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  • 特許-フィルター 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】フィルター
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/11 20060101AFI20221213BHJP
   B01D 39/20 20060101ALI20221213BHJP
   D04H 1/4234 20120101ALI20221213BHJP
【FI】
B01D29/10 510D
B01D39/20 A
B01D29/10 501Z
B01D29/10 510G
B01D29/10 530A
D04H1/4234
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018066575
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019177302
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】513017021
【氏名又は名称】長瀬フィルター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100129137
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 ゆみ
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】坂口 賢治
(72)【発明者】
【氏名】林 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】備前 雅一
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-285952(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0011440(US,A1)
【文献】特開2017-029871(JP,A)
【文献】特開平05-220360(JP,A)
【文献】特開2013-091046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 23/00-35/04,35/08-37/08
B01D 39/00-41/04
D04H 1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の濾材と、支持体とを含み、
前記支持体は、前記濾材の軸方向両端に配置された一対の円筒状の支持体のみであって、これ以外の支持体を有さず
前記濾材は、金属繊維の不織布の焼結体であり、
前記濾材及び前記一対の支持体の軸方向の長さの合計が、20mm~300mmであり、
前記濾材及び前記一対の支持体の外径が、4mm~20mmである、
ことを特徴とするフィルター。
【請求項2】
前記濾材及び前記一対の支持体の外径が、同一である、請求項1記載のフィルター。
【請求項3】
前記金属繊維が、ステンレス繊維である、請求項1又は2記載のフィルター。
【請求項4】
溶融樹脂の濾過に用いられる、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルター。
【請求項5】
中空糸の製造に用いられる、請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
粗大空孔を持つ筒状の多孔質支持体と、前記支持体の一方の表面上に積層配置される微細粒子の濾過層を備えたフィルターが提案されている(特許文献1)。前記フィルターでは、前記濾過層は、微粉末金属が焼結された焼結成形品である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-9235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述のフィルターでは、前記濾過層から前記微粉末金属が脱落し、被濾過物に混入して、被濾過物の品質を低下させるおそれがある。また、従来の筒状のフィルターは、大型であり、大きな設置スペースを必要とする。さらに、大型のフィルターは、強度維持のために、パンチングパイプ等の粗大空孔を持つ筒状の多孔質支持体を必要とし、コストが高い。
【0005】
そこで、本発明は、被濾過物の品質を低下させることがなく、また、大きな設置スペースを必要とせず、コストの低い筒状のフィルターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明のフィルターは、
円筒状の濾材と、
前記濾材の軸方向両端に配置された一対の円筒状の支持体と、
を含み、
前記濾材は、金属繊維の不織布の焼結体であり、
前記濾材及び前記一対の支持体の軸方向の長さの合計が、20mm~300mmであり、
前記濾材及び前記一対の支持体の外径が、4mm~20mmである、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のフィルターは、濾材が金属繊維の不織布の焼結体であるため、フィルターの形成材料の被濾過物への混入により、被濾過物の品質を低下させることがない。また、本発明のフィルターは、小型であり、大きな設置スペースを必要とせず、強度維持のためのパンチングパイプ等による補強の必要がないため、コストが低い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1(A)は、本発明のフィルターの一例を示す斜視図であり、図1(B)は、図1(A)に示すフィルターのI-I方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のフィルターにおいて、前記濾材の外径と、前記一対の支持体の外径とは、異なってもよいが、同一であることが好ましい。
【0010】
本発明のフィルターにおいて、例えば、前記金属繊維は、ステンレス繊維であってもよい。
【0011】
本発明のフィルターは、例えば、溶融樹脂の濾過に用いられてもよい。また、本発明のフィルターは、例えば、中空糸の製造に用いられてもよい。
【0012】
以下、本発明のフィルターについて、図を用いて説明する。本発明は、下記の実施形態によって何ら限定及び制限されない。以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。また、図においては、説明の便宜上、各部の構造は適宜簡略化して示す場合があり、各部の寸法比等は、実際とは異なり、模式的に示す場合がある。
【0013】
図1(A)は、本発明のフィルターの一例を示す斜視図であり、図1(B)は、図1(A)に示すフィルターのI-I方向から見た断面図である。
【0014】
図1(A)及び(B)に示すように、フィルター10は、濾材11と、一対の支持体12a、12bと、含む。
【0015】
濾材11は、円筒状の金属繊維の不織布の焼結体である。前記金属繊維としては、例えば、ステンレス繊維等があげられる。
【0016】
濾材11の軸方向の長さは、例えば、17mm~297mm、30mm~200mm、40mm~100mmである。本発明において、濾材11の軸方向は、濾材11を構成する円筒の中心軸と平行な方向である。濾材11の外径は、4mm~20mmである。濾材11の外径は、例えば、5mm~15mmとしてもよい。濾材11の外径は、後述の一対の支持体12a、12bの外径Dと同じとしてもよい。濾材11の厚みは、例えば、0.3mm~3mm、0.4mm~2mm、0.5mm~1.7mmである。
【0017】
一対の支持体12a、12bは、それぞれ、濾材11の軸方向両端に配置される。一対の支持体12a、12bの形状は、異なってもよいが、同一であることが好ましく、軸方向の一端が、外部に露出し、軸方向の他端が、濾材11の筒内部に収容された円筒状である。本発明において、一対の支持体12a、12bの軸方向は、一対の支持体12a、12bを構成する円筒の中心軸と平行な方向であり、前述の濾材11の軸方向と同一方向である。
【0018】
一対の支持体12a、12bの形成材料としては、例えば、ステンレス等があげられる。
【0019】
一対の支持体12a、12bにおいて、濾材11の端部から露出した部分の軸方向の長さは、例えば、3mm~100mm、4mm~75mm、5mm~50mmであり、濾材11の筒内部に収容された部分の軸方向の長さは、例えば、1mm~10mm、2mm~8mm、3mm~6mmである。一対の支持体12a、12bの軸方向の他端が、濾材11の筒内部に収容された状態において、濾材11及び一対の支持体12a、12bの軸方向の長さの合計Lは、20mm~300mmである。また、一対の支持体12a、12bの外径Dは、例えば、4mm~20mm、5mm~15mm、6mm~10mmであり、一対の支持体12a、12bの内径dは、例えば、1mm~19mm、2mm~14mm、3mm~9mmである。そして、一対の支持体12a、12bにおいて、濾材11の筒内部に収容された部分の厚みは、例えば、0.3mm~5mm、0.4mm~4mm、0.5mm~3mmである。
【0020】
一対の支持体12a、12bは、例えば、旋盤加工、プレス加工等により製造できる。また、一対の支持体12a、12bの製造には、金属3Dプリンタを用いてもよい。
【0021】
濾材11と、一対の支持体12a、12bの接合方法は、特に限定されず、例えば、レーザ溶接、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接、カシメ、YAGレーザ溶接等により接合できる。
【0022】
本発明のフィルター10は、一対の支持体12a、12bのうち一方の外部に露出した開口に蓋をし、濾材11の筒外部から筒内部へと被濾過物を通過させ、一対の支持体12a、12bのうち他方の外部に露出した開口へと前記被濾過物を送ることで、被濾過物を濾過する。前記被濾過物としては、例えば、溶融したポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ナイロン等の溶融樹脂等があげられる。本発明のフィルター10は、濾材11が金属繊維の不織布の焼結体であるため、フィルター10の形成材料の前記被濾過物への混入により、前記被濾過物の品質を低下させることがない。また、本発明のフィルター10は、小型であり、大きな設置スペースを必要とせず、強度維持のためのパンチングパイプ等による補強の必要がないため、コストが低い。
【0023】
本発明のフィルター10の用途は、特に限定されず、例えば、溶融樹脂の濾過、中空糸の製造等に用い得る。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上のように、本発明のフィルターは、被濾過物の品質を低下させることがなく、また、大きな設置スペースを必要とせず、コストの低いものである。本発明のフィルターは、溶融樹脂の濾過、中空糸の製造をはじめ、各種用途に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0025】
10 フィルター
11 濾材
12a、12b 支持体
図1