり、また、当該辺の寸法が大きすぎると、カバン等に入れて携帯する際に、折れ曲がることで内容物であるティシュペーパー2が破れる場合がある。CD方向に沿って形成される辺の寸法を上記の範囲にすることにより、フェイシャルティシュ製品100の携帯性が良好となり、カバン等に入れて携帯する際のフェイシャルティシュ製品100が折れ曲がることを防止でき、ひいては、内容物であるティシュペーパー2が破れることを防止することができる。フィルムパック10の天面10t及び底面において、CD方向に沿って形成される辺の寸法は、125mm以上185mm以下であることがより好ましく、150mm以上170mm以下であることが更に好ましい。
【0035】
また、フィルムパック10の天面10t及び底面において、MD方向に沿って形成される辺の寸法が、80mm以上160mm以下であることが好ましい。MD方向に沿って形成される辺の寸法が小さすぎると、ミシン目部11を開封する際に力を強く入れる必要があり、その際にティシュペーパー2が破れる場合があり、また、当該辺の寸法が大きすぎると、カバン等に入れて携帯する際に、折れ曲がることで内容物であるティシュペーパー2が破れる場合がある。MD方向に沿って形成される辺の寸法を上記の範囲にすることにより、ミシン目部11を開封する際に強い力を入れなくても容易に開封することができ、その結果、ティシュペーパー2が破れることを防止することができる。また、カバン等に入れて携帯する際のフェイシャルティシュ製品100が折れ曲がることを防止でき、ひいては、内容物であるティシュペーパー2が破れることを防止することができる。フィルムパック10の天面10t及び底面において、MD方向に沿って形成される辺の寸法は、100mm以上150mm以下であることがより好ましく、120mm以上140mm以下であることが更に好ましい。
【0036】
フィルムパック10の高さ(H)が、12mm以上53mm以下であることが好ましい。フィルムパック10の高さ(H)を上記の範囲にすることにより、交換頻度を抑制しつつ、携帯性に優れコンパクトでありながら、交換頻度を低くすることができる。フィルムパック10の高さ(H)は、16mm以上48mm以下であることがより好ましく、22mm以上41mm以下であることが更に好ましい。
【0037】
フィルムパック10は、従来の紙製のカートンと比べて可撓性を有するため、フィルムパック10の天面10t及び底面において、MD方向又はCD方向に沿って形成される辺の寸法及びフィルムパック10の高さ(H)は以下の方法により測定する。フェイシャルティシュ製品100を水平面に戴置させた後に、JISの30cmの定規(例えば、シンワ測定株式会社製の直尺シルバー、材質ステンレス、63g)をフィルムパック10の天面10tのMD方向の中心部にCD方向に平行となるように載せて、フィルムパック10のCD方向両端部における上記水平面からの上記定規までの高さを測定し、2つの測定値の平均値をフィルムパック10の高さ(H)とする。フィルムパック10の天面10t及び底面において、MD方向又はCD方向に沿って形成される辺の寸法については、上記定規を載せた状態で天面10tにおける各寸法を測定する。
【0038】
フィルムパック10を構成するフィルムの厚さは、20μm以上130μm以下であることが好ましく、40μm以上115μm以下であることがより好ましく、70μm以上100μm以下であることが更に好ましい。フィルムの厚さを上記の範囲に調整することにより、スリット14の端部が破れることを防止でき、また、不要にフェイシャルティシュ製品100が嵩張ることで携帯性が低下することを防止することができる。
【0039】
また、ミシン目部11の寸法に対する非切込部13の合計の寸法の割合(%)に、フィルムパック10を構成するフィルムの厚さ(μm)を乗じた値が、400以上5600以下であることが好ましい。ミシン目部11の寸法に対する非切込部13の合計の寸法の割合(%)に、フィルムパック10を構成するフィルムの厚さ(μm)を乗じた値を上記の範囲に調整することで、ミシン目部11が意図せずに開封されてスリット14の端部が破れることを防止でき、また、ミシン目部11を開封する際に強い力を入れなくても容易に開封することができ、その結果、ティシュペーパー2が破れることを防止することができる。また、ミシン目部11の寸法に対する非切込部13の合計の寸法の割合(%)に、フィルムパック10を構成するフィルムの厚さ(μm)を乗じた値が、800以上4000以下であることがより好ましく、1500以上2600以下であることが更に好ましい。
【0040】
<ティシュペーパー及び積層体>
本実施形態において収納されたティシュペーパー2は、2プライのシートから構成され、原紙にカレンダー処理がなされたものである。使用者は、ミシン目部11を開封することによりスリット14を形成し、図3に示すようにティシュペーパー2を、スリット14を通過させて取出すことができる。
【0041】
本発明において、ティシュペーパー2のJIS P 8113に基づく乾燥時の取出し方向Dの引張強さが、0.6N/25mm以上7.0N/25mm以下であるため、ティシュペーパー2が柔らかでありなりながら、ティシュペーパー2をスリット14を通過させて取出す際に破れることを防止することができる。なお、当該引張強さは、ティシュペーパー2を広げた状態で測定したものである。また、ティシュペーパー2のJIS P 8113に基づく乾燥時の取出し方向Dの引張強さが、0.9N/25mm以上6.0N/25mm以下であることが好ましく、2.0N/25mm以上4.5N/25mm以下であることがより好ましい。
【0042】
また、本発明において、ティシュペーパー2のJIS P 8113に基づく乾燥時の取出し方向Dに対して垂直方向の引張強さが、0.6N/25mm以上4.0N/25mm以下であることが好ましく、0.6N/25mm以上3.0N/25mm以下であることがより好ましく、0.6N/25mm以上2.0N/25mm以下であることが更に好ましい。ティシュペーパー2のJIS P 8113に基づく乾燥時の取出し方向Dに対して垂直方向の引張強さを上記の範囲に調整することにより、柔らかでありながら、使用時に破れにくい、ティシュペーパー2を得ることができる。なお、上記の引張強さの測定は、引張速度300mm/minの条件で行う。また、引張強さは、公知の方法で調整することができる。
【0043】
ティシュペーパー2の、上記の取出し方向Dの引張強さと上記の取出し方向Dに対して垂直方向の引張強さの幾何平均(上記の取出し方向Dの引張強さ×上記の取出し方向Dに対して垂直方向の引張強さ)1/2で表される数値が1.0N/25mm以上5.5N/25mm以下であることが好ましく、1.3N/25mm以上4.7N/25mm以下であることがより好ましく、1.5N/25mm以上2.8N/25mm以下であることが更に好ましい。ティシュペーパー2の上記の幾何平均で表される数値が上記の範囲であることにより、柔らかでありながら、使用時に破れにくい、ティシュペーパー2となる。
【0044】
ところで、従来のポケットティシュ製品200においては、図4に示すように、ミシン目部11Aを開封することにより形成されるスリット14Aからティシュペーパー2Aを取出す方向がティシュペーパー2AのCD方向となるように、ティシュペーパー2Aがフィルムパック10に収納されることが一般的である。一般的なティシュペーパーは、繊維配向に影響されるためクレープの山谷が連続するMD方向に比して、CD方向の強度が著しく低いという性質を有する。そのため、上記したように、ミシン目部11Aに直交する方向がティシュペーパー2AのCD方向となるようにティシュペーパー2Aが収納されていることにより、ミシン目部11Aを開封してスリット14Aを形成する際に、ティシュペーパー2Aが強度の低いCD方向に引っ張られ、破れやすいという問題があった。また、ミシン目部11Aを開封した後において、本発明のように組数の多いポケットティシュ製品200を、長期間にわたりカバン等に保管する場合、動作時の物理的な負荷が、ティシュペーパー2Aの、スリット14Aにより露出された部分に加わり、破れやすいという問題もあった。
そのため、本発明では、図3に示すように、ティシュペーパー2が、ティシュペーパー2の取出し方向Dがティシュペーパー2のMD方向となるように積層されていることが好ましい。ティシュペーパー2が、ティシュペーパー2の取出し方向Dがティシュペーパー2のMD方向となるように積層されていることにより、ミシン目部11を開封してスリット14を形成する際に、ティシュペーパー2がスリット14に対して略垂直方向に引っ張られても破れにくくすることができる。
【0045】
また、図6に示すように、従来のポケットティシュ製品200の内容物であるティシュペーパー2Aは、CD方向よりもMD方向に折られている回数が多いため、折り目2afを境としてCD方向に裂けて破れやすい傾向にあった。そのため、本発明では、積層体20を構成する各ティシュペーパー2が、図3に示すように取出し方向Dに一回のみ折られていることが好ましい。図3では、取出し方向Dがティシュペーパー2のMD方向であり、MD方向に折り目2fに沿って一回折られている態様が示されている。なお、ティシュペーパー2が積層される態様は特に限定されないが、ポップアップ式に取出し可能に、交互に積層して積層体20としてフィルムパック10に収納されることが好ましい。なお、図3では、各ティシュペーパー2は中央でV折りされて折り目2fを有し、それぞれの側端部が掛け合わされながら交互に積層され、ポップアップ式に取出し可能な積層体20を構成しているが、ポップアップ式に取出し可能であれば他の公知の折り方であってもよい。この場合、積層体20としてフィルムパック10に収納される際には、折り目2fがフィルムパック10のCD方向に略平行となるように収納される。従来のポケットティシュ製品200では、図6に示すように、多数の折り目2afに沿って折られたティシュペーパー2Aが積層されていたが、言うまでもなく、ポップアップ式に取出すことはできず、また、多数の折り目2afに沿って折られることで嵩張ってしまい、ティシュペーパー2Aの入り数が少なくならざるを得なかったが、取出し方向Dに一回のみ折られ、かつ、ポップアップ式に取出すことができるように積層することにより、ティシュペーパー2の入り数を多くすることができ、フェイシャルティシュ製品100の交換頻度を低くすることができる。
【0046】
また、本発明のフェイシャルティシュ製品100において、ティシュペーパー2にはローション薬液が塗工されなくてもよいし、塗工されてもよいが、原紙質量に対して、グリセリン、ソルビトール等を含むローション薬液を、5%以上40%以下、好ましくは10%以上35%以下、さらに好ましくは15%以上30%以下の範囲で塗工することが好ましい。上記の範囲でローション薬液を塗工することにより、ティシュペーパー2が柔らかな風合いとなる。本発明では、ティシュペーパー2にローション薬液が塗工されたとしても、上記のように取出し方向Dの引張強度やフィルムパック10の態様を調整しているため、ティシュペーパー2を破れにくくすることができる。
【0047】
(ティシュペーパーの寸法・入り数)
ティシュペーパー2の取出し方向Dに展開した寸法(図3ではティシュペーパー2を広げた状態における、MD方向に沿って形成された辺の寸法)は、150mm以上290mm以下であることが好ましく、180mm以上270mm以下であることがより好ましく、210mm以上250mm以下であることが更に好ましい。また、フィルムパック10のCD方向に形成される辺に沿った、積層体20の辺の寸法は、100mm以上200mm以下であることが好ましく、125mm以上185mm以下であることがより好ましく、150mm以上170mm以下であることが更に好ましい。なお、当該寸法は、図3に示すように、ティシュペーパー2が取出し方向Dに一回のみ折られている場合には、ティシュペーパー2を展開した際の取出し方向Dに直交する方向の寸法と略同一となる。
【0048】
積層体20を構成するティシュペーパー2(2プライに積層されたシート)の入り数は、40組以上180組以下であることが好ましく、60組以上160組以下であることがより好ましく、80組以上140組以下であることが更に好ましい。ティシュペーパー2の入り数を上記の範囲に調整することにより、コンパクトタイプでありながら、フェイシャルティシュ製品100の交換頻度を低くすることができる。
【0049】
(ティシュペーパー原料)
ティシュペーパー2を構成する2プライのシートは、パルプを主成分とするものであり、好ましくは、50質量%以上のパルプを含有する。ティシュペーパーの製造に使用できるパルプとしては、木材パルプ、古紙パルプ、非木材パルプが挙げられるが、本実施形態のティシュペーパー2は、パルプとして木材パルプ100%から成るものであってもよく、木材パルプの他に、古紙パルプや非木材パルプを含んでいてもよい。パルプ以外の成分としては、填料、合成繊維、天然繊維等を挙げることができる。目標とする品質を得るためには、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)20質量%以上50質量%以下と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50質量%以上80質量%以下とからなる木材パルプを原料とすることが好ましく、NBKP:25質量%以上45質量%以下と、LBKP:55質量%以上75質量%以下とからなる木材パルプを原料とすることがより好ましく、NBKP:30質量%以上40質量%以下と、LBKP:60質量%以上70質量%以下とからなる木材パルプを原料とすることが更に好ましい。
【0050】
(紙厚、坪量)
本実施形態のティシュペーパー2における、紙厚は、0.50mm/10プライ以上1.10mm/10プライ以下であることが好ましく、0.55mm/10プライ以上0.95mm/10プライ以下であることがより好ましく、0.60mm/10プライ以上0.80mm/10プライ以下であることが更に好ましい。なお、上記の紙厚は、2プライのシートを5組重ねたときの紙厚を示す。また、本実施形態のティシュペーパー2における、1プライあたりの坪量は、13g/m以上20g/m以下であることが好ましく、14g/m以上19g/m以下であることがより好ましく、15g/m以上18g/m以下であることが更に好ましい。ティシュペーパー2の紙厚や1プライあたりの坪量を上記の範囲内のものとすることにより、柔らかさと携帯性とが両立可能なものとなる。
【0051】
(比容積)
ティシュペーパー2の比容積は3.1cm/g以上6.3cm/g以下であることが好ましい。ティシュペーパー2の比容積が上記範囲内のものであることにより、シートの柔らかさが良好なものとなり、携帯性が良好に維持される。上記比容積は、3.3cm/g以上5.4cm/g以下であることがより好ましく、3.6cm/g以上4.6cm/g以下であることが更に好ましい。
【0052】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またそのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
<実施例>
【0053】
以下、本発明について実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に限定されるものではない。
【0054】
<実施例1から32、比較例1から16>
表1から表4に示すようにフェイシャルティシュ製品の特性に関して、モニター20人で5段階評価を行った。数値が大きいほど優れていることを示し、「3」以上の場合に合格とした。表1から表4の評価の数字は、モニター20名の各評価の数字の平均値を四捨五入したものである。
【0055】
ティシュペーパーの原料に関しては、パルプ組成の含有率(質量%)が、NBKP35%、LBKP65%となるように調整した。また、実施例4、比較例2を除いて、原紙質量に対して、グリセリン、ソルビトール含むローション薬液を、20%塗工した。また、ティシュペーパーの積層の態様としては、取出し方向に一回のみ折られ、かつ、ポップアップ式に取出すことができるように積層する態様とした。なお、比較例3、実施例7、実施例8を除いて、各実施例及び各比較例では、ティシュペーパーの取出し方向がティシュペーパーのMD方向となるように積層し、比較例3、実施例7、実施例8では、ティシュペーパーの取出し方向がティシュペーパーのCD方向となるように積層した。フィルムパックはキャラメル包装で形成した。
【0056】
なお、比較例8を除いて、各実施例及び各比較例では、ミシン目部を、フィルムパックの天面に、フィルムパックのMD方向に垂直となるように、CD方向に沿ってMD方向の中心に設け、かつ、ミシン目部の長手方向の中心点がフィルムパックの天面のCD方向の中心となるように設けた。一方で、比較例8では、ミシン目部を、フィルムパックのCD方向に垂直となるように、MD方向に沿ってCD方向の中心に設け、かつ、ミシン目部の長手方向の中心点がフィルムパック天面のMD方向の中心となるように設けた。
【0057】
ティシュペーパーの坪量:JIS P 8124に基づいて測定し、シート1枚あたりに換算した。
【0058】
ティシュペーパーの紙厚:シックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定した。測定条件は、測定荷重250gf、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取った。なお、1回の測定は2プライのシートを5組重ねて行い、測定を10回繰り返して測定結果を平均した。
【0059】
比容積:シート1枚あたりの紙厚を1枚あたりの坪量で割り、単位gあたりの容積cmで表した。
【0060】
フィルムの厚さ:JIS Z 1702に基づいて測定した。
【0061】
なお、上記の測定は、JIS P 8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持した後に行った。他の項目の測定方法については、上記を参照されたい。
【0062】
なお、評価項目については、各モニターが各実施例及び各比較例のフェイシャルティシュ製品を1パックずつそれぞれ使い切るまで使用した際の評価である。


































【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
以上のことから、本発明によれば、ティシュペーパーが柔らかでありながら破れづらく、かつ、フィルムパックのミシン目部を開封する際に、形成されるスリットの端部が破れづらく、交換頻度の低いコンパクトで携帯性に優れるフェイシャルティシュ製品を提供することができる。
【符号の説明】
【0068】
2、2A ティシュペーパー
2f、2af 折り目
10、10A フィルムパック
10t フィルムパックの天面
11、11A ミシン目部
12 切込部
13 非切込部
14、14A スリット
20 ティシュペーパーの積層体
100 フェイシャルティシュ製品
200 従来のポケットティシュ製品
MD フィルムパック又はティシュペーパーのMD方向
CD フィルムパック又はティシュペーパーのCD方向
H フィルムパックの高さ
PL ミシン目部(又はスリット)の長手方向の寸法
D 取出し方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6