(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】アルコール飲料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C12G 3/04 20190101AFI20221213BHJP
C12G 3/06 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
C12G3/04
C12G3/06
(21)【出願番号】P 2018163742
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591014097
【氏名又は名称】サンエイ糖化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【氏名又は名称】坂西 俊明
(72)【発明者】
【氏名】小島 英敏
(72)【発明者】
【氏名】潮井 徹
【審査官】植原 克典
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0173044(US,A1)
【文献】特開2019-193602(JP,A)
【文献】特開2014-073098(JP,A)
【文献】サッポロビール社ニュースリリース、「サッポロ はちみつ男梅サワー」限定発売 ~「甘しょっぱい旨さ」で口当たり優しい、冬限定の男梅サワー,2017年10月11日
【文献】化学と生物 Vol.50、No.12、p857-858「蜂蜜中に含まれるオリゴ糖酸『マルトビオン酸』」,2012年
【文献】コカ・コーラジャパン プレスリリース、「日本の酒場に学んだ、3種類のこだわりレモンサワー「檸檬堂」5月28日(月)、九州限定で新発売」,2018年04月13日
【文献】醸造協会誌 第71巻第3号、p141―145(1976年),1976年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12G 3/00
A23L 2/00
A23L 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルトビオン酸及びその塩からなる群より選択される一種以上のマルトビオン酸類
と、柑橘フレーバーと、を含有し、
前記マルトビオン酸類の含有量が、アルコール飲料全量に対して、0.020w/v%以上3.0w/v%以下であり、
果汁の含有量が、アルコール飲料全量に対して、15w/v%以下である、アルコール飲料。
【請求項2】
無果汁である、請求項
1に記載のアルコール飲料。
【請求項3】
前記柑橘フレーバーがレモンフレーバー、グレープフルーツフレーバー及びオレンジフレーバーからなる群より選択される1種以上である、請求項
1又は2に記載のアルコール飲料。
【請求項4】
マルトビオン酸及びその塩からなる群より選択される一種以上のマルトビオン酸類を配合する工程
と、柑橘フレーバーを配合する工程と、を備え
、
前記マルトビオン酸類の含有量が、アルコール飲料全量に対して、0.020w/v%以上3.0w/v%以下であり、
果汁の含有量が、アルコール飲料全量に対して、15w/v%以下である、アルコール飲料の製造方法。
【請求項5】
アルコール飲料に、マルトビオン酸及びその塩からなる群より選択される一種以上のマルトビオン酸類を配合することを含む、アルコール飲料におけるアルコールの苦味を抑制する方法。
【請求項6】
アルコール飲料に、柑橘フレーバーと、マルトビオン酸及びその塩からなる群より選択される一種以上のマルトビオン酸類とを配合することを含む、アルコール飲料における柑橘フレーバーの際立ちを増強する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール飲料及びその製造方法、アルコール飲料におけるアルコールの苦味を抑制する方法、並びにアルコール飲料における柑橘フレーバーの際立ちを増強する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アルコール飲料が有する特有の香味(例えば苦味)を改善する技術手段が種々報告されている。例えば、特許文献1に、アルコール感が低減されたアルコール飲料として、リンゴ酸濃度とクエン酸濃度の比(リンゴ酸濃度:クエン酸濃度)が1:9~10:0であり、パラサイメンの濃度が0.1~2.0ppmである、アルコール飲料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、アルコール飲料にマルトビオン酸を含有させることにより、アルコール飲料におけるアルコールの苦味が抑制されることを見出した。
【0005】
本発明は、この新規な知見に基づくものであり、アルコールの苦味が抑制されたアルコール飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、マルトビオン酸及びその塩からなる群より選択される1種以上のマルトビオン酸類を含有する、アルコール飲料を提供する。本発明のアルコール飲料は、マルトビオン酸類を含有するため、アルコールの苦味が抑制されている。
【0007】
マルトビオン酸類の含有量は、アルコール飲料全量に対して、0.020w/v%以上3.0w/v%以下であってよい。
【0008】
本発明のアルコール飲料において、果汁の含有量は、アルコール飲料全量に対して、15w/v%以下であってよい。本発明のアルコール飲料は、無果汁であってもよい。
【0009】
本発明のアルコール飲料は、柑橘フレーバーを更に含有することが好ましい。この場合、アルコールの苦味がより一層抑制されることとなる。更に、アルコール飲料に、マルトトビオン酸類と柑橘フレーバーとを組み合わせて配合することにより、アルコール飲料における柑橘フレーバーの際立ちがより一層増強することとなる。
【0010】
柑橘フレーバーは、レモンフレーバー、グレープフルーツフレーバー及びオレンジフレーバーからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。この場合、本発明による効果がより一層顕著に奏されることなる。
【0011】
本発明は、マルトビオン酸及びその塩からなる群より選択される1種以上のマルトビオン酸類を配合する工程を備える、アルコール飲料の製造方法を提供する。
【0012】
本発明は、アルコール飲料に、マルトビオン酸及びその塩からなる群より選択される1種以上のマルトビオン酸類を配合することを含む、アルコール飲料におけるアルコールの苦味を抑制する方法を提供する。
【0013】
本発明は、アルコール飲料に、柑橘フレーバーと、マルトビオン酸及びその塩からなる群より選択される1種以上のマルトビオン酸類とを配合することを含む、アルコール飲料における柑橘フレーバーの際立ちを増強する方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アルコールの苦味が抑制されたアルコール飲料を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
本実施形態に係るアルコール飲料は、マルトビオン酸及びその塩からなる群より選択される1種以上のマルトビオン酸類を含有する。
【0017】
アルコール飲料は、例えば、飲料に蒸留アルコールを添加したものであってもよく、発酵工程を介してアルコールを含む飲料となったものであってもよい。アルコール飲料としては、酒税法(平成二九年三月三一日法律第四号)上のビール、発泡酒、その他の発泡性酒類、リキュール、スピリッツ類(例えばウォッカ、ジン、ブランデー、ラム等のスピリッツ)、原料用アルコール、焼酎等、清酒等、甘味果実酒、果実酒に分類されるものが挙げられる。なお、本明細書においてアルコールとは、特に言及しない限りエタノールを意味する。
【0018】
本実施形態に係るアルコール飲料のアルコール濃度(アルコール度数)は、例えば、1.0v/v%以上、2.0v/v%以上、3.0v/v%以上、4.0v/v%以上、5.0v/v%以上、6.0v/v%以上、7.0v/v%以上、8.0v/v%以上又は9.0v/v%以上であってよい。アルコール濃度の上限は、例えば、20.0v/v%未満であってよく、15.0v/v%以下、14.0v/v%以下、13.0v/v%以下又は12.0v/v%以下であってよい。
【0019】
マルトビオン酸は、グルコン酸にグルコースがα-1,4結合したものであり、4-O-α-D-グルコピラノシル-D-グルコン酸とも称される。マルトビオン酸は、塩の形態であってもよい。このような塩は、食品として許容可能な塩であればよく、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等であってよい。
【0020】
マルトビオン酸類の含有量は、アルコール飲料全量に対して、0.020w/v%以上、0.025w/v%以上、0.030w/v%以上、0.050w/v%以上、0.080w/v%以上、0.10w/v%以上、0.15w/v%以上又は0.20w/v%以上であってよく、3.0w/v%以下、2.5w/v%以下、2.0w/v%以下、1.5w/v%以下、0.80w/v%以下、又は0.50w/v%以下であってよい。マルトビオン酸類の含有量は、アルコールの苦味がより一層抑制される観点から、アルコール飲料全量に対して、0.020w/v%以上3.0w/v%以下であってよく、0.025w/v%以上2.5w/v%以下であってよく、0.050w/v%以上2.0w/v%以下であってよく、0.080w/v%以上1.5w/v%以下であってよく、0.10w/v%以上1.0w/v%以下であってよい。
【0021】
マルトビオン酸類の含有量は、HPAED-PAD法(パルスドアンペロメトリー検出器、CarboPac PA1カラム)により測定することができる。
【0022】
本実施形態に係るアルコール飲料の果汁の含有量は、アルコール飲料全量に対して、15w/v%以下、13w/v%以下、10w/v%以下、5w/v%以下又は3w/v%以下であってよい。本実施形態に係るアルコール飲料は、無果汁であってもよい。アルコール飲料において、果汁の含有量が低い場合には、アルコールの苦味が強く感じられる傾向がある。これに対し、本実施形態に係るアルコール飲料は、マルトビオン酸類を含有するため、低果汁(果汁の含有量が15w/v%以下)又は無果汁であっても、充分にアルコールの苦味が抑制されたものとなる。
【0023】
果汁の含有量は、果実飲料の日本農林規格(平成25年12月24日農林水産省告示第3118号)に従って測定した糖用屈折計示度(Brix値)及び酸度に基づいて換算される値であり、果実を搾汁して得られるストレート果汁を100質量/体積%(w/v%)としたときの相対濃度である。果汁の含有量は、通常、製品表示に記載されている値を示す。酸度とは、飲料中に含まれる酸の濃度(質量/体積%)を示す値であり、クエン酸換算値である。クエン酸換算酸度は、果実飲料の日本農林規格(平成25年12月24日農林水産省告示第3118号)に沿った中和滴定法により算出される。
【0024】
本実施形態に係るアルコール飲料は、フレーバー(香料)を添加しても、アルコールの苦味が抑制されているものであることから、フレーバーの添加により、各種フレーバーを含有するアルコール飲料として構成することができる。フレーバーは、アルコール飲料に好ましい酸味を付与しやすい観点から、柑橘フレーバーであることが好ましい。マルトビオン酸類と柑橘フレーバーとを含有するアルコール飲料は、アルコールの苦味がより一層抑制され、かつ、柑橘フレーバーの際立ちがより増強されている。柑橘フレーバーとしては、レモンフレーバー、グレープフルーツフレーバー、オレンジフレーバー、ミカンフレーバー、ライムフレーバー、ゆずフレーバー、かぼすフレーバー、すだちフレーバー、シークァーサーフレーバー、キンカンフレーバー、シトロンフレーバー、ヒュウガナツフレーバーが挙げられる。柑橘フレーバーは、レモンフレーバー、グレープフルーツフレーバー及びオレンジフレーバーからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
【0025】
本実施形態に係るアルコール飲料の柑橘フレーバーの含有量は、0.01w/v%以上、0.05w/v%以上、0.08w/v%以上又は0.10w/v%以上であってよく、1.0w/v%以下、0.50w/v%以下、0.30w/v%以下又は0.15w/v%以下であってよい。
【0026】
本実施形態に係るアルコール飲料は、本発明による効果を阻害しない限り、飲料に通常配合される着色料、酸化防止剤、酸味料、苦味料等の添加剤を含有してもよい。
【0027】
本実施形態に係るアルコール飲料は、発酵飲料(発酵アルコール飲料)であってよく、非発酵飲料(非発酵アルコール飲料)であってもよい。発酵飲料は、酵母等による発酵を経て製造されるものである。非発酵飲料は、酵母等による発酵を行わずに製造されるものである。
【0028】
本実施形態に係るアルコール飲料は、非発泡性であってもよく、発泡性であってもよい。ここで、非発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.049MPa(0.5kg/cm2)未満であることをいい、発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.049MPa(0.5kg/cm2)以上であることをいう。発泡性とする場合、ガス圧の上限は0.294MPa(3.0kg/cm2)程度としてもよい。
【0029】
本実施形態に係るアルコール飲料は、容器に入れて提供することができる。容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製など)のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器等を適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分及び光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
【0030】
本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法は、マルトビオン酸及びその塩からなる群より選択される1種以上のマルトビオン酸類を配合する工程を備える。当該製造方法は、柑橘フレーバーを配合する工程を更に備えていてもよい。配合するマルトビオン酸及び柑橘フレーバーの量は、適宜設定することができ、例えば、上記記載の範囲になるように配合してもよい。マルトビオン酸類を配合する工程では、マルトビオン酸類単独(実質的にマルトビオン酸類のみからなる原料)を配合してもよいし、マルトビオン酸類及びマルトビオン酸類以外の成分を含む原料(例えば、マルトビオン酸類を含む水飴)を配合してもよい。
【0031】
一実施形態における製造方法は、例えば、水、マルトビオン酸類、及び蒸留アルコールと、必要に応じて各種添加剤(例えば、フレーバー、着色料、酸化防止剤、酸味料、苦味料)とを原料タンクに配合する配合工程を備える。配合工程では、柑橘フレーバーを配合することが好ましい。マルトビオン酸類含有量、柑橘フレーバー含有量及びアルコール濃度は、それぞれマルトビオン酸類、柑橘フレーバー及び蒸留アルコールの添加量を制御することにより調整することができる。
【0032】
蒸留アルコールとしては、焼酎、ブランデー、ウォッカ、ウイスキー、麦スピリッツ等の各種スピリッツ、原料用アルコール等が挙げられる。蒸留アルコールは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
本実施形態に係る製造方法は、配合工程において各成分を混合して得た混合液をろ過するろ過工程と、ろ過工程でろ過したろ過液を殺菌する第一の殺菌工程と、第一の殺菌工程で殺菌した殺菌済みのろ過液をビン、缶、ビン、ペットボトル等の容器に充填する充填工程と、充填工程で容器に充填されたろ過液を容器ごと殺菌する第二の殺菌工程と、を更に含んでいてもよい。
【0034】
配合工程は、各成分がよく混ざるよう、撹拌機等により撹拌しながら混合してもよい。また、ろ過工程は、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。第一の殺菌工程は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行ってもよく、同様の処理を行うことができるのであれば、これに限定されることなく適用可能である。充填工程は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにて充填してもよい。第二の殺菌工程は、所定の温度及び所定の時間でろ過液を容器ごと加熱することにより行うことができる。第一の殺菌工程及び第二の殺菌工程を行わない無殺菌充填を行うことも可能である。また、発泡性の飲料とする場合は、例えば、第一の殺菌工程と充填工程の間でカーボネーションを行うとよい。
【0035】
本実施形態に係るアルコール飲料は、アルコールの苦味を抑制できるという効果を奏する。したがって、本発明の一実施形態として、アルコール飲料に、マルトビオン酸及びその塩からなる群より選択される1種以上のマルトビオン酸類を配合することを含む、アルコール飲料におけるアルコールの苦味を抑制する方法が提供される。
【0036】
本実施形態に係るアルコール飲料は、柑橘フレーバーを含有する場合、柑橘フレーバーの際立ちを増強できるという効果を奏する。したがって、本発明の一実施形態として、アルコール飲料に、柑橘フレーバーと、マルトビオン酸及びその塩からなる群より選択される一種以上のマルトビオン酸類とを配合することを含む、アルコール飲料における柑橘フレーバーの際立ちを増強する方法が提供される。
【実施例】
【0037】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
〔試験例1:アルコール飲料の製造及び官能評価〕
水と、蒸留アルコールと、クエン酸と、レモンフレーバーと、マルトビオン酸を含有する水飴(サンエイ糖化株式会社製、マルトビオン酸の含有量:49%、製品名:サワーオリゴ)とを混合して、サンプル1-1~1-7及び2-1~2-2のアルコール飲料を調製した。アルコール飲料全量に対するクエン酸、レモンフレーバー及びマルトビオン酸の含有量は、それぞれ表1~2に示す量とした。調製したアルコール飲料は、無果汁であり、アルコール濃度は、表1~2に示す濃度であった。
【0039】
官能評価は、選抜された識別能力のある7名のパネルにより、「アルコールの苦味抑制」及び「柑橘フレーバーの際立ち」について、実施した。アルコールの苦味抑制の項目は、5段階(1点:アルコールの苦味を強く感じる~5点:アルコールの苦味を全く感じない)で評価し、その平均値を評価スコアとした。柑橘フレーバーの際立ちの項目は、5段階(1点:柑橘フレーバーの際立ちが弱く、飲料に個性がない~5点:柑橘フレーバーの際立ちが強く、飲料に個性が出る)で評価し、その平均値を評価スコアとした。評価スコアを表1~2に示す。
【0040】
【0041】
【0042】
アルコール飲料にマルトビオン酸を配合することにより、アルコールの苦味が抑制されることが示された(サンプル1-1とサンプル1-2~1-7との対比)。マルトビオン酸を含有する飲料は、柑橘フレーバーの際立ちがより増強した(サンプル1-1とサンプル1-2~1-7との対比)。アルコール濃度を変化させた場合であっても、アルコールの苦味は抑制され、柑橘フレーバーの際立ちは増強した。
【0043】
〔試験例2:柑橘フレーバーによる効果〕
表3に示す柑橘フレーバーを使用したこと以外は、試験例1と同様にして、サンプル3-1~3-4のアルコール飲料の調製及び評価を実施した。評価結果は表3に示す。
【0044】
サンプル3-1~3-4のアルコール飲料においては、「酸味の好ましさ」の評価項目についても官能評価を実施した。酸味の好ましさの項目は、5段階(1点:酸味が好ましくない~5点:酸味が好ましい)で評価し、その平均値を評価スコアとした。官能評価結果は表3に示す。酸味の好ましさは、酸味の強さを基準として評価し、評点が高いほど酸味が好ましいことを示す。酸味の好ましさの評価では、酸味が非常に強い(非常に酸っぱく感じる)場合、酸味が好ましくないと評価し、酸味が適度である(適度な酸っぱさを有する)場合、酸味が好ましいと評価した。
【0045】
【0046】
柑橘フレーバーの種類を変更した場合であっても、アルコールの苦味が抑制され、柑橘フレーバーの際立ちが増強することが示された。