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特許7193253動画を配信するためのシステム、方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】動画を配信するためのシステム、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/86 20140101AFI20221213BHJP
   A63F 13/60 20140101ALI20221213BHJP
   A63F 13/45 20140101ALI20221213BHJP
   A63F 13/30 20140101ALI20221213BHJP
   A63F 13/69 20140101ALI20221213BHJP
【FI】
A63F13/86
A63F13/60
A63F13/45
A63F13/30
A63F13/69
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018091781
(22)【出願日】2018-05-10
(65)【公開番号】P2019195536
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】599115217
【氏名又は名称】株式会社 ディー・エヌ・エー
(74)【代理人】
【識別番号】100125195
【弁理士】
【氏名又は名称】尾畑 雄一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 康伸
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0003784(US,A1)
【文献】特開2018-171283(JP,A)
【文献】アイテムを落として他のプレイヤーに渡す方法[Fortnite(フォートナイト)],いちどりの部屋,2017年11月03日,URL:<http://torik0419.com/2017/11/03/fortnite-%E6%AD%A6%E5%99%A8-%E8%90%BD%E3%81%A8%E3%81%99/>,[令和4年5月17日検索日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98、9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のコンピュータプロセッサを備え、動画を配信するためのシステムであって、
前記1又は複数のコンピュータプロセッサは、読取可能な命令の実行に応じて、
配信者が提供する動画が再生される仮想空間を表示する視聴者用画面を複数の視聴者の各々に提示する処理と、
視聴者によって入力された所定のオブジェクトを前記仮想空間に配置する処理と、
前記配信者による操作に少なくとも基づいて、前記仮想空間に配置された前記所定のオブジェクトを用いた所定のゲームの進行を制御する処理と、を実行
前記所定のオブジェクトを配置する処理は、前記所定のゲームの開始前、及び/又は、終了後においても、前記視聴者によって入力された前記所定のオブジェクトを前記仮想空間に配置することを含む、
システム。
【請求項2】
前記1又は複数のコンピュータプロセッサは、さらに、前記仮想空間を表示する配信者用画面を前記配信者に提示する処理を実行し、
前記所定のゲームの進行を制御する処理は、前記配信者による前記配信者用画面上でのタッチ操作に少なくとも基づいて、前記所定のゲームの進行を制御することを含む、
請求項1のシステム。
【請求項3】
前記1又は複数のコンピュータプロセッサは、さらに、前記仮想空間に位置する前記配信者のアバターの動作を前記配信者による操作に少なくとも基づいて制御する処理を実行し、
前記所定のゲームの進行を制御する処理は、前記配信者のアバターの動作に少なくとも基づいて前記所定のゲームの進行を制御することを含む、
請求項1又は2のシステム。
【請求項4】
前記所定のオブジェクトは、所定のパラメータを有するように構成されており、
前記所定のゲームの進行を制御する処理は、前記所定のオブジェクトが有する前記所定のパラメータの値に少なくとも基づいて、前記所定のゲームの進行を制御することを含む、
請求項1ないし3何れかのシステム。
【請求項5】
前記1又は複数のコンピュータプロセッサは、さらに、前記視聴者による前記所定のオブジェクトの入力に応じて、前記配信者に第1の仮想価値を付与する処理を実行する、
請求項1ないし4何れかのシステム。
【請求項6】
前記1又は複数のコンピュータプロセッサは、さらに、前記視聴者による前記所定のオブジェクトの入力に応じて、前記視聴者に第2の仮想価値を付与する処理を実行する、
請求項1ないし5何れかのシステム。
【請求項7】
1又は複数のコンピュータによって実行され、動画を配信するための方法であって、
配信者が提供する動画が再生される仮想空間を表示する視聴者用画面を複数の視聴者の各々に提示するステップと、
視聴者によって入力された所定のオブジェクトを前記仮想空間に配置するステップと、
前記配信者による操作に少なくとも基づいて、前記仮想空間に配置された前記所定のオブジェクトを用いた所定のゲームの進行を制御するステップと、を備え、
前記所定のオブジェクトを配置するステップは、前記所定のゲームの開始前、及び/又は、終了後においても、前記視聴者によって入力された前記所定のオブジェクトを前記仮想空間に配置することを含む、
方法。
【請求項8】
動画を配信するためのプログラムであって、
1又は複数のコンピュータ上での実行に応じて、前記1又は複数のコンピュータに、
配信者が提供する動画が再生される仮想空間を表示する視聴者用画面を複数の視聴者の各々に提示する処理と、
視聴者によって入力された所定のオブジェクトを前記仮想空間に配置する処理と、
前記配信者による操作に少なくとも基づいて、前記仮想空間に配置された前記所定のオブジェクトを用いた所定のゲームの進行を制御する処理と、を実行させ、
前記所定のオブジェクトを配置する処理は、前記所定のゲームの開始前、及び/又は、終了後においても、前記視聴者によって入力された前記所定のオブジェクトを前記仮想空間に配置することを含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画を配信するためのシステム、方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配信者によって撮影される動画を配信するためのシステムが提案されている。例えば、下記特許文献1は、こうしたシステムにおいて、配信される動画が再生される仮想空間に対して視聴者によるアイテムの投入(配信者に対するギフティング)が行われることを開示している。このシステムは、アイテムの投入に応じた視覚効果(アニメーション表示等)が仮想空間において行われるように構成されている。こうしたアイテムの投入は、動画配信の活性化を促進し得ると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-121021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシステムでは、アイテムの投入に応じた視覚効果が行われるものの、こうした視覚効果のみではエンターテイメント性に欠ける場合があった。そこで、アイテムの投入に応じた視覚効果以外の楽しみを提供することができれば、動画配信のより一層の活性化が促進されると考えられる。
【0005】
本発明の実施形態は、動画配信の活性化を促進することを目的の一つとする。本発明の実施形態の他の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係るシステムは、1又は複数のコンピュータプロセッサを備え、動画を配信するためのシステムであって、前記1又は複数のコンピュータプロセッサは、読取可能な命令の実行に応じて、配信者が提供する動画が再生される仮想空間を表示する視聴者用画面を複数の視聴者の各々に提示する処理と、視聴者によって入力された所定のオブジェクトを前記仮想空間に配置する処理と、前記配信者による操作に少なくとも基づいて、前記仮想空間に配置された前記所定のオブジェクトを用いた所定のゲームの進行を制御する処理と、を実行する。
【0007】
本発明の一実施形態に係る方法は、1又は複数のコンピュータによって実行され、動画を配信するための方法であって、配信者が提供する動画が再生される仮想空間を表示する視聴者用画面を複数の視聴者の各々に提示するステップと、視聴者によって入力された所定のオブジェクトを前記仮想空間に配置するステップと、前記配信者による操作に少なくとも基づいて、前記仮想空間に配置された前記所定のオブジェクトを用いた所定のゲームの進行を制御するステップと、を備える。
【0008】
本発明の一実施形態に係るプログラムは、動画を配信するためのプログラムであって、1又は複数のコンピュータ上での実行に応じて、前記1又は複数のコンピュータに、配信者が提供する動画が再生される仮想空間を表示する視聴者用画面を複数の視聴者の各々に提示する処理と、視聴者によって入力された所定のオブジェクトを前記仮想空間に配置する処理と、前記配信者による操作に少なくとも基づいて、前記仮想空間に配置された前記所定のオブジェクトを用いた所定のゲームの進行を制御する処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の様々な実施形態は、動画配信の活性化を促進し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る動画配信システム10を含むネットワークの構成を概略的に示す構成図。
図2】動画配信システム10が有する機能を概略的に示すブロック図。
図3】ユーザ情報テーブル411において管理される情報を例示する図。
図4】配信情報テーブル412において管理される情報を例示する図。
図5】視聴者用画面50を例示する図。
図6】ギフティングアイテム設定用オブジェクト541を例示する図。
図7】ギフティングアイテム110が仮想空間100に投入されている状態の視聴者用画面50を例示する図。
図8】配信者用画面60を例示する図。
図9】他の例における配信者用画面60Aを例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る動画配信システム10を含むネットワークの構成を概略的に示す構成図である。動画配信システム10は、図示するように、インターネット等の通信ネットワーク20を介してユーザ端末30と通信可能に接続されている。図1においては、1つのユーザ端末30のみが図示されているが、システム10は、複数のユーザ端末30と通信可能に接続されている。システム10は、配信者が提供する動画を複数の視聴者に配信するための動画配信サービスを、ユーザ端末30を介して提供する。本実施形態において、ユーザ端末30のユーザは、配信者として動画を配信することができ、また、視聴者として、他のユーザによって配信される動画を視聴することもできる。
【0013】
動画配信システム10は、一般的なコンピュータとして構成されており、図1に示すように、コンピュータプロセッサ11と、メインメモリ12と、入出力I/F13と、通信I/F14と、ストレージ(記憶装置)15とを備え、これらの各構成要素が図示しないバス等を介して電気的に接続されている。
【0014】
コンピュータプロセッサ11は、CPU又はGPU等として構成され、ストレージ15等に記憶されている様々なプログラムをメインメモリ12に読み込んで、当該プログラムに含まれる各種の命令を実行する。メインメモリ12は、例えば、DRAM等によって構成される。
【0015】
入出力I/F13は、ユーザ等との間で情報をやり取りするための各種の入出力装置を含む。入出力I/F13は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス(例えば、マウス、タッチパネル等)等の情報入力装置、マイクロフォン等の音声入力装置、カメラ等の画像入力装置を含む。また、入出力I/F13は、ディスプレイ等の画像出力装置、スピーカー等の音声出力装置を含む。
【0016】
通信I/F14は、ネットワークアダプタ等のハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせとして実装され、通信ネットワーク20等を介した有線又は無線の通信を実現できるように構成されている。
【0017】
ストレージ15は、例えば磁気ディスク、フラッシュメモリ等によって構成される。ストレージ15は、オペレーティングシステムを含む様々なプログラム、及び各種データ等を記憶する。
【0018】
本実施形態において、動画配信システム10は、それぞれが上述したハードウェア構成を有する複数のコンピュータを用いて構成され得る。例えば、動画配信システム10は、1又は複数のサーバ装置によって構成され得る。
【0019】
このように構成された動画配信システム10は、ウェブサーバ及びアプリケーションサーバとしての機能を有し、ユーザ端末30にインストールされているウェブブラウザ及びその他のアプリケーション(例えば、動画配信サービス用のアプリケーション)からの要求に応答して各種の処理を実行し、当該処理の結果に応じた画面データ(例えば、HTMLデータ又は制御データ等)をユーザ端末30に送信する。ユーザ端末30では、受信したデータに基づくウェブページ又はその他の画面が表示される。
【0020】
ユーザ端末30は、一般的なコンピュータとして構成されており、図1に示すように、コンピュータプロセッサ31と、メインメモリ32と、入出力I/F33と、通信I/F34と、ストレージ(記憶装置)35とを備え、これらの各構成要素が図示しないバス等を介して電気的に接続されている。
【0021】
コンピュータプロセッサ31は、CPU又はGPU等として構成され、ストレージ35等に記憶されている様々なプログラムをメインメモリ32に読み込んで、当該プログラムに含まれる各種の命令を実行する。メインメモリ32は、例えば、DRAM等によって構成される。
【0022】
入出力I/F33は、ユーザ等との間で情報をやり取りするための各種の入出力装置である。入出力I/F33は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス(例えば、マウス、タッチパネル等)等の情報入力装置、マイクロフォン等の音声入力装置、カメラ等の画像入力装置を含む。また、入出力I/F33は、ディスプレイ等の画像出力装置、スピーカー等の音声出力装置を含む。
【0023】
通信I/F34は、ネットワークアダプタ等のハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせとして実装され、通信ネットワーク20等を介した有線又は無線の通信を実現できるように構成されている。
【0024】
ストレージ35は、例えば磁気ディスク又はフラッシュメモリ等によって構成される。ストレージ35は、オペレーティングシステムを含む様々なプログラム及び各種データ等を記憶する。ストレージ35が記憶するプログラムは、アプリケーションマーケット等からダウンロードされてインストールされ得る。
【0025】
本実施形態において、ユーザ端末30は、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブルデバイス、及びパーソナルコンピュータ等として構成され得る。
【0026】
このように構成されたユーザ端末30のユーザは、ストレージ35等にインストールされているウェブブラウザ又はその他のアプリケーションを介した動画配信システム10との通信を実行することによって、システム10が提供する動画配信サービスを利用することができる。
【0027】
次に、本実施形態の動画配信システム10が有する機能について説明する。図2は、動画配信システム10が有する機能を概略的に示すブロック図である。システム10は、図示するように、様々な情報を記憶及び管理する情報記憶管理部41と、動画配信サービスの基本機能を制御する基本機能制御部43と、配信する動画が再生される仮想空間を制御する仮想空間制御部45とを有する。これらの機能は、コンピュータプロセッサ11及びメインメモリ12等のハードウェア、並びに、ストレージ15等に記憶されている各種プログラムやデータ等が協働して動作することによって実現され、例えば、メインメモリ12に読み込まれたプログラムに含まれる命令をコンピュータプロセッサ11が実行することによって実現される。また、図2に示す機能の一部又は全部は、システム10とユーザ端末30とが協働することによって実現され、又は、ユーザ端末30によって実現され得る。
【0028】
動画配信システム10の情報記憶管理部41は、ストレージ15等において様々な情報を記憶及び管理する。情報記憶管理部41は、例えば、図2に示すように、動画配信サービスのユーザに関する情報を管理するユーザ情報テーブル411と、個別の動画配信に関する情報を管理する配信情報テーブル412とを有するように構成され得る。
【0029】
動画配信システム10の基本機能制御部43は、動画配信サービスの基本機能の制御に関する様々な処理を実行する。例えば、基本機能制御部43は、基本機能に関する様々な画面のHTMLデータ又は制御データをユーザ端末30に送信し、ユーザ端末30で表示される当該画面を介したユーザによる操作入力に応答して様々な処理を実行し、当該処理の結果に応じたHTMLデータ又は制御データをユーザ端末30に送信する。基本機能制御部43によって制御される基本機能は、例えば、ログイン認証(ユーザ認証)、課金制御、ユーザ管理(例えば、ユーザ情報テーブル411の更新等)、及び、個別の動画配信の管理(例えば、配信情報テーブル412の更新等)を含む。
【0030】
動画配信システム10の仮想空間制御部45は、仮想空間の制御に関する様々な処理を実行する。例えば、仮想空間制御部45は、仮想空間を表示する視聴者用画面を複数の視聴者の各々に提示するように構成されている。仮想空間は、配信者が提供する動画が再生されるように構成されている。例えば、仮想空間制御部45は、視聴者用画面を表示するための画面データ(HTMLデータ又は制御データ等)を複数の視聴者の各々のユーザ端末30に送信するように構成される。
【0031】
本実施形態において、仮想空間制御部45は、視聴者によって入力された所定のオブジェクトを仮想空間に配置するように構成されている。例えば、視聴者用画面が、視聴者による所定のオブジェクトの入力指示を受け付けるように構成されており、仮想空間制御部45は、視聴者のユーザ端末30において表示される視聴者用画面を介して所定のオブジェクトの入力指示を受け付けると、当該所定のオブジェクトを仮想空間に配置するように構成される。
【0032】
また、仮想空間制御部45は、動画の配信中に行われる所定のゲームの進行の制御に関する様々な処理を実行するように構成されている。本実施形態において、当該所定のゲームは、仮想空間に配置された上記所定のオブジェクトを用いたゲームとして構成されており、配信者による操作に基づいてその進行が制御される。例えば、仮想空間制御部45は、配信者のユーザ端末30を介した当該配信者による操作に基づいて、所定のゲームの進行を制御するように構成される。
【0033】
このように、本実施形態における動画配信システム10では、動画の視聴者によって入力された所定のオブジェクトが、当該動画が再生される仮想空間に配置され、配信者による操作に基づいて、当該所定のオブジェクトを用いた所定のゲームが進行するから、配信者は、当該所定のゲームのプレイを楽しむことができ、また、視聴者は、配信者が当該所定のゲームをプレイする様子の観覧を楽しむことができる。このように、システム10は、所定のオブジェクトの投入に応じたゲームによる楽しみを提供することにより、動画配信の活性化を促進し得る。
【0034】
本実施形態における上記所定のゲームは、視聴者によって入力される所定のオブジェクトを用いた様々な種類及び形式のゲームが含まれ得る。例えば、当該所定のゲームは、これらに限定されないが、パズルゲーム、及び、アクションゲームが含まれる。また、仮想空間制御部45は、こうしたゲームの内容及びルールに従って、仮想空間に配置された上記所定のオブジェクトの動作を制御するように構成される。
【0035】
本実施形態において、仮想空間制御部45は、仮想空間を表示する配信者用画面を配信者に提示するように構成することができる。例えば、仮想空間制御部45は、当該配信者用画面を表示するための画面データ(HTMLデータ又は制御データ等)を配信者のユーザ端末30に送信するように構成される。この場合、仮想空間制御部45は、配信者による当該配信者用画面上でのタッチ操作に少なくとも基づいて、所定のゲームの進行を制御するように構成され得る。例えば、所定のゲームの進行は、当該配信者用画面上での所定のオブジェクトに対するタッチ操作に基づいて制御される。こうした構成は、配信者用画面上でのタッチ操作という簡易な操作に基づくゲームの進行を可能とする。
【0036】
また、仮想空間制御部45は、仮想空間に位置する配信者のアバターの動作を、配信者による操作に少なくとも基づいて制御し、当該アバターの動作に少なくとも基づいて、上記所定のゲームの進行を制御するように構成され得る。例えば、当該アバターは、配信者のユーザ端末30を介した操作(例えば、物理コントローラを用いた操作、カメラを介して撮影される画像に含まれる配信者の姿勢に基づく操作、及び、タッチパネル(配信者用画面等)に対するタッチ操作等が含まれ得る。)に基づいて、その動作が制御される。当該アバターは、現実の配信者に代わって動画に登場(出演)するバーチャル配信者と考えることもできる。こうした構成は、配信者のアバターを所定のゲームにおけるプレイヤキャラクタとして用いることを可能とする。
【0037】
本実施形態における所定のオブジェクトは、仮想空間に配置可能な様々な種類の仮想的及び電子的なオブジェクト、アイテム、及び表示要素等が含まれる。本実施形態において、所定のオブジェクトは、所定のパラメータ(属性等)を有するように構成することができ、仮想空間制御部45は、所定のオブジェクトが有する所定のパラメータの値に少なくとも基づいて、上記所定のゲームの進行を制御するように構成され得る。こうした構成は、所定のパラメータの値が所定のゲームの進行に影響を与えることになるから、例えば、視聴者が入力する所定のオブジェクトの種類の選択に関する戦略性が要求され、この結果、視聴者は、配信者がゲームをプレイする様子を観戦するだけでなく、ゲーム自体の戦略についても楽しむことができる。
【0038】
また、仮想空間制御部45は、視聴者による所定のオブジェクトの入力に応じて、配信者に第1の仮想価値(ポイント等)を付与するように構成され得る。配信者が保有する当該第1の仮想価値に関する情報は、例えば、ユーザ情報テーブル411及び/又は配信情報テーブル412において管理され、配信者用画面及び視聴者用画面等において表示され得る。また、仮想空間制御部45は、視聴者による所定のオブジェクトの入力に応じて、当該視聴者に第2の仮想価値(ポイント等)を付与するように構成され得る。視聴者が保有する当該第2の仮想価値に関する情報は、例えば、ユーザ情報テーブル411において管理される。こうした構成は、例えば、視聴者による所定のオブジェクトの入力を促進し、この結果、動画配信の活性化が促進され得る。
【0039】
次に、このような機能を有する本実施形態の動画配信システム10の具体例について説明する。この具体例における動画配信システム10は、配信者のユーザ端末30のカメラ及びマイクを介して入力される映像及び音声によって構成されるライブ動画を、複数の視聴者に対して配信可能なライブ動画配信サービスを提供するように構成されている。
【0040】
図3は、この例において、ユーザ情報テーブル411において管理される情報を例示する。ユーザ情報テーブル411は、ライブ動画配信サービスのユーザに関する情報を管理し、この例では、図示するように、個別のユーザを識別する「ユーザアカウント」に対応付けて、貢献ポイント(第2の仮想価値)の保有数である「貢献ポイント保有数」、貢献ポイントの保有数の増加に従ってアップする「視聴者レベル」、保有するギフティングアイテム(所定のオブジェクト)に関する情報である「保有アイテム情報」等の情報を管理する。
【0041】
貢献ポイントは、動画の視聴中において配信者に対してギフティングアイテムを投入することによって視聴者に付与されるポイントである。ユーザは、様々な契機において、有償又は無償でギフティングアイテムを取得することができる。
【0042】
保有アイテム情報は、相互に種類の異なる第1-第3ギフティングアイテムの保有数をそれぞれ示す「第1アイテム保有数」、「第2アイテム保有数」、及び、「第3アイテム保有数」を含む。これらの3種類の第1-第3ギフティングアイテムは、設定されている属性(所定のパラメータ)の値が相互に異なっている(例えば、水属性、火属性、及び、風属性)。
【0043】
図4は、この例において、配信情報テーブル412において管理される情報を例示する。配信情報テーブル412は、個別の動画配信に関する情報を管理し、この例では、図示するように、個別の動画配信を識別する「配信ID」に対応付けて、動画の配信者を識別する「配信者ユーザアカウント」、その時点での配信状況に関する情報である「配信状況情報」、支援ポイント(第1の仮想価値)の獲得数である「支援ポイント獲得数」、動画の配信中に行われるミニゲーム(所定のゲーム)において用いられる「HP」及び「スコア」等の情報を管理する。
【0044】
配信状況情報は、同時視聴者数、延べ視聴者数、及び、配信を開始してからの経過時間等の情報を含む。支援ポイントは、視聴者からのギフティングアイテムの投入を受けたときに配信者に付与されるポイントである。この例では、支援ポイント獲得数は、配信情報テーブル412において配信単位で管理(積算)されているが、これに代えて、又は、これに加えて、ユーザ情報テーブル411においてユーザ(配信者)単位で管理(積算)しても良い。
【0045】
図5は、この例において、複数の視聴者の各々のユーザ端末30において表示される視聴者用画面50を例示する。当該画面50は、例えば、視聴者が、ユーザ端末30において表示される画面を介して、その時点で配信中のライブ動画(番組)の一覧の中から所望の動画を選択したときに、当該ユーザ端末30において表示される。
【0046】
視聴者用画面50は、図5に示すように、画面全体において、選択されているライブ動画(番組)に対応する仮想空間100を表示し、画面下端の左側に位置するコメント入力領域52と、同じく画面下端の右側に位置するギフティングボタン54と、コメント入力領域52の上側に位置するコメント表示領域56とが、当該仮想空間100に重ねて配置されている。
【0047】
仮想空間100は、図示するように、スクリーンオブジェクト102と、フロア104と、上述したミニゲームに用いられるHP及びスコアを表示する情報表示オブジェクト106とが配置されている。スクリーンオブジェクト102は、対応する配信者のユーザ端末30から送信されるライブ映像(当該ユーザ端末30のカメラを介して入力されるライブ映像)が表示されるように構成されている。つまり、仮想空間100は、スクリーンオブジェクト102を介して、対応する配信者が提供する動画を再生するように構成されている。
【0048】
視聴者がコメント入力領域52を介してコメントを入力すると、入力されたコメントが動画配信システム10に送信される。当該システム10が複数の視聴者のユーザ端末30からそれぞれ受信したコメントは、コメント表示領域56において順に表示される。
【0049】
視聴者がギフティングボタン54を選択すると、相互に種類の異なる第1-第3ギフティングアイテムの中から予め設定されているギフティングアイテムが仮想空間100に投入される。ギフティングアイテムが投入されると、当該アイテムを投入した視聴者に対して貢献ポイントが付与されると共に、この配信の配信者に対して支援ポイントが付与される。
【0050】
図6は、ギフティングボタン54の選択に応じて投入されるギフティングアイテムの種類を予め設定するためのギフティングアイテム設定用オブジェクト541を例示する。当該オブジェクト541は、ギフティングボタン54に対する所定の操作(例えば、ロングタップ操作)に応じて、視聴者用画面50に重ねて表示される。当該オブジェクト541は、相互に種類の異なる第1-第3ギフティングアイテム110を選択可能に表示し、また、これらの3種類のアイテム110の各々の対応する視聴者による保有数を表示する。当該保有数は、ユーザ情報テーブル411において管理されている。第1-第3ギフティングアイテム110は、同じハート型の形状を有するが、その色が異なっている。視聴者は、当該ギフティングアイテム設定用オブジェクト541を介して、ギフティングボタン54の選択に応じて投入されるアイテムの種類を予め設定することができる。なお、ギフティングボタン54は、その時点で設定されている種類のギフティングアイテムを表示するように構成されている。
【0051】
図7は、ギフティングアイテム110が仮想空間100に投入されている状態の視聴者用画面50を例示する。この例では、視聴者から投入されたアイテム110は、仮想空間100の上方(天井方向)からフロア104に向けて、所定の速度で落下するように制御される。また、当該アイテム110は、フロア104に着地すると消滅する。また、この例では、投入されたギフティングアイテム110の仮想空間100における水平方向(横方向)の位置はランダムに決定される。なお、視聴者が、投入するギフティングアイテム110の水平方向の位置やギフティングアイテム110の移動速度、移動方向等を指定できるようにしても良い。
【0052】
図8は、図7の状態において、配信者のユーザ端末30において表示される配信者用画面60を例示する。当該画面60は、図示するように、視聴者用画面50と同様に、画面全体において仮想空間100を表示し、画面下端の左側に位置するコメント入力領域62と、当該領域62の上側に位置するコメント表示領域66とが、当該仮想空間100に重ねて配置されている。また、配信者用画面60は、画面下端の右側には、視聴者用画面50におけるギフティングボタン54に代えて、動画の配信を終了するための配信終了ボタン64が配置されている。
【0053】
この例では、配信者用画面60は、ミニゲームの操作が可能となるように構成されている。当該ミニゲームは、視聴者によって投入されて仮想空間100の上方から落ちてくるギフティングアイテム110を、配信者が、タップ操作で獲得することによって得点を得るゲームとして構成されている。
【0054】
具体的には、落下するギフティングアイテム110に対するタップ操作を行って配信者が当該アイテム110を獲得すると、当該アイテム110は消滅し、対応する得点がスコアに加算される。一方、配信者が獲得するよりも前に、アイテム110がフロア104に着地して消滅してしまった場合には、配信者に対するペナルティとして、HPから所定の値が減じられる。
【0055】
また、この例では、配信者が、所定の時間間隔以内に、同じ種類のギフティングアイテム110を連続して獲得すると、コンボ数が加算され、通常よりも多い得点がスコアに加算される。なお、ギフティングアイテム110の種類の1つとして、HPを回復させるためのアイテム、及び、アイテム110の獲得に応じて得られる得点を一時的に増加させるためのアイテム等の、配信者が獲得すると特別な効果を発揮するようなアイテムを設けても良い。
【0056】
また、この例では、HPがゼロとなるまでは、ミニゲームのプレイが可能である。なお、配信者が、動画の配信中において、ミニゲームを開始及び/又は終了するタイミングを指定できるようにしても良い。この場合、ミニゲームの開始前、及び、終了後においては、ギフティングアイテム110の投入は可能であるものの、ミニゲームは進行しない。
【0057】
このように、この例では、配信者は、複数の視聴者の各々が投入したギフティングアイテム110を用いたミニゲームを楽しむことができる。また、各視聴者は、自身が投入したギフティングアイテム110を用いたミニゲームを配信者がプレイする様子を、視聴者用画面50を介して観覧することができる。
【0058】
上述した例では、仮想空間100のスクリーンオブジェクト102において、配信者のユーザ端末30のカメラを介して入力されるライブ映像を表示するように構成したが、本実施形態の他の例では、こうしたライブ映像に代えて、配信者のアバターが登場する映像を表示するように構成される。
【0059】
図9は、当該他の例における配信者用画面60Aを例示する。図示するように、この例における仮想空間100Aでは、上述した仮想空間100のスクリーンオブジェクト102に代えて、ステージオブジェクト103Aが配置されている。そして、当該ステージオブジェクト103Aの上に、配信者のアバター120Aが配置されている。
【0060】
この例におけるアバター120Aは、配信者のユーザ端末30における物理コントローラを介して操作される。配信者は、アバター120Aを操作しながら、ユーザ端末30のマイクを介して音声を入力する(話す)ことにより、アバター120Aを仮想的な配信者(演者)として登場させたライブ動画の配信を行うことができる。なお、アバター120Aの操作は、物理コントローラを介した操作に限定されず、例えば、ユーザ端末30が有するカメラを介して入力される画像に含まれる配信者の姿勢に基づいて、アバター120Aを操作するようにしても良い。例えば、当該画像に含まれる配信者の身体の所定の部位(例えば、顔及び両手)を認識し、認識した所定の部位の配置に基づいて、アバター120Aを操作する(例えば、配信者の所定の部位の動きを追随するようにアバター120Aの動作を制御する)ようにしても良い。この場合、配信者の所定の部位に所定の外観を有するマーカーを設けておき(例えば、両手の手の平に所定の色の所定の形状のマーカーを描いておき)、当該マーカーを検出することによって所定の部位を認識するようにしても良い。また、画像に含まれる配信者の姿勢の認識は、公知の人物姿勢推定技術を適用して実現することもできる。こうすれば、例えば、配信者の実際の姿勢の変化(つまり、動き)に連動するようにアバター120Aの動作を制御することが可能となる。
【0061】
この例におけるミニゲームは、上述した例におけるミニゲームと同様のルールが適用されるが、ギフティングアイテム110を獲得する方法が異なる。即ち、この例では、アバター120Aの手の部分がギフティングアイテム110に触れることにより、当該アイテム110を獲得し、対応する得点がスコアに加算される。このように、この例のミニゲームは、配信者のアバター120Aが、ゲームにおけるプレイヤキャラクタとして用いられる。
【0062】
以上説明した本実施形態に係る動画配信システム10では、動画の視聴者によって入力された所定のオブジェクト(例えば、ギフティングアイテム110)が、当該動画が再生される仮想空間に配置され、配信者による操作に基づいて、当該所定のオブジェクトを用いた所定のゲームが進行するから、配信者は、当該所定のゲームのプレイを楽しむことができ、また、視聴者は、配信者が当該所定のゲームをプレイする様子の観覧を楽しむことができる。このように、本発明の実施形態は、所定のオブジェクトの投入に応じたゲームによる楽しみを提供することにより、動画配信の活性化を促進し得る。
【0063】
本明細書で説明された処理及び手順は、明示的に説明されたもの以外にも、ソフトウェア、ハードウェアまたはこれらの任意の組み合わせによって実現される。例えば、本明細書で説明される処理及び手順は、集積回路、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、磁気ディスク等の媒体に、当該処理及び手順に相当するロジックを実装することによって実現される。また、本明細書で説明された処理及び手順は、当該処理・手順に相当するコンピュータプログラムとして実装し、各種のコンピュータに実行させることが可能である。
【0064】
本明細書中で説明された処理及び手順が単一の装置、ソフトウェア、コンポーネント、モジュールによって実行される旨が説明されたとしても、そのような処理または手順は複数の装置、複数のソフトウェア、複数のコンポーネント、及び/又は複数のモジュールによって実行され得る。また、本明細書において説明されたソフトウェアおよびハードウェアの要素は、それらをより少ない構成要素に統合して、またはより多い構成要素に分解することによって実現することも可能である。
【0065】
本明細書において、発明の構成要素が単数もしくは複数のいずれか一方として説明された場合、又は、単数もしくは複数のいずれとも限定せずに説明された場合であっても、文脈上別に解すべき場合を除き、当該構成要素は単数又は複数のいずれであってもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 動画配信システム
11 コンピュータプロセッサ
30 ユーザ端末
41 情報記憶管理部
43 基本機能制御部
45 仮想空間制御部
50 視聴者用画面
60、60A 配信者用画面
100、100A 仮想空間
110 ギフティングアイテム(所定のオブジェクト)
120A アバター

図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9