(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 41/60 20180101AFI20221213BHJP
F21S 41/148 20180101ALI20221213BHJP
F21V 14/00 20180101ALI20221213BHJP
F21V 19/02 20060101ALI20221213BHJP
F21W 102/10 20180101ALN20221213BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221213BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20221213BHJP
【FI】
F21S41/60
F21S41/148
F21V14/00
F21V19/02 600
F21V19/02 500
F21W102:10
F21Y115:10 500
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2018062653
(22)【出願日】2018-03-28
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】今村 友幸
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-204861(JP,A)
【文献】特許第6176931(JP,B2)
【文献】特開2010-015888(JP,A)
【文献】特開2015-015187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/60
F21S 41/148
F21V 14/00
F21V 19/02
F21W 102/10
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開口したハウジングと、ハウジングの開口を覆うレンズカバーとにより構成される灯体の内側に、車両前方に向けて光を投影する光源ユニットが配置されると共に、前記光源ユニットから車両前方に向けて投影される光の光軸を調整する光軸調整機構を備えた車両用灯具であって、
前記ハウジングの前面にブラケットを介して前記光源ユニットを保持するホルダが取り付けられると共に、前記ブラケットに対して前記ホルダが傾き自在に支持された構造と、前記ハウジングに対して前記ブラケットが傾き自在に支持された構造とを有し、
前記光軸調整機構は、前記ブラケットに対して前記ホルダを支持する3つの支持点のうち、第1の支持点に位置して前記ブラケットに対して前記ホルダを傾き自在に支持する第1のピボット部と、第2の支持点に位置して前記ブラケットに対して前記ホルダを傾き自在に支持する第2のピボット部と、第3の支持点に位置して前記ブラケットに対する前記ホルダの上下方向の傾きを調整するアクチュエータと、前記ハウジングに対して前記ブラケットを支持する3つの支持点のうち、第4の支持点に位置して前記ハウジングに対して前記ブラケットを傾き自在に支持する第3のピボット部と、第5の支持点に位置して前記ハウジングに対する前記ブラケットの左右方向の傾きを調整する左右傾き調整具と、第6の支持点に位置して前記ハウジングに対する前記ブラケットの上下方向の傾きを調整する上下傾き調整具とを有し、
前記光源ユニットを正面視したときに、前記第1の支持点、前記第2の支持点及び前記第3の支持点が前記光源ユニットよりも外側に位置し、
前記第4の支持点、前記第5の支持点及び前記第6の支持点が、前記第1の支持点、前記第2の支持点及び前記第3の支持点で囲まれるエリアよりも外側に位置し、
前記第4の支持点及び前記第5の支持点を通る第2の水平ライン上の前記第4の支持点と前記第5の支持点との間に前記第3の支
持点が位置し、
前記アクチュエータは、前記ブラケットの前記第3の支
持点に対応した位置に取り付けられていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記アクチュエータは、前後方向にスライド駆動するスライド軸と、前記スライド軸の位置を検出する位置検出部とを有し、
前記ホルダに対して前記スライド軸の先端が傾き自在に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記光源ユニットを正面視したときに、前記第1の支持点と前記第2の支持点とを結ぶ支持ラインが前記光源ユニットの光軸中心を通る第1の水平ラインに対して平行となり、且つ、前記光源ユニットの光軸中心を通る第1の鉛直ラインが前記支持ラインの中間において直交することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記光源ユニットを正面視したときに、前記支持ラインと前記第3の支持点とが前記第1の水平ラインを挟んで互いに向かい合う側に位置し、且つ、前記第1の支持点、前記第2の支持点及び前記第3の支持点で囲まれるエリアの内側に前記光源ユニットの光軸中心が位置することを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記光源ユニットを正面視したときに、前記支持ラインと前記第1の水平ラインとが互いに一致していることを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記光源ユニットを側面視したときに、前記光源ユニットの回動中心が前記光源ユニットの重心と一致していることを特徴とする請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記光源ユニットを側面視したときに、前記光源ユニットの回動中心が前記光源ユニットの重心よりも前方に位置することを特徴とする請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記光源ユニットを正面視したときに、前記第3の支持点が前記第1の鉛直ライン上に位置することを特徴とする請求項
3~7の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記光源ユニットを正面視したときに、前記第3の支持点が前記第1の鉛直ラインを挟んだ一方側に位置することを特徴とする請求項
3~7の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項10】
前記光源ユニットを正面視したときに、前記第4の支持点を通る第2の鉛直ライン上に前記第6の支持点が位置することを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用前照灯(ヘッドランプ)などの車両用灯具では、前面が開口したハウジングと、ハウジングの開口を覆うレンズカバーとにより構成される灯体の内側に、車両前方に向けて光を投影する光源ユニットを配置し、この光源ユニットから車両前方に向けて投影される光の光軸を調整する光軸調整機構を備えたものがある(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
このような光軸調整機構を備えた車両用灯具では、光源ユニットの上下方向の傾きと左右方向の傾きとを手動で調整するエイミング操作によって、車両停止時(車両水平時)に光源ユニットから車両前方に向けて投影される光の光軸を調整することが可能である。
【0004】
一方、車両走行時(車両傾斜時)には、車両の前後方向の傾きを検出した後、光源ユニットから車両前方に向けて投影される光の光軸を上下方向に自動で調整するレベリング操作によって、車両の姿勢変化に伴う光軸の変動を補正することが可能である。
【0005】
また、下記特許文献1には、ランプボデイに対して中間傾動部材が傾動可能に支持されると共に、中間傾動部材に対してリフレクタが傾動可能に支持され、ランプボデイに対して中間傾動部材を支持する3つの支持点のうち、1つの支持点が傾動支点として形成されると共に、他の2つの支持点がランプボデイに対する中間傾動部材の位置を変化させるエイミング調整部材を介して支持され、中間傾動部材に対してリフレクタを支持する3つの支持点のうち、2つの支持点が傾動支点として形成されると共に、他の1つの支持点が中間傾動部材に対するリフレクタの位置を自動操作又は遠隔操作によって変化させるレベリングアクチュエータを介して支持された車両用前照灯が開示されている。
【0006】
特許文献1に記載の車両用前照灯では、エイミング調整機構とレベリング調整機構とが独立して設けられ、レベリングアクチュエータをランプボデイの内部に配置することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した特許文献1に記載の車両用前照灯(車両用灯具)では、中間傾動部材に対してリフレクタが傾動可能に支持されると共に、これら中間傾動部材とリフレクタとの間にレベリング調整機構を配置した構成となっている。
【0009】
この構成の場合、レベリング調整機構として、リフレクタの背面側に3つの支持点となる球状凹部を設けて、これら球状凹部に中間傾動部材側の球状部を嵌合させることによって、リフレクタの背面側を傾動可能に支持している。
【0010】
しかしながら、このような特許文献1に記載の構成では、リフレクタの背面側に球状凹部を一体に設けなければならず、リフレクタの成形加工が複雑となってしまう。また、リフレクタは、光源バルブに合わせて設計された反射面形状を有している。しかしながら、リフレクタの成形時に球状凹部を設けた部分にヒケが発生することで、この反射面形状が設計範囲からずれてしまう可能性がある。さらに、中間傾動部材とリフレクタとの間にレベリング調整機構を配置するための十分なスペースを確保しなければならない。このようなスペースが不足すると、リフレクタの支持位置が不安定な位置に制限されたり、光軸の調整範囲に制約が生じたりすることもある。
【0011】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、光源ユニットを安定した状態で支持することができ、光軸調整機構による光軸調整を安定的に行うことを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 前面が開口したハウジングと、ハウジングの開口を覆うレンズカバーとにより構成される灯体の内側に、車両前方に向けて光を投影する光源ユニットが配置されると共に、前記光源ユニットから車両前方に向けて投影される光の光軸を調整する光軸調整機構を備えた車両用灯具であって、
前記ハウジングの前面にブラケットを介して前記光源ユニットを保持するホルダが取り付けられると共に、前記ブラケットに対して前記ホルダが傾き自在に支持された構造と、前記ハウジングに対して前記ブラケットが傾き自在に支持された構造とを有し、
前記光軸調整機構は、前記ブラケットに対して前記ホルダを支持する3つの支持点のうち、第1の支持点に位置して前記ブラケットに対して前記ホルダを傾き自在に支持する第1のピボット部と、第2の支持点に位置して前記ブラケットに対して前記ホルダを傾き自在に支持する第2のピボット部と、第3の支持点に位置して前記ブラケットに対する前記ホルダの上下方向の傾きを調整するアクチュエータと、前記ハウジングに対して前記ブラケットを支持する3つの支持点のうち、第4の支持点に位置して前記ハウジングに対して前記ブラケットを傾き自在に支持する第3のピボット部と、第5の支持点に位置して前記ハウジングに対する前記ブラケットの左右方向の傾きを調整する左右傾き調整具と、第6の支持点に位置して前記ハウジングに対する前記ブラケットの上下方向の傾きを調整する上下傾き調整具とを有し、
前記光源ユニットを正面視したときに、前記第1の支持点、前記第2の支持点及び前記第3の支持点が前記光源ユニットよりも外側に位置し、
前記第4の支持点、前記第5の支持点及び前記第6の支持点が、前記第1の支持点、前記第2の支持点及び前記第3の支持点で囲まれるエリアよりも外側に位置し、
前記第4の支持点及び前記第5の支持点を通る第2の水平ライン上の前記第4の支持点と前記第5の支持点との間に前記第3の支持点が位置し、
前記アクチュエータは、前記ブラケットの前記第3の支持点に対応した位置に取り付けられていることを特徴とする車両用灯具。
〔2〕 前記アクチュエータは、前後方向にスライド駆動するスライド軸と、前記スライド軸の位置を検出する位置検出部とを有し、
前記ホルダに対して前記スライド軸の先端が傾き自在に支持されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 前記光源ユニットを正面視したときに、前記第1の支持点と前記第2の支持点とを結ぶ支持ラインが前記光源ユニットの光軸中心を通る第1の水平ラインに対して平行となり、且つ、前記光源ユニットの光軸中心を通る第1の鉛直ラインが前記支持ラインの中間において直交することを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記光源ユニットを正面視したときに、前記支持ラインと前記第3の支持点とが前記第1の水平ラインを挟んで互いに向かい合う側に位置し、且つ、前記第1の支持点、前記第2の支持点及び前記第3の支持点で囲まれるエリアの内側に前記光源ユニットの光軸中心が位置することを特徴とする前記〔3〕に記載の車両用灯具。
〔5〕 前記光源ユニットを正面視したときに、前記支持ラインと前記第1の水平ラインとが互いに一致していることを特徴とする前記〔3〕に記載の車両用灯具。
〔6〕 前記光源ユニットを側面視したときに、前記光源ユニットの回動中心が前記光源ユニットの重心と一致していることを特徴とする前記〔5〕に記載の車両用灯具。
〔7〕 前記光源ユニットを側面視したときに、前記光源ユニットの回動中心が前記光源ユニットの重心よりも前方に位置することを特徴とする前記〔5〕に記載の車両用灯具。
〔8〕 前記光源ユニットを正面視したときに、前記第3の支持点が前記第1の鉛直ライン上に位置することを特徴とする前記〔3〕~〔7〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔9〕 前記光源ユニットを正面視したときに、前記第3の支持点が前記第1の鉛直ラインを挟んだ一方側に位置することを特徴とする前記〔3〕~〔7〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔10〕 前記光源ユニットを正面視したときに、前記第4の支持点を通る第2の鉛直ライン上に前記第6の支持点が位置することを特徴とする前記〔1〕~〔9〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、光源ユニットを安定した状態で支持することができ、光軸調整機構による光軸調整を安定的に行うことを可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す車両用灯具の構成を示す分解斜視図である。
【
図3】
図1に示す車両用灯具が備える光源ユニットの構成を示す側面図である。
【
図4】
図1に示す車両用灯具が備える光源ユニットを正面側から見たときの各支持点の配置を示す模式図である。
【
図5】
図1に示す車両用灯具が備える光軸調整機構によるエイミング操作を説明するための模式図である。
【
図6】
図1に示す車両用灯具が備える光軸調整機構によるエイミング操作を説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図1に示す車両用灯具が備える光軸調整機構を制御する制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図8】
図1に示す車両用灯具を備えた車両の姿勢変化を示す模式図である。
【
図9】
図1に示す車両用灯具が備える光軸調整機構によるレベリング操作を説明するための模式図である。
【
図10】
図1に示す車両用灯具が備える光軸調整機構によるレベリング操作を説明するためのフローチャートである。
【
図11】
図1に示す車両用灯具が備える光源ユニットを正面側から見たときの第1、第2及び第3の支持点の別の配置例を示す模式図である。
【
図12】
図1に示す車両用灯具が備える光源ユニットを正面側から見たときの第1、第2及び第3の支持点の別の配置例を示す模式図である。
【
図13】
図10及び
図11に示す構成において、光源ユニットを側面側から見たときの光源ユニットの回動中心及び重心の一例を示す模式図である。
【
図14】
図10及び
図11に示す構成において、光源ユニットを側面側から見たときの光源ユニットの回動中心及び重心の他例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0016】
本発明の一実施形態として、例えば
図1~
図4に示す車両用灯具1について説明する。
なお、
図1は、車両用灯具1の構成を示す斜視図である。
図2は、車両用灯具1の構成を示す分解斜視図である。
図3は、車両用灯具1が備える光源ユニット4の構成を示す側面図である。
図4は、車両用灯具1が備える光源ユニット4を正面側から見たときの各支持点S1~S6の配置を示す模式図である。
【0017】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具1の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具1の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具1の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0018】
本実施形態の車両用灯具1は、例えば、車両(図示せず。)の前端側の両コーナー部に搭載される車両用前照灯(ヘッドランプ)に本発明を適用したものである。
【0019】
具体的に、この車両用灯具1は、
図1及び
図2に示すように、前面が開口したハウジング2と、ハウジング2の開口を覆う透明なレンズカバー(図示せず。)とにより構成される灯体3の内側に、車両前方(+X軸方向)に向けて光を投影する光源ユニット4が配置された構造を有している。
【0020】
また、車両用灯具1は、ハウジング2の前面にブラケット5を介して光源ユニット4を保持するホルダ6が取り付けられると共に、ブラケット5に対してホルダ6が傾き自在に支持され、ハウジング2に対してブラケット5が傾き自在に支持された構造を有している。ブラケット5の略中央部には、光源ユニット4を貫通させる開口部5aが設けられている。
【0021】
光源ユニット4は、
図1、
図2及び
図3に示すように、例えば、白色光(以下、単に光という。)Lを発するチップLED(SMD LED)からなる光源7と、光源7から上方に向けて出射された光Lを車両前方に向けて反射するリフレクタ8と、リフレクタ8により反射された光Lの一部を遮光(カット)するシェード9と、シェード9により一部がカットされた光Lを車両前方に向けて投影する投影レンズ10と、光源7が一面(本実施形態では上面)側に実装された基板11と、基板11の他面(本実施形態では下面)側に接触した状態で、光源7が発する熱を放熱させるヒートシンク12とを有している。
【0022】
光源ユニット4では、すれ違い用ビーム(ロービーム)として、シェード9の前端によって規定される光源像を投影レンズ10により反転投影することで、上端にカットオフラインを含むロービーム用配光パターンを形成している。
【0023】
なお、光源ユニット4については、この光源ユニット4の背面側に冷却ファン(図示せず。)が取り付けられた構成としてもよい。また、光源7については、上述したLED以外にも、例えばレーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いることができる。さらに、発光素子の数については、1つ限らず、複数であってもよい。
【0024】
また、光源ユニット4では、別の光源(図示せず。)をシェード9の下方に配置し、走行用ビーム(ハイビーム)として、この光源が出射する光を投影レンズ10により車両進行方向に向けて投影することで、ロービーム用配光パターンよりも上方にハイビーム用配光パターンを形成する構成としてもよい。
【0025】
光源ユニット4は、上述した光源7、リフレクタ8、シェード9、投影レンズ10、基板11及びヒートシンク12を略円筒状のホルダ6の内側に収容することによって、このホルダ6に一体に保持されている。また、ホルダ6の基端側の外周部には、平板状のフランジ部6aが拡径方向に突出して設けられている。
【0026】
なお、光源ユニット4については、上述した投影レンズ10を用いて車両前方に向けて光Lを投影するプロジェクタタイプの光源ユニットに必ずしも限定されるものではなく、例えば、投影レンズを省略し、複数の反射面を含むリフレクタを用いて車両前方に向けて光Lを投影するリフレクタタイプの光源ユニットや、導光レンズを用いて車両前方に向けて光Lを投影する導光レンズタイプの光源ユニットなどであってもよい。
【0027】
本実施形態の車両用灯具1は、
図1及び
図2に示すように、光源ユニット4から車両前方に向けて投影される光の光軸を調整する光軸調整機構13を備えている。
【0028】
光軸調整機構13は、レベリング調整機構として、ブラケット5に対してホルダ6を支持する3つの支持点S1,S2,S3のうち、第1の支持点S1に位置してブラケット5に対してホルダ6を傾き自在に支持する第1のピボット部14と、第2の支持点S2に位置してブラケット5に対してホルダ6を傾き自在に支持する第2のピボット部15と、第3の支持点S3に位置してブラケット5に対するホルダ6の上下方向の傾きを調整するアクチュエータ16とを有している。
【0029】
また、光軸調整機構13は、エイミング調整機構として、ハウジング2に対してブラケット5を支持する3つの支持点S4,S5,S6のうち、第4の支持点S4に位置してハウジング2に対してブラケット5を傾き自在に支持する第3のピボット部17と、第5の支持点S5に位置してハウジング2に対するブラケット5の左右方向の傾きを調整する左右傾き調整具18と、第6の支持点S6に位置してハウジング2に対するブラケット5の上下方向の傾きを調整する上下傾き調整具19とを有している。
【0030】
光軸調整機構13では、
図4に示すように、光源ユニット4を正面視したときに、第1の支持点S、第2の支持点S2及び第3の支持点S3が光源ユニット4よりも外側に位置している。
【0031】
このうち、第1の支持点S1と第2の支持点S2とを結ぶ支持ラインLSが光源ユニット4の光軸中心Oを通る第1の水平ラインLH1に対して平行となり、且つ、光源ユニット4の光軸中心Oを通る第1の鉛直ラインLV1が支持ラインLSの中間において直交している。
【0032】
また、支持ラインLと第3の支持点S3とが第1の水平ラインLH1を挟んで互いに向かい合う側に位置し、且つ、第1の支持点S1、第2の支持点S2及び第3の支持点S3で囲まれるエリアEの内側に光源ユニット4の光軸中心Oが位置している。
【0033】
特に、本実施形態では、第1の水平ラインLH1を挟んで支持ラインLS(第1の支持点S1及び第2の支持点S2)が第1の水平ラインLHよりも上方側に位置し、第1の水平ラインLH1を挟んで第3の支持点S3が第1の水平ラインLH1よりも下方側に位置している。さらに、第3の支持点S3が第1の鉛直ラインLV1上に位置している。また、光源ユニット4の光軸中心OがエリアEのほぼ中心に位置している。
【0034】
なお、光軸調整機構13では、上述した各支持点S1,S2,S3の配置に必ずしも限定されるものではなく、例えば、第1の水平ラインLH1を挟んで支持ラインLS(第1の支持点S1及び第2の支持点S2)が第1の水平ラインLH1よりも下方側に位置し、第1の水平ラインLH1を挟んで第3の支持点S3が第1の水平ラインLH1よりも上方側に位置する構成としてもよい。
【0035】
光軸調整機構13では、光源ユニット4を正面視したときに、第4の支持点S4、第5の支持点S5及び第6の支持点S6が光源ユニット4よりも外側に位置している。このうち、第4の支持点S4を通る第2の水平ラインLH2上に第5の支持点S5が位置し、第4の支持点S4を通る第2の鉛直ラインLV2上に第6の支持点S6が位置している。
【0036】
特に、本実施形態では、第4の支持点S4、第5の支持点S5及び第6の支持点S6が、上述した第1の支持点S1、第2の支持点S2及び第3の支持点S3で囲まれるエリアEの外側に位置している。また、支持ラインLSの延長線上に第4の支持点S4が位置し、第4の支持点S4と第5の支持点S5とを結ぶライン(第2の水平ラインLH2)の中間に第3の支持点S3が位置している。
【0037】
なお、本実施形態の光軸調整機構13では、光源ユニットを挟んで第4の支持点S4が
図4中の「右下」、第5の支持点S5が
図4中の「左下」、第6の支持点S6が「右上」に配置された構成となっているが、第4の支持点S4については、光源ユニットを挟んで「右下」、「左下」、「右上」、「左上」の何れかに配置することが可能である。第5の支持点5については、第4の支持点S4の配置に合わせて光源ユニット4を挟んで第4の支持点S4とは左右方向の反対側に配置すればよい。また、第6の支持点6については、第4の支持点S4の配置に合わせて光源ユニット4を挟んで第4の支持点S4とは上下方向の反対側に配置すればよい。
【0038】
第1のピボット部14は、先端に球面凸部20aを有してブラケット5に取り付けられた第1のピボット軸20と、球面凸部20aが嵌合される球面凹部21aを有してホルダ6のフランジ部6aに取り付けられた第1のピボット軸受21とを有している。
【0039】
これに対応して、ブラケット5の第1の支持点S1に対応した位置には、第1のピボット軸20を軸支する第1の軸穴22が設けられている。一方、フランジ部6a(ホルダ6)の第1の支持点S1に対応した位置には、第1のピボット軸受21が嵌め込まれる第1の取付孔23が設けられている。
【0040】
第2のピボット部15は、先端に球面凸部24aを有してブラケット5に取り付けられた第2のピボット軸24と、球面凸部24aが嵌合される球面凹部25aを有してホルダ6のフランジ部6aに取り付けられた第2のピボット軸受25とを有している。
【0041】
これに対応して、ブラケット5の第2の支持点S2に対応した位置には、第2のピボット軸24を軸支する第2の軸穴26が設けられている。一方、フランジ部6a(ホルダ6)の第2の支持点S2に対応した位置には、第2のピボット軸受25が嵌め込まれる第2の取付孔27が設けられている。
【0042】
アクチュエータ16は、先端に球面凸部28aが設けられたスライド軸28を前後方向にスライド駆動する。一方、ホルダ6のフランジ部6aには、球面凸部28aが嵌合される球面凹部29aを有する第3のピボット軸受29が取り付けられている。
【0043】
これに対応して、ブラケット5の第3の支持点S3に対応した位置には、アクチュエータ16を固定する固定孔30が設けられている。一方、フランジ部6a(ホルダ6)の第3の支持点S3に対応した位置には、第3のピボット軸受29が嵌め込まれる第3の取付孔31が設けられている。
【0044】
第3のピボット部17は、先端に球面凸部32aを有してハウジング2に取り付けられた第3のピボット軸32と、球面凸部32aが嵌合される球面凹部33aを有してブラケット5に取り付けられた第4のピボット軸受33とを有している。
【0045】
これに対応して、ハウジング2の第4の支持点S4に対応した位置には、第3のピボット軸32を軸支する第3の軸穴34が設けられている。第3の軸穴34は、ハウジング2の前面から突出された第1のボス35に設けられている。一方、ブラケット5の第4の支持点S4に対応した位置には、第4のピボット軸受33が嵌め込まれる第4の取付孔36が設けられている。
【0046】
左右傾き調整具18は、第1のスピードナット37を介してハウジング2に取り付けられた第1の調整ボルト38と、第1の調整ボルト38に締結された状態でブラケット5に取り付けられた第1の調整ナット39とを有している。
【0047】
これに対応して、ハウジング2の第5の支持点S5に対応した位置には、第1の調整ボルト38を貫通させる第1の貫通孔40が設けられている。第1の貫通孔40は、ハウジング2の前面から突出された第2のボス41に設けられている。第1のスピードナット37は、この第2のボス41の先端に当接した状態で第1の調整ボルト38と螺合されている。第1の調整ボルト38の頭部は、ハウジング2の背面側において、この第1の調整ボルト38を回転操作する左右調整用ダイヤル38aを構成している。一方、ブラケット5の第5の支持点S5に対応した位置には、第1の調整ナット39が嵌め込まれる第5の取付孔42が設けられている。
【0048】
上下傾き調整具19は、第2のスピードナット43を介してハウジング2に取り付けられた第2の調整ボルト44と、第2の調整ボルト44に締結された状態でブラケット5に取り付けられた第2の調整ナット45とを有している。
【0049】
これに対応して、ハウジング2の第6の支持点S6に対応した位置には、第2の調整ボルト44を貫通させる第2の貫通孔46が設けられている。第2の貫通孔46は、ハウジング2の前面から突出された第3のボス47に設けられている。第2のスピードナット43は、この第3のボス47の先端に当接した状態で第2の調整ボルト44と螺合されている。第2の調整ボルト44の頭部は、ハウジング2の背面側において、この第2の調整ボルト44を回転操作する上下調整用ダイヤル44aを構成している。一方、ブラケット5の第6の支持点S6に対応した位置には、第2の調整ナット45が嵌め込まれる第6の取付孔48が設けられている。
【0050】
本実施形態の光軸調整機構13では、左右傾き調整具18を操作することで、光源ユニット4の左右方向の傾きを手動で調整するエイミング操作を行うことが可能である。具体的には、左右調整用ダイヤル38aを回転操作することで、第1の調整ボルト38に締結された第1の調整ナット39が前後方向にスライドする。このとき、ハウジング2に対してブラケット5が第3のピボット部17を支点にして左右方向に揺動することになる。これにより、光源ユニット4の左右方向の傾きを調整することが可能である。
【0051】
一方、光軸調整機構13では、上下傾き調整具19を操作することで、光源ユニット4の上下方向の傾きを手動で調整するエイミング操作を行うことが可能である。具体的には、上下調整用ダイヤル44aを回転操作することで、第2の調整ボルト44に締結された第2の調整ナット45が前後方向にスライドする。このとき、ハウジング2に対してブラケット5が第3のピボット部17を支点にして上下方向に揺動することになる。これにより、光源ユニット4の上下方向の傾きを調整することが可能である。
【0052】
ここで、光軸調整機構13によるエイミング操作について、
図5及び
図6を参照しながら説明する。なお、
図5は、光軸調整機構13によるエイミング操作を説明するための模式図である。
図6は、光軸調整機構13によるエイミング操作を説明するためのフローチャートである。
【0053】
図5では、車両Bの前方に向けて投影されたエイミング調整前のロービーム用配光パターンP’と、エイミング調整後のロービーム用配光パターンPとを示している。なお、
図5中に示す横軸及び縦軸の交点が車両Bの前方における角度基準位置(0°)を表している。
【0054】
本実施形態の光軸調整機構13によるエイミング操作については、先ず、
図6中のステップS1-1に示すように、アクチュエータ16の基準位置出しを行う。すなわち、アクチュエータ16のリセットを行い、アクチュエータ16のスライド軸28が初期位置にあることを確認する。
【0055】
次に、
図6中のステップS1-2に示すように、上述した上下調整用ダイヤル44aの回転操作により光源ユニット4の上下方向の傾きを手動で調整する。これにより、
図5に示すように、車両Bの前方に向けて投影されたロービーム用配光パターンP’を上下方向の位置が保安基準に合致したロービーム用配光パターンPとなるように調整する。
【0056】
次に、
図6中のステップS1-3に示すように、上述した左右調整用ダイヤル38aの回転操作により光源ユニット4の左右方向の傾きを手動で調整する。これにより、
図5に示すように、車両Bの前方に向けて投影されたロービーム用配光パターンP’を左右方向の位置が保安基準に合致したロービーム用配光パターンPとなるように調整する。
【0057】
次に、
図6中のステップS1-4に示すように、ロービーム用配光パターンPの上下方向及び左右方向の位置が保安基準に合致するか否かを確認する。そして、ロービーム用配光パターンPの上下方向及び左右方向の位置が保安基準に合致するまで、ステップS1-2及びステップS1-3の操作を繰り返す。なお、ステップS1-2とステップS1-3とは、手順として逆であってもよい。
【0058】
本実施形態の車両用灯具1では、このような光軸調整機構13によるエイミング操作によって、車両停止時(車両水平時)に光源ユニット4から車両Bの前方に向けて投影される光の光軸を調整することが可能である。
【0059】
一方、本実施形態の光軸調整機構13では、光源ユニット4の上下方向の傾きを自動で調整するレベリング操作を行うことが可能である。具体的には、アクチュエータ16がスライド軸28を前後方向にスライド駆動することで、ブラケット5に対してホルダ6が第1のピボット部14及び第2のピボット部15を支点にして上下方向に揺動することになる。これにより、光源ユニット4の上下方向の傾きを自動で調整することが可能である。
【0060】
ここで、光軸調整機構13によるレベリング操作について、
図7~
図10を参照しながら説明する。なお、
図7は、光軸調整機構13を制御する制御装置50の構成を示すブロック図である。
図8は、車両Bの姿勢変化を示す模式図である。
図9は、光軸調整機構13によるレベリング操作を説明するための模式図である。
図10は、光軸調整機構13によるレベリング操作を説明するためのフローチャートである。
【0061】
本実施形態の車両用灯具1は、
図7に示すように、光源ユニット4の上下方向の傾きを自動で調整するための制御装置50を備えている。制御装置50は、アクチュエータ16の駆動を制御するコンピュータ(ECU:Electronic Control Unit)51を有している。
【0062】
ECU51は、アクチュエータ16と電気的に接続されている。ECU51は、ROMに格納されている制御プログラムをRAMに展開して実行し、このECUによる処理(演算)結果に応じて、アクチュエータ16の駆動を制御する。
【0063】
また、ECU51は、車両Bの前後方向の傾きを検出する傾き検出部52と電気的に接続されている。傾き検出部52としては、車両Bの前後方向の傾きが検出可能なものであればよく、例えば、車両Bに搭載された傾斜センサや、加速度(G)センサ、角速度(ジャイロ)センサなどを用いることができる。傾き検出部52は、この傾き検出部52が検出した傾き検出信号D1をECU51へと供給する。
【0064】
また、ECU51は、アクチュエータ16のスライド軸28の位置を検出する位置検出部53と電気的に接続されている。位置検出部53としては、アクチュエータ16に設けられたエンコーダなどを用いることができる。位置検出部53は、この位置検出部53が検出した位置検出信号D2をECU51へと供給する。
【0065】
本実施形態では、
図8に示すように、車両Bの車両停止時(車両水平時)における光軸AXを基準にして、車両走行時(車両傾斜時)に車両Bが前上がりに1°だけ光軸AX’が傾いた場合を例示している。したがって、この場合は、光軸AXを-1°だけ下げるレベリング調整が必要となる。
【0066】
また、
図9では、車両Bの前方に向けて投影されたレベリング調整前のロービーム用配光パターンP’と、レベリング調整後のロービーム用配光パターンPとを示している。なお、
図9中に示す横軸及び縦軸の交点が車両Bの前方における角度基準位置(0°)を表している。
【0067】
本実施形態の光軸調整機構13によるレベリング操作については、先ず、
図10中のステップS2-1に示すように、傾き検出部52からECU51へと傾き検出信号D1が入力される。
【0068】
次に、
図10中のステップS2-2に示すように、位置検出部53からECU51へと位置検出信号D2が入力される。
【0069】
次に、
図10中のステップS2-3に示すように、ECU51が傾き検出信号D1及び位置検出信号D2に基づいて演算を行い、スライド軸28のスライド量を算出する。そして、この算出結果に基づく駆動信号D3を生成し、アクチュエータ16へと供給(出力)する。
【0070】
次に、
図10中のステップS2-4に示すように、ECU51から供給される駆動信号D3に基づいて、アクチュエータ16がスライド軸28をスライドさせる。これにより、
図8に示すように、車両Bの前方に向けて投影されたロービーム用配光パターンP’を光軸AXの上下方向の位置が-1°だけ下がったロービーム用配光パターンPとなるように調整する。
【0071】
本実施形態の車両用灯具1では、このような光軸調整機構13によるレベリング操作によって、車両走行時(車両傾斜時)に光源ユニット4から車両Bの前方に向けて投影される光の光軸を上下方向に自動で調整するレベリング操作によって、車両Bの姿勢変化に伴う光軸の変動を補正することが可能である。
【0072】
以上のように、本実施形態の光軸調整機構13では、上述した
図4に示すように、光源ユニット4を正面視したときに、第1の支持点S、第2の支持点S2及び第3の支持点S3が光源ユニット4よりも外側に位置している。これにより、灯体3の内側に配置される光源ユニット4を安定した状態で支持することができる。また、各支持支点S1,S2,S3に位置する第1のピボット部14、第2のピボット部15及びアクチュエータ16の配置の自由度を高めることが可能である。
【0073】
また、本実施形態の光軸調整機構13では、上述した3つの支持点S1,S2,S3のうち、第1の支持点S1と第2の支持点S2とを結ぶ支持ラインLSが光源ユニット4の光軸中心Oを通る第1の水平ラインLH1に対して平行となり、且つ、光源ユニット4の光軸中心Oを通る第1の鉛直ラインLV1が支持ラインLSの中間において直交していることが好ましい。
【0074】
この場合、ブラケット5に対してホルダ6を第1のピボット部14及び第2のピボット部15を支点にして上下方向に安定した状態で揺動させることが可能である。したがって、本実施形態の光軸調整機構13では、光源ユニット4の上下方向の傾きを自動で調整するレベリング操作を安定的に行うことが可能である。
【0075】
また、本実施形態の光軸調整機構13では、上述した3つの支持点S1,S2,S3のうち、支持ラインLと第3の支持点S3とが第1の水平ラインLH1を挟んで互いに向かい合う側に位置し、且つ、第1の支持点S1、第2の支持点S2及び第3の支持点S3で囲まれるエリアEの内側に光源ユニット4の光軸中心Oが位置していることが好ましい。
【0076】
この場合も、ブラケット5に対してホルダ6を第1のピボット部14及び第2のピボット部15を支点にして上下方向に安定した状態で揺動させることが可能である。したがって、本実施形態の光軸調整機構13では、光源ユニット4の上下方向の傾きを自動で調整するレベリング操作を安定的に行うことが可能である。
【0077】
特に、本実施形態の光軸調整機構13では、上述した第1の水平ラインLH1を挟んで支持ラインLS(第1の支持点S1及び第2の支持点S2)が第1の水平ラインLHよりも上方側に位置し、第1の水平ラインLH1を挟んで第3の支持点S3が第1の水平ラインLH1よりも下方側に位置している。さらに、第3の支持点S3が第1の鉛直ラインLV1上に位置している。また、光源ユニット4の光軸中心OがエリアEのほぼ中心に位置している。この場合、車両走行時の振動や衝撃等による光源ユニット4のガタツキを抑えつつ、この光軸調整機構13によるレベリング操作を精度良く行うことが可能である。
【0078】
また、本実施形態の光軸調整機構13では、光源ユニット4を正面視したときに、第4の支持点S4、第5の支持点S5及び第6の支持点S6が光源ユニット4よりも外側に位置している。これにより、灯体3の内側に配置される光源ユニット4を安定した状態で支持することができる。また、各支持支点S4,S5,S6に位置する第3のピボット部17、左右傾き調整具18及び上下傾き調整具19の配置の自由度を高めることが可能である。
【0079】
また、本実施形態の光軸調整機構13では、上述した3つの支持点S4,S5,S6のうち、第4の支持点S4を通る第2の水平ラインLH2上に第5の支持点S5が位置し、第4の支持点S4を通る第2の鉛直ラインLV2上に第6の支持点S6が位置していることが好ましい。
【0080】
この場合、ハウジング2に対してブラケット5を第3のピボット部17を支点にして左右方向及び上下方向に安定した状態で揺動させることが可能である。したがって、本実施形態の光軸調整機構13では、光源ユニット4の左右方向及び上下方向の傾きを手動で調整するエイミング操作を安定的に行うことが可能である。また、左右方向と上下方向との傾き調整のうち、一方の傾き調整に対してもう一方の傾き調整に影響を与えることがないため、この光軸調整機構13によるエイミング操作を容易且つ精度良く行うことが可能である。
【0081】
特に、本実施形態の光軸調整機構13では、上述した第4の支持点S4、第5の支持点S5及び第6の支持点S6が、第1の支持点S1、第2の支持点S2及び第3の支持点S3で囲まれるエリアEの外側に位置している。また、支持ラインLS上に第4の支持点S4が位置し、第2の水平ラインLH2の中間に第3の支持点S3が位置している。この場合、車両走行時の振動や衝撃等による光源ユニット4のガタツキを抑えつつ、上述した光軸調整機構13によるレベリング操作を精度良く行うことが可能である。
【0082】
以上のようにして、本実施形態の光軸調整機構13を備える車両用灯具1では、光源ユニット4を安定した状態で支持することができ、光軸調整機構13による光軸調整を安定的に行うことが可能である。
【0083】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記光軸調整機構13では、
図11に示すように、光源ユニット4を正面視したときに、支持ラインLSと第1の水平ラインLH1とが互いに一致している構成としてもよい。なお、
図11は、光源ユニット4を正面側から見たときの第1、第2及び第3の支持点S1,S2,S3の別の配置例を示す模式図である。
【0084】
この構成の場合、光源ユニット4を保持するホルダ6(フランジ部6a)を小型化することが可能である。また、ブラケット5に対してホルダ6の上下方向における揺動範囲を小さくすることができる。さらに、灯体3の内側にエクステンション(図示せず。)を配置した場合に、光源ユニット4とのクリアランスも小さくできるため、見栄えを良くすることが可能である。
【0085】
また、上記光軸調整機構13では、
図12に示すように、光源ユニット4を正面視したときに、第3の支持点S3が第1の鉛直ラインLV1を挟んだ一方側に位置する構成としてもよい。なお、
図12は、光源ユニット4を正面側から見たときの第1、第2及び第3の支持点S1,S2,S3の別の配置例を示す模式図である。
【0086】
この構成の場合、第1の鉛直ラインLV1を挟んでアクチュエータ16が非対称に配置されるものの、光源ユニット4を保持するホルダ6(フランジ部6a)を更に小型化することが可能である。
【0087】
また、上記光軸調整機構13では、上述した支持ラインLSと第1の水平ラインLH1とが互いに一致している構成に加えて、
図13に示すように、光源ユニット4を側面視したときに、光源ユニット4の回動中心Tが光源ユニット4の重心Gと一致している構成としてもよい。なお、
図13は、光源ユニット4を側面側から見たときの光源ユニット4の回動中心T及び重心Gの一例を示す模式図である。
【0088】
この構成の場合、ブラケット5に対してホルダ6が上下方向に揺動するのに伴って、支持ラインLSを中心に回動する光源ユニット4の慣性質量を小さくすることができる。これにより、アクチュエータ16に加わる負荷を低減できるため、このアクチュエータ16の小型化を図ることが可能である。
【0089】
一方、上記光軸調整機構13では、上述した支持ラインLSと第1の水平ラインLH1とが互いに一致している構成に加えて、
図14に示すように、光源ユニット4を側面視したときに、光源ユニット4の回動中心Tが光源ユニット4の重心Gよりも前方に位置する構成としてもよい。なお、
図14は、光源ユニット4を側面側から見たときの光源ユニット4の回動中心T及び重心Gの他例を示す模式図である。
【0090】
この構成の場合、ブラケット5に対してホルダ6が上下方向に揺動するのに伴って、支持ラインLSを中心に回動する光源ユニット4の上下動を小さくすることが可能である。したがって、灯体3の内側にエクステンション(図示せず。)を配置した場合に、光源ユニット4とのクリアランスも小さくできるため、見栄えを良くすることが可能である。
【0091】
また、上記光軸調整機構13では、
図14に示すように、スライド軸28を上下方向にスライド駆動するように、アクチュエータ16の配置を変更することも可能である。この構成の場合も、ブラケット5に対してホルダ6を上下方向に揺動させることが可能である。
【0092】
図14に示す構成では、光源ユニット4の重心Gよりも前方に位置する第1の支持点S1及び第2の支持点S2と、光源ユニット4の重心Gよりも後方に位置する第3の支持点S3とで囲まれるエリアの内側に光源ユニット4の重心Gを位置させることによって、車両走行時の振動や衝撃等に対する光源ユニット4の安定性を更に向上させることが可能である。
【符号の説明】
【0093】
1…車両用灯具 2…ハウジング 3…灯体 4…光源ユニット 5…ブラケット 6…ホルダ 7…光源 8…リフレクタ 9…シェード 10…投影レンズ 11…基板 12…ヒートシンク 13…光軸調整機構 14…第1のピボット部 15…第2のピボット部 16…アクチュエータ 17…第3のピボット部 18…左右傾き調整具 19…上下傾き調整具 20…第1のピボット軸 21…第1のピボット軸受 22…第1の軸穴 23…第1の取付孔 24…第2のピボット軸 25…第2のピボット軸受 26…第2の軸穴 27…第2の取付孔 28…スライド軸 29…第3のピボット軸受 30…固定孔 31…第3の取付孔 32…第3のピボット軸 33…第4のピボット軸受 34…第3の軸穴 35…第1のボス 36…第4の取付孔 37…第1のスピードナット 38…第1の調整ボルト 39…第1の調整ナット 40…第1の貫通孔 41…第2のボス 42…第5の取付孔 43…第2のスピードナット 44…第2の調整ボルト 45…第2の調整ナット 46…第2の貫通孔 47…第3のボス 48…第6の取付孔 50…制御装置 51…コンピュータ(ECU) 52…傾き検出部 53…位置検出部 L…光 AX…光軸 S1…第1の支持点 S2…第2の支持点 S3…第3の支持点 S4…第4の支持点 S5…第5の支持点 S6…第6の支持点 LS…支持ライン LH1…第1の水平ライン LV1…第1の鉛直ライン LH2…第2の水平ライン LV2…第2の鉛直ライン O…光軸中心 E…エリア T…回動中心 G…重心