(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】無線端末および無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 72/08 20090101AFI20221213BHJP
H04W 4/48 20180101ALI20221213BHJP
H04W 74/08 20090101ALI20221213BHJP
【FI】
H04W72/08
H04W4/48
H04W74/08
(21)【出願番号】P 2018153449
(22)【出願日】2018-08-17
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】木村 恒人
【審査官】田部井 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-178068(JP,A)
【文献】特開2014-072725(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0212827(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0290045(US,A1)
【文献】特開2009-267560(JP,A)
【文献】特開2013-017110(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0286253(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
DB名 3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)方式を用いる無線通信システムの無線送信端末において、
無線信号を送受信する通信部と、
前記通信部で前記無線信号が受信されたか否かを判定する信号強度判定部と、
前記通信部の通信チャネルを第1の通信チャネルと第2の通信チャネルとの間で切り替えるチャネル切り替え部とを含み、
前記通信部において
送信側の前記無線信号であるデータ情報を送信する前に、前記信号強度判定部によって、前記通信部で
前記無線信号が受信される状態があらかじめ定められた一定時間継続すると判定される場合には、前記チャネル切り替え部は前記通信部の前記通信チャネルを前記第1の通信チャネルから前記第2の通信チャネルへ切り替え、
前記第2の通信チャネルへ切り替えてからあらかじめ定められたチャネル切り替え
時間が経過した後に、前記チャネル切り替え部は前記通信部の前記通信チャネルを前記第2の通信チャネルから前記第1の通信チャネルへ切り替えることを特徴とする無線端末。
【請求項2】
前記チャネル切り替え
時間は、
前記データ情報の送信を開始してから前記
データ情報の応答信号を受信するまでの期間に、前記信号強度判定部による判定期間を加えた期間を含む期間であることを特徴とする請求項1に記載の無線端末。
【請求項3】
前記通信部で受信された
前記無線信号に前記無線通信システムに固有のIDが含まれるか否かを判定する信号判定部
をさらに含み、
前記信号強度判定部が前記第1の通信チャネルで前記無線信号が受信されていると判定し、前記信号判定部が前記無線信号に前記無線通信システムに固有のIDが含まれていないと判定した場合に、前記無線信号が受信される状態があらかじめ定められた一定時間継続する場合には、前記チャネル切り替え部は前記通信部の前記通信チャネルを前記第1の通信チャネルから前記第2の通信チャネルへ切り替えることを特徴とする
請求項1又は2に記載の無線端末。
【請求項4】
前記信号判定部において、前記第2の通信チャネルの前記チャネル切り替え
時間の途中から受信した前記無線信号に前記無線通信システムに固有のIDが含まれると判定されるが、前記チャネル切り替え
時間の終了時に前記無線信号のフレームが終了しない場合には、前記無線信号のフレームが終了して前記無線信号に対する応答信号の送信が終了するべき期間まで前記チャネル切り替え
時間を延長し、延長された前記チャネル切り替え
時間の終了時点で、前記チャネル切り替え部が前記通信部の前記通信チャネルを前記第2の通信チャネルから前記第1の通信チャネルに切り替えることを特徴とする請求項3に記載の無線端末。
【請求項5】
前記信号判定部において、前記第2の通信チャネルの前記チャネル切り替え
時間の先頭から受信した前記無線信号にフレーム同期信号が含まれないが、他の同期信号であるユニークワードおよび前記ユニークワードによって識別可能となる特定識別子が含まれることが判定される場合には、前記無線信号の受信終了後の前記無線信号に対する応答信号の送
信が終了されるべき時点で、前記チャネル切り替え部が前記通信部の前記通信チャネルを前記第2の通信チャネルから前記第1の通信チャネルに切り替えることを特徴とする請求項3または4に記載の無線端末。
【請求項6】
前記信号判定部において、前記第2の通信チャネルの前記チャネル切り替え
時間の先頭から受信した前記無線信号にフレーム同期信号が含まれないが、前記無線通信システムに固有のIDを含むビーコン信号が含まれることが判定される場合には、前記無線信号の受信終了後の前記無線信号に対する応答信号の送信が終了されるべき時点で、前記チャネル切り替え部が前記通信部の前記通信チャネルを前記第2の通信チャネルから前記第1の通信チャネルに切り替えることを特徴とする請求項3または4に記載の無線端末。
【請求項7】
前記信号判定部において、前記第2の通信チャネルで受信した前記無線信号に前記無線通信システムに固有のIDが含まれるが、前記無線信号が自局宛の無線信号ではないと判定される場合には、前記無線信号に対する応答信号の受信が終了されるべき時点で、前記チャネル切り替え部が前記通信部の前記通信チャネルを前記第2の通信チャネルから前記第1の通信チャネルに切り替えることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載の無線端末。
【請求項8】
前記信号強度判定部において前記第1の通信チャネルで前記無線信号が受信されたが、前記信号判定部において、受信した前記無線信号に前記無線通信システムに固有のIDが含まれていないと判定され、前記チャネル切り替え部が前記通信部の前記通信チャネルを前記第1の通信チャネルから前記第2の通信チャネルに切り替えても、前記信号強度判定部において前記無線信号が受信されないために、前記チャネル切り替え部が前記通信部の前記通信チャネルを前記第2の通信チャネルから前記第1の通信チャネルに切り替えても、再び、前記無線信号が受信されるが、前記無線信号に前記無線通信システムに固有のIDが含まれていないと判定される場合には、前記チャネル切り替え部が前記通信部の前記通信チャネルを前記第1の通信チャネルから前記第2の通信チャネルに切り替えて、受信期間を延長することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載の無線端末。
【請求項9】
複数の請求項1乃至8のいずれか一項に記載の無線端末を含む無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一車両内及び他車両に搭載された他の無線通信システムとの電波干渉による通信不能状態を回避する無線送信端末、無線受信端末および無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、同一車両内及び他車両に搭載された他の無線通信システムの無線端末との電波干渉が長期間発生した場合における通信不能状態を回避する方式が提案されている。
【0003】
例えば、複数の無線端末で構成されるアドホックネットワーク(
図12(特許文献1の
図1に対応する))において、無線通信に複数の周波数チャネルを利用できる場合に、周期的に周波数チャネルを変更して通信する構成が提案されている(
図14(特許文献1の
図13に対応する))。1つの周波数チャネルに留まって通信を継続しようとする場合には、その周波数チャネルが他の無線通信システムからの干渉などにより通信状況が悪くなると通信ができない状況になる。しかし、特許文献1の方式では複数の周波数チャネルを切り替えながら通信することで、通信状況の悪いチャネルの影響を回避できる。また、特許文献1の方式ではチャネルを切り替えるための制御局を必要とせずに、各無線端末が事前のチャネル切り替え規則を共有することによって、自立的に動作できる。そのために、各無線端末の送信タイミングではデータ送信の前に、ビーコンを送信して無線端末間で同期をとっている。そして、ビーコンを送信した直後はビーコンを送信した無線端末に通信の優先割当区間が与えられ、一定時間経過後に、他の無線端末が送信できるようにしている(
図13(特許文献1の
図7に対応する))。特許文献1のアクセス制御方式はCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)方式が想定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の開示によれば、周波数チャネルを規則的に変更するので、通信を1チャネルに固定した場合の長い干渉波による影響は回避できるが、マルチパスフェージングによりビーコンの受信レベルが低下した場合には同期が取れない状況が発生する。また、ビーコンに干渉が発生した場合も同期が取れない状況が発生する。その結果、一定期間、通信が出来ない状態が発生し、最悪の場合、全く同期できない無線端末がでてくるため、通信不能(デッドロック)状態に陥る場合があるという課題があった。特に、車内でのスイッチ、センサ情報などの無線配信では低遅延が要求されるので、このようなアプリケーションには利用できないという課題があった。
そこで、本発明はこのような課題を解決する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
すなわち、請求項1に係る発明は、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)方式を用いる無線通信システムの無線送信端末において、
無線信号を送受信する通信部と、
前記通信部で前記無線信号が受信されたか否かを判定する信号強度判定部と、
前記通信部の通信チャネルを第1の通信チャネルと第2の通信チャネルとの間で切り替えるチャネル切り替え部とを含み、
前記通信部において無線信号を送信する前に、前記信号強度判定部によって、前記通信部で無線信号が受信される状態があらかじめ定められた一定時間継続すると判定される場合には、前記チャネル切り替え部は前記通信部の前記通信チャネルを前記第1の通信チャネルから前記第2の通信チャネルへ切り替え、
前記第2の通信チャネルへ切り替えてからあらかじめ定められたチャネル切り替え周期が経過した後に、前記チャネル切り替え部は前記通信部の前記通信チャネルを前記第2の通信チャネルから前記第1の通信チャネルへ切り替えることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、無線送信端末は、通常動作チャネルで一定時間、連続して干渉が発生した場合には、干渉時チャネルへ切り替え、干渉の有無にかかわらず、チャネル切り替え周期が経過した後に干渉時チャネルから通常動作チャネルに切り替える。したがって、同一車両内及び他車両に搭載された他の無線通信システムの無線端末との電波干渉が長期間発生した場合であっても、遅延の増大を回避するとともに、通信同期を確保して通信が完全に不能になるデッドロック状態を回避することが可能になる。
【0008】
上記課題を解決するために、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の無線送信端末において、前記チャネル切り替え周期は、無線信号の送信を開始してから前記無線信号の応答信号を受信するまでの期間に、前記信号強度判定部による判定期間を加えた期間を含む期間であることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、干渉時チャネルにおいて、無線信号の送受信が完了すれば、通常動作チャネルへ切り替わるので、無線通信システムの資源を有効に活用して、効率的に他の無線通信システムからの干渉を避けることが可能になる。
【0010】
上記課題を解決するために、請求項3に係る発明は、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)方式を用いる無線通信システムの無線受信端末において、
無線信号を送受信する通信部と、
前記通信部で無線信号が受信されたか否かを判定する信号強度判定部と、
前記通信部で受信された無線信号に前記無線通信システムに固有のIDが含まれるか否かを判定する信号判定部と、
前記通信部の通信チャネルを第1の通信チャネルと第2の通信チャネルとの間で切り替えるチャネル切り替え部とを含み、
前記信号強度判定部が前記第1の通信チャネルで前記無線信号が受信されていると判定し、前記信号判定部が前記無線信号に前記無線通信システムに固有のIDが含まれていないと判定した場合に、前記無線信号が受信される状態があらかじめ定められた一定時間継続する場合には、前記チャネル切り替え部は前記通信部の前記通信チャネルを前記第1の通信チャネルから前記第2の通信チャネルへ切り替え、
前記第2の通信チャネルへ切り替えてからあらかじめ定められたチャネル切り替え周期が経過した後に、前記チャネル切り替え部は前記通信部の前記通信チャネルを前記第2の通信チャネルから前記第1の通信チャネルへ切り替えることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、通常動作チャネルで一定時間、連続して干渉が発生した場合には、干渉時チャネルへ切り替え、干渉の有無にかかわらず、チャネル切り替え周期が経過した後に干渉時チャネルから通常動作チャネルに切り替わる。したがって、同一車両内及び他車両に搭載された他の無線通信システムの無線端末との電波干渉が長期間発生した場合であっても、遅延の増大を回避するとともに、通信同期を確保して通信が完全に不能になるデッドロック状態を回避することが可能になる。
【0012】
上記課題を解決するために、請求項4に係る発明は、請求項3に記載の無線受信端末において、前記信号判定部において、前記第2の通信チャネルの前記チャネル切り替え周期の途中から受信した前記無線信号に前記無線通信システムに固有のIDが含まれると判定されるが、前記チャネル切り替え周期の終了時に前記無線信号のフレームが終了しない場合には、前記無線信号のフレームが終了して前記無線信号に対する応答信号の送信が終了するべき期間まで前記チャネル切り替え周期を延長し、延長された前記チャネル切り替え周期の終了時点で、前記チャネル切り替え部が前記通信部の前記通信チャネルを前記第2の通信チャネルから前記第1の通信チャネルに切り替えることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、受信期間が送信期間より先行している場合には、受信期間の途中から送信データの最初の部分を受信できるので、ビット同期やフレーム同期を取ることができる。そして、無線通信システムに固有のIDを受信し、送信データが自無線通信システムの信号であると判定できれば受信期間を延長することによって、送信データの全体を受信することができる。
すなわち、干渉源の位置や車内のマルチパスフェージングの影響などにより、各端末の送受信のタイミングにズレが発生する場合にも、送信データを正常に受信することができる。
また、無線送信端末と無線受信端末とが、干渉時チャネルから通常動作チャネルへ同期して切り替わることができるので、以降の通信データの送受信を正常に継続できる。
【0014】
上記課題を解決するために、請求項5に係る発明は、請求項3または4に記載の無線受信端末において、前記信号判定部において、前記第2の通信チャネルの前記チャネル切り替え周期の先頭から受信した前記無線信号にフレーム同期信号が含まれないが、他の同期信号であるユニークワードおよび前記ユニークワードによって識別可能となる特定識別子が含まれることが判定される場合には、前記無線信号の受信終了後の前記無線信号に対する応答信号の送信が終了されるべき時点で、前記チャネル切り替え部が前記通信部の前記通信チャネルを前記第2の通信チャネルから前記第1の通信チャネルに切り替えることを特徴とする。
【0015】
送信期間が受信期間より先行している場合には、受信期間の前半で送信データの途中からのデータを受信可能であるが、ビット同期やフレーム同期信号を取得できなければ同期を取ることができないので、送信データを正常に受信することができない。しかし、上記構成によれば、送信データが自無線通信システムのデータであることが確認できれば、仮に送信データを正常に受信できた場合における応答信号の送信が終了されるべき時点で、無線受信端末の通信チャネルを切り替えることで、無線送信端末と無線受信端末の通信タイミングが同期できる。その結果、通信チャネルが他の無線通信システムから干渉を受けている場合であっても、無線送信端末と無線受信端末の通信タイミングが同期して、切り替わることができるので、タイミングのズレが解消し、デッドロックを避けることができる。
【0016】
上記課題を解決するために、請求項6に係る発明は、請求項3または4に記載の無線受信端末において、前記信号判定部において、前記第2の通信チャネルの前記チャネル切り替え周期の先頭から受信した前記無線信号にフレーム同期信号が含まれないが、前記無線通信システムに固有のIDを含むビーコン信号が含まれることが判定される場合には、前記無線信号の受信終了後の前記無線信号に対する応答信号の送信が終了されるべき時点で、前記チャネル切り替え部が前記通信部の前記通信チャネルを前記第2の通信チャネルから前記第1の通信チャネルに切り替えることを特徴とする。
【0017】
送信期間が受信期間より先行している場合には、受信期間の前半で送信データの途中からのデータを受信可能であるが、ビット同期やフレーム同期信号を取得できなければ同期を取ることができないので、送信データを正常に受信することができない。しかし、上記構成によれば、送信データが自無線通信システムのデータであることが確認できれば、仮に送信データを正常に受信できた場合における応答信号の送信が終了されるべき時点で、無線受信端末の通信チャネルを切り替えることで、無線送信端末と無線受信端末の通信タイミングが同期できる。その結果、通信チャネルが他の無線通信システムから干渉を受けている場合であっても、無線送信端末と無線受信端末の通信タイミングが同期して、切り替わることができるので、タイミングのズレが解消し、デッドロックを避けることができる。
【0018】
上記課題を解決するために、請求項7に係る発明は、請求項3乃至6のいずれか一項に記載の無線受信端末において、前記信号判定部において、前記第2の通信チャネルで受信した前記無線信号に前記無線通信システムに固有のIDが含まれるが、前記無線信号が自局宛の無線信号ではないと判定される場合には、前記無線信号に対する応答信号の受信が終了されるべき時点で、前記チャネル切り替え部が前記通信部の前記通信チャネルを前記第2の通信チャネルから前記第1の通信チャネルに切り替えることを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、受信した無線信号が自無線通信システムの信号であるが、自局宛の無線信号ではない場合であっても、前記無線信号を正常に受信できた場合に送信されるべき応答信号の受信が無線送信端末側で終了されるべき時点で、無線受信端末の通信チャネルを切り替えることで、同じ無線通信システムの前記無線信号を送信した無線送信端末と前記無線信号を傍受した無線受信端末の通信タイミングの同期を取ることができる。その結果、通信チャネルが他の無線通信システムから干渉を受けている場合であっても、同じ無線通信システムの無線送信端末と無線受信端末の通信タイミングが同期して、切り替わることができるので、事前にタイミングのズレが解消し、デッドロックの発生を避けることが可能になる。
【0020】
上記課題を解決するために、請求項8に係る発明は、前記信号強度判定部において前記第1の通信チャネルで前記無線信号が受信されたが、前記信号判定部において、受信した前記無線信号に前記無線通信システムに固有のIDが含まれていないと判定され、前記チャネル切り替え部が前記通信部の前記通信チャネルを前記第1の通信チャネルから前記第2の通信チャネルに切り替えても、前記信号強度判定部において前記無線信号が受信されないために、前記チャネル切り替え部が前記通信部の前記通信チャネルを前記第2の通信チャネルから前記第1の通信チャネルに切り替えても、再び、前記無線信号が受信されるが、前記無線信号に前記無線通信システムに固有のIDが含まれていないと判定される場合には、前記チャネル切り替え部が前記通信部の前記通信チャネルを前記第1の通信チャネルから前記第2の通信チャネルに切り替えて、受信期間を延長することを特徴とする。
【0021】
送信期間と受信期間が完全にずれている場合であって、通常動作チャネルが他の無線通信システムから連続して干渉を受けている場合には、干渉時チャネルにおける送信期間と受信期間とが完全にずれる状態が継続する危険性があり、デッドロックが発生する場合がある。しかし、上記構成によれば、デッドロックが発生する危険性がある場合に、干渉時チャネルの受信期間を延長することで、送信データのビット同期やフレーム同期を取るようにして、デッドロックを解消することが可能になる。
【0022】
上記課題を解決するために、請求項9に係る無線通信システムの発明は、
請求項1または2に記載の無線送信端末と、
請求項3乃至8のいずれか一項に記載の無線受信端末と、を含む。
【0023】
上記構成によれば、同一車両内及び他車両に搭載された他の無線通信システムの無線端末との電波干渉が長期間発生した場合であっても、遅延の増大を回避するとともに、通信同期を確保して通信が完全に不能になるデッドロック状態を回避することが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、同一車両内及び他車両に搭載された他の無線通信システムの無線端末との電波干渉が長期間発生した場合であっても、遅延の増大を回避するとともに、通信同期を確保して通信が完全に不能になるデッドロック状態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】(A)無線端末で他の無線通信システムからの電波干渉が発生するパターンを示す図である。(B)無線端末で他の無線通信システムからの電波干渉が発生するパターンを示す図である。
【
図3】無線端末の通信チャネルの切り替えタイミングの一例を示す図である。
【
図4】無線信号のフレーム構成の一例を示す図である。
【
図5】無線端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】無線端末の送信動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】無線端末の受信動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】受信期間と送信期間のタイミングが一致する場合の動作タイミングを示す図である。
【
図9】受信期間が送信期間より先行する場合にタイミングのズレを解消する模式図である。
【
図10】(A)送信期間が受信期間より先行する場合の模式図である。(B)(A)におけるタイミングのズレを解消する模式図である。
【
図11】(A)送信期間と受信期間が完全にオーバーラップしない場合の模式図である。(B)(A)におけるタイミングのズレを解消する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(無線通信システムの概要)
最初に、他の無線通信システムからの電波干渉による通信遅延の発生パターンについて説明する。ここでは、干渉による遅延については2つのケースを想定している。
【0027】
第1のケースは、送信要求が発生しているが、他の無線通信システムが通信チャネルを使用しているために、通信チャネルがアイドル状態になるのを待ってからデータ情報を送信することによって遅延が発生するケースである(
図1(A)参照)。
【0028】
また、第2のケースは、送信要求が発生し、通信チャネルが未使用状態のためにデータ情報を送信した後に、他の無線通信システムの信号が干渉するケースである(
図1(B)参照)。なお、本実施形態ではCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)の通信制御方式を採用しているので、他の無線通信システムがデータ情報を送信中に、自無線通信システムがデータ情報を送信して干渉するケースは考慮しない。
【0029】
本実施形態は、従来技術と同様な複数台の無線端末によるアドホックネットワークを想定して説明する(
図12参照)。使用する通信チャネルは2チャネルで、通常動作を行う通常動作チャネル(第1のチャネルであるチャネル1(CH1))と干渉検出時に使用される干渉時チャネル(第2のチャネルであるチヤネル2(CH2))とからなる。
【0030】
通常動作時には、一定時間、電波を連続検出して、検出された電波が自無線通信システムの無線信号ではない場合には、干渉時チャネルに切り替え、干渉時チャネルで送受信動作を行い、チャネル切り替え周期(以下に詳述する)経過後、通常動作チャネルへ戻る(
図2参照)。基本的にはこの動作を繰り返す。
【0031】
図3は通信チャネルの切り替えのタイミングの一例を示す図である。
図3のデータ送信からデータ送信に対する応答信号であるAck(Acknowledgement)受信の完了までの時間を一定時間としている。特許文献1では一定時間の経過後に自動的に通信チャネルを切り替える方式であるが、本実施形態では通常動作チャネルにおいて受信信号の強度を検出する干渉検出(電波の検出および他の無線通信システムの通信検出)ベースで通信チャネルを切り替える方式となる。なお、当該一定時間は無線通信システムが任意の時間に設定することが可能である。
【0032】
図4は、無線信号のフレームの概要の一例を説明するための図である。
【0033】
フレームの先頭には、ビット単位で同期を取るためのビット同期信号があり、その次に、フレーム単位で同期を取るためのフレーム同期信号があり、その次に、無線通信システム固有のIDを含むヘッダを配置する。そして、ヘッダの次にデータの本体であるペイロードがあり、最後にデータの誤りの検出および訂正をするための誤り検出訂正符号を配置する。
【0034】
図4に示すように、無線通信システムはフレーム中に無線通信システム固有のIDを含ませ、その固有IDを受信できるか否かで、受信した無線信号が自無線通信システムの信号か否かを判別する。
【0035】
次に、
図5~
図7を参照して通信動作の概要を説明する。
図5は無線端末のハードウェアの機能ブロック図であり、
図6は無線端末の送信時の動作フローチャートであり、
図7は無線端末の受信時の動作フローチャートである。
【0036】
なお、車内のマルチパスの影響により、各無線端末における干渉波発生のタイミングは必ずしも一致せず、各無線端末は非同期で動作するため、動作タイミングのズレが発生する場合がある。しかし、
図6および
図7においては、無線端末の送信期間と受信期間との間の動作タイミングのズレは発生していないものとする。このズレを補正する通信制御の詳細については後述する。
【0037】
最初に、
図5を用いて無線端末5000のハードウェアの構成を説明する。請求項に記載の無線送信端末および無線受信端末は無線端末5000として実現され、無線端末5000は、通信部5100、制御部5200および記憶部5300を含んで構成される。
【0038】
図5に示す無線端末5000は、通信部5100、制御部5200、記憶部5300を備える一般的なコンピュータである。一般的なコンピュータが通信プログラムを実行することにより、
図5に示す機能を実現する。また、制御部5200はCPU(Central Processing Unit)である。制御部5200は、記憶部5300に記憶されたデータを読み書きしたり、通信部5100とデータを入出力したりして、無線端末5000における処理を実行する。
【0039】
具体的には、通信部5100は、送受信切り替え部5110、送信ユニット5120、および受信ユニット5130を含む。
【0040】
送受信切り替え部5110は、無線端末5000が送信モードである場合にはアンテナと送信ユニット5120を接続し、受信モードである場合にはアンテナと受信ユニット5130を接続するように切り替える。
【0041】
送信ユニット5120および受信ユニット5130は、他の無線端末5000とアンテナを介して無線信号を送受信するように機能する。
【0042】
送信ユニット5120は、データ処理部5240で処理されたデータを変調処理する送信処理部5122と変調処理されたデータを無線信号として送信する送信部5121を含む。
【0043】
受信ユニット5130は、他の無線端末5000から送信された無線信号をアンテナから受信する受信部5131と、受信された無線信号を復調処理する受信処理部5132とを含む。受信された無線信号は受信処理部5132と信号強度判定部5211に伝送される。また、変調処理された無線信号はデータ処理部5240および信号判定部5212に伝送される。
【0044】
制御部5200は、判定ユニット5210、通信制御部5220、チャネル切り替え部5230およびデータ処理部5240を含む。
【0045】
判定ユニット5210は、受信信号の電力が閾値レベルを超えたか否かを判定する信号強度判定部5211と、受信した無線信号が自無線通信システム内のものであるか否かを判定する信号判定部5212を含む。また、判定ユニット5210は、信号強度判定部5211と信号判定部5212との判定結果から通信チャネルでの干渉の有無を判定する干渉判定部5213をさらに含む。
【0046】
通信制御部5220は、以下に詳述する通信シーケンスに従って、送受信切り替え部5110、送信ユニット5120、受信ユニット5130およびチャネル切り替え部5230を制御する。
【0047】
チャネル切り替え部5230は、送信ユニット5120および受信ユニット5130の通信チャネルを切り替える機能を有する。すなわち、無線端末5000の電源が入ると、送信ユニット5120および受信ユニット5130の通信チャネルを第1の通信チャネルとしての通常動作チャネルに設定する。通信チャネルに他の無線通信システムからの干渉が確認されない場合には、送信ユニット5120および受信ユニット5130の通信チャネルを第1の通信チャネルとしての通常動作チャネルに維持する。そして、通信チャネルに他の無線通信システムからの干渉が一定時間、連続して確認される場合には、送信ユニット5120および受信ユニット5130の通信チャネルを通常動作チャネルから第2の通信チャネルとしての干渉時チャネルに切り替える。そして、チャネル切り替え周期((データ送信からAck受信までの時間)+(各無線端末での受信強度検出時のタイミング誤差を考慮した任意の時間))経過後、第2の通信チャネルとしての干渉時チャネルから第1の通信チャネルとしての通常動作チャネルに切り替える。なお、詳細は後述する。
【0048】
データ処理部5240は、無線端末5000に実装されたアプリケーションプログラムにしたがってデータを処理する。
【0049】
記憶部5300は、無線通信ネットワークの識別情報、制御プログラムおよびアプリケーションプログラム等を記憶する。また、記憶部5300は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク等の記憶媒体である。
【0050】
次に、
図5を参照して、送信側基本動作の概要を説明する。なお、無線端末の送信期間と受信期間との間のズレは発生していないものとする。
【0051】
(送信側動作)
アプリケーションレベルでデータ情報の送信要求が発生した場合には、データ情報を送信する前に、他の無線通信システムが通常動作チャネルを使用しているか否かを確認するために、信号強度判定部5211で受信信号の強度判定を行う。受信信号が検出されなければ、受信強度検出なしとして、データ情報は送信処理部5122および送信部5121を介して無線端末から通常動作チャネルを使用して無線信号として送信される。
【0052】
データ情報の送信直後に送受信切り替え部51110で無線端末5000の動作モードを受信モードに切り替えて、再度、信号強度判定部5211で受信信号の強度判定を行う。受信信号が検出されなければ、受信強度検出なしとして、データ情報が受信された無線端末5000から送信されるAck信号の受信待ち状態になる。受信部5131および受信処理部5132を介してAck信号を受信すれば、無線端末5000の動作モードを受信モードに維持し、Ack信号を受信できなければ、無線端末5000の動作モードを送信モードに切り替えて、データ情報の再送信を行う。
【0053】
アプリケーションレベルでデータ情報の送信要求が発生した直後に、信号強度判定部5211で受信信号の強度判定を実施した結果、受信信号が検出されれば、受信強度検出ありとする。一定時間が経過した時点でも、受信強度が再度検出される場合には、干渉判定部5213にて干渉有りとの判定をし、通信制御部5220がチャネル切り替え部5230によって通信チャネルを通常動作チャネルから干渉時チャネルへ切り替えるように制御し、干渉時チャネルでデータ情報の送信をする。
【0054】
そして、チャネル切り替え時間((データ送信からAck受信までの時間)+(各無線端末での受信強度検出時のタイミング誤差を考慮した任意の時間))経過後、チャネル切り替え部5230が通信チャネルを干渉時チャネルから通常動作チャネルへ切り替えて、次のデータ情報の送信動作を継続する。
【0055】
次に、
図5を参照して、受信側基本動作の概要を説明する。なお、無線端末の送信期間と受信期間との間のズレは発生していないものとする。
【0056】
(受信側動作)
無線端末が受信モードにある場合には、信号強度判定部5211で定期的もしくは連続的に受信信号の強度が検出されるか否かを判定することによって、受信信号の有無を監視する。
【0057】
受信信号が検出されて、受信強度検出ありとなる場合であって、信号判定部5212で受信信号から自無線通信システム内に固有のIDを検出できる場合には、受信信号を自無線通信システム宛の信号であると判定する。また、信号判定部5212で受信信号から自無線通信システム内に固有のIDを検出できない場合には、受信信号を他の無線通信システムの信号であると判定する。
【0058】
自無線通信システム宛の受信信号であれば、受信信号のデータ情報を受信する。データ情報が正しく受信できた直後に、受信強度の検出判定を実施し、受信強度検出なしとなる場合にはAck信号を送信して受信モードにもどる。
【0059】
受信強度検出ありとなる場合にもかかわらず、固有IDを取得できなかった場合には、一定時間が経過した時点で、再度、受信強度検出の判定を実施する。当該受信強度の検出判定で、さらに受信強度検出ありとなる場合には、干渉判定部5213にて干渉有りと判定し、チャネル切り替え部5230により通常動作チャネルから干渉時チャネルへ切替えて、受信動作を行う。そして、チャネル切り替え時間経過後に、チャネル切り替え部5230が通信チャネルを干渉時チャネルからもとの通常動作チャネルへ切り替える。
【0060】
次に、
図6を参照して無線端末5000の送信側の動作フローの詳細を説明する。なお、
図6では無線端末5000の送信期間と受信期間との間のズレは発生していないものとする。
【0061】
ステップS601において、無線端末5000が起動すると最初に受信状態になる。次に、無線端末5000はステップS602に進む。
【0062】
ステップS602において、アプリケーションレベルでデータ情報の送信要求が発生した場合には、無線端末5000はデータ情報を送信する前に、他の無線通信システムが通常動作チャネルを使用しているか否かを確認するために、ステップS603に進む。
【0063】
ステップS603において、信号強度判定部5211で通常動作チャネルの受信信号の強度判定を行う。受信信号が検出されなければ、受信強度検出なし(ステップS603:NO)として、無線端末5000はステップS604に進む。受信信号が検出されれば、受信強度検出あり(ステップS603:YES)として、無線端末5000はステップS607に進む。
【0064】
ステップS604において、無線端末5000は通常動作チャネルを使用してデータ情報を送信処理部5122および送信部5121を介して送信する。次に、無線端末5000はステップS605に進む。
【0065】
ステップS605において、信号強度判定部5211で通常動作チャネルの受信信号の強度判定を行う。受信信号が検出されなければ、受信強度検出なし(ステップS605:NO)として、無線端末5000はステップS606に進む。受信信号が検出されれば、受信強度検出あり(ステップS605:YES)として、無線端末5000はステップS609に進む。
【0066】
ステップS606において、無線端末5000は通常動作チャネルでAck信号を受信するか否かを判定する。無線端末5000がAck信号を受信する場合(ステップS606:YES)には、ステップS601に進み、Ack信号を受信しない場合(ステップS606:NO)には、データ情報の再送信をするためにステップS603に進む。
【0067】
ステップS607において、無線端末5000の通常動作チャネルで受信強度が検出されている状態なので、干渉判定部5213は干渉有りと判定するための一定時間が経過したか否かをチェックする。一定時間が経過していない場合(ステップS607:NO)には、無線端末5000はステップS603に進み、一定時間が経過した場合(ステップS607:YES)には、無線端末5000はステップS610に進む。ここで、当該一定時間は無線通信システムで共通の値となる。
【0068】
ステップS608において、干渉が一定時間続いたので、無線端末5000の通信制御部5220がチャネル切り替え部5230によって通信チャネルを通常動作チャネルから干渉時チャネルへ切り替えるように制御する。次に、無線端末5000はステップS611に進む。
【0069】
ステップS609において、受信強度が検出されている状態ではあるが、無線端末5000がAck信号を受信できるか否かを判定する。無線端末5000がAck信号を受信できる場合(ステップS609:YES)には、無線端末5000はステップS601に進み、Ack信号を受信できない場合(ステップS609:NO)には、無線端末5000はステップS608に進む。
【0070】
ステップS610において、信号強度判定部5211で干渉時チャネルの受信信号の強度判定を行う。受信信号が検出されなければ、受信強度検出なし(ステップS610:NO)として、無線端末5000はステップS603に進む。受信信号が検出されれば、受信強度検出あり(ステップS610:YES)として、無線端末5000はステップS608に進む。
【0071】
ステップS611において、信号強度判定部5211が干渉時チャネルの受信信号の強度判定を行う。受信信号が検出されなければ、受信強度検出なし(ステップS611:NO)として、無線端末5000はステップS612に進む。受信信号が検出されれば、受信強度検出あり(ステップS611:YES)として、無線端末5000はステップS616に進む。
【0072】
ステップS612において、無線端末5000は干渉時チャネルを使用してデータ情報を送信処理部5122および送信部5121を介して送信する。次に、無線端末5000はステップS613に進む。
【0073】
ステップS613において、信号強度判定部5211で干渉時チャネルの受信信号の強度判定を行う。受信信号が検出されなければ、受信強度検出なし(ステップS613:NO)として、無線端末5000はステップS614に進む。受信信号が検出されれば、受信強度検出あり(ステップS613:YES)として、無線端末5000はステップS618に進む。
【0074】
ステップS614において、無線端末5000は干渉時チャネルでAck信号を受信したか否かを判定する。無線端末5000がAck信号を受信した場合(ステップS614:YES)には、無線端末5000はステップS619に進み、Ack信号を受信しない場合(ステップS614:NO)には、無線端末5000はステップS615に進む。
【0075】
ステップS615において、無線端末5000がAck信号を受信しなかったが、チャネル切り替え周期が経過しているので、チャネル切り替え部5230は通信チャネルを干渉時チャネルから通常動作チャネルへ切り替えるように制御する。次に、無線端末5000はステップS603に進み、再送信をする。
【0076】
ステップS616において、無線端末5000の干渉時チャネルで受信強度が検出されている状態なので、干渉判定部5213はチャネル切り替え周期が経過したか否かを判定する。チャネル切り替え周期が経過していない場合(ステップS616:NO)には、無線端末5000はステップS611に進み、チャネル切り替え周期が経過した場合(ステップS616:YES)には、無線端末5000はステップS617に進む。
【0077】
ステップS617は、チャネル切り替え周期が経過した状態である。したがって、通信制御部5220はチャネル切り替え部5230によって通信チャネルを干渉時チャネルから通常動作チャネルへ切り替えるように制御する。次に、無線端末5000はステップS603に進む。
【0078】
ステップS618において、無線端末5000で受信強度が検出されている状態ではあるが、Ack信号を受信できるか否かを判定する。無線端末5000がAck信号を受信できる場合(ステップS618:YES)は、無線端末5000はステップS619に進み、無線端末5000がAck信号を受信できない場合(ステップS618:NO)は、無線端末5000はステップS617に進む。
【0079】
ステップS619は、無線端末5000がAck信号を受信した状態であって、チャネル切り替え周期が経過した状態である。したがって、通信制御部5220がチャネル切り替え部5230によって通信チャネルを干渉時チャネルから通常動作チャネルへ切り替えるように制御する。次に、無線端末5000はステップS601に進む。
【0080】
次に、
図7を参照して無線端末5000の受信側の動作フローの詳細を説明する。なお、
図7では無線端末5000の送信期間と受信期間との間のズレは発生していないものとする。
【0081】
ステップS701において、無線端末5000が起動すると最初に通常動作チャネルで受信状態になる。次に、無線端末5000は、ステップS702に進む、
【0082】
ステップS702において、信号強度判定部5211が通常動作チャネルの受信信号の強度判定を行う。受信信号が検出されなければ、受信強度検出なし(ステップS702:NO)として、無線端末5000はステップS702を繰り返す。受信信号が検出されれば、受信強度検出あり(ステップS702:YES)として、無線端末5000はステップS703に進む。
【0083】
ステップS703において、信号判定部5212は受信信号から自無線通信システム内に固有のIDを検出できるか否かを判定する。信号判定部5212が自無線通信システム内に固有のIDを検出できる場合(ステップS703:YES)には、無線端末5000はステップS704に進む。信号判定部5212が自無線通信システム内に固有のIDを検出できない場合(ステップS703:NO)には、無線端末5000はステップS707に進む。
【0084】
ステップS704において、受信信号が自無線通信システム宛の信号であると判定されているので、無線端末5000は受信信号のデータ情報を受信する。データ情報が正しく受信できた場合(ステップS704:YES)には、無線端末5000はステップS705に進み、データ情報が正しく受信できなかった場合(ステップS704:NO)には、無線端末5000はステップS709に進む。
【0085】
ステップS705において、データ情報が正しく受信できたので、無線端末5000はAck信号を通常動作チャネルで送信できるか否かを判定する。すなわち、信号強度判定部5211が通常動作チャネルの受信信号の強度判定を行う。信号強度判定部5211で受信信号が検出されなければ、受信強度検出なし(ステップS705:NO)として、無線端末5000はステップS706に進む。信号強度判定部5211で受信信号が検出されれば、受信強度検出あり(ステップS705:YES)として、無線端末5000はステップS710に進む。
【0086】
ステップS706において、無線端末5000はAck信号を送信する。次に、無線端末5000は次のデータ情報を受信するためにステップS702に進む。
【0087】
ステップS707において、受信強度検出ありとなる場合にもかかわらず、固有IDを取得できなかった場合に、干渉判定部5213は一定時間が経過したか否かを判定する。一定時間が経過していない場合(ステップS707:NO)には、無線端末5000はステップS702に進み、一定時間が経過した場合(ステップS707:YES)には、無線端末5000はステップS708に進む。ここでの一定時間は他の無線通信システムからの干渉が連続して発生していると干渉判定部5213が判定するための時間である。
【0088】
ステップS708において、信号強度判定部5211は通常動作チャネルの受信信号の強度判定を行う。受信信号が検出されなければ、受信強度検出なし(ステップS708:NO)として、無線端末5000はステップS702に進む。受信信号が検出されれば、受信強度検出あり(ステップS708:YES)として、無線端末5000はステップS711に進む。
【0089】
ステップS709において、データ情報が正常に受信されなかった状態であるので、信号強度判定部5211は通常動作チャネルの受信信号の強度判定を行う。受信信号が検出されなければ、受信強度検出なし(ステップS709:NO)として、無線端末5000はステップS702に進む。受信信号が検出されれば、受信強度検出あり(ステップS709:YES)として、無線端末5000はステップS711に進む。
【0090】
ステップS710は、無線端末5000がデータ情報を正常に受信できたが、受信強度検出ありとなったために、Ack信号を送信できない場合である。この場合には、無線端末5000の通信制御部5220がチャネル切り替え部5230によって通信チャネルを通常動作チャネルから干渉時チャネルへ切り替えるように制御する。次に、無線端末5000はステップS712に進む。
【0091】
ステップS711は、受信強度検出ありとなる場合にもかかわらず、固有IDを取得できない状態が一定時間継続した、または、データ情報を正常に受信できずに受信強度が検出された場合である。これらの場合には、無線端末5000の通信制御部5220がチャネル切り替え部5230によって通信チャネルを通常動作チャネルから干渉時チャネルへ切り替えるように制御する。次に、無線端末5000はステップS712に進む。
【0092】
ステップS712において、信号強度判定部5211は干渉時チャネルの受信信号の強度判定を行う。受信信号が検出されなければ、受信強度検出なし(ステップS712:NO)として、無線端末5000はステップS721に進む。受信信号が検出されれば、受信強度検出あり(ステップS712:YES)として、無線端末5000はステップS713に進む。
【0093】
ステップS713において、信号判定部5212は受信信号から自無線通信システム内に固有のIDを検出できるか否かを判定する。信号判定部5212が自無線通信システム内に固有のIDを検出できる場合(ステップS713:YES)には、無線端末5000はステップS714に進む。信号判定部5212が自無線通信システム内に固有のIDを検出できない場合(ステップS713:NO)には、無線端末5000はステップS718に進む。
【0094】
ステップS714において、受信信号が自無線通信システム宛の信号であると判定されている状態なので、無線端末5000は受信信号のデータ情報を受信する。データ情報が正しく受信できた場合(ステップS714:YES)には、無線端末5000はステップS715に進み、データ情報が正しく受信できなかった場合(ステップS714:NO)には、無線端末5000はステップS720に進む。
【0095】
ステップS715において、データ情報が正しく受信できているので、無線端末5000はAck信号を干渉時チャネルで送信できるか否かを判定する。すなわち、信号強度判定部5211が干渉時チャネルの受信信号の強度判定を行う。受信信号が検出されなければ、受信強度検出なし(ステップS715:NO)として、無線端末5000はステップS716に進む。受信信号が検出されれば、受信強度検出あり(ステップS715:YES)として、無線端末5000はステップS720に進む。
【0096】
ステップS716において、無線端末5000はAck信号を送信し、ステップS717に進む。
【0097】
ステップS717において、チャネル切り替え周期が経過しているので、無線端末5000の通信制御部5220がチャネル切り替え部5230によって通信チャネルを干渉時チャネルから通常動作チャネルへ切り替えるように制御する。次に、無線端末5000は次のデータ情報を受信するために、ステップS701に進む。
【0098】
ステップS718において、受信強度検出ありとなる場合にもかかわらず、無線端末5000が固有IDを取得できなかった場合に、干渉判定部5213はチャネル切り替え周期が経過したか否かを判定する。チャネル切り替え周期が経過していない場合(ステップS718:NO)には無線端末5000はステップS712に進み、チャネル切り替え周期が経過した場合(ステップS718:YES)にはステップS719に進む。
【0099】
ステップS719において、無線端末5000の通信制御部5220がチャネル切り替え部5230によって通信チャネルを干渉時チャネルから通常動作チャネルへ切り替えるように制御する。次に、無線端末5000はステップS701に進む。
【0100】
ステップS720において、無線端末5000はAck信号の送信終了タイミング(チャネル切り替え周期の終了時点)まで待機し、ステップS719に進む。
【0101】
ステップS721において、干渉時チャネルで受信強度検出なしとなる場合に、無線端末5000はチャネル切り替え周期が経過したか否かを判定する。チャネル切り替え周期が経過していない場合(ステップS721:NO)には、無線端末5000はステップS712に進み、チャネル切り替え周期が経過した場合(ステップS721:YES)には、無線端末5000はステップS722に進む。
【0102】
ステップS722において、無線端末5000の通信制御部5220がチャネル切り替え部5230によって通信チャネルを干渉時チャネルから通常動作チャネルへ切り替えるように制御する。次に、無線端末5000はステップS701に進む。
【0103】
(送受信タイミングのズレによる影響)
本実施形態にかかわる通信制御方式は、受信信号の強度を検出する電波検出時点をトリガとして通信を制御している。したがって、干渉源の位置や車内のマルチパスフェージングの影響などにより、それぞれの無線端末5000の送受信のタイミングにズレが発生する場合がある。
【0104】
図8のように送信側および受信側のそれぞれの動作タイミングが同じであれは、これまで説明した通りの手順で通信が可能である。すなわち、
図8では、通常動作チャネルであるCH1で連続して他の無線通信システムから電波干渉が発生している場合に、送信ノードと受信ノードの通信チャネルが同期して干渉時チャネルであるCH2に切り替わる。したがって、干渉時チャネルであるCH2でデータ情報の送受信が可能になる。
【0105】
しかし、送信側と受信側との間の動作タイミングにズレが発生すると、永遠に通信できないデッドロック状態に陥る可能性がある。この動作タイミングのズレの発生を考慮した通信制御手法について
図9~
図11を参照して以下に詳述する。なお、
図9~
図11のCH1は通常動作チャネルを示し、CH2は干渉時チャネルを示す。
【0106】
図9は、受信動作を行う無線端末5000の受信期間が、送信動作を行う無線端末5000の送信期間より先行している場合を示す。
【0107】
図9に示すように、受信期間が送信期間より先行している状態で、通常動作チャネル(CH1)で他の無線通信システムからの干渉が発生している場合には、通常動作チャネル(CH1)から干渉時チャネル(CH2)に切り替わっても受信期間が送信期間より先行している状態が継続する。
【0108】
この場合には、上述したように、チャネル切り替え周期が経過した後に、無線端末5000の通信チャネルは干渉時チャネル(CH2)から通常動作チャネル(CH1)に切り替わるので、受信期間が送信期間より先行している状態がさらに継続する。すなわち、通常動作チャネル(CH1)で他の無線通信システムからの干渉が継続している間は、無線送信端末と無線受信端末との間でデータ情報の送受信ができなくなる。
【0109】
しかし、
図9に示すように、干渉時チャネル(CH2)において受信期間が送信期間より先行している場合には、受信期間の後半で送信データの最初の部分を受信可能であるので、送信データの最初の部分に含まれるビット同期やフレーム同期等の信号を取得することができる場合がある。
【0110】
すなわち、受信側の無線端末5000が、受信期間の後半で、ビット同期やフレーム同期を取り、同じ無線通信システムからの送信データであることを示す無線通信システム固有のIDを受信できる場合がある。この場合には、受信側の無線端末5000が、チャネル切り替え周期が経過しても受信期間を延長すれば、送信データの全体を受信し、送信データに対するAck信号を送信することができる。
【0111】
このように、受信期間が送信期間より先行している場合に、受信側の無線端末5000が無線通信システム固有のIDを受信できれば、受信期間を延長することによって、無線送信端末と無線受信端末との間でデータ情報の送受信が可能になる。
【0112】
また、受信期間を延長した後に、無線端末5000のチャネル切り替え部5230が通信チャネルを干渉時チャネルから通常動作チャネルへ切り替えれば、受信期間の開始タイミングと送信期間の開始タイミングとが通常動作チャネルで同期する。
【0113】
すなわち、受信側の無線端末5000が、送信側の無線端末5000のチャネル切り替え周期と同期して、干渉時チャネルから通常動作チャネルへ通信チャネルを切り替えることで、送受信タイミングのズレを解消することが可能になる。
【0114】
図10(A)および(B)は、
図9とは逆に、送信側の無線端末5000の送信期間が、受信側の無線端末5000の受信期間より先行している場合を示す。
【0115】
例えば、
図10(A)に示すように、干渉時チャネル(CH2)において送信期間が受信期間より先行している場合には、受信側の無線端末5000は送信データの途中からのデータのみが受信可能である。したがって、受信側の無線端末5000は送信データの前半部分のビット同期やフレーム同期を受信できない場合がある。この場合には、送信側の無線端末5000と同期を取ることができずに通信ができない状態となる可能性がある。この状態が連続して発生すると大きな通信遅延が発生する場合や、送信期間と受信期間がずれた状態が解消しない場合には通信不能となる可能性がある。
【0116】
この対策として、
図10(B)に示すように、受信側の無線端末5000の受信期間で、送信データのフレームの最後の部分の特定の信号を受信し、当該特定の信号から当該送信データが自無線通信システムのデータであると検出したら、チャネル切り替え周期が終了する前であっても、応答信号受信期間の終了後に、通信チャネルの切り替え動作を行うようにする。すなわち受信側の無線端末5000が受信期間を短縮して、チャネル切り替え動作を行うことによって、送信期間と受信期間の開始タイミングが同期するようになる。このように、動作タイミングをズラして、通信不能状態を回避する。
【0117】
上記送信データのフレームの最後の部分の特定の信号とは、フレームの最後の部分に付加された同期信号としてのユニークワードおよび無線通信システムに固有のID等の特定識別子である。または、上記送信データの最後の部分の特定の信号とは、Ackタイミングと重ならないように送信されるビーコン信号である。
【0118】
受信側の無線端末5000は、上記ユニークワードおよび無線通信システムに固有のID、または、ビーコン信号を受信すれば、受信した送信データが自無線通信システムの送信データであるか否かを判定することが可能になる。
【0119】
受信側の無線端末5000が、受信した送信データが自無線通信システムの送信データであると判定し、フレームの終了を確認し、送信側の無線端末5000でのAck信号の受信が完了するタイミングで、通信チャネルを干渉時チャネルから通常動作チャネルへ切り替える。
【0120】
すなわち、受信側の無線端末5000が、送信側の無線端末5000のチャネル切り替え周期と同期して、干渉時チャネルから通常動作チャネルへ通信チャネルを切り替えることで、送受信タイミングのズレを解消することが可能になる。
【0121】
なお、受信側の無線端末5000が、上記ユニークワードおよび無線通信システムに固有のID、または、ビーコン信号を受信した時点で、干渉時チャネルから通常動作チャネルへ通信チャネルを切り替えることも可能である。この場合にも、送受信タイミングのズレを補正することが可能になる。
【0122】
また、
図10(A)および(B)の送信期間における無線信号が、自無線通信システムの信号であるが、自無線端末5000に宛てた無線信号ではない場合がある。すなわち、無線端末5000が他の無線送信端末と他の無線受信端末との間で送受信されている無線信号を傍受している場合がある。
【0123】
この場合にも、上記無線信号を正常に受信できた場合に送信されるべき応答信号の受信が無線送信端末側で終了されるべき時点で、無線受信端末の通信チャネルを切り替えることで、同じ無線通信システムの前記無線信号を送信した無線送信端末と前記無線信号を傍受した無線受信端末の通信タイミングの同期を取ることができる。その結果、通信チャネルが他の無線通信システムから干渉を受けている場合であっても、同じ無線通信システムの無線送信端末と無線受信端末の通信タイミングが同期して、切り替わることができるので、事前にタイミングのズレが解消し、デッドロックの発生を避けることが可能になる。
【0124】
図11(A)では、送信期間と受信期間が全く重ならないケースを示す。この場合には、通常動作チャネルで他の無線通信システムから電波干渉を受けている間は、いつまで経っても干渉時チャネルにおいて送信側と受信側とで通信ができなくなる。
【0125】
この対策としては、
図11(B)に示すように、受信期間に2回連続して通常動作チャネル(CH1)で干渉波を検出して、干渉時チャネル(CH2)に切り替った場合には、2回目の干渉時チャネルでの受信期間を1.5倍程度延長する。送信期間は変更しないので、延長された受信期間で、送信データの一部または全部を受信できる可能性がある。送信データの一部が受信できる場合には、
図9において説明した通信制御方式によって、さらに受信期間を延長して、送信データを受信し、Ack信号を送受信することが可能になる。このようにして、動作タイミングをズラして、通信不能状態を回避する。
【0126】
すなわち、信号強度判定部5211において通常動作チャネルで無線信号が受信されたが、信号判定部5212において、受信した無線信号に無線通信システムに固有のIDが含まれていないと判定され、チャネル切り替え部5230が通信部5100の通信チャネルを通常動作チャネルから干渉時チャネルに切り替えても、信号強度判定部5211において無線信号が受信されないために、チャネル切り替え部5230が通信部5100の通信チャネルを干渉時チャネルから通常動作チャネルに切り替えても、再び、無線信号が受信されるが、無線信号に無線通信システムに固有のIDが含まれていないと判定される場合には、チャネル切り替え部5230が通信部5100の通信チャネルを通常動作チャネルから干渉時チャネルに切り替えて、受信期間を延長する。
【0127】
このようにして、動作タイミングをズラして、通信不能状態を回避する。なお、延長する受信期間は、チャネル切り替え周期の1.5倍程度に限定されるわけではなく、無線通信システムが任意の値に設定することができる。
【0128】
また、本実施形態はCSMA/CAベースの通信制御を行う無線通信ネットワーク全般に適用可能である。例えば、一般家庭、商業施設、工場またはオフィス等の建造物における無線通信ネットワークに適用可能である。また、例えば、船舶または航空機等の移動体における無線通信ネットワークにも適用可能である。
【0129】
また、
図4のフレームの構成は一例であって、送信期間、受信期間に収まる範囲内で調整され得る。例えば、上述したように、フレームの後半もしくは最後の部分にユニークワードおよび無線通信システムに固有のID、または、ビーコン信号を付加することも可能である。
【0130】
以上、さまざまな実施形態を説明したが、それらの実施形態の一部または全部を組み合わせて新たな実施例とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、CSMA/CAベースの通信制御を行う無線ネットワークに用いて、極めて有用である。
【符号の説明】
【0132】
5000・・・無線端末
5100・・・通信部
5110・・・送受信切り替え部
5120・・・送信ユニット
5121・・・送信部
5122・・・送信処理部
5130・・・受信ユニット
5131・・・受信部
5132・・・受信処理部
5200・・・制御部
5210・・・判定ユニット
5211・・・信号強度判定部
5212・・・信号判定部
5213・・・干渉判定部
5220・・・通信制御部
5230・・・チャネル切り替え部
5240・・・データ処理部
5300・・・記憶部